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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】風呂システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20240911BHJP
【FI】
F24H15/196 301W
F24H15/196 301G
F24H15/196 301Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020180145
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071277
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須本 彩月
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-116226(JP,A)
【文献】特開2019-203678(JP,A)
【文献】特開2017-027574(JP,A)
【文献】特開2001-235222(JP,A)
【文献】特開2019-100593(JP,A)
【文献】特開2021-064842(JP,A)
【文献】特開2021-082175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽への湯水の供給および追い焚きが可能な風呂装置と、
浴室内に設置され、前記風呂装置を遠隔操作するためのリモコンと、
判定部と、を備えた風呂システムにおいて、
前記リモコンは、
外部の携帯端末から送信される電波信号を受信し、この受信した電波信号の信号強度を検出する無線通信部を有し、
前記判定部は、
予め登録された前記携帯端末である登録済み携帯端末から送信されて前記無線通信部で受信される電波信号の信号強度と所定の基準値との比較結果に基づいて、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定および入浴終了の判定のうち少なくとも一方の判定を行うよう構成され、
前記風呂装置は、
前記判定部の判定結果に基づいて、その運転状態と、所定の運転に関わる設定項目についての設定値とのうち少なくとも一方を変更するよう構成され、
前記判定部は、
前記登録済み携帯端末の所有者について入浴終了の判定を行うよう構成され、
前記風呂装置は、
前記判定部の判定結果に基づいてその運転状態を変更するよう構成されており、浴槽内の湯水を保温する保温運転中であるときに、前記判定部によって全ての前記登録済み携帯端末の所有者について入浴終了の判定が行われるまで前記保温運転を継続し、全ての前記登録済み携帯端末の所有者について入浴終了の判定が行われた後、前記保温運転を終了するよう構成された、
呂システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定を行うよう構成され、
前記風呂装置は、
前記判定部の判定結果に基づいてその運転状態を変更するよう構成されており、前記判定部によって前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定が行われたときに、浴槽湯温が風呂設定温度よりも低い場合には追い焚き運転を開始するよう構成された、
請求項1に記載の風呂システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定を行うよう構成され、
前記風呂装置は、
前記判定部の判定結果に基づいて前記設定項目についての設定値を変更するよう構成されており、前記判定部によって前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定が行われたときに、前記設定項目についての設定値を、前記登録済み携帯端末の所有者に予め関連付けられた個人別の所望値に変更するよう構成された、
請求項1または2に記載の風呂システム。
【請求項4】
前記浴室内に人が存在するか否かを検出する人感センサをさらに備え、
前記判定部は、
前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定および入浴終了の判定のうち少なくとも一方の判定を行う際、前記登録済み携帯端末から送信されて前記無線通信部で受信される電波信号の信号強度と前記基準値との比較結果と、前記人感センサの検出結果とに基づいて行うよう構成された、
請求項1~のいずれかに記載の風呂システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂の追い焚き等を行うことができる風呂システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風呂装置において、浴槽内の湯水の温度(湯温)を所定の風呂設定温度に維持するために保温運転が行われているものがある。保温運転では、浴槽の湯温が風呂設定温度よりも所定温度低くなると追い焚き運転が行われ、湯温が風呂設定温度になると追い焚き運転が停止されるので、間欠的に追い焚き運転が行われることになる。
【0003】
