(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ビリベルジン又はその誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 207/44 20060101AFI20240911BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
C07D207/44
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2023528162
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2021073781
(87)【国際公開番号】W WO2022134260
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】202011529380.X
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521145657
【氏名又は名称】百▲順▼▲葯▼▲業▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】POSEIDON PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】521145668
【氏名又は名称】武▲漢▼大▲鵬▼▲葯▼▲業▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN DAPENG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 發普
(72)【発明者】
【氏名】石 聿新
(72)【発明者】
【氏名】陳 發凱
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109535057(CN,A)
【文献】特表2004-503556(JP,A)
【文献】MORA, M. E. et al.,“On how the conformation of biliverdins influences their reduction to bilirubins: A biological and molecular modeling study”,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2003年,Vol. 11, No. 21,pp. 4661-4672,DOI: 10.1016/S0968-0896(03)00479-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 207/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式2に示す化合物から製造されるビリベルジン又は
ビリベルジンジエステルの製造方法であって、
【化1】
式中、Rは水素、C
1~C
5アルキル基又はベンジル基であり、
は単結合又は二重結合を表し、A、Bで示される位置の
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ
(ただし、同時に二重結合である場合を除外する)、
が単結合を表す場合、該単結合に連結するR
1又はR
2はp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基、フェニルスルホニル基及びフェニルスルフィニル基のうちの1つから選ばれ、
が二重結合を表す場合、該二重結合に連結するR
1又はR
2は水素であ
り、
前記ビリベルジン又はビリベルジンジエステルの構造式は式1に示すとおりであり、
【化3】
式中、Rは水素、C
1
~C
5
アルキル基又はベンジル基であり、
前記製造方法の製造中に触媒を加える必要があり、前記触媒は有機塩基である、
ことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
前記式2に示す化合物は下記に示す化合物のうちの1つであることを特徴とする、請求項
1に記載のビリベルジン又は
ビリベルジンジエステルの製造方法。
【化3】
【請求項3】
前記ビリベルジン又は
ビリベルジンジエステルは式2に示す化合物を加熱反応させることで製造されることを特徴とする、請求項
1に記載のビリベルジン又は
ビリベルジンジエステルの製造方法。
【請求項4】
前記加熱反応に使用される溶媒は置換ベンゼン、ピロリドン、DMF及びTHFのうちの1つ又は複数から選ばれることを特徴とする、請求項
3に記載のビリベルジン又は
ビリベルジンジエステルの製造方法。
【請求項5】
前記加熱反応に使用される溶媒はキシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、DMF及びTHFのうちの1つ又は複数から選ばれることを特徴とする、請求項
4に記載のビリベルジン又は
ビリベルジンジエステルの製造方法。
【請求項6】
加熱反応の反応温度を100~160℃に制御することを特徴とする、請求項
3に記載のビリベルジン又は
ビリベルジンジエステルの製造方法。
【請求項7】
前記有機塩基はピリジン、ナトリウムエトキシドのうちの1つ又は2つから選ばれることを特徴とする、請求項
1に記載のビリベルジン又は
ビリベルジンジエステルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明特許は、医薬品合成の分野に属し、より具体的には、本発明はビリベルジン又はその誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビリベルジン(biliverdin)はヘモグロビンをヘムオキシゲナーゼ(hemeoxygenase-1,HO-1)で加水分解開環して得られたテトラピロール環物質であり(その構造は式8に示すとおり)、暗緑色を呈するためこの名称となった。ビリベルジンはヘモグロビン代謝循環系の中間代謝産物であるとともに、抗炎症及び免疫調節等の生理的役割、例えば肝臓の機能を改善し、アラニンアミノトランスフェラーゼを低減し、肝移植による虚血再灌流障害を軽減し、血管新生内膜による血管リモデリングを抑制し、及びウシ下痢症ウイルスの複製を抑制する等の機能を、有効にすることもできる。したがって、ビリベルジンは臨床医薬品としての用途で高い将来性がある。
【0003】
また、ビリルビンIxαは体外培養牛黄の主要な原料であり、ビリベルジンIxαはビリルビンIxαの製造に用いることができ(CN2018113118011.9)、ビリベルジンIxαは重要な医薬品中間体でもある。
【0004】
