(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】空気処理機の梱包材、及び、空気処理機における保守スペースの確保方法
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20240911BHJP
F24F 1/0047 20190101ALI20240911BHJP
B65D 85/68 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
F24F1/0007 401D
F24F1/0047
B65D85/68 F
(21)【出願番号】P 2022094565
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 将明
(72)【発明者】
【氏名】和阪 学弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛士
(72)【発明者】
【氏名】塩濱 豪典
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-186855(JP,A)
【文献】特開2021-063957(JP,A)
【文献】特開2002-213769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
B65D 85/68
B65D 81/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気処理機(10)を梱包する第1の形態と、設置された空気処理機(10)の周囲に保守スペース(MS1,MS2)を確保する第2の形態とに変形可能なシート材(ST)を含み、
前記第1の形態において、前記シート材(ST)が第1の折り曲げ部(68)を有し、
前記第2の形態において、前記シート材(ST)が前記第1の折り曲げ部(68)を平坦に伸ばした形状を有
し、
前記シート材(ST)が、前記第1の形態と前記第2の形態との双方において共通の第2の折り曲げ部(69)を有している、空気処理機の梱包材。
【請求項2】
前記第2の形態において、前記シート材(ST)は、前記第2の折り曲げ部(69)を挟んで一方側に配置された第1部分(71)と、他方側に配置された第2部分(72)とを含み、
前記第1部分(71)が前記空気処理機(10)の側面に沿って配置され、
前記第2部分(72)が前記保守スペース(MS1,MS2)を確保する、請求項
1に記載の空気処理機の梱包材。
【請求項3】
前記第2の形態において、前記シート材(ST)が、前記第1の形態の状態から部分的に切り起こした切り起こし部(81,82,83,84,85,86)を有する、請求項1
又は2に記載の空気処理機の梱包材。
【請求項4】
空気処理機(10)を梱包する第1の形態と、設置された空気処理機(10)の周囲に保守スペース(MS1,MS2)を確保する第2の形態とに変形可能なシート材(ST)を含み、
前記第1の形態において、前記シート材(ST)が第1の折り曲げ部(68)を有し、
前記第2の形態において、前記シート材(ST)が前記第1の折り曲げ部(68)を平坦に伸ばした形状を有し、
前記第2の形態において、前記シート材(ST)が、前記第1の形態の状態から部分的に切り起こした切り起こし部(81,82,83,84,85,86)を有し、
前記シート材(ST)には、前記空気処理機(10)から突出する部分(26)を挿通させる開口(A1)が前記切り起こし部(81)によって形成され、
前記シート材(ST)が、前記開口(A1)に挿通された前記突出部分(26)で所定位置に位置決めされる
、空気処理機の梱包材。
【請求項5】
空気処理機(10)を梱包する第1の形態と、設置された空気処理機(10)の周囲に保守スペース(MS1,MS2)を確保する第2の形態とに変形可能なシート材(ST)を含み、
前記第1の形態において、前記シート材(ST)が第1の折り曲げ部(68)を有し、
前記第2の形態において、前記シート材(ST)が前記第1の折り曲げ部(68)を平坦に伸ばした形状を有し、
前記第2の形態において、前記シート材(ST)が、前記第1の形態の状態から部分的に切り起こした切り起こし部(81,82,83,84,85,86)を有し、
前記切り起こし部(85,86)が、前記空気処理機(10)に形成された凹部(42a)に挿入され、
前記シート材(ST)が、前記凹部(42a)の周縁に前記切り起こし部(85,86)を接触させることで所定位置に位置決めされる
、空気処理機の梱包材。
【請求項6】
空気処理機(10)を梱包する第1の形態と、設置された空気処理機(10)の周囲に保守スペース(MS1,MS2)を確保する第2の形態とに変形可能なシート材(ST)を含み、
前記第1の形態において、前記シート材(ST)が第1の折り曲げ部(68)を有し、
前記第2の形態において、前記シート材(ST)が前記第1の折り曲げ部(68)を平坦に伸ばした形状を有し、
前記第2の形態において、前記シート材(ST)が、前記第1の形態の状態から部分的に切り起こした切り起こし部(81,82,83,84,85,86)を有し、
前記切り起こし部(83,84)が、前記第1の折り曲げ部(68)と交差して配置されている
、空気処理機の梱包材。
【請求項7】
前記シート材(ST)が、段ボールシートからなり、
前記第2の折り曲げ部(69)が、前記段ボールシートの筋に沿っている、請求項
