(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】マルチデバイスのワイヤレス充電器のための振幅シフトキー変調
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240911BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240911BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240911BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20240911BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
H02J50/40
H04B5/48
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2022541830
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(86)【国際出願番号】 US2021012200
(87)【国際公開番号】W WO2021141910
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2024-01-05
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドチャイルド,エリック,ハインデル
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ,ジョン
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-023276(JP,A)
【文献】特開2020-114168(JP,A)
【文献】特表2017-536068(JP,A)
【文献】特表2018-510569(JP,A)
【文献】特表2021-515513(JP,A)
【文献】特公昭46-22488(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第104158269(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0130621(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0008756(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0336785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0141615(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0219430(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0323634(US,A1)
【文献】国際公開第2019/117140(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/12
H02J 50/40
H02J 50/80
H04B 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電中のデバイスと通信するための方法であって、
ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供するステップであって、前記第1の伝送コイルが、第1の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合されている、ステップと、
前記ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供するステップであって、前記第2の伝送コイルが、第2の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合され、前記第1の充電電流および前記第2の充電電流が互いに異なる周波数で提供される、ステップと、
前記第1の充電電流を前記第1の伝送コイルに提供する間に、前記第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信するステップであって、前記第1の変調信号が、前記第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含む、ステップと、
前記第1の充電電流が前記第1の伝送コイルに提供され、前記第2の充電電流が前記第1の伝送コイルに提供される間に、前記第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを使用して、前記第1の変調信号をフィルタリングするステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記バンドパスフィルタの出力からのメッセージを復号するステップをさらに含み、前記メッセージが、前記第1の電力受信デバイスから発信されたものであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記メッセージを復号することが、
前記バンドパスフィルタの出力を非同期復調器に提供して、メッセージを復号することを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記メッセージを復号することが、
検出器を用いてメッセージを復調することを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、
前記メッセージを復号することが、
前記バンドパスフィルタの出力を同期復調器に提供することを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項
1に記載の方法において、
前記第1の変調信号が、振幅シフトキー(ASK)変調されたものであることを特徴とする方法。
【請求項7】
充電中のデバイスと通信するための方法であって、
ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供するステップであって、前記第1の伝送コイルが、第1の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合されている、ステップと、
前記ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供するステップであって、前記第2の伝送コイルが、第2の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合され、前記第1の充電電流および前記第2の充電電流が互いに異なる周波数で提供される、ステップと、
前記第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信するステップであって、前記第1の変調信号が、前記第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含む、ステップと、
前記第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを使用して、前記第1の変調信号をフィルタリングするステップ
と、
複数の重複しないタイムスロットを規定するステップと、
前記複数の重複しないタイムスロットのうちの1つを、前記ワイヤレス充電デバイスの表面にある複数の充電セルの各々に割り当てるステップと、
前記複数の重複しないタイムスロットのうちの第1のタイムスロットの間にアクティブpingを実行するステップと、
アクティブpingを使用して識別された充電式デバイスを構成するステップと、
前記第1のタイムスロットが割り当てられた充電セルに第3の充電電流を提供するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
ワイヤレス充電デバイスであって、
前記ワイヤレス充電デバイスの表面上に設けられた複数の充電セルと、
コントローラとを備え、前記コントローラが、
前記ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供する
ことであって、前記第1の伝送コイルが、第1の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合さ
れ、
前記ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供する
ことであって、前記第2の伝送コイルが、第2の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合され、前記第1の充電電流および前記第2の充電電流が互いに異なる周波数で提供さ
れ、
前記第1の充電電流を前記第1の伝送コイルに提供する間に、前記第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信する
ことであって、前記第1の変調信号が、前記第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含
み、
前記第1の充電電流が前記第1の伝送コイルに提供され、前記第2の充電電流が前記第1の伝送コイルに提供される間に、前記第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを使用して、前記第1の変調信号をフィルタリン
