(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】印刷物、情報処理装置および印刷物識別システム
(51)【国際特許分類】
G09F 3/02 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
G09F3/02 P
(21)【出願番号】P 2023151073
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-10-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521090704
【氏名又は名称】株式会社RiLiSh
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 琢真
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲埼▼
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-208127(JP,A)
【文献】特開2016-048905(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152914(JP,U)
【文献】特表2002-525642(JP,A)
【文献】特開2014-106579(JP,A)
【文献】特開2006-098423(JP,A)
【文献】特開2018-199526(JP,A)
【文献】特開2022-083761(JP,A)
【文献】特開2022-028154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00- 5/04
B41J 5/00- 5/52
B41J 21/00-21/18
G06F 3/12
B65D 23/00-25/56
B41M 1/00- 3/18
B41M 7/00- 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物を識別する情報処理装置であって、
前記印刷物は、
商品の容器、包装、または附属品に貼付するためのラベル、または、商品の容器、包装、または附属品そのものであり、
前記商品を示す情報が商品表示として印刷される印刷領域を有し、
前記印刷領域は、前記商品表示の背景として、2以上の色からなる配色パターンを有しており、
前記配色パターンは、商品の出荷先、販売先、または、出荷倉庫を間接的に示し、
前記情報処理装置は、
前記配色パターンの情報と、当該配色パターンが印刷された商品の識別情報とを対応付けて記憶している記憶部と、
前記記憶部を参照し、前記配色パターンの情報に基づいて、前記識別情報を取得する取得部と、を有する、情報処理装置。
【請求項2】
印刷物を識別する情報処理装置であって、
前記印刷物は、
商品の容器、包装、または附属品に貼付するためのラベル、または、商品の容器、包装、または附属品そのものであり、
前記商品を示す情報が商品表示として印刷される印刷領域を有し、
前記印刷領域は
、商品の流通経路を間接的に示す、2以上の色からなる配色パターンを有しており、
前記印刷領域は、前記商品表示が印刷される第1印刷層と、前記配色パターンが印刷される第2印刷層と、を有し、
前記第2印刷層は、前記第1印刷層から剥離可能であり、
前記第1印刷層は、当該第1印刷層を透過して前記第2印刷層に印刷された前記配色パターンを視認可能となっており、
前記情報処理装置は、
前記配色パターンの情報と、当該配色パターンが印刷された商品の識別情報とを対応付けて記憶している記憶部と、
前記記憶部を参照し、前記配色パターンの情報に基づいて、前記識別情報を取得する取得部と、を有する、情報処理装置。
【請求項3】
前記識別情報に基づいて、前記識別情報に対応する前記配色パターンを生成する生成機能をさらに有する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷物と、
請求項
1に記載の情報処理装置と、を有する、印刷物識別システム。
【請求項5】
請求項2に記載の印刷物と、
