(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240910BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2024078904
(22)【出願日】2024-05-14
【審査請求日】2024-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510084297
【氏名又は名称】株式会社ブロードリーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】祖慶 良大
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-217423(JP,A)
【文献】特開2002-133032(JP,A)
【文献】特開2001-249932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を識別する移動体識別番号と前記移動体を識別する型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとを、前記移動体を構成する部品の情報と対応付けて記憶する記憶部と、
所定の移動体における前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報をもとに、前記記憶部に記憶される前記少なくとも一方の情報に対応付けられた所定の移動体を構成する部品を特定する部品特定部と、
前記部品特定部が特定した部品の情報を出力する出力部と、を具備し、
前記部品特定部は、
前記取得部が前記移動体識別番号の情報、または前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報を取得したことにより、取得したいずれかの情報をもとに前記部品を特定し、
前記取得部が前記移動体識別番号の情報と前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報とを取得したことにより、両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに前記部品を特定する、情報処理装置。
【請求項2】
前記移動体を構成する部品の修理、交換又は取り付け作業に必要な作業情報を記憶する作業記憶部と、
前記作業情報をもとに、所定の移動体に対して行う部品の修理、交換又は取り付け作業を特定する作業特定部と、
所定の移動体を構成する部品における過去の修理、交換又は取り付け作業に関する作業履歴情報を記憶する履歴記憶部と、を具備し、
前記部品特定部は、
前記作業特定部が特定した作業に用いられる部品として、前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報をもとに前記部品を特定し、
前記作業履歴情報を用いて前記部品に該当する、移動体メーカーが認定する純正部品、前記移動体メーカーが認定したものとは異なる優良部品、又は純正部品及び優良部品とは異なるサードパーティー部品の少なくともいずれかをさらに特定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動体を構成する部品と、該部品に対応付けられた該部品に関連する関連部品とを前記移動体の移動体種別ごとに記憶する部品情報記憶部を具備し、
前記部品特定部は、前記移動体を構成する部品と該部品に関連する関連部品とを特定し、
前記出力部は、前記部品特定部が特定した前記部品の情報と、前記部品に関連する前記関連部品の情報とを出力する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動体を構成する部品に対応付けられ、該部品の修理、交換又は取り付けに必要な作業情報を記憶する作業記憶部を具備し、
前記出力部は、前記部品特定部が特定した前記部品の情報と、前記作業記憶部に記憶される、前記部品の修理、交換又は取り付けに必要な作業情報とを含む作業指示情報を出力する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記履歴記憶部によって記憶される前記作業履歴情報をもとに前記部品の修理、交換又は取り付け作業にかかる作業内容を含む作業内容情報を作成する作成部を具備し、
前記出力部は、前記部品特定部が特定した前記部品の情報と、前記作業内容情報とを出力する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記部品特定部によって特定された部品を用いた修理、交換又は取り付け作業にかかる複数の作業工程の遷移に伴って、所定の作業工程で用いられる部品を、該所定の作業工程で用いられる部品とは異なる部品と比べて強調表示した画面を表示する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記部品の修理、交換又は取り付け作業にかかる作業の完了によって前記作業に関する作業内容及び前記作業に用いた部品を含む作業完了情報を生成する生成部を具備し、
前記履歴記憶部は、前記作業に用いた作業前の部品の部品識別情報と、前記作業に用いた作業後の部品の部品識別情報とを含む前記作業完了情報を、前記作業履歴情報として記憶する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記作業後の部品の部品識別情報は、前記作業が行われた作業場所、作業者、作業日時の情報を含み、
前記部品特定部は、前記作業履歴情報の前記作業完了情報をもとに、所定の移動体を構成する部品における前記作業後の部品を特定する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記部品特定部は、前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報と、前記作業履歴情報とをもとに、所定の移動体を構成している前記作業後の部品を特定する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
移動体を識別する移動体識別番号と前記移動体を識別する型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとを、前記移動体を構成する部品の情報と対応付けて記憶する記憶部を有するコンピュータが、
所定の移動体における前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報を取得することと、
得られた前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報をもとに、前記記憶部に記憶される前記少なくとも一方の情報に対応付けられた所定の移動体を構成する部品を特定することと、
特定された部品の情報を出力することと、を実行し、
前記部品を特定することでは、
前記移動体識別番号の情報、または前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報を取得したことにより、取得したいずれかの情報をもとに前記部品を特定し、
前記移動体識別番号の情報と前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報とを取得したことにより、両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに前記部品を特定する、情報処理方法。
【請求項11】
移動体を識別する移動体識別番号と前記移動体を識別する型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとを、前記移動体を構成する部品の情報と対応付けて記憶する記憶部を有する情報処理装置としてのコンピュータに、
所定の移動体における前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報を取得する処理と、
得られた前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報をもとに、前記記憶部に記憶される前記少なくとも一方の情報に対応付けられた所定の移動体を構成する部品を特定する処理と、
特定された部品の情報を出力する処理と、を実行させ、
前記部品を特定する処理では、
前記移動体識別番号の情報、または前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報を取得したことにより、取得したいずれかの情報をもとに前記部品を特定し、
前記移動体識別番号の情報と前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報とを取得したことにより、両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに前記部品を特定する、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の移動体を識別する識別情報をもとに、当該移動体を構成する部品を特定するシステムが知られている。
例えば、特許文献1には、所定の自動車を識別する車台番号を取得し、当該車台番号を検索キーとして自動車の車種特定番号を取得し、当該車種特定番号から自動車の部品番号を取得する自動車部品検索システムが開示されている。
また、特許文献2も同様に、車両固有の識別子である車台番号を受信して、当該車台番号をもとに車両を構成する車両部品(中古部品)の情報を取得する中古部品の調達システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-192599号公報
