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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】部材結合装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20240911BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G06F1/16 312J
G06F1/16 312E
F16B5/02 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023192540
(22)【出願日】2023-11-10
【審査請求日】2023-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 康史
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-170266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材に設けられた第1の結合部と、
第2の部材に設けられ前記第1の結合部に対して第1の方向側に位置する第2の結合部と、
前記第1の結合部に設けられた雌ネジ部と、
頭部と、前記頭部から前記第1の方向の反対の第2の方向に延び前記雌ネジ部と結合する軸部と、を有し、前記雌ネジ部とによって前記第1の部材と前記第2の部材とを結合する雄ネジ部材と、
を備え、
前記第1の結合部は、前記第1の方向を向く第1の面と、前記第1の面から前記第1の方向に突出した凸部と、を有し、
前記雌ネジ部は、前記凸部の先端面から前記第2の方向に延び、
前記頭部は、前記第1の面と離間した状態で前記先端面に重ねられ、
前記第2の結合部は、前記第2の方向に延びるベース部と、前記ベース部から前記第1の面と前記頭部との間の隙間に延出し、前記隙間内を前記第1の方向に沿って移動可能な延出部と、前記ベース部に接続され前記頭部に対して前記第の方向側に位置し、前記頭部と接触することにより前記頭部の前記第1の方向への移動を制限する爪部と、を有し、
前記第2の結合部には、前記ベース部および前記延出部を前記第2の方向に貫通した貫通孔が設けられ、
前記雄ネジ部材が前記雌ネジ部に結合される場合に、前記雄ネジ部材が、前記貫通孔に入れられて前記第2の方向に移動されることにより、前記頭部が、前記爪部の前記第1の方向側から前記爪部を押すことで前記爪部を弾性変形させて前記爪部の第2の方向側に移動し、
前記延出部が前記隙間内を前記第1の方向に沿って移動する場合、前記第1の部材と前記第2の部材とが前記第1の方向に沿って相対移動する、
部材結合装置。
【請求項2】
前記爪部は、前記ベース部と接続されたアーム部と、前記アーム部から延び前記頭部に対して前記第1の方向側に位置する引掛部と、を有する、
請求項1に記載の部材結合装置。
【請求項3】
前記爪部は、傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記雄ネジ部材が前記雌ネジ部に結合される場合に前記爪部の前記第1の方向側に位置する前記頭部が接触可能であり、前記第2の方向に向かうにつれて前記貫通孔の内方に向かうように前記第2の方向に対して傾斜した、
請求項1に記載の部材結合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体と、筐体に収容された電子部品と、を備えた電子機器が知られている。この種の電子機器の筐体として、第1の部材と第2の部材とがネジによって結合されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-43098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の筐体では、例えば、第1の部材や第2の部材が撓んで変形した状態で第1の部材と第2の部材とが結合されると、その変形状態が保持されてしまう。また、この種の筐体においては、内部の電子部品の交換等のために第1の部材と第2の部材とを分離する際に、ネジが脱落すると、ネジを探すのに手間がかかる。