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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】クレーンゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/30 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024086717
(22)【出願日】2024-05-29
【審査請求日】2024-06-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)2024年2月28日 月刊アミューズメント・ジャーナル 2024年3月号へ掲載 (2)2024年4月25日~2024年5月7日 ノースポート・モール6F サープラ横浜あそびタウン(神奈川県横浜市都筑区中川中央1-25-1)にて、テスト機の展示およびテスト使用
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520313242
【氏名又は名称】スタンバイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147393
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 一基
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博之
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-185127(JP,A)
【文献】特開昭63-296781(JP,A)
【文献】ユウヤ師[Yuya-Shi],「千手観音みたいなクレーンゲームが凄すぎるwwww #shorts #クレーンゲーム」,YouTube[online][video],日本,Google LLC,2023年01月01日,0:00-0:52,<https://www.youtube.com/watch?v=7jX-9iGt1hU>,[2024年07月23日検索]
【文献】株式会社サードプラネット,「近畿最大級のクレーンゲーム台数&世界に2台しかない!話題の「10本クレーンゲーム機」が登場!」,PR TIMES,日本,株式会社PR TIMES,2022年11月01日,pp.1-5,インターネット<URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000062298.html>,[2024年07月23日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00- 9/20, 9/26-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉止されるプレイ空間が内部に形成される筐体部内に配置されており、基部を起点に回動して先端が開閉する複数のアーム部をそれぞれ有する3つ以上の把持部と、
前記プレイ空間の第1水平方向に沿って延びており、3つ以上の前記把持部が設けられる水平バーと、
前記水平バーを上下方向に移動させる上下駆動部と、
前記上下駆動部および前記水平バーを前記第1水平方向および前記上下方向とは略垂直である第2方向に移動させる前後駆動部と、
前記アーム部を開閉する開閉駆動部、前記上下駆動部および前記前後駆動部の動作を制御する制御部と、
前記プレイ空間の外部に配置されており、前記制御部を介して前記前後駆動部を駆動し、3つ以上の前記把持部の前記第2方向の位置を操作する操作部と、
前記プレイ空間に接続する接続開口と、前記筐体部の外面に形成される景品取出口と、を接続する景品排出通路と、を有し、
前記上下駆動部は、前記水平バーにおける前記第1水平方向の一方の端部である第1端部の近くに第1ワイヤ先端が接続する第1ワイヤ部と、前記水平バーにおける前記第1水平方向の他方の端部である第2端部の近くに第2ワイヤ先端が接続する第2ワイヤ部と、前記第1ワイヤ部および第2ワイヤ部を巻取りおよび引き出し可能であり前記水平バー上方かつ前記第1水平方向に関して前記第1端部および前記第2端部より前記水平バーにおける前記第1水平方向の中心位置の近くに配置してある巻取部と、を有するクレーンゲーム装置。
【請求項2】
前記巻取部は、前記第1ワイヤ部および前記第2ワイヤ部の双方を巻取りおよび引き出し可能な共通駆動部を有する請求項1に記載のクレーンゲーム装置。
【請求項3】
3つ以上の前記把持部の1つである第1把持部と前記第1水平方向の位置が重なる第1検出領域を前記景品排出通路に形成するように設けられ、前記プレイ空間から前記第1検出領域に排出される景品を検出する第1景品排出センサと、
3つ以上の前記把持部の他の1つである第2把持部と前記第1水平方向の位置が重なり前記第1検出領域とは異なる第2検出領域を前記景品排出通路に形成するように設けられ、前記プレイ空間から前記第2検出領域に排出される景品を検出する第2景品排出センサと、を有する請求項1に記載のクレーンゲーム装置。
【請求項4】
前記第1ワイヤ部が挿通する第1挿通孔を有し前記第1ワイヤ部の緩みを検出する第1検出スイッチと、前記第2ワイヤ部が挿通する第2挿通孔を有し前記第2ワイヤ部の緩みを検出する第2検出スイッチと、を有し、
前記制御部は、前記第1検出スイッチおよび前記第2検出スイッチの少なくとも一方の検出結果により、前記上下駆動部による前記水平バーの下降を停止させる請求項1に記載のクレーンゲーム装置。
【請求項5】
前記第1検出スイッチと、前記第2検出スイッチとは、前記水平バーにおける前記第1水平方向の中心位置を基準として一方側と他方側とに前記第1水平方向に関して略対称に配置されている請求項4に記載のクレーンゲーム装置。
【請求項6】
前記第1ワイヤ部が係合する可動プーリを有し前記第1ワイヤ部の緩みを検出する第1検出スイッチと、前記第2ワイヤ部が係合する可動プーリを有し前記第2ワイヤ部の緩みを検出する第2検出スイッチと、を有し、
前記制御部は、前記第1検出スイッチおよび前記第2検出スイッチの少なくとも一方の検出結果により、前記上下駆動部による前記水平バーの下降を停止させる請求項1に記載のクレーンゲーム装置。
【請求項7】