グするように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、前記バンドパスフィルタの出力からのメッセージを復号するように構成され、前記メッセージが、前記第1の電力受信デバイスから発信されたものであることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、前記バンドパスフィルタの出力を非同期復調器に提供して、メッセージを復号するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項11】
請求項9に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、検出器を用いてメッセージを復調するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項12】
請求項9に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、前記バンドパスフィルタの出力を同期復調器に提供するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項13】
請求項
8に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記第1の変調信号が、振幅シフトキー(ASK)変調されたものであることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項14】
ワイヤレス充電デバイスであって、
前記ワイヤレス充電デバイスの表面上に設けられた複数の充電セルと、
コントローラとを備え、前記コントローラが、
前記ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供する
ことであって、前記第1の伝送コイルが、第1の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合さ
れ、
前記ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供する
ことであって、前記第2の伝送コイルが、第2の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合され、前記第1の充電電流および前記第2の充電電流が互いに異なる周波数で提供さ
れ、
前記第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信する
ことであって、前記第1の変調信号が、前記第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含
み、
前記第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを使用して、前記第1の変調信号をフィルタリング
し、
複数の重複しないタイムスロットを規定し、
前記複数の重複しないタイムスロットのうちの1つを、前記ワイヤレス充電デバイスの表面にある複数の充電セルの各々に割り当て、
前記複数の重複しないタイムスロットのうちの第1のタイムスロットの間にアクティブpingを実行し、
アクティブpingを使用して識別された充電式デバイスを構成し、
前記第1のタイムスロットに対応する充電セルに充電電流を提供するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項15】
コードを含むプロセッサ可読記憶媒体であって、
前記コードが、
ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供する
ことであって、前記第1の伝送コイルが、第1の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合さ
れ、
前記ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供する
ことであって、前記第2の伝送コイルが、第2の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合され、前記第1の充電電流および前記第2の充電電流が互いに異なる周波数で提供さ
れ、
前記第1の充電電流を前記第1の伝送コイルに提供する間に、前記第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信する
ことであって、前記第1の変調信号が、前記第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含
み、
前記第1の充電電流が前記第1の伝送コイルに提供され、前記第2の充電電流が前記第1の伝送コイルに提供される間に、前記第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを使用して、前記第1の変調信号をフィルタリングす
るためのものであることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項16】
請求項15に記載の記憶媒体において、
前記バンドパスフィルタの出力からのメッセージを復号するためのコードをさらに含み、前記メッセージが、前記第1の電力受信デバイスから発信されたものであることを特徴とする記憶媒体。
【請求項17】
請求項16に記載の記憶媒体において、
前記バンドパスフィルタの出力を非同期復調器に提供して、メッセージを復号するためのコードをさらに含
み、
前記第1の変調信号が、振幅シフトキー(ASK)変調されたものであることを特徴とする記憶媒体。
【請求項18】
請求項16に記載の記憶媒体において、
検出器を用いてメッセージを復調するためのコードをさらに含むことを特徴とする記憶媒体。
【請求項19】
請求項16に記載の記憶媒体において、
前記バンドパスフィルタの出力を同期復調器に提供するためのコードをさらに含むことを特徴とする記憶媒体。
【請求項20】
コードを含むプロセッサ可読記憶媒体であって、
前記コードが、
ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供する
ことであって、前記第1の伝送コイルが、第1の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合さ
れ、
前記ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供する
ことであって、前記第2の伝送コイルが、第2の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合され、前記第1の充電電流および前記第2の充電電流が互いに異なる周波数で提供さ
れ、
前記第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信する
ことであって、前記第1の変調信号が、前記第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含
み、
前記第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを使用して、前記第1の変調信号をフィルタリン
グし、
複数の重複しないタイムスロットを規定し、
前記複数の重複しないタイムスロットのうちの1つを、前記ワイヤレス充電デバイスの表面にある複数の充電セルの各々に割り当て、
前記複数の重複しないタイムスロットのうちの第1のタイムスロットの間にアクティブpingを実行し、
アクティブpingを使用して識別された充電式デバイスを構成し、
前記第1のタイムスロットが割り当てられた充電セルに第3の充電電流を提供するためのものであることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してバッテリのワイヤレス充電に関し、より詳細には、マルチコイルのワイヤレス充電デバイスの表面上の充電中の複数のデバイスと同時に通信することに関する。
【0002】
優先権の主張
本出願は、2021年1月4日に米国特許庁に出願された米国特許出願第17/140,977号、並びに、2020年1月6日に米国特許庁に出願された米国仮特許出願第62/957,436号の優先権および利益を主張するものであり、それらの出願の内容全体が、すべての適用可能な目的のために、その全体が以下に完全に記載されているかのように、引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
物理的な充電接続を使用せずに、特定のタイプのデバイスが内部バッテリを充電できるようにするために、ワイヤレス充電システムが開発されている。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル処理デバイスおよび/またはモバイル通信デバイスが含まれる。Wireless Power Consortiumにより規定されたQi規格などの標準規格は、第1のサプライヤによって製造されたデバイスを、第2のサプライヤによって製造された充電器を使って、ワイヤレスで充電することを可能にする。ワイヤレス充電の規格は、デバイスの比較的単純な構成向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
ワイヤレス充電システムとして、例えば以下のような従来技術が挙げられる。
【文献】米国特許出願第2013/0130621号明細書
【文献】米国特許出願第2018/0041065号明細書
【文献】米国特許出願第2019/0267828号明細書
【文献】米国特許第3575665号
【0004】