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、第1の部材と第2の部材との結合においては第1の部材と第2の部材との変形を抑制することができ、第1の部材と第2の部材との分離の際には雄ネジ部材が脱落しにくい新規な構成の部材結合装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる部材結合装置は、第1の部材に設けられた第1の結合部と、第2の部材に設けられ前記第1の結合部に対して第1の方向側に位置する第2の結合部と、前記第1の結合部に設けられた雌ネジ部と、頭部と、前記頭部から前記第1の方向の反対の第2の方向に延び前記雌ネジ部と結合する軸部と、を有し、前記雌ネジ部とによって前記第1の部材と前記第2の部材とを結合する雄ネジ部材と、を備え、前記第1の結合部は、前記第1の方向を向く第1の面と、前記第1の面から前記第1の方向に突出した凸部と、を有し、前記雌ネジ部は、前記凸部の先端面から前記第2の方向に延び、前記頭部は、前記第1の面と離間した状態で前記先端面に重ねられ、前記第2の結合部は、前記第2の方向に延びるベース部と、前記ベース部から前記第1の面と前記頭部との間の隙間に延出し、前記隙間内を前記第1の方向に沿って移動可能な延出部と、前記ベース部に接続され前記頭部に対して前記第の方向側に位置し、前記頭部と接触することにより前記頭部の前記第1の方向への移動を制限する爪部と、を有し、前記第2の結合部には、前記ベース部および前記延出部を前記第2の方向に貫通した貫通孔が設けられ、前記雄ネジ部材が前記雌ネジ部に結合される場合に、前記雄ネジ部材が、前記貫通孔に入れられて前記第2の方向に移動されることにより、前記頭部が、前記爪部の前記第1の方向側から前記爪部を押すことで前記爪部を弾性変形させて前記爪部の第2の方向側に移動する。前記延出部が前記隙間内を前記第1の方向に沿って移動する場合、前記第1の部材と前記第2の部材とが前記第1の方向に沿って相対移動する。
【0007】
このような構成によれば、第2の結合部の延出部が、第1の結合部の第1の面と雄ネジ部材の頭部との間の隙間内を第1の方向に沿って移動可能であるので、第1の部材と第2の部材との結合において第1の部材と第2の部材との変形を抑制することができる。また、上記構成によれば、第2の結合部の爪部が、雄ネジ部材の頭部と接触することにより頭部の第1の方向への移動を制限するので、第1の部材と第2の部材との分離の際に雄ネジ部材が第2の結合部から脱落しにくい。
【0008】
前記部材結合装置は、例えば、前記爪部は、前記ベース部と接続されたアーム部と、前記アーム部から延び前記頭部に対して前記第の方向側に位置する引掛部と、を有する。
【0009】
このような構成によれば、アーム部が設けられているので、雄ネジ部材が雌ネジ部に結合される場合に、雄ネジ部材の頭部が、爪部をより一層弾性変形させやすい。
【0010】
前記部材結合装置は、例えば、前記爪部は、傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記雄ネジ部材が前記雌ネジ部に結合される場合に前記爪部の前記第1の方向側に位置する前記頭部が接触可能であり、前記第2の方向に向かうにつれて前記貫通孔の内方に向かうように前記第2の方向に対して傾斜している。
【0011】
このような構成によれば、爪部に傾斜面が設けられているので、雄ネジ部材の頭部が、爪部をより一層弾性変形させやすい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、第1の部材と第2の部材との結合においては第1の部材と第2の部材との変形を抑制することができ、第1の部材と第2の部材との分離の際には雄ネジ部材が脱落しにくい新規な構成の部材結合装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態の電子機器の正面側からの例示的な斜視図であって、ディスプレイユニットが展開位置に位置された状態の図である。
図2図2は、実施形態の電子機器の底面側からの例示的な斜視図であって、ディスプレイユニットが閉じ位置に位置された状態の図である。
図3図3は、実施形態の電子機器におけるベースユニットの底面側からの例示的な分解斜視図である。
図4図4は、実施形態の電子機器におけるベースユニットの部材結合装置の例示的な斜視図である。
図5図5は、実施形態の電子機器におけるベースユニットの部材結合装置の例示的な断面図である。
図6図6は、実施形態の電子機器におけるベースユニットの部材結合装置の例示的な斜視図である。
図7図7は、実施形態の部材結合装置の第2の結合部の例示的な斜視図である。
図8図8は、実施形態の部材結合装置の結合工程の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態の電子機器の組立後に第1の結合部と第2の結合部とが分離された状態を示す図である。
