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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20240911BHJP
   A61H 33/00 20060101ALI20240911BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/457 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/486 20220101ALI20240911BHJP
   G08B 21/08 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
F24H15/196 301X
A61H33/00 C
F24H15/212
F24H15/265
F24H15/269
F24H15/395
F24H15/457
F24H15/486
G08B21/08
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020159089
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052603
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】川端 裕之
(72)【発明者】
【氏名】古川 隆史
(72)【発明者】
【氏名】津川 明彦
(72)【発明者】
【氏名】伊美 泰徳
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-310693(JP,A)
【文献】特開2020-017162(JP,A)
【文献】特開2020-047182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
A61H 33/00
G08B 21/08
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のふろ関連機能を実行するふろ機能装置とサーバを介して通信する携帯端末装置の制御部に、所定の機能を実行させるプログラムであって、
長時間入浴を監視するために設定された設定時間が浴槽の湯の温度に基づいて短縮された状態において、入浴が検知された場合に、短縮後の前記設定時間と入浴開始の通知とを前記サーバから受信する機能と、
前記短縮後の設定時間および前記入浴開始の通知の受信に基づいて、入浴タイマのカウントを開始する機能と、
前記入浴タイマのカウントが前記短縮後の設定時間に到達したことに基づいて、入浴者に退浴の呼び掛けを行うため処理を行う機能と、を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置の制御部に所定の機能を実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置から浴槽に湯水を供給する方式のふろ機能装置が知られている。この他、浴槽に溜められた水を燃焼器に循環させて浴槽内の水を暖める方式のふろ機能装置も知られている。これらのふろ機能装置では、たとえば、浴室や台所に設置された複数のリモートコントローラによって、追い焚きや足し湯等のふろ関連機能が実行される。ふろ機能装置では、これらのふろ関連機能の他、入浴者を見守る機能が設けられ得る。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1には、入浴時間が設定時間に到達すると、入浴者に退浴を促す報知を行うふろ装置が記載されている。ここでは、浴槽内の湯の温度が、人体の体温に基づいて定められた基準温度に対して高くなるほど、設定時間が短縮され、また、浴槽内の湯の温度が基準温度に対して低くなるほど、設定時間が短縮される。これにより、より安全かつ快適な入浴を実現できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-7683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ふろ機能装置では、上記特許文献1に記載の構成の他、入浴者に退浴を勧めるための設定時間を、使用者が任意に設定可能な構成が適用され得る。この場合、使用者が設定した設定時間の長さによっては、たとえば、浴槽の湯温が高温に設定されたような場合に、設定時間が経過した際の入浴者への熱移動が大きくなってしまう。このため、この構成では、入浴者の安全性をより確実に維持するために、入浴者に対し、より適切なタイミングで退浴を促す必要がある。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、より安全に入浴者に退浴を促すことが可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の主たる態様は、所定のふろ関連機能を実行するふろ機能装置とサーバを介して通信する携帯端末装置の制御部に、所定の機能を実行させるプログラムに関する。この態様に係るプログラムは、長時間入浴を監視するために設定された設定時間が浴槽の湯の温度に基づいて短縮された状態において、入浴が検知された場合に、短縮後の前記設定時間と入浴開始の通知とを前記サーバから受信する機能と、前記短縮後の設定時間および前記入浴開始の通知の受信に基づいて、入浴タイマのカウントを開始する機能と、前記入浴タイマのカウントが前記短縮後の設定時間に到達したことに基づいて、入浴者に退浴の呼び掛けを行うため処理を行う機能と、を含む。
【0025】
本態様に係るプログラムによれば、浴槽内の湯の温度が高温なため設定時間が短縮された場合に、入浴時間が短縮後の設定時間に到達したか否かが、携帯端末装置において監視される。そして、入浴時間が短縮後の設定時間に到達すると、携帯端末装置において、入浴者に退浴の呼び掛けを行うための処理が行われる。これにより、携帯端末装置の使用者は、入浴時間が短縮後の設定時間に到達した場合に、適切に、入浴者に退浴を促すことができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、より安全に入浴者に退浴を促すことが可能なプログラムを提供することができる。
【0027】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施形態に係る、給湯システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る、給湯システムを構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図3図3は、実施形態に係る、給湯器と浴槽との間の接続形態を模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態に係る、ペアリング情報の構成を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る、入浴者に退浴を促すための制御を示すフローチャートである。
図6図6(a)は、実施形態に係る、浴槽内の湯の温度の変化の一例を示すグラフである。図6(b)は、実施形態に係る、図6(a)のように浴槽内の湯の温度が変化した場合の設定時間の変化を示すグラフである。
図7図7は、実施形態に係る、第1タイマ処理を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る、第2タイマ処理を示すフローチャートである。
図9図9(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る、第1報知処理および第2報知処理を示す図である。
図10図10は、変更例1に係る、第1タイマ処理を示すフローチャートである。
図11図11は、変更例1に係る、第2タイマ処理を示すフローチャートである。
図12図12(a)、(b)は、それぞれ、変更例1に係る、第1通知および第2通知を受信した場合の携帯端末装置における処理を示すフローチャートである。
