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特許7553928ビリベルジン系化合物及びその製造方法並びに用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ビリベルジン系化合物及びその製造方法並びに用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/44 20060101AFI20240911BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
C07D207/44 CSP
C07B61/00 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023528167
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 CN2021073782
(87)【国際公開番号】W WO2022134261
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】202011527218.4
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521145657
【氏名又は名称】百▲順▼▲葯▼▲業▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】POSEIDON PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】521145668
【氏名又は名称】武▲漢▼大▲鵬▼▲葯▼▲業▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN DAPENG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 發普
(72)【発明者】
【氏名】石 聿新
(72)【発明者】
【氏名】陳 發凱
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109535057(CN,A)
【文献】特表2004-503556(JP,A)
【文献】MORA, M. E. et al.,“On how the conformation of biliverdins influences their reduction to bilirubins: A biological and molecular modeling study”,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2003年,Vol. 11, No. 21,pp. 4661-4672,DOI: 10.1016/S0968-0896(03)00479-6
【文献】MAKHYNYA, Y. et al.,“Synthesis of Selectively 13C-Labelled Bilin Compounds”,European Journal of Organic Chemistry,2007年,Vol. 2007, No. 8,pp. 1287-1293,DOI: 10.1002/ejoc.200600677
【文献】FALK, H. et al.,“Beitrage zur Chemie der Pyrrolpigmente, 67. Mitt.”,Monatshefte fur Chemie - Chemical Monthly,1986年,Vol. 117,pp. 1081-1090
【文献】KAKIUCHI, T. et al.,“Total Synthesis of (+-)-Phytochromobilin Starting from Two Pyrrole Derivatives”,Synlett,1999年,pp. 901-904
【文献】STURROCK, E. D. et al.,“The synthesis of [10-13C]bilirubin IXα”,Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,1994年,Vol. 34,No. 3,pp. 263-274
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 207/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式が式1に示すとおりであり、
【化1】

式中、Rは水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれ、

は二重結合又は単結合を表し、A、Bで示される位置の

はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ(ただし、同時に二重結合である場合を除外する)

が単結合である場合、該単結合に連結するR又はRはp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェニルスルフィニル基から選ばれ、

が二重結合である場合、該二重結合に連結するR又はRは水素であることを特徴とする、ビリベルジン系化合物。
【請求項2】
式1に示す化合物の構造は以下のとおりであることを特徴とする、請求項1に記載のビリベルジン系化合物。
【化2】
【請求項3】
請求項1又は2に記載のビリベルジン系化合物の製造方法であって、前記ビリベルジン系化合物は式7の化合物及び式8の化合物を縮合反応させることで得られ、反応式は以下のとおりであり、
【化3】

式中、Rは水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれ、
は二重結合又は単結合を表し、A、Bで示される位置の
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ(ただし、同時に二重結合である場合を除外する)
が単結合である場合、該単結合に連結するR又はRはp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェニルスルフィニル基から選ばれ、
が二重結合である場合、該二重結合に連結するR又はRは水素であり、R及びRのうちの一方はアルデヒド基であり、R及びRのうちの他方はtert-ブトキシカルボニル基、水素のうちの1つから選ばれることを特徴とする、前記製造方法。
【請求項4】
前記縮合反応は酸触媒下で行うことを特徴とする、請求項3に記載のビリベルジン系化合物の製造方法。
【請求項5】
前記酸は塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸のうちの1つ又は複数から選ばれることを特徴とする、請求項4に記載のビリベルジン系化合物の製造方法。
【請求項6】
前記縮合反応に使用される溶媒はC~Cアルコール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル及びアセトンのうちの1つ又は複数から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載のビリベルジン系化合物の製造方法。
【請求項7】
前記縮合反応の温度を-10~35℃に制御することを特徴とする、請求項3に記載のビリベルジン系化合物の製造方法。
【請求項8】
前記式7の化合物と、式8の化合物と、酸とのモル比は1:(0.5~2):(0.1~0.5)に制御することを特徴とする、請求項4に記載のビリベルジン系化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明特許は、医薬品合成の分野に属し、より具体的には、本発明はビリベルジン系化合物及びその製造方法並びに用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ビリベルジン(biliverdin)はヘモグロビンをヘムオキシゲナーゼ(hemeoxygenase-1,HO-1)で加水分解開環して得られたテトラピロール環物質であり(その構造は式4に示すとおり)、暗緑色を呈するためこの名称となった。ビリベルジンはヘモグロビン代謝循環系の中間代謝産物であるとともに、抗炎症及び免疫調節等の生理的役割、例えば肝臓の機能を改善し、アラニンアミノトランスフェラーゼを低減し、肝移植による虚血再灌流障害を軽減し、血管新生内膜による血管リモデリングを抑制し、及びウシ下痢症ウイルスの複製を抑制する等の機能を、有効にすることもできる。したがって、ビリベルジンは臨床医薬品としての用途で高い将来性がある。
