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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021055387
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152568
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅木 俊介
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-115943(JP,A)
【文献】特開2017-092810(JP,A)
【文献】特開2017-122592(JP,A)
【文献】特開2018-205119(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159697(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
B60R 1/20-1/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置であって、
電磁波を受信するセンサと、
前記センサを収容し、前記電磁波を受信するための開口が少なくとも前方に形成された筒状の側面を有するケースと、
前記開口を塞ぎ、前記電磁波の透過性を有するスクリーンと、
前記センサ装置が設置された設置状態において鉛直方向に沿って前記ケースの天井面と前記スクリーンとの間に配置され、前記側面の周方向における少なくとも前記開口が形成された部分に対応して前記側面の径方向に突出する第1鍔部と、
を備え、
前記第1鍔部は、前記設置状態において上方に露出する第1傾斜面であって、前方から後方に向かうにつれて下方に位置する第1傾斜面を有し、
前記設置状態において鉛直方向に沿って前記第1鍔部と前記スクリーンとの間において前記第1鍔部に対して間を空けて下方に配置され、前記径方向に突出する第2鍔部を、さらに備え、
前記第2鍔部は、前記設置状態において前記第1鍔部における下方面と対面する第2傾斜面であって、前方から後方に向かうにつれて下方に位置する第2傾斜面を有し、
前記第2鍔部の前記径方向への突出量は、前記第1鍔部の前記径方向への突出量よりも小さく、
前記第1傾斜面は、前記第1鍔部の内周縁部に対して前記周方向に沿って連なり、
前記第1鍔部の内周縁部と前記側面との間には、前記径方向の隙間が形成されており、
前記隙間の鉛直下方には、前記第2傾斜面が位置し、
前記第2鍔部は、前記第2傾斜面において前記隙間より前記径方向の外側に位置して前記周方向に沿って上方に向かって形成された第1壁部を有する、
センサ装置。
【請求項2】
請求項に記載のセンサ装置において、
前記第2鍔部は、前記第2傾斜面の外周縁部に対して前記周方向に沿って連なり、上方に向かって形成された第2壁部を有する、センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物体等の認識を目的として、パルス状のレーザ光を射出して反射光を受信する装置が開示されている(特許文献1参照)。このようなレーザ光を扱う装置(以下、「レーザレーダ装置」と呼ぶ)には、レーザ光を透過可能なスクリーンが設けられている。かかるスクリーンは、レーザレーダ装置の前面に形成された開口部を、ガラスや樹脂などにより形成されてレーザ光の透過性を有する透光板により塞ぐことにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-10094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザレーダ装置のスクリーンに汚れが付着すると、レーザ光がスクリーンを透過し難くなり、物体等を認識する精度が低下し得る。汚れの主要因としては、汚れを含んだ雨や雪が水滴として付着し乾くことが挙げられている。とりわけ、雨や雪の影響を受けやすい屋外設置で使用されるレーザレーダ装置は、水滴が付着しやすいという問題がある。また、レーザレーダ装置が屋外に設置される場合、例えば、道路脇や踏切など、設置スペースが限られる場所で使用されるため、小型化の要請がある。上述の問題や要請は、レーザレーダ装置に限らず、スクリーンを有するセンサ装置全般に共通する。このため、センサ装置においてスクリーンへの水滴付着を低減し、且つ、小型化を実現可能な技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
