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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】衣料用ハンガー及びその着脱部材
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/32 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
A47G25/32 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024100410
(22)【出願日】2024-06-21
【審査請求日】2024-06-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592207832
【氏名又は名称】日本コパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 宗利
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-74491(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102144875(CN,A)
【文献】特開2007-209738(JP,A)
【文献】登録実用新案第3234712(JP,U)
【文献】実公昭47-10763(JP,Y1)
【文献】米国特許第8201310(US,B1)
【文献】特開2009-247783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に設けられた挟持部と、前記挟持部とは反対側に設けられた操作部とを有し、前記挟持部と前記操作部の間において開口部が形成された一対のクリップ片と、
前記一対のクリップ片を挟むように設置され、弾性力によって前記クリップ片を閉じる方向に付勢するばねと、
前記クリップ片に対して着脱可能である着脱部材と、
を備え、
前記ばねは、一端が前記クリップ片の前記開口部から露出しており、前記クリップ片の外側から前記クリップ片を挟むように付勢しており、
前記着脱部材は、
前記クリップ片の前記挟持部の内側に設置される滑り止め部と、
前記クリップ片の前記開口部を覆うように前記クリップ片に設置される被覆部と、
前記クリップ片に設置され、前記滑り止め部と前記被覆部を前記クリップ片に対して固定する固定部と、
を有する衣料用ハンガー。
【請求項2】
前記滑り止め部は、前記クリップ片の先端の全周を覆うカップ形状又は環状形状である請求項1に記載の衣料用ハンガー。
【請求項3】
前記固定部は、環状形状又はカップ形状であり、前記操作部に対して固定される請求項1又は2に記載の衣料用ハンガー。
【請求項4】
一端に設けられた挟持部と、前記挟持部とは反対側に設けられた操作部とを有し、前記挟持部と前記操作部の間において開口部が形成された一対のクリップ片と、前記一対のクリップ片を挟むように設置され、弾性力によって前記クリップ片を閉じる方向に付勢するばねとを備え、前記ばねは、一端が前記クリップ片の前記開口部から露出しており、前記クリップ片の外側から前記クリップ片を挟むように付勢している衣料用ハンガーに用いられる衣料用ハンガーの着脱部材であって、
前記クリップ片の前記挟持部の内側に設置される滑り止め部と、
前記クリップ片の前記開口部を覆うように前記クリップ片に設置される被覆部と、
前記クリップ片に設置され、前記滑り止め部と前記被覆部を前記クリップ片に対して固定する固定部と、
を備え、
前記クリップ片に対して着脱可能である衣料用ハンガーの着脱部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用ハンガー及びその着脱部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣料用ハンガーには、スラックスやスカートなどを挟んで吊り下げるためのクリップが予め設けられたものがある。ハンガーに設けられるクリップは、例えば合成樹脂製であり、一対のクリップ片と、クリップを閉じる方向に付勢するばねを備えている。
【0003】
クリップのばねが合成樹脂製の場合、衝撃や傷などによってばねが破損しやすく、場合によっては、ばねの破片が人へ向かって飛散するため危険であるという問題があった。そのため、例えば、特許文献1などでは、破損時のばねの飛散を防止するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-204859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衣料用ハンガーは、衣料の製造から販売までの流通過程で大量に用いられることから廃棄される量も多く、リサイクルも行われている。そのため、衣料用ハンガーのリサイクル過程において、材料の回収効率の向上や、材料を分別するための作業性を考慮することが求められている。
【0006】
上述したクリップ付きの衣料用ハンガーでは、クリップの先端の内側において、滑り止め板が接着されている。これにより、クリップが衣料を挟んだときの摩擦力が増加するため、衣料用ハンガーに吊り下げられた衣料が滑り落ちにくい。
【0007】