【0003】
また、ビリルビンは体外培養牛黄の主要な原料であり、ビリベルジンはビリルビンの製造に用いることができ(CN2018113118011.9)、ビリベルジンは重要な医薬品中間体でもある。
【0004】
現在、ビリベルジンを製造するには主に、抽出法、化学変換法、酵素変換法及び生合成法がある。抽出法は、原料の供給源がかなり限られているほか、ビリルビンの抽出において種々の異性体が形成されるため、生成物のビリルビンは収率及び純度が低い。従来から、ヘモグロビン化学酸化法でビリベルジンを製造することが報告されていたが、この方法は同様に多くの異性体が発生し、収率が低い。現在、酵素変換法及び生合成法でヘモグロビンをビリベルジンに変換させることが報告されているが、酸化開環の選択性が低く、且つヘモグロビンの供給源が限られ、価格が高く、工業的生産にも適していない。
【0005】
【化1】
【0006】
ビリベルジンの合成方法による製造は、ビリベルジン及びビリルビンの問題を解決するための重要で有効なアプローチであるが、今まで、ビリベルジンの合成方法は報告されたことがかなり少ない(K.M.Smith,R.K.Pandey,Tetrahedron,1984,40,1749~1754;E.D.Sturrock,J.R.Bullb,R.E.Kirsch,J.LabelledCompd.Rad.,1994,263~274)。これらの報告のいずれにおいても、クロロエチルピロールカルボン酸ベンジルを出発原料とし、一連の反応を経て、ジピロメタンを得、縮合させてピロリンを生成し、さらに加水分解によって3,18-ジクロロエチルビリベルジンジメチルエステルを生成させ、この方法に使用される原料であるジピロメタンの製造は反応ステップが多く、収率が低く、コストが高く、いくつかのステップによる汚染が大きく、多数のステップにクロマトグラフィー方法による分離が必要であり、工業的生産に適していない。
【0007】
【化2】
【0008】
したがって、クロマトグラフィー分離が省略される方法であって、工業的生産に適するビリベルジン系化合物の合成方法の開発は、ビリベルジン研究の重要な内容である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
文献におけるビリベルジン合成に存在する収率が低く、副産物が多く、コストが高く、分離が困難である等の問題に対して、本発明の目的は、一定程度で従来技術に存在する問題を解決することであり、そのために、新規ビリベルジン中間体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様において、本発明は、ビリベルジン系化合物を提供し、構造式が式1に示すとおりであり、
【化3】
式中、Rは水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれ、
は二重結合又は単結合を表し、A、Bで示される位置の
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ、
が単結合である場合、該単結合に連結するR又はRはp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェニルスルフィニル基から選ばれ、
が二重結合である場合、該二重結合に連結するR又はRは水素である。
好ましくは、Rは水素、C~Cアルキル基のうちの1つから選ばれ、
は二重結合又は単結合を表し、A、Bで示される位置の
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ、
が単結合である場合、該単結合に連結するR又はRはp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基から選ばれ、
が二重結合である場合、該二重結合に連結するR又はRは水素である。
より好ましくは、式1に示す化合物の構造は以下のとおりである。
【化4】
【0011】
より好ましくは、本発明の第2態様において、本発明は上記ビリベルジン系化合物の製造方法をさらに提供し、前記ビリベルジン系化合物は式7の化合物及び式8の化合物を縮合反応させることで得られ、反応式は以下のとおりであり、
【化5】
式中、Rは水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれ、
は二重結合又は単結合を表し、A、Bで示される位置の
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ、
が単結合である場合、該単結合に連結するR又はRはp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェニルスルフィニル基から選ばれ、
が二重結合である場合、該二重結合に連結するR又はRは水素であり、R及びRのうちの一方はアルデヒド基であり、R及びRのうちの他方はtert-ブトキシカルボニル基、水素のうちの1つから選ばれる。
本発明の技術的解決手段では、前記縮合反応は酸触媒下で行う。
本発明の技術的解決手段では、前記酸は塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸のうちの1つ又は複数から選ばれる。
本発明の技術的解決手段では、前記縮合反応の温度を20~35℃に制御する。
【0012】
本発明の技術的解決手段では、前記式7の化合物と、式8の化合物と、酸とのモル比は1:(0.5~2):(0.1~0.5)に制御し、好ましくは、前記式7の化合物と、式8の化合物と、酸とのモル比は1:(0.8~1.2):(0.1~0.3)に制御する。
【0013】
本発明の第3態様において、本発明は上記ビリベルジン系化合物の、ビリベルジン系化合物の製造における用途をさらに提供し、前記用途はビリベルジンアナログ(ビリベルジンアナログはビリベルジン又はそのアナログ合成の中間体とする)の、ビリベルジン又はそのアナログの製造における用途を含む。具体的には、式3、式4又は式5に示す化合物の、ビリベルジン又はビリベルジンジメチルエステルの製造における用途を含む。
【0014】
本発明の第4態様において、本発明はビリベルジン又はそのアナログの製造方法をさらに提供し、式1の化合物において、A、Bで示される位置の
がいずれも二重結合であり、Rが水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれる場合、式1の化合物はビリベルジン又はそのアナログであり、それは式7及び式8で縮合反応によって製造してもよい。反応式は以下のとおりである。
【0015】
【化6】
【0016】
式中、Rは水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれ、A、Bで示される位置の
はいずれも二重結合であり、R及びRはいずれも水素であり、R及びRのうちの一方はアルデヒド基であり、R及びRのうちの他方はtert-ブトキシカルボニル基、水素のうちの1つから選ばれる。好ましくは、Rは水素、メチルのうちの1つから選ばれる。
【0017】
本発明の技術的解決手段では、上記第4態様に記載のビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記縮合反応は酸触媒下で行う。
【0018】
本発明の技術的解決手段では、上記第4態様に記載のビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記酸は塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0019】
本発明の技術的解決手段では、上記第4態様に記載のビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記縮合反応に使用される溶媒はC~Cアルコール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル及びアセトンのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0020】
本発明の技術的解決手段では、上記第4態様に記載のビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記縮合反応の温度を-10~35℃に制御する。
【0021】
本発明の技術的解決手段では、上記第4態様に記載のビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記式7の化合物と、式8の化合物と、酸とのモル比は1:(0.5~2):(0.1~0.5)に制御する。
