(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ロック解除装置及び折畳み式テント
(51)【国際特許分類】
E04H 15/44 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
E04H15/44
(21)【出願番号】P 2022042491
(22)【出願日】2022-03-17
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2021-05-24
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】519304620
【氏名又は名称】株式会社アートデポ
(74)【代理人】
【識別番号】100187517
【氏名又は名称】森 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高明
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/30012(US,A1)
【文献】実開平04-122158(JP,U)
【文献】実開昭64-041472(JP,U)
【文献】特開2021-062796(JP,A)
【文献】米国特許第7097380(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0012346(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0255564(US,A1)
【文献】特開2012-112154(JP,A)
【文献】特開2013-221339(JP,A)
【文献】登録実用新案第3133263(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/62632(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/122301(US,A1)
【文献】米国特許第7293934(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0169311(US,A1)
【文献】中国実用新案第203547219(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/00-15/64
F16B 7/10ー 7/16
F16B 21/00-21/20
E06C 1/00- 9/14
E04G 1/00- 7/34
E04G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の棒材の所定位置で解除可能に移動がロックされるスライドジョイントのロック解除装置であって、
前記棒材が枢着され柱材に游挿される
前記スライドジョイントに設けられたロック機構マウント部と、
該ロック機構マウント部に設けられ前記柱材のロック孔に突入するロック位置と前記ロック孔から抜け出るロック解除位置をとり得るロックピンと、
該ロックピンに回動可能に設けられ、一方側に支点部が形成され、他方側に操作部が形成され、前記支点部と前記操作部の間で前記支点部に近づけた位置に前記ロックピンを枢着する枢着部が形成され、前記支点部から前記枢着部までの距離は前記操作部から前記枢着部までの距離よりも短く、前記枢着部は前記操作部に加わる力と同じ方向に作用する
操作レバーと、
前記ロック機構マウント部と前記操作レバーとの間に介装され前記操作部を前記柱材側へ付勢する弾性体とを備えていることを特徴とするロック解除装置。
【請求項2】
前記柱材の頂部に取外し可能に取着されている端部ジョイントを備え、
前記棒材は、前記端部ジョイントに枢着されている他の棒材と枢支されており、
前記スライドジョイントには、前記棒材を枢着するための梁支持材が1又は2方向に形成され、
前記ロック機構マウント部は、前記スライドジョイントの下部に設けられていることを特徴とする請求項1記載のロック解除装置。
【請求項3】
前記操作レバーは、少なくとも前記枢着部の両側から互いに突出する側壁部を備え、該側壁部は、前記ロック位置のとき、前記ロック機構マウント部を外嵌することを特徴とする請求項1又は2に記載のロック解除装置。
【請求項4】
