(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】めっき液
(51)【国際特許分類】
C25D 3/38 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
C25D3/38 101
(21)【出願番号】P 2024502553
(86)(22)【出願日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2023023544
(87)【国際公開番号】W WO2024048039
(87)【国際公開日】2024-03-07
【審査請求日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2022138480
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000120386
【氏名又は名称】株式会社JCU
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】谷本 由実
(72)【発明者】
【氏名】辻野 峻
(72)【発明者】
【氏名】衣幡 和男
(72)【発明者】
【氏名】横山 千香子
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-279228(JP,A)
【文献】特開2004-043957(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110117801(CN,A)
【文献】特表2005-536579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅イオンを含む金属イオンと、
ポリエチレンイミン主骨格を有し、下記式(LX)に示す構造部分LX、下記式(LY)に示す構造部分LY及び下記式(LH)に示す構造部分LHを有するPEI化合物(L)と、
【化1】
(式(LX)中、Xは下記式(X1)に示す構造部分X1、iは1以上の整数である。)
【化2】
(式(LY)中、Yは下記式(Y1)に示す構造部分Y1、jは1以上の整数である。)
【化3】
(式(LH)中、kは0又は1以上の整数である。)
【化4】
(式(X1)中、AはC又はS、Eは一価の金属イオン、H、メチル基、エチル基又はアリル基、lは1~6の整数、mは1又は2である。)
【化5】
(式(Y1)中、GはCH
2又はCH(OH)、nは0又は4、Q
1及びQ
2はそれぞれH、電子求引性基又は電子供与性基である。)
を含む
電気めっき液。
【請求項2】
前記構造部分LXのiと前記構造部分LYのjと前記構造部分LHのkとに基づき算出した{i/(i+j+k)}×100が20~90%である、請求項1に記載の
電気めっき液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき液に関する。より具体的には、光沢度の高いめっきが可能なめっき液に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、樹脂、金属、ガラス、セラミックス等の基材に装飾性等の外観特性や耐食性等の機能性を付与するために、表面処理技術の一つとしてめっき処理が行われている。その中でも電気銅めっきは高延性で、温度変化に伴う素材の伸縮によるクラック発生を防止することができるため、下地めっきとして用いられる。装飾用途では、エッチングで粗化された基材表面や素材由来の凹凸を平滑にすることや、高い光沢性が求められる。
【0003】
例えば、特許文献1には、十分な光沢外観を得るために、平滑剤としてヤヌスグリーンB等の塩基性染料を用いる電気銅めっき液が開示されている。また、特許文献2のような、平滑剤として塩基性染料を用いない電気銅めっき液も開示されている。特許文献2には、塩化ベンジルと少なくとも1種のポリエチレンイミンとの少なくとも1種の芳香族反応生成物を用いる電気銅めっき液が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2020-536168号公報
【文献】特表2020-523481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、装飾用めっき製品では、より光沢度の高いめっきが望まれている。本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、従来から用いられる塩基性染料を用いずに、より光沢度の高いめっきが可能なめっき液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、平滑剤として特定の化合物を含むことにより、光沢度の高いめっきが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
(1) 本発明に係るめっき液は、金属イオンと、ポリエチレンイミン主骨格を有し、下記式(LX)に示す構造部分LX、下記式(LY)に示す構造部分LY及び下記式(LH)に示す構造部分LHを有するPEI化合物(L)と、
【化1】
(式(LX)中、Xは下記式(X1)に示す構造部分X1、iは1以上の整数である。)
【化2】
(式(LY)中、Yは下記式(Y1)に示す構造部分Y1、jは1以上の整数である。)
【化3】
(式(LH)中、kは0又は1以上の整数である。)
【化4】
(式(X1)中、AはC又はS、Eは一価の金属イオン、H、メチル基、エチル基又はアリル基、lは1~6の整数、mは1又は2である。)
【化5】
(式(Y1)中、GはCH
2又はCH(OH)、nは0又は4、Q
1及びQ
2はそれぞれH、電子求引性基又は電子供与性基である。)
を含むめっき液である。
【0008】
(2) (1)のめっき液は、前記構造部分LXのiと前記構造部分LYのjと前記構造部分LHのkとに基づき算出した{i/(i+j+k)}×100が20~90%であることが好ましい。
【0009】
(3) (1)又は(2)のめっき液は、前記金属イオンが銅イオンを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光沢度の高いめっきが可能なめっき液を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
[めっき液]
本発明に係るめっき液は、少なくとも金属イオンとPEI化合物(L)とを含む。本発明に係るめっき液は、酸、ハロゲン化物イオン、光沢剤、界面活性剤等をさらに含むことができる。
【0013】
(金属イオン)
本発明のめっき液を構成する金属イオンとしては特に限定されないが、例えば、銅、錫、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛、銀、金、白金、パラジウム、インジウム、モリブデン、タングステン、鉛、レニウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、ビスマス、アルミニウム等のイオンが挙げられる。本発明に係るめっき液では、金属イオンが銅イオンを含むと好ましい。
【0014】
本発明に係るめっき液の金属イオンは、通常、金属塩を水等の溶媒に溶解して得られる。本発明に係るめっき液は、銅を含む金属塩を水に溶解して得られるものが好ましい。銅を含む金属塩としては特に限定されないが、例えば、硫酸銅、ピロリン酸銅、酢酸銅等が挙げられる。これらの中でも硫酸銅が好ましい。
【0015】
硫酸銅を用いる場合は硫酸銅五水和物である場合が好ましく、本発明に係るめっき液における硫酸銅五水和物の含有量は特に限定されないが、例えば50~300g/L、好ましくは100~280g/Lである。
【0016】
(平滑剤)
本発明では、平滑剤として少なくともPEI化合物(L)を用いる。本発明は、PEI化合物(L)に加えて公知の平滑剤を1種以上加えてもよい。
【0017】
<PEI化合物>
PEI化合物(L)は、ポリエチレンイミン主骨格を有し、特定の構造部分を有する。具体的には、PEI化合物(L)は、ポリエチレンイミン主骨格を有し、後述の、下記式(LX)に示す構造部分LX、下記式(LY)に示す構造部分LY及び下記式(LH)に示す構造部分LHを有する。構造部分LX、構造部分LY及び構造部分LHについては後述するが、それぞれが、少なくとも[-(CH2)2-N-]の骨格を有する構造部分である。
【0018】
ここで、ポリエチレンイミン主骨格とは、ポリエチレンイミン(PEI)の主骨格を意味する。PEI化合物(L)は、ポリエチレンイミン主骨格に結合する水素原子Hが後述のX及びYで置換された構造を有する。ポリエチレンイミン主骨格は、例えば、網目状、分岐状又は直鎖状のポリエチレンイミンの主骨格である。ここで、網目状のポリエチレンイミンとは、分岐状のポリエチレンイミンにおいて、分岐した部分の一部又は全部が、他の分岐した部分又は主骨格と結合することにより、網目状になっているポリエチレンイミンを意味する。網目状のポリエチレンイミンの一例を下記式(NP)に示す。
【0019】
