(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】機械学習装置、データ処理システム及び機械学習方法
(51)【国際特許分類】
B04B 13/00 20060101AFI20240911BHJP
B04B 1/20 20060101ALI20240911BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240911BHJP
【FI】
B04B13/00
B04B1/20
G06N20/00 130
(21)【出願番号】P 2020124727
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591162022
【氏名又は名称】巴工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 路明
(72)【発明者】
【氏名】荻原 徹也
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-008500(JP,A)
【文献】特開2015-097997(JP,A)
【文献】米国特許第05948271(US,A)
【文献】特開2020-065964(JP,A)
【文献】特開平03-134706(JP,A)
【文献】特開平04-371244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B1/00-15/12
G06N20/00
C02F1/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液に遠心力を付与して固形物と分離液とに遠心分離するボウルと、前記ボウル内の前記固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアを前記ボウルと相対的な差速をもって回転させる差速発生装置と、を備えた遠心分離システムのための機械学習装置であって、
前記排出口から排出された液体含有固形物を所定画角から撮像した画像データを含む入力データと、前記入力データに対応付けられた制御パラメータを含む出力データとを備える学習用データセットを複数組記憶する学習用データセット記憶ユニットであって、前記制御パラメータは、前記被処理液に添加される添加物の供給量、前記ボウルの遠心力、及び前記差速発生装置により制御される差速のうちの少なくとも1つを備える、前記学習用データセット記憶ユニットと;
前記学習用データセットを複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習する学習ユニットと;
前記学習ユニットによって学習された前記学習モデルを記憶する学習済モデル記憶ユニットと;を備える、
機械学習装置。
【請求項2】
前記学習ユニットは、
前記学習用データセット内の画像データを入力することで、前記画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習する第1の学習ユニットと;
前記画像データの特徴量を入力することで、前記制御パラメータを推論する第2の学習モデルを学習する第2の学習ユニットと;を備える、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記入力データは、前記分離液の濃度と、前記被処理液のスラリー濃度と、前記スクリューコンベアのトルク値とのうちの少なくとも1つを更に含む、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記入力データは、前記分離液の濃度と、前記被処理液のスラリー濃度と、前記スクリューコンベアのトルク値とのうちの少なくとも1つを更に含み、
前記学習ユニットは、
前記学習用データセット内の画像データを入力することで、前記画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習する第1の学習ユニットと;
前記画像データの特徴量と、前記分離液の濃度と、前記被処理液のスラリー濃度と、前記スクリューコンベアのトルク値とを入力することで、前記制御パラメータを推論する第4の学習モデルを学習する第4の学習ユニットと;を備える、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項5】
被処理液に遠心力を付与して固形物と分離液とに遠心分離するボウルと、前記ボウル内の前記固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアを前記ボウルと相対的な差速をもって回転させる差速発生装置と、を備えた遠心分離システムのための機械学習装置であって、
前記排出口から排出された液体含有固形物を所定画角から撮像した第1の画像データと、前記ボウルに供給される前であって且つ所定の添加物が添加された後の前記被処理液を所定画角から撮像した第2の画像データとを含む入力データと、前記入力データに対応付けられた制御パラメータを含む出力データとを備える学習用データセットを複数組記憶する学習用データセット記憶ユニットであって、前記制御パラメータは、前記添加物の供給量、前記ボウルの遠心力、及び前記差速発生装置により制御される差速のうちの少なくとも1つを備える、前記学習用データセット記憶ユニットと;
前記学習用データセットを複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習する学習ユニットと;
前記学習ユニットによって学習された前記学習モデルを記憶する学習済モデル記憶ユニットと;を備える、
機械学習装置。
【請求項6】
前記学習ユニットは、
前記学習用データセット内の第1の画像データを入力することで、前記第1の画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習する第1の学習ユニットと;
前記学習用データセット内の第2の画像データを入力することで、前記第2の画像データの特徴量を推論する第6の学習モデルを学習する第6の学習ユニットと;
前記第1の画像データの特徴量と、前記第2の画像データの特徴量とを入力することで、前記制御パラメータを推論する第7の学習モデルを学習する第7の学習ユニットと;を備える、
請求項5に記載の機械学習装置。
【請求項7】
前記入力データは、前記分離液の濃度と、前記被処理液のスラリー濃度と、前記スクリューコンベアのトルク値とのうちの少なくとも1つを更に含む、
請求項5に記載の機械学習装置。
【請求項8】
前記入力データは、前記分離液の濃度と、前記被処理液のスラリー濃度と、前記スクリューコンベアのトルク値とのうちの少なくとも1つを更に含み、
前記学習ユニットは、
前記学習用データセット内の第1の画像データを入力することで、前記第1の画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習する第1の学習ユニットと;
前記学習用データセット内の第2の画像データを入力することで、前記第2の画像データの特徴量を推論する第6の学習モデルを学習する第6の学習ユニットと;
前記第1の画像データの特徴量と、前記第2の画像データの特徴量と、前記分離液の濃度と、前記被処理液のスラリー濃度と、前記スクリューコンベアのトルク値とを入力することで、前記制御パラメータを推論する第9の学習モデルを学習する第9の学習ユニットと;を備える、
請求項5に記載の機械学習装置。
【請求項9】
前記制御パラメータは、前記被処理液の供給量を更に備える、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の機械学習装置。
【請求項10】
前記制御パラメータは、前記ボウルのダムセット径を更に備える、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の機械学習装置。
【請求項11】
被処理液に遠心力を付与して固形物と分離液とに遠心分離するボウルと、前記ボウル内の前記固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアを前記ボウルと相対的な差速をもって回転させる差速発生装置と、を備えた遠心分離システムに用いられるデータ処理システムであって、
前記排出口から排出された液体含有固形物を所定画角から撮像した第1の画像データを取得するための第1の画像データ取得ユニットと;
請求項1又は請求項2に記載の機械学習装置によって生成された学習済モデルに、前記第1の画像データ取得ユニットが取得したデータを入力することで、前記遠心分離システムの制御パラメータを推論する推論ユニットと;を備える、
データ処理システム。
【請求項12】
被処理液に遠心力を付与して固形物と分離液とに遠心分離するボウルと、前記ボウル内の前記固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアを前記ボウルと相対的な差速をもって回転させる差速発生装置と、を備えた遠心分離システムに用いられるデータ処理システムであって、
前記排出口から排出された液体含有固形物を所定画角から撮像した第1の画像データを取得するための第1の画像データ取得ユニットと;
前記分離液の濃度と、前記被処理液のスラリー濃度と、前記スクリューコンベアのトルク値とのうちの少なくとも1つを取得するための付加変数取得ユニットと;
請求項3又は請求項4に記載の機械学習装置によって生成された学習済モデルに、前記第1の画像データ取得ユニットと前記付加変数取得ユニットとが取得したデータを入力することで、前記遠心分離システムの制御パラメータを推論する推論ユニットと;を備える、
データ処理システム。
【請求項13】
被処理液に遠心力を付与して固形物と分離液とに遠心分離するボウルと、前記ボウル内の前記固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアを前記ボウルと相対的な差速をもって回転させる差速発生装置と、を備えた遠心分離システムに用いられるデータ処理システムであって、
前記排出口から排出された液体含有固形物を所定画角から撮像した第1の画像データを取得するための第1の画像データ取得ユニットと;
前記ボウルに供給される前であって且つ所定の添加物が添加された後の前記被処理液を所定画角から撮像した第2の画像データを取得するための第2の画像データ取得ユニットと;
請求項5又は請求項6に記載の機械学習装置によって生成された学習済モデルに、前記第1の画像データ取得ユニットと前記第2の画像データ取得ユニットとが取得したデータを入力することで、前記遠心分離システムの制御パラメータを推論する推論ユニットと;を備える、
データ処理システム。
【請求項14】
被処理液に遠心力を付与して固形物と分離液とに遠心分離するボウルと、前記ボウル内の前記固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアを前記ボウルと相対的な差速をもって回転させる差速発生装置と、を備えた遠心分離システムに用いられるデータ処理システムであって、
前記排出口から排出された液体含有固形物を所定画角から撮像した第1の画像データを取得するための第1の画像データ取得ユニットと;
前記ボウルに供給される前であって且つ所定の添加物が添加された後の前記被処理液を所定画角から撮像した第2の画像データを取得するための第2の画像データ取得ユニットと;
前記分離液の濃度と、前記被処理液のスラリー濃度と、前記スクリューコンベアのトルク値とのうちの少なくとも1つを取得するための付加変数取得ユニットと;
請求項7又は請求項8に記載の機械学習装置によって生成された学習済モデルに、前記第1の画像データ取得ユニットと前記第2の画像データ取得ユニットと前記付加変数取得ユニットとが取得したデータを入力することで、前記遠心分離システムの制御パラメータを推論する推論ユニットと;を備える、
データ処理システム。
【請求項15】
被処理液に遠心力を付与して固形物と分離液とに遠心分離するボウルと、前記ボウル内の前記固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアを前記ボウルと相対的な差速をもって回転させる差速発生装置と、を備えた遠心分離システムのための、コンピュータを用いた機械学習方法であって、
前記排出口から排出された液体含有固形物を所定画角から撮像した画像データを含む入力データと、前記入力データに対応付けられた制御パラメータを含む出力データとを備える学習用データセットを複数組記憶するステップであって、前記制御パラメータは、前記被処理液に添加される添加物の供給量、前記ボウルの遠心力、及び前記差速発生装置により制御される差速のうちの少なくとも1つを備える、ステップと;
前記学習用データセットを複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するステップと;
学習された前記学習モデルを記憶するステップと;を備える、
機械学習方法。
【請求項16】
被処理液に遠心力を付与して固形物と分離液とに遠心分離するボウルと、前記ボウル内の前記固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアを前記ボウルと相対的な差速をもって回転させる差速発生装置と、を備えた遠心分離システムのための、コンピュータを用いた機械学習方法であって、
前記排出口から排出された液体含有固形物を所定画角から撮像した第1の画像データと、前記ボウルに供給される前であって且つ所定の添加物が添加された後の前記被処理液を所定画角から撮像した第2の画像データとを含む入力データと、前記入力データに対応付けられた制御パラメータを含む出力データとを備える学習用データセットを複数組記憶するステップであって、前記制御パラメータは、前記添加物の供給量、前記ボウルの遠心力、及び前記差速発生装置により制御される差速のうちの少なくとも1つを備える、ステップと;
前記学習用データセットを複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するステップと;
学習された前記学習モデルを記憶するステップと;を備える、
機械学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は遠心分離システムに適用可能な機械学習装置、データ処理システム及び機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水、産業排水、又はし尿等の水処理設備において、遠心力を利用して固液分離を行う遠心分離装置が従来から用いられている。この遠心分離装置としては種々のタイプのものが知られているが、特に長時間連続した処理が必要な設備にあっては、デカンタと称される遠心分離装置が広く用いられている。
【0003】
このデカンタは、一般に、駆動モータと、駆動モータにより回転され内部に被処理液が投入されるボウルと、このボウル内に同軸状に配置されるスクリューコンベアと、ボウルの回転速度とスクリューコンベアの回転速度との間に差速を発生させる差速発生装置と、を含む。そして、ボウル内に投入された被処理液中の固形物成分はボウルの一端部から、被処理液中の液体成分はボウルの他端部からそれぞれ排出されることで、固液分離を実現している。そして、このデカンタにおける好適な動作制御の手法が種々検討されている。(例えば、下記特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された方法によれば、スクリューコンベアの搬送トルクに基づいて、差速発生装置で発生させる差速やボウルの遠心力を制御しているため、被処理液の性状に合わせた遠心分離装置の自動操業を部分的に実現できる。しかし、このような遠心分離装置を含む遠心分離システムの制御に関連する情報やパラメータは、スクリューコンベアの搬送トルク、差速発生装置で発生させる差速及びボウルの遠心力以外にも種々存在する。特に、当該制御対象の制御に影響する情報(状態変数)は多岐にわたり、且つこのような情報には数値化し難い情報も含まれ得る。そして、これらの状態変数を効果的且つ機械的に参酌する手法は現時点において確立されておらず、結果、このような状態変数は技術者(オペレータ)の経験や暗黙知に基づく判断により、遠心分離システムの動作制御に反映されているのが実情である。
【0006】
本開示は上述の点に鑑み、オペレータの判断に依存することなく遠心分離システムの好適な動作制御を実現するための、機械学習装置、データ処理システム及び機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様に係る機械学習装置20は、例えば
図3に示すように、被処理液PL1(図示省略)、PL2(
図15等参照)に遠心力を付与して固形物Mと分離液SL(図示省略)とに遠心分離するボウル2と、前記ボウル2内の前記固形物Mを排出口2aに向けて搬送するスクリューコンベア3と、前記ボウル2を回転させる駆動モータ4と、前記スクリューコンベア3を前記ボウル2と相対的な差速をもって回転させる差速発生装置5と、を含む遠心分離システム1のためのものであって、前記排出口2aから排出された液体含有固形物Mを所定画角から撮像した画像データを含む入力データと、前記入力データに対応付けられた制御パラメータを含む出力データとを含む学習用データセットを複数組記憶する学習用データセット記憶ユニット22であって、前記制御パラメータは、前記被処理液PL1に添加される添加物の供給量、前記ボウル2の遠心力、及び前記差速発生装置5により制御される差速のうちの少なくとも1つを含む、前記学習用データセット記憶ユニット22と;前記学習用データセットを複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習する学習ユニット23と;前記学習ユニット23によって学習された前記学習モデルを記憶する学習済モデル記憶ユニット24と;を含むものである。
【0008】
このように構成すると、分離液の画像データから遠心分離システムの制御パラメータを推論可能な学習済モデルを提供することができる。
【0009】
本開示の第2の態様に係る機械学習装置20Aは、例えば
図9に示すように、上記本開示の第1の態様に係る機械学習装置において、前記学習ユニットは、前記学習用データセット内の画像データを入力することで、前記画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習する第1の学習ユニット231と;前記画像データの特徴量を入力することで、前記制御パラメータを推論する第2の学習モデルを学習する第2の学習ユニット232と;を含むものである。