前記開閉駆動部は、前記接続開口の上方においてそれぞれ前記把持部の前記アーム部の先端を開く動作を、3つ以上の前記把持部のうち少なくとも1つと、3つ以上の前記把持部のうち他の少なくとも1つとを、異なるタイミングで行うことを特徴とする請求項1に記載のクレーンゲーム装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記開閉駆動部を制御して前記把持部の把持力を調整可能であり、かつ、3つ以上の前記把持部のうち1つの把持力と、3つ以上の前記把持部のうち他の1つの把持力とを独立して調整可能である請求項1に記載のクレーンゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンを操作して景品を獲得するクレーンゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲーム装置は、プレイ空間内に設置されたクレーンを、プレイ空間外部の操作部を介してプレイヤーが操作することにより、閉止されるプレイ空間内の景品載置領域にある景品を景品落下口まで移動させて獲得する装置である。
【0003】
従来のクレーンゲーム装置では、基本的に所定のプレイヤーは、1つのプレイゾーンに対して1つのクレーン(把持部ともいう)を2次元方向に移動させ、所定の1地点にある景品に狙いを定め、狙った地点の獲得を目指すものである(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来のクレーンゲーム装置では、原則的に1つのプレイゾーンに対して1つのクレーンを操作するため、プレイゾーンの1か所についてしか景品の獲得を狙うことができず、獲得可能な最大景品数が大きくなく、振れ幅の大きい成功を発生させることが難しいという問題がある(特許文献1)。また、仮に多数のクレーンを同時に動作させようとすると、クレーンをバランスよく動作させることが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-164317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、獲得可能な最大景品数を大きくするとともに、バランスよく把持部を動作させられるクレーンゲーム装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクレーンゲーム装置は、
閉止されるプレイ空間が内部に形成される筐体部内に配置されており、基部を起点に回動して先端が開閉する複数のアーム部をそれぞれ有する3つ以上の把持部と、
前記プレイ空間の第1水平方向に沿って延びており、3つ以上の前記把持部が設けられる水平バーと、
前記水平バーを上下方向に移動させる上下駆動部と、
前記上下駆動部および前記水平バーを前記第1水平方向および上下方向とは略垂直である第2方向に移動させる前後駆動部と、
前記アーム部を開閉する開閉駆動部、前記上下駆動部および前記前後駆動部の動作を制御する制御部と、
前記プレイ空間の外部に配置されており、前記制御部を介して前記前後駆動部を駆動し、3つ以上の前記把持部の前記第2方向の位置を操作する操作部と、
前記プレイ空間に接続する接続開口と、前記筐体部の外面に形成される景品取出口と、を接続する景品排出通路と、を有し、
前記上下駆動部は、前記水平バーにおける前記第1水平方向の一方の端部である第1端部の近くに第1ワイヤ先端が接続する第1ワイヤ部と、前記水平バーにおける前記第1水平方向の他方の端部である第2端部の近くに第2ワイヤ先端が接続する第2ワイヤ部と、前記第1ワイヤ部および第2ワイヤ部を巻取りおよび引き出し可能であり前記水平バー上方かつ前記第1水平方向に関して前記第1端部および前記第2端部より前記水平バーにおける前記第1水平方向の中心位置の近くに配置してある巻取部を有する。
【0008】
本発明に係るクレーンゲーム装置では、3つ以上の把持部を有しており、それがプレイ空間の幅方向である第1方向に沿って延びる水平バーに沿って設けられている。このようなクレーンゲーム装置では、多数の把持部により、プレイ空間における多数のポイントでの景品獲得を同時に行うことができるため、獲得可能な最大景品数が多く、大量獲得のような振れ幅の大きい成功を発生させることが可能である。また、上下駆動部は、第1水平方向に延びる水平バーを、第1端部の近くに接続する第1ワイヤ部と、第2端部の近くに接続する第2ワイヤ部を用いて上下動させることにより、アーム部が景品やプレイフィールド等に接触した際の力を適切に受け流しつつ、バランスよく把持部および水平バーを上下動させることができる。また、上下駆動部は、水平バーの中央付近に配置してあり第1ワイヤ部と第2ワイヤ部とを巻取りおよび引き出し可能な巻取部を有するため、振動や揺れなどによる重心バランスの悪化を防ぐとともに、巻取部のメンテナス性を向上させることができる。
【0009】
また、前記巻取部は、前記第1ワイヤ部および前記第2ワイヤ部の双方を巻取りおよび引き出し可能な共通駆動部を有していてもよい。
【0010】
このような巻取部を有する上下駆動部は、シンプルな機構で正確かつ信頼性の高い上下動作を実現することができ、かつ、メンテナンス性も良好である。
【0011】
また、たとえば、本発明に係るクレーンゲーム装置は、3つ以上の前記把持部の1つである第1把持部と前記第1水平方向の位置が重なる第1検出領域を前記景品排出通路に形成するように設けられ、前記プレイ空間から前記第1検出領域に排出される景品を検出する第1景品排出センサと、
3つ以上の前記把持部の他の1つである第2把持部と前記第1水平方向の位置が重なり前記第1検出領域とは異なる第2検出領域を前記景品排出通路に形成するように設けられ、前記プレイ空間から前記第2検出領域に排出される景品を検出する第2景品排出センサと、を有してもよい。
【0012】
このようなクレーンゲーム装置では、第1把持部に対応して第1景品排出センサが設けられており、第2把持部に対応して第2景品排出センサが設けられているため、たとえば、どの把持部で景品が獲得されたかを識別可能である。したがって、このようなクレーンゲーム装置では、把持部ごとに獲得対称となる景品を異ならせるような場合において、プレイヤーによって獲得された景品の種類と数を認識することができる。
【0013】
また、たとえば、前記第1ワイヤ部が挿通する第1挿通孔を有し前記第1ワイヤ部の緩みを検出する第1検出スイッチと、前記第2ワイヤ部が挿通する第2挿通孔を有し前記第2ワイヤ部の緩みを検出する第2検出スイッチと、を有してもよく、
前記制御部は、前記第1検出スイッチおよび前記第2検出スイッチの少なくとも一方の検出結果により、前記上下駆動部による前記水平バーの下降を停止させてもよい。
【0014】
このようなクレーンゲーム装置によれば、第1検出スイッチおよび第2検出スイッチの挿通孔からワイヤ部が逸脱することがないため、アームが景品に接触するなどして第1ワイヤ部または第2ワイヤ部が緩んだ場合において、安全かつ確実に水平バーの下降を停止することができる。
【0015】
また、たとえば、前記第1検出スイッチと、前記第2検出スイッチとは、前記水平バーにおける前記第1水平方向の中心位置を基準として一方側と他方側とに前記第1水平方向に関して略対称に配置されていてもよい。
