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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20240911BHJP
   G01S 11/06 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H05B47/19
G01S11/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020217567
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102690
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 真也
(72)【発明者】
【氏名】富岡 多寿子
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140037(JP,A)
【文献】特開2018-166047(JP,A)
【文献】特開2010-048783(JP,A)
【文献】特開2006-217390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
G01S 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明装置間で送受信される無線信号の受信強度の実測値から、各照明装置間の各推定距離をそれぞれ算出する算出部と;
実環境下における照明装置の実際の位置に基づいて算出される各照明装置間の各距離を基準として、前記算出部により算出された各推定距離をそれぞれ補正する補正部と;
を具備し、
前記補正部は、
前記算出部により算出された各推定距離の中央値と、実環境下における照明装置の実際の位置に基づいて算出される前記各照明装置間の各距離の中央値とに基づく補正係数により、前記各推定距離を補正する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記無線信号の送信側を示す送信側識別情報と、前記無線信号の受信側を示す受信側識別情報と、前記無線信号の受信強度の実測値とが対応付けられた受信強度情報を収集する収集部;
をさらに備え、
前記算出部は、
前記収集部により収集された前記受信強度情報に含まれる前記受信強度の実測値から、前記各推定距離をそれぞれ算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記補正部は、
補正後の各推定距離に基づく前記複数の照明装置間の相対的な位置関係が一意に収束するように、前記補正後の各推定距離について重み付けを行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
複数の照明装置と;
前記複数の照明装置間で送受信される無線信号の受信強度の実測値から、各照明装置間の各推定距離をそれぞれ算出する算出部と;
実環境下における照明装置の実際の位置に基づいて算出される各照明装置間の各距離を基準として、前記算出部により算出された各推定距離をそれぞれ補正する補正部と;
を具備し、
前記補正部は、
前記算出部により算出された各推定距離の中央値と、実環境下における照明装置の実際の位置に基づいて算出される前記各照明装置間の各距離の中央値とに基づく補正係数により、前記各推定距離を補正する
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電波(以下、適宜「無線信号」と称する。)は空間を伝搬する過程で減衰する。これにより、例えば、他の無線機から発信された無線信号を受信し、受信した無線信号の強さ(以下、「受信強度」と称する。)から、無線機間の距離推定が可能となる。移動局からの電波の受信レベルから、移動局と基地局との距離を求める技術も提案されている。
【0003】
また、スタジオや劇場等では、複数の照明装置により照明演出を行うための照明システムが導入されている。この照明システムは、各照明装置側に設定される制御アドレスを用いて、照明制御装置が各照明装置の照度や照明する光の色彩等を遠隔制御することにより照明演出を実行する。
【0004】
このような照明システムでは、照明演出の変更等に応じて、複数のポートに接続される複数の照明装置の種類や配置などの対応関係を調整する仕込み作業が行われる。仕込み作業を行うオペレータは、情報処理装置に表示するユーザインターフェイス上に配置された個々の照明装置に対応するアイコンを操作することにより、各照明装置の各々に対する各種設定を行う場合がある。
【0005】
また、上述したように、ユーザインターフェイス上に配置されたアイコンを介して照明装置の設定等を行う場合、オペレータは、前述のアイコンに対して、各照明装置の各々に対して予め個別に割り振られている識別情報を紐付けておく必要がある。このため、例えば、オペレータは、各照明装置の各々に個別に割り振られている識別情報を収集した後、収集した識別情報の1つ1つを宛先とする点灯指示を順に送信し、照明空間(実環境下)において点灯している照明装置の位置を目視で確認する。そして、オペレータは、点灯している照明装置の位置とユーザインターフェイス上に配置されたアイコンとの対応を確認し、前述のアイコンと前述の識別情報とを1つ1つ手動で紐付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-178042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した紐付けの作業は、照明空間に設置される照明装置の数が増えるにつれて、オペレータの作業負担も大きくなる。そこで、上述した紐付けの作業におけるオペレータの作業負担を軽減するため、無線信号の受信強度から距離を求める従来の技術を利用して、照明装置間の推定距離を算出し、上述した識別情報間の相対的な位置関係を特定することにより、上述した紐付け作業の効率化を図ることも考えられる。一般に、無線信号の受信強度と、無線信号を送受信する拠点間の距離との間には反比例の関係があり、拠点間の距離が小さいほど拠点間で送受信される無線信号の強度が大きくなる。一方、無線信号の受信強度は無線信号が送受信される環境の影響を受けやすく、無線信号の受信強度が無線信号を送受信する拠点間の距離を正しく反映していない可能性がある。このため、無線信号の受信強度に基づいて照明装置間の推定距離を算出する場合、算出される推定距離の信頼度を高める必要がある。
