(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】原稿搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/02 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
B65H31/02
(21)【出願番号】P 2020170738
(22)【出願日】2020-10-08
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】大歳 武法
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231305(JP,A)
【文献】特開2013-062793(JP,A)
【文献】特開2017-208704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原稿を載置可能な原稿載置部と、
前記原稿載置部に載置された原稿を搬送する原稿搬送路と、
前記原稿載置部に載置された原稿を前記原稿搬送路に給紙する給紙部と、
前記原稿搬送路および前記給紙部の原稿搬送方向と直交する方向の側面を覆うカバーと、
前記原稿載置部に関する情報を報知する報知部と、
を備え、
前記カバーは、
前記原稿搬送方向に沿って配置される第1側面と、前記第1側面の前記給紙部側の端部から、前記原稿載置部に向かって配置される第2側面とを有し、
前記報知部は、
前記情報を光によって表示する表示部を有し、
前記表示部は、
前記第1側面に配置される第1表示部、および、前記第2側面において前記原稿載置部に向かって配置される第2表示部を有し、
前記第1表示部および前記第2表示部は、
それぞれ水平方向の長さが上下方向の長さよりも長
く、前記カバーの上部で前記原稿載置部よりも上方に設けられていることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記第1側面および前記第2側面は、連続するように形成されており、
前記第1表示部および前記第2表示部は、一体に形成されている、
請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記第1表示部および前記第2表示部は、それぞれ、前記第1側面および前記第2側面に個別に配置されている、
請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記第2側面は、
前記第2表示部に隣接しているとともに、前記第2表示部よりも前記原稿載置部に近い領域において、前記第2表示部からの光を前記原稿載置部側に出射させる凹部を有
し、
前記凹部は、前記第2表示部の前記原稿載置部に近い側の側面を含み、かつ、前記原稿搬送方向の反対側が解放されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記給紙部および前記原稿搬送路の上面側を被覆する上面カバーをさらに備え、
前記上面カバーは、前記給紙部によって給紙される原稿が通過する原稿通過部の上端部を構成する上面カバー端部を有し、
前記表示部は、実質的に、前記上面カバー端部の延長線上に配置されている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記報知部は、
前記表示部に対して発光する光源を有し、
前記表示部は、前記光源からの光を透過させる透光性を有しているとともに、前記カバーの外面よりも外方に突出する突出部を有する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記光源からの光を乱反射させる微少な凹凸部を有する、
請求項6に記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
前記報知部は、
前記光源および前記表示部を前記カバーに取り付けるための支持ケースを有し、
前記支持ケースは、
前記表示部が取り付けられる第1開口部と、
前記光源からの光が前記第1開口部以外から出射されないように遮光する壁部と、を有する、
請求項6または請求項7に記載の原稿搬送装置。
【請求項9】
前記支持ケースは、
前記光源が取り付けられる第2開口部、を有し、
前記第2開口部は、前記第1開口部に対向する位置に設けられている、
請求項8に記載の原稿搬送装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載された原稿搬送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿搬送装置、および原稿搬送装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿搬送装置(ADF、Auto Document Feeder)を備えた画像形成装置が知られている。原稿搬送装置は、操作者が操作する操作部(操作パネル)よりも上方に配置されている。原稿を載置するための原稿載置部は、操作パネル側から見て操作パネルよりも奥側に配置されている。
