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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20240911BHJP
【FI】
H01M50/572
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019065564
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167010
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-03
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
【合議体】
【審判長】馬場 慎
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/129404(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/119421(WO,A1)
【文献】特開2018-200755(JP,A)
【文献】特開2018-200841(JP,A)
【文献】特開2017-68932(JP,A)
【文献】特開2013-157137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極タブを備える複数の正極板と、
前記正極板を収容する外装体と、
前記外装体を封口し正極端子を備える封口板と、
前記正極タブと前記正極端子とを電気的に接続する正極集電体を備え、
前記正極集電体は、第1接続部および第2接続部とを備え、
前記第1接続部は前記正極タブに接続され、前記第2接続部は前記正極端子または前記正極端子に接続される正極端子導電部材に接続され、
前記第2接続部には貫通孔があり、前記貫通孔の周縁には前記第2接続部の他の部分の厚みより薄い薄肉部があり、
前記貫通孔は、前記正極端子または前記正極端子に接続される正極端子導電部材に重ね合わせられて前記貫通孔の周縁が前記正極端子または前記正極端子に接続される正極端子導電部材に接合され、
前記正極タブから前記正極端子との間に過電流が流れたときに前記薄肉部が溶断して電流を遮断し、
前記第1接続部および前記第2接続部は、前記封口板に対向して配置され、
複数の前記正極タブは、いくつかの前記正極タブとその他の前記正極タブの先端同士が対向するように前記第1接続部に接続され、
前記正極端子導電部材を跨いで、前記正極端子と電極体とが接触して短絡を生じることを防ぐ端子保護部材が設けられる、
二次電池。
【請求項2】
前記貫通孔は円形である、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第2接続部と前記正極端子または前記正極端子に接続される端子導電部材との間であって、前記薄肉部と前記貫通孔を除いた部分に絶縁材を備える、
請求項1または2のいずれかに記載の二次電池。
【請求項4】
前記絶縁材は前記第2接続部に固定されている、
請求項3に記載の二次電池
【請求項5】
前記第2接続部には前記絶縁材を固定するための固定用貫通孔があり、前記絶縁材が前記固定用貫通孔に入り込んで固定されている、
請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記正極集電体は、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部を備える、
請求項1から5のいずれかに記載の二次電池。
【請求項7】
前記連結部は段差をもって前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する、
請求項6に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)等の駆動用電源において、アルカリ二次電池や非水電解質二次電池等の角形二次電池が使用されている。
【0003】
これらの角形二次電池では、開口を有する有底筒状の角形外装体と、その開口を封口する封口板により電池ケースが構成される。電池ケース内には、正極板、負極板及びセパレータからなる電極体が電解液と共に収容される。封口板には正極端子及び負極端子が取り付けられる。正極端子は正極集電体を介して正極板に電気的に接続され、負極端子は負極集電体を介して負極板に電気的に接続される。
【0004】
また二次電池においては、電池に過電流が流れて電池が損傷することを防止するために、端子と電極体を電気的に接続する集電体にヒューズを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-210717号公報
【文献】特開2015-37046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2のヒューズは、集電体の途中に貫通孔を設ける構造である。ヒューズを効果的に作動させるために、集電体は、ヒューズ部分で集電体を構成する部材が大きく切り取られる。部材が大きく切り取られると、その部分の強度は大きく低下する。電極体が振動し、その振動が集電体に伝播すると、ヒューズ部分が切断し、電池が使用不能に陥り得る。