前記柱材が横断面六角管状であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のロック解除装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載のロック解除装置を備えていることを特徴とする折畳み式テント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材の所定位置で解除可能に移動がロックされるスライドジョイントのロック解除装置及びこれを備える折畳み式テントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折畳み式テントのロック解除装置が開示されている。これは、柱材に游挿されたスライドジョイントの鞘管の下方にリング付きの係止ピンが付設された構成である。この係止ピンは、弾性部材により内方に付勢されており、柱材のピン孔に挿入されるとスライドジョイントの移動が停止する。そして、リングに力を加えて係止ピンが引き抜かれるとスライドジョイントが移動可能になる。この係止ピンの引き抜き動作を行うことで、ロック解除が行われ、折畳み式テントの折り畳み動作が行われていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、リング付きの係止ピンは内方に付勢されているので、利用者が、係止ピンを引き抜く際に、リングにかなりの力を加えて引き抜かなければならなかった。例えば、一方の手を柱材に添えながら、他方の手でリングを把持して係止ピンを引き抜く動作が必要となり、容易に片手では行い得なかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、比較的小さな力で容易にロック解除を行うことができるロック解除装置及びこれを備える折畳み式テントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るロック解除装置は、一又は複数の棒材の所定位置で解除可能に移動がロックされるスライドジョイントのロック解除装置であって、前記棒材が枢着され柱材に游挿される前記スライドジョイントに設けられたロック機構マウント部と、該ロック機構マウント部に設けられ前記柱材のロック孔に突入するロック位置と前記ロック孔から抜け出るロック解除位置をとり得るロックピンと、該ロックピンに回動可能に設けられ、一方側に支点部が形成され、他方側に操作部が形成され、前記支点部と前記操作部の間で前記支点部に近づけた位置に前記ロックピンを枢着する枢着部が形成され、前記支点部から前記枢着部までの距離は前記操作部から前記枢着部までの距離よりも短く、前記枢着部は前記操作部に加わる力と同じ方向に作用する操作レバーと、前記ロック機構マウント部と前記操作レバーとの間に介装され前記操作部を前記柱材側へ付勢する弾性体とを備えている構成である。
【0007】
また、本発明の一態様に係るロック解除装置は、前記ロック位置のときの前記操作レバーの角度を0度とすると、前記操作レバーの回動角度は、前記ロック解除位置のとき、45度以上60度以下の範囲内にある構成であってもよい。
【0008】
さらに、本発明の一態様に係るロック解除装置は、前記操作レバーは、少なくとも前記枢着部の両側から互いに突出する側壁部を備え、該側壁部は、前記ロック位置のとき、前記ロック機構マウント部を外嵌する構成であってもよい。
【0009】
さらにまた、本発明の一態様に係るロック解除装置は、前記柱材の頂部に取外し可能に取着されている端部ジョイントを備え、前記棒材は、前記端部ジョイントに枢着されている他の棒材と枢支されており、前記スライドジョイントには、前記棒材を枢着するための梁支持材が1又は2方向に形成され、前記ロック機構マウント部は、前記スライドジョイントの下部に設けられている構成であってもよい。前記柱材が横断面六角管状である構成であってもよい。
【0010】
本発明の他の態様に係る折畳み式テントは、上記ロック解除装置の何れかを備えている構成である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係るロック解除装置によれば、比較的小さな力で容易にロック解除を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態のロック解除装置を使用した折畳み式テントの一部破断外観斜視図である。
【
図5】ロック解除位置におけるロック解除装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、
図1~5を参照しつつ、詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に何ら限定されない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態のロック解除装置100を使用した折畳み式テント200の一部破断外観斜視図である。折畳み式テント200は、4本の柱材1と、梁材2と、幕材3と、4つの端部ジョイント4と、4つのスライドジョイント5とを備えている。
【0015】
柱材1は、横断面略六角管状であり、敷地の四隅にそれぞれ立設されている。柱材1の下端にベースプレート9が設けられ、接地している。柱材1にはスライドジョイント5を所定位置で固定するためのロック孔1aが形成されている(
図4,5参照)。
【0016】
梁材2は、外梁2a,2bと、内梁とを備え、柱材1同士を連結する。外梁2a,2bと内梁は、枢支された2本の棒材6,7で構成されるクロス構造体が複数組連設された構成である。