【0003】
このため、原稿載置部に載置された原稿は操作者からやや見にくい位置となる。操作者が原稿載置部にセットもしくは残された原稿に気づかずに原稿搬送装置を上方に傾けて開放した場合、原稿載置部から原稿が落下することがある。
【0004】
特許文献1には、画像形成装置のガラス製の原稿台に原稿がセットされている状態において、原稿載置部に原稿をセットした場合、操作パネルに配置された報知ランプが点灯する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された報知ランプは、操作パネルに配置されており、原稿載置部から離れた位置に配置されている。このため、報知ランプが点灯しても、操作者が報知ランプの点灯を見落とす場合や、操作者が報知ランプの点灯に気づいた場合でも、報知ランプによって報知される情報の意図を理解しにくい場合があった。
【0007】
本発明の目的は、報知部によって操作者の視線を原稿載置部に誘導するとともに、報知部によって報知される情報が原稿載置部に関する情報であること、および報知される情報の意図を操作者に理解させやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の原稿搬送装置は、
複数の原稿を載置可能な原稿載置部と、
前記原稿載置部に載置された原稿を搬送する原稿搬送路と、
前記原稿載置部に載置された原稿を前記原稿搬送路に給紙する給紙部と、
前記原稿搬送路および前記給紙部の原稿搬送方向と直交する方向の側面を覆うカバーと、
前記原稿載置部に関する情報を報知する報知部と、
を備え、
前記カバーは、
前記原稿搬送方向に沿って配置される第1側面と、前記第1側面の前記給紙部側の端部から、前記原稿載置部に向かって配置される第2側面とを有し、
前記報知部は、
前記情報を光によって表示する表示部を有し、
前記表示部は、
前記第1側面に配置される第1表示部、および前記第2側面において前記原稿載置部に向かって配置される第2表示部を有し、
前記第1表示部および前記第2表示部は、
それぞれ水平方向の長さが上下方向の長さよりも長い、ことを特徴とする(第1の構成)。
【0009】
上記構成によれば、原稿載置部に関する情報を光によって報知する表示部が、原稿搬送路および給紙部の原稿搬送方向と直交する方向の側面を覆うカバーにおける、第1側面および第2側面に設けられている。また、第1側面に配置される第1表示部、および第2側面において原稿載置部に向かって配置される第2表示部は、それぞれ水平方向の長さが上下方向の長さよりも長い。このため、報知部の表示部によって操作者の視線を原稿載置部に誘導することができ、報知部によって報知される情報が原稿載置部に関する情報であること、および報知される情報の意図を操作者に理解させやすくすることができる。
【0010】
上記第1の構成において、
前記第1側面および前記第2側面は、連続するように形成されており、
前記第1表示部および前記第2表示部は、一体に形成されていてもよい(第2の構成)。
【0011】
上記構成によれば、表示部を構成する第1表示部および第2表示部が一体として形成されている。このため、操作者の視線を表示部が延びている方向の先に配置されている原稿載置部へ誘導しやすくすることができる。
【0012】
上記第1の構成において、
前記第1表示部および前記第2表示部は、それぞれ、前記第1側面および前記第2側面に個別に配置されていてもよい(第3の構成)。
【0013】
上記構成によれば、表示部を構成する第1表示部および第2表示部が第1側面および第2側面に個別に配置されている。このため、操作者の視線を第1表示部および第2表示部が並んだ方向の先に配置されている原稿載置部へ誘導しやすくすることができる。
【0014】
上記第1から第3のいずれかの構成において、
前記第2側面は、
前記第2表示部に隣接しているとともに、前記第2表示部よりも前記原稿載置部に近い領域において、前記第2表示部からの光を前記原稿載置部側に出射させる凹部を有してもよい(第4の構成)。
【0015】
上記構成によれば、カバーの第2側面には、第2表示部からの光を原稿載置部側に出射させる凹部を有している。表示部からの光が原稿載置部側に出射されることにより、光を視認できる範囲を広げることができ、報知部の視認性を向上させることができる。また、凹部に光が当たることによる明暗のグラデーションが発生することにより、報知部の視認性を向上させることができる。
【0016】
上記第1から第4のいずれかの構成において、
前記給紙部および前記原稿搬送路の上面側を被覆する上面カバーをさらに備え、
前記上面カバーは、前記給紙部によって給紙される原稿が通過する原稿通過部の上端部を構成する上面カバー端部を有し、
前記表示部は、実質的に、前記上面カバー端部の延長線上に配置されていてもよい(第5の構成)。