従来のワイヤレス充電システムは、通常「Ping」を使用して、受信デバイスがワイヤレス充電用の基地局の伝送コイル上またはその近くに存在するか否かを判定する。伝送コイルは、インダクタンス(L)を有し、また、キャパシタンス(C)を有する共振コンデンサが伝送コイルに結合されて、共振LC回路が得られる。Pingは、共振LC回路に電力を供給することによって生成される。送信機が受信デバイスからの応答をリッスンしている間、電力が一定期間(一例では90ms)印加される。応答は、振幅シフトキー(ASK)変調を用いて符号化された信号で提供されることがある。一例として、典型的な送信基地局は、1秒間に12.5回(周期=1/80ms)という速さでpingを実行し、1秒間に(80mJ×12.5)=1Wの電力を消費する。
【0005】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスと変化するフォームファクタをサポートするために必要である。例えば、マルチコイル、マルチデバイスの充電パッドのための充電手順の制御を改善する必要性がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本明細書に開示の特定の態様に従って充電面を提供するために採用され得る充電セルの一例を示している。
【
図2】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメントの単一の層上に提供される充電セルの配置構成の一例を示している。
【
図3】
図3は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメント内に複数の層が重ねられている場合の充電セルの配置構成の一例を示している。
【
図4】
図4は、本明細書に開示の特定の態様に従って構成された充電セルの複数の層を用いた充電面によって提供される電力伝送領域の配置構成を示している。
【
図5】
図5は、本明細書に開示の特定の態様に係る、充電器基地局に提供され得るワイヤレス送信機を示している。
【
図6】
図6は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されるワイヤレス充電デバイスにおいて使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジーを示している。
【
図7】
図7は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されるワイヤレス充電デバイスにおける直流駆動をサポートする第2のトポロジーを示している。
【
図8】
図8は、本明細書に開示の特定の態様に係る、ASK復調をサポートするマイクロコントローラを示している。
【
図9】
図9は、本明細書に開示の特定の態様に係る、電力受信機と電力送信機との間で交換されるメッセージをデジタル符号化するように適合され得る符号化スキームの例を示している。
【
図10】
図10は、本明細書に開示の特定の態様に従って提供されるワイヤレス充電デバイスの充電面を示している。
【
図11】
図11は、本明細書に開示の特定の態様に従ってデジタルpingが順次配列されるスケジューリングスキームの一例を示している。
【
図12】
図12は、本明細書に開示の特定の態様に係る、多周波ASK変調をサポートする通信インターフェースの一例を示している。
【
図13】
図13は、
図13に示す多周波ASK変調スキームに対応する周波数スペクトルの一例を示している。
【
図14】
図14は、本明細書に開示の特定の態様に従って提供されるワイヤレス充電デバイスにおけるASK変調の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図15】
図15は、本明細書に開示の特定の態様に従って提供されるワイヤレス充電デバイスにおけるASK変調の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図16】
図16は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用した装置の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0008】
次に、ワイヤレス充電システムのいくつかの態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。それらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。それら要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実現することができる。そのような要素がハードウェアとして実現されるか、またはソフトウェアとして実現されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0009】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1または複数のプロセッサを含む「処理システム」で実現され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1または複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離無線通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実現するための最良の方法を認識するであろう。
【0010】
概要
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを有するフリーポジションの充電面、または複数の受信デバイスを同時に充電することができるフリーポジションの充電面を提供するワイヤレス充電デバイスに適用可能なシステム、装置および方法に関する。一態様では、ワイヤレス充電デバイスのコントローラが、充電されるデバイスを見つけ出すことができ、受信デバイスに電力を供給するために最適な位置にある1または複数の伝送コイルを構成することができる。充電セルは、1または複数の誘導伝送コイルを備えるかまたは構成することができ、複数の充電セルを、充電面を提供するために配置または構成することができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付ける検知技術によって検出することができる。いくつかの例では、位置の検知が、容量性、抵抗性、誘導性、タッチ、圧力、荷重、歪みおよび/または別の適切なタイプの検知を用いて実行することができる。
【0011】
本明細書に開示の特定の態様は、ワイヤレス充電技術の改善に関する。マルチコイルのワイヤレス充電デバイスの表面上に充電式デバイスを自由に配置することに対応するシステム、装置および方法が開示されている。特定の態様は、受信デバイスへのワイヤレス電力伝送の効率および容量を改善することができる。一例では、ワイヤレス充電装置が、バッテリ充電電源と、マトリックスに構成された複数の充電セルと、第1の複数のスイッチであって、各スイッチがマトリックス内のコイルの横列をバッテリ充電電源の第1の端子に結合するように構成された第1の複数のスイッチと、第2の複数のスイッチであって、各スイッチがマトリックス内のコイルの縦列をバッテリ充電電源の第2の端子に結合するように構成された第2の複数のスイッチとを備える。複数の充電セル内の各充電セルは、電力伝送領域を取り囲む1または複数のコイルを含むことができる。複数の充電セルは、複数の充電セル内の充電セルの電力伝送領域が重なることなく、充電面に隣接して配置することができる。
【0012】
本明細書に開示の特定の態様によれば、充電可能とされる個別の配置位置に関係なく、任意に規定されたサイズおよび/または形状を有することができる充電面上の任意の位置にある受信デバイスに電力を無線伝送することができる。複数のデバイスを単一の充電面上で同時に充電することができる。充電面は、プリント回路基板技術を使用して、低コストで、かつ/またはコンパクトな設計で製造することができる。
【0013】
充電セル
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを有するフリーポジションの充電面、または複数の受信デバイスを同時に充電することができるフリーポジションの充電面を提供するワイヤレス充電デバイスに適用可能なシステム、装置および方法に関する。一態様では、ワイヤレス充電デバイスのコントローラが、充電されるデバイスの位置を特定することができ、受信デバイスに電力を供給するために最適な位置にある1または複数の伝送コイルを構成することが可能である。充電セルは、1または複数の誘導伝送コイルを備えるかまたは備えるように構成することができ、複数の充電セルを、充電面を提供するように配置または構成することができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付ける検知技術によって検出することができる。いくつかの例では、位置の検知が、容量性、抵抗性、誘導性、タッチ、圧力、荷重、歪みおよび/または別の適切なタイプの検知を用いて実行することができる。
【0014】
本明細書に開示の特定の態様によれば、ワイヤレス充電デバイスの充電面を、充電面に隣接して配置された充電セルを使用して提供することができる。一例では、充電セルが、ハニカムパッケージング構成に従って配置される。充電セルは、コイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場をそれぞれ誘導することができる1または複数のコイルを使用して実現することができる。本開示において、充電セルは、1または複数のコイルを有する要素であって、各コイルが、充電セル内の他のコイルによって生成される磁場に対して加算的であり、共通の軸に沿ってまたは近接して向けられる電磁場を生成するように構成される、要素を指すことができる。本明細書では、充電セル内のコイルを、充電コイルまたは伝送コイルと呼ぶこともある。