【0020】
PEI化合物(L)は、ポリエチレンイミン主骨格が網目状又は分岐状のポリエチレンイミンの主骨格であると好ましい。
【0021】
PEI化合物(L)は、ポリエチレンイミン主骨格を有するポリエチレンイミンの数平均分子量が、例えば300~70000、好ましくは1100~10000、より好ましくは1100~1800となる化合物である。ポリエチレンイミンの数平均分子量が上記範囲内にあると、光沢度の高い金属めっき皮膜を得やすいため好ましい。ここで、ポリエチレンイミン主骨格を有するポリエチレンイミンとは、ポリエチレンイミン主骨格に結合する原子が水素原子Hのみである場合のポリエチレンイミンを意味する。
【0022】
PEI化合物(L)は、ポリエチレンイミン主骨格を有するポリエチレンイミンと、構造部分LXのXの原料と、構造部分LYのYの原料と、を反応させることにより得られることが多い。この場合、原料であるポリエチレンイミンに対して、構造部分LXのXの原料と、構造部分LYのYの原料を付加した際に、原料であるポリエチレンイミンが重合することなく、PEI化合物(L)の分子量は、構造部分LXのXの原料と、構造部分LYのYの原料を付加した分増加する。
【0023】
本発明では、PEI化合物(L)のうち、ポリエチレンイミン主骨格に結合する水素原子HがXで置換された部分を構造部分LXという。また、PEI化合物(L)のうち、ポリエチレンイミン主骨格に結合する水素原子HがYで置換された部分を構造部分LYという。さらに、PEI化合物(L)のうちポリエチレンイミン主骨格に結合する水素原子Hがそのまま存在する部分を構造部分LHという。なお、PEI化合物(L)は、少なくとも構造部分LX及び構造部分LYを含み、必要により構造部分LHを含む。
【0024】
[構造部分LX]
構造部分LXは、下記式(LX)に示す構造部分である。
【0025】
【0026】
式(LX)中、Xは下記式(X1)に示す構造部分X1、iは1以上の整数である。
【0027】
【0028】
式(X1)中、AはC又はS、Eは一価の金属イオン、H、メチル基、エチル基又はアリル基、lは1~6の整数、mは1又は2である。Eは好ましくは一価の金属イオン、H、又はアリル基である。lは好ましくは3~4の整数である。一価の金属イオンとしては、例えばLi、Na、K、Rb、Cs、Fr等が挙げられる。
【0029】
構造部分X1で表される構造部分の好ましい実施形態としては、例えば、下記式(X11)に示す構造部分X111、X112、X113及びX114で表される構造部分が挙げられる。
【0030】
【0031】
構造部分X111、X112及びX114の上端部分が、構造部分X1の左端部分に対応する。構造部分X113の左端部分が、構造部分X1の左端部分に対応する。
【0032】
[構造部分LY]
構造部分LYは、下記式(LY)に示す構造部分である。
【0033】
【0034】
式(LY)中、Yは下記式(Y1)に示す構造部分Y1、jは1以上の整数である。
【0035】
【化11】
式(Y1)中、GはCH
2又はCH(OH)、nは0又は4、Q
1及びQ
2はそれぞれH、電子求引性基又は電子供与性基である。nが0の場合、構造部分Y1のアリール基は、ベンゼン環1個を含む構造となる。nが4の場合、構造部分Y1のアリール基は、ナフタレン環1個を含む構造となる。
【0036】
なお、式(Y1)中、構造部分Y1のアリール基のQ1及びQ2は、それぞれH、電子求引性基又は電子供与性基であり、特に限定されるものではない。電子求引性基としては、例えば、クロロ基-Cl、フルオロ基-F、ニトロ基-NO2、ヒドロキシ基-OH等が挙げられる。電子供与性基としては、例えば、メチル基-CH3、メトキシ基-OCH3等が挙げられる。Q1及びQ2が水素原子H以外の置換基である場合、ポリエチレンイミン主骨格に結合する部分から見た置換基の置換位置としては、例えば、オルト位、メタ位、パラ位等が挙げられる。
【0037】
構造部分Y1で表される構造部分の好ましい実施形態としては、例えば、下記式(Y11)に示す構造部分Y111、Y112、Y113及びY114で表される構造部分が挙げられる。
【0038】
【0039】
構造部分Y111、Y112及びY113の上端部分が、構造部分Y1の上端部分に対応する。構造部分Y114の右側上端部分が、構造部分Y1の上端部分に対応する。
【0040】
式(Y1)中のQ1及びQ2は、それぞれ、H、電子求引性基又は電子供与性基であるから、式(Y11)に示す構造部分Y111、Y112、Y113及びY114のアリール基には水素原子H以外の置換基が結合していてもよい。構造部分Y111、Y112、Y113及びY114のアリール基のQ1及びQ2が水素原子H以外の置換基である場合、置換基の種類、数、及び位置に特に制限はなく、例えば、クロロ基-Cl、フルオロ基-F、メチル基-CH3、メトキシ基-OCH3等が挙げられる。
【0041】
式(Y1)中のQ1及びQ2が水素原子H以外の置換基である構造部分の好ましい実施形態としては、例えば、下記式(Y11A)に示す各構造部分が挙げられる。
【0042】
【0043】
構造部分Y111-Cl、Y111-F、Y111-CH3及びY111-OCH3の上端部分が、構造部分Y1の上端部分に対応する。
【0044】
式(Y1)中のQ1及びQ2が水素原子H以外の置換基である構造部分の特に好ましい実施形態としては、例えば、下記式(Y11B)に示す各構造部分が挙げられる。
【0045】
【0046】
構造部分Y111-oCl、Y111-pF、Y111-mCH3及びY111-mOCH3の上端部分が、構造部分Y1の上端部分に対応する。
【0047】
構造部分Y111-oCl(-CH2C6H4Cl)、構造部分Y111-pF(-CH2C6H4F)、構造部分Y111-mCH3(-CH2C6H4CH3)、及び構造部分Y111-mOCH3(-CH2C6H4OCH3)は、それぞれ、構造部分Y111のアリール基(ベンジル基)において式(Y1)中のQ1及びQ2の一方がHで他方がオルト位のCl、パラ位のF、メタ位のCH3、メタ位のOCH3になっている。
【0048】
[構造部分LH]
構造部分LHは、下記式(LH)に示す構造部分である。
【0049】
【0050】
式(LH)中、kは0又は1以上の整数である。なお、kが0の場合、PEI化合物(L)は構造部分LHを含まない化合物になる。
【0051】
PEI化合物(L)は、前記構造部分LXのiと前記構造部分LYのjと前記構造部分LHのkとに基づき算出した{i/(i+j+k)}×100が20~90%、好ましくは30~80%である。{i/(i+j+k)}×100が上記範囲内にあると、光沢度の高い金属めっき皮膜を得やすいため好ましい。なお、前記{i/(i+j+k)}×100は、例えばNMR等により測定することができる。
【0052】
本発明に係るめっき液は、PEI化合物(L)を、例えば0.5~50mg/L、好ましくは1~30mg/L含む。めっき液中のPEI化合物(L)の濃度が上記範囲内にあると、光沢度の高い金属めっき皮膜を得やすいため好ましい。
【0053】
(酸)
本発明に係るめっき液は、酸を含んでいてもよい。酸としては特に限定されないが、例えば、無機酸及び/又は有機酸の内の所望のものを、めっき液の組成やめっき対象に合わせて使用することができる。無機酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸を始めとするハロゲン化水素酸、リン酸、塩素酸を始めとするオキソ酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸、プロパンスルホン酸等のアルカンスルホン酸類、イセチオン酸、プロパノールスルホン酸等のアルカノールスルホン酸類、クエン酸、酒石酸、ギ酸等の脂肪族又は芳香族カルボン酸等が挙げられる。このうち、めっき液の金属イオンの原料が硫酸銅である場合は、酸として硫酸を含むことが好ましい。
【0054】
酸が硫酸である場合、硫酸の含有量は特に限定されないが、例えば20~200g/L、好ましくは30~150g/Lである。
【0055】
(ハロゲン化物イオン)
本発明に係るめっき液は、光沢金属めっきやレベリングを行う目的からハロゲン化物イオンを含んでいてもよい。ハロゲン化物イオンとしては特に限定されないが、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。このうち、塩化物イオンが好ましい。
【0056】
ハロゲン化物イオンが塩化物イオンである場合、塩化物イオンの含有量は特に限定されないが、例えば10~120mg/L、好ましくは20~100mg/Lである。
【0057】
(光沢剤)