滑り止め板がウレタン樹脂である場合は、クリップに挟まれる衣料に跡が付きにくい。しかし、衣料用ハンガーは、本体部やクリップがポリプロピレン(PP)であるため、クリップの先端にウレタン樹脂を設置すると、リサイクル過程で異素材を分別する必要があり、また、クリップに対して滑り止め板が接着されているため、滑り止め板を取り除く作業が必要になり、手間がかかっている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、クリップに設けられたばねの飛散を防止しつつ、衣料用ハンガーのリサイクル段階での回収効率や作業性の向上を図ることが可能な衣料用ハンガー及びその着脱部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の衣料用ハンガー及びその着脱部材は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る衣料用ハンガーは、一端に設けられた挟持部と、前記挟持部とは反対側に設けられた操作部とを有し、前記挟持部と前記操作部の間において開口部が形成された一対のクリップ片と、前記一対のクリップ片を挟むように設置され、弾性力によって前記クリップ片を閉じる方向に付勢するばねと、前記クリップ片に対して着脱可能である着脱部材とを備え、前記ばねは、一端が前記クリップ片の前記開口部から露出しており、前記クリップ片の外側から前記クリップ片を挟むように付勢しており、前記着脱部材は、前記クリップ片の前記挟持部の内側に設置される滑り止め部と、前記クリップ片の前記開口部を覆うように前記クリップ片に設置される被覆部と、前記クリップ片に設置され、前記滑り止め部と前記被覆部を前記クリップ片に対して固定する固定部とを有する。
【0010】
上記発明において、前記滑り止め部は、前記クリップ片の先端の全周を覆うカップ形状又は環状形状でもよい。
【0011】
上記発明において、前記固定部は、環状形状又はカップ形状であり、前記操作部に対して固定されてもよい。
【0012】
本発明に係る衣料用ハンガーの着脱部材は、一端に設けられた挟持部と、前記挟持部とは反対側に設けられた操作部とを有し、前記挟持部と前記操作部の間において開口部が形成された一対のクリップ片と、前記一対のクリップ片を挟むように設置され、弾性力によって前記クリップ片を閉じる方向に付勢するばねとを備え、前記ばねは、一端が前記クリップ片の前記開口部から露出しており、前記クリップ片の外側から前記クリップ片を挟むように付勢している衣料用ハンガーに用いられる衣料用ハンガーの着脱部材であって、前記クリップ片の前記挟持部の内側に設置される滑り止め部と、前記クリップ片の前記開口部を覆うように前記クリップ片に設置される被覆部と、前記クリップ片に設置され、前記滑り止め部と前記被覆部を前記クリップ片に対して固定する固定部とを備え、前記クリップ片に対して着脱可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クリップに設けられたばねの飛散を防止しつつ、衣料用ハンガーのリサイクル段階での回収効率や作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーを示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーを示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーを示す正面図であり、クリップが開いた状態を示す。
図4】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーのクリップ及び着脱部材を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーのクリップ及び着脱部材を示す側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーのクリップ及び着脱部材を示す正面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーのクリップ及び着脱部材の変形例を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーのクリップ及び着脱部材の変形例を示す斜視図であり、クリップが開いた状態を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーの着脱部材を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーのクリップを示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーのクリップを示す正面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガーのクリップのクリップ片を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態に係る衣料用ハンガー1について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る衣料用ハンガー1は、図1から図3に示すように、アーム2と、フック3と、クリップ4と、着脱部材5などを備えるクリップ付きハンガーであり、スラックスやスカートなどを挟んで吊り下げるために用いられる。
【0016】
クリップ4は、アーム2において左右に一つずつ合計二つ設けられる。クリップ4は、アーム2の長さ方向においてスライド可能に設置されていることで、アーム2におけるクリップ4の位置を変更でき、二つのクリップ4の間の長さを調整することができる。なお、クリップ4は、片方のクリップ片11がアーム2と一体成形されてアーム2に対して固定されたものでもよい。
【0017】
クリップ4は、図4から図6図10及び図11に示すように、一対のクリップ片11と、ばね12などを備え、ばね12によってクリップ片11が閉じる方向に付勢されている。アーム2を間に挟んで二つのクリップ片11が対向して組み合わされ、ばね12がクリップ片11に固定されることで、クリップ4が組み立てられて、衣料を挟むように開閉可能となる。なお、図10及び図11は、着脱部材5が取り外された状態のクリップ4を示している。
