(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】熱源ユニット、および冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20240911BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20240911BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
F25B49/02 520Z
F25B43/00 L
F25B1/00 331E
F25B1/00 396D
(21)【出願番号】P 2022148706
(22)【出願日】2022-09-20
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚登
(72)【発明者】
【氏名】上野 明敏
(72)【発明者】
【氏名】竹上 雅章
(72)【発明者】
【氏名】白▲崎▼ 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 巌
(72)【発明者】
【氏名】井口 大輔
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-164242(JP,A)
【文献】特開2008-096051(JP,A)
【文献】国際公開第2021/048905(WO,A1)
【文献】特開2019-043422(JP,A)
【文献】特開2018-141607(JP,A)
【文献】特開平06-273013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 1/10
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮部(20)と、熱源側熱交換器(24)と、過冷却側減圧弁(46)と、該熱源側熱交換器(24)で放熱した冷媒が流れる第1流路(28a)、および前記過冷却側減圧弁(46)で減圧した冷媒が流れる第2流路(28b)を有する過冷却熱交換器(28)とを含む冷媒回路(6)と、
前記過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)を流出した冷媒の過冷却度に応じて前記過冷却側減圧弁(46)を制御する制御器(130)とを備え、
前記圧縮部(20)は、冷媒を圧縮する低段側圧縮部(21,22)と、該低段側圧縮部(21,22)で圧縮した冷媒をさらに圧縮する高段側圧縮部(23)とを有し、
前記冷媒回路(6)は、前記第2流路(28b)を流れた冷媒を前記低段圧縮部(21,22)と高段圧縮部(23)との間の中間流路に送るインジェクション流路(43)を含み、
前記制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が大きくなることに基づいて、前記冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定し、
前記制御器(130)は、
前記低段側圧縮部(21,22)と前記高段側圧縮部(23)との間の冷媒の圧力である前記冷媒回路(6)の中間圧力を目標値に近づけるように前記過冷却側減圧弁(46)の開度を制御する条件下においては、前記冷媒回路(6)の前記冷媒の不足を判定しない
熱源ユニット。
【請求項2】
制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が所定開度以上であることを条件として、前記冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項3】
前記制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が所定時間以上継続して前記所定開度以上であることを条件として、前記冷媒の不足を判定する
請求項2に記載の熱源ユニット。
【請求項4】
前記制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が第1時間以上継続して第1開度以上である、または前記過冷却側減圧弁(46)の開度が第2時間以上継続して第2開度以上であることを条件として、前記冷媒が不足していると判定し、
前記第2時間は、前記第1時間よりも長く
前記第2開度は、前記第1開度よりも小さい
請求項3に記載の熱源ユニット。
【請求項5】
前記制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が全開であることを条件として、前記冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱源ユニット。
【請求項6】
前記冷媒回路(6)は、高圧圧力が臨界圧力以上となる冷凍サイクルが可能に構成される
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱源ユニット。
【請求項7】
前記冷媒回路(6)には、前記熱源側熱交換器(24)と、前記過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)との間に気液分離器(25)が設けられる
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱源ユニット。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱源ユニット(10)と、
利用ユニット(60,70)とを備えた冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱源ユニット、および冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の冷凍装置は、圧縮部、熱源側熱交換器、過冷却熱交換器を含む熱源ユニットを備える。圧縮部で圧縮された冷媒は、熱源側熱交換器で放熱した後、過冷却熱交換器の第1流路を流れる。過冷却熱交換器では、第1流路を流れる冷媒と、過冷却側減圧弁で減圧された後に第2流路を流れる冷媒とが熱交換する。これにより、第1流路を流れる冷媒が冷却され、この冷媒の過冷却度が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような冷凍装置では、その出荷時において冷媒の充填量が十分でないことがある。また、冷媒回路から冷媒が漏れてしまうことがある。その結果、冷媒回路の冷媒が不足してしまい、冷凍能力が低下してしまう。
【0005】
本開示の目的は、冷媒回路の冷媒の不足を判定できる熱源ユニット、および冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、圧縮部(20)と、熱源側熱交換器(24)と、過冷却側減圧弁(46)と、該熱源側熱交換器(24)で放熱した冷媒が流れる第1流路(28a)、および該第1流路(28a)を通過した後、前記過冷却側減圧弁(46)で減圧した冷媒が流れる第2流路(28b)を有する過冷却熱交換器(28)とを含む冷媒回路(6)と、前記過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)を流出した冷媒の過冷却度に応じて前記過冷却側減圧弁(46)を制御する制御器(130)とを備える。制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が大きくなることに基づいて、前記冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0007】
第2の態様は、第1の態様において、制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が所定開度以上であることを条件として、前記冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0008】
第2の態様では、制御器(130)は、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)を流出した冷媒の過冷却度に基づいて過冷却側減圧弁(46)の開度を制御する。言い換えると、過冷却側減圧弁(46)は、いわゆる過冷却度制御により、その開度が調節される。ここで、冷媒回路(6)の冷媒が不足すると、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)には、十分な液冷媒を送ることができない。このため、第1流路(28a)を流出した冷媒の過冷却度が小さくなり、あるいはゼロとなるので、過冷却側減圧弁(46)の開度が大きくなる。本開示の制御器(130)は、このことを利用して、冷媒回路(6)の不足を判定する。具体的には、制御器(130)は、過冷却側減圧弁(46)の開度が所定開度以上であることを条件として冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0009】
ここで、仮に制御器(130)が、第1流路(28a)を流出した冷媒の過冷却度そのものを用いて冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定すると、何らかの理由により過冷却度が一時的に変化した場合に、冷媒の不足を誤判定してしまう可能性がある。これに対し、過冷却側減圧弁(46)の開度は、過冷却度そのものよりも、緩やかに変動する特性がある。このため、過冷却度が一時的に変化した場合に、冷媒回路(6)の冷媒の不足を誤判定してしまうことを抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が所定時間以上継続して前記所定開度以上であることを条件として、前記冷媒の不足を判定する。
【0011】
第3の態様では、第1流路(28a)を流出した冷媒の過冷却度が何らかの理由により一時的に変換した場合に、冷媒回路(6)の冷媒の不足を誤判定してしまうことをさらに抑制できる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、前記制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が第1時間以上継続して第1開度以上である、または前記過冷却側減圧弁(46)の開度が前記第2時間以上継続して第2開度以上であることを条件として、前記冷媒の不足を判定し、前記第2時間は、前記第1時間よりも長く、前記第2開度は、前記第1開度よりも小さい。