【0017】
上記構成によれば、表示部は、実質的に、上面カバー端部の延長線上に配置されている。これにより、操作者の視線を表示部から上面カバー端部に沿って原稿載置部まで連続的に誘導することができ、報知部によって報知される情報が原稿載置部に関する情報であることを操作者に容易に理解させることができる。
【0018】
上記第1から第5のいずれかの構成において、
前記報知部は、
前記表示部に対して発光する光源を有し、
前記表示部は、前記光源からの光を透過させる透光性を有しているとともに、前記カバーの外面よりも外方に突出する突出部を有してもよい(第6の構成)。
【0019】
上記構成によれば、表示部は、光源からの光を透過させる透光性を有しているとともに、カバーの外面よりも外方に突出する突出部を有している。このため、側方からだけでなく、上方からでも表示部の光を視認しやすくすることができる。
【0020】
上記第6の構成において、
前記表示部は、前記光源からの光を乱反射させる微少な凹凸部を有してもよい(第7の構成)。
【0021】
上記構成によれば、表示部は、光源からの光を乱反射させる微少な凹凸部を有する。このため、表示部全体から光を出射させることができ、表示部の視認性を向上させることができる。
【0022】
上記第6または第7の構成において、
前記報知部は、
前記光源および前記表示部を前記カバーに取り付けるための支持ケースを有し、
前記支持ケースは、
前記表示部が取り付けられる第1開口部と、
前記光源からの光が前記第1開口部以外から出射されないように遮光する壁部と、を有してもよい(第8の構成)。
【0023】
上記構成によれば、支持ケースは、表示部が取り付けられる第1開口部と、光源からの光が第1開口部以外から出射されないように遮光する壁部とを有する。このため、光源からの光がカバー内部に漏れることを抑制することができる。
【0024】
上記第8の構成において、
前記支持ケースは、
前記光源が取り付けられる第2開口部、を有し、
前記第2開口部は、前記第1開口部に対向する位置に設けられていてもよい(第9の構成)。
【0025】
上記構成によれば、光源が取り付けられる第2開口部は、表示部が取り付けられる第1開口部に対向する位置に設けられている。このため、光源の取り付けや交換が容易であるとともに、光源からの光がカバー内部に漏れることを抑制することができる。
【0026】
本発明の画像形成装置は、上記第1から第9のいずれかの構成の原稿搬送装置を備える(第10の構成)。
【0027】
上記構成によれば、報知部の表示部によって操作者の視線を原稿載置部に誘導することができ、報知部によって報知される情報が原稿載置部に関する情報であること、および報知される情報の意図を操作者に理解させやすくすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の原稿搬送装置および画像形成装置によれば、報知部の表示部によって操作者の視線を原稿載置部に誘導することができ、報知部によって報知される情報が原稿載置部に関する情報であること、および報知される情報の意図を操作者に理解させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係る原稿搬送装置を適用した画像形成装置の断面図である。
【
図3】カバーの一部を破断した、報知部付近の斜視図である。
【
図4】報知部の表示部を水平方向に切断した状態を上方から見た断面図である。
【
図5】カバーおよび第2表示部を斜め後方から見た斜視図である。
【
図6】報知部の支持ケース、導光体、および光源を組み立てる状態を示す分解斜視図である。
【
図7】報知部の支持ケース、導光体、および光源を組み立てた状態であって、一部を破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る原稿搬送装置100を適用した画像形成装置1の断面図である。画像形成装置1は、カラー画像およびモノクロ画像の読取り印刷を行うものであり、画像を記録用紙に印刷するプリント機能、原稿の画像を読み取るスキャナ機能、および原稿の画像を読取って原稿の画像を記録用紙に印刷する複写機能等を有している。
【0031】
以下の図において、矢印Fは画像形成装置1の前面側(正面側)を示し、矢印Bは、後面側(背面側)を示している。矢印Rは画像形成装置1の右方を示し、矢印Lは画像形成装置1の左方を示している。矢印Uは画像形成装置1の上方を示し、矢印Dは画像形成装置1の下方を示している。
【0032】
画像形成装置1は、原稿読取り装置2、原稿搬送装置100、プロセスユニット4、給紙カセット5、および用紙搬送装置7を備えている。プロセスユニット4、給紙カセット5、および用紙搬送装置7は、画像形成装置本体8に内蔵されている。原稿読取り装置2および原稿搬送装置100は、画像形成装置本体8の上側に搭載されている。原稿読取り装置2の前面(正面)側(使用者の立ち位置側)の端部には、操作パネル9が設けられている(
