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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 451
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020199381
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087448
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】松本 將
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌義
(72)【発明者】
【氏名】萩森 普
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-291471(JP,A)
【文献】特開2004-243552(JP,A)
【文献】特開平07-178964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を支持する支持台と、
前記支持台に支持された媒体にインクを吐出するインクヘッドと、
媒体に印刷された調整パターンであって、双方向印刷における前記インクヘッドからのインクの着弾位置を調整するための前記調整パターンを読み取るセンサを有するセンサヘッドと、
印刷時に前記インクヘッドを走査方向に移動させ、前記調整パターンを読み取るときに前記センサヘッドを前記走査方向に移動させる移動機構と、
制御装置と、
を備え、
前記調整パターンは、
前記走査方向に並んだ複数の第1図形を有する第1パターンと、
複数の前記第1図形と対になるように、前記走査方向に並んだ複数の第2図形を有する第2パターンと、
を備え、
前記走査方向の一方から他方に向かう方向を第1方向とし、前記走査方向の他方から一方に向かう方向を第2方向としたとき、
対になる前記第1図形と前記第2図形を調整組としたとき、前記第1方向に向かうにしたがって、前記調整組における前記第1図形と前記第2図形とは前記走査方向に所定の調整間隔ずつズレて配置され、
前記調整組における前記第1図形に対する前記第2図形のデータ上の前記走査方向のズレを調整値とし、
前記制御装置は、
前記調整パターンの印刷データが記憶された記憶部と、
前記インクヘッドが前記第1方向に移動しているときに前記第1パターンを印刷し、前記インクヘッドが前記第2方向に移動しているときに前記第2パターンを印刷することで、媒体に前記調整パターンを印刷する調整パターン印刷部と、
媒体に印刷された前記調整パターン上を、前記センサヘッドが前記第1方向または前記第2方向に移動しているときに、媒体に印刷された複数の前記第1図形および複数の前記第2図形の位置を検出する検出部と、
媒体に印刷された前記調整組ごとに前記第1図形と前記第2図形との間の前記走査方向の実ズレ量を算出する実ズレ量算出部と、
複数の前記調整組における前記実ズレ量と前記調整値に基づいて、前記調整値が大きくなるに連れて前記実ズレ量が小さくなる第1近似直線と、前記調整値が大きくなるにつれて前記実ズレ量が大きくなる第2近似直線とを算出する近似直線算出部と、
前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点における前記調整値を、双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値に決定する調整値決定部と、
を備え
前記実ズレ量は、前記調整組において前記第1図形と前記第2図形とが重なった部分の前記走査方向の長さである、プリンタ。
【請求項2】
前記第1図形および前記第2図形は、同じ形状を有している、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記第1図形および前記第2図形のそれぞれの形状は、矩形状である、請求項1または2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記第1図形は、4つの辺を有し、
前記第2図形は、4つの辺を有し、
前記第1図形の各辺、および、前記第2図形の各辺は、それぞれ前記走査方向、または、前記走査方向と交差する交差方向に延びている、請求項3に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記第1図形と前記第2図形とは、前記走査方向と交差する交差方向にズレて配置されている、請求項1から4までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記第1図形と前記第2図形とは、少なくとも一部が前記走査方向と交差する交差方向において重なるように配置されている、請求項1から5までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、双方向印刷が可能なプリンタが開示されている。当該プリンタは、インクを吐出し、かつ、主走査方向に移動可能なインクヘッドを有している。主走査方向の一方から他方に向かう方向を第1方向とし、主走査方向の他方から一方に向かう方向を第2方向としたとき、双方向印刷では、インクヘッドが第1方向へ移動しているときと、第2方向へ移動しているときの両方で媒体に対して印刷が行われる。