1又は
2に記載の空気処理機の梱包材。
【請求項8】
空気処理機(10)の周囲に保守スペース(MS1,MS2)を確保する方法であって、
前記空気処理機(10)を梱包している梱包材(61,62)を前記空気処理機(10)から取り外す工程、
前記梱包材(61,62)の少なくとも1つの折り曲げ部(68)を平坦に変形
し、他の折り曲げ部(69)を折り曲げたままにする工程、及び
変形された前記梱包材(61,62)を、所定箇所に設置された前記空気処理機(10)に取り付けて保守スペース(MS1,MS2)を確保する工程、を含む、空気処理機における保守スペースの確保方法。
【請求項9】
空気処理機(10)の周囲に保守スペース(MS1,MS2)を確保する方法であって、
前記空気処理機(10)を梱包している梱包材(61)を前記空気処理機(10)から取り外す
第1工程、
前記梱包材(61)の少なくとも1つの折り曲げ部(68)を平坦に変形
し、前記梱包材(61)に部分的に切り起こし部(81)を切り起こして開口(A1)を形成する
第2工程、及び
変形された前記梱包材(61)を、所定箇所に設置された前記空気処理機(10)に取り付けて保守スペース(MS1,MS2)を確保する
第3工程、を含み、
前記第3工程が、前記梱包材(61)の前記開口(A1)に、前記空気処理機(10)から突出する部分(26)を挿通させて当該突出部分(26)で前記梱包材(61)を所定位置に位置決めする工程を含む、空気処理機における保守スペースの確保方法。
【請求項10】
空気処理機(10)の周囲に保守スペース(MS1,MS2)を確保する方法であって、
前記空気処理機(10)を梱包している梱包材(62)を前記空気処理機(10)から取り外す
第1工程、
前記梱包材(62)の少なくとも1つの折り曲げ部(68)を平坦に変形
し、前記梱包材(62)に部分的に切り起こし部(85,86)を切り起こす第2工程、及び
変形された前記梱包材(62)を、所定箇所に設置された前記空気処理機(10)に取り付けて保守スペース(MS1,MS2)を確保する
第3工程、を含み、
前記第3工程が、前記空気処理機(10)に形成された凹部(42a)に前記切り起こし部(85,86)を挿入し、前記凹部(42a)の周縁に前記切り起こし部(85,86)を接触させることで前記梱包材(62)を所定位置に位置決めする工程を含む、空気処理機における保守スペースの確保方法。
【請求項11】
空気処理機(10)の周囲に保守スペース(MS1,MS2)を確保する方法であって、
前記空気処理機(10)を梱包している梱包材(61,62)を前記空気処理機(10)から取り外す工程、
前記梱包材(61,62)の少なくとも1つの折り曲げ部(68)を平坦に変形
し、平坦に変形された前記折り曲げ部(68)と交差して配置される切り起こし部(83,84)を前記梱包材(61,62)に部分的に切り起こす工程、及び
変形された前記梱包材(61,62)を、所定箇所に設置された前記空気処理機(10)に取り付けて保守スペース(MS1,MS2)を確保する工程、を含む、空気処理機における保守スペースの確保方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気処理機の梱包材、及び、空気処理機における保守スペースの確保方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を処理する空気処理機、例えば空調機は、部屋の天井裏に設置される場合がある。この空調機に対する保守点検は、通常、天井に形成された点検口を介して行われる。したがって、空調機の周囲には、点検口を介して保守点検を行うための作業スペース(保守スペース)を確保する必要がある。
【0003】
しかしながら、天井裏には、空調機以外にも天井の下地材やダクト、配線等の設備が設置される場合があり、これらの設備が空調機の周囲に設置されると、保守点検作業の障害となる。
【0004】
このような不都合を解消するため、例えば特許文献1には、天井裏に設置された空調機(室内機)の周囲に作業スペース確保用部材を取り付ける技術が提案されている。特許文献1の技術では、作業スペース確保要部材として室内機の梱包材が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の作業スペース確保用部材には、箱型の梱包材が用いられているので、空調機の周囲に広い作業スペースを確保しようとしても箱の大きさ以上のスペースを確保することが困難であり、複数の箱を並べて繋げるなど煩雑な作業が必要となる場合がある。
【0007】
本開示は、空調機等の空気処理機の梱包材を用いて効率よく保守スペースを確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本開示の空気処理機の梱包材は、
空気処理機を梱包する第1の形態と、設置された空気処理機の周囲に保守スペースを確保する第2の形態とに変形可能なシート材を含み、
前記第1の形態において、前記シート材が第1の折り曲げ部を有し、
前記第2の形態において、前記シート材が前記第1の折り曲げ部を平坦に伸ばした形状を有する。
【0009】
上記構成によれば、第1の形態におけるシート材の第1の折り曲げ部を、第2の形態で平坦に伸ばすことによって、第1の形態のシート材をそのまま用いるよりも第2の形態のシート材を用いて広い保守スペースを効率よく確保することができる。
【0010】