図10図10は、実施形態の第1の変形例の部材結合装置の第2の結合部の例示的な斜視図である。
図11図11は、実施形態の第2の変形例の部材結合装置の第2の結合部の例示的な斜視図である。
図12図12は、実施形態の第3の変形例の部材結合装置の例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0015】
図1は、実施形態の電子機器1の正面側からの例示的な斜視図であって、ディスプレイユニット3が展開位置に位置された状態の図である。図2は、実施形態の電子機器1の底面側からの例示的な斜視図であって、ディスプレイユニット3が閉じ位置に位置された状態の図である。図3は、実施形態の電子機器1におけるベースユニット2の底面側からの例示的な分解斜視図である。
【0016】
図1図3に示されるように、電子機器1は、例えば、ノートブック型(クラムシェル型)のパーソナルコンピュータとして構成され、ベースユニット2と、ディスプレイユニット3と、を備えている。ベースユニット2は、例えば机や、台、棚等の載置部の平面に載置される。ディスプレイユニット3は、ベースユニット2に対して回転中心軸C回りに回転可能にベースユニット2に支持され、展開位置(図1)と閉じ位置(図2)との間を移動可能である。具体的には、ディスプレイユニット3は、ヒンジ5を介してベースユニット2に連結されている。
【0017】
なお、本実施形態では、便宜上、X軸、Y軸およびZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、ベースユニット2の奥行方向(前後方向、短手方向)に沿い、Y軸は、ベースユニット2の幅方向(左右方向、長手方向)に沿い、Z軸は、ベースユニット2の高さ方向(上下方向)に沿う。
【0018】
更に、本明細書において、X方向、Y方向およびZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。また、以下の説明では、+X方向は前方、-X方向は後方とも称され、+Y方向は左方、-Y方向は右方とも称され、+Z方向は上方、-Z方向は下方とも称される。+Z方向は、第2の方向の一例であり、-Z方向は、第1の方向の一例である。
【0019】
ベースユニット2は、第1の筐体11と、第1の筐体11に支持されたキーボード12と、を有している。キーボード12は、上方から操作可能な状態に第1の筐体11に支持されている。また、図3に示されるように、、第1の筐体11内には、基板31が収容されている。基板31には、CPU(Central Processing Unit)やメモリ32等の複数の電子部品が実装されている。基板31に設けられた配線と基板31に実装された複数の電子部品とによって、電子機器1の電子回路の少なくとも一部が構成されている。更に、第1の筐体11内には、記憶装置33、無線モジュール34、およびバッテリー35等が収容されている。
【0020】
図1に示されるように、ディスプレイユニット3は、第2の筐体21と、ディスプレイ22と、を有している。ディスプレイ22は、表示画面22aが前方から視認可能な状態に、第2の筐体21に支持されている。
【0021】
ディスプレイユニット3が展開位置(図1)に位置した状態では、第1の筐体11の上面11aおよびキーボード12と、第2の筐体21の前面21aおよびディスプレイ22の表示画面22aとが対向せず、第1の筐体11の上面11a、キーボード12、第2の筐体21の前面21a、ディスプレイ22の表示画面22aが露出する。このとき、第2の筐体21の前面21aおよび後面21bは、それぞれ、前方および後方を向く。
【0022】
一方、ディスプレイユニット3が閉じ位置(図2)に位置した状態では、第1の筐体11の上面11aおよびキーボード12と、第2の筐体21の前面21aおよびディスプレイ22の表示画面22aとが対向する。
【0023】
図1および図2に示されるように、第1の筐体11の形状は、上下方向に扁平な略直方体である。第1の筐体11は、例えば、下壁11cや、上壁11d、前壁11e、後壁11f、左壁11g、右壁11h等の複数の壁を有している。
【0024】
下壁11cは、下面11bを含み、上壁11dは、上面11aを含む。下壁11cおよび上壁11dは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。下壁11cには、第1の筐体11を載置部の平面から離間した状態に支持する複数の支持部材43(図2,3)が設けられている。支持部材43は、脚やゴム脚等とも称される。
【0025】