現在、ビリベルジンを製造するには主に、抽出法、化学変換法、酵素変換法及び生合成法がある。抽出法は、原料の供給源がかなり限られているほか、ビリルビンの抽出において種々の異性体が形成しやすいため、生成物のビリルビンは収率及び純度が低い。従来から、ヘモグロビン化学酸化法でビリベルジンを製造することが報告されていたが、この方法は同様に多くの異性体が発生し、収率が低い。現在、酵素変換法及び生合成法でヘモグロビンをビリベルジンに変換させることが報告されているが、酸化開環の選択性が低く、且つヘモグロビンの供給源が限られ、価格が高く、工業的生産にも適していない。
【0005】
【0006】
ビリベルジンの合成方法による製造は、ビリベルジン及びビリルビンの問題を解決するための重要で有効なアプローチであるが、今まで、ビリベルジンの合成方法は報告されたことがかなり少ない(K.M.Smith,R.K.Pandey,Tetrahedron,1984,40,1749~1754;E.D.Sturrock,J.R.Bullb,R.E.Kirsch,J.LabelledCompd.Rad.,1994,263~274)。前記方法では、3,3’-(3,18-ジクロロエチル-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステルを原料とし、強アルカリ性条件下で、塩化水素を除去することで、ビリベルジンジメチルエステルが得られるが、ジプロピオン酸ジメチルエステルを合成する反応ステップが多く、収率が低く、コストが高い。それは強アルカリ性条件下で塩化水素を除去し、モル比が約1:1のビリベルジンジメチルエステルと、3位及び18位が環化された生成物とを生成させ、ビリベルジンの収率が低く、僅か20%であり、また、ビリベルジンジメチルエステルと、3位及び18位が環化された生成物とをクロマトグラフィー方法によって分離する必要があり、工業的生産に適していない。
【0007】
【0008】
したがって、簡素で、生成物のクロマトグラフィー分離を必要とせず、工業的生産に適するビリベルジン又はその誘導体の製造方法を開発する必要性は高い。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は少なくとも一定程度で従来技術に存在する技術的課題の1つを解決することであり、そのために、本発明は、ビリベルジン又はその誘導体の製造方法を提供し、前記ビリベルジン又はその誘導体は式2に示す化合物から製造される。
【0010】
【0011】
式中、Rは水素、C
1~C
5アルキル基又はベンジル基であり、
は単結合又は二重結合を表し、A、Bで示される位置の
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ、
が単結合を表す場合、該単結合に連結するR
1又はR
2はp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基、フェニルスルホニル基及びフェニルスルフィニル基のうちの1つから選ばれ、
が二重結合を表す場合、該二重結合に連結するR
1又はR
2は水素である。
【0012】
本発明の技術的解決手段では、本発明の製造方法によって製造されたビリベルジン又はその誘導体の構造式は式1に示すとおりである。
【0013】
【0014】
式中、RはH、C1~C5アルキル基又はベンジル基から選ばれ、
好ましくは、前記式2に示す化合物は下記に示す化合物のうちの1つである。
【0015】
【0016】
本発明の技術的解決手段では、前記ビリベルジン又はその誘導体は式2に示す化合物を加熱反応させることで製造される。
【0017】
本発明の技術的解決手段では、前記加熱反応に使用される溶媒は置換ベンゼン、ピロリドン、DMF及びTHFのうちの1つ又は複数から選ばれる。反応を上記溶媒中で進行するように制御する場合、その反応収率は45%以上に達することができる。
【0018】
好ましくは、前記加熱反応に使用される溶媒はキシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、DMF及びTHFのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0019】
本発明の技術的解決手段では、加熱反応の反応温度を100~160℃に制御する。反応温度を100~160℃に制御する場合、その反応収率は45%以上に達する。
【0020】
好ましくは、加熱反応の反応温度を130~150℃に制御する。反応温度を130~150℃に制御する場合、その好ましい反応溶媒下で反応を進行させると、その反応収率は60%以上に達する。
【0021】
本発明の技術的解決手段では、製造中に触媒を加える必要がある。
【0022】
好ましくは、前記触媒は有機塩基である。反応系に有機塩基を触媒として添加するとともに、反応温度を130~150℃に制御する場合、その好ましい反応溶媒下で反応を進行させると、その反応収率は70%以上に達する。
【0023】
さらに、前記有機塩基はピリジン、ナトリウムエトキシドのうちの1つ又は複数から選ばれる。その反応収率は73%以上に達する。
【0024】
本発明の技術的解決手段では、反応後、前記ビリベルジン又はその誘導体は再結晶によって抽出される。
【0025】
好ましくは、前記再結晶に使用される溶媒は酢酸エチル、エタノールのうちの1つ又は2つから選ばれる。
【0026】
本発明の技術的解決手段では、反応後、前記ビリベルジン又はその誘導体は酸性化した後にジクロロメタンで抽出される。
【0027】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0028】
1、本発明のビリベルジン又はその誘導体の製造方法はプロセスが簡単で、カラムクロマトグラフィーを必要とせず、収率が高く、コストが低く、工業的生産に適する。
【0029】
2、本発明のビリベルジン又はその誘導体の製造方法はビリベルジンジメチルエステル又はビリベルジン合成において生成物及びその構造に類似する副産物の発生が低減され、精製が容易で、生成物純度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下において実施例と関連付けて本発明の解決手段を解釈する。当業者であれば、以下の実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではないことが理解される。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていない場合、本分野における文献に記載の技術もしくは条件又は製品の説明書に従って行う。NMRはBruker-AMX400核磁気共鳴分光計で測定し、ESI-MSはFinnigan-MAT-95質量分析計で測定し、いずれの試薬も分析用試薬である(国薬試剤社)。以下の実施例において、1,5-ジヒドロ-4-メチル-3-(2-p-トリルチオエチル)-5-p-トルエンスルホニル-2H-2-ピロロン(式12に示す化合物)は文献Chem.Lett.,2001,6,590~591の方法で製造し、5-ホルミル-3-メトキシカルボニルエチル-4-メチルピロール酸tert-ブチル(式13に示す化合物)、9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式17に示す化合物)は文献Bull.Chem.Soc.Jpn.,1994,67,3088~3093の方法で製造し、9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式14に示す化合物)、9-tert-ブトキシカルボニル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トリルチオエチル)-ジピロメテン-1-オン(式18に示す化合物)は文献J.Org.Chem.,2020,85,13015~13028の方法で製造し、9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-ビニルジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)は文献Angew.Chem.Int.Ed.,1998,37,13-14,1843~1846の方法で製造する。