(2) 好ましくは、前記第1の形態と前記第2の形態との双方において、前記シート材が第2の折り曲げ部を有している。
【0011】
(3)好ましくは、前記第2の形態において、前記シート材は、前記第2の折り曲げ部を挟んで一方側に配置された第1部分と、他方側に配置された第2部分とを含み、
前記第1部分が前記空気処理機の側面に沿って配置され、
前記第2部分が前記保守スペースを確保する。
【0012】
上記構成によれば、第2の折り曲げ部によって区画されたシート材の第1,第2部分を適切に利用して保守スペースを確保することができる。特に、第1部分を空気処理機の側面に沿わせることによって、空気処理機に対するシート材の取付面積を拡大できるとともに、当該側面に垂直な方向におけるシート材の位置決めを行うことができる。
【0013】
(4)好ましくは、前記第2の形態において、前記シート材が、前記第1の形態の状態から部分的に切り起こした切り起こし部を有する。
【0014】
(5)好ましくは、前記シート材には、前記空気処理機から突出する部分を挿通させる開口が前記切り起こし部によって形成され、
前記シート材が、前記開口に挿通された前記突出部分で所定位置に位置決めされる。
【0015】
上記構成によれば、切り起こし部を利用して第2の形態のシート材を位置決めすることができる。
【0016】
(6)好ましくは、前記切り起こし部が、前記空気処理機に形成された凹部に挿入され、
前記シート材が、前記凹部の周縁に前記切り起こし部を接触させることで所定位置に位置決めされる。
【0017】
上記構成によれば、切り起こし部を利用して第2の形態のシート材を位置決めすることができる。
【0018】
(7)好ましくは、前記切り起こし部が、前記第1の折り曲げ部と交差して配置されている。
【0019】
上記構成によれば、第2の形態において、シート材の第1の折り曲げ部を伸ばした形状にすると、シート材の癖や重力の影響によってシート材が第1の折り曲げ部で自然に折れ曲がる可能性がある。上記のように第1の折り曲げ部と交差するように切り起こし部を形成することによって、第1の折り曲げ部を伸ばした状態に維持するためのリブとして、切り起こし部を利用することができる。
【0020】
(8)好ましくは、前記シート材が、段ボールシートからなり、
前記第2の折り曲げ部が、前記段ボールシートの筋に沿っている。
【0021】
(9)本開示の空気処理機における保守スペースの確保方法は、
空気処理機の周囲に保守スペースを確保する方法であって、
前記空気処理機を梱包している梱包材を前記空気処理機から取り外す工程、
前記梱包材の少なくとも1つの折り曲げ部を平坦に変形する工程、及び
変形された前記梱包材を、所定箇所に設置された前記空気処理機に取り付けて保守スペースを確保する工程、を含む。
【0022】
上記方法によれば、第1の形態におけるシート材の折り曲げ部を、第2の形態で平坦に伸ばすことによって、第1の形態のシート材をそのまま用いるよりも第2の形態のシート材を用いて広い保守スペースを効率よく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る空気処理機としての空調機の内部を側方からみた断面図である。
【
図8】第2の形態の第1梱包材が取り付けられた空調機の斜視図である。
【
図11】第2の形態の第2梱包材が取り付けられた空調機の斜視図である。
【
図12】第2の形態の第2梱包材が取り付けられた空調機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本開示の第1の実施形態に係る空気処理機としての空調機の内部を側方からみた断面図である。
図2は、空調機の側面図である。
図3は、空調機の内部を上方から見た断面図である。
空気処理機は、室内の空気に所定の処理を施すことによって状態(温度、湿度、成分濃度等)を変化又は維持させる装置である。例えば、空気処理機は、室内の温度を調整する空調機や、室内の湿度を調整する調湿装置(加湿装置、除湿装置)、二酸化炭素濃度の低下等のために室内の空気を入れ替える換気装置等が含まれる。
【0025】
本実施形態に係る空気処理機は空調機10である。空調機10は、セパレートタイプであり、室内機12と、この室内機12と冷媒配管で接続された室外機(図示省略)と有している。空調機10は、室内機12によって室内の空気を取り入れ、温度を所望に調整して室内に供給する。本実施形態の室内機12は、部屋の天井裏(天井70の上方)に設置される天井埋込ダクト型の室内機である。室内機12は、
図2に示すように、天井裏において建物1の筐体に吊りボルト2で吊り下げられることによって据え付けられる。
【0026】
室内機12は、ケーシング40、熱交換器20、送風機22、ドレンパン48、電装品箱54等を備えている。ケーシング40は直方体形状の箱である。ケーシング40は、平面視で矩形状(長方形状又は正方形状)に形成された天板49及び底板50と、天板49及び底板50の4辺に設けられた側板41,42,43,44とを有している。側板41,42,43,44は、前側板41,後側板42、左側板43、及び右側板44を含む。後側板42には、空気の吸込口42aが形成されている。吸込口42aには、吸い込もうとする空気から塵埃を除去するフィルター42b(
図1参照)が着脱可能に取り付けられる。前側板41には、空気の吹出口41aが形成されている。吹出口41aには、室内に通じるダクト73(
図1参照)が接続される。
【0027】
