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▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】加飾体
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
B62D1/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020003974
(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公開番号】P2021109605
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 太一
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09159221(US,B1)
【文献】特開2019-137096(JP,A)
【文献】特開2019-085025(JP,A)
【文献】特開2018-002101(JP,A)
【文献】特開2018-203061(JP,A)
【文献】特開2019-116227(JP,A)
【文献】特開2019-010944(JP,A)
【文献】特開2017-140915(JP,A)
【文献】特開2018-024401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの外周部分である組付対象に組付けられ、前記組付対象を加飾する加飾面が設けられる加飾部材と、
前記加飾部材に前記組付対象側と独立して設置されると共に、表側面が前記加飾面を構成し、前記加飾部材の表側面全体に対し配置されて前記加飾部材の表側への人の接触を検出する機能部と、
を備える加飾体。
【請求項2】
前記加飾部材に設けられると共に、前記機能部の裏側に配置され、前記機能部を保護する保護部を備える請求項1記載の加飾体。
【請求項3】
前記機能部が前記加飾部材を加熱する請求項1又は請求項2記載の加飾体。
【請求項4】
前記機能部に設けられると共に、前記加飾部材から延出され、前記組付対象側に電気的に接続される延出電極を備える請求項1~請求項3の何れか1項記載の加飾体。
【請求項5】
前記機能部が付勢力により前記組付対象側に電気的に接続される請求項1~請求項4の何れか1項記載の加飾体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能部を備える加飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のステアリングホイールでは、リムに取付部品が取付けられている。さらに、リムにセンサ線が設置されると共に、取付部品に導電性部材が設置されており、センサ線がリムへの人の接触を検出すると共に、導電性部材が取付部品への人の接触を検出する。
【0003】
ここで、このステアリングホイールでは、導電性部材の被接続部がセンサ線の接続部と容量結合又は接触により電気的に直接接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-203061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、機能部が組付対象側と独立して加飾部材の表側への人の接触を検出でき又は加飾部材の表側を照明できる加飾体を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の加飾体は、組付対象に組付けられ、前記組付対象を加飾する加飾部材と、前記加飾部材に前記組付対象側と独立して設置され、前記加飾部材の表側への人の接触を検出し又は前記加飾部材の表側を照明する機能部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の加飾体は、本発明の第1態様の加飾体において、前記加飾部材に設けられると共に、前記機能部の裏側に配置され、前記機能部を保護する保護部を備える。
【0008】
本発明の第3態様の加飾体は、本発明の第1態様又は第2態様の加飾体において、前記機能部が前記加飾部材を加熱する。
【0009】
本発明の第4態様の加飾体は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの加飾体において、前記機能部に設けられると共に、前記加飾部材から延出され、前記組付対象側に電気的に接続される延出電極を備える。
【0010】
本発明の第5態様の加飾体は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの加飾体において、前記機能部が付勢力により前記組付対象側に電気的に接続される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の加飾体では、組付対象に加飾部材が組付けられており、加飾部材が組付対象を加飾する。さらに、加飾部材に機能部が設置されており、機能部が加飾部材の表側への人の接触を検出し又は加飾部材の表側を照明する。
