(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】事業管理コンピュータ、事業管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240911BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240911BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2023208922
(22)【出願日】2023-12-12
【審査請求日】2024-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515039650
【氏名又は名称】有限会社日向栄進産業
(74)【代理人】
【識別番号】110004440
【氏名又は名称】弁理士法人ソシデア知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 瑞穂
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-078750(JP,A)
【文献】特開2022-027251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業を管理する事業管理コンピュータであって、
前記事業の着手前データであって、内訳書と、工程表と、実行予算書と、を含む着手前データの入力を受付ける受付部と、
作業者が所定のデータを入力して作成した前記事業の作業日報を取得する取得部と、
前記作業日報に入力された前記所定のデータから所定の項目を作業データとして抽出する抽出部と、
管理データベースに、受け付けた前記着手前データと、抽出した前記作業データを抽出項目毎に登録する登録部と、
前記管理データベースに登録された、前記着手前データと、前記作業データと、に基づいて、現場の状況や収支を示す事業管理用集計表として、出来高集計表、月別経費集計表、予算実績対比表及び/又は従業員別現場出勤簿を作成する作成部と、
を備える事業管理コンピュータ。
【請求項2】
前記事業は、建設工事である、請求項1に記載の事業管理コンピュータ。
【請求項3】
事業を管理する事業管理コンピュータが実行する事業管理方法であって、
前記事業の着手前データであって、内訳書と、工程表と、実行予算書と、を含む着手前データの入力を受付けるステップと、
作業者が所定のデータを入力して作成した前記事業の作業日報を取得するステップと、
前記作業日報に入力された前記所定のデータから所定の項目を作業データとして抽出するステップと、
管理データベースに、受け付けた前記着手前データと、抽出した前記作業データを抽出項目毎に登録するステップと、
前記管理データベースに登録された、前記着手前データと、登録された前記作業データとに基づいて、現場の状況や収支を示す事業管理用集計表として、出来高集計表、月別経費集計表、予算実績対比表及び/又は従業員別現場出勤簿を作成するステップと、
を備える事業管理方法。
【請求項4】
コンピュータに、
事業の着手前データであって、内訳書と、工程表と、実行予算書と、を含む着手前データの入力を受付けるステップ、
作業者が所定のデータを入力して作成した前記事業の作業日報を取得するステップ、
前記作業日報に入力された前記所定のデータから所定の項目を作業データとして抽出するステップ、
管理データベースに、受け付けた前記着手前データと、抽出した前記作業データを抽出項目毎に登録するステップ、
前記管理データベースに登録された、前記着手前データと、登録された前記作業データとに基づいて、現場の状況や収支を示す事業管理用集計表として、出来高集計表、月別経費集計表、予算実績対比表及び/又は従業員別現場出勤簿を作成するステップ、
を実行させるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業管理システム、事業管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業、例えば、工事や建築の現場では、作業者が作業の都度、作業日報を作成して作業の報告が行われているが、当日の作業がすべて終わっても、作業日報を作成しなければならず、このような状況は、作業者の手間となる。
【0003】