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決すべくなされたものであって、集電体の強度を損なわない、高い信頼性を有する二次電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様の二次電池は、タブを備える電極体と、電極体を収容する外装体と、外装体を封口し、端子を備える封口板と、タブと端子とを電気的に接続する集電体を備え、集電体は第1導電部材および第2導電部材とを備え、第1導電部材と第2導電部材のいずれか一方の導電部材はタブまたはタブに接続されるタブ導電部材に接続され、他方の導電部材は端子または端子に接続される端子導電部材に接続され、一方の導電部材には貫通孔があり、貫通孔の周縁には一方の導電部材の他の部分の厚みより薄い薄肉部があり、貫通孔は他方の導電部材に重ね合わせられて貫通孔の周縁が他方の導電部材に接合され、タブから端子との間に過電流が流れたときに薄肉部が溶断して電流を遮断するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、信頼性の高い二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る二次電池の斜視図である。
図2図1におけるA-A線に沿った断面図である。
図3】実施形態に係る正極板の平面図である。
図4】実施形態に係る負極板の平面図である。
図5】実施形態に係る電極体の平面図である。
図6】正極集電体に正極タブ群を接続し、負極集電体に負極タブ群を接続した状態を示す図である。
図7】各部品を組付けた封口板を電極体群側から眺めた図である。
図8】正極集電体、ヒューズ絶縁材と正極端子導電部材の積層状態を示す図である。
図9】封口板の正極端子部分を電極体群側から眺めた斜視図である。
図10図9におけるB-B線に沿う断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態に係る二次電池としての角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0012】
図1及び図2に示すように角形二次電池20は、開口を有する有底角筒状の角形外装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケース100を備える。角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。角形外装体1内には、正極板と負極板がセパレータを介して積層された電極体群3が電解液と共に収容されている。
【0013】
封口板2には電解液注液孔15が設けられており、電解液注液孔15は封止部材16で封止されている。封口板2には、電池ケース100内の圧力が所定値以上となったときに破断し電池ケース100内のガスを電池ケース100外に排出するガス排出弁17が設けられている。封口板2の電池内部側の面であって、ガス排出弁17の周囲には環状突起2cが設けられている。
【0014】
電極体群3の封口板2側の端部には、正極タブ群40a、40b及び負極タブ群50a、50bが設けられている。正極タブ群40a、40bは正極集電体6b及び正極端子導電部材6aを介して正極端子7に電気的に接続されている。負極タブ群50a、50bは負極集電体8b及び負極端子導電部材8aを介して負極端子9に電気的に接続されている。
【0015】
正極集電体6b、正極端子導電部材6a及び正極端子7は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることがより好ましい。正極端子7と封口板2の間には外部側絶縁部材10が配置されている。正極集電体6b及び正極端子導電部材6aと封口板2の間には内部側絶縁部材11が配置されている。
【0016】
負極集電体8b、負極端子導電部材8a及び負極端子9は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることがより好ましい。負極端子9と封口板2の間には外部側絶縁部材12が配置されている。負極集電体8b及び負極端子導電部材8aと封口板2の間には内部側絶縁部材13が配置されている。
【0017】
電極体群3と角形外装体1の間には樹脂シートからなる電極体ホルダー14が配置されている。電極体ホルダー14は、樹脂シートを袋状又は箱状に折り曲げ成形されたものであることが好ましい。
【0018】
次に角形二次電池20の製造方法及び各構成の詳細を説明する。
[正極板]
図3は、正極板4の平面図である。正極板4は、矩形状の正極芯体4aの両面に正極活
