(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】改良された鳴き防止シム
(51)【国際特許分類】
F16D 65/095 20060101AFI20240911BHJP
F16D 66/00 20060101ALI20240911BHJP
B60T 8/171 20060101ALI20240911BHJP
G01L 1/20 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
F16D65/095 J
F16D66/00 Z
B60T8/171 Z
G01L1/20 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020053996
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-12-16
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509296155
【氏名又は名称】トレレボルグ シーリング ソリューションズ カルマル エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス カール - グスタフ アンデルソン
(72)【発明者】
【氏名】ニルス マルクス オルソン
(72)【発明者】
【氏名】ラース クリスチャン ダール
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-184743(JP,A)
【文献】特開平11-148521(JP,A)
【文献】特開2008-056185(JP,A)
【文献】特開2011-000928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0003545(US,A1)
【文献】特開2008-014453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/095
F16D 66/00
B60T 8/171
G01L 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1金属層(101)と、
前記第1金属層(101)に接着されたエラストマー層(103)とを備え、
前記少なくとも第1金属層(101)は、抵抗測定システム(120)への電気接続のための第1電極として構成されており、
前記エラストマー層(103)は、前記エラストマー層(103)に対して垂直な方向に機械力(F)を受けると、前記エラストマー層(103)が減少した厚さ(T
1)を持つことを可能とする構造的・空間的特徴(110、111)を有するように構成されていることを特徴とする鳴き防止シム(100)。
【請求項2】
前記構造的・空間的特徴(110)は、前記エラストマー層(103)上に外面テクスチャ(110)を有することを特徴とする請求項1に記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項3】
前記外面テクスチャは、鋸歯テクスチャ、矩形波テクスチャ及び正弦波テクスチャのいずれかを有することを特徴とする請求項2に記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項4】
前記構造的・空間的特徴(111)は、前記エラストマー層(103)内に分布する複数の空洞(111)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項5】
前記空洞(111)は、蒸発した液体の残留物であるガスを有することを特徴とする請求項4に記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項6】
前記空洞(111)は、固体材料を有することを特徴とする請求項4に記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項7】
前記空洞(111)内の前記固体材料は、前記エラストマー層(103)よりも小さなポアソン比を有することを特徴とする請求項6に記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項8】
前記空洞(111)内の前記固体材料は、前記エラストマー層(103)よりも小さな弾性率を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項9】
前記空洞(111)は、ポリマー材料製の微小球を有することを特徴とする請求項4に記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項10】
前記エラストマー層(103)と前記少なくとも第1金属層(101)との間に化学結合を提供する接着剤を有する少なくとも一つの接着層(104)を備えることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項11】
前記エラストマー層(103)に接着された少なくとも第2金属層(102)を備え、
これにより前記エラストマー層(103)は、第1及び第2金属層(101、102)の間に挟持され、