【0016】
第1検出スイッチと第2検出スイッチを対称に配置することにより、把持部と景品との接触に伴うワイヤ部の緩みを精度良く検出することが可能であり、このようなクレーンゲーム装置は、水平バーの下降を、より適切なタイミングで停止することができる。
【0017】
また、たとえば、前記第1ワイヤ部が係合する可動プーリを有し前記第1ワイヤ部の緩みを検出する第1検出スイッチと、前記第2ワイヤ部が係合する可動プーリを有し前記第2ワイヤ部の緩みを検出する第2検出スイッチと、を有し、
前記制御部は、前記第1検出スイッチおよび前記第2検出スイッチの少なくとも一方の検出結果により、前記上下駆動部による前記水平バーの下降を停止させてもよい。
【0018】
可動プーリを用いる第1および第2検出スイッチは、予期しない急激なワイヤ部の緩みが発生しない限りはワイヤ部の緩みを適切に検出することが可能であり、制御部は、水平バーの下降を適切なタイミングで停止することができる。
【0019】
また、たとえば、前記開閉駆動部は、前記接続開口の上方においてそれぞれ前記把持部の前記アーム部の先端を開く動作を、3つ以上の前記把持部のうち少なくとも1つと、3つ以上の前記把持部のうち他の少なくとも1つとを、異なるタイミングで行ってもよい。
【0020】
このようなクレーンゲーム装置では、複数の把持部で同時に景品を獲得できた場合においても、アーム部が開くタイミングをずらすことにより、景品排出通路で獲得した景品が引っ掛かる問題を防止できる。また、把持部が全て同時に開くのではなくタイミングをずらすことにより、景品排出センサが景品を検出するタイミングを把持部ごとに異ならせることができるため、このようなクレーンゲーム装置では、複数の把持部で同時に景品を獲得できた場合においても、どの把持部で景品を獲得したかを識別することが可能である。
【0021】
また、たとえば、前記制御部は、前記開閉駆動部を制御して前記把持部の把持力を調整可能であり、かつ、3つ以上の前記把持部のうち1つの把持力と、3つ以上の前記把持部のうち他の1つの把持力とを独立して調整可能であってもよい。
【0022】
このようなクレーンゲーム装置では、たとえば把持部ごとに獲得対称となる景品を異ならせるような場合において、景品の重量などに応じた適切な把持力を、把持部ごとに個別に設定することができる。また、価値が高い景品を獲得対称とする把持部については把持力を弱くして獲得確率を抑制するとともに、価値が低い景品を獲得対称とする把持部については把持力を強くして獲得確率を向上させることで、価値の異なる景品を多数フィールドに配置しつつ、1プレイあたりで獲得できる景品価値の期待値を、適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るクレーンゲーム装置の外観斜視図である。
図2図2は、図1に示すクレーンゲーム装置を前面側から見た正面図である。
図3図3は、図1に示すクレーンゲーム装置を側面側から見た第1の側面図である。
図4図4は、図1に示すクレーンゲーム装置を側面側から見た第2の側面図である。
図5図5は、図1に示すクレーンゲーム装置を側面側から見た第3の側面図である。
図6図6は、図1に示すクレーンゲーム装置における把持部、水平バーおよび上下駆動部等を拡大した部分拡大図である。
図7図7は、図6に示す上下駆動部における巻取部周辺を拡大した部分拡大図である。
図8図8は、図1に示すクレーンゲーム装置における第1検出スイッチおよび第2検出スイッチの動作を説明する概念図である。
図9図9は、図1に示すクレーンゲーム装置における景品排出通路および景品排出センサ周辺を拡大した部分拡大図である。
図10図10は、図1に示すクレーンゲーム装置における制御部の機能を説明するブロック図である。
図11図11は、図1に示すクレーンゲーム装置におけるプレイ空間の底面の区分けの一例を示す概念図である。
図12図12は、第1変形例に係る巻取部を搭載したクレーンゲーム装置における把持部、水平バーおよび上下駆動部等を拡大した部分拡大図である。
図13図13は、第2変形例に係る検出スイッチの構造を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るクレーンゲーム装置10の概略斜視図である。図1に示すように、クレーンゲーム装置10は、略矩形の筐体部20を有する。筐体部20の内部には、プレイ空間21が形成されている。プレイ空間21は、筐体部20の一部を構成する透明のスライド扉部24などによって閉止されている。
【0025】
クレーンゲーム装置10は、筐体部20内のプレイ空間21に配置されており、プレイ空間21に配置される景品を掴むことができる3つ以上の把持部30を有する。実施形態に係るクレーンゲーム装置10において、3つ以上の把持部30は、第1把持部30a、第2把持部30b、第3把持部30c、第4把持部30d、第5把持部30eの5つの把持部で構成される。
【0026】
図2は、図1に示すクレーンゲーム装置10の正面図である。図1および図2において第1把持部30aおよび第5把持部30eを用いて示すように、第1~第5把持部30a~30eは、基部31aを起点に回動して先端31bが開閉する複数(実施形態では3つ)のアーム部31をそれぞれ有する。図1図6等では、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31は、先端31bが開いたアーム部開状態となっている。しかし、後述するように、クレーンゲーム装置10では、第1~第5把持部30a~30eが下降した際(図3等参照)、それぞれの第1~第5把持部30a~30eが有するアーム部31は、先端31bが閉じたアーム部閉状態となり、第1~第5把持部30a~30eは、プレイ空間21内に設置される景品を把持することが可能である。
【0027】
すなわち、第1~第5把持部30a~30eは、アーム部31の先端31bを開閉する開閉駆動部32a~32e(図6および図10参照)を有する。開閉駆動部32a~32eは、図6に示すように、アーム部31の基部31aに間接的に接続するように、把持部30a~30eにおけるアーム部31の基部31aの近くに配置される。開閉駆動部32a~32eは、ソレノイドを有する開閉駆動部32a~32eによって複数のアーム部31を開閉するソレノイド型であってもよく、回転モーターを有する開閉駆動部によって複数のアーム部31を開閉するモーター型であってもよく、第1~第5把持部30a~30eが有する開閉駆動部32a~32eのタイプは、特に限定されない。
【0028】