【0003】
ところで、双方向印刷が可能なプリンタでは、インクヘッドによる第1方向への移動と第2方向への移動とにおいて、媒体の同じ位置にインクを着弾させるようにインクヘッドからインクを吐出させる場合、インクの着弾位置が主走査方向にズレることがあり得る。そこで、特許文献1には、双方向印刷におけるインクの着弾位置のズレを調整することが開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されたプリンタでは、媒体にテストパターンを印刷する。テストパターンは、主走査方向に一定の間隔で配置された複数の第1印刷線と、第1印刷線と対になる複数の第2印刷線とから構成されている。第2印刷線は、例えば第1方向に向かうにしたがって、対になる第1印刷線に対して第1方向に1ドットピッチずつズレて印刷される。対になる第1印刷線と第2印刷線とのズレ量が補正値となる。ここで、第1印刷線は、インクヘッドが第1方向に移動しているときに印刷され、第2印刷線は、インクヘッドが第2方向に移動しているときに印刷されるものである。
【0005】
利用者は、媒体に印刷されたテストパターンを目視し、第1印刷線と第2印刷線とが主走査方向に一致する第1印刷線と第2印刷線の対を選択する。そして、選択した対の第1印刷線と第2印刷線に対応した補正値をプリンタの操作パネルで入力する。プリンタは、入力した補正値に基づいて、双方向印刷におけるインクの着弾位置の調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-18375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたプリンタでは、利用者がテストパターンを目視することで、双方向印刷のインクの着弾位置の調整に関する補正値を決定していた。そのため、補正値の決定は、利用者の経験則に影響され、利用者によっては、本来選択すべき補正値を選択しないことがあり得る。その結果、双方向印刷のインクの着弾位置の調整が適切に行われないことがあった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、双方向印刷のインクの着弾位置の調整を適切に行うことが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプリンタは、媒体を支持する支持台と、前記支持台に支持された媒体にインクを吐出するインクヘッドと、センサヘッドと、移動機構と、制御装置とを備えている。前記センサヘッドは、媒体に印刷された調整パターンであって、双方向印刷における前記インクヘッドからのインクの着弾位置を調整するための前記調整パターンを読み取るセンサを有する。前記移動機構は、印刷時に前記インクヘッドを走査方向に移動させ、前記調整パターンを読み取るときに前記センサヘッドを前記走査方向に移動させる。前記調整パターンは、前記走査方向に並んだ複数の第1図形を有する第1パターンと、複数の前記第1図形と対になるように、前記走査方向に並んだ複数の第2図形を有する第2パターンと、を備えている。対になる前記第1図形と前記第2図形を調整組としたとき、前記第1方向に向かうにしたがって、前記調整組における前記第1図形と前記第2図形とは前記走査方向に所定の調整間隔ずつズレて配置されている。前記調整組における前記第1図形に対する前記第2図形のデータ上の前記走査方向のズレを調整値とする。前記走査方向の一方から他方に向かう方向を第1方向とし、前記走査方向の他方から一方に向かう方向を第2方向とする。前記制御装置は、記憶部と、調整パターン印刷部と、検出部と、実ズレ量算出部と、近似直線算出部と、調整値決定部と、を備えている。前記記憶部には、前記調整パターンの印刷データが記憶されている。前記調整パターン印刷部は、前記インクヘッドが前記第1方向に移動しているときに前記第1パターンを印刷し、前記インクヘッドが前記第2方向に移動しているときに前記第2パターンを印刷することで、媒体に前記調整パターンを印刷する。前記検出部は、媒体に印刷された前記調整パターン上を、前記センサヘッドが前記第1方向または前記第2方向に移動しているときに、媒体に印刷された複数の前記第1図形および複数の前記第2図形の位置を検出する。前記実ズレ量算出部は、媒体に印刷された前記調整組ごとに前記第1図形と前記第2図形との間の前記走査方向の実ズレ量を算出する。前記近似直線算出部は、複数の前記調整組における前記実ズレ量と前記調整値に基づいて、前記調整値が大きくなるに連れて前記実ズレ量が小さくなる第1近似直線と、前記調整値が大きくなるにつれて前記実ズレ量が大きくなる第2近似直線とを算出する。前記調整値決定部は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点における前記調整値を、双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値に決定する。