請求項2に記載の情報処理装置と、を有する、印刷物識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物、情報処理装置および印刷物識別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容室等で使用される高級シャンプーや、特定の店舗だけで販売される高級化粧品などの商品では、出荷元により、予め決められた美容室や店舗だけで当該商品を販売するように流通経路が設定されている。しかしながら、このような商品を、正規の流通経路とは異なる流通経路で販売(転売)し、利益を得る者(以下、転売者という。)がいる。そのため、出荷元では、このような転売行為を防止するため、通常のラベル表示の他に、出荷先を識別可能とするための識別番号など流通経路を示す識別情報をラベル等に印刷する場合がある。
【0003】
しかしながら、転売者によっては、このような識別番号を剥ぎ取るなどすることで、転売が行われている出荷先を特定できないようにする場合がある。そのため、特許文献1では、識別情報を反転した反転情報を外部から視認できないように隠蔽層の下に隠蔽して印字する構成が開示されており、また、特許文献2では、識別情報を不可視インクで印刷する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-113616号公報
【文献】特開2020-131372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、識別番号など流通経路を示す情報が文字、数字、記号などで記載されているため、転売者が流通経路を示す文字等の一部を切り取ってしまった場合に、流通経路を示す文字等を完全な状態で読み取ることができず、結果として、商品が転売された出荷先を特定することができないという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、転売者が流通経路を示す情報の一部を切り取ってしまった場合でも、簡易な方法で、商品の流通経路を特定することができる印刷物、情報処理装置および印刷物識別システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係る情報処理装置は、印刷物を識別する情報処理装置であって、前記印刷物は、商品の容器、包装、または附属物に貼付するためのラベル、または、商品の容器、包装、または附属物そのものであり、前記商品を示す表示情報が印字される印字領域を有し、前記印字領域は、2以上の色からなる配色パターンを有しており、前記配色パターンは、商品の出荷先、販売先、または、出荷倉庫を間接的に示し、前記情報処理装置は、前記配色パターンの情報と、当該配色パターンが印刷された商品の識別情報とを対応付けて記憶している記憶部と、前記記憶部を参照し、前記配色パターンの情報に基づいて、前記識別情報を取得する取得部と、を有する。
本発明の第2の観点に係る情報処理装置は、印刷物を識別する情報処理装置であって、前記印刷物は、商品の容器、包装、または附属品に貼付するためのラベル、または、商品の容器、包装、または附属品そのものであり、前記商品を示す情報が商品表示として印刷される印刷領域を有し、前記印刷領域は、前記商品表示の背景として、2以上の色からなる配色パターンを有しており、前記印刷領域は、前記商品表示が印刷される第1印刷層と、前記配色パターンが印刷される第2印刷層と、を有し、前記第2印刷層は、前記第1印刷層から剥離可能であり、前記第1印刷層は、当該第1印刷層を透過して前記第2印刷層に印刷された前記配色パターンを視認可能となっており、前記情報処理装置は、前記配色パターンの情報と、当該配色パターンが印刷された商品の識別情報とを対応付けて記憶している記憶部と、前記記憶部を参照し、前記配色パターンの情報に基づいて、前記識別情報を取得する取得部と、を有する。
上記情報処理装置において、前記識別情報に基づいて、前記識別情報に対応する前記配色パターンを生成する生成機能をさらに有する構成とすることができる。
本発明の第1の観点に係る印刷物識別システムは、上記第1の観点に係る印刷物と、上記第1の観点に係る情報処理装置と、を有する。
本発明の第2の観点に係る印刷物識別システムは、上記第2の観点に係る印刷物と、上記第2の観点に係る情報処理装置と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、必要表示が印字される印刷領域の背景として、商品の流通経路を間接的に示す配色パターンを印刷することで、転売者が物流経路を示す情報の一部を切り取った場合でも、残りの部分から、配色パターンを把握することができるため、簡易な方法で、商品の流通経路を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る印刷物識別システムの構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る商品の容器を示す図である。