図13図13(a)、(b)は、それぞれ、変更例1に係る、第1呼び掛け受付処理および第2呼び掛け受付処理において、携帯端末装置の表示入力部に表示される第1受付画面および第2受付画面を示す図である。
図14図14(a)、(b)は、それぞれ、変更例1に係る、給湯器の制御部が、第1呼び掛け指令および第2呼び掛け指令を受信した場合の処理を示すフローチャートである。
図15図15は、変更例2に係る、第2タイマ処理を示すフローチャートである。
図16図16は、変更例2に係る、携帯端末装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図17図17(a)は、変更例3に係る、浴槽内の湯の温度の変化の一例を示すグラフである。図17(b)は、変更例3に係る、図17(a)のように浴槽内の湯の温度が変化した場合の設定時間の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0030】
以下の実施形態では、給湯システム1が、特許請求の範囲に記載の「ふろシステム」に対応し、給湯装置10が、特許請求の範囲に記載の「ふろ機能装置」に対応する。給湯装置10は、ふろ関連機能とともに、台所の蛇口や、浴室のカラン等に対する給湯機能も実行する。
【0031】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0032】
図1は、実施形態に係る給湯システム1の構成を示す図である。
【0033】
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、サーバ50とを備え、ルータ20および外部通信網40を介して、携帯端末装置30と通信可能である。
【0034】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0035】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度、浴槽内の湯の温度の調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。
【0036】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。さらに、リモートコントローラ12には、発光源の点灯および点滅により所定の報知を行う発光部12bが設けられている。発光部12bの発光源として、たとえば、LED(Light Emitting Diode)が用いられる。
【0037】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0038】
浴室リモコン12の入力部122には、運転ボタン122aが含まれている。運転ボタン122a、132は、給湯器11を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。
【0039】
浴室リモコン12および台所リモコン13が運転オフ状態にあるとき、表示部121および表示入力部131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132が操作され、運転オン状態になると、表示部121および表示入力部131が点灯して設定内容が表示され、各操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
【0040】
さらに、入力部122および表示入力部131には、給湯温度や浴槽内の湯の温度を変更するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンを操作することにより、給湯の設定温度および浴槽内の湯の設定温度を変更することができる。この他、入力部122および表示入力部131には、追い焚き機能や、足し湯、足し水、ふろ自動機能等を実行するためのボタン等、給湯器11の動作を制御するためのボタンが含まれている。
【0041】
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40に接続するための通信中継器である。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0042】
外部通信網40には、給湯装置10に対する遠隔制御を管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、ルータ20および外部通信網40を介してサーバ50と通信を行う。また、携帯端末装置30が宅外にある場合、携帯端末装置30は、外部に設置されたルータ60または基地局70を介して外部通信網40に接続され、サーバ50と通信を行う。
【0043】
台所リモコン13と携帯端末装置30には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報(たとえば、IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13と携帯端末装置30は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。
【0044】
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。このとき同時に、台所リモコン13のID情報(識別情報)が、台所リモコン13からサーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。また、給湯装置10に対して遠隔制御を行うことが可能な携帯端末装置30が、給湯装置10に対応付けて、サーバ50に登録される。具体的には、給湯装置10(台所リモコン13)のID情報と携帯端末装置30のID情報およびアドレス情報とが互いに対応づけられて、サーバ50に登録される。
【0045】
こうして、携帯端末装置30に関する情報がサーバ50に登録されることにより、当該携帯端末装置30の使用者は、宅内H10と宅外の何れにおいても、携帯端末装置30を用いて、給湯装置10に対する遠隔制御を行うことができる。
【0046】
すなわち、携帯端末装置30が宅内H10と宅外の何れにある場合も、使用者から携帯端末装置30に入力された設定要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、設定要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10に対して、受信した設定要求を送信する。これにより、設定要求が、外部通信網40およびルータ20を介して、対応する給湯装置10の台所リモコン13に送信される。こうして、使用者が要求する内容の設定が、遠隔操作により、給湯装置10に適用される。
【0047】
また、給湯装置10の状態情報が、所定周期で随時、台所リモコン13からルータ20を介してサーバ50に送信される。状態情報は、現在の給湯装置10の設定状態および動作状態(後述の入退浴の検知結果等、各種検知結果を含む)を示す情報である。携帯端末装置30は、給湯システム1のアプリケーションプログラムにより、最新の状態情報をサーバ50から取得して表示させることができる。これにより、携帯端末装置30の使用者は、宅内H10および宅外の何れにおいても、給湯装置10の状態を監視することができる。
【0048】
図2は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0049】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、水位センサ114と、温度センサ115と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0050】
本実施形態では、記憶部112に記憶された制御プログラムによって、入退浴検知部111a、温度判定部111b、入浴タイマ部111c、報知処理部111dおよびタイマ変更部111eの機能が制御部111に付与される。
【0051】