【0010】
上記プリンタによれば、媒体に印刷された調整パターンにおける第1図形および第2図形の位置をセンサで検出し、調整組ごとに実ズレ量を自動で算出する。そして、調整組ごとの実ズレ量と調整値に基づいて算出された第1近似直線と第2近似直線との交点に対する調整値を、双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値に決定する。よって、媒体に印刷された調整パターンを利用者が目視することなく、決定調整値を制御装置が決定することができるため、決定調整値の決定は、利用者の経験則に影響されない。したがって、決定調整値に基づいて、双方向印刷のインクの着弾位置の調整を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るプリンタの正面図である。
図2】プリントヘッドの下面の構成を模式的に示す図である。
図3】実施形態に係るプリンタのブロック図である。
図4】双方向印刷の調整手順を示したフローチャートである。
図5】調整パターンの一例を模式的に示した図である。
図6】調整組G1aと調整組G1bとの間の調整間隔を示す図である。
図7】第1近似直線および第2近似直線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0013】
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の正面図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ100の前、後、左、右、上、下を示している。符号Yは走査方向Yを示している。走査方向Yは例えば左右方向である。走査方向Yのうち一方(ここでは右方)から他方(ここでは左方)に向かう方向を第1方向Y1という。走査方向Yのうち他方から一方に向かう方向を第2方向Y2という。符号Xは搬送方向を示している。搬送方向Xは、例えば前後方向である。搬送方向Xは、平面視において走査方向Yと交差(ここでは直交)しているため、交差方向ともいう。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものではない。
【0014】
プリンタ100は、インクジェット方式のプリンタである。プリンタ100は、媒体5に対して印刷を行う。媒体5は例えばロール状の記録紙であるが、媒体5を形成する材料は特に限定されない。
【0015】
図1に示すように、プリンタ100は、プリンタ本体11を備えている。プリンタ本体11は脚12に支持されている。プリンタ本体11には、操作パネル13が設けられている。操作パネル13は、プリンタ100の状態や、双方向印刷の調整に関する情報を表示する表示画面14と、操作キー15とを有する。利用者は、例えば操作キー15を操作することで、双方向印刷の調整値などを入力することができる。
【0016】
プリンタ100は、媒体5を支持するプラテン18と、プラテン18に支持された媒体5を搬送方向Xに搬送する搬送機構20を備えている。プラテン18は、支持台の一例である。搬送機構20は、例えばプラテン18に設けられたグリットローラ21と、グリットローラ21と共に媒体5を挟むピンチローラ22と、グリットローラ21に接続されたフィードモータ23とを備えている。フィードモータ23が駆動してグリットローラ21が回転することで、媒体5は搬送方向Xに搬送される。
【0017】
図1に示すように、プリンタ100は、プラテン18の上方において走査方向Yに延びたガイドレール25と、プリントヘッド26と、センサヘッド36とを備えている。プリントヘッド26は、走査方向Yに移動可能に構成されている。プリントヘッド26は、インクキャリッジ27と、複数のインクヘッド28(図2参照)とを備えている。インクキャリッジ27は、ガイドレール25に摺動可能に係合している。
【0018】
インクヘッド28は、プラテン18に支持された媒体5に向かってインクを吐出する。図2は、インクヘッド28の下面の構成を模式的に示す図である。インクヘッド28の数は特に限定されないが、図2に示すように、ここでは4つである。4つのインクヘッド28は、インクキャリッジ27に支持されている。1つのインクヘッド28の下面には、インクが吐出され、かつ、搬送方向Xに並んで配置された複数のノズル29が形成されている。4つのインクヘッド28は、それぞれ色が異なるインクを吐出する。例えば各インクヘッド28は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどのプロセスカラーインク、および、クリアインク、ホワイトインクなどの特色インクのうちの何れかのインクを吐出する。
【0019】