前壁11eおよび後壁11fは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁11eおよび後壁11fは、それぞれ、第1の筐体11の前端部11iおよび後端部11jを構成している。前端部11iは、回転中心軸Cと離間している。後端部11jは、前端部11iに対して回転中心軸C側に設けられている。前端部11iは、第1の端部の一例であり、後端部11jは、第2の端部の一例である。
【0026】
左壁11gおよび右壁11hは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。左壁11gおよび右壁11hは、それぞれ、第1の筐体11の左端部11kおよび右端部11mを構成している。
【0027】
また、第1の筐体11には、四つの角部11na~11ndが設けられている。角部11naは、前壁11eと左壁11gとの交差部によって構成されている。角部11nbは、左壁11gと後壁11fとの交差部によって構成されている。角部11ncは、後壁11fと右壁11hとの交差部によって構成されている。角部11ndは、右壁11hと前壁11eとの交差部によって構成されている。
【0028】
また、第1の筐体11は、ロアカバー13と、アッパーカバー14と、を含む複数の部材の組み合わせによって構成されている。ロアカバー13は、少なくとも下壁11cを含む。アッパーカバー14は、少なくとも上壁11dを含む。ロアカバー13は、第1の部材の一例であり、アッパーカバー14は、第2の部材の一例である。
【0029】
図4は、実施形態の電子機器1におけるベースユニット2の部材結合装置60の例示的な斜視図である。図5は、実施形態の電子機器1におけるベースユニット2の部材結合装置60の例示的な断面図である。図6は、実施形態の電子機器1におけるベースユニット2の部材結合装置60の例示的な斜視図である。
【0030】
図4図6に示されるように、ロアカバー13とアッパーカバー14とは、複数の部材結合装置60によって結合されている。部材結合装置60は、部材結合構造体や部材結合構造物とも称される。
【0031】
部材結合装置60は、第1の結合部61と、第2の結合部51と、雌ネジ部61eと、雄ネジ部材71と、を備える。第1の結合部61は、アッパーカバー14に設けられ、第2の結合部51は、ロアカバー13に設けられている。雌ネジ部61eは、第1の結合部61に設けられている。雄ネジ部材71は、第2の結合部51に保持された状態で、雄ネジ部71cと結合している。
【0032】
第1の結合部61は、アッパーカバー14の内面14aから-Z方向に突出している。
【0033】
第1の結合部61は、外周面に段差を有する円筒状に形成されている。第1の結合部61は、第1の面61aと、凸部61bと、を有する。第1の面61aは、-Z方向を向く。第1の面61aは、円環状に形成されている。凸部61bは、第1の面61aから-Z方向に突出している。凸部61bは、円筒状に形成されている。凸部61bの先端面61cは、第1の面61aよりも-Z方向に位置する。先端面61cは、凸部61bの突出方向側の面であり、-Z方向を向く。
【0034】
第1の結合部61の内周面61dには、雌ネジ部61eが形成されている。雌ネジ部61eは、凸部61bの先端面61cから+Z方向に延びている。
【0035】
また、第1の結合部61は、アッパーカバー14に一体形成されたボス62と、アッパーカバー14と別部材の雌ネジ部材63との組み合わせによって構成されている。ボス62は、第1の面61aを含み、円筒状に形成されている。雌ネジ部材63は、凸部61bおよび雌ネジ部61eを含み、円筒状に形成されている。雌ネジ部材63は、ボス62の内側(筒内)にて、ボス62に固定されている。ボス62と雌ネジ部材63とは、例えば、インサート成形/アウトサー成形によって互いに結合される。雌ネジ部材63は、ナットとも称される。
【0036】
雄ネジ部材71は、頭部71aと、軸部71bと、を有する。雄ネジ部材71は、例えばネジであるが、ボルトであってよい。軸部71bは、頭部71aから+Z方向に延び雌ネジ部61eと結合している。具体的には、軸部71bの外周面には、雄ネジ部71cが設けられており、雄ネジ部71cが雌ネジ部61eと結合している。雄ネジ部材71は、雄ネジ部71cが雌ネジ部61eと結合することにより、雌ネジ部61eとによってアッパーカバー14とロアカバー13とを結合する。
【0037】
また、頭部71aは、第1の面61aと離間した状態で第1の結合部61における凸部61bの先端面61cに重ねられている。頭部71aと、第1の結合部61の第1の面61aとの間には、隙間60aが設けられている。ここで、凸部61bの先端面61cは、雄ネジ部材71に対する座面を構成する。