【0015】
いくつかの例では、充電セルが、共通の軸に沿って積み重ねられたコイルを含む。1または複数のコイルは、充電面に実質的に直交する誘導磁場に寄与するように重なり合うものであってもよい。いくつかの例では、充電セルが複数のコイルを含み、それらコイルが、充電面の規定された部分内に配置されるとともに、充電面の規定された部分内の誘導磁場に寄与し、その磁場が、充電面に実質的に直交するように延びる磁束に寄与する。いくつかの態様では、充電セルが、動的に規定された充電セルに含まれるコイルに励磁電流を提供することによって構成可能であってもよい。例えば、ワイヤレス充電デバイスは、充電面全体に配置された複数のコイルのスタックを含むことができ、ワイヤレス充電デバイスは、充電されるデバイスの位置を検出し、コイルのスタックのいくつかの組合せを選択して、充電されるデバイスに隣接する充電セルを提供することができる。いくつかの例では、充電セルが、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられるものであってもよい。しかしながら、充電セルは、複数の積層されたコイルおよび/または複数の隣接するコイル若しくはコイルのスタックを含むことができることを理解されたい。
【0016】
図1は、ワイヤレス充電デバイスの充電面を提供するように展開および/または構成され得る充電セル100の一例を示している。一例では、充電セル100が、電力伝送領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる、導体、ワイヤまたは回路基板トレースを用いて構築された1または複数のコイル102を含む、実質的に六角形の形状を有している。様々な態様では、いくつかのコイル102が、
図1に示す六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である形状を有することができる。他の実施態様では、他の形状を有するコイル102を含み、または使用することができる。コイル102の形状は、製造技術の能力または制限によって、またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するように、少なくとも部分的に決定され得る。各コイル102は、スパイラル構成のワイヤ、プリント回路基板のトレースおよび/または他のコネクタを使用して実現することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通の軸108を中心に配置されるように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層に跨るようにしてもよい。
【0017】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電面のセグメントまたは一部分の単一層上に設けられた充電セル202の配置200の一例を示している。充電セル202は、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。この例では、充電セル202が、重なり合うことなく、端と端とを接して配置されている。この配置は、スルーホールまたはワイヤ相互接続なしで提供することができる。充電セル202の一部分が重なる配置を含む、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルのワイヤが、ある程度、交互配置されるようにしてもよい。
【0018】
図3は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電面のセグメントまたは一部分内に複数の層が重ねられている場合の、2つの視点300、310からの充電セルの配置の一例を示している。充電セルの層302、304、306、308は、充電面内に設けられている。充電セルの各層302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。一例では、充電セルの層302、304、306、308が、4以上の層を有するプリント回路基板上に形成されるようにしてもよい。充電セル100の配置は、図示のセグメントに隣接する指定された充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0019】
図4は、本明細書に開示の特定の態様に従って構成された充電セルの複数の層を採用する充電面400に提供される電力伝送領域の配置を示している。図示の充電面は、充電セルの4つの層402、404、406、408から構成されている。
図4では、充電セルの第1の層402内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L1」と記され、充電セルの第2の層404内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L2」と記され、充電セルの第3の層406内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L3」と記され、充電セルの第4の層408内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L4」と記されている。
【0020】
図5は、ワイヤレス充電デバイスの基地局に設けることができるワイヤレス送信機500の一例を示している。ワイヤレス充電デバイスの基地局は、ワイヤレス充電デバイスの動作を制御するために使用される1または複数の処理回路を含むことができる。コントローラ502は、フィルタ回路508によってフィルタリングまたは他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、共振回路506に交流電流を供給するドライバ回路504の動作を制御することができる。いくつかの例では、コントローラ502が、ドライバ回路504によって出力される交流電流の周波数を制御するために使用されるデジタル周波数基準信号を生成することができる。場合によっては、デジタル周波数基準信号は、プログラマブルカウンタなどを使用して生成することができる。いくつかの例では、ドライバ回路504が電力インバータ回路および1または複数の電力増幅器を含み、それらが協働して、直流源または入力から交流電流を生成することができる。いくつかの例では、デジタル周波数基準信号が、ドライバ回路504または別の回路によって生成されるようにしてもよい。共振回路506は、コンデンサ512およびインダクタ514を含む。インダクタ514は、交流電流に応答して磁束を生成する充電セル内の1または複数の伝送コイルを示すか、またはそれを含むことができる。共振回路506は、本明細書では、タンク回路、LCタンク回路またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定された電圧516は、タンク電圧とも呼ばれる。
【0021】
パッシブping技術は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応されたデバイスの充電パッドに近接する受信コイルの存在を識別するために、LCノード510で測定または観察された電圧および/または電流を使用することができる。一部の従来のワイヤレス充電デバイスは、共振回路506のLCノード510における電圧または共振回路506における電流を測定する回路を含む。これらの電圧および電流は、電力調整の目的で、かつ/またはデバイス間の通信をサポートするために監視することができる。本開示の特定の態様によれば、
図5に示すワイヤレス送信機500のLCノード510における電圧は、共振回路506を介して送信されるエネルギーの短いバースト(ping)に対する共振回路506の応答に基づいて、充電式デバイスまたは他の物体の存在を検出することができるパッシブping技術をサポートするために監視され得る。
【0022】
パッシブping検出技術は、高速で低電力の検出を提供するために使用することができる。パッシブpingは、共振回路506を含むネットワークを、少量のエネルギーを含む高速パルスで駆動することによって生成され得る。高速パルスは、共振回路506を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消散するまで、ネットワークをその固有共振周波数で発振させる。高速パルスに対する共振回路506の応答は、共振LC回路の共振周波数によって部分的に求められる。初期電圧=V
0であるパッシブpingに対する共振回路506の応答は、以下のように、LCノード510で観測される電圧V
LCによって示すことができる。
【0023】
コントローラ502または別のプロセッサがデジタルpingを使用して物体の存在を検出するときに、共振回路506を監視することができる。デジタルpingは、一定時間、共振回路506を駆動することによって生成される。共振回路506は、ワイヤレス充電デバイスの伝送コイルを含む同調ネットワークである。受信デバイスは、変調信号の信号状態に応じてその電力受信回路により提示されるインピーダンスを変更することによって、共振回路506において観測される電圧または電流を変調することができる。その後、コントローラ502または他のプロセッサは、受信デバイスが近くにあることを示すデータ変調された応答を待つ。
【0024】
選択的に作動させるコイル