【0012】
ここで、機能部が加飾部材に組付対象側と独立して設置される。このため、機能部が組付対象側と独立して加飾部材の表側への人の接触を検出でき又は加飾部材の表側を照明できる。
【0013】
本発明の第2態様の加飾体では、加飾部材の保護部が機能部の裏側に配置されており、保護部が機能部を保護する。このため、機能部を保護部により保護できる。
【0014】
本発明の第3態様の加飾体では、機能部が加飾部材を加熱する。このため、加飾部材を加熱できる。
【0015】
本発明の第4態様の加飾体では、機能部の延出電極が加飾部材から延出されており、延出電極が組付対象側に電気的に接続される。このため、機能部を組付対象側に容易に電気的に接続できる。
【0016】
本発明の第5態様の加飾体では、機能部が付勢力により組付対象側に電気的に接続される。このため、機能部を組付対象側に容易に電気的に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るステアリングホイールを示す車両後側から見た正面図である。
図2】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るステアリングホイールの加飾体を示す図であり、(A)は、車両後側から見た斜視図であり、(B)は、断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るステアリングホイールの加飾体を示す車両前側から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るステアリングホイールを示す車両後側から見た分解斜視図である。
図5】(A)は、本発明の実施形態に係るステアリングホイールのリム部を示す断面図であり、(B)は、本発明の実施形態に係るステアリングホイールのホルダを示す車両後側から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るステアリングホイールの加飾体の変形例を示す車両後側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明の実施形態に係るステアリングホイール10が車両後側から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前側を矢印FRで示し、車両右側を矢印RHで示し、上側を矢印UPで示している。さらに、ステアリングホイール10の径方向外側を矢印OUTで示し、ステアリングホイール10の周方向一側(以下「一方向」という)を矢印Aで示し、ステアリングホイール10の周方向他側(以下「他方向」という)を矢印Bで示している。
【0019】
本実施形態に係るステアリングホイール10は、車両後側において車両の運転席に対向されており、ステアリングホイール10は、運転席に着座する乗員(運転者、接触者)の車両前側に配置されている。
【0020】
図1に示す如く、ステアリングホイール10の中央部分には、固定部としてのボス部10Aが設けられており、ステアリングホイール10の外周部分には、把持部としての正面視円環状のリム部10Bが設けられている。ボス部10Aとリム部10Bとの間には、接続部としてのスポーク部10Cが3個設けられており、スポーク部10Cは、ボス部10Aから車両左側、車両右側及び下側に延出されて、ボス部10Aとリム部10Bとを接続している。
【0021】
ステアリングホイール10には、組付対象としてのステアリング本体12が設けられており、ステアリング本体12には、骨格部材としての金属製の芯金14が設けられている。
【0022】
芯金14の中央部分には、板状のボス芯金14Aが設けられており、ボス芯金14Aは、ボス部10Aを構成している。ボス芯金14Aは、車両における支持軸としての円柱状のステアリングシャフト16の車両後側端(上側端)に固定されており、ステアリングシャフト16は、リム部10Bと同軸上に配置されている。ステアリングホイール10(芯金14)は、ステアリングシャフト16に一体回転可能に支持されており、乗員がリム部10Bを把持してステアリングホイール10を周方向(一方向及び他方向)に回転操作することで、ステアリングシャフト16が中心軸線周りに回転されて、車両が操舵される。
【0023】
芯金14の外周部分には、正面視円環状のリム芯金14B(図5(A)参照)が設けられており、リム芯金14Bは、リム部10Bを構成している。ボス芯金14Aとリム芯金14Bとの間には、長尺板状のスポーク芯金14Cが3個設けられており、スポーク芯金14Cは、ボス芯金14Aから車両左側、車両右側及び下側(ステアリングホイール10の径方向外側)に延出されて、ボス芯金14Aとリム芯金14Bとを一体に接続すると共に、スポーク部10Cを構成している。
