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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/26 20060101AFI20240911BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240911BHJP
   G01J 1/04 20060101ALI20240911BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240911BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G02B6/26
G01J1/02 D
G01J1/04 A
G02B5/00 Z
G02B6/42
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020108066
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003320
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】村松 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智彦
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-174265(JP,A)
【文献】特開2005-195685(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102608739(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0081601(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0043476(US,A1)
【文献】特開2012-048263(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0162712(US,A1)
【文献】特開2013-160672(JP,A)
【文献】国際公開第2019/087576(WO,A1)
【文献】特表2018-533033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26- 6/27
6/30- 6/34
6/42- 6/43
27/01-27/02
G01J 1/02- 1/04
F21V 8/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性部材を備えたライトガイドと、光検出器と、を備え、
前記透光性部材は、
光が入射する光入射面と、
前記透光性部材における前記光入射面の反対側に設けられ、光を出射する光出射面と、
前記光入射面と対向し、前記光入射面から入射した光を平行光として反射する放物面状の第1鏡面と、
前記第1鏡面及び前記光出射面と対向し、前記第1鏡面で反射した平行光を前記光出射面に向かって集光するように反射する放物面状の第2鏡面と、を含み、
前記光検出器は、前記ライトガイドの前記光出射面から出射した光を検出する、光電面を有する光電子増倍管であり、矩形平板状の外形を呈し、
前記光電子増倍管では、前記光電面への光の入射方向と電子増倍部での電子の増倍方向とが交差し、
前記光電子増倍管の厚さ方向から見て、前記光電面は、前記光電子増倍管の一端側に配置され、前記光電子増倍管のアノードは、前記光電子増倍管の他端側に配置され、
前記光電子増倍管では、前記光電面に光が入射されると、前記光電面から放出された光電子が前記電子増倍部に入射し、二次電子を前記光電子増倍管における一端側から他端側にカスケード増幅し、前記アノードから信号を取り出し、
前記光電子増倍管の厚さ方向から見て、前記光入射面と前記光出射面とは離間するようにオフセットしており、
前記ライトガイドは、前記光電子増倍管上に設置されており、
前記光電子増倍管の厚さ方向から見て、前記ライトガイドは、前記光電子増倍管内に収まっており、
前記光電子増倍管の前記アノード上には、前記光入射面が配置され、
前記光電子増倍管の前記光電面上には、前記光出射面が配置され、
前記光電子増倍管の前記電子増倍部上には、前記第1鏡面が配置される、光検出装置。
【請求項2】
前記光電子増倍管が重なるように搭載された基板と、
前記光電子増倍管及び前記基板を収容する筐体と、を備える、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記筐体には、内部に前記ライトガイドが配置される矩形孔が形成され、
前記矩形孔の内面には、前記光電子増倍管の厚さ方向に延びる溝が形成され、
前記透光性部材は、前記光入射面及び前記光出射面に連続するように設けられた側面を含み、