第2金属層(102)は、前記抵抗測定システム(120)への電気接続のための第2電極として構成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の鳴き防止シム(100)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の鳴き防止シムの製造方法であって、
エラストマー混合物を製造し(701)、
前記エラストマー混合物から、構造的・空間的特徴を有するエラストマーシートを製造し(703)、
金属シートを製造し(702)、
前記金属シートと前記エラストマーシートとを接合し(707)、
前記接合された金属とエラストマーとのシートを、金属層(101)とエラストマー層(103)とを備える個別の鳴き防止シムに分割する(711)ステップを有し、
各シムの前記金属層(101)が、抵抗測定システム(120)への電気接続のための電極として構成されていることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
ブレーキパッド(201)と少なくとも一つの請求項1~11のいずれかに記載の鳴き防止シム(100)とを備えることを特徴とするブレーキパッドアセンブリ(200)。
【請求項14】
少なくとも一つのキャリパー(401)と、少なくとも一つのブレーキディスク(410)と、少なくとも一つの請求項13に記載のブレーキパッドアセンブリ(200)とを備えることを特徴とするブレーキシステム(400)。
【請求項15】
請求項14に記載のブレーキシステム(400)においてブレーキパッド(201)とブレーキディスク(410)との間の圧力を測定する方法であって、
前記ブレーキパッドアセンブリ(200)に備えられた少なくとも一つの鳴き防止シム(100)と抵抗測定システム(120)との間に電気接続を設け、
前記鳴き防止シム(100)を介して前記ブレーキパッド(201)へと力を伝達するように配置された前記ブレーキシステム(400)の少なくとも一部(403、404)と前記抵抗測定システム(120)との間に電気接続を設け、
前記少なくとも一つのブレーキパッド(201)が前記ブレーキディスク(401)に当接するように、前記少なくとも一つのブレーキパッドアセンブリ(200)の動作を制御し、
前記抵抗測定システム(120)において抵抗値を検出するステップを有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示における実施形態は、鳴き防止シム、そのようなシムの製造方法及びそのようなシムをブレーキシステムにおいて使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの機械システム、単純なシステム又はより複雑なシステムには、例えば二つの対向するユニットの間の圧力を測定することが望ましい又は必要となる位置がある。例えば、このような圧力検出の対象となる状況としては、動作中の第2ユニットの動作を低下又は停止させるために、第1ユニットを第2ユニットに対して押し付ける圧力を制御することが望ましい状況がある。このような状況の例としては、例えば車両におけるブレーキシステムのブレーキングがあり、ブレーキングではブレーキディスクの回転速度が制御される。すなわち、ブレーキシステムにおいては、ブレーキパッドをブレーキディスクに押し付ける圧力を測定することが望ましい場合がある。
【0003】
様々な種類の圧力検出装置が先行技術において数多く開示されているものの、これらの装置は、典型的にはそれぞれ非常に狭い用途のために設計されているといえる。これは、多くの場合、圧力検出装置は、かなり複雑な構造を有しているので、特定の用途に合わせてカスタマイズする必要があるためである。ブレーキシステムにおける圧力検出のという特定の状況において、ブレーキパッドをブレーキディスクに押し付ける圧力をどのように測定するかを説明する先行技術の例には、多かれ少なかれ間接的な方法や理論上の方法さえもが含まれる。例えば、キャリパーにおけるブレーキシリンダー内のブレーキフルードの圧力を測定することによって、ブレーキピストンがブレーキディスクを押し付ける力の尺度を推定しうる。しかしこのような方法は、特に間接的方法であるため、決して信頼もできなければ正確でもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑み、本開示の目的は、ブレーキシステムにおいて、ブレーキパッドをブレーキディスクに押し付ける圧力の検出に関する欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、第1の態様においては、鳴き防止シムによって実現される。このような鳴き防止シムは、少なくとも第1金属層と、第1金属層に接着されたエラストマー層とを備える。少なくとも第1金属層は、抵抗測定システムへの電気接続のための第1電極として構成されており、エラストマー層は、エラストマー層に対して垂直な方向に機械力を受けると、エラストマー層が減少した厚さを持つことを可能とする構造的・空間的特徴を有するように構成されている。
【0006】