【0022】
本発明の第5態様において、本発明はビリベルジン又はそのアナログの別の製造方法をさらに提供し、前記ビリベルジン又はそのアナログは式1の化合物を加熱反応させることで得られる。
【0023】
本発明の技術的解決手段では、上記ビリベルジン系化合物(式1に示す化合物であって、好ましくは式2、式3、式4に示す化合物)は加熱反応によってビリベルジン又はそのアナログが製造される。
【0024】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン系化合物(式1に示す化合物であって、好ましくは式2、式3、式4に示す化合物)を加熱反応させることでビリベルジン又はそのアナログを製造するステップにおいて、前記加熱反応に使用される溶媒は置換ベンゼン、ピロリドン、DMF及びTHFのうちの1つ又は複数から選ばれる。反応を上記溶媒中で進行するように制御する場合、その反応収率は45%以上に達することができる。
【0025】
好ましくは、前記加熱反応に使用される溶媒はキシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、DMF及びTHFのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0026】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン系化合物(式1に示す化合物であって、好ましくは式2、式3、式4に示す化合物)を加熱反応させることでビリベルジン又はそのアナログを製造するステップにおいて、加熱反応の反応温度を100~160℃に制御する。反応温度を100~160℃に制御する場合、その反応収率は45%以上に達する。
【0027】
好ましくは、加熱反応の反応温度を130~150℃に制御する。反応温度を130~150℃に制御する場合、その好ましい反応溶媒下で反応を進行させると、その反応収率は60%以上に達する。
【0028】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン系化合物(式1に示す化合物であって、好ましくは式2、式3、式4に示す化合物)を加熱反応させることでビリベルジン又はそのアナログを製造するステップにおいて、反応中に触媒を加える必要がある。
【0029】
好ましくは、前記触媒は有機塩基である。反応系に有機塩基を触媒として添加するとともに、反応温度を130~150℃に制御する場合、その好ましい反応溶媒下で反応を進行させると、その反応収率は70%以上に達する。
【0030】
さらに、前記有機塩基はピリジン、ナトリウムエトキシドのうちの1つ又は複数から選ばれる。その反応収率は73%以上に達する。
【0031】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン系化合物(式1に示す化合物であって、好ましくは式2、式3、式4に示す化合物)を加熱反応させることでビリベルジン又はそのアナログを製造するステップにおいて、ビリベルジン又はそのアナログはビリベルジン又はビリベルジンジメチルエステルである。
【発明の効果】
【0032】
本発明の有益な効果は主に以下のとおりである。
【0033】
1、本発明は新規なビリベルジン又はそのアナログの中間体を提供し、ビリベルジン又はそのアナログを製造することができ、製造プロセスが簡単で、効率が高く、コストが低く、工業化しやすい。
【0034】
2、本発明は新規なビリベルジン又はそのアナログの中間体の製造方法を提供し、その製造プロセスが簡単で、条件が穏和で、室温下で実行でき、コストが低い。
【0035】
3、本発明は全く新規なビリベルジン又はそのアナログの製造方法を提供し、簡単で、工業化しやすい。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下において本発明の実施例を詳細に説明する。以下に説明される実施例は例示的なものであり、単に本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0037】
本発明はビリベルジン系化合物の製造方法、その用途、及びビリベルジン又はそのアナログの製造方法を提案する。
【0038】
ビリベルジン系化合物
本発明はビリベルジン系化合物を提供し、その構造式は式1に示すとおりである。
【0039】
【化7】
【0040】
式中、Rは水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれ、
は二重結合又は単結合を表し、A、Bで示される位置の
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ、
が単結合である場合、該単結合に連結するR又はRはp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェニルスルフィニル基から選ばれ、
が二重結合である場合、該二重結合に連結するR又はRは水素である。
【0041】
好ましくは、ビリベルジン系化合物の構造式は次の構造から選ばれる。
【0042】
【化8】
【0043】
ビリベルジン系化合物の製造方法
本発明は上記ビリベルジン中間体の製造方法をさらに提供し、該中間体は式2の化合物と式3の化合物を縮合反応させることで得られ、反応式は以下のとおりである。
【0044】
【化9】
【0045】
式中、Rは水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれ、
は二重結合又は単結合を表し、A、Bで示される位置の
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合のうちの1つから選ばれ、
が単結合である場合、該単結合に連結するR又はRはp-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェニルスルフィニル基から選ばれ、
が二重結合である場合、該二重結合に連結するR又はRは水素であり、R及びRのうちの一方はアルデヒド基であり、R及びRのうちの他方はtert-ブトキシカルボニル基、水素のうちの1つから選ばれる。
【0046】
本発明の技術的解決手段では、上記縮合反応は酸触媒下で行う。
【0047】
本発明の技術的解決手段では、前記酸は塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸のうちの1つ又は複数から選ばれ、好ましくは、前記酸は硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0048】
本発明の技術的解決手段では、縮合反応に使用される溶媒はC~Cアルコール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル及びアセトンのうちの1つ又は複数から選ばれ、好ましくは、前記縮合反応に使用される溶媒はメタノール、エタノール及びイソプロパノールのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0049】
本発明の技術的解決手段では、前記縮合反応の温度を20~35℃に制御する。
【0050】
本発明の技術的解決手段では、前記式2の化合物と、式3の化合物と、酸とのモル比は1:(0.5~2):(0.1~0.5)に制御し、好ましくは、前記式2の化合物と、式3の化合物と、酸とのモル比は1:(0.8~1.2):(0.1~0.3)に制御する。
【0051】
ビリベルジン系化合物の用途
本発明は上記ビリベルジン系化合物の、ビリベルジン又はそのアナログの製造における用途をさらに提供する。前記用途はビリベルジンアナログ(ビリベルジンアナログはビリベルジン又はそのアナログ合成の中間体とする)の、ビリベルジン又はそのアナログの製造における用途を含む。具体的には、式3、式4又は式5に示す化合物の、ビリベルジン又はビリベルジンジメチルエステルの製造における用途を含む。
【0052】
ビリベルジン又はそのアナログの製造方法
式1の化合物において、A、Bで示される位置の
がいずれも二重結合であり、Rが水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれる場合、式1の化合物はビリベルジン又はそのアナログであり、それは式7及び式8で縮合反応によって製造してもよい。反応式は次のとおりである。
【0053】
【化10】
【0054】
式中、Rは水素、C~Cアルキル基及びベンジル基のうちの1つから選ばれ、A、Bで示される位置の