【
図3】必要表示印刷領域における配色パターンの構成を説明するための図である。
【
図4】第2実施形態に係るラベルを示す平面図である。
【
図5】第2実施形態に係るラベルを示す側面図である。
【
図6】第3実施形態に係るラベルに印刷される配色パターンを説明するための図である。
【
図7】第3実施形態に係るラベルを示す側面図である。
【
図8】他の実施形態に係るラベルに印刷される配色パターンを説明するための図である。
【
図9】他の実施形態に係るラベルを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本発明は、商品の転売を防止するための印刷物および印刷物識別システムに関し、本発明に係る印刷物とは、後述する必要表示および配色パターンが印刷された商品の容器、包装、または附属物である。また、商品の付属品とは、荷札や説明書など、商品の容器または包装に直接または間接的に接する、あるいは、包装内に同封される物であり、商品に付随して流通するものである。以下の実施形態では、化粧品や高級シャンプーなどの商品の容器に直接、または、商品の容器に貼付するためのラベルに、必要表示および配色パターンが印刷された構成を例示して、本発明を説明する。
【0011】
《第1実施形態》
第1実施形態に係る識別情報処理システム100について説明する。
図1は、本実施形態に係る識別情報処理システム100を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る識別情報処理システム100は、商品(商品の容器1)と、出荷元の担当者など、識別情報処理システム100のユーザが使用する情報端末2と、情報端末2とインターネットなどを介して情報の授受が可能なサーバー3とを有している。
【0012】
また、第1実施形態では、商品の容器1に、後述する必要表示11および配色パターン12が印刷された構成を例示して説明する。商品の容器1は、商品を収容するだけではなく、外面に、収容する商品の内容を示す各種表示が印刷されている。ここで、
図2は、第1実施形態に係る商品の容器1を示す図であり、特に、商品の容器1の背面を示している。
図2に示すように、本実施形態に係る商品の容器1は、背面に、必要表示11が印刷される必要表示印刷領域10と、商品の製造ロットなどの物流経路を示す識別情報が文字や数字などで明示的に印字される識別情報印刷領域20とを有している。
【0013】
必要表示印刷領域10は、商品の容器1、包装、附属物において必要表示11が印刷される領域である。必要表示11は、商品を示す情報であって、たとえば、商品について印刷することが必要とされている情報、あるいは、転売時において、必要表示を取り除いてしまうと、その商品の価値を低下させてしまう表示とすることができる。必要表示としては、たとえば、製造販売業者の氏名、名称、住所、商品の名称、製造番号または製造記号、成分の名称、使用期限などの法定表示が例示されるが、これに限定されず、商品が本物であることを示すシリアルナンバーや、商標やロゴなども例示される。なお、
図1に示す例では、必要表示印刷領域10として、1つの領域を図示しているが、必要表示11を印刷した複数の必要表示印刷領域10を離れた位置に配置する構成とすることもできる。
【0014】
また、本実施形態において、必要表示印刷領域10は、必要表示11が印刷されていることに加えて、その背景として、2以上の色が配色された配色パターン12を有する。本実施形態では、この配色パターン12が、商品の流通経路(たとえば、出荷先、販売先、出荷倉庫など)を間接的に示す識別情報として機能し、流通経路ごとに、異なるパターンが設定されることとなる。配色パターン12は、単に色の組み合わせだけではなく、各色が着色されている各色領域の大きさや形状の違いにより、異なるパターンとして設定することができる。なお、配色パターン12の情報は、当該配色パターン12が示す流通経路の情報とともに、後述するサーバー3に記憶されている。
【0015】
また、
図1に示す例では、3色の色が左右方向に並んで配色された配色パターンを有する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、
図3(A)に示すように、4色以上の色を配色する配色パターンとすることもできる。また、
