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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】車室内照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/80 20170101AFI20240911BHJP
   B60Q 3/20 20170101ALI20240911BHJP
   B60Q 3/217 20170101ALI20240911BHJP
   B60Q 3/233 20170101ALI20240911BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B60Q3/80
B60Q3/20
B60Q3/217
B60Q3/233
G08G1/16 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021056479
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022153782
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】大島 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】押野 優汰
(72)【発明者】
【氏名】土居 義陽
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-094708(JP,A)
【文献】特開2015-212125(JP,A)
【文献】特開2018-199391(JP,A)
【文献】国際公開第2011/007386(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/80
B60Q 3/20
B60Q 3/217
B60Q 3/233
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内を照明する照明部と、
ナビゲーション装置から道路情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得した道路情報に基づいて運転者の心理状態を推定する推定部と、
前記推定部により推定した心理状態に基づいて、運転者の心理状態を和らげるように前記照明部を制御する制御部と、を備え
前記推定部は、取得された道路情報が、都市部、狭い道幅、複数車線および合流車線のいずれかの道路状況を含む運転者に緊張感を喚起する第1の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第1の心理状態であると推定し、取得された道路情報が、渋滞を知らせる情報を含む運転者にイライラ感を喚起する第2の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第2の心理状態であると推定し、取得された道路情報が、交通量が多いまたは運転慣れしていないという道路状況を含む運転者に落ち着かない感情を喚起する第3の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第3の心理状態であると推定し、
前記制御部は、前記推定部により前記第1または2の心理状態であると推定されると、前記照明部を青系色の照明色で点灯させ、前記推定部により前記第3の心理状態であると推定されると、青系色の光の強度が周期的に変化するゆらぎ照明により前記照明部を制御することを特徴とする車室内照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車室内照明装置において、
運転者の生体情報を検出する検出部をさらに備え、
前記推定部は、前記道路情報および/または前記生体情報に基づいて運転者の心理状態を推定することを特徴とする車室内照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車室内照明装置において、
前記検出部として、運転者の脈波を検出する脈波検出部を備え、
前記推定部は、前記脈波の心拍数が所定心拍閾値以上である場合、および/または、取得された道路情報が、都市部、狭い道幅、複数車線および合流車線のいずれかの道路状況を含む運転者に緊張感を喚起する第1の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第1の心理状態であると推定し、
前記制御部は、前記推定部により前記第1の心理状態であると推定されると、前記照明部を青系色の照明色で点灯させることを特徴とする車室内照明装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車室内照明装置において、
前記検出部として、運転者の脈波を検出する脈波検出部を備え、
