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特許7553989斜視判定装置、斜視判定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】斜視判定装置、斜視判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/08 20060101AFI20240911BHJP
   A61B 3/107 20060101ALI20240911BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61B3/08
A61B3/107
A61B3/113
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023148530
(22)【出願日】2023-09-13
【審査請求日】2023-10-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321005467
【氏名又は名称】InnoJin株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 武範
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雄一
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-233216(JP,A)
【文献】特表2014-526312(JP,A)
【文献】特許第7182832(JP,B1)
【文献】国際公開第2011/021936(WO,A1)
【文献】特表2015-525597(JP,A)
【文献】特開2018-108167(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1813624(CN,A)
【文献】特開2017-102687(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0046029(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105942966(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の正面から前記被験者の右目及び左目を撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像を解析して前記画像から前記右目の角膜及び前記左目の角膜を検出する角膜検出部と、
前記右目の前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかと、前記左目の前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかとの差に基づいて斜視の度合を判定する斜視判定部と、
を備えることを特徴とする斜視判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の斜視判定装置であって、
前記斜視判定部は、前記右目の角膜及び前記左目の角膜それぞれの形状を示す楕円を推定し、前記右目に対応する前記楕円の幅及び前記楕円の高さの少なくともいずれかと、前記左目に対応する前記楕円の幅及び前記楕円の高さの少なくともいずれかと差に応じて前記斜視の度合を判定すること、
を特徴とする斜視判定装置。
【請求項3】
請求項に記載の斜視判定装置であって、
前記斜視判定部は、前記右目の前記角膜の幅の前記右目の前記角膜の高さに対する割合と、前記左目の前記角膜の幅前記左目の前記角膜の高さに対する割合との差に応じて前記斜視の度合を判定すること、
を特徴とする斜視判定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の斜視判定装置であって、
前記画像取得部は、前記被験者を正面から撮影した第1の前記画像と、前記被験者の正面に対して角度を付けて撮影した第2の前記画像とを取得し、
前記角膜検出部は、前記第1及び第2の画像から前記右目及び左目の第1及び第2の前記角膜を検出し、
前記斜視判定部は、前記右目の前記第1の角膜の幅及び高さの少なくともいずれかと、前記左目の前記第2の角膜の幅及び高さの少なくともいずれかとの差に基づいて前記斜視の度合を判定すること、
を特徴とする斜視判定装置。
【請求項5】
被験者の正面から前記被験者の右目及び左目を撮影した画像を取得するステップと、
前記画像を解析して前記画像から前記右目の角膜及び前記左目の角膜を検出するステップと、
前記右目の前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかと、前記左目の前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかとの差に基づいて斜視の度合を判定するステップと、