例えば、特許文献1には、浴槽内の湯水の保温動作中に、浴室リモコンに備えられた人体センサの検出結果に基づいて入浴者の数をカウントし、その累積数が設定された人数に達すると、保温動作を解除することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、追い焚き運転中に、浴室リモコンに備えられた人検知センサにより、浴室からの人の退室が検知されると、追い焚き運転を停止することが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、入浴者が浴槽へ入るときの浴槽の水位の変化から入浴者を識別して、その入浴者に合った追い焚きパターンを用いて追い焚き運転を行うことが記載されている。
【0006】
また、特許文献4には、浴室リモコン(風呂リモコン)に個人別設定ボタンを備え、個人専用の温度設定を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第2935046号公報
【文献】特開2019-100593号公報
【文献】特許第3776986号公報
【文献】特許第4040213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の風呂装置では、保温運転の終了はリモコンの操作によって行われている場合が多い。この場合、例えば、家族全員の入浴終了後に、ユーザが保温運転の終了操作を忘れると、保温運転が継続されて非経済的である。この保温運転の終了のようにリモコンの操作によって風呂装置の運転状態を変更する場合には、ユーザがリモコンの操作を失念したり、ユーザがリモコンの操作を煩わしいと感じることがある。
【0009】
また、風呂装置には、ユーザがリモコンを操作して、風呂設定温度等の設定項目の設定値として適用可能な所望値を個人別に設定できる構成のものもある。しかしながら、ユーザが上記設定値を個人別の所望値に切り替えるための操作を煩わしいと感じることがある。
【0010】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、風呂装置の運転状態および/または所定の設定項目の設定値を変更するための操作の煩雑さを低減することができる風呂システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る風呂システムは、浴槽への湯水の供給および追い焚きが可能な風呂装置と、浴室内に設置され、前記風呂装置を遠隔操作するためのリモコンと、判定部と、を備えた風呂システムにおいて、前記リモコンは、外部の携帯端末から送信される電波信号を受信し、この受信した電波信号の信号強度を検出する無線通信部を有し、前記判定部は、予め登録された前記携帯端末である登録済み携帯端末から送信されて前記無線通信部で受信される電波信号の信号強度と所定の基準値との比較結果に基づいて、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定および入浴終了の判定のうち少なくとも一方の判定を行うよう構成され、前記風呂装置は、前記判定部の判定結果に基づいて、その運転状態と、所定の運転に関わる設定項目についての設定値とのうち少なくとも一方を変更するよう構成されている。
【0012】
この構成によれば、風呂装置が、判定部の判定結果に基づいて、風呂装置の運転状態、および/または、所定の運転に関わる設定項目についての設定値を自動的に変更することで、ユーザにとってリモコン操作の煩雑さを低減することができる。
この場合、登録済み携帯端末からの受信電波信号の信号強度が基準値を超えたときに、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定を行い、前記登録済み携帯端末からの受信電波信号の信号強度が基準値を超えた状態から基準値以下になると、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴終了の判定を行うようにしてもよい。
なお、判定部が入浴開始の判定および入浴終了の判定の両方の判定を行う場合において、両方の判定に代えて、入浴中か否かの判定を行うものであってもよい。
また、本明細書および特許請求の範囲において、「入浴」とは、浴槽への入浴だけを意味するものではなく、脱衣室および浴室(浴槽を含む)の範囲内に人が存在すること(その存在することが想定されることを含む)を意味する。
【0013】
また、前記判定部は、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴終了の判定を行うよう構成され、前記風呂装置は、前記判定部の判定結果に基づいてその運転状態を変更するよう構成されており、浴槽内の湯水を保温する保温運転中であるときに、前記判定部によって全ての前記登録済み携帯端末の所有者について入浴終了の判定が行われた後、前記保温運転を終了するよう構成されていてもよい。
【0014】
また、前記判定部は、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定を行うよう構成され、前記風呂装置は、前記判定部の判定結果に基づいてその運転状態を変更するよう構成されており、前記判定部によって前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定が行われたときに、浴槽湯温が風呂設定温度よりも低い場合には追い焚き運転を開始するよう構成されていてもよい。
【0015】