前記推定部は、脈波の強さに所定脈波閾値以上のゆらぎが有る場合、および/または、取得された道路情報が、渋滞を知らせる情報を含む運転者にイライラ感を喚起する第2の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第2の心理状態であると推定し、
前記制御部は、前記推定部により前記第2の心理状態であると推定されると、前記照明部を青系色の照明色で点灯させることを特徴とする車室内照明装置。
【請求項5】
請求項1、または、請求項3を引用する請求項4に記載の車室内照明装置において、
前記第1の心理状態であると推定された場合の照明色と、前記第2の心理状態であると推定された場合の照明色とは、光の強度および/または色の濃さが異なることを特徴とする車室内照明装置。
【請求項6】
請求項3、請求項4、および、請求項4を引用する請求項5のいずれか一項に記載の車室内照明装置において、
前記検出部として、運転者の体動を検出する体動検出部をさらに備え、
前記推定部は、前記体動検出部により検出される体動の頻度が所定体動閾値以上の場合には、および/または、取得された道路情報が、交通量が多いまたは運転慣れしていないという道路状況を含む運転者に落ち着かない感情を喚起する第3の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第3の心理状態であると推定し、
前記制御部は、前記推定部により前記第3の心理状態であると推定されると、青系色の光の強度が周期的に変化するゆらぎ照明により前記照明部を制御することを特徴とする車室内照明装置。
【請求項7】
請求項1または6に記載の車室内照明装置において、
前記制御部は、光のパワーが周波数fに反比例する1/fゆらぎとなるように前記照明部を制御することを特徴とする車室内照明装置。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載の車室内照明装置において、
所定心拍閾値、所定脈波閾値および所定体動閾値の内の前記推定部の推定に用いられる閾値が、複数の運転者に関してそれぞれ記憶されている記憶部と、
運転者を認証する認証部と、をさらに備え、
前記推定部は、前記認証部で認証された運転者に関する閾値を前記記憶部に記憶されている複数の閾値から選択し、選択した閾値を用いて推定を行うことを特徴とする車室内照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、進行抑制要因に逆らった運転者の無理な行動を検出し、これに基づいて運転者の心理状態を判定する心理状態判定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、交差点内の交通状況と、自車両に接近する他車両や周辺物の状況と、路面上の凹凸などの道路状況とに基づいて、自車両の進行を抑制する要因が発生しているか否かを判断する。
【0003】
例えば、自車両の進行を抑制する要因が発生している場合には、その発生回数を記憶し、さらに運転者の行動を監視して運転者による無理な行動の回数を記憶する。そして、自車両の進行を抑制する要因の発生回数と、運転者の無理な行動の回数とに基づいて、運転者の心理状態を判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-157662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、無理な行動をカウントして心理状態を判定するものであり、その場の心理状態をダイレクトに判定可能なものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による車室内照明装置は、車室内を照明する照明部と、ナビゲーション装置から道路情報を取得する取得部と、前記取得部により取得した道路情報に基づいて運転者の心理状態を推定する推定部と、前記推定部により推定した心理状態に基づいて、運転者の心理状態を和らげるように前記照明部を制御する制御部と、を備える。推定部は、取得された道路情報が、都市部、狭い道幅、複数車線および合流車線のいずれかの道路状況を含む運転者に緊張感を喚起する第1の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第1の心理状態であると推定し、取得された道路情報が、渋滞を知らせる情報を含む運転者にイライラ感を喚起する第2の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第2の心理状態であると推定し、取得された道路情報が、交通量が多いまたは運転慣れしていないという道路状況を含む運転者に落ち着かない感情を喚起する第3の道路情報である場合には、運転者の心理状態を第3の心理状態であると推定し、制御部は、推定部により第1または2の心理状態であると推定されると、照明部を青系色の照明色で点灯させ、推定部により第3の心理状態であると推定されると、青系色の光の強度が周期的に変化するゆらぎ照明により照明部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者のその場の心理状態を判定し、判定結果に応じて運転者の心理状態を和らげるように照明を行うので、安全運転の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車室内照明装置の一例を示すブロック図である。