【0024】
ボス部10A及びスポーク部10Cには、被覆部材としての板状のパッド18が設けられており、パッド18は、ボス芯金14A及びスポーク芯金14Cの車両後側に取付けられて、ボス芯金14A及びスポーク芯金14Cの車両後側を被覆している。
【0025】
リム部10Bの長手方向(ステアリングホイール10の周方向)及び周方向(長手方向周りの方向)における全体には、被組付部材としての正面視円環状の内部材20(図4及び図5(A)参照)が設けられており、内部材20は、軟質樹脂製(例えばポリウレタン製)にされると共に、長手方向に垂直な断面の外形が円状にされている。内部材20内には、リム芯金14Bが収容されており、内部材20は、リム芯金14Bに固定されている。
【0026】
内部材20の上側、車両左斜め下側及び車両右斜め下側には、被組付部としての組付凹部22が形成されており、組付凹部22は、内部材20の車両後側におけるステアリングホイール10径方向内側の部分に配置されて、車両後側及びステアリングホイール10径方向内側に開放されている。組付凹部22は、リム部10Bの長手方向に延伸されており、組付凹部22の長手方向は、リム部10Bの長手方向に沿うと共に、組付凹部22の幅方向は、リム部10Bの周方向に沿っている。
【0027】
組付凹部22の底部の長手方向両端部には、円柱状の組付孔22Aが形成されており、組付孔22Aは、車両後側に開放されている。組付凹部22の底部の長手方向中央部には、略直方体状の接続孔22Bが形成されており、接続孔22Bは、車両後側に開放されている。組付凹部22の底部には、接続孔22Bの他方向側において、接続溝22Cが形成されており、接続溝22Cは、車両後側に開放されている。接続溝22Cは、組付凹部22の長手方向に延伸されており、接続溝22Cは、接続孔22B及びパッド18内(パッド18の車両前側)に連通されている。
【0028】
接続孔22B内には、接続部材としての略直方体形箱状のホルダ24(図5の(A)及び(B)参照)が挿入されており、ホルダ24内は、車両後側に開放されている。ホルダ24の一方向側面及び他方向側面の車両前側端部には、直角三角形柱状の圧入突起24Aが一体形成されており、圧入突起24Aは、組付凹部22の長手方向外側に突出されている。圧入突起24Aの車両前側面は、車両後側へ向かうに従い組付凹部22の長手方向外側へ向かう方向に傾斜されており、圧入突起24Aの車両後側面は、車両前後方向に垂直に配置されている。ホルダ24は、接続孔22B内に組付凹部22の長手方向及び幅方向において圧入されて、特に圧入突起24Aにおいて接続孔22Bの側面を大きく弾性変形させており、ホルダ24は、接続孔22B内に接続孔22Bの弾性収縮により保持されている。
【0029】
ホルダ24の一方向側部内には、付勢部としての金属製で長尺板状のセンサバネ24Bが設けられており、センサバネ24Bは、車両後側端部がホルダ24のステアリングホイール10径方向外側の側壁に固定されて、車両前側へ向かうに従いステアリングホイール10の径方向内側へ向かう方向に延出されている。ホルダ24の他方向側部内には、付勢部としての金属製で長尺板状のシールドバネ24Cが設けられており、シールドバネ24Cは、車両後側端部がホルダ24のステアリングホイール10径方向外側の側壁に固定されて、車両前側へ向かうに従いステアリングホイール10の径方向内側へ向かう方向に延出されている。
【0030】
センサバネ24Bには、接続配線としてのセンサハーネス24Dが電気的に接続されており、センサハーネス24Dは、組付凹部22の接続溝22C及びパッド18内に挿通されて、車両の制御装置26(ECU)に電気的に接続されている。シールドバネ24Cには、接続配線としてのシールドハーネス24Eが電気的に接続されており、シールドハーネス24Eは、組付凹部22の接続溝22C及びパッド18内に挿通されて、制御装置26に電気的に接続されている。
【0031】
内部材20の長手方向及び周方向における全体は、表面部材としての皮革28によって被覆されており、皮革28は、リム部10Bの表側面(径方向外側面)を構成している。皮革28には、内部材20の組付凹部22に対応して、長尺の開放孔28Aが3個貫通形成されており、開放孔28Aは、内部材20の組付凹部22を皮革28の外側に開放している。また、皮革28の開放孔28A周囲の部分は、組付凹部22に挿入されている。
【0032】
ステアリング本体12における内部材20の組付凹部22には、加飾体30(図2(A)、図3及び図4参照)が配置されている。
【0033】
加飾体30には、長尺板状の加飾部材32が設けられており、加飾部材32は、組付凹部22に組付けられている。加飾部材32は、長手方向及び幅方向において湾曲されており、加飾部材32の長手方向は、組付凹部22の長手方向に沿って配置されると共に、加飾部材32の幅方向は、組付凹部22の幅方向に沿って配置されている。