図1に示すように、センサヘッド36は、プリントヘッド26と走査方向Yに並んで配置されており、走査方向Yに移動可能に構成されている。センサヘッド36は、センサキャリッジ37と、センサ38とを有している。センサキャリッジ37は、ガイドレール25に摺動可能に係合している。
【0020】
センサ38は、センサキャリッジ37に支持されている。センサ38は、双方向印刷におけるインクヘッド28からのインクの着弾位置を調整するための調整パターンPT1(図5参照)であって、媒体5に印刷された調整パターンPT1を読み取るためのセンサである。センサ38は、調整パターンPT1の位置を読み取るものであり、かつ、調整パターンPT1と媒体5との境界の位置を読み取るものである。センサ38の種類は、特に限定されないが、例えば光学式である。センサ38は例えばフォトセンサである。センサ38は、カラーを検出することが可能であり、例えばRGBでカラーを表現することが可能なセンサである。
【0021】
本実施形態では、プリントヘッド26とセンサヘッド36とは連結可能なものである。センサヘッド36は、プリントヘッド26と離反して単独で走査方向Yに移動可能である。プリントヘッド26は、センサヘッド36と連結し、センサヘッド36と共に走査方向Yに移動可能である。
【0022】
図1に示すように、プリンタ100は、印刷時にインクヘッド28を走査方向Yに移動させ、調整パターンPT1を読み取るときにセンサヘッド36を走査方向Yに移動させる移動機構30を備えている。移動機構30は、ガイドレール25の左右の両端部の周囲に設けられた左右のプーリ31a、31bと、左右のプーリ31a、31bに巻き掛けられたベルト32と、右のプーリ31bに接続されたキャリッジモータ33とを備えている。ベルト32には、センサヘッド36が固定されている。キャリッジモータ33が駆動することで、右のプーリ31bが回転し、ベルト32が走行する。このことで、センサヘッド36が走査方向Yに移動する。センサヘッド36にプリントヘッド26が連結されているときは、センサヘッド36と共にプリントヘッド26が走査方向Yに移動する。
【0023】
プリンタ100は、制御装置40を備えている。制御装置40は、例えばマイクロコンピュータによって構成されている。制御装置40は、例えばホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリと、を備えている。なお、制御装置40は必ずしもプリンタ100の内部に設けられている必要はなく、例えばプリンタ100の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ100と通信可能に接続されたコンピュータなどであってもよい。
【0024】
図3は、プリンタ100のブロック図である。本実施形態では、図3に示すように、制御装置40は、操作パネル13、搬送機構20(詳しくはフィードモータ23)、インクヘッド28、移動機構30(詳しくはキャリッジモータ33)、センサ38とそれぞれ通信可能に接続されている。制御装置40は、操作パネル13、搬送機構20、インクヘッド28、移動機構30およびセンサ38を制御可能に構成されている。
【0025】
ところで、本実施形態に係るプリンタ100は、双方向印刷が可能なものである。ここで、双方向印刷は、走査方向Yの第1方向Y1にインクヘッド28が移動しているときにインクヘッド28からインクを吐出して媒体5に印刷(以下、第1方向印刷という。)すると共に、第2方向Y2にインクヘッド28が移動しているときにインクヘッド28からインクを吐出して媒体5に印刷(以下、第2方向印刷という。)することをいう。第1方向印刷と第2方向印刷において、媒体5の同じ位置にインクを吐出しようとしたときに、インクの着弾位置について走査方向Yにズレが生じることがあり得る。この場合、例えば第2方向印刷におけるインクの吐出タイミングを調整することで、双方向印刷におけるインクの着弾位置の調整(以下、双方向印刷の調整という。)を行う。ここで、双方向印刷の調整に使用される値のことを決定調整値V30(図7参照)という。
【0026】
本実施形態では、決定調整値V30は、制御装置40によって自動で決定される。ここでは、双方向印刷の調整を行うために、制御装置40は、図3に示すように、記憶部42と、調整パターン印刷部44と、検出部46と、実ズレ量算出部48と、近似直線算出部50と、調整値決定部52と、調整部54とを備えている。制御装置40の各部の具体的な制御については後述する。
【0027】
次に、双方向印刷の調整の手順について図4のフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、例えば操作パネル13の表示画面14(図1参照)に双方向印刷の調整を開始する開始ボタン(図示せず)が表示される。利用者は、操作キー15(図1参照)を操作して、上記開始ボタンを押すことで、双方向印刷の調整の処理が自動で開始される。なお、双方向印刷の調整は、インクヘッド28ごとに行われるものであり、本実施形態では、インクヘッド28の数が4つであるため、双方向印刷の調整の処理(図4のステップS101~ステップS111の処理)が4回行われる。
