IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特許-温風暖房機 図1
  • 特許-温風暖房機 図2
  • 特許-温風暖房機 図3
  • 特許-温風暖房機 図4
  • 特許-温風暖房機 図5
  • 特許-温風暖房機 図6
  • 特許-温風暖房機 図7
  • 特許-温風暖房機 図8
  • 特許-温風暖房機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】温風暖房機
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20220101AFI20240911BHJP
   F24H 15/124 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/36 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/345 20220101ALI20240911BHJP
【FI】
F24H3/04 301
F24H15/124
F24H15/265
F24H15/36
F24H15/345
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020123680
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020278
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆志
(72)【発明者】
【氏名】岸本 知樹
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修司
(72)【発明者】
【氏名】公門 直人
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-257309(JP,A)
【文献】特開平02-013713(JP,A)
【文献】特開2009-229061(JP,A)
【文献】実開昭52-132937(JP,U)
【文献】特開平08-128644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
F23N 1/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風暖房機であって、
燃料を燃焼するための燃焼部と、
前記燃焼部に点火するための点火装置と、
前記燃焼部より生成された温風を室内に送出する送風ファンと、
人感センサを含み、前記人感センサの出力信号に基づいて、前記室内における人の存在の有無を検知する人検知装置と、
前記人検知装置における人の存在の有無の検知結果に応じて前記燃焼部および前記送風ファンの運転を制御する制御部とを備え、
前記温風暖房機の暖房運転中、前記制御部は、
燃焼開始条件が成立したときには、前記点火装置および前記送風ファンを作動して燃焼運転を実行する一方で、前記燃焼運転の実行中に、燃焼停止条件が成立したときには、前記燃焼部および前記送風ファンを停止して前記燃焼運転を停止するとともに、
前記人検知装置における前記検知結果から運転停止条件が成立していると判定された場合には、前記温風暖房機の前記暖房運転を停止するように構成され、
前記制御部は、前記点火装置による前記燃焼部の点火処理の実行中、前記人検知装置を用いた人検知動作を一時的に停止する、温風暖房機。
【請求項2】
前記制御部は、前記点火処理の実行中は、前記室内に人が検知されていないとみなす、請求項1に記載の温風暖房機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検知結果に応じて前記燃焼部の運転を制御するように構成され、
前記点火処理の実行中、前記検知結果を一時的にマスクするためのマスク部を備える、請求項1または2に記載の温風暖房機。
【請求項4】
前記人検知装置は、
前記人感センサの出力信号を処理するための信号処理回路と、
前記人感センサおよび前記信号処理回路に電源電圧を供給する電源線と、
前記電源線と、前記人感センサおよび前記信号処理回路の少なくとも一方との間に電気的に接続された電源スイッチとを含み、
前記制御部は、前記点火処理の実行中、前記電源スイッチを一時的にオフする、請求項1または2に記載の温風暖房機。
【請求項5】
前記制御部は、前記検知結果に基づいて、前記室内に人が検知できない状態が閾値時間継続していると判定されたときには、少なくとも前記燃焼部の発熱量を減少させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の温風暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-95195号公報(特許文献1)には、温風暖房機付近の人の存在の有無を検知する人検知装置を備えた温風暖房機が開示されている。人検知装置は、焦電型赤外線センサにより構成された人感センサを有しており、温風暖房機本体の前面に設けられている。特許文献1に記載の温風暖房機は、人検知装置が人の存在が無いことを検知して、その無人状態が所定時間継続したときには、バーナの火力を下げることにより燃料の消費を抑える、省エネ運転を実行するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-95195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記温風暖房機では、燃焼用ファンにより吸い込まれた燃焼用空気と、電磁弁から供給される燃料との混合ガスがバーナに供給されると、点火プラグが作動してスパーク(電気火花)を発生する。このスパークで混合ガスが点火されることにより、バーナに火炎が形成される。