物質を含む正極活物質合剤層4bが形成された本体部を有する。本体部の端辺から正極芯体4aが突出しており、この突出した正極芯体4aが正極タブ40を構成する。なお、正極タブ40は、図3に示すように正極芯体4aの一部であっても良いし、他の部材を正極芯体4aに接続し、正極タブ40としてもよい。また、正極タブ40において正極活物質合剤層4bと隣接する部分には、正極活物質合剤層4bの電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する正極保護層4cが設けられることが好ましい。なお正極芯体4aとしてはアルミニウム箔、アルミニウム合金箔等の金属箔を用いることが好ましい。正極活物質としてはリチウム遷移金属複合酸化物等を用いることが好ましい。
【0019】
[負極板]
図4は、負極板5の平面図である。負極板5は、矩形状の負極芯体5aの両面に負極活物質を含む負極活物質合剤層5bが形成された本体部を有する。本体部の端辺から負極芯体5aが突出しており、この突出した負極芯体5aが負極タブ50を構成する。なお、負極タブ50は、図4に示すように負極芯体5aの一部であっても良いし、他の部材を負極芯体5aに接続し、負極タブ50としてもよい。なお負極芯体5aとしては銅箔、銅合金箔等の金属箔を用いることが好ましい。負極活物質としては炭素材料やシリコンを含有する材料等を用いることが好ましい。
【0020】
[電極体の作製]
50枚の正極板4及び51枚の負極板5を上述の方法で作製し、これらをポリエチレン製の方形状のセパレータを介して積層し積層型の電極体3a、3bを作製する。図5に示すように、積層型の電極体3a、3bは、一方の端部に、各正極板4の正極タブ40が積層された正極タブ群40a、40b、各負極板5の負極タブ50が積層された負極タブ群50a、50bを有する。電極体の両外面にはセパレータが配置され、外周面に粘着テープ等を巻き付けて、各極板及びセパレータが積層された状態に固定することができる。あるいは、セパレータ表面に接着層を設け、セパレータと正極板4、セパレータと負極板5がそれぞれ接着されるようにしてもよい。
【0021】
なお、セパレータの平面視の大きさは負極板5と同じ、あるいは負極板5よりも大きくすることが好ましい。2枚のセパレータの間に正極板4又は負極板5を配置し、セパレータの周縁を熱溶着した状態とした後、正極板4と負極板5を積層してもよい。あるいは長尺状のセパレータをつづら折りし、各折り目との間に正極板4と負極板5を交互に挟み込んで積層し、電極体としてもよい。また、帯状の正極板と帯状の負極板を、帯状のセパレータを介して巻回し、巻回型の電極体とすることも可能である。
【0022】
[集電体とタブの接続]
図6は正極集電体6bに正極タブ群40a、40bを接続し、負極集電体8bに負極タブ群50a、50bを接続した状態を示す図である。正極集電体6bは、連結部6dで連結されるタブ側接続部としての第1接続部6cと、端子側接続部としての第2接続部6eから構成される。負極集電体8bは、連結部8dで連結されるタブ側接続部としての第1接続部8cと、端子側接続部としての第2接続部8eから構成される。なお、ここでは、集電板6b、8bの平面であって、第1接続部6cと連結部6dと第2接続部6e、あるいは第1接続部8cと連結部8dと第2接続部8eとがつながる方向に対して直角方向を幅方向とし、平面に垂直な方向を厚さ方向とする。
【0023】
連結部6d、8dは曲げ加工を施して第1接続部と第2接続部との間に段差を設けることができる。段差を設けることで、他の導電部材との接続が容易になる。段差を設けるにあたっては、連結部の幅を第1接続部や第2接続部よりも狭くしておくことで、連結部の曲げ加工が容易となる。
【0024】
図6によると、正極タブ群40a、40bは正極集電体6bの第1接続部6cに接続され、負極タブ群50a、50bは負極集電体8bの第1接続部8cに接続される。図6のように、正極タブ群40aと40bの先端同士、負極タブ群50aと50bの先端同士を向かい合わせになるように電極体3aと3bを配置する。正極タブ群40aと正極タブ群40bを第1接続部6c上に配置し、負極タブ群50aと負極タブ群50bを第1接続部8c上に配置する。正極タブ群40a、40bはそれぞれ第1接続部6cに溶接接続され溶接部60が形成される。負極タブ群50a、50bはそれぞれ第1接続部8cに溶接接続され溶接部61が形成される。溶接方法は、超音波溶接、あるいは抵抗溶接が好ましい。なお、レーザー溶接で接続することもできる。
【0025】
[封口板の構成]
図7は、正極端子7、外部側絶縁部材10(不図示)、内部側絶縁部材11、正極端子導電部材6a、負極端子9、外部側絶縁部材12(不図示)、内部側絶縁部材13、及び負極端子導電部材8aが取り付けられた後の封口板2を電極体群3側から眺めた図である。
【0026】
封口板2、外部側絶縁部材10、内部側絶縁部材11、正極端子導電部材6a、外部側絶縁部材12、内部側絶縁部材13、及び負極端子導電部材8aはそれぞれ正極端子7や負極端子9を挿通可能な貫通孔を有する。
【0027】
正極側の内部側絶縁部材11は、封口板2に沿って配置されるベース部11aを有する。ベース部11aの外周縁には、ベース部11aから電極体群3側に突出するリブ11bが設けられている。リブ11bであって、封口板2の長手方向に沿う正極端子導電部材6aの2辺の近傍部分には、リブ11bを電極体群3側に延長した壁部11cを設けられている。そして壁部11cには後述する貫通孔11dと11eが設けられる。ベース部11aには注液孔15を塞がないように開口11fが設けられている。ベース部11aが注液孔15を塞がないときには、開口11fを設けなくてもよい。