本明細書に開示の特定の態様によれば、適合するデバイスを充電するために最適な電磁場を提供するように、1または複数の充電セル内のコイルを選択的に作動させることができる。場合によっては、複数のコイルが充電セルに割り当てられ、いくつかの充電セルが他の充電セルに重なり合うようにしてもよい。最適な充電構成は、充電セルレベルで選択することができる。いくつかの例では、充電構成が、充電されるデバイスと整列しているかまたはその近くに位置していると判定される充電面内の充電セルを含むことができる。コントローラは、充電構成に基づいて、単一のコイルまたはコイルの組合せを作動させることができ、その充電構成は、充電されるデバイスの位置の検出に基づくものとなる。いくつかの態様では、ワイヤレス充電デバイスが、充電イベント中に1または複数の伝送コイルまたは1または複数の予め設定された充電セルを選択的に作動させることができるドライバ回路を備えることができる。
【0025】
図6は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電デバイスで使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジー600を示している。ワイヤレス充電デバイスは、受信デバイスを充電するために1または複数の充電セル100を選択することができる。使用されていない充電セル100は、電流の流れから切り離すことができる。比較的多数の充電セル100を、対応する数のスイッチを必要とする
図2および
図3に示すハニカムパッケージ構成で使用することができる。本明細書に開示の特定の態様によれば、充電セル100を、特定のセルが電力供給されることを可能にする2以上のスイッチに接続された複数のセルを有するマトリックス608に論理的に配置することができる。図示のトポロジー600では、2次元マトリックス608が提供され、次元がXおよびY座標によって表される。第1のセットのスイッチ606の各々は、セルの縦列における各セルの第1の端子を、ワイヤレス充電中に1または複数の充電セルのコイルを作動させるために電流を供給する電圧源または電流源602の第1の端子に選択的に結合するように構成されている。第2のセットのスイッチ604の各々は、セルの横列における各セルの第2の端子を、電圧源または電流源602の第2の端子に選択的に結合するように構成されている。充電セルは、その両方の端子が電圧源または電流源602に結合されると、アクティブになる。
【0026】
マトリックス608の使用により、同調LC回路のネットワークを動作させるために必要なスイッチングコンポーネントの数を大幅に削減することができる。例えば、N個の個別に接続されたセルは少なくともN個のスイッチを必要とするが、N個のセルを有する2次元マトリックス608は√N個のスイッチで動作させることができる。マトリックス608の使用により、大幅にコストを削減することができ、回路および/またはレイアウトの複雑さを低減することができる。一例では、9セルの態様は、6個のスイッチを使用して3×3マトリックス608で実現することができ、3個のスイッチを節約することができる。別の例では、16セルの態様は、8個のスイッチを使用して4×4マトリックス608で実現することができ、8個のスイッチを節約することができる。
【0027】
動作中、少なくとも2のスイッチが、1つのコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602に能動的に結合するために閉じられる。複数のコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602に容易に接続するために、複数のスイッチを一度に閉じることができる。例えば、受信デバイスに電力を伝送する際に複数の伝送コイルを駆動する動作モードを可能にするために、複数のスイッチを閉じることができる。
【0028】
図7は、本明細書に開示の特定の態様に従って、各コイルまたは充電セルがドライバ回路702によって個々にかつ/または直接駆動される第2のトポロジー700を示している。ドライバ回路702は、受信デバイスを充電するためにコイルのグループ704のなかから1または複数のコイルまたは充電セル100を選択するように構成することができる。充電セル100に関連して本明細書に開示した概念は、個々のコイルまたはコイルのスタックの選択的な作動に適用され得ることが理解されよう。使用されていない充電セル100は、電流を受け取らない。比較的多数の充電セル100が使用中であってもよく、個々のコイルまたはコイルのグループを駆動するためにスイッチングマトリックスを採用することができる。一例では、第1のスイッチングマトリックスが、充電イベント中に使用される充電セルまたはコイルのグループを規定する接続を構成することができ、第2のスイッチングマトリックスが、充電セルおよび/または選択されたコイルのグループを作動させるために使用され得る。1または複数のコイルに対する直接駆動が可能であることにより、ワイヤレス充電デバイスは、コイルの様々なグループを介して同時にpingを送信することが可能である。
【0029】
充電手順中のメッセージングの制御
本開示の特定の態様は、電力送信機と、電力送信機を介してワイヤレスで充電されている電力受信機との間の構成、制御、ステータスおよび他の情報のワイヤレス通信に関する。構成、制御、ステータスおよび他の情報は、標準規格で規定されたプロトコルに従って符号化されたメッセージで、電力伝送前および電力伝送中に伝達され得る。一例として、Qiプロトコルは、電力受信機が電力送信機に要求を送信し、電力送信機に対して一部の制御をワイヤレスで実行することを可能にする。Qiプロトコルは、多くのワイヤレス充電デバイスに実装されており、電力送信機と電力受信機との間のワイヤレスの相互接続を管理する。Qiプロトコルは、電力送信機と電力受信機との間の電磁束で運ばれるASK信号を生成する振幅シフトキーイング(ASK)変調によって、電力受信機から電力送信機へのメッセージの交換を提供する。
【0030】
図8は、ASK変調された信号を受信および復号するように構成され得る処理回路800の一例を示している。処理回路800は、プロセッサ802を含み、このプロセッサは、ASK変調信号812を使用して送信されたメッセージおよび/または受信したASK変調信号812から復号されたメッセージを格納するように動作可能な、メモリデバイス804、レジスタまたは他のタイプのストレージに結合され得る。処理回路800は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアのいくつかの組合せを用いて実装され得るASKデコーダ806を含む。ASKデコーダ806は、クロック生成またはリカバリ回路から受信したクロック信号を使用して、送信されたASK変調信号812のタイミングを制御するとともに、受信したASK変調信号812のサンプリングおよび復号を制御することができる。
【0031】
いくつかの例では、ASK変調信号812を復号するために、デジタル信号プロセッサ(DSP)が採用され、誘導電力伝送デバイスのタンク回路内の電圧または電流を変調する。
図5のワイヤレス送信機500において、ASK変調信号812は、共振回路506のLCノード510で測定された充電電流518または電圧516を表すか、またはそれから導き出される。多くの例では、ASK変調信号812のレベル変化間のタイミングを特定または測定するために、割り込みを使用することができる。一例では、復調回路が、マイクロコントローラ(MCU)により提供されるタイマと協働して、エッジ間の時間を計算するために使用される割り込みを生成することができる。時間測定のシーケンスを使用して、ASK変調信号812を復号することができる。別の例では、DSPまたはデジタル信号コントローラを使用して、デジタル信号処理方法によりASK変調信号を復調することができる。
【0032】
図9は、電力受信機と電力送信機との間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適合され得る符号化スキーム900、920の例を示している。第1の例では、差分二相符号化スキーム900が、データ信号904の位相でバイナリビットを符号化する。図示の例では、データバイト906の各ビットが、エンコーダクロック信号902の対応するサイクル908で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル908中のデータ信号904の遷移910(位相変化)の有無で符号化される。
【0033】
第2の例では、タンク電圧または充電電流924が、電力信号振幅符号化スキーム920を使用して符号化される。図示の例では、データバイト926のバイナリビットが、充電電流924のレベルで符号化される。データバイト926の各ビットは、エンコーダクロック信号922の対応するサイクル928で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル908中の充電電流924の公称100%電圧レベル930に対する充電電流924の電圧レベルで符号化される。
【0034】
受信機によるASK変調は、
図5を再び参照することによって理解することができる。
図5のワイヤレス送信機500のドライバ回路504によって共振回路506に供給される充電電流518は、インダクタ514に、充電式デバイス内に設けられた受信回路内の受信コイルに結合される電磁束を生成させる。充電式デバイスは、共振回路506のLCノード510で測定される充電電流518および/または電圧516を変調することによって、ワイヤレス充電デバイス内の基地局に情報を伝達することができる。受信デバイスは、例えばパルス幅変調信号に従って、共振回路506内の伝送コイルと受信デバイス内の受信コイルとの間のカップリングを変化させることにより、充電電流518または電圧516を変調させることができる。カップリングは、充電式デバイス内の受信回路によりワイヤレス送信機500に提示されるインピーダンスを変更することによって、変化させることができる。
【0035】
電力受信機と電力送信機との間で交換されるメッセージを復調および復号するために使用されるデコーダシステムの複雑さは、複数のデバイスがマルチデバイスのワイヤレス充電システムと同時に通信する場合に、複雑で管理が困難となる可能性がある。
