(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
B07B 1/52 20060101AFI20240911BHJP
B07B 1/28 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B07B1/52 Z
B07B1/28 Z
(21)【出願番号】P 2022042610
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】508277782
【氏名又は名称】三蓉エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶川 守夫
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-078860(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/52
B07B 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動台と、
前記振動台に連結され、前記振動台によって加振される振動トレイと、
前記振動トレイにおける底壁から上方に離れた部分に固定されたスクリーンとを備えたスクリーン装置において、
前記振動トレイの側壁よりも内方における前記底壁の上面に配置され、当該上面及び前記底壁の側部に沿って延びる掻き取り部材と、
前記掻き取り部材に連結され、前記側壁を貫通して前記振動トレイの外方まで延びる操作部材とを備え
、
前記操作部材は、前記掻き取り部材に連結され、前記側壁を貫通して前記振動トレイの外方まで延びる第1棒状部材と、当該第1棒状部材における前記振動トレイの外方に位置する部分に対して上下方向に延びる軸まわりに回動可能に連結された第2棒状部材とを備え、
前記第2棒状部材は、前記軸まわりに回動することにより、前記側壁に沿う方向に延びる格納姿勢と、前記第1棒状部材の軸に沿う方向に延びる使用姿勢とに切り替えられることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のスクリーン装置において、
前記振動トレイの外方には、前記格納姿勢の前記第2棒状部材を保持する保持部が設けられていることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項3】
請求項
1または
2に記載のスクリーン装置において、
前記側壁には、前記第1棒状部材が挿通する挿通孔が当該側壁を貫通するように形成され、
前記振動トレイの外方には、前記第1棒状部材を軸方向に案内する案内部材が固定されていることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1つに記載のスクリーン装置において、
前記振動トレイは、平面視で前記側壁に沿う方向の長さが前記側壁と直交する方向の長さよりも長く設定され、
複数の前記掻き取り部材が前記側壁に沿う方向に並んでいることを特徴とするスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば所定の大きさの物体を他の物体から分離可能なスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、振動台によって加振される振動トレイと、振動トレイの底壁から上方に離れて配設されたスクリーンとを備えたスクリーン装置が開示されている。振動トレイは、被処理物の投入される側(投入側)が被処理物の排出される側(排出側)よりも上に位置するように傾斜している。振動トレイが振動台によって加振されるとスクリーンも加振された状態になり、この状態で被処理物が振動トレイの投入側に投入されると、スクリーンの目を通過可能な物体のみが底壁側へ落下して底壁上を排出側へ搬送され、また、スクリーンの目を通過不能な物体はスクリーン上を排出側へ搬送される。
【0003】
特許文献1のスクリーンは、被処理物の搬送方向に直交する方向に開閉自在に構成されており、メンテナンス時には振動台を停止した状態でスクリーンを開くことが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被処理物には小さな粒状または粉状の物体が含まれていることがあり、このような小さな物体はスクリーンの目を通過して底壁まで落下する。底壁まで落下した小さな物体が水分を含有していたり、粘着性を持っていたりすると、底壁に付着してしまうことがあり、こうなると振動台の振動だけで小さな物体を排出側へ搬送することは困難になる。また、小さな物体が底壁に付着すると、その付着した物体に別の小さな物体が付着していき、物体が底壁に堆積していくことも起こり得る。物体が底壁に残留すると、比較的大きな物体が搬送される途中で残留物に引っ掛かってしまい、スムーズな搬送が困難になるおそれがある。