【0028】
負極側の内部側絶縁部材13は、封口板2に沿って配置されるベース部13aを有する。ベース部13aの外周縁には、ベース部13aから電極体群3側に突出するリブ13bが設けられている。
【0029】
正極端子導電部材6aの電極体群3側の面には、突起6xが設けられている。
【0030】
負極端子導電部材8aの電極体群3側の面には、突起8xが設けられている。集電体突起8xの平面視の形状は、長方形、楕円形、あるいはトラック形状等のように、長手方向と短手方向を有する形状が好ましい。
【0031】
[各部品の封口板への組付け]
封口板2に設けられた正極端子挿入孔の周囲の電池外面側に外部側絶縁部材10を配置する。封口板2の正極端子挿入孔の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材11及び正極端子導電部材6aを配置する。そして、正極端子7を電池外部側から、外部側絶縁部材10の貫通孔、封口板2の正極端子挿入孔、内部側絶縁部材11の貫通孔及び正極端子導電部材6aの貫通孔に挿入し、正極端子7の先端を正極端子導電部材6a上にカシメる。これにより、正極端子7及び正極端子導電部材6aが封口板2に固定される。なお、正極端子7においてカシメられた部分と正極端子導電部材6aを溶接することもできる。
【0032】
封口板2の負極端子挿入孔2bの周囲の電池外面側に外部側絶縁部材12を配置する。封口板2の負極端子挿入孔2bの周囲の電池内面側に内部側絶縁部材13及び負極端子導電部材8aを配置する。そして、負極端子9を電池外部側から、外部側絶縁部材12の貫
通孔、封口板2の負極端子挿入孔、内部側絶縁部材13の貫通孔及び負極端子導電部材8aの貫通孔に挿入し、負極端子9の先端を負極端子導電部材8a上にカシメる。これにより、負極端子9及び負極端子導電部材8aが封口板2に固定される。なお、負極端子9においてカシメられた部分と第1負極集電体8aを溶接することもできる。
【0033】
[端子導電部材と集電体の接続]
図8は正極集電体6b、ヒューズ絶縁材80と正極端子導電部材6aの積層状態を示す図である。なおこの図では正極タブ群40a、40bの図示を省略している。
【0034】
図8によると、正極集電体6bの第2接続部6eには、ヒューズ絶縁材固定孔6gと、ヒューズ部開口6hと、ヒューズ部開口6hの周縁にヒューズ部薄肉部6iが設けられている。また、第1接続部6cには注液孔15を塞がないように開口6fが設けられる。第1接続部6cが注液孔15を塞がないときには、開口6fを設けなくてもよい。
【0035】
ヒューズ絶縁材80は、突起80a、開口80bから構成される。
【0036】
正極絶縁部材11の壁部11cには、ヒューズ絶縁材80を固定する貫通孔11dと端子保護部材81を固定する貫通孔11eが設けられている。
【0037】
ヒューズ絶縁材80は、開口80bが正極端子導電部材6aの突起6xに通されて、正極端子導電部材6aの上に載置される。そしてヒューズ絶縁部材80の端部がスナップフィットなどの手段により、正極絶縁部材11の貫通孔11dに固定される。
【0038】
ヒューズ絶縁材80の突起80aを第2接続部6eのヒューズ絶縁材固定孔6gに挿通し、ヒューズ絶縁材80上に第2接続部6eが載置されると共に、第1接続部6cが内部側絶縁部材11のベース部11aの上に載置される。その後、ヒューズ絶縁材固定孔6gに挿通された突起80aの先端は熱プレス等の手段によりつぶされ、ヒューズ絶縁材80は第2接続部6eに固定される。そしてヒューズ部開口6hの周縁と正極端子導電部材6aの突起6xとの間は接合され、ヒューズ部が構成される。接合手段としては、レーザー等のエネルギー線の照射により両部材を接合することができる。
【0039】
ヒューズ絶縁材80と正極集電体6bとの固定は上述の方法に限定されず、
例えばスナップフィットによる固定や、インサート成型などの手段を用いることができる。
【0040】
このヒューズ部は、設定以上の過電流が集電体を流れたときに、ヒューズ部薄肉部6iが溶断され、電流が遮断される。ヒューズ部の溶断電流は、薄肉部の面積と厚さを調整することにより設定可能である。
【0041】
溶断後は、ヒューズ絶縁材80が集電体6bと正極絶縁部材11とをつなぎ止める。よって、集電体6bが電極体群へ落下することを防ぐ。さらにヒューズ絶縁材80は、集電体6bを固定し、集電体6bと正極端子導電部材6aの位置関係が溶断後も維持されるため、溶断部が再導通することを防ぐ。
【0042】
負極タブ群50a、50bが接続された負極集電体8bの第1接続部8cが内部側絶縁部材13のベース部13a上に配置され、第2接続部8eが負極端子導電部材8aの上に載置される。第2接続部8eには周縁に薄肉部を有する貫通孔8fが設けられており、貫通孔8fと負極導電部材8aに設けられた突起8xを篏合させる。そして、篏合部は接合される。接合手段としては、レーザー等のエネルギー線の照射により篏合部を接合することができる。