【0005】
ただし、点火プラグの作動時には、点火プラグのスパークによるノイズが放射される。このノイズが人感センサの出力信号に重畳した場合、出力信号レベルが上昇するため、人検知装置は人が不在にもかかわらず誤検知を起こしてしまう可能性がある。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、点火装置の作動に伴う人検知装置の誤検知を防ぐことができる温風暖房機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面によれば、温風暖房機は、燃料を燃焼するための燃焼部と、燃焼部に点火するための点火装置と、燃焼部より生成された温風を室内に送出する送風ファンと、人感センサを含み、人感センサの出力信号に基づいて、室内における人の存在の有無を検知する人検知装置と、人検知装置における人の存在の有無の検知結果に応じて燃焼部および送風ファンの運転を制御する制御部とを備える。制御部は、点火装置による燃焼部の点火処理の実行中、人検知装置を用いた人検知動作を一時的に停止する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、点火装置の作動に伴う人検知装置の誤検知を防ぐことができる温風暖房機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る温風暖房機の斜視図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4】人検知装置の構成例を説明するブロック図である。
図5】温風暖房機の上面部の要部平面図である。
図6】本実施の形態に係る温風暖房機における燃焼部および人検知装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図7】人検知動作を停止する処理(図5のS06)の第1の実施態様を説明するための図である。
図8】人検知動作を停止する処理(図5のS06)の第2の実施態様を説明するための図である。
図9】エコ運転モードの適用時における温風暖房機の動作例を説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的には繰返さないものとする。
【0011】
(温風暖房機の構成)
最初に、図1から図3を参照して、実施の形態に係る温風暖房機の構成について説明する。以下、実施の形態に係る温風暖房機100の一例としてガスファンヒータについて説明する。ガスファンヒータは、公知のように、燃料であるガスの燃焼熱によって得られた温風を出力することにより温風暖房を行なうものである。ただし、本実施の形態に係る温風暖房機100は、燃料はガスに限定されない。
【0012】
図1は、実施の形態に係る温風暖房機100の斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。以下では各方向は温風暖房機100を床面に設置した状態を基準としている。
【0013】
本実施の形態に係る温風暖房機100は、筐体1と、表示パネル部7と、操作パネル部8と、燃焼ケース11と、燃焼部12と、送風ファン13と、制御部14と、風向板15と、人検知装置17と、レンズ部19と、室温検出用サーミスタ20とを有する。
【0014】
筐体1は、略直方体の形状を有しており、前面部2、上面部3、底面部4、側面部5および背面部6を有する。背面部6には室内の空気を吸気するための吸込口10が形成されている。
【0015】
前面部2の下部には、凹部2Aが形成されている。凹部2Aは、筐体1の内部に向けて凹んでいる。凹部2Aは前面部2の左右方向に延在しており、左右方向の長さが前面部2の左右方向の長さと略等しい。凹部2Aには、筐体1の内部で生成された温風を室内へ出力するための温風吹出口16が形成されている。温風吹出口16は、前面部2を貫通しており、筐体1の内部と外部とを連通している。温風吹出口16は略長方形状を有しており、凹部2Aの左右方向の大部分に渡って形成されている。
【0016】
風向板15は、温風吹出口16から筐体1外に露出するように配置されている。風向板15は前面部2の左右方向に延在しており、左右方向の長さが凹部2Aの左右方向の長さと略等しい。
【0017】
図1の例では、温風吹出口16は、風向板15に比べて左右方向の長さが短く、平面視において凹部2Aの左右方向の中央部分よりも左端寄りの位置に配置されている。温風吹出口16の周縁を囲む枠体には、開口部18が形成されている。図1の例では、開口部18は、温風吹出口16よりも右端寄りの位置に配置されている。
【0018】
開口部18にはレンズ部19が収容されている。図3に示すように、筐体1の内部には、レンズ部19を通じて検知面が露出するように、人検知装置17が配置されている。このように凹部2Aに人検知装置17を配置したことにより、筐体1の前面部2において人検知装置17を目立ちにくくすることができる。