【0013】
第4の態様では、過冷却側減圧弁(46)の開度が比較的大きな第1開度以上である状態が、比較的短い第1時間以上継続する場合、制御器(130)が冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。あるいは、過冷却側減圧弁(46)の開度が比較的小さな第2開度以上である状態が、比較的長い第2時間以上継続する場合に、制御器(130)が冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0014】
第5の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記制御器(130)は、前記過冷却側減圧弁(46)の開度が全開であることを条件として、前記冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0015】
冷媒回路(6)の冷媒が不足し、第1流路(28a)を流出した冷媒の過冷却度が小さく、あるいはゼロになると、過冷却側減圧弁(46)の開度は最終的に全開に至る。第5の態様の制御器(130)は、過冷却側減圧弁(46)の開度が全開であることを条件として、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定するので、冷媒回路(6)の冷媒の不足を精度よく判定できる。
【0016】
第6の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記冷媒回路(6)は、高圧圧力が臨界圧力以上となる冷凍サイクルが可能に構成される。
【0017】
第6の態様では、冷媒回路(6)において高圧圧力が臨界圧力以上となる冷凍サイクルが行われる。この冷凍サイクルでは、第1流路(28a)を流出する冷媒の過冷却度が不安定となり易い。しかしながら、制御器(130)は、過冷却度よりも緩やかに変動する過冷却側減圧弁(46)の開度を用いて冷媒の不足を判定するので、冷媒の不足を誤判定してしまうことを抑制できる。
【0018】
第7の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記冷媒回路(6)には、前記熱源側熱交換器(24)と、前記過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)との間に気液分離器(25)が設けられる。
【0019】
第7の態様では、熱源側熱交換器(24)で放熱した冷媒が、気液分離器(25)に送られる。気液分離器(25)では、冷媒がガス冷媒と液冷媒とに分離する。気液分離器(25)で分離された液冷媒が、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)を流れる。過冷却熱交換器(28)では、第1流路(28a)の液冷媒が第2流路(28b)の冷媒によって冷却され、第1流路(28a)の液冷媒の過冷却度が増大する。
【0020】
このように冷媒回路(6)に気液分離器(25)を設けた構成では、気液分離器(25)で分離されたガス冷媒が一時的に第1流路(28a)を流れてしまうことがある。ガス冷媒が一時的に第1流路(28a)に流れると、過冷却度が急激に小さくなり、冷媒の不足を誤判定してしまう可能性がある。しかし、制御器(130)は、過冷却度と比較して緩やかに変化する過冷却側減圧弁(46)の開度を用いて冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。このため、気液分離器(25)で分離されたガス冷媒が一時的に第1流路(28a)を流れることに起因して、冷媒の不足を誤判定してしまうことを抑制できる。
【0021】
第8の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様の熱源ユニット(10)と、利用ユニット(60,70)とを備えた冷凍装置である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態に係る冷凍装置の配管系統図である。
【
図2】
図2は、コントローラと、その周辺機器の接続関係を表したブロック図である。
【
図4】
図4は、冷凍装置の配管系統図であり、冷設運転の冷媒の流れを示している。
【
図5】
図5は、冷凍装置の配管系統図であり、冷房運転(デフロスト運転)の冷媒の流れを示している。
【
図6】
図6は、冷凍装置の配管系統図であり、冷房冷設運転(デフロスト運転)の冷媒の流れを示している。
【
図7】
図7は、冷凍装置の配管系統図であり、暖房運転の冷媒の流れを示している。
【
図8】
図8は、冷凍装置の配管系統図であり、第1暖房冷設運転の冷媒の流れを示している。
【
図9】
図9は、冷凍装置の配管系統図であり、第2暖房冷設運転の冷媒の流れを示している。
【
図10】
図10は、冷凍装置の配管系統図であり、第3暖房冷設運転の冷媒の流れを示している。
【
図11】
図11は、インジェクション弁の過冷却度制御に係るフローチャートである。
【
図12】
図12は、冷媒の不足を判定する制御に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0024】
《実施形態》
実施形態に係る冷凍装置(1)は、冷却対象の冷却と、室内の空調とを同時に行う。ここでいう冷却対象は、冷蔵庫、冷凍庫、ショーケースなどの設備内の空気を含む。以下では、このような設備を冷設と称する。
【0025】
(1)全体構成
図1に示すように、冷凍装置(1)は、室外に設置される熱源ユニット(10)と、室内を空調する空調ユニット(60)と、庫内の空気を冷却する冷設ユニット(70)とを備える。
図1では、1つの空調ユニット(60)を図示している。冷凍装置(1)は、並列に接続される2つ以上の空調ユニット(60)を有してもよい。
図1では、1つの冷設ユニット(70)を図示している。冷凍装置(1)は、並列に接続される2つ以上の冷設ユニット(70)を有してもよい。
【0026】
冷凍装置(1)は、熱源ユニット(10)、空調ユニット(60)、および冷設ユニット(70)を接続する4本の連絡配管(2,3,4,5)を備える。冷凍装置(1)では、熱源ユニット(10)、空調ユニット(60)、および冷設ユニット(70)がこれらの連絡配管(2,3,4,5)で接続されることで、冷媒回路(6)が構成される。
【0027】
冷媒回路(6)は、充填された冷媒を含む。冷媒回路(6)は、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う。本実施形態の冷媒は二酸化炭素である。冷媒回路(6)は、冷媒が臨界圧力以上となる冷凍サイクルを行う。冷媒は二酸化炭素以外の自然冷媒であってもよい。
【0028】
(1-1)連絡配管
4本の連絡配管(2,3,4,5)は、第1液連絡配管(2)、第1ガス連絡配管(3)、第2液連絡配管(4)、および第2ガス連絡配管(5)で構成される。第1液連絡配管(2)および第1ガス連絡配管(3)は、空調ユニット(60)に対応する。第2液連絡配管(4)および第2ガス連絡配管(5)は、冷設ユニット(70)に対応する。
【0029】
(2)熱源ユニット
熱源ユニット(10)は、熱源回路(11)と室外ファン(12)とを有する。熱源回路(11)は、圧縮部(20)、室外熱交換器(24)、および気液分離器(25)を有する。熱源回路(11)は、第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)を有する。熱源回路(11)は、さらに過冷却熱交換器(28)および中間冷却器(29)を有する。
【0030】
熱源回路(11)は、4つの閉鎖弁(13,14,15,16)を有する。4つの閉鎖弁は、第1ガス閉鎖弁(13)、第1液閉鎖弁(14)、第2ガス閉鎖弁(15)、および第2液閉鎖弁(16)で構成される。
【0031】
第1ガス閉鎖弁(13)には、第1ガス連絡配管(3)が接続される。第1液閉鎖弁(14)には、第1液連絡配管(2)が接続される。第2ガス閉鎖弁(15)には、第2ガス連絡配管(5)が接続される。第2液閉鎖弁(16)には、第2液連絡配管(4)が接続される。
【0032】
熱源ユニット(10)は、流路切換機構(30)を有する。
図1などの冷媒回路の配管系統図では、流路切換機構(30)の詳細の図示を省略している。流路切換機構(30)は、冷媒回路(6)の冷媒の流路を切り換える。流路切換機構(30)の詳細は後述する。
【0033】
(2-1)圧縮部
圧縮部(20)は、冷媒を圧縮する。圧縮部(20)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)を有する。圧縮部(20)は、冷媒を単段で圧縮する運転と、冷媒を二段で圧縮する運転とを行う。
【0034】
第1圧縮機(21)は、冷設ユニット(70)に対応する冷設圧縮機である。第1圧縮機(21)は、第1圧縮要素の一例である。第2圧縮機(22)は、空調ユニット(60)に対応する空調圧縮機である。第2圧縮機(22)は、第2圧縮要素の一例である。第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)は、低段側の圧縮機である。第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)は、並列に接続される。
【0035】
第3圧縮機(23)は、高段側の圧縮機である。第3圧縮機(23)は、第1圧縮機(21)と直列に接続される。第3圧縮機(23)は、第2圧縮機(22)と直列に接続される。
【0036】
第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)は、モータによって圧縮機構が駆動される回転式圧縮機である。第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)は、可変容量式である。第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)は、インバータ装置によってモータの回転数が調節される。言い換えると、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)は、それらの運転容量が調節可能に構成される。
【0037】