【0018】
クリップ片11は、図4から図6及び図10から図12に示すように、それぞれ、本体部7と、挟持部8と、支点部9と、係止部14と、開口部15と、操作部16などを備える。
【0019】
本体部7は、一方向に長い形状を有し、一端に挟持部8が設けられ、他端に操作部16が設けられる。また、図11及び図12に示すように、本体部7の表面には係止部14が設けられ、図4図5図10及び図12に示すように、裏面には支点部9が設けられる。本体部7の表面とは、クリップ片11が組み合わされたときクリップ4の外側となる面であり、本体部7の裏面とはクリップ4の内側となる面である。
【0020】
挟持部8は、クリップ片11の本体部7の一端に設けられており、クリップ4が閉じられたとき、吊り下げられる衣料を挟むことができる。
【0021】
支点部9は、本体部7の長さ方向中間部、具体的には本体部7の長さ方向の中央よりも操作部16側の位置において、本体部7から突出した形状を有する。図2及び図3に示すように、クリップ4が組み立てられた状態で、支点部9は、アーム2に接触する。クリップ片11は、支点部9とアーム2との接触部分を支点にして回動する。
【0022】
係止部14は、図12に示すように、本体部7の長さ方向中間部において支点部9よりも挟持部8側、具体的には本体部7の長さ方向のほぼ中央に設けられ、凹状に形成される。係止部14において、ばね12が係止される。これにより、クリップ4が開閉されたとき、ばね12がずれることなく固定された状態が維持される。
【0023】
開口部15は、図10から図12に示すように、本体部7の長さ方向中間部において支点部9よりも操作部16側に設けられる。開口部15は、クリップ片11の表面と裏面の間を貫通して形成されている。開口部15においてばね12が挿通される。
【0024】
操作部16は、クリップ片11の本体部7において挟持部8とは反対の他端に設けられる。操作部16は、使用者がクリップ4を使用する際に押圧する部分である。操作部16において使用者からの力が作用したとき、二つのクリップ片11の挟持部8同士が離れて、クリップ4が開かれた状態となる。
【0025】
ばね12は、ほぼU字形状であり、一対のクリップ片11を挟むように設置される。ばね12は、一端がクリップ片11の開口部15から露出しており、クリップ片11の外側からクリップ片11を挟むように付勢している。ばね12は、弾性力によってクリップ片11を閉じる方向に付勢する。ばね12の先端は、クリップ片11の係止部14において係止されており、クリップ片11と組み合わされる。ばね12の中間部(中央近傍)は、互いに対向する二つのクリップ片11の間に位置する。ばね12は、図10及び図11に示すように、先端と中間部の間で、開口部15に挿通され、開口部15から係止部14にかけて、クリップ片11の表面側に位置する。
【0026】
次に、着脱部材5の構成について説明する。
着脱部材5は、例えばエラストマー製、シリコーン製などであり、伸長可能な性質を有することが望ましい。着脱部材5は、クリップ4に対して着脱可能である。着脱部材5は、クリップ4によって挟まれる衣料が滑り落ちるのを防止するとともに、ばね12が万一破損したときにばね12の破片が飛散するのを防止する。なお、本実施形態では、着脱部材5が衣料用ハンガー1の一部を構成する部材である場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。すなわち、着脱部材5は、衣料用ハンガー用の部品として、衣料用ハンガーとは別に製造、販売等されてもよい。
【0027】
着脱部材5は、図4から図6に示すように、滑り止め部21と、被覆部22と、固定部23などを備える。なお、図9は、クリップ4から取り外された状態の着脱部材5を示している。
【0028】
滑り止め部21は、少なくともクリップ片11の挟持部8の内側に設置され、例えば、クリップ片11の先端の全周を覆うようにカップ形状を有する。滑り止め部21が挟持部8の内側に滑り止め部21が設置されることで、クリップ4が衣料を挟んだときに生じる摩擦力が増加する。その結果、衣料用ハンガー1に吊り下げられた衣料がクリップ4から滑り落ちにくくなる。
【0029】
滑り止め部21がカップ形状で底がある場合、滑り止め部21が操作部16側に引っ張られたとしても、滑り止め部21は、クリップ片11の先端で移動が妨げられて位置ずれしにくい。
【0030】
なお、上述した説明では、滑り止め部21がカップ形状を有する場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。滑り止め部21は、少なくともクリップ片11の挟持部8の内側に設置されて、衣料がクリップ4から滑り落ちにくくなればよく、図7及び図8に示すように、カップ形状と異なり底のない環状形状でもよい。この場合、滑り止め部21が先細り形状であれば、滑り止め部21がクリップ片11の先端で移動が妨げられて位置ずれしにくい。なお、図3においても、滑り止め部21が環状形状である場合を示している。
【0031】
被覆部22は、クリップ片11の開口部15を覆うようにクリップ片11の表面側に設置される。着脱部材5がクリップ4に取り付けられた状態で、被覆部22は、開口部15と、開口部15に挿通されているばね12を被覆する。これにより、ばね12が被覆部22によって被覆されて、クリップ4においてばね12が外部に露出した部分がなくなる。その結果、ばね12が万一破損したときに、被覆部22によってばね12の破片の飛散が防止される。被覆部22は、クリップ片11の表面側に沿うように、例えば、帯状形状を有する。
【0032】