【0036】
マルチコイル、マルチデバイスのワイヤレス充電システムでは、複数のデバイスを同時に充電することができる。
図10は、3つの受信デバイス1002、1004、1006が自由に配置されたワイヤレス充電デバイスの充電面1000を示している。デバイスは、エッジに対する位置合わせ、向きまたは位置などに関係なく、充電面1000の占有されていないセクションに置かれるときに、自由に配置される。充電面1000内の1または複数の伝送コイルが、充電式デバイスの物理的位置に関係なく受信デバイス1002、1004、1006を充電するように構成され得るとき、ワイヤレス充電デバイスは、フリーポジションをサポートすることができる。図示の例では、各受信デバイス1002、1004、1006が、充電面1000内の1または複数の伝送コイル(LP-1~LP-18と記される)と電磁気的に結合され得る単一の受信コイル1008、1010、1012を有する。図示の例では、ワイヤレス充電デバイスが、充電セル内の1または複数の伝送コイルに充電電流を提供するように構成することができる複数のドライバを含むことができる。ワイヤレス充電デバイスは、さらに、3つの受信デバイス1002、1004、1006における受信コイル1008、1010、1012の同時制御および/または同時デバイス発見が可能であり得る。
【0037】
マルチコイル、マルチデバイスのワイヤレス充電システムでは、複数のデバイスを同時に充電することができる。充電中の各デバイスは、対応する送信回路における充電電流のASK変調を使用して、電力レベル要求および他の情報をワイヤレス送信機500(
図5を参照)に伝達することができ、このワイヤレス送信機を介して、デバイスが充電される。場合によっては、あるワイヤレス送信機500に送信されたASK変調信号が、別のワイヤレス送信機によって検出されることがある。例えば、フリーポジションのワイヤレス充電ステーションでは、2つのデバイス1002および1004、または1004および1006を、互いに接近して任意に配置することができ、その結果、1つのワイヤレス送信機500の伝送コイル(インダクタ514)が双方の受信デバイス1002、1004、1006の受信コイル1008、1010、1012と異なる程度で誘導結合され得る。このため、受信デバイス1002、1004、1006は、複数のワイヤレス送信機500によって復号可能なASK符号化情報を送信するとき、実質的にブロードキャスタになり得る。いくつかの例では、第1の受信デバイスを充電しているワイヤレス送信機500は、第2の受信デバイスが干渉するASK変調信号を送信するときに、第1の受信デバイスからのASKメッセージを復号することができない場合がある。いくつかの例では、第1の受信デバイス1002、1004、1006を充電しているワイヤレス送信機500が、第2の受信デバイス1002、1004、1006から、電力伝送速度を増加または減少させる要求を含むASKメッセージを受信および復号することがある。ワイヤレス送信機500は、第2の受信デバイス1002、1004、1006からの要求に応じてその電力出力を変更することができ、それにより、第1の受信デバイス1002、1004、1006が増加した電力を処理することができない場合には、第1の受信デバイス1002、1004、1006にダメージを与える可能性があり、または電力伝送を減らすことによって第1の受信デバイス1002、1004、1006の充電速度を遅くする可能性がある。
【0038】
本明細書に開示の特定の態様によれば、ワイヤレス充電システムは、ASK変調されたメッセージを、干渉を引き起こすことなく、電力受信デバイスと対応するワイヤレス電力送信機の複数のペアの間で確実に送信することを可能にする。意図したワイヤレス電力送信機以外のワイヤレス電力送信機でメッセージが受信および復号されるリスクを排除または低減することができる。一態様では、異なるワイヤレス電力送信機に、異なる周波数で電磁束を生成する充電電流を提供することができる。電磁束の周波数は、ASK変調信号の搬送波周波数に対応する。送信回路のASK復調器は、搬送周波数を中心とするバンドパスフィルタを含むことができ、それによりバンドパスフィルタが、他のワイヤレス電力送信機に関連する搬送周波数を遮断することができる。その後、各受信デバイス1002、1004、1006は、その対応する電力送信機が動作する周波数でプライベートチャネルを有することができる。
【0039】
いくつかの態様では、複数の受信デバイス1002、1004、1006を同時に検出および/または充電するようにワイヤレス充電デバイスを構成することができる。受信機から送信機への通信にASK負荷変調を使用するワイヤレス充電器で複数の受信デバイス1002、1004、1006を充電する場合、1つの充電セルの出力電力の大きな動的変化により、他の充電セルに関する通信が中断される可能性がある。デジタルping位相発見は、そのような中断に特に影響を受ける可能性がある。
【0040】
本開示の特定の態様によれば、デジタルpingの実行中の干渉または中断は、各受信デバイス1002、1004、1006または潜在的な受信デバイスに発行されるpingをスケジュールすることによって制限することができる。
図11は、デジタルpingが順次配列されるスケジューリングスキーム1100の一例を示している。配列内でスケジュールされた各充電セルは、そのスケジュールされたpingスロット1102、1104、1106、1112内でデジタルpingを順番に送信する。pingに対する応答は、スケジュールされたpingスロット1102、1104、1106、1112の間または後に復号および処理することができる。
図11では、三番目の図示のpingスロット1106に対する応答が、三番目の図示のpingスロット1106の間に開始される沈黙期間において処理される。沈黙期間は、応答受信デバイス1006が識別および構成され得る処理段階1108にまで延長され得る。延長された沈黙期間中、pingは抑制される。スケジューリングスキーム1100によって提供されるタイミングは、デバイスが最初にpingされたときに、動的範囲の大きな変化が起こらないことを保証する。チャネルが電力伝送状態1110に到達した後、pingを再開することができる。スケジューリングスキーム1100は、メッセージの再試行が不可能である期間中のデジタルping段階および処理の成功の確率を高めることができる。
【0041】
複数のデバイスとマルチデバイスのワイヤレス充電器との間のデータ交換を可能にするために、複数のデータストリームを提供することができる。これらのデータストリームは、電力受信機(PRx)から電力送信機(PTx)への通信をサポートすることができ、ASK負荷変調を用いて符号化されたデータは、同じ磁気ドメインで運ばれる。従来のシステムは、典型的には、共存管理を提供することはなく、複数のメッセージが同じ磁気ドメインで同時に送信されている場合、データストリーム間で衝突が発生する可能性がある。
【0042】
本開示の特定の態様によれば、各電力受信機は、異なる搬送周波数が異なるPTx/PRxペアに割り当てられるとき、プライベートチャネルを介してその対応する電力送信機と通信することができる。一例では、ワイヤレス電力送信機が、100kHz~210kHzの周波数範囲内の選択された搬送波周波数で電力を送信することができ、データは、4kHzのベースバンド差動信号クロックを使用して変調することができる。各チャネルに割り当てられた周波数は、干渉を防止するのに十分な各チャネル間のガードバンドを提供するように選択することができる。
【0043】
図12は、多周波ASK変調をサポートする通信インターフェース1200の一例を示している。特定のワイヤレス充電プロトコルは、電力送信機が電力伝送に使用される動作周波数を選択することを許容する。動作周波数は、充電電流のために選択された公称周波数であってもよい。動作周波数は、ASK変調のための搬送波周波数としても機能する。本明細書に開示の特定の態様によれば、電力送信機は、マルチデバイスのワイヤレス充電器に結合された各電力受信機に対して固有の動作周波数を選択し、割り当てることができる。電力受信機によって使用されるASK変調チャネルは、動作周波数に合わせて調整することができる。
【0044】
図示の通信インターフェース1200において、マルチデバイスのワイヤレス充電器は、プロセッサ、シーケンサ、ステートマシンまたは他のコントローラ1202によって制御されるマルチコイル電力送信回路1206を備える。コントローラ1202は、電力送信回路1206の各アクティブ充電コイルに充電電流を供給するように、ドライバ1204のセットを構成することができる。各アクティブ充電コイルは、異なる受信デバイス1208、1210、1212に結合することができる。場合によっては、単一の受信デバイス内の1または複数の受信コイルに電磁気的に結合された複数のコイルに、充電電流を提供することができる。コントローラ1202は、異なる周波数で充電電流を提供するようにドライバ1204のセットを構成することができる。図示の例では、ドライバのセット1204が、ドライバのセット1204の使用のために構成された周波数のセット{f
1,f
2,f
3,...f
n}に規定される搬送波周波数1302、1304、1306で充電電流を提供する。
図13は、ワイヤレス充電器のために構成された周波数スペクトル1300の一例を示している。搬送波周波数1302、1304、1306の適切な分離を確保するために、チャネル間にガードバンド1312、1314を設けることができる。ワイヤレス充電デバイスは、対応する受信デバイス1208、1210、1212に電力を伝送するために使用される周波数によって規定される搬送波信号1224上のASK変調チャネルを使用して受信デバイス1208、1210、1212と通信することができる。
【0045】