後述するように、ブレーキパッドに関わる様々な状況においてこのような鳴き防止シムを配置してもよい。ブレーキパッドに関する様々な状況では、例えばキャリパーとブレーキパッドとの間に発生する圧力のリアルタイム測定値を得ることに関心がもたれる。適切な化学的及び機械的特性の組み合わせと、適切な寸法とを有するエラストマー層並びに抵抗測定システムにおいて適切に適応させた電圧及びその他の電気パラメータを使用することによって、エラストマー層側で押し付けを行っている構造に接続された第2電極と第1電極との間で、エラストマー層の厚さの変化に起因する抵抗変化を測定できることが分かった。例えば、製造時にカーボンブラックをエラストマーに混合することによって、適切な導電性の尺度が得られる。エラストマーが0.5に近いポアソン比を有しているため圧縮に対して一般的に抵抗することを想起すると、エラストマー層が構造的・空間的特徴を備えることによって、厚さの減少が容易となる。厚さの減少は、圧力の上昇に関連しているため、加えられた力の上昇にも関連している。以下に示すように、このようなシムの実施形態は、複雑で高価な先行技術の装置に対して、より単純な構造を有するためより安価に製造できる。
【0007】
尚、第1電極として構成されている層の材料としては、金属が適切であるが、問題とされる状況において必要とされる構造的強度が得られ、少なくとも金属と同様の電気特性を有する任意の同様の材料も使用できる。
【0008】
様々な実施形態において、構造的・空間的特徴は、エラストマー層上に外面テクスチャを有してもよい。いくつかの実施形態においては、構造的・空間的特徴は、エラストマー層内に分布する複数の空洞を有してもよい。例えば、このような空洞は、蒸発した液体の残留物であるガス又はであ固体材料であってもよい。いくつかの実施形態において、このような固体材料は、エラストマー層よりも小さなポアソン比を有していてもよく、いくつかの実施形態では、エラストマー層よりも小さな弾性率を有していてもよい。いくつかの実施形態では、空洞は、ポリマー材料製の微小球を有してもよい。
【0009】
即ち、エラストマー層上又は内に適切な構造を設けることによって、エラストマー層が様々な大きさの圧力に対して厚さの変化という観点で反応するように設計できる。これにより、様々な状況において、例えば物理尺度の観点で圧力を検出することが可能となる。
【0010】
様々な実施形態において、接着剤を有する少なくとも一つの接着層によって、エラストマー層と少なくとも第1金属層とが接着される。
【0011】
いくつかの実施形態において、少なくとも第2金属層は、エラストマー層に接着され、これによりエラストマー層は、第1及び第2金属層の間に挟持される。そして、このような第2金属層は、抵抗測定システムへの電気接続のための第2電極として構成されている。
【0012】
ブレーキアセンブリのブレーキパッドは、ブレーキキャリパーの構造、例えば「フィンガー」によって、回転するブレーキディスクに当接させられ、ブレーキディスクの回転が減速又は停止されるように設計されている。言うまでもなく、このような工程では、ブレーキパッドとディスクとの間の力、ひいては圧力は相当なもので、回転するディスクの減速率を制御するために関連する力を制御すること又はブレーキパッドとディスクとの間の力のばらつきによって発生する振動を検出し測定することはしばしば望ましい。パッドとキャリパーとの間にここに記載するような鳴き防止シムを設け、金属層の第1電極を抵抗測定システムに接続し、第2電極を例えばキャリパーと抵抗測定システムとの間に接続することによって、非常に簡単且つ信頼性の高い方法でブレーキパッドとディスクとの間の圧力、つまり力を測定できる。
【0013】
例えば、ここに記載したような鳴き防止シムを備えたブレーキパッドアセンブリを用いて電動パーキングブレーキ(EPB)を構成することよって、EPBの信頼性向上と、EPBへのダメージの危険性の低減とを実現できる。従来のブレーキパッドアセンブリを用いて構成されたEPBは、典型的には、冷却によって引き起こされる予想されるブレーキ部品の空間的寸法の減少を補うために、過剰な量の力をブレーキパッドアセンブリに加える。このような減少を補うための過剰な力は、必然的にブレーキ部品のダメージ又は故障の危険性を増加させる。これに対し、ここに記載したようなシムを用いて構成されたブレーキパッドアセンブリを利用することによって、ブレーキパッドアセンブリからの力フィードバックを有するEPBを構成できる。このため、EPBは、ブレーキ部品への機械的応力を最小化しつつブレーキ効果を確保するのにちょうど十分な動的力を加えることが可能となる。
【0014】
ブレーキパッドアセンブリが関わる別の状況としては、電子論理回路がブレーキディスクに対するブレーキパッドの動きを制御する電気機械ブレーキステム(例えば、いわゆる「ブレーキ・バイ・ワイヤ」システム)がある。このようなブレーキ制御を行うために、電気機械ブレーキステムは、例えばブレーキシステムのセンサからのフィードバック情報や、電気機械ブレーキシステムが作動している車両の動きに関するその他の情報を使用する。このようなシステムでは、圧力ひいてはブレーキパッドをブレーキディスクに押し付ける力という形のフィードバック情報は重要な情報である。また、現代の多くの車両は、車両をブレーキングによって操舵するスピン防止機能、トラクションコントロール機能及び緊急操舵機能を有しており、このような機能は全てブレーキングシステムからフィードバックされる情報の恩恵を受けられる。ここに記載されたように構成された鳴き防止シムは、このような電気機械ブレーキシステムにとって重要な情報を提供できる。
【0015】