【0019】
図4は、人検知装置17の構成例を説明するブロック図である。
【0020】
図4に示すように、人検知装置17は、人感センサ170と、信号処理回路172と、人検知装置17および信号処理回路172に電源電圧を供給するための電源配線173とを有する。
【0021】
人感センサ170は、焦電型赤外線センサにより構成される。焦電型赤外線センサは、物体の動作等によって視野内に熱エネルギの変化が生じたときに電圧信号を発生する。このため、人が動くと、これに応じて出力電圧を発生する。人感センサ170は、レンズ部19を通じて室内を視野内に収めるように配置されている。
【0022】
信号処理回路172は、増幅器174および比較器176を含む。人感センサ170の出力電圧Vs(以下、「センサ出力電圧」とも称する)は、室内での物体の動きに応じた電圧レベルを有する。すなわち、物体の動きが大きいときほど、センサ出力電圧Vsは大きくなる。増幅器174は、センサ出力電圧Vsを所定の増幅率kで増幅した電圧Vampを出力する(Vamp=Vs×k)。
【0023】
比較器176は、増幅器174の出力電圧Vampと判定電圧Vtとを比較する。判定電圧Vtは、閾値電圧Vthに増幅率kを乗算した電圧である(Vt=Vth×k)。Vamp>Vtのとき、比較器176はH(論理ハイ)レベルの検知信号を出力する。一方で、Vamp≦Vthのとき、比較器176はL(論理ロー)レベルの検知信号を出力する。このように信号処理回路172は、人感センサ170の出力信号(センサ出力電圧Vs)を処理した信号として、検知信号を制御部14へ出力する。
【0024】
制御部14は、信号処理回路172からの検知信号に基づいて、センサ出力電圧Vsおよび閾値電圧Vthとの比較に従って、室内に人が存在しているか否かを検知する。具体的には、人の動きに応じてセンサ出力電圧Vsが上昇し、閾値電圧Vthを超えると、比較器176の出力信号(検知信号)がHレベルに遷移することにより、制御部14は、室内に人が存在していると検知する。そして、部屋から人が退出することによってセンサ出力電圧Vsが減少し、閾値電圧Vthよりも低下すると、比較器176の出力信号(検知信号)がHレベルからLレベルに変化する。これに応じて、制御部14は、室内に人が存在していないと検知する。
【0025】
なお、人検知装置17は、図4に示す構成例に代えて、比較器176の機能を、制御部14を構成するマイクロコンピュータが実行する構成とすることもできる。この構成では信号処理回路172は増幅器174によって構成される。信号処理回路172は、人感センサ170の出力信号(センサ出力電圧Vs)を処理した信号として、増幅電圧Vampを制御部14へ出力する。制御部14は、内蔵したA/D変換器を用いて増幅電圧Vampをディジタル値に変換する。そして、増幅電圧Vampは制御部14でのソフトウェア処理によって、判定電圧Vtと比較される。したがって、センサ出力電圧Vsおよび閾値電圧Vthとの比較に基づいて、室内での人の存在の有無を検知することができる。すなわち、制御部14は、人検知装置17の出力信号(検知信号または増幅電圧Vamp)を、人の存在の検知結果として取得することができる。
【0026】
図1に戻って、筐体1の上面部3には各種情報を表示可能な表示パネル部7と、温風暖房機100を操作可能な操作パネル部8とが設けられている。図5は、温風暖房機100の上面部3の要部平面図である。図5に示すように、表示パネル部7は2つの表示部7a,7bを有しており、操作パネル部8は8つの操作ボタンおよび6つのランプを有している。
【0027】
操作ボタンとしては、暖房運転を開始/停止する運転スイッチ84、暖房設定温度(以下、設定室温とも称する)およびタイマの設定時間などを調整するための調整スイッチ82,83、エコ運転モードの適用/解除を選択するためのエコ運転スイッチ85および、オートオフ機能(自動停止機能)のオン/オフを切り替えるための切替スイッチ81などが設けられている。例えばエコ運転スイッチ85がオンに操作されると、温風暖房機100の運転モードにエコ運転モードが適用され、エコ運転モードの適用中にエコ運転スイッチ85がオフに操作されると、エコ運転モードが解除される。例えば切替スイッチ81がオンに操作されると、オートオフ機能がオフ状態からオン状態に遷移し、切替スイッチ81がオフに操作されると、オートオフ機能がオン状態からオフ状態に遷移する。エコ運転モードおよびオートオフ機能の詳細について後述する。
【0028】
ランプは、例えば発光ダイオード(LED)によって構成されている。ランプとしては、運転スイッチ84がオン状態のときに点灯し、オフ状態のときに消灯するランプ92および、人検知装置17の人検知機能によって人の存在が検知されたときに点灯し、人の存在が検知されないときに消灯するランプ91などが設けられている。
【0029】
表示部7a,7bには、操作パネル部8の操作ボタンの操作に対応した表示がなされる。例えば、調整スイッチ82,83によって入力された暖房設定温度(設定室温)およびタイマの設定時間などが表示される。さらに表示部7a,7bには、室温検出用サーミスタ20により検知された現在の室温が表示される。
【0030】