図2参照)。操作パネル9は、画像形成装置1のプリント機能、スキャナ機能、および複写機能等を選択的に動作させたり、カラー画像およびモノクロ画像のいずれかを選択したりするために使用者により操作される。
【0033】
原稿搬送装置100のカバー71には、報知部80の表示部85が配置されている。報知部80は、表示部85が光ることにより、原稿載置部60に関する情報を使用者に対して報知する。
【0034】
プロセスユニット4においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を記録用紙に印刷するために、現像ユニット12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電ローラ15をそれぞれ4個ずつ設け、それぞれをブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けて、4つの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdを構成している。また、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdの下方に光走査装置11を設けている。
【0035】
各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去および回収した後、帯電ローラ15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11から感光体ドラム13表面への露光を受けて、感光体ドラム13の表面に静電潜像を形成し、現像ユニット12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
【0036】
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置22により中間転写ベルト21の残留トナーを除去および回収した後、各感光体ドラム13表面の各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
【0037】
中間転写ベルト21と2次転写装置23の転写ローラ23aとの間にはニップ域が形成されており、用紙搬送経路Sを通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17の加熱ローラ18と定着ローラ19との間に記録用紙を挟み込んで加熱および加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0038】
用紙搬送装置7において、記録用紙は、ピックアップローラ24により給紙カセット5から引き出されて、用紙搬送経路Sを通じて搬送され、2次転写装置23や定着装置17を経由し、各排紙ローラ25を介して排紙トレイ39へと排出される。用紙搬送経路Sには、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始する各レジストローラ27、記録用紙の搬送を促す各搬送ローラ28、および各排紙ローラ25等が配置されている。
【0039】
次に、画像形成装置本体8上部に搭載された原稿読取り装置2および原稿搬送装置100の概略構成を説明する。原稿搬送装置100は、後面側の一辺が原稿読取り装置2に軸支されており、原稿搬送装置100の前面側が昇降するように開閉される。原稿搬送装置100が開かれると、原稿読取り装置2の原稿読取りガラス31および原稿載置ガラス32が開放され、原稿載置ガラス32上に原稿を載置することができる。
【0040】
原稿読取り装置2では、第1および第2走査部33、34を相互に所定の速度関係を維持しつつ移動させ、第1走査部33の光源33aにより原稿載置ガラス32上の原稿を照明し、第1および第2走査部33、34の各ミラー33b、34bによって原稿からの反射光を結像レンズ36へと導き、結像レンズ36によって原稿の画像をCCD(ChargeCoupledDevice)37上に結像する。CCD37は、原稿の画像を主走査方向に繰り返し読取り、原稿の画像を示す画像データを出力する。
【0041】
原稿読取り装置2は、静止原稿だけではなく、原稿搬送装置100により搬送されている原稿の画像を読み取ることができる。この場合は、第1走査部33を原稿読取りガラス31下方の読取り位置に移動し、第1走査部33の位置に応じて第2走査部34を位置決めし、この状態で、原稿搬送装置100による原稿の搬送を開始する。
【0042】
原稿搬送装置100は、原稿載置部60に載置された複数の原稿を、給紙部62を構成するピックアップローラ41と給紙ローラ42と分離ローラ43とによって、上から1枚ずつ原稿搬送路61へと送り出す。(分離ローラ43は、原稿搬送方向と反対方向に回転するので、一番上の原稿以外は、原稿載置部60へ戻される。)そして、原稿搬送路61へ送りだされた原稿は、原稿搬送路61に設けられた原稿搬送ローラ44によって、原稿搬送路61中に設けられた原稿読取りガラス31と対向ガイド板46との間を通るように搬送された後、排紙ローラ47によって排紙トレイ48へと排出される。