図12に示す例では、ASK変調信号1226が、コントローラ1202により提供されるバンド選択信号1230によって構成されるバンドパスフィルタ1214に提供される。バンド選択信号1230は、第1の受信デバイス1208のために提供されたチャネルに関連しない周波数成分をブロックするようにバンドパスフィルタ1214を構成することができる。いくつかの態様では、バンド選択信号1230が、バンドパスフィルタ1214の中心周波数および帯域幅を規定する。ASK変調信号1226のフィルタリングされたバージョンは、ピーク検出器1216に提供され、ピーク検出器が検出器1218に供給する。検出器1218は、コヒーレント復調器1220の出力も受け取る。コヒーレント復調器1220は、ASK変調信号1226で運ばれる情報1228の復号を可能にするために、搬送波信号1222の位相変調を回復するように構成することができる。バンドパスフィルタ1214は、ASK変調信号1226に対する第1の受信デバイス1208の寄与を、他の受信デバイス1210、1212から受信されたASK変調信号から分離する。
【0046】
ASK変調信号の分離により、各受信デバイス1208、1210、1212は、他のデバイスによって送信されたASK変調信号との衝突を心配することなくデータを送信することができる。特定の態様では、調整可能なバンドパスフィルタを有する非同期復調器を使用して、各チャネルを復号することができる。特定の態様では、コヒーレント/同期復調器を使用して、各チャネルを復号することができる。いくつかの態様では、他のタイプの復調器を用いることが企図されている。
【0047】
図14は、充電中のデバイスと通信するための方法の一例を示すフローチャート1400である。本方法は、マルチデバイスのワイヤレス充電器におけるコントローラによって実行され得る。ブロック1402では、コントローラが、ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供することができる。第1の伝送コイルは、第1の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合され得る。ブロック1404では、コントローラが、ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供することができる。第2の伝送コイルは、第2の電力受信デバイス内の受信コイルにワイヤレスで結合され得る。第1の充電電流および第2の充電電流は、互いに異なる周波数で提供され得る。ブロック1406では、コントローラが、第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信することができる。第1の変調信号は、第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含むことができる。ブロック1408では、コントローラが、第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを使用して、第1の変調信号をフィルタリングすることができる。
【0048】
様々な態様では、コントローラが、バンドパスフィルタの出力からのメッセージを復号することができ、そのメッセージが第1の電力受信デバイスから発信されたものとなる。メッセージを復号することは、バンドパスフィルタの出力を非同期復調器に提供して、メッセージを復号することを含むことができる。メッセージを復号することは、検出器を用いてメッセージを復調することを含むことができる。メッセージを復号することは、バンドパスフィルタの出力を同期復調器に提供することを含むことができる。一例では、第1の変調信号が、ASK変調される。
【0049】
図15は、充電中のデバイスと通信するための方法の一例を示すフローチャート1500である。本方法は、マルチデバイスのワイヤレス充電器におけるコントローラによって実行され得る。ブロック1502では、コントローラが、複数の重複しないタイムスロットを規定することができる。ブロック1504では、コントローラが、複数の重複しないタイムスロットのうちの1つを、ワイヤレス充電デバイスの表面または表面内にある複数の充電セルの各々に割り当てることができる。ブロック1506では、コントローラが、複数の重複しないタイムスロットのうちの第1のタイムスロットの間にアクティブpingを実行することができる。ブロック1508では、アクティブpingを使用して識別された充電式デバイスが構成される。ブロック1510では、コントローラが、第1のタイムスロットに対応する充電セルに充電電流を提供することができる。
【0050】
処理回路の例
図16は、バッテリをワイヤレスで充電することを可能にするワイヤレス充電デバイスまたは受信デバイスに組み込むことができる装置1600のハードウェア実装の一例を示している。いくつかの例では、装置1600が、本明細書に開示の1または複数の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、処理回路1602を用いて実現することができる。処理回路1602は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1または複数のプロセッサ1604を含むことができる。プロセッサ1604の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1または複数のプロセッサ1604は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1616の1つによって構成、増強または制御することができる。1または複数のプロセッサ1604は、初期化中にロードされたソフトウェアモジュール1616の組合せを通じて構成されるものであってもよく、動作中に1または複数のソフトウェアモジュール1616をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されるものであってもよい。
【0051】
図示の例では、処理回路1602が、全体としてバス1610で示されるバスアーキテクチャで実現することができる。バス1610は、処理回路1602の具体的なアプリケーションおよび全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1610は、1または複数のプロセッサ1604およびストレージ1606を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1606は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1606は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0052】
バス1610は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路もリンクすることができる。バスインターフェース1608は、バス1610と1または複数のトランシーバ1612との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1600が充電デバイスまたは受信デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1612を設けることができる。また、装置1600の性質に応じて、ユーザインタフェース1618(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティック)も提供することができ、バス1610に直接またはバスインタフェース1608を介して通信可能に結合することができる。
【0053】
プロセッサ1604は、バス1610の管理と、ストレージ1606を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1604を含む処理回路1602は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実現するために使用することができる。ストレージ1606は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1604によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0054】
処理回路1602の1または複数のプロセッサ1604は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1606に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)またはデジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、例えば、搬送波、伝送ライン、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を送信するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、処理回路1602に存在していても、プロセッサ1604に存在していても、処理回路1602の外部にあっても、処理回路1602を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実現するための最良の方法を認識するであろう。
【0055】