一方、事業管理者が、事業にかかる経費等を取りまとめる等の際、作業者が作成した作業日報を見ながら、必要とするデータを、経営管理側が管理するコンピュータのデータベースに入力しているのが通常である。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1では、音声認識技術を利用して、原価管理の前提となる作業日報を生成することが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、作成された作業日報をデータベースに保存しているものの、経理等を取りまとめる等に必要なデータが、作業日報から経営管理側が管理するデータベースに入力されないため、作業日報に含まれるデータが、事業管理者や経営管理者で把握すべきデータとして、経営改善のために活用することが困難である。
【0007】
このため、事業管理者が作業日報から必要とするデータをデータベースに入力しない限り、事業管理者は、現場の段取りや手配漏れ等のスケジュール管理のみならず、重機の使用や、重い資材の運搬、高所作業等の危険を伴う業務遂行への安全性が確保できない。また、着手中の現場の状況、収支、見積もり、出来高等が把握できず、請求漏れや支払い漏れ、予定忘失等の抜けや漏れを防ぐことができない。
【0008】
これにより、現場毎の人件費や移動費が不明となることから、実行予定の見積もり根拠が曖昧のまま原価経費計算を行うのが困難となる、そして、予算に対する費用の推移が把握できないまま、収支対策が後手となり、事業全体を把握できない。したがって、仮に採算悪化の原因分析ができず、現場及び事業者の経営改善が望めないという経営課題が、依然として残る。
【0009】
そこで、発明者らは、経営管理側で管理するデータベースと、作業日報とを連携することによって、例えば、事業の設計から施工までの省力化、工期短縮等を検討することにより、事業の生産性が向上することに着目した。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み、事業管理において、経営管理側で管理するデータベースと、作業日報とを連携することによって、経営改善を行うシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0012】
第1の特徴に係る発明は、
事業を管理する事業管理コンピュータであって、
前記事業の着手前データであって、内訳書と、工程表と、実行予算書と、を含む着手前データの入力を受付ける受付部と、
作業者が所定のデータを入力して作成した前記事業の作業日報を取得する取得部と、
前記作業日報に入力された前記所定のデータから所定の項目を作業データとして抽出する抽出部と、
管理データベースに、受け付けた前記着手前データと、抽出した前記作業データを抽出項目毎に登録する登録部と、
前記管理データベースに登録された、前記着手前データと、前記作業データと、に基づいて、現場の状況や収支を示す事業管理用集計表として、出来高集計表、月別経費集計表、予算実績対比表及び/又は従業員別現場出勤簿を作成する作成部と、
を備える事業管理コンピュータを提供する。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、作業者が作成する作業日報と経営管理側で管理するデータベースとが連携されることによって、作業日報をデータベースに手入力する必要がなくなり、事業管理に必要な集計表が自動的に作成されることから、経費の削減や利益の増加等、事業を請け負う現場や事業者の経営改善を図ることが容易となる。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、出来高集計表、月別経費集計表、予算実績対比表又は従業員別現場出勤簿事業が自動的に作成されることから、事業着手中に、現場の状況や収支を把握することができることから、即時に事業単位の採算性を確認することが可能となる。
【0016】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記事業は、建設工事である事業管理コンピュータを提供する。
【0017】
第3の特徴に係る発明によれば、原価や費用構成等に関する情報が複雑な建設工事事業においても、作業日報をデータベースに手入力する必要がなくなり、事業管理に必要な集計表が自動的に作成されることから、経費の削減や利益の増加等、事業を請け負う現場や事業者の経営改善を図ることが容易となる。
【0018】
本発明は、コンピュータシステムのカテゴリであるが、方法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、事業管理において、経営管理側で管理するデータベースと、作業日報とを連携することによって、経営改善を行うシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態の事業管理コンピュータ1の概要を説明するための図である。
【
図2】本発明の本実施形態である事業管理コンピュータ1の構成図である。
【
図3】本発明の本実施形態における事業管理コンピュータ1が実行する管理用集計表作成処理のフローチャートである。