図1では、長辺を構成する外梁2aと短辺を構成する外梁2bとでクロス構造体の組数が異なる。クロス構造体の連設点にヒンジ結合の関節部8が設けられ、関節部8でクロス構造体相互が連結されている。
【0017】
外梁2a,2bは、柱材1と柱材1との間に配設され、クロス構造体の各端部のうち、上側に位置する棒材6が端部ジョイント4に枢着され、下側に位置する棒材7がスライドジョイント5に枢着されている。
【0018】
内梁は、対向する2つの長辺を構成する外梁2aの間に一対で配設されている。また、一対の内梁のクロス構造体の各連設点にそれぞれトップポールが上下動自在に設けられている。
【0019】
幕材3は、柱材1で支持されており、2本のトップポールと梁材2と端部ジョイント4とスライドジョイント5を覆って屋根を構成する。なお、幕材3は、慣用の方法、例えば、紐による締結、バックル、ワンタッチ式締結又は連結具を利用して、梁材2に容易に取り付けることができる。
【0020】
端部ジョイント4は、柱材1の頂部に取外し可能に取着されている。端部ジョイント4には、梁材2の上側に位置する棒材6を枢着するためのブラケットが2方向に互いに90度角度をずらして形成されている。
【0021】
図2は、ロック解除装置100を示す拡大正面図である。スライドジョイント5は、柱材1に上下スライド自在に游挿され、柱材1に沿って相対移動自在とされている。また、スライドジョイント5には、梁材2の下側に位置する棒材7を枢着するための梁支持材5a,5bが2方向に互いに90度角度をずらして形成されている。
【0022】
図3は、ロック解除装置100を示す拡大側面図である。
図4は、
図2のA-A線における断面図である。ロック解除装置100は、
図4に示すように、ロック機構マウント部10と、ロックピン20と、弾性部材30と、操作レバー40とを備えている。
【0023】
ロック機構マウント部10は、スライドジョイント5の下部に一体的に設けられている。ロック機構マウント部10は、ロックマウント部11と、ロック機構部12とを備える。
【0024】
ロックマウント部11は、スライドジョイント5の外側面に一体に形成されており、ロック機構部12を収納する開口部を有する。開口部に収納されたロック機構部12は、ロックマウント部11の外側から固定ビス13にて固定される(
図3参照)。
【0025】
ロック機構部12は、ロックピン移動孔と、ロックピン回転防止構造と、レバー回動量設定部15とを有する。ロックピン移動孔は、操作レバー40が設けられる表面からスライドジョイント5の対応孔5cに向かってロック機構部12に水平方向に形成された孔である。
【0026】
ロックピン回転防止構造は、ロックピン移動孔より縦断面積が狭く形成されている。例えば、ロックピン回転防止構造は、ロックピン移動孔の一部に内部へ突出する平面部と、この平面部と対応するロックピン20の一部とで構成される。
【0027】
レバー回動量設定部15は、ロックピン移動孔より縦断面積が広く形成されている。レバー回動量設定部15は、弾性部材30を収納する有底開口部を有し、弾性部材30に応じた長尺長さに形成されている。レバー回動量設定部15は、ロックピン移動孔と同心である。
【0028】
ロックピン20は、ロック孔1aと対応孔5cが一致する柱材1の位置でスライドジョイント5を固定するために用いられる。ロックピン20は、操作レバー40の回動操作により、ロック孔1aに突入したロック位置と、ロック孔1aから抜け出したロック解除位置とに変位可能である。いずれの位置でも、ロックピン20は、ロック機構マウント部10から表面側に突出する凸部を有する。
【0029】
ロックピン20にはフランジ部21が一体に設けられている。フランジ部21は、ロックピン20のロック位置とロック解除位置の変位に伴って、弾性部材30によって作用されたり、弾性部材30に作用したりする。
【0030】
また、ロックピン20には、外周の一部分に平面部が設けられており、ロックピン20の平面部がロック機構部12のロックピン回転防止構造の平面部に当たることでロックピン自体の回転が防止されている。
【0031】
弾性部材30は、例えば圧縮コイルばねであり、レバー回動量設定部15でロック機構部12とフランジ部21との間に圧縮可能に収納されている。弾性部材30は、ロックピン20を柱材側へ付勢する。
【0032】
操作レバー40は、基部41と、支点部42と、操作部43と、枢着部44と、側壁部45とを備えている。操作レバー40は、一体の樹脂から形成され、枢着部44でロックピン20に回動自在に連結されている。
【0033】
基部41は、正面視縦長矩形状で、正面視表面の中央が左右より肉厚の平面視円弧状のなだらかな曲面を有する蒲鉾状に形成されている。裏面において、上から支点部42,枢着部44の順で形成され、その下方に操作部43が形成されている。
【0034】
支点部42と操作部43の間で、支点部42に近づけた位置に、枢着部44が設けられている。支点部42から枢着部44までの距離は、操作部43から枢着部44までの距離よりも短い。支点部42と枢着部44は、操作部43より肉厚であり、略同じ肉厚に形成されている。