なお、本実施形態においては、
図1~
図3に示される矢印X,Y,Zに従って空調機10の方向が説明される。具体的に、本実施形態では、矢印Xで示す第1方向を左右方向とし、矢印Yで示す第2方向を前後方向とし、矢印Zで示す第3方向を上下方向として説明する。しかしながら、これらの左右、前後、上下の各方向は、説明の便宜上定めたものであり、適宜変更することができる。例えば、第1方向Xを前後方向又は上下方向とし、第2方向Yを左右方向又は上下方向とし、第3方向Zを左右方向又は前後方向とすることもできる。
【0028】
図1及び
図3に示すように、熱交換器20、送風機22、ドレンパン48は、ケーシング40内に収容されている。このケーシング40の内部は仕切り壁45によって前後に区画されている。仕切り壁45よりも前側に、熱交換器20及びドレンパン48が収容されている。仕切り壁45よりも後側に送風機22が収容されている。ケーシング40内には、上記のほかバルブ19(
図3参照)、ポンプ、センサ等の電気部品や冷媒配管21等が収容されている。
【0029】
図1に示すように、ケーシング40内には、送風機22によって吸込口42aから吹出口41aへ前後方向Yに流れる空気流が生成される。この空気は熱交換器20を通過し、熱交換器20内の冷媒と熱交換する。熱交換された空気が吹出口41aから室内に供給されることによって室内の温度が調整される。
【0030】
図2及び
図3に示すように、ケーシング40の側面には、電装品箱54が取り付けられている。具体的には、ケーシング40の左側板43に電装品箱54が取り付けられている。電装品箱54は、左側板43から突出している。電装品箱54は、左側板43の後側に偏った位置に配置されている。電装品箱54内には、送風機22、バルブ19、ポンプ等の電気部品を制御するための制御基板や、各種の電気部品が収容されている。電装品箱54は、一部の側面を開くことによって内部を開放することができる。これによって電装品箱54内における部品の保守作業、例えば、点検、交換、清掃等の作業を行うことができる。
【0031】
熱交換器20に接続される冷媒配管21の端部に設けられたガス側配管接続口27と液側配管接続口28とが、ケーシング40の左側板43から外部に引き出されている。ガス側配管接続口27と液側配管接続口28とは、電装品箱54よりも前側で、左側板43の上部側に配置されている。ガス側配管接続口27と液側配管接続口28とは、左側板43に形成されたメンテナンス用の開口51を通ってケーシング40外に引き出されている。開口51は、ガス側配管接続口27と液側配管接続口28とが通過する部分を除き、蓋53によって閉鎖されている。この蓋53を取り外すことによって、開口51を介してドレンパン48等の保守作業を行うことができる。
【0032】
ケーシング40の左側板43には、ドレンパン48に溜まったドレン水を外部へ排出するためのドレンパイプ(ドレンソケット)26が引き出されている。ドレンパイプ26は、電装品箱54の後方近傍で、左側板43の下部側に配置されている。
【0033】
図1及び
図3に示すように、吸込口42aは、フィルター42b(
図1参照)を取り外すことによってケーシング40内を開放する開口となる。この吸込口42aから送風機22等の保守作業を行うことができる。
【0034】
図3に示すように、室内機12は、天井70に設けられた点検口7,8から保守作業を行うことができる。本実施形態では、2つの点検口7,8が天井70に形成されている。一方の点検口7は、室内機12の左側方に形成されている。この点検口7からは電装品箱54の保守作業や開口51を介した保守作業を行うことができる。他方の点検口8は、室内機12の後方に配置されている。この点検口8からは、吸込口42aを介した保守作業を行うことができる。
【0035】
以上のように、電装品箱54に対する保守作業や、開口51を介した保守作業を行うためには、室内機12の左側方に保守作業を行うためのスペース(以下、「保守スペース」ともいう)MS1を確保する必要がある。吸込口42aを介して保守作業を行うためには、室内機12の後方に保守スペースMS2を確保する必要がある。しかしながら、天井裏には、室内機12以外の他の設備、例えば他の機械装置における電気配線やダクト、天井70の下地材等が設置される場合があり、これらが保守スペースMS1,MS2に配置されてしまうと室内機12に対する保守作業を行い難くなる。そのため、本実施形態においては、例えば空調機10の据付工期中は、他の設備が保守スペースMS1,MS2に設置されないように、当該保守スペースMS1,MS2を確保する手段が講じられる。特に、本実施形態では、空調機10の室内機12を梱包するための梱包材を利用して保守スペースMS1,MS2を確保する手段が講じられる。
【0036】
(梱包材の構成)
図4は、空調機の梱包材を示す斜視図である。
図5は、空調機の梱包材を示す分解斜視図である。
室内機12は、上述の吹出口41a及び吸込口42aの一方を下側に、他方を上側にした起立状態で梱包される。室内機12は、複数の梱包材の組み合わせで梱包されている。複数の梱包材は、一対の側部梱包材61,62と、頂部梱包材63と、底部梱包材64と、前部梱包材65と、後部梱包材66とを含む。各梱包材61~66は、シート材(板状部材)を含み、このシート材は、折り曲げた状態又は平坦なままで用いられる。本実施形態のシート材には、段ボールシートが用いられている。室内機12は、シート材により構成される梱包材に加え、発泡スチロール等の緩衝機能を有する梱包材によっても適宜梱包される。