【0043】
原稿の搬送に際し、第1走査部33の光源33aにより原稿を原稿読取りガラス31を介して照明し、原稿からの反射光を第1および第2走査部33、34の各ミラー33b、34bで反射して結像レンズ36へと導き、結像レンズ36により原稿の画像をCCD37上に結像させ、CCD37により原稿の画像を読み取る。
【0044】
CCD37により読み取られた原稿の画像は、CCD37からアナログ信号として出力され、このアナログ信号がデジタル信号にA/D変換される。このデジタル信号(画像データ)は、種々の画像処理を施されてからプロセスユニット4の光走査装置11に入力され、プロセスユニット4で画像データによって示される画像が記録用紙に形成される。
【0045】
次に、本実施例に係る原稿搬送装置100について詳細に説明する。
図2は、原稿搬送装置100の斜視図である。
図2に示すように、原稿搬送装置100は、原稿載置部60、原稿搬送路61(
図1参照)、給紙部62(
図1参照)、カバー71、背面カバー75、上面カバー77、および報知部80を備えている。
【0046】
原稿載置部60は、操作者が操作する操作パネル9よりも上方に配置されており、操作パネル9側から見て操作パネル9よりも奥側に配置されている。原稿載置部60は、複数枚の原稿を載置できるように構成されている。原稿搬送路61(
図1参照)は、原稿載置部60に載置された原稿を搬送する経路である。給紙部62は、ピックアップローラ41(
図1参照)によって原稿載置部60に載置された原稿を引き出し、原稿搬送路61に給紙する。
【0047】
原稿載置部60に載置された原稿が給紙部62によって原稿搬送路61に給紙される方向を原稿搬送方向DT1とする。本実施形態では、原稿搬送方向DT1は、右方から左方に向かう方向に設定されている。言い換えると、原稿搬送方向DT1と前後方向は直交しており、原稿搬送方向DT1に直交する水平方向の一方が、操作パネル9が設けられる装置正面側Fとなる。
【0048】
カバー71は、原稿搬送路61および給紙部62の原稿搬送方向DT1と直交する方向の一側面を覆うように原稿搬送装置100の装置正面側Fに配置されている。言い換えると、カバー71は、給紙部62および原稿搬送路61の側部のうち、装置正面側Fを被覆している。
【0049】
カバー71は、第1側面72、および第2側面73を有している。第1側面72は、原稿搬送方向に沿って配置されており、装置正面側Fに向けて形成されている面である。第2側面73は、装置右側Rに向けて形成されている面である。言い換えると、第2側面73は、原稿搬送方向DT1に対して逆方向に向くように配置されている面である。更に言い換えると、第2側面73は、第1側面72の給紙部62側の端部から、原稿載置部60に向かって、原稿搬送方向と交差する方向に配置される面である。つまり、第1側面72および第2側面73は、略直交するように配置された、隣り合う面である。第1側面72および第2側面73は、コーナー部を介して連続するように形成されている。
【0050】
背面カバー75は、原稿搬送装置100の背面側Bに配置されている。背面カバー75は、給紙部62および原稿搬送路61の側部のうち、装置背面側Bを被覆している。
【0051】
上面カバー77は、原稿搬送装置100の上面側Uに配置されている。上面カバー77は、給紙部62および原稿搬送路61の上面側Uを被覆している。上面カバー77は、給紙部62によって給紙される原稿が通過する原稿通過部78を構成している。上面カバー77は、原稿通過部78の上端部を構成する上面カバー端部771を有している。
【0052】
報知部80は、表示部85が光ることにより、原稿載置部60に関する情報を使用者に対して報知する。表示部85は、カバー71の上部であって、第1側面72および第2側面73が連続するコーナー部付近に設けられている。報知部80については、後に詳細に説明する。
【0053】
図3は、カバー71の一部を破断した、報知部80付近の斜視図である。
図3に示すように、報知部80は、導光体81、支持ケース91、および光源95を有している。
【0054】
報知部80は、例えば、原稿載置部60に原稿が載置されている(原稿が残っている)旨を光によって使用者に報知するように構成されている。この場合、原稿載置部60に原稿が載置されているかどうかを検知するセンサ(図示せず)が、例えば原稿載置部60上に配置されている。画像形成装置本体8に設けられている制御部(図示せず)は、センサからの検知信号に基づいて、原稿載置部60上に原稿が配置していることを検知した場合、報知部80の光源95を点灯させる。
【0055】
なお、報知部80によって報知する情報は、原稿載置部60に関する情報であれば、原稿の有無以外についての情報であってもよい。また、光による情報の報知は、点灯および消灯以外でもよい。例えば、点滅や光色の変化によるものであってもよい。
