(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/02 20220101AFI20240910BHJP
【FI】
H04L51/02
(21)【出願番号】P 2024082078
(22)【出願日】2024-05-20
【審査請求日】2024-05-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715006502
【氏名又は名称】株式会社サーバーワークス
(74)【代理人】
【識別番号】230121016
【氏名又は名称】小笠原 匡隆
(74)【代理人】
【識別番号】100211225
【氏名又は名称】足立 俊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【氏名又は名称】大井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】針生 泰有
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-033038(JP,A)
【文献】特開2011-096016(JP,A)
【文献】特開2005-322142(JP,A)
【文献】特開2022-090242(JP,A)
【文献】特開2014-149578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0157827(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子メールに関し、個人端末から送信された返信案生成命令を受信し、
前記第1電子メールと、前記第1電子メールに関連する第2電子メールとを取得し、
前記第1電子メール及び前記第2電子メールに基づき、前記第1電子メールに対する返信案を生成し、
前記返信案を前記個人端末に送信する
ことを特徴とする情報処理システム
であって、
前記返信案生成命令は、前記個人端末に表示された返信案生成ボタンに対する操作によって入力される
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理システムは、前記返信案を生成する際に、
‐前記第1電子メール及び前記第2電子メールについて返信案を生成する命令を生成AIサーバに送信し、
‐前記生成AIサーバから、当該生成AIサーバが生成した前記返信案を受信する、
ことによって前記返信案を生成する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムであって、前記情報処理システムは、さらに、
前記個人端末から送信された質問生成命令を受信し、
前記質問生成命令に応じて、前記返信案に関する質問及び当該質問に対する回答候補を生成し、
前記質問及び前記回答候補を前記個人端末に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項
3に記載の情報処理システムであって、前記質問生成命令は、前記個人端末に表示された質問生成ボタンに対する操作によって入力されることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項
3に記載の情報処理システムであって、前記情報処理システムは、さらに、
前記個人端末から送信された質問追加命令を受信し、
前記質問追加命令に応じて、前記返信案に対する質問及び当該質問に対する回答候補を追加で生成し、
追加で生成された前記質問及び前記回答候補を前記個人端末に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項
3に記載の情報処理システムであって、前記質問はクローズドクエスチョンであることを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムであって、前記第2電子メールは、前記第1電子メールのヘッダ情報に基づいて特定されることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
第1電子メールに関し、個人端末から送信された返信案生成命令を受信し、
前記第1電子メールと、前記第1電子メールに関連する第2電子メールとを取得し、
前記第1電子メール及び前記第2電子メールに基づき、前記第1電子メールに対する返信案を生成し、
前記返信案を前記個人端末に送信
し、
前記個人端末から送信された質問生成命令を受信し、
前記質問生成命令に応じて、前記返信案に関する質問及び当該質問に対する回答候補を生成し、
前記質問及び前記回答候補を前記個人端末に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータが、第1電子メールに関し、個人端末から送信された返信案生成命令を受信するステップと、
コンピュータが、前記第1電子メール及び当該第1電子メールに関連する第2電子メールを取得するステップと、
コンピュータが、前記第1電子メール及び前記第2電子メールに基づき、前記第1電子メールに対する返信案を生成するステップと、
コンピュータが、前記返信案を前記個人端末に送信するステップと、
を備え
、
前記返信案生成命令は、前記個人端末に表示された返信案生成ボタンに対する操作によって入力されることを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータが、第1電子メールに関し、個人端末から送信された返信案生成命令を受信するステップと、
コンピュータが、前記第1電子メール及び当該第1電子メールに関連する第2電子メールを取得するステップと、
コンピュータが、前記第1電子メール及び前記第2電子メールに基づき、前記第1電子メールに対する返信案を生成するステップと、
コンピュータが、前記返信案を前記個人端末に送信するステップと、
コンピュータが、前記個人端末から送信された質問生成命令を受信するステップと、
コンピュータが、前記質問生成命令に応じて、前記返信案に関する質問及び当該質問に対する回答候補を生成するステップと、
コンピュータが、前記質問及び前記回答候補を前記個人端末に送信するステップと、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1
または8に記載の情報処理システムとして機能させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術が発達した現在、電子メールは必須の連絡手段の一つである。そのため、業務で電子メールを利用する時間は多く、業務効率化の観点から電子メールを受信した際に行う返信文面の生成をシステムでサポートする技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、機械学習がなされた学習モデルを用いて、受信メールの本文の一部を入力すると、受信メールに対する返信メールの本文のうち一部の文面案の生成を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術によれば、ユーザは受信した電子メールについて、返信メールの本文の少なくとも一部の文案を取得することができる。しかし、特許文献1記載の技術は機械学習の技術を用いているところ、学習モデルが電子メールの送信者と受信者の関係を基本情報としており、メールの具体的な中身まで勘案した返信案の生成ではないため、ユーザが考える返信メールの文案とは乖離があったり、文案も一部しか出力されなかったりするため、結局ユーザが返信案の手直しをする必要が生じ、業務効率化が最大限図れていないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、受信した電子メールの返信案の生成を効率的かつ効果的に行うことで業務効率化を実現することを可能とする、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置の一例は、