図3(B)に示すように、縦方向において各色を並べる構成とすることができる。さらに、
図3(C)に示すように、横方向または縦方向の一方向だけに各色を並べるのではなく、縦方向および横方向の二次元状に各色を並べる構成とすることもできる。
【0016】
次に、識別情報印刷領域20について説明する。識別情報印刷領域20は、商品の流通経路を示す識別情報が印字された領域である。識別情報印刷領域20に印字される識別情報と、サーバー3において、必要表示印刷領域10の配色パターン12の情報と紐付けられている流通経路の情報とは、同じ流通経路を示すものとする。たとえば、識別情報印刷領域20に印字される識別情報は、その商品の流通経路を直接的に示す文字等(文字、数字、および/または記号)の情報とすることもできるし、また、その商品の流通経路を間接的に示す情報とすることもできる。なお、識別情報印刷領域20に印字される識別情報を商品の流通経路を間接的に示す情報とする場合には、サーバー3に、当該識別情報と流通経路の情報とを関連付けて記憶しておくことで、当該識別情報から商品の流通経路を特定できるようにしておくことが望ましい。本実施形態では、出荷元の担当者(ユーザ)が、情報端末2やサーバー3を用いなくても、その商品の流通経路を特定することができるように、識別情報印刷領域20に印字された識別情報を、商品の流通経路を一定のルールで直接的に表示する情報としている。
【0017】
このように、本実施形態では、識別情報印刷領域20に印字された識別情報に基づいて、出荷元の担当者(ユーザ)は、商品の流通経路を特定することができる。しかしながら、転売者は、識別情報が流通経路を示すことを認知している場合があり、このような場合に、識別情報印刷領域20を容器1から取り除く(消し取る)場合がある。しかしながら、本実施形態では、必要表示印刷領域10の配色パターン12から商品の物流経路を特定することができるため、転売者が商品を転売した流通経路を把握することが可能となる。なお、必要表示印刷領域10は、通常、その商品について表示が義務付けられているものであり、必要表示を切り取るとその商品の価値を低減するものであるため、転売者により切り取られる可能性が少ない。特に、本実施形態においては、配色パターン12は、転売者により、ただの背景として認識されるため、より除去される可能性は低くなる。
【0018】
情報端末2は、たとえば、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの情報機器であり、商品の容器1の必要表示印刷領域10の配色パターン12を読み取るための読み取り部21を有する。また、情報端末2は、必要表示印刷領域10の配色パターン12を読み取るためのプログラムを記憶しており、当該プログラムを実行することで、読み取り部21に配色パターン12を読み取らせ、読み取った配色パターン12の情報を取得することができる。なお、読み取り部21は、カメラであってもよいし、専用のリーダーであってもよい。また、読み取り部21は、情報端末2に組み込まれた構成としてもよいし、情報端末2に接続する外部機器としてもよい。また、上記プログラムは、情報端末2が予め記憶する構成としてもよいし、情報端末2がサーバーからプログラムを一時的にダウンロードし、情報端末2で一時的にダウンロードしたプログラムを実行する構成とすることもできる。さらに、情報端末2により読み取られた配色パターン12の情報は、特に限定されず、配色パターン12をそのまま画像情報として取得してもよいし、プログラムにより、配色パターン12に応じたバイナリ情報などの情報に変換して取得してもよい。
【0019】
サーバー3は、インターネットを介して、情報端末2と通信することで、情報端末2から商品の容器1に印刷された必要表示印刷領域10の配色パターン12の情報を取得し、当該配色パターン12に応じた流通経路の情報を抽出し、情報端末2に提供する。具体的に、サーバー3は、データベースを有しており、当該データベースにおいて、商品の容器1の必要表示印刷領域10に印刷された配色パターン12の情報と、商品の流通経路を示す情報とを関連付けて記憶している。そして、サーバー3は、情報端末2から配色パターン12の情報を取得した場合には、データベースを参照し、配色パターン12に応じた商品の流通経路の情報を抽出する。そして、サーバー3は、抽出した流通経路の情報を、配色パターン12の情報を送信した情報端末2に送信する。
【0020】