【0035】
支点部42は、操作レバー40の回動中心である。支点部42から基部41の上端までに側面視略円弧状の曲面が形成され、その両側には、側壁部45が延設され、その曲面と相似形状とされている。
【0036】
操作部43は、背面視横長矩形状であり、枢着部44より肉薄である。操作部43は、ロック機構マウント部10と対向する基部41の背面に形成されており、ロック機構マウント部10より下方にはみ出しており、スライドジョイント5と柱材1とも対向する、なお、操作部43には滑り止め用の突起部が形成されている。
【0037】
枢着部44は、ロック機構マウント部10から突出するロックピン20の凸部に枢着可能な開口を有する凹部と、この凹部で水平方向に貫通する貫通孔を有し、貫通孔に挿通される金属製の枢支ピン48とを備える。ロックピン20の凸部と枢着部44の凹部とが枢支ピン48によって枢着され、操作レバー40が回動可能となっている。
【0038】
操作レバー40の回動は、原理的には、枢着部44が操作部43に加えられる力と同じ方向に移動可能であり、ロックピン20のロック解除位置を超えてさらに移動可能である。しかし、本実施形態では、ロックピン20は、レバー回動量設定部15によってロック位置からロック解除位置までの変位に制限され、ロック解除位置を超えての移動はできないようにされている。このロック解除位置のときの操作レバー40の回動角度は、ロック位置の操作レバー40を0度とするとき45度以上60度以下の範囲内に設定されている。
【0039】
また、操作レバー40とロック機構マウント部10との間に弾性体49が設けられている。好ましくは、弾性体49としてトーションばねが挙げられ、弾性体49は枢着部44の支点部42側に介装される。弾性体49に枢支ピン48が挿入され、一方端が操作レバー40に配置され、他方端がロック機構マウント部10に配置される。
図4に示す弾性体49は操作部43を柱材側へ付勢する。弾性体49の付勢力は、弾性部材30の付勢力より弱い。
【0040】
側壁部45は、少なくとも枢着部44において、基部41の背面の左右両側から互いに突出する横断面視略凹状に形成されている。側壁部45の高さは、支点部42や枢着部44より高く形成され、ロック位置でロック機構マウント部10を外嵌する。
図4に示す側壁部45は、支点部42から操作部43までの範囲の両側に形成されている。なお、ロックピン20がロック位置のとき、側壁部45と支点部42と枢着部44とがロック機構マウント部10に当接する形状や構造等の構成としてもよい。
【0041】
図4に示すスライドジョイント5は、対応孔5cがロック孔1aと一致する位置でロックされている。この状態では、各柱材1は最も離隔しており、テント組立状態となり、折畳み式テント200が使用される(
図1参照)。
【0042】
次に、操作部43に指をかけ、弾性部材30の付勢力に抗して力を加えると、操作レバー40が支点部42を支点として時計方向に回動する。これに伴って枢着部44で枢着されたロックピン20が、操作部43に加えられた力と同じ方向へと移動し、ロック孔1aから抜け出したロック解除位置へと変位する。この状態でスライドジョイント5と柱材1とが相対移動可能となる。
【0043】
図5は、ロック解除位置におけるロック解除装置100を示す断面図である。このとき、ロック機構マウント部10内では、
図5に示すように、ロックピン20が、破線矢印M方向に移動したフランジ部21によって弾性部材30が圧縮され、ロック解除位置となっている。ここで、ロックピン20は破線矢印M方向にこれ以上移動できず、操作レバー40は破線矢印F方向への回動が規制される。
【0044】
このときの操作レバー40の回動角度は、ロック位置の操作レバー40の角度を0度とするとき45度以上60度以下の範囲内にあることが好ましい。回動角度が45度未満の場合には解除の誤反応のおそれがあり、回動角度が60度を超える場合には無駄な不安定な動きとなるおそれがあるためである。
【0045】
さらに、操作部43から指を離すと、操作レバー40は、反時計方向に回動し、操作部43が枢着部44の下方に戻る。更に弾性体49により操作レバー40は、操作部43が枢着部44の下方より柱材側へ傾いた状態となる。そして、操作レバー40は、ロック位置の操作レバー40の角度0度よりマイナス側へ傾いた角度で保持される。
【0046】
そして、ロックピン20がロック孔1aから抜け出した状態のままで柱材1に沿ってスライドジョイント5を下降させることで、梁材2を柱材1に寄り沿う収納状態へと変位させることができる。
【0047】
また、スライドジョイント5の下降に伴い、梁材2は関節部8での屈曲が可能となり、これにより柱材1の間隔を縮めることができる。さらに、4本の柱材1を中央側へ集めると、スライドジョイント5が各柱材1に沿って下降し、関節部8が折り畳まれるとともに、トップポールが下降する。そして、折畳み式テント200は、棒材6,7と柱材1とが略平行に折畳まれた状態になる。
【0048】