第1圧縮機(21)には、第1吸入管(21a)および第1吐出管(21b)が接続される。第2圧縮機(22)には、第2吸入管(22a)および第2吐出管(22b)が接続される。第3圧縮機(23)には、第3吸入管(23a)および第3吐出管(23b)が接続される。
【0038】
(2-2)中間流路
熱源回路(11)は、中間流路(18)を含む。中間流路(18)は、第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)の吐出部と、第3圧縮機(23)の吸入部とを繋ぐ。中間流路(18)は、第1吐出管(21b)、第2吐出管(22b)、および第3吸入管(23a)を含む。
【0039】
(2-3)室外熱交換器および室外ファン
室外熱交換器(24)は、熱源側熱交換器の一例である。室外熱交換器(24)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室外ファン(12)は、室外熱交換器(24)の近傍に配置される。室外ファン(12)は、室外空気を搬送する。室外熱交換器は、その内部を流れる冷媒と、室外ファン(12)が搬送する室外空気とを熱交換させる。
【0040】
(2-4)液側流路
熱源回路(11)は、液側流路(40)を含む。液側流路(40)は、室外熱交換器(24)の液側端と、2つの液閉鎖弁(14,16)との間に設けられる。液側流路(40)は、第1から第5までの管(40a,40b,40c,40d,40e)を含む。
【0041】
第1管(40a)の一端は、室外熱交換器(24)の液側端に接続する。第1管(40a)の他端は、気液分離器(25)の頂部に接続する。第2管(40b)の一端は、気液分離器(25)の底部に接続する。第2管(40b)の他端は、第2液閉鎖弁(16)に接続する。第3管(40c)の一端は、第2管(40b)の中途部に接続する。第3管(40c)の他端は、第1液閉鎖弁(14)に接続する。第4管(40d)の一端は、第1管(40a)における第1室外膨張弁(26)と気液分離器(25)の間に接続する。第4管(40d)の他端は、第3管(40c)の中途部に接続する。第5管(40e)の一端は、第1管(40a)における室外熱交換器(24)と第1室外膨張弁(26)の間に接続する。第5管(40e)の他端は、第2管(40b)における気液分離器(25)と第3管(40c)の接続部との間に接続する。
【0042】
(2-5)室外膨張弁
第1室外膨張弁(26)は、第1管(40a)に設けられる。第1室外膨張弁(26)は、第1管(40a)において、室外熱交換器(24)の液側端と、第4管(40d)の接続部との間に設けられる。第2室外膨張弁(27)は、第5管(40e)に設けられる。第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)は、その開度が調節可能な膨張弁である。第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)は、パルス信号に基づき開度を調節する電子膨張弁である。
【0043】
(2-6)気液分離器
気液分離器(25)は、冷媒を貯留する密閉容器である。気液分離器(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。気液分離器(25)の内部には、ガス層と液層とが形成される。ガス層は、気液分離器(25)の頂部側に形成される。液層は気液分離器(25)の底部側に形成される。
【0044】
(2-7)ガス抜き管
熱源回路(11)は、ガス抜き管(41)を有する。ガス抜き管(41)の一端は、気液分離器(25)の頂部に接続する。ガス抜き管(41)の他端は、中間流路(18)に接続する。ガス抜き管(41)は、気液分離器(25)内のガス冷媒を中間流路(18)に送る。
【0045】
ガス抜き管(41)には、ガス抜き弁(42)が設けられる。ガス抜き弁(42)は、その開度が調節可能な膨張弁である。ガス抜き弁(42)は、パルス信号に基づき開度を調節する電子膨張弁である。
【0046】
(2-8)過冷却熱交換器
過冷却熱交換器(28)は、高圧側流路である第1流路(28a)と、低圧側流路である第2流路(28b)とを有する。過冷却熱交換器(28)は、第1流路(28a)の冷媒と、第2流路(28b)の冷媒とを熱交換する。言い換えると、過冷却熱交換器(28)は、第2流路(28b)を流れる冷媒により、第1流路(28a)を流れる冷媒を冷却する。
【0047】
第2流路(28b)は、インジェクション流路(43)の一部を構成する。インジェクション流路(43)は、上流流路(44)と下流流路(45)とを含む。
【0048】
上流流路(44)の一端は、第3管(40c)における第4管(40d)の接続部によりも上流側に接続する。上流流路(44)の他端は、第2流路(28b)の流入端に接続する。上流流路(44)には、過冷却側減圧弁であるインジェクション弁(46)が設けられる。インジェクション弁(46)は、その開度が調節可能な膨張弁である。インジェクション弁(46)は、パルス信号に基づき開度を調節する電子膨張弁である。
【0049】
下流流路(45)の一端は、第2流路(28b)の流出端に接続する。下流流路(45)の他端は、中間流路(18)に接続する。
【0050】
(2-9)中間冷却器
中間冷却器(29)は、中間流路(18)に設けられる。中間冷却器(29)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。中間冷却器(29)の近傍には、冷却ファン(29a)が配置される。中間冷却器(29)は、その内部を流れる冷媒と、冷却ファン(29a)が搬送する室外空気とを熱交換させる。
【0051】
(2-10)油分離回路
熱源回路(11)は、油分離回路を含む。油分離回路は、油分離器(50)と、第1油戻し管(51)と、第2油戻し管(52)とを有する。
【0052】
油分離器(50)は、第3吐出管(23b)に接続される。油分離器(50)は、圧縮部(20)から吐出された冷媒中から油を分離する。第1油戻し管(51)および第2油戻し管(52)の流入端は、油分離器(50)に連通する。第1油戻し管(51)の流出端は、中間流路(18)に接続する。第1油戻し管(51)には、第1油量調節弁(53)が設けられる。
【0053】
第2油戻し管(52)の流出側は、第1分岐管(52a)と第2分岐管(52b)とに分離する。第1分岐管(52a)は、第1圧縮機(21)の油貯留部に接続する。第2分岐管(52b)は、第2圧縮機(22)の油貯留部に接続する。第1分岐管(52a)には、第2油量調節弁(54)が設けられる。第2分岐管(52b)には、第3油量調節弁(55)が設けられる。
【0054】
(2-11)バイパス管
熱源回路(11)は、第1バイパス管(56)、第2バイパス管(57)、および第3バイパス管(58)を有する。第1バイパス管(56)は、第1圧縮機(21)に対応する。第2バイパス管(57)は、第2圧縮機(22)に対応する。第3バイパス管(58)は、第3圧縮機(23)に対応する。
【0055】
具体的には、第1バイパス管(56)は、第1吸入管(21a)と第1吐出管(21b)とを直に繋ぐ。第2バイパス管(57)は、第2吸入管(22a)と第2吐出管(22b)とを直に繋ぐ。第3バイパス管(58)は、第3吸入管(23a)と第3吐出管(23b)とを直に繋ぐ。
【0056】
(2-12)逆止弁
熱源回路(11)は、複数の逆止弁を有する。複数の逆止弁は、第1から第12までの逆止弁(CV1~CV12)を含む。これらの逆止弁(CV1~CV12)は、
図1の矢印方向の冷媒の流れを許容し、その逆方向の冷媒の流れを禁止する。
【0057】
第1逆止弁(CV1)および第2逆止弁(CV2)は、詳細は後述する流路切換機構(30)に設けられる。
【0058】
第3逆止弁(CV3)は、第3吐出管(23b)に設けられる。第4逆止弁(CV4)は、第1管(40a)に設けられる。第5逆止弁(CV5)は、第3管(40c)に設けられる。第6逆止弁(CV6)は、第4管(40d)に設けられる。第7逆止弁(CV7)は、第5管(40e)に設けられる。第8逆止弁(CV8)は、第1バイパス管(56)に設けられる。第9逆止弁(CV9)は、第2バイパス管(57)に設けられる。第10逆止弁(CV10)は、第3バイパス管(58)に設けられる。第11逆止弁(CV11)は、第1吐出管(21b)に設けられる。第12逆止弁(CV12)は、第2吐出管(22b)に設けられる。
【0059】
(3)空調ユニット
空調ユニット(60)は、室内に設置される第1利用ユニットである。空調ユニット(60)は、室内回路(61)と室内ファン(62)とを有する。室内回路(61)の液側端には、第1液連絡配管(2)が接続される。室内回路(61)のガス側端には、第1ガス連絡配管(3)が接続される。
【0060】
室内回路(61)は、液側端からガス側端に向かって順に、室内膨張弁(63)および室内熱交換器(64)を有する。室内膨張弁(63)は、その開度が調節可能な膨張弁である。室内膨張弁(63)は、パルス信号に基づき開度を調節する電子膨張弁である。
【0061】
室内熱交換器(64)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室内熱交換器(64)は、第1利用側熱交換器の一例である。室内ファン(62)は、室内熱交換器(64)の近傍に配置される。室内ファン(62)は、室内空気を搬送する。室内熱交換器(64)は、その内部を流れる冷媒と、室内ファン(62)が搬送する室内空気とを熱交換させる。
【0062】
(4)冷設ユニット
冷設ユニット(70)は、庫内を冷却する第2利用ユニットである。冷設ユニット(70)は、冷設回路(71)と冷設ファン(72)とを有する。冷設回路(71)の液側端には、第2液連絡配管(4)が接続される。冷設回路(71)のガス側端には、第2ガス連絡配管(5)が接続される。
【0063】
冷設回路(71)は、液側端からガス側端に向かって順に、冷設膨張弁(73)および冷設熱交換器(74)を有する。冷設膨張弁(73)は、その開度が調節可能な膨張弁である。冷設膨張弁(73)は、パルス信号に基づき開度を調節する電子膨張弁である。
【0064】
冷設熱交換器(74)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。冷設熱交換器(74)は、第2利用側熱交換器の一例である。冷設ファン(72)は、冷設熱交換器(74)の近傍に配置される。冷設ファン(72)は、庫内空気を搬送する。冷設熱交換器(74)は、その内部を流れる冷媒と、冷設ファン(72)が搬送する庫内空気とを熱交換させる。