図1および図2に示すように、クレーンゲーム装置10は、プレイ空間21の幅方向である第1水平方向D1に沿って延びており、3つ以上の把持部30が設けられる水平バー40を有する。図1および図2に示すクレーンゲーム装置10では、第1~第5把持部30a~30eが、第1水平方向D1に沿って一列に配置されている。なお、プレイ空間21の幅方向である第1水平方向D1は、図2に示すようにクレーンゲーム装置10を正面から見た場合における左右方向である。水平バー40は、第1水平方向D1に延びる棒状の部材で構成されるが、第1水平方向D1に延びる板状、格子状その他の形状であっても構わない。
【0029】
第1~第5把持部30a~30eは、第1~第5把持部30a~30eの各アーム部31が水平バー40から下方に延びるように、水平バー40に対して吊設されている。また、3つ以上の把持部30を構成する第1~第5把持部30a~30eは、略等間隔で第1水平方向D1に沿って配置されている。さらに、3つ以上の把持部30を構成する第1~第5把持部30a~30eは、水平バー40に設置される位置が異なるだけで、互いに同様のものである。
【0030】
ただし、クレーンゲーム装置10の3つ以上の把持部30としては、同様の第1~第5把持部30a~30eを第1水平方向D1に沿って等間隔に配置するもののみには限定されない。たとえば、3つ以上の把持部30のなかには、大きさやアーム部31の本数が互いに異なる把持部が含まれていてもよく、第1~第5把持部30a~30eの間隔も不均一であってもよく、2列以上の複数列に配置されていてもよい。なお、後述するように、クレーンゲーム装置10が有する第1~第5把持部30a~30eは、ハードウェアとしては互いに同様であるが、ソフトウェアによる制御の少なくとも一部を、それぞれの把持部30a~30eごとに独立して行うことができる。これにより、クレーンゲーム装置10の制御部66(図10参照)は、各把持部30a~30eの把持力を、それぞれの把持部30a~30eごとに個別に調整することができる。
【0031】
図3図5は、クレーンゲーム装置10を左側方から見た第1~第3の側面図である。図3図5は、いずれもクレーンゲーム装置10の左側面図であるが、水平バー40および把持部30が互いに異なる状態を、それぞれ表している。図5に示す第3の側面図は、水平バー40および把持部30が上昇位置であって、かつ、景品排出通路70における接続開口72の直上の位置である第1の位置(P1)にある状態を表している。図4に示す第2の側面図は、水平バー40および把持部30が上昇位置であって、かつ、景品設置面26上の位置である第2の位置(P2)にある状態を表している。図3に示す第3の側面図は、水平バー40および把持部30が下降位置であって、かつ、景品設置面26上の位置である第3の位置(P3)にある状態を表している。なお、図3では、景品設置面26上の景品を表示していないため、水平バー40および把持部30が空中で停止しているように見えるが、後述するように、水平バー40および把持部30の下降は、把持部30が景品または景品設置面26に接触することにより停止する。
【0032】
図5および図4に示すように、クレーンゲーム装置10は、水平バー40および第1~第5把持部30a~30eをプレイ空間21の奥行方向である第2方向D2に移動させる前後駆動部64を有する。前後駆動部64は、プレイ空間21の天井部分に設けられており、水平バー40と略平行であり第2方向D2に移動する可動梁部64aや、可動梁部64aの移動をガイドするガイド部や駆動機構(不図示)等を有する。前後駆動部64が有する駆動機構としては、駆動モーターや駆動ベルトなどを組み合わせたものが例示されるが、特に限定されない。なお、プレイ空間21の奥行方向である第2方向D2は、図3図5に示すように、クレーンゲーム装置10を正面から見た場合における前後方向(奥行方向)である。第1水平方向D1と第2方向D2とは互いに垂直であり、第1水平方向D1および第2方向D2は、いずれも上下方向D3に対して略垂直である。
【0033】
図4および図3に示すように、クレーンゲーム装置10は、水平バー40および第1~第5把持部30a~30eをプレイ空間21の上下方向D3に移動させる上下駆動部50を有する。上下駆動部50は、水平バー40に対して上方から接続する第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52や、前後駆動部64の可動梁部64aに設けられる巻取部53(図6参照)等を有する。
【0034】
図6は、図1に示すクレーンゲーム装置における把持部30、水平バー40および可動梁部64a内に少なくとも一部が設けられる上下駆動部50等を拡大した部分拡大図である。図6に示すように、上下駆動部50は、第1ワイヤ部51、第2ワイヤ部52および巻取部53等を有する。第1ワイヤ部51の先端である第1ワイヤ先端51aは、水平バー40における第1水平方向D1の一方の端部である第1端部40bの近くに接続する。第1ワイヤ部51のワイヤ基端は、巻取部53の内部に接続している。
【0035】
一方、第2ワイヤ部52の先端である第2ワイヤ先端52aは、水平バー40における第1水平方向D1の他方の端部である第2端部40cの近くに接続する。第2ワイヤ部52のワイヤ基端は、第1ワイヤ部51のワイヤ基端と同様に、巻取部53の内部に接続している。なお、第1ワイヤ部51と第2ワイヤ部52とは独立した別個のワイヤで構成されていてもよいが、第1ワイヤ部51と第2ワイヤ部52のワイヤ基端同士が巻取部53内で接続する一本のワイヤで構成されていてもよい。
【0036】
第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52のワイヤ基端が接続する巻取部53は、水平バー40の上方かつ第1水平方向D1に関して第1端部40bおよび第2端部40cより水平バー40における第1水平方向D1の中心位置40aの近くに配置してある。巻取部53は、図示しないリール部およびリール部を回転駆動するモーター等を有しており、第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52を巻取りおよび引出可能である。
【0037】
上下駆動部50は、第1ワイヤ先端51aが水平バー40に接続する位置の直上であって、巻取部53と同じ高さに配置してある滑車58aを有する。第1ワイヤ部51は、滑車58aに係合する。第1ワイヤ部51は、巻取部53から、第1水平方向D1にある滑車58aを経由して、水平バー40の第1端部40bの近くに接続する。また、上下駆動部50は、第2ワイヤ先端52aが水平バー40に接続する位置の直上であって、巻取部53と同じ高さに配置してある滑車58bを有する。第2ワイヤ部52は、滑車58bに係合する。第2ワイヤ部52は、巻取部53から、第1水平方向D1にある滑車58bを経由して、水平バー40における第2端部40cの近くに接続する。
【0038】