【文献】特開2004-240649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2には、車両を識別する車台番号の情報を少なくとも取得し、当該車台番号の情報をもとに、車両を構成する車両部品を検索して必要な部品を特定することが記載されている。そうしたなかで、車両を識別する一又は複数の識別情報が得られたとき、当該識別情報に応じて、車両に搭載される車両部品を特定することが可能な工夫や運用が必要となっていた。
【0005】
本発明の目的は、移動体を構成する部品又は部品の候補を検索できるようにした情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の情報処理装置によれば、移動体を識別する移動体識別番号と前記移動体を識別する型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとを、前記移動体を構成する部品の情報と対応付けて記憶する記憶部と、所定の移動体における前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報をもとに、前記記憶部に記憶される前記少なくとも一方の情報に対応付けられた所定の移動体を構成する部品を特定する部品特定部と、前記部品特定部が特定した部品の情報を出力する出力部と、を具備し、前記部品特定部は、前記取得部が前記移動体識別番号の情報、または前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報を取得したことにより、取得したいずれかの情報をもとに前記部品を特定し、前記取得部が前記移動体識別番号の情報と前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報とを取得したことにより、両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに前記部品を特定すること、により解決される。
【0007】
上記のように、情報処理装置は、移動体識別番号の情報または型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報を取得したことにより、当該一方の情報をもとに部品を特定し、また移動体識別番号の情報と、型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報とを取得したことにより、当該両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに部品を特定する。
このように部品を特定することで、移動体を識別する識別情報が得られたとき、当該識別情報に応じて、移動体を構成する部品を特定し易くすることができる。
【0008】
また前記課題は、本発明の情報処理方法によれば、移動体を識別する移動体識別番号と前記移動体を識別する型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとを、前記移動体を構成する部品の情報と対応付けて記憶する記憶部を有するコンピュータが、所定の移動体における前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報を取得することと、得られた前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報をもとに、前記記憶部に記憶される前記少なくとも一方の情報に対応付けられた所定の移動体を構成する部品を特定することと、特定された部品の情報を出力することと、を実行し、前記部品を特定することでは、前記移動体識別番号の情報、または前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報を取得したことにより、取得したいずれかの情報をもとに前記部品を特定し、前記移動体識別番号の情報と前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報とを取得したことにより、両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに前記部品を特定すること、により解決される。
【0009】
また前記課題は、本発明の情報処理プログラムによれば、移動体を識別する移動体識別番号と前記移動体を識別する型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとを、前記移動体を構成する部品の情報と対応付けて記憶する記憶部を有する情報処理装置としてのコンピュータに、所定の移動体における前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報を取得する処理と、得られた前記移動体識別番号と、前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報をもとに、前記記憶部に記憶される前記少なくとも一方の情報に対応付けられた所定の移動体を構成する部品を特定する処理と、特定された部品の情報を出力する処理と、を実行させ、前記部品を特定する処理では、前記移動体識別番号の情報、または前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報を取得したことにより、取得したいずれかの情報をもとに前記部品を特定し、前記移動体識別番号の情報と前記型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報とを取得したことにより、両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに前記部品を特定すること、により解決される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムによれば、移動体を構成する部品又は部品の候補を検索できるようにした情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】情報処理システムの情報処理装置、ユーザ端末のハードウェア構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について
図1~
図7を参照して説明する。
【0013】
<情報処理システムの概要>
情報処理システムSは、
図1に示すように、「移動体」を構成する部品を特定し、特定した部品の情報を出力する情報処理装置1と、情報処理装置1にネットワークを通じて接続され、所定の移動体を構成する部品の情報を要求するユーザによって利用されるユーザ端末100と、から主に構成されている。
情報処理装置1は、ユーザ端末100から所定の移動体における「移動体識別情報」を取得して、当該移動体識別情報をもとに移動体を構成する部品を特定し、特定した部品の情報をユーザ端末100のほか、作業管理装置等に出力する。例えば、ユーザ端末100の画面に部品の情報を表示する、あるいはメールで通知する。
なお、情報処理装置1は、ユーザ端末100を通じて移動体識別情報を取得するものに限定されず、情報処理装置1を利用するユーザによる「移動体識別情報」の入力又は選択を受け付けて(直接受け付けて)、当該移動体識別情報をもとに部品を特定し、特定した部品を出力しても良い。この場合には、情報処理装置1の画面に部品の情報を表示する、あるいはメールで通知すると良い。
【0014】
ここで「移動体」とは、車両に相当し、例えば「部品の修理、交換又は取り付けが必要な車両(破損車両)」に相当する。「移動体」は、当該移動体を構成する複数の部品(部品群)を組み立てることで完成するものである。なお、「移動体」は、車両に限定されず、車両以外の乗り物(ヒトを乗せて移動するもの)であっても良いし、ヒト以外の物を乗せて移動するものであっても良い。ドローンや小型モビリティであっても良い。
「部品(移動体部品)」とは、車両に用いられる部品であって、部品種別ごとに分類されるものである。部品種別としては、移動体の部位(構造部位)等によって分類される「第1部品種別」と、部品の販売メーカー(販売ルート)、品質等によって分類される「第2部品種別」とがある。
「第1部品種別」は、部品コード、部品名称、部品形状、部品寸法、部品年式、部品グレード、部品画像などの識別情報である。「第2部品種別」は、純正部品、第2純正部品、優良部品、中古部品、互換部品などの識別情報である。
「純正部品」とは、新品、中古品を問わず、移動体メーカーが公式に認定する部品である。「第2純正部品」とは、新品、中古品を問わず、部品メーカーが公式に認定する部品である。「優良部品」とは、新品、中古品を問わず、純正部品と同一又はほぼ同一のものであって、移動体メーカーが販売するものではなく部品メーカ(上記公式の部品メーカとは異なるメーカ)が販売するものである。優良部品は、新品、中古品を問わず、純正部品と型番が異なる部品や、純正部品を販売する販売店とは異なる販売店により販売される部品に相当する。「中古部品」とは、中古車両(使用済の車両、車両、廃車となる車両)から取り外した部品であって、販売可能となるように修理、点検等がなされた部品である。「互換部品」とは、新品、中古品を問わず、複数の車種に適合する互換性のある部品である。
優良部品、中古部品、互換部品は、純正部品(第2純正部品)とは異なる「サードパーティー部品」とも称される。
【0015】