図1に示すように、筐体1の内部には、燃焼ケース11、燃焼部12、送風ファン13、制御部14、風向板15、人検知装置17および室温検出用サーミスタ20が収容されている。燃焼ケース11は、ファンケース一体型の燃焼ケースであり、燃焼部12および送風ファン13を内部に収容している。送風ファン13は風向板15の近傍に配置されている。燃焼部12は送風ファン13の上方に配置されている。
【0031】
燃焼部12は、例えば外部から供給される燃料ガスをバーナで燃焼させたときの熱によって空気を温めるように構成された燃焼式の空気加熱装置で構成されている。燃焼部12は、バーナの燃焼量の調整により、発熱量を調整することができる。
【0032】
送風ファン13は、図示しないファンモータおよび羽根車の回転速度が可変であり、回転速度に比例して送風量を増減するように構成される。したがって、温風発生装置は、燃焼部12の発熱量および送風ファン13の送風量などの調整により、その加熱能力(暖房能力)を調整することができる。
【0033】
燃焼ケース11の内部は二重構造となっており、燃焼装置11aと、空気迂回部11bとを有している。燃焼装置11aには、燃焼部12、点火プラグ24および熱電対25などが配置されている。燃焼部12は例えばバーナである。燃焼部12には、電磁弁22および比例弁21から燃料ガス供給管23を経由して燃料ガスが供給される。点火プラグ24は、スパーク(電気火花)を生じることにより、燃料ガスに点火可能に構成されている。点火プラグ24は「点火装置」の一実施例に対応する。熱電対25は、燃焼部12の火炎の有無を検知する。具体的には、熱電対25は、バーナの火炎に晒されたときに火炎の温度に応じた熱起電力を発生し、その起電力を制御部14に出力する。
【0034】
空気迂回部11bは、燃焼装置11aの周囲を取り巻くものであり、主として混合用の空気を流す空気流路として機能する。燃焼ケース11の背面側には、燃焼ケース11の内部に空気を取り込むための取込口が設けられている。吸込口10から吸気された空気が取込口を経由して燃焼ケース11の内部に取り込まれる。
【0035】
制御部14は、温風暖房機100を制御するマイクロコンピュータ(図示せず)を備えた制御基板を有しており、温風暖房機100の動作を制御可能に構成されている。具体的には、制御部14は、温風暖房機100の各種温度センサ(室温検出用サーミスタ20を含む)、人検知装置17および熱電対25からの検知信号を取得可能であり、燃焼部12の火炎の有無や火炎の温度、燃焼部12の燃焼量、温風暖房機100内部の温度、温風暖房機100が設置されている部屋の室温、室内における人の存在の有無などを取得可能である。制御部14は、取得した情報に基づいて温風暖房機100の各部を制御する。
【0036】
制御部14は、燃焼部12と、電磁弁22および比例弁21などの各種制御弁と、点火プラグ24とに接続されている。これにより、制御部14は、燃焼部12に対して燃焼開始動作、燃焼停止動作、および燃焼量を増減させる動作などを行なうことができる。
【0037】
(温風暖房機の動作)
次に、実施の形態1に係る温風暖房機100の動作について説明する。
【0038】
本実施の形態に係る温風暖房機100は、載置された部屋の室温を昇温および維持するための暖房運転を行なうことができる。つまり、燃焼部12で燃料ガスが燃焼され、発生した燃焼ガスと空気とが攪拌されて生成される温風が送風ファン13によって吹き出される暖房運転が実施されることによって、室温が暖房設定温度まで昇温される。
【0039】
操作パネル部8に設けられた運転スイッチ84がオンされ、温風暖房機100の暖房運転が開始されると、制御部14の信号によって送風ファン13が起動される。そして、電磁弁22が開かれて燃料ガス供給管23を経由して燃焼部12に燃料ガスが供給され、点火プラグ24が作動して燃焼部12に火炎が形成される。なお、燃焼部12への燃料ガスの供給量は、比例弁21の開度を制御することにより調整される。その結果、燃焼部12による燃焼量が、室温と暖房設定温度との温度差に応じた目標燃焼量となるように調整される。
【0040】
このとき、送風ファン13が作動することにより、温風暖房機100の近傍に温風暖房機100内を通過して循環する空気流が形成される。具体的には、図2中に矢印で示すように、吸込口10から温風暖房機100の内部へと空気が取り込まれ、取込口から燃焼ケース11内へと取り込まれる。そして、燃焼ケース11内へ取り込まれた空気の一部は、燃焼ケース11の燃焼装置11aに入り、燃焼部12の燃焼動作に使用される。また、取り込まれた空気の他の一部は、燃焼ケース11の空気迂回部11bに入り、燃焼部12の外側を流れる。そして、空気迂回部11bを流れた空気は、燃焼部12から発生する燃焼ガスと攪拌されて温風となる。
【0041】
燃焼装置11aを通過する高温の空気に、空気迂回部11bを流れた空気が混合されて適温の温風となる。そして温風となった空気が燃焼ケース11の下方へと流動し、温風吹出口16から温風暖房機100の外部へ吹き出される。このように実施の形態1に係る温風暖房機100は、室内の空気を取り込み、加熱して吹き出すことにより室温を上昇させることができる。
【0042】
また、本実施の形態に係る温風暖房機100は、暖房運転の実行中において、運転モードを切り替え可能に構成される。この運転モードは、「エコ運転モード」と、エコ運転モードが解除された「通常運転モード」とを含む。操作パネル部8のエコ運転スイッチ85がオン状態であるとき、エコ運転モードが適用される。これに対して、エコ運転モード中にエコ運転スイッチ85がオフされると、エコ運転モードが解除され、通常運転モードが適用される。
