(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】情報コード読取装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/14 20060101AFI20240911BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G06K7/14 060
G06K7/10 428
G06K7/14 017
(21)【出願番号】P 2021135092
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】鏡味 良平
(72)【発明者】
【氏名】深谷 量崇
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-169931(JP,A)
【文献】特開2020-67800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/14
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の明色系セル及び暗色系セルが配列されてなる情報コードを光学的に読み取る情報コード読取装置であって、
前記情報コードは、鏡面反射を抑制可能な保護層によって覆われ、
前記保護層を介して前記情報コードを撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像画像に対して前記情報コードをデコードするデコード処理を行うデコード部と、
前記撮像部により撮像された前記情報コードの撮像画像を利用して前記保護層の劣化の有無を判定する劣化状態判定部と、
前記劣化状態判定部の判定結果を報知可能な報知部と、
を備え、
前記劣化状態判定部は、前記撮像画像において前記明色系セルと前記暗色系セルとのコントラスト値に基づいて、前記保護層の劣化の有無を判定することを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記劣化状態判定部は、前記撮像画像において前記情報コードの所定の一部を構成する前記明色系セルと前記暗色系セルとのコントラスト値に基づいて、前記保護層の劣化の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項3】
前記劣化状態判定部は、所定の間隔で算出される前記コントラスト値が第1の閾値以上となる回数を計数し、当該回数が第1の所定回数以上になると、前記保護層が劣化していると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報コード読取装置。
【請求項4】
前記劣化状態判定部は、正反射が生じやすい所定の時間帯にて前記第1の閾値未満となる前記コントラスト値が算出された場合に、当該コントラスト値が前記第1の閾値よりも小さく設定される第2の閾値以下となる回数を計数し、当該回数が第2の所定回数以上になると、前記保護層が劣化していると判定することを特徴とする請求項3に記載の情報コード読取装置。
【請求項5】
前記明色系セルと同じ明度の明色系パターンと暗色系セルと同じ明度の暗色系パターンとが、前記保護層によって保護されずに前記情報コードとともに前記撮像部によって撮像される位置に配置され、
前記劣化状態判定部は、前記所定の時間帯にて前記第1の閾値未満であって前記第2の閾値を超える前記コントラスト値が算出された場合に、当該コントラスト値と前記明色系パターンと前記暗色系パターンとのコントラスト値とが同じとみなされる回数を計数し、当該回数が第3の所定回数以上になると、前記保護層が劣化していると判定することを特徴とする請求項4に記載の情報コード読取装置。
【請求項6】
前記劣化状態判定部は、前記コントラスト値の時間変化に基づいて、前記保護層の劣化の有無を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報コード読取装置。
【請求項7】
複数の前記情報コードごとに前記保護層が設けられ、
前記劣化状態判定部は、前記情報コードごとに前記保護層の劣化の有無を判定することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡面反射を抑制可能な保護層が設けられた情報コードを光学的に読み取る情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコードやQRコード(登録商標)などの情報コードを撮像して光学的に読み取る際、その撮像画像において照明光等が鏡面反射している場合があり、この鏡面反射に起因して情報コードの明色系セル及び暗色系セルの一部が欠損等するように撮像されていると、読取処理が失敗してしまうという問題がある。
【0003】