入退浴検知部111aは、後述のように、水位センサ114の検知結果に基づいて、浴槽に対する人の入退浴を検知する。温度判定部111bは、浴槽内の湯の温度が所定の閾値以上となったか否かを判定する。入浴タイマ部111cは、入退浴検知部111aにより入浴が検知されるとカウントを開始し、入退浴検知部111aにより退浴が検知されるとカウントを終了してリセットされる。
【0052】
報知処理部111dは、入浴タイマ部111cが所定の設定時間をカウントしたことに基づいて、浴室リモコン12に、退浴のための報知を行わせるための処理を行う。ここで、設定時間は、使用者により任意に設定される。あるいは、設定時間は、給湯装置10において、デフォルトで設定されていてもよい。デフォルトで設定された設定時間を適宜、使用者が変更できてもよい。
【0053】
タイマ変更部111eは、温度判定部111bにより、浴槽内の湯の温度が所定の閾値温度以上であると判定されると上記設定時間を短縮し、浴槽内の湯の温度が当該閾値温度未満であると判定されると上記設定時間を変更しない。閾値温度は、たとえば、42℃に設定される。
【0054】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。
【0055】
水位センサ114は、後述のように、給湯器11内の管路に配置され、当該管路内の水圧に基づいて浴槽内の水位を検出する。制御部111は、水位センサ114の検出結果に基づいて、浴槽内の水位を検知する。また、制御部111は、水位センサ114により検知された水位の変動に基づいて、入退浴検知部111aの機能により、浴槽に対する人の入退を検知する。入退浴の検知結果は、2芯通信線L1、L2を介して、随時、制御部111から浴室リモコン12および台所リモコン13に送信され、さらに、無線通信部138を介してサーバ50に送信される。
【0056】
温度センサ115は、後述のように、給湯器11内の管路に配置され、浴槽から当該管路を流れる湯の温度を検出する。制御部111は、温度センサ115の検出結果に基づいて浴槽内の湯の温度を検出し、浴槽内の湯の温度が設定温度となるように、燃焼制御を行う。
【0057】
図3は、給湯器11と浴槽2との間の接続形態を模式的に示す図である。
【0058】
図3に示すように、給湯器11は、図2に示した構成の他、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230とを備える。
【0059】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓3および外部水栓4とに繋がる。給湯燃焼器214には、ガス電磁弁216により開閉される給湯ガス管路217を通じてガス(燃料ガス)が供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。
【0060】
追い焚き部220は、図2に示した水位センサ114の他、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。
【0061】
ふろ燃焼器224には、ガス電磁弁226により開閉されるふろガス管路227を通じてガス(燃料ガス)が供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサ114が配置される。水位センサ114は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0062】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0063】
制御部111は、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215およびガス電磁弁216、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225、水位センサ114およびガス電磁弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。
【0064】
浴室水栓3または外部水栓4が開かれると、給湯機能が実行される。水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓3または外部水栓4に供給される。浴室水栓3または外部水栓4が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0065】
また、浴室リモコン12または台所リモコン13から浴槽2への湯張りの指令を受けると、制御部111は、湯張り機能(ふろ自動機能)を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0066】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0067】
給湯が行われて浴槽2内に湯が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が水で満たされた状態となる。これにより、水位センサ114での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサ114により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0068】
なお、湯が張られた浴槽2内に人が入ると浴槽2内の水位が上昇する。また、浴槽2内から人が出ると水位が下降する。この浴槽2内への人の出入りに基づく水位変動を、水位センサ114によって検出することができる。これにより、上記のように、入退浴検知部111aの機能により、浴槽2に対する人の入退が検知される。
【0069】
また、追い焚き機能の実行時には、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる循環路と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。浴槽2内の湯温が予め設定された上限温度よりも高くなると、循環ポンプ225とふろ燃焼器224が停止する。
【0070】
足し湯機能では、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御により、所定量の湯が浴槽2に注入される。足し水機能の実行時には、給湯燃焼器214およびふろ燃焼器224を停止させた状態で、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御が実行され、所定量の水が浴槽2に注入される。
【0071】
給湯器11には、戻り管路221の入口付近に温度センサ(サーミスタ)115が設置されている。この温度センサ115によって、浴槽2から戻り管路221に流入する湯の温度、すなわち、浴槽2内の湯の温度が検出される。制御部111は、浴槽2内の湯の温度が、使用者によって設定された設定温度となるように、湯張り時の給湯温度を調節し、湯張り後は、適宜、追い焚き等の制御を実行する。給湯器11には、温度センサ115以外にも、給湯温度を検出するための温度センサ等、種々のセンサが設置されている。
【0072】
図2に戻り、浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、スピーカ126と、マイク127と、人感センサ128と、発光駆動部129と、を備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
【0073】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。
【0074】
スピーカ126は、制御部123により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部123は、記憶部124に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ126から出力された音声は、図1の音声窓12aから出力される。マイク127は、図1の音声窓12aを介して、音声を集音する。