当該側面には、前記光電子増倍管の前記光電面側である一端側から前記アノード側である他端側に向かう方向に沿う方向において前記溝と係合する、前記ライトガイドの位置合わせ用の凸部が設けられている、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記光入射面と前記光出射面とは、第1方向と直交する平面状を呈するとともに、前記第1方向に離間している、請求項1~3の何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記光入射面と前記光出射面とは、前記第1方向と直交する第2方向にオフセットしている、請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記光入射面と前記光出射面とは、前記第2方向において離間するようにオフセットしている、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記透光性部材は、前記光入射面及び前記光出射面に連続するように設けられた側面を含み、
当該側面は、前記第1方向及び前記第2方向に沿う平面状を呈する、請求項5又は6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記第1鏡面は、前記光入射面及び前記光出射面に連続するように設けられている、請求項1~7の何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第2鏡面は、前記光入射面及び前記光出射面に連続するように設けられている、請求項1~8の何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記光入射面において入射する光の有効エリア以外は、遮光されている、請求項1~9の何れか一項に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトガイド及び光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のライトガイドに関する技術として、例えば特許文献1に記載されているように、2枚の放物面鏡から成る蛍光検出用光学系が知られている。特許文献1に記載された蛍光検出用光学系では、物点から発せられた蛍光は、第1放物面鏡に反射された後、第2放物面鏡によって像点に集光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-160672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、小型な光検出器では、その受光面積が小さいことから、測定物で発光した光を受光面に効率よく集光させるために、上述したようなライトガイドを用いることが考えられる場合がある。しかし、上述したようなライトガイドは複数部品で構成されるためにサイズが大きくなりやすく、小型化の観点から実用的ではない。
【0005】
そこで、本発明は、小型化が可能なライトガイド及び光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るライトガイドは、透光性部材を備えたライトガイドであって、透光性部材は、光が入射する光入射面と、透光性部材における光入射面の反対側に設けられ、光を出射する光出射面と、光入射面と対向し、光入射面から入射した光を平行光として反射する放物面状の第1鏡面と、第1鏡面及び光出射面と対向し、第1鏡面で反射した平行光を光出射面に向かって集光するように反射する放物面状の第2鏡面と、を含む。
【0007】
このライトガイドでは、光入射面、光出射面、第1鏡面及び第2鏡面が透光性部材に一体的に形成されている。よって、例えば測定物で発光した光を光検出器の受光面に効率よく集光させることを、単体部品で実現することが可能となる。したがって、本発明によれば、小型化が可能となる。
【0008】
本発明に係るライトガイドでは、光入射面と光出射面とは、第1方向と直交する平面状を呈するとともに、第1方向に離間していてもよい。この場合、光入射面側に位置する測定物と光出射面側に位置する光検出器の受光面とを第1方向に離間させ、測定物の影響(温度等)が光検出器に及ぶのを抑制することが可能となる。
【0009】
本発明に係るライトガイドでは、光入射面と光出射面とは、第1方向と直交する第2方向にオフセットしていてもよい。これにより、光入射面からの入射光が第1及び第2鏡面で反射せずにそのまま光出射面から出射してしまうのを抑制することができる。
【0010】
本発明に係るライトガイドでは、光入射面と光出射面とは、第2方向において離間するようにオフセットしていてもよい。これにより、光入射面からの入射光が第1及び第2鏡面で反射せずにそのまま光出射面から出射してしまうのを、一層抑制することができる。
【0011】
本発明に係るライトガイドでは、透光性部材は、光入射面及び光出射面に連続するように設けられた側面を含み、当該側面は、第1方向及び第2方向に沿う平面状を呈していてもよい。この場合、透光性部材における光路を構成しない側面側の部分を少なくすることができ、一層の小型化が可能となる。
【0012】