このような情報コードの読取処理時に生じる鏡面反射の影響を抑制するための技術として、例えば、下記特許文献1に開示される識別コード読み取りシステムが知られている。この識別コード読み取りシステムでは、鋼製小物等に対して識別コードをマーキングする際に、そのマーキング部位にブラスト加工や艶消し処理といった表面加工が予め施され、その表面加工部の上に識別コードがマーキングされる。これにより、識別コードの周りでの鏡面反射を抑制して、識別コードの読取精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、読取処理時での鏡面反射の影響は、上述のように金属製の媒体にマーキングされた情報コードを読み取る読取処理だけでなく、所定の媒体に印刷等された情報コードを読み取る読取処理でも生じる場合がある。このような印刷等された情報コードでは、その表面を鏡面反射抑制用の保護層(例えば、鏡面反射防止層等)で覆い、その保護層にて照明光等が拡散反射されることで、読取処理時での鏡面反射の影響を抑制することができる。
【0006】
しかしながら、情報コードの表面を覆う鏡面反射防止層等は、徐々に劣化してしまうものであり、その劣化速度は情報コードが読み取られる環境等によって変化する。このため、想定以上に鏡面反射防止層等の劣化が進んでいる状態に気づけないと、鏡面反射の影響を十分に抑制できていない情報コードの画像が撮像されてしまい、情報コードの読取精度が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、鏡面反射を抑制するために情報コードに設けられた保護層の劣化の有無を判定し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
複数の明色系セル及び暗色系セルが配列されてなる情報コード(30)を光学的に読み取る情報コード読取装置(10)であって、
前記情報コードは、鏡面反射を抑制可能な保護層(40)によって覆われ、
前記保護層を介して前記情報コードを撮像する撮像部(13)と、
前記撮像部の撮像画像に対して前記情報コードをデコードするデコード処理を行うデコード部(11)と、
前記撮像部により撮像された前記情報コードの撮像画像を利用して前記保護層の劣化の有無を判定する劣化状態判定部(11)と、
前記劣化状態判定部の判定結果を報知可能な報知部(17)と、
を備え、
前記劣化状態判定部は、前記撮像画像において前記明色系セルと前記暗色系セルとのコントラスト値(C)に基づいて、前記保護層の劣化の有無を判定することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、複数の明色系セル及び暗色系セルが配列されてなる情報コードは、鏡面反射を抑制可能な保護層によって覆われている。そして、撮像画像において明色系セルと暗色系セルとのコントラスト値に基づいて、保護層の劣化の有無が劣化状態判定部により判定される。
【0010】
保護層の劣化が進行すると、その保護層にて拡散反射され難くなるので、当該保護層を介して情報コード全体が暗くなるように撮像される。このため、保護層の劣化が進行するほど、情報コードの明色系セルと暗色系セルとがそれぞれ同程度暗くなるように撮像されるので、明色系セルと暗色系セルとのコントラスト値が高くなる。すなわち、明色系セルと暗色系セルとのコントラスト値が以前よりも高くなると、保護層の劣化が進行していると判断することができる。したがって、撮像画像において情報コードを構成する明色系セルと暗色系セルとのコントラスト値に基づいて、鏡面反射を抑制するために情報コードに設けられた保護層の劣化の有無を判定することができる。
【0011】
請求項2の発明では、劣化状態判定部により、撮像画像において情報コードの所定の一部を構成する明色系セルと暗色系セルとのコントラスト値に基づいて、保護層の劣化の有無が判定される。これにより、例えば、明色系セル及び暗色系セルを覆う保護層のうち他の部位に対して劣化が読取精度に影響しやすい部位でのコントラスト値に基づいて保護層の劣化の有無を判定することで、その部分的な劣化であってもその有無を判定することができる。
【0012】
請求項3の発明では、劣化状態判定部により、所定の間隔で算出されるコントラスト値が第1の閾値以上となる回数が計数され、当該回数が第1の所定回数以上になると、保護層が劣化していると判定される。これにより、周囲環境の変化等によって上記コントラスト値が一時的に高く算出されても、その状態が継続しない限り、保護層が劣化していると判定されることもないので、保護層の劣化の有無の判定に関して判定精度を向上させることができる。
【0013】
請求項4の発明では、劣化状態判定部により、正反射が生じやすい所定の時間帯にて上記第1の閾値未満となるコントラスト値が算出された場合に、当該コントラスト値が上記第1の閾値よりも小さく設定される第2の閾値以下となる回数が計数され、当該回数が第2の所定回数以上になると、保護層が劣化していると判定される。
【0014】
保護層に対して太陽光が直接照射される場合など、情報コードの撮像画像が正反射の影響を受けている場合には、保護層を介して情報コード全体が明るくなるように撮像されるために、撮像画像から算出されるコントラスト値が低くなる。そうすると、保護層が劣化していても、正反射が生じやすい時間帯で算出されたコントラスト値が上記第1の閾値未満になった場合に、コントラスト値が第1の閾値以上となる回数が減るために、その回数が上記第1の所定回数以上となるまでの期間が長くなってしまう可能性がある。
【0015】