を情報処理装置が実行することを特徴とする斜視判定方法。
【請求項6】
被験者の正面から前記被験者の右目及び左目を撮影した画像を取得するステップと、
前記画像を解析して前記画像から前記右目の角膜及び前記左目の角膜を検出するステップと、
前記右目の前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかと、前記左目の前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかとの差に基づいて斜視の度合を判定するステップと、
を情報処理装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜視判定装置、斜視判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の眼に光源からの光を反射させて斜視を判定している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-525597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では光源をセットして光の反射を測定する必要があり手間がかかる。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、容易に斜視を判定することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、斜視判定装置であって、被験者の正面から前記被験者の目を撮影した画像を取得する画像取得部と、前記画像を解析して前記画像から角膜を検出する角膜検出部と、前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかに基づいて斜視の度合を判定する斜視判定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に斜視を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】被験者の目を撮影した画像を説明する図である。
図2】斜視判定装置2のハードウェア構成例を示す図である。
図3】斜視判定装置2のソフトウェア構成例を示す図である。
図4】斜視判定装置2による処理の流れを説明する図である。
図5】第2実施形態に係る被験者の撮影の様子を説明する図である。
図6】第2実施形態に係る斜視判定装置2による処理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る斜視判定装置2について説明する。本実施形態の斜視判定装置2は、被験者を撮影した画像から被験者の斜視の度合を判定しようとするものである。
【0011】
図1は、被験者の目を撮影した画像を説明する図である。本実施形態では、斜視判定装置2を用いて被験者を正面から撮影することを想定している。図1の例では、右目11が正面を向いていない所謂斜視の様子が示されている。
【0012】
左目12は正面を向いており、この場合左目12の角膜121は略円形となる。すなわち、角膜121の幅W2と高さH2とは略同一となる。
【0013】
一方、右目11は被験者の右方向(図面上の左方向)を向いており、この場合、右目11の角膜111は楕円形となる。したがって、角膜111の幅W1は、高さH1よりも小さくなる。
【0014】
本実施形態の斜視判定装置2は、このような角膜111,121の形状に基づいて斜視の度合を判定することができる。具体的には、角膜111,121の高さH1,H2に対する、角膜111,121の幅W1,W2の割合(H1÷W1、H2÷W2)に応じた値を斜視度合とすることができる。本実施形態では、角膜の幅が狭いほど斜視の度合が高いと判定することができる。なお、右目11の角膜111の幅W1と、左目12の角膜121の幅W2との差の大きさを斜視の度合としてもよい。また、右目11及び左目12のそれぞれが正面を向いている場合の幅(W1max、W2max)と撮影した画像に写る幅(W1,W2)との差の大きさを斜視の度合としてもよい。
【0015】
<斜視判定装置2>
図2は、斜視判定装置2のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。斜視判定装置2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、カメラ205、入出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入出力装置206は、データの入出力を行う装置であり、例えば、タッチパネルディスプレイである。入出力装置206は、複数の装置を含むことができ、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどを含んでよい。なお、後述する斜視判定装置2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、斜視判定装置2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0016】