【0075】
人感センサ128は、浴室における人の動きを検知する。人感センサ128は、たとえば、赤外線を用いた焦電センサである。人感センサ128の検出範囲は、浴室内の洗い場と浴槽2をカバーする範囲に設定される。人感センサ128が、洗い場の範囲と浴槽の範囲を個別に検出可能であってもよい。
【0076】
制御部123は、人感センサ128の検出結果に基づいて、浴室に対する人の入退を検出する。人感センサ128の検出結果に基づいて、さらに、浴槽に対する人の入退が検出されてもよい。この場合、人感センサ128の検出結果が一定周期(たとえば1秒)で給湯器11に送信され、給湯器11の制御部111が入退浴検知部111aの機能により、受信した検出結果に基づいて、浴槽に対する人の入退を検出する。
【0077】
発光駆動部129は、発光源(たとえばLED)と、発光源の駆動回路とを備え、制御部123からの制御により、発光源を駆動する。こうして、発光源が駆動されることにより、図1の発光部12bが発光する。後述のように、発光駆動部129は、所定の報知の際に、発光源を点滅駆動させる。
【0078】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、スピーカ136と、マイク137と、無線通信部138とを備える。
【0079】
制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。
【0080】
スピーカ136は、制御部133により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部133は、記憶部134に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ136から出力された音声は、図1の音声窓13aから出力される。マイク137は、図1の音声窓13aを介して、音声を集音する。
【0081】
無線通信部138は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。サーバ50には、台所リモコン13(給湯装置10)のアドレス情報およびID情報として、無線通信部138のアドレス情報およびID情報が登録される。
【0082】
携帯端末装置30は、制御部301と、記憶部302と、無線通信部303と、表示入力部304と、スピーカ305と、マイク306と、を備える。
【0083】
制御部301は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部302に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部302は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。記憶部302には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが記憶され、制御部301は、このプログラムに従って、遠隔制御の処理を実行する。無線通信部303は、制御部301からの制御に従って、ルータ20および外部通信網40と通信を行う。無線通信部303は、ルータ20および外部通信網40との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。
【0084】
表示入力部304は、たとえば、タッチパネルにより構成される。スピーカ305およびマイク306は、携帯端末装置30に対する音声の入出力に用いられる。
【0085】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503とを備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、所定の制御を行う。
【0086】
本実施形態では、予め、給湯装置10に対して遠隔制御を行うことが可能な携帯端末装置30が、給湯装置10(台所リモコン13)に対応付けて、サーバ50に登録される。すなわち、予め、給湯装置10と携帯端末装置30とがペアリングされ、ペアリングを示す情報(ペアリング情報)が、サーバ50において管理される。具体的には、給湯装置10(台所リモコン13)のID情報と携帯端末装置30のID情報とが互いに対応づけられて、ペアリング情報が構成される。
【0087】
このようなペアリングは、たとえば、給湯装置10が設置された宅内H10に設置された台所リモコン13を介して、携帯端末装置30がサーバ50と通信することにより行われる。これにより、悪意の第三者によって不当に、携帯端末装置30と給湯装置10とがペアリングされる可能性が減少する。
【0088】
図4は、ペアリング情報の構成を示す図である。
【0089】
ここでは、給湯装置10が台所リモコン13(無線通信部138)のID情報により特定されている。台所リモコン13のID情報に、当該給湯装置10を制御可能な携帯端末装置30のID情報とアドレス情報が対応づけられる。アドレス情報は、外部通信網40を介した通信の際に、携帯端末装置30に接続するための情報である。たとえば、アドレス情報は、携帯端末装置30に対するプッシュ通知の際に利用される。
【0090】
ところで、本実施形態では、浴槽における入浴が所定の設定時間に亘って継続した場合に、入浴者に対して、退浴を促す報知(呼び掛け)が行われる。上記のように、設定時間は、たとえば、使用者によって任意に設定される。しかし、浴槽の湯温が高温に設定されている場合、設定時間が長いと、設定時間が経過した際の入浴者への熱移動が大きくなってしまう。このため、入浴者の安全性をより確実に維持するためには、入浴者に対し、より適切なタイミングで退浴を促す必要がある。
【0091】
そこで、本実施形態では、より適切なタイミングで入浴者に退浴を促すための制御が行われる。以下、この制御について説明する。
【0092】
図5は、入浴者に退浴を促すための制御を示すフローチャートである。
【0093】
本実施形態では、給湯器11の制御部111が、図5の制御を行う。ステップS101の処理は、制御部111に付与された温度判定部111bの機能によって行われる。また、ステップS104の処理は、制御部111に付与されたタイマ変更部111eの機能により行われる。便宜上、以下では、これらの機能により、制御部111が、図5の各ステップの処理を行うとして、説明を行う。
【0094】
制御部111は、現在の浴槽内の湯の温度Tdが、閾値温度Tth1以上であるか否かを判定する(S101)。ここで、温度Tdは、温度センサ115の検出結果により取得される。あるいは、温度Tdは、現在の浴槽内の湯の設定温度であってもよい。すなわち、浴槽内の湯の温度は、使用者により設定された設定温度となるように制御される。このため、この設定温度が現在の浴槽内の湯の温度Tdとして用いられてもよい。
【0095】
現在の浴槽内の湯の温度Tdが閾値温度Tth1未満である場合(S101:NO)、制御部111は、設定時間を維持して(S102)、第1タイマ処理を実行する(S103)。他方、現在の浴槽内の湯の温度Tdが閾値温度Tth1以上である場合(S101:YES)、制御部111は、設定時間を短縮して(S104)、第2タイマ処理を実行する(S105)。制御部111は、ステップS101~S105の処理を繰り返し実行する。
【0096】
図6(a)は、浴槽内の湯の温度の変化の一例を示すグラフであり、図6(b)は、図6(a)のように浴槽内の湯の温度が変化した場合の設定時間の変化を示すグラフである。
【0097】
図6(a)の例では、設定温度の変更等によって、浴槽内の湯の温度Tdが、温度Td0から上昇し、時刻t1において、閾値温度Tth1に到達している。この例では、時刻t1において、図5のステップS101の判定がYESとなる。このため、図6(b)に示すように、時刻t1において、設定時間Tm0が、設定時間Tm1に短縮される。この処理は、図5のステップS104において行われる。
【0098】