巻取部53は、第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52の双方を巻取りおよび引出可能な共通駆動部としての回転モーターを有する。巻取部53が共通駆動部を有することにより、シンプルな制御および構造で、第1ワイヤ部51と第2ワイヤ部52とをバランスよく巻取りおよび引き出しすることが可能である。たとえば、巻取部53の共通駆動部が第1の方向に回転することにより、巻取部53のリールに第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52が巻き取られ、水平バー40および把持部30が上昇する。一方、巻取部53の共通駆動部が第1の方向とは逆方向の第2の方向に回転することにより、巻取部53のリールから第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52が引き出され、水平バー40および把持部30が下降する。
【0039】
図7は、図6に示す上下駆動部50における巻取部53周辺を拡大した部分拡大図である。クレーンゲーム装置10は、第1ワイヤ部51の緩みを検出する第1検出スイッチ56と、第2ワイヤ部52の緩みを検出する第2検出スイッチ57とを有する。第1検出スイッチ56と第2検出スイッチ57とは、巻取部53を挟んで第1水平方向D1の一方側と他方側とに配置されている。
【0040】
図7に示すように、第1検出スイッチ56は、第1ワイヤ部51が挿通する第1挿通孔56aを有する。第1検出スイッチ56において、第1挿通孔56aが形成される第1可動部56bは、不図示のバネなどの力により上方へ付勢されている一方で、第1可動部56bは、緩みなく水平方向に延びる第1ワイヤ部51により上方への移動が規制されている。また、第2検出スイッチ57は、第2ワイヤ部52が挿通する第2挿通孔57aを有する。第2検出スイッチ57において、第2挿通孔57aが形成される第2可動部57bは、不図示のバネなどの力により上方へ付勢されている一方で、第2可動部57bは、緩みなく水平方向に延びる第2ワイヤ部52により上方への移動が規制されている。
【0041】
図8は、図7に示すクレーンゲーム装置10において、第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52に緩みが生じた状態を表している。第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52の緩みは、図3等に示す把持部30が上下駆動部50により下降することで景品設置面26または景品設置面26に配置される景品に接触し、把持部30および水平バー40の下方への移動が妨げられたときなどに生じる。
【0042】
図8に示すように、クレーンゲーム装置10において、第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52に緩みが生じると、第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52が第1可動部56bおよび第2可動部57bの上昇を規制する力が失われる。そうすると、第1可動部56bおよび第2可動部57bは、矢印59で示す付勢方向である上方に移動する。第1検出スイッチ56および第2検出スイッチ57は、第1可動部56bおよび第2可動部57bが上方へ移動すると、制御部66(図10参照)へ検出信号を送信し、第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52の緩みを検出する。
【0043】
図10に示すクレーンゲーム装置10の制御部66は、第1検出スイッチ56および第2検出スイッチ57の少なくとも一方の検出結果により、上下駆動部50による水平バー40および把持部30の下降動作、すなわち、巻取部53による第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52の引出動作を停止させる。これにより、制御部66は、景品設置面26に置かれる景品の量および大きさにかかわらず、把持部30のアーム部31が景品に接触する適切な位置で、上下駆動部50による水平バー40の下降を停止させることができる。
【0044】
図7および図8に示すように、第1検出スイッチ56と第2検出スイッチ57とは、水平バー40における第1水平方向D1の中心位置40aを基準として一方側と他方側とに、第1水平方向D1に関して略対称に配置されている。第1検出スイッチ56と第2検出スイッチ57とを、中心位置40aに配置される巻取部53を挟んで第1水平方向D1に関して対称に配置することで、第1ワイヤ部51と第2ワイヤ部52の緩みの発生を、バランスよく検出することができる。
【0045】
図10は、クレーンゲーム装置10における制御部66の機能を説明するブロック図である。制御部66は、演算部や記憶部を有しており、操作部60、決定操作部62、第1検出スイッチ56、第2検出スイッチ57等からの入力信号に応じて、開閉駆動部32a~32e、上下駆動部50および前後駆動部64等の動作を制御する。
【0046】
図1に示すように、クレーンゲーム装置10は、プレイ空間21の外部に配置されており、図10に示す制御部66を介して前後駆動部64を駆動し、3つ以上の把持部30の第2方向D2の位置(図4および図5参照)を操作する操作部60を有する。操作部60としては、方向ボタン、操作レバーなどが挙げられるが、操作部60の具体的な形態は特に限定されない。
【0047】
また、クレーンゲーム装置10は、操作部60に加えて、操作部60に隣接して設けられる決定操作部62を有する。クレーンゲーム装置10のプレイヤーは、操作部60を用いて把持部30を第2方向D2における好みの位置に移動させたのち、ボタン等で構成される決定操作部62を操作する。決定操作部62による入力信号が制御部66に送られると、制御部66は、上下駆動部50による水平バー40および把持部30の下降動作を開始させる。図1に示すように、操作部60および決定操作部62は、クレーンゲーム装置10の筐体部20の外面における前面23側に設けられる。
【0048】
プレイヤーが操作部60および決定操作部62を操作すると、その操作信号は、図10に示す制御部66に伝えられる。なお、操作部60と決定操作部62は、互いに分離していてもよいが、一体となっていてもよい。たとえば、1つの操作レバーや入力ボタンにより操作部60および決定操作部62が具現化されていてもよい。その場合、制御部66は、操作信号の入力が継続している場合は前後駆動部64を動作させ、操作信号の入力が途絶えると前後駆動部64の動作を停止するとともに上下駆動部50の動作を開始することができる。
【0049】