また、前記判定部は、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定を行うよう構成され、前記風呂装置は、前記判定部の判定結果に基づいて前記設定項目についての設定値を変更するよう構成されており、前記判定部によって前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定が行われたときに、前記設定項目についての設定値を、前記登録済み携帯端末の所有者に予め関連付けられた個人別の所望値に変更するよう構成されていてもよい。
【0016】
前記浴室内に人が存在するか否かを検出する人感センサをさらに備え、前記判定部は、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定および入浴終了の判定のうち少なくとも一方の判定を行う際、前記登録済み携帯端末から送信されて前記無線通信部で受信される電波信号の信号強度と前記基準値との比較結果と、前記人感センサの検出結果とに基づいて行うよう構成されていてもよい。
この場合、登録済み携帯端末からの受信電波信号の信号強度が基準値を超えており、かつ、人感センサにより人の存在が検出されたときに、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴開始の判定を行い、人感センサにより人の存在が検出されなくなり、かつ、前記登録済み携帯端末からの受信電波信号の信号強度が基準値を超えた状態から基準値以下になると、前記登録済み携帯端末の所有者について入浴終了の判定を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上に説明した構成を有し、風呂装置の運転状態および/または所定の設定項目の設定値を変更するための操作の煩雑さを低減することができる風呂システムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態の風呂システムを含む通信システムの概略構成図である。
図2図2は、本実施形態の風呂装置の一例である給湯器の概略構成を示す作動原理図である。
図3図3は、給湯器の制御装置が入浴開始および入浴終了の判定等を行う際の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0020】
(実施形態)
図1は、本実施形態の風呂システムを含む通信システムの概略構成図である。
本実施形態の風呂システムは、風呂装置の一例である給湯器1と、給湯器1を遠隔操作するためのリモコン(リモートコントローラ)である浴室リモコン6及び浴室外リモコン7とを備えている。浴室リモコン6は、住宅100内の浴室101内に設置され、浴室外リモコン7は、浴室101外の台所等に設置されている。給湯器1の制御装置1aと浴室リモコン6と浴室外リモコン7とは、相互に通信可能に構成されている。
【0021】
給湯器1は、住宅の屋外または屋内(図1では住宅100の屋外を例示)の所定の場所に設置され、例えば、燃焼加熱式の給湯器(熱源機)であり、住宅100内の給湯栓や浴室101内のシャワー等の給湯端末81,82(図2)に湯水を供給する給湯機能、浴室101内の浴槽83(図2)へ湯水を供給する風呂注湯機能、及び追い焚き機能等を有する周知の構成のものである。
【0022】
図2は、本実施形態の風呂装置の一例である給湯器1の概略構成を示す作動原理図である。
【0023】
図2に示す給湯器1は、外部配管51,52を介して浴槽83に取り付けられた循環金具84と接続されている。この給湯器1は、筐体10の内部に、給湯回路11と、浴槽83の湯水を追い焚き加熱する追い焚き循環回路21と、給湯回路11と追い焚き循環回路21とを接続する風呂注湯流路30と、バーナ8a、8bと、バーナ8a、8bへ燃焼用の空気を供給する送風機9と、制御装置1aなどを備えている。
【0024】
給湯回路11は、給湯用熱交換器12と、外部の給水源から水道管53を介して水を導入して給湯用熱交換器12に至る入水路13と、給湯用熱交換器12で加熱された湯水を外部へ供給する給湯路14と、入水路13と給湯路14とをつなぐバイパス流路15とを有している。給湯路14を流れる湯水は、外部配管54を介してシャワーや給湯栓などの複数の給湯端末81,82へ供給される。
【0025】
さらに、給湯回路11は、バイパス流路15を通過する流量を調整するバイパス流量調整弁16と、給湯路14を流れる湯水の流量の上限値(給湯流量の上限値)を調整する給湯流量調整弁17と、入水路13に設けられた流量センサ18とを有している。なお、給湯回路11に設けられる温度センサ等の流量センサ18以外のセンサ類は省略している。
【0026】
追い焚き循環回路21は、追い焚き用熱交換器22と、外部配管51を介して浴槽83に接続される戻り流路23と、外部配管52を介して浴槽83に接続される往き流路24とを有している。戻り流路23には、循環ポンプ25と、圧力センサで構成され浴槽83内の水位を検知する水位センサ26と、水流の有無を検出する水流スイッチ27と、浴槽83から戻ってくる湯水の温度(浴槽湯温)を検出する風呂戻り温度センサ28とが設けられている。往き流路24には、浴槽83へ送られる湯水の温度を検出する風呂往き温度センサ29が設けられている。
【0027】
また、給湯路14と戻り流路23とが、風呂注湯流路30で接続され、給湯路14の湯水が風呂注湯流路30及び追い焚き循環回路21等を通して浴槽83に注湯可能とされている。風呂注湯流路30には注湯弁31が設けられ、注湯弁31を開くことにより、所定の温度に調整された湯が風呂注湯流路30から追い焚き循環回路21を通して浴槽83へ注湯される。
【0028】