本発明に係るめっき液は、光沢剤を含んでいてもよい。光沢剤としては特に限定されないが、例えば、ベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、2,4,6-トリクロロベンズアルデヒド、m-クロロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1-ナフトアルデヒド、2-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、3-アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリルデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリン等の各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2-ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N-(3-ヒドロキシブチリデン)-p-スルファニル酸、N-ブチリデンスルファニル酸、N-シンナモイリデンスルファニル酸、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、サリチル酸フェニル、あるいは、ベンゾチアゾール、2-メルカトプトベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾール、2-メチル-5-クロロベンゾチアゾール、2-ヒドロキシベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-2-メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類、ビス(3-ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド(SPS)及びその塩等のスルフィド類等が挙げられる。
【0058】
光沢剤の含有量は特に限定されないが、例えば1~50mg/L、好ましくは3~30mg/Lである。
【0059】
(界面活性剤)
本発明に係るめっき液は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、非イオン性界面活性剤や両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ポリエーテル化合物等が挙げられる。ポリエーテル化合物としては特に限定されないが、例えば、ポリアルキレングリコール、アルキル基を有するポリエーテル化合物、親水性のエチレンオキシドユニットと疎水性のプロピレンオキシドユニットとエチレンオキシドユニットとのトリブロック共重合体からなる界面活性剤等が挙げられる。
【0060】
界面活性剤の含有量は特に限定されないが、例えば1~300mg/L、好ましくは5~200mg/Lである。
【0061】
(製造方法)
本発明に係るめっき液に含まれるPEI化合物(L)は、例えば、ポリエチレンイミン主骨格を有するポリエチレンイミンと、構造部分LXのXの原料と、構造部分LYのYの原料と、を求核付加反応させることにより得られる。
【0062】
本発明に係るめっき液は、平滑剤として上記PEI化合物(L)を用い、公知の方法で製造することができる。
【0063】
[めっき方法]
以下、本発明に係るめっき液を用いためっき方法について説明する。本めっき方法では、本発明に係るめっき液を用いて、素地の上に電気めっきを行う。
【0064】
(素地)
素地としては、特に限定されないが、例えば、真鍮、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、亜鉛合金、鉄鋼、樹脂等の基材に金属等の導電層を形成したもの等が挙げられる。
【0065】
(温度)
本発明に係るめっき液は、電気めっき時の液温を、例えば15~45℃、好ましくは20~35℃程度とすればよい。
【0066】
(電流密度)
本発明に係るめっき液は、電気めっき時の電流密度を、例えば0.5~15A/dm2、好ましくは1~10A/dm2程度とすればよい。
【0067】
(めっき時間)
本発明に係るめっき液は、電気めっき時のめっき時間を、例えば5分以上、好ましくは15分以上とすればよい。
【0068】
本発明によれば、光沢度の高いめっきが可能なめっき液が得られる。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
[実施例1]
(PEI化合物)
<中間体(Int.1)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量300)水溶液(0.90M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.6当量のクロロ酢酸ナトリウムを少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の40重量%水溶液(Int.1)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0071】
<PEI化合物(試料No.A1)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.1)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(8.5M)76重量部を90℃に加熱し、塩化ベンジル20重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A1)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A1)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0072】
【0073】
(めっき液の調製)
硫酸銅五水和物220g/Lと、硫酸70g/Lと、塩化物イオンCl-60mg/Lと、界面活性剤としての富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20000の100mg/Lと、光沢剤としてのビス(3-ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド(SPS)の8.3mg/Lと、平滑剤としてのPEI化合物(試料No.A1)の3.0mg/Lと、を含む銅めっき液(試料No.E1)を調製した。
【0074】
(電気めっき試験)
<前処理>
はじめに、ハルセル真鍮板を、株式会社JCU製EBAPREP SK-144(脱脂)を用いて55℃で5分間浸漬した後、株式会社JCU製EBAVATE V-345(酸活性)を用いて常温で0.5分間浸漬した。
【0075】
<電気めっき>
前処理後のハルセル真鍮板と、銅めっき液(試料No.E1)とを用い、ハルセル試験にて常温で陰極電解(全電流2A)を10分間行った。その後、株式会社JCU製EBAFIN G-800にて常温で0.5分間防錆処理したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S1)が得られた。
【0076】
(評価)
BYK-ガードナー株式会社製マイクロトリグロス光沢計に評価サンプル(試料No.S1)をセットした。評価サンプルの電流密度3A/dm2の部分に入射角20°で光を照射して光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0077】
[実施例2]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A2)の製造>
実施例1で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.1)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(7.5M)83重量部を90℃に加熱し、2-クロロベンジルクロリド25重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A2)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A2)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0078】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A2)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E2)を調製した。
【0079】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E2)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S2)が得られた。
【0080】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0081】
[実施例3]
(PEI化合物)