ブレーキパッドがブレーキディスクに対して加える力の制御に関するさらに別の状況としては、急速に普及しているバッテリ駆動式の電気自動車(電気モータとバッテリとによって部分的に駆動されるいわゆるハイブリッド車両も含む)がある。バッテリ駆動式電気自動車は、典型的には、ブレーキパッド及びブレーキディスクからなる機械的システムと、電気モータを発電機として逆に機能させることによって車両の車輪の回転を減速させると同時にバッテリを充電するように制御する電気ブレーキシステムとの両方を備えた電気機械ブレーキシステムを有するように構成されている。このような電気自動車は、あまり頻繁に機械的ブレーキシステムを作動させることなく、このため、バッテリ駆動型電気自動車のブレーキディスクはよく腐食し、そこには、錆び、その他の酸化物、埃、オイルの厚い層又は車両の使用中に拾い上げられた或は堆積したその他の望ましくない皮膜が多かれ少なかれ形成されてしまうことが知られている。ここに記載されたような鳴き防止シムをこのような電気機械ブレーキシステムに設けることにより、ブレーキディスクからこのような錆びの層を取り除く制御されたプロセス、すなわち「コンディショニング・プロセス」を実行でき、これによりバッテリ駆動型電気自動車の安全な利用に貢献できる。
【0016】
別の態様では、ここに記載されたような鳴き防止シムの製造法が提供される。このような方法は、エラストマー混合物を製造し、エラストマー混合物から、構造的・空間的特徴を有するエラストマーシートを製造することを有する。金属シートを製造し、金属シートとエラストマーシートとを接合する。接合された金属とエラストマーとのシートを個別の鳴き防止シムに分割し、各シムの金属層を、抵抗測定システムへの電気接続のための電極として構成する。
【0017】
さらに別の態様では、ブレーキパッドと少なくとも一つのここに記載されたような鳴き防止シムとを備えるブレーキパッドアセンブリが提供される。
【0018】
更に別の態様では、少なくとも一つのキャリパーと、少なくとも一つのブレーキディスクと、少なくとも一つの上述したようなブレーキパッドアセンブリとを備えるブレーキシステムが提供される。
【0019】
更に別の態様では、ブレーキシステムにおいてブレーキパッドとブレーキディスクとの間の圧力を測定する方法が提供される。この方法は、ブレーキパッドアセンブリに備えられた少なくとも一つの鳴き防止シムと抵抗測定システムとの間に電気接続を設けるステップを有する。また、鳴き防止シムを介してブレーキパッドへと力を伝達するように配置されたキャリパーの少なくとも一部と抵抗測定システムとの間にも電気接続を設ける。少なくとも一つのブレーキパッドがブレーキディスクに当接するように、少なくとも一つのブレーキパッドアセンブリの動作を制御し、抵抗測定システムにおいて抵抗値を検出する。
【0020】
これらのさらなる態様の効果と利点は、第1の態様に関して上に要約したものと対応する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1(a)】
図1(a)は、外面構造を有するエラストマー層を備えたシムを模式的に図示している側面図である。
【
図1(b)】
図1(b)は、外面構造を有するエラストマー層を備えたシムを模式的に図示している上面図である。
【
図1(c)】
図1(c)は、内部に分布した空洞を有するエラストマー層を備えたシムを模式的に図示している側面図である。
【
図1(d)】
図1(d)は、外面構造と内部に分布した空洞とを有するエラストマー層を備えたシムを模式的に図示している側面図である。
【
図1(e)】
図1(e)は、機械力を受けたシムを模式的に図示している側面図である。
【
図2(a)】
図2(a)は、接着層を備えたシムを模式的に図示している側面図である。
【
図2(b)】
図2(b)は、接着層を備えたシムを模式的に図示している側面図である。
【
図3】
図3は、2つの金属層を備えたシムを模式的に図示している側面図である。
【
図4】
図4は、ブレーキシステムを模式的に図示している。
【
図5(a)】
図5(a)は、ブレーキパッドアセンブリを模式的に図示している側面図である。
【
図5(b)】
図5(b)は、ブレーキパッドアセンブリを模式的に図示している側面図である。
【
図6(a)】
図6(a)は、シムを模式的に図示している上面図である。
【
図6(b)】
図6(b)は、シムを模式的に図示している上面図である。
【
図7】
図7は、鳴き防止シムの製造方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、鳴き防止シムを用いた圧力測定方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1(a)~
図1(e)を参照すると、鳴き防止シム100は、少なくとも第1金属層101と、第1金属層101に接着されたエラストマー層103とを備える。少なくとも第1金属層101は、抵抗測定システム120へ電気接続のための第1電極として構成されており、エラストマー層103は、エラストマー層103に対して垂直な方向に機械力Fを受けるとエラストマー層103が減少した厚さT
1を持つことを可能とする構造的・空間的特徴110、111を有するように構成されている。
【0023】