このため、正反射が生じやすい所定の時間帯にて上記第1の閾値未満となるコントラスト値が算出された場合に、当該コントラスト値が第2の閾値以下となる回数が第2の所定回数以上になると、保護層が劣化していると判定する。これにより、正反射の影響を受けているために算出されるコントラスト値が第1の閾値以上となる回数が減っても、そのコントラスト値が第2の閾値以下となる回数が第2の所定回数以上になることで、保護層が劣化していると判定できるので、保護層の劣化の有無の判定に関して正反射の影響を抑制することができる。
【0016】
請求項5の発明では、明色系セルと同じ明度の明色系パターンと暗色系セルと同じ明度の暗色系パターンとが、保護層によって保護されずに情報コードとともに撮像部によって撮像される位置に配置される。そして、劣化状態判定部により、上記所定の時間帯にて上記第1の閾値未満であって上記第2の閾値を超えるコントラスト値が算出された場合に、当該コントラスト値と明色系パターンと暗色系パターンとのコントラスト値とが同じとみなされる回数が計数され、当該回数が第3の所定回数以上になると、保護層が劣化していると判定される。
【0017】
保護層によって保護されている明色系セル及び暗色系セルが色あせすると、撮像画像から算出されるコントラスト値が高くなるため、上記所定の時間帯にて第2の閾値以下と判定されるべきコントラスト値が高く算出される。この結果、コントラスト値が第2の閾値以下となる回数が減るために、その回数が上記第2の所定回数以上となるまでの期間が長くなってしまう可能性がある。
【0018】
このため、上記所定の時間帯にて上記第1の閾値未満であって上記第2の閾値を超えるコントラスト値が算出された場合に、当該コントラスト値と明色系パターンと暗色系パターンとのコントラスト値とが同じとみなされる回数が第3の所定回数以上になると、保護層が劣化していると判定する。これにより、保護層によって保護されている明色系セル及び暗色系セルが色あせするために算出されるコントラスト値が第2の閾値以下となる回数が減っても、そのコントラスト値と明色系パターン及び暗色系パターンのコントラスト値Cnとが同じとみなされる回数が第3の所定回数以上になることで、保護層が劣化していると判定できるので、保護層の劣化の有無の判定に関して情報コードの色あせの影響を抑制することができる。
【0019】
請求項6の発明のように、劣化状態判定部は、コントラスト値の時間変化に基づいて、保護層の劣化の有無を判定してもよい。
【0020】
請求項7の発明では、複数の情報コードごとに保護層が設けられ、劣化状態判定部により、情報コードごとに保護層の劣化の有無が判定される。これにより、複数の情報コードのそれぞれに保護層が設けられる場合でも、その保護層ごとに劣化の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る情報コード読取装置及び搬送中の通箱を示す説明図である。
【
図2】保護層とこの保護層によって覆われた情報コードとの位置関係を説明する平面図である。
【
図3】
図1の情報コード読取装置の電気的構成等を概略的に例示するブロック図である。
【
図4】
図4(A)は、劣化していない保護層による拡散反射状態を例示する概念図であり、
図4(B)は、劣化した保護層による拡散反射状態を例示する概念図である。
【
図5】撮像画像における明色系セルの輝度値及び暗色系セルの輝度値と保護層の拡散反射率との関係を説明する説明図である。
【
図6】第1実施形態において制御部にてなされる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】第1実施形態において算出されるコントラスト値の時間変化と第1の閾値との関係を説明するグラフである。
【
図8】第1実施形態の変形例においてコントラスト値が算出される情報コードの所定の一部を例示する説明図である。
【
図9】第2実施形態において制御部にてなされる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図10】第2実施形態において算出されるコントラスト値の時間変化と第1の閾値及び第2の閾値との関係を説明するグラフである。
【
図11】第3実施形態において情報コードを覆う保護層と明色系パターン及び暗色系パターンとの位置関係を説明する平面図である。
【
図12】第3実施形態において制御部にてなされる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コード読取装置10は、複数の明色系セル及び暗色系セルが一次元状に配列されてなるバーコードや二次元状に配列されてなるQRコードなどの情報コードを光学的に読み取る装置である。本実施形態では、情報コード読取装置10は、
図1に示すように、コンベア上を順次搬送される通箱Bにそれぞれ付されたラベル20の情報コード30を読み取る読取処理を行うことで、各通箱Bを利用して搬送される物品に関する情報を読み取るように構成されている。なお、本実施形態では、情報コード30は、QRコードとして構成されているが、これに限らず、バーコード等の一次元コードやデータマトリックスコード、マキシコード等の二次元コードなどの他のコード種別の情報コードとして構成されてもよい。