はいずれも二重結合であり、R及びRはいずれも水素であり、R及びRのうちの一方はアルデヒド基であり、R及びRのうちの他方はtert-ブトキシカルボニル基、水素のうちの1つから選ばれる。好ましくは、Rは水素、メチルのうちの1つから選ばれる。
【0055】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記縮合反応は酸触媒下で行う。
【0056】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記酸は塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0057】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記縮合反応に使用される溶媒はC~Cアルコール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル及びアセトンのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0058】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン及びそのアナログの製造方法において、前記縮合反応の温度を-10~35℃に制御する。
【0059】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン又はそのアナログの製造方法において、前記式7の化合物と、式8の化合物と、酸とのモル比は1:(0.5~2):(0.1~0.5)に制御する。本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン又はそのアナログはビリベルジン又はビリベルジンジメチルエステルである。
【0060】
ビリベルジン又はそのアナログの製造方法
本発明は上記ビリベルジン中間体でビリベルジン又はそのアナログを製造する方法をさらに提供する。
【0061】
本発明の技術的解決手段では、上記ビリベルジンアナログ(式1に示す化合物であって、好ましくは式2、式3、式4に示す化合物)を加熱反応させることでビリベルジンを製造する。
【0062】
本発明の技術的解決手段では、前記加熱反応に使用される溶媒は置換ベンゼン、ピロリドン、DMF及びTHFのうちの1つ又は複数から選ばれる。反応を上記溶媒中で進行するように制御する場合、その反応収率は45%以上に達することができる。
【0063】
好ましくは、前記加熱反応に使用される溶媒はキシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、DMF及びTHFのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0064】
本発明の技術的解決手段では、加熱反応の反応温度を100~160℃に制御する。反応温度を100~160℃に制御する場合、その反応収率は45%以上に達する。
【0065】
好ましくは、加熱反応の反応温度を130~150℃に制御する。反応温度を130~150℃に制御する場合、その好ましい反応溶媒下で反応を進行させると、その反応収率は60%以上に達する。
【0066】
本発明の技術的解決手段では、製造中に触媒を加える必要がある。
【0067】
好ましくは、前記触媒は有機塩基である。反応系に有機塩基を触媒として添加するとともに、反応温度を130~150℃に制御する場合、その好ましい反応溶媒下で反応を進行させると、その反応収率は70%以上に達する。
【0068】
さらに、前記有機塩基はピリジン、ナトリウムエトキシドのうちの1つ又は複数から選ばれる。その反応収率は73%以上に達する。
【0069】
本発明の技術的解決手段では、ビリベルジン又はそのアナログはビリベルジン又はビリベルジンジメチルエステルである。
【0070】
以下において実施例と関連付けて本発明の解決手段を解釈する。当業者であれば、以下の実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではないことが理解される。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていない場合、本分野における文献に記載の技術もしくは条件又は製品の説明書に従って行う。使用される試薬又は計器がメーカーが明記されていない場合、いずれも市場から購入可能な通常製品である。NMRはBruker-AMX400核磁気共鳴分光計で測定し、ESI-MSはFinnigan-MAT-95質量分析計で測定し、いずれの試薬も分析用試薬である(国薬試剤社)。以下の実施例において、1,5-ジヒドロ-4-メチル-3-(2-p-トリルチオエチル)-5-p-トルエンスルホニル-2H-2-ピロロン(式21に示す化合物)は文献Chem.Lett.,2001,6,590~591の方法で製造し、9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式12に示す化合物)、9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-ビニルジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)は文献Angew.Chem.Int.Ed.,1998,37,13-14,1843~1846の方法で製造し、3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式17に示す化合物)は文献Org.Lett.,2001,3,827~830の方法で製造し、9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式16に示す化合物)、5-ホルミル-3-メトキシカルボニルエチル-4-メチルピロール酸tert-ブチル(式22に示す化合物)、9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式30に示す化合物)は文献Bull.Chem.Soc.Jpn.,1994,67,3088~3093の方法で製造し、9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式18に示す化合物)、9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式23に示す化合物)は、文献Bull.Chem.Soc.Jpn.,1994,67,3088~3093の方法で製造し、2,2-ジメトキシプロピルアミン(式28に示す化合物)は文献Euro.J.Med.Chem.,1995,30,931~942の方法で製造し、4-p-トリルチオブチリルクロリド(式29に示す化合物)は文献MedChemComm,2017,8,1268~1274の方法で製造する。
【0071】
<実施例1>
3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式2に示す化合物)の合成
【0072】
【化11】
【0073】
1.00グラムの化合物9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式9に示す化合物)を秤量し、5ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、温度25℃下で30分間撹拌した後、0.87グラムの化合物9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式10に示す化合物)を加え、温度25℃下で10時間撹拌し、20mlのジクロロメタンを加え、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して0.85グラムの青緑色固体である3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式2に示す化合物)を得、収率は51%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.52(s,3H)、1.93(s,3H)、1.95(s,3H)、1.99(s,3H)、2.34(s,3H)、2.40(s,3H)、2.51~2.65(m,6H)、2.87(t,J=7.2Hz,2H)、2.96(t,J=7.2Hz,2H)、3.27(t,J=7.2Hz,2H)、3.66(s,3H)、3.67(s,3H)、5.55(s,1H)、5.75(s,1H)、6.66(s,1H)、7.14(d,J=8.0Hz,2H)、7.30(d,J=8.0Hz,2H)、7.33(d,J=8.0Hz,2H)、7.76(d,J=8.0Hz,2H)、ESI-Mass:891.34[M+1]