【0010】
このように構成すると、脱水固形物の画像データから遠心分離システムの制御パラメータを推測するに際し、学習ユニットを2つに分割することで、それぞれの学習ユニットにおいて生成される学習済モデルを得るために必要な学習用データセットの数を相対的に抑えることができる。
【0011】
本開示の第3の態様に係る機械学習装置20Bは、例えば
図11に示すように、上記本開示の第1の態様に係る機械学習装置において、前記入力データは、前記分離液SLの濃度と、前記被処理液PL1のスラリー濃度と、前記スクリューコンベア3のトルク値とのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0012】
このように構成すると、入力データの数が増えることで、学習ユニットにおいて生成される学習済モデルを得るために必要な学習用データセットの数を相対的に抑えることができる。
【0013】
本開示の第4の態様に係る機械学習装置20Cは、例えば
図13に示すように、上記本開示の第1の態様に係る機械学習装置において、前記入力データは、前記分離液SLの濃度と、前記被処理液PL1のスラリー濃度と、前記スクリューコンベア3のトルク値とのうちの少なくとも1つを更に含み、前記学習ユニットは、前記学習用データセット内の画像データを入力することで、前記画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習する第1の学習ユニット231と;前記画像データの特徴量と、前記分離液SLの濃度と、前記被処理液PL1のスラリー濃度と、前記スクリューコンベア3のトルク値とを入力することで、前記制御パラメータを推論する第4の学習モデルを学習する第4の学習ユニット234と;を含むものである。
【0014】
このように構成すると、脱水固形物の画像データから遠心分離システムの制御パラメータを推測するに際し、学習ユニットを2つに分割し、且つそのうちの一方の学習ユニットにおいて学習される学習用データセットの入力データの数が増えることで、それぞれの学習ユニットにおいて生成される学習済モデルを得るために必要な学習用データセットの数を相対的に抑えることができる。
【0015】
本開示の第5の態様に係る機械学習装置120は、例えば
図15に示すように、被処理液PL1、PL2に遠心力を付与して固形物Mと分離液SLとに遠心分離するボウル2と、前記ボウル2内の前記固形物Mを排出口2aに向けて搬送するスクリューコンベア3と、前記ボウル2を回転させる駆動モータ4と、前記スクリューコンベア3を前記ボウル2と相対的な差速をもって回転させる差速発生装置5と、を含む遠心分離システム1のためのものであって、前記排出口2aから排出された液体含有固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データと、前記ボウル2に供給される前であって且つ所定の添加物が添加された後の前記被処理液PL2を所定画角から撮像した第2の画像データとを含む入力データと、前記入力データに対応付けられた制御パラメータを含む出力データとを含む学習用データセットを複数組記憶する学習用データセット記憶ユニット225であって、前記制御パラメータは、前記添加物の供給量、前記ボウル2の遠心力、及び前記差速発生装置5により制御される差速のうちの少なくとも1つを含む、前記学習用データセット記憶ユニット225と;前記学習用データセットを複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習する学習ユニット235と;前記学習ユニット235によって学習された前記学習モデルを記憶する学習済モデル記憶ユニット124と;を含むものである。
【0016】
このように構成すると、脱水固形物の画像データとフロック含有被処理液の画像データとから遠心分離システムの制御パラメータを推論可能な学習済モデルを提供することができる。
【0017】
本開示の第6の態様に係る機械学習装置120Aは、例えば
図19に示すように、上記本開示の第5の態様に係る機械学習装置において、前記学習ユニットは、前記学習用データセット内の第1の画像データを入力することで、前記第1の画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習する第1の学習ユニット231と;前記学習用データセット内の第2の画像データを入力することで、前記第2の画像データの特徴量を推論する第6の学習モデルを学習する第6の学習ユニット236と;前記第1の画像データの特徴量と、前記第2の画像データの特徴量とを入力することで、前記制御パラメータを推論する第7の学習モデルを学習する第7の学習ユニット237と;を含むものである。
【0018】
このように構成すると、脱水固形物の画像データとフロック含有被処理液の画像データとから遠心分離システムの制御パラメータを推測するに際し、学習ユニットを3つに分割することで、それぞれの学習ユニットにおいて生成される学習済モデルを得るために必要な学習用データセットの数を相対的に抑えることができる。
【0019】
本開示の第7の態様に係る機械学習装置120Bは、例えば
図21に示すように、上記本開示の第5の態様に係る機械学習装置において、前記入力データは、前記分離液SLの濃度と、前記被処理液PL1のスラリー濃度と、前記スクリューコンベア3のトルク値とのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0020】
このように構成すると、入力データの数が増えることで、学習ユニットにおいて生成される学習済モデルを得るために必要な学習用データセットの数を相対的に抑えることができる。
【0021】
本開示の第8の態様に係る機械学習装置120Cは、例えば
図23に示すように、上記本開示の第5の態様に係る機械学習装置において、前記入力データは、前記分離液SLの濃度と、前記被処理液PL1のスラリー濃度と、前記スクリューコンベア3のトルク値とのうちの少なくとも1つを更に含み、前記学習ユニットは、前記学習用データセット内の第1の画像データを入力することで、前記第1の画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習する第1の学習ユニット231と;前記学習用データセット内の第2の画像データを入力することで、前記第2の画像データの特徴量を推論する第6の学習モデルを学習する第6の学習ユニット236と;前記第1の画像データの特徴量と、前記第2の画像データの特徴量と、前記分離液SLの濃度と、前記被処理液PL1のスラリー濃度と、前記スクリューコンベア3のトルク値とを入力することで、前記制御パラメータを推論する第9の学習モデルを学習する第9の学習ユニット239と;を含むものである。
【0022】
このように構成すると、脱水固形物の画像データとフロック含有被処理液の画像データとから遠心分離システムの制御パラメータを推測するに際し、学習ユニットを3つに分割し、且つそのうちの一の学習ユニットにおいて学習される学習用データセットの入力データの数が増えることで、それぞれの学習ユニットにおいて生成される学習済モデルを得るために必要な学習用データセットの数を相対的に抑えることができる。
【0023】
本開示の第9の態様に係る機械学習装置は、上記本開示の第1乃至8の態様に係る機械学習装置において、前記制御パラメータは、前記被処理液の供給量を更に含むものである。
【0024】
このように構成すると、学習済モデルが出力する制御パラメータの数が増えることでより細かなパラメータ調整を実現できる。
【0025】
本開示の第10の態様に係る機械学習装置は、上記本開示の第1乃至9の態様に係る機械学習装置において、前記制御パラメータは、前記ボウルのダムセット径を更に含むものである。
【0026】
このように構成すると、学習済モデルが出力する制御パラメータの数が増えることでより細かなパラメータ調整を実現できる。
【0027】
本開示の第11の態様に係るデータ処理システム80、80Aは、例えば
図7及び
図10に示すように、被処理液PL1、PL2に遠心力を付与して固形物Mと分離液SLとに遠心分離するボウル2と、前記ボウル2内の前記固形物Mを排出口2aに向けて搬送するスクリューコンベア3と、前記ボウル2を回転させる駆動モータ4と、前記スクリューコンベア3を前記ボウル2と相対的な差速をもって回転させる差速発生装置5と、を含む遠心分離システム1に用いられるものであって、前記排出口2aから排出された液体含有固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データを取得するための第1の画像データ取得ユニット81と;第1又は2の態様に係る機械学習装置20、20Aによって生成された学習済モデルに、前記第1の画像データ取得ユニット81が取得したデータを入力することで、前記遠心分離システムの制御パラメータを推論する推論ユニット87、871、872と;を含むものである。
【0028】
このように構成すると、脱水固形物を撮像した第1の画像データに基づいて、遠心分離システムの好適な動作制御を実現可能な制御パラメータが推論できるため、オペレータの判断に依存することなく遠心分離システムの動作制御を自動的に行うことができるようになる。
【0029】
本開示の第12の態様に係るデータ処理システム80B、80Cは、例えば
図12及び
図14に示すように、被処理液PL1、PL2に遠心力を付与して固形物Mと分離液SLとに遠心分離するボウル2と、前記ボウル2内の前記固形物Mを排出口2aに向けて搬送するスクリューコンベア3と、前記ボウル2を回転させる駆動モータ4と、前記スクリューコンベア3を前記ボウル2と相対的な差速をもって回転させる差速発生装置5と、を含む遠心分離システム1に用いられるものであって、前記排出口2aから排出された液体含有固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データを取得するための第1の画像データ取得ユニット81と;前記分離液SLの濃度と、前記被処理液PL1のスラリー濃度と、前記スクリューコンベア3のトルク値とのうちの少なくとも1つを取得するための付加変数取得ユニット89と;第3又は4の態様に係る機械学習装置20B、20Cによって生成された学習済モデルに、前記第1の画像データ取得ユニット81と前記付加変数取得ユニット89とが取得したデータを入力することで、前記遠心分離システムの制御パラメータを推論する推論ユニット873、871、874と;を含むものである。
【0030】
このように構成すると、分離液の濃度と、被処理液のスラリー濃度と、スクリューコンベアのトルク値のうちの少なくとも1つと、脱水固形物を撮像した第1の画像データとに基づいて、遠心分離システムの好適な動作制御を実現可能な制御パラメータが推論できるため、オペレータの判断に依存することなく遠心分離システムの動作制御を自動的に行うことができるようになる。
【0031】
本開示の第13の態様に係るデータ処理システム180、180Aは、例えば
図17及び
図20に示すように、被処理液PL1、PL2に遠心力を付与して固形物Mと分離液SLとに遠心分離するボウル2と、前記ボウル2内の前記固形物Mを排出口2aに向けて搬送するスクリューコンベア3と、前記ボウル2を回転させる駆動モータ4と、前記スクリューコンベア3を前記ボウル2と相対的な差速をもって回転させる差速発生装置5と、を含む遠心分離システム1に用いられるものであって、前記排出口2aから排出された液体含有固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データを取得するための第1の画像データ取得ユニット81と;前記ボウル2に供給される前であって且つ所定の添加物が添加された後の前記被処理液PL2を所定画角から撮像した第2の画像データを取得するための第2の画像データ取得ユニット181と;第5又は6の態様に係る機械学習装置120、120Aによって生成された学習済モデルに、前記第1の画像データ取得ユニット81と前記第2の画像データ取得ユニット181とが取得したデータを入力することで、前記遠心分離システム1の制御パラメータを推論する推論ユニット875、871、876、877と;を含むものである。
【0032】
このように構成すると、脱水固形物及びフロック含有被処理液を撮像した第1及び第2の画像データに基づいて、遠心分離システムの好適な動作制御を実現可能な制御パラメータが推論できるため、オペレータの判断に依存することなく遠心分離システムの動作制御を自動的に行うことができるようになる。
【0033】
本開示の第14の態様に係るデータ処理システム180B、180Cは、例えば
図22及び
図24に示すように、被処理液PL1、PL2に遠心力を付与して固形物Mと分離液SLとに遠心分離するボウル2と、前記ボウル2内の前記固形物Mを排出口2aに向けて搬送するスクリューコンベア3と、前記ボウル2を回転させる駆動モータ4と、前記スクリューコンベア3を前記ボウル2と相対的な差速をもって回転させる差速発生装置5と、を含む遠心分離システム1に用いられるものであって、前記排出口2aから排出された液体含有固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データを取得するための第1の画像データ取得ユニット81と;前記ボウル2に供給される前であって且つ所定の添加物が添加された後の前記被処理液PL2を所定画角から撮像した第2の画像データを取得するための第2の画像データ取得ユニット181と;前記分離液SLの濃度と、前記被処理液PL1のスラリー濃度と、前記スクリューコンベア3のトルク値とのうちの少なくとも1つを取得するための付加変数取得ユニット89と;第7又は8の態様に係る機械学習装置120B、120Cによって生成された学習済モデルに、前記第1の画像データ取得ユニット81と前記第2の画像データ取得ユニット181と前記付加変数取得ユニット89とが取得したデータを入力することで、前記遠心分離システム1の制御パラメータを推論する推論ユニット878、871、876、879と;を含むものである。
【0034】
このように構成すると、分離液の濃度と、被処理液のスラリー濃度と、スクリューコンベアのトルク値のうちの少なくとも1つと、脱水固形物及びフロック含有被処理液を撮像した第1及び第2の画像データとに基づいて、遠心分離システムの好適な動作制御を実現可能な制御パラメータが推論できるため、オペレータの判断に依存することなく遠心分離システムの動作制御を自動的に行うことができるようになる。
【0035】
本開示の第15の態様に係る機械学習方法は、例えば
図3及び
図6に示すように、コンピュータにより実施されるものであって、被処理液PL1、PL2に遠心力を付与して固形物Mと分離液SLとに遠心分離するボウル2と、前記ボウル2内の前記固形物Mを排出口2aに向けて搬送するスクリューコンベア3と、前記ボウル2を回転させる駆動モータ4と、前記スクリューコンベア3を前記ボウル2と相対的な差速をもって回転させる差速発生装置5と、を含む遠心分離システム1のためのものであって、前記排出口2aから排出された液体含有固形物Mを所定画角から撮像した画像データを含む入力データと、前記入力データに対応付けられた制御パラメータを含む出力データとを含む学習用データセットを複数組記憶するステップS11であって、前記制御パラメータは、前記被処理液PL1に添加される添加物の供給量、前記ボウル2の遠心力、及び前記差速発生装置5により制御される差速のうちの少なくとも1つを含む、ステップと;前記学習用データセットを複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するステップS15と;学習された前記学習モデルを記憶するステップS17と;を含むものである。
【0036】
このように構成すると、脱水固形物の画像データから遠心分離システムの制御パラメータを推論可能な学習済モデルを提供することができる。
【0037】
本開示の第16の態様に係る機械学習方法は、例えば
図6及び
図15に示すように、コンピュータにより実施されるものであって、且つ被処理液PL1、PL2に遠心力を付与して固形物Mと分離液SLとに遠心分離するボウル2と、前記ボウル2内の前記固形物Mを排出口2aに向けて搬送するスクリューコンベア3と、前記ボウル2を回転させる駆動モータ4と、前記スクリューコンベア3を前記ボウル2と相対的な差速をもって回転させる差速発生装置5と、を含む遠心分離システム1のためのものであって、前記排出口2aから排出された液体含有固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データと、前記ボウル2に供給される前であって且つ所定の添加物が添加された後の前記被処理液PL2を所定画角から撮像した第2の画像データとを含む入力データと、前記入力データに対応付けられた制御パラメータを含む出力データとを含む学習用データセットを複数組記憶するステップS11であって、前記制御パラメータは、前記添加物の供給量、前記ボウル2の遠心力、及び前記差速発生装置5により制御される差速のうちの少なくとも1つを含む、ステップと;前記学習用データセットを複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するステップS15と;学習された前記学習モデルを記憶するステップS17と;を含むものである。
【0038】
このように構成すると、脱水固形物の画像データとフロック含有被処理液の画像データとから遠心分離システムの制御パラメータを推論可能な学習済モデルを提供することができる。
【発明の効果】
【0039】
本開示によれば、オペレータの判断に依存することなく、機械的に遠心分離システムの好適な動作制御を実現可能な制御パラメータを取得できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係るデカンタ本体の概略構造を示す模式図である。
【
図2】本開示の第1の実施の形態に係るデカンタの配管構造を含む遠心分離システムを示す模式図である。
【
図3】本開示の第1の実施の形態に係る機械学習装置の概略ブロック図である。
【
図4】本開示の第1の実施の形態に係る脱水固形物監視システムにより得られた画像データの例を示したものである。
【
図5】本開示の第1の実施の形態に係る機械学習装置において実施される教師あり学習のためのニューラルネットワークモデルの例を示す図である。