[形態1]センサ装置であって、電磁波を受信するセンサと、前記センサを収容し、前記電磁波を受信するための開口が少なくとも前方に形成された筒状の側面を有するケースと、前記開口を塞ぎ、前記電磁波の透過性を有するスクリーンと、前記センサ装置が設置された設置状態において鉛直方向に沿って前記ケースの天井面と前記スクリーンとの間に配置され、前記側面の周方向における少なくとも前記開口が形成された部分に対応して前記側面の径方向に突出する第1鍔部と、を備え、前記第1鍔部は、前記設置状態において上方に露出する第1傾斜面であって、前方から後方に向かうにつれて下方に位置する第1傾斜面を有し、前記設置状態において鉛直方向に沿って前記第1鍔部と前記スクリーンとの間において前記第1鍔部に対して間を空けて下方に配置され、前記径方向に突出する第2鍔部を、さらに備え、前記第2鍔部は、前記設置状態において前記第1鍔部における下方面と対面する第2傾斜面であって、前方から後方に向かうにつれて下方に位置する第2傾斜面を有し、前記第2鍔部の前記径方向への突出量は、前記第1鍔部の前記径方向への突出量よりも小さく、前記第1傾斜面は、前記第1鍔部の内周縁部に対して前記周方向に沿って連なり、前記第1鍔部の内周縁部と前記側面との間には、前記径方向の隙間が形成されており、前記隙間の鉛直下方には、前記第2傾斜面が位置し、前記第2鍔部は、前記第2傾斜面において前記隙間より前記径方向の外側に位置して前記周方向に沿って上方に向かって形成された第1壁部を有する、センサ装置。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、センサ装置が提供される。このセンサ装置は、電磁波を受信するセンサと、前記センサを収容し、前記電磁波を受信するための開口が少なくとも前方に形成された筒状の側面を有するケースと、前記開口を塞ぎ、前記電磁波の透過性を有するスクリーンと、前記センサ装置が設置された設置状態において鉛直方向に沿って前記ケースの天井面と前記スクリーンとの間に配置され、前記側面の周方向における少なくとも前記開口が形成された部分に対応して前記側面の径方向に突出する第1鍔部と、を備え、前記第1鍔部は、前記設置状態において上方に露出する第1傾斜面であって、前方から後方に向かうにつれて下方に位置する第1傾斜面を有する。
この形態のセンサ装置によれば、センサ装置が設置された設置状態において鉛直方向に沿ってケースの天井面とスクリーンとの間に配置され、側面の周方向における少なくとも開口が形成された部分に対応して側面の径方向に突出する第1鍔部を備え、第1鍔部は、設置状態において上方に露出する第1傾斜面であって、前方から後方に向かうにつれて下方に位置する第1傾斜面を有するので、かかる第1鍔部が雨や雪等を受け止めて、第1鍔部下方に位置するスクリーンに水滴が付着するのを抑制できる。また、第1鍔部がケースの天井面または天井面の上方に位置する構成に比べて、斜め上方からスクリーンに向かう雨や雪を同程度に遮るための径方向の突出量を少なくできる。このため、センサ装置においてスクリーンへの水滴付着を低減し、且つ、小型化を実現できる。
(2)上記形態のセンサ装置において、前記設置状態において鉛直方向に沿って前記第1鍔部と前記スクリーンとの間において前記第1鍔部に対して間を空けて下方に配置され、前記径方向に突出する第2鍔部を、さらに備え、前記第2鍔部は、前記設置状態において前記第1鍔部における下方面と対面する第2傾斜面であって、前方から後方に向かうにつれて下方に位置する第2傾斜面を有し、前記第2鍔部の前記径方向への突出量は、前記第1鍔部の前記径方向への突出量よりも小さい。この形態のセンサ装置によれば、設置状態において鉛直方向に沿って第1鍔部とスクリーンとの間において第1鍔部に対して間を空けて下方に第2鍔部は配置されているので、第1鍔部に降りかかった雨や雪に由来する水滴が第1鍔部の下方面を伝って下方に向かった場合において、かかる水滴を第2鍔部の第2傾斜面で受けることができる。このため、かかる水滴がスクリーンに達して付着することを抑制できる。加えて、第2鍔部の径方向への突出量は、第1鍔部の径方向への突出量よりも小さいので、雨や雪が直接的に第2鍔部に降りかかることを抑制できる。このため、雨や雪に由来する水滴が第2鍔部の下方面を伝って、かかる水滴がスクリーンに達して付着することを抑制できる。