【0074】
<実施例2>
3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式2に示す化合物)の合成
【0075】
【化12】
【0076】
1.00グラムの化合物-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式11に示す化合物)及び0.87グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式10に示す化合物)を秤量し、混合した後に50ミリリットルのメタノールで溶解させ、さらに1.5ミリリットルの1M塩化水素メタノール溶液を加え、温度15℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶してグラムの青緑色固体1.09である3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式2に示す化合物)を得、収率は66%である。
【0077】
<実施例3>
3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式2に示す化合物)の合成
【0078】
【化13】
【0079】
1.00グラムの3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式11に示す化合物)及び0.87グラムの化合物9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式10に示す化合物)を秤量し、混合した後に50ミリリットルのエタノールで溶解させ、さらに0.5ミリリットルの濃硫酸を加え、温度35℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して1.19グラムの青緑色固体である3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式2に示す化合物)を得、収率は72%である。
【0080】
<実施例4>
3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)の合成
【0081】
【化14】
【0082】
1.00グラムの9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式12に示す化合物)を秤量し、5ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、温度25℃下で30分間撹拌した後に0.87グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式13に示す化合物)を加え、温度25℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して0.91グラムの青緑色固体である3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を得、収率は55%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.52(s,3H)、1.93(s,3H)、1.95(s,3H)、1.99(s,3H)、2.34(s,3H)、2.40(s,3H)、2.51~2.65(m,6H)、2.87(t,J=7.2Hz,2H)、2.96(t,J=7.2Hz,2H)、3.27(t,J=7.2Hz,2H)、3.66(s,3H)、3.67(s,3H)、5.55(s,1H)、5.75(s,1H)、6.66(s,1H)、7.14(d,J=8.0Hz,2H)、7.30(d,J=8.0Hz,2H)、7.33(d,J=8.0Hz,2H)、7.76(d,J=8.0Hz,2H)、ESI-Mass:945.34[M+Na]
【0083】
<実施例5>
3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)の合成
【0084】
【化15】
【0085】
1.00グラムの化合物3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式14に示す化合物)、及び0.87グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式13に示す化合物)を秤量し、混合した後に50ミリリットルのイソプロパノールで溶解させ、さらに0.5ミリリットルの濃硫酸を加え、温度30℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して1.04グラムの青緑色固体である3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を得、収率は63%である。
【0086】
<実施例6>
3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)の合成
【0087】
【化16】
【0088】
1.00グラムの化合物3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式14に示す化合物)、及び0.87グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式13に示す化合物)を秤量し、混合した後に50ミリリットルのメタノールで溶解させ、さらに1.5ミリリットルの1M塩化水素メタノール溶液を加え、温度20℃下で10時間撹拌し、室温で10時間撹拌し、20mlのジクロロメタンを加え、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して1.19グラムの青緑色固体である3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を得、収率は72%である。
【0089】
<実施例7>
3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)の合成
【0090】
【化17】
【0091】
1.00グラムの化合物9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式9に示す化合物)を秤量し、5ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、室温で30分間撹拌した後に0.62グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)を加え、温度25℃下で10時間撹拌し、ジクロロメタンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して0.93グラムの青緑色固体である3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)を得、収率は66%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.70(s,3H)、2.02(s,3H)、2.04(s,3H)、2.10(s,3H)、2.39(s,3H)、2.52~2.55(m,4H)、2.73~2.78(m,2H)、2.86~2.89(m,4H)、3.03~3.08(m,2H)、3.68(s,3H)、5.59(d,J=17.1,1H)、5.61(d,J=10.5,1H)、5.81(s,1H)、5.87(s,1H)、6.53(dd,J=17.1,11.6Hz,1H)、6.65(s,1H)、7.29(d,J=8.2Hz,2H)、7.57(d,J=8.2Hz,2H);ESI-Mass:751.95[M+1]
【0092】
<実施例8>
3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)の合成
【0093】
【化18】
【0094】
1.00グラムの3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式11に示す化合物)及び0.62グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)を秤量し、混合した後に50ミリリットルのメタノールで溶解させ、さらに0.5ミリリットルの濃硫酸を加え、温度25℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して1.00グラムの青緑色固体である3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)を得、収率は71%である。