第1電子メールに関し、個人端末から送信された返信案生成命令を受信し、
前記第1電子メール及び当該第1電子メールに関連する第2電子メールを取得し、
前記第1電子メール及び前記第2電子メールに基づき、前記第1電子メールに対する返信案を生成し、
前記返信案を前記個人端末に送信する。
【0008】
本発明に係る情報処理方法の一例は、
コンピュータが、第1電子メールに関し、個人端末から送信された返信案生成命令を受信するステップと、
コンピュータが、前記第1電子メール及び当該第1電子メールに関連する第2電子メールを取得するステップと、
コンピュータが、前記第1電子メール及び前記第2電子メールに基づき、前記第1電子メールに対する返信案を生成するステップと、
コンピュータが、前記返信案を前記個人端末に送信するステップと、
を備える。
【0009】
本発明に係る情報処理プログラムの一例は、コンピュータを、上述の情報処理システムとして機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の実施例に記載の情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する技術により、受信した電子メールの返信案の生成を効率的かつ効果的に行うことが可能となり、これにより業務効率化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】情報処理システムによる返信案生成に関する処理を示すフローチャート
【
図4】メーラーが返信案生成機能を実行する際に表示される画面
【
図5】情報処理システムによる返信案生成命令を受け付けてから返信案を表示するまでの処理を示すフローチャート
【
図6】情報処理システムによる質問生成命令を受け付けてから返信案を表示するまでの処理を示すフローチャート
【
図7】要約生成処理を行った後の返信案生成処理において、返信案生成支援サーバから生成AIサーバに送信されるプロンプト
【
図8】返信案生成処理において、返信案生成支援サーバから生成AIサーバに送信されるプロンプト
【
図9】(a)は生成した返信案を表示する画面、(b)は返信案再生成をする際の質問と回答候補を表示する画面、(c)は返信案再生成をする際の質問を追加で生成する場合に表示する画面
【
図10】情報処理システムによる要約生成命令を受け付けてから要約を表示するまでの処理を示すフローチャート
【
図11】要約生成処理において、返信案生成支援サーバから生成AIサーバに送信されるプロンプト
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る情報処理システム1の構成を示す図である。情報処理システム1は、電子メール(以下、単に「メール」と表記する場合がある)を送受信し、ユーザによって操作される個人的な端末である端末11(個人端末)、端末11で送受信する電子メールを配送するためのメールサーバ12、端末11で受信した電子メールに対する返信メールの生成を支援するための返信案生成支援サーバ13、及び、ディープラーニングなどの技術と大規模なデータセットを用いて、文章などの新しいコンテンツを生成することを目的とした生成AIサーバ14(AI:Artificial Intelligence)が、ネットワークNWを介して通信可能に接続されて構築されているシステムである。ネットワークNWは、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信及び有線通信を介したインターネット網により構築される。情報処理システム1は、本明細書に記載される情報処理方法を実行する。
【0014】
端末11は電子メールの生成、閲覧、送受信及び管理するためのアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションプログラムを単に「アプリケーション」と表記する場合がある)であるメーラーを備え、ユーザはメーラーを介して電子メールを送受信する。メーラーは、たとえば、アプリケーションとして端末11にインストールされ、メールサーバへアクセスするメールソフトの形態である。または、メーラーは、インターネットを閲覧するためのブラウザ上で動作し、Webサーバを経由してメールサーバへアクセスするクラウドメールの形態であってもよい。本実施例ではクラウドメールの形態を例にして説明するが、メールソフトの場合もクラウドメールの場合と同様に本発明を実現可能である。そして、端末11には、返信案生成支援サーバ13と連携する返信支援アプリケーションがインストールされている。返信支援アプリケーションは、たとえば上記メーラーや上記ブラウザに対するアドインの形で動作する。返信支援アプリケーションは、メーラーに統合されていてもよく、すなわち、メーラー自体が返信案生成支援サーバ13と連携する機能を備えていても良い。
【0015】
一実施例では、返信案生成支援サーバ13が返信支援アプリケーションを制御してもよい。たとえば、返信案生成支援サーバ13が、返信支援アプリケーションに係るGUI(
図4等に示す返信支援GUI41等)の表示、当該GUIに対するユーザからの入力の受け付け、等に関する命令を端末11に送信してもよく、端末11はこれらの命令を受信し、命令を実行することにより返信支援アプリケーションの機能を実現してもよい。
【0016】
なお、本実施例において、受信メールとは、端末11のメーラーを介して確認することができる電子メールであって、ユーザ宛に送信された電子メールを指し、返信メールとは、当該受信メールに対して返信するための電子メールであって、端末11のメーラーを介してユーザが送信する電子メールを指す。本実施例では電子メールが1対1で送受信される場合を具体例として説明するが、1対多及び多対多の場合も同様にして本発明を実現可能である。
【0017】
図2は、本発明の実施例に係る情報処理装置の構成を示す図である。端末11、メールサーバ12、返信案生成支援サーバ13及び生成AIサーバ14は、本実施例の情報処理システム1における役割は異なるものの、いずれもハードウェアとしては同じ構成を持つ情報処理装置である。
【0018】
情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などで構成される制御部21と、揮発性メモリや不揮発性メモリなどで構成される記憶装置22と、通信処理回路を備え外部とデータの通信を行う通信装置23と、キーボードやマウス、カメラ、マイクなどで構成される入力装置24と、ディスプレイ(タッチパネル機能を備えるものを含む)やスピーカーなどで構成される出力装置25と、を備え、矢印で示されたシステムバスを通じてデータ送受信を行う。
【0019】