エラストマー層103に適するエラストマー材の例としては、ゴム(ニトリルゴム、シリコーンゴム、天然ゴム等及びこれらの組み合わせ)、フッ素エラストマー、粘弾性ポリマー((メタ)アクリル酸系ポリマー、(メタ)アクリレート系ポリマー等及びこれらの組み合わせ)、粘弾性接着剤(アクリル酸、アクリル変性、シリコーン、又はゴム系の感圧接着剤(PSA)等)及びプラスチックが挙げられる。粘弾性ゴム材の具体例としては、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルエラストマー(AEM)、臭素化ブチルゴム(BIIR)、ブタジエンゴム(BR)、塩素化ブチルゴム(CIIR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FPM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、フロロシリコーンゴム(MFQ)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、プロピレンオキシドゴム(PO)、シリコーンゴム(Q)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びウレタンゴム(U)が挙げられる。
【0024】
いずれの場合においても、適切なエラストマー材では、エラストマー層103の機械特性と電気特性との間の関係が、エラストマー層の材料が圧迫されると材料の粒子が互いに接近することによって、電流に対する抵抗に変化をもたらすような関係である。例えば、製造時にエラストマーに適切な量のカーボンブラックを混合することによってこのような特徴を得ることができる。
【0025】
上述のように、第1電極として構成された層101の材料としては、金属が適切であるが、問題とされる状況において必要とされる構造的強度が得られ、少なくとも金属と同様の電気特性を有する任意の同様の材料も使用できる。有用な金属の例としては、ステンレス鋼、溶融亜鉛めっき(HDG)鋼、炭素鋼及びアルミニウム等が挙げられる。その他の材料としては、炭素含有材(カーボンファイバー、グラファイト及びカーボンブラック等)及びケイ素含有材が挙げられる。
【0026】
図1(a)、
図1(b)、
図1(d)、
図1(e)、
図2(a)及び
図2(b)で模式的に例示するように、構造的・空間的特徴110は、エラストマー層103上に外面テクスチャ110を有していてもよい。この外面テクスチャ110は、製造方法と共に後に詳述するように、例えば、インプリント、エングレーブ、エッチング、研削加工又はその他の適切な任意の加工技術によって得られる鋸歯テクスチャ、矩形波テクスチャ、正弦波テクスチャ又はその他の多かれ少なかれ規則的な又は擬似不規則的な任意の構造のいずれかを有していてもよい。
図1(a)の側面図と
図1(b)の上面図とは、外面テクスチャ110が、その内部にマトリックス状に分布する複数の鋸歯テクスチャユニット105を有する鋸歯テクスチャである鳴き防止シム100を例示している。
【0027】
言うまでもなく「側」面図及び「上」面図というという表記は限定的な意味で解釈されるべきではない。これは当業者ならば、使用時のシムの姿勢が大きく変化する可能性があり、「上」又は「側」という概念が実際の使用状況によって決まるものだと気づくためである。
【0028】
図1(c)及び
図1(d)に模式に図示するように、構造的・空間的特徴111は、上述のテクスチャに加え又は上述のテクスチャの代わりに、エラストマー層103内に分布する複数の空洞111を備えていてもよい。このような空洞111は、蒸発した液体の残留物である気体であってもよい。このようなガスを有する空洞111は、製造方法と共に後に詳述するように製造中に重炭酸ソーダ等の実績のある物質をエラストマーに混合することによって得てもよい。いくつかの実施形態において、空洞111は固体材料を備えていてもよい。固体材料は、エラストマー層103のエラストマー材よりも小さいポアソン比を有する及び/又はエラストマー層103のエラストマー材よりも小さい弾性率を有する。このような材料の例としては、コルクが挙げられる。このような空洞の固体材料は、後に例示するように製造工程中にエラストマー層103内に導入されてもよい。また、いくつかの実施形態において、空洞は、ポリマー材料製の微小球を有していてもよい。このような微小球は、後述するようにエラストマー層103の製造工程中に混合されることによって、エラストマー層に導入されてもよい。
【0029】
図1(e)は、エラストマー層103が、加力装置130によってエラストマー層103に対して垂直な方向に加えられた機械力Fを受けた際、どのようにして減少した厚さT
1を持ちうるかを模式的に図示している。力Fが加えられると、テクスチャユニット105が圧縮され、上述のように、抵抗測定システム120によって減少した抵抗が特定されうる。
【0030】
抵抗測定システム120へ電気接続のための第1電極として構成された第1金属層101に関して、
図1(a)~
図1(e)には簡単な構成が図示されており、図中では電気接続部115が、例えば任意の適切な接続手段を介して抵抗測定システム120に接続されている。
【0031】
抵抗測定システム120について、当業者ならば、
図1(d)の回路121に例示されているような電圧及び電流を特定できるいかなる回路であってもよいと気づくだろう。抵抗測定システム120は、シム100の金属層101と加力装置130とにそれぞれ接続部115、116を介して接続される。すなわち、接続部116が、エラストマー層103に当接する加力装置130の導電部と抵抗測定システム120とを接続する閉じた電気回路が形成される。
【0032】