<実施例1>
【0031】
0.92グラムの化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を秤量し、40ミリリットルのキシレンを加えて溶解させ、135℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、0.50グラムの青緑色固体であるビリベルジンジエステル(式7に示す化合物)を得、その収率は63%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.89(s,3H)、2.10(s,3H)、2.13(s,3H)、2.20(s,3H)、2.56(t,J=8.1Hz,4H)、2.95(t,J=8.1Hz,4H)、3.69(s,6H)、5.46(d,J=12.0Hz,1H)、5.66(dd,J=12.0,4.0Hz、1H)、5.68(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.02(s,1H)、6.08(s,1H)、6.14(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.51(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.64(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.81(s,1H)、ESI-Mass:633.20[M+Na]+。
【0032】
反応式は以下のとおりである。
【0033】
【0034】
0.92グラムの化合物3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)を原料として秤量し、40ミリリットルのDMFを加えて溶解させ、130℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、青緑色固体であるビリベルジンジエステル(式7に示す化合物)を得、その収率は60%である。
【0035】
反応式は以下のとおりである。
【0036】
【0037】
0.92グラムの化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を秤量し、40ミリリットルのニトロベンゼンを加えて溶解させ、150℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、0.50グラムの青緑色固体であるビリベルジンジエステル(式7に示す化合物)を得、その収率は61%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.89(s,3H)、2.10(s,3H)、2.13(s,3H)、2.20(s,3H)、2.56(t,J=8.1Hz,4H)、2.95(t,J=8.1Hz,4H)、3.69(s,6H)、5.46(d,J=12.0Hz,1H)、5.66(dd,J=12.0,4.0Hz,1H)、5.68(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.02(s,1H)、6.08(s,1H)、6.14(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.51(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.64(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.81(s,1H)、ESI-Mass:633.20[M+Na]+。
<実施例4>
【0038】
0.92グラムの化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3)を秤量し、40ミリリットルのピロリドンを加えて溶解させ、135℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、0.50グラムの青緑色固体であるビリベルジンジエステル(式7)を得、その収率は45%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.89(s,3H)、2.10(s,3H)、2.13(s,3H)、2.20(s,3H)、2.56(t,J=8.1Hz,4H)、2.95(t,J=8.1Hz,4H)、3.69(s,6H)、5.46(d,J=12.0Hz,1H)、5.66(dd,J=12.0,4.0Hz,1H)、5.68(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.02(s,1H)、6.08(s,1H)、6.14(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.51(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.64(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.81(s,1H)、ESI-Mass:633.20[M+Na]+。
<実施例5>
【0039】