制御部21は、所定のプログラムに従って情報処理装置を制御する。このプログラムは、コンピュータを、本明細書に記載される情報処理システムとして機能させる。プログラムは記憶装置22に格納される。記憶装置22は、プログラムが実行される際に実行ファイルが展開されるプログラム領域を含む。また、情報処理装置は、図示しないアプリケーションサーバから、ネットワークを介して新規アプリケーションプログラムをダウンロードすることにより、機能拡張が可能である。この場合の新規アプリケーションプログラムも記憶装置22に格納される。通信装置23は、LAN(Local Area Network)通信インタフェースや移動体電話通信網通信部、近接無線通信部などで構成される。
【0020】
端末11は、他の情報処理装置と双方向にデータを送受信可能な情報処理装置であればよく、例えば、PC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機など、あるいはそのほかの携帯用デジタル機器であっても良い。本実施例ではPCを具体例にして説明する。
【0021】
メールサーバ12、返信案生成支援サーバ13及び生成AIサーバ14は、ネットワークに常時接続する情報処理装置である。
【0022】
生成AIサーバ14は、たとえばLLM(大規模言語モデル)を記憶しており、自然言語データをLLMに入力してその出力を取得することができる。LLMは、たとえば大量の文章データを用いて、自然言語による入力に対して自然言語による適切な回答を出力するように学習が行われた学習済みモデルであり、様々な公知のモデルを利用することができる。たとえばGPT、BERT、PaLM、Llama等が公知であるが、これらに限らない。生成AIサーバ14は、外部から受信した入力データ(プロンプトおよび参照データを含む)をLLMに入力し、これに対するLLMからの出力を外部に送信することができる。本実施例では、LLMに対する入出力は日本語であるが、日本語に代えて、または日本語に加えて、他の言語を用いてもよい。
【0023】
図3は、本発明の実施例に係る情報処理システム1による返信案生成に関する処理を示すフローチャートである。
【0024】
まず、ユーザが端末11でメーラーの実行を開始する。これに応じて、返信支援アプリケーションの実行が開始され、その画面が表示される。その後、ユーザは特定の電子メール(第1電子メール)を選択し、これに対する返信メールの作成を開始する。
【0025】
第1電子メールが、他の電子メール(第2電子メール)とスレッドを形成するかどうかで、処理が分岐する(ステップS1)。ここで言うスレッドとは、当該受信したメールの内容と関連性を有するメールのグループを意味する。
【0026】
具体例として、ある電子メールと別の電子メールがスレッドを形成するか否かは、電子メールの本文、電子メールのヘッダ情報(例えば、Subject(件名)、Message-ID、Reply-To、In-Reply-To、References)、メーラー固有のスレッド識別情報、等のうち1つ以上を参照して特定される。件名を判断に用いる場合には、例えば、第1電子メールの件名の最初に「Re:」の文字列があれば、当該Re:の文字列を除いて同じ件名の電子メールはスレッドに含まれる。このように、第2電子メールは、第1電子メールのヘッダ情報に基づいて特定されるよう構成することができる。スレッドの判断は、端末11、メールサーバ12または返信案生成支援サーバ13のいずれが行っても良い。
【0027】
スレッドがある場合、ステップS2に進み、スレッドが無い場合、ステップS8に進む。なお、本明細書では、表記の簡略化のため、第1電子メールが他の電子メールと共にスレッドを形成することを「スレッドがある」と表現し、第1電子メールのみが単独で独立したスレッドを形成することを「スレッドが無い」と表現する場合がある。
【0028】
次に、端末11は、ユーザから、第1電子メールに対し、返信案を生成するかまたは要約を生成するかの入力を待ち受ける状態になる(ステップS2)。ユーザから返信案を生成する入力を受け付けた場合、ステップS3へ進む。ユーザから要約を生成する入力を受け付けた場合、ステップS5へ進む。なお、図示していないが、この状態で返信支援アプリケーションの実行を終了する入力を受け付けても良いし、一定時間入力がない場合に自動的に返信支援アプリケーションの実行を終了しても良い。以下、端末11がユーザから入力を受け付ける状態であれば、同様である。
【0029】
次に、端末11がステップS2で返信案を生成する入力を受け付けた場合、返信案生成支援サーバ13に対して、第1電子メールについて返信案を生成する命令(返信案生成命令)を送信する。返信案生成命令を受け付けた返信案生成支援サーバ13は、メールサーバ12及び生成AIサーバ14と連携して返信案を生成する(ステップS3)。この処理については、詳細を
図4等を用いて説明する。返信案を生成した返信案生成支援サーバ13は、返信案を端末11に送信する。返信案を受信した端末11は、メーラーの画面上に返信案を表示する(ステップS4)。なお、「メーラーの画面」とは、端末11がメーラーを実行することによって端末11の表示装置に表示される画面を意味する。
【0030】
一方、端末11がステップS2で要約を生成する入力を受け付けた場合、端末11は、返信案生成支援サーバ13に対して、第1電子メールと同じスレッドに含まれる他の電子メールについて要約を生成する命令(要約生成命令)を送信する。要約生成命令を受け付けた返信案生成支援サーバ13は、メールサーバ12及び生成AIサーバ14と連携して要約を生成する(ステップS5)。この処理については、詳細を
図10等を用いて説明する。要約を生成した返信案生成支援サーバ13は、要約を端末11に送信する。要約を受信した端末11は、メーラーの画面上に要約を表示する(ステップS6)。
【0031】
次に、端末11は、ユーザから、第1電子メールに対し、返信案を生成するかまたは返信案を生成する上での追加情報を入力するかの入力を待ち受ける状態になる(ステップS7)。ユーザから返信案を生成する入力を受け付けた場合、返信案生成支援サーバ13に対して第1電子メールに関する返信案生成命令を送信し、上述のステップS3の処理に移る。
【0032】
ただし、この場合、第1電子メールに対する要約が生成できている状態であるため、要約を加味した返信案を生成する命令とすることができ、要約を生成する処理については省略することもできる。たとえば、返信案生成支援サーバ13は、第1電子メールに関し、端末11から送信された返信案生成命令を受信し、この返信案生成命令に応じて、第1電子メールと、すでに生成された要約とに基づき、第1電子メールに対する返信案を生成する。
【0033】
ステップS7において、ユーザから質問を生成するという入力を受け付けた場合、返信案生成支援サーバ13に対して、返信案に対する追加情報を入力するための質問及び回答候補を生成する命令を送信し、ステップS10に移る。
【0034】
ステップS4で端末11が第1電子メールに対する返信案を表示したあと、端末11は、ユーザから、返信案を再生成するための質問及び回答候補を生成するか、または、表示した返信案を返信メールの文面として転記するか、の入力を待ち受ける状態になる(ステップS9)。
【0035】
ユーザから返信案を再生成するための質問及び回答候補を生成する入力を受け付けた場合、端末11は、返信案生成支援サーバ13に対して質問及び回答候補を生成する命令を送信し、返信案生成支援サーバ13は、この命令を受信すると、メールサーバ12及び生成AIサーバ14と連携して、質問及び回答候補を生成する(ステップS10)。この質問及び回答候補は、追加情報を入力するためのユーザに対する質問と、当該質問に対する回答の候補である。返信案生成支援サーバ13は、質問と回答候補を端末11に送信する。