【
図4】本発明の本実施形態における内訳書110のフォーマット例を示す図である。
【
図5】本発明の本実施形態における工程表120のフォーマット例を示す図である。
【
図6】本発明の本実施形態における実行予算書130のフォーマット例を示す図である。
【
図7】本発明の本実施形態における作業日報200のフォーマット例を示す図である。
【
図8】本発明の本実施形態におけるデータフローを示す図である。
【
図9】本発明の本実施形態における出来高集計表410のフォーマット例を示す図である。
【
図10】本発明の本実施形態における月別経費集計表420のフォーマット例を示す図である。
【
図11】本発明の本実施形態における予算実績対比表430のフォーマット例を示す図である。
【
図12】本発明の本実施形態における従業員別現場出勤簿440のフォーマット例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0022】
[一実施形態の概要]
図1に基づいて、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、一実施形態の事業管理コンピュータ1の概要を説明するための図である。事業管理コンピュータ1は、事業を管理するためのコンピュータである。
【0023】
なお、事業管理コンピュータ1は、その他の端末や装置類等が含まれていてもよい。例えば、ユーザー毎に別のコンピュータを利用してもよく、この場合、事業管理コンピュータ1は、後述する各処理を、コンピュータと、その他の含まれる端末や装置類等との何れか又は複数の組合せにより実行することになる。
【0024】
また、事業管理コンピュータ1は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0025】
事業管理コンピュータ1は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等である。
【0026】
本実施形態の事業管理コンピュータ1が実行する処理の概要について説明する。
事業管理コンピュータ1は、事業の着手前データ100の入力を受付ける(ステップS1)。具体的には、事業管理コンピュータ1は、事業管理者等のユーザーから、少なくとも、内訳書110と、工程表120と、実行予算書130とを含む着手前データ100を、ファイルデータとして自身に取り込む。
【0027】
着手前データ100の入力の受付は、事業管理コンピュータ1が、外部メディア等から直接受け付けてもよいし、通信網に接続される他の端末等から通信網を介して事業管理コンピュータ1が受信することによって受け付けてもよい。
【0028】
次に、事業管理コンピュータ1は、作業者が作成した事業の作業日報200を取得する(ステップS2)。具体的には、事業管理コンピュータ1は、作業者が作成した作業日報200をファイルデータとして自身に取り込む。作業日報200は、事業管理コンピュータ1が、外部メディア等から直接取得してもよいし、通信網に接続される他の端末等から通信網を介して事業管理コンピュータ1が受信することによって取得してもよい。作業日報200については後述する。
【0029】
次に、事業管理コンピュータ1は、作業日報200に入力された作業データを抽出する(ステップS3)。具体的には、ステップS2で取得した作業日報200に入力された所定の抽出項目のデータを作業データ210として抽出する。作業データの抽出方法については、本発明では特に限定されるものではない。
【0030】
次に、事業管理コンピュータ1は、抽出した作業データ210を抽出項目毎に登録する(ステップS4)。具体的には、事業管理コンピュータ1は、ステップS3で抽出した作業データ210を管理データベース300に所定の抽出項目毎に格納することによって記憶する。管理データベース300については、後述する。
【0031】
次に、事業管理コンピュータ1は、受け付けた着手前データ100と、登録された作業データ210とに基づいて、事業管理用集計表400を作成する(ステップS5)。具体的には、事業管理コンピュータ1は、ステップS1で入力を受付けた内訳書110と、工程表120と、実行予算書130と、ステップS4で登録された作業データ210とに基づいて、出来高集計表410、出来高管理書310、月別経費集計表420、予算実績対比表430、従業員別現場出勤簿440を作成する。
【0032】
事業管理コンピュータ1は、管理用集計表400を作成する際、出来高集計表410、出来高管理書310、月別経費集計表420、予算実績対比表430、従業員別現場出勤簿440をすべて作成してもよいし、これらの1つ又はいずれかの組み合わせを、ユーザーの選択入力等に応じて作成してもよい。