【0034】
加飾部材32の裏側(リム部10B径方向内側)部分には、保護部としての樹脂製で長尺板状の基材34(図2(B)参照)が設けられており、基材34は、加飾部材32の裏側面を構成している。
【0035】
加飾部材32の裏側面(基材34の裏側面)の長手方向両端部には、組付部としての柱状の組付ピン34Aが一体形成されており、組付ピン34Aは、車両前側に突出されている。組付ピン34Aの先端部は、同軸上の円錐台状(円錐状でもよい)にされて、基端側へ向かうに従い拡径されており、組付ピン34Aの先端部は、組付ピン34Aの先端部より基端側部分に対して拡径されている。組付ピン34Aは、組付凹部22の組付孔22Aに挿入されて、先端部が組付孔22Aに圧入されており、組付ピン34Aは、組付孔22Aの弾性収縮により組付孔22Aに保持されている。また、組付ピン34Aが組付孔22Aに挿入される前には、組付凹部22底面における組付孔22Aの一方向側及び他方向側に接着剤36が塗布されており、組付ピン34Aが組付孔22Aに挿入されることで、加飾部材32の裏側面と組付凹部22の底面とが接着剤36によって接着されている。これにより、組付凹部22に加飾部材32が組付けられており、加飾部材32の長手方向両側面及び幅方向両側面と組付凹部22の長手方向両側面及び幅方向両側面との間には、それぞれ皮革28の開放孔28A周囲の部分が挟持されている。
【0036】
加飾部材32の裏側面(基材34の裏側面)の長手方向中央部には、断面E字形枠状の接続リブ34Bが一体形成されており、接続リブ34Bは、車両前側に突出されると共に、内部が加飾部材32の幅方向外側(ステアリングホイール10径方向外側)に開放されている。接続リブ34Bの一方向側部には、端子としての金属製で屈曲板状のセンサ端子34Cが配置されており、センサ端子34Cの先端側部分は、接続リブ34Bの一方向側部内において、車両前側に延出されている。センサ端子34Cの先端側部分は、接続リブ34Bの一方向側部の底壁(ステアリングホイール10径方向内側の壁)に固定されており、センサ端子34Cの基端側部分は、U字形板状にされて、接続リブ34Bの一方向側に延出されている。接続リブ34Bの他方向側部には、端子としての金属製で屈曲板状のシールド端子34Dが配置されており、シールド端子34Dの先端側部分は、接続リブ34Bの他方向側部内において、車両前側に延出されている。シールド端子34Dの先端側部分は、接続リブ34Bの他方向側部の底壁に固定されており、シールド端子34Dの基端側部分は、U字形板状にされて、接続リブ34Bの他方向側に延出されている。
【0037】
接続リブ34Bは、内部材20のホルダ24内に嵌入されており(図5(A)参照)、センサ端子34Cには、先端側部分においてホルダ24のセンサバネ24Bが付勢力により接触されて、センサバネ24Bが電気的に接続されると共に、シールド端子34Dには、先端側部分においてホルダ24のシールドバネ24Cが付勢力により接触されて、センサバネ24Bが電気的に接続されている。
【0038】
加飾部材32では、基材34の表側(リム部10B径方向外側)に、機能部(検出部)としての長尺板状のセンサ38(図2(B)参照)が設けられている。
【0039】
センサ38の表側部分には、センサ部としての長尺シート状のセンサ電極40が設けられており、センサ電極40は、金属製のアルミニウム箔又は導電性フィルム等にされている。センサ電極40の長手方向中間部には、延出電極としての矩形状のセンサ延出部40Aが一体形成されており、センサ延出部40Aは、センサ電極40から加飾部材32の幅方向外側(ステアリングホイール10径方向外側)に延出されている。センサ延出部40Aは、加飾部材32の裏側(基材34の裏側)に折返されており、センサ延出部40Aは、センサ端子34Cから一方向側に離間されると共に、一方向側の接着剤36から他方向側に離間されている。センサ延出部40Aは、センサ端子34Cの基端側部分に中継配線としてのセンサ中継ハーネス40Bによって電気的に接続されており、例えばセンサ延出部40Aがアルミニウム箔である場合には、センサ延出部40Aにセンサ中継ハーネス40Bが所謂超音波溶着により接続されている。
【0040】
センサ38の裏側部分には、シールド部としての長尺シート状のシールド電極42が設けられており、シールド電極42は、金属製のアルミニウム箔又は導電性フィルム等にされると共に、基材34の表側に固定されている。シールド電極42の長手方向中間部には、延出電極としての矩形状のシールド延出部42Aが一体形成されており、シールド延出部42Aは、シールド電極42から加飾部材32の幅方向外側に延出されている。シールド延出部42Aは、加飾部材32の裏側に折返されており、シールド延出部42Aは、シールド端子34Dから他方向側に離間されると共に、他方向側の接着剤36から一方向側に離間されている。シールド延出部42Aは、シールド端子34Dの基端側部分に中継配線としてのシールド中継ハーネス42Bによって電気的に接続されており、例えばシールド延出部42Aがアルミニウム箔である場合には、シールド延出部42Aにシールド中継ハーネス42Bが所謂超音波溶着により接続されている。