図1および図3等に示すように、クレーンゲーム装置10は、第1~第5把持部30a~30eにより獲得された景品を景品取出口74まで排出する景品排出通路70を有する。プレイ空間21の底部は、クレーンゲーム装置10における獲得対象となる景品を設置する景品設置面26と、景品排出通路70に通じる接続開口72とを有する。景品設置面26は第2方向D2に関して後側の領域に形成され、接続開口72は第2方向D2に関して前側の領域に形成される。景品設置面26と接続開口72との間には、景品設置面26の景品が接続開口72へ滑り落ちることを防止する仕切板68が設けられていてもよい。
【0050】
クレーンゲーム装置10の景品排出通路70は、プレイ空間21に連通する接続開口72と、筐体部20の外面に形成される景品取出口74とを接続する。第1~第5把持部30a~30eの動作等によって獲得された景品は、景品排出通路70を介してプレイ空間21の外部へ排出され、プレイヤーが景品を受け取ることができるように景品取出口74まで移動する。実施形態に示すクレーンゲーム装置10では、景品取出口74は、筐体部20の外面における前面23下部であって、操作部60の下方に設けられているが、景品取出口74の配置は、図1等に示す例のみには限定されない。
【0051】
図9は、クレーンゲーム装置10における景品排出通路70および景品排出センサ周辺を拡大した部分拡大図である。なお、図9では、景品設置面26と接続開口72との間に、図1等に示す仕切板68の代わりに景品載置台68aが設けられている状態を表している。図9に示すように、クレーンゲーム装置10は、フレイ空間20から景品排出通路70に排出される景品を検出する景品排出センサを有する。図9に示すように、景品排出センサは、第1景品排出センサ81aと、第2景品排出センサ81bと、第3景品排出センサ81cと、第4景品排出センサ81dと、第5景品排出センサ81eとを有する。
【0052】
図11は、図9等に示すクレーンゲーム装置10におけるプレイ空間21の底部の区分けの一例を示す概念図である。図11に示すように、第1景品排出センサ81aは、プレイ空間21から第1検出領域82aに排出される景品を検出し、第2景品排出センサ81bは、プレイ空間21から第2検出領域82bに排出される景品を検出する。図10および図11に示す第1景品排出センサ81aは、3つ以上の把持部30の1つである第1把持部30a(図1および図2参照)と前記第1水平方向D1の位置が重なる第1検出領域82aを、接続開口72付近に形成する。
【0053】
また、図10および図11に示す第2景品排出センサ81bは、3つ以上の把持部30の1つである第2把持部30b(図1および図2参照)と第1水平方向D1の位置が重なる第2検出領域82bを、接続開口72付近に形成する。第3景品排出センサ81c、第4景品排出センサ81d、第5景品排出センサ81eについても同様に、第3把持部30c、第4把持部30d、第5把持部30eに対応する第3検出領域82c、第4検出領域82d、第5検出領域82eをそれぞれ形成する。
【0054】
図9に示す第1~第5景品排出センサ81a~81eは、たとえば発光部と受光部を有する光学センサなどで構成され、受光部の検出値の変化から各検出領域82a~82eを景品が通過したことを検出する。第1~第5景品排出センサ81a~81eの検出結果は、制御部66(図10参照)に伝えられる。このような第1~第5景品排出センサ81a~81eを有するクレーンゲーム装置10は、第1~第5把持部30a~30eのうち、どの把持部で景品が獲得されたかを、区別して認識することができる。
【0055】
また、クレーンゲーム装置10では、第1~第5把持部30a~30eが第2方向D2および上下方向のみに移動し、第1水平方向D1には移動しない。したがって、クレーンゲーム装置10では、図11に示すように、景品設置面26がその場所の景品を獲得可能な第1~第5把持部30a~30eに対応する第1~第5領域26a~26eに区画されていてもよく、それぞれの区画には、互いに異なる景品が置かれていてもよい。このような場合、第1~第5景品排出センサ81a~81eを有するクレーンゲーム装置10では、第1~第5領域26a~26eのうちどの区画に置かれた景品がプレイヤーに獲得されたかを、制御部66が認識することができる。
【0056】
クレーンゲーム装置10は、たとえばプレイヤーによる操作を介して、以下のような動作を行う。すなわち、クレーンゲーム装置10をプレイするプレイヤーは、クレーンゲーム装置10に対してコイン等を投入して、プレイを開始する。図10に示す制御部66は、コインが投入された旨の信号を受け取るとプレイを開始し、操作部60および決定操作部62からの入力信号の受け付けを開始する。
【0057】
プレイ開始時において、水平バー40および把持部30は図5に示す第1の位置P1にある。また、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31は、先端31bが開いたアーム部開状態となっている。制御部66は、プレイ開始後に操作部60から操作信号が入力されると、それに応じて前後駆動部64を駆動し、水平バー40および第1~第5把持部30a~30eを第2方向D2に移動させる。これにより、水平バー40および第1~第5把持部30a~30eは、図4に示すように、景品設置面26上の位置(第2の位置P2)に移動する。
【0058】
さらに、制御部66は、決定操作部62から操作信号が入力されると、前後駆動部64による第2方向D2の移動を終了させる。また、制御部66は、図6等に示す上下駆動部50を駆動し、水平バー40および第1~第5把持部30a~30eを、景品設置面26上の位置(第2の位置P2)から下降させる。より具体的には、上下駆動部50の巻取部53が、第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52を引き出し、図3に示すように水平バー40および第1~第5把持部30a~30eを下降させる。
【0059】
上下駆動部50により水平バー40および第1~第5把持部30a~30eが下降を続けると、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31が景品または景品設置面26に接触して下降が妨げられ、図8に示すように第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52のうち少なくとも一方(または両方)に緩みが生じる。そうすると、巻取部53の両側に設けられる第1および第2検出スイッチ56、57が第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52の緩みを検出して制御部66へ信号を送る。信号を受け取った制御部66は、上下駆動部50の駆動を制御し、水平バー40および第1~第5把持部30a~30eの下降を停止させる。
【0060】