なお、本開示に記載する実施形態は、抵抗測定システム120の代わりにより一般的なインピーダンス測定システムを使用してもよい。例えば、エラストマー層103は、機械力が加えられることによって厚さが減少すると静電容量が変化する。よって、インピーダンス測定システムでは、抵抗の代わりに、容量性インピーダンスを力の尺度として使用してもよい。なお、エラストマー層103に適するエラストマー材は、加えられた力と抵抗との間の関係が、材料の粒子が互いに接近することによって電流の抵抗に変化をもたらす状況に類似するようなピエゾ抵抗特性を有する。
【0033】
図2(a)に例示するように、接着剤を有する少なくとも一つの接着層104によって、エラストマー層103と少なくとも第1金属層101とが接着されてもよい。このような接着層104における材料の適切な例としては、フェノール、ポリマー及びカーボンブラックの混合物が挙げられる。なお、接着層104は非常に薄くてもよく、実際に典型的な厚さの例としては、1~10μmの範囲であってもよい。接着層104において使用に適している材料の具体例としては、ロード・コーポレーションによって商標Chemlok(登録商標)として提供されている材料やダウ・ケミカルによって商標Thixon(登録商標)及びMegum(登録商標)として提供されている材料が挙げられる。
【0034】
また、
図2(a)は、厚さtを有する外面テクスチャ110の空間寸法の例を図示する一方、外面テクスチャ110の全厚さはT
0である。さらに、
図2(a)は、外面テクスチャ110が、
図1(a)及び
図1(b)の例におけるテクスチャユニット105と同様の鋸歯状のテクスチャユニット105を多数有することを図示している。
【0035】
図2(b)に例示するように、エラストマー層103の外面テクスチャ110は、矩形波テクスチャの形であってもよい。この例では、矩形波テクスチャは、空間106によって離隔された複数のテクスチャユニット105を有し、テクスチャユニット105は、外面テクスチャ110の全厚さT
0と同じ厚さtを有する。言い換えると、
図2(b)に例示した鳴き防止シム100のテクスチャユニット105は、小さな独立した「島」をそれぞれ形成し、各「島」は一つの接着層104によって個別に金属層101へと接着される。図示は省略するものの、テクスチャユニット105は、例えば三角形、角錐台等のその他の断面形状を有していてもよい。
【0036】
当業者ならば、
図2(a)及び
図2(b)の側面図に模式的に図示された鳴き防止シム100の実施形態の上面図は、
図1(b)の上面図に模式的に図示された鳴き防止シム100の実施形態の上面図に対応することに気づくだろう。すなわち、
図2(a)及び
図2(b)に図示されたシムの上面図では、テクスチャユニット105が、外面テクスチャ110内にマトリックス状に分布するように図示されることとなる。
【0037】
図3に例示するように、鳴き防止シム100は、エラストマー層103に接着された少なくとも第2金属層102を備えていてもよく、これによりエラストマー層103は、第1及び第2金属層101、102の間に挟持される。このような第2金属層102は、第2金属層102に接続された第2接続部116によって示されるように、抵抗測定システム120への電気接続のための第2電極として構成されてもよい。
図3では、空洞を有する層としてエラストマー層103を例示しているが、
図3に図示されているような挟持型のシム100の様々な実施形態は、外面テクスチャ110及び/又は複数の空洞111を有するエラストマー層103を備えていてもよいと理解すべきである。
【0038】
図3に例示したようなシム100の実施形態は、
図1(e)に例示した場合と異なり、加力装置が電流を抵抗測定システム120へと通す能力を有していない場合に使用してもよい。
【0039】
次に
図4、
図5(a)及び
図5(b)を参照して、ブレーキパッドアセンブリ200とブレーキシステム400と共に、鳴き防止シム100の使用について説明する。このようなブレーキパッドアセンブリ200は、ここで説明するようにブレーキパッド201と少なくとも一つの鳴き防止シム100とを備える。
【0040】
ブレーキシステム400は、少なくとも一つのキャリパー401と、少なくとも一つのブレーキディスク410と、ここに説明したように鳴き防止シム100を備えた少なくとも一つのブレーキパッドアセンブリ200とを備える。キャリパー401は、ブレーキディスク410に作用するブレーキパッドアセンブリ200に備えられたシム100にブレーキ力を加えるための加力装置として構成されたフィンガー403とピストン404とを備える。当業者ならば、
図4に例示されたキャリパー400は、ブレーキ力が、ブレーキフルードによってブレーキライン405を介してピストン404へと供給されるため、いわゆるフローティングキャリパーであると気づくだろう。しかし、ここに例示した鳴き防止シム100は、対向するピストンで構成されたいわゆる固定式キャリパーにおいても使用されうる。当業者ならば、ブレーキシステム400はブレーキシステムの一例に過ぎず、ブレーキシステムのその他の例には、例えば、ブレーキシステムが配置される車両の大きさや種類に応じて異なった数のフィンガーやピストンを備えたブレーキシステムが含まれることに気づくだろう。また、ブレーキシステムのその他の例では、ピストンが、油圧ブレーキラインによってではなく、電気機械的なアクチュエータによって作動するように構成されている。
【0041】