「移動体識別情報」とは、移動体を識別する識別情報であって、例えば、車台番号(移動体番号)、型式指定番号と類別区分番号との組み合わせ情報、車両登録番号(ナンバープレートに記載された番号)などがある。このうち、車台番号(移動体番号)、車両登録番号は「第1移動体識別情報(第1移動体識別番号)」とも称される。また、型式指定番号と類別区分番号との組み合わせ情報は「第2移動体識別情報(第2移動体識別番号)」とも称される。
【0016】
「車台番号」は、車両識別番号(VIN番号)とも称される。なお、これら移動体識別番号は、移動体を一義に特定することが可能な番号である。
複数の移動体識別情報同士(複数の第1移動体識別番号同士)を対応付けておくこともできる。この場合、対応付けられたそれぞれの移動体識別情報で移動体を構成する部品の検索や特定を行うことが可能となる。例えば、車台番号と車両登録番号を対応付けて記憶しておくことで車台番号または車両登録番号のいずれかの情報だけで他方の情報と、移動体を構成する部品若しくは構成しうる部品の候補を検索することが可能となる。特に、車両登録番号(ナンバープレート)によって移動体(車両等)を識別する場合、車台番号は必須ではなく車台番号を登録しない状態又は仮の車台番号(仮車台番号)を登録した状態で記憶することが可能である。
すなわち、車台番号が特定されなくても車両登録番号で部品又は部品の候補を検索、特定することが可能となる。
【0017】
「型式指定番号」とは、基準適合性審査と品質管理(均一性)の審査に適合した移動体であることを示す番号である。すなわち、一定の品質基準を満たす車両の車種やグレードを示す。「類別区分番号」は、車両個体それぞれに搭載された装備(内装品、外装品を含む)を特定する番号である。なお、これら第2移動体識別番号は、複数の第2移動体識別番号の組み合わせ(この組み合わせを「複合移動体識別番号」とも称する。)によって移動体を一義に特定する、あるいは移動体を推定することが可能な番号である。特に、移動体が特定できれば、その移動体を構成する部品を一義に特定することができ、また、移動体が推定できればその移動体を構成する部品の候補を特定できる。
車両(移動体)に関する情報が記載された書類(書面)若しくは車両関連データとして、「車検証情報(移動体証明情報)」があり、この「車検証情報(移動体証明情報)」には、車台番号、車両登録番号、初度登録年月(当局によって移動体の登録申請が受理された年月)、型式、型式指定番号、類別区分番号などの情報が記載され、保安基準に適合することを示している。また車検証情報に記載された2次元コードには、これら情報が格納されている。
【0018】
以上のことから、第1移動体識別番号は単独の情報で移動体を構成する部品を特定することができ、第2移動体識別番号は複数の情報で移動体を構成する部品を推定することができる。このため、より高い精度で移動体を構成する部品を特定する場合には、第2移動体識別番号よりも第1移動体識別番号を用いることが好ましい。
【0019】
情報処理装置1は、上記「移動体識別番号(例えば車台番号)」と、「移動体の情報(移動体種別情報)」と、移動体を構成する「部品の情報(部品種別情報)」とを対応付けた「第1の部品対応情報」を記憶部10に記憶している。また、上記「第2移動体識別番号の組み合わせ(例えば型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせ)」と、「移動体の情報」と、「部品の情報」とを対応付けた「第2の部品対応情報」を記憶部10に記憶している。
また、情報処理装置1は、「移動体の情報」を記憶する移動体情報記憶部11と、移動体を構成する「部品の情報」、「関連部品の情報」を記憶する部品情報記憶部12と、部品の修理、交換又は取り付け作業に必要な「作業情報」を記憶する作業記憶部13と、移動体を構成する部品の過去の修理、交換又は取り付け作業に関する「作業履歴情報」を記憶する履歴記憶部14とをデータベース(DB)として備えている。
なお、情報処理装置1は、上記のように「移動体の情報」、「部品の情報」、「作業情報」、「作業履歴情報」などを管理するデータベースを備えても良いし、あるいはこれら情報を管理する外部管理サーバから最新情報を随時取得し、一時的に記憶することとしても良い。
【0020】
情報処理装置1は、ネットワークを介して接続されるユーザ端末100に対し、情報処理を実行し、ソフトウェアサービスを提供する。
詳しく述べると、情報処理装置1は、「移動体の情報」及び移動体を構成する「部品の情報」を管理するソフトウェアサービスをユーザ端末100に対して提供する。例えば、ユーザから所定の移動体を識別する「移動体識別情報」を取得し、「移動体識別情報」をもとに当該移動体を構成する部品又は構成しうる部品の候補を特定し、特定した部品の修理、交換又は取り付けに必要な「作業情報」や、特定した部品の「作業履歴情報」を出力することができる。
このときの部品の候補とは、移動体を構成する部品として用いること(構成すること)ができる可能性がある部品を示す。
具体的には、以下の通りである。
【0021】
情報処理装置1は、ユーザ端末100などの端末を利用するユーザを識別する。そして、ユーザ識別されたユーザ端末100から、所定の移動体を識別する「移動体識別情報」を取得する。具体的には、
図3に示すように、ユーザ端末100を通じたユーザ操作の入力又は選択を受け付けて、あるいはユーザ端末100を通じて車検証に記載された2次元コードを読み込むことで、「移動体識別情報」を取得する。移動体識別情報として、「移動体識別番号」と、「型式指定番号」及び「類別区分番号」の組み合わせとの少なくとも一方の情報を取得する。そして、当該情報をもとに、記憶部10に記憶される「第1の部品対応情報」、「第2の部品対応情報」を参照して所定の移動体を構成する部品(部品群)を特定する。そして、特定した部品の情報(部品群の一覧情報)を出力する。具体的には、ユーザ端末100の画面に部品の情報を出力する。
そして、情報処理装置1は、出力された部品群からユーザ操作による所定の部品の選択を受け付けて特定すること、または所定の移動体(点検・整備等が必要な移動体)に対して行う作業の入力又は選択を受け付けて、部品群の中から一又は複数の部品を特定すること、などにより特定することが可能である。そして、特定した部品の情報(詳細情報)を出力する。
ユーザ端末100の画面に表示する部品の詳細情報として、ユーザ操作の選択を受け付けて、所定の移動体を構成する部品の種別情報、当該部品に関連する関連部品の種別情報、当該部品の修理、交換又は取り付けに必要な作業内容を含む情報である作業見積情報(作業内容情報)、作業指示情報、当該部品の過去の作業履歴情報などを出力する。詳しくは後述する。
【0022】
ユーザ端末100は、業者(修理・買取業者)によって利用される情報端末であって、具体的には、撮像装置を搭載したタブレット端末等のコンピュータである。もちろんPC等のコンピュータであっても良い。
ユーザ端末100のユーザは、移動体の修理、カスタマイズ又は買取に携わる業者(修理業者、カスタマイズ業者、買取業者)である。なお、ユーザ端末100は、移動体の所有者(オーナー)によって利用される情報端末であっても良く、オーナーが移動体を構成する部品を特定するためにユーザ端末100を利用しても良い。
【0023】
ユーザ端末100は、情報処理装置1と接続され、情報処理装置1からソフトウェアサービスの提供を受ける。
具体的には、ユーザ端末100は、
図3に示す表示画面上で、ユーザ操作による「移動体識別情報」の入力を受け付けて情報処理装置1に「移動体識別情報」を送信する。あるいは、車検証に記載された2次元コードをユーザ端末100に搭載された撮像装置で読み取って情報処理装置1に「移動体識別情報」を送信する。そして、情報処理装置1によって特定された部品の情報を受信して、当該部品の情報(部品群の一覧情報)を表示する。そして、ユーザ操作による所定の部品選択を受け付けて、あるいは所定の移動体に必要な作業の入力又は選択を受け付けて、一又は複数の部品の詳細情報を情報処理装置1に要求する。ユーザによって選択された部品は、例えば修理、交換又は取り付け作業の対象となる部品である。
ユーザ端末100は、情報処理装置1から部品の詳細情報を受信して、特定された部品ごとに、部品の種別情報、関連部品の種別情報、部品の修理、交換又は取り付けに必要な作業に関連する作業関連情報、見積情報、作業指示情報、作業履歴情報などを表示する。
【0024】
上記において、情報処理装置1は、「移動体識別番号の情報」又は「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」のいずれかの情報を取得すると、取得したいずれかの情報をもとに部品を検索する処理を行い、検索された検索結果により部品(部品群)を特定する。他方で、「移動体識別番号の情報」と「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」との両方の情報を取得すると、情報処理装置1は、各情報をもとに部品を検索する処理を行う。
後者のケースにおいては、「移動体識別番号の情報」をもとに検索した検索結果の部品の情報(第1移動体識別番号に基づく部品情報)と、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」をもとに検索した検索結果の情報(第2移動体識別番号に基づく部品情報)とがそれぞれ出力される。これは、「移動体識別番号の情報」と「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」に対して、記憶部10で記憶している「第1の部品対応情報」、「第2の部品対応情報」を参照して特定した、移動体を構成する部品(部品群)が完全に同一であれば、同じ部品の情報が重複して出力されることを意味する。一方で、移動体を構成する部品(部品群)の一部が同一であれば、和集合として部品の情報が出力されることを意味する。もちろん、移動体を構成する部品(部品群)の全てが異なるものであれば、それぞれの情報(「移動体識別番号の情報」、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」)毎に異なる部品の情報が出力されることとなる。