【0036】
質問と回答候補を受け付けた端末11は、質問と回答候補をメーラーの画面上に表示する(ステップS11)。そして、端末11はユーザに対する質問に対する回答を受け付ける(ステップS12)。
【0037】
一方、ステップS9において、ユーザから、返信の文面として返信案を転記する入力を受け付けた場合、端末11は、返信案を転記することにより、受信したメールの返信の文面を生成し、これをメーラーの画面上に表示する(ステップS16)。ここで、転記処理より前に、既に返信文面が入力されている場合には、既に入力されている文面の後に返信文面を追記しても良いし、既に入力されている文面を削除して返信案のみを返信の文面として表示しても良い。
【0038】
ステップS12でユーザから質問に対する回答を受け付けた後、端末11は、ユーザから、入力した回答も参照して返信案を生成するか、またはさらに追加情報を入力して質問と回答候補を再生成するかの入力を待ち受ける状態になる(ステップS13)。
【0039】
ユーザから返信案を生成する入力を受け付けた場合、端末11は、返信案生成支援サーバ13に対して返信案を生成する命令を送信する。返信案を生成する命令を受信した返信案生成支援サーバ13は、メールサーバ12及び生成AIサーバ14と連携して返信案を生成する(ステップS14)。返信案を生成した返信案生成支援サーバ13は、返信案を端末11に送信する。返信案を受信した端末11は、メーラーの画面上に返信案を表示する(ステップS15)。そして、端末11は再度入力を受け付けるステップS9の状態に移る。
【0040】
一方、ステップS13で、ユーザからさらに追加情報を入力して質問と回答候補を再生成する入力を受け付けた場合、ステップS9において追加情報を入力する入力を受け付けた場合と同様の処理を行うことにより、追加の質問及び回答を生成する。なお、ステップS10乃至S15までの一連の処理については、詳細を
図6等を用いて説明する。このように、表示した返信案に対して、さらに追加情報を入力し、それを加味して再度返信案を生成することにより、より最適な返信案の生成をすることが可能となる。
【0041】
ステップS1で第1電子メールにスレッドがない場合、端末11はユーザから、第1電子メールに対し、返信案を生成する入力を待ち受ける状態になる(ステップS8)。ここで、ユーザから返信案を生成する入力を受け付けた場合、端末11は、第1電子メールに対する返信案を生成する命令を、返信案生成支援サーバ13に送信し、上述のステップS3の処理に移る。一方、入力がない場合、特段の処理を実行しない(返信支援アプリケーションを終了してもよい)。入力を受け付けるまで、入力待機状態となっても良い。
【0042】
図4は、本発明の実施例に係るメーラーが返信案生成機能を実行する際に表示される画面である。具体的には、ステップS2において端末11がユーザから入力を受け付ける状態の時に、端末11の表示装置(たとえばディスプレイ)に表示される画面である。
【0043】
ディスプレイには、メーラーを起動して表示される画面の上に、返信案生成支援サーバ13と連携する返信支援アプリケーションのGUI(返信支援GUI41)が重なって表示される。返信支援GUI41は、たとえば端末11において特定の電子メール(第1電子メール)がユーザによって選択され、これに対する返信を作成するための画面が表示されることに応じて、
図4に示す内容の表示に切り替わってもよい。
【0044】
返信支援アプリケーションでは、ステップS2において、端末11がユーザから返信案の生成または要約の生成の入力を受け付ける。このために、返信支援GUI41にはそのためのボタンが表示されている。
図4の例では、返信支援GUI41のうち、「生成」と表記されたボタンが返信案生成ボタンであり、「要約」と表記されたボタンが要約生成ボタンである。返信案生成ボタンに対する操作によって、返信案生成命令が入力され、要約生成ボタンに対する操作によって、要約生成命令が入力される。なお、返信案生成の対象となる電子メールにスレッドがない場合は、要約の生成の入力を受け付けるボタンは表示しなくても良い。
【0045】
図4に示すように、メーラーにおいて特定の電子メール(第1電子メール)が選択された状態において、または、特定の電子メールの内容が表示されている状態において、返信支援GUI41は、入力ボタンとして、返信案生成ボタン及び要約生成ボタンのみを含む。このような構成によれば、ユーザは入力のためにGUIの細部を確認したり複雑な操作を行ったりすることなく、単一の操作(たとえば1回のクリックのみ)によって返信案の生成や要約の生成を指示することができる。
【0046】
なお、
図4の例では、返信支援GUI41は、入力ボタンとして、返信案生成ボタン及び要約生成ボタンを含むが、入力ボタンの構成は様々に変形が可能である。たとえば、返信案生成ボタンのみを含み要約生成ボタンを含まないものであってもよく、要約生成ボタンのみを含み返信案生成ボタンを含まないものであってもよい。また、これらのボタンに代えて、またはこれらのボタンに加えて、他のボタンを含んでもよい。
【0047】
図5は、本発明の実施例に係る情報処理システム1が、返信案生成命令を受け付けてから返信案を表示するまでの処理を示すフローチャートであり、
図3で示したフローチャートにおけるステップS2乃至S4の一連の処理の詳細を説明するものである。
【0048】
ステップS2において、端末11はユーザから返信案の生成の入力を受け付ける。次に、端末11は返信案生成支援サーバ13に返信案生成命令を送信する(ステップS31)。上述のように、この返信案生成命令は、第1電子メールに関し、端末11から送信されるものである。返信案生成支援サーバ13は、返信案生成命令を受信することに応じ、メールサーバ12に対して、第1電子メール(返信案生成命令の対象である第1電子メール)と、当該第1電子メールのスレッドに含まれる他の全ての電子メール(第2電子メール。すなわち、第1電子メールに関連する他の電子メール)とを取得する命令を送信する(ステップS32)。この命令を受信したメールサーバ12は、第1電子メールおよび第2電子メールを返信案生成支援サーバ13に送信し、返信案生成支援サーバ13はこれらを受信して取得する(ステップS33)。
【0049】
ただし、返信案生成の入力がステップS8を経由した場合(すなわち第2電子メールが存在しない場合)は、第1電子メールのみの取得を行う。また、返信案生成の入力がステップS7を経由した場合(すなわち第2電子メールの要約がすでに生成されている場合)にも、第1電子メールのみの取得を行ってもよい。なお、第2電子メールの要約がこの時点で生成されていない場合には、
図10等を用いて説明する要約生成処理を、この時点で行ってもよい。
【0050】
次に、返信案生成支援サーバ13は、生成AIサーバ14に対して、メールの返信案生成命令を送信する(ステップS34)。当該返信案生成命令は、生成AIサーバ14に対して、生成すべきコンテンツが電子メールの返信文面の生成であることを示す情報、及び返信案生成支援サーバ13がステップS33で取得したメールに関連する情報を含む。たとえば、第1電子メール及び第2電子メールの内容を表す情報を含む。または、たとえば、第1電子メールの内容及び第2電子メールの要約を表す情報を含む。または、たとえば、第1電子メールの要約及び第2電子メールの要約を表す情報を含む。