【
図6】本開示の第1の実施の形態に係る機械学習方法の例を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の第1の実施の形態に係るデータ処理システムを示す概略ブロック図である。
【
図8】本開示の第1の実施の形態に係るデータ処理システムによるパラメータ調整の例を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の第2の実施の形態に係る機械学習装置の概略ブロック図である。
【
図10】本開示の第2の実施の形態に係るデータ処理システムを示す概略ブロック図である。
【
図11】本開示の第3の実施の形態に係る機械学習装置の概略ブロック図である。
【
図12】本開示の第3の実施の形態に係るデータ処理システムを示す概略ブロック図である。
【
図13】本開示の第4の実施の形態に係る機械学習装置の概略ブロック図である。
【
図14】本開示の第4の実施の形態に係るデータ処理システムを示す概略ブロック図である。
【
図15】本開示の第5の実施の形態に係る機械学習装置の概略ブロック図である。
【
図16】本開示の第5の実施の形態に係る被処理液監視システムにより得られた画像データの例を示したものである。
【
図17】本開示の第5の実施の形態に係るデータ処理システムを示す概略ブロック図である。
【
図18】本開示の第5の実施の形態に係るデータ処理システムによるパラメータ調整の例を示すフローチャートである。
【
図19】本開示の第6の実施の形態に係る機械学習装置の概略ブロック図である。
【
図20】本開示の第6の実施の形態に係るデータ処理システムを示す概略ブロック図である。
【
図21】本開示の第7の実施の形態に係る機械学習装置の概略ブロック図である。
【
図22】本開示の第7の実施の形態に係るデータ処理システムを示す概略ブロック図である。
【
図23】本開示の第8の実施の形態に係る機械学習装置の概略ブロック図である。
【
図24】本開示の第8の実施の形態に係るデータ処理システムを示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本開示を実施するための各実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0042】
<第1の実施の形態>
本開示の第1の実施の形態に係る機械学習装置、データ処理システム及び機械学習方法の説明を行う前に、これら、機械学習装置、データ処理システム及び機械学習方法が適用される遠心分離システムについて簡単に説明を行う。本実施の形態に係る遠心分離システムとしては、遠心分離装置として横型のデカンタ1を含むものを用いる。なお、本開示に係る遠心分離システムの具体的な態様は以下に示すものに限定されるものではなく、例えば縦型や直胴型のデカンタ等の遠心分離装置を含む遠心分離システムに対しても適用可能である。
【0043】
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る、デカンタ本体の概略構造を示す模式図である。また、
図2は、本開示の第1の実施の形態に係るデカンタの配管構造を含む遠心分離システムを示す模式図である。本実施の形態において示す横型のデカンタ1は、
図1及び
図2に示すように、主にボウル2と、スクリューコンベア3と、駆動モータ4と、差速発生装置5と、ケーシング6とを含む。
【0044】
ボウル2は、一端部が錘状に加工された筒状の部材で構成され、水平軸周りに回転可能に支持されている。また、このボウル2の錘状に加工された一端部には1乃至複数の固形物排出口2aが設けられ、他端部には1乃至複数の分離液排出口2bが形成されたダム2cが取り付けられている。固形物排出口2aからは、ボウル2内に投入される被処理液に含まれる固形物成分が主に排出され、分離液排出口2bからは、同じくボウル2内に投入される被処理液に含まれる液体成分が主に排出される。また、このボウル2の一方の端部(
図1においては錘状に加工された一端部)には、更に後述する駆動モータ4からの動力を伝達するプーリー4aが取り付けられている。なお、固形物排出口2aから排出される固形物成分は、被処理液内の大部分の液体成分が脱水除去され、液体(分離液)成分を相対的に少ない所定量含んだ状態で排出されるため、以下ではこの固形物成分を液体含有固形物(あるいは脱水固形物)Mという。
【0045】
スクリューコンベア3は、ボウル2内に同軸状に配置され、その周囲に螺旋状のスクリュー羽根3aが形成された部材で構成される。スクリュー羽根3aはボウル2内の固形物を搬送及び/又は圧搾するための部材である。このスクリューコンベア3の胴部3bには、その内部に被処理液を受けるための空間3cと、この空間に貯留された被処理液をボウル2内に投入するための吐出口3dとが設けられている。また、このスクリューコンベア3の一端部には、後述する差速発生装置5が連結されている。
【0046】
駆動モータ4は、ボウル2に回転力を付与するためのモータであり、ボウル2の一方の端部に取り付けられたプーリー4aにベルト4bを介して接続されている。この駆動モータ4には、ボウル2を例えば2000~5000rpmの範囲で回転させるために、比較的大型のモータが採用され、且つその回転速度はインバーター制御によって適宜変更可能となっていることが好ましい。また、差速発生装置5は、ボウル2の回転速度とスクリューコンベア3の回転速度との間に差速を発生させるための装置であって、スクリューコンベア3をボウル2に対して僅かに(例えば1~3rpm程度)遅く回転させることが可能な装置である。この差速発生装置5は、スクリューコンベア3に接続されたギヤボックス5aと、スクリューコンベア3にブレーキ力を付加する差動モータ(「バックドライブモーター」ともいう)5bとを含む。差速発生装置5の具体的な動作原理については従来から知られているものであるから、その説明は省略する。
【0047】
ケーシング6は、ボウル2及びスクリューコンベア3を覆うように設けられ、ボウル2の固形物排出口2aから排出された、僅かに液体を含んだ固形物としての液体含有固形物(脱水固形物)Mを下方に設けられた固形物シュート6aに導き、同じくボウル2の分離液排出口2bから排出された分離液SL(
図3参照。)を下方に設けられた分離液シュート6bに導くものである。また、ケーシング6に覆われたボウル2及びスクリューコンベア3は、フレーム6cによって一体に支持されている。
【0048】
ケーシング6の固形物シュート6aは、固形物排出導管7に連結されており、固形物シュート6aから排出された固形物は、例えばこの固形物排出導管7を介して図示しない乾燥装置や焼却設備等への主搬送路7aへ運ばれる。また、ケーシング6の分離液シュート6bは、分離液排出導管8に連結されており、分離液シュート6bから排出された分離液は、例えばこの分離液排出導管8を介して図示しない浄水設備等へ運ばれる。
【0049】
このデカンタ1は、ボウル2内に被処理液を投入するための給液管9を更に含む。この給液管9は、その一端はスクリューコンベア3の胴部3b内の空間3cに連通し、他端は被処理液供給源10及び添加物供給源11が連通しており、他端から流入した被処理液等をボウル2内に投入するための導管となっている。
【0050】
給液管9と被処理液供給源10とは、被処理液を供給するためのポンプ10aを備えた被処理液配管10bによって流体的に接続されている。このポンプ10aを制御することにより、被処理液のボウル内への供給量を制御することができる。ここで、被処理液供給源10から供給される被処理液は、多くの場合固形物としての汚泥を含むスラリー(懸濁液)である。
【0051】
また、給液管9と添加物供給源11とは、被処理液に添加される添加物、例えば薬剤を供給するためのポンプ11aと薬剤の供給位置や供給タイミングを制御するための複数個の弁11bとを備えた添加物配管11cによって流体的に接続されている。ここで、添加物供給源11から供給される薬剤は、スラリーに投与することでスラリー中に含まれる汚泥をフロック状に変化させる凝集剤、特に高分子凝集剤又は無機凝集剤である。以下においては、薬剤が添加される前の被処理液を「被処理液PL1」とし、薬剤が添加された後の被処理液を「フロック含有被処理液PL2」として両者を区別することとする。
【0052】
本実施の形態に係る添加物配管11cは、
図2に示すように、その中途位置で2つの管に分岐され、一方は被処理液配管10bの中間位置に、他方は給液管9にそれぞれ接続されている。被処理液配管10bの中間位置に接続された配管を経由して薬剤を供給した場合には、被処理液配管10b内で被処理液PL1と薬剤とが反応し(いわゆる「ライン薬注」)、給液管9に接続された配管を経由して薬剤を供給した場合には、主に空間3c内部及びボウル2内部で被処理液PL1と薬剤とが反応する(いわゆる「機内薬注」)こととなる。このような配管構造を採用すると、被処理液PL1に薬剤を添加する位置及びタイミングを調整することができ、以って主に被処理液PL1の状態に影響される薬剤による汚泥フロック(「フロック凝集体」ともいう)生成効果を最適に調整することができるようになる。なお、
図2に示す配管の接続位置は一例にすぎず、被処理液の状態等を考慮して当該配管構造は適宜変更することが可能である。
【0053】
また、本実施の形態に係るデカンタ1の各種配管には、配管内を通過する対象物を監視するための監視システムが設置されていると好ましい。この監視システムは、詳しくは、分離液排出導管8に設けられた分離液監視システム40と、固形物排出導管7に設けられた脱水固形物監視システム50と、被処理液配管10bに設けられた被処理液監視システム60とを含む。更に、これらの監視システムに加えて、スクリューコンベア3のトルク値を監視するスクリューコンベアトルク監視システム70を含んでいてもよい。各監視システムの具体的な構成については後述の各実施の形態に対応するようにいくつかの例を説明する。なお、第1の実施の形態においては、脱水固形物監視システム50以外の監視システムは使用していないため、脱水固形物監視システム50以外の監視システムについては、第2の実施の形態以降で必要に応じて説明される。
【0054】
以上の構成を備えるデカンタ1による固液分離は、先ず、所定の回転数で回転するボウル2内に給液管9を介してフロック含有被処理液PL2が投入されると、駆動モータ4により発生された遠心力の作用によってフロック含有被処理液PL2内の(薬剤の効果によりフロック状となっている)固形物がボウル2の内壁面に沈降する。沈降した固形物は、差速発生装置5の作用によりボウル2の回転数よりも僅かに小さな回転数でボウル2に対して連れ周りするスクリューコンベア3のスクリュー羽根3aによって、ボウル2の錘状に加工された一端側に向かって圧搾されつつ搬送され、所定量の流体成分と共に固形物排出口2aより固形物シュート6aへ排出される。また、上記のように固形物が沈降除去された後のボウル2内の残留物は、分離液SLとしてボウル2内に一定期間滞留した後、分離液排出口2bからオーバーフローするようにして分離液シュート6bへ排出される。
【0055】
<機械学習装置>
上述の固液分離処理は、デカンタ1の各種制御パラメータを調整することで、好適な処理を実現している。ここでいう制御パラメータとは、主にボウル2の遠心力、添加物供給源11からの薬剤の供給量、及びボウル2とスクリューコンベア3との差速から構成される。そこで、以下には、デカンタ1における最適な制御パラメータを推定することが可能な推論モデル(学習済モデル)を学習する本開示の第1の実施の形態に係る機械学習装置20について、説明を行う。
【0056】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る機械学習装置20の概略ブロック図である。本実施の形態に係る機械学習装置20は、
図3に示すように、学習用データセット取得ユニット21と、学習用データセット記憶ユニット22と、学習ユニット23と、学習済モデル記憶ユニット24とを備えている。
【0057】
学習用データセット取得ユニット21は、例えば有線又は無線の通信回線を介して学習(トレーニング)用データセットを構成する複数のデータを取得するインタフェースユニットである。ここで取得される複数のデータの具体的な内容については、生成したい学習済モデルに合わせて適宜変更等をすることが可能である。本実施の形態においては、複数のデータとして、脱水固形物Mの画像データと、この画像データに対応付けられる制御パラメータを取得している。また、この制御パラメータとしては、被処理液PL1へ添加される薬剤の供給量、ボウル2の遠心力、及び差速発生装置5により制御される差速を含む。なお、本実施の形態においては制御パラメータとして上述した3つのデータを取得するものについて例示するが、学習用データセットを構成する制御パラメータとしては、上述した3つのデータのうち少なくとも1つを含んでいればよい。また、制御パラメータは上述した3つに限定されるものではなく、例えば被処理液供給源10からの被処理液PL1の供給量や、ボウル2のダム2cのダムセット径をも含んでいてよい。したがって、出力データを構成する制御パラメータを4つ以上としてもよい。一般に、制御パラメータの数が増えれば、後述するデカンタ1の動作制御に適用した際、細やかなパラメータ調整が実現できるが、制御パラメータの数が多くなると十分な精度の推論が可能な学習済モデルを得るために必要な学習用データセットの数は増加する傾向がある。したがって、出力データとしての制御パラメータの数は準備可能な学習用データセットの数等を考慮して決定することが好ましい。
【0058】
この学習用データセット取得ユニット21において取得される複数のデータの取得方法の一例を説明する。学習用データセット取得ユニット21は、
図3に示すように、コンピュータPC1に接続され、このコンピュータPC1から所望のデータを取得する。このコンピュータPC1は、例えば上述したデカンタ1の各種動作制御を行うコントロールユニット30の少なくとも一部を構成する、あるいはこのコントロールユニット30に通信可能に接続されたコンピュータであってよい。これにより、コンピュータPC1においてデカンタ1の各種制御パラメータが取得可能となっている。加えて、このコンピュータPC1は、
図2に示すように、固形物排出導管7に設けられた脱水固形物監視システム50に直接又はコントロールユニット30を介して間接的に接続されており、脱水固形物監視システム50より脱水固形物Mの画像データを取得することができる。なお、ここでいうデカンタ1のコントロールユニット30とは、デカンタ1全体の制御を行うための装置であって、デカンタ1が備える各種センサや駆動手段に接続された、プロセッサ及びメモリ等を備える周知のコンピュータ等から構成されるものであってよい。
【0059】
本実施の形態に係る脱水固形物監視システム50としては、
図3に示すように、固形物排出導管7の任意箇所に設けられた窓52と、窓52に所定画角で設置され固形物排出導管7内を通過する脱水固形物Mの画像データを撮像可能な脱水固形物撮像用カメラ53とを含むものを採用することができる。このうち、脱水固形物撮像用カメラ53には、二次元画像を撮像可能な周知のカメラを採用することができる。また、この脱水固形物監視システム50においては、脱水固形物撮像用カメラ53により撮像される画像データに脱水固形物Mの特に表面の状態が反映されやすいよう、固形物排出導管7内を通過する脱水固形物Mを照らす図示しない光源や、脱水固形物撮像用カメラ53に取り付け可能な図示しない偏光フィルタを適宜採用することができる。また、
図2においては、固形物排出導管7が略垂直に延在し、脱水固形物Mはこの固形物排出導管7内を自然落下するように通過するものを例示しているが、固形物排出導管7の設置角度等は適宜変更することができる。さらに、本実施の形態においては脱水固形物監視システム5を固形物排出導管7に設置した場合について説示したが、この脱水固形物監視システム5は、主搬送路7aや固形物シュート6aといった脱水固形物Mが通過する任意の位置に設置することができるものである。なお、脱水固形物監視システム50の構成はこれに限定されるものではなく、脱水固形物Mの画像データを取得可能な構成であれば種々の構成を採用することができる。具体例としては、例えば後述する
図9に示す脱水固形物監視システム50Aのような構成を採用してもよい。
【0060】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る脱水固形物監視システム50の脱水固形物撮像用カメラ53により得られた画像データの例を示したものである。ところで、水処理設備の技術分野において、遠心分離システムにより固液分離処理を行った後に排出される脱水固形物Mに含まれる液体成分の量、すなわち含水率が小さいことは、固液分離処理が良好に行われていると推測できる指針となり得る。また、脱水固形物監視システム50によって得られる画像データにおいて、脱水固形物Mに含まれる液体成分の量が多いと、色味が濃くなったり、輝度が上昇したりする傾向がある。したがって、
図4に示すように、脱水固形物Mの含水率が比較的高い画像データ(例えば
図4(b)に示すもの)は、含水率が比較的低い画像データ(例えば
図4(a)に示すもの)に比べて、ピクセル間の色味の変化量が増加する傾向があると推測できる。
【0061】
学習用データセット記憶ユニット22は、学習用データセット取得ユニット21で取得した学習用データセットを構成する複数のデータを、関連する入力データと出力データ(「教師データ」ともいう)とを関連付けて1つの学習用データセットとし、格納するためのデータベースである。本実施の形態において格納される学習用データセットは、固形物排出口2aから排出された脱水固形物Mを所定画角から撮像した画像データを入力データとし、この入力データとしての画像データに対応付けられた制御パラメータを出力データとしたものとすることができる。また、学習用データセット記憶ユニット22を構成するデータベースの具体的な構成については適宜調整することができる。例えば、
図3においては、説明の都合上、この学習用データセット記憶ユニット22と後述する学習済モデル記憶ユニット24とを別々の記憶手段として示しているが、これらは単一の記憶媒体(データベース)によって構成することもできる。
【0062】