図2図2は、脈波センサおよび圧力センサのセンサ位置を示す図である。
図3図3は、車室内における照明部の配置例を示す斜視図である。
図4図4は、運転者の心理状態、道路情報、生体情報および照明制御の関係を説明する図である。
図5図5は、第1の制御例の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の制御例の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、変形例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態の車室内照明装置の一例を示すブロック図である。図1に示す車室内照明装置1は、制御装置10、車室内に設けられた照明部11、運転者が着座するシートに設けられた脈波センサ12および圧力センサ13を備えている。脈波センサ12および圧力センサ13はシートに着座している運転者の生体情報を検出するものであり、脈波センサ12は運転者の脈波を検出し、圧力センサ13は運転者の着座姿勢の変化を検出する。車室内照明装置1には、ナビゲーション装置2から道路情報が入力される。
【0010】
制御装置10は、脈波センサ12および圧力センサ13で検出される運転者に関する情報と、ナビゲーション装置2から入力される道路情報とに基づいて、照明部11による照明を制御する。制御装置10は、照明部11を制御する照明制御部100、運転者の心理状態を推定する推定部101、照明制御に関係するプログラムやデータが記憶される記憶部102、ナビゲーション装置2から道路情報を受信する通信部103を備えている。推定部101は、脈波センサ12および圧力センサ13の検出結果に基づいて運転者の心理状態を推定する。
【0011】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)と、制御プログラムを格納したROM、データを一時的に格納するRAM 等のメモリと、その周辺機器(通信モジュールなど)を備えている。メモリは記憶部102として機能し、CPUは、メモリに格納されている制御プログラムに従い、照明制御部100、推定部101として機能する。ナビゲーション装置2は、車両に搭載されているナビゲーション装置でも良いし、ナビゲーションアプリケーションがインストールされた携帯端末であっても良い。その場合、制御装置10の通信部103は、無線通信により携帯端末と通信する。
【0012】
図2は、シート20に設けられた脈波センサ12および圧力センサ13の配置を示す図である。シート20は、乗員Dの臀部を支持するシートクッション21と、乗員の腰部および背部を支持するシートバック22と、シートバック22に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレスト23とを備える。
【0013】
脈波センサ12(12a,12b)は、生体情報として、着座者の皮膚表面に対向する位置の血流から脈波を検出するものである。脈波センサ12(12a,12b)は、シートクッション21およびシートバック22に設けられている。脈波センサ12aの位置は、着座者の心臓(胸部大動脈)の位置に対応しており、シートバック22の表皮の裏側に設けられている。脈波センサ12aの位置は、着座者の臀部(左右の坐骨の中央部)または大腿部の位置に対応しており、シートクッション21の表皮の裏側に設けられている。図2に示す例では2つの脈波センサ12a,12bが設けられているが、いずれか一方だけを用いる構成でも良い。
【0014】
着座している運転者Dの着座姿勢の変化を検出する圧力センサ13(13a~13c)は、シートクッション21およびシートバック22の表皮の裏側に設けられている。運転者Dの着座姿勢を変えると圧力センサ13a~13cにより検出される圧力値が変化するので、その圧力値変化により運転者Dの体動状態が判断される。
【0015】
脈波を検出する脈波センサ12としては、例えば、光を利用して着座者の脈波を測定する光電式脈波センサや、着座者の体表面における圧力波を測定することにより着座者の脈波を測定する圧電式脈波センサ、電磁波を利用して着座者の脈波を測定する電磁波式脈波センサ等が挙げられる。本実施の形態では、これら複数種類の脈波センサのいずれを採用してもよいし、これら複数種類の脈波センサを適宜組み合わせて使用してもよい。
【0016】