【0051】
返信案生成命令を受信した生成AIサーバ14は、受信した情報を基に返信案を生成し、返信案生成支援サーバ13に生成した返信案を送信する(ステップS35)。
【0052】
このようにして、返信案生成支援サーバ13は、第1電子メール及び第2電子メールに基づき、生成AIサーバ14を利用して、第1電子メールに対する返信案を生成する。より詳細には、返信案生成支援サーバ13は、返信案を生成する際に、第1電子メール及び第2電子メールについて返信案を生成する命令を生成AIサーバ14に送信し、生成AIサーバ14から、生成AIサーバ14が生成した返信案を受信し、これによって返信案を生成するということができる。返信案を受信することにより生成した返信案生成支援サーバ13は、返信案を端末11に送信する(ステップS36)。端末11は、受信した返信案をメーラーの画面上に表示する(ステップS4)。
【0053】
図6は、本発明の実施例に係る情報処理システム1による質問生成命令を受け付けてから返信案を表示するまでの処理を示すフローチャートであり、
図3で示したフローチャートにおけるステップS9乃至S15の一連の処理の詳細を説明するものである。
【0054】
ステップS9において、端末11はユーザから、返信案を再生成するための質問及び回答候補を生成する命令の入力を受け付ける。次に、端末11は返信案生成支援サーバ13に質問生成命令を送信する(ステップS101)。質問生成命令を受信した返信案生成支援サーバ13は、生成AIサーバ14に対して、返信案を再生成するために必要な追加情報をユーザに入力してもらうための質問と回答候補を生成する命令を送信する(ステップS102)。ステップS102で送信する命令は、詳細を
図8等を用いて説明する。次に、生成AIサーバ14は質問と回答候補を生成し、返信案生成支援サーバ13に送信する(ステップS103)。質問と回答候補を受け付けた返信案生成支援サーバ13は、これを端末11に送信する(ステップS104)。このように、返信案生成支援サーバ13は、端末11から送信された質問生成命令を受信し、質問生成命令に応じて返信案に対する質問及び当該質問に対する回答候補を生成し、これらの質問及び回答候補を端末11に送信する。
【0055】
端末11は、受け付けた質問と回答候補をメーラーの画面上に表示する(ステップS11)。そして、端末11は、ユーザから回答を受け付ける(ステップS12)。次に、端末11は、ユーザから返信案の生成命令を受け付ける(ステップS13)。なお、ここでは、
図3のフローチャートにおいて、処理がステップS13からS14へと分岐する場合を想定している。
【0056】
端末11は、返信案の生成命令を受け付けると、返信案生成支援サーバ13に返信案の生成命令を送信する(ステップS141)。返信案の生成命令を受け付けた返信案生成支援サーバ13は、生成AIサーバ14に対して、返信案の生成命令を送信する(ステップS142)。当該返信案生成命令は、生成AIサーバに対して、生成すべきコンテンツが電子メールの返信文面の生成であることを示す情報、返信案生成支援サーバ13が取得したメールの内容、及びステップS12でユーザから受け付けた回答と当該回答に関する質問を含む。このように、返信案生成支援サーバ13は、第1電子メール及び第2電子メールについて返信案を生成する命令を生成AIサーバ14に送信する。
【0057】
返信案の生成命令を受け付けた生成AIサーバ14は、受信した情報を基に返信案を生成し、返信案生成支援サーバ13に生成した返信案を送信する(ステップS143)。このように、返信案生成支援サーバ13は、生成AIサーバ14から、生成AIサーバ14が生成した返信案を受信する。返信案生成支援サーバ13は、このように生成AIサーバ14を利用して、返信案を生成するということができる。返信案を受信して生成した返信案生成支援サーバ13は、これを端末11に送信する(ステップS144)。端末11は、受信した返信案をメーラーの画面上に表示する(ステップS15)。
【0058】
以下、生成AIサーバ14に対するプロンプトの例を説明する。
【0059】
図7は、本発明の実施例に係る返信案生成処理において、返信案生成支援サーバ13から生成AIサーバ14に送信されるプロンプトの例である。より具体的には、ステップS34において、返信案生成支援サーバ13から生成AIサーバ14に対して、生成AIサーバ14に返信案を生成させる指示のための文である。
【0060】
図7のプロンプトは、たとえば次のような3件の電子メールを含むスレッドに対して返信案を生成させる場合のものである。
【0061】
最も早い日時に送信された電子メール(第2電子メール)は、株式会社Aの××氏から株式会社Bの○○氏に送信されたものであり、その本文は次の通りである。
「株式会社B ○○様
株式会社Aの××と申します。
当社では現在オンプレミスで運用しているファイル管理Webアプリケーションについて、AWSクラウド環境への移行を検討しております。
貴社の豊富な経験と高度な技術力を鑑み、このプロジェクトの実施に関しまして、ご支援いただければと思いメールさせていただきました。
現在のアプリケーションは主に次のような特徴を持っています。
・言語: Python
・データベース: PostgreSQL
・ユーザー数: 約1000名
・データ量: 約5TB
移行に際しては、以下の点に特に注意を払いたいと考えています。
・データの安全な移行
・システムのダウンタイムの最小化
・移行後の運用コストの最適化
貴社におかれましては、初期段階の調査から移行の実施、そして運用サポートまでの一連のプロセスをご提案いただけますでしょうか。また、大まかな見積もりやスケジュール感についても、ご教示いただければと存じます。
さらに、このプロジェクトに関する詳細な打ち合わせを行うために、初回ミーティングを設定させていただければと考えております。貴社のご都合の良い日時をいくつかご提案いただけますでしょうか。私どもの方でも、可能な限り調整いたします。
ご多忙のところ恐縮ですが、ご検討の程、よろしくお願い申し上げます。
株式会社A
情報システム部
××」
【0062】
次に送信された電子メール(第2電子メール)は、株式会社Bの○○氏から株式会社Aの××氏に送信されたものであり、その本文は次の通りである。
「株式会社A ××様
株式会社Bの○○です。
ご連絡いただき誠にありがとうございます。
この度は、貴社のファイル管理Web アプリケーションのAWS への移行に関するお問い合わせ、並びに初回ミーティングのご提案を賜り、誠にありがとうございます。私どもとしても、貴社の重要なプロジェクトに関与させていただけることを大変光栄に思います。
××様がご提供くださった情報に基づき、当社でも初期の検討を行わせていただければと存じます。貴社の現在のシステム構成や移行に関するご要望について、より詳細な情報を交換し、具体的な提案を行うためにも、初回ミーティングの設定をさせていただければと思います。
私どもの方で調整可能な日時を下記に記載いたします。いずれかの日時にてご都合がよろしければ、ご連絡いただけますと幸いです。
・1月20日(木)13:00~15:00
・1月22日(金)10:00~12:00
・1月25日(火)15:00~17:00
また、オンライン会議にて実施することを前提としておりますが、ご希望があれば対面でのミーティングも検討いたします。会議の形式につきましても、ご意見をお聞かせください。