【0041】
センサ電極40とシールド電極42との間には、絶縁部としての長尺板状の絶縁層44が設けられており、絶縁層44には、センサ電極40及びシールド電極42が固定されている。絶縁層44は、樹脂製にされており、絶縁層44は、センサ電極40とシールド電極42とを電気的に絶縁している。
【0042】
センサ38の表側(センサ電極40の表側)には、加飾部としての長尺板状の突板46(図2(B)参照)が設けられており、突板46は、センサ電極40に固定されている。突板46の表側面は、加飾面46Aにされており、加飾面46Aには、例えば木目模様が設けられている。
【0043】
突板46の表側と基材34、センサ38及び突板46の長手方向両側及び幅方向両側(センサ延出部40Aの一部及びシールド延出部42Aの一部を含む)とには、被覆部としての塗膜48(図2(B)参照)が塗装により設けられており、塗膜48は、突板46の表側面と基材34、センサ38及び突板46の長手方向両側面及び幅方向両側面(センサ延出部40Aの一部及びシールド延出部42Aの一部を含む)とを被覆している。塗膜48は、加飾部材32の表側面を構成すると共に、透明にされて光を透過可能にされており、突板46の加飾面46Aは、塗膜48の表側から塗膜48を介して目視可能にされている。このため、ステアリング本体12が突板46の加飾面46Aによって加飾されている。
【0044】
また、内部材20の外周には、組付凹部22以外の部分において、対象センサとしての可撓性板状の本体センサ50が貼付けられており、本体センサ50の表側は、皮革28によって被覆されている。本体センサ50では、センサ38と同様に、表側のセンサ電極40と裏側のシールド電極42との間に絶縁層44が設けられており、センサ電極40及びシールド電極42は、制御装置26に電気的に接続されている。
【0045】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0046】
以上の構成のステアリングホイール10では、ステアリング本体12(内部材20)の組付凹部22に加飾体30の加飾部材32が組付けられており、加飾部材32の突板46の加飾面46Aがステアリング本体12を加飾している。
【0047】
加飾部材32のセンサ38では、センサ電極40がセンサ延出部40A、センサ中継ハーネス40B、センサ端子34C、ホルダ24のセンサバネ24B及びセンサハーネス24Dを介して制御装置26に電気的に接続されると共に、シールド電極42がシールド延出部42A、シールド中継ハーネス42B、シールド端子34D、ホルダ24のシールドバネ24C及びセンサハーネス24Dを介して制御装置26に電気的に接続されている。
【0048】
ステアリング本体12の本体センサ50では、センサ電極40及びシールド電極42が制御装置26に電気的に接続されている。
【0049】
ところで、ステアリングホイール10のリム部10Bを乗員が把持して、乗員の手が加飾部材32の表側面に接触した際には、制御装置26において、乗員の手とセンサ38のセンサ電極40との間に発生する静電容量が検出されて、乗員のリム部10Bの把持(手の加飾部材32への接触)が検出される。また、センサ38では、制御装置26によりセンサ電極40とシールド電極42とが同電位に制御されている。これにより、センサ電極40とリム芯金14Bとの間に寄生容量が発生することがシールド電極42により制限されることで、乗員の手とセンサ電極40との間に発生する静電容量が当該寄生容量により変化することが抑制されて、乗員のリム部10Bの把持の検出精度が低下することが抑制される。
【0050】
また、ステアリングホイール10のリム部10Bを乗員が把持して、乗員の手がステアリング本体12の皮革28の表側面に接触した際には、制御装置26において、乗員の手と本体センサ50のセンサ電極40との間に発生する静電容量が検出されて、乗員のリム部10Bの把持(手の皮革28への接触)が検出される。また、本体センサ50では、制御装置26によりセンサ電極40とシールド電極42とが同電位に制御されている。これにより、センサ電極40とリム芯金14Bとの間に寄生容量が発生することがシールド電極42により制限されることで、乗員の手とセンサ電極40との間に発生する静電容量が当該寄生容量により変化することが抑制されて、乗員のリム部10Bの把持の検出精度が低下することが抑制される。
【0051】
ここで、加飾部材32のセンサ38がステアリング本体12の本体センサ50に電気的に直接接続されておらず、センサ38が加飾部材32に本体センサ50と独立して設置されている。このため、センサ38が本体センサ50と独立してリム部10Bの乗員による把持を検出でき、センサ38による乗員のリム部10Bの把持の検出に本体センサ50が影響を与えることを制限できて、センサ38が乗員のリム部10Bの把持を高精度で検出できる。