【0023】
特に、本実施形態では、読取処理時での鏡面反射の影響を抑制するため、
図2に例示するように、各情報コード30は、その表面が鏡面反射防止層等の鏡面反射抑制用保護層(以下、保護層40ともいう)によって覆われている。この保護層40は、外部から入射する光の一部を拡散反射することで、当該保護層40を介して撮像される情報コード30に対する鏡面反射の影響を抑制するように機能する。
【0024】
次に、情報コード読取装置10の電気的構成を、
図3を参照して説明する。
情報コード読取装置10は、
図3に示すように、CPU等からなる制御部11、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部12、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部13、液晶表示器などからなる表示部14、LEDなどからなる発光部15、ビープ音等を発生可能なブザー16、上位端末等の外部機器と通信するための通信インタフェースとして構成される通信部17などを備えている。
【0025】
情報コード読取装置10は、コンベア上を搬送される通箱Bの情報コード30が撮像部13による撮像範囲に入るように、コンベアの上方に配置されている。そして、制御部11は、撮像部13にて撮像された情報コード30の画像データに対して公知のデコード処理(解読処理)を行うことで、情報コード30に記録されたデータをデコード(解読)して取得するデコード部(解読部)として機能する。なお、情報コード読取装置10は、撮像部13等が、制御部11等を収容した本体部から別体として構成されて、その別体とされる撮像部13等がコンベアの上方に配置されるように構成されてもよい。
【0026】
次に、情報コード読取装置10の特徴的構成について、図面を参照して説明する。
通箱Bが繰り返し使用されることで、通箱Bに付される情報コード30を覆う保護層40は徐々に劣化し、その劣化速度は情報コード30が読み取られる環境や使用頻度等によって変化する。例えば、保護層40が劣化していない場合、
図4(A)に示すように、保護層40に対して入射する光がより拡散反射することで、鏡面反射の影響が抑制されるが、保護層40が劣化してくると、
図4(B)に示すように、保護層40による拡散反射機能が低下するために、鏡面反射成分が大きくなる。このため、想定以上に保護層40の劣化が進んでいる状態に気づけないと、鏡面反射の影響を十分に抑制できていない情報コード30の画像が撮像されてしまい、情報コード30の読取精度が低下してしまう可能性がある。
【0027】
このため、本実施形態では、保護層40を介して撮像される情報コード30の明色系セルの平均輝度値(以下、輝度値Mwともいう)と暗色系セルの平均輝度値(以下、輝度値Mbともいう)とから以下の式(1)を用いて算出されるコントラスト値Cに基づいて、保護層40の劣化の有無を判定する。このように、保護層40が劣化している状態を早期に検出することで、情報コードの読取精度の低下を抑制する。
C=(Mw-Mb)/Mw ・・・(1)
【0028】
以下、コントラスト値Cに基づいて保護層40の劣化の有無を判定できる根拠について、
図5を参照して説明する。
保護層40の劣化が進行すると、その保護層40にて拡散反射され難くなるので、当該保護層40を介して情報コード30全体が暗くなるように撮像される。このため、保護層40の劣化が進行するほど、情報コード30の明色系セルと暗色系セルとがそれぞれ同程度暗くなるように撮像されるので、明色系セルと暗色系セルとのコントラスト値Cが高くなる。すなわち、明色系セルと暗色系セルとのコントラスト値Cが以前よりも高くなると、保護層40の劣化が進行していると判断することができる。
【0029】
具体的に数式等を用いて説明すると、撮像画像における情報コード30の明色系セルの輝度値Mw及び暗色系セルの輝度値Mbに関して、保護層40の拡散反射率をα、保護層40の拡散と鏡面反射率を考慮した定数をA、明色系セルの反射率Rw、暗色系セルの反射率Rbとするとき、以下の式(2)(3)の関係が成立する。なお、(1-A)は、保護層40を透過して情報コード30に到達した光の割合に相当する。
Mw=α+(1-A)Rw ・・・(2)
Mb=α+(1-A)Rb ・・・(3)
【0030】
そして、明色系セルの輝度値Mw及び暗色系セルの輝度値Mbと保護層40の拡散反射率αとは、
図5に示す関係が成立する。
図5からわかるように、保護層40の劣化に応じて拡散反射率αが低下すると、明色系セルの輝度値Mw及び暗色系セルの輝度値Mbは、ほぼ同じ傾きで低くなる。このため、上記式(1)を用いて算出されるコントラスト値Cは、拡散反射率αが小さくなるほど、大きくなる。例えば、
図5に例示するように、拡散反射率が比較的小さなα1でのコントラスト値Cは、拡散反射率が比較的大きなα2でのコントラスト値Cに対して、分子となる「Mw-Mb」がほぼ同じであっても分母となる「Mw」が小さくなるため、その値が大きくなる。このため、コントラスト値Cに基づいて、保護層40の拡散反射率αの低下状態、すなわち、保護層40の劣化の有無を判定することができる。
【0031】