<中間体(Int.2)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量1100)水溶液(0.22M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.6当量のクロロ酢酸ナトリウムを少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の32.9重量%水溶液(Int.2)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0082】
<PEI化合物(試料No.A3)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.2)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(7.8M)29重量部を90℃に加熱し、塩化ベンジル6重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A3)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A3)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0083】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A3)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E3)を調製した。
【0084】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E3)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S3)が得られた。
【0085】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0086】
[実施例4]
(PEI化合物)
<中間体(Int.3)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量1800)水溶液(0.30M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.6当量のクロロ酢酸ナトリウム(7.0M)を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の40重量%水溶液(Int.3)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0087】
<PEI化合物(試料No.A4)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.3)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(6.6M)90重量部を90℃に加熱し、塩化ベンジル70重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A4)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A4)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0088】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A4)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E4)を調製した。
【0089】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E4)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S4)が得られた。
【0090】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0091】
[実施例5]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A5)の製造>
実施例4で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.3)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(9.6M)68重量部を90℃に加熱し、4-フルオロベンジルクロリド23重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A5)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A5)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0092】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A5)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E5)を調製した。
【0093】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E5)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S5)が得られた。
【0094】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0095】
[実施例6]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A6)の製造>
実施例4で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.3)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(9.6M)68重量部を90℃に加熱し、3-メチルベンジルクロリド22重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A6)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A6)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0096】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A6)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E6)を調製した。
【0097】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E6)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S6)が得られた。
【0098】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0099】
[実施例7]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A7)の製造>
実施例4で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.3)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(9.6M)69重量部を90℃に加熱し、3-メトキシベンジルクロリド25重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A7)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A7)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0100】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A7)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E7)を調製した。
【0101】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E7)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S7)が得られた。
【0102】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0103】
[実施例8]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A8)の製造>