【0037】
本実施形態では、上述したように、室内機12の周囲に保守スペースMS1,MS2を確保するために側部梱包材61,62が用いられる。この側部梱包材61,62は、室内機12の両側に配置された2つの側面を覆う。2つの側部梱包材61,62は同一の形状であり、シート材STを門型又はU字型に折り曲げることによって構成されている。具体的に、側部梱包材61,62は、互いに平行な2つの折り曲げ部68,69でシート材STを折り曲げることによって構成されており、互いに対向し平行に配置される2つの板部ST1,ST2(以下、「端板部」ともいう)と、2つの端板部ST1,ST2の間に配置される1つの板部(以下、「中間板部」ともいう)ST3とを有する。
【0038】
本実施形態では、一方の側部梱包材(第1梱包材)61を用いて、室内機12の左側方に配置された保守スペースMS1(
図3参照)が確保され、他方の側部梱包材(第2梱包材)62を用いて、室内機12の後方に配置された保守スペースMS2が確保される。
【0039】
(第1梱包材について)
図6は、第1梱包材の展開図である。
図7は、第2の形態の第1梱包材の斜視図である。
図8は、第2の形態の第1梱包材が取り付けられた空調機の斜視図である。
第1梱包材61は、シート材STを変形することによって、室内機12を梱包する第1の形態(
図5参照)と、保守スペースMS1を確保する第2の形態(
図7及び
図8参照)との2つの形態をとる。
【0040】
図5に示すように、第1梱包材61のシート材STは、第1の形態では、前述したように第1の折り曲げ部68と第2の折り曲げ部69との2か所で折り曲げられることによって梱包材として機能する。一方、第2の形態では、
図7に示すように、シート材STは、第1の形態で折り曲げられていた第1の折り曲げ部68が平坦に伸ばされ、第2の折り曲げ部69で折り曲げたままとなり、全体として略L字形状を呈している。
【0041】
シート材STの第1,第2の折り曲げ部68,69は、シート材STの材料である段ボールの筋STa(
図6参照)の方向(言い換えると、段ボールの中芯により形成される複数の空洞が延びる方向)と平行に形成されている。そのため、第2の形態において、シート材STは、第2の折り曲げ部69で折り曲げられた状態が維持されやすくなる。
【0042】
図7及び
図8に示すように、第2の形態のシート材STのうち、第2の折り曲げ部69を境界として一方側に配置された端板部ST1(以下、「第1部分71」ともいう)は、略鉛直方向に沿って配置され、室内機12の左側板43に接触している。一方、第2の形態のシート材STのうち、第2の折り曲げ部69を境界として他方側に配置された中間板部ST3及び端板部ST2(以下、「第2部分72」ともいう)は、略水平方向に沿って配置され、
図3に示す保守スペースMS1を覆う。シート材STは、ケーシング40の天板49と第2部分72とに斜めにかけ渡されたテープT1等によってケーシング40に取り付けられている。シート材STの第1部分71と第2部分72とは、このテープT1によって相対的な角度(90度)が保たれる。
【0043】
シート材STの第2部分72の面積は、保守スペースMS1の面積と同じかこれよりも大きい。第2部分72は、保守スペースMS1の全体を覆うことができる位置に配置されている。一方、シート材STの第2部分72である端板部ST2と中間板部ST3とは、それぞれ単独では保守スペースMS1の面積よりも小さい面積を有している。したがって、第1の形態において第1の折り曲げ部68で折り曲げられていた端板部ST2と中間板部ST3とを第2の形態では平坦に伸ばすことによって、シート材STは、保守スペースMS1を確保可能な広い面積を有することになる。
【0044】
以上のように、室内機12に第1梱包材61のシート材STを取り付けることで、室内機12の保守スペースMS1を視覚的に把握することができ、当該保守スペースに他の設備が設置されることを抑制することができる。シート材STは、室内機12の設置が完了した後や、天井裏に設置される全ての設備の設置が完了した後に室内機12から取り外される。なお、シート材STの外周縁には、部分的に切り欠け(凹部)やスリット等が形成されていてもよく、この切り欠け等が部分的に保守スペース内に入り込んでいてもよい。
【0045】
図7に示すように、第2の形態のシート材STには、複数の切り起こし部81~84が形成されている。具体的に、複数の切り起こし部81~84は、シート材STの第1部分71に形成された第1切り起こし部81及び第2切り起こし部82と、シート材STの第2部分72に形成された第3切り起こし部83及び第4切り起こし部84とを含む。
【0046】
第1切り起こし部81は、
図6に示す切断線L1,L2でシート材STを切断し、第2の折り曲げ部69でシート材STを折り曲げることによって形成される。第2切り起こし部82は、
図6に示す切断線L3でシート材STを切断し、折り曲げ線L4でシート材STを折り曲げることによって形成される。第3切り起こし部83は、
図6に示すL5でシート材STを切断し、折り曲げ線L6でシート材STを折り曲げることによって形成される。第4切り起こし部84は、
図6に示すL7でシート材STを切断し、折り曲げ線L8でシート材STを折り曲げることによって形成される。
【0047】