以下、情報コード読取装置10の制御部11において、情報コード30のデコードが成功するごとに保護層40の劣化状態を判定する処理を行う読取処理について、
図6に示すフローチャート等を参照して詳述する。
【0032】
コンベア上を各通箱Bが搬送され始めることで、制御部11にて読取処理が開始されると、
図6のステップS101に示す撮像処理がなされ、撮像部13によってコンベア上を搬送される通箱Bの情報コード30を撮像するための処理がなされる。続いて、ステップS103に示すデコード処理がなされ、撮像された情報コード30をデコードするための処理がなされる。
【0033】
そして、コンベア上を搬送される通箱Bの情報コード30が撮像部13によってデコード可能に撮像されることで、その情報コード30のデコードが成功すると(S105でYes)、ステップS107に示すコントラスト値算出処理がなされる。この処理では、上述のようにデコードに成功した情報コード30の明色系セルの輝度値Mw及び暗色系セルの輝度値Mbに基づいて、上記式(1)を用いてコントラスト値Cが算出される。
【0034】
続いて、ステップS109に示す判定処理にて、上述のように算出されたコントラスト値Cが第1の閾値Cth1以上であるか否かについて判定される。ここで、第1の閾値Cth1は、情報コード30の読取精度に影響する程度に劣化した保護層40の撮像画像から算出されるコントラスト値Cに相当する値に設定されており、算出されたコントラスト値Cが第1の閾値Cth1未満である場合には(S109でNo)、ステップS111に示す記憶処理がなされる。この処理では、デコード結果及びコントラスト値C等が、所定のタイミングで通信部17を介して上位端末等に送信可能に、記憶部12に記憶される。このように、第1の閾値Cth1未満となるコントラスト値Cが算出される場合には、報知を要する程度に保護層40の劣化が進行していないとして、本読取処理が終了する。
【0035】
そして、次の通箱Bが搬送されてくることで、その通箱Bの情報コード30を覆う保護層40の劣化の有無を判定するように上記読取処理がなされ、順次搬送される通箱Bの情報コード30を覆う保護層40のそれぞれについて、個別に劣化の有無が判定されることになる。このように、通箱Bが繰り返し使用されるごと、すなわち、所定の間隔ごとに、コントラスト値Cが1つ算出されて、
図7に示すように、保護層40の劣化が徐々に進行することで、算出されるコントラスト値Cが情報コード30単位で徐々に増加していく。
【0036】
上述のような通箱Bの繰り返し使用によって、保護層40の劣化が徐々に進行しているために、コントラスト値Cが第1の閾値Cth1以上になると(S109でYes:
図7のta1参照)、コントラスト値Cが第1の閾値Cth1以上になった回数を示すN1がインクリメントされる(S113)。続いて、ステップS115の判定処理にて、インクリメントされた回数N1が第1の所定回数N1th以上であるか否かについて判定され、回数N1が第1の所定回数N1th未満である場合には(S115でNo)、上記ステップS111の記憶処理がなされて、デコード結果及びコントラスト値C等に加えて回数N1が記憶部12に記憶されて、本読取処理が終了する。
【0037】
さらなる通箱Bの繰り返し使用によって、その後に所定の間隔で算出されたコントラスト値Cが何度も第1の閾値Cth1以上になるために(S109でYes:
図7のta2参照)、インクリメントされた回数N1が第1の所定回数N1th以上になると(S115でYes)、ステップS117に示す報知処理がなされる。この処理では、上述のようにデコードに成功した情報コード30を覆う保護層40が劣化していることを示す情報が、当該情報コード30を特定する情報等とともに通信部17を介して上位端末等に送信されることで報知される。なお、上記ステップS107の処理からステップS115の処理を行う制御部11は、保護層40の劣化の有無を判定する「劣化状態判定部」の一例に相当し、上記ステップS117の報知処理を行う制御部11及び通信部17は、「劣化状態判定部」の判定結果を報知可能な「報知部」の一例に相当し得る。
【0038】
この報知を受けた上位端末等では、劣化した保護層40により保護されている情報コード30及び通箱Bを容易に特定できるので、例えば、その通箱Bのラベル20(情報コード30及び保護層40)を新たに貼りかえることで、保護層40の劣化に起因する情報コード30の読取精度の低下を抑制することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置10では、複数の明色系セル及び暗色系セルが配列されてなる情報コード30は、鏡面反射を抑制可能な保護層40によって覆われている。そして、制御部11にてなされる読取処理において、撮像画像での明色系セルの輝度値Mwと暗色系セルの輝度値Mbから算出されるコントラスト値Cに基づいて、保護層40の劣化の有無が判定される。
【0040】
上述したように、明色系セルの輝度値Mwと暗色系セルの輝度値Mbから算出されるコントラスト値Cが以前よりも高くなると、保護層40の劣化が進行していると判断することができるので、このコントラスト値Cに基づいて、鏡面反射を抑制するために情報コード30に設けられた保護層40の劣化の有無を判定することができる。