このようにして、第1移動体識別番号に基づく部品情報と第2移動体識別番号に基づく部品情報とが出力されると、情報処理装置1は、重複する部品の情報を特定し、その重複する部品の情報の一方を削除する処理を行い、重複する部品の情報の残りの情報と、重複していない部品の情報とを部品として特定する。
このほか、後者のケースにおいては、当該両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに部品を検索し、部品群を特定することも可能である。このように移動体識別情報に所定の優先設定を設けて部品群を特定することで、移動体を識別する一又は複数の「移動体識別情報」を取得したときであっても、情報処理装置1は、当該移動体識別情報に応じて、移動体を構成する部品群を適切に特定できる。
【0025】
また、情報処理装置1は、ユーザから、所定の移動体に対して行う部品の修理、交換又は取り付け作業の情報をさらに受け付けることで、当該移動体に対して行う作業に必要な一又は複数の部品を適切に特定できる。例えば、所定の移動体の「移動体識別情報」と、当該移動体に対して行う「法定点検作業の情報」とを受け付けたとき、当該移動体の法定点検作業に必要な一又は複数の部品の詳細情報を出力できる。
さらに、情報処理装置1は、部品の修理、交換又は取り付け作業に必要な「作業情報」、移動体を構成する部品の過去の修理、交換又は取り付け作業に関する「作業履歴情報」等を記憶しており、これら情報をもとに、所定の移動体を構成している現在の部品(部品取り付け状態)を特定し、出力することができる。言い換えれば、移動体ごとに部品の作業履歴(修理、交換履歴)を記憶しており、ユーザの要求に応じて部品の状態(新車当時の部品状態、作業前の部品状態、作業後の部品状態、現在の部品状態)を出力できる。つまりは、情報処理装置1は、移動体ごとの部品の種別情報、部品の作業情報を記憶するだけでなく、移動体ごとの部品の「トレーサビリティ情報」を有している。
【0026】
<情報処理システムのハードウェア構成>
情報処理装置1は、
図1に示すように、データの演算・制御処理装置(プロセッサ)としてのCPUと、記憶装置(記憶部、メモリ)としてのROM、RAM、及びHDD(SSD)と、インターネットを通じて情報データの送受信を行う通信用IFと、を備えたコンピュータである。情報処理装置1において行われる情報処理は詳細にはプロセッサにて行われる処理である。
情報処理装置1の記憶装置には、コンピュータとして必要な機能を果たすメインプログラムに加えて、情報処理プログラムが記憶されており、これらプログラムがCPUによって実行されることにより、情報処理装置1の機能が発揮されることになる。
なお、ユーザ端末100についても同様のハードウェア構成を備えたコンピュータである。
【0027】
<情報処理システムの機能>
情報処理装置1は、
図2に示すように、機能面から説明すると、「第1の部品対応情報」、「第2の部品対応情報」等、各種プログラム及び各種データを記憶しておく記憶部10と、「移動体種別情報」を記憶する移動体情報記憶部11と、「部品種別情報」、「関連部品種別情報」を記憶する部品情報記憶部12と、「作業情報」を記憶する作業記憶部13と、「作業履歴情報」を記憶する履歴記憶部14と、通信部15と、取得部16と、部品特定部17と、優先設定部18と、出力部19と、作業特定部20と、作成部21と、生成部22と、を主な構成要素として備えている。なお、通信部15は、ユーザ端末100などの外部端末、外部サーバとの間で各種データを送受信する。
これらは、CPU(プロセッサ)、ROM、RAM、HDD、通信用インタフェース、及び各種プログラム等によって構成されている。
【0028】
ユーザ端末100についても機能面から説明すると、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶部と、情報処理装置1との間で各種データを送受信する通信部と、情報処理装置1から提供される車両部品の取引に関する情報を画面表示する表示部と、ユーザ操作の入力を受け付けて操作処理を実行する操作実行部と、を主な構成要素として備えている。
【0029】
以下、情報処理装置1の機能について詳しく説明する。
まずは、記憶部10、移動体情報記憶部11、部品情報記憶部12、作業記憶部13、履歴記憶部14に記憶される各種情報(データ)について説明する。
なお、本実施形態では情報処理装置1が記憶部10、移動体情報記憶部11、部品情報記憶部12、作業記憶部13、履歴記憶部14を具備する構成としているが、あくまでも一例にすぎず、情報処理装置1の外部に設けられた外部記憶装置においてこれら記憶部10~14を実現することとしてもよい。この場合、情報処理装置1と外部記憶装置は通信路を介して接続された構成からなると良い。
【0030】
<<各種情報(データ)>>
「移動体種別情報」は、移動体の種別に関する識別情報(特定情報)であって、例えば、移動体(車両)ごとの車両ID、車検証情報、車両登録番号(ナンバープレート、自動車登録番号標)、VINコード、車種名、車名、車体形状、車体寸法、車両カテゴリ、型式、年式、グレード、排気量、燃料などの識別情報を含むものである。
「車種」とは、車両の用途などで分類された種類であって、例えば普通乗用車、小型貨物車、軽四輪乗用車などがある。「車体形状」とは、車両の型(ボディタイプ)で分類された種類であって、例えば箱型、幌型、ステーションワゴンなどがある。
この「移動体種別情報」を参照することで、情報処理装置1は、移動体種別を識別することができる。また、情報処理装置1は、移動体種別ごとに部品を記憶しており、移動体種別を識別することで、識別した移動体種別に対応する部品(部品群)を特定できる。
なお、「移動体情報(移動体の情報)」は、「移動体種別情報」を含む情報であって、移動体種別情報のほか、移動体に関する情報(諸元表、カラー情報、移動体を所有するオーナー情報、移動体を利用する利用者情報など)を含む情報であって、これら情報が対応付けられたものである。
【0031】
「部品種別情報」は、部品の種別に関する識別情報(特定情報)である。具体的には、上述したように移動体の構造部位等によって分類される「第1部品種別情報」と、移動体の販売メーカ(販売ルート)等によって分類される「第2部品種別情報」とがある。
「第1部品種別」は、部品ID、部品コード、部品名称、部品形状、部品寸法、部品年式、部品グレード、部品画像などの識別情報である。
「第2部品種別」は、純正部品、第2純正部品、優良部品、中古部品、互換部品などの識別情報である。
この「部品種別情報」を参照することで、情報処理装置1は、移動体を構成する部品の第1部品種別、第2部品種別をそれぞれ識別し、当該部品を特定できる。
【0032】
「関連部品種別情報」は、関連部品の種別に関する識別情報であって、所定の部品に対応付けられて記憶されている。「関連部品」とは、所定の部品に関連する部品であって、所定の作業(法定点検作業、破損した車両部品の交換作業など)のときに所定の部品と合わせて利用される部品である。例えば、部品交換の作業内容からセット購入される頻度の高いものが想定される。
関連部品種別情報として具体的には、上述した部品と同様に「第1部品種別情報」と、「第2部品種別情報」とがある。
この「関連部品種別情報」を参照することで、情報処理装置1は、移動体を構成する部品に関連する関連部品の第1部品種別、第2部品種別をそれぞれ識別し、当該関連部品を特定できる。
【0033】
「第1の対応部品情報」は、上記「移動体識別番号(例えば車台番号)」と、「移動体種別情報」と、移動体を構成する「部品種別情報」とを対応付けた情報であって、記憶部10に記憶されている。
この「第1の対応部品情報」を参照することで、情報処理装置1は、「移動体識別番号」を取得して所定の移動体の種別を識別し、所定の移動体種別情報から当該移動体に搭載している部品群を特定することができる。
「第2の部品対応情報」は、上記「第2移動体識別番号の組み合わせ(例えば型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせ)」と、「移動体種別情報」と、「部品種別情報」とを対応付けた情報であって、記憶部10に記憶している。
この「第2の対応部品情報」を参照することで、情報処理装置1は、「第2移動体識別番号の組み合わせ」を取得して、所定の移動体に搭載している部品群を特定することもできる。
なお、「第1の対応部品情報」と「第2の対応部品情報」に分けられていなくても良く、「対応部品情報」として記憶部10に記憶されていても良い。
上記「対応部品情報」は、移動体情報記憶部11に記憶される「移動体の情報」、部品情報記憶部12に記憶される「部品の情報」の更新に伴って、随時更新される。
【0034】
「作業情報」は、移動体を構成する部品の修理、交換又は取り付け等の作業に関する情報であって、移動体と、当該移動体を構成する部品とに対応付けられて記憶されている。
具体的には、作業情報は作業に用いられる情報であって、作業情報には、移動体に対して実施する作業を特定する作業内容(エーミング作業の有無を含む)、作業手順、作業に用いる部品、ツール、作業の注意事項、作業指数、作業工賃、部品代などの情報が含まれる。このときの作業として、移動体や移動体を構成する部品を修理する修理作業、部品を交換する交換作業、部品の取り付けを行う取り付け作業、部品の取り付け状態や部品の稼働状態などを点検する点検作業などがある。また、このほかに、修理作業、交換作業、点検作業などを包括する、自動車整備工場等において実施される「車検」作業が該当するほか、「新車点検」、「法定点検」、「オイル交換」、「タイヤ交換」、「バッテリー交換」等の作業も該当する。