ところで、学習用データセット記憶ユニット22で格納される学習用データセットは、上述したように、1つの画像データと、この1つの画像データに対応する制御パラメータとで構成されている。他方、学習ユニット23において1つの学習済モデルを生成するためには、多くの学習用データセット(例えば数千~数万セット)を用いて学習を行う必要がある。そこで、多量の学習用データセットを比較的短時間で準備するために、この学習用データセット記憶ユニット22において、データオーギュメンテーション(data augmentation)を実施することが好ましい。このデータオーギュメンテーションの具体的な方法としては、例えば、1つの矩形の原画像データから、当該原画像データよりも小さな正方形の部分画像データをランダムにa個(例えば100個)抽出し、抽出されたa個の部分画像データそれぞれと原画像データに対応付けられた制御パラメータとを関連付けることで、a個の学習用データセットを取得する方法を採用することができる。
【0063】
学習ユニット23は、学習用データセット記憶ユニット22に記憶された複数の学習用データセットを複数組入力することで、学習用データセット内の入力データと出力データとの間の相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。本実施の形態においては、後に詳しく説示するように、機械学習の具体的な手法としてニューラルネットワークを用いた教師あり学習を採用している。ただし、機械学習の具体的な手法については、これに限定されるものではなく、入出力の相関関係を学習用データセットから学習することができるものであれば他の学習手法を採用することも可能である。例えば、アンサンブル学習(ランダムフォレスト、ブースティング、スタッキング等)を用いることもできる。
【0064】
学習済モデル記憶ユニット24は、学習ユニット23で生成された学習済モデルを記憶するためのデータベースである。この学習済モデル記憶ユニット24に記憶された学習済モデルは、要求に応じて、インターネットを含む通信回線や記憶媒体を介して実システムへ適用される。実システム(データ処理システム80)に対する学習済モデルの具体的な適用態様については、後に詳述する。
【0065】
ところで、本実施の形態に係るデカンタ1において学習用データセットを準備する際には、教師データとなる最適な制御パラメータを特定する必要がある。この最適な制御パラメータを特定する方法としては、例えば脱水固形物監視システム50により取得された画像データとそのときの実際の制御パラメータとを参酌し、オペレータENが手動で特定する方法を採用することができる。この場合、教師データとなる最適な制御パラメータを特定するオペレータENには熟練の技術者、あるいは複数の技術者を割り当てると好ましい。このように特定された最適な制御パラメータは、機械学習装置20において、学習用データセットの教師データとして、上述した画像データに対応付けられた状態で学習用データセット記憶ユニット22に整理・格納される。
【0066】
ここで、特定される最適な制御パラメータとしては、上述したように、ボウル2の遠心力、添加物供給源11からの薬剤の供給量、及びボウル2とスクリューコンベア3との差速の少なくとも1つであってよい。これらの制御パラメータは、デカンタ1による固液分離処理に最も影響のある制御パラメータと考えられるものであるため、ここで特定される制御パラメータは、本実施の形態において例示するように上述した3つの制御パラメータ全てとすると好ましい。なお、当然ながらこれら3つの制御パラメータのうち1つのみ、あるいは2つのみを出力データとして採用してもよく、またこれら3つの制御パラメータ以外のパラメータ(例えば薬剤の供給位置等)を出力データに更に追加することも可能である。上記3つの制御パラメータのうち、ボウル2の遠心力については、主に駆動モータ4によるボウル2の回転数を制御することで調整が可能であるが、この回転数を変更する制御は他の2つの制御(薬剤供給量及び差速の制御)に比して応答性が低いという特徴がある。そこで、上記3つの制御パラメータのうち2つのみを出力データに採用する場合には、添加物供給源11からの薬剤の供給量とボウル2とスクリューコンベア3との差速の2つを採用するとよい。
【0067】
次に、上述のようにして得られた複数の学習用データセットを用いた、学習ユニット23における学習手法について簡単に説明する。
図5は、本開示の第1の実施の形態に係る機械学習装置において実施される教師あり学習のためのニューラルネットワークモデルの例を示す図である。
図5に示すニューラルネットワークモデルにおけるニューラルネットワークは、入力層にあるl個のニューロン(x1~xl)、第1中間層にあるm個のニューロン(y11~y1m)、第2中間層にあるn個のニューロン(y21~y2n)、及び出力層にあるo個のニューロン(z1~zo)から構成されている。第1中間層及び第2中間層は、隠れ層とも呼ばれており、ニューラルネットワークとしては、第1中間層及び第2中間層の他に、さらに複数の隠れ層を有するものであってもよく、あるいは第1中間層のみを隠れ層とするものであってもよい。
【0068】
また、入力層と第1中間層との間、第1中間層と第2中間層との間、第2中間層と出力層との間には、層間のニューロンを接続するノードが張られており、それぞれのノードには、重みwi(iは自然数)が対応づけられている。
【0069】
本実施の形態に係るニューラルネットワークモデルにおけるニューラルネットワークは、学習用データセットを用いて、学習用データセットの入力データと出力データとの相関関係を学習する。具体的には、入力データを構成する状態変数としての脱水固形物Mの画像データを入力層のニューロンに対応づけ、出力層にあるニューロンの値を、一般的なニューラルネットワークの出力値の算出方法で、つまり、出力側のニューロンの値を、当該ニューロンに接続される入力側のニューロンの値と、出力側のニューロンと入力側のニューロンとを接続するノードに対応づけられた重みwiとの乗算値の数列の和として算出することを、入力層にあるニューロン以外の全てのニューロンに対して行う方法を用いることで、算出する。なお、上記状態変数を入力層のニューロンに入力するに際し、状態変数として取得した情報をどのような形式として入力するかは、生成される学習済モデルの精度等を考慮して適宜設定することができる。
【0070】
そして、算出された出力層にあるo個のニューロンz1~zoの値、すなわち本実施の形態においては制御パラメータと、学習用データセットの一部を構成する、同じく制御パラメータからなる教師データt1~toとを、それぞれ比較して誤差を求め、求められた誤差が小さくなるように、各ノードに対応づけられた重みwiを調整する(バックプロパゲーション)ことを反復する。
【0071】
そして、上述した一連の工程を所定回数反復実施すること、あるいは前記誤差が許容値より小さくなること等の所定の条件が満たされた場合には、学習を終了して、そのニューラルネットワークモデル(のノードのそれぞれに対応づけられた全ての重みwi)を学習済モデルとして学習済モデル記憶ユニット24に記憶する。
【0072】
<機械学習方法>
上記に関連して、本開示は機械学習方法を提供する。
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る機械学習方法の例を示すフローチャートである。以下に示す機械学習方法においては、上述した機械学習装置20に基づいて説明を行うが、前提となる構成については、上述した機械学習装置20に限定されない。また、この機械学習方法はコンピュータを用いることで実現されるものであるが、コンピュータとしては種々のものが適用可能であり、例えばコントロールユニット30を構成するコンピュータ、ネットワーク上に配されたサーバ装置、あるいは
図3に示すコンピュータPC1等を挙げることができる。また、このコンピュータの具体的構成については、例えば、少なくともCPUやGPU等からなる演算装置と、RAMやROMに代表される揮発性又は不揮発性メモリ等で構成される記憶装置と、ネットワークや他の機器に通信するための通信装置と、これら各装置を接続するバスとを含むものを採用することができる。更にまた、この機械学習方法は、コンピュータに所定の操作を実行するための1乃至複数の命令を備えるプログラムの形式で、あるいは当該プログラムを格納した非一時的なコンピュータ読取可能媒体の形式で提供されてもよい。
【0073】
本実施の形態に係る機械学習方法としての教師あり学習は、機械学習を開始するための事前準備として、先ず所望の数の学習用データセットを準備し、準備した複数個の学習用データセットを学習用データセット記憶ユニット22に記憶する(ステップS11)。ここで準備する学習用データセットの数については、最終的に得られる学習済みモデルに求められる推論精度を考慮して設定するとよい。また、学習用データセットを準備する方法については、その一例を既に上で例示しているため、ここでは説明を省略する。
【0074】
ステップS11が完了すると、次いで学習ユニット23における機械学習を開始すべく、学習前のニューラルネットワークモデルを準備する(S12)。ここで準備される学習前のニューラルネットワークモデルとしては、例えば上記
図4で示した構造を有し、各ノードの重みが初期値に設定されたものを採用することができる。そして、学習用データセット記憶ユニット22に記憶された複数個の学習用データセットから、例えばランダムに一の学習用データセットを選択し(ステップS13)、当該一の学習用データセット内の入力データを、準備された学習前のニューラルネットワークモデルの入力層(
図4参照。)に入力する(ステップS14)。なお、学習用データセット内の入力データを学習前のニューラルネットワークモデルの入力層に入力する手法としては、種々のものを採用することができる。具体例としては、画像データのピクセルごとの輝度値及び/又は色値(例えばRGB値)を各入力層のニューロンに入力する方法を採用することができる。また、入力データとしての画像データを入力層に入力する前段階で、データの数を調整するための次元削減処理やノイズ除去等の所定の前処理を実行してもよい。
【0075】
ここで、上記ステップS14の結果として生成された出力層(
図4参照。)の制御パラメータは、学習前のニューラルネットワークモデルによって生成されたものであるため、ほとんどの場合望ましい結果とは異なる値である。そこで、次に、ステップS13において取得された一の学習用データセット内の教師データとしての出力データ、すなわち制御パラメータと、ステップS13において生成された出力層の制御パラメータとを用いて、機械学習を実施する(ステップS15)。ここで行う機械学習とは、例えば、教師データを構成する制御パラメータと出力層を構成する制御パラメータとを比較し、両者の誤差を検出し、この誤差が小さくなるような出力層が得られるよう、学習前のニューラルネットワークモデル内の各ノードに対応付けられた重みを調整する処理(バックプロパゲーション)であってよい。また、学習前のニューラルネットワークモデルの出力層に出力される制御パラメータの数及び形式は、学習対象としての学習用データセット内の教師データと同様の数及び形式である。したがって、例えば学習用データセット内の教師データとしての制御パラメータが2つの制御パラメータに対応するデータで構成されている場合には、ニューラルネットワークモデルが出力層に出力する制御パラメータも2つの制御パラメータに対応するデータである。
【0076】
ステップS15において機械学習が実施されると、さらに機械学習を継続する必要があるか否かを、例えば学習用データセット記憶ユニット22内に記憶された未学習の学習用データセットの残数に基づいて特定する(ステップS16)。そして、機械学習を継続する場合(ステップS16でNo)にはステップS13に戻り、機械学習を終了する場合(ステップS16でYes)には、ステップS17に移る。上記機械学習を継続する場合には、学習中のニューラルネットワークモデルに対してステップS13~S15の工程を未学習の学習用データセットを用いて複数回実施する。最終的に生成される学習済モデルの精度は、一般にこの回数に比例して高くなる傾向がある。
【0077】
機械学習を終了する場合(ステップS16でYes)には、各ノードに対応付けられた重みが一連の工程によって調整され生成されたニューラルネットワークを学習済モデルとして、学習済モデル記憶ユニット24に記憶し(ステップS17)、一連の学習プロセスを終了する。ここで記憶された学習済モデルは、種々のデータ処理システムに適用され使用され得るものであるが、当該データ処理システムの具体例については後述する。
【0078】
上述した機械学習装置の学習プロセス及び機械学習方法においては、1つの学習済モデルを生成するために、1つの(学習前の)ニューラルネットワークモデルに対して複数回の機械学習処理を繰り返し実行することでその推論精度を向上させ、データ処理システムに適用するに足る学習済モデルを得るものを説示しているが、本発明はこの取得方法に限定されない。例えば、所定回数の機械学習を実施した学習済モデルを一候補として複数個学習済モデル記憶ユニット24に格納しておき、この複数個の学習済モデル群に妥当性判断のための共通のデータセットの入力データを入力して出力層(のニューロンの値)を生成し、この出力層で特定された制御パラメータの精度を比較検討して、データ処理システムに適用する最良の学習済モデルを1つ選定するようにしてもよい。なお、妥当性判断用データセットは、学習に用いた学習用データセットと同様のデータセットで構成され、且つ学習に用いられていないものであればよい。
【0079】
オプションとして、上記ステップS12において準備されるノードの重みが初期値に設定された学習前のニューラルネットワークモデルに代えて、例えば任意の画像認識のために予め生成された学習済モデルを利用することもできる。この場合には、いわゆるファインチューニング又は転移学習により所望の学習済モデルを生成することとなる。そのため、上述した通常の機械学習プロセスに比して少ない学習用データセットの数で高精度の学習済モデルを生成できる。
【0080】
以上説明した通り、本実施の形態に係る機械学習装置20及び機械学習方法を適用することにより、脱水固形物監視システム50により取得される画像データから、最適な制御パラメータを導出することが可能な学習済モデルを得ることができる。
【0081】
<データ処理システム>
次に、
図7を参照して、上述した機械学習装置及び機械学習方法によって生成された学習済モデルの適用例について説示する。
図7は、本開示の第1の実施の形態に係るデータ処理システム80を示す概略ブロック図である。本実施の形態に係るデータ処理システム80としては、上述した横型のデカンタ1のコントロールユニット30内に適用されたものを例示する。
【0082】
データ処理システム80は、
図7に示すように、主に第1の画像データ取得ユニット81と、パラメータ調整ユニット82と、演算ユニット83と、データベース(DB)84と、ユーザインタフェース85と、これらを相互に接続するための内部バス86とを含むものである。なお、
図7においては、データ処理システム80に関連する構成要素のみ示し、コントロールユニット30が備える本実施の形態に係るデータ処理システム80とは直接関係しない他の構成要素についてはその記載を省略している。
【0083】
第1の画像データ取得ユニット81は、画像データ、詳しくは脱水固形物Mの画像データを取得するためのものである。具体的には、上述した脱水固形物監視システム50に接続されて脱水固形物監視システム50の脱水固形物撮像用カメラ53により撮像された画像データを取得するものである。
【0084】
パラメータ調整ユニット82は、コントロールユニット30により最適な動作制御を実現するために調整される各種制御ユニットを、後述する推論ユニット87の推論結果に基づいて調整するためのものである。このパラメータ調整ユニット82は、駆動モータ4に接続されてその回転数を制御する駆動モータ制御ユニット31と、添加物配管11cに設けられ薬剤の供給量を可変するポンプ11aを制御するポンプ制御ユニット32と、差動モータ5bに接続されてその回転数を制御してスクリューコンベア3の(ボウル2に対する)回転数を制御する差動モータ制御ユニット33と、に接続されている。なお、本実施の形態に係るパラメータ調整ユニット82は上述した3つの制御ユニットに接続されているが、推論ユニット87が出力する制御パラメータの数及び種類に合わせてその接続先は適宜調整され得る。
【0085】
演算ユニット83は、データ処理システム80における各種処理を実現するためのプロセッサを構成するものであり、少なくとも推論ユニット87を含んでいる。また、この演算ユニット83は、推論ユニット87において利用する学習済モデルを格納した学習済モデル記憶ユニット88に接続されている。推論ユニット87は、学習済モデル記憶ユニット88に格納された一の学習済モデルを参酌することで、第1の画像データ取得ユニット81で取得した状態変数としての画像データから、パラメータ調整ユニット82により調整を行う制御パラメータを推論するものである。学習済モデル記憶ユニット88に記憶されている学習済モデルは、その用途や各種条件(例えば季節、天候及び温度・湿度といった環境条件、あるいは被処理液の種類等)に合わせて複数個記憶されていると好ましい。そしてまた、複数個の学習済モデルから適切な一の学習済モデルを選択する作業は、各種センサ等を用いて自動的に選択できるようにしてもよいし、オペレータEN等によって手動で選択できるようにしてもよい。
【0086】
データベース84は、周知の記録媒体からなり、第1の画像データ取得ユニット81が取得した画像データや演算ユニット83による演算結果等、データ処理システム80で扱う各種データを一時的にあるいは継続的に記憶するためのものである。また、ユーザインタフェース85は、例えばGUI(グラフィカルユーザインタフェース)で構成されており、デカンタ1のステータス表示やオペレータEN等からの入力操作等を受け取るためのものである。
【0087】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係るデータ処理システム80によるパラメータ調整の例を示すフローチャートである。データ処理システム80が適用されたデカンタ1の駆動が開始されると、