【0028】
まず図4のステップS101では、図3の調整パターン印刷部44は、図5に示すように、調整パターンPT1を、プラテン18に支持された媒体5に印刷する。調整パターンPT1は、双方向印刷の調整をする際に印刷されるものである。調整パターンPT1は、第1パターンPT11と、第2パターンPT12とを有している。
【0029】
第1パターンPT11は、インクヘッド28が第1方向Y1に移動しているときに印刷されるものである。第1パターンPT11は、複数の第1図形F1を有している。第1パターンPT11が有する第1図形F1の数は特に限定されないが、ここでは6つである。以下の説明では、第1図形F1について、左から順に符号F1a~F1fを適宜付すことにする。本実施形態では、各第1図形F1a~F1fは、同じ形状および同じ大きさを有している。本実施形態では、第1図形F1の形状は、矩形状であり、詳しくは交差方向Xに長い長方形状である。ただし、第1図形F1の形状は特に限定されない。
【0030】
ここでは、第1図形F1は、4つの辺E11~E14を有している。辺E11と辺E12は、互いに対向しており、交差方向Xに延びた辺である。辺E13と辺E14は、互いに対向しており、走査方向Yに延びた辺である。
【0031】
複数の第1図形F1は、第1基準間隔SP1で走査方向Yに並んで等間隔で配置されている。ここで第1基準間隔SP1とは、隣り合う第1図形F1の走査方向Yの距離のことをいう。ここで複数の第1図形F1のそれぞれの前端の位置は、交差方向Xで同じ位置であり、複数の第1図形F1のそれぞれの後端の位置は、交差方向Xで同じ位置である。
【0032】
図5に示すように、第2パターンPT12は、インクヘッド28が第2方向Y2に移動しているときに印刷されるものである。第2パターンPT12は、複数の第2図形F2を有している。第2図形F2の数は、第1図形F1の数と同じであり、ここでは6つである。なお、以下の説明では、第2図形F2について、左から順に符号F2a~F2fを適宜付すことにする。本実施形態では、各第2図形F2a~F2fは、同じ形状および同じ大きさを有している。ここでは、第2図形F2は、第1図形F1と同じ形状および同じ大きさを有している。第2図形F2の形状は、第1図形F1と同様に、矩形状であり、詳しくは交差方向Xに長い長方形状である。しかしながら、第2図形F2は、第1図形F1と形状または大きさが異なっていてもよい。第2図形F2の形状は、特に限定されない。
【0033】
第2図形F2は、4つの辺E21~E24を有している。辺E21と辺E22とは、互いに対向しており、交差方向Xに延びている。辺E23と辺E24とは、互いに対向しており、走査方向Yに延びている。
【0034】
複数の第2図形F2は、第2基準間隔SP2で走査方向Yに並んで等間隔で配置されている。第2基準間隔SP2とは、隣り合う第2図形F2の走査方向Yの距離のことをいう。第2基準間隔SP2は、第1基準間隔SP1と異なる値であり、ここでは第1基準間隔SP1よりも大きい。ただし、第2基準間隔SP2は、第1基準間隔SP1よりも小さくてもよい。複数の第2図形F2のそれぞれの前端の位置は、交差方向Xで同じ位置であり、複数の第2図形F2のそれぞれの後端の位置は、交差方向Xで同じ位置である。第2図形F2は、第1図形F1と交差方向Xにズレて配置されている。ここでは、第2図形F2の前端は、第1図形F1の後端よりも前方に位置している。そのため、第2図形F2の一部は、第1図形F1と交差方向Xで重なっている。
【0035】
複数の第2図形F2のそれぞれは、第1図形F1と対になっている。ここで、対になる第1図形F1と第2図形F2とを調整組G1という。ここでは、6つの調整組G1が存在している。各調整組G1において、第1図形F1と第2図形F2とは一部が重なっている。以下の説明では、調整組G1について、左から順に符号G1a~G1fを適宜付すことにする。本実施形態では、第1方向Y1に向かうにしたがって、調整組G1において第1図形F1に対して第2図形F2は、走査方向Yに所定の調整間隔SP10ずつ左方にズレている。本実施形態では、図5に示すように、各調整組G1において第1図形F1に対する第2図形F2の走査方向Yのズレのことを調整値V10という。調整組G1a~G1fにおける調整値V10は、それぞれ調整値V10a~V10fである。なお、調整値V10は、第2図形F2が第1図形F1に対して左方にズレているときには、マイナスの値となり、右方にズレているときにはプラスの値となる。図5の例では、調整値V10a、V10b、V10cは、マイナスの値であり、調整値V10d、V10e、V10fは、プラスの値である。
【0036】
ここで、隣り合う調整組G1の調整値V10の差が調整間隔SP10になる。例えば図6に示すように、調整組G1aの調整値V10aは、調整組G1bの調整値V10bよりも大きく、調整値V10bと調整値V10aとの差が調整間隔SP10である。調整間隔SP10は、例えば1ドットであるが、その値は特に限定されない。なお、本実施形態において、調整値V10は、データ上の値(言い換えると論理上の値)であり、媒体5に実際に印刷された第1図形F1と第2図形F2との走査方向Yの実ズレ量V20(図4参照)とは異なることがあり得る。