制御装置1aは、例えば、マイクロコントローラ等で構成され、CPUと、ROMおよびRAM等の記憶部とを備えている。制御装置1aには、バーナ8a、8b、送風機9、バイパス流量調整弁16、給湯流量調整弁17、注湯弁31、循環ポンプ25などを制御するための信号経路が接続されている。また、制御装置1aには、流量センサ18、水位センサ26、水流スイッチ27、風呂戻り温度センサ28及び風呂往き温度センサ29などのセンサ類の出力信号を入力するための信号経路が接続されている。制御装置1aでは、例えば、CPUがROMに記憶された制御プログラムをRAMに読み出して実行することで給湯器1全体の動作の制御を行う。また、制御装置1aは、リアルタイムクロック等の時計を備えている。なお、制御装置1aは、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0029】
また、制御装置1aは、浴室リモコン6及び浴室外リモコン7と通信可能に接続されており、両者との間で双方向通信が可能である。これらのリモコン6,7には、給湯設定温度、風呂設定温度などの情報を液晶画面等に表示する表示部61,71と、各種運転等の操作スイッチからなる操作部62,72とが備えられている。ユーザが操作部62,72を操作して、後述の風呂自動運転、追い焚き運転、保温運転等の給湯器1の各種運転のON(オン),OFF(オフ)操作等を行うことができるとともに、給湯設定温度、風呂設定温度、風呂設定水位(浴槽83内の湯水の設定水位)等、所定の運転に関わる所定の設定項目についての設定値の設定及び変更等を行うことができる。
【0030】
次に、この給湯器1の基本的な動作の概略について説明する。この給湯器1には、給湯運転、風呂自動運転、追い焚き運転、保温運転等の複数の運転モードがある。各運転モードにおける給湯器1の動作は、制御装置1aの制御によって実現される。
【0031】
まず、給湯運転は、給湯機能を作動させる運転モードであり、ユーザが例えば給湯端末81,82等の開操作によって、入水路13への入水流量が最低作動流量以上になったことが流量センサ18により検出されると、制御装置1aは、バーナ8a及び送風機9を作動制御し、給湯路14に出湯される出湯温度が所定温度になるように所定の燃焼量でバーナ8aを燃焼させるようになっている。そして、給湯路14に出湯させた湯と、バイパス流路15を通して給湯路14に分岐入水させた水とを混合させて温調させることにより、給湯端末81,82等から給湯設定温度の湯が流出される。
【0032】
次に、追い焚き運転の概略について説明する。追い焚き運転は、追い焚き機能を作動させる運転モードであり、例えば、ユーザによっていずれかのリモコン6,7の追い焚き運転スイッチがON操作されると、その操作信号が制御装置1aに入力されて、制御装置1aは、追い焚き運転を開始し、循環ポンプ25、バーナ8b及び送風機9を作動制御する。すると、循環ポンプ25の作動により、浴槽83から戻り流路23を通して取り出された浴槽水が、追い焚き用熱交換器22へ流入され、この追い焚き用熱交換器22で加熱された浴槽水が往き流路24を通して浴槽83へ送られる。これにより、浴槽83内の湯水を昇温させ、制御装置1aは、風呂戻り温度センサ28で検出される浴槽83内の湯水の温度(浴槽湯温)が風呂設定温度に達すると、追い焚き運転を終了する。
【0033】
次に、風呂自動運転の概略について説明する。ユーザによっていずれかのリモコン6,7の風呂自動運転スイッチがON操作されると、その操作信号が制御装置1aに入力されて、制御装置1aは、風呂自動運転を開始する。風呂自動運転は、湯張り運転と保温運転とからなり、まず、湯張り運転を行った後、保温運転が行われる。
【0034】
湯張り運転では、まず、風呂注湯機能を作動して浴槽83に所定の風呂設定水位まで湯水を注ぐ。この際、制御装置1aは、まず注湯弁31を開作動する。この開作動により機外からの給水圧を受けて入水路13に対し入水される。この入水路13への入水流量が最低作動流量以上になったことが流量センサ18により検出されれば、制御装置1aは、バーナ8a及び送風機9を作動制御し、給湯路14から所定の温度(例えば風呂設定温度)の湯が風呂注湯流路30に供給され、さらに追い焚き循環回路21等を通して浴槽83に注がれる。制御装置1aは、水位センサ26で検知される浴槽83内の水位が風呂設定水位になると、風呂注湯機能を停止する。引き続いて、追い焚き運転を開始して風呂戻り温度センサ28で検出される浴槽湯温が風呂設定温度に達すると、追い焚き運転を終了し、これにより湯張り運転が終了する。
【0035】
この湯張り運転の終了から浴槽83内の湯水を保温する保温運転が開始される。この保温運転では、所定時間間隔で循環ポンプ25を作動させ、風呂戻り温度センサ28で浴槽湯温を検出し、この検出される浴槽湯温が所定の追い焚き開始温度以下になると、追い焚き運転を開始して風呂戻り温度センサ28で検出される浴槽湯温が風呂設定温度に達すると、追い焚き運転を終了する。よって、保温運転では、間欠的に追い焚き運転が行われる。上記の追い焚き開始温度は、例えば、風呂設定温度よりも所定温度(例えば、2~3度)低い温度である。
【0036】
次に、図1に戻って説明を続ける。浴室リモコン6には人感センサ63が備えられている。この人感センサ63は、浴室101内に人が存在するか否か(人の存在の有無)を検出するためのものであり、例えば赤外線センサ、電波センサ等で構成することができる。人感センサ63の検出結果は、給湯器1の制御装置1aへ送信される。このような人感センサ63は、浴室リモコン6とは別個に浴室101内に設けられてあってもよい。