【0006】
そこで、特許文献1のようにスクリーンを開閉自在に構成しておくことで、メンテナンス時にスクリーンを開いて底壁に残留した物体を振動トレイの上方から除去することが可能になる。
【0007】
ところが、特許文献1のスクリーンは上方へ回動させて開くものなので、回動操作の際には大きな力が必要になり、操作性が良好であるとは言えない。そして、開いたスクリーンは振動トレイの側部で起立した姿勢になるので、振動トレイの上方から残留物の除去作業を行おうとすると開いたスクリーンが邪魔になり、作業員が作業台等に上がって高所で除去作業しなければならない。また、振動トレイの排出側にまわり込んでから除去作業することも考えられるが、排出側にはコンベア等の別の搬送装置が設置されている場合があるので、排出側からの除去作業も作業性が悪く、排出側から投入側に亘る広い領域の除去作業は困難である。
【0008】
また、底壁の残留物は壁面に固着した状態に近いものがあり、そのような残留物を振動トレイの上方から掻き出こと自体が困難である。
【0009】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、振動トレイの底壁に残留した残留物を簡単に除去できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、振動台と、前記振動台に連結され、前記振動台によって加振される振動トレイと、前記振動トレイにおける底壁から上方に離れた部分に固定されたスクリーンとを備えたスクリーン装置を前提とすることができる。このスクリーン装置は、前記振動トレイの前記側壁よりも内方における前記底壁の上面に配置され、当該上面及び前記底壁の側部に沿って延びる掻き取り部材と、前記掻き取り部材に連結され、前記側壁を貫通して前記振動トレイの外方まで延びる操作部材とを備えている。
【0011】
この構成によれば、振動台によって振動トレイが加振された状態で、被処理物がスクリーンの上面に投入されると、スクリーンの目を通過可能な物体のみが振動トレイの底壁に落下するので、所定の大きさの物体を他の物体から分離することが可能になる。スクリーンの目を通過した物体の中に水分を含有した物体や粘着性を持った物体が含まれていると、それらが底壁に付着して残留物となる場合がある。
【0012】
本態様では、掻き取り部材が振動トレイの内方に予め配置されていて、その掻き取り部材を操作可能な操作部材が掻き取り部材に連結されて振動トレイの外方まで延びているので、スクリーンを開かなくても、作業者が振動トレイの外方から操作部材を用いて掻き取り部材を動かすことが可能になる。この掻き取り部材が底壁の上面に沿って延びているので操作部材によって底壁の上面に沿って動く。この動きは、底壁に付着した残留物を剥ぐ動きであるため、振動トレイの上方から残留物を掻き出す作業に比べて除去作業が簡単にかつ効率よく行える。
【0013】
本開示の他の態様に係る操作部材は、前記掻き取り部材に連結され、前記側壁を貫通して前記振動トレイの外方まで延びる第1棒状部材と、当該第1棒状部材における前記振動トレイの外方に位置する部分に対して上下方向に延びる軸まわりに回動可能に連結された第2棒状部材とを備えていてもよい。前記第2棒状部材は、前記軸まわりに回動することにより、前記側壁に沿う方向に延びる格納姿勢と、前記第1棒状部材の軸に沿う方向に延びる使用姿勢とに切り替えることが可能である。
【0014】
この構成によれば、掻き取り部材を使用する際には、第2棒状部材を回動させて第1棒状部材と第2棒状部材とが直線状に延びるようにすることで、操作部材の長さを長く確保できる。これにより、掻き取り部材のストローク量を大きくして残留物の除去範囲を拡大できる。
【0015】
一方、掻き取り部材を使用しない時には第2棒状部材を第1棒状部材に対して回動させることで、第2棒状部材を振動トレイの側壁に沿う姿勢としておくことができるので、操作部材が周囲の邪魔になり難くなる。
【0016】