図3は、車室200内における照明部11の概略の配置例を示す斜視図である。照明部11は運転者に対して設けられた照明であり、図3に示す例では、センターコンソール30の側面に設けられている。後述するように、照明部11は、運転者の緊張やイライラ等の心理状態を照明光により和らげるために設けられたものであり、青系色の照明色とされる。照明部11の配置は図3の配置に限定されず、間接光が運転者に届くような配置が好ましい。例えば、シート20の下部に照明部11を設け、その照明部11により運転者の足元付近(符号R1で示す領域)や運転者側のドア31のドアトリム(符号R2示す領域)等を照明する。
【0017】
[照明制御]
次いで、照明制御部100による照明制御について説明する。上述した特許文献1に記載の技術は、無理な行動をカウントして心理状態を判定するものであったが、運転者の心理状態は運転操作に大きく影響するので、判定結果に応じた何らかの対処が望まれる。本実施の形態の車室内照明装置1は、ナビゲーション装置2から取得した道路情報、および/または、生体情報を検出する脈波センサ12および圧力センサ13の検出結果に基づいて、運転者の心理状態(緊張状態およびイライラ状態など)を推定し、照明部11で効果的な照明をすることにより運転者の心理状態を和らげるようにするものである。
【0018】
図4は、本実施の形態における、運転者の心理状態と道路情報および運転者の生体情報との関係、および、運転者の心理状態を和らげる照明制御との関係の概略を示す図である。運転者の心理状態としては、運転者がドキドキする第1の心理状態、運転者がイライラする第2の心理状態および運転者が落ち着かない状態となる第3の心理状態を考える。
【0019】
第1の心理状態を喚起する第1の道路情報としては、都市部の道路、道幅の狭い道路、車線が複数の道路、合流車線などがある。第2の心理状態を喚起する第2の道路情報としては、渋滞状態などがある。第3の心理状態を喚起する第3の道路情報としては、交通量が大きな道路や、普段あまり利用しない道路や、初めて訪れる地域の道路などである。
【0020】
第1の心理状態(ドキドキ状態)にある場合の第1の生体情報としては、脈波センサ12により検出される脈波の心拍数が所定心拍閾値以上である状態がある。第2の心理状態(イライラ状態)にある場合の第2の生体情報としては、脈波に所定脈波閾値以上のゆらぎがある状態がある。第3の心理状態(落ち着かない状態)にある場合の第3の生体情報としては、体動の頻度が所定体動閾値以上である状態がある。
【0021】
第1~3の心理状態はいずれも不安定な心理状態であり、そのような運転者の心理状態を和らげるようにする照明としては、青系色の照明色が知られている。図4に示す照明制御例では、第1の心理状態と第2の心理状態とで、第1の青系色と第2の青系色とでは色の濃さおよび/または強度を変えるものとする。また、第3の心理状態のように運転者が落ち着かない状態である場合には、青系色で光の強度が脈波の周期に応じた周期で変化するゆらぎ照明とした。例えば、パワー(スペクトル密度)が周波数fに反比例するゆらぎである1/fゆらぎとすることで、照明のゆらぎと生体のリズムとが共鳴し、自律神経が整えられて精神が安定する。
【0022】
なお、図4に示す例では、心理状態、心理状態に対応する道路情報および生体情報を3種類に分類したが、これら3種類に限定されるものではない。また、道路情報の種類および生体情報の種類についても、図4に示すものに限らず様々な事項があげられる。
【0023】
(1)第1の制御例
図5は、制御装置10による第1の制御例の一例を示すフローチャートである。第1の制御例では、ナビゲーション装置2から取得される道路情報に基づいて運転者の心理状態を推定し、その推定結果に基づいて運転者の心理状態を和らげるように照明を制御するものである。例えば、車両電源がオンされると、図5に示す一連の処理が所定時間間隔で繰り返し実行される。
【0024】
ステップS10では、ナビゲーション装置2から道路情報を取得する。ステップS20では、取得された道路情報が上述した第1の道路情報に該当するか否かの判定を推定部101において行う。ステップS20において第1の道路情報であると判定されると、ステップS22において運転者は第1の心理状態であるとされ、ステップS24において第1の青系色で照明部11を点灯する。一方、ステップS20において第1の道路情報でないと判定されるとステップS30へ進む。
【0025】
一方、ステップS20で第1の道路情報でないと判定されると、ステップS30において、ステップS10で取得された道路情報は第2の道路情報か否かを判定する。ステップS30において第2の道路情報であると判定されるとステップS32へ進み、第2の道路情報でないと判定されるとステップS40へ進む。ステップS30で第2の道路情報であると判定された場合には、ステップS32に進んで運転者は第2の心理状態であると判定し、ステップS34において第2の青系色で照明部11を点灯する。
【0026】
一方、ステップS30で第2の道路情報でないと判定されると、ステップS40に進んで運転者は第3の心理状態であると判定し、ステップS50において青系色の照明色で光の強度を周期的に変化させるゆらぎ照明を行わせる。このように、そうこうしている道路の状況に応じて照明部11により照明を変化させることにより、道路状況の影響による運転者の心理状態を和らげることができ、安全運転の向上を図ることができる。