図3は、斜視判定装置2のソフトウェア構成例を示す図である。斜視判定装置2は、画像取得部211、角膜検出部212、斜視判定部213、画像記憶部231を備える。
【0017】
画像取得部211は、被験者の正面から被験者の目を撮影した画像を取得する。画像取得部211は、例えば、ユーザに対して、顔の正面から撮影することを指示するメッセージを出力するとともに、ユーザがカメラ205で撮影した画像を取得することができる。
【0018】
画像記憶部231は、画像取得部211が取得した画像を記憶する。画像記憶部231は、ユーザを特定するユーザIDと、撮影日時、撮影方向(例えば、被験者の正面を0度とし、被験者の顔の表面(例えば、眉間など)を中心とする角度として表現することができる。)に対応付けて、画像データを記憶することができる。
【0019】
角膜検出部212は、画像を解析して画像から角膜(を示す図形)を検出する。角膜検出部212は、公知の画像処理技術を用いて角膜に該当する領域を囲む形状を検出するものとして、ここでは処理の詳細についての説明を省略する。本実施形態において角膜検出部212は、円又は楕円の形状として(近似させて)角膜を検出するものとする。
【0020】
斜視判定部213は、少なくとも角膜の幅に基づいて斜視の度合を判定する。本実施形態では、斜視判定部213は、角膜の高さHに対する角膜の幅Wの割合に応じて斜視の度合を決定することができる。斜視判定部213は、角膜111,121を検出した場合に、角膜111,121の形状に近似する楕円を推定する。楕円の推定処理には、公知の手法を用いることができる。斜視判定部213は、推定した楕円から幅W及び高さHを求めることができる。これにより、瞼等により角膜111,121の一部が隠されている場合にも、高さHを正確に算出することができる。なお、高さHのみを楕円から求めるようにし、幅Wは、検出した角膜111,121から求めるようにしてもよい。
【0021】
なお、斜視判定部213はまた、幅Wのみから斜視の度合を決定することもできる。例えば、角膜検出部212が、画像から右目及び左目の両方の角膜111,121を検出し、斜視判定部213は、右目の幅W1と左目の幅W2とを比較して、例えば、右目の幅W1と左目の幅W2との差(絶対値)を斜視の度合として判定することができる。また、ユーザに対して両目を左右に動かすように指示し、角膜検出部212が、目の動く様子を撮影した動画又は目の動く様子を時系列に複数回撮影した静止画から角膜111,121を検出するようにし、斜視判定部213は、右目の幅W1と左目の幅W2のそれぞれの最大値W1max、W2maxを特定することができる。続いてユーザに正面を見るように指示し、顔の正面から撮影を行うようにして、角膜検出部212が、ユーザの正面から撮影した画像から角膜111,121を検出し、斜視判定部213は、検出された角膜111,121の幅W1,W2を求め、最大値W1max、W2maxと、正面からの画像における角膜の幅W1,W2との差(W1max-W1、W2max-W2)の平均値、大きい方、又は小さい方に応じて斜視の度合を決定することができる。
【0022】
<動作>
図4は、斜視判定装置2による処理の流れを説明する図である。
【0023】
斜視判定装置2は、カメラ205を用いて被験者の目を正面から撮影する(S301)。なお、正面から撮影しているかどうかは被験者に委ね、斜視判定装置2自身は被験者の正面からの撮影であるかどうかの判定は行わないようにすることができる。斜視判定装置2は、撮影した画像から被験者の目を検出する(S302)。右目のみ、左目のみを検出するようにしてもよいし、両目を検出するようにしてもよい。
【0024】
斜視判定装置2は、検出した角膜の幅W及び高さHを求め(S303)、高さHに対する幅Wの割合に応じて斜視の度合を判定することができる(S304)。なお、上述したように、左右の角膜の幅W1,W2の差(W1-W2)に応じて、あるいは、左右に目を動かした場合の角膜の幅の最大値W1max、W2max(の少なくともいずれか)と、正面から撮影した画像における角膜の幅W1,W2との差(W1max-W1、W2max-W2)の少なくともいずれか又は当該差の平均値に応じて、斜視の度合を決定することもできる。
【0025】
以上のようにして、本実施形態の斜視判定装置2によれば、被験者が自身を撮影した画像のみから被験者の斜視の度合を判定することができる。
【0026】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る被験者の撮影の様子を説明する図である。第2実施形態では、被験者の正面に向けた方向D1での撮影だけでなく、被験者の正面に対して角度を付けた方向D2及び/又はD3からの撮影も行うようにする。
【0027】