本開示の他の態様では、前記振動トレイの外方には、前記格納姿勢の前記第2棒状部材を保持する保持部が設けられていてもよい。この構成によれば、第2棒状部材を格納姿勢としたままで保持することができるので、振動トレイの振動によって第2棒状部材ががたつくことはない。
【0017】
本開示の他の態様では、前記側壁には、前記第1棒状部材が挿通する挿通孔が当該側壁を貫通するように形成されていてもよい。この場合、前記振動トレイの外方には、前記第1棒状部材を軸方向に案内する案内部材を固定しておくことができる。この構成によれば、第1棒状部材が案内部材によって軸方向に案内されるので、掻き取り部材をスムーズに動かすことができる。
【0018】
本開示の他の態様に係る振動トレイは、平面視で前記側壁に沿う方向の長さが前記側壁と直交する方向の長さよりも長く設定されていてもよい。この場合、複数の前記掻き取り部材を前記側壁に沿う方向に並ぶように設けることができる。この構成によれば、複数の掻き取り部材を振動トレイの長手方向に並べることで、各掻き取り部材の長さを短くして操作力を低減しながら、残留物を広範囲で除去できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、振動トレイの底壁の上面に沿って延びる掻き取り部材に操作部材を連結し、振動トレイの外方から掻き取り部材を操作可能にしたので、振動トレイの底壁に残留した底壁の残留物を簡単に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るスクリーン装置を上方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るスクリーン装置の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るスクリーン装置を側方から見た部分断面図である。
【
図7】掻き取り部材、操作部材及びその周辺の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係るスクリーン装置1を示すものである。スクリーン装置1は、様々な大きさの物体が多数含まれた被処理物の中から所定の大きさ以上、または所定の大きさ未満の物体を他の物体から分離する処理(篩処理)ための装置であり、篩装置と呼ぶこともできるものである。被処理物はどのようなものであってもよい。被処理物の例として、建築物の解体作業や土木工事現場等で発生した廃棄物(予め破砕された物)、採石場等で採取された石や砂を含む被処理物、木材チップ等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、どのようなものであってもよい。
【0023】
被処理物は、スクリーン装置1の投入側から投入されるようになっている。被処理物が篩処理されると、所定の大きさ以上の物体、及び所定の大きさ未満の物体が投入側とは反対側に位置する排出側から排出されるようになっている。各図において、投入側と排出側を示しており、
図3に示すように、投入側の上方には、投入用コンベア100が設置されており、この投入用コンベア100によって搬送されてきた被処理物がスクリーン装置1の投入側に順次投入される。一方、排出側の下方には、排出用コンベア200が設置されており、排出側から排出された物体は排出用コンベア200によって順次搬送される。
【0024】
尚、この実施形態の説明では、スクリーン装置1を排出側から見た時に右に位置する側を右側といい、スクリーン装置1を排出側から見た時に左に位置する側を左側というものとするが、この方向の定義は説明の便宜を図るためであり、運用時やメンテナンス時の方向を限定するものではない。例えば
図3に示す側面視で排出側を右側または左側と呼び、投入側を左側または右側と呼んでもよい。
【0025】
スクリーン装置1は、基台2と、基台2に取り付けられた駆動部3(
図3に示す)と、駆動部3によって振動する振動台4と、振動台4に連結され、振動台4によって加振される振動トレイ5と、上段スクリーン6及び下段スクリーン7(
図5に示す)とを備えている。基台2は、スクリーン装置1が設置される設置面B(
図3にのみ示す)に対して固定されて、スクリーン装置1の位置決めを行う部分である。設置面Bは、例えば工場や処理施設等の床面や地面等である。
【0026】
(基台2の構成)
まず、基台2の構成について説明する。
図1や