【0043】
図9は、正極端子付近の封口板2を電極体群側から眺めた要部斜視図を示す。ここでは、端子保護部材81の下にある部品を透視できる状態としている。図10は、図9におけるB-B線に沿う断面斜視図である。図9、10では、正極タブ群40a、40bの図示を省略している。
【0044】
図9、10を参照すると、端子保護部材81は、正極端子導電部材6aを跨いで内部側絶縁部材11の壁部11cに設けた貫通孔11eに篏合固定される。端子保護部材81は、正極端子7と電極体3a、3bとが接触して短絡を生じることを防ぐ。
【0045】
[電極群の作製]
電極体3aと電極体3bの積層方向面を、直接ないし他の部材を介して互いに対向させ、それにあわせて正極タブ群40a、40b、負極タブ群50a、50bを湾曲させる。これにより、電極体3aと電極体3bを纏めて、一つの電極体群3とする。纏めた電極体3aと電極体3bの外周面に粘着テープ等を巻き付けることで電極体3a、3b同士を固定することができる。あるいは、電極体3aと電極体3bを、箱状ないし袋状に成形した電極体ホルダー14内に配置して、一つに纏めることができる。
【0046】
箱状又は袋状に成形した樹脂シート製の電極体ホルダー14で包まれた電極体群3を角形外装体1に挿入する。そして、封口板2と角形外装体1の開口とを篏合させ、篏合部分を溶接し、角形外装体1の開口を封口板2により封口する。そして、封口板2に設けられた電解液注液孔15を通じて角形外装体1内に電解液を注液する。その後、電解液注液孔15をブラインドリベット等の封止部材により封止する。
【0047】
上述の実施形態に係る角形二次電池20では、電極体群3の封口板2側の端部に正極タブ群40a、40b及び負極タブ群50a、50bがそれぞれ配置されている。そして、正極タブ群は湾曲した状態で封口板2に沿って配置された正極集電体6bの電極体群3側の面に接続されている。また、負極タブ群は湾曲した状態で封口板2に沿って配置された負極集電体8bの電極体群3側の面に接続されている。このような構成であると、より体積エネルギー密度の高い二次電池となる。
【0048】
[その他]
上述の実施形態においては、電極体群3が二つの電極体3a、3bからなる例を示したが、これに限定されない。電極体群3が三つ以上の電極体からなってもよい。電極体は、それぞれ積層型電極体に限定されず、帯状の正極板と帯状の負極板を帯状のセパレータを介して巻回した巻回型電極体であってもよい。また、電極体3aのみの積層型電極体であってもよい。また、電極体3aが、帯状の正極板と帯状の負極板を帯状のセパレータを介して巻回した巻回型電極体であってもよい。
【0049】
ヒューズ絶縁材80、端子保護部材81、外部側絶縁部材10、12、内部側絶縁部材11、13は絶縁材料を用いることができ、樹脂製であることが好ましい。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、又はポリフェニレンサリファイド(PPS)等を用いることができる。
【0050】
溶接に用いるエネルギー線としては、レーザー光線や電子ビーム等を用いることができる。
【0051】
正極板、負極板、セパレータ、電解質等については公知の材料を使用することができる。本発明の二次電池の電池系は限定されない。例えば、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池とすることができる。また、本発明の二次電池の形状は、特定形状に限定され
ない。
【符号の説明】
【0052】
1・・・角形外装体
2・・・封口板
3・・・電極体群
3a・・・電極体
3b・・・電極体
4・・・正極板
4a・・・正極芯体
4b・・・正極活物質合剤層
4d・・・正極保護層
40・・・正極タブ
40a、40b・・・正極タブ群
5・・・負極板
5a・・・負極芯体
5b・・・負極活物質合剤層
50・・・負極タブ
50a、50b・・・負極タブ群
6a・・・正極端子導電部材
6b・・・正極集電体
6c・・・第1接続部
6d・・・連結部
6e・・・第2接続部
6f・・・開口
6g・・・ヒューズ絶縁材固定孔
6h・・・ヒューズ部開口
6i・・・ヒューズ部薄肉部
6x・・・突起
7・・・正極端子
8a・・・負極端子導電部材
8b・・・負極集電体
8c・・・第1接続部
8d・・・連結部
8e・・・第2接続部
9・・・負極端子
10・・・外部側絶縁部材
11・・・内部側絶縁部材
11a・・・ベース部
11b・・・リブ
11c・・・壁部
11d・・・貫通孔
11e・・・貫通孔
12・・・外部側絶縁部材
13・・・内部側絶縁部材
13a・・・ベース部
13b・・・リブ
14・・・電極体ホルダー
15・・・電解液注液孔
16・・・封止部材
17・・・ガス排出弁
20・・・角形二次電池
60、61・・・溶接部
80・・・ヒューズ絶縁材
80a・・・突起
80b・・・開口
81・・・端子保護部
100・・・電池ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10