【0037】
本実施形態では、制御装置40の記憶部42(図3参照)には、調整パターンPT1の印刷データが記憶されている。図4のステップS101では、図3の調整パターン印刷部44は、インクヘッド28が走査方向Yの第1方向Y1に移動しているときに調整パターンPT1の第1パターンPT11を印刷する。その後、調整パターン印刷部44は、プラテン18に支持された媒体5を搬送方向Xの前方へ所定の距離、搬送するように搬送機構20を制御する。次に、調整パターン印刷部44は、インクヘッド28が走査方向Yの第2方向Y2に移動しているときに調整パターンPT1の第2パターンPT12を印刷する。以上のようにして、媒体5に調整パターンPT1が印刷される。
【0038】
次に、ステップS103では、図3の検出部46は、媒体5に印刷された調整パターンPT1の複数の第1図形F1および複数の第2図形F2の位置を検出する。ここでは、図1に示すセンサ38を使用して、媒体5に印刷された調整パターンPT1を検出する。詳しくは、検出部46は、媒体5に印刷された調整パターンPT1上(詳しくは、第1図形F1と第2図形F2とが重なる部分の上)をセンサ38が通過するように、移動機構30を制御する。このとき、センサ38が設けられたセンサヘッド36が移動する方向は、第1方向Y1であってもよいし、第2方向Y2であってもよい。そして、媒体5に印刷された第1図形F1の上をセンサ38が通過するときに、センサ38が媒体5に対する第1図形F1の位置を読み取ることで、検出部46は第1図形F1の位置を検出する。また、媒体5に印刷された第2図形F2の上をセンサ38が通過するときに、センサ38が媒体5に対する第2図形F2の位置を読み取ることで、検出部46は第2図形F2の位置を検出する。なお、検出部46によって検出された複数の第1図形F1の位置、および、複数の第2図形F2の位置の情報は、記憶部42に記憶される。
【0039】
次に、図4のステップS105では、図3の実ズレ量算出部48は、媒体5に印刷された調整パターンPT1の調整組G1ごとに実ズレ量V20を算出する。この実ズレ量V20は、調整組G1における第1図形F1と第2図形F2との間の走査方向Yの実際のズレ量である。ここでは、実ズレ量V20は、調整値V10とは異なりプラスの値である。そのため、第2図形F2が第1図形F1に対して左方にズレていても、実ズレ量V20はマイナスにはならずに、絶対値の値となる。実ズレ量V20は、媒体5に印刷された第1図形F1と第2図形F2との間の実際のズレ量であるため、双方向印刷においてインクの着弾位置にズレが生じているときには、上記の調整値V10の絶対値とは異なる。この実ズレ量V20は、検出部46によって検出された第1図形F1の位置と、第2図形F2の位置とから実ズレ量算出部48によって算出されることができる。
【0040】
なお、実ズレ量V20の算出方法は特に限定されるものではない。図6に示すように、例えば実ズレ量V20は、調整組G1において第1図形F1と第2図形F2とが重なった部分の走査方向Yの長さであってもよい。このとき、例えば実ズレ量V20、すなわち第1図形F1と第2図形F2との重なり部分の走査方向Yの長さが、第1図形F1の走査方向Yの長さ(または第2図形F2の走査方向Yの長さ)である場合、第1図形F1と第2図形F2とは完全に重なり、第1図形F1と第2図形F2とにズレが生じていないことになる。実ズレ量V20が小さくなるにしたがって、すなわち第1図形F1と第2図形F2との重なり部分の走査方向Yの長さが短くなるにしたがって、第1図形F1と第2図形F2とのズレが大きいことになる。このように、第1図形F1と第2図形F2との重なり部分の走査方向Yの長さと、第1図形F1と第2図形F2とのズレとは相関関係があるため、調整組G1において第1図形F1と第2図形F2との重なり部分の走査方向Yの長さを実ズレ量V20にすることができる。なお、実ズレ量算出部48によって算出された各調整組G1における実ズレ量V20は、記憶部42に記憶される。
【0041】
図7は、第1近似直線L1および第2近似直線L2を示すグラフである。次に、図4のステップS107では、図3の近似直線算出部50は、各調整組G1における調整値V10と、実ズレ量V20とに基づいて、図7に示すような第1近似直線L1と第2近似直線L2を算出する。第1近似直線L1および第2近似直線L2は、図7に示すように、横軸が調整値V10であり、かつ、縦軸が実ズレ量V20である平面で表される。第1近似直線L1は、調整値V10が大きくなるに連れて実ズレ量V20が小さくなる直線であり、傾きがマイナスになる直線である。第1近似直線L1は、調整値V10がマイナス、すなわち調整パターンPT1のデータ上において、第2図形F2が第1図形F1よりも左方にズレている調整組G1(図5では調整組G1a、G1b、G1c)の調整値V10と実ズレ量V20によって算出される直線である。
【0042】