これにより、たとえば、商品が正規の流通経路とは異なる流通経路で転売された場合でも、商品の出荷元の担当者(ユーザ)は、転売された商品を取得し、この商品の容器1に印刷されている必要表示印刷領域10の配色パターン12の情報を、情報端末2で読み取ることで、サーバー3から、転売された商品の流通経路を示す情報を取得することができる。そのため、転売者が、商品を転売する際に、その商品の容器1に印刷されている識別情報印刷領域20を取り除いたり、消したりした場合でも、出荷元の担当者(ユーザ)は、容器1の必要表示印刷領域10を読み取り、必要表示印刷領域10の配色パターン12に基づいて、当該配色パターン12に対応する商品の流通経路を特定することで、どの流通経路から商品が転売されたかを推認することができる。
【0021】
また、本実施形態において、必要表示印刷領域10の配色パターン12は、必要表示11に重畳して印刷されるため、必要表示11の可読性が低下しない配色パターン12とすることが好ましい。具体的には、配色パターン12は、必要表示11に使用される文字の色と非同一の色を用いることが好ましく、近似色とならない色とすることがより好ましく、補色となる色を用いることがさらに好ましい。また、配色パターン12は、必要表示11が横書きである場合には、
図3(A)に示すように、配色パターン12の各色領域を横方向に並べる構成とすることが好ましく、必要表示11が縦書きである場合には、
図3(B)に示すように、配色パターン12の各色領域を縦方向に並べる構成とすることが好ましい。さらに、必要表示11の可読性が低下しないよう、配色パターン12において、各色領域を斜め方向に並べる構成とすることもできる。なお、
図3は、必要表示印刷領域10の配色パターン12の構成の一例を説明するための図である。
【0022】
さらに、本実施形態では、配色パターン12が表示される必要表示印刷領域10は矩形となっているが、この構成に限定されず、必要表示印刷領域10(配色パターン12全体)をドット柄、星柄、円形、ドーナツ型、動物を模した形状などの任意の形状とすることができる。また、本実施形態では、配色パターン12の各色領域の形状も矩形とする構成を例示しているが、各色領域の形状を任意の形状とすることもでき、また、色領域ごとに異なる形状とすることもできる。このように、配色パターン12において、各色領域の形状までを変更可能とすることで、配色パターン12の情報量を多くすることができる。
【0023】
さらに、配色パターン12において、経年劣化や光環境などによる色の読み取りエラーを抑制するために、配色パターン12の所定の位置に、色を教示するための色手本領域を設ける構成とすることもできる。たとえば、
図3(A)に示す配色パターン12において、8色の中から各色領域の色を設定する場合、色手本領域として、上記8色の色をそれぞれ印刷した領域を設ける構成とすることができる。これにより、経年劣化や光環境などにより、物流経路を示す配色パターン12の色が変化する場合も、色手本領域の色も同じく変化するため、配色パターン12の色を正確に特定することが可能となる。
【0024】
以上のように、第1実施形態に係る識別情報処理システム100は、必要表示11が印刷された印刷物である容器1と、情報端末2と、サーバー3とを有している。また、容器1は、必要表示11が印字される必要表示印刷領域10において、背景として、商品の流通経路を間接的に示す、2以上の色が配色された配色パターン12を有していている。これにより、識別情報処理システム100を使用するユーザは、情報端末2の読み取り部21を用いて、必要表示印刷領域10の配色パターン12を読み取り、当該配色パターン12の情報をサーバー3に送信することで、サーバー3は、受信した配色パターン12の情報と、データベースに記憶する配色パターン12の情報とを比較し、配色パターン12の情報が一致した場合には、当該配色パターン12の情報と関連付けて記憶している流通経路を示す情報を抽出し、情報端末2に送信する。これにより、ユーザは、情報端末2において、この商品の流通経路を特定することができ、商品がどの流通経路で転売されたかを把握することができる。なお、第1実施形態においては、商品の容器1に配色パターン12を有する必要表示印刷領域10を直接印刷する構成を例示したが、商品の容器1を収納する箱や袋、容器1に取り付けられる包装フィルムなどの包装に必要表示印刷領域10を印刷する構成としてもよし、あるいは、商品の容器1に直接または間接的に接する荷札、箱などの包装内に同封される説明書やカードに、必要表示印刷領域10を印刷する構成としてもよい。