例えば「オイル交換作業」には、オイルエレメント等の部品が対応付けられており、「タイヤ交換作業」には、タイヤ(ホイール)、ホイールナット、ホイールネジ等の部品が対応付けられている。
この「作業情報」を参照することで、情報処理装置1は、移動体を構成する部品の修理、交換又は取り付けに必要な作業内容、作業手順を特定し、また当該作業に要する作業工賃、部品代を算出することができる。また、情報処理装置1は、特定の部品情報や作業情報を含む「作業指示情報」と、特定の部品情報や作業情報を含む「見積情報(作業内容情報)」とを作成することができる。
なお、ツールには、手動工具、電動工具、油脂類のほか、台車やリフトアップ装置などの大型の設備も含まれる。さらに、運転支援装置や排ガス装置から受信したデータを検査する診断装置(コンピュータ)や、使用するツール、作業工程、作業者、作業時間などの作業を総合的に管理する作業管理装置なども含まれる。作業管理装置によって作業状況を把握することが可能となる。この作業管理装置(コンピュータ)は、ユーザ端末100と接続されており、ユーザ端末100からの指示に基づいて作業を管理することが可能である。
【0035】
「作業履歴情報」は、所定の移動体を構成する部品における過去の修理、交換又は取り付け作業の履歴に関する情報であって、移動体と、当該移動体を構成する部品とに対応付けられて記憶されている。
具体的には、作業履歴情報には、作業者、作業日時、作業場所、作業内容、作業手順、作業に用いた部品、その部品の取り付け順序、作業に用いたツール、作業工数、作業工賃、部品代、その他の作業に関する注意事項(力の入れ方、作業順序等)、作業工夫情報などの情報が含まれる。また、作業に用いた作業前の部品の部品識別情報(部品種別情報)と、作業に用いた作業後の部品の部品識別情報(部品種別情報)も作業履歴情報に含まれる。
この「作業履歴情報」を参照することで、情報処理装置1は、所定の移動体を構成している部品の詳細を特定することができる。例えば純正部品、優良部品、サードパーティー部品の少なくともいずれかをさらに特定できる。また、当該部品の交換履歴(交換トレーサビリティ)の情報を出力できる。
【0036】
<<移動体識別情報の取得>>
取得部16は、所定の移動体における「移動体識別番号(第1移動体識別情報)」と、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせ(第2移動体識別情報の組み合わせ)」との少なくとも一方の情報を取得する。
具体的には、情報処理装置1(出力部19)は、ユーザ端末100の表示画面に、
図3に示す「移動体識別情報の入力画面」を出力する。なお、ユーザ端末100は、情報処理装置1によって管理された専用ウェブサイト(アプリ)にアクセスし、ユーザログインすることで、情報処理に関するサービス内容を表示画面に表示する。
そして、取得部16は、
図3に示す表示画面上で、ユーザ端末100を通じたユーザ操作の入力又は選択を受け付けて、あるいはユーザ端末100(撮像装置)によって読み込まれた車検証の2次元コードの格納情報を受信して、「移動体識別情報」を取得する。
【0037】
図3は、移動体識別情報を入力する表示画面を示し、例えば、車検証情報入力画面を示している。
図3に示す表示画面を通じて、ユーザは、所定の車両の「車台番号」、「型式指定番号」及び「類別区分番号」、ナンバープレート情報を入力することができる。あるいは、ユーザ端末100の撮像装置を起動させて、車検証に記載された2次元コードを読み込ませてこれら情報を自動入力することができる。なお、「初度登録年月」を補足情報として手入力しても良い。
上記の実施形態では、第1移動体識別情報として「車台番号」を入力させる画面としているが、特に限定されず、「車両登録番号」等の移動体を一義に特定可能な番号であっても良い。また、第2移動体識別情報の組み合わせについても同様であって、「型式指定番号」及び「類別区分番号」の組み合わせ以外のものであっても良い。
【0038】
<<部品の特定、部品情報の出力>>
部品特定部17は、取得部16によって得られた「移動体識別番号」と、「型式指定番号」及び「類別区分番号」の組み合わせとの少なくとも一方の情報をもとに、記憶部10に記憶される「部品対応情報」を参照して、当該少なくとも一方の情報に対応付けられた所定の移動体を構成する部品(部品群)を特定する。
そして、出力部19は、部品特定部17によって特定された部品の情報(部品群の一覧情報)を出力する。具体的には、ユーザ端末100の表示画面に、所定の移動体を構成する部品群(全ての部品群)の一覧情報を出力する。
【0039】
詳しく述べると、部品特定部17は、「移動体識別番号の情報」、または「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」を取得したことにより、取得したいずれかの情報をもとに部品群を特定する。
具体的には、部品特定部17は、「移動体識別番号の情報」を取得すると、記憶部10に記憶される「第1部品対応情報」をもとに、所定の移動体の移動体種別を識別し、識別した移動体種別に対応する部品群を検索し、当該部品群を特定する(第1の部品特定処理とも称する)。
【0040】
部品特定部17は、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」を取得すると、記憶部10に記憶される「第2部品対応情報」をもとに、所定の移動体の移動体種別を識別し、移動体種別に対応する部品群を検索し、当該部品群を特定する(第2の部品特定処理とも称する)。なお、第2の部品特定処理では、第2移動体識別番号の組み合わせによって移動体を特定するが、移動体の種別、部品の種別によっては一義に特定できないことがある。その場合には、移動体を推定し、推定した移動体の部品群を特定する。
上記第2の部品特定処理において、「型式指定番号の情報」のみを取得した場合には、部品特定部17は、「第2部品対応情報」をもとに、所定の移動体の移動体種別を推定し、推定した移動体種別に対応する部品群を特定しても良い。あるいは、「型式指定番号の情報」のみを取得した場合には、部品群の特定不可とし、ユーザに報知しても良い。なお、「類別区分番号の情報」のみを取得した場合も同様の処理を行うと良い。
【0041】
部品特定部17は、「移動体識別番号の情報」と、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」とを取得すると、両方の情報をもとにそれぞれ部品群を検索し、和集合の部品群を特定する。もちろん、部品特定部17は、上述するように、両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに部品群を特定する(第3の部品特定処理とも称する)。
詳しく述べると、優先設定部18は、「第1移動体識別情報」、「第2移動体識別情報の組み合わせ」のうち、いずれか一方に対して優先設定を行う。この優先設定は、「第1移動体識別情報」、「第2移動体識別情報の組み合わせ」のいずれか一方に「優先フラグ」を付けた状態とすることを示す。つまりは、優先フラグが設定された一方の情報が、優先フラグが設定されていない他の情報に比べて優先度が高い状態を示す。情報処理装置1では、両方の情報を受け付けた場合にはこの優先設定された一方の情報をもとに部品群を検索し、特定する処理を行う。このときの優先フラグの設定は、ユーザ操作によって設定されても良いし、予め情報処理装置1に設定してあっても良い。
例えば、「第1移動体識別情報」に優先フラグを付する場合、情報処理装置1は、移動体種別をより精度高く識別し、移動体を構成する部品群を特定できる。他方で、「第2移動体識別情報の組み合わせ」に優先フラグを付する場合、情報処理装置1は、移動体識別情報からは識別できない移動体種別があったときに、移動体の種別を識別し、部品群を特定できる。
このほか、優先設定部18は、「第1移動体識別情報」、「第2移動体識別情報の組み合わせ」のうち、両方に優先度を設定し、高い優先度の情報を「優先設定」された情報とし、その優先設定された情報を用いて部品群を検索し、特定する。
なお、優先設定部18は、移動体の種別ごとに異なる優先設定を行っても良い。
【0042】
上記第3の部品特定処理において、「移動体識別番号」と、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせのうち一方」とを取得した場合には、部品特定部17は、当該組み合わせの情報に不備があるため組み合わせの情報を採用せず、「移動体識別番号」を優先設定したものとみなし、移動体の部品群を特定する処理を行う。
同様に、ユーザによって入力された「移動体識別番号」に不備がある場合には、部品特定部17は、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせ」を優先設定したものとみなし、移動体の部品群を特定する処理を行う。つまりは、必要に応じて優先設定を切り替えて部品群を特定する処理を行う。
これにより、移動体を構成する部品群をより適切に特定することができる。
【0043】
なお、上記第3の部品特定処理では、優先設定された一方の情報をもとに部品を特定する処理を行うところ、例えばユーザによる設定条件(優先設定条件)によっては、上記両方の情報をもとにそれぞれの部品群を特定しても良い。すなわち、それぞれの情報から抽出される部品群を全て特定しても良い。この場合に、重複して抽出された部品についてはまとめて1つの部品として特定すると良い。