シート材STには、切断線L1~L3,L5,L7及び折り曲げ線L4,L6,L8が印刷されている。室内機12を据え付ける施工業者は、シート材STに印刷された切断線L1~L3,L5,L7でシート材STを切断し、折り曲げ線L4,L6,L8でシート材STを折り曲げることによって容易に第1~第4切り起こし部81~84を形成することができる。折り曲げ線L4,L6,L8は、点線で印刷されている。この折り曲げ線L4,L6,L8に合わせて点線状にシート材STを切断することで、シート材STを折り曲げやすくすることができる。
【0048】
図6に示すように、シート材STには、第1梱包材61を第1の状態から第2の形態に変形し、室内機12に取り付ける手順を文章やイラストで説明した説明書Dが印刷されている。シート材STには、保守スペース(サービススペース)の範囲を示す矢印Cや、その他の説明も印刷されている。
【0049】
図7に示すように、第1切り起こし部81は、シート材STの第1部分71の一部を略水平に折り曲げることで形成される。第1切り起こし部81は、実質的にシート材STの第2部分72に重ねられる。シート材STの第1部分71に第1切り起こし部81を形成することで、シート材STの第1部分71には、開口(
図2も参照)A1が形成される。この開口A1には、
図8に示すように、室内機12の左側板43から突出する電装品箱54及びドレンパイプ26が挿入される。
【0050】
図7に示すように、第2切り起こし部82は、シート材STの第1部分71の一部を約90度折り曲げることによって形成される。第2切り起こし部82によって形成された開口A2には、室内機12の左側板43から突出する液側配管接続口28が挿入される。
【0051】
以上のように、第2の形態のシート材STの第1部分71に第1,第2切り起こし部81,82を形成し、この第1,第2切り起こし部81,82によって形成された開口A1,A2に電装品箱54、ドレンパイプ26、及び液側配管接続口28を挿入することによって、シート材STの第1部分71を室内機12の左側板43に沿わせて接触させることができる。そのため、室内機12に対するシート材STの取付面積(接触面積)を拡大して、シート材STを安定して室内機12に取り付けることができ、室内機12に対してシート材STを左右方向Xに位置決めして、適切な位置に保守スペースMS1を確保することができる。
【0052】
図2及び
図7に示すように、シート材STの開口A1にドレンパイプ26を挿入したとき、開口A1の縁部A1aはドレンパイプ26の外周面に上方及び前方から接触する。これにより、シート材STは、ドレンパイプ26によって前後方向Y及び上下方向Zに位置決めされる。したがって、適切な位置に保守スペースMS1を確保することができる。
【0053】
なお、第1,第2切り起こし部81,82は、シート材STから完全に切り離すこともできるが、切り起こすことによってゴミが発生するのを抑制することができる。シート材STは、電装品箱54又は液側配管接続口28を開口A1,A2の縁部に接触させることによって前後方向Y又は上下方向Zに位置決めされてもよい。シート材STは、ケーシング40から突出し開口に挿入されるその他の突出部分によって位置決めされてもよい。
【0054】
第3切り起こし部83は、シート材STの第2部分72の一部を90度を超える角度で切り起こすことによって形成される。第4切り起こし部84は、シート材STの第2部分72の一部を90度を超える角度で切り起こすことによって形成される。第3切り起こし部83と第4切り起こし部84とは、いずれも長方形状であり、その長辺が第1の折り曲げ部68に交差(直交)している。第3切り起こし部83と第4切り起こし部84とは互いに平行に並べて配置されている。第3切り起こし部83と第4切り起こし部84とは、先端を互いに付き合わせた状態でテープT2等で固定される。これにより、第3切り起こし部83と第4切り起こし部84とは、全体として略三角柱形状に形成される。
【0055】
第3切り起こし部83と第4切り起こし部84とは、シート材STの第2部分72を平坦な状態で保持するためのリブとして機能する。特に、第3切り起こし部83と第4切り起こし部84とは、第1の折り曲げ部68と交差しているので、第1の折り曲げ部68でシート材STを平坦に伸ばした状態が好適に維持される。
【0056】
図6に示すように、第3切り起こし部83及び第4切り起こし部84を形成するための切断線L5,L7の一部は、実質的に第2の折り曲げ部69上に配置されている。そのため、第3切り起こし部83及び第4切り起こし部84の第1部分71側の端縁を、第1部分71の表面に接触させることで、シート材STの第1部分71と第2部分72との相対的な角度が90度に設定される。これにより、第1部分71と第2部分72とを適切な相対角度で位置付けることができるとともに、第1部分71と第2部分72との相対角度が90度よりも小さくなることを抑制することができる。
【0057】
(第2梱包材について)
図9は、第2梱包材の展開図である。
図10は、第2の形態の第2梱包材の斜視図である。
図11は、第2の形態の第2梱包材が取り付けられた空調機の斜視図である。
第2梱包材62は、第1梱包材61と同様にシート材STを変形することによって、室内機12を梱包する第1の形態(
図5参照)と、保守スペースMS2を確保する第2の形態(
図10及び
図11参照)との2つの形態をとる。
【0058】