【0033】
作成した上述の事業管理用集計表400は、事業管理コンピュータ1から表示してもよいし、プリンタ等に印字出力してもよいし、ファイルデータとして出力してもよい。出力されたファイルデータは、事業管理コンピュータ1の内部又は外部に格納してもよいし、通信網に接続される他の端末等に通信網を介して送信してもよい。
【0034】
以上が、事業管理コンピュータ1が実行する処理の概要である。
【0035】
[事業管理コンピュータ1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の本実施形態である事業管理コンピュータ1のシステム構成について説明する。
図2は、本発明の本実施形態である事業管理コンピュータ1のシステム構成を示す図である。
図2において、事業管理コンピュータ1は、事業を管理するためのコンピュータである。
【0036】
なお、事業管理コンピュータ1は、その他の端末や装置類等が含まれていてもよい。例えば、ユーザー毎に別のコンピュータを利用してもよく、この場合、事業管理コンピュータ1は、後述する各処理を、コンピュータと、その他の含まれる端末や装置類等との何れか又は複数の組合せにより実行することになる。
【0037】
また、事業管理コンピュータ1は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0038】
事業管理コンピュータ1は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等である。
【0039】
事業管理コンピュータ1は、制御部及び処理部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えており、制御部は、後述の処理部、撮像部、通信部、入力部、出力部、記憶部に実行命令を出し、処理部は、データの計算を行い、計算結果の判定等を行う。
【0040】
事業管理コンピュータ1は、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。通信方式は、無線であっても有線であってもよい。
【0041】
事業管理コンピュータ1は、入力部として、ユーザーが事業管理コンピュータ1を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0042】
事業管理コンピュータ1は、出力部として、ユーザーが事業管理コンピュータ1を操作するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、液晶ディスプレイ、PCのディスプレイ、プロジェクター等の表示部への投影等の表示と、音声出力等の形態が考えられる。出力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0043】
事業管理コンピュータ1は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0044】
制御部は、処理部と協働して受付部10、取得部11、抽出部12、登録部13,作成部14を実現する。
【0045】
以上が、事業管理コンピュータ1のシステム構成である。
【0046】
[管理用集計表作成処理]
図3に基づいて、本実施形態の事業管理コンピュータ1が実行する管理用集計表作成処理について説明する。
図3は、本実施形態の事業管理コンピュータ1が実行する管理用集計表作成処理のフローチャートを示す図である。上述した各部が実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0047】
事業管理コンピュータ1の受付部10は、事業の着手前データ100の入力を受付ける(ステップS11)。具体的には、受付部10は、事業管理者等のユーザーから、少なくとも、内訳書110と、工程表120と、実行予算書130とを含む着手前データ100を、ファイルデータとして自身の記憶部に取り込む。着手前データ100のファイル形式は、特に問わないが、Excel形式が好ましく、テキスト(タブ区切り)形式がさらに好ましい。
【0048】
内訳書110は、契約時の事業の内訳について、
図4に示すような所定の書式で記載されるものである。書式については、所定のものであれば、特に問わない。また、内訳書110に記載される項目やデータは、事業契約時の事業の事業名を始めとする当該事業に関わる作業種名等の各種作業の項目や費用等が含まれるが、所定のものであれば、あらゆる項目やデータを記載してもよい。
【0049】
工程表120は、契約事業の工程について、