【0037】
さらに、浴室リモコン6は、近距離無線通信規格の一例であるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の規格に準拠した無線通信を行うBLE通信部(無線通信部)64を備えている。また、制御部65は、CPU及びメモリを有し、浴室リモコン6の全体を制御する。
【0038】
また、浴室外リモコン7は、ルータ3と無線LANの接続設定が行われた無線LAN通信部(図示せず)が備えられており、ルータ3との間で無線LANによる無線通信が可能である。この浴室外リモコン7は、給湯器1の制御装置1a及び浴室リモコン6との間で通信線を介して通信を行うとともに、上記無線LAN通信部によってルータ3及びインターネット等の通信網4を介して行う管理サーバ5との間で通信を行う。ルータ3は、風呂システムのユーザが所有している無線LANルータであり、インターネット等の通信網4に接続されている。
【0039】
管理サーバ5は、通信網4及びルータ3を介して浴室外リモコン7と通信を行う。管理サーバ5は、給湯器1の制御装置1aから浴室外リモコン7を介して送信されてきた情報を必要に応じて記憶している。なお、管理サーバ5は、通信網4に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。ここで、給湯器1の制御装置1aから管理サーバ5へ送信される情報としては、例えば、定期的(例えば1時間間隔)に送信される給湯器1の運転状態を示す運転状態情報や、給湯器1の異常を示すエラー情報等がある。
【0040】
また、図1に示す各携帯端末SP(SP1、SP2)は、この風呂システムの各ユーザが所有しているスマートフォン等からなり、タッチパネル付ディスプレイからなる表示部と、上記タッチパネルからなる操作部と、スピーカを有する音声出力部などを有している。なお、図1では、2個の携帯端末SP1、SP2が図示されているが、これに限らず、家族構成等に応じて、携帯端末SPの個数は変動する。
【0041】
各携帯端末SPは、ルータ3または携帯電話網の基地局、通信網4を介して管理サーバ5と相互に通信を行うことができる。この携帯端末SPには、風呂システム専用のアプリケーションプログラム(以下、「専用アプリ」という)がインストールされており、ユーザは、携帯端末SPを操作して、専用アプリを起動させ、管理サーバ5等を介して給湯器1の遠隔操作及び状態確認などを行うことができる。
【0042】
また、各携帯端末SPは、BLEの規格に準拠した無線通信を行うBLE通信部BCを備えている。
【0043】
本実施形態では、給湯器1の制御装置1aが、判定部として機能し、携帯端末SPから受信するBLEの規格に準拠した電波信号の信号強度である受信電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)と、人感センサ63による検出結果とに基づいて、入浴開始の判定(判断)及び入浴終了(退浴)の判定(判断)を行うようにしている。これについて、以下に詳しく説明する。
【0044】
各携帯端末SPと浴室リモコン6とは、各々のBLE通信部BC,64を介して無線通信を行うための設定処理であるペアリングが予め行われ、各携帯端末SPから携帯端末SPの識別情報(MACアドレス等)と所有者情報(携帯端末SPの所有者を示す情報)とが浴室リモコン6へ送信される。浴室リモコン6では、これらの携帯端末SPの識別情報及び所有者情報を受信すると、給湯器1の制御装置1aへ送信し、制御装置1aでは、その内部の記憶部に、各携帯端末SPについてその識別情報と所有者情報とが関連付けられてなる携帯端末所有者情報を記憶する。なお、所有者情報は、所有者の名前、記号など、所有者本人を識別できるものであればよい。なお、上記の携帯端末所有者情報は、ユーザが携帯端末SPを用いて管理サーバ5が提供する所定のウエブサイト(例えば顧客管理サイト)へアクセスし入力することで、各携帯端末SPから管理サーバ5が取得し、管理サーバ5から通信網4、ルータ3及び浴室外リモコン7を介して給湯器1の制御装置1aへ送信されるようにしてもよい。このようにして制御装置1aに携帯端末所有者情報として所有者情報と関連付けられて識別情報が記憶された携帯端末SPが、登録済み携帯端末である。
【0045】
浴室リモコン6では、例えば、風呂自動運転によって浴槽83への湯張りが完了(湯張り運転が終了)すると、その湯張り完了直後(言い換えれば保温運転開始時刻)からBLE通信部64がBLE搭載機器の検索を所定時間間隔で定期的に行う。このBLE通信部64によるBLE搭載機器の検索は、例えば、BLE通信部64から検索用のパケットをブロードキャストし、同パケットに対する応答のパケットを受信することにより行われる。応答のパケットにはBLE搭載機器の識別情報(ここでは、携帯端末SPの識別情報)が含まれる。ここで、ペアリング済みの携帯端末SPを検索するようにすれば、検索対象を少なくできる。
【0046】
そして、浴室リモコン6では、BLE通信部64で検出される携帯端末SPからの受信電波強度及び携帯端末SPの識別情報と、人感センサ63による検出結果とを、給湯器1の制御装置1aへ随時送信するようにしている。
【0047】
例えば、携帯端末SP1の所有者がユーザaであり、携帯端末SP2の所有者がユーザbであるとする。各ユーザa、bには、入浴する際には、各々の携帯端末SP1、SP2を浴室101に隣接する脱衣室102に置いて入浴するようにすることを予め知らせておく。
【0048】