図9に示すように、第2梱包材62のシート材STは、第1の形態では、第1の折り曲げ部68と第2の折り曲げ部69との2か所で折り曲げることによって梱包材として機能する。一方、第2の形態では、
図10に示すように、シート材STは、第1の形態で折り曲げられていた第1の折り曲げ部68が平坦に伸ばされ、第2の折り曲げ部69で折り曲げられたままとなり、全体として略L字形状を呈している。
【0059】
図10及び
図11に示すように、第2形態のシート材STのうち、第2の折り曲げ部69を境界として一方側に配置された端板部ST1(以下、第1部分71ともいう)は、略鉛直方向に沿って配置され、室内機12の後側板43に接触している。一方、第2の形態のシート材STのうち、第2の折り曲げ部69を境界として他方側に配置された中間板部ST3及び端板部ST2(以下、「第2部分72」ともいう)は、略水平方向に沿って配置され、
図3に示す保守スペースMS2を覆う。シート材STは、ケーシング40の天板49と第2部分72とにかけ渡されたテープT1等によってケーシング40に取り付けられている。シート材STの第1部分71と第2部分72とは、このテープT1によって相対的な角度(90度)が保たれる。
【0060】
シート材STの第2部分72の面積は、保守スペースMS2の面積と同じかこれよりも大きく、保守スペースMS2の全体を覆うことができる位置に配置されている。一方、シート材STの第2部分72である端板部ST2と中間板部ST3とは、それぞれ単独では保守スペースMS2の面積よりも小さい面積を有している。したがって、第1の形態において第1の折り曲げ部68で折り曲げられていた端板部ST2と中間板部ST3とを第2の形態では平坦に伸ばすことによって、シート材STは、保守スペースMS1を確保可能な広い面積を有することになる。
【0061】
図10に示すように、第2の形態のシート材STには、複数の切り起こし部83~86が形成されている。具体的に、複数の切り起こし部83~86は、前述の第1梱包材61のシート材STに形成されたものと同様の第3切り起こし部83及び第4切り起こし部84と、シート材STの第1部分71に形成された第5切り起こし部85及び第6切り起こし部86とを含む。
【0062】
第5切り起こし部85は、
図9に示す切断線L9でシート材STを切断し、折り曲げ線L10でシート材STを折り曲げることによって形成される。第6切り起こし部86は、
図9に示す切断線L11でシート材STを切断し、折り曲げ線L12でシート材STを折り曲げることによって形成される。
【0063】
これらの切断線L9,L11及び折り曲げ線L10,L12は第2梱包材62のシート材STに印刷されている。第2梱包材62のシート材STには、第1梱包材61のシート材STと同様に、第3切り起こし部83及び第4切り起こし部84の切断線L5,L7及び折り曲げ線L6,L8と、説明書Dと、矢印Cと、その他の説明等が印刷されている。
【0064】
図10に示すように、第5切り起こし部85及び第6切り起こし部86は、シート材STの第1部分71の一部を約90度折り曲げることによって形成される。第5切り起こし部85及び第6切り起こし部86は、略鉛直方向に沿って配置され、互いに平行に対向して配置されている。第5切り起こし部85及び第6切り起こし部86の下縁には、凹状の切り欠け部(凹部)87が形成されている。
【0065】
図12は、第2の形態の第2梱包材が取り付けられた空調機の断面図である。
図11及び
図12に示すように、第5切り起こし部85及び第6切り起こし部86は、ケーシング40の後側板42に形成された吸込口42aに挿入される。第5切り起こし部85及び第6切り起こし部86は、下縁の切り欠け部87が吸込口42aの下縁に接触し、引っ掛かっている。第5切り起こし部85及び第6切り起こし部86は、それぞれ吸込口42aの右縁と左縁とに接触している。これにより、第2梱包材62のシート材STは、第5切り起こし部85及び第6切り起こし部86によって、左右方向X及び上下方向Zに位置決めされる。したがって、第2梱包材62のシート材STを室内機12に対して適切に取り付けることができ、適切な位置に保守スペースMS2を確保することができる。
【0066】
[実施形態の作用効果]
(1) 上記実施形態における空調機10の梱包材61,62は、空調機10(室内機12)を梱包する第1の形態と、設置された空調機10の周囲に保守スペースMS1,MS2を確保する第2の形態とに変形可能なシート材STを含む。第1の形態において、シート材STは第1の折り曲げ部68を有し、第2の形態において、シート材STは第1の折り曲げ部68を平坦に伸ばした形状を有する。このように、第1の形態におけるシート材STの第1の折り曲げ部68を、第2の形態で平坦に伸ばすことによって、第1の形態のシート材STをそのまま用いるよりも第2の形態のシート材STを用いて広い保守スペースMS1,MS2を効率よく確保することができる。
【0067】
(2) 上記実施形態では、第1の形態と第2の形態との双方において、シート材STは第2の折り曲げ部69を有している。第2の形態において、シート材STは、第2の折り曲げ部69を挟んで一方側に配置された第1部分71と、他方側に配置された第2部分72とを含む。第1部分71は、空調機10の側面(左側板43又は後側板42)に沿って配置され、第2部分72は、保守スペースMS1,MS2を確保する。これにより、第2の折り曲げ部69によって区画されたシート材STの第1,第2部分71,72を適切に利用して保守スペースMS1,MS2を確保することができる。特に、第1部分71を空調機10の側面に沿わせることによって、空調機10に対するシート材STの取付面積を拡大できるとともに、当該側面に垂直な方向(左右方向X又は前後方向Y)におけるシート材STの位置決めを行うことができる。