【0038】
図7は、実施形態の部材結合装置60の第2の結合部51の例示的な斜視図である。図5図7に示されるように、第2の結合部51は、ロアカバー13の内面13aから+Z方向に突出しており、第1の結合部61に対して-Z方向側に位置している。
【0039】
第2の結合部51は、ベース部51aと、複数(一例として四つ)の延出部51cと、を有する。第2の結合部51には、貫通孔51bが設けられている。貫通孔51bは、第2の結合部51を+Z方向に貫通している。具体的には、貫通孔51bは、ベース部51aおよび延出部51cを+Z方向に貫通している。
【0040】
ベース部51aは、ロアカバー13の内面13aから+Z方向に突出している。すなわわち、ベース部51aは、+Z方向に延びている。
【0041】
ベース部51aは、筒状部51mと、複数(一例として四つ)のアーム部51nと、を有する。筒状部51mは、ロアカバー13の内面13aから+Z方向に突出している。
【0042】
複数のアーム部51nは、筒状部51mから+Z方向に突出するとともに、貫通孔51b回りに互いに間隔を空けて配置されている。
【0043】
延出部51cは、ベース部51aのアーム部51nの+Z方向側の端部から、第1の面61aと頭部71aとの間の隙間60aに延出している。延出部51cの+Z方向側の面51gは、第1の面61aと対向し、延出部51cの-Z方向側の面51qは、雄ネジ部材71の頭部71aの+Z方向側の面と対向する。
【0044】
延出部51cのZ方向の厚さ(長さ)は、隙間60aのZ方向の厚さ(長さ)よりも薄い。これにより、延出部51cは、隙間60a内を-Z方向に沿って移動可能である。この構成により、第1の結合部61およびアッパーカバー14と、第2の結合部51およびロアカバー13とが、Z方向に所定の範囲で相対移動可能となっている。
【0045】
また、第2の結合部51は、複数(一例として四つ)の爪部51dを有する。複数の爪部51dは、貫通孔51b回りに、間隔をあけて配置されており、爪部51dと延出部51cとが、貫通孔51b回りに交互に配置されている。爪部51dと延出部51cとの間には、溝51fが設けられている。
【0046】
爪部51dは、ベース部51aに接続され頭部71aに対してZ方向側に位置している。爪部51dは、頭部71aと接触することにより頭部71aの-Z方向への移動を制限する。
【0047】
具体的には、爪部51dは、アーム部51iと、引掛部51hと、を有する。アーム部51iは、ベース部51aの筒状部51mから+Z方向に突出している。引掛部51hは、アーム部51iから延びて、頭部71aに対してZ方向側に位置している。
【0048】
また、爪部51dは、支持面51jと、傾斜面51kと、を有する。支持面51jは、爪部51dの+Z方向側の端面であり、雄ネジ部材71の頭部71aと接触することにより、雄ネジ部材71を支持する。
【0049】
傾斜面51kは、支持面51jに対して-Z方向側に位置する。傾斜面51kは、雄ネジ部材71が雌ネジ部61eに結合される場合に爪部51dの-Z方向側に位置する頭部71aが接触可能であり、+Z方向に向かうにつれて貫通孔51bの内方に向かうように+Z方向に対して傾斜している。
【0050】
爪部51dは、弾性変形可能である。爪部51dは、アーム部51iと引掛部51hとの両方が弾性変形可能であってもよいし、アーム部51iと引掛部51hとのうちの一方が弾性変形可能であってもよい。
【0051】
次に、部材結合装置60によるロアカバー13とアッパーカバー14との結合工程(結合方法)について説明する。図8は、実施形態の部材結合装置60の結合工程の一例を示す図である。結合作業は、例えば作業員やロボット等によって行われる。
【0052】
まずは、第1の結合部61と第2の結合部51とが離間した状態(図8の(a))から、第1の結合部61の凸部61bが第2の結合部51の貫通孔51bに+Z方向側から入れられる(図8の(b))。
【0053】
次に、雄ネジ部材71が、第2の結合部51の貫通孔51bに-Z方向側から入れられて+Z方向に移動されなるとともに、雄ネジ部材71の雄ネジ部71cと第1の結合部61の雌ネジ部61eとの結合が開始される。このとき、雄ネジ部材71が+Z方向に移動されることにより、頭部71aが、爪部51dの-Z方側から爪部51dを押すことで爪部51dを弾性変形させて爪部51dの+Z方向に移動する。すなわち、頭部71aが、複数の爪部51dを通過する。具体的には、頭部71aは、爪部51dに傾斜面51kを押しながら+Z方向に移動し、複数の爪部51dを貫通孔51bの外輪に向けて弾性変形させて、複数の爪部51dを通過する。このとき、爪部51dでは、アーム部51i及び引掛部51hが弾性変形する。アーム部51iは、貫通孔51bの外側向けて傾斜するように弾性変形する。