図8に示すように、先ずデータ処理システム80は、パラメータ調整のタイミングであるか否かを判断する(ステップS21)。ここで、制御パラメータの調整を行うタイミングは、自動的に特定することも、手動で調整することも可能である。また、デカンタ1が作動している間は所定時間間隔で定期的に当該調整を行ってもよいし、例えば、デカンタ1の作動を開始した時、デカンタ1で処理を行う被処理液の種類が変更された時、作動後予め設定された所定時間が経過した時、あるいは被処理液監視システム60又は分離液監視システム40において被処理液又は分離液の濃度の変化を検出可能とし当該変化が所定の閾値を超えた時といった特定のタイミングにのみ当該調整を行ってもよい。
【0088】
パラメータ調整のタイミングであることを検知すると(ステップS21でYes)、脱水固形物監視システム50内の脱水固形物撮像用カメラ53を動作させて固形物排出導管7内を通過する脱水固形物Mを撮像する(ステップS22)。ここで撮像された画像データは、第1の画像データ取得ユニット81によりデータ処理システム80に取得される(ステップS23)。
【0089】
次いで、第1の画像データ取得ユニット81が取得した画像データは推論ユニット87に内部バス86を介して送られ、推論ユニット87において、この画像データが推論ユニット87において予め特定された学習済モデル記憶ユニット88内の一の学習済モデルの入力層に入力されることにより、制御パラメータを推論する(ステップS24)。そして、ここで推論された制御パラメータの値を用いて、パラメータ調整ユニット82が各制御ユニットを調整する(ステップS25)。その後、ステップS21に戻って待機状態となる。
【0090】
以上説明した通り、本実施の形態に係るデータ処理システム80によれば、脱水固形物の画像データという比較的取得しやすい情報に基づきデカンタ1の好ましい制御パラメータを推定できるため、このデータ処理システム80を比較的簡単にデカンタ1に適用することができる。そして、制御パラメータの調整をオペレータEN等の判断に依存することなく簡単に行うことができるようになる。
【0091】
オプションとして、上記実施の形態においては、推論ユニット87において参酌される学習済モデルとして、
図6に示すようないわゆるバッチ学習による学習を経て生成されたものを説示しているが、本発明のデータ処理システム80はこれに限定されない。具体的には、例えば上述のバッチ学習による学習を経て生成された学習済モデルに、さらにオンライン学習を適用することで更なる精度向上を図ってもよい。この具体的な方法としては、先ず、第1の画像データ取得ユニット81において取得された状態変数としての画像データと、推論ユニット87によって推論された制御パラメータであって、特にパラメータ調整ユニット82における調整を反映した結果固液分離処理結果が改善された時の制御パラメータとを一組のオンライン学習用データセットとしてデータベース84に一時的に格納する。そして、任意のタイミングでデータベース84内に蓄積された当該オンライン学習用データセットを用いて、
図6に示すものと同様の機械学習(具体的にはファインチューニング)を実行すれば良い。
【0092】
また、上述のデータ処理システム80は横型のデカンタ1のコントロールユニット30内に適用されているが、これに代えて、例えばデカンタ1のコントロールユニット30に通信可能に接続されたコンピュータや、デカンタ1のコントロールユニット30にネットワーク等を介して接続されたサーバ装置等に適用することも可能である。ただし、本実施の形態で主に想定している汚泥処理に用いられる遠心分離システムは、その処理内容(被処理液の種類や単位時間当たりの処理量等)や周辺環境(気候等)がシステム毎に大きく異なる場合が通常であるため、これらの遠心分離システム全てに適用できるような汎用的な学習済モデルを生成することは、その生成に要する学習用データセットの数が非常に多くなり、またそのデータの内容も様々な条件下で取得されたものが偏りなく必要となるため、生成コストが高くなりやすい。したがって、データ処理システム80及び上述した学習済モデルは、遠心分離システム毎に適用して運用することがコスト面で有利であり好ましい。
【0093】
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムにおいては、1つの学習済モデルを用いて脱水固形物Mの画像データから制御パラメータを推論する場合について説明を行った。しかし、脱水固形物Mの画像データと制御パラメータとの間には相関関係は認められるものの、両者の相関の度合いは極めて高いといったものではない。一般に、ニューラルネットワークモデルの機械学習プロセスにおいて、学習用データセットの入力データと出力データとの間の相関の度合いが高いことに比例して、十分な精度の推論が可能な学習済モデルを得るまでに必要な学習用データセットの数は少なくて済む傾向がある。したがって、上記第1の実施の態様においては、脱水固形物Mの画像データと制御パラメータとの間の相関関係を学習するためには、学習用データセットを比較的多く準備する必要がある。そこで、より少ない学習用データセットの数で十分な精度の推論が可能な学習済モデルを生成するための一態様として、脱水固形物Mの画像データから制御パラメータを推論するために2つの学習済モデルを利用する場合を、本開示の第2の実施の形態として以下に説明する。なお、以下に示す第2の実施の形態に係る機械学習装置20A及びデータ処理システム80Aの各構成要素のうち、第1の実施の形態に係る機械学習装置20及びデータ処理システム80の各構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。また、以下に示す第2の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムは、第1の実施の形態に係るものと同様に、
図1及び
図2に示す遠心分離システムに適用した場合を例にとり説明されている。さらに、上述したあるいは後述する各実施の形態において説示された全ての変形例は、矛盾が生じない範囲において本実施の形態にも適用可能なものである。
【0094】
図9は、本開示の第2の実施の形態に係る機械学習装置20Aの概略ブロック図である。本実施の形態に係る機械学習装置20Aは、
図9に示すように、その構成要素としては、学習用データセット記憶ユニットとして、第1の学習用データセット記憶ユニット221と第2の学習用データセット記憶ユニット222とを備え、学習ユニットとして第1の学習ユニット231と第2の学習ユニット232とを備えている点以外は、第1の実施の形態に係る機械学習装置20と同様である。また、これに関連して、学習用データセット取得ユニット21において取得される複数のデータも第1の実施の形態のものとは異なっている。
【0095】
本実施の形態に係る学習用データセット取得ユニット21が取得する複数のデータは、コンピュータPC1から取得するものであるが、この複数のデータは、脱水固形物Mの画像データと、制御パラメータとに加えて、更に脱水固形物Mの画像データの特徴量(以下、「脱水固形物Mの特徴量」ともいう)を含んでいる。脱水固形物Mの特徴量としては、撮像された脱水固形物Mに基づいて特定される種々の情報を採用することができる。具体的には、例えば脱水固形物Mの含水率、色値、密度等を1又は複数含むことができる。この特徴量は、例えば脱水固形物Mを実際にサンプリングして各種測定器等を用いて測定・分析することにより、あるいはオペレータENが目視で判断することにより、特定することができる。
【0096】
上述した特徴量を測定等するために、本実施の形態に係る脱水固形物M監視システム50Aには、脱水固形物Mをサンプリング抽出可能な構成を採用することが好ましい。具体的には、この脱水固形物監視システム50Aは、
図9に示すように、脱水固形物Mを充填可能な所定の深さを備えるトレー54と、トレー54を内部に載置可能であって内部に光源を備える撮影ボックス55と、トレー54に充填された脱水固形物Mの表面を所定画角から撮像可能な脱水固形物撮像用カメラ53とを含むことができる。トレー54内に充填された脱水固形物Mは、固形物排出導管7や主搬送路7a等の脱水固形物Mの搬送路の適所に設けられた図示しないサンプリングユニットを用いて所定のタイミングで抽出されたものであってよい。そして、トレー54内に抽出された脱水固形物Mを脱水固形物撮像用カメラ53により撮像することで画像データが生成され、この画像データに対応する所望の制御パラメータがオペレータENにより特定される。さらには、このトレー54内にサンプリングされた脱水固形物Mの測定・分析等を行えば、この脱水固形物Mの特徴量を特定することができる。なお、当然ながら、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態において説示した脱水固形物監視システム50を代替的に採用可能である。
【0097】
学習用データセット取得ユニット21において取得された複数のデータは、それぞれの対応関係を考慮しつつ、2つの学習用データセットとして第1の学習用データセット記憶ユニット221及び第2の学習用データセット記憶ユニット222内に別々に格納される。第1の学習用データセット記憶ユニット221に格納される第1の学習用データセットは、排出口2aから排出された脱水固形物Mを所定画角から撮像した脱水固形物Mの画像データを第1の入力データとして含み、第1の入力データに対応付けられた脱水固形物Mの特徴量を第1の出力データとして含むものであって良い。また、第2の学習用データセット記憶ユニット222に格納される第2の学習用データセットは、脱水固形物Mの特徴量を第2の入力データとして含み、第2の入力データに対応付けられた制御パラメータを第2の出力データとして含むものであって良い。なお、このように複数のデータから2つの学習用データセットを分割生成する際は、例えば、同一の脱水固形物Mに関連付けられた脱水固形物Mの画像データ、脱水固形物Mの特徴量及び制御パラメータを、脱水固形物Mの画像データと脱水固形物Mの特徴量とのセットと、脱水固形物Mの特徴量と制御パラメータとのセットに分割して、それぞれを一の第1及び第2の学習用データセットとすればよい。なお、この際分割した後の一の第1及び第2の学習用データセット同士は、それぞれが後述する異なる学習ユニットにおいて参照されるものであるため、その関連性を維持した形式で格納されなくてよい。
【0098】
第1の学習用データセット記憶ユニット221及び第2の学習用データセット記憶ユニット222にそれぞれ格納された第1及び第2の学習用データセットは、それぞれ別の学習ユニットにのみ参照されるものである。第1の学習ユニット231は、第1の学習用データセットを複数組入力することで、第1の入力データと第1の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第1の学習用データセット内の脱水固形物Mの画像データを入力することで、この画像データ内の脱水固形物Mの特徴量、すなわち画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習するものである。そして、第2の学習ユニット232は、第2の学習用データセットを複数組入力することで、第2の入力データと第2の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第2の学習用データセット内の画像データの特徴量を入力することで、制御パラメータを推論する第2の学習モデルを学習するものである。
【0099】
第1及び第2の学習ユニット231、232における具体的な機械学習方法は、学習に用いる学習用データセットは異なるものの、その工程は
図6に示した教師あり学習の工程といずれも同様である。そして、一連の機械学習工程を経て得られた第1及び第2の学習済モデルは、学習済モデル記憶ユニット24内にそれぞれ記憶される。
【0100】
図10は、本開示の第2の実施の形態に係るデータ処理システム80Aを示す概略ブロック図である。本実施の形態に係るデータ処理システム80Aは、
図10に示すように、演算ユニット83内の推論ユニットとして、第1の推論ユニット871と第2の推論ユニット872とを備える点以外は上述した第1の実施の形態に係るデータ処理システム80と同様の構成要素を備えるものである。
【0101】
第1の推論ユニット871は、上述した機械学習装置20Aで生成され学習済モデル記憶ユニット88内に記憶された第1の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第1の推論ユニット871は、第1の画像データ取得ユニット81において取得された脱水固形物Mの画像データが入力されると、この画像データの特徴量を出力層に出力する。また、第2の推論ユニット872は、上述した機械学習装置20Aで生成され学習済モデル記憶ユニット88内に記憶された第2の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第2の推論ユニット872は、第1の推論ユニット871において推論された画像データの特徴量が入力されると、制御パラメータを出力層に出力する。
【0102】
上述した第1及び第2の推論ユニット871、872を含むデータ処理システム80Aが適用されたデカンタ1において制御パラメータの調整を行う場合は、上述した
図8に示すものと同様の処理を行えばよい。ただし、
図8に示す処理のうち、ステップS24において制御パラメータを推論する際は、先ず第1の推論ユニット871に脱水固形物Mの画像データを入力し、出力された画像データの特徴量を第2の推論ユニット872に入力する。
【0103】
以上説明した通り、本実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムによれば、制御パラメータに比べて脱水固形物Mの画像データとの相関度合いの大きな画像データの特徴量を推論した上で、この脱水固形物Mの画像データに比べて制御パラメータとの相関度合いの大きな画像データの特徴量を用いて制御パラメータを推論することとなり、十分な精度の推論が可能な各学習済モデルを生成するために必要な学習用データセットの数を相対的に抑えることが期待できる。
【0104】
<第3の実施の形態>
上記第1及び第2の実施の形態に係る機械学習装置及び機械学習方法においては、学習用データセットの入力データとして、脱水固形物Mの画像データのみを採用したものについて説明を行った。しかし、脱水固形物Mの画像データのみを入力データとすると、十分な精度の推論が可能な学習済モデルを生成するために必要な学習用データセットの数が多くなる傾向がある。そこで、より少ない学習用データセットの数で十分な精度の推論が可能な学習済モデルを生成するための一態様として、上述の第1の実施の形態に示した学習用データセットの入力データの数を増やした場合を、本開示の第3の実施の形態として以下に説明する。なお、以下に示す第3の実施の形態に係る機械学習装置20B及びデータ処理システム80Bの各構成要素のうち、第1の実施の形態に係る機械学習装置20及びデータ処理システム80の各構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。また、以下に示す第3の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムは、第1及び第2の実施の形態に係るものと同様に、
図1及び
図2に示す遠心分離システムに適用した場合を例にとり説明されている。さらに、上述したあるいは後述する実施の形態において述べられた全ての変形例は、矛盾が生じない範囲において本実施の形態にも適用可能なものである。
【0105】
図11は、本開示の第3の実施の形態に係る機械学習装置20Bの概略ブロック図である。本実施の形態に係る機械学習装置20Bは、
図11に示すように、各構成要素については、学習用データセット記憶ユニットとして第3の学習用データセット記憶ユニット223を備え、学習ユニットとして第3の学習ユニット233を備える点以外は上述した第1の実施の形態に係る機械学習装置20と同様である。また、学習用データセット取得ユニット21において取得される複数のデータも第1の実施の形態に係るものとは異なるものである。本実施の形態に係る学習用データセット取得ユニット21は、
図11に示すように、コンピュータPC1に接続され、このコンピュータPC1から所望のデータを取得する。このコンピュータPC1は、第1の実施の形態に係るコンピュータPC1と同様に、コントロールユニット30及び脱水固形物監視システム50に接続されているが、これらに加えて、分離液監視システム40と、被処理液監視システム60と、スクリューコンベアトルク監視システム70とにも接続されている。
【0106】
分離液監視システム40は、
図2及び
図11に示すように、例えば分離液排出導管8に設けられ、この分離液排出導管8を通過する分離液SLの固形物含有濃度を監視するものであることが好ましい。分離液濃度を監視する具体的な方法としては、例えば周知のレーザー式、光学式、あるいは超音波式の濃度センサを用いて分離液SLの濃度値を直接検出すればよい。
【0107】
被処理液監視システム60は、
図2及び
図11に示すように、例えば被処理液配管10bに配置され、被処理液供給源10から供給される被処理液PL1のスラリー濃度を監視するものである。スラリー濃度を監視する具体的な方法としては、例えば周知のレーザー式、光学式、あるいは超音波式の濃度センサを用いて被処理液の濃度値を直接検出すればよい。なお、本実施の形態においては、被処理液監視システム60を被処理液配管10bの特に添加物配管11cと合流する位置に設けているが、これに代えて、例えば被処理液監視システム60を被処理液配管10bの添加物配管11cと合流する前の位置、給液管9内、あるいは空間3c内に設けるようにしてもよい。また、スラリー濃度の測定対象を、薬剤が添加される前の被処理液PL1ではなく、被処理液PL1に薬剤が添加された後のフロック含有被処理液PL2とすることも可能である。
【0108】
スクリューコンベアトルク監視システム70は、
図2及び
図11に示すように、例えばスクリューコンベア3の回転軸に取り付けられており、このスクリューコンベア3に作用する反力を検出することで、スクリューコンベア3のトルク値を監視している。
【0109】