図5に示すような所定の書式で記載されるものである。書式については、所定のものであれば、特に問わない。また、工程表120に記載される項目やデータは、事業の各工程にかかる日数や納期までのスケジュール、それぞれの進捗状況等が含まれるが、所定のものであれば、あらゆる項目やデータを記載してもよい。
【0050】
実行予算書130は、契約事業の現場ごとの原価を想定して組む予算について、
図6に示すような所定の書式で記載されるものである。書式については、所定のものであれば、特に問わない。また、工程表120に記載される項目やデータは、現場で採用する手段や材料、数量、労務費、期間等が含まれるが、所定のものであれば、あらゆる項目やデータを記載してもよい。
【0051】
着手前データ100の入力の受付は、事業管理コンピュータ1の記憶部に外部メディア等から直接受け付けてもよいし、事業管理コンピュータ1の通信部によって、通信網に接続される他の端末等から通信網を介して受信することによって受け付けてもよい。
【0052】
受付部10は、受け付けた着手前データ100に含まれる各種データを、自身の記憶部に備える管理データベース300に格納して記憶する。管理データベース300については後述する。
【0053】
次に、事業管理コンピュータ1の取得部11は、作業者が作成した事業の作業日報200を取得する(ステップS12)。具体的には、取得部11は、作業者が作成した作業日報200をファイルデータとして自身の記憶部に取り込む。作業日報200のファイル形式は、特に問わないが、Excel形式が好ましく、テキスト(タブ区切り)形式がさらに好ましい。
【0054】
作業日報200は、作業者の日々の作業報告について、
図7に示すような所定の書式で記載されるものである。書式については、所定のものであれば、特に問わない。また、作業日報200に記載される項目やデータは、事業名、作業内容、作業種名、外注人件費等の各種作業進捗に関わる項目や費用等が含まれるが、所定のものであれば、あらゆる項目やデータを記載してもよい。
【0055】
作業日報200の取得は、事業管理コンピュータ1の記憶部に外部メディア等から直接取得してもよいし、事業管理コンピュータ1の通信部によって、通信網に接続される他の端末等から通信網を介して受信することによって取得してもよい。
【0056】
次に、事業管理コンピュータ1の抽出部12は、作業日報200に入力された作業データを抽出する(ステップS13)。具体的には、ステップS12で取得した作業日報200に入力された所定の抽出項目のデータを作業データ210として抽出する。猪蹄の抽出項目には、例えば、事業名、事業区分、作業内容、作業者氏名、作業時間、人件費、事業名、経費内訳が含まれる。作業データ210の抽出方法については、本発明では特に限定されるものではない。
【0057】
次に、事業管理コンピュータ1の登録部13は、抽出した作業データ210を抽出項目毎に登録する(ステップS14)。具体的には、登録部13は、ステップS13で抽出した作業データ210を管理データベース300に、上述の所定の抽出項目毎に格納することによって記憶する。
【0058】
管理データベース300は、事業管理コンピュータ1の記憶部に格納されるデータベースである。管理データベース300は、ステップS11で受け取った内訳書110、工程表120、実行予算書130に含まれる各種データと、ステップS13で作業日報200から抽出された作業データ210が格納されている。
【0059】
管理データベース300に格納する各種データは、例えば、事業No、事業名称、得意先、事業担当、契約日、完成(予定)日、事業期間、契約金額、標準経費率等の事業に関するデータや、労務費、外注費、材料費、リース代、車両管理費、燃料費、旅費・交通費等の経費内訳に関するデータであるが、これらに限らない。これらの各種データは、事業管理コンピュータ1の入力部を介して、変更可能であってよい。
【0060】
次に、事業管理コンピュータ1の作成部14は、受け付けた着手前データ100と、登録された作業データ210とに基づいて、事業管理用集計表400を作成する(ステップS15)。具体的には、
図8に示す通り、作成部14は、ステップS11で入力を受付けた内訳書110と、工程表120と、実行予算書130と、ステップS14で登録された作業データ210とに基づいて、出来高集計表410、月別経費集計表420、予算実績対比表430、従業員別現場出勤簿440を作成する。
【0061】
出来高集計表410は、任意の期間の工種別の明細書であり、
図9に示すような所定の書式で記載されるものである。書式については、所定のものであれば、特に問わない。また、出来高集計表410に記載される項目やデータは、工事名称、仕様・規格、当初契約時の当初金額、変更時の変更金額、増減、今回出来高、累計出来高、残高等の事業の任意の期間の出来高に関わる項目が含まれるが、所定のものであれば、あらゆる項目やデータを記載してもよい。