その後、再度の設定温度の変更等によって、浴槽内の湯の温度Tdが、閾値温度Tth1から上昇し、時刻t2において、閾値温度Tth1を超える温度に到達している。しかし、本実施形態では、閾値温度Tth1が1つのみ設定されるため、このように、さらに温度Tdが上昇しても、短縮後の設定時間Tm1は、そのまま維持される。
【0099】
ここで、閾値温度Tth1は、たとえば42℃に設定され、短縮後の設定時間Tm1は、たとえば、8分に設定される。浴槽内の湯の温度が39℃付近であれば、ある程度長時間の入浴が生じても、入浴者への熱移動は、小さく抑えられる。また、一般に、浴槽の湯の設定温度と入浴時間は、それぞれ、41℃以下と、10分以内が基本であると想定されている。このため、浴槽の湯の温度が41℃以下である場合、設定時間は、浴槽の湯の温度との関係からは短縮せずともよいと想定され得る。
【0100】
これに対し、浴槽内の湯の温度が42℃付近およびそれ以上である場合、比較的短い時間の入浴であっても、入浴者への熱移動が大きくなる。このため、使用者が通常設定する設定時間に亘って入浴が継続すると、入浴者への熱移動が大きくなり、退浴時にヒートショックを起こす可能性が高まる。よって、上記のように閾値温度を42℃付近に設定して、浴槽内の湯の温度が42℃付近以上である場合に、入浴者に退浴を促すための設定時間を8分程度に短縮することにより、退浴時に入浴者にヒートショックが生じることを適切に防ぐことができる。
【0101】
なお、閾値温度Tth1は、42℃に限られるものではなく、42℃付近(たとえば、42℃±1℃)の他の温度(たとえば、41℃)であってもよい。また、短縮後の設定時間Tm1は、8分に限られるものではなく、ヒートショックを抑制可能な他の温度(たとえば、7分程度)に設定されてもよい。
【0102】
また、使用者が設定した設定時間Tm0が、短縮後の設定時間Tm1(たとえば8分)よりも短い場合は、設定時間Tm0がそのまま維持されればよい。この場合、図5のステップS104では、設定時間Tm0を短縮する処理は行われず、設定時間Tm0がそのまま維持されて、ステップS105の処理が行われる。
【0103】
図7は、図5のステップS103において実行される第1タイマ処理を示すフローチャートであり、図8は、図5のステップS105において実行される第2タイマ処理を示すフローチャートである。
【0104】
本実施形態では、給湯器11の制御部111が、図7および図8の制御を行う。図7および図8のステップS111、S115およびステップS121、125の処理は、制御部111に付与された入退浴検知部111aの機能によって行われ、ステップS112、S116およびステップS122、S126の処理は、制御部111に付与された入浴タイマ部111cの機能により行われる。また、図7および図8のステップS113、S114およびステップS123、124の処理は、制御部111に付与された報知処理部111dの機能によって行われる。便宜上、以下では、これらの機能により、制御部111が、図7および図8の各ステップの処理を行うとして、説明を行う。
【0105】
まず、図7を参照して第1タイマ処理について説明する。
【0106】
制御部111は、水位センサ114の検知結果に基づいて、浴槽2に人が入ったか否かを判定する(S111)。ここで、浴槽2に人が入ったと判定すると(S111:YES)、制御部111は、入浴タイマを起動して、計時のカウントを開始する(S112)。入浴タイマのカウント値が設定時間(図5のステップS102において、短縮されず維持された設定時間)に到達する前に(S113:NO)、入浴者が浴槽2から退出したことを検知すると(S115:YES)、制御部111は、入浴タイマを終了およびリセットして(S116)、処理を終了する。
【0107】
他方、入浴者が浴槽2から退出しないまま(S115:NO)、入浴タイマのカウント値が設定時間(短縮されず維持された設定時間)に到達すると(S113:YES)、制御部111は、入浴者に退浴を促すための第1報知処理を実行する(S114)。そして、制御部123は、入浴タイマを終了およびリセットして(S116)、処理を終了する。
【0108】
次に、図8を参照して第2タイマ処理について説明する。
【0109】
第2タイマ処理は、図7の第1タイマ処理に比べて、ステップS123の設定時間およびステップS124の第2報知処理が、図7のステップS113およびステップS114と相違するのみであり、その他のステップは、図7の対応するステップと同様である。
【0110】
制御部111は、水位センサ114の検知結果に基づいて、浴槽2に人が入ったか否かを判定する(S121)。ここで、浴槽2に人が入ったと判定すると(S121:YES)、制御部111は、入浴タイマを起動して、計時のカウントを開始する(S122)。入浴タイマのカウント値が設定時間(図5のステップS104において、短縮された設定時間)に到達する前に(S123:NO)、入浴者が浴槽2から退出したことを検知すると(S125:YES)、制御部111は、入浴タイマを終了させて(S126)、処理を終了する。
【0111】
他方、入浴者が浴槽2から退出しないまま(S125:NO)、入浴タイマのカウント値が設定時間(短縮された設定時間)に到達すると(S123:YES)、制御部111は、入浴者に退浴を促すための第2報知処理を実行する(S124)。そして、制御部123は、入浴タイマを終了およびリセットして(S126)、処理を終了する。
【0112】
図9(a)は、図7のステップS114で実行される第1報知処理を示す図であり、図9(b)は、図8のステップS124で実行される第2報知処理を示す図である。
【0113】
まず、図9(a)を参照して、制御部111は、図2のスピーカ126を制御して、入浴者に退浴を促す第1メッセージ音声を出力させる。これにより、図9(a)に示すように、浴室リモコン12の音声窓12aから、第1メッセージ音声614が出力させる。第1メッセージ音声614は、1つのチャイム音と、このチャイム音に続くメッセージ(ここでは、「退浴をおすすめします」とのメッセージ)とからなっている。これにより、入浴者は、退浴を促され、浴槽から退浴することを動機付けられる。
【0114】
次に、図9(b)を参照して、制御部111は、図2のスピーカ126を制御して、入浴者に退浴を促す第2メッセージ音声を出力させる。これにより、図9(b)に示すように、浴室リモコン12の音声窓12aから、第2メッセージ音声624が出力させる。第2メッセージ音声624は、1つのチャイム音と、このチャイム音に続くメッセージ(ここでは、「今すぐ退浴をおすすめします」とのメッセージ)とからなっている。
【0115】
ここで、第2報知処理における第2メッセージ音声624は、第1報知処理における第1メッセージ音声614に比べて、より強く、入浴者に退浴を促す内容となっている。たとえば、第2メッセージ音声624は、第1メッセージ音声614よりも大きな音量で出力される。また、第2メッセージ音声624には、メッセージに「今すぐ」が含まれており、第1メッセージ音声614よりも、退浴をより強く促す内容となっている。この他、第2メッセージ音声624では、チャイム音が複数回連続して出力されてもよい。これにより、入浴者に、より強く、注意喚起を促すことができる。
【0116】
さらに、第2報知処理において、制御部111は、図2の発光駆動部129を制御して、発光源を一定周期でパルス発光させる。これにより、図9(b)に示すように、浴室リモコン12の発光部12bが点滅する。この点滅によっても、入浴者は、注意喚起を促される。
【0117】
このように、第2報知処理では、第1報知処理に比べて、入浴者に退浴をより促す報知が行われる。これにより、入浴者は、退浴をより強く促されて、浴槽から退浴することをより強く動機付けられる。
【0118】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0119】
図5に示したように、浴槽内の湯の温度Tdが閾値温度Tth1以上である場合に(S101:YES)、退浴を促すための設定時間が短縮される(S104)。これにより、浴槽内の湯の温度が高温(閾値温度Tth1以上)である場合に、入浴者に退浴が促された時点で、入浴者に過度の熱移動が生じていることを抑制できる。このため、たとえば、退浴を促されて入浴者が浴槽から出たときの入浴者の体温と、浴槽外の環境温度との差が大きく開いていることを抑制でき、入浴者にヒートショック等の現象が生じることを防ぐことができる。よって、より安全に入浴者に退浴を促すことができる。