【0043】
通常運転モードでは、室温検出用サーミスタ20により検出される室温が暖房設定温度となるように、燃焼部12の燃焼量(発熱量)および送風ファン13の送風量が制御される。具体的には、室温と暖房設定温度との温度差に応じて目標燃焼量が決定されると、この目標燃焼量に従って比例弁21の開度を調整することにより、燃焼部12に対する燃料ガスの供給量が増減されるとともに、送風ファン13の回転速度が調整される。
【0044】
これに対して、エコ運転モードでは、制御部14は、燃焼部12に対する燃料ガスの上限が規制され、燃焼量に制御上の上限が設けられる。具体的には、エコ運転モードでは、予め定められた目標温度変更条件下で、燃焼部12および送風ファン13を制御するための目標温度を下方に修正するとともに、燃焼部12の燃焼量の上限が規制される。
【0045】
すなわち、制御部14は、室温が暖房設定温度に到達してから暖房設定温度を維持している状態が一定時間(例えば30分程度)以上継続した場合には、目標温度を、暖房設定温度よりも低い第1補正目標温度に変更する。第1補正目標温度は、例えば暖房設定温度から1℃減じた温度である。
【0046】
また制御部14は、目標温度が補正目標温度に変更されたことを契機として、燃焼部12の燃焼量の上限を1割程度抑制する。これにより、目標温度が暖房設定温度から第1補正目標温度に変更された後は、仮に室温が第1補正目標温度に対して十分に低い温度となったとしても、燃焼部12は自己の発熱能力の100%を発揮せず、例えば発熱能力の90%の出力で燃焼する。
【0047】
さらに、室温が第1補正目標温度に到達してから第1補正目標温度を維持している状態が一定時間(例えば30分程度)以上継続した場合には、制御部14は、目標温度を第2補正目標温度に変更する。第2補正目標温度は、例えば第1補正目標温度から1℃減じた温度である。これにより燃焼部12の出力の上限がさらに1割程度抑制される。その結果、目標温度が第2補正目標温度に変更された後は、仮に室温が第2補正目標温度に対して十分に低い温度となったとしても、燃焼部12は、自己の発熱能力の90%を発揮せず、例えば発熱能力の80%の出力で燃焼する。
【0048】
なお、上記「燃焼部12の燃焼量の上限を規制する」には、燃焼部12の燃焼量をゼロとして燃焼を中断すること、または、燃焼部12の燃焼量を断続的にゼロとして間欠燃焼することが含まれる。なお、制御部14は、電磁弁22を開状態から全閉状態に切り換えて燃焼部12への燃料ガスの供給を停止し、燃焼部12における燃焼を停止させることにより、燃焼部12の燃焼量をゼロとすることができる。
【0049】
具体的には、燃焼部12の燃焼量が最小であるにもかかわらず、室温が目標温度よりも高くなる場合には、制御部14は、燃焼部12の燃焼を自動的に中断することにより、室温を目標温度に一致させる。そして、燃焼停止後、室温が目標温度付近に設定された加熱再開温度まで下がったときに、制御部14は自動的に燃焼部12の燃焼を再開させる。
【0050】
あるいは、制御部14は、燃焼停止後、燃焼部12を間欠燃焼させる。すなわち、制御部14は、燃焼部12の燃焼を第1の設定時間(例えば17分程度)停止させた後、第2の設定時間(例えば3分程度)だけ燃焼部12を燃焼させ、再び第1の設定時間停止させるという動作を繰り返すことにより間欠燃焼を実行する。
【0051】
上述したエコ運転モードによれば、ユーザの快適性を損なうことなく、燃料ガスの消費量および消費電力が抑えられるため、省エネルギ化を図ることができる。
【0052】
さらに本実施の形態に係る温風暖房機100は、「オートオフ機能(自動停止機能)」を有している。操作パネル部8の切替スイッチ81がオン状態であるとき、オートオフ機能が適用される。オートオフ機能では、暖房運転の実行中(通常運転モードまたはエコ運転モードの実行中)において、人検知装置17により人の存在が検知されていない状態が予め設定された第1の閾値時間(例えば1時間程度)を超えて連続すると、制御部14は暖房運転を自動的に停止させる。オートオフ機能によれば、人の不在時における不要な燃料ガスの消費および消費電力を削減することができる。
【0053】
なお、オートオフ機能では、制御部14は、上述した暖房運転の自動停止に先立って、人検知装置17により人の存在が検知されていない状態が第1の閾値時間よりも短い第2の閾値時間(例えば30分程度)を超えて連続したタイミングで、燃焼部12の燃焼量および送風ファン13の送風量を減少させることにより、温風発生装置の加熱能力(暖房能力)を減少させる構成とすることができる。
【0054】
上記のように、オートオフ機能は、人検知装置17による人の存在の有無を検知した結果に基づいて動作するように構成される。しかしながら、燃焼部12における燃焼を開始するために点火プラグ24を作動させたときに、点火プラグ24が発生するスパークに起因してノイズが放射され、この放射ノイズが人感センサ170の出力信号(センサ出力電圧Vs)に重畳する場合がある。この場合、センサ出力電圧Vsが上昇して閾値電圧Vthを超えることにより、人検知装置17は、室内に人が居ないにもかかわらず誤検知してしまう可能性がある。あるいは、信号処理回路172から出力される検知信号に放射ノイズが重畳することにより、制御部14は室内に人が不在にもかかわらず誤検知してしまう可能性がある。