【0041】
特に、本実施形態では、所定の間隔(通箱Bの繰り返し間隔)で算出されるコントラスト値Cが第1の閾値Cth1以上となる回数N1が計数され、当該回数N1が第1の所定回数N1th以上になると、保護層40が劣化していると判定される。これにより、周囲環境の変化等によって上記コントラスト値Cが一時的に高く算出されても、その状態が継続しない限り、保護層40が劣化していると判定されることもないので、保護層40の劣化の有無の判定に関して判定精度を向上させることができる。
【0042】
なお、コントラスト値Cが精度良く算出できる環境等では、上記回数N1を計数することなく、算出されたコントラスト値Cが1度でも第1の閾値Cth1以上となったタイミングで、上記報知処理を行ってもよい。また、例えば、コントラスト値Cの増加傾向など、算出されるコントラスト値Cの時間変化に基づいて、保護層40の劣化の有無を判定してもよい。
【0043】
また、例えば、コントラスト値Cと第1の閾値Cth1との比較を行うことなく、コントラスト値Cがその正規分布の3σを超えたタイミングで、上記報知処理を行ってもよい。
【0044】
本実施形態の変形例として、上記ステップS107のコントラスト値算出処理では、情報コード30を構成する全ての明色系セルの輝度値Mwと暗色系セルの輝度値Mbに基づいてコントラスト値Cを算出することに限らず、情報コード30の1又は2以上の所定の一部を構成する明色系セルの平均輝度値と暗色系セルの平均輝度値とに基づいてコントラスト値Cを算出してもよい。例えば、
図8にて例示するように、情報コード30の画像を9分割した分割領域のうちFPパターンが含まれる分割領域を除く2つの分割領域S1,S2を構成する明色系セルの平均輝度値と暗色系セルの平均輝度値とに基づいてコントラスト値Cを算出してもよい。これにより、例えば、明色系セル及び暗色系セルを覆う保護層40のうち他の部位に対して劣化が読取精度に影響しやすい部位でのコントラスト値Cに基づいて保護層40の劣化の有無を判定することで、その部分的な劣化であってもその有無を判定することができる。
【0045】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、保護層40の劣化の有無の判定に関して正反射の影響を考慮する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
鏡面反射の影響を抑制するための保護層40は、上記第1実施形態のようにコンベア上を順次搬送される通箱Bに付される屋内の情報コードに対して設けられる場合もあれば、屋外の情報コード、例えば、鉄道車両のドア開閉検知のためにそのドアに付される情報コードに対して設けられる場合もある。このように、屋外等で使用されるために保護層40に対して太陽光が直接照射される場合など、情報コード30の撮像画像が正反射の影響を受けている場合には、保護層40を介して情報コード30全体が明るくなるように撮像されるために、撮像画像から算出されるコントラスト値Cが低くなる。
【0047】
そうすると、保護層40が劣化していても、正反射が生じやすい時間帯で算出されたコントラスト値Cが上記第1の閾値Cth1未満になった場合に、コントラスト値Cが第1の閾値Cth1以上となる回数N1が減るために、その回数N1が上記第1の所定回数N1th以上となるまでの期間が長くなってしまう可能性がある。
【0048】
そこで、本実施形態では、正反射が生じやすい所定の時間帯にて上記第1の閾値Cth1未満となるコントラスト値Cが算出された場合に、当該コントラスト値Cが第1の閾値Cth1よりも小さく設定される第2の閾値Cth2以下となる回数N2を計数し、当該回数N2が第2の所定回数N2th以上になると、保護層40が劣化していると判定する。このように、正反射が生じやすい所定の時間帯にて第2の閾値Cth2以下となるコントラスト値Cが算出される状態を考慮することで、保護層40の劣化の有無の判定に関して正反射の影響を抑制することができる。
【0049】
以下、本実施形態において制御部11にてなされる読取処理について、
図9に示すフローチャート等を参照して詳述する。なお、本実施形態では、屋外で使用される物品に付される情報コード30であって、1日に数回程度の所定の間隔で撮像される情報コード30を読み取ることを前提に、その情報コード30を保護する保護層40の劣化の有無について判定する。また、正反射が生じやすい所定の時間帯として、その撮像環境等に応じて、例えば、午前7時~午前8時の時間帯を採用することができる。
【0050】
制御部11にて読取処理が開始されると、
図9のステップS101に示す撮像処理がなされ、上記物品が撮像部13の撮像視野内に位置することで、撮像部13によって撮像された情報コード30のデコードに成功すると(S105でYes)、その情報コード30に関して上述のようにコントラスト値Cが算出される(S107)。
【0051】
そして、このように算出されたコントラスト値Cが第1の閾値Cth1未満であると(S109でNo)、ステップS121の判定処理にて、正反射が生じやすい所定の時間帯であるか否かについて判定される。ここで、正反射が生じやすい上記所定の時間帯でない場合には(S121でNo)、上記ステップS111以降の処理がなされる。