【0025】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る識別情報処理システム100aでは、商品の容器1そのものに必要表示印刷領域10を印刷する構成に代えて、必要表示印刷領域410が印刷されたラベル4を商品の容器1に貼付する構成とすること以外は、第1実施形態に係る識別情報処理システム100と同じ構成であり、同様に動作する。
【0026】
図4は、第2実施形態に係るラベル4を示す平面図である。また、
図5は、第2実施形態に係るラベル4を示す側面図である。
図5に示すように、本実施形態に係るラベル4は、必要表示11および配色パターン12が印刷される印刷層41と、ラベル4を商品の容器や包装などに貼付するための粘着層42と、粘着層42から剥離可能な剥離層43とを有する。本実施形態では、ラベル4の剥離層43を粘着層42から剥がし、商品の容器または包装にラベル4を貼り付けることで、商品の容器または包装を、必要表示11と配色パターン12を有する構成とすることができる。なお、ラベル4は、剥離層43を付けた状態で、本システムを利用するユーザに提供することもできる。また、ラベル4は、印刷層41を保護するための保護層を有する構成とすることもできる。
【0027】
第2実施形態に係るラベル4は、
図4に示すように、印刷層41において、必要表示印刷領域410と、識別情報印刷領域420とを有する。必要表示印刷領域410は、第1実施形態の必要表示印刷領域10と同様に、必要表示11が印字されるとともに、必要表示11の背景として、商品の流通経路を間接的に示す配色パターン12が印刷されている。当該配色パターン12の情報は、第1実施形態と同様に、サーバー3のデータベースにおいて、商品の流通経路を示す情報に関連付けて記憶されており、ユーザは、情報端末2を用いてラベル4に印刷された配色パターン12を読み取ることで、読み取った配色パターンの情報に基づいて、当該ラベル4が貼付された商品の流通経路を特定することが可能となっている。
【0028】
このように、第2実施形態においても、商品の容器または包装に貼付されるラベル4が、必要表示11が印字された必要表示印刷領域410を有し、必要表示11の背景として、この商品の流通経路を間接的に示す配色パターン12が印刷されている。そのため、当該ラベル4を貼付した商品が転売された場合でも、ユーザは、ラベル4に印刷された配色パターン12の情報から、当該商品がどの流通経路で流通するものであるか特定することができ、どの流通経路から転売されたかを把握することができる。
【0029】
《第3実施形態》
次に、
図6および
図7を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る識別情報処理システム100bでは、第2実施形態と同様に、ラベル4aを商品に貼付することで、商品に必要表示11と配色パターン12aを持たせ、商品の流通経路を特定することを可能とするシステムである。ここで、
図6は、第3実施形態に係るラベル4aに印刷される配色パターン12aを説明するための図であり、
図6(A)は、第3実施形態に係る配色パターン12aを示している。また、
図7は、第3実施形態に係るラベル4aを示す側面図である。第3実施形態では、ラベル4aの配色パターン12aが、各色に着色された矩形領域からなるパターンではなく、
図6(A)に示すように、それぞれが単色の文字、数字、および/または記号からなるパターンであり、複数の文字、数字、および/または記号が全体として2色以上の色で配色されているパターンとすることができる。なお、以下においては、文字、数字、および/または記号を単に文字等と称して説明する。
【0030】
具体的には、第3実施形態に係るラベル4aは、
図7に示すように、2層以上の層構造を有し、
図6(A),(B)に示すように、第1印刷層44に必要表示11が印刷され、第2印刷層45に配色パターン12aが印刷される。そのため、第3実施形態に係るラベル4aでは、
図6(C)に示すように、
図6(A)に示す配色パターン12aの上に、
図6(B)に示す必要表示11が重畳された状態で表示されることとなる。なお、
図6(B)は、第3実施形態に係る必要表示11を示し、
図6(C)は、第3実施形態において必要表示11が印刷された第1印刷層44と、配色パターン12aが印刷された第2印刷層45とが重畳したラベル4aを示す平面図である。
【0031】
なお、本実施形態において、配色パターン12aが印刷される第2印刷層45は、必要表示11が印刷される第1印刷層44と容易に剥離可能となっており、たとえば、第1印刷層44と第2印刷層45との間に、剥離のための剥離層を設ける構成とすることもできる。また、