本発明に係るライトガイドでは、透光性部材は、光入射面及び光出射面に連続するように設けられた側面を含み、当該側面には、凸部が設けられていてもよい。この場合、透光性部材における光路を構成しない側面に凸部を設け、この凸部を利用して透光性部材の固定又は位置合わせを行うことが可能となる。
【0013】
本発明に係るライトガイドでは、第1鏡面は、光入射面及び光出射面に連続するように設けられていてもよい。本発明に係るライトガイドでは、第2鏡面は、光入射面及び光出射面に連続するように設けられていてもよい。これらの場合、小型でシンプルな構成を実現することができる。
【0014】
本発明に係るライトガイドでは、光入射面において入射する光の有効エリア以外は、遮光されていてもよい。これにより、バックグラウンドノイズとなる余分な背景光が光入射面から入射するのを抑制することができる。
【0015】
本発明に係る光検出装置は、上記ライトガイドと、上記ライトガイドの光出射面から出射した光を検出する光検出器と、を備える。この光検出装置においても、上記ライトガイドを備えることから、小型化が可能となる等の上記効果が奏される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小型化が可能なライトガイド及び光検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施形態に係る光検出装置を示す正面図である。
図2図2は、図1の光検出装置において筐体を透過して示す斜視図である。
図3図3は、図1の光電子増倍管を示す斜視図である。
図4図4は、図1のライトガイドを示す斜視図である。
図5図5は、図1のライトガイドを示す側面図である。
図6図6は、変形例に係るライトガイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。以下の説明における寸法は、必ずしも図面には相当しない。X方向、Y方向及びZ方向は、図示する方向に基づいており便宜的なものである。
【0019】
図1は、光検出装置100を示す斜視図である。図2は、光検出装置100において筐体70を透過して示す斜視図である。図1及び図2に示されるように、光検出装置100は、測定物の発光(微小発光)を検出する装置であって、光電子増倍管10、ライトガイド30、基板50及び筐体70を備える。ここでの測定物は、点光源を構成する。例えば、測定物は試料であり、発光は試料光である。
【0020】
図3は、光電子増倍管10を示す斜視図である。図3に示されるように、光電子増倍管10は、透過型又は反射型の光電面(受光面)11を有する超小型の光検出器である。光電子増倍管10は、ライトガイド30の後述の光出射面33から出射した光を検出する。光電子増倍管10は、光電面11への光の入射方向と電子増倍部(不図示)での電子の増倍方向とが交差する電子管である。光電子増倍管10は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状の外形を呈する。光電面11は、Z方向から見て、光電子増倍管10の一端側において配置され、矩形状に形成されている。光電子増倍管10では、光電面11に光が入射されると、光電面11から放出された光電子が電子増倍部に入射し、二次電子を光電子増倍管10における一端側から他端側にカスケード増幅し、光電子増倍管10の他端側に配置されたアノードから信号を取り出す。
【0021】
図4は、ライトガイド30を示す斜視図である。図5は、ライトガイド30を示す側面図である。図4及び図5に示されるように、ライトガイド30は、測定物の発光を光電子増倍管10(光電面11)に集光する集光光学素子である。ライトガイド30は、透光性を有する材料で形成されたブロック状の透光性部材31を備える。透光性部材31は、例えば光学ガラス等のガラス又は光学プラスチック等の樹脂等で形成されている。透光性部材31は、光入射面32、光出射面33、第1鏡面34、第2鏡面35及び側面36を一体的に含む。
【0022】
光入射面32は、光が入射する面である。光出射面33は、光を出射する面である。光出射面33は、透光性部材31における光入射面32の反対側に設けられている。光入射面32及び光出射面33は、透光性部材31の外面を構成する。光入射面32と光出射面33とは、互いに平行な平面状を呈する。つまり、光入射面32と光出射面33とは、Z方向(第1方向)と直交する平面状を呈する。光入射面32と光出射面33とは、Z方向に離間している。
【0023】
光入射面32と光出射面33とは、Z方向と直交するY方向(第2方向)にオフセットしている。ここでは、光入射面32と光出射面33とは、Y方向において離間するようにオフセットしている。換言すると、光入射面32と光出射面33とは、Z方向から見て互いに重ならないように配置されている。光入射面32及び光出射面33は、そのY方向の一方側及び他方側の縁が、外側に膨らむような曲線状とされている。
【0024】
第1鏡面34は、光入射面32と対向し、光入射面32から入射した光を平行光として反射する放物面状の反射面である。第1鏡面34は、光入射面32及び光出射面33に連続するように設けられている。第1鏡面34は、その焦点に測定物が位置するように構成される。第1鏡面34は、Z方向から見た場合に外側に膨らむような略円弧状であり、Y方向及びZ方向の双方と直交するX方向(第3方向)から見た場合に、外側に膨らむような略円弧状である。第1鏡面34は、透光性部材31の外面を構成する。第1鏡面34は、公知の種々の手法により形成することができる。第1鏡面34は、放物面鏡としての機能を有する。