(3)上記形態のセンサ装置において、前記第1傾斜面は、前記第1鍔部の内周縁部に対して前記周方向に沿って連なり、前記第1鍔部の内周縁部と前記側面との間には、前記径方向の隙間が形成されており、前記隙間の鉛直下方には、前記第2傾斜面が位置し、前記第2鍔部は、前記第2傾斜面において前記隙間より前記径方向の外側に位置して前記周方向に沿って上方に向かって形成された第1壁部を有する。この形態のセンサ装置によれば、第2鍔部は、第2傾斜面において隙間より径方向の外側に位置して周方向に沿って上方に向かって形成された第1壁部を有するので、第1鍔部の内周縁部と側面との間に形成されている隙間を介して、第1鍔部から第2鍔部へ流入した水が径方向外側へ流れて第2鍔部の外周縁から第2鍔部の下方面に周り込み、下方面を伝ってスクリーンに達してスクリーンに付着することを抑制できる。また、かかる隙間が形成されているので、第1鍔部(第1傾斜面)から第2鍔部(第2傾斜面)へと水が排出され、第1傾斜面と第2傾斜面の二系統の経路によって、より多くの水を排出できるとともに、第1鍔部から水が溢れるのを抑制できる。
(4)上記形態のセンサ装置において、前記第2鍔部は、前記第2傾斜面の外周縁部に対して前記周方向に沿って連なり、上方に向かって形成された第2壁部を有する。この形態のセンサ装置によれば、第2傾斜面の外周縁部に対して上方に向かって形成された第2壁部を有するので、第1鍔部の下方面から第2鍔部へ流入した水滴が、第2傾斜面の外周縁部から流出するのを抑制できる。
【0007】
本開示は、センサ装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、センサ装置の制御方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態としてのセンサ装置の外観形状を示す側面図である。
図2】センサ装置の外観形状を示す斜視図である。
図3】センサ装置の上面視図である。
図4図2の断面線での断面図である。
図5】第1鍔部に対して雨などが降りかかった場合の水の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A-1.システム構成:
図1は、本開示の一実施形態としてのセンサ装置10の外観形状を示す側面図である。図2は、センサ装置10の外観形状を示す斜視図である。図3は、センサ装置10の上面視図である。図1には、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が表わされている。本実施形態において、X-Y平面は、水平方向と平行な平面である。また、+Z方向は鉛直上方を示す。本実施形態では、+X方向および-X方向を「X軸方向」と総称する。同様に、+Y方向および-Y方向を「Y軸方向」と、+Z方向および-Z方向を「Z軸方向」と、それぞれ総称する。他の図面に示すX軸、Y軸およびZ軸は、図1に示すX軸、Y軸およびZ軸に対応する。
【0010】
図1に示すように、センサ装置10は、センサ部200と、駆動部210と、ケースCAと、スクリーン100と、第1鍔部15と、第2鍔部16とを備える。本実施形態において、センサ部200は、電磁波を照射光R1として射出し、その反射光R2を受信することにより、物体の位置および大きさを特定する。本実施形態において、電磁波は赤外線レーザ光である。駆動部210は、センサ部200の向きを上下左右に移動させる。例えば、センサ部200が備える図示しない制御装置は、予め定められたプログラムに従って、駆動部210を制御して、センサ部200の向きを所定の時間間隔で所定の方向に移動させる。また、例えば、センサ部200が備える図示しない制御装置は、センサ部200と無線通信可能な遠隔操作装置における監視員の操作に応じて、駆動部210を制御して、センサ部200の向きを所定の時間間隔で所定の方向に移動させる。
【0011】
図1および図2に示すように、ケースCAは、上部ケース部11と、下部ケース部12とを備える。ケースCAは、センサ部200および駆動部210を収容する。ケースCAは、電磁波を射出および受信するための開口13が形成された筒状の側面LFを有する。
【0012】