【0054】
頭部71aが爪部51dを通過すると、爪部51dは、弾性変形前の元の形状に戻る。これにより、頭部71aが、爪部51dの引掛部51hと、第2の結合部51の延出部51cとの間に位置する。そして、更に、雄ネジ部材71が+Z方向に移動されて、頭部71aが第1の結合部61の第1の面61aに接触する。これにより、第1の結合部61と第2の結合部51とが結合し、第1の結合部61と第2の結合部51とによって、ロアカバー13とアッパーカバー14とが結合される(図8の(c))。なお、図8では、雌ネジ部61eは、雄ネジ部材71のネジ切りによって形成される例が示されているが、雌ネジ部61eは、予め形成されていてもよい。
【0055】
上記構成の電子機器1においては、メモリ32や、記憶装置33、無線モジュール34、バッテリー35等の収容部品の交換のため等に、ロアカバー13とアッパーカバー14とが分離されて、第1の筐体11内が開放される場合がある。この場合の部材結合装置60について説明する。
【0056】
図9は、実施形態の電子機器1の組立後に第1の結合部61と第2の結合部51とが分離された状態を示す図である。図9に示されるように、第1の結合部61と第2の結合部51とが分離された状態において、頭部71aは、第2の結合部51の爪部51dの引掛部51hと、第2の結合部51の延出部51cとの間に位置する。頭部71aは、第2の結合部51に対して相対的に-Z方向に移動すると爪部51dに引っ掛かり、第2の結合部51に対して相対的に+Z方向に移動すると延出部51cに引っ掛かる。すなわち、爪部51dは、頭部71aの-Z方向への移動を制限し、延出部51cは、頭部71aの+Z方向への移動を制限する。すなわち、第2の結合部51は、雄ネジ部材71を保持する。よって、雄ネジ部材71が第2の結合部51から脱落するのが抑制される。なお、この状態で、頭部71aが-Z方向に移動する場合には、爪部51dが弾性変形した場合であっても、爪部51dは、貫通孔51bの内方に向けて倒れるように弾性変形するので、頭部71aが爪部51dを通過するのが阻止される。
【0057】
以上のように、本実施形態では、部材結合装置60は、第1の結合部61と、第2の結合部51と、雌ネジ部61eと、雄ネジ部材71と、を備える。第1の結合部61は、アッパーカバー14(第1の部材)に設けられている。第2の結合部51は、ロアカバー13(第2の部材)に設けられ第1の結合部61に対して-Z方向(第1の方向)側に位置する。雌ネジ部61eは、第1の結合部61に設けられている。雄ネジ部材71は、頭部71aと、軸部71bと、を有する。軸部71bは、頭部71aから-Z方向の反対の+Z方向に延び雌ネジ部61eと結合する。雄ネジ部材71は、雌ネジ部61eとによってアッパーカバー14とロアカバー13とを結合する。第1の結合部61は、第1の面61aと、凸部61bと、を有する。第1の面61aは、-Z方向を向く。凸部61bは、第1の面61aから-Z方向に突出している。頭部71aは、第1の面61aと離間した状態で先端面61cに重ねられている。第2の結合部51は、ベース部51aと、延出部51cと、爪部51dと、を有する。ベース部51aは、+Z方向に延びている。延出部51cは、ベース部51aから第1の面61aと頭部71aとの間の隙間60aに延出している。延出部51cは、隙間60a内を-Z方向に沿って移動可能である。爪部51dは、ベース部51aに接続され頭部71aに対してZ方向側に位置している。爪部51dは、頭部71aと接触することにより頭部71aの-Z方向への移動を制限する。第2の結合部51には、貫通孔51bが設けられている。貫通孔51bは、ベース部51aおよび延出部51cを+Z方向に貫通している。雄ネジ部材71が雌ネジ部61eに結合される場合に、雄ネジ部材71が、貫通孔51bに入れられて+Z方向に移動されることにより、頭部71aが、爪部51dの-Z方側から爪部51dを押すことで爪部51dを弾性変形させて爪部51dの+Z方向に移動する。
【0058】
このような構成によれば、第2の結合部51の延出部51cが、第1の結合部61の第1の面61aと雄ネジ部材71の頭部71aとの間の隙間60a内を-Z方向に沿って移動可能であるので、アッパーカバー14とロアカバー13との結合においてアッパーカバー14とロアカバー13との変形を抑制することができる。また、上記構成によれば、第2の結合部51の爪部51dが、雄ネジ部材71の頭部71aと接触することにより頭部71aの第1の方向への移動を制限するので、アッパーカバー14とロアカバー13との分離の際に雄ネジ部材71が第2の結合部51から脱落しにくい。