これら4つの監視システム40、50、60及び70により取得される各種データ、詳しくは、脱水固形物Mの画像データ、分離液SLの濃度、被処理液PL1(又はフロック含有被処理液PL2)のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値が、直接、あるいはコントロールユニット30を介してコンピュータPC1に送られ、このコンピュータPC1より、対応する所望の制御パラメータと共に学習用データセット取得ユニット21に送られる。学習用データセット取得ユニット21で取得した学習用データセットを構成する複数のデータは、脱水固形物Mの画像データ、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を第3の入力データとし、これらのデータに対応付けられた制御パラメータを第3の出力データとする第3の学習用データセットの形式で、第3の学習用データセット記憶ユニット223に格納される。そして、第3の学習ユニット233では、第3の学習用データセットを用いて、上述した第1の実施の形態の機械学習方法と同様の方法で機械学習が行われ、得られた第3の学習済モデルが学習済モデル記憶ユニット24に記憶される。なお、本実施の形態においては、第3の入力データのうち、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値の3つは1つの値のデータであるのに対し、脱水固形物Mの画像データは画像データを構成する全ピクセルの輝度及び/又は色値であるため、これらはデータの総数が大きく異なる。したがって、これらの入力データをそのまま入力層に対応付けると、得られる推論結果は脱水固形物Mの画像データの影響を極めて大きく受けることになる。そこで、本実施の形態においては、脱水固形物Mの画像データ以外の入力データの影響度合いが小さくなりすぎないよう、第3の入力データを入力層に対応付ける前に、データの数を調整するためのデータの前処理を行うと特に好ましい。また、当該前処理は、学習済モデルの一部として得られたニューラルネットワークモデルと共に学習済モデル記憶ユニット24内に記憶することで、推論の際にも同様に実施することができる。
【0110】
図12は、本開示の第3の実施の形態に係るデータ処理システム80Bを示す概略ブロック図である。本実施の形態に係るデータ処理システム80Bは、
図12に示すように、推論ユニットとして第3の推論ユニット873を備える点と、付加変数取得ユニット89を備える点以外は上述した第1の実施の形態に係るデータ処理システム80と同様の構成要素を備えるものである。
【0111】
付加変数取得ユニット89は、
図12に示すように、分離液監視システム40、被処理液監視システム60及びスクリューコンベアトルク監視システム70に接続され、これらの監視システムから、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を取得するものである。この付加変数取得ユニット89により取得される分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値は、第1の画像データ取得ユニット81が脱水固形物監視システム50から取得する画像データの撮像と同時に取得されたものであることが好ましい。
【0112】
上述した付加変数取得ユニット89を備えるデータ処理システム80Bが適用されたデカンタ1において制御パラメータの調整を行う場合は、上述した
図8に示すものと同様の処理を行えばよい。ただし、
図8に示す処理のうち、ステップS23と同時あるいはその前後の所定タイミングにおいて、付加変数取得ユニット89が分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を取得する。そして、これら3つの値は、第3の推論ユニット873において学習済モデルの入力層に脱水固形物Mの画像データと共に対応付けられる。
【0113】
なお、上述した第3の実施の形態においては、コンピュータPC1は、コントロールユニット30と脱水固形物監視システム50とに加えて、分離液監視システム40と、被処理液監視システム60と、スクリューコンベアトルク監視システム70との3つに接続され、これらから取得される3つの値を、画像データと共に学習用データセットの入力データとして利用しているが、本発明はこれに限定されない。詳しくは、分離液監視システム40と、被処理液監視システム60と、スクリューコンベアトルク監視システム70とにより取得される値のうちの少なくとも1つを学習用データセットの入力データとして利用していればよい。付加変数取得ユニット89により取得される情報の数についても同様である。
【0114】
以上説明した通り、本実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムによれば、入力データとして脱水固形物Mの画像データに加えて、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を採用したことで、ニューラルネットワークモデルの学習段階において、入力データと出力データとの間の相関関係を特定しやすくなる。これにより、十分な精度の推論が可能な各学習済モデルを生成するために必要な学習用データセットの数を抑えることが期待できる。
【0115】
<第4の実施の形態>
上述した通り、第2及び第3の実施の形態は、いずれも十分な精度の推論が可能な学習済モデルを生成するために必要な学習用データセットの数を少なくすることができる態様を示した例である。そして、両実施の形態は組み合わせることが可能である。そこで、上述した第2の実施の形態及び第3の実施の形態において示した技術思想を組み合わせた場合を、本開示の第4の実施の形態として以下に説明する。なお、以下に示す第4の実施の形態に係る機械学習装置20C及びデータ処理システム80Cの各構成要素のうち、第1乃至第3の実施の形態に係る機械学習装置20、20A及び20B、及び、データ処理システム80、80A及び80Bの各構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。また、以下に示す第3の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムは、第1乃至第3の実施の形態に係るものと同様に、
図1及び
図2に示す遠心分離システムに適用した場合を例にとり説明されている。さらに、上述したあるいは後述する実施の形態において述べられた全ての変形例は、矛盾が生じない範囲において本実施の形態にも適用可能なものである。
【0116】
図13は、本開示の第4の実施の形態に係る機械学習装置20Cの概略ブロック図である。本実施の形態に係る機械学習装置20Cは、
図13に示すように、その構成要素としては、学習用データセット記憶ユニットとして、第1の学習用データセット記憶ユニット221と第4の学習用データセット記憶ユニット224とを備え、学習ユニットとして第1の学習ユニット231と第4の学習ユニット234とを備えている点以外は、第1の実施の形態に係る機械学習装置20と同様である。また、これに関連して、学習用データセット取得ユニット21において取得される複数のデータも第1の実施の形態とは異なっている。
【0117】
本実施の形態に係る学習用データセット取得ユニット21は、
図13に示すように、コンピュータPC1に接続され、このコンピュータPC1から所望のデータを取得する。このコンピュータPC1は、第2の実施の形態に係るコンピュータPC1と同様に、コントロールユニット30及び脱水固形物監視システム50Aに接続されているが、これらに加えて、分離液監視システム40、被処理液監視システム60及びスクリューコンベアトルク監視システム70のうちの少なくとも1つにも接続される。コンピュータPC1に接続された、コントロールユニット30、脱水固形物監視システム50A、分離液監視システム40、被処理液監視システム60及びスクリューコンベアトルク監視システム70の具体的な構成は、既に上述した他の実施の形態において例示したものと同様である。そして、本実施の形態における学習用データセット取得ユニット21が取得する複数のデータは、脱水固形物Mの画像データと制御パラメータとに加えて、更に分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値の少なくとも1つと、脱水固形物Mの特徴量とを含んでいる。なお、本実施の形態においては、第3の実施の形態と同様に、コンピュータPC1は、分離液監視システム40、被処理液監視システム60及びスクリューコンベアトルク監視システム70の全てに接続され、学習用データセット取得ユニット21が取得する複数のデータには、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値の全てが含まれるものを例示する。
【0118】
学習用データセット取得ユニット21において取得された複数のデータは、それぞれの対応関係を考慮しつつ、2つの学習用データセットとして第1の学習用データセット記憶ユニット221及び第4の学習用データセット記憶ユニット224内に別々に格納される。第1の学習用データセット記憶ユニット221に格納される第1の学習用データセットは、排出口2aから排出された脱水固形物Mを所定画角から撮像した脱水固形物Mの画像データを第1の入力データとして含み、第1の入力データに対応付けられた脱水固形物Mの特徴量を第1の出力データとして含むものであって良い。また、第4の学習用データセット記憶ユニット224に格納される第4の学習用データセットは、脱水固形物Mの特徴量と、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値とを第4の入力データとして含み、第4の入力データに対応付けられた制御パラメータを第4の出力データとして含むものであって良い。なお、このように複数のデータから2つの学習用データセットを分割生成する際は、例えば、同一の脱水固形物Mに関連付けられた脱水固形物Mの画像データ、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度、スクリューコンベア3のトルク値、脱水固形物Mの特徴量及び制御パラメータを、脱水固形物Mの画像データと脱水固形物Mの特徴量とのセットと、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度、スクリューコンベア3のトルク値及び分離液SLの特徴量と制御パラメータとのセットとに分割して、それぞれを一の第1及び第4の学習用データセットとすればよい。
【0119】
第1の学習用データセット記憶ユニット221及び第4の学習用データセット記憶ユニット224にそれぞれ格納された第1及び第4の学習用データセットは、それぞれ別の学習ユニットにのみ参照されるものである。第1の学習ユニット231は、第1の学習用データセットを複数組入力することで、第1の入力データと第1の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第1の学習用データセット内の脱水固形物Mの画像データを入力することで、この画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習するものである。そして、第4の学習ユニット234は、第4の学習用データセットを複数組入力することで、第4の入力データと第4の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第4の学習用データセット内の画像データの特徴量と、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値とを入力することで、制御パラメータを推論する第4の学習モデルを学習するものである。
【0120】
第1及び第4の学習ユニット231、234における具体的な機械学習方法は、学習に用いる学習用データセットは異なるものの、その工程は
図6に示した教師あり学習の工程といずれも同様である。そして、一連の機械学習工程を経て得られた第1及び第4の学習済モデルは、学習済モデル記憶ユニット24内にそれぞれ記憶される。
【0121】
図14は、本開示の第4の実施の形態に係るデータ処理システム80Cを示す概略ブロック図である。本実施の形態に係るデータ処理システム80Cは、
図14に示すように、演算ユニット83内の推論ユニットとして、第1の推論ユニット871と第4の推論ユニット874とを備え、且つ付加変数取得ユニット89を備える点以外は上述した第1の実施の形態に係るデータ処理システム80と同様の構成要素を備えるものである。
【0122】
付加変数取得ユニット89は、
図14に示すように、分離液監視システム40、被処理液監視システム60及びスクリューコンベアトルク監視システム70に接続され、これらの監視システムから、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を取得するものである。また、第1の推論ユニット871は、上述した機械学習装置20Cで生成され学習済モデル記憶ユニット88内に記憶された第1の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第1の推論ユニット871は、第1の画像データ取得ユニット81において取得された脱水固形物Mの画像データが入力されると、この画像データの特徴量を出力層に出力する。さらに、第4の推論ユニット874は、上述した機械学習装置20Cで生成され学習済モデル記憶ユニット88内に記憶された第4の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第4の推論ユニット874は、第1の推論ユニット871において推論された画像データの特徴量と、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値とが入力されると、制御パラメータを出力層に出力する。
【0123】
上述した付加変数取得ユニット89と第1及び第4の推論ユニット871、874とを含むデータ処理システム80Cが適用されたデカンタ1において制御パラメータの調整を行う場合は、上述した
図8に示すものと同様の処理を行えばよい。ただし、
図8に示す処理のうち、ステップS23と同時あるいはその前後の所定タイミングにおいて、付加変数取得ユニット89が分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を取得する工程を更に含む。また、ステップS24において制御パラメータを推論する際は、先ず第1の推論ユニット871に脱水固形物Mの画像データを入力し、出力された画像データの特徴量を付加変数取得ユニット89において取得した3つの値と共に第4の推論ユニット874に入力する。
【0124】
以上説明した通り、本実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムによれば、十分な精度の推論が可能な各学習済モデルを生成するために必要な学習用データセットの数を、上述した第2及び第3の実施の形態よりも更に抑えることが期待できる。
【0125】
<第5の実施の形態>
上述した第1乃至第4の実施の形態における入力データに含まれる画像データは、いずれも脱水固形物Mの画像データのみである。しかし、入力データとして採用可能な画像データは脱水固形物Mの画像データ以外にも存在する。そこで、以下には第5の実施の形態として、入力データに含まれる画像データとして、脱水固形物Mの画像データに加えて、フロック含有被処理液PL2の画像データを含むものについて説明する。なお、以下に示す第5の実施の形態に係る機械学習装置120及びデータ処理システム180の各構成要素のうち、第1乃至第4の実施の形態に係る機械学習装置20、20A乃至20C、及び、データ処理システム80、80A乃至80Cの各構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。また、以下に示す第5の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムは、第1乃至第4の実施の形態に係るものと同様に、
図1及び
図2に示す遠心分離システムに適用した場合を例にとり説明されている。さらに、上述したあるいは後述する実施の形態において述べられた全ての変形例は、矛盾が生じない範囲において本実施の形態にも適用可能なものである。
【0126】
図15は、本開示の第5の実施の形態に係る機械学習装置120の概略ブロック図である。本実施の形態に係る機械学習装置120は、
図15に示すように、学習用データセット取得ユニット121と、第5の学習用データセット記憶ユニット225と、第5の学習ユニット235と、学習済モデル記憶ユニット124とを含むものである。
【0127】
学習用データセット取得ユニット121は、第1の実施の形態の学習用データセット取得ユニット21と同様のものであって、有線又は無線の通信回線を介して学習用データセットを構成する複数のデータを取得するインタフェースユニットである。この学習用データセット取得ユニット121では、複数のデータとして、脱水固形物Mを撮像した第1の画像データと、フロック含有被処理液PL2を撮像した第2の画像データと、これらの画像データに対応付けられる制御パラメータを取得している。また、本実施の形態に係る制御パラメータとしては、被処理液PL1へ添加される薬剤の供給量、ボウル2の遠心力及び差速発生装置5により制御される差速を含むものを例示する。
【0128】
この学習用データセット取得ユニット121において取得される複数のデータの取得方法の一例を説明する。学習用データセット取得ユニット121は、
図15に示すように、コンピュータPC1に接続され、このコンピュータPC1から所望のデータを取得する。このコンピュータPC1は、コントロールユニット30及び脱水固形物監視システム50に加えて、被処理液配管10bに設置された被処理液監視システム60にも直接又はコントロールユニット30を介して間接的に接続されている。これにより、コントロールユニット30より各制御パラメータを、脱水固形物監視システム50より第1の画像データを、そして被処理液監視システム60より第2の画像データをそれぞれ取得することができる。
【0129】
ここで、本実施の形態に係る被処理液監視システム60としては、