図3等に示すように、基台2は下側部分と上側部分とで構成されており、下側部分は、上下方向に延びる4本の下側支柱20と、これら下側支柱20を連結する連結材21とを備えている。4本の下側支柱20は、互いに水平方向に間隔をあけ、平面視で矩形を形成するように配置されている。各下側支柱20の下端部が設置面Bに固定されている。基台2の上側部分は、下側支柱20の上部に固定されて上方へ延びる上側支柱22と、上側支柱22間に配設されるパネル材23とを備えている。
【0027】
図3及び
図4に示すように、基台2の内部には、駆動部3を配設するための配設空間Cが形成されている。基台2の内部には、駆動部3を支持ためのメンバ24が水平方向に延びるように設けられている。メンバ24は、例えば下側支柱20や上側支柱22等に固定されており、平面視で配設空間Cの中央部付近まで延びている。
【0028】
(振動台4の構成)
次に、振動台4の構成について説明する。
図3に示すように、振動台4は、水平方向に延びる複数の外側フレーム部材40を矩形枠状に組み合わせて構成されており、基台2の上に設置されている。外側フレーム部材40と基台2との間には、振動台4の水平方向への振動を許容するためのローラ盤42が配設されている。ローラ盤42は、4本の上側支柱22の上端部にそれぞれ配設されており、従って、振動台4の水平方向に離れた少なくとも4箇所が基台2によって支持されることになる。ローラ盤42は、従来から周知の構造のものを用いることができ、例えば外側フレーム部材40の下面に固定される上部プレート42aと、上側支柱22の上端部に固定される下側プレート42bと、上部プレート42a及び下側プレート42bの間に配置される鋼球(図示せず)とを備えている。鋼球は、上部プレート42aの下面に形成された凹部と下側プレート42bの上面に形成された凹部とに接触して振動台4の重量を支えながら、水平方向の任意の方向に転動可能になっている。
【0029】
図4に示すように、振動台4の内部には、複数の内側フレーム部材43が設けられている。内側フレーム部材43は、水平方向に延びており、両端部が外側フレーム部材40に固定されている。内側フレーム部材43の下面には、駆動部3の上部が連結される連結板40aが固定されている。
【0030】
図3に示すように、振動台4の外側フレーム部材40の投入側には、上方へ延びる投入側支持部材44が固定されている。また、振動台4の外側フレーム部材40の投入側と排出側との中間部には、上方へ延びる中間支持部材45が固定されている。中間支持部材45は、上下方向の寸法が投入側支持部材44よりも短く設定されている。振動トレイ5は、投入側支持部材44の上端部と、中間支持部材45の上端部と、外側フレーム部材40の排出側の部分とで支持されており、これら3つの部分のうち、投入側支持部材44の上端部が最も高く、外側フレーム部材40の排出側の部分が最も低くなっているので、振動トレイ5は全体として排出側へ向かって下降傾斜している。
【0031】
(駆動部3の構成)
次に、
図4に基づいて駆動部3の構成について説明する。駆動部3は、上下方向に延びる偏心軸30と、偏心軸30の下側部分を回転可能に支持する下側ケーシング31と、偏心軸30の上側部分を回転可能に支持する上側ケーシング32とを備えている。偏心軸30は、その下側部分が下側ケーシング31に収容された状態で、上下方向に離れた複数箇所がそれぞれ軸受31aによって上下方向に延びる軸線L1を回転中心線として回転可能に支持されている。下側ケーシング31は、基台2のメンバ24に固定されている。
【0032】
偏心軸30の上側部分は、下側部分に対して水平方向に偏心(オフセット)している。従って、偏心軸30の下側部分の軸線L1と、偏心軸30の上側部分の軸線L2とは、互いに水平方向に離間した位置関係となる。偏心軸30の上側部分は、上側ケーシング32に収容された状態で、軸受32aによって上下方向に延びる軸線L2を回転中心線として回転可能になっている。上側ケーシング32は、振動台4の連結板40aに固定されている。
【0033】
駆動部3は従動プーリ33を備えている。すなわち、偏心軸30の下端部は下側ケーシング31の下端部から下方へ突出しており、この突出した部分に従動プーリ33が相対回転不能に固定されている。
【0034】
また、
図3に示すように、スクリーン装置1は、電動モータ34、駆動プーリ34a及び伝動ベルト35を備えている。電動モータ34は、出力軸が上下方向に向く姿勢とされて基台2の側方や投入側に固定されている。電動モータ34の出力軸の下端部には、駆動プーリ34aが相対回転不能に固定されている。伝動ベルト35は、駆動プーリ34aと従動プーリ33とに巻き掛けられており、電動モータ34の出力が従動プーリ33を介して偏心軸30に伝達されるようになっている。