次に、図10に示す制御部66は、第1~第5把持部30a~30eの開閉駆動部32a~32eを駆動し、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31の先端31bを閉じる動作を行わせる。さらに、制御部66は、上下駆動部50および前後駆動部64を駆動し、水平バー40および第1~第5把持部30a~30eを、図4に示す第2の位置(P2)を経由し、図5に示す景品排出通路70における接続開口72の直上の位置である第1の位置(P1)まで移動させる。制御部66は、第1~第5把持部30a~30eが下降位置から第1の位置(P1)まで移動する間、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31は閉状態に維持される。ただし、制御部66は、移動中において、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31の把持力を変化させてもよい。
【0061】
水平バー40および第1~第5把持部30a~30eを接続開口72の直上の位置である第1の位置(P1)まで移動させた後、制御部66は、第1~第5把持部30a~30eの開閉駆動部32a~32eを駆動し、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31の先端31bを開く動作を行わせる。第1~第5把持部30a~30eが景品を把持している場合、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31が開くことによりアーム部31から景品が落下し、接続開口72から景品排出通路70を通り、景品取出口74まで移動する。
【0062】
景品が接続開口72から景品排出通路70を通る際、図9および図10に示す第1~第5景品排出センサ81a~81eが景品の通過を検出し、検出結果を制御部66に伝える。なお、クレーンゲーム装置10の開閉駆動部32a~32eは、接続開口72の上方(第1の位置P1)においてそれぞれの第1~第5把持部30a~30eのアーム部31の先端31bを開く動作を、第1~第5把持部30a~30eのうち少なくとも1つと、第1~第5把持部30a~30eのうち他の少なくとも1つとを、異なるタイミングで行ってもよい。たとえば、開閉駆動部32a~32eは、最初に中央の第3把持部30cのアーム部31を開き、やや遅れて(例えば0.1~1.0秒程度遅れて)第2把持部30bおよび第4把持部30dのアーム部31を開き、さらにやや遅れて(例えば0.1~1.0秒程度遅れて)第1把持部30aおよび第5把持部30eのアーム部31を開いてもよい。
【0063】
このように、第1~第5把持部30a~30eのアーム部31を開くタイミングをずらすことにより、景品が斜めに落下して対応する場所とは異なる隣の第1~第5検出領域82a~82dを通過する場合や、2つの第1~第5検出領域82a~82dを跨いで通過したような場合にでも、クレーンゲーム装置10は、いずれの第1~第5把持部30a~30eにより景品の獲得がなされたのかを、正しく判断することができる。なお、第1~第5把持部30a~30eの一部または全部のアーム部31は、同時に開かれてもよいが、景品判別の観点では、少なくとも隣接する第1~第5把持部30a~30eについては、異なるタイミングで開くことが好ましい。
【0064】
以上のように、図10等に示すクレーンゲーム装置10の制御部66は、開閉駆動部32a、32b、32c、32d、32e、上下駆動部50、前後駆動部64等の動作を制御して、景品獲得を目指すプレイを、プレイヤーに対して提供する。また、クレーンゲーム装置10の制御部66には、操作部60、決定操作部62、第1検出スイッチ56、第2検出スイッチ57、第1~第5景品排出センサ81a~81eからの信号が入力する。
【0065】
図10に示す制御部66は、第1~第5把持部30a~30eの開閉駆動部32a~32eを制御して、上述した景品獲得動作時における第1~第5把持部30a~30eの把持力(アーム部31が景品を掴む力)を調整可能であってもよい。また、制御部66は、第1~第5把持部30a~30eのうち1つの把持力と、第1~第5把持部30a~30eのうち他の1つの把持力とを独立して調整することが可能であってもよい。
【0066】
制御部66が第1~第5把持部30a~30eごとに把持力を独立に調整可能であることにより、図11に示す景品設置面26の第1~第5領域26a~26eに、第1~第5領域26a~26eごとに大きさや重さが異なる景品を配置した場合にでも、アーム部31が適切な景品獲得動作を実現できる。また、このような制御部66は、第1~第5把持部30a~30eごとに把持力(把持力が変化する確率を含む)を独立に調整して、第1~第5領域26a~26eごとに異なる景品獲得難易度(景品獲得確率)を設定することができる。なお、開閉駆動部32a~32eによる把持力の調整方法は特に限定されないが、たとえば、開閉駆動部32a~32eがソレノイド式である場合はソレノイドの電圧(電流)値、モーター式である場合は、モーターの回転量等で調整される。
【0067】
このように、クレーンゲーム装置10は、3つ以上の把持部30を有しており、それがプレイ空間21の幅方向である第1水平方向D1に沿って延びる水平バー40に沿って設けられている。このようなクレーンゲーム装置10では、多数の把持部30a~30eにより、プレイ空間21における多数のポイントでの景品獲得を同時に行うことができるため、獲得可能な最大景品数が多く、大量獲得のような振れ幅の大きい成功を発生させることが可能である。また、上下駆動部50は、第1水平方向D1に延びる水平バー40を、第1端部40bの近くに接続する第1ワイヤ部51と、第2端部40cの近くに接続する第2ワイヤ部52を用いて上下動させることにより、アーム部31が景品や景品設置面26等に接触した際の力を適切に受け流しつつ、バランスよく把持部30a~30eおよび水平バー40を上下動させることができる。また、上下駆動部50は、水平バー40の中央付近に配置してあり第1ワイヤ部51と第2ワイヤ部52とを巻取りおよび引き出し可能な巻取部53を有するため、振動や揺れなどによる重心バランスの悪化を防ぐとともに、巻取部53のメンテナス性を向上させることができる。
【0068】
また、クレーンゲーム装置10の巻取部53は、第1ワイヤ部51および第2ワイヤ部52の双方を巻取りおよび引出可能な共通駆動部としての回転モーターを有する。巻取部53が共通駆動部を有することにより、シンプルな制御および構造で、第1ワイヤ部51と第2ワイヤ部52とをバランスよく巻取りおよび引き出しすることが可能である。さらに、クレーンゲーム装置10によれば、第1検出スイッチ56および第2検出スイッチ57の第1および第2挿通孔56a、57aから第1および第2ワイヤ部51、52が逸脱することがないため、アーム部31が景品に接触するなどして第1ワイヤ部51または第2ワイヤ部52が緩んだ場合において、安全かつ確実に水平バー40の下降を停止することができる。