0.92グラムの化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を秤量し、40ミリリットルのキシレンを加えて溶解させ、100℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、0.50グラムの青緑色固体であるビリベルジンジエステル(式7に示す化合物)を得、その収率は51%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.89(s,3H)、2.10(s,3H)、2.13(s,3H)、2.20(s,3H)、2.56(t,J=8.1Hz,4H)、2.95(t,J=8.1Hz,4H)、3.69(s,6H)、5.46(d,J=12.0Hz,1H)、5.66(dd,J=12.0,4.0Hz,1H)、5.68(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.02(s,1H)、6.08(s,1H)、6.14(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.51(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.64(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.81(s,1H)、ESI-Mass:633.20[M+Na]+。
<実施例6>
【0040】
0.92グラムの化合物3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)を原料として秤量し、40ミリリットルのDMFを加えて溶解させ、160℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、青緑色固体であるビリベルジンジエステル(式7に示す化合物)を得、その収率は49%である。
<実施例7>
【0041】
0.92グラムの化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を秤量し、40ミリリットルのキシレンを加えて溶解させ、10ミリリットルのピリジンを触媒として加え、135℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、0.50グラムの青緑色固体であるビリベルジンジエステル(式7に示す化合物)を得、その収率は73%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.89(s,3H)、2.10(s,3H)、2.13(s,3H)、2.20(s,3H)、2.56(t,J=8.1Hz,4H)、2.95(t,J=8.1Hz,4H)、3.69(s,6H)、5.46(d,J=12.0Hz,1H)、5.66(dd,J=12.0,4.0Hz,1H)、5.68(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.02(s,1H)、6.08(s,1H)、6.14(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.51(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.64(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.81(s,1H)、ESI-Mass:633.20[M+Na]+。
<実施例8>
【0042】
0.92グラムの化合物3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)を原料として秤量し、40ミリリットルのDMFを加えて溶解させ、10ミリリットルのピリジンを触媒として加え、130℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、青緑色固体であるビリベルジンジエステル(式7に示す化合物)を得、その収率は74%である。
<実施例9>
【0043】
0.92グラムの化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式5に示す化合物)を秤量し、40ミリリットルの無水THFを加えて溶解させ、さらに10ミリリットルのtert-ブタノールに溶解した0.93グラムのナトリウムtert-ブトキシドを加え、135℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌し、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物に水を加え、希塩酸で酸性化させ、ジクロロメタンで抽出し、0.50グラムの青緑色固体であるビリベルジン(式8に示す化合物)を得、その収率は74%である。スペクトルデータは文献Monatshr.Chem.,1989,120,575-580と同様である。
【0044】
反応式は以下のとおりである。
【0045】
【0046】
0.77グラムの化合物3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式6に示す化合物)を秤量し、35ミリリットルの無水THFを加えて溶解させ、さらに10ミリリットルのtert-ブタノールに溶解した0.93グラムのカリウムtert-ブトキシドを加え、135℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌し、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物に水を加え、希塩酸で酸性化させ、ジクロロメタンで抽出し、0.40グラムの青緑色固体であるビリベルジン(式8に示す化合物)を得、その収率は69%である。スペクトルデータは文献Monatshr.Chem.,1989,120,575-580と同様である。
【0047】
【0048】
(1)式3に示す化合物の合成方法
化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)の合成方法は以下のとおりである。
【0049】
【0050】
1.00グラムの9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式9に示す化合物)を秤量し、20℃下で、10mlのトリフルオロ酢酸を加え、30min撹拌し、0.87グラムの化合物9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式10に示す化合物)を加え、温度35℃下で10時間撹拌し、20mlのジクロロメタンを加えて溶解させ、炭酸水素ナトリウムでpH7に中和し、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して1.19グラムの青緑色固体である3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を得、収率は72%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.52(s,3H)、1.93(s,3H)、1.95(s,3H)、1.99(s,3H)、2.34(s,3H)、2.40(s,3H)、2.51~2.65(m,6H)、2.87(t,J=7.2Hz,2H)、2.96(t,J=7.2Hz,2H)、3.27(t,J=7.2Hz,2H)、3.66(s,3H)、3.67(s,3H)、5.55(s,1H)、5.75(s,1H)、6.66(s,1H)、7.14(d,J=8.0Hz,2H)、7.30(d,J=8.0Hz,2H)、7.33(d,J=8.0Hz,2H)、7.76(d,J=8.0Hz,2H)、ESI-Mass:891.34[M+1]+。