【0062】
月別経費集計表420は、毎月の労務、経費、材料、外注等の各種費用の集計であり、
図10に示すような所定の書式で記載されるものである。書式については、所定のものであれば、特に問わない。また、月別経費集計表420に記載される項目やデータは、売上金額、経費、経費内訳等の事業の任意の期間の経費に関わる項目が含まれるが、所定のものであれば、あらゆる項目やデータを記載してもよい。
【0063】
予算実績対比表430は、労務、経費、材料、人工の予算に対する実績対比の集計であり、
図11に示すような所定の書式で記載されるものである。書式については、所定のものであれば、特に問わない。また、予算実績対比表430に記載される項目やデータは、工事区分、材工区分、実行予算、実績金額、差額等の事業の任意の期間の予算に対する実績対比に関わる項目が含まれるが、所定のものであれば、あらゆる項目やデータを記載してもよい。
【0064】
従業員別現場出勤簿440は、任意期間における従業員の現場出勤簿であり、
図12に示すような所定の書式で記載されるものである。書式については、所定のものであれば、特に問わない。また、従業員別現場出勤簿440に記載される項目やデータは、日付、勤務時間、宿泊の有無、工事名称、作業内容等の任意の期間における事業に関わる従業員の出勤簿に関わる項目が含まれるが、所定のものであれば、あらゆる項目やデータを記載してもよい。
【0065】
作成部14は、管理用集計表400を作成する際、出来高集計表410、出来高管理書310、月別経費集計表420、予算実績対比表430、従業員別現場出勤簿440をすべて同時に作成してもよいし、これらの1つ又はいずれかの組み合わせを、入力部からのユーザーの選択入力等に応じて作成してもよい。また、入力部からユーザーの集計範囲期間の入力に応じて、当該集計範囲の管理用集計表400を出力してもよい。
【0066】
作成した上述の事業管理用集計表400は、事業管理コンピュータ1の表示部で表示してもよいし、出力部からプリンタ等に出力してもよいし、事業管理コンピュータ1の記憶部にファイルデータとして格納してもよいし、通信部によって、通信網に接続される他の端末等に通信網を介して送信してもよい。出力されたファイルデータのデータ形式は、PDF形式等、いずれの形式であってよい。
【0067】
以上が、管理用集計表作成処理である。
【0068】
本実施形態の事業管理コンピュータ1によれば、作業者が作成する作業日報と経営管理側で管理するデータベースとが連携されることによって、作業日報をデータベースに手入力する必要がなくなり、事業管理に必要な集計表が自動的に作成されることから、経費の削減や利益の増加等、事業を請け負う現場や事業者の経営改善を図ることが容易となる。
【0069】
また、本実施形態の事業管理コンピュータ1によれば、出来高集計表、月別経費集計表、予算実績対比表又は従業員別現場出勤簿事業が自動的に作成されることから、事業着手中に、現場の状況や収支を把握することができることから、即時に事業単位の採算性を確認することが可能となる。
【0070】
さらに、本実施形態の事業管理コンピュータ1によれば、原価や費用構成等に関する情報が複雑な建設工事事業においても、作業日報をデータベースに手入力する必要がなくなり、事業管理に必要な集計表が自動的に作成されることから、経費の削減や利益の増加等、事業を請け負う現場や事業者の経営改善を図ることが容易となる。
【0071】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、単数又は複数のコンピュータからネットワーク経由で提供される(クラウドサービス、SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
1 事業管理コンピュータ、10 受付部、11 取得部、12 抽出部、13 登録部、14 作成部、100 着手前データ、110 内訳書、120 工程表、130 実行予算書、200 作業日報、300 管理データベース、400 事業管理用集計表、410 出来高集計表、420 月別経費集計表、430 予算実績対比表、440 従業員別現場出勤簿
【要約】
【課題】事業管理において、経営管理側で管理するデータベースと、作業日報とを連携することによって、経営改善を行う。
【解決手段】事業を管理する事業管理コンピュータは、前記事業の着手前データの入力を受付ける受付部と、作業者が作成した前記事業の作業日報を取得する取得部と、前記作業日報に入力された作業データを抽出する抽出部と、抽出した前記作業データを抽出項目毎に登録する登録部と、受付けた前記着手前データと、登録された前記作業データとに基づいて、前記事業の事業管理用集計表を作成する作成部と、を備える。
【選択図】
図1