【0035】
従って、図示しない起動スイッチの操作によって電動モータ34が回転すると、従動プーリ33、伝動ベルト35、駆動プーリ34aを介して偏心軸30が下側ケーシング31に支持された状態で回転する。偏心軸30が回転すると、偏心軸30の上側部分が偏心していることにより、上側ケーシング32を介して連結された振動台4が水平方向に振動する。偏心軸30の回転方向の切替や回転速度の変更は任意に行えるようになっている。
【0036】
(振動トレイ5及びスクリーン6、7の構成)
次に、振動トレイ5の構成について説明する。
図1に示すように、振動トレイ5は、底壁50と、底壁50の右端部から上方へ延びる右側壁51と、底壁50の左端部から上方へ延びる左側壁52と、底壁50の投入側の端部から上方へ延びる奥側壁53(
図3に示す)とを備えている。振動トレイ5の排出側は開放されている。上述したように、振動台4の投入側が高く、排出側が低くなっているので、底壁50は排出側に向かって下降傾斜している。振動トレイ5の投入側の上部には、上方から投入された被処理物を受ける受け板5aが左右方向に延びるように設けられている。
【0037】
図2に示す平面視において、振動トレイ5は、右側壁51(左側壁52)に沿う方向の長さが右側壁51(左側壁52)と直交する方向の長さよりも長く設定されている。具体的には、振動トレイ5の投入側の端部から排出側の端部までの長さと、右側壁51と左側壁52との離間距離とを比較すると、振動トレイ5の投入側の端部から排出側の端部までの長さの方が長くなっている。これに対応して、底壁50の長さも投入側の端部から排出側の端部までの長さの方が長くなっている。
【0038】
図5に示すように、底壁50の右端部及び左端部の下面には、それぞれ、投入側の端部から排出側の端部まで延びる中空断面の下側補強部材54が固定されている。下側補強部材54の下面は、振動台4の投入側支持部材44の上端部、中間支持部材45の上端部及び外側フレーム部材40の排出側の部分に固定されている。
【0039】
上段スクリーン6及び下段スクリーン7は、振動トレイ5における底壁50から上方に離れた部分に固定されている。上段スクリーン6は、
図1や
図2に示すように受け板5aの排出側の端部に連なって振動トレイ5の排出側の端部まで延びている。
図5に示すように、上段スクリーン6の高さは、振動トレイ5の上下方向中間部に対応している。また、
図1に示すように、上段スクリーン6の排出側の端部は、底壁50の排出側の端部よりも振動トレイ5の外方へ向けて突出している。この上段スクリーン6上の物体は、
図3に示す排出用コンベア200とは別の排出用コンベア(図示せず)によって搬送される。
【0040】
上段スクリーン6及び下段スクリーン7は、底壁50と略平行になっており、従って排出側に向かって下降傾斜している。右側壁51及び左側壁52は上段スクリーン6よりも上方まで延びており、これにより上段スクリーン6上の被処理物が振動した際に振動トレイ5の左右両側からこぼれ落ちないようになっている。
【0041】
下段スクリーン7は上段スクリーン6から下方に離れて配設されている。下段スクリーン7の排出側の端部は、底壁50の排出側の端部よりも投入側に位置しており、従って、下段スクリーン7は上段スクリーン6よりも短くなっている。
【0042】
上段スクリーン6及び下段スクリーン7は、例えば多数の目が形成された部材で構成されている。目の形状はどのような形状であってもよく、例えば円形や矩形等を挙げることができる。目の大きさも任意に設定することができる。この実施形態では、上段スクリーン6の目の大きさが下段スクリーン7の目の大きさよりも大きくなっている。上段スクリーン6の目の大きさと、下段スクリーン7の目の大きさとの差は任意に設定することができる。上段スクリーン6及び下段スクリーン7を構成する部材としては、いわゆるパンチングメタルのような多数の孔が打ち抜き加工によって形成された金属製の板材や、金網等を挙げることができる。メンテナンス時には、上段スクリーン6を振動トレイ5から取り外すこと、及び下段スクリーン7を取り外しまたは開くことができるようになっている。
【0043】
図5に示すように、右側の下側補強部材54は右側壁51よりも右側へ突出した状態で投入側から排出側まで延びている。
図1や