【0052】
一方、正反射が生じやすい上記所定の時間帯である場合には(S121でYes)、ステップS123に示す判定処理にて、第1の閾値Cth1未満と判定されたコントラスト値Cが第2の閾値Cth2以下であるか否かについて判定される。ここで、コントラスト値Cが第2の閾値Cth2を超える場合には(S123でNo)、上記ステップS111以降の処理がなされる。
【0053】
これに対して、第1の閾値Cth1未満と判定されたコントラスト値Cが第2の閾値Cth2以下であると(S123でYes:
図10のtb1参照)、コントラスト値Cが上述のようにして第2の閾値Cth2以下になった回数を示すN2がインクリメントされる(S125)。続いて、ステップS127の判定処理にて、インクリメントされた回数N2が第2の所定回数N2th以上であるか否かについて判定され、回数N2が第2の所定回数N2th未満である場合には(S127でNo)、上記ステップS111以降の処理がなされて、デコード結果、コントラスト値及び回数N1等に加えて回数N2が記憶部12に記憶されて、本読取処理が終了する。
【0054】
その後、上記物品が繰り返し使用されることで、その後に上記所定の時間帯にて算出されたコントラスト値Cが何度も第2の閾値Cth2以下になるために(S123でYes:
図10のtb2参照)、インクリメントされた回数N2が第2の所定回数N2th以上になると(S127でYes)、上述したステップS117に示す報知処理がなされる。この処理により、上記第1実施形態と同様に、デコードに成功した情報コード30を覆う保護層40が劣化していることを示す情報が、当該情報コード30を特定する情報等とともに通信部17を介して上位端末等に送信されることで報知される。なお、本実施形態では、上記ステップS107の処理からステップS115の処理に加えてステップS121の処理からステップS127の処理を行う制御部11は、保護層40の劣化の有無を判定する「劣化状態判定部」の一例に相当し得る。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置10では、正反射が生じやすい所定の時間帯にて第1の閾値Cth1未満となるコントラスト値Cが算出された場合に、当該コントラスト値Cが第1の閾値Cth1よりも小さく設定される第2の閾値Cth2以下となる回数N2が計数され、当該回数N2が第2の所定回数N2th以上になると、保護層40が劣化していると判定される。
【0056】
これにより、正反射の影響を受けているために算出されるコントラスト値Cが第1の閾値Cth1以上となる回数N1が減っても、そのコントラスト値Cが第2の閾値Cth2以下となる回数N2が第2の所定回数N2th以上になることで、保護層40が劣化していると判定できるので、保護層40の劣化の有無の判定に関して正反射の影響を抑制することができる。
【0057】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、情報コード30の近傍に配置されて保護層40によって保護されない明色系パターンと暗色系パターンとのコントラスト値をも考慮して、保護層40の劣化の有無を判定する点が、上記第2実施形態と主に異なる。したがって、第2実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
保護層40によって保護されている情報コード30の明色系セル及び暗色系セルが色あせすると、撮像画像から算出されるコントラスト値Cが高くなるため、上記所定の時間帯にて第2の閾値Cth2以下と判定されるべきコントラスト値Cが高く算出される。この結果、コントラスト値Cが第2の閾値Cth2以下となる回数が減るために、回数N2が第2の所定回数N2th以上となるまでの期間が長くなってしまう可能性がある。
【0059】
そこで、本実施形態では、
図11に例示するラベル20aのように、情報コード30の明色系セルと同じ明度の明色系パターン51と暗色系セルと同じ明度の暗色系パターン52とが、保護層40によって保護されずに情報コード30とともに撮像部13によって撮像される位置に配置される。そして、上記所定の時間帯にて第1の閾値Cth1未満であって第2の閾値Cth2を超えるコントラスト値Cが算出された場合に、明色系パターン51と暗色系パターン52とのコントラスト値Cnを算出する。
【0060】
このように算出されたコントラスト値Cnとコントラスト値Cとが同じとみなされる回数N3を計数し、当該回数N3が第3の所定回数N3th以上になると、保護層40が劣化していると判定する。このように、保護層40によって保護されない明色系パターン51及び暗色系パターン52のコントラスト値Cnとの比較結果を利用することで、保護層40の劣化の有無の判定に関して情報コード30の色あせの影響を抑制することができる。
【0061】
以下、本実施形態において制御部11にてなされる読取処理について、
図12に示すフローチャート等を参照して詳述する。
上記第2実施形態と同様に、算出されたコントラスト値Cが第1の閾値Cth1未満であって(