【0065】
冷設熱交換器(74)の蒸発温度は、室内熱交換器(64)の蒸発温度よりも低い。
【0066】
(5)流路切換機構
流路切換機構(30)は、熱源回路(11)に設けられる。
図1および
図3に示すように、流路切換機構(30)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、第3ポート(P3)、第4ポート(P4)、切換第1流路(31)、切換第2流路(32)、切換第3流路(33)、および切換第4流路(34)を有する。切換第1流路(31)には、第1開閉機構(81)が設けられ、切換第2流路(32)には、第2開閉機構(82)が設けられ、切換第3流路(33)には、第3開閉機構(83)が設けられ、切換第4流路(34)には、第4開閉機構(84)が設けられる。
【0067】
(5-1)ポート
第1ポート(P1)は、第1圧縮機(21)の吐出部、および第2圧縮機(22)の吐出部と繋がる。第1圧縮機(21)の吐出部は、第1吐出ライン(L1)を介して第1ポート(P1)と繋がる。第1吐出ライン(L1)は、一端が第1圧縮機(21)の吐出部と接続し、他端が第1ポート(P1)と接続する流路である。言い換えると、第1吐出ライン(L1)は、第1圧縮機(21)の吐出部から第1ポート(P1)までに亘る流路である。
【0068】
第2圧縮機(22)の吐出部は、第2吐出ライン(L2)を介して第1ポート(P1)と繋がる。第2吐出ライン(L2)は、一端が第2圧縮機(22)の吐出部と接続し、他端が第1ポート(P1)と接続する流路である。言い換えると、第2吐出ライン(L2)は、第2圧縮機(22)の吐出部から第1ポート(P1)までに亘る流路である。
【0069】
第2ポート(P2)は、第2圧縮機(22)の吸入部と繋がる。第2ポート(P2)は、第1圧縮機(21)の吸入部と繋がらない。第2ポート(P2)は、吸入ライン(L3)を介して第2圧縮機(22)の吸入部と繋がる。吸入ライン(L3)は、一端が第2圧縮機(22)の吸入部と接続し、他端が第2ポート(P2)と接続する流路である。言い換えると、吸入ライン(L3)は、第2圧縮機(22)の吸入部から第2ポート(P2)までに亘る流路である。
【0070】
第3ポート(P3)は、室内熱交換器(64)のガス端部と繋がる。第3ポート(P3)は、第1ガスライン(L4)を介して室内熱交換器(64)のガス端部と繋がる。第1ガスライン(L4)は、一端が室内熱交換器(64)に接続し、他端が第3ポート(P3)と接続する流路である。言い換えると、第1ガスライン(L4)は、室内熱交換器(64)のガス端部から第3ポート(P3)に亘る流路である。
【0071】
第4ポート(P4)は、室外熱交換器(24)のガス端部と繋がる。第4ポート(P4)は、第2ガスライン(L5)を介して室外熱交換器(24)のガス端部と繋がる。第2ガスライン(L5)は、一端が室外熱交換器(24)のガス端部に接続し、他端が第4ポート(P4)に接続する。第2ガスライン(L5)は、室外熱交換器(24)のガス端部から第4ポート(P4)までに亘る流路である。
【0072】
第1吐出ライン(L1)、第2吐出ライン(L2)、吸入ライン(L3)、第1ガスライン(L4)、および第2ガスライン(L5)は、配管や、配管に接続される要素機器も含む流路を意味する。
【0073】
(5-2)流路
図1において模式的に示すように、切換第1流路(31)、切換第2流路(32)、切換第3流路(33)、および切換第4流路(34)は、ブリッジ状に接続される。切換第1流路(31)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通する。切換第2流路(32)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とを連通する。切換第3流路(33)は、第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とを連通する。切換第4流路(34)は、第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通する。切換第1流路(31)および切換第2流路(32)は、高圧圧力が作用する高圧側流路である。言い換えると、切換第1流路(31)および切換第2流路(32)は、圧縮部(20)の吐出圧力が作用する吐出側流路である。切換第3流路(33)および切換第4流路(34)は、低圧圧力が作用する低圧側流路である。切換第3流路(33)および切換第4流路(34)は、圧縮部(20)の吸入圧力が作用する吸入側流路である。
【0074】
図3に示すように、切換第1流路(31)は、互いに並列な2つ以上の第1分流路(31a)を有する。本例の切換第1流路(31)は、7つの第1分流路(31a)を有する。本例の切換第2流路(32)は、互いに並列な2つ以上の第2分流路(32a)を有する。切換第2流路(32)は、7つの第2分流路(32a)を有する。切換第3流路(33)は、互いに並列な第3分流路(33a)を有する。本例の切換第3流路(33)は、4つの第3分流路(33a)を有する。切換第4流路(34)は、1つの流路によって構成される。
【0075】
(5-3)開閉機構
第1開閉機構(81)は、複数の第1開閉弁(V1)を有する。切換第1流路(31)には、2つ以上の第1開閉弁(V1)が並列に設けられる。本例の切換第1流路(31)には、7つの第1開閉弁(V1)が設けられる。各第1分流路(31a)のそれぞれには、第1開閉弁(V1)が1つずつ設けられる。複数の第1開閉弁(V1)は、第1膨張弁(91)と第1電磁開閉弁(92)とを含む。第1膨張弁(91)の数は1つであり、第1電磁開閉弁(92)の数は6つである。第1膨張弁(91)は、開度が可変な電子膨張弁である。
【0076】
第2開閉機構(82)は、複数の第2開閉弁(V2)を有する。切換第2流路(32)には、2つ以上の第2開閉弁(V2)が並列に設けられる。本例の切換第2流路(32)には、7つの第2開閉弁(V2)が設けられる。各第2分流路(32a)のそれぞれには、第2開閉弁(V2)が1つずつ設けられる。複数の第2開閉弁(V2)は、第2膨張弁(93)と第2電磁開閉弁(94)とを含む。第2膨張弁(93)の数は1つであり、第2電磁開閉弁(94)の数は6つである。第2膨張弁(93)は、開度が可変な電子膨張弁である。
【0077】
第3開閉機構(83)は、複数の第3開閉弁(V3)を有する。切換第2流路(32)には、2つ以上の第3開閉弁(V3)が並列に設けられる。本例の切換第3流路(33)には、4つの第3開閉弁(V3)が設けられる。各第3分流路(33a)のそれぞれには、第3開閉弁(V3)が1つずつ設けられる。これらの第3開閉弁(V3)は、電磁開閉弁である。
【0078】
第4開閉機構(84)は、1つの第4開閉弁(V4)を有する。切換第4流路(34)には、第4開閉弁(V4)が設けられる。第4開閉弁(V4)は、電磁開閉弁である。
【0079】
第1開閉弁(V1)、第2開閉弁(V2)、第3開閉弁(V3)、および第4開閉弁(V4)は、
図2に示すように単に開閉弁(V)と述べる場合がある。
【0080】
(5-5)逆止弁
流路切換機構(30)は、逆止弁(CV1,CV2)を有する。具体的には、切換第4流路(34)には、第1逆止弁(CV1)が設けられる。切換第1流路(31)には、第2逆止弁(CV2)が設けられる。
【0081】
第1逆止弁(CV1)は、切換第4流路(34)において、第2ポート(P2)から第4ポート(P4)へ向かう冷媒の流れを制限する。厳密には、第1逆止弁(CV1)は、切換第4流路(34)において、第4ポート(P4)から第2ポート(P2)へ向かう冷媒の流れを許容し、第2ポート(P2)から第4ポート(P4)へ向かう冷媒の流れを禁止する。第1逆止弁(CV1)は、切換第4流路(34)において、開閉弁(V)よりも第2ポート(P2)寄りに設けられる。
【0082】
第2逆止弁(CV2)は、切換第1流路(31)において、第3ポート(P3)から第1ポート(P1)へ向かう冷媒の流れを制限する。厳密には、第2逆止弁(CV2)は、切換第1流路(31)において、第1ポート(P1)から第3ポート(P3)へ向かう冷媒の流れを許容し、第3ポート(P3)から第1ポート(P1)へ向かう冷媒の流れを禁止する。第2逆止弁(CV2)は、切換第1流路(31)における主流路(31b)に設けられる。主流路(31b)は、複数の第1分流路(31a)の端部が接続された流路である。第2逆止弁(CV2)は、切換第1流路(31)において、開閉弁(V)よりも第3ポート(P3)寄りに設けられる。
【0083】
(6)センサ
図1に示すように、冷凍装置(1)は、複数のセンサを有する。複数のセンサは、冷媒の圧力を検出する冷媒圧力センサと、冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、空気の温度を検出する空気温度センサとを含む。
【0084】
冷媒圧力センサは、高圧圧力センサ(101)、中間圧力センサ(102)、第1吸入圧力センサ(103)、第2吸入圧力センサ(104)、および液側圧力センサ(105)を含む。高圧圧力センサ(101)は、第3吐出管(23b)に設けられる。高圧圧力センサ(101)は、圧縮部(20)の吐出側の冷媒の圧力、言い換えると冷媒回路(6)の高圧圧力を検出する。中間圧力センサ(102)は、第3吸入管(23a)に設けられる。中間圧力センサ(102)は、低段側の圧縮機と高段側の圧縮機の間の冷媒の圧力、言い換えると冷媒回路(6)の中間圧力を検出する。第1吸入圧力センサ(103)は、第1吸入管(21a)に設けられる。第1吸入圧力センサ(103)は、第1圧縮機(21)の吸入側の冷媒の圧力を検出する。第2吸入圧力センサ(104)は、第2吸入管(22a)に設けられる。第2吸入圧力センサ(104)は、第2圧縮機(22)の吸入側の冷媒の圧力を検出する。
【0085】
液側圧力センサ(105)は、液側流路(40)に設けられる。具体的には、液側圧力センサ(105)は、第2管(40b)に設けられる。液側圧力センサ(105)は、気液分離器(25)の内圧に相当する圧力を検出する。液側圧力センサ(105)は、第1流路(28a)内の冷媒の圧力に相当する圧力を検出する。
【0086】