【0095】
<実施例9>
3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)の合成
【0096】
【化19】
【0097】
1.00グラムの化合物3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式11に示す化合物)及び0.87グラムの化合物9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)を秤量し、混合した後に50ミリリットルのメタノールで溶解させ、さらに1.5ミリリットルの1M塩化水素メタノール溶液を加え、温度25℃下で10時間撹拌し、20mlのジクロロメタンを加え、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して1.19グラムの青緑色固体である3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)を得、収率は72%である。
【0098】
<実施例10>
ビリベルジンジメチルエステルの合成
【0099】
【化20】
【0100】
1.00グラムの化合物9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式16に示す化合物)を秤量し、5ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、室温で30分間撹拌した後に0.62グラムの化合物9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)を加え、混合した後に50ミリリットルのメタノールで溶解させ、さらに1.5ミリリットルの1M塩化水素メタノール溶液を加え、温度25℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エタノールで再結晶して0.93グラムの青緑色固体であるビリベルジンジメチルエステルを得、収率は66%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.89(s,3H)、2.10(s,3H)、2.13(s,3H)、2.20(s,3H)、2.56(t,J=8.1Hz,4H)、2.95(t,J=8.1Hz,4H)、3.69(s,6H)、5.46(d,J=12.0Hz,1H)、5.66(dd,J=12.0,4.0Hz,1H)、5.68(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.02(s,1H)、6.08(s,1H)、6.14(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.51(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.64(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.81(s,1H)、ESI-Mass:633.20[M+Na]
【0101】
<実施例11>
ビリベルジンジメチルエステルの合成
【0102】
【化21】
【0103】
1.00グラムの3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式17に示す化合物)及び0.97グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-p-トルエンスルフィニル-ジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)を原料とし、混合した後に50ミリリットルのメタノールで溶解させ、さらに0.5ミリリットルの濃硫酸を加え、温度25℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、酢酸エチルで再結晶して青緑色固体であるビリベルジンジメチルエステルを得、収率は52%である。
【0104】
<実施例12>
ビリベルジンジメチルエステルの合成
【0105】
【化22】
【0106】
1.00グラムの3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-ビニル-ジピロメテン-1-オン(式17に示す化合物)及び0.97グラムの9-ホルミル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-p-トルエンスルフィニル-ジピロメテン-1-オン(式15に示す化合物)を原料とし、混合した後に50ミリリットルのメタノールで溶解させ、さらに1.5ミリリットルの1M塩化水素メタノールを加え、温度25℃下で10時間撹拌し、減圧濃縮し、ジクロロメタンで溶解させ、有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、酢酸エチルで再結晶して青緑色固体であるビリベルジンジメチルエステルを得、収率は57%である。
【0107】
<実施例13>
ビリベルジン系化合物によるビリベルジン製造
実験群1
0.92グラムの化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式2に示す化合物)を秤量し、40ミリリットルのキシレンを加えて溶解させ、135℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、青緑色固体であるビリベルジンジメチルエステル(式5に示す化合物)を得、その収率は63%である。H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.89(s,3H)、2.10(s,3H)、2.13(s,3H)、2.20(s,3H)、2.56(t,J=8.1Hz,4H)、2.95(t,J=8.1Hz,4H)、3.69(s,6H)、5.46(d,J=12.0Hz,1H)、5.66(dd,J=12.0,4.0Hz,1H)、5.68(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.02(s,1H)、6.08(s,1H)、6.14(dd,J=16.0,4.0Hz,1H)、6.51(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.64(dd,J=16.0,12.0Hz,1H)、6.81(s,1H)、ESI-Mass:633.20[M+Na]
【0108】
反応式は以下のとおりである。
【0109】
【化23】
【0110】
実験群2
0.92グラムの化合物3,3’-(3,18-ビス(2-p-トルエンスルホニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式3に示す化合物)を秤量し、40ミリリットルの無水THFを加えて溶解させ、さらに10ミリリットルのtert-ブタノールに溶解した0.93グラムのナトリウムtert-ブトキシドを加え、135℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌し、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物に水を加え、希塩酸で酸性化させ、ジクロロメタンで抽出し、0.50グラムの青緑色固体であるビリベルジン(式6に示す化合物)を得、その収率は74%である。スペクトルデータは文献Monatshr.Chem.,1989,120,575-580と同様である。
【0111】
反応式は以下のとおりである。
【0112】
【化24】
【0113】
実験群3
0.92グラムの化合物3,3’-(3-ビニル-18-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-2,7,13,17-テトラメチル-1,19-ジオキソ-1,19,22,24-テトラヒドロ-21H-8,12-ポルフィリニル)-ジプロピオン酸ジメチルエステル(式4に示す化合物)を原料として秤量し、40ミリリットルのDMFを加えて溶解させ、130℃まで昇温させ、保温しながら2時間撹拌反応させ、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで再結晶し、青緑色固体であるビリベルジンジメチルエステル(式5に示す化合物)を得、その収率は60%である。
【0114】