図7に示すように、第3実施形態でも、第2実施形態と同様に、ラベル4aを商品の容器、包装、附属物に取り付けるための粘着層42および剥離層43を有する構成とすることができる。なお、第1印刷層44に表示される必要表示11は、第2実施形態と同様であるため説明は割愛する。
【0032】
第2印刷層45に印刷される配色パターン12aは、
図6(A)に示すように、各色領域が、文字および/または記号の形状を有し、文字および/または記号としての機能を有する。本実施形態では、配色パターン12aを用いて、文字または記号として物流経路を明示的に表示することができる。これにより、担当者(ユーザ)は、情報端末2やサーバー3を用いることなく、配色パターン12aのみから、商品の流通経路を読み取り、把握することができる。特に、本実施形態では、2層構造を有するため、担当者は、第1印刷層44を剥がし、第2印刷層45のみを表示させることで、第2印刷層45に印刷されている配色パターン12aの文字等を看取することができる。
【0033】
また、転売者が第2印刷層45に記載されている配色パターン12aの文字、数字および/または記号が商品の流通経路を表示するものであると認識し、商品の流通経路が分からないように、
図6(D)に示すように、配色パターン12aの一部を切り取ることも考えられる。たとえば、
図6に示す例では、配色パターン12aが示す上段の「HYT」は、転売者が切り取ることで、たとえば「MTI」や「MIY」などと読める可能性があり、また下段の「PRB」も、「BRP」や「PPR」などと読める可能性がある。そのため、出荷元の担当者は、切り取られた配色パターン12aが示す文字、数字および/または記号のみからは、商品の流通経路を特定することはできない。しかしながら、
図6(E)に示すように、一部が切り取られた配色パターン12であっても、各色領域(文字、数字および/または記号の一部)が残っていれば、その色の組み合わせによって、配色パターン12aを特定することができる。具体的には、担当者は、情報端末2を用いて、残っている配色パターン12aを読み取ることで、一部が切り取られた配色パターン12aであっても、商品の流通経路を特定することができる。
【0034】
このように、第3実施形態に係る識別情報処理システム100bでは、印刷物であるラベル4aの配色パターン12aが、それぞれが単色の文字、数字、および/または記号からなるパターンであり、複数の文字、数字、および/または記号が全体として2色以上の色で配色されているパターンとなっている。これにより、必要表示印刷領域410aが切り取られていない場合には、担当者は、情報端末2やサーバー3を用いることなく、配色パターン12aのみから、商品の流通経路を把握することができ、また、必要表示印刷領域410aが切り取られている場合でも、情報端末2やサーバー3を用いることで、残りの配色パターン12aから、商品の流通経路を把握することができる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0036】
たとえば、上述した実施形態に加えて、情報端末2またはサーバー3は、物流経路にごとに、配色パターン12を作成する機能を有する構成とすることができる。特に、サーバー3は、配色パターン12が作成された場合には、作成された配色パターン12と、当該配色パターン12に対応する物流経路の情報を、識別情報として、データベースに記憶する構成とすることができる。また、配色パターン12を作成する装置またはサーバーを別に有する構成とすることもできる。
【0037】
また、上述した第3実施形態では、
図6に示すように、配色パターン12aが着色した文字等からなる構成を例示したが、たとえば、
図8(A)に示すように、配色パターン12bを、商品の流通経路を直接的に示す文字等(文字、数字、および/または記号)を印字した矩形などの一定の形状の色領域からなるパターンとすることもできる。この場合も、第3実施形態と同様に、出荷元の担当者は、配色パターン12bが切り取られていない場合には、情報端末2やサーバー3を用いることなく、配色パターン12bのみから、商品の流通経路を把握することができ、また、
図8(D),(E)に示すように、配色パターン12bが切り取られている場合でも、情報端末2やサーバー3を用いることで、残りの配色パターン12bから、商品の流通経路を把握することができる。特に、
図8に示す配色パターン12bでは、