固定部23は、クリップ片11に設置される部材である。固定部23の設置位置は、例えば、クリップ片11の操作部16の近傍である。固定部23は、例えば、貫通孔が形成された環状形状を有する。この場合、固定部23の貫通孔に、クリップ片11の操作部16が挿通されて、固定部23が操作部16に固定される。
【0033】
固定部23は、滑り止め部21と被覆部22をクリップ片11に対して固定する。被覆部22は、滑り止め部21と固定部23のそれぞれと一体的に形成される。固定部23がクリップ4に取り付けられることで、クリップ4に対して滑り止め部21と被覆部22が固定される。
【0034】
着脱部材5がクリップ4に取り付けられたとき、固定部23は、図2から図5及び図7に示すように、クリップ4のばね12の上面側に位置する。これにより、固定部23が挟持部8側に引っ張られたとしても、着脱部材5がクリップ4から抜け落ちることがない。また、ばね12の上面が固定部23によって部分的に被覆される。その結果、ばね12よりも上方に対して固定部23による妨げを設けることができるため、固定部23がばね12の上面側に設置されない状態と比べて、ばね12が万一破損したときにばね12の破片が飛散されにくくなる。
【0035】
なお、上述した説明では、固定部23が環状形状を有する場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。固定部23は、操作部16の先端の全周を覆うようにカップ形状を有してもよい。
【0036】
次に、着脱部材5の着脱方法について説明する。
着脱部材5は、クリップ4がアーム2に取り付けられている状態で、クリップ4に対して着脱される。
着脱部材5は、クリップ4から取り外された状態で、まず、固定部23がクリップ片11の操作部16に挿通される。これにより、固定部23は、クリップ4のばね12の上面側に位置する。このとき、被覆部22は、クリップ4の表面側に位置するようにしておく。
【0037】
そして、被覆部22が開口部15及びばね12を被覆するように、クリップ片11に沿って被覆部22が設置される。
次に、着脱部材5に引っ張り力を付与して、着脱部材5を伸長させた状態で、滑り止め部21がクリップ片11の先端の全周を覆うように設置される。引っ張り力を解除することで、これにより、着脱部材5がクリップ4に取り付けられる。
【0038】
なお、固定部23と滑り止め部21の設置順を反対にしてもよい。すなわち、先に滑り止め部21をクリップ片11の先端に設置した後に、着脱部材5に引っ張り力を付与して、固定部23を操作部16に挿通させてもよい。
【0039】
着脱部材5をクリップ4から取り外す場合は、例えば、着脱部材5に引っ張り力を付与して、滑り止め部21をクリップ片11の先端から取り外した後に、固定部23を操作部16から抜き取る。または、着脱部材5に引っ張り力を付与して、固定部23を操作部16から抜き取った後に、滑り止め部21をクリップ片11の先端から取り外せばよい。
【0040】
以上、本実施形態によれば、着脱部材5がクリップ4に取り付けられることにより、ばね12が被覆部22によって被覆されて、クリップ4においてばね12が外部に露出した部分がなくなる。その結果、ばね12が万一破損したときに、被覆部22によってばね12の破片の飛散が防止される。また、ばね12の上面が固定部23によって部分的に被覆される場合、ばね12よりも上方に対して固定部23による妨げが設けられることから、ばね12が万一破損したときにばね12の破片が飛散されにくくなる。
【0041】
さらに、着脱部材5は滑り止め部21を有しており、滑り止め部21によって、クリップ4が衣料を挟んだときに生じる摩擦力が増加し、衣料用ハンガー1に吊り下げられた衣料がクリップ4から滑り落ちにくくなる。そして、着脱部材5がクリップ4に対して着脱可能であり、着脱部材5は、クリップ4への取り付けに際して接着が不要な構成を有している。したがって、クリップの挟持部にウレタン樹脂による滑り止め板が設置されている従来の構成と比べて、リサイクル過程で異素材を分別する際に、材料ごとの分別が容易になり、分別に掛かる手間も削減できる。
【0042】
従来、クリップの挟持部にウレタン樹脂が設置される場合、ウレタン樹脂は、衣料に含まれる界面活性剤と反応して黄変する可能性があり、合成樹脂板の変色部分が衣料に付着するおそれがある。これに対して、本実施形態に係る着脱部材5の素材をエラストマーとしてウレタン樹脂を用いないことで、滑り止め部21の変色による衣料への色移りを防止できる。
【符号の説明】
【0043】
1 :衣料用ハンガー
2 :アーム
3 :フック
4 :クリップ
5 :着脱部材
7 :本体部
8 :挟持部
9 :支点部
11 :クリップ片
12 :ばね
14 :係止部
15 :開口部
16 :操作部
21 :滑り止め部
22 :被覆部
23 :固定部
【要約】
【課題】クリップに設けられたばねの飛散を防止しつつ、衣料用ハンガーのリサイクル段階での回収効率や作業性の向上を図ることが可能な衣料用ハンガー及びその着脱部材を提供すること。
【解決手段】本発明に係る衣料用ハンガーは、挟持部8と操作部16の間において開口部が形成された一対のクリップ片11と、一対のクリップ片11を挟むように設置され、弾性力によってクリップ片11を閉じる方向に付勢するばね12と、クリップ片11に対して着脱可能である着脱部材5とを備え、ばね12は、一端がクリップ片11の開口部から露出しており、着脱部材5は、クリップ片11の挟持部8の内側に設置される滑り止め部21と、クリップ片11の開口部を覆うようにクリップ片11に設置される被覆部22と、クリップ片11に設置され、滑り止め部21と被覆部22をクリップ片11に対して固定する固定部23とを有する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12