図4には、抵抗測定システム120が模式的に示されており、電気接続部122が示されている。電気接続部122は、キャリパー401に対して適切に配置され、シム100と加力装置とを抵抗測定システム120に接続する。このような配置は、例えば、キャリパー401の構造内において適切に構成されたケーブルを使用することによって実現できる。配置の詳細は、本開示の範囲外である。
【0042】
図5(a)は、ブレーキパッド201と鳴き防止シム100とを備えるブレーキパッドアセンブリ200を模式的に図示している側面図である。シム100は、折り曲げタブやリベット等の多かれ少なかれ単純な機械的手段と、典型的には接着剤又は感圧接着剤(PSA)とを併用することによってブレーキパッド201に取り付けられる。また、
図5(a)には、例えば
図4に図示したようなキャリパーのフィンガーであってもよい加力装置402の一部が示されている。抵抗測定システム120は模式的に示されており、電気接続部115、116は、シム100と加力装置402とをそれぞれ抵抗測定システム120に接続している。
【0043】
図5(b)は、ブレーキパッド201と二つの鳴き防止シム100とを備えるブレーキパッドアセンブリ200を模式的に図示している側面図である。シム100は、折り曲げタブやリベット等の多かれ少なかれ単純な機械的手段と、典型的には接着剤又は感圧接着剤(PSA)とを併用することによってブレーキパッド201に取り付けられる。また、
図5(b)には、例えば
図4に図示したようなキャリパーのフィンガーであってもよい加力装置403の一部が示されている。抵抗測定システム120は模式的に示されており、電気接続部115、116、117は、シム100と加力装置403とをそれぞれ抵抗測定システム120に接続している。このようにブレーキパッド201に並列に配置された二つのシム100を備えるブレーキパッドアセンブリ200によって、抵抗値のばらつきの測定が可能となるので、ブレーキパッド201に対するそれぞれのシム100の位置に対応するブレーキパッド201の2つの異なる領域での力のばらつきの測定が可能となる。これには、ブレーキパッドアセンブリ200と相互作用するブレーキディスクにとって有害な影響をもたらしうる、アセンブリ200における振動を直接測定する方法を提供するという利点がある。
【0044】
図6(a)は、例えば
図1~3に関連して上述したようにエラストマー層103に接着され隙間105によって離隔された二つの金属層101を備えた鳴き防止シム100を模式的に図示する上面図である。金属層101は、それぞれ金属タブ125、127によって示されるように、抵抗測定システム(
図6(a)では不図示)への電気接続のための電極として構成されてもよい。なお、
図6(a)における上方から見た場合の金属層101の二次元的空間範囲は、図示のものと異なっていてもよい。例えば、二つ金属層101の空間範囲は、金属層101が、その間の電気絶縁のための非常に小さな隙間105のみを残して、エラストマー層103の全空間範囲を覆うようなものであってもよい。このようなシム100は、例えば、
図5(b)に関連して例示したようにブレーキパッドアセンブリ200と共に使用されてもよい。そして金属タブ125、127は、金属層101を電気接続部115、117にそれぞれ接続することによって、シム100を抵抗測定システム(
図6(a)では不図示)に接続してもよい。
【0045】
図6(b)は、例えば
図1~3に関連して上述したようにエラストマー層103に接着され隙間136によって離隔された二つの金属層101及び137を備えた鳴き防止シム100を模式的に図示する上面図である。金属層101、137は、金属タブ135、139によって示されるように、抵抗測定システム(
図6(b)では不図示)への電気接続のための電極として構成されてもよい。このようなシム100は、例えば、
図5(a)及び5(b)に関連して上述したアセンブリと同様のブレーキパッドアセンブリ200と共に使用されてもよく、この場合、ブレーキキャリパーのピストン404又はフィンガー403がシム100の金属層137を含まない部分に力を加える。このような配置は以下のさらなる利点を提供する。シム100の加力の対象ではない部分に対応する抵抗値も検出する抵抗測定システムに、金属層137をタブ139を介して接続し、このような抵抗値を、金属層101を介して測定される抵抗値の校正に使用してもよい。例えば、ブレーキパッドアセンブリの場合には、温度の大きなばらつきがある可能性があり、そのような状況では、加力の対象ではない金属層137を介して得られた抵抗値は、温度補正抵抗値とみなしうるので、より正確に加えられた力を測定できる。また、様々な場合において、ブレーキパッドアセンブリにおいてと同様に、温度についての知識を有することに関心が持たれうる。
【0046】
なお、
図6(a)の例と同様に、
図6(b)における上方から見た場合の金属層101、137の二次元的空間範囲は、図示のものと異なっていてもよい。例えば、2つの金属層101、137の空間範囲は、金属層101、137が、その間の電気絶縁のための非常に小さな隙間136のみを残して、エラストマー層103の全空間範囲を覆うようなものであってもよい。
【0047】
次は
図7を参照して、鳴き防止シム、例えば、
図1~6に関連して上述及び例示したシム100の製造方法について詳細に説明する。製造方法は以下のステップを有する。
【0048】
ステップ701