【0055】
これによると、人検知装置17により人の存在が検知されていない状態であるときに、上述したエコ運転モードの適用によって燃焼停止後の再点火が実施された場合には、点火プラグ24の放射ノイズによって室内に人が存在していると誤って検知されてしまう可能性がある。その結果、オートオフ機能が正常に作動しないことが懸念される。このようにエコ運転モードとオートオフ機能とを併用することが難しいという課題がある。
【0056】
そこで、本実施の形態に係る温風暖房機100は、点火処理の実行中には、人検知装置17を用いた人検知動作を一時的に停止させる構成とする。本構成において、制御部14は、点火処理の実行中、人検知装置17からの検知信号によらず、室内に人が存在していないとみなすように構成される。したがって、点火プラグ24の作動に伴う誤検知を回避することができる。
【0057】
図6は、本実施の形態に係る温風暖房機100における燃焼部12および人検知装置17の動作を説明するためのフローチャートである。図6に示された処理は、制御部14を構成するマイクロコンピュータによって実行することができる。
【0058】
図6を参照して、制御部14は、最初にステップ(以下、単に「S」と表記する)01により、操作パネル部8の運転スイッチ84がオンされたか否かを判定する。運転スイッチ84がオンされると(S01にてYES)、制御部14は、温風暖房機100の暖房運転を開始する。
【0059】
制御部14は、S02により、所定の燃焼開始条件が成立しているか否かを判定する。S02では、制御部14は、操作パネル部8を介してユーザ操作の内容に基づいて、指定された温風暖房機100の運転モードを判断する。操作内容に基づき通常運転モードが指定されたと判断された場合には、制御部14は、運転スイッチ84がオンされたときに(S01にてYES)S02をYESと判定してS03以降の処理を実施する。一方、操作内容に基づきエコ運転モードが指定されたと判断された場合には、制御部14は、運転スイッチ84がオンされたとき(S01にてYES)または、所定の燃焼停止後の燃焼再開条件が成立しているときに、S02をYESと判定してS03以降の処理を実施する。
【0060】
一方、燃焼開始条件が成立していない場合、制御部14は、S02をNOと判定し、S16に進み、点火プラグ24を停止状態に維持する。そして、制御部14は、S17により、人検知装置17からの検知信号を用いた人検知動作を実行する。S17では、制御部14は、人検知装置17からの検知信号に基づいて、センサ出力電圧Vsおよび閾値電圧Vthの比較に従って、室内に人が存在しているか否かを判定する。
【0061】
S02にて燃焼開始条件が成立すると、制御部14は、最初にS03にて送風ファン13を起動させて、温風暖房機100の近傍に温風暖房機100内を通過して循環する空気流を形成する。S03では、制御部14は、送風ファン13の回転速度を最大回転速度に設定する。
【0062】
続いて、制御部14は、S04にて電磁弁22を全閉状態から開状態に切り換えることにより、燃料ガス供給管23を経由して燃焼部12に燃料ガスを供給する。S04では、制御部14はさらに、比例弁21の開度を、目標燃焼量が最大燃焼量となるように設定する。
【0063】
次にS05により、制御部14は、点火プラグ24の通電を開始することにより、点火プラグ24を作動させる。この点火プラグ24の通電開始とともに、制御部14は、S06により、人検知装置17からの検知信号を用いた人検知動作を停止する。
【0064】
具体的には、S05では、点火プラグ24が作動してスパークを発生することにより、燃焼部12の混合ガスが着火されて燃焼部12に火炎が形成される。制御部14は、S07により、熱電対25からの検知信号(熱起電力レベル)に基づいて、燃焼部12における火炎の有無を検知する。この点火処理の実行中、制御部14は、S06により、人検知装置17の検知信号によらず、室内に人が存在していないとみなす。
【0065】
燃焼部12の火炎が検知された場合(S07にてYES)、制御部14は、S08に進み、点火プラグ24の通電を停止する。一方、燃焼部12の火炎が検知されない場合には(S07にてNO)、制御部14は、S05に戻り、点火プラグ24の通電を続行するとともに、S06による人検知動作の停止を続行する。なお、図示は省略するが、点火プラグ24に通電開始してから所定時間(例えば30秒程度)が経過するまでに火炎が検知されない場合には、制御部14は、点火失敗と判断して暖房運転を中止する。
【0066】
S08にて点火プラグ24の通電を停止すると、制御部14は、S09に進み、人検知装置17からの検知信号を用いた人検知動作を実行する。S09では、制御部14は、上述したように、人検知装置17からの検知信号に基づいて室内に人が存在しているか否かを検知する。
【0067】
さらに制御部14は、S10により、温風暖房機100の各種温度センサ(室温検出用サーミスタ20を含む)および人検知装置17からの検知信号を取得し、取得した情報に基づいて燃焼部12の燃焼量および送風ファン13の送風量を制御する。
【0068】
具体的には、通常運転モード時には、制御部14は、室温検出用サーミスタ20により検出される室温と暖房設定温度との温度差に応じて目標燃焼量を決定し、この目標燃焼量に従って比例弁21の開度を調整して燃焼部12に対する燃料ガスの供給量を増減させるとともに、送風ファン13の回転速度を調整する。