冷媒温度センサは、第1吐出温度センサ(111)、第1吸入温度センサ(112)、第2吐出温度センサ(113)、第2吸入温度センサ(114)、第3吐出温度センサ(115)、第3吸入温度センサ(116)、液側温度センサ(117)、およびインジェクション側温度センサ(118)、熱源側温度センサ(119)を含む。第1吐出温度センサ(111)は、第1吐出管(21b)に設けられ、第1圧縮機(21)から吐出される冷媒の温度を検出する。第1吸入温度センサ(112)は、第1吸入管(21a)に設けられ、第1圧縮機(21)に吸入される冷媒の温度を検出する。第2吐出温度センサ(113)は、第2吐出管(22b)に設けられ、第2圧縮機(22)から吐出される冷媒の温度を検出する。第2吸入温度センサ(114)は、第2吸入管(22a)に設けられ、第2圧縮機(22)に吸入される冷媒の温度を検出する。第3吐出温度センサ(115)は、第3吐出管(23b)に設けられ、第3圧縮機(23)から吐出される冷媒の温度を検出する。第3吸入温度センサ(116)は、第3吸入管(23a)に設けられ、第3圧縮機(23)に吸入される冷媒の温度を検出する。
【0087】
液側温度センサ(117)は、液側流路(40)に設けられる。具体的には、液側温度センサ(117)は、液側流路(40)における過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)の流出側に設けられる。より具体的には、液側温度センサ(117)は、液側流路(40)における、第1流路(28a)の流出端と、インジェクション流路(43)の流入端との間に設けられる。液側温度センサ(117)は、第1流路(28a)を流出した冷媒の温度を検出する。
【0088】
インジェクション側温度センサ(118)は、インジェクション流路(43)の下流流路(45)に設けられる。言い換えると、インジェクション側温度センサ(118)は、過冷却熱交換器(28)の第2流路(28b)の流出側に設けられる。インジェクション側温度センサ(118)は、第2流路(28b)を流出した冷媒の温度を検出する。
【0089】
熱源側温度センサ(119)は、室外熱交換器(24)の伝熱管に設けられる。熱源側温度センサ(119)は、室外熱交換器(24)における液側端部に設けられる。熱源側温度センサ(119)は、室外熱交換器(24)の液側端部の冷媒の温度を検出する。
【0090】
空気温度センサは、外気温度センサ(121)を含む。外気温度センサ(121)は、室外空気の温度を検出する。
【0091】
(7)コントローラ
図2に示すように、冷凍装置(1)は、冷媒回路(6)を制御するコントローラ(130)を備える。コントローラ(130)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0092】
図2に示すように、コントローラ(130)は、室外コントローラ(131)と、室内コントローラ(132)と、冷設コントローラ(133)とを有する。
図1に示すように、室外コントローラ(131)は、熱源ユニット(10)に設けられる。室内コントローラ(132)は、空調ユニット(60)に設けられる。冷設コントローラ(133)は、冷設ユニット(70)に設けられる。室外コントローラ(131)は、室内コントローラ(132)および冷設コントローラ(133)と通信可能である。
【0093】
コントローラ(130)は、制御指令や、各センサの検出信号が入力される。コントローラ(130)は、冷凍装置(1)の各機器を制御する。具体的には、コントローラ(130)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)のON/OFFを制御する。コントローラ(130)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、第3圧縮機(23)の容量(厳密には、モータの回転数)を調節する。コントローラ(130)は、各ファン(12,62,72)のON/OFFを制御する。コントローラ(130)は、各膨張弁(26,27,63)の開度を調節する。コントローラ(130)は各弁(42,43)の開閉状態を切り換える。コントローラ(130)は、各開閉弁(V)の開閉状態を切り換えたり、各開閉弁(V)の開度を調節したりする。
【0094】
コントローラ(130)は、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)を流出する冷媒の過冷却度(sc)を求める。コントローラ(130)は、液側圧力センサ(105)および液側温度センサ(117)の検出値に基づいて過冷却度(sc)を求める。具体的には、コントローラ(130)は、液側圧力センサ(105)の検出圧力に相当する飽和温度と、液側温度センサ(117)の検出温度の差分を過冷却度(sc)とする。液側圧力センサ(105)および液側温度センサ(117)は、過冷却度(sc)を求めるための過冷却度取得部を構成する。
【0095】
コントローラ(130)は、過冷却度(sc)に応じてインジェクション弁(46)の開度を制御する。コントローラ(130)は、現在の過冷却度(sc)が目標過冷却度(Tsc)になるようにインジェクション弁(46)の開度を制御する。この過冷却度制御の詳細は後述する。
【0096】
コントローラ(130)は、過冷却度制御時において、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。ここで、冷媒回路(6)の冷媒の不足とは、冷媒回路(6)に充填されている冷媒の量が所定量よりも小さくなっていることを意味する。冷媒回路(6)の冷媒が不足すると、所望の冷凍サイクルを実行できず、冷凍装置(1)の冷凍能力が低下してしまう。
【0097】
コントローラ(130)は、インジェクション弁(46)の開度に基づいて冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。コントローラ(130)は、インジェクション弁(46)の開度が所定値以上であることを条件として、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。この判定の詳細は後述する。
【0098】
コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の冷媒の不足していることを報知する報知部(134)を備える。
図2に示すように、報知部(134)は、例えば室外コントローラ(130)に設けられる。コントローラ(130)が冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定すると、冷媒回路(6)の冷媒が不足していることを対象者に報知する。対象者は、ユーザ、サービス業者、メンテナンス業者、製造メーカなどを含む。報知部(134)は、モニタのように文字、記号、アイコンなどにより冷媒の不足を報知する表示部であってもよい。報知部(134)は、光などにより冷媒の不足を報知するLEDなどの発光部であってもよい。報知部(134)は、メールなどにより、冷媒の不足を対象者に通知する通知部であってもよい。
【0099】
(8)運転動作
冷凍装置(1)の運転動作について説明する。冷凍装置(1)の運転は、冷設運転、冷房運転、冷房冷設運転、暖房運転、暖房冷設運転、デフロスト運転を含む。暖房冷設運転は、第1暖房冷設運転、第2暖房冷設運転、第3暖房冷設運転を含む。
【0100】
冷設運転では、冷設ユニット(70)が庫内の空気を冷却し、空調ユニット(60)は停止する。冷房運転では、冷設ユニット(70)が停止し、空調ユニット(60)が室内を冷房する。冷房冷設運転では、冷設ユニット(70)が庫内の空気を冷却し、空調ユニット(60)が室内を冷房する。暖房運転では、冷設ユニット(70)が停止し、空調ユニット(60)が室内を暖房する。暖房冷設運転では、冷設ユニット(70)が庫内の空気を冷却し、空調ユニット(60)が室内を暖房する。デフロスト運転では、室外熱交換器(24)に付着した霜が融かされる。
【0101】
第1暖房冷設運転は、室外熱交換器(24)および冷設熱交換器(74)で冷媒が奪った熱を暖房に利用する運転である。第2暖房冷設運転は、室外熱交換器(24)を機能させず、冷設熱交換器(74)で冷媒が奪った熱を暖房に利用する運転である。第3暖房冷設運転は、室外熱交換器(24)から冷媒の熱を放出する運転である。
【0102】
各運転の概要について
図4~
図10を参照しながら説明する。なお、図中において、冷媒が流れを破線矢印で示すとともに冷媒の流れる流路を太くしている。図中において、放熱器として機能する熱交換器にハッチングを付し、蒸発器として機能する熱交換器にドットを付している。
【0103】
(8-1)冷設運転
図4に示す冷設運転では、コントローラ(130)が第1開閉弁(V1)、第3開閉弁(V3)、および第4開閉弁(V4)を閉じ、第2開閉弁(V2)を開ける。コントローラ(130)は、第2圧縮機(22)を停止し、第1圧縮機(21)および第3圧縮機(23)を運転する。コントローラ(130)は、第1室外膨張弁(26)およびインジェクション弁(46)を所定開度で開放し、第2室外膨張弁(27)を閉じる。コントローラ(130)は、室内膨張弁(63)を閉じ、冷設膨張弁(73)の開度を調節する。コントローラ(130)は、室外ファン(12)および冷設ファン(72)を運転し、室内ファン(62)を停止する。
【0104】
冷設運転では、室外熱交換器(24)が放熱器として機能し、室内熱交換器(64)の機能が実質的に停止し、冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0105】
具体的には、第1圧縮機(21)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって臨界圧力以上まで圧縮された冷媒は、室外熱交換器(24)で放熱した後、第1室外膨張弁(26)を通過する。第1室外膨張弁(26)は、冷媒を臨界圧力より低い圧力まで減圧する。
【0106】
亜臨界状態となった冷媒は、気液分離器(25)に流入する。気液分離器(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0107】
気液分離器(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0108】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、冷設ユニット(70)に送られる。冷設ユニット(70)に送られた冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0109】
(8-2)冷房運転