【0051】
式3に示す化合物の合成原料である式9、式10に示す化合物の合成は以下の実験群を含む。
【0052】
実験群1 9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式9に示す化合物)の合成
【0053】
【0054】
5.24グラムの式11の化合物を秤量し、反応フラスコに入れ、30mlのジクロロメタンで溶解させ、0℃まで降温させ、2.40グラムの85%m-クロロ過安息香酸をバッチで加え、室温で3時間撹拌した後に亜硫酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、有機層を分離してから順に飽和食塩水、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、4.97グラムの黄色固体である9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式9に示す化合物)を得、収率は92%である。そのまま次の反応に使用する。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.57(s,9H)、2.08(s,3H)、2.15(s,3H)、2.30(s,3H)、2.54(t,J=8.0Hz,2H)、2.80(t,J=7.2Hz,2H)、3.03(t,J=8.0Hz,2H)、3.17(t,J=7.2Hz,2H)、3.70(s,3H)、6.00(s,1H)、7.03(d,J=8.0Hz,2H)、7.23(d,J=8.0Hz,2H)、9.89(s,1H)、10.20(s,1H)、ESI-Mass:563.25[M+Na]+。
【0055】
実験群2 9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トリルチオエチル)-ジピロメテン-1-オン(式11に示す化合物)の合成
【0056】
【0057】
窒素保護下で、10.50グラムの式12の化合物と14.85グラムの式13の化合物とを混合し、250mlの無水THFで溶解させ、順に16.55グラムのトリ-N-ブチルホスフィン、6.50グラムのDBUを加え、室温で12時間撹拌した後に1.0グラムの固体ヨウ素を加え、室温で引き続き12時間撹拌し、減圧濃縮し、残留物に20mlのエタノールを加え、固体を析出させ、吸引濾過し、エタノールで洗浄し、13.60グラムの黄色固体である9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トリルチオエチル)-ジピロメテン-1-オン(式11に示す化合物)を得、収率は73%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.56(s,9H)、2.07(s,3H)、2.13(s,3H)、2.28(s,3H)、2.54(t,J=8.1Hz,2H)、2.80(t,J=7.1Hz,2H)、3.03(t,J=8.1Hz,2H)、3.15(t,J=7.1Hz,2H)、3.70(s,3H)、6.00(s,1H)、7.03(d,J=8.0Hz,2H)、7.23(d,J=8.0Hz,2H)、9.89(s,1H)、10.18(s,1H)、10.71(s,1H),ESI-Mass:446.20[M+Na]+
【0058】
実験群3 9-ホルミル--3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式10に示す化合物)の合成
【0059】
【0060】
5.00グラム(9.3mmol)の化合物9-tert-ブトキシカルボニル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式14に示す化合物)を秤量し、20ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、室温で30分間撹拌した後に20ミリリットルのオルトギ酸トリメチルを加え、室温で引き続き1時間撹拌し、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、エタノールで再結晶し、2.24グラムの黄色固体である9-ホルミル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式10に示す化合物)を得、収率は55%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.93(s,3H)、2.07(s,3H)、2.43(s,3H)、2.56(t,J=7.6Hz,2H)、2.66~2.70(m,1H)、2.88~2.92(m,1H)、2.95~3.10(m,4H)、3.65(s,3H)、5.98(s,1H)、7.34(d,J=8.0Hz,2H)、7.51(d,J=8.0Hz,2H)、9.72(s,1H)、10.78(s,1H)、10.91(s,1H)、ESI-Mass:491.22[M+Na]+。
【0061】
(2)式4に示す化合物の合成方法
3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)の合成
【0062】
【0063】
1.00グラムの9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式9に示す化合物)を秤量し、20℃下で、10mlのトリフルオロ酢酸を加え、30min撹拌し、0.617グラムの化合物9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-ビニルジピロメテン-1-オン(式15)を加え、温度35℃下で10時間撹拌し、20mlのジクロロメタンを加えて溶解させ、炭酸水素ナトリウムでpH7に中和し、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して0.93グラムの青緑色固体である3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)を得、収率は66%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.70(s,3H)、2.02(s,3H)、2.04(s,3H)、2.10(s,3H)、2.39(s,3H)、2.52~2.55(m,4H)、2.73~2.78(m,2H)、2.86~2.89(m,4H)、3.03~3.08(m,2H)、3.68(s,3H)、5.59(d,J=17.1,1H)、5.61(d,J=10.5,1H)、5.81(s,1H)、5.87(s,1H)、6.53(dd,J=17.1,11.6Hz,1H)、6.65(s,1H)、7.29(d,J=8.2Hz,2H)、7.57(d,J=8.2Hz,2H)、ESI-Mass:751.95[M+1]+。