実施例4で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.3)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(13.3M)54重量部を90℃に加熱し、2-(クロロメチル)ナフタレン28重量部を加え、2時間反応させた。室温に戻し、純水168重量部を加えたところPEI化合物(試料No.A8)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A8)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0104】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A8)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E8)を調製した。
【0105】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E8)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S8)が得られた。
【0106】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0107】
[実施例9]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A9)の製造>
実施例4で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.3)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(8.4M)75重量部を90℃に加熱し、4-ニトロベンジルクロリド27重量部を加え、2時間反応させた。室温に戻し、純水169重量部を加えたところPEI化合物(試料No.A9)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A9)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0108】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A9)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E9)を調製した。
【0109】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E9)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S9)が得られた。
【0110】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0111】
[実施例10]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A10)の製造>
実施例4で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.3)100重量部及びバニリン5重量部を80~90℃に加熱し、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A10)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A10)の詳細を示す。なお、反応の進行は13CNMRにより、191ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0112】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A10)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E10)を調製した。
【0113】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E10)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S10)が得られた。
【0114】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0115】
[実施例11]
(PEI化合物)
<中間体(Int.4)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量10000)水溶液(0.017M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.6当量のクロロ酢酸ナトリウムを少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の40重量%水溶液(Int.4)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0116】
<PEI化合物(試料No.A11)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.4)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(10.2M)66重量部を90℃に加熱し、塩化ベンジル20重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A11)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A11)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0117】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A11)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E11)を調製した。
【0118】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E11)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S11)が得られた。
【0119】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0120】
[実施例12]
(PEI化合物)
<中間体(Int.5)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量70000)水溶液(0.004M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.6当量のクロロ酢酸ナトリウムを少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の17重量%水溶液(Int.5)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0121】
<PEI化合物(試料No.A12)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸ナトリウム付加物の水溶液(Int.5)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(2.8M)130重量部を90℃に加熱し、2-クロロベンジルクロリド5重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A12)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A12)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0122】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A12)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E12)を調製した。
【0123】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E12)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S12)が得られた。
【0124】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0125】
[実施例13]
(PEI化合物)
<中間体(Int.6)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量1800)水溶液(0.17M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.3当量の1,3-プロパンスルトンを2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-1,3-プロパンスルトン付加物の34質量%水溶液(Int.6)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.49ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0126】