図6に示す配色パターン12aと比べて、着色された領域が広くなるため、配色パターン12bが切り取られている場合でも、商品の流通経路を把握することがより容易となる。
【0038】
さらに、上述した第3実施形態では、
図7に示すように、ラベル4aが、2層以上の層構造を有する構成を例示したが、ラベル4cを3層以上の層構造を有する構成とすることもできる。たとえば、
図8に示すように、必要表示11を印刷した第1印刷層44と、背景である配色パターン12aを印刷した第2印刷層45との間に、必要表示11の視認性を高めるための視認性調整層46を積層する構成とすることができる。たとえば、視認性調整層46は、第1印刷層44とは接着する一方、第2印刷層45とは剥離しやすい層とし、不透明または必要表示11の文字の色と補色の関係にある色を着色することで、必要表示11の視認性を高めることができるとともに、配色パターン12aを確認する場合には、視認性調整層46を第2印刷層45から剥離すればよい。また、印刷層を複数の層とした場合に、配色パターン12が視認しにくい場合には、必要表示11が印刷された第1印刷層44の上に、半透明の配色パターン12が印刷された第2印刷層45を積層する構成とすることもできる。
【0039】
また、上述した実施形態において、配色パターン12,12a,12bを、商品の容器や包装の色やデザインに応じた色とすることができる。たとえば、商品の容器や包装がパステルカラーを基調とする場合には、配色パターンもパステルカラーを基調とした配色とすることができる。
【0040】
加えて、上述した実施形態では、サーバー3が、商品の配色パターン12,12a,12bの情報と、商品の物流経路を示す情報とを関連付けて記憶しており、情報端末2から配色パターン12,12a,12bの情報を取得した場合に、配色パターン12,12a,12bに応じた物流経路の情報を情報端末2に送信する構成を例示したが、この構成に限定されず、情報端末2が、商品の配色パターン12,12a,12bの情報と、商品の物流経路を示す情報とを関連付けて記憶しており、情報端末2の読み取り部21で配色パターン12,12a,12bの情報を取得した場合に、配色パターン12,12a,12bに応じた物流経路の情報を取得する構成とすることができる。この場合、印刷物である商品の容器1、包装、または附属物と、情報端末2とからなる識別情報処理システムは、サーバー3を有さなくても、商品の物流情報を特定することが可能となる。
【0041】
また、上述した第3実施形態において、第1印刷層44に、第2印刷層45に印刷された配色パターン12aに応じた色を印刷する構成とすることができる。たとえば、
図6(A)に示す配色パターン12aの文字「PRB」がそれぞれ赤、黄色、オレンジである場合、第1印刷層44における、配色パターン12aの文字「PRB」の文字にそれぞれ重なる領域を、それぞれ赤、黄色、オレンジに着色する構成とすることができる。これにより、第1印刷層44を剥がさないと、第2印刷層45の文字等が印刷されていることを把握することができないため、必要表示11が切り取られるリスクを低減することができるとともに、第1印刷層44に印刷された必要表示11の可読性を高めることもできる。また、仮に、転売者が、第2印刷層45に文字等が印刷されていることに気付き、第2印刷層45に印刷されている文字等の一部を文字等として読み取りできない程度に切り取った場合でも、出荷元の担当者は、文字等の残りの部分の配色から、商品の流通経路を特定することができる。
【符号の説明】
【0042】
100,100a,100b…識別情報処理システム
1…容器
10…必要表示印刷領域
11…必要表示
12,12a…配色パターン
20…識別情報印刷領域
2…情報端末
21…読み取り部
3…サーバー
4,4a~4c…ラベル
41…印刷層
410,410a…必要表示印刷領域
42…粘着層
43…剥離層
44…第1印刷層
45,45a…第2印刷層
46…視認性調整層
【要約】
【課題】転売者が物流経路を示す情報の一部を切り取った場合でも、簡易な方法で、商品の流通経路を特定することができる印刷物、情報処理装置および印刷物識別システムを提供する。
【解決手段】商品の容器1、包装、または附属物に貼付するためのラベル、または、商品の容器1、包装、または附属物そのものである印刷物であって、商品を示す情報が印刷された印刷領域10を有し、印刷領域10は、商品表示の背景として、商品の流通経路を間接的に示す、2以上の色が配色された配色パターン12を有している。
【選択図】
図1