【0025】
第2鏡面35は、第1鏡面34及び光出射面33と対向し、第1鏡面34で反射した平行光を光出射面33に向かって集光するように反射する放物面状の反射面である。第2鏡面35は、光入射面32及び光出射面33に連続するように設けられている。第2鏡面35は、その焦点に光電子増倍管10の光電面11が位置するように構成される。第2鏡面35は、Z方向から見た場合に外側に膨らむような略円弧状であり、X方向から見た場合に外側に膨らむような略円弧状である。第2鏡面35は、透光性部材31の外面を構成する。第2鏡面35は、公知の種々の手法により形成することができる。第2鏡面35は、放物面鏡としての機能を有する。
【0026】
側面36は、光入射面32、光出射面33、第1鏡面34及び第2鏡面35に連続するように設けられた面である。側面36は、透光性部材31の外面を構成する。側面36は、Y方向及びZ方向の双方に沿う平面状を呈し、X方向に互いに対向するように一対設けられている。一対の側面36のそれぞれには、フランジ37が設けられている。フランジ37は、Z方向に延びる位置合わせ用及び固定用の凸部である。
【0027】
このようなライトガイド30は、光電面11上に光出射面33が配置されるように、光電子増倍管10上に設置されている。このとき、Z方向から見て、ライトガイド30は、光電子増倍管10内に収まっている。光出射面33は、光電子増倍管10と当接する。ライトガイド30は、その光入射面32が光電子増倍管10のアノード側に配置される。このような光電子増倍管10及びライトガイド30により受光ユニットが構成される。
【0028】
基板50は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状の外形を呈する。基板50には、光電子増倍管10が重なるように搭載されている。基板50は、光電子増倍管10と電気的に接続され、例えば光電子増倍管10に給電したり、光電子増倍管10からの信号を出力等する回路基板である。基板50には、入出力用のコネクタ及びピンが接続されていてもよい。
【0029】
筐体70は、その内部に光電子増倍管10及び基板50を収容する。筐体70には、Z方向の一方側に少なくとも開口する矩形孔71が形成されている。矩形孔71は、透光性部材31の大きさに対応する内部空間を有する。矩形孔71内には、ライトガイド30が配置される。矩形孔71のX方向に対向する内面のそれぞれには、Z方向に延びる溝72が形成されている。溝72は、透光性部材31のフランジ37が嵌合(係合)する凹部であって、フランジ37の幅に対応する溝幅を有する。溝72にフランジ37を嵌合させることにより、矩形孔71内の透光性部材31を位置合わせしつつ固定することができる。
【0030】
以上のように構成された光検出装置100では、測定物からの発光が、ライトガイド30における透光性部材31の光入射面32に入射する。透光性部材31内において、入射光は、第1鏡面34で平行光になるように反射した後、第2鏡面35で集光するように光出射面33に向かって反射する。当該光は、出射光として光出射面33から出射する。その後、出射光は、光電子増倍管10の光電面11に集光される。
【0031】
ここで、ライトガイド30では、光入射面32、光出射面33、第1鏡面34及び第2鏡面35が透光性部材31に一体的に形成されている。よって、測定物で発光した光を光電子増倍管10の光電面11に効率よく集光させることを、単体部品で実現することが可能となる。したがって、ライトガイド30によれば、小型化が可能となる。また、複数部品で構成される一般的なライトガイドとは異なり、光軸合わせが不要となる。光電子増倍管10との接合を容易にし、且つ、装置構成を簡易化できる。したがって、小型で安価な光学系及び装置構成が可能となる。
【0032】
ライトガイド30では、光入射面32と光出射面33とは、Z方向と直交する平面状を呈するとともに、Z方向に離間している。この場合、光入射面32側に位置する測定物と光出射面33側に位置する光電面11とをZ方向に離間させ、測定物の影響(温度等)が光電子増倍管10(特に光電面11)に及ぶのを抑制することが可能となる。
【0033】
ライトガイド30では、光入射面32と光出射面33とは、Y方向にオフセットしている。これにより、光入射面32からの入射光が第1鏡面34及び第2鏡面35で反射せずにそのまま光出射面33から出射してしまうのを抑制することができる。
【0034】
ライトガイド30では、光入射面32と光出射面33とは、Y方向において離間するようにオフセットしている。これにより、光入射面32からの入射光が第1鏡面34及び第2鏡面35で反射せずにそのまま光出射面33から出射してしまうのを、一層抑制することができる。このようにオフセットすることで、第1鏡面34の焦点にある測定物(点光源)からの入射光を、第1鏡面34で平行光にして第2鏡面35で光電面11に集光しつつ、それ以外の背景光が光電面11に集光することを抑制できる。