【0044】
部品特定部17は、所定の移動体を構成する部品群の「部品種別情報」を特定する。具体的には、部品特定部17は、部品ごとの「第1部品種別情報(部品コード、部品名称、部品グレード等)」、「第2部品種別情報(純正部品、優良部品の識別情報等)」を特定する。
「第2部品種別情報」を特定する処理としては下記の通りである。
作業記憶部13には、移動体を構成する部品の修理、交換又は取り付け作業に必要な「作業情報」が記憶され、履歴記憶部14には、所定の移動体を構成する部品における過去の修理、交換又は取り付け作業に関する「作業履歴情報」が記憶されている。
作業特定部20は、ユーザ操作による「作業情報」の入力を受け付けて、作業記憶部13に記憶される「作業情報」をもとに、所定の移動体に対して行う部品の修理、交換又は取り付け作業を特定する。
そして、部品特定部17は、作業特定部20が特定した作業に用いられる部品として、上述したように「移動体識別番号」と、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせ」との少なくとも一方の情報をもとに、部品群を絞って特定する。さらに、上記「作業履歴情報」を用いることで、部品群ごとに該当する「純正部品」、「優良部品」又は「サードパーティー部品」の少なくともいずれか(第2部品種別情報)を特定する。
なお、部品特定部17は、上記第1~第3の部品特定処理によって所定の移動体を構成する部品群を特定し、当該部品群のうち、作業特定部20によって特定した作業に用いられる部品を絞った上で、「作業履歴情報」を用いて部品ごとに該当する「第2部品種別情報」を特定しているが、これに限定されなくても良い。
例えば、作業特定部20によって作業を特定せずに、部品特定部17は、「作業履歴情報」を用いて、所定の移動体を構成する部品群(全ての部品群)に対して「第2部品種別情報」を特定しても良い。
【0045】
表示画面を通じた具体的な特定処理は以下の通りである。
取得部16は、まず、
図3に示す表示画面上でユーザ操作による所定の移動体の「移動体識別情報」の入力を受け付けて「移動体識別情報」を取得する。
部品特定部17は、「移動体識別情報」をもとに所定の移動体を識別し、当該移動体を構成する部品群(全ての部品群)を特定する。出力部19は、所定の移動体を構成する部品群の一覧情報を表示画面に出力する。
上記部品群の一覧情報の画面には、「部品群の一覧情報」のほか、ユーザ操作によって部品の修理、交換又は取り付け作業に必要な「作業情報」を入力する入力項目が表示されている。作業特定部20は、当該画面を通じてユーザによる「作業情報」の入力を受け付けて、入力された作業を特定する。
部品特定部17は、所定の移動体を構成する部品群のうち、作業特定部20によって特定された作業に用いられる部品群に絞って特定する。出力部19は、絞られた部品群の一覧情報を表示画面に出力する。
例えば、作業情報の入力項目に「タイヤ交換作業」と入力された場合には、タイヤ交換作業に必要な「タイヤ(ホイール)」、「ホイールナット」、「ホイールネジ」等の部品が絞られて特定され、これら部品の情報が表示される。
【0046】
そして、部品特定部17は、ユーザ操作による所定の部品の選択を受け付けると、選択された部品の「第1部品種別情報(部品コード、部品名称、部品グレード等)」を特定し、また上述した「作業履歴情報」をもとに「第2部品種別情報(純正部品、優良部品の識別情報等)」を特定する。すなわち、出力部19は、部品群の一覧情報の画面を切り替えて、選択された部品の「第1部品種別情報(部品コード、部品名称、部品グレード等)」、「第2部品種別情報」を表示画面に出力する。
なお、画面切り替えすることなく、上記部品群の一覧情報の画面に、部品ごとの「第1部品種別情報」が併せて表示されても良い。あるいは、部品ごとの「第1部品種別情報」、「第2部品種別情報」が併せて表示されても良い。
【0047】
「第2部品種別情報」について詳しく説明すると、「純正部品」は、移動体の出荷時に対応付けられ、移動体メーカーによって提供される情報であって、部品そのものを特定する情報である。他方で、「優良部品」、「サードパーティー部品」は、「純正部品」とは別に新たに作成された部品であって、純正部品とは異なる番号を有している。優良部品、サードパーティー部品には、純正部品に対応する一又は複数の識別情報が純正部品に対応付けられて含まれている。
「優良部品」、「サードパーティー部品」は、移動体に部品を当てはめる確認作業を行い、その移動体に部品が当てはまった場合に、その移動体の純正部品と対応付けられて保存される部品である。すなわち、優良部品、サードパーティー部品は、純正部品とは異なり、上記「作業履歴情報」を用いて特定される(推定される)部品の種別情報である。なお、人工知能(AI)を利用した解析を用いて「作業履歴情報」をもとに部品の種別情報が特定されると良い。
【0048】
<<関連部品情報の出力>>
出力部19は、部品群の一覧情報の表示画面で、ユーザ操作による所定の部品の選択を受け付けると、所定の部品の「部品種別情報」と、当該部品に関連する関連部品の「部品種別情報」とを表示画面に出力する。
具体的な処理は、以下の通りである。
部品情報記憶部12には、「部品種別情報」、「関連部品種別情報」が記憶されている。「関連部品種別情報」は、移動体を構成する部品(部品種別)に対応付けられた関連部品(関連部品種別)の情報であって、移動体種別ごとに記憶されている。
部品特定部17は、ユーザ操作による所定の部品の選択を受け付けると、「部品種別情報」をもとに、所定の部品の部品種別を識別し、当該部品を特定する。また、「関連部品種別情報」をもとに、所定の部品に関連する関連部品の部品種別を識別し、当該関連部品を特定する。
そして、出力部19は、部品特定部17が特定した部品の情報(種別情報)と、部品に関連する関連部品の情報(種別情報)とを表示画面に出力する。
【0049】
関連部品には、部品の交換に必要な「必須関連部品」と、必須ではないが推奨する「推奨関連部品」とがある。「必須関連部品」のみが出力されても良いし、「必須関連部品」及び「推奨関連部品」が出力されても良い。
例えば、部品特定部17は、ユーザ選択によって部品「バンパー」を特定した場合に、バンパーの交換に必要な必須関連部品として「ネジ」、「パッキン」、「スクリュー」、「ステー」等の部品を併せて特定する。このほか、推奨関連部品としてフォグランプ、フォルランプカバー等の部品も併せて特定する。そして、出力部19は、部品の情報、必須関連部品の情報、推奨関連部品の情報を表示画面に出力する。
なお、関連部品の情報を出力するにあたって、必須関連部品の種別を「必須」、水晶関連部品の種別を「推奨」として、「必須」、「推奨」をそれぞれ付して表示させても良い。
【0050】
<<作業見積の出力>>
出力部19は、部品群の一覧情報の表示画面で、ユーザ操作による所定の部品の選択を受け付けると、所定の部品の「部品種別情報」と、当該部品に関連する関連部品の「部品種別情報」とを表示画面に出力する。そして、ユーザ操作による「作業見積作成」の選択を受け付けると、
図4に示す作業見積情報の作成画面を出力する。そして、
図4に示す表示画面上で、ユーザ操作による入力又は選択を随時受け付けて、「作業見積情報」を作成し、出力する。
具体的な処理は、以下の通りである。
【0051】
作業記憶部13には、部品の修理、交換又は取り付けに必要な「作業情報」が記憶されている。また、履歴記憶部14には、所定の移動体を構成する部品の過去の修理、交換又は取り付け作業に関する「作業履歴情報」が記憶されている。
作成部21(見積作成部)は、上記「作業情報」と、上記「作業履歴情報」とをもとに、所定の部品の情報と、当該部品の修理、交換又は取り付け作業にかかる作業内容を含む作業内容情報と、作業工賃、部品代などの費用情報とを含む「作業見積情報」を作成する。
なお、作成部21は、「作業履歴情報」のみをもとに「作業見積情報」を作成しても良いし、過去の作業履歴情報がなければ、「作業情報」のみをもとに「作業見積情報」を作成しても良い。
作成部21は、
図4に示す表示画面上で、「作業情報」及び「作業履歴情報」をもとに、ユーザ操作の入力又は選択を受け付けて「作業見積情報」を作成する。この場合、作成部21は、人工知能を利用して「作業情報」、「作業履歴情報」をもとに、過去に行った作業種別(修理、交換、取り付け)、作業内容、部品情報、作業手順を解析し、解析結果としてこれら作業に応じた作業見積情報を作成すると良い。
そして、出力部19は、「所定の部品」及び「関連部品」の修理、交換又は取り付けに必要な「作業見積情報」を表示画面に出力する。
【0052】
部品の修理、交換又は取り付け等の作業において、情報処理装置1は、入力された移動体識別情報をもとに移動体情報を用いて移動体(車両)情報を特定する。また、この移動体を構成している部品を特定する処理を行う。また、特定した部品に関連する関連部品においても履歴情報をもとに特定する。
この部品について行う作業の作業内容と作業範囲(全部品に対する作業か、一部の部品に対する作業か)を特定し、さらにはこれらの部品以外の新たな部品(必須の部品、推奨の部品)を特定する。この作業内容には、塗装作業をも含むことが可能である。
このようにして、部品を特定すると、この部品を用いた作業内容および作業範囲にかかる工数や金額を特定する。この工数や金額の算出には、予め記憶している作業内容に対する工数や金額が用いられる。
これによって、部品の修理、交換又は取り付け等の作業における見積情報や作業指示情報を作成することが可能となる。
【0053】
<<作業指示情報の出力>>