【0069】
一方、エコ運転モード時には、制御部14は、通常運転モードに比べて、燃焼部12の燃焼量および送風ファン13の送風量を減少させる。上述したように、制御部14は、所定の目標温度変更条件下で目標温度を補正目標温度に変更するとともに、燃焼部12の燃焼量の上限を規定する。
【0070】
さらに、オートオフ機能がオン状態である場合には、制御部14は、S09の人検知動作において室内に人の存在が検知されないときに、内蔵するタイマのカウント動作を行なうとともに、タイマのカウント値が閾値時間を超えたか否かを判定する。なお、室内での人の存在が検知されると、制御部14は上記タイマのカウント値をリセットする。
【0071】
上述した燃焼運転の実行中、制御部14は、S11により、所定の燃焼停止条件が成立したか否かを判定する。所定の燃焼停止条件は、エコ運転モードの適用中に室温が目標温度よりも高くなったこと、または燃焼運転時間が間欠燃焼における第2の設定時間に達したことを含む。
【0072】
燃焼停止条件が成立していないと判定された場合(S11にてYES)、続いてS12により、制御部14は、所定の運転停止条件が成立しているか否かを判定する。所定の運転停止条件は、操作パネル部8の運転スイッチ84がオフされたこと、または、オートオフ機能において人の存在が検知されていない状態が第1の閾値時間を超えて連続したと判定されたことを含む。
【0073】
運転停止条件が成立していないと判定された場合(S12にてNO)、制御部14は、S09に戻り人検知動作を続行するとともに、燃焼運転を続行する。一方、S12にて運転停止条件が成立していると判定された場合(S12にてYES)、制御部14は、S15により、温風暖房機100の暖房運転を停止する。
【0074】
これに対して、S11にて燃焼停止条件が成立していると判定された場合(S11にてYES)、制御部14は、S13に進み、上記運転停止条件が成立しているか否かを判定する。運転停止条件が成立していないと判定された場合(S13にてNO)、制御部14は、S14にて燃焼運転を停止し、処理をステップS02に戻す。一方、S13にて運転停止条件が成立していると判定された場合(S13にてYES)、制御部14は、S15により、温風暖房機100の暖房運転を停止する。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態に係る温風暖房機100によれば、点火処理の実行中には、人検知装置17を用いた人検知動作を停止する構成としたことにより、点火プラグ24の放射ノイズに起因した、人検知動作における誤検知を回避することができる。
【0076】
なお、図6のS06に示す「人検知動作を停止する」処理については、次のような実施態様を例示することができる。
【0077】
図7は、人検知動作を停止する処理(図6のS06)の第1の実施態様を説明するための図である。
【0078】
図7に示すように、制御部14は、マスク部140と、燃焼部12および送風ファン13の運転を制御する燃焼制御部142とを有する。マスク部140は、人検知装置17と燃焼制御部142との間に設けられており、人検知装置17からの入力信号をマスクするように構成されている。マスク部140は、人検知装置17における検知結果に一時的にマスクをすることにより、当該検知結果が燃焼制御部142に入力されないようにするものである。図7の例では、マスク部140は、人検知装置17から入力される検知信号に代えて、Lレベルに固定された検知信号を燃焼制御部142に出力するように構成される。
【0079】
具体的には、マスク部140は、燃焼制御部142の制御により点火プラグ24が作動状態であるときには、人検知装置17の検知信号をマスクするとともに、Lレベルに固定された検知信号を燃焼制御部142に出力する。これに対して、燃焼制御部142の制御により点火プラグ24が停止状態であるときには、マスク部140は、人検知装置17からの検知信号をマスクすることなく、燃焼制御部142に転送する。すなわち、マスク部140は、燃焼開始時には、燃焼制御部142による点火プラグ24の作動に応答して、検知信号をマスクする。そして、点火プラグ24の作動中に熱電対25からの検知信号に基づいて燃焼部12の火炎が検知されたことにより、燃焼制御部142が点火プラグ24を停止させると、マスク部140は、検知信号のマスクを解除する。
【0080】
これによると、点火処理の実行中は、燃焼制御部142において人検知装置17の検知信号に基づいた人の存在の有無の判定が不能となり、燃焼制御部142は、Lレベルに固定された検知信号によって強制的に室内に人が存在しないと判断することになる。
【0081】
なお、図示は省略するが、人検知装置17内の人感センサ170と信号処理回路172との間にマスク部を設けることにより、人感センサ170の出力信号(センサ出力電圧Vs)電圧に一時的にマスクをする構成としてもよい。
【0082】
図8は、人検知動作を停止する処理(図5のS06)の第2の実施態様を説明するための図である。
【0083】
図8に示すように、人検知装置17は、電源スイッチS1を有する。信号処理回路172は、電源スイッチS1を経由して電源配線173と接続される。すなわち、電源スイッチS1は、電源配線173および信号処理回路172の間に電気的に接続される。これにより、信号処理回路172に対する電源電圧の供給は、電源スイッチS1のオフによって遮断することができる。電源スイッチS1のオンオフは、制御部14からの制御信号によって制御することができる。