【0069】
また、クレーンゲーム装置10では、第1検出スイッチ56と第2検出スイッチ57を第1水平方向D1に関して巻取部53挟んで対称に配置することにより、把持部30a~30eと景品との接触に伴うワイヤ部51、52の緩みを精度良く検出することが可能であり、このようなクレーンゲーム装置10は、水平バー40の下降を、より適切なタイミングで停止することができる。
【0070】
以上、実施形態を挙げてクレーンゲーム装置10について説明してきたが、本発明に係るクレーンゲーム装置は、上述したクレーンゲーム装置10のみには限定されず。他の多くの実施形態や変形例を有することは言うまでもない。たとえば、水平バー40に吊り下げて設置される3つ以上の把持部30の数は、5つのみには限定されず。3、4、6、7、8、9など、3以上の任意の数とすることができる。ただし、上下駆動部50によってバランスよく上下させ、第1検出スイッチ56および第2検出スイッチ57により停止位置を精度よく検出する観点から、水平バー40が長くなりすぎないように、把持部30の数は9つ以下とすることが好ましい。
【0071】
図12は、第1変形例に係る巻取部153を有する上下駆動部150を示す概略図である。クレーンゲーム装置10は、図6に示す上下駆動部50に換えて、図8に示す巻取部153を用いることも可能である。図12に示す上下駆動部150の巻取部153は、第1ワイヤ部51を巻取りおよび引き出しする第1巻取部153aと、第2ワイヤ部52を巻取りおよび引き出しする第2巻取部153bとを有する。第1ワイヤ部51のワイヤ基端は第1巻取部153aに接続しており、第2ワイヤ部52の期待は第2巻取部153bに接続している。
【0072】
図12に示す巻取部153は、第1巻取部153aが有する駆動部(モータ等)と、第2巻取部153bが有する駆動部とが独立している。第1巻取部153aおよび第2巻取部153bの駆動は、いずれも制御部66により制御される。図12に示すように、第1ワイヤ部51と第2ワイヤ部52とを、別々の駆動部を用いて巻取りおよび引き出しすることにより、駆動部として比較的出力の小さいものを採用できるとともに、水平バー40の傾き調整が容易である。
【0073】
図13は、第2変形例に係る第2検出スイッチ257を示す拡大図である。第2検出スイッチ257は、第2ワイヤ部52が係合する可動プーリ257aを有する。第2ワイヤ部52は、第2巻取部253bに接続する第2ワイヤ部52のワイヤ基端と、水平バー40に接続する第2ワイヤ部52のワイヤ先端との間で、第2検出スイッチ257の可動プーリ257aに係合する。
【0074】
図13に示す第2検出スイッチ257の可動プーリ257aおよび可動プーリ257aを支える支持片257bは、矢印259で示す回転方向に付勢されている。第2ワイヤ部52に緩みが生じると、可動プーリ257aを支える支持片257bが矢印259方向に回動してプッシュスイッチ257cを押すことにより、第2検出スイッチ257は、第2ワイヤ部52の緩みを検出する。
【0075】
クレーンゲーム装置10では、図7および図8に示す第2検出スイッチ57に換えて、図13に示すような可動プーリ257aを有する第2検出スイッチ257を用いてもよい。また、クレーンゲーム装置10の第1検出スイッチ56についても、図13に示す第2検出スイッチ257と同様に第1ワイヤ部51に係合する可動プーリを有しており第1ワイヤ部51の緩みを検出する第1検出スイッチを採用することが可能である。
【0076】
図13に示す第2検出スイッチ257を用いるクレーンゲーム装置においても、クレーンゲーム装置の制御部は、実施形態で説明した制御部66と同様に、第1検出スイッチおよび第2検出スイッチ257の少なくとも一方の検出結果により、上下駆動部による水平バー40の下降を停止させる。図13に示す第2検出スイッチ257は、急激なワイヤの緩みが生じた場合に、可動プーリ257aから第2ワイヤ52が逸脱する可能性がある。しかし、このような第2検出スイッチ257を用いるクレーンゲーム装置も、第2ワイヤ部52の引き出し速度等を適切に調整することにより、実施形態に示す第2検出スイッチ57を用いるクレーンゲーム装置10と同様に、水平バー40および3つ以上の把持部30を適切な位置で停止させることができる。
【符号の説明】
【0077】
10…クレーンゲーム装置
20…筐体部
21…プレイ空間
23…前面側
24…スライド扉部
26…景品設置面
30…把持部
30a…第1把持部
31…アーム部
31a…基部
31b…先端
30b…第2把持部
30c…第3把持部
30d…第4把持部
30e…第5把持部
32a、32b、32b、32c、32d、32e…開閉駆動部
40…水平バー
40a…中心位置
40b…第1端部
40c…第2端部
50、150…上下駆動部
51…第1ワイヤ部
52…第2ワイヤ部
51a、52a…ワイヤ先端
51b、52b…ワイヤ基端
53、153…巻取部
153a…第1巻取部
153b、253b…第2巻取部
56…第1検出スイッチ
56a…第1挿通孔
57、257…第2検出スイッチ
57a…第2挿通孔
56b、57b…可動部
58a、58b…滑車
257a…可動プーリ
257b…支持片
257c…プッシュスイッチ
259…矢印
60…操作部
62…決定操作部
64…前後駆動部
64a…可動梁部
66…制御部
68…仕切板
70…景品排出通路
72…接続開口
74…景品取出口
81a~81e…第1~第5景品排出センサ
82a~82e…第1~第5検出領域
D1…第1水平方向
D2…第2方向
D3…上下方向
【要約】
【課題】獲得可能な最大景品数を大きくするとともに、バランスよく把持部を動作させられるクレーンゲーム装置を提供する。
【解決手段】3つ以上の把持部と、プレイ空間の第1水平方向に沿って延びており前記把持部が設けられる水平バーと、前記水平バーを上下方向に移動させる上下駆動部と、前記上下駆動部および前記水平バーを第2方向に移動させる前後駆動部と、前記アーム部を開閉する開閉駆動部、前記上下駆動部および前記前後駆動部の動作を制御する制御部と、前記制御前記把持部の前記第2方向の位置を操作する操作部と、景品排出通路と、を有し、前記上下駆動部は、前記水平バーに第1ワイヤ先端が接続する第1ワイヤ部と、前記水平バーに第2ワイヤ先端が接続する第2ワイヤ部と、前記第1ワイヤ部および第2ワイヤ部を巻取りおよび引き出し可能であり前記水平バー上方かつ前記第1水平方向の中心位置の近くに配置してある巻取部とを有する。
【選択図】図1
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