画像取得部211は、被験者を正面から撮影した第1の画像(D1の撮影方向での撮影画像)と、被験者の正面に対して角度を付けて撮影した第2の画像(D2及び/又はD3の撮影方向での撮影画像)とを取得し、角膜検出部212は、第1及び第2の画像から第1及び第2の角膜を検出し、斜視判定部213は、第1及び第2の角膜の幅に基づいて斜視の度合を判定することができる。
【0028】
図6は、第2実施形態に係る斜視判定装置2による処理の流れを説明する図である。斜視判定装置2は、被験者の目を正面から撮影し(S301)、さらに被検者の目を角度を付けて撮影する(S321)。斜視判定装置2は、撮影した画像から被験者の角膜を検出し(S302)、各画像における角膜の幅Wを検出する(S322)。斜視判定装置2は、正面から撮影したときの角膜の幅Wに対する、角度を付けて撮影したときの角膜の幅Wの割合に応じて、斜視の度合を判定することができる(S323)。この場合、例えば、D1の撮影方向で撮影した第1の画像における角膜の幅Wよりも、D2の撮影方向で撮影した第2の画像における角膜の幅Wの方が大きければ、その角膜は、D1よりもD2に平行な方向に近い方向に向いていると判定することができる。この場合の大きさの変化に応じて、斜視の度合を決定することができる。
【0029】
<第3実施形態>
第1及び第2実施形態では、左右方向に視線のずれた斜視(外斜視又は内斜視)を想定していたが、第3実施形態では、上下方向に視線のずれた斜視(上下斜視)を判定する。
【0030】
第3実施形態では、角膜111,121の幅W1,W2に対する、角膜111,121の高さH1,H2の割合(W1÷H1、W2÷H2)に応じた値を、上下斜視の度合とすることができる。第3実施形態では、角膜の高さが小さいほど上下斜視の度合が高いと判定することができる。なお、右目11の角膜111の高さH1と、左目12の角膜121の高さH2との差の大きさを上下斜視の度合としてもよい。また、右目11及び左目12のそれぞれが正面を向いている場合の高さ(H1max、H2max)と撮影した画像に写る高さ(H1,H2)との差の大きさを上下斜視の度合としてもよい。
【0031】
第3実施形態において、斜視判定部213は、少なくとも角膜の高さに基づいて上下斜視の度合を判定する。第3実施形態では、斜視判定部213は、角膜の幅Wに対する角膜の高さHの割合に応じて斜視の度合を決定することができる。斜視判定部213は、角膜111,121を検出した場合に、角膜111,121の形状に近似する楕円を推定する。楕円の推定処理には、公知の手法を用いることができる。斜視判定部213は、推定した楕円から幅W及び高さHを求めることができる。これにより、瞼等により角膜111,121の一部が隠されている場合にも、幅W及び高さHを正確に算出することができる。
【0032】
なお、斜視判定部213はまた、高さHのみから上下斜視の度合を決定することもできる。例えば、角膜検出部212が、画像から右目及び左目の両方の角膜111,121を検出し、斜視判定部213は、右目の高さH1と左目の高さH2とを比較して、例えば、右目の高さH1と左目の高さH2との差(絶対値)を上下斜視の度合とすることができる。また、ユーザに対して両目を上下に動かすように指示し、角膜検出部212が、目の動く様子を撮影した動画又は目の動く様子を時系列に複数回撮影した静止画から角膜111,121を検出するようにし、斜視判定部213は、右目の高さH1と左目の高さH2のそれぞれの最大値H1max、H2maxを特定することができる。続いてユーザに正面を見るように指示し、顔の正面から撮影を行うようにして、角膜検出部212が、ユーザの正面から撮影した画像から角膜111,121を検出し、斜視判定部213は、検出された角膜111,121の高さH1,H2を求め、最大値H1max、H2maxと、正面からの画像における角膜の高さH1,H2との差(H1max-H1、H2max-H2)の平均値、大きい方、又は小さい方に応じて上下斜視の度合を決定することができる。
【0033】
<第4実施形態>
第4実施形態では、左右方向及び上下方向の両方での斜視度合を判定する。
【0034】
第4実施形態では、角膜111,121の幅W1,W2に対する、角膜111,121の高さH1,H2の割合(W1÷H1、W2÷H2)と、角膜111,121の高さH1,H2に対する、角膜111,121の幅W1,W2の割合(H1÷W1、H2÷W2)との両方に応じた値を斜視の度合とすることができる。第4実施形態では、角膜の幅が狭いほど、また角膜の高さが小さいほど、斜視の度合が高いと判定することができる。なお、右目11の角膜111の幅W1及び高さH1と、左目12の角膜121の幅W2及び高さH2との差の大きさを斜視の度合としてもよい。また、右目11及び左目12のそれぞれが正面を向いている場合の幅及び高さ(W1max,H1max,W2max,H2max)と撮影した画像に写る幅及び高さ(W1,H1,W2,H2)を用いて、幅の差(W1max-W1,W2max-W2)及び高さの差(H1max-H1,H2max-H2)を合計又は重み付け合計した値を斜視の度合とすることができる。