ストレージ1606は、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどにおいてソフトウェアを維持および/または編成することができ、それらは、本明細書においてソフトウェアモジュール1616と呼ばれることがある。ソフトウェアモジュール1616の各々は、処理回路1602にインストールまたはロードされて、1または複数のプロセッサ1604によって実行されると、1または複数のプロセッサ1604の動作を制御するランタイムイメージ1614に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1602に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0056】
ソフトウェアモジュール1616のいくつかは、処理回路1602の初期化中にロードされるものであってもよく、それらのソフトウェアモジュール1616は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1602を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1616は、プロセッサ1604の内部デバイスおよび/または論理回路1622を構成することができ、トランシーバ1612、バスインターフェース1608、ユーザインターフェース1618、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1616は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1602が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1612へのアクセス、ユーザインタフェース1618などを含むことができる。
【0057】
処理回路1602の1または複数のプロセッサ1604は、多機能であり、それにより、ソフトウェアモジュール1616のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1または複数のプロセッサ1604は、例えば、ユーザインタフェース1618、トランシーバ1612およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されるようにしてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1または複数のプロセッサ1604は、マルチタスク環境を提供するように構成されるようにしてもよく、それにより、複数の機能の各々が、必要に応じて1または複数のプロセッサ1604によって提供されるタスクのセットとして実現される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1604の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1620を使用して実現されるものであってもよく、それにより、各タスクは、未処理の動作の完了時にかつ/または割り込みなどの入力に応答して、1または複数のプロセッサ1604の制御をタイムシェアリングプログラム1620に戻す。タスクが1または複数のプロセッサ1604の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1620は、オペレーティングシステム、ラウンドロビンベースで制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1または複数のプロセッサ1604の制御を割り当てる機能、および/または、1または複数のプロセッサ1604の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0058】
一例では、装置1600が、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1または複数のプロセッサ1604に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、またはワイヤレス充電装置として動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成することができる。少なくとも1のコイルは、各充電セルの電荷移動領域を介して電磁場を向けるように構成することができる。
【0059】
コントローラは、ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供し、ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供し、第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信し、第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを用いて第1の変調信号をフィルタリングするように構成することができる。第1の伝送コイルは、第1の電力受信デバイスの受信コイルに結合され、第2の伝送コイルは、第2の電力受信デバイスの受信コイルに結合され得る。第1の充電電流および第2の充電電流は、互いに異なる周波数で提供することができる。第1の変調信号は、第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含むことができる。
【0060】
いくつかの態様では、コントローラが、バンドパスフィルタの出力からのメッセージを復号するように構成され、メッセージが第1の電力受信デバイスで発信されたものとなる。コントローラは、バンドパスフィルタの出力を非同期復調器に提供して、メッセージを復号するように構成することができる。コントローラは、検出器を用いてメッセージを復調するように構成することができる。コントローラは、バンドパスフィルタの出力を同期復調器に提供するように構成することができる。場合によっては、第1の変調信号がASK変調される。
【0061】
別の例では、装置1600が、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1または複数のプロセッサ1604に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、またはワイヤレス充電装置として動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成することができる。少なくとも1のコイルは、各充電セルの電荷移動領域を介して電磁場を向けるように構成することができる。
【0062】
コントローラは、複数の重複しないタイムスロットを規定し、複数の重複しないタイムスロットのうちの1つを、ワイヤレス充電デバイスの表面または表面内にある複数の充電セルの各々に割り当て、複数の重複しないタイムスロットのうちの第1のタイムスロットの間にアクティブpingを実行し、アクティブpingを使用して識別される充電式デバイスを構成し、第1のタイムスロットに対応する充電セルに充電電流を提供するよう構成されるものであってもよい。
【0063】
別の例では、ストレージ1606が命令および情報を保持し、命令が、1または複数のプロセッサ1604に、ワイヤレス充電デバイス内の第1の伝送コイルに第1の充電電流を提供するステップであって、第1の伝送コイルが第1の電力受信デバイス内の受信コイルに結合される、ステップと、ワイヤレス充電デバイス内の第2の伝送コイルに第2の充電電流を提供するステップであって、第2の伝送コイルが第2の電力受信デバイス内の受信コイルに結合され、第1の充電電流および第2の充電電流が互いに異なる周波数で提供される、ステップと、第1の電力受信デバイスから第1の変調信号を受信するステップであって、第1の変調信号が、第1の充電電流の周波数に対応する周波数で提供される搬送波信号を含む、ステップと、第2の電力受信デバイスによって送信された第2の変調信号をブロックするように構成されたバンドパスフィルタを使用して第1の変調信号をフィルタリングするステップとを実行させるように構成されている。
【0064】
場合によっては、命令が、1または複数のプロセッサ1604に、バンドパスフィルタの出力からのメッセージを復号させるように構成され、メッセージが第1の電力受信デバイスで発信されたものとなる。メッセージを復号することは、バンドパスフィルタの出力を非同期復調器に提供して、メッセージを復号することを含むことができる。メッセージを復号することは、検出器を用いてメッセージを復調することを含むことができる。メッセージを復号することは、バンドパスフィルタの出力を同期復調器に提供することを含むことができる。第1の変調信号は、ASK変調されたものであってもよい。
【0065】
別の例では、ストレージ1606が命令および情報を保持し、命令が、1または複数のプロセッサ1604に、複数の重複しないタイムスロットを規定させ、複数の重複しないタイムスロットの1つをワイヤレス充電デバイスの表面または表面内にある複数の充電セルの各々に割り当てさせ、複数の重複しないタイムスロットのうちの第1のタイムスロットの間にアクティブpingを実行させ、アクティブpingを用いて識別される充電式デバイスを構成させ、第1のタイムスロットに対応する充電セルに充電電流を提供させるよう構成されている。
【0066】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1または複数」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1または複数を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。請求項の要素が「のための手段(means for)」という文言を使用して明示的に記載されていない限り、また、方法の請求項の場合には、「のためのステップ(step for)」という文言を使用して記載されていない限りは、何れの請求項の要素も、米国特許法第112条第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。