図12のS109でNo)、正反射が生じやすい上記所定の時間帯である場合に(S121でYes)、そのコントラスト値Cが第2の閾値Cth2を超えていると(S123でNo)、ステップS131に示すコントラスト値算出処理がなされる。この処理では、情報コード30のデコードに成功した撮像画像に含まれる明色系パターン51と暗色系パターン52とのコントラスト値Cnが算出される。
【0062】
続いて、ステップS133の判定処理にて、上述のように算出されたコントラスト値Cnとコントラスト値Cとの差が所定値ΔC以下であるか否かについて判定される。ここで、コントラスト値Cnとコントラスト値Cとの差が所定値ΔCを超える場合には(S133でNo)、コントラスト値Cnとコントラスト値Cとが同じとみなされないと判定されて、上記ステップS111以降の処理がなされる。
【0063】
一方、コントラスト値Cnとコントラスト値Cとの差が所定値ΔC以下となる場合には(S133でYes)、コントラスト値Cnとコントラスト値Cとがほぼ同じとみなされる。この場合には、コントラスト値Cnとコントラスト値Cとが同じとみなされる回数N3がインクリメントされる(S135)。続いて、ステップS137の判定処理にて、インクリメントされた回数N3が第3の所定回数N3th以上であるか否かについて判定され、回数N3が第3の所定回数N3th未満である場合には(S137でNo)、上記ステップS111以降の処理がなされて、デコード結果、コントラスト値、回数N1及び回数N2等に加えて回数N3が記憶部12に記憶されて、本読取処理が終了する。
【0064】
その後、上記物品が繰り返し使用されることで、その後に上記所定の時間帯にて第2の閾値Cth2を超えるように算出されたコントラスト値Cとコントラスト値Cnとの差が何度も所定値ΔC以下となるために(S133でYes)、インクリメントされた回数N3が第3の所定回数N3th以上になると(S137でYes)、上述したステップS117に示す報知処理がなされる。この処理により、上記第1実施形態と同様に、デコードに成功した情報コード30を覆う保護層40が劣化していることを示す情報が、当該情報コード30を特定する情報等とともに通信部17を介して上位端末等に送信されることで報知される。なお、本実施形態では、上記ステップS107の処理からステップS115の処理に加えてステップS121の処理からステップS127の処理及びステップS131の処理からステップS137の処理を行う制御部11は、保護層40の劣化の有無を判定する「劣化状態判定部」の一例に相当し得る。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置10では、明色系セルと同じ明度の明色系パターン51と暗色系セルと同じ明度の暗色系パターン52とが、保護層40によって保護されずに情報コード30とともに撮像部13によって撮像される位置に配置される。そして、上記所定の時間帯にて上記第1の閾値Cth1未満であって上記第2の閾値Cth2を超えるコントラスト値Cが算出された場合に、当該コントラスト値Cと明色系パターン51と暗色系パターン52とのコントラスト値Cnとが同じとみなされる回数N3が計数され、当該回数N3が第3の所定回数N3th以上になると、保護層40が劣化していると判定される。
【0066】
これにより、保護層40によって保護されている情報コード30の明色系セル及び暗色系セルが色あせするために算出されるコントラスト値Cが第2の閾値Cth2以下となる回数N2が減っても、そのコントラスト値Cと明色系パターン51及び暗色系パターン52のコントラスト値Cnとが同じとみなされる回数N3が第3の所定回数N3th以上になることで、保護層が劣化していると判定できるので、保護層の劣化の有無の判定に関して情報コードの色あせの影響を抑制することができる。
【0067】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記読取処理では、ステップS117の報知処理を行うことで、保護層40が劣化していることを示す情報を劣化状態判定部の判定結果として報知することに限らず、保護層40が劣化していると判定されない場合にその判定結果(保護層40が劣化していないとの判定結果)を通信部17等を利用してさらに報知してもよい。
【0068】
(2)例えば、1つのラベルに2以上の情報コード30が表示されて、それぞれ個別に保護層40にて保護される場合など、複数の情報コード30ごとに保護層40が設けられる場合には、情報コード30ごとに保護層40の劣化の有無が個別に判定されてもよい。これにより、複数の情報コード30のそれぞれに保護層40が設けられる場合でも、その保護層40ごとに劣化の有無を判定することができる。
【符号の説明】
【0069】
10…情報コード読取装置
11…制御部(デコード部,劣化状態判定部)
13…撮像部
17…通信部(報知部)
20,20a…ラベル
30…情報コード
40…保護層
51…明色系パターン
52…暗色系パターン
C,Cn…コントラスト値
Cth1…第1の閾値
Cth2…第2の閾値
Mb…暗色系セルの輝度値
Mw…明色系セルの輝度値
N1,N2,N3…回数
N1th…第1の所定回数
N2th…第2の所定回数
N3th…第3の所定回数