第2近似直線L2は、調整値V10が大きくなるに連れて実ズレ量V20が大きくなる直線であり、傾きがプラスになる直線である。第2近似直線L2は、調整値V10がプラス、すなわち調整パターンPT1のデータ上において、第2図形F2が第1図形F1よりも右方にズレている調整組G1(図5では調整組G1d、G1e、G1f)の調整値V10と実ズレ量V20によって算出される直線である。なお、第1近似直線L1および第2近似直線L2は、数式で表されることができる。近似直線算出部50によって算出された第1近似直線L1および第2近似直線L2に関する情報は、記憶部42に記憶される。
【0043】
次に、図4のステップS109では、調整値決定部52は、決定調整値V30を決定する。ここでは、図7に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2とは、交点P1で交差する。調整値決定部52は、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P1における調整値V10を決定調整値V30とする。なお、交点P1における実ズレ量V20、すなわち第1図形F1と第2図形F2との重なり部分の走査方向Yの長さは、第1図形F1の走査方向Yの長さ(または第2図形F2の走査方向Yの長さ)であり、第1図形F1と第2図形F2とは完全に重なっている状態である。なお、調整値決定部52によって決定された決定調整値V30は、記憶部42に記憶される。
【0044】
次に、図4のステップS111では、調整部54は、決定調整値V30に基づいて双方向印刷の調整を実行する。ここで、決定調整値V30の値に基づいて、インクヘッド28が第2方向Y2に移動する際の印刷におけるインクヘッド28からの吐出のタイミングを調整する。このことで、第1方向Y1における印刷におけるインクの着弾位置と、第2方向Y2における印刷におけるインクの着弾位置との走査方向Yのズレを最小限に抑えることができる。
【0045】
以上、本実施形態では、図1に示すように、プリンタ100は、媒体5を支持するプラテン18と、プラテン18に支持された媒体5にインクを吐出するインクヘッド28(図2参照)と、センサヘッド36と、移動機構30と、制御装置40とを備えている。センサヘッド36は、媒体5に印刷された調整パターンPT1(図5参照)であって、双方向印刷におけるインクヘッド28からのインクの着弾位置を調整するための調整パターンPT1を読み取るセンサ38を有する。移動機構30は、印刷時にインクヘッド28を走査方向Yに移動させ、調整パターンPT1を読み取るときにセンサヘッド36を走査方向Yに移動させる。図5に示すように、調整パターンPT1は、走査方向Yに並んだ複数の第1図形F1を有する第1パターンPT11と、複数の第1図形F1と対になるように、走査方向Yに並んだ複数の第2図形F2を有する第2パターンPT12と、を備えている。対になる第1図形F1と第2図形F2を調整組G1としたとき、第1方向Y1に向かうにしたがって、調整組G1における第1図形F1と第2図形F2とは走査方向Yに所定の調整間隔SP10(図6参照)ずつズレて配置されている。ここでは、調整組G1における第1図形F1に対する第2図形F2のデータ上の走査方向Yのズレを調整値V10とする。
【0046】
制御装置40は、図3に示すように、記憶部42と、調整パターン印刷部44と、検出部46と、実ズレ量算出部48と、近似直線算出部50と、調整値決定部52とを備えている。記憶部42には、図5に示すような調整パターンPT1の印刷データが記憶されている。調整パターン印刷部44は、図4のステップS101に示すように、インクヘッド28が第1方向Y1に移動しているときに第1パターンPT11を印刷し、インクヘッド28が第2方向Y2に移動しているときに第2パターンPT12を印刷することで、媒体5に調整パターンPT1を印刷する。検出部46は、図4のステップS103に示すように、媒体5に印刷された調整パターンPT1上を、センサヘッド36が第1方向Y1または第2方向Y2に移動しているときに、媒体5に印刷された複数の第1図形F1および複数の第2図形F2の位置を検出する。実ズレ量算出部48は、図4のステップS105に示すように、媒体5に印刷された調整組G1ごとに第1図形F1と第2図形F2との間の走査方向Yの実ズレ量V20を算出する。近似直線算出部50は、図4のステップS107に示すように、複数の調整組G1における実ズレ量V20と調整値V10に基づいて、調整値V10が大きくなるに連れて実ズレ量V20が小さくなる第1近似直線L1(図7参照)と、調整値V10が大きくなるにつれて実ズレ量V20が大きくなる第2近似直線L2(図7参照)とを算出する。調整値決定部52は、図4のステップS109および図7に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P1における調整値V10を、双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値V30に決定する。
【0047】