エラストマーの成分が混合されることによって、ここに記載されたエラストマー層103となるエラストマーが製造される。熱処理又は加硫中に気体で満たされた空洞を形成する重炭酸ソーダ等の実績のある物質を混合物に加えることによって、上述したような複数の空洞111の形の構造的・空間的特徴をこのステップにおいて形成してもよい。また、エラストマー層103のエラストマー材よりも小さいポアソン比を有する及び/又はエラストマー層103のエラストマー材よりも小さい弾性率を有する固体材料を混合物に加えることによって、上述したような固体材料を有する複数の空洞111の形の構造的・空間的特徴をこのステップにおいて形成してもよい。
【0049】
ステップ703
そして、ステップ701において製造されたエラストマー混合物からエラストマーのシートが製造される。シートは様々な方法で製造することができる。例えば、エラストマー混合物に対してカレンダー処理を施し、任意でロール状に巻いてもよい。また、エラストマー混合物を溶剤に溶解させ、その後、続くステップ707において、金属シート上に直接塗布してもよい。また、ステップ701において作られたエラストマー混合物を粒子に分解し、金属シート上に塗布し、続くステップ707において圧縮成形してもよい。
【0050】
個体材料を有する空洞を製造する別の方法としては、ステップ703に続き、固体材料の小片をエラストマーのシートに散布する方法がある。この固体材料の小片は、ステップ707においてエラストマー層に取り込まれる。
【0051】
ステップ705
このオプションのステップにおいて、上述したような外面テクスチャの形の構造的・空間的特徴110を形成してもよい。例えば、外面テクスチャは、ストラクチャードロール又はその他の表面を用いてエラストマーシートにインプリント加工を施すことによって形成されてもよい。また、テクスチャは、例えば、レーザーによるエングレーブ、研削、フライス加工等によって形成されてもよい。
【0052】
ステップ702
金属シートを形成する。このステップは、ステップ701から705におけるエラストマーシートを製造するステップと同時に又は独立して行われてもよい。
【0053】
ステップ704
このオプションのステップでは、金属シートを接着剤で被覆する。
【0054】
ステップ707
そして、金属シートとエラストマーのシートとが、熱及び/又は圧力を伴いうる工程によって互いに接着される。例えば、上述のように圧縮成形が行われてもよく、エラストマーが金属に接着されるこのステップにおいてエラストマーの加硫が行われてもよい。上述のように、いくつかの実施形態では、このステップにおいて加硫の前に固体材料の小片をエラストマーに散布してもよい。このように散布された小片は、その後エラストマー層に取り込まれることによって、上述のように固体材料で満たされた空洞を形成する。
【0055】
ステップ709
このオプションのステップでは、オプションのステップ705と同様に、上述のような外面テクスチャの形の構造的・空間的特徴110を形成してもよい。
【0056】
ステップ711
そして、金属とエラストマーシートとの接着されたシートは、上述のように金属層とエラストマー層とを備えた個別のシムに分割される。例えば、この分割ステップにおいて、抵抗測定システムへの電気接続のための電極を有する空間形状に金属層を、例えばプレス加工、切削、レーザーカット、フライス加工又は鋸引きしてもよい。
【0057】
外面テクスチャを有するエラストマーシートを製造するオプションの方法としては、所望のテクスチャを有する内面であって、成形工程中にエラストマーシートの表面に所望のテクスチャをインプリント加工する内面を備えたモールドを用いてエラストマー材を射出成形又は圧縮成形する方法がある。
【0058】
ここに記載した製造方法は、金属シートが個別の部品に分割された後、それぞれの部品が、射出成形又は圧縮成形によってエラストマー層103に覆われる一連の代替ステップを有していてもよい。
【0059】
次に、引き続き
図4及び
図5(a)を参照しつつ、
図8を参照して、ブレーキシステム400のブレーキディスク410とブレーキパッドアセンブリ200との間の圧力を測定する方法を詳細に説明する。この方法は以下のステップを有する。
【0060】
ステップ801
ブレーキパッドアセンブリ200が備える少なくとも一つの鳴き防止シム100と抵抗測定システム120との間に電気的接続を設ける。
【0061】
ステップ803
ブレーキシステム400の少なくとも一部と抵抗測定システム120との間に電気接続を設ける。ブレーキシステムの少なくとも一部は、鳴き防止シム100を介してブレーキパッド201に力を伝達するように配置されている。例えば、ブレーキシステム400の少なくとも一部は、ピストン404又はフィンガー403であってもよい。
【0062】
ステップ805
少なくとも一つのブレーキパッド201がブレーキディスク401に当接するように、少なくとも一つのブレーキパッドアセンブリ200の動作を制御する。
【0063】
ステップ807
ブレーキパッドアセンブリ200の制御された動作中に、抵抗測定システム120において抵抗値を検出する。
【0064】
そして、ステップ807において得られた抵抗値又は値を、ブレーキパッドをディスク410に押し付ける力の尺度として使用してもよい。このような力の尺度を記録し、後の分析、例えばブレーキシステム400の動的特徴の分析に利用してもよい。だだし、このような利用法の説明は、本開示の範囲外である。