反応式は以下のとおりである。
【0115】
【化25】
【0116】
<実施例14>
実験群1 9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式9に示す化合物)の合成
【0117】
【化26】
【0118】
5.24グラムの式18に示す化合物を秤量し、反応フラスコに入れ、30mlのジクロロメタンで溶解させ、0℃まで降温させ、2.40グラムの85%m-クロロ過安息香酸をバッチで加え、室温で3時間撹拌した後に亜硫酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、有機層を分離した後に順に飽和食塩水、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、4.97グラムの黄色固体である9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式9に示す化合物)を得、収率は92%である。そのまま次の反応に使用する。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.57(s,9H)、2.08(s,3H)、2.15(s,3H)、2.30(s,3H)、2.54(t,J=8.0Hz,2H)、2.80(t,J=7.2Hz,2H)、3.03(t,J=8.0Hz,2H)、3.17(t,J=7.2Hz,2H)、3.70(s,3H)、6.00(s,1H)、7.03(d,J=8.0Hz,2H)、7.23(d,J=8.0Hz,2H)、9.89(s,1H)、10.20(s,1H)、ESI-Mass:563.25[M+Na]
【0119】
実験群2 9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トリルチオエチル)-ジピロメテン-1-オン(式18に示す化合物)の合成
【0120】
【化27】
【0121】
窒素保護下で、10.50グラムの式19に示す化合物と14.85グラムの式20に示す化合物とを混合し、250mlの無水THFで溶解させ、順に16.55グラムのトリ-N-ブチルホスフィン、6.50グラムのDBUを加え、室温で12時間撹拌した後に1.0グラムの固体ヨウ素を加え、室温で引き続き12時間撹拌し、減圧濃縮し、残留物に20mlのエタノールを加え、固体を析出させ、吸引濾過し、エタノールで洗浄し、13.60グラムの黄色固体である9-tert-ブトキシカルボニル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トリルチオエチル)-ジピロメテン-1-オン(式18に示す化合物)を得、収率は73%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.56(s,9H)、2.07(s,3H)、2.13(s,3H)、2.28(s,3H)、2.54(t,J=8.1Hz,2H)、2.80(t,J=7.1Hz,2H)、3.03(t,J=8.1Hz,2H)、3.15(t,J=7.1Hz,2H)、3.70(s,3H)、6.00(s,1H)、7.03(d,J=8.0Hz,2H)、7.23(d,J=8.0Hz,2H)、9.89(s,1H)、10.18(s,1H)、10.71(s,1H)、ESI-Mass:446.20[M+Na]
【0122】
実験群3 9-ホルミル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式10に示す化合物)の合成
【0123】
【化28】
【0124】
5.00グラム(9.3mmol)の化合物9-tert-ブトキシカルボニル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式21に示す化合物)を秤量し、20ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、室温で30分間撹拌した後に20ミリリットルのオルトギ酸トリメチルを加え、室温で引き続き1時間撹拌し、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、エタノールで再結晶し、2.24グラムの黄色固体である9-ホルミル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式10に示す化合物)を得、収率は55%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.93(s,3H)、2.07(s,3H)、2.43(s,3H)、2.56(t,J=7.6Hz,2H)、2.66~2.70(m,1H)、2.88~2.92(m,1H)、2.95~3.10(m,4H)、3.65(s,3H)、5.98(s,1H)、7.34(d,J=8.0Hz,2H)、7.51(d,J=8.0Hz,2H)、9.72(s,1H)、10.78(s,1H)、10.91(s,1H)、ESI-Mass:491.22[M+Na]
【0125】
実験群4 3,7,9-トリメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式11に示す化合物)の合成
【0126】
【化29】
【0127】
3.63グラムの1-tert-ブトキシカルボニル-3-p-トルエンスルフィニルエチル-4-メチル-1,5-ジヒドロ-2H-2-ピロロン(式22に示す化合物)及び1.95グラムの4-メトキシカルボニルエチル-3-メチル-2-ピロールカルボキシアルデヒド(式23に示す化合物)を秤量し、20ミリリットルのトルエンで溶解させ、さらに4.0ミリリットルのDBUを加え、90℃で保温しながら10時間撹拌し、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物をジクロロメタンで溶解させ、希塩酸でpH5に酸性化させ、ジクロロメタン層を分離し、濃縮させ、残留物をエタノールで再結晶し、2.24グラムの黄色固体である3,7,9-トリメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式11に示す化合物)を得、収率は51%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.26(t,J=7.2Hz,3H)、2.11(s,3H)、2.16(s,3H)、2.28(s,3H)、2.57(t,J=8.0Hz,2H)、2.70~2.77(m,4H)、3.14(t,J=7.2Hz,2H)、4.16(q,J=7.2Hz,2H)、6.22(s,1H)、6.79(d,J=2.4Hz,2H)、7.07(d,J=8.0Hz,2H)、7.25(d,J=8.0Hz,2H)、10.51(s,1H)、11.15(s,1H)、ESI-Mass:477.22[M+Na]
【0128】
実験群5 N-tert-ブトキシカルボニル-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-4-メチル-1H-2(5H)ピロロン(式22に示す化合物)の合成
【0129】
【化30】
【0130】
3.47グラムの式24に示す化合物を秤量し、50ミリリットルのジクロロメタンで溶解させ、0℃まで降温させ、2.21グラムの85%m-クロロ過安息香酸をバッチで加え、温度を5℃以下に制御し、添加が完了した後に保温しながら引き続き2時間撹拌し、10%亜硫酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、3.48グラムの薄黄色油状物であるN-tert-ブトキシカルボニル-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-4-メチル-1H-2(5H)ピロロン(式22に示す化合物)を得、収率は95%であり、そのまま次の反応に使用する。
【0131】
実験群6 N-tert-ブトキシカルボニル-3-(2-p-トリルチオエチル)-4-メチル-1H-2(5H)ピロロン(式24に示す化合物)の合成
【0132】
【化31】
【0133】
6.80グラムの式25に示す化合物を秤量し、3.0グラムの水酸化ナトリウムが溶解した50ミリリットルのDMSOに入れ、室温で30分間撹拌し、反応物を100ミリリットルの氷水に入れ、酢酸エチルで抽出し、希塩酸で中性になるまで洗浄し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、エタノールで再結晶し、6.0グラムの土色固体であるN-tert-ブトキシカルボニル-3-(2-p-トリルチオエチル)-4-メチル-1H-2(5H)ピロロン(式24に示す化合物)を得、収率は84%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.55(s,9H)、δ1.95(s,3H)、2.30(s,3H)、2.57(t,J=7.2Hz,2H)、3.11(t,J=7.2Hz,2H)、4.03(s,2H)、7.08(d,J=8.0Hz,2H)、7.25(d,J=8.0Hz,2H)、ESI-Mass:717.14[2M+Na]