<PEI化合物(試料No.A13)の製造>
上記ポリエチレンイミン-1,3-プロパンスルトン付加物の水溶液(Int.6)100重量部、純水150重量部、及び4-フルオロベンジルクロリド20重量部を90℃に加熱し、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A13)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A13)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0127】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A13)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E13)を調製した。
【0128】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E13)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S13)が得られた。
【0129】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0130】
[実施例14]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A14)の製造>
実施例13で製造したポリエチレンイミン-1,3-プロパンスルトン付加物の水溶液(Int.6)100重量部、純水150重量部、及び3-メトキシベンジルクロリド22重量部を90℃に加熱し、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A14)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A14)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0131】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A14)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E14)を調製した。
【0132】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E14)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S14)が得られた。
【0133】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0134】
[実施例15]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A15)の製造>
実施例13で製造したポリエチレンイミン-1,3-プロパンスルトン付加物の水溶液(Int.6)100重量部、純水200重量部、及び4-ニトロベンジルクロリド23重量部を90℃に加熱し、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A15)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A15)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0135】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A15)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E15)を調製した。
【0136】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E15)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S15)が得られた。
【0137】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0138】
[実施例16]
(PEI化合物)
<中間体(Int.7)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量10000)水溶液(0.015M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.3当量の1,3-プロパンスルトンを2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-1,3-プロパンスルトン付加物の23重量%水溶液(Int.7)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.49ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0139】
<PEI化合物(試料No.A16)の製造>
上記ポリエチレンイミン-1,3-プロパンスルトン付加物の水溶液(Int.7)100重量部及び塩化ベンジル6重量部を80~90℃に加熱し、3時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A16)の水溶液が得られた。表1にPEI化合物(試料No.A16)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0140】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A16)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E16)を調製した。
【0141】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E16)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S16)が得られた。
【0142】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表1に光沢度を示す。
【0143】
[実施例17]
(PEI化合物)
<中間体(Int.8)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量1100)水溶液(0.12M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.2当量のクロロ酢酸アリルを2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の17重量%水溶液(Int.8)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0144】
<PEI化合物(試料No.A17)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の水溶液(Int.8)100重量部、苛性ソーダ水溶液(1.9M)23重量部を90℃に加熱し、塩化ベンジル6重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A17)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A17)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0145】
【0146】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A17)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E17)を調製した。
【0147】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E17)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S17)が得られた。
【0148】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0149】
[実施例18]
(PEI化合物)