【0027】
(2)第2の制御例
上述した第1の制御例では、道路情報だけに基づいて運転者の心理状態を推定したが、第2の制御例では、脈波センサ12および圧力センサ13により検出される運転者の生体情報としての脈波および体動も考慮して、運転者の心理状態を推定するようにした。運転者の生体情報も利用することで、心理状態推定の精度向上を図るようにした。図6は第2の制御例の一例を示すフローチャートであり、車両電源がオンされると、図6に示す一連の処理が所定時間間隔で繰り返し実行される。
【0028】
図6のステップS110では、ナビゲーション装置2から道路情報を取得する。ステップS120は、脈波センサ12で検出される脈波情報および圧力センサ13で検出される体動情報を、運転者の生体情報として取得する。ステップS10では、ナビゲーション装置2から道路情報を取得する。ステップS130では、ステップS10で取得された道路情報が上述した第1の道路情報に該当するか否かの判定を行う。ステップS130において第1の道路情報であると判定されると、ステップS142に進んで運転者は第1の心理状態であるとされ、ステップS144において第1の青系色で照明部11を点灯する。
【0029】
一方、ステップS130において第1の道路情報でないと判定されると、ステップS140へ進む。ステップS140では、ステップS120で取得された生体情報が、図4に示す3種類の分類の内の第1の生体情報に該当するか否かを判定する。ステップS140において第1の生体情報に該当すると判定されると、上述したステップS142およびステップS144の処理を実行する。一方、ステップS140で第1の生体情報に該当しないと判定されると、ステップS150へ進む。
【0030】
ステップS150では、ステップS110で取得された道路情報が上述した第2の道路情報に該当するか否かの判定を行う。ステップS150において第2の道路情報であると判定されると、ステップS162に進んで運転者は第2の心理状態であるとされ、ステップS164において第2の青系色で照明部11を点灯する。
【0031】
一方、ステップS150において第2の道路情報でないと判定されると、ステップS160へ進む。ステップS160では、ステップS120で取得された生体情報が、図4に示す3種類の分類の内の第2の生体情報に該当するか否かを判定する。ステップS160において第2の生体情報に該当すると判定されると、上述したステップS162およびステップS164の処理を実行する。一方、ステップS160で第3の生体情報に該当しないと判定されると、ステップS170へ進み、運転者は第3の心理状態であるとされる。そして、ステップS180において、照明部11を青系色のゆらぎ照明に制御する。
【0032】
(変形例)
図7は、上述した実施の形態の変形例を示す図である。制御装置10は、運転者が誰かを認証する認証部104を備える。通信部103は、無線通信により、運転者が身に着けている携帯端末3との間で情報の受送信を行うことができる。記憶部102には、この車両の運転を行う複数の運転者に関して、各運転者の携帯端末3の認識番号、各運転者に固有の心拍閾値、脈波閾値および体動閾値が記憶されている。
【0033】
車両電源がオンされると、無線通信により運転者の携帯端末が検出されるか否かの検索をする。携帯端末が検出されたならば、その端末の認識番号に対応する運転者の心拍閾値、脈波閾値および体動閾値を読み込み、それらの閾値を上述した制御に用いる。
【0034】
また、運転時に運転者が携帯端末を所持していなくて、携帯端末が検索されなかった場合には、圧力センサ13の検出結果から着座している人物を認識するようにしても良い。記憶部102には、各運転者の圧力分布データが予め記憶されている。認証部104は、圧力センサ13により検出されている圧力分布と、記憶部102に記憶されている複数の圧力分布データとを比較して運転者を特定し、その運転者の心拍閾値、脈波閾値および体動閾値を読み込み、それらの閾値を上述した制御に用いる。
【0035】
このように、各運転者に応じた心拍閾値、脈波閾値および体動閾値を用いることにより、運転者の心理状態の推定の精度向上を図ることができる。なお、上述した実施の形態では、脈波センサ12および圧力センサ13で運転者の生体情報(脈波、体動)を検出したが、例えば、車室内の運転者と対抗する位置にデジタルカメラを設けて、デジタルカメラの撮影データを運転者の体動や顔表情の検出や、顔認証に用いても良い。
【0036】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1…車室内照明装置、2…ナビゲーション装置、3…携帯端末、10…制御装置、11…照明部、12,12a,12b…脈波センサ、13,13a~13c…圧力センサ、100…照明制御部、101…推定部、102…記憶部、103…通信部、104…認証部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7