図5に示す冷房運転では、コントローラ(130)が第1開閉弁(V1)および第4開閉弁(V4)を閉じ、第2開閉弁(V2)および第3開閉弁(V3)を開ける。コントローラ(130)は、第1圧縮機(21)を停止し、第2圧縮機(22)および第3圧縮機(23)を運転する。コントローラ(130)は、第1室外膨張弁(26)およびインジェクション弁(46)を所定開度で開放し、第2室外膨張弁(27)を閉じる。コントローラ(130)は、冷設膨張弁(73)を閉じ、室内膨張弁(63)の開度を調節する。コントローラ(130)は、室外ファン(12)および室内ファン(62)を運転し、冷設ファン(72)を停止する。
【0110】
冷房運転では、室外熱交換器(24)が放熱器として機能し、室内熱交換器(64)が蒸発器として機能し、冷設熱交換器(74)の機能が実質的に停止する冷凍サイクルが行われる。
【0111】
具体的には、第2圧縮機(22)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって臨界圧力以上まで圧縮された冷媒は、室外熱交換器(24)で放熱した後、第1室外膨張弁(26)を通過する。第1室外膨張弁(26)は、冷媒を臨界圧力より低い圧力まで減圧する。
【0112】
亜臨界状態となった冷媒は、気液分離器(25)に流入する。気液分離器(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0113】
気液分離器(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0114】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、空調ユニット(60)に送られる。空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内膨張弁(63)によって減圧された後、室内熱交換器(64)で蒸発する。この結果、室内の空気が冷却される。室内熱交換器(64)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0115】
(8-3)冷房冷設運転
図6に示す冷房冷設運転では、コントローラ(130)が第1開閉弁(V1)および第4開閉弁(V4)を閉じ、第2開閉弁(V2)および第3開閉弁(V3)を開ける。コントローラ(130)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)を運転する。コントローラ(130)は、第1室外膨張弁(26)およびインジェクション弁(46)を所定開度で開放し、第2室外膨張弁(27)を閉じる。コントローラ(130)は、冷設膨張弁(73)および室内膨張弁(63)の開度を調節する。コントローラ(130)は、室外ファン(12)、室内ファン(62)、および冷設ファン(72)を運転する。
【0116】
冷設冷設運転では、室外熱交換器(24)が放熱器として機能し、室内熱交換器(64)および冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0117】
具体的には、第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって臨界圧力以上まで圧縮された冷媒は、室外熱交換器(24)で放熱した後、第1室外膨張弁(26)を通過する。第1室外膨張弁(26)は、冷媒を臨界圧力より低い圧力まで減圧する。
【0118】
亜臨界状態となった冷媒は、気液分離器(25)に流入する。気液分離器(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0119】
気液分離器(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0120】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、空調ユニット(60)および冷設ユニット(70)に送られる。空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内膨張弁(63)によって減圧された後、室内熱交換器(64)で蒸発する。この結果、室内の空気が冷却される。室内熱交換器(64)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0121】
冷設ユニット(70)に送られた冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0122】
(8-4)暖房運転
図7に示す暖房運転では、コントローラ(130)が第2開閉弁(V2)および第3開閉弁(V3)を閉じ、第1開閉弁(V1)および第4開閉弁(V4)を開ける。コントローラ(130)は、第1圧縮機(21)を停止し、第2圧縮機(22)および第3圧縮機(23)を運転する。コントローラ(130)は、第2室外膨張弁(27)およびインジェクション弁(46)を所定開度で開放し、第1室外膨張弁(26)を閉じる。コントローラ(130)は、冷設膨張弁(73)を閉じ、室内膨張弁(63)の開度を調節する。コントローラ(130)は、室外ファン(12)および室内ファン(62)を運転し、冷設ファン(72)を停止する。
【0123】
暖房運転では、室内熱交換器(64)が放熱器として機能し、室外熱交換器(24)が蒸発器として機能し、冷設熱交換器(74)の機能が実質的に停止する冷凍サイクルが行われる。
【0124】
具体的には、第2圧縮機(22)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒は、空調ユニット(60)に送られる。
【0125】
空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内熱交換器(64)で放熱する。この結果、室内の空気が加熱される。室内熱交換器(64)で放熱した冷媒は、気液分離器(25)に流入する。気液分離器(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0126】
気液分離器(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0127】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、第2室外膨張弁(27)によって減圧された後、室外熱交換器(24)で蒸発する。室外熱交換器(24)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0128】
(8-5)第1暖房冷設運転
図8に示す第1暖房冷設運転は、空調ユニット(60)の暖房負荷が高いときに実行される。第1暖房冷設運転では、コントローラ(130)が第2開閉弁(V2)および第3開閉弁(V3)を閉じ、第1開閉弁(V1)および第4開閉弁(V4)を開ける。コントローラ(130)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)を運転する。コントローラ(130)は、第2室外膨張弁(27)およびインジェクション弁(46)を所定開度で開放し、第1室外膨張弁(26)を閉じる。コントローラ(130)は、室内膨張弁(63)および冷設膨張弁(73)の開度を調節する。コントローラ(130)は、室外ファン(12)、室内ファン(62)、および冷設ファン(72)を運転する。
【0129】
第1暖房冷設運転では、室内熱交換器(64)が放熱器として機能し、室外熱交換器(24)および冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0130】
具体的には、第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒は、空調ユニット(60)に送られる。
【0131】
空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内熱交換器(64)で放熱する。この結果、室内の空気が加熱される。室内熱交換器(64)で放熱した冷媒は、気液分離器(25)に流入する。気液分離器(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0132】
気液分離器(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0133】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒の一部は、第2室外膨張弁(27)によって減圧された後、室外熱交換器(24)で蒸発する。室外熱交換器(24)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0134】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒の残部は、冷設ユニット(70)に送られる。冷設ユニット(70)に送られた冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0135】
(8-6)第2暖房冷設運転
図9に示す第2暖房冷設運転は、空調ユニット(60)の暖房負荷が過剰に高くも低くもないときに実行される。第2暖房冷設運転では、コントローラ(130)が第2開閉弁(V2)、第3開閉弁(V3)、および第4開閉弁(V4)を閉じ、第1開閉弁(V1)を開ける。コントローラ(130)は、第1圧縮機(21)および第3圧縮機(23)を運転し、第2圧縮機(22)を停止する。コントローラ(130)は、インジェクション弁(46)を所定開度で開放し、第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)を閉じる。コントローラ(130)は、室内膨張弁(63)および冷設膨張弁(73)の開度を調節する。コントローラ(130)は、室外ファン(12)を停止し、室内ファン(62)、および冷設ファン(72)を運転する。
【0136】
第2暖房冷設運転では、室内熱交換器(64)が放熱器として機能し、室外熱交換器(24)が実質的に停止し、冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0137】