なお、上記動きとは逆に、柱材1に沿ってロック機構マウント部10を相対移動させ、対応孔5cとロック孔1aとの位置が合うと、弾性部材30の付勢力により、ロックピン20がロック位置へと自動的に変位する。この変位に伴い、操作レバー40もロック位置の回動角度0度に戻る。
【0049】
ロック解除装置100によれば、支点部42から枢着部44までの距離が操作部43から枢着部44までの距離よりも短く、枢着部44は操作部43に加わる力と同じ方向Mに作用するので、ロックピン20をロック解除位置へと変位させるロック解除操作を、比較的小さな力で容易に行うことができる。加えて、ロック解除操作と、それに続くスライドジョイント5の移動操作を、片手で簡単に行うことができる。
【0050】
また、ロック解除装置100によれば、ロック機構部12にレバー回動量設定部15が設けられ、操作レバー40の回動角度が、ロック位置の操作レバー40を0度とするとき45度以上60度以下の範囲内にあるので、操作レバー40による解除の誤反応を防止でき、かつ、無駄な不安定な動きを防止することができる。
【0051】
ロック解除装置100によれば、操作レバー40は、指を離して操作部43への力がなくなると、操作レバー40は操作部43が枢着部44の下方に自動的に戻る。このため、折畳みの際に、操作レバー40が邪魔にならず、円滑かつ安定的に行える。また、弾性体49を備えているので、弾性体49の付勢力により常時操作レバー40は柱材側へ付勢されている。このため、操作レバー40の不要な回動を防止することができる。また、操作レバー40は、操作部43が柱材側へ傾いた状態となるので、操作レバー40の傾斜角度の違いにより、利用者は、ロック位置とロック解除位置とを見分けることが容易にできる。即ち、ユーザは、ロックピン20がロック孔1aから抜けたロック解除位置に変位したことを容易に認識することができる。
【0052】
さらに、ロック解除装置100によれば、スライドジョイント5にロック機構マウント部10が一体に設けられているので、柱材1に沿ってロック機構マウント部10を相対移動させると、柱材1とスライドジョイント5の相対位置が変化する。
【0053】
折畳み式テント200によれば、ロック解除装置100を備えているので、ロック孔1aの位置でロックされたロックピン20を、比較的小さな力で容易に引き抜くことができ、スライドジョイント5を相対昇降可能にロック解除することができる。
【0054】
また、折畳み式テント200によれば、柱材1が横断面略六角管状であるため、フレーム強度がよい。スライドジョイント5が柱材1に相対移動可能であるので、横断面略六角管状の柱材1に対してスライドジョイント5を相対移動可能とすることができる。
【0055】
ロック解除装置100又は折畳み式テント200によれば、ロック機構部12には、ロックピン20の回転防止構造を備えているので、ロックピン20の回転が防止され、ひいては操作レバー40の回動を防止することができる。
【0056】
また、ロック解除装置100又は折畳み式テント200によれば、操作レバー40は、基部41が、正面視縦長矩形状で、正面視表面の中央が左右より肉厚の平面視円弧状のなだらかな曲面を有する蒲鉾状に成されているので、操作レバー40の欠けを防止でき、品質と状態が良く、圧力に対して強いという特性を発揮することができる。
【0057】
また、ロック解除装置100又は折畳み式テント200によれば、側壁部45が、支点部42と枢着部44と連設し、ロックピン20のロック位置でロック機構マウント部10を外嵌するので、ロック位置のとき、操作レバー40がロック機構マウント部10にフィットし、操作レバー40が、左右にぐらつくことなく、安定性がよい。
【0058】
(まとめ)
本発明の一態様に係るロック解除装置は、一又は複数の棒材の所定位置で解除可能に移動がロックされるスライドジョイントのロック解除装置であって、前記棒材が枢着され柱材に游挿される前記スライドジョイントに設けられたロック機構マウント部と、該ロック機構マウント部に設けられ前記柱材のロック孔に突入するロック位置と前記ロック孔から抜け出るロック解除位置をとり得るロックピンと、該ロックピンに回動可能に設けられ、一方側に支点部が形成され、他方側に操作部が形成され、前記支点部と前記操作部の間で前記支点部に近づけた位置に前記ロックピンを枢着する枢着部が形成され、前記支点部から前記枢着部までの距離は前記操作部から前記枢着部までの距離よりも短く、前記枢着部は前記操作部に加わる力と同じ方向に作用する操作レバーと、前記ロック機構マウント部と前記操作レバーとの間に介装され前記操作部を前記柱材側へ付勢する弾性体とを備えている構成である。
【0059】
本発明の一態様に係るロック解除装置によれば、前記操作部に力が加わると、前記操作レバーは、前記支点部を中心として回動し、前記ロックピンが前記ロック位置と前記ロック解除位置とに変位可能となる。
【0060】
このとき、本発明の一態様に係るロック解除装置によれば、ロックピンが枢着されている枢着点の位置から支点部までの距離が、操作部から枢着部までの距離に対して短いので、ロック解除の操作を弾性部材の付勢力に逆らう力より小さな力で容易に行うことができる。