【0120】
ここで、閾値温度Tth1は、上記のように、42℃付近に設定されることが好ましい。このように閾値温度Tth1を設定することにより、上記のように、入浴者にヒートショックが生じることを適切に防ぐことができる。
【0121】
また、図9(a)、(b)を参照して説明したように、制御部111(報知処理部111d)は、図5のステップS104において設定時間を短縮した場合、図5のステップS102において設定時間を変更せずに維持する場合に比べて、入浴者に退浴をより促す報知を、浴室リモコン(報知部)に実行させる。これにより、浴槽の湯の温度が高温である場合に、入浴者により効果的に退浴を促すことができる。よって、入浴者にヒートショック等の現象が生じることを、より適正に防ぐことができ、入浴者をより安全に見守ることができる。
【0122】
また、本実施形態では、浴室に設置された浴室リモコン12を用いて、退浴を促す報知が行われる。このように、退浴を促すための報知部に浴室リモコン12を共用することにより、別途、浴室等に報知部を設ける必要がない。よって、構成の簡素化およびコストの削減を図りながら、円滑かつ適切に、入浴者に適切に退浴を促すことができる。
【0123】
<変更例1>
上記実施形態では、入浴時間が設定時間に到達した場合に、浴室リモコン12において、退浴を促す報知が行われたが、変更例1では、入浴時間が設定時間に到達した場合に、そのことを示す通知が、給湯器11の制御部111から携帯端末装置30に送信される。そして、給湯器11の制御部111は、当該通知に対して、携帯端末装置30から、呼び掛け指令を受信したことに基づいて、浴室リモコン12に、退浴のための報知を行わせる。
【0124】
図10および図11は、それぞれ、変更例1に係る、第1タイマ処理および第2タイマ処理を示すフローチャートである。
【0125】
図10および図11のフローチャートは、図7および図8のフローチャートに比べてステップS117、S127が追加されている。ステップS117、S127の処理は、制御部111の報知処理部111dの機能によって行われる。図10および図11のその他のステップは、図7および図8の対応するステップと同様である。
【0126】
まず、図10を参照して、制御部111は、第1タイマ処理において、第1報処理を行うと(S114)、さらに、入浴時間が設定時間(短縮されずに維持された設定時間)に到達したことを示す第1通知を、台所リモコン13を介して、サーバ50に送信する(S117)。サーバ50は、送信元の台所リモコン13に対応付けられている携帯端末装置30に、プッシュ通知等を介して、当該第1通知を送信する。その後、制御部111は、処理をステップS116に進めて、入浴タイマを終了する。
【0127】
次に、図11を参照して、制御部111は、第2タイマ処理において、第2報処理を行うと(S124)、さらに、入浴時間が設定時間(短縮された設定時間)に到達したことを示す第2通知を、台所リモコン13を介して、サーバ50に送信する(S127)。サーバ50は、送信元の台所リモコン13に対応付けられている携帯端末装置30に、プッシュ通知等を介して、当該第2通知を送信する。その後、制御部111は、処理をステップS126に進めて、入浴タイマを終了する。
【0128】
図12(a)および図12(b)は、それぞれ、第1通知および第2通知を受信した場合の携帯端末装置30における処理を示すフローチャートである。
【0129】
まず、図12(a)を参照して、携帯端末装置30の制御部301は、サーバ50から第1通知を受信すると(S201:YES)、第1呼び掛け受付処理を実行する(S202)。第1呼び掛け受付処理において、制御部111は、入浴者に退浴を促すための呼び掛け操作を受け付ける。ここで、携帯端末装置30の使用者から、呼び掛けのための操作が入力されると(S203:YES)、制御部111は、第1呼び掛け指令をサーバ50に送信する(S204)。
【0130】
サーバ50は、受信した第1呼び掛け指令を、送信元の携帯端末装置30に対応付けられている給湯装置10(台所リモコン13)に送信する。こうして、第1呼び掛け指令が、給湯器11の制御部111に受信される。
【0131】
次に、図12(b)を参照して、携帯端末装置30の制御部301は、サーバ50から第2通知を受信すると(S211:YES)、第2呼び掛け受付処理を実行する(S212)。第2呼び掛け受付処理において、制御部111は、入浴者に退浴を促すための呼び掛け操作を受け付ける。ここで、携帯端末装置30の使用者から、呼び掛けのための操作が入力されると(S213:YES)、制御部301は、第2呼び掛け指令をサーバ50に送信する(S214)。
【0132】
サーバ50は、受信した第2呼び掛け指令を、送信元の携帯端末装置30に対応付けられている給湯装置10(台所リモコン13)に送信する。こうして、第2呼び掛け指令が、給湯器11の制御部111に受信される。
【0133】
図13(a)および図13(b)は、それぞれ、第1呼び掛け受付処理および第2呼び掛け受付処理において、携帯端末装置30の表示入力部304に表示される第1受付画面710および第2受付画面720を示す図である。
【0134】
まず、図13(a)を参照して、第1受付画面710は、浴槽に対する入浴状態を示す画像711と、入浴状態のまま経過した時間を表示する項目712と、呼び掛けを行うためのボタン713と、画面を閉じるためのボタン714と、入浴時間が設定時間に到達したことを報知するメッセージ715と、入浴者に退浴の呼び掛けを行うか否かを問い合わせるメッセージ716とを含んでいる。画像711には、浴槽内の湯の温度(ここでは39℃)が重ね表示される。
【0135】
第1受付画面710が表示されている間、サーバ50から携帯端末装置30に、随時、給湯装置10の状態情報が送信される。この状態情報は、入退浴に関する情報、入浴経過時間(入浴が継続されている時間)および浴槽内の湯の温度に関する情報が含まれている。これらの情報に基づいて、制御部301は、第1受付画面710を更新する。
【0136】
たとえば、第1受付画面710が表示された後、ボタン713、714の何れかが操作されるまでの間に、入浴者が退浴したことを示す情報を受信すると、制御部301は、画像711から人の画像を消去するとともに、項目712に表示されている時間を消去し、さらに、メッセージ715の内容を、入浴者が退浴したことを示す情報に修正する。また、入浴が継続したまま、新たな入浴経過時間をサーバ50から受信すると、制御部301は、項目712の内容を、新たな入浴経過時間の内容に更新する。
【0137】
携帯端末装置30の使用者は、第1受付画面710の各表示を参照して、入浴者に対する退浴の呼び掛けの要否を判断する。そして、使用者は、呼び掛けを行う場合はボタン713を操作し、呼び掛けを行わない場合はボタン714を操作する。ボタン713が操作されると、図12(a)のステップS203の判定がYESとなって、上記のように、第1呼び掛け指令がサーバ50に送信される。他方、ボタン714が操作されると、図12(a)のステップS203の判定がNOとなり、第1呼び掛け指令の送信は行われない。
【0138】
次に、図13(b)を参照して、第2受付画面720は、第1受付画面710と類似の内容を含んでいる。第2受付画面720における画像721、項目722、ボタン723、724およびメッセージ727は、第1受付画面710の画像711、項目712、ボタン713、714およびメッセージ716と同様である。ただし、第2受付画面720は、浴槽内の湯温が高いため、入浴タイマの設定時間が短縮されたことを報知するメッセージ725を含んでいる。また、メッセージ726は、入浴時間が短縮後の設定時間に到達したことを示す内容に変更されている。
【0139】