出力部19は、部品群の一覧情報の表示画面で、ユーザ操作による所定の部品の選択を受け付けると、所定の部品の「部品種別情報」と、当該部品に関連する関連部品の「部品種別情報」とを表示画面に出力する。そして、ユーザ操作による「作業指示書作成」の選択を受け付けると、作業指示書の作成に用いる画面を出力する。そして、ユーザ操作による入力又は選択を随時受け付けて、「作業指示情報」を作成し、出力する。
なお、作業指示情報は、主としてユーザによる指示の下で作成された「作業見積情報」に基づいて作成されるものである。
具体的な処理は、以下の通りである。
【0054】
作業記憶部13には、移動体を構成する部品に対応付けられ、部品の修理、交換又は取り付けに必要な「作業情報」が記憶されている。
作成部21(作業指示作成部)は、上記「作業情報」と、上記「作業見積情報」とをもとに、所定の部品の情報と、当該部品の関連部品の情報と、当該部品の修理、交換又は取り付けに必要な作業情報とを含み、作業者に対する指示情報である「作業指示情報」を作成する。
作成部21は、作業指示書の作成画面上で、「作業情報」、「作業見積情報」をもとに、ユーザ操作の入力又は選択を受け付けて「作業指示情報」を作成する。
なお、「作業見積情報」は、「作業情報」をもとに作成されていることから、作成部21は、「作業見積情報」のみをもとに「作業指示情報」を作成しても良い。「作業情報」のみをもとに「作業指示情報」を作成しても良い。あるいは、「作業履歴情報」に含まれる「過去の作業指示情報」をもとに「作業指示情報」を作成しても良い。
そして、出力部19は、
図5、
図6に示すように、作成部21によって作成された「作業指示情報」を表示画面(ユーザ端末100の表示画面)に出力する。
【0055】
「作業指示情報」には、「部品の種別情報」と、「関連部品の種別情報」と、部品及び関連部品に必要な作業内容、作業手順(作業工程)、作業に用いるツール、作業の注意事項等を含む「作業情報」とが含まれている。
なお、「作業指示情報」は、ユーザ(ユーザ端末100)に出力した「作業見積情報」に基づいて作成される情報であるほか、ユーザ端末100を用いてユーザにより指定された指示情報に基づいて作成することも可能である。例えば、ユーザによる指示を受け付けて、部品の修理・交換作業に加えて関連部品の修理・交換作業をも含む作業指示情報が作成される。ユーザによる指示内容によっては、関連部品(一部の関連部品)の修理、交換作業を行わない作業見積情報、作業指示情報が作成されることもある。このように、部品ごとに当該部品に関する作業内容、作業手順(部品の関連情報とも称する)、及び関連部品に関する作業内容、作業手順(関連部品の関連情報とも称する)が対応付けられている。すなわち、作成した見積情報に部品、関連部品の関連情報が対応付けられて記憶されている。
【0056】
図5、
図6は、「作業指示情報」の表示画面を示す図である。
図5には、作業工程の1つである「作業工程1」に関する作業指示の内容が示されており、
図6には、作業工程の1つである「作業工程2」に関する作業指示の内容が示されている。
図6に示す「作業工程2」は、
図5に示す「作業工程1」に続いて行われる作業工程である。すなわち、上記作業工程のうちの一部の工程の例として、作業工程1と作業工程2を示したものである。
なお、「作業」とは、複数の作業工程からなり、例えば各作業工程が連関して行われるライン作業やセル作業などであって、作業者や機械によって行われる。
記憶部10~14には、所定の作業に対する作業工程の順番、作業工程ごとの作業内容、作業工程に用いる部品、ツール、作業工程の注意事項の情報が対応付けて記憶されている。情報処理装置1は、所定の移動体に対して行う作業を特定すると、当該作業の作業工程の内容(工程1,工程2、工程3・・・)を特定し、特定した作業工程ごとに記憶部10~14で記憶される上記情報を特定し、「作業指示情報」を作成する。そして、
図5、
図6に示すように当該作業指示情報を表示画面に表示する。
図5、
図6には、移動体の側面に設けられる開閉ドアの交換作業、取り付け作業に関する作業指示情報が示されている。この交換作業に用いる部品として、部品「リヤドアパネル(部品(2))」の情報と、関連部品「リヤドアライニング(部品(3))」の情報と、必要な作業内容とが表示されている。
【0057】
図5には、作業工程1において部品(1)、部品(2)を組み付ける作業であること、及びその作業に関する詳細な手順等や用いるツールなどの詳細な作業内容が表示されている。また
図6には、作業工程2において部品(3)~部品(8)を部品(1)と部品(2)に組み付ける作業であること、及びその作業に関する詳細な手順等や用いるツールなどの詳細な作業内容が表示されている。
すなわち、各作業工程で用いられる部品が強調表示され、作業工程の遷移に伴って強調表示される部品が変更されることを示している。
なお、
図5や
図6においては、記憶部10~14で記憶される作業工程ごとの部品を強調表示したものであるが、このほか、作業者が指定操作することによって指定した部品を追加で強調表示しても良い。
このほか、強調表示した部品それぞれの表示形態を異なる表示形態で表示させても良い。例えば、
図5で強調表示された部品(1)と部品(2)が異なる素材からなる部品である場合、その素材に応じた表示形態で表示させても良い。
また、
図5や
図6には、部品同士の対応関係が破線によって示されており、この破線は、部品同士の取り付け位置を指定するものである。これは、部品同士の位置関係を明確にし、作業効率の向上につながる情報である。
【0058】
上記において、出力部19は、所定の部品を用いた修理、交換又は取り付け作業にかかる複数の作業工程の遷移に伴って、所定の作業工程で用いられる部品を、所定の作業工程で用いられる部品とは異なる部品と比べて強調表示した画面を表示する。
具体的には、出力部19は、作業指示情報を作業にかかる作業工程ごとに表示画面に出力する。そのとき、作業工程に必要な部品を強調して表示し(識別可能な表示態様で表示し)、作業工程の遷移に伴って強調して表示する部品を変更する。
例えば、
図5に示す作業工程1では、作業工程1で用いられる部品(1)、部品(2)が強調表示されていることが分かる。また、
図6に示す作業工程2では、作業工程2で用いられる部品(3)~部品(8)が強調表示されていることが分かる。
【0059】
<<作業完了後の処理(トレーサビリティ)>>
生成部22は、「作業指示情報」に基づく作業の完了によって、作業に関する作業内容及び作業に用いた部品を含む「作業完了情報」を生成する。
なお、「作業に用いた部品」として、交換作業の場合には、交換前と交換後の部品がそれぞれ該当する。修理作業の場合には、修理前と修理後で同じ部品が該当する。取り付け作業(新たに部品を取り付けた作業)の場合には、取り付けた部品が該当する。
「作業完了情報」には、作業に用いた「作業前の部品の部品識別情報」と、作業に用いた「作業後の部品の部品識別情報」と、作業指示情報とを含む情報が含まれている。なお、作業前、作業後の関連部品の部品識別情報も含まれる。「部品識別情報」とは、例えば部品IDなどの識別情報(部品種別情報)である。
そして、出力部19は、所定の部品にかかる「作業完了情報」を表示画面に出力し、履歴記憶部14は、所定の部品にかかる作業完了情報を、所定の部品の「作業履歴情報」として記憶する。
【0060】
具体的には、部品の交換作業が行われると、交換前と交換後の部品の部品IDが対応付けられる。生成部22は、交換前と交換後の部品IDを対応付けた部品識別情報と、作業指示情報とを対応付けた「作業完了情報」を生成する。履歴記憶部14は、このときの部品に対して行った作業にかかる「作業完了情報」を、当該部品の「作業履歴情報」として記憶する。なお、部品の交換作業ではなく修理作業の場合には、「修理完了情報」を生成する。本実施形態では、修理完了情報も含めて作業完了情報と称する。
所定の部品に対して行った作業における「作業見積情報」と「作業完了情報」は、対応付けられた状態で、「作業履歴情報」として記憶される。
これにより、所定の移動体を構成する部品の履歴情報として、「新品部品の部品ID(純正部品の部品ID)」⇒「交換後の部品ID」⇒「交換後の部品ID」のように数珠つなぎで部品の交換履歴を記憶することができる。言い換えれば、部品の交換に関する変移を特定することができる。すなわち、情報処理装置1は、作業履歴情報によって部品のトレーサビリティを可能としている。
【0061】
上記交換後の部品の部品IDには、交換作業を行った作業場所、作業者、作業日時等の作業内容情報が対応付けられている。言い換えれば、作業後の部品の部品識別情報には、作業が行われた作業場所、作業者、作業日時等の作業内容情報が含まれている。
これにより、情報処理装置1(部品特定部17)は、「作業完了情報」の部品識別情報をもとに、所定の移動体を構成する部品における作業後の部品を特定することができる。そのため、部品(部品ID)ごとに交換作業の詳細をユーザが確認できる。
例えば、交換後の部品に不具合があった場合や、交換後の部品が正常とは認められない場合に、情報処理装置1は、交換時の作業内容情報(作業場所、作業者、作業日時等)を特定し、ユーザが早急な対応(不具合対応)を取ることができる。
また、情報処理装置1は、部品のトレーサビリティを可能とすることで、所定の移動体の現時点で取り付けされた部品を特定することができる。
【0062】
上記において、「作業履歴情報」には、作業者、作業日時、作業場所、作業内容、作業手順、作業に用いた部品、作業に用いたツールなどの情報が含まれている。また、作業に用いた作業前、作業後の部品の部品識別情報も含まれている。
この「作業履歴情報」を参照することで、情報処理装置1(部品特定部17)は、所定の移動体を構成している部品をトレーサビリティできる。