【0056】
導光体81は、光源95の光を導光して外部に出射させる部材である。導光体81は、透光性を有する樹脂素材で形成されている。導光体81は、導光体基部82、および突条部83を有している。
【0057】
導光体基部82は、カバー71の内面側に配置される部分である。導光体基部82は、カバー71のコーナー部付近の内側に沿うように、平面視で略L字状に形成された、薄板状の部材である。
【0058】
突条部83は、導光体基部82の外側に設けられたリブ状の部分である。突条部83は、導光体基部82に沿って、平面視で略L字状に形成されている。突条部83は、報知部80の表示部85を構成している。突条部83の表面は、光源95からの光を乱反射させて表示部85全体から光を出射できるように、微少な凹凸部が形成されている。本実施形態では、微少な凹凸部として、光を乱反射させるシボ加工が施されている。
【0059】
カバー71には、第1側面72および第2側面73が連続するコーナー部付近にスリット74が形成されている。スリット74は、第1側面72および第2側面73において、それぞれ水平方向に延びるように形成されている。スリット74は、カバー71の内面側に導光体81が配置された状態で、導光体81の突条部83が嵌合し、突条部83が表示部85として外部から視認できるように形成されている。
【0060】
表示部85は、原稿載置部60に関する情報を光によって表示する部分である。表示部85は、カバー71のスリット74から突条部83が露出することにより構成されている。表示部85は、第1表示部86、および第2表示部87を有している。
【0061】
第1表示部86は、カバー71の第1側面72に配置されている。第2表示部87は、カバー71の第2側面73に、原稿載置部60に向かうように配置されている。本実施形態では、第1表示部86および第2表示部87は、それぞれ水平に配置されており、かつ、一体に形成されている。なお、第1表示部86および第2表示部87は、水平に限定されず、それぞれ水平方向に対して角度をつけて配置されるようにしてもよい。
【0062】
第1表示部86の水平方向の長さをL1とし、第1表示部86の上下方向の長さをH1とすると、第1表示部86の水平方向の長さL1は、上下方向の長さH1よりも大きくなるように設定されている。
【0063】
また、第2表示部87の水平方向の長さをL2とし、第2表示部87の上下方向の長さをH2とすると、第2表示部87の水平方向の長さL2は、上下方向の長さH2よりも大きくなるように設定されている。
【0064】
つまり、第1表示部86と第2表示部87は、それぞれ水平方向の長さL1、L2が上下方向の長さH1、H2よりも長くなるように設定されている。このように設定することで、第2表示部87は、第2側面73に、原稿載置部60に向かうように細長く配置される。
【0065】
さらに、上面カバー端部771の延長線を仮想線LP1で表す(
図3参照)と、表示部85は、実質的に、上面カバー端部771の延長線LP1上に配置されている。表示部85が実質的に延長線LP1上に配置されているとは、表示部85の第2表示部87が延長線LP1に対して略平行に配置されているとともに、第2表示部87が延長線LP1の近傍に配置されている状態をいう。近傍とは、例えば、右方から左方を見た状態において、延長線LP1から上下方向の距離が第2表示部87の上下方向長さH2以下の領域に第2表示部87が接している状態である。また、右方から左方を見た状態において、第2表示部87と延長線LP1が重なるように配置されていてもよい。
【0066】
このように、第2側面73に原稿載置部60に向かって配置された第2表示部87と第1側面72に配置された第1表示部86とが隣り合って、延長線LP1の近傍に配置されているため、操作者の視線を表示部85が延びている先に配置されている上面カバー端部771に沿って原稿載置部60まで連続的に誘導することができる。これにより、報知部80によって報知される情報が原稿載置部60に関する情報であること、および報知される情報の意図を操作者に理解させやすくすることができる。
【0067】
支持ケース91は、導光体81および光源95をカバー71の内面側に取り付けるともに、光源95の光がカバー71の内部に漏れることを防止するための部材である。
【0068】
光源95は、点灯した状態で、導光体81に対して光を出射するように発光する部分である。本実施形態では、光源95としてLED(Light Emitting Diode)を用いている。
【0069】
図4は、報知部80の表示部85を水平方向に切断した状態を上方から見た断面図である。
図4に示すように、導光体81の突条部83は、カバー71の板厚よりも高く形成されている。このため、突条部83は、カバー71のスリット74から外方に一部が突出するように配置される。カバー71の外面よりも外方に突出している部分を表示部85の突出部88とする。本実施形態では、カバー71の外面に対する突出部88の突出量を高さD1とする。突出部88により、側方からだけでなく、上方からでも表示部85の光を視認しやすくすることができる。