第2受付画面720も、第1受付画面710と同様、第2受付画面720が表示された後、ボタン723、724の何れかが操作されるまでの間に、サーバ50から受信する状態情報に応じて、表示内容が更新される。携帯端末装置30の使用者は、第2受付画面720の各表示を参照して、入浴者に対する退浴の呼び掛けの要否を判断する。このとき、使用者は、入浴者がさらに入浴を継続することにより安全性が害される可能性を、メッセージ725、726から把握する。このため、使用者は、入浴者に退浴を促すための報知を行うことを、より強く動機付けられる。
【0140】
使用者は、呼び掛けを行う場合はボタン723を操作し、呼び掛けを行わない場合はボタン724を操作する。ボタン723が操作されると、図12(b)のステップS213の判定がYESとなって、上記のように、第2呼び掛け指令がサーバ50に送信される。他方、ボタン724が操作されると、図12(b)のステップS213の判定がNOとなり、第2呼び掛け指令の送信は行われない。
【0141】
図14(a)および図14(b)は、それぞれ、給湯器11の制御部111が、第1呼び掛け指令および第2呼び掛け指令を受信した場合の処理を示すフローチャートである。
【0142】
これらの処理は、制御部111の報知処理部111dの機能により行われる。
【0143】
まず、図14(a)を参照して、制御部111は、第1呼び掛け指令を受信すると(S131:YES)、第1報知処理を実行する(S132)。第1報知処理は、図10のステップS114における処理と同様である。第1報知処理が実行されることにより、浴室リモコン12において、図9(a)に示した報知が行われる。
【0144】
次に、図14(b)を参照して、制御部111は、第2呼び掛け指令を受信すると(S141:YES)、第2報知処理を実行する(S142)。第2報知処理は、図11のステップS124における処理と同様である。第2報知処理が実行されることにより、浴室リモコン12において、図9(b)に示した報知が行われる。
【0145】
なお、ステップS132において行われる報知処理が、第1報知処理とは異なっていてもよく、また、ステップS142において行われる報知処理が、第2報知処理とは異なっていてもよい。
【0146】
たとえば、ステップS132の報知処理により浴室リモコン12から出力されるメッセージ音声が、図9(a)の第1メッセージ音声614に、さらに、携帯端末装置30の使用者からの呼び掛けによるものであることを報知するメッセージ音声が含まれてもよい。同様に、ステップS142の報知処理により浴室リモコン12から出力されるメッセージ音声が、図9(b)の第2メッセージ音声624に、さらに、携帯端末装置30の使用者からの呼び掛けによるものであることを報知するメッセージ音声が含まれてもよく、また、発光部12bの点滅周期がさらに短く設定されてもよい。
【0147】
<変更例1の効果>
図13(a)、(b)に示したように、設定時間以上の入浴が生じた場合に、その旨が、携帯端末装置30から使用者に報知される。そして、携帯端末装置30の使用者が、当該報知に対して、携帯端末装置30に、呼び掛けのための操作を行うと、入浴者に対し、退浴のための報知が行われる。よって、携帯端末装置30の使用者は、自身が宅外にいる場合も、入浴者を円滑に見守ることができ、入浴時間が設定時間に到達した場合に、適宜、入浴者に退浴を促すことができる。
【0148】
なお、変更例1の構成によれば、図10のステップS114および図11のステップS124により、入浴者に退浴を促す報知が行われた後、入浴者が退浴を行わなければ、さらに、携帯端末装置30に対する操作により、再度、入浴者に退浴を促す報知が行われる。この場合、給湯装置10に複数の携帯端末装置30が対応付けられていれば、各携帯端末装置30の使用者から、入浴者に退浴を促すための呼び掛けが行われ得る。このため、入浴者に対し、より効果的に退浴を促すことができ、特に、浴槽内の湯の温度が高く、設定時間が短縮された場合に、入浴者にヒートショック等が生じる可能性を、より適切に防ぐことができる。
【0149】
<変更例2>
上記実施形態では、入浴時間が設定時間に到達した場合に、浴室リモコン12において、退浴を促す報知が行われた。これに対し、変更例2では、設定時間が短縮された状態で入浴が検知されると、短縮後の設定時間と入浴開始の通知が給湯装置10から携帯端末装置30に送信され、携帯端末装置30において、入浴時間が短縮後の設定時間に到達したか否かが監視される。そして、入浴時間が短縮後の設定時間に到達した場合に、呼び掛け操作が受け付けられ、呼び掛け操作が入力されると、携帯端末装置30からサーバ50に、退浴を促すための呼び掛け指令が送信される。給湯器11の制御部111は、この呼び掛け指令を受信したことに基づいて、浴室リモコン12に、退浴のための報知を行わせる。
【0150】
図15は、変更例2に係る、第2タイマ処理を示すフローチャートである。
【0151】
図15のフローチャートは、図8のフローチャートに比べて、ステップS128が追加されている。図15のその他のステップの処理は、図8の対応するステップの処理と同様である。ステップS128の処理は、制御部111の報知処理部111dの機能により行われる。
【0152】
第2タイマ処理において、入浴が検知されると(S121:YES)、制御部111は、図5のステップS104において短縮された後の設定時間と、入浴が開始したことを示す通知を、台所リモコン13を介して、サーバ50に送信する。サーバ50は、受信したこれらの情報を、送信元の台所リモコン13に対応付けられている携帯端末装置30に送信する。その後、制御部111は、ステップS122以降の処理を実行する。ステップS122以降の処理は、上記実施形態と同様である。
【0153】
図16は、変更例2に係る、携帯端末装置30の制御部301による処理を示すフローチャートである。
【0154】
携帯端末装置30の制御部301は、図15のステップS128で送信された情報をサーバ50から受信すると(S221:YES)、タイマを起動して、計時のカウントを開始する(S222)。タイマのカウント値が、ステップS221で受信した短縮後の設定時間に到達する前に(S223:NO)、入浴者が浴槽2から退出したことを示す状態情報をサーバ50から受信すると(S227:YES)、制御部301は、タイマを終了およびリセットして(S228)、処理を終了する。
【0155】
他方、入浴者が浴槽2から退出したことを示す状態情報をサーバ50から受信しないまま(S227:NO)、タイマのカウント値が短縮後の設定時間に到達すると(S223:YES)、制御部301は、呼び掛け受付処理を実行する(S224)。呼び掛け受付処理において、制御部301は、入浴者に退浴を促すための操作入力を受け付ける。たとえば、制御部301は、呼び掛け受付処理において、図13(b)と同様の受付画面を、表示入力部304に表示させる。
【0156】
携帯端末装置30の使用者から、呼び掛けのための操作が入力されると(S225:YES)、制御部301は、呼び掛け指令をサーバ50に送信する(S226)。サーバ50は、受信した呼び掛け指令を、送信元の携帯端末装置30に対応付けられている給湯装置10(台所リモコン13)に送信する。こうして、呼び掛け指令が、給湯器11の制御部111に受信される。その後、制御部301は、タイマを終了およびリセットして(S228)、処理を終了する。他方、携帯端末装置30の使用者から、呼び掛けのための操作が入力されなかった場合(S225:NO)、制御部301は、タイマを終了およびリセットして(S228)、処理を終了する。
【0157】
ステップS226にて送信された呼び掛け指令を受信した場合の給湯器11の処理は、図14(b)のフローチャートと同様である。これにより、図9(b)と同様の報知が、入浴者に対して行われる。この場合も、上記変更例1と同様、図9(b)の第2メッセージ音声624に、さらに、今回の呼び掛けが、携帯端末装置30の使用者からの呼び掛けによるものであることを報知するメッセージ音声が含まれてもよい。
【0158】
<変更例2の効果>