図3に示すように、右側壁51の外面には、上下方向に延びる複数の側部補強部材55が投入側から排出側まで互いに間隔をあけて設けられており、右側壁51に固定されている。
図5に示すように、右側の側部補強部材55の下端部は、右側の下側補強部材54における右側へ突出した部分の上面に固定されている。右側の側部補強部材55の上端部は、右側壁51の上部から右側へ向けて延出する延出板部51aの下面に固定されている。よって、右側の側部補強部材55により、右側壁51が補強されるとともに、右側の下側補強部材54と右側壁51の上部とが連結される。
【0044】
また、左側の下側補強部材54は左側壁52よりも左側へ突出した状態で投入側から排出側まで延びている。右側と同様に、左側壁52の外面には、複数の側部補強部材55が設けられている(
図5に一部のみ示す)。左側の側部補強部材55の下端部は、左側の下側補強部材54における左側へ突出した部分の上面に固定されている。左側の側部補強部材55の上端部は、左側壁52の上部から左側へ向けて延出する延出板部52aの下面に固定されている。
【0045】
(掻き取り部材60及び操作部材70の構成)
上記のように構成されたスクリーン装置1では、小さな粒状または粉状の物体が含まれた被処理物を篩処理する場合がある。このような小さな物体は、上段スクリーン6及び下段スクリーン7の目を容易に通過して底壁50まで落下する。底壁50まで落下した小さな物体が水分を含有していたり、粘着性を持っていたりすると、底壁50に付着してしまうことがあり、こうなると振動台4の振動だけで小さな物体を排出側へ搬送することは困難になる。また、小さな物体が底壁50に付着すると、その付着した物体に別の小さな物体が付着していき、物体が底壁50に堆積していくことも起こり得る。
【0046】
図5に示すように、本実施形態のスクリーン装置1では、底壁50に付着した物体や堆積した物体を掻き取って除去するための左右の掻き取り部材60と、左右の掻き取り部材60をそれぞれ振動トレイ5の外部から操作するための左右の操作部材70とを備えている。右側の掻き取り部材60は、振動トレイ5の右側壁51よりも内方における底壁50の上面に配置され、底壁50の上面及び底壁50の右側部に沿って延びている。
【0047】
図7は、底壁50が水平であると仮定した場合を示しており、掻き取り部材60及び操作部材70を排出側から見た図である。掻き取り部材60は、底壁50の上面に接触する板材61と、板材61が固定される基材62とを備えている。板材61は、例えば硬質ゴム等の弾性を有する板材で構成されていてもよいし、金属製の板材で構成されていてもよい。
【0048】
基材62は、板材61よりも高剛性な板材で構成されている。基材62は、上側へ行くほど右に位置するように、言い換えると右へ行くほど底壁50から離れるように傾斜している。基材62の底壁50に対する傾斜角度は、特に限定されるものではないが、例えば40゜以上70°以下の範囲で設定することができる。基材62の下端部は、底壁50の上面から離れるように配置されている。
【0049】
板材61は、基材62の左側の面(上面)に固定されている。したがって、板材61の底壁50に対する傾斜角度は、基材62の底壁50に対する傾斜角度と略同じになる。この傾斜角度を上記範囲にしておくことで、底壁50に付着した物体や堆積した物体を掻き取り易くなり、除去効率が向上する。
【0050】
板材61の基材62に対する固定構造は特に限定されるものではないが、例えばボルト、ネジ、ナット等の締結部材を用いた構造を挙げることができる。これにより、板材61が消耗したり、破損した場合に基材62から容易に取り外して新しいものに交換することが可能になる。
【0051】
基材62の長手方向中央部には、操作部材70が連結される連結部としての筒状部62aが右側へ突出するように形成されている。筒状部62aは、その軸線が水平方向に延びており、右端面に開口している。
【0052】
右側に設けられる操作部材70は、右側の掻き取り部材60に連結され、右側壁51を貫通して振動トレイ5の外方まで延びている。すなわち、操作部材70は第1棒状部材71と、第2棒状部材72とを備えている。
図7に示すように、第1棒状部材71は、掻き取り部材60に連結され、右側壁51を貫通して振動トレイ5の外方まで延びている。この第1棒状部材71の基端部は、基材62の筒状部62aに差し込まれた状態で固定されている。右側壁51には、第1棒状部材71が挿通可能な挿通孔51bが当該右側壁51を貫通するように形成されている。
【0053】