上部ケース部11は、センサ装置10の最上部に位置し、センサ部200および駆動部210を上方から覆う。上部ケース部11は、半ドーム状の外観形状を有する。本実施形態において、上部ケース部11は、樹脂により形成されている。樹脂としては、例えば、ポリエチレンやエンジニアリングプラスチックやアクリル樹脂などが用いられる。なお、樹脂に代えて、アルミニウムやステンレス鋼などの金属により形成されてもよい。
【0013】
下部ケース部12は、センサ装置10の最下部に位置し、センサ部200および駆動部210を側方および下方から覆う。下部ケース部12の最上部は、上部ケース部11の最下部と接続されている。本実施形態において、下部ケース部12は、上部ケース部11と同じ材料により形成されている。下部ケース部12の上部には、水平方向に沿っておよそ180度の角度範囲で開口13が形成されている。開口13は、照射光R1を、スクリーン100を介して外部へと射出し、また、外部から届く反射光R2をセンサ部200へと透過する。開口13の鉛直方向の高さ、すなわちZ軸方向の大きさは、センサ部200による電磁波の射出範囲の高さ方向の範囲よりも大きい。
【0014】
スクリーン100は、開口13を塞いでいる。スクリーン100は、電磁波の透過性を有する。したがって、センサ部200は、スクリーン100を介して外部へと照射光R1を照射可能であり、また、外部から届く反射光R2を、スクリーン100を介して受信可能である。本実施形態において、スクリーン100は、ガラスにより形成されている。なお、ガラスに代えて、ポリエチレンやエンジニアリングプラスチックやアクリル樹脂などの樹脂により形成されてもよい。スクリーン100は、略扇状の展開平面形状を有する。組み付け状態、すなわち使用状態において、スクリーン100における鉛直上方側の辺と、鉛直下方側の辺とは互いに対向する。換言すると、これら2つの辺はZ軸方向に互いに対向する。Z軸方向は対向方向とも呼ぶ。スクリーン100は、この対向方向と交差する方向に湾曲する。具体的には、スクリーン100は、X軸方向の中央に向かうにつれてセンサ部200から遠ざかる方向(-Y方向)に突出するように湾曲する。使用状態において、スクリーン100の鉛直下方側の辺は、鉛直上方側の辺に比べて短い。スクリーン100の外側表面には、反射防止および撥水のための薄膜が形成されている。
【0015】
図1および図2に示すセンサ装置10が設置された状態(以下、「設置状態」と呼ぶ)において、第1鍔部15は、鉛直方向であるZ軸方向に沿って、ケースCAの天井面CAC1とスクリーン100との間に配置されている。図4は、図2のIV-IV断面線での断面図である。第1鍔部15は、側面LFの周方向における開口13が形成された部分に対応して側面LFの径方向に突出している。「側面LFの周方向」とは、図3に示すように、側面LFの輪郭に沿った方向を意味する。本実施形態では、側面LFの周方向を、単に「周方向」とも呼ぶ。「側面LFの径方向」とは、センサ装置10を平面視したときに(Z軸方向に見たときに)、センサ部200からスクリーン100に向かう方向を意味する。本実施形態では、側面LFの径方向を、単に「径方向」とも呼ぶ。
【0016】
図2および図3に示すように、第1鍔部15は、上方に露出する第1傾斜面15aを有する。図2および図4に示すように、第1傾斜面15aは、前方から後方に向かうにつれて、言い換えると、+Y方向に向かうにつれて下方に位置する。第1傾斜面15aは、第1鍔部15の内周縁部15eに対して周方向に沿って連なっている。図2図4に示すように、第1鍔部15の内周縁部15eと側面LFとの間には、径方向の隙間G1が形成されている。図4に示すように、第1鍔部15は、複数の固定部24において、第2鍔部16にネジで固定されている。具体的には、第2鍔部16に設けられた複数の雌ネジと螺合する複数の雄ネジによって固定されている。図2に示すように、複数の固定部24は、周方向に沿って互いに間を空けて並んで配置されている。図4に示すように、第1鍔部15は、屈曲部15wを有する。屈曲部15wは、第1傾斜面15aの径方向の外側端部から上方へ屈曲した部位である。
【0017】