具体的には、第1圧縮機(21)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒は、空調ユニット(60)に送られる。
【0138】
空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内熱交換器(64)で放熱する。この結果、室内の空気が加熱される。室内熱交換器(64)で放熱した冷媒は、気液分離器(25)に流入する。気液分離器(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0139】
気液分離器(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0140】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0141】
(8-7)第3暖房冷設運転
図10に示す第3暖房冷設運転は、空調ユニット(60)の暖房負荷が低いときに実行される。第2暖房冷設運転では、コントローラ(130)が第3開閉弁(V3)および第4開閉弁(V4)を閉じ、第1開閉弁(V1)および第2開閉弁(V2)を開ける。コントローラ(130)は、第1圧縮機(21)および第3圧縮機(23)を運転し、第2圧縮機(22)を停止する。コントローラ(130)は、インジェクション弁(46)および第1室外膨張弁(26)を所定開度で開放し、第2室外膨張弁(27)を閉じる。コントローラ(130)は、室内膨張弁(63)および冷設膨張弁(73)の開度を調節する。コントローラ(130)は、室外ファン(12)、室内ファン(62)、および冷設ファン(72)を運転する。
【0142】
第3暖房冷設運転では、室内熱交換器(64)および室外熱交換器(24)が放熱器として機能し、冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0143】
具体的には、第1圧縮機(21)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒の一部は、空調ユニット(60)に送られる。空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内熱交換器(64)で放熱する。この結果、室内の空気が加熱される。室内熱交換器(64)で放熱した冷媒は、気液分離器(25)に流入する。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒の残部は、室外熱交換器(24)で放熱した後、気液分離器(25)に流入する。気液分離器(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0144】
気液分離器(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0145】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0146】
(8-8)デフロスト運転
デフロスト運転は、冬季などにおいて、室外熱交換器(24)に付着した霜を融かすために実行される。コントローラ(130)は、例えば暖房冷設運転中において、室外熱交換器(24)が着霜したことを示す条件が成立すると、デフロスト運転を実行する。デフロスト運転の基本的な動作は、
図5に示す冷房運転や、
図6に示す冷房冷設運転と同じである。室外熱交換器(24)では、高圧の冷媒が外部に放熱することで、室外熱交換器(24)の表面の霜が融ける。
【0147】
(9)過冷却度制御
冷凍装置(1)は、上述した各運転において、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)を流出する冷媒の過冷却度(sc)を制御する。過冷却度制御について、
図11を参照しながら説明する。
【0148】
ステップS11では、コントローラ(130)は、過冷却度(sc)が目標過冷却度(Tsc)より小さいかを判定する。ここで、過冷却度(sc)は、現在の時点の過冷却度と、その時点より所定時間前の1つ以上の過冷却度との平均値などであってもよい。過冷却度(sc)が目標過冷却度(Tsc)より小さい場合、処理はステップS13に移行する。ステップS13では、コントローラ(130)は、目標過冷却度(Tsc)と過冷却度(sc)との差分(Tsc-sc)に応じたパルスを、インジェクション弁(46)の現在のパルスに加算する。ここでいうパルスは、インジェクション弁(46)の開度を制御するためのパルス信号(開度指令)の変調幅を意味する。その結果、加算されたパルスに応じて、インジェクション弁(46)の開度が増大変化する。ステップS13において加算されるパルスは、目標過冷却度(Tsc)と過冷却度(sc)との差分が大きくほど、大きくなる。言い換えると、目標過冷却度(Tsc)と過冷却度(sc)との差分が大きいほど、インジェクション弁(46)の開度の増大変化量も大きくなる。この差分が小さいほどインジェクション弁(46)の開度の減少変化量も小さくなる。
【0149】
ステップS12では、コントローラ(130)は、過冷却度(sc)が目標過冷却度(Tsc)より大きいかを判定する。過冷却度(sc)が目標過冷却度(Tsc)より大きい場合、処理はステップS14に移行する。ステップS14では、コントローラ(130)は、過冷却度(sc)と目標過冷却度(Tsc)との差分(sc-Tsc)に応じたパルスを、インジェクション弁(46)の現在のパルスに減算する。その結果、減算されたパルスに応じて、インジェクション弁(46)の開度が減少変化する。ステップS14において減算されるパルスは、過冷却度(sc)と目標過冷却度(Tsc)との差分が大きくほど、大きくなる。言い換えると、過冷却度(sc)と目標過冷却度(Tsc)との差分が大きいほど、インジェクション弁(46)の開度の減少変化量も大きくなる。この差分が小さいほどインジェクション弁(46)の開度の減少変化量も小さくなる。
【0150】
過冷却度制御では、ステップS11~S14に係る制御が、所定時間(例えば10秒)毎に繰り返される。これにより、過冷却度(sc)が目標過冷却度(Tsc)に収束していく。
【0151】
(10)冷媒の不足について
(10-1)課題
冷凍装置(1)の出荷時や据え付け時においては、冷媒回路(6)の充填量が少ないことがある。特に、二酸化炭素を用いて高圧が臨界圧力以上となる冷凍装置(1)では、気液分離器(25)などの耐久圧力を考慮し、冷媒回路(6)の充填量を比較的少なめに設定することがある。また、据え付け後の冷凍装置(1)において、冷媒回路(6)の冷媒が漏洩してしまうことがある。このようにして、冷媒回路(6)の冷媒が不足すると、冷凍装置(1)の冷却能力が低下してしまうという問題が生じる。
【0152】
(10-2)判定制御
本実施形態では、上記の課題を解決するために、コントローラ(130)が冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。コントローラ(130)は、上述した過冷却度制御中に、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。この判定制御について
図12を参照しながら詳細に説明する。
【0153】
ステップS21において、コントローラ(130)は、インジェクション弁(46)の開度が所定時間(第1時間)以上継続して第1開度以上であるか否かを判定する。本実施形態では、第1開度はインジェクション弁(46)の全開開度である。言い換えると、ステップS22において、コントローラ(130)は、インジェクション弁(46)の開度が第1時間以上継続して全開開度であるか否かを判定する。ステップS21の条件が成立すると、処理はステップS23に移行し、コントローラ(130)は、冷媒が不足していると判断する。
【0154】
冷媒回路(6)の冷媒が不足すると、過冷却熱交換器(28)にガス冷媒が流れたり、乾き度が比較的大きい気液二相冷媒が流れたりすることがある。特に冷媒回路(6)の冷媒が不足し、気液分離器(25)内の液冷媒がほとんどなくなると、第1流路(28a)をガス冷媒が流れてしまう。このような場合、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)を流出した冷媒の過冷却度が低い、あるいはゼロとなる状態が継続する。この状況下で上述した過冷却度制御を行うと、インジェクション弁(46)の開度が徐々に増大し、最終的にはインジェクション弁(46)が全開になった状態が継続する。そこで、ステップS21の条件が成立する場合、コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の冷媒が不足していると判断する。冷媒の不足が判定されると、ステップS24において報知部(134)が、冷媒の不足を発報する。これにより、対象者は冷媒回路(6)の不足を速やかに知ることができる。
【0155】
ステップS22において、コントローラ(130)は、インジェクション弁(46)の開度が所定時間(第2時間)以上継続して第2開度以上であるか否かを判定する。本実施形態では、第2開度は第1開度よりも小さい所定の開度である。第2時間は、第1時間よりも長い所定時間である。つまり、ステップS22の条件は、インジェクション弁(46)の開度が第1開度よりも小さい第2開度である状態が、第1時間よりも長い第2時間以上継続することで、成立する。ステップS22の条件が成立すると、処理はステップS23に移行し、コントローラ(130)は、冷媒が不足していると判断する。
【0156】
上述したように冷媒回路(6)の冷媒が不足し、第1流路(28a)をガス冷媒や、乾き度が比較的大きい気液二相冷媒が流れると、過冷却度制御により、インジェクション弁(46)の開度が比較的大きい状態が長い間継続する。そこで、コントローラ(130)は、ステップS22の条件が成立する場合、コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の冷媒が不足していると判断する。冷媒の不足が判定されると、ステップS24において報知部(134)が、冷媒の不足を発報する。
【0157】
(10-3)インジェクション弁の開度に応じた判定の技術的効果