この場合、例えばユーザaが風呂にはいる前から上がった後までの一連の動作は次のようになる。ユーザaは、脱衣室102に入って自分の携帯端末SP1を脱衣室102に置いて脱衣した後、浴室101へ入室する。そして入浴を終える際には、浴室101から退室した後、脱衣室102で着衣して、自分の携帯端末SP1を持って脱衣室102から浴室101以外の他の部屋へ移動する。
【0049】
この場合に、給湯器1の制御装置1aが入浴開始および入浴終了の判定等を行う際の処理の一例を示すフローチャートを図3に示す。
【0050】
ここでは、風呂自動運転が行われて浴槽83への湯張りが完了し、保温運転が実施されている状態とする。
【0051】
この状態で、まず、ユーザaが、脱衣室102に入って自分の携帯端末SP1を脱衣室102に置いて脱衣する際には、浴室リモコン6のBLE通信部64で検出される携帯端末SP1からの受信電波強度及び携帯端末SP1の識別情報が、浴室リモコン6から制御装置1aへ送信される。
【0052】
保温運転を開始すると、制御装置1aでは、受信電波強度が所定の基準値を超える携帯端末SPが存在するか否かを判定する(ステップS1)。そして制御装置1aは、浴室リモコン6からユーザaの携帯端末SP1からの受信電波強度及び携帯端末SP1の識別情報を受信し、携帯端末SP1からの受信電波強度が基準値を超えていれば(ステップS1でYes)、浴室101内に人が存在するか否かを判定する(ステップS2)。
【0053】
そして、ユーザaが浴室101へ入室すると、人感センサ63によりユーザaが検知され、その情報が浴室リモコン6から制御装置1aへ送信される。これにより制御装置1aでは、浴室101内に人が存在すると判定する(ステップS2でYes)。ここで、制御装置1aは、携帯端末SP1の識別情報から携帯端末所有者情報に基づいて、携帯端末SP1の所有者(ユーザa)を、浴室101内に存在する人(浴室101への入室者)であると認識する。
【0054】
制御装置1aは、前述のステップS1の判定結果がYesになり、ステップS2の判定結果がYesになると、ユーザaの入浴が開始されたと判定する(ステップS3)。次に制御装置1aは、浴槽湯温が風呂設定温度より低い場合に追い焚き運転を開始する(ステップS4)。このステップS4は、具体的には、制御装置1aは、循環ポンプ25を作動させ、風呂戻り温度センサ28で検出される浴槽湯温が風呂設定温度より低い場合に追い焚き運転を開始する。そして、浴槽湯温が風呂設定温度に達すると、追い焚き運転を終了する。
【0055】
次に、ユーザaが入浴を終える際には、浴室101から退室した後、着衣して、自分の携帯端末SP1を持って脱衣室102から他の部屋へ移動する。この際の制御装置1aの処理の一例が、ステップS5以降になる。
【0056】
ユーザaが浴室101から退室すると、人感センサ63によりユーザaが検知されなくなり、その情報が浴室リモコン6から制御装置1aへ送信される。これにより制御装置1aでは、浴室101内に人が存在しなくなったと判定する(ステップS5でYes)。
【0057】
その後、浴室リモコン6のBLE通信部64で検出されるユーザaの携帯端末SP1からの受信電波強度が基準値以下になると(ステップS6でYes)、制御装置1aはユーザaの入浴が終了したと判定する(ステップS7)。ここで、制御装置1aは、ユーザ全員の各々について、ステップS7の判定情報、すなわち、各ユーザについての入浴終了情報を記憶部に記憶するようにしている。この入浴終了情報は、携帯端末所有者情報に付加して記憶するようにしてもよい。なお、ユーザ全員とは、登録済みの携帯端末SPの所有者全員のことであり、必ずしも家族全員とはならない。
【0058】
次に、制御装置1aは、上記の入浴終了情報に基づいてユーザ全員が入浴を終了したか否かを判定し(ステップS8)、全員の入浴が終了していない場合にはステップS1へ戻り、全員の入浴が終了している場合には、全員の入浴終了情報をリセット(消去)し、保温運転を終了する(ステップS9)。
【0059】
なお、携帯端末SPが脱衣室102に存在する場合には受信電波強度が基準値を超えるようにその基準値が設定されている。そして、携帯端末SPが脱衣室102及び浴室101以外の他の部屋に存在する場合には受信電波強度が基準値以下となるように基準値が設定されていることが好ましい。
【0060】
しかし、設定された基準値の値等によっては、脱衣室102及び浴室101以外の他の部屋に存在する携帯端末SPからの受信電波強度が基準値を超える場合がある。このように、ステップS1で受信電波強度が基準値を超える携帯端末SPが複数存在する場合には、そのうちの受信電波強度が最も大きい携帯端末SPの所有者を、ステップS3で入浴を開始するユーザと認識するようにしてもよい。また、入浴終了情報を参照して、受信電波強度が基準値を超える携帯端末SPの所有者がすでに入浴を終了していれば、その所有者を除外してステップS3で入浴を開始するユーザを認識するようにしてもよい。また、浴室リモコン6に、風呂設定温度、風呂設定水位、給湯設定温度などの所定の設定項目について個人別(ユーザごとの)設定ボタンを備えており、この個人別設定ボタンの操作履歴を制御装置1aが記憶しておいて、この操作履歴からすでに入浴を終了しているユーザを除外してステップS3で入浴を開始するユーザを認識するようにしてもよい。
【0061】
図3に示す例では、ユーザ全員が入浴を終了すると、ステップS9により自動的に保温運転が終了されるので、ユーザは保温運転の終了操作を行う必要がなく、操作の煩雑さを低減することができる。
【0062】