【0061】
また、本発明の一態様に係るロック解除装置は、前記ロック位置のときの前記操作レバーの角度を0度とすると、前記操作レバーの回動角度は、前記ロック解除位置のとき、45度以上60度以下の範囲内にある構成であってもよい。
【0062】
この場合には、操作レバーによる解除の誤反応を防止でき、かつ、無駄な不安定な動きを防止することができる。
【0063】
さらに、本発明の一態様に係るロック解除装置は、前記操作レバーは、少なくとも前記枢着部の両側から互いに突出する側壁部を備え、該側壁部は、前記ロック位置のとき、前記ロック機構マウント部を外嵌する構成であってもよい。
【0064】
この場合には、側壁部がロック機構マウント部を外嵌するので、操作レバーのがたつきを防止できる。
【0065】
さらにまた、本発明の一態様に係るロック解除装置は、前記柱材の頂部に取外し可能に取着されている端部ジョイントを備え、前記棒材は、前記端部ジョイントに枢着されている他の棒材と枢支されており、前記スライドジョイントには、前記棒材を枢着するための梁支持材が1又は2方向に形成され、前記ロック機構マウント部は、前記スライドジョイントの下部に設けられている構成であってもよい。前記柱材が横断面六角管状である構成であってもよい。
【0066】
本発明の一態様に係るロック解除装置によれば、操作部への力がなくなると、弾性体の付勢力により操作レバーが柱側に付勢されるので、折畳みの際に、操作レバーが邪魔にならず、円滑かつ安定的に行うことができる。
【0067】
本発明の他の態様に係る折畳み式テントは、上記ロック解除装置の何れかを備えている構成である。
【0068】
本発明の他の態様に係る折畳み式テントによれば、本発明の一態様に係るロック解除装置により、柱材とスライドジョイントの相対位置を変化させると、スライドジョイントに連結された梁部材との相対位置が変化し、テントの組立状態とテントの折畳み状態に変化させることできる。このとき、折畳み式テントによれば、本発明の一態様に係るロック解除装置を備えているので、ロック解除の操作を弾性部材の付勢力に逆らう力より小さな力で容易に行うことができる。
【0069】
(本発明の変形例)
なお、本発明のロック解除装置、柱材及び折畳み式テントに係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、ロック機構マウント部、ロックピン等の形状、構造に係る構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0070】
例えば、本発明に係るロック解除装置は、上記実施形態の如く、ロック機構マウント部が、スライドジョイントの下部に一体的に設けられているものに何ら限定されない。例えば、ロック機構マウント部は、スライドジョイントの上部に設けられ、実施形態とは上下逆向きに使用されてもよいし、スライドジョイントとは別体とされていてもよい。
【0071】
また、本発明に係るロック解除装置は、上記実施形態の如く、ロックピン自体の回転防止構造としてロックピンが当たる部分に平面部を設ける構造に何ら限定されない。例えば、上記平面部を単数又は複数設けた構造であってもよいし、キー溝とキーによる構造であってもよい。
【0072】
さらに、本発明に係るロック解除装置は、上記実施形態の如く、操作部が同じ厚みに形成されているものに何ら限定されない。例えば、操作部は、側壁部において枢着部から基部の他方端に向かって徐々に肉厚が薄くなるテーパ状に形成されていてもよい。
【0073】
さらにまた、柱材は、外管と、内管と、カラーピンとで構成されていてもよい。カラーピンは、外管に対して内管を所定位置で固定するために用いられる。この場合には、外管に挿入する内管を伸長しながら所望の長さにカラーピンで固定する高さ調整が可能である。また、外管に内管が収納され、折畳み式テントのコンパクトな収納が可能である。
【0074】
本発明に係る折畳み式テントは、上記実施形態の如く、4本の柱材に2本のトップポールを備える長方形屋根のタイプに限定されることなく、例えば、柱材の本数は3本でもよいし、6本でも適用可能である。また、トップポールの有無にも限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
梁支持材が2方向に互いに90度角度をずらして形成されているスライドジョイントに適用され得るロック解除装置、これを備える折畳み式テントであるが、梁支持材が1方向に形成されているフェンス、門塀、さらに複数方向に形成されるパラソル、三脚、その他、脚立、梯子などの用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 柱材
1a ロック孔
5 スライドジョイント
10 ロック機構マウント部
20 ロックピン
30 弾性部材
40 操作レバー
42 支点部
43 操作部
44 枢着部
45 側壁部
49 弾性体
100 ロック解除装置
200 折畳み式テント