図15に示すように、被処理液配管10bの少なくとも添加物配管11cとの接続位置よりも下流の任意箇所に連結されたサイトグラス61と、サイトグラス61に設けられた窓62に所定画角で設置され、サイトグラス61内を流れるフロック含有被処理液PL2の画像データを撮像可能なフロック含有被処理液撮像用カメラ63とを含むものを採用することができる。このうち、フロック含有被処理液撮像用カメラ63には、二次元画像を撮像可能な周知のカメラを採用することができる。また、この被処理液監視システム60においては、フロック含有被処理液撮像用カメラ63により撮像される画像データにフロック含有被処理液PL2の状態が反映されやすいよう、サイトグラス61内のフロック含有被処理液PL2を照らす図示しない光源や、フロック含有被処理液撮像用カメラ63に取り付け可能な図示しない偏光フィルタを適宜採用することができる。なお、被処理液監視システム60の構成はこれに限定されるものではなくフロック含有被処理液PL2の画像データを取得可能な構成であれば種々の構成を採用することができる。具体例としては、例えば薬剤が給液管9に接続された添加物配管11cを介して供給される場合には、フロック含有被処理液撮像用カメラ63をスクリューコンベア3内部の空間3c内を撮像可能な位置に配置した構成を採用してもよいし、例えば後述する
図19に示す被処理液監視システム60Aのような構成を採用してもよい。
【0130】
図16は、本開示の第5の実施の形態に係る被処理液監視システム60のフロック含有被処理液撮像用カメラ63により得られた画像データの例を示したものである。ところで、遠心分離システムにより固液分離処理を行う際、デカンタ1に投入される被処理液内の固形物成分が薬液によって十分に凝集されていると、固形物成分と液体成分を良好に分離できることが一般に知られている。また、被処理液監視システム60によって得られる第2の画像データにおいて、フロック含有被処理液PL2のフロック凝集が良好に行われていると、一のフロック凝集体が粗大化すると共に、フロック凝集体が存在しない領域の透明度が高くなる傾向がある。したがって、
図16に示すように、フロック含有被処理液PL2中のフロック凝集反応が良好に進んでいる画像データ(例えば
図16(b)に示すもの)は、例えば薬剤供給量が不足している等の理由により反応が良好に進んでいない画像データ(例えば
図16(a)に示すもの)に比べて、ピクセル間の色味の変化量が増加する傾向があると推測できる。
【0131】
第5の学習用データセット記憶ユニット225は、学習用データセット取得ユニット121で取得した学習用データセットを構成する複数のデータを、関連する入力データと出力データとを関連付けて1つの学習用データセットとし、格納するためのデータベースである。本実施の形態において第5の学習用データセット記憶ユニット225内に格納される第5の学習用データセットとしては、排出口2aから排出された脱水固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データと、ボウル2に供給される前であって且つ薬剤が添加された後のフロック含有被処理液PL2を所定画角から撮像した第2の画像データとを第5の入力データとし、第5の入力データとしての画像データに対応付けられた制御パラメータを第5の出力データとしたものとすることができる。この制御パラメータとしては、上述した第1の実施の形態と同様に、ボウル2の遠心力、添加物供給源11からの薬剤の供給量、及びボウル2とスクリューコンベア3との差速の少なくとも1つを含むものであってよい。
【0132】
第5の学習ユニット235は、第5の学習用データセット記憶ユニット225に記憶された第5の学習用データセットを複数組入力することで、第5の入力データと第5の出力データとの間の相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様、機械学習の具体的な手法としてニューラルネットワークを用いた教師あり学習を採用している。この第5の学習ユニット235における具体的な機械学習方法は、学習に用いる学習用データセットが異なるものの、その工程は
図6に示した第1の実施の形態に係る機械学習方法と同様である。また、学習済モデル記憶ユニット124は、第5の学習ユニット235で生成された学習済モデルを記憶するためのデータベースである。
【0133】
図17は、本開示の第5の実施の形態に係るデータ処理システム180を示す概略ブロック図である。本実施の形態に係るデータ処理システム180は、
図17に示すように、主に第1の画像データ取得ユニット81と、第2の画像データ取得ユニット181と、パラメータ調整ユニット82と、演算ユニット183と、データベース84と、ユーザインタフェース85と、内部バス86とを含むものである。なお、上述した各構成要素のうち、第1の画像データ取得ユニット81、パラメータ調整ユニット82、データベース84、ユーザインタフェース85及び内部バス86は、上述した第1の実施の形態に係るデータ処理システム80のものと同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0134】
第2の画像データ取得ユニット181は、第2の画像データを取得するためのものである。具体的には、被処理液監視システム60に接続されて、フロック含有被処理液撮像用カメラ63により撮像されたフロック含有被処理液PL2の画像データである第2の画像データを取得するものである。
【0135】
演算ユニット183は、データ処理システム180における各種処理を実現するためのプロセッサを構成するものであり、少なくとも第5の推論ユニット875を含んでいる。また、この演算ユニット183は、第5の推論ユニット875において利用する学習済モデル、すなわち第5の学習ユニット235において学習された第5の学習済モデルを格納した学習済モデル記憶ユニット188に接続されている。第5の推論ユニット875は、学習済モデル記憶ユニット188に格納された一の学習済モデルを参酌することで、第1及び第2の画像データ取得ユニット81、181で取得した状態変数としての第1及び第2の画像データから、パラメータ調整ユニット82により調整を行う制御パラメータを推論するものである。
【0136】
図18は、本開示の第5の実施の形態に係るデータ処理システムによるパラメータ調整の例を示すフローチャートである。データ処理システム180が適用されたデカンタ1の駆動が開始されると、
図18に示すように、先ずデータ処理システム180は、パラメータ調整のタイミングであるか否かを判断する(ステップS21)。パラメータ調整のタイミングであることを検知すると(ステップS21でYes)、脱水固形物監視システム50内の脱水固形物撮像用カメラ53と、被処理液監視システム60内のフロック含有被処理液撮像用カメラ63とを動作させて、固形物排出導管7内を通過する脱水固形物Mと、被処理液配管10b内を流れるフロック含有被処理液PL2とを撮像する(ステップS221)。ここで撮像された第1及び第2の画像データは、第1及び第2の画像データ取得ユニット81、181によりデータ処理システム180内に取得される(ステップS231)。
【0137】
次いで、第1及び第2の画像データ取得ユニット81、181で取得した第1及び第2の画像データは、内部バス86を介して第5の推論ユニット875に送られ、これらの画像データが第5の推論ユニット875において予め特定された学習済モデル記憶ユニット188内の一の学習済モデルの入力層に入力されることにより、制御パラメータを推論する(ステップS24)。そして、ここで推論された制御パラメータの値を用いて、パラメータ調整ユニット82が各制御ユニットを調整する(ステップS25)。その後、ステップS21に戻って待機状態となる。
【0138】
以上説明した通り、本実施の形態に係る機械学習装置120及び機械学習方法によれば、入力データとして2つの画像データを採用することで、入力データと出力データとの間の相関関係が学習しやすくなり、比較的少ない学習用データセットの数で、十分な精度の推論が可能な各学習済モデルを生成することができる。また、本実施の形態に係るデータ処理システム180によれば、脱水固形物Mの画像データ及びフロック含有被処理液PL2の画像データという2つの画像データのみから、デカンタ1の好ましい制御パラメータを推定できるため、このデータ処理システム180を比較的簡単にデカンタ1に適用することができる。そして、制御パラメータの調整をオペレータENの判断に依存することなく簡単に行うことができるようになる。
【0139】
<第6の実施の形態>
上記第5の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムにおいては、1つの学習済モデルを用いて第1及び第2の画像データから制御パラメータを推論するものについて説明を行った。以下には、上記第5の実施の形態の変形例として、第1及び第2の画像データから制御パラメータを推論するために複数の学習済モデルを利用する場合を、本開示の第6の実施の形態として以下に説明する。なお、以下に示す第6の実施の形態に係る機械学習装置120A及びデータ処理システム180Aの各構成要素のうち、第5の実施の形態に係る機械学習装置120及びデータ処理システム180の各構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。また、以下に示す第6の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムは、第1乃至第5の実施の形態に係るものと同様に、
図1及び
図2に示す遠心分離システムに適用した場合を例にとり説明されている。さらに、上述したあるいは後述する各実施の形態において説示された全ての変形例は、矛盾が生じない範囲において本実施の形態にも適用可能なものである。
【0140】
図19は、本開示の第6の実施の形態に係る機械学習装置120Aの概略ブロック図である。本実施の形態に係る機械学習装置120Aは、
図19に示すように、その構成要素としては、学習用データセット記憶ユニットとして、第1の学習用データセット記憶ユニット221と第6の学習用データセット記憶ユニット226と第7の学習用データセット記憶ユニット227を備え、学習ユニットとして第1の学習ユニット231と第6の学習ユニット236と第7の学習ユニット237を備えている点以外は、第5の実施の形態に係る機械学習装置120と同様である。また、これに関連して、学習用データセット取得ユニット121において取得される複数のデータも第5の実施の形態のものとは異なっている。なお、第1の学習用データセット記憶ユニット221及び第1の学習ユニット231については、上述した第2の実施の形態に係る機械学習装置20Aにおいて述べたものと同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0141】
本実施の形態に係る学習用データセット取得ユニット121が取得する複数のデータは、第1及び第2の画像データと、制御パラメータとに加えて、更に脱水固形物Mの特徴量と、フロック含有被処理液PL2を撮像した第2の画像データの特徴量(以下、「フロック含有被処理液PL2の特徴量」ともいう)とを含んでいる。フロック含有被処理液PL2の特徴量としては、撮像されたフロック含有被処理液PL2に基づいて特定される種々の情報を採用することができる。具体的には、例えばフロック凝集体の大きさ、色値、密度等を1又は複数含むことができる。この特徴量は、例えばフロック含有被処理液PL2を実際にサンプリングして各種測定器等を用いて測定・分析することにより、あるいはオペレータENが目視で判断することにより、特定することができる。
【0142】
上述した特徴量を測定等するために、本実施の形態に係る被処理液監視システム60Aには、フロック含有被処理液PL2をサンプリング抽出した上で第2の画像データを取得する構成を採用することが好ましい。具体的には、この被処理液監視システム60Aとして、被処理液配管10bに設けられた分岐管64と、この分岐管64に設けられたバルブ65と、分岐管64の端部に配置された透明な容器66と、透明な容器66の側面に設置されたフロック含有被処理液撮像用カメラ63とを含むものを採用することができる。なお、フロック含有被処理液撮像用カメラ63の配置はこれに限定されるものではなく、例えば容器66を上方から撮像可能な位置に設置されていてもよい。このような構成を備える被処理液監視システム60Aにおいては、任意のタイミングでバルブ65を開くことで、被処理液配管10b内を流れるフロック含有被処理液PL2が透明な容器66内にサンプリング抽出される。そして、この容器66内のフロック含有被処理液PL2をフロック含有被処理液撮像用カメラ63により撮像してフロック含有被処理液PL2の画像データを生成し、対応する所望の制御パラメータがオペレータENにより特定される。さらには、容器66内にサンプリングされたフロック含有被処理液PL2の測定・分析等を行えばこのフロック含有被処理液PL2の特徴量を特定することができる。
【0143】
学習用データセット取得ユニット121において取得された複数のデータは、それぞれの対応関係を考慮しつつ、3つの学習用データセットとして第1の学習用データセット記憶ユニット221、第6の学習用データセット記憶ユニット226及び第7の学習用データセット記憶ユニット227内に別々に格納される。第1の学習用データセット記憶ユニット221に格納される第1の学習用データセットは、排出口2aから排出された脱水固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データを第1の入力データとして含み、第1の入力データに対応付けられた脱水固形物Mの特徴量を第1の出力データとして含むものであって良い。また、第6の学習用データセット記憶ユニット226に格納される第6の学習用データセットは、ボウル2に供給される前であって且つ薬剤が添加された後のフロック含有被処理液PL2を所定画角から撮像した第2の画像データを第6の入力データとして含み、第6の入力データに対応付けられたフロック含有被処理液PL2の特徴量を第6の出力データとして含むものであって良い。さらに、第7の学習用データセット記憶ユニット227に格納される第7の学習用データセットは、脱水固形物Mの特徴量とフロック含有被処理液PL2の特徴量とを第7の入力データとして含み、第7の入力データに対応付けられた制御パラメータを第7の出力データとして含むものであって良い。
【0144】
第1の学習用データセット記憶ユニット221、第6の学習用データセット記憶ユニット226及び第7の学習用データセット記憶ユニット227にそれぞれ格納された第1、第6及び第7の学習用データセットは、それぞれ別の学習ユニットにのみ参照されるものである。第1の学習ユニット231は、第1の学習用データセットを複数組入力することで、第1の入力データと第1の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第1の学習用データセット内の第1の画像データを入力することで、第1の画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習するものである。また、第6の学習ユニット236は、第6の学習用データセットを複数組入力することで、第6の入力データと第6の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第6の学習用データセット内の第2の画像データを入力することで、第2の画像データの特徴量を推論する第6の学習モデルを学習するものである。さらに、第7の学習ユニット237は、第7の学習用データセットを複数組入力することで、第7の入力データと第7の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第7の学習用データセット内の第1及び第2の画像データの特徴量を入力することで、制御パラメータを推論する第7の学習モデルを学習するものである。
【0145】
第1、第6及び第7の学習ユニット231、236及び237における具体的な機械学習方法は、学習に用いる学習用データセットは異なるものの、その工程は
図6に示した教師あり学習の工程といずれも同様である。そして、一連の機械学習工程を経て得られた第1、第6及び第7の学習済モデルは、学習済モデル記憶ユニット124内にそれぞれ記憶される。
【0146】
図20は、本開示の第6の実施の形態に係るデータ処理システム180Aを示す概略ブロック図である。本実施の形態に係るデータ処理システム180Aは、
図20に示すように、演算ユニット183内の推論ユニットとして、第1の推論ユニット871と第6の推論ユニット876と第7の推論ユニット877を備える点以外は上述した第5の実施の形態に係るデータ処理システム180と同様の構成要素を備えるものである。
【0147】
第1の推論ユニット871は、上述した機械学習装置120Aで生成され学習済モデル記憶ユニット188内に記憶された第1の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第1の推論ユニット871は、第1の画像データ取得ユニット81において取得された第1の画像データが入力されると、第1の画像データの特徴量を出力層に出力する。また、第6の推論ユニット876は、上述した機械学習装置120Aで生成され学習済モデル記憶ユニット188内に記憶された第6の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第6の推論ユニット876は、第2の画像データ取得ユニット181において取得された第2の画像データが入力されると、第2の画像データの特徴量を出力層に出力する。さらに、第7の推論ユニット877は、上述した機械学習装置120Aで生成され学習済モデル記憶ユニット188内に記憶された第7の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第7の推論ユニット877は、第1の推論ユニット871及び第6の推論ユニット876において推論された第1及び第2の画像データの特徴量が入力されると、制御パラメータを出力層に出力する。
【0148】
上述した第1、第6及び第7の推論ユニット871、876及び877を含むデータ処理システム180Aが適用されたデカンタ1において制御パラメータの調整を行う場合は、上述した
図18に示すものと同様の処理を行えばよい。ただし、
図18に示す処理のうち、ステップS24において制御パラメータを推論する際は、先ず第1の推論ユニット871と第6の推論ユニット876に第1及び第2の画像データを入力し、出力された第1及び第2の画像データの特徴量を第7の推論ユニット877に入力する。
【0149】
以上説明した通り、本実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムによれば、複数の学習済モデルを用いて制御パラメータの推論結果を得ることで、十分な精度の推論が可能な各学習済モデルを生成するために必要な学習用データセットの数を相対的に抑えることが期待できる。