【0068】
(3) 上記実施形態では、第2の形態において、シート材STが、第1の形態の状態から部分的に切り起こした第1~第6切り起こし部81~86を有する。シート材STには、空調機10から突出する部分、例えば電装品箱54、ドレンパイプ26、及び液側配管接続口28を挿通させる開口A1,A2が第1,第2切り起こし部81,82によって形成される。このうち、第1切り起こし部81により形成された開口A1に挿通された突出部分(ドレンパイプ)26によって、シート材STが所定位置に位置決めされる。これにより、第1切り起こし部81を利用して第2の形態のシート材STを所定位置に位置決めすることができる。
【0069】
(4) 上記実施形態では、第5,第6切り起こし部85,86が、空調機10に形成された凹部、例えば、ケーシング40に形成された吸込口42aに挿入される。シート材STは、凹部42aの周縁に第5,第6切り起こし部85,86を接触させることで所定位置に位置決めされる。これにより、第5,第6切り起こし部85,86を利用して第2の形態のシート材STを所定位置に位置決めすることができる。第5,第6切り起こし部85,86は、吸込口42a以外の凹部に挿入されてもよい。第5,第6切り起こし部85,86は、一方を省略し、他方のみをシート材STの位置決めのために用いてもよい。
【0070】
(5) 上記実施形態では、第3,第4切り起こし部83,84が、第1の折り曲げ部68と交差して配置されている。第2の形態において、シート材STの第1の折り曲げ部68を伸ばした形状にすると、シート材STの癖や重力の影響によってシート材STが第1の折り曲げ部68で自然に折れ曲がる可能性がある。上記のように第1の折り曲げ部68と交差するように第3,第4切り起こし部83,84を形成することによって、第1の折り曲げ部68を伸ばした状態に維持するためのリブとして、第3,第4切り起こし部83,84を利用することができる。なお、第3,第4切り起こし部83,84は、第1の折り曲げ部68と交差していればよく、必ずしも直交していなくてもよい。第3,第4切り起こし部83,84は、一方を省略し、他方のみをリブとして機能させてもよい。
【0071】
(6) 上記実施形態では、シート材STが、段ボールシートからなり、第2の折り曲げ部69が、段ボールシートの筋STaに沿っている。そのため、第2の形態において、シート材STが折り曲げられる第2の折り曲げ部69で折り曲げた状態が維持されやすくなる。
【0072】
(7) 上記実施形態では、次の方法によって空調機10の周囲に保守スペースMS1,MS2が確保される。その方法は、空調機10を梱包している梱包材61,62を空調機10から取り外す工程、梱包材61,62の少なくとも1つの折り曲げ部68を平坦に変形する工程、及び、変形された梱包材61,62を、所定箇所に設置された空調機10に取り付けて保守スペースMS1,MS2を確保する工程、を含む。このように、第1の形態におけるシート材STの折り曲げ部68を、第2の形態で平坦に伸ばすことによって、第1の形態のシート材STをそのまま用いるよりも第2の形態のシート材STを用いて広い保守スペースMS1,MS2を効率よく確保することができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0074】
例えば、上記実施形態においては、室内機12のケーシング40の左側板43と後側板42とに第1,第2梱包材61,62(第2の形態のシート材ST)が取り付けられていたが、いずれか一方のみが取り付けられてもよい。第1,第2梱包材61,62は、保守スペースの位置に応じてケーシング40の他の側板41,44に取り付けられてもよい。
【0075】
ケーシング40の側面から電装品箱54が突出していない場合、例えば、ケーシング40内に電装品が収容されている場合は、当該電装品箱54を挿入させるための開口A1を形成する第1切り起こし部81を省略することもできる。ただし、この場合においても、シート材STの位置決めのためにドレンパイプ26等の突出部分を挿入させる開口は別途必要である。
【0076】
室内機12としては、室内の空気を取り入れて温度や湿度を調整するものに限らず、屋外の空気を取り入れて温度や湿度を調整するものを採用することができる。
【0077】
上記実施形態では、空気処理機として空調機10が例示されていたが、調湿装置(加湿装置、除湿装置)や換気装置等の室内の空気を処理するあらゆる装置に本開示を適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 :空調機(空気処理機)
12 :室内機
26 :ドレンパイプ
28 :液側配管接続口
42a :吸込口(凹部)
54 :電装品箱
61 :側部梱包材
62 :側部梱包材
68 :第1の折り曲げ部
69 :第2の折り曲げ部
71 :第1部分
72 :第2部分
81 :第1切り起こし部
82 :第2切り起こし部
83 :第3切り起こし部
84 :第4切り起こし部
85 :第5切り起こし部
86 :第6切り起こし部
A1 :開口
A1a :縁部
A2 :開口
MS1 :保守スペース
MS2 :保守スペース
ST :シート材
STa :筋