図1図4に示すように、第2鍔部16は、鉛直方向であるZ軸方向に沿って第1鍔部15とスクリーン100との間において、第1鍔部15に対して下方に配置されている。図4に示すように第2鍔部16は、第1鍔部15に対して鉛直方向に間を空けて配置されている。第2鍔部16は、径方向に突出している。図3および図4に示すように、第2鍔部16は、第2傾斜面16bを有する。第2傾斜面16bの一部は、隙間G1の鉛直下方に位置している。図4に示すように、第2傾斜面16bは、第1鍔部15における下方面15bと対面している。第1鍔部15に降りかかった雨や雪に由来する水滴が第1鍔部15の下方面15bを伝って下方に向かった場合において、かかる水滴を第2鍔部16の第2傾斜面16bで受けることができる。第2傾斜面16bは、前方から後方に向かうにつれて、言い換えると、+Y方向に向かうにつれて下方に位置する。図1図4に示すように、第2鍔部16の径方向への突出量は、第1鍔部15の径方向への突出量よりも小さいので、雨や雪が直接的に第2鍔部16に降りかかることを抑制できる。このため、雨や雪に由来する水滴が第2鍔部16の下方面を伝って、かかる水滴がスクリーン100に達して付着することを抑制できる。第2鍔部16は、ケースCAと一体に形成されている。
【0018】
図3および図4に示すように、第2鍔部16は、第1壁部18を有する。第1壁部18は、第2傾斜面16bにおいて隙間G1より径方向の外側に位置している。第1壁部18は、側面LFの周方向に沿って上方、言い換えると、側面LFの周方向に沿って、略+Z方向に向かって形成されている。
【0019】
第2鍔部16は、第2壁部22を有する。第2壁部22は、第2傾斜面16bの外周縁部16eに対して、側面LFの周方向に沿って連なっている。第2壁部22は、上方、言い換えると、略+Z方向に向かって形成されている。このため、第1鍔部15の下方面15bから第2鍔部16へ流入した水滴が、第2傾斜面16bの外周縁部16eから流出するのを抑制できる。
【0020】
図5は、第1鍔部15に対して雨などが降りかかった場合の水の流れを示す説明図である。第1鍔部15に対して雨などが降りかかった水は、3つの流路wf1~wf3を辿ってセンサ装置10から排出される。流路wf1は、第1傾斜面15aに沿って後方へ流れ、図2に示す最後方の開放端Egから排出される流路である。流路wf2は、第1傾斜面15aから隙間G1を介して第2鍔部16へ流入し、第2傾斜面16bに沿って流れて、図2に示す最後方の開放端Egから排出される流路である。流路wf3は、第1鍔部15の下方面15bを伝って第2鍔部16へ流入し、第2傾斜面16bに沿って流れて、最後方の開放端Egから排出される流路である。
【0021】
以上説明した本実施形態のセンサ装置10では、設置状態において鉛直方向に沿ってケースCAの天井面CAC1とスクリーン100との間に配置され、側面LFの周方向における開口13が形成された部分に対応して側面LFの径方向に突出する第1鍔部15を備え、第1鍔部15は、設置状態において上方に露出する第1傾斜面15aであって、前方から後方に向かうにつれて下方に位置する第1傾斜面15aを有するので、かかる第1鍔部15が雨や雪等を受け止めて、第1鍔部15下方に位置するスクリーン100に水滴が付着するのを抑制できる。また、第1鍔部15がケースCAの天井面CAC1または天井面CAC1の上方に位置する構成に比べて、斜め上方からスクリーン100に向かう雨や雪を同程度に遮るための径方向の突出量を少なくできる。このため、センサ装置10においてスクリーン100への水滴付着を低減し、且つ、小型化を実現できる。
【0022】
また、設置状態において鉛直方向に沿って第1鍔部15とスクリーン100との間において第1鍔部15に対して間を空けて下方に第2鍔部16は配置されているので、第1鍔部15に降りかかった雨や雪に由来する水滴が第1鍔部15の下方面15bを伝って下方に向かった場合において、かかる水滴を第2鍔部16の第2傾斜面16bで受けることができる。このため、かかる水滴がスクリーン100に達して付着することを抑制できる。加えて、第2鍔部16の径方向への突出量は、第1鍔部15の径方向への突出量よりも小さいので、雨や雪が直接的に第2鍔部16に降りかかることを抑制できる。このため、雨や雪に由来する水滴が第2鍔部16の下方面を伝って、かかる水滴がスクリーン100に達して付着することを抑制できる。
【0023】