【0070】
図5は、カバー71および第2表示部87を斜め後方から見た斜視図である。
図4および
図5に示すように、第2表示部87の端部付近には、カバー71の第2側面73に、凹部67が形成されている。凹部67は、第2表示部87に隣接しているとともに、第2表示部87よりも原稿載置部60に近い領域に形成されている。言い換えると、第2表示部87の後部側Bに凹部67が形成されている。凹部67は、第2表示部87からの光を原稿載置部60側に出射させるために形成されている。本実施形態では、
図4に示すように、カバー71の外面に対する凹部67の陥没量をD2としている。
【0071】
図5に示すように、カバー71の第2側面73に凹部67が形成されていることにより、凹部67と突出部88の高さの差異が大きくなっている。
【0072】
カバー71に凹部67が形成されることにより、表示部85からの光が原稿載置部60側に出射され、光を視認できる範囲を広げることができるため、報知部80の視認性を向上させることができる。また、凹部67に光が当たることによる明暗のグラデーションが発生することにより、報知部80の視認性を向上させることができる。
【0073】
図4に戻って、支持ケース91は、導光体81および光源95をカバー71の内面側に取り付けるための部材である。支持ケース91は、第1開口部92、第2開口部93、および壁部94を有している。壁部94は、光源95からの光が第1開口部92以外から出射されないように遮光している。このため、光源95からの光がカバー71内部に漏れることを抑制することができる。第1開口部92は、導光体81を取り付け、光源95からの光を導光体81を介して外部に出射させるための開口部である。第2開口部93は、光源95を取り付けるための開口部である。第2開口部93は、第1開口部92に対向する位置に設けられている。光源95が取り付けられる第2開口部93は、導光体81が取り付けられる第1開口部92に対向する位置に設けられている。このため、光源95の取り付けや交換が容易であるとともに、光源95からの光がカバー71内部に漏れることを抑制することができる。
【0074】
図6は、報知部80の支持ケース91、導光体81、および光源95を組み立てる状態を示す分解斜視図である。
図7は、報知部80の支持ケース91、導光体81、および光源95を組み立てた状態であって、一部を破断した斜視図である。
【0075】
図6および
図7に示すように、支持ケース91の第1開口部92には、導光体81が取り付けられ、第2開口部93には、光源95が取り付けられる。光源95であるLEDは、基板96上に設けられている。支持ケース91内に光を照射するように第2開口部93に光源95を配置し、基板96が支持ケース91に固定される。導光体81の裏面側には透光性を有する拡散シート97が取り付けられる。拡散シート97は外部から光源95を直接視認できないようにするために取り付けられる。
【0076】
組み立てられた支持ケース91、導光体81、および光源95は、カバー71の裏面(背面)側から取り付けられる。
【0077】
カバー71の第1側面72および第2側面73には、突条部83の形状に合わせて形成されたスリット74が設けられている。スリット74にカバー71の裏面側から突条部83を嵌入し、スリット74から突条部83が露出する状態で、支持ケース91をカバー71に固定する。
【0078】
以上の構成により、報知部80の表示部85によって操作者の視線を原稿載置部60に誘導することができ、報知部80によって報知される情報が原稿載置部60に関する情報であること、および報知される情報の意図を操作者に理解させやすくすることができる。
【0079】
〔他の実施形態〕
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0080】
例えば、本実施形態では、第1表示部86および第2表示部87は、一体に形成されているとしたが、これに限定されない。例えば、第1表示部および第2表示部をそれぞれ別体とし、第1表示部および第2表示部をカバー71の第1側面72および第2側面73に個別に配置してもよい。この場合においても、操作者の視線を第1表示部および第2表示部が並んだ方向の先に配置されている原稿載置部60へ誘導しやすくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、および画像形成装置に設けられる原稿搬送装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
100 原稿搬送装置
1 画像形成装置
60 原稿載置部
61 原稿搬送路
62 給紙部
71 カバー
72 第1側面
73 第2側面
80 報知部
85 表示部
86 第1表示部
87 第2表示部
DT1 原稿搬送方向