今後とも、貴社との協業を通じて、最適なクラウドソリューションの実現に努めて参ります。ご多忙の中、お手数をおかけしますが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
株式会社B
クラウドソリューション部
○○」
【0063】
最後の電子メール(第1電子メール)は、株式会社Aの××氏から株式会社Bの○○氏に送信されたものであり、その本文は次の通りである。
「株式会社B ○○様
ご返信いただきありがとうございます。
株式会社Aの××です。
ご提案いただいた日程の中で、1月22 日(土)10:00~12:00が弊社としても都合が良いです。オンラインでの会議を希望いたします。Zoom、Teams、Google Meet等、貴社が推奨するツールがございましたら、お知らせください。
ミーティングでは、現在のシステムの詳細、移行に関する具体的な懸念点、予算とスケジュールに関する大まかな見通しについて話し合いたいと考えております。事前に資料等が必要であれば、ご指示ください。
貴社との協業により、スムーズかつ効率的なクラウド移行を実現できることを楽しみにしております。ご多忙のところ、恐れ入りますが、会議の設定に関するご連絡をお待ちしております。
株式会社A
情報システム部
××」
【0064】
図7のプロンプトでは、生成AIサーバ14に対し、役割が電子メールの返信案の生成であることを明確にする。この部分は、
図7のうち先頭4行に対応する。
【0065】
図7において、「スレッドのあらすじ」は、第2電子メールの要約を含み、第2電子メールが複数である場合には、それぞれの要約を個別に(または総合的な要約を)含む。
図7において、「最後のメール」は、第1電子メールの内容(少なくとも本文を含む。件名等、その他の情報を含んでもよい)を含む。「制約条件」は、返信案を生成するに際しての制約として遵守すべき条件を意味し、たとえば返信案として好適な体裁となるための条件が含まれる。具体的な制約条件としては、電子メールの本文に記載されている文言の解説は不要であること、署名は不要であること、などを含む。「制約条件」は、予め固定されたテキストを記憶しておくことができる。
【0066】
第2電子メールに基づいてその要約を生成する方法についてはとくに限定しないが、たとえば
図10に関連して説明する処理により生成することができる。なお、本実施例では生成AIサーバ14を利用しているが、生成AI以外の学習済みモデル、決定的規則、等を介して要約を生成するような実施例も可能である。
【0067】
図8は、本発明の実施例に係る返信案生成処理において、返信案生成支援サーバ13から生成AIサーバ14に送信されるプロンプトである。より具体的には、返信案生成処理のうちステップS102において、返信案生成支援サーバ13から生成AIサーバ14に対して、生成AIサーバ14に返信案を再生成させるにあたり、追加情報を入力するための質問と回答候補の生成を指示するための文である。
【0068】
当該プロンプトでは、まず生成AIサーバ14に対し、役割が電子メールの返信案の生成であることを明確にする。次に、ユーザが端末11で表示される受信した第1電子メールの内容を記載する。
図8では「----(受信メールの内容を挿入)----」と記載しているが、実際にはこの記載に代えて、第1電子メールの内容として、たとえば次のような内容が挿入される。
「株式会社B 田中様
いつも大変お世話になっております。株式会社Aの××です。
この度、私事で恐縮ですが、4/1よりCE部から社長室へ異動することになりましたので、ご連絡申し上げます。
異動後も引き続き貴社の事業に貢献できるよう努力して参ります。異動後の業務はCE部の○○が引き継ぎます。
○○の連絡先は以下の通りです:
- メールアドレス:xxxx@aaaaaa.co.jp
- 電話番号: 090-xxxx-xxxx
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。異動までの間、業務の引き継ぎに最善を尽くし、スムーズな移行を心がけますので、引き続き変わらぬご支援のほどお願い申し上げます。
何卒よろしくお願いいたします。
××
株式会社A」
【0069】
また、
図8のプロンプトでは、第1電子メールに対して返信案を生成する上で、返信文面が最適なものとなるように、当該プロンプトが、ユーザに対して行う質問とその回答候補を生成する指示であることを明確にする。ここで、質問と回答候補の制約として、逐次の質問であること、回答は候補が2つの選択肢とすること、質問は複数でも良いが以前にした質問はしないこと、及びユーザから回答の候補に関する情報が示されている場合にはそれを利用した質問を含め、当該利用した質問に対する回答候補は3つ以上でも可能とすることを含む。
【0070】
図8では「----(既に質問済みの内容を挿入)----」と記載しているが、実際にはこの記載に代えて、それまでに生成された質問の内容が記載される。
【0071】
ここでの質問はオープンクエスチョンではなくクローズドクエスチョンが好ましい。そうすることにより回答の曖昧さがなくなり、生成AIサーバ14が返信案を生成しやすくなる。ここで、クローズドクエスチョンとは、質問に対する回答の選択肢が明記されており、自由な文字列その他の情報による回答ができないよう構成された質問を意味する。たとえば、「返信のトーンはどのようにしたいですか?」という質問と、「フォーマル」および「カジュアル」という回答候補のみが表示され、これら以外の回答を許可しない形式の質問は、クローズドクエスチョンである。一方で、これらの回答候補に加えて、またはこれらに代えて、任意のテキスト入力による自由な回答入力を許可する形式の質問(オープンクエスチョン)は、クローズドクエスチョンではない。
【0072】
質問をクローズドクエスチョンとすることにより、回答操作が容易になる。たとえば、回答候補それぞれを表すボタンを表示し、ユーザはいずれかのボタンに対する単一の操作(たとえばクリック操作)によって回答を選択することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0073】
図9(a)は、本発明の実施例に係る生成した返信案を表示する画面、
図9(b)は、本発明の実施例に係る質問と回答候補を表示する画面、
図9(c)は、本発明の実施例に係る質問を追加で生成する場合に表示される画面である。
【0074】
より具体的には、
図9(a)は、ステップS9でユーザからの入力を待つ際に、返信支援GUI41に表示される画面であり、返信案を含む。画面下部にユーザから受け付ける入力の選択肢が表示されている。端末11が返信支援GUI41を介して「本文に貼り付け」の入力を受け付けると、処理はステップS16に進み、表示されている返信案が端末11のメーラーにおいて、第1電子メールに対する返信としての新規メールの文面として反映される。新規メールの宛先は、第1電子メールの送信元を含む。
【0075】
一方、端末11が「返信案再生成」の入力を受け付けると、処理はステップS10に進み、質問が生成される。このように、「返信案再生成」ボタンは質問生成ボタンとして機能し、このボタンに対する操作によって質問追加命令が入力される。すなわち、返信案生成支援サーバ13は、端末11から送信された質問追加命令を受信し、この質問追加命令に応じて、返信案に対する質問及び当該質問に対する回答候補を追加で生成し、追加で生成された質問及び回答候補を端末11に送信する。
【0076】