【0035】
第4実施形態においても、上述した実施形態と同様に、角膜111,121に近似する楕円を推定し、楕円の幅W及び高さHを用いて斜視の度合を計算することができる。
【0036】
第4実施形態では、斜視判定部213はまた、幅W及び高さHのみから上下斜視の度合を決定することもできる。例えば、角膜検出部212が、画像から右目及び左目の両方の角膜111,121を検出し、斜視判定部213は、右目の幅W1及び高さH1と左目の幅W1及び高さH2とを比較して、例えば、右目の幅W1と左目の幅W2との差(絶対値)と高さH1と左目の高さH2との差(絶対値)とを合計して斜視の度合とすることができる。
【0037】
また、ユーザに対して両目を上下に動かすように指示し、角膜検出部212が、目の動く様子を撮影した動画又は目の動く様子を時系列に複数回撮影した静止画から角膜111,121を検出するようにし、斜視判定部213は、右目の高さH1と左目の高さH2のそれぞれの最大値H1max、H2maxを特定することができる。続いてユーザに正面を見るように指示し、顔の正面から撮影を行うようにして、角膜検出部212が、ユーザの正面から撮影した画像から角膜111,121を検出し、斜視判定部213は、検出された角膜111,121の高さH1,H2を求め、最大値H1max、H2maxと、正面からの画像における角膜の高さH1,H2との差(H1max-H1、H2max-H2)の平均値、大きい方、又は小さい方に応じて上下斜視の度合を決定することができる。
【0038】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0039】
例えば、左右方向での斜視の度合と、上下方向での斜視の度合とをそれぞれ算出して出力するようにしてもよい。
【0040】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
被験者の正面から前記被験者の目を撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像を解析して前記画像から角膜を検出する角膜検出部と、
前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかに基づいて斜視の度合を判定する斜視判定部と、
を備えることを特徴とする斜視判定装置。
[項目2]
項目1に記載の斜視判定装置であって、
前記斜視判定部は、前記角膜の形状を示す楕円を推定し、前記楕円の幅及び前記楕円の高さに基づいて前記斜視の度合を判定すること、
を特徴とする斜視判定装置。
[項目3]
項目2に記載の斜視判定装置であって、
前記斜視判定部は、前記幅の前記高さに対する割合及び前記高さの前記幅に対する割合の少なくともいずれかに応じて前記斜視の度合を判定すること、
を特徴とする斜視判定装置。
[項目4]
項目1に記載の斜視判定装置であって、
前記画像には右目及び左目が撮影され、
前記角膜検出部は、前記画像から、前記右目の第1の前記角膜及び前記左目の第2の前記角膜を検出し、
前記斜視判定部は、前記第1の角膜の幅及び高さの少なくともいずれかと、前記第2の角膜の幅及び高さの少なくともいずれかとに基づいて前記斜視の度合を判定すること、
を特徴とする斜視判定装置。
[項目5]
項目1に記載の斜視判定装置であって、
前記画像取得部は、前記被験者を正面から撮影した第1の前記画像と、前記被験者の正面に対して角度を付けて撮影した第2の前記画像とを取得し、
前記角膜検出部は、前記第1及び第2の画像から第1及び第2の前記角膜を検出し、
前記斜視判定部は、前記第1及び第2の角膜の幅及び高さの少なくともいずれかに基づいて前記斜視の度合を判定すること、
を特徴とする斜視判定装置。
[項目6]
被験者の正面から前記被験者の目を撮影した画像を取得するステップと、
前記画像を解析して前記画像から角膜を検出するステップと、
前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかに基づいて斜視の度合を判定するステップと、
を情報処理装置が実行することを特徴とする斜視判定方法。
[項目7]
被験者の正面から前記被験者の目を撮影した画像を取得するステップと、
前記画像を解析して前記画像から角膜を検出するステップと、
前記角膜の幅及び高さの少なくともいずれかに基づいて斜視の度合を判定するステップと、
を情報処理装置に実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0041】
2 斜視判定装置
【要約】
【課題】容易に斜視を判定することができるようにする。
【解決手段】斜視判定装置であって、被験者の正面から被験者の目を撮影した画像を取得する画像取得部と、画像を解析して画像から角膜を検出する角膜検出部と、角膜の幅及び高さの少なくともいずれかに基づいて斜視の度合を判定する斜視判定部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6