【0035】
ライトガイド30では、透光性部材31は、光入射面32及び光出射面33に連続するように設けられた側面36を含む。側面36は、Y方向及びZ方向に沿う平面状を呈している。この場合、透光性部材31における光路を構成しない側面36側の部分について、カットされたような構成にして、少なくすることができる。したがって、一層の小型化が可能となる。
【0036】
ライトガイド30では、側面36には、フランジ37が設けられている。この場合、フランジ37を利用して透光性部材31の固定及び位置合わせを行うことが可能となる。なお、このようなフランジ37は、固定のためのみに利用してもよいし、位置合わせのためのみに利用してもよい。
【0037】
ライトガイド30では、第1鏡面34は、光入射面32及び光出射面33に連続するように設けられている。ライトガイド30では、第2鏡面35は、光入射面32及び光出射面33に連続するように設けられている。この場合、小型でシンプルな構成を実現することができる。
【0038】
光検出装置100は、ライトガイド30と、ライトガイド30の光出射面33から出射した光を検出する光電子増倍管10と、を備える。光検出装置100においても、ライトガイド30を備えることから、小型化が可能となる等の上記効果が奏される。
【0039】
なお、測定物を温度調整する場合、光入射面32と光出射面33とのZ方向の距離(以下、単に「Z方向距離」ともいう)が大きい方が、測定物の温度からの影響を光電子増倍管10が受けにくい。この場合、光電子増倍管10でダークカウントが大きくなることを抑制できるというメリットがある。一方、光学部品を用いずにZ方向距離を大きくすると(単に、測定物と光電子増倍管10とをZ方向に遠ざけるだけであると)、受光効率が悪くなり、光電子増倍管10で必要な出力が得られないおそれがある。他方、レンズ等の集光光学系を用いると、Z方向距離が大きくなりすぎてしまい、装置サイズが大きくなってしまうおそれがある。この点、本実施形態では、このようなおそれを回避しつつ、上記メリットを享受することができる。
【0040】
ライトガイド30では、透光性部材31を光電子増倍管10に設置した場合にちょうど透光性部材31が光電子増倍管10からはみ出さないように、光入射面32と光出射面33とをオフセットしている。これにより、透光性部材31を光電子増倍管10に設置した受光ユニットを、コンパクトに実現できる。また、光入射面32への入射光が、光入射面32を外れたり、光入射面32の表面での反射及び散乱等によってノイズとなる背景光になる可能性があっても、光入射面32と光出射面33とがオフセットされているため、当該背景光が光電子増倍管10の光電面11に入射する可能性を低減することができる。
【0041】
ライトガイド30では、レンズ及びミラーにより測定物の発光を光電面11にガイドする従来構成に対して同じ薄さで比較した場合に、受光効率を向上させることが可能となる。ライトガイド30では、透光性部材31を光電子増倍管10の光電面11と接合することにより、ノイズとなる背景光の入射を少なくすることができる。
【0042】
以上、実施形態について説明したが、本発明の一態様は上記実施形態に限定されない。
【0043】
図6は、変形例に係るライトガイド30を示す斜視図である。図6に示されるように、透光性部材31は、光入射面32(図4参照)に代えて光入射面132を含んでいてもよい。光入射面132は、入射する光の有効エリアR以外は、遮光されており、例えば黒色で塗られている及び/又は遮光膜が形成されている。有効エリアRは、光入射面132において光が入射し得るエリアであり、例えば測定物との位置関係から予め設定されるエリアである。これにより、バックグラウンドノイズとなる余分な背景光が光入射面132から入射するのを抑制することができる。なお、黒色は、有効エリアRの色よりも黒色であればよい。黒色で塗られることは、完全に塗りつぶされていなくてもよいし、ムラがあってもよく、光入射面132の有効エリアR以外が黒色部分を有していればよい。黒色は、種々の公知手法を利用して塗ることができる。なお、遮光膜を形成する場合も、遮光特性としては黒色と同様である。
【0044】
上記実施形態及び上記変形例では、側面36に凸部としてフランジ37を設けたが、凸部はフランジ37に限られず、フランジ37に代えてもしくは加えて、外枠を設けてもよい。上記実施形態及び上記変形例では、第1鏡面34の焦点に測定物が位置するように第1鏡面34を構成したが、これに代えて、第1鏡面34の焦点に測定物が位置するように透光性部材31を配置させてもよい。
【0045】
上記実施形態及び上記変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【符号の説明】
【0046】
10…光電子増倍管(光検出器)、30…ライトガイド、31…透光性部材、32,132…光入射面、33…光出射面、34…第1鏡面、35…第2鏡面、36…側面、37…フランジ(凸部)、100…光検出装置、R…有効エリア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6