【0150】
<第7の実施の形態>
上記第5の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムにおいては、第1及び第2の画像データのみから制御パラメータを推論する場合について説明を行った。以下には、上記第5の実施の形態の変形例として、入力データとして、第1及び第2の画像データに加えて更に他の変数を採用した場合を、本開示の第7の実施の形態として以下に説明する。なお、以下に示す第7の実施の形態に係る機械学習装置120B及びデータ処理システム180Bの各構成要素のうち、第5及び第6の実施の形態に係る機械学習装置120、120A及びデータ処理システム180、180Aの各構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。また、以下に示す第7の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムは、第1乃至第6の実施の形態に係るものと同様に、
図1及び
図2に示す遠心分離システムに適用した場合を例にとり説明されている。さらに、上述したあるいは後述する各実施の形態において説示された全ての変形例は、矛盾が生じない範囲において本実施の形態にも適用可能なものである。
【0151】
図21は、本開示の第7の実施の形態に係る機械学習装置120Bの概略ブロック図である。本実施の形態に係る機械学習装置120Bは、
図21に示すように、各構成要素については、学習用データセット記憶ユニットとして第8の学習用データセット記憶ユニット228を備え、学習ユニットとして第8の学習ユニット238を備える点以外は上述した第5の実施の形態に係る機械学習装置120と同様である。また、学習用データセット取得ユニット121において取得される複数のデータも第5の実施の形態のものとは異なる。本実施の形態に係る学習用データセット取得ユニット121は、
図21に示すように、コンピュータPC1に接続され、このコンピュータPC1から所望のデータを取得する。このコンピュータPC1は、第5の実施の形態に係るコンピュータPC1と同様に、コントロールユニット30、脱水固形物監視システム50及び被処理液監視システム60に接続されているが、これらに加えて、分離液監視システム40、被処理液濃度センサ67及びスクリューコンベアトルク監視システム70の少なくとも1つにも接続される。このうち、被処理液濃度センサ67は、例えば被処理液配管10bの特に添加物配管11cと合流する前の所定位置に配置され、被処理液供給源10から供給される被処理液PL1のスラリー濃度を直接測定するものであってよい。この被処理液濃度センサ67としては、例えば周知のレーザー式、光学式、あるいは超音波式の濃度センサを用いることができる。なお、本実施の形態においては、コンピュータPC1は、分離液監視システム40、被処理液濃度センサ67及びスクリューコンベアトルク監視システム70の全てに接続され、学習用データセット取得ユニット121が取得する複数のデータには、被処理液PL1のスラリー濃度と分離液SLの濃度とスクリューコンベア3のトルク値とが含まれるものについて例示する。また、分離液監視システム40及びスクリューコンベアトルク監視システム70は、上述の第3の実施の形態において例示したものと同様のものであって良く、ここではその詳細な説明は省略する。さらに、被処理液濃度センサ67は
図2では図示を省略している。
【0152】
これらの監視システム等により取得される各種データ、詳しくは、第1及び第2の画像データ、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値が、直接、あるいはコントロールユニット30を介してコンピュータPC1に送られ、このコンピュータPC1より、対応する所望の制御パラメータと共に学習用データセット取得ユニット121に送られる。学習用データセット取得ユニット121で取得した学習用データセットを構成する複数のデータは、第1及び第2の画像データと、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値とを第8の入力データとし、これらのデータに対応付けられた制御パラメータを第8の出力データとする第8の学習用データセットの形式で、第8の学習用データセット記憶ユニット228に格納される。そして、第8の学習ユニット238では、第8の学習用データセットを用いて、上述した第5の実施の形態の機械学習方法と同様の方法で機械学習が行われ、得られた第8の学習済モデルが学習済モデル記憶ユニット124に記憶される。
【0153】
図22は、本開示の第7の実施の形態に係るデータ処理システム180Bを示す概略ブロック図である。本実施の形態に係るデータ処理システム180Bは、
図22に示すように、推論ユニットとして第8の推論ユニット878を備える点と、付加変数取得ユニット89を備える点以外は上述した第5の実施の形態に係るデータ処理システム180と同様の構成要素を備えるものである。このうち、付加変数取得ユニット89は、
図22に示すように、分離液監視システム40、被処理液濃度センサ67及びスクリューコンベアトルク監視システム70に接続され、これらから、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を取得するものである。
【0154】
このデータ処理システム180Bが適用されたデカンタ1において制御パラメータの調整を行う場合は、上述した
図18に示すものと同様の処理を行えばよい。ただし、
図18に示す処理のうち、ステップS231と同時あるいはその前後の所定タイミングにおいて、付加変数取得ユニット89が分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を取得する。そして、これらの値は、第8の推論ユニット878において学習済モデルの入力層に第1及び第2の画像データと共に対応付けられる。
【0155】
以上説明した通り、本実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムによれば、入力データとして、第1及び第2の画像データに加えて、分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を採用したことで、ニューラルネットワークモデルの学習段階において、入力データと出力データとの間の相関関係を特定しやすくなる。これにより、十分な精度の推論が可能な各学習済モデルを生成するために必要な学習用データセットの数を抑えることが期待できる。
【0156】
<第8の実施の形態>
次に、上記第6及び第7の実施の形態において説示した技術思想を組み合わせた場合について、本開示の第8の実施の形態として以下に説明する。なお、以下に示す第8の実施の形態に係る機械学習装置120C及びデータ処理システム180Cの各構成要素のうち、第5乃至第7の実施の形態に係る機械学習装置120、120A、120B及びデータ処理システム180、180A、180Bの各構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。また、以下に示す第8の実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムは、第1乃至第7の実施の形態に係るものと同様に、
図1及び
図2に示す遠心分離システムに適用した場合を例にとり説明されている。さらに、上述したあるいは後述する各実施の形態において説示された全ての変形例は、矛盾が生じない範囲において本実施の形態にも適用可能なものである。
【0157】
図23は、本開示の第8の実施の形態に係る機械学習装置120Cの概略ブロック図である。本実施の形態に係る機械学習装置120Cは、
図23に示すように、その構成要素としては、学習用データセット記憶ユニットとして、第1の学習用データセット記憶ユニット221と第6の学習用データセット記憶ユニット226と第9の学習用データセット記憶ユニット229とを備え、学習ユニットとして第1の学習ユニット231と第6の学習ユニット236と第9の学習ユニット239とを備えている点以外は、第5の実施の形態に係る機械学習装置120と同様である。また、これに関連して、学習用データセット取得ユニット121において取得される複数のデータも第5の実施の形態とは異なっている。
【0158】
本実施の形態に係る学習用データセット取得ユニット121は、
図23に示すように、コンピュータPC1に接続され、このコンピュータPC1から所望のデータを取得する。このコンピュータPC1は、第5の実施の形態に係るコンピュータPC1と同様に、コントロールユニット30、脱水固形物監視システム50A及び被処理液監視システム60Aに接続されているが、これらに加えて、分離液監視システム40、被処理液濃度センサ67及びスクリューコンベアトルク監視システム70のうちの少なくとも1つにも接続される。コンピュータPC1に接続された、コントロールユニット30、脱水固形物監視システム50A、被処理液監視システム60A、分離液監視システム40、被処理液濃度センサ67及びスクリューコンベアトルク監視システム70の具体的な構成は、既に上述した他の実施の形態において例示したものと同様である。そして、本実施の形態における学習用データセット取得ユニット121が取得する複数のデータは、第1及び第2の画像データと、制御パラメータとに加えて、更に分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値の少なくとも1つと、脱水固形物Mの特徴量と、フロック含有被処理液PL2の特徴量とを含んでいる。なお、本実施の形態においては、第7の実施の形態と同様に、コンピュータPC1は、分離液監視システム40、被処理液濃度センサ67及びスクリューコンベアトルク監視システム70の全てに接続され、学習用データセット取得ユニット121が取得する複数のデータには、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値とが含まれるものを例示する。
【0159】
学習用データセット取得ユニット121において取得された複数のデータは、それぞれの対応関係を考慮しつつ、3つの学習用データセットとして第1の学習用データセット記憶ユニット221、第6の学習用データセット記憶ユニット226及び第9の学習用データセット記憶ユニット229内に別々に格納される。第1の学習用データセット記憶ユニット221に格納される第1の学習用データセットは、排出口2a内から排出された脱水固形物Mを所定画角から撮像した第1の画像データを第1の入力データとして含み、第1の入力データに対応付けられた第1の画像データの特徴量を第1の出力データとして含むものであって良い。また、第6の学習用データセット記憶ユニット226に格納される第6の学習用データセットは、ボウル2に供給される前であって且つ薬剤が添加されたフロック含有被処理液PL2を所定画角から撮像した第2の画像データを第6の入力データとして含み、第6の入力データに対応付けられた第2の画像データの特徴量を第6の出力データとして含むものであって良い。さらに、第9の学習用データセット記憶ユニット229に格納される第9の学習用データセットは、第1の画像データの特徴量と、第2の画像データの特徴量と、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値とを第9の入力データとして含み、第9の入力データに対応付けられた制御パラメータを第9の出力データとして含むものであって良い。
【0160】
第1の学習用データセット記憶ユニット221、第6の学習用データセット記憶ユニット226及び第9の学習用データセット記憶ユニット229にそれぞれ格納された第1、第6及び第9の学習用データセットは、それぞれ別の学習ユニットにのみ参照されるものである。第1の学習ユニット231は、第1の学習用データセットを複数組入力することで、第1の入力データと第1の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第1の学習用データセット内の第1の画像データを入力することで、第1の画像データの特徴量を推論する第1の学習モデルを学習するものである。また、第6の学習ユニット236は、第6の学習用データセットを複数組入力することで、第6の入力データと第6の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第6の学習用データセット内の第2の画像データを入力することで、第2の画像データの特徴量を推論する第6の学習モデルを学習するものである。そして、第9の学習ユニット239は、第9の学習用データセットを複数組入力することで、第9の入力データと第9の出力データとの相関関係を推論する学習モデルを学習するものである。言い換えれば、第9の学習用データセット内の第1及び第2画像データの特徴量と、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値とを入力することで、制御パラメータを推論する第9の学習モデルを学習するものである。
【0161】
第1、第6及び第9の学習ユニット231、236及び239における具体的な機械学習方法は、学習に用いる学習用データセットは異なるものの、その工程は
図6に示した教師あり学習の工程といずれも同様である。そして、一連の機械学習工程を経て得られた第1、第6及び第9の学習済モデルは、学習済モデル記憶ユニット124内にそれぞれ記憶される。
【0162】
図24は、本開示の第8の実施の形態に係るデータ処理システム180Cを示す概略ブロック図である。本実施の形態に係るデータ処理システム180Cは、
図24に示すように、演算ユニット183内の推論ユニットとして、第1の推論ユニット871と第6の推論ユニット876と第9の推論ユニット879とを備え、且つ付加変数取得ユニット89を備える点以外は上述した第5の実施の形態に係るデータ処理システム180と同様の構成要素を備えるものである。このうち、付加変数取得ユニット89は、上記第7の実施の形態において述べたものと同様のものを採用することができる。
【0163】
第1の推論ユニット871は、上述した機械学習装置120Cで生成され学習済モデル記憶ユニット188内に記憶された第1の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第1の推論ユニット871は、第1の画像データ取得ユニット81において取得された第1の画像データが入力されると、第1の画像データの特徴量を出力層に出力する。また、第6の推論ユニット876は、上述した機械学習装置120Cで生成され学習済モデル記憶ユニット188内に記憶された第6の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第6の推論ユニット876は、第2の画像データ取得ユニット181において取得された第2の画像データが入力されると、第2の画像データの特徴量を出力層に出力する。さらに、第9の推論ユニット879は、上述した機械学習装置120Cで生成され学習済モデル記憶ユニット188内に記憶された第9の学習済モデルを用いて推論を実行するものである。したがって、この第9の推論ユニット879は、第1の推論ユニット871において推論された第1の画像データの特徴量と、第6の推論ユニット876において推論された第2の画像データの特徴量と、分離液SLの濃度と、被処理液PL1のスラリー濃度と、スクリューコンベア3のトルク値とが入力されると、制御パラメータを出力層に出力する。
【0164】
上述した付加変数取得ユニット89と第1、第6及び第9の推論ユニット871、876及び879とを含むデータ処理システム180Cが適用されたデカンタ1において制御パラメータの調整を行う場合は、上述した
図18に示すものと同様の処理を行えばよい。ただし、
図18に示す処理のうち、ステップS231と同時あるいはその前後の所定タイミングにおいて、付加変数取得ユニット89が分離液SLの濃度、被処理液PL1のスラリー濃度及びスクリューコンベア3のトルク値を取得する工程を更に含む。また、ステップS24において制御パラメータを推論する際は、先ず第1の推論ユニット871と第6の推論ユニット876に第1及び第2の画像データをそれぞれ入力し、出力された第1及び第2の画像データの特徴量を付加変数取得ユニット89において取得した3つの値と共に第9の推論ユニット879に入力する。
【0165】
以上説明した通り、本実施の形態に係る機械学習装置、機械学習方法及びデータ処理システムによれば、十分な精度の推論が可能な各学習済モデルを生成するために必要な学習用データセットの数を、上述した第6及び第7の実施の形態よりも更に抑えることが期待できる。
【0166】
上述した実施の形態は一例を示したものに過ぎず、以って本開示は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。また、本開示において、各構成要素は、矛盾が生じない限りは1つのみ存在しても2つ以上存在してもよい。
【符号の説明】
【0167】
1 デカンタ(遠心分離システム)
2 ボウル
2a 固形物排出口
2b 分離液排出口
2c ダム
3 スクリューコンベア
3c 空間
4 駆動モータ
5 差速発生装置
6 ケーシング
6a 固形物シュート
6b 分離液シュート
7 固形物排出導管
7a 主搬送路
8 分離液排出導管
9 給液管
10 被処理液供給源
10b 被処理液配管
11 添加物供給源
11c 添加物配管
20、20A~C、120、120A~C 機械学習装置
21、121 学習用データセット取得ユニット
22、221~229 学習用データセット記憶ユニット
23、231~239 学習ユニット
24、124 学習済モデル記憶ユニット
30 コントロールユニット
40 分離液監視システム
50、50A 脱水固形物監視システム
60、60A 被処理液監視システム
67 被処理液濃度センサ
70 スクリューコンベアトルク監視システム
80、80A~C、180、180A~C データ処理システム
81 第1の画像データ取得ユニット
181 第2の画像データ取得ユニット
82 パラメータ調整ユニット
83、183 演算ユニット
87、871~879 推論ユニット
88、188 学習済モデル記憶ユニット
89 付加変数取得ユニット
SL 分離液
M 液体含有固形物(脱水固形物)
PL1 被処理液
PL2 フロック含有被処理液