また、図3に示す例では、ユーザが入浴する際に、浴槽湯温が風呂設定温度よりも低い場合にはステップS4により自動的に追い焚き運転が開始されるので、ユーザは追い焚き運転の開始操作を行うことなく風呂設定温度の湯に浸かることができ、操作の煩雑さを低減することができる。
【0063】
また、給湯器1がマイクロバブル運転を可能に構成され、かつリモコン6,7の操作によって予め個人別にマイクロバブル運転を行うか否かの設定が可能な構成である場合において、ステップS3で入浴開始と判定されたユーザの個人別設定がマイクロバブル運転を行う設定になっている場合には、上記ステップS4に代えて、マイクロバブル運転を開始するようにしてもよい。また、この場合に、あとのステップS7で同ユーザの入浴の終了を判定したときに、マイクロバブル運転を行っている場合には、マイクロバブル運転を終了するようにしてもよい。これにより、ユーザは、浴室リモコン6でマイクロバブル運転のON(開始),OFF(終了)の操作を行う必要がないので、操作の煩雑さを低減することができる。
【0064】
なお、マイクロバブル運転のON,OFFは浴室リモコン6を操作しても行うことができるため、ユーザの個人別設定にかかわらず(個人別設定がマイクロバブル運転を行わない設定の場合でも)、また、マイクロバブル運転は可能だが個人別設定のできない構成の場合でも、ステップS7でユーザの入浴の終了を判定したときに、マイクロバブル運転を行っている場合には、マイクロバブル運転を終了するようにしてもよい。これにより、ユーザはマイクロバブル運転のOFF操作を行う必要がないので、操作の煩雑さを低減することができる。
【0065】
なお、制御装置1aは、マイクロバブル運転を行う際には、マイクロバブル運転用の回転数(回転速度)で循環ポンプ25を作動させる。すると、循環ポンプ25の作動により浴槽83から循環金具84、外部配管51を通して取り出された浴槽水が、循環回路21を通って外部配管52を経て循環金具84で気泡が混入されて浴槽83内に噴射される。この場合、循環金具84は、マイクロバブル運転を行う場合にのみ空気を吸引して、浴槽83内へ戻る湯水に気泡を混入するように構成されている。
【0066】
上記のように、保温運転の終了、追い焚き運転の開始、マイクロバブル運転の開始・終了など、給湯器1の運転状態を自動的に変更することで、ユーザにとってリモコン操作の煩雑さを低減することができる。
【0067】
また、給湯器1が、リモコン6,7等の操作によって予めユーザ個々に個人別の所望の風呂温度の設定が可能な構成である場合において、上記ステップS4に代えて、風呂設定温度を、現在の設定値から、ステップS3で入浴開始と判定されたユーザの個人別の所望の風呂温度に変更する処理を行うようにしてもよい。これにより、保温運転による追い焚き開始温度が変更される。さらに、個人別の所望の風呂温度に変更された風呂設定温度を用いて上記ステップS4を行うようにしてもよい。これにより、入浴者のユーザは、浴室リモコン6を操作しなくても、所望の風呂温度の湯に浸かることができ、操作の煩雑さを低減することができる。
【0068】
また、給湯器1が、リモコン6,7等の操作によって予めユーザ個々に個人別の所望の風呂水位の設定が可能な構成である場合において、上記ステップS4に代えて、風呂設定水位を、現在の設定値から、ステップS3で入浴開始と判定されたユーザの個人別の所望の風呂水位に変更する処理を行い、制御装置1aは、水位センサ26で検知される浴槽83内の水位が、変更された風呂設定水位より低い水位の場合には、風呂注湯機能を作動して浴槽83に変更された風呂設定水位まで湯水を注ぐ。これにより、入浴者のユーザは、浴室リモコン6を操作しなくても、所望の風呂水位の湯に浸かることができ、操作の煩雑さを低減することができる。
【0069】
また、給湯器1が、リモコン6,7等の操作によって予めユーザ個々に個人別の所望の給湯温度の設定が可能な構成である場合において、上記ステップS4に代えて、給湯設定温度を、現在の設定値から、ステップS3で入浴開始と判定されたユーザの個人別の所望の給湯温度に変更する処理を行うようにしてもよい。これにより、入浴者のユーザは、浴室リモコン6を操作しなくても、所望の給湯温度の湯をシャワー等の給湯端末81から使用することができる。
【0070】
上記のように、風呂設定温度、風呂設定水位、給湯設定温度などの所定の運転に関わる所定の設定項目の設定値に、ユーザ個々の所望値(所望の風呂温度、所望の風呂水位、所望の給湯温度)を適用可能な構成である場合には、設定値を入浴するユーザの所望値に自動的に変更することで、ユーザにとってリモコン操作の煩雑さを低減することができる。このように個人別の所望値を設定値として適用可能な構成である場合、各ユーザは、リモコン6,7あるいは携帯端末SPを操作して予め所望値を制御装置1aに入力すると、制御装置1aでは、ユーザ個々の個人別の所望値を各携帯端末SPの所有者(所有者情報)と関連付けて記憶する。そして、いずれかのユーザの個人別の所望値(例えば給湯器1の直前の運転OFF時に適用されていたユーザの所望値)が、給湯機1の運転スイッチのON操作時に、風呂設定温度、風呂設定水位、給湯設定温度などの設定値に適用される。
【0071】