つまりは、情報処理装置1は、「移動体識別番号」と、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせ」との少なくとも一方の情報と、この「作業履歴情報」とをもとに、所定の移動体を構成している作業後の部品を特定することができる。
例えば、部品の不良や製造不良などによる部品の改修や装置の改修等のリコールが発生した場合、リコール対象となる移動体(車両)を特定し、その移動体(車両)を構成するリコール対象となる部品を特定することが可能となる。
【0063】
上記情報処理装置1であれば、所定の移動体を識別する一又は複数の識別情報に応じて、移動体を構成する部品を適切に特定することができる。また、部品ごとのトレーサビリティを可能にすることで、ユーザによって選択された部品の状態(新車当時の部品状態、作業前の部品状態、作業後の部品状態、現在の部品状態)を適切に特定し、部品の状態を表示画面に出力できる。
【0064】
<情報処理方法>
次に、情報処理装置1で実行される情報処理プログラム(情報処理方法)の処理について、
図7に基づいて説明する。
本実施形態に係る上記プログラムは、記憶部10、移動体情報記憶部11、部品情報記憶部12、作業記憶部13、履歴記憶部14(メモリ)を備えた情報処理装置1の機能的な構成要素として、上述した通信部15と、取得部16と、部品特定部17と、優先設定部18と、出力部19と、作業特定部20と、作成部21と、生成部22とを実現させるためのプログラムである。情報処理装置1のCPU(プロセッサ)がこの情報処理プログラムを実行する。
なお、情報処理装置1の記憶部10には「部品対応情報」が記憶され、移動体情報記憶部11には「移動体種別情報」が記憶され、部品情報記憶部12には「部品種別情報」、「関連部品種別情報」が記憶され、作業記憶部13には「作業情報」が記憶され、履歴記憶部14には「作業履歴情報」が記憶されている。
【0065】
上記情報処理方法の処理フローでは、まず、取得部16が、ユーザ端末100から所定の移動体の「移動体識別情報」を取得する(ステップ1(S1))。
具体的には、取得部16は、所定の移動体における「移動体識別番号」と、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせ」との少なくとも一方の情報を取得する。
【0066】
ステップ2では、取得部16が「移動体識別番号の情報」または「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」を取得したことにより、部品特定部17が、記憶部10に記憶される「部品対応情報」を参照して、所定の移動体の移動体種別を識別する。
あるいは、取得部16が「移動体識別番号の情報」及び「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報」を取得したことにより、部品特定部17が、「部品対応情報」を参照して、所定の移動体の移動体種別を識別する。このとき、部品特定部17は、優先設定がなされた一方の情報をもとに移動体種別を識別する。
なお、優先設定部18は、「移動体識別番号」、「型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせ」のうち、いずれか一方に対して予め優先設定を行う。
そして、ステップ3では、部品特定部17が、識別した移動体種別に対応する部品群を検索し、当該部品群を特定する。
【0067】
ステップ4では、出力部19が、部品特定部17によって特定された部品の情報(部品群の一覧情報)を出力する。具体的には、ユーザ端末100の表示画面に、所定の移動体を構成する部品群の一覧情報を出力する。
そして、ステップ5では、作業特定部20が、ユーザ操作による「作業情報」の入力を受け付けて、作業記憶部13に記憶される「作業情報」をもとに、所定の移動体に対して行う部品の修理、交換又は取り付け作業を特定する。具体的には、部品群の一覧情報の表示画面上で、ユーザによる「作業情報」の入力を受け付けて、入力された作業を特定する。
これにより、部品特定部17は、所定の移動体を構成する部品群のうち、作業特定部20によって特定された作業に用いられる部品群に絞って特定する。出力部19は、絞られた部品群の一覧情報を表示画面に出力する。
【0068】
ステップ6では、作成部21が、ユーザ操作の入力又は選択を受け付けて、「所定の部品の情報」と、当該部品の修理、交換又は取り付け作業にかかる作業内容を含む「作業内容情報」と、作業工賃、部品代などの「費用情報」とを含む「作業見積情報」を作成する。
具体的には、出力部19が、部品群の一覧情報の表示画面で、ユーザ操作による所定の部品の選択を受け付けると、所定の部品、関連部品の「部品種別情報」を表示画面に出力する。そして、ユーザ操作による「作業見積作成」の選択を受け付けて、
図4に示す作業見積の作成画面を出力する。そして、作成部21は、
図4に示す表示画面上で、ユーザ操作による入力又は選択を随時受け付けて、「作業見積情報」を作成する。
より具体的には、出力部19が、作業記憶部13に記憶される「作業情報」と、履歴記憶部14に記憶される「作業履歴情報」とをもとに、
図4に示す見積作成画面を出力する。作成部21は、「作業情報」と、「作業履歴情報」とをもとに、ユーザ操作の入力又は選択を随時受け付けて、「作業見積情報」を作成する。
【0069】
ステップ7では、作成部21が、上記「作業情報」と、上記「作業見積情報」とをもとに、所定の部品の情報と、当該部品の関連部品の情報と、当該部品の修理、交換又は取り付けに必要な作業情報とを含む「作業指示情報」を作成する。
具体的には、作成部21は、作業指示書の作成画面上で、「作業情報」、「作業見積情報」をもとに、ユーザ操作の入力又は選択を受け付けて「作業指示情報」を作成する。
「作業指示情報」には、「部品の種別情報」と、「関連部品の種別情報」と、部品及び関連部品に必要な作業内容、作業手順(作業工程)、作業に用いるツール、作業の注意事項等を含む「作業情報」とが含まれている。
出力部19は、
図5、
図6に示すように、ユーザ端末100の表示画面に「作業指示情報」を出力する。これによって、ユーザ端末100を利用するユーザ(例えば整備工場の作業者)は、作業指示情報を確認しながら、部品の修理、交換又は取り付け作業を行うことができる。
【0070】
ステップ8では、生成部22が、「作業指示情報」に基づく作業の完了によって、作業に関する作業内容及び作業に用いた部品を含む「作業完了情報」を生成する。
「作業完了情報」には、作業に用いた「作業前の部品の部品識別情報」と、作業に用いた「作業後の部品の部品識別情報」と、「作業指示情報」とを含む情報が含まれている。
そして、出力部19は、所定の部品にかかる「作業完了情報」を表示画面に出力する。
【0071】
ステップ9では、履歴記憶部14が、所定の部品にかかる「作業完了情報」を、所定の部品の「作業履歴情報」として記憶する。なお、「作業完了情報」は、「作業見積情報」と対応付けられた状態で、「作業履歴情報」として記憶される。
この「作業履歴情報」を参照することで、情報処理装置1(部品特定部17)は、所定の移動体を構成している部品ごとにトレーサビリティできる。例えば所定の移動体を構成する部品の修理・交換履歴を特定し、出力できる。
【0072】
上記ステップ1~ステップ9を経て
図7のプロセスを終了する。
上記情報処理方法により、所定の移動体を識別する一又は複数の識別情報に応じて、移動体を構成する部品を適切に特定することが可能となる。また、部品ごとにトレーサビリティでき、部品の状態を適切に特定することが可能となる。
【0073】
<付記>
上記実施形態では、情報処理装置が読み取り可能な記録媒体に情報処理プログラムが記憶されており、情報処理装置1が当該プログラムを読み出して実行することによって処理が実行される。ここで情報処理装置1が読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。
そのほか、情報処理装置1となる端末(携帯端末)を利用して専用ソフトウェア(ウェブアプリ)を起動させて、ウェブブラウザ上で情報処理プログラムが実行されることとしても良い。
【0074】
上記実施形態では、主として本発明に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
10 記憶部
11 移動体情報記憶部
12 部品情報記憶部
13 作業記憶部
14 履歴記憶部
15 通信部
16 取得部
17 部品特定部
18 優先設定部
19 出力部
20 作業特定部
21 作成部(見積作成部、作業指示作成部)
22 生成部
100 ユーザ端末
【要約】
【課題】移動体を構成する部品又は部品の候補を検索できるようにした情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、所定の移動体における移動体識別番号と、型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせとの少なくとも一方の情報を取得し、記憶部に記憶される当該少なくとも一方の情報に対応付けられた所定の移動体を構成する部品を特定し、特定した部品の情報を出力する。情報処理装置1は、移動体識別番号の情報、または型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報を取得したことにより、取得したいずれかの情報をもとに部品を特定する。また、移動体識別番号の情報と、型式指定番号及び類別区分番号の組み合わせの情報とを取得したことにより、当該両方の情報のうち優先設定がなされた一方の情報をもとに部品を特定する。
【選択図】
図1