【0064】
(3)式5化合物の合成
3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式5に示す化合物)の合成
【0065】
【0066】
1.00グラムの9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式15)を秤量し、5ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、温度25℃下で30分間撹拌した後に0.87グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オンを加え、温度25℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して0.91グラムの青緑色固体を得、収率は55%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.52(s,3H)、1.93(s,3H)、1.95(s,3H)、1.99(s,3H)、2.34(s,3H)、2.40(s,3H)、2.51~2.65(m,6H)、2.87(t,J=7.2Hz,2H)、2.96(t,J=7.2Hz,2H)、3.27(t,J=7.2Hz,2H)、3.66(s,3H)、3.67(s,3H)、5.55(s,1H)、5.75(s,1H)、6.66(s,1H)、7.14(d,J=8.0Hz,2H)、7.30(d,J=8.0Hz,2H)、7.33(d,J=8.0Hz,2H)、7.76(d,J=8.0Hz,2H)、ESI-Mass:945.34[M+Na]+。
【0067】
式5の合成原料である式15、式16に示す化合物の合成は以下の実験群を含む。
【0068】
実験群1 9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式16)の合成
【0069】
【0070】
5.56グラム(10.0mmol)の化合物9-tert-ブトキシカルボニル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式17に示す化合物)を秤量し、20ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、室温で30分間撹拌した後に20ミリリットルのオルトギ酸トリメチルを加え、室温で引き続き1時間撹拌し、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、エタノールで再結晶し、2.24グラムの黄色固体である9-ホルミル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式16に示す化合物)を得、収率は50%である。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.93(s,3H)、2.07(s,3H)、2.43(s,3H)、2.56(t,J=7.6Hz,2H)、2.66~2.70(m,1H)、2.88~2.92(m,1H)、2.95~3.10(m,4H)、3.65(s,3H)、5.98(s,1H)、7.34(d,J=8.0Hz,2H)、7.51(d,J=8.0Hz,2H)、9.72(s,1H)、10.78(s,1H)、10.91(s,1H)、ESI-Mass:507.18[M+Na]+。
【0071】
実験群2 9-tert-ブトキシカルボニル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式17)の合成
【0072】
【0073】
5.20グラムの9-tert-ブトキシカルボニル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トリルチオエチル)-ジピロメテン-1-オン(式18に示す化合物)を秤量し、反応フラスコに入れ、40ミリリットルのメタノールで溶解させ、さらに11グラムの30%m-クロロ過安息香酸を加え、70℃に保温しながら5時間撹拌した後、降温させ、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、亜硫酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、有機層を分離した後に順に飽和食塩水、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、5.17グラムの黄色固体である9-tert-ブトキシカルボニル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式17に示す化合物)を得、収率は94%である。そのまま次の反応に使用する。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.55(s,9H)、1.93(s,3H)、2.08(s,3H)、2.42(s,3H)、2.58(t,J=7.6Hz,2H)、2.66~2.71(m,1H)、2.87~2.90(m,1H)、2.96~3.10(m,4H)、3.66(s,3H)、5.97(s,1H)、7.35(d,J=8.0Hz,2H)、7.53(d,J=8.0Hz,2H)、9.73(s,1H)、10.78(s,1H)、10.91(s,1H)、ESI-Mass:579.32[M+Na]+。
【0074】
(4)式6に示す化合物の合成方法
3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式6に示す化合物)の合成
【0075】
【0076】
1.00グラムの9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式17に示す化合物)を秤量し、20℃下で、10mlのトリフルオロ酢酸を加え、30min撹拌し、0.617グラムの化合物9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-ビニルジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)を加え、温度35℃下で10時間撹拌し、20mlのジクロロメタンを加えて溶解させ、炭酸水素ナトリウムでpH7に中和し、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して0.93グラムの青緑色固体である3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式6に示す化合物)を得、収率は66%である。
【0077】
以上は本発明の実施例を示して説明したが、上記実施例は例示的なものであり、本発明を限定するものと理解してはいけないことが理解可能であり、当業者であれば本発明の範囲内で上記実施例に対する変更、修正、置換及び変形は可能である。