また、給湯器1は、非入浴検知状態のときと入浴検知状態のときとで、保温運転における追い焚き運転の追い焚き開始温度および追い焚き終了温度の設定値を変更するように構成されていてもよい。ここで、非入浴検知状態の場合の追い焚き開始温度および追い焚き終了温度の各々を入浴検知状態の場合よりも低い温度となるようにしてもよい。例えば、非入浴検知状態のときの追い焚き開始温度を第1の温度(例えば、風呂設定温度よりも3度低い温度)とし、追い焚き終了温度を第1の温度よりも高く、かつ風呂設定温度よりも低い第2の温度(例えば、風呂設定温度よりも1度低い温度)とし、入浴検知状態のときの追い焚き開始温度を第1の温度よりも高い第3の温度(例えば、風呂設定温度よりも2度低い温度)とし、追い焚き終了温度を風呂設定温度としてもよい。この場合、例えば図3において、制御装置1aは、保温運転開始時には、追い焚き開始温度を第1の温度に、追い焚き終了温度を第2の温度に設定しており、ステップS3で入浴開始と判定すると、追い焚き開始温度を第3の温度に、追い焚き終了温度を風呂設定温度に変更し、ステップS7で入浴終了と判定すると、追い焚き開始温度を第1の温度に、追い焚き終了温度を第2の温度に変更する。これにより、入浴者のユーザは、浴室リモコン6を操作しなくても、入浴中継続して、風呂設定温度の湯に浸かることができる。
【0072】
また、本実施形態では、携帯端末SPからの受信電波強度(BLE通信部64で受信される電波信号の信号強度)と基準値との比較結果と、人感センサ63の検出結果とに基づいて、ユーザの入浴開始及び入浴終了の判定を行っているが、携帯端末SPからの受信電波強度と基準値との比較結果のみに基づいて入浴開始及び入浴終了の判定を行うようにしてもよい(この場合、ステップS2、S5が省略される)。本実施形態のように、人感センサ63の検出結果を加えて判定することにより、入浴開始及び入浴終了の判定精度を高めることができる。また、入浴開始の判定と入浴終了の判定とのうちいずれか一方の判定のみを行うように構成されてあってもよい。これらの判定を、図3では、保温運転中に行う例を示したが、これに限らず、水位センサ26で検知される浴槽83内の水位が所定水位(例えば追い焚き運転が可能な水位)以上の場合に、入浴開始の判定および/または入浴終了の判定を行うように構成することができる。また、入浴開始の判定および入浴終了の判定の両方の判定を行う場合において、両方の判定に代えて、入浴中か否かの判定を行うものであってもよい。この場合、入浴中ではないとの判定状態から入浴中であるとの判定に切り替わったときが入浴開始の判定となり、入浴中であるとの判定状態から入浴中ではないとの判定に切り替わったときが入浴終了の判定となる。
【0073】
また、本実施形態では、制御装置1aは、各携帯端末SPについてその識別情報と所有者情報とが関連付けられた携帯端末所有者情報と、BLE通信部64が携帯端末SPから受信した電波信号に含まれる同携帯端末SPの識別情報とに基づいて、入浴者を特定することができる。よって、ステップS3の後、浴室リモコン6から同携帯端末SPの所有者が入浴中である情報(入浴情報)を浴室外リモコン7へ送信し、この入浴情報を浴室外リモコン7の表示部71に表示して報知するようにしてもよい。そして、ステップS7の後、入浴を終了した情報を浴室外リモコン7へ送信することにより、浴室外リモコン7の表示部71に表示されている入浴情報が消去されるようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態において、制御装置1aは、ステップS3で、ユーザの入浴の開始を判定してからの経過時間を算出し、この経過時間が、ユーザの入浴の終了を判定する前に(ステップS7の処理以前に)、所定時間以上になると、入浴時間注意情報を浴室外リモコン7へ送信し、この入浴時間注意情報を浴室外リモコン7の表示部71に表示して報知するようにしてもよい。入浴時間注意情報は、所定時間以上の長時間の入浴者がいることを示す情報であってもよいし、さらにその長時間の入浴者が携帯端末SPの所有者であることを示す情報であってもよい。
【0075】
また、浴室外リモコン7は、上記の入浴情報および/または入浴時間注意情報を管理サーバ5へ送信し、さらに管理サーバ5から予め登録された携帯端末SPへ電子メールで送信したり、前述の専用アプリを介してプッシュ通知するようにしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、給湯器1の制御装置1aにその機能の一部として判定部を備えた構成としたが、浴室リモコン6の制御部65または浴室外リモコン7の制御部(図示せず)にその機能の一部として判定部を備えた構成としてもよい。これらの場合、浴室リモコン6の制御部65または浴室外リモコン7の制御部に、予め携帯端末所有者情報を記憶しておくようにすればよい。また、浴室外リモコン7の制御部の場合には、浴室リモコン6からBLE通信部64で検出される携帯端末SPからの受信電波強度及び携帯端末SPの識別情報と、人感センサ63による検出結果とを、随時取得するようにすればよい。
【0077】
なお、本実施形態では、浴室リモコン6と携帯端末SPとの間で行われる近距離無線通信を、BLE規格に準拠した通信としたが、他の近距離無線通信規格に準拠した通信としてもよい。
【0078】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、風呂装置の運転状態および/または所定の設定項目の設定値を変更するための操作の煩雑さを低減することができる風呂システム等として有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 給湯器
1a 制御装置
6 浴室リモコン
63 人感センサ
64 BLE通信部
SP 携帯端末
101 浴室
図1
図2
図3