【0052】
また、加飾部材32では、センサ38の裏側に基材34が設けられており、基材34がセンサ38の裏側を被覆している。このため、センサ38を基材34によって保護できる。さらに、基材34の裏側にセンサ38が設けられる場合とは異なり、基材34が内部材20の組付凹部22底面に接着剤36によって接着されるため、接着剤36がセンサ38に接触することを制限できて、センサ38の接着剤36による損傷を抑制できる。しかも、基材34の裏側にセンサ38を接着剤36から離間させて設ける必要がなく、加飾部材32へのセンサ38の設置面積を大きくできる。また、基材34の裏側にセンサ38が設けられる場合とは異なり、加飾部材32の表側面とセンサ38(センサ電極40)との距離を短くでき、乗員の手とセンサ38(センサ電極40)との間に発生する静電容量を大きくできて、乗員のリム部10Bの把持の検出精度を向上できる。
【0053】
さらに、加飾部材32からセンサ電極40のセンサ延出部40A及びシールド電極42のシールド延出部42Aが延出されており、センサ電極40及びシールド電極42がそれぞれセンサ延出部40A及びシールド延出部42Aを介して制御装置26に電気的に接続されている。このため、センサ38の裏側に基材34が設けられる場合でも、センサ電極40及びシールド電極42を制御装置26に容易に電気的に接続できる。しかも、センサ延出部40A及びシールド延出部42Aが、基材34の裏側に配置されるものの、接着剤36から離間されている。このため、センサ延出部40A及びシールド延出部42Aの接着剤36による損傷を抑制できる。
【0054】
また、内部材20の組付凹部22に加飾部材32が組付けられる際には、内部材20におけるホルダ24のセンサバネ24B及びシールドバネ24Cが加飾部材32のセンサ端子34C及びシールド端子34Dにそれぞれ付勢力により電気的に接続されて、センサ電極40及びシールド電極42が制御装置26に電気的に接続される。このため、センサ電極40及びシールド電極42を制御装置26に容易に電気的に接続できる。
【0055】
さらに、内部材20内の接続孔22Bと接続溝22Cとにホルダ24とセンサハーネス24D及びシールドハーネス24Eとがそれぞれ挿入されている。このため、内部材20の組付凹部22底面と加飾部材32との間にホルダ24、センサハーネス24D及びシールドハーネス24Eを配置する必要をなくすことができ、組付凹部22の底面と加飾部材32との隙間を小さくできると共に、組付凹部22の底面と加飾部材32との接着剤36による接着面積を大きくできる。しかも、組付凹部22の底面と加飾部材32との間へのホルダ24、センサハーネス24D及びシールドハーネス24Eの配置面積を小さくでき、ホルダ24、センサハーネス24D及びシールドハーネス24Eの加飾部材32による被覆面積を小さくできて、加飾部材32を小さくできる。
【0056】
なお、本実施形態では、ステアリング本体12に本体センサ50が設けられる。しかしながら、ステアリング本体12に本体センサ50が設けられなくてもよい。
【0057】
さらに、本実施形態では、加飾部材32に突板46が設けられる。しかしながら、加飾部材32に突板46の少なくとも一部が設けられずに、センサ電極40の表側面が加飾面46Aを構成してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、加飾部材32にセンサ38が設けられる。しかしながら、加飾部材32に、センサ38と共に、又は、センサ38に代えて、機能部としての照明部が設けられてもよい。この場合、例えば、図6に示す変形例の如く、加飾部材32に塗膜48の裏側において照明部としてのLED52が設けられることで、LED52が、通電により発光して、塗膜48を介して加飾部材32の表側を照明してもよい。
【0059】
さらに、本実施形態において、加飾部材32のシールド電極42が機能部としての加熱部にされることで、シールド電極42が、通電により発熱されて、加飾部材32を加熱してもよい。しかも、加飾部材32に、センサ38と共に、又は、センサ38に代えて、加熱部が設けられることで、加熱部が、通電により発熱されて、加飾部材32を加熱してもよい。
【0060】
また、本実施形態では、加飾部材32がステアリング本体12に組付けられる。しかしながら、加飾部材32がステアリング本体12以外のものに組付けられてもよい。
【符号の説明】
【0061】
12・・・ステアリング本体(組付対象)、30・・・加飾体、32・・・加飾部材、34・・・基材(保護部)、38・・・センサ(機能部)、40A・・・センサ延出部(延出電極)、42A・・・シールド延出部(延出電極)、52・・・LED(機能部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6