過冷却度制御において、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する方法としては、過冷却度そのものを用いることも考えられる。具体的には、過冷却度制御において、過冷却度が所定値よりも小さい条件が成立すると、コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。しかし、過冷却度は、過冷却度制御時におけるインジェクション弁(46)の開度と比較すると、冷媒の状態に応じて急激に変化しやすい。インジェクション弁(46)の開度は、上述したように、過冷却度(sc)と目標過冷却度(Tsc)との差に基づくパルスの加算値や減算値により変化するのに対し、過冷却度(sc)は冷媒の状態変化が直接的に反映される指標だからである。
【0158】
仮に過冷却度に応じて冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定した場合、何らかの影響により冷媒の状態が一時的に変化してしまうと、冷媒回路(6)の冷媒の不足を誤判定してしまう可能性がある。具体的には、例えば気液分離器(25)内で液面が不安定な状態で、分離したガス冷媒が一時的に第1流路(28a)に流出してしまった場合、過冷却度が一時的に所定値を下回る可能性がある。この場合、実際には冷媒回路(6)の冷媒が不足していないにも拘わらず、冷媒回路(6)の冷媒が不足したと誤判定してしまう可能性がある。
【0159】
これに対し、本実施形態では、過冷却度と比べて緩やかに変化するインジェクション弁(46)の開度を用いて冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。このため、上述した理由などにより、第1流路(28a)を一時的にガス冷媒が流れた場合において、冷媒回路(6)の冷媒が不足すると誤判定してしまうことを抑制できる。
【0160】
(10-4)誤判定を抑制するための他の条件
コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の誤判定を抑制するために、以下の条件下においては、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定しない。以下の条件は、第1流路(28a)を流出する冷媒の過冷却度(sc)が安定しない条件といえる。言い換えると、コントローラ(130)は、過冷却度(sc)が安定する条件において、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0161】
条件a)コントローラ(130)は、圧縮部(20)の運転開始時から所定時間(15分)が経過するまでの間は、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定しない。圧縮部(20)の運転開始時から所定時間(例えば15分)が経過するまでの間は、過冷却度(sc)が安定しないからである。言い換えると、コントローラ(130)は、圧縮部(20)の運転開始から所定時間が経過した後に、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0162】
条件b)室外熱交換器(24)が放熱器となる運転において、外気温度が所定温度Ta(例えば32℃)よりも高い場合、コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の高圧圧力を増大させるために、冷媒回路(6)の中間圧を所定の目標値に近づけるようにインジェクション弁(46)の開度を制御する。ここで、中間圧は、中間圧力センサ(102)によって検出される。この条件下では、インジェクション弁(46)が過冷却度制御されないので、コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定しない。
【0163】
条件c)室内熱交換器(64)が放熱器となる運転において、外気温度が所定温度Tb(例えば10℃)よりも低い場合、コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の高圧圧力を増大させるために、冷媒回路(6)の中間圧を所定の目標値に近づけるようにインジェクション弁(46)の開度を制御する。この条件下では、インジェクション弁(46)が過冷却度制御されないので、コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定しない。
【0164】
条件d)外気温度が所定温度(例えば32℃)より高い条件下では、冷媒回路(6)の高圧圧力、あるいは気液分離器(25)の内圧が上昇するので、コントローラ(130)は、ガス抜き弁(42)の開度を増大させたり、第1室外膨張弁(26)の開度を小さくしたりする。このような条件下では、第1流路(28a)を流出する冷媒の過冷却度(sc)が不安定となるので、コントローラ(130)は、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定しない。つまり、コントローラ(130)は、外気温度が所定温度より高い条件、高圧圧力が所定値より高い条件、あるいは気液分離器(25)の内圧が所定値より高い条件下において、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定しない。
【0165】
条件e)コントローラ(130)は、上述した各種の運転の切換時から所定時間が経過するまでの間は、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定しない。各運転の切換から所定時間が経過するまでの間は、過冷却度(sc)が安定しないからである。言い換えると、コントローラ(130)は、各運転の切換から所定時間が経過した後に、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0166】
(11)実施形態の効果
コントローラ(130)は、過冷却側減圧弁(46)の開度が所定開度以上であることを条件として、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0167】
冷媒回路(6)の冷媒が不足すると、第1流路(28a)を流出する冷媒の過冷却度が小さく、あるいはゼロとなり、過冷却側減圧弁(46)の開度が所定開度以上になる。このことを利用して、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定できる。
【0168】
過冷却側減圧弁(46)の開度は、過冷却度そのものよりも緩やかに変動するため、冷媒回路(6)の冷媒の不足を誤判定してしまうことを抑制できる。
【0169】
特に、コントローラ(130)は、過冷却側減圧弁(46)の開度が所定時間以上継続して所定開度以上であることを条件として、冷媒の不足を判定する。
【0170】
このため、冷媒回路(6)の冷媒の不足の誤判定をさらに抑制できる。
【0171】
コントローラ(130)は、過冷却側減圧弁(46)の開度が第1時間以上継続して第1開度以上である、または過冷却側減圧弁(46)の開度が第2時間以上継続して第2開度以上であることを条件として、冷媒の不足を判定する。第2時間は、第1時間よりも長く、第2開度は、第1開度よりも小さい。
【0172】
これらの条件により、過冷却側減圧弁(46)の開度が比較的大きい場合には、比較的速やかに冷媒回路(6)の冷媒が不足していると判定できる。過冷却側減圧弁(46)の開度が比較的小さい場合にも、この状態が比較的長く続くことで、冷媒回路(6)の冷媒が不足していると判定できる。
【0173】
コントローラ(130)は、過冷却側減圧弁(46)の開度が全開であることを条件として、冷媒回路(6)の冷媒の不足を判定する。
【0174】
冷媒回路(6)の冷媒が不足すると、第1流路(28a)流出する冷媒の過冷却度はゼロになるはずなので、過冷却側減圧弁(46)は、最終的に制御範囲の最大の開度に至る。このため、過冷却側減圧弁(46)の開度が全開となることを条件とすることで、冷媒回路(6)の冷媒の不足を精度よく判定できる。
【0175】
冷媒回路(6)は、高圧圧力が臨界圧力以上となる冷凍サイクルが可能に構成される。このため、第1流路(28a)を流出する冷媒の過冷却度(sc)は不安定になり易い。これに対し、過冷却側減圧弁(46)の開度は、過冷却度そのものと比較して緩やかに変化するので、過冷却度(sc)が不安定になることに起因して、冷媒回路(6)の冷媒の不足を誤判定することを抑制できる。
【0176】
冷媒回路(6)には、室外熱交換器(24)と、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)との間に気液分離器(25)が設けられる。このため、気液分離器(25)の液面が不安定な場合などにおいて、第1流路(28a)に一時的にガス冷媒が流れてしまう可能性がある。これに対し、過冷却側減圧弁(46)の開度は、過冷却度そのものと比較して緩やかに変化するので、過冷却度(sc)が不安定になることに起因して、冷媒回路(6)の冷媒の不足を誤判定することを抑制できる。
【0177】
(12)その他の実施形態
コントローラ(130)は、過冷却側減圧弁(46)の開度が瞬時的に所定開度以上になった場合に、冷媒回路(6)の冷媒が不足していると判定してもよい。
【0178】
コントローラ(130)は、冷媒の不足を判定すると、冷凍装置(1)の運転を停止するなどの所定の制御を実行してもよい。
【0179】
圧縮部(20)は、1つの圧縮機であってもよい。
【0180】
インジェクション流路(43)は、圧縮部(20)の吸入側に冷媒を送ってもよい。
【0181】
第1利用側熱交換器(64)は、水やブラインなどを加熱したり冷却したりする熱交換器であってもよい。第1利用側熱交換器(64)は、給湯器の熱源として利用されてもよい。
【0182】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0183】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0184】
以上に説明したように、本開示は、熱源ユニット、および冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0185】
1 冷凍装置
6 冷媒回路
10 熱源ユニット
20 圧縮部
24 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
25 気液分離器
28 過冷却熱交換器
28a 第1流路
28b 第2流路
46 インジェクション弁(過冷却側減圧弁)
60,70 利用ユニット