【0059】
また、上記構成によれば、第2の結合部51のベース部51aに爪部51dが一体形成されて、爪部51dが第2の結合部51に含まれる。よって、雄ネジ部材71を脱落防止のために、ワッシャーを用いる部材結合装置や、段付きネジとEリングとの組み合わせた構成の部材結合装置に比べて、部材結合装置60の構成を簡素化しやすく、コスト低減を図ることができる。また、部材結合装置60の組み立てが容易である。
【0060】
また、爪部51dは、アーム部51iと、引掛部51hと、を有する。アーム部51iは、ベース部51aと接続されている。引掛部51hは、アーム部51iから延びて、頭部71aに対してZ方向側に位置している。
【0061】
このような構成によれば、アーム部51iが設けられているので、雄ネジ部材71が雌ネジ部61eに結合される場合に、雄ネジ部材71の頭部71aが、爪部51dをより一層弾性変形させやすい。
【0062】
また、爪部51dは、傾斜面51kを有する。傾斜面51kは、雄ネジ部材71が雌ネジ部61eに結合される場合に爪部51dの-Z方向側に位置する頭部71aが接触可能であり、+Z方向に向かうにつれて貫通孔51bの内方に向かうように+Z方向に対して傾斜している。
【0063】
このような構成によれば、爪部51dに傾斜面51kが設けられているので、雄ネジ部材71の頭部71aが、爪部51dをより一層弾性変形させやすい。
【0064】
次に、変形例を説明する。
【0065】
図10は、実施形態の第1の変形例の部材結合装置60の第2の結合部51の例示的な斜視図である。図10に示されるように、第1の変形例では、第2の結合部51において、延出部51c、アーム部51n、および爪部51dの数が三つである。
【0066】
図11は、実施形態の第2の変形例の部材結合装置60の第2の結合部51の例示的な斜視図である。図11に示されるように、第2の変形例では、第2の結合部51において、爪部51dのアーム部51iと、溝51fとが設けられていない。爪部51dの引掛部51hは、ベース部51aの筒状部51mから延出している。
【0067】
図12は、実施形態の第3の変形例の部材結合装置60の例示的な断面図である。図12に示されるように、第3の変形例では、第2の結合部51において、凸部61bおよび雌ネジ部61eがボス62に設けられている。第2の結合部51は、ボス62のみで構成され、雌ネジ部材63を有さない。
【0068】
なお、上記実施形態では、部材結合装置60が適用される対象として、電子機器1が示され、電子機器1の一例としてノートブック型のパーソナルコンピュータが示されたが、これに限定されない。例えば、電子機器1は、デスクトップ型のコンピュータや、プリンタ、表示装置等であってもよい。また、部材結合装置60が適用される対象は、電子機器1以外であってもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等の仕様(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
13…ロアカバー(第2の部材)
14…アッパーカバー(第1の部材)
51…第2の結合部
51a…ベース部
51b…貫通孔
51c…延出部
51d…爪部
51h…引掛部
51i…アーム部
51k…傾斜面
60…部材結合装置
60a…隙間
61…第1の結合部
61a…第1の面
61b…凸部
61e…雌ネジ部
71…雄ネジ部材
71a…頭部
71b…軸部
【要約】
【課題】第1の部材と第2の部材との結合においては第1の部材と第2の部材との変形を抑制することができ、第1の部材と第2の部材との分離の際には雄ネジ部材が脱落しにくい新規な構成の部材結合装置を得る。
【解決手段】部材結合装置は、第1の部材に設けられた第1の結合部と、第2の部材に設けられた第2の結合部と、第1の結合部に設けられた雌ネジ部と、雌ネジ部とによって第1の部材と第2の部材とを結合する雄ネジ部材と、を備える。第1の結合部は、第1の面と、第1の面から第1の方向に突出した凸部と、を有する。第2の結合部は、第2の方向に延びるベース部と、ベース部から第1の面と雄ネジ部材の頭部との間の隙間に延出し、隙間内を第1の方向に沿って移動可能な延出部と、頭部に対して第2の方向側に位置し頭部の第1の方向への移動を制限する爪部と、を有する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12