【0134】
実験群7 N-アセトニル-N-tert-ブトキシカルボニル-4-p-トリルチオブタンアミド(式25に示す化合物)の合成
【0135】
【化32】
【0136】
8グラムの式26に示す化合物を秤量し、50ミリリットルのジクロロメタンで溶解させ、さらに8.0グラムのDMAPを加え、0℃まで降温させ、90ミリリットルのジクロロメタンに溶解した13.2グラムのBocOを緩徐に滴下し、温度を5℃を超えないように制御し、滴下が完了した後に15~30℃で10時間撹拌し、反応物を100ミリリットルの氷水に入れ、水相を希塩酸でpH3に酸性化させ、有機層を分離し、順に飽和炭酸水素ナトリウム、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、10.81グラムの薄黄色液体であるN-アセトニル-N-tert-ブトキシカルボニル-4-p-トリルチオブタンアミド(式25に示す化合物)を得、収率は99%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.47(s,9H)、1.93~1.97(m,2H)、2.14(s,3H)、2.30(s,3H)、2.93(t,J=6.0Hz,2H),3.08(t,J=7.2Hz,2H)、4.49(s,2H)、7.08(d,J=8.2Hz,2H)、7.25(d,J=8.2Hz,2H)、ESI-Mass:387.97[M+Na]
【0137】
実験群8 N-アセトニル-4-p-トリルチオブタンアミド(式26に示す化合物)の合成
【0138】
【化33】
【0139】
11.73グラムの式27に示す化合物を50mlのジクロロメタンで溶解させ、8.0グラム(10.8mmol)の5%希塩酸を加え、室温で4時間撹拌し、静置し、ジクロロメタン層を分離し、順に飽和食塩水、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、10.20グラムの白色固体であるN-アセトニル-4-p-トリルチオブタンアミド(式26に示す化合物)を得、収率は96%である。N-アセトニル-4-p-トリルチオブタンアミド:H NMR(400MHz,CDCl):δ1.92~1.97(m,2H)、2.20(s,3H)、2.31(s,3H)、2.39(t,6.8Hz,2H)、2.93(t,J=6.8Hz,2H)、4.14(d,J=4.0Hz,2H)、6.22(s,1H)、7.09(d,J=4.0Hz,2H)、7.26(d,J=8.0Hz,2H)、ESI-Mass:266.0[M+H]
【0140】
実験群9 N-(2,2-ジメトキシプロピル)-4-p-トリルチオブタンアミド(式27に示す化合物)の合成
【0141】
【化34】
【0142】
6.80グラムの化合物2,2-ジメトキシプロピルアミン(式28に示す化合物、57.1Mmol)を秤量し、20ミリリットルのジクロロメタンで溶解させ、さらに6.10グラムのトリエチルアミン(60.4mmol)を加え、0℃まで降温させ、20ミリリットルのジクロロメタンに溶解した13.03グラム(57.1Mmol)の4-p-トリルチオブチリルクロリド(式29に示す化合物)を緩徐に滴下し、温度を5℃以下に制御し、滴下が完了した後に20~30℃下で10時間撹拌し、濾過し、N-(2,2-ジメトキシプロピル)-4-p-トリルチオブタンアミド(式27に示す化合物)を得、ケーキはジクロロメタンで洗浄し、濾液はそのまま次の反応に使用する。
【0143】
実験群10 9-ホルミル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式13に示す化合物)の合成
【0144】
【化35】
【0145】
5.00グラム(9.3mmol)の化合物9-tert-ブトキシカルボニル-2,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式30に示す化合物)を秤量し、20ミリリットルのトリフルオロ酢酸で溶解させ、室温で30分間撹拌した後に20ミリリットルのオルトギ酸トリメチルを加え、室温で引き続き1時間撹拌し、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウムで中性になるまで洗浄し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、エタノールで再結晶し、2.24グラムの黄色固体である9-ホルミル-3,7-ジメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式13に示す化合物)を得、収率は55%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.93(s,3H)、2.07(s,3H)、2.43(s,3H)、2.56(t,J=7.6Hz,2H)、2.66~2.70(m,1H)、2.88~2.92(m,1H)、2.95~3.10(m,4H)、3.65(s,3H)、5.98(s,1H)、7.34(d,J=8.0Hz,2H)、7.51(d,J=8.0Hz,2H)、9.72(s,1H)、10.78(s,1H)、10.91(s,1H)、ESI-Mass:491.22[M+Na]
【0146】
実験群11 3,7,9-トリメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オンの合成(式14)
【0147】
【化36】
【0148】
3.67グラムの1-tert-ブトキシカルボニル-3-p-トルエンスルフィニルエチル-4-メチル-1,5-ジヒドロ-2H-2-ピロロン(式31に示す化合物)及び1.95グラムの4-メトキシカルボニルエチル-3-メチル-2-ピロールカルボキシアルデヒド(式23に示す化合物)を秤量し、20ミリリットルのトルエンで溶解させ、さらに4.0ミリリットルのDBUを加え、90℃で保温しながら10時間撹拌し、降温させ、減圧蒸留して溶媒を除去し、残留物をジクロロメタンで溶解させ、希塩酸でpH5に酸性化させ、ジクロロメタン層を分離し、濃縮させ、残留物をエタノールで再結晶し、2.24グラムの黄色固体である3,7,9-トリメチル-8-(2-メトキシカルボニルエチル)-2-(2-p-トルエンスルホニルエチル)-ジピロメテン-1-オン(式14に示す化合物)を得る。収率は51%である。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.26(t,J=7.2Hz,3H)、2.11(s,3H)、2.16(s,3H)、2.28(s,3H)、2.57(t,J=8.0Hz,2H)、2.70~2.77(m,4H)、3.14(t,J=7.2Hz,2H)、4.16(q,J=7.2Hz,2H)、6.22(s,1H)、6.79(d,J=2.4Hz,2H)、7.07(d,J=8.0Hz,2H)、7.25(d,J=8.0Hz,2H)、10.51(s,1H)、11.15(s,1H)、ESI-Mass:477.22[M+Na]
【0149】
実験群12 N-tert-ブトキシカルボニル-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-4-メチル-1H-2(5H)ピロロン(式31に示す化合物)の合成
【0150】
【化37】
【0151】
3.47グラムの式24に示す化合物を秤量し、50ミリリットルのメタノールで溶解させ、5.7ミリリットルの30%過酸化水素を加え、75℃で2時間保温し、10%亜硫酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させ、3.47グラムの薄黄色油状物であるN-tert-ブトキシカルボニル-3-(2-p-トルエンスルフィニルエチル)-4-メチル-1H-2(5H)ピロロン(式31に示す化合物)を得、収率は91%であり、そのまま次の反応に使用する。
【0152】
以上は本発明の実施例を示して説明したが、上記実施例は例示的なものであり、本発明を限定するものと理解してはいけないことが理解可能であり、当業者であれば本発明の範囲内で上記実施例に対する変更、修正、置換及び変形は可能である。