【0084】
制御部14は、点火プラグ24が作動状態であるときには、電源スイッチS1をオフするように制御信号を生成する。これに対して、点火プラグ24が停止状態であるときには、制御部14は、電源スイッチS1をオンするように制御信号を生成する。すなわち、制御部14は、燃焼開始時には、点火プラグ24を作動させるとともに、電源スイッチS1をオフするための制御信号を生成する。そして、点火プラグ24の作動中に熱電対25からの検知信号に基づいて燃焼部12の火炎が検知されると、点火プラグ24を停止させるとともに、電源スイッチS1をオンするための制御信号を生成する。
【0085】
これによると、点火処理の実行中には、信号処理回路172への電源供給が遮断されるため、信号処理回路172が作動不能となり、制御部14への検知信号の出力を停止する。よって、点火処理の実行中、検知信号が未入力の状態(Lレベル)となるため、制御部14は、室内に人が存在しないと判断する。
【0086】
なお、図8では、信号処理回路172への電源供給を遮断する構成について例示したが、信号処理回路172および人感センサ170の少なくともいずれか一方への電源供給を遮断する構成とすることにより、上述した効果を得ることができる。
【0087】
最後に、本実施の形態に係る温風暖房機100が奏する作用効果について説明する。
【0088】
図9は、エコ運転モードの適用時における温風暖房機100の動作例を説明するための波形図である。図9の縦軸には、室温検出用サーミスタ20により検知される室温、制御部14における燃焼運転、点火処理および人検知動作の状態、ならびに人検知装置17から出力される検知信号が示されている。なお、オートオフ機能はオン状態であるとする。
【0089】
図9の例では、エコ運転モードの適用中の時刻t1以降、燃焼部12の燃焼量を最小にしても、室温が目標温度TH*よりも所定温度以上高くなった場合には、燃焼部12の燃焼を一時的に停止させる(時刻t3)。
【0090】
制御部14は、燃焼部12の燃焼を停止させた後、燃焼部12の間欠燃焼を実行する。図9に示すように、制御部14は、燃焼部12を第1の設定時間Toff停止させた後、第2の設定時間Tonだけ燃焼部12を燃焼させ、再び第1の設定時間Toff燃焼部12を停止させるという動作を繰り返す。なお、図示は省略するが、制御部14は、燃焼停止後、室温が加熱再開温度まで下がったときに、燃焼部12の燃焼を再開させるようにしてもよい。
【0091】
間欠燃焼において、制御部14は、燃焼停止後の再燃焼を開始するタイミング(時刻t4など)において、点火プラグ24を作動させて燃焼部12を再点火する。すなわち、間欠燃焼の実行中、制御部14は、第1の設定時間Toffおよび第2の設定時間Tonの合計に基づく周期で定期的に点火処理を実行する。
【0092】
点火処理が実行される期間(図中の時間Tiに相当)において、制御部14は、人検知装置17を用いた人検知動作を一時的に停止する。具体的には、図7に示した第1の実施態様では、時間Tiに亘って、制御部14は、人検知装置17からの検知信号をマスクするとともに、検知信号をLレベルに固定する。あるいは、図8に示した第2の実施態様では、制御部14は、時間Tiに亘って人検知装置17の信号処理回路172への電源供給を遮断することにより、検知信号を一時的に未入力の状態(Lレベル)とする。
【0093】
図9の例では、制御部14は、時刻t2にて、人検知装置17からLレベルの検知信号を取得すると、室内に人の存在が検知されないと判定し、内蔵するタイマのカウント動作を開始する。時刻t2以降、制御部14は、タイマのカウント値に基づいて、人の存在が検知されてない状態が閾値時間Tthを超えたか否かを判定する。ただし、時刻t2より後に室内での人の存在が検知されると、制御部14は、タイマのカウント値をリセットする。
【0094】
本実施の形態では、燃焼停止後の再点火処理の期間中(時間Ti)、検知信号がLレベルに固定されている。そのため、点火プラグ24が放射するノイズの影響を受けて検知信号がHレベルとなることにより、制御部14が誤ってタイマのカウント値をリセットすることを防ぐことができる。したがって、図9の例では、タイマのカウント値が閾値時間Tthに達したタイミング(時刻t6)において、オートオフ機能が作動し、暖房運転が自動的に停止される。これによると、エコ運転モードの適用中においてオートオフ機能を正常に作動させることができる。
【0095】
なお、上述した実施の形態では、温風暖房機の一例としてガスファンヒータについて説明したが、本実施の形態に係る温風暖房機は、ガスファンヒータに限定されず、石油ファンヒータなどであってもよい。
【0096】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきでる。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
12 燃焼部、13 送風ファン、14 制御部、17 人検知装置、24 点火プラグ、100 温風暖房機、170 人感センサ、172 信号処理回路、173 電源配線、S1 電源スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9