図9(b)は、ステップS11で、端末11に表示される返信支援GUI41に、質問と回答候補を表示する画面である。この例では、最初に生成された質問と、2回の質問追加命令に応じて生成された質問とを合わせて3つの質問が表示されている。
【0077】
端末11が画面中央の「さらに質問を追加する」の入力を受け付けると、処理はステップS13からステップS10へ移り、追加の質問が生成される。このように、「さらに質問を追加する」ボタンに対する操作により、質問追加命令が入力される。さらなる質問を生成している最中、
図9(c)のように、画面中に処理中であることが分かる文字(「質問生成中」)が表示される。端末11が画面下部の「再生成」の入力を受け付けると、処理はステップS14に移る。端末11が画面下部の「戻る」の入力を受け付けると、画面上に表示されている質問の回答に対するユーザからの入力を反映せずに、処理はステップS9の状態に移る(図示は省略)。なお、この「さらに質問を追加する」と「再生成」の選択肢の表示は、既に表示されている質問に対する回答候補の入力を全て受け付けるまではグレーアウトしてユーザからの入力を受け付けなくすることもできる。
【0078】
ステップS14において生成される返信案の具体例を、以下に示す。当初の返信案として、
図9(a)に示す返信案が生成されているものとする。
【0079】
たとえば、質問「文章の長さはどうしますか?」に対し、回答として「短い」が選択された場合には、次に生成される返信案は以下のようなものになる。
「××様
お世話になっております。株式会社Bの田中です。
先日はご連絡いただき、ありがとうございました。××様の異動のご報告、承知いたしました。
異動後も引き続きお付き合いいただけること、大変嬉しく思います。また、○○様との新たな連携についても、スムーズな移行を心がけます。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
引き続きよろしくお願いいたします。」
このように、
図9(a)の例に比べて文章が短くなっている。
【0080】
また、質問「返信のトーンはどのようにしたいですか?」に対し、回答として「カジュアル」が選択された場合には、次に生成される返信案は以下のようなものになる。
「××様、
いつもお世話になっております。株式会社Bの田中です。
先日のメール、無事に受け取りました。まずは、社長室への異動、おめでとうございます!新たなポジションでのご活躍を心から楽しみにしております。
また、○○様の連絡先もありがとうございます。今後とも引き続き、株式会社Aとの良好な関係を保つために、全力でサポートさせていただきます。
何かご不明な点やご要望がございましたら、いつでもお気軽にお申し付けください。これからも変わらぬご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
それでは、新たなステージでのご活躍をお祈りしております。」
このように、
図9(a)の例に比べてトーンがカジュアルになっている。
【0081】
図9(a)に示すように、返信案が表示されている状態において、返信支援GUI41は、入力ボタンとして、返信案を新規メールの文面として転記するためのボタンと、返信案を再生成させるためのボタンのみを含む。このような構成によれば、ユーザは入力のためにGUIの細部を確認したり複雑な操作を行ったりすることなく、単一の操作(たとえば1回のクリックのみ)によって返信案の転記や再生成を指示することができる。
【0082】
また、
図9(b)に示すように、質問及び回答候補が表示されている状態において、返信支援GUI41は、回答を入力するための入力手段としては、各回答候補を表すボタンのみを表示する。このような構成によれば、ユーザは回答入力のためにテキストの入力操作を行うことなく、単一の操作(たとえば1つの質問について1回のクリックのみ)によって回答を入力することができる。
【0083】
また、
図9(b)に示すように、質問及び回答候補が表示されている状態において、返信支援GUI41は、質問を追加させるためのボタンを含む。さらに、ユーザは、質問を追加させるためのボタンを複数回操作することにより、任意の数の質問を容易に追加させることができる。このような構成によれば、ユーザは簡単の操作(たとえば1回のクリックのみ、または任意の回数のクリックのみ)によって質問を追加させ、より柔軟に、適切な返信案を生成させることができる。
【0084】
なお、入力ボタンの構成は様々に変形が可能であり、
図9(a)及び
図9(b)に示すボタンに代えて、またはこれらのボタンに加えて、他のボタンを含んでもよい。
【0085】
図10は、本発明の実施例に係る情報処理システム1による要約生成命令を受け付けてから要約を表示するまでの処理を示すフローチャートであり、
図3で示したフローチャートにおけるステップS2、S5及びS6の一連の処理の詳細を説明するものである。
【0086】
ステップS2において、端末11はユーザから要約の生成の入力を受け付ける。次に、端末11は返信案生成支援サーバ13に要約生成命令を送信する(ステップS51)。返信案生成支援サーバ13は、端末11から第1電子メールに関して送信された要約生成命令を受信し、この要約生成命令に応じて、メールサーバ12に対して、スレッド(すなわち第1電子メール及び第2電子メール)を取得する命令を送信する(ステップS52)。この命令を受信したメールサーバ12は、第1電子メールおよび第2電子メールを返信案生成支援サーバ13に送信し、返信案生成支援サーバ13はこれらを受信して取得する(ステップS53)。
【0087】
このように、返信案生成支援サーバ13は、要約生成命令に応じて、第1電子メールと、第1電子メールに関連する第2電子メールとを取得する。なお、本実施例では、返信案生成支援サーバ13は第1電子メール及び第2電子メールの双方を取得するが、第2電子メールのみを取得するように構成してもよい。
【0088】
本実施例では、第2電子メールが3件あった場合、すなわち、第1電子メールと合わせて4件の電子メールを取得した場合を具体例にして説明するが、実際の数はこれに限られるものではなく、スレッドに含まれる電子メールの数に依存する。
【0089】
次に、返信案生成支援サーバ13は生成AIサーバ14に対し、スレッドに含まれる第2電子メール3件を要約する命令を生成AIサーバ14に対して送信する(ステップS54)。第2電子メールが複数である場合には、返信案生成支援サーバ13は、各第2電子メールについて要約を生成する命令を、並列的に生成AIサーバ14に送信してもよい。ここで「並列的」とは、ある第2電子メールについての要約命令に対する応答(すなわち要約)の受信を待たず、別の第2電子メールについての要約命令を送信することを意味する。たとえば、すべての第2電子メールについての要約命令が、同時に(または返信案生成支援サーバ13が処理可能な程度に短い時間をおいて)送信される。
【0090】
このようにすることで、生成AIサーバ14の処理キューが複数あったり、生成AIサーバ14が複数あったりする場合は、生成AIサーバ14から全てのメールの要約を受け付けるまでの合計時間を短縮することができる。また、生成AIサーバ14側に、1回の命令について受け付け可能な情報量などの制限があった場合、それを回避して目的の生成を実行することが可能となる。ステップS54で送信する命令は、詳細を
図11で説明する。
【0091】