このことによって、媒体5に印刷された調整パターンPT1における第1図形F1および第2図形F2の位置をセンサ38で検出し、調整組G1ごとに実ズレ量V20を自動で算出する。そして、図7に示すように、調整組G1ごとの実ズレ量V20と調整値V10に基づいて算出された第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P1に対する調整値V10を、双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値V30に決定する。よって、媒体5に印刷された調整パターンPT1を利用者が目視することなく、決定調整値V30を制御装置40が決定することができるため、決定調整値V30の決定は、利用者の経験則に影響されない。したがって、決定調整値V30に基づいて、双方向印刷のインクの着弾位置の調整を適切に行うことができる。
【0048】
本実施形態では、図5に示すように、調整パターンPT1の第1図形F1および第2図形F2は、同じ形状を有している。このことによって、調整パターンPT1の印刷では、同じ形状のデータを繰り返し使用することができるため、調整パターンPT1の印刷データ量を減らすことができる。また、同じ形状の図形が走査方向Yに並ぶことになるため、調整パターンPT1を印刷するときの制御をし易い。
【0049】
本実施形態では、図5に示すように、第1図形F1および第2図形F2のそれぞれの形状は、矩形状である。ここでは、第1図形F1は、4つの辺E11~E14を有し、第2図形F2も4つの辺E21~E24を有している。第1図形F1の各辺E11~E14、および、第2図形F2の各辺E21~E24は、それぞれ走査方向Yまたは交差方向Xに延びている。このことによって、調整パターンPT1が印刷された交差方向Xの範囲内であれば、センサ38が走査方向Yに移動するときに検出される第1図形F1の位置、および、第2図形F2の位置の結果は、同じになる。よって、センサ38の交差方向Xの位置を厳密に決定しなくても、調整パターンPT1が印刷された交差方向Xの範囲内であれば、第1図形F1の位置、および、第2図形F2の位置を正確に検出することができる。
【0050】
本実施形態では、図5に示すように、第1図形F1と第2図形F2とは、交差方向Xにズレて配置されている。このことによって、調整組G1における第1図形F1に対する第2図形F2のズレが視覚的に分かり易く、第1図形F1と第2図形F2とが重なっている走査方向Yの範囲が分かり易い。よって、センサ38によって第1図形F1および第2図形F2のそれぞれの位置を検出し易くなるため、実ズレ量V20をより正確に算出することができる。
【0051】
本実施形態では、図5に示すように、第1図形F1と第2図形F2とは、少なくとも一部が交差方向Xにおいて重なるように配置されている。このことによって、調整パターンPT1の交差方向Xの範囲を小さくすることができるため、媒体5における調整パターンPT1の印刷範囲を小さくすることができる。よって、調整パターンPT1を印刷する際の印刷時間を短くすることができ、かつ、調整パターンPT1を印刷する際に要するインク量を減らすことができる。
【0052】
なお、本実施形態では、調整パターンPT1は、複数の調整組G1を有していた。しかしながら、調整パターンPT1は、1つの調整組G1から構成されていてもよい。この場合、例えば実ズレ量算出部48は、媒体5に印刷された1つの調整組G1における第1図形F1に対する第2図形F2の実ズレ量V20を算出する。そして、調整値決定部52は、1つの調整組G1における実ズレ量V20と、調整値V10との差を算出し、当該差を決定調整値V30に決定する。この場合であっても、決定調整値V30に基づいて、双方向印刷のインクの着弾位置の調整を行うことができる。
【0053】
本実施形態では、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P1における調整値V10を決定調整値V30に決定していた。しかしながら、第1近似直線L1および第2近似直線L2を使用せずに、決定調整値V30を算出することが可能である。この場合、実ズレ量算出部48は、各調整組G1における実ズレ量V20を算出する。調整値決定部52は、各調整組G1の実ズレ量V20のうち、最小の実ズレ量V20の調整組G1の調整値V10を、決定調整値V30に決定する。例えば図7の例では、複数の調整組G1の実ズレ量V20のうち、調整組G1cの実ズレ量V20が最小である。この場合、調整組G1cの調整値V10cが決定調整値V30に決定される。
【符号の説明】
【0054】
18 プラテン(支持台)
28 インクヘッド
30 移動機構
36 センサヘッド
38 センサ
40 制御装置
42 記憶部
44 調整パターン印刷部
46 検出部
48 実ズレ量算出部
50 近似直線算出部
52 調整値決定部
100 プリンタ
F1 第1図形
F2 第2図形
PT1 調整パターン
PT11 第1パターン
PT12 第2パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7