<中間体(Int.9)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量1800)水溶液(0.10M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.4当量のクロロ酢酸アリルを2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の19重量%水溶液(Int.9)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0150】
<PEI化合物(試料No.A18)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の水溶液(Int.9)100重量部、苛性ソーダ水溶液(4.4M)19重量部を90℃に加熱し、塩化ベンジル5重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻し、純水107重量部を加えたところPEI化合物(試料No.A18)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A18)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0151】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A18)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E18)を調製した。
【0152】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E18)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S18)が得られた。
【0153】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0154】
[実施例19]
(PEI化合物)
<中間体(Int.10)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量1800)水溶液(0.10M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.2当量のクロロ酢酸アリルを2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の15重量%水溶液(Int.10)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0155】
<PEI化合物(試料No.A19)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の水溶液(Int.10)100重量部及び苛性ソーダ水溶液(0.8M)80重量部を90℃に加熱し、2-クロロベンジルクロリド10重量部を少しずつ加え、2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A19)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A19)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0156】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A19)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E19)を調製した。
【0157】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E19)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S19)が得られた。
【0158】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0159】
[実施例20]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A20)の製造>
実施例19で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の水溶液(Int.10)100重量部、苛性ソーダ水溶液(1.7M)76重量部を90℃に加熱し、4-フルオロベンジルクロリド9重量部を2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A20)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A20)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0160】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A20)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E20)を調製した。
【0161】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E20)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S20)が得られた。
【0162】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0163】
[実施例21]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A21)の製造>
実施例19で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の水溶液(Int.10)100重量部、苛性ソーダ水溶液(1.4M)86重量部を90℃に加熱し、3-メチルベンジルクロリド8重量部を2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A21)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A21)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0164】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A21)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E21)を調製した。
【0165】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E21)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S21)が得られた。
【0166】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0167】
[実施例22]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A22)の製造>
実施例19で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の水溶液(Int.10)100重量部、苛性ソーダ水溶液(2M)63重量部を90℃に加熱し、3-メトキシベンジルクロリド10重量部を2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A22)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A22)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0168】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A22)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E22)を調製した。
【0169】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E22)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S22)が得られた。
【0170】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0171】
[実施例23]
(PEI化合物)
<PEI化合物(試料No.A23)の製造>