なお、変形例として、すべての第2電子メールを結合し、結合されたデータに対して単一の命令としても良いし、電子メールの本文の長さを勘案して、一部(たとえば2件)の第2電子メールを結合し、結合されたデータおよび結合されない各第2電子メールに対してそれぞれ1つの命令としても良い。
【0092】
本実施例では、各第2電子メールに対して1件ずつの命令とし、すべての命令を並列に生成AIサーバ14に対して送信する場合を記載する。
【0093】
次に、要約を生成する命令を複数受け付けた生成AIサーバ14は、各命令の内容に従って要約を生成し、返信案生成支援サーバ13に対して、生成が終わった順に生成した要約を送信する(ステップS551乃至S553)。返信案生成支援サーバ13は、これらを受信することにより、第2電子メールの要約を生成する。
【0094】
このように、返信案生成支援サーバ13は、要約を生成する際に、第2電子メールについて要約を生成する命令を生成AIサーバ14に送信し、生成AIサーバ14から、生成AI14サーバが生成した要約を受信し、これによって第2電子メールの要約を生成する。
【0095】
全ての第2電子メールの要約を受信して生成した返信案生成支援サーバ13は、生成した要約を端末11に送信する(ステップS56)。ここで、返信案生成支援サーバ13は、各第2電子メールの要約に基づいて、全ての第2電子メールの要約を生成し(たとえば単に各要約を電子メールの時系列に沿って結合する)、これを端末11に送信してもよい。
【0096】
要約を受信した端末11は、これをメーラーの画面上に表示する(ステップS6)。これにより、ユーザは返信案を考える時に、関連する全ての電子メールを確認しなくても、これまでの電子メールのやり取りを要約を確認することで把握することができる。なお、変形例として、ステップS54において、返信案生成支援サーバ13は、さらに第1電子メールを要約する命令を生成AIサーバ14に対して送信してもよい。この場合には、返信案生成支援サーバ13は、要約を生成する際に、第1電子メール及び第2電子メールについて要約を生成する命令を生成AIサーバ14に送信し、生成AIサーバ14から、第1電子メール及び第2電子メールの要約を受信して生成することになる。
【0097】
図11は、本発明の実施例に係る要約生成処理において、返信案生成支援サーバ13から生成AIサーバに送信されるプロンプトである。より具体的には、ステップS54において、返信案生成支援サーバ13から生成AIサーバ14に対して、生成AIサーバ14において要約の生成を指示するための文である。
【0098】
当該プロンプトは、まず生成AIサーバ14に対し、役割が電子メールの返信案の生成であることを明確にする。次に、生成する要約の対象である電子メールを記載し、これの要約の生成する指示であることを明確にする。次に、スレッドの要約を生成するために好適な制約条件を記載する。具体的な制約条件としては、例えば要約のフォーマット、電子メールの内容とは関係のない敬称や署名、電子メール本文の冒頭に記載される挨拶の言葉、及び最後に記載される締めの言葉を要約に含めないこと、などを含む。
【0099】
上述の
図7は、本発明の実施例に係る要約生成処理を行った後の返信案生成処理において、返信案生成支援サーバ13から生成AIサーバ14に送信されるプロンプトとしても利用可能である。より具体的には、ステップS7を経由したステップS3において、返信案生成支援サーバ13から生成AIサーバ14に対して、生成AIサーバ14に返信案の生成を指示するための文章である。
【0100】
図12は、生成された要約を、ステップS6において返信支援GUI41上で表示する際の画面である。画面下部にユーザから受け付ける入力の選択肢が表示され、「返信案生成」の入力を受け付けるとステップS3に進み、「質問生成」の入力を受け付けるとステップS10に進む。
【0101】
以上説明したように、本実施例では、第1電子メールについて、メールサーバ12、返信案生成支援サーバ13及び生成AIサーバ14が連携して返信案の生成を行う、という構成を持つことにより、第1電子メールの返信案の生成を効率的かつ効果的に行うことが可能となり、業務効率化を実現することができるという顕著な技術的効果を奏する。
【0102】
なお、以上に記載したシステム及び情報処理装置は、図示をしていない範囲においても、CPU、記憶装置(揮発性及び不揮発性を含む)、入出力装置(ディスプレイ、マイクロフォン、キーボード、マウス、スピーカー及びカメラを含む)など、情報処理装置として処理を行う上で必要となる構成を備え、各部による処理はそれぞれのハードウェアが連関して行う。また、各処理は、集積回路化などして、それを行う処理部としてハードウェアで実現することができる。
【0103】
また、以上に記載した実施例では、第1電子メールについて、メールサーバ12、返信案生成支援サーバ13及び生成AIサーバ14が連携して返信案の生成を行う、という形で記載したが、このような処理を実現するプログラムをインターネットなどを通じて記憶装置に導入するという形をとっても良い。さらに、このプログラムは、あらかじめ情報処理装置内の記憶装置や外部記憶装置に格納されていても良いし、着脱可能な記憶媒体や通信媒体(有線、無線、光などのネットワーク、またはそのネットワーク上の搬送波やデジタル信号)を介して、必要な時に外部記憶装置に導入されても良い。
【0104】
以上に記載した実施例では、情報処理システム1は、端末11、メールサーバ12、返信案生成支援サーバ13及び生成AIサーバ14を含む。変形例として、情報処理システムは、返信案生成支援サーバ13を含むものであれば、他のコンピュータ(すなわち、端末11、メールサーバ12及び生成AIサーバ14のうちいずれかまたは複数)を含まないものであってもよい。その場合には、情報処理システムは、これらのコンピュータと通信することによって本明細書に記載される機能を実現するか、または、これらのコンピュータ(たとえばメールサーバ12または生成AIサーバ14)の機能を含んで動作してもよい。
【0105】
以上に記載した実施例では、返信案生成支援サーバ13は電子メールに対する要約および返信案を生成するための情報処理装置であるが、返信案を生成せず、要約の生成のみを行うよう構成することも可能であり、逆に、要約を生成せず、返信案の生成のみを行うよう構成することも可能である。
【0106】
また、以上に記載した実施例は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜修正または変更が可能であり、本発明は上記の実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0107】
1 情報処理システム
11 端末
12 メールサーバ
13 返信案生成支援サーバ
14 生成AIサーバ
21 制御部
22 記憶装置
23 通信装置
24 入力装置
25 出力装置
41 返信支援GUI
NW ネットワーク
【要約】
【課題】電子メールに対する返信案の生成を自動的に行い、ユーザの業務効率化を実現するための情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システムは、第1電子メールに関し、個人端末から送信された返信案生成命令を受信し、前記第1電子メール及び当該第1電子メールに関連する第2電子メールを取得し、前記第1電子メール及び前記第2電子メールに基づき、前記第1電子メールに対する返信案を生成し、前記返信案を前記個人端末に送信する。
【選択図】
図3