図8にも示すように、第2棒状部材72の長さは第1棒状部材71の長さよりも長く設定されているが、第2棒状部材72及び第1棒状部材71の外径は略同じである。よって、第2棒状部材72を右側壁51の挿通孔51bに挿通することも可能である。第2棒状部材72は、第1棒状部材71における振動トレイ5の外方に位置する部分に対して上下方向に延びる連結軸72aを介して連結されており、連結軸72aまわりに回動可能となっている。
【0054】
第2棒状部材72は、連結軸72aまわりに回動することにより、右側壁51に沿う方向に延びる格納姿勢(
図8に実線で示す)と、第1棒状部材71の軸に沿う方向に延びる使用姿勢(
図8に仮想線で示す)とに切り替えられる。第2棒状部材72の格納姿勢とは、掻き取り部材60を使用しない時に取り得る姿勢であり、
図1~3、6等にも示しているように、第2棒状部材72の軸線が投入側から排出側へ向かうように延びる。第2棒状部材72を格納姿勢とすることで、操作部材70が振動トレイ5の側方から大きく飛び出さないようにすることが可能になる。
【0055】
一方、第2棒状部材72の使用姿勢とは、掻き取り部材60を使用する時に取り得る姿勢であり、
図5に仮想線で示しているように、使用姿勢とすることで、操作部材70が振動トレイ5の側方から大きく飛び出すことになる。第2棒状部材72を使用姿勢として操作部材70を左へ向けて移動させると、第1棒状部材71及び第2棒状部材72が挿通孔51b(
図7に示す)内を通って左へ移動可能になっている。
【0056】
第2棒状部材72の先端部(連結軸72aと反対側の端部)には、把持部72bが設けられている。把持部72bは、第2棒状部材72の径方向両側へ突出する棒状をなしており、作業者が把持する部分である。把持部72bの形状は特に限定されるものではなく、ハンドル状のものであってもよい。また、把持部72bは必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
【0057】
図6に示すように、振動トレイ5の外方には、格納姿勢にある第2棒状部材72を格納姿勢のままで保持するための保持部80が設けられている。保持部80は、側部補強部材55に固定された固定部材81と、固定部材81に対して回動可能に連結された可動部材82と、ロック部材83とを備えている。固定部材81は、側部補強部材55の右側面から右側へ突出している。固定部材81の突出方向先端部(右端部)は、格納姿勢にある第2棒状部材72の軸方向中間部と当接するように配置されている。
【0058】
可動部材82の下端部は、固定部材81の右端部の下部に対して支軸82aを介して連結されている。支軸82aの軸線は、第2棒状部材72の軸線に沿う方向に延びており、これにより、可動部材82は上下方向に回動可能になる。
【0059】
ロック部材83は、可動部材82を上に回動させた状態で当該可動部材82の上端部を固定部材81の右端部の上部に固定するためのものであり、例えば締結部材、フック状の部材等で構成されている。ロック部材83の構造は特に限定されるものではないが、ロック状態と、ロックを解除した状態との切替操作が可能に構成されている。ロック部材83は、可動部材82を固定部材81に緊結するバンドのような部材であってもよい。
【0060】
ロックを解除して可動部材82を下に回動させた状態で、第2棒状部材72を格納姿勢にすると、第2棒状部材72の軸方向中間部が固定部材81の右端部に当接する。そして、可動部材82を上に回動させてから、ロック部材83をロック状態にすると、第2棒状部材72の軸方向中間部が固定部材81の右端部と可動部材82とで径方向に挟持される。これにより、格納姿勢にある第2棒状部材72が保持される。
【0061】
図7に示すように、振動トレイ5の外方には、第1棒状部材71を軸方向に案内するための案内部材57が固定されている。
図6に示すように、案内部材57は、右側の下側補強部材54の上面に対してブラケット57aを介して固定されている。
図7に示すように、案内部材57には、第1棒状部材71及び第2棒状部材72が挿通する案内孔57bが左右方向に貫通するように形成されている。案内孔57bは、右側壁51の挿通孔51bと一致するように配置されており、案内孔57bの径方向中心部と、挿通孔51bの径方向中心部とは、左右方向に延びる同一直線上に位置付けられている。案内孔57bの軸方向(左右方向)の寸法は、挿通孔51bの同方向の寸法よりも長く設定されている。よって、案内孔57bの延びる方向に第1棒状部材71及び第2棒状部材72が案内される。また、第2棒状部材72が格納姿勢にあるときには、第1棒状部材71の軸方向の一部が案内孔57bの内部に配置され、案内孔57bの内周面によって保持される。