変更例2の構成によれば、短縮後の設定時間以上に亘って入浴が継続した場合に、その旨が、携帯端末装置30から使用者に報知される。そして、携帯端末装置30の使用者が、当該報知に対して、携帯端末装置30に、呼び掛けのための操作を行うと、入浴者に対し、退浴のための報知が行われる。よって、携帯端末装置30の使用者は、自身が宅外にいる場合も、入浴者を円滑に見守ることができ、入浴時間が設定時間に到達した場合に、適宜、入浴者に退浴を促すことができる。
【0159】
また、変更例2の構成によれば、図15のステップS124により、入浴者に退浴を促す報知が行われた後、入浴者が退浴を行わなければ、さらに、携帯端末装置30に対する操作により、再度、入浴者に退浴を促す報知が行われる。この場合、給湯装置10に複数の携帯端末装置30が対応付けられていれば、各携帯端末装置30の使用者から、入浴者に退浴を促すための呼び掛けが行われ得る。このため、入浴者に対し、より効果的に退浴を促すことができ、入浴者にヒートショック等が生じる可能性を、より適切に防ぐことができる。
【0160】
<変更例3>
上記実施形態では、図6(a)に示したように、設定時間を短縮するための閾値温度が1つであったが、設定時間を短縮するための閾値温度が複数設けられ、浴槽内の湯の温度が各閾値温度に到達するごとに、設定時間がより短くなるように短縮されてもよい。
【0161】
図17(a)は、浴槽内の湯の温度の変化の一例を示すグラフであり、図17(b)は、図17(a)のように浴槽内の湯の温度が変化した場合の設定時間の変化を示すグラフである。
【0162】
図17(a)、(b)の例では、2つの閾値温度Tth1、Tth2が設定され、浴槽内の湯の温度Tdが閾値温度Tth1、Tth2に到達すると、使用者により設定された設定時間Tm0が、設定時間Tm1、Tm2に短縮される。ここでは、時刻t1、t2において、浴槽内の湯の温度Tdが閾値温度Tth1、Tth2に到達している。このため、時刻t1、t2において、設定時間T0が設定時間Tm1、Tm2に短縮されている。
【0163】
上記実施形態と同様、閾値温度Tth1は、たとえば、42℃に設定され、短縮後の設定時間Tm1は、たとえば、8分に設定される。また、閾値温度Tth2は、たとえば、43℃に設定され、短縮後の設定時間Tm2は、たとえば、5分に設定される。このように、浴槽内の湯の温度がより高温である場合に、設定時間をより短く短縮することにより、湯から入浴者への熱移動をより適切に抑制できる。よって、退浴の際に、入浴者にヒートショック等の現象が生じる可能性を、より確実に防ぐことができる。
【0164】
なお、このように複数の温度閾値を設ける場合、たとえば、浴槽内の湯の温度が各閾値に到達することにより短縮された設定時間を、ステップS123の設定時間として用いて、第2タイマ処理が実行されればよい。この場合、第2報知処理は、短縮されたそれぞれの設定時間ごとに報知の内容を変更してもよく、あるいは、短縮されたそれぞれの設定時間に拘わらず、報知の内容を同様としてもよい。報知の内容を変更する場合は、短縮後の設定時間が短いほど、退浴をより強く促す内容にしてもよい。たとえば、短縮後の設定時間が短いほど、第2メッセージ音声624の音量を高めてもよく、また、発光部12bの点滅周期を短くしてもよい。
【0165】
<その他の変更例>
上記実施形態では、入退浴検知部111a、温度判定部111b、入浴タイマ部111c、報知処理部111dおよびタイマ変更部111eが給湯器11に配置されたが、これらが、給湯システム1を構成する他の装置に配置されてもよい。たとえば、これらの機能が浴室リモコン12の制御部123に付与されてもよく、あるいは、台所リモコン13の制御部133に付与されてもよい。たとえば、これらの機能が浴室リモコン12の制御部123に付与される場合、水位センサ114の検知結果が随時、浴室リモコン12の制御部123に送信されて、浴室リモコン12の入退浴検知部における入浴および退浴の検知に用いられればよい。
【0166】
あるいは、給湯システム1に図2以外の制御装置が配置される場合、この制御装置に、入退浴検知部、温度判定部、入浴タイマ部、報知処理部およびタイマ変更部が配置されてもよい。この場合、水位センサ114の検知結果および温度センサ115の検知結果が随時、この制御装置に送信されればよい。この他、サーバ50に、入退浴検知部、温度判定部、入浴タイマ部、報知処理部およびタイマ変更部が配置されてもよく、また、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13に、入退浴検知部、温度判定部、入浴タイマ部、報知処理部およびタイマ変更部が分配されてもよい。
【0167】
また、入退浴検知部111a、温度判定部111b、入浴タイマ部111c、報知処理部111dおよびタイマ変更部111eは、必ずしも、ソフトウエアにより実現されなくともよく、たとえば、その一部または全てが、ロジック回路を用いたハードウエアにより実現されてもよい。
【0168】
また、上記実施形態では、報知手段が浴室リモコン12であったが、報知手段はこれに限られるものではない。たとえば、浴室に、浴室リモコン12とは別の報知手段が設置され、この報知手段を用いて、退浴を促す報知は行われてもよい。
【0169】
また、上記実施形態では、水位センサ114の出力に基づいて、入浴の有無が検知されたが、入浴の有無の検知方法はこれに限られるものではない。たとえば、背もたれ部分に照度センサを配置し、照度センサの検出照度が低下したことに基づいて、入浴が検出されてもよい。
【0170】
また、上記実施形態では、給湯装置10を構成する台所リモコン13に無線通信部138が設けられたが、無線通信部が給湯器11に設けられて給湯器11がルータ20に接続されてもよい。あるいは、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13以外に無線通信部を備えた制御ユニットが給湯装置10に配置され、この制御ユニットがルータ20に接続されてもよい。
【0171】
また、上記実施形態に示した呼び掛けのための制御は、給湯装置10において完結するため、この制御には、必ずしも、サーバ50および携帯端末装置30は必須ではない。よって、この制御の実現形態として、サーバ50および携帯端末装置30が省略されてもよい。
【0172】
また、給湯器11の構成は、図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、図3の構成では、浴槽2内の湯をふろ熱交換器222に循環させることによって、浴槽2内の湯に対する追い焚きが行われたが、給湯器11が、高温の湯を浴槽に追加することにより追い焚き機能が実行されてもよい。
【0173】
なお、給湯装置10を遠隔制御する端末装置に、携帯性がなく所定の場所に設置される据え置き型の端末装置が含まれてもよい。また、給湯装置10は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。給湯装置10は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0174】
また、上記実施形態では、浴槽に対する所定のふろ機能を実行するふろ機能装置として、ふろ関連機能とともに給湯機能を備えた給湯装置10が例示されたが、ふろ機能装置は、ふろ関連機能のみを実行可能な装置であってもよい。たとえば、浴槽2に溜められた水を、熱交換器に循環させて暖める機能のみを有するふろ機能装置を、ふろシステムが備える構成であってもよい。この場合、ふろ機能装置は、ふろを沸かすための構成と、ふろシステムのサーバと通信するための構成とを備えていればよい。
【0175】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0176】
1 給湯システム(ふろシステム)
10 給湯装置(ふろ機能装置)
12 台所リモコン(報知部)
30 携帯端末装置
40 外部通信網
50 サーバ
101 制御部
111a 入退浴検知部
111b 温度判定部
111c 入浴タイマ部
111d 報知処理部
111e タイマ変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17