さらに、第2鍔部16は、第2傾斜面16bにおいて隙間G1より径方向の外側に位置して周方向に沿って上方に向かって形成された第1壁部18を有するので、第1鍔部15の内周縁部15eと側面LFとの間に形成されている隙間G1を介して、第1鍔部15から第2鍔部16へ流入した水が径方向外側へ流れて第2鍔部16の外周縁から第2鍔部16の下方面に周り込み、下方面を伝ってスクリーン100に達してスクリーン100に付着することを抑制できる。また、かかる隙間G1が形成されているので、第1鍔部15(第1傾斜面15a)から第2鍔部16(第2傾斜面16b)へと水が排出され、第1傾斜面15aと第2傾斜面16bの二系統の経路によって、より多くの水を排出できるとともに、第1鍔部15から水が溢れるのを抑制できる。
【0024】
また、第2傾斜面16bの外周縁部16eに対して上方に向かって形成された第2壁部22を有するので、第1鍔部15の下方面15bから第2鍔部16へ流入した水滴が、第2傾斜面16bの外周縁部16eから流出するのを抑制できる。
【0025】
さらに、第1鍔部15は、固定部24において第2鍔部16に固定されているので、使用状況に応じて固定解除して、センサ装置10全体の更なる小型化が図られる。
【0026】
B.他の実施形態:
(B1)本実施形態のセンサ装置10において、第2鍔部16を備えていたが省略してもよい。言い換えると、第1鍔部15のみを備えた一重の鍔構造であってもよい。
【0027】
(B2)本実施形態のセンサ装置10において、第1壁部18を備えていたが省略してもよい。また、第2壁部22を備えていたが省略してもよい。
【0028】
(B3)本実施形態のセンサ装置10において、図1に示すように、第1鍔部15の外観の形状は、外形の輪郭部分が前方から後方に向かって傾斜していたが、かかる輪郭部分は傾斜していなくてもよい。また、屈曲部15wを省略してもよい。
【0029】
(B4)本実施形態のセンサ装置10において、第2鍔部16は、ケースCAと一体に形成され、第1鍔部15は、第2鍔部16に固定されていたが、本開示はこれに限られない。第2鍔部16は、ケースCAと一体に形成されていなくてもよい。また、第1鍔部15は、第2鍔部16に固定されていなくてもよい。例えば、第1鍔部15は、ケースCAに固定されてもよい。
【0030】
(B5)本実施形態のセンサ装置10において、第1鍔部15の内周縁部15eと側面LFとの間には、径方向の隙間G1が形成されていたが、隙間G1が形成されていない構成であってもよい。かかる構成においては、第1鍔部15の第1傾斜面15aに沿って流れる水は、第2鍔部16へ流入することなく、センサ装置10から排出される。言い換えると、上述の流路wf2が省略される。この構成においても、第2傾斜面16bを利用して第1鍔部15の下方面15bを伝う雨等を排出できる。このため、雨等に由来する水滴がスクリーン100に付着するのを抑制できる。
【0031】
(B6)本実施形態のセンサ装置10において、第1鍔部15は、側面LFの周方向における開口13が形成された部分に対応して側面LFの径方向に突出していたが、これに限定されない。例えば210°の範囲など、側面LFの周方向における少なくとも開口13が形成された部分に対応して側面LFの径方向に突出していればよい。
【0032】
(B7)本実施形態のセンサ装置10において、開口13は、およそ180°の角度範囲で形成されていたが、少なくとも前方が開口するような任意の角度範囲で形成されていてもよい。
【0033】
(B8)本実施形態において、センサ装置10が照射および受信する電磁波は、赤外線レーザであったが、赤外線レーザに限らず、任意の波長の電磁波であってもよい。例えば、近赤外線光や、遠赤外線光や、マイクロ波であってもよい。さらに、センサ装置10は、電磁波の照射と受信のうち、受信のみを行う構成であってもよい。例えば、センサ装置10は、可視光を受信して画像を形成する撮像装置により構成されてもよい。
【0034】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…センサ装置、11…上部ケース部、12…下部ケース部、13…開口、15…第1鍔部、15a…第1傾斜面、15b…下方面、15e…内周縁部、15w…屈曲部、16…第2鍔部、16b…第2傾斜面、16e…外周縁部、18…第1壁部、22…第2壁部、24…固定部、100…スクリーン、200…センサ部、210…駆動部、CA…ケース、CAC1…天井面、Eg…開放端、G1…隙間、LF…側面、R1…照射光、R2…反射光、wf1,wf2,wf3…流路
図1
図2
図3
図4
図5