【0062】
図8に示すように、第2棒状部材72における連結軸72aよりも先端側には、上下方向に貫通する貫通孔72cが形成されている。一方、第1棒状部材71における連結軸72aよりも先端側には、開口部71cが形成されている。第2棒状部材72が使用状態になると、貫通孔72cと開口部71cとが一致するようになっている。貫通孔72c及び開口部71cに例えばピン(図示せず)等の部材を挿入することで、第2棒状部材72が使用状態で保持される。
【0063】
図5に示すように、左側にも同様な掻き取り部材60と操作部材70とが設けられている。そして、左右の掻き取り部材60は、それぞれ複数設けられるとともに、左側壁52及び右側壁51に沿う方向に並んでいる。操作部材70は1つの掻き取り部材60に対して1つ設けられているので、操作部材70も複数設けられるとともに、左側壁52及び右側壁51に沿う方向に並んでいる。
【0064】
(実施形態の作用効果)
スクリーン装置1の運用時には、電動モータ34が起動されて振動台4が振動し、振動トレイ5が振動する。このとき、操作部材70の第2棒状部材72は格納状態とされて保持部80によって保持されているので、第2棒状部材72が邪魔になりくく、また振動によって使用状態に切り替わることもない。
【0065】
そして、被処理物が振動トレイ5の投入側に上方から投入される。投入された被処理物のうち、上段スクリーン6の目よりも大きくて上段スクリーン6の目を通過不能な物体は、振動によって上段スクリーン6上を排出側へ搬送されていき、上段スクリーン6から排出される。投入された被処理物のうち、上段スクリーン6の目よりも小さくて上段スクリーン6の目を通過可能な物体は、下段スクリーン7に落下する。下段スクリーン7に落下した被処理物のうち、下段スクリーン7の目よりも大きくて下段スクリーン7の目を通過不能な物体は、振動によって下段スクリーン7上を排出側へ搬送されていき、下段スクリーン7から排出される。投入された被処理物のうち、下段スクリーン7の目よりも小さくて下段スクリーン7の目を通過可能な物体は、底壁50に落下して排出側から排出される。
【0066】
底壁50に小さな物体が残留、堆積した場合には、電動モータ34を停止してメンテナンスを行う。すなわち、保持部80のロック部材83によるロックを解除し、操作部材70の第2棒状部材72を使用姿勢に切り替えた後、第2棒状部材72の貫通孔72c及び第1棒状部材71の開口部71cにピンを挿入して第2棒状部材72を使用状態で保持する。
【0067】
その後、作業者は例えば右側の操作部材70の把持部72bを把持して左側へ押す。すると、第1棒状部材71及び第2棒状部材72は、案内部材57の案内孔57bによって左側へ真っ直ぐに案内されるので、掻き取り部材60が底壁50に沿って左へ移動する。このときに掻き取り部材60の板材61が底壁50の上面に付着した物体や堆積した物体を掻き取って除去する。第1棒状部材71だけでなく、第2棒状部材72も右側壁51の挿通孔51bに挿通可能であるため、掻き取り部材60のストローク量を多く確保することができ、底壁50の左右方向中央部近傍の堆積物等も容易に除去できる。
【0068】
操作部材70を左側へ押した後、右側へ戻すように引くと、第1棒状部材71及び第2棒状部材72は、案内部材57の案内孔57bによって右側へ案内され、掻き取り部材60が底壁50に沿って右へ移動する。これを繰り返すことで、底壁50の上面に付着した物体や堆積した物体の大部分を掻き取ることができる。左側についても同様である。
【0069】
したがって、底壁50の上面に沿って左右方向に移動する掻き出し部材60を用いることで、振動トレイ5の上方から残留物を掻き出す作業に比べて除去作業が簡単にかつ効率よく行える。
【0070】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明に係るスクリーン装置は、各種被処理物を篩処理する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 スクリーン装置
4 振動台
5 振動トレイ
6、7 スクリーン
50 底壁
51 右側壁
52 左側壁
57 案内部材
60 掻き取り部材
70 操作部材
71 第1棒状部材
72 第2棒状部材
80 保持部