実施例19で製造したポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の水溶液(Int.10)100重量部、苛性ソーダ水溶液(1.5M)42重量部を90℃に加熱し、4-ニトロベンジルクロリド10重量部を2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A23)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A23)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0172】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A23)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E23)を調製した。
【0173】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E23)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S23)が得られた。
【0174】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0175】
[実施例24]
(PEI化合物)
<中間体(Int.11)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量10000)水溶液(0.11M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.2当量のクロロ酢酸アリルを2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の12重量%水溶液(Int.11)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.1ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0176】
<PEI化合物(試料No.A24)の製造>
上記ポリエチレンイミン-クロロ酢酸アリル付加物の水溶液(Int.11)100重量部を90℃に加熱し、塩化ベンジル5重量部を2時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A24)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A24)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0177】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A24)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E24)を調製した。
【0178】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E24)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S24)が得られた。
【0179】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0180】
[実施例25]
(PEI化合物)
<中間体(Int.12)の製造>
ポリエチレンイミン(数平均分子量1800)水溶液(0.13M)を70~90℃に加熱し、アミン価に対し、0.6当量の1,4-ブタンスルトンを2時間反応させた。室温に戻し、ポリエチレンイミン-1,4-ブタンスルトン付加物の38重量%水溶液(Int.12)を得た。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.49ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0181】
<PEI化合物(試料No.A25)の製造>
上記ポリエチレンイミン-1,4-ブタンスルトン付加物の水溶液(Int.12)100重量部及び塩化ベンジル7重量部を80~90℃に加熱し、3時間反応させた。室温に戻したところPEI化合物(試料No.A25)の水溶液が得られた。表2にPEI化合物(試料No.A25)の詳細を示す。なお、反応の進行は1HNMRにより、4.5ppm付近のシグナルの消失で確認した。
【0182】
(めっき液の調製)
PEI化合物(試料No.A1)に代えてPEI化合物(試料No.A25)を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E25)を調製した。
【0183】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E25)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S25)が得られた。
【0184】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0185】
[実施例26]
(めっき液の調製)
富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20000に代えて富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール4000を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E26)を調製した。
銅めっき液(試料No.E26)は、実施例4で調製した銅めっき液(試料No.E4)において界面活性剤のみを変更したものである。
【0186】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E26)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S26)が得られた。
【0187】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0188】
[実施例27]
(めっき液の調製)
富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20000に代えて株式会社アデカ製非イオン性界面活性剤アデカプルロニック(登録商標)L-64を用いた以外は実施例1と同様にして銅めっき液(試料No.E27)を調製した。
銅めっき液(試料No.E27)は、実施例4で調製した銅めっき液(試料No.E4)において界面活性剤のみを変更したものである。
【0189】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E27)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S27)が得られた。
【0190】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0191】
[比較例1]
(めっき液の調製)
硫酸銅5水和物220g/Lと、硫酸70g/Lと、塩化物イオンCl-60mg/Lと、界面活性剤としての富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20000の100mg/Lと、光沢剤としてのビス(3-ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド(SPS)の8.3mg/Lと、平滑剤としてのヤヌスグリーンBの3.0mg/Lと、を含む銅めっき液(試料No.E28)を調製した。
【0192】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E28)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S28)が得られた。
【0193】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0194】
[比較例2]
(めっき液の調製)
硫酸銅5水和物220g/Lと、硫酸70g/Lと、塩化物イオンCl-60mg/Lと、界面活性剤としての富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20000の100mg/Lと、光沢剤としてのビス(3-ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド(SPS)の8.3mg/Lと、平滑剤としての塩化ベンジルとポリアルキレンイミンの芳香族反応生成物の3.0mg/Lと、を含む銅めっき液(試料No.E29)を調製した。
【0195】
(電気めっき試験)
銅めっき液(試料No.E1)に代えて銅めっき液(試料No.E29)を用いた以外は実施例1と同様にして陰極電解したところ、真鍮板表面に銅めっき皮膜が形成された評価サンプル(試料No.S29)が得られた。
【0196】
(評価)
実施例1と同様にして光沢度を測定した。表2に光沢度を示す。
【0197】
表1及び表2より、実施例(試料No.E1~E27)で作製した評価サンプルは、比較例(試料No.E28及びE29)と比較して光沢度が高くなることが分かった。