【0008】
そこで、本開示では、無線信号の受信強度に基づいて算出される照明装置間の推定距離の信頼度を高めることができる情報処理装置及び情報処理システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一例に係る情報処理装置は、算出部と、補正部とを具備する。算出部は、複数の照明装置間で送受信される無線信号の受信強度の実測値から、複数の照明装置間の推定距離をそれぞれ算出する。補正部は、実環境下における照明装置の実際の位置に基づいて算出される複数の照明装置間の各距離を基準として、算出部により算出された各推定距離をそれぞれ補正する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
図2図2は、図1に示す複数の照明装置の配置を俯瞰して平面視した図である。
図3図3は、実施形態に係る無線信号の送受信結果を概念的に示す模式図である。
図4図4は、実施形態に係る受信強度情報の概要を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る推定距離の算出例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る補正係数の導出例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る推定距離の補正例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る補正後の各推定距離に基づいて特定される照明装置間の位置関係を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る照明装置間の相対的な位置関係を特定する相対座標の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る照明装置の構成例を示すブロック図である。
図12図12は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図13図13は、実施形態に係る情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、配置推定処理の処理結果の一例を示す図である。
図15図15は、アンカーを用いた配置推定処理の処理結果の一例を示す図である。
図16図16は、他の実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
図17図17は、図16に示す複数の照明装置の配置を俯瞰して平面視した図である。
図18図18は、他の実施形態に係るユーザインターフェイスの画像表示例を示す図である。
図19図19は、他の実施形態に係るユーザインターフェイスの画像表示例を示す図である。
図20図20は、他の実施形態に係るユーザインターフェイスの画像表示例を示す図である。
図21図21は、他の実施形態に係るユーザインターフェイスの画像表示例を示す図である。
図22図22は、他の実施形態に係るユーザインターフェイスの画像表示例を示す図である。
図23図23は、他の実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図24図24は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図25図25は、他の実施形態に係る情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施形態及び変形例に係る情報処理装置20は、算出部25bと、補正部25cとを具備する。算出部25bは、複数の照明装置10間で送受信される無線信号の受信強度の実測値から、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ算出する。補正部25cは、実環境下における照明装置10の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離を基準として、算出部25bにより算出された各推定距離をそれぞれ補正する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態及び変形例において、情報処理装置20は、収集部25aをさらに具備する。収集部25aは、無線信号の送信側を示す送信側識別情報と、無線信号の受信側を示す受信側識別情報と、無線信号の受信強度の実測値とが対応付けられた受信強度情報を収集する。算出部25bは、収集部25aにより収集された受信強度情報に含まれる受信強度の実測値から、各推定距離をそれぞれ算出する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態及び変形例において、補正部25cは、算出部25bにより算出された各推定距離の中央値と、実環境下における照明装置10の実際の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離の中央値とに基づく補正係数により、各推定距離を補正する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態及び変形例において、補正部25cは、補正後の各推定距離に基づく複数の照明装置10間の相対的な位置関係が一意に収束するように、補正後の各推定距離について重み付けを行う。
【0015】
また、以下に説明する実施形態及び変形例に係る情報処理システム1Aは、複数の照明装置10と、算出部25bと、補正部25cとを具備する。算出部25bは、複数の照明装置10間で送受信される無線信号の受信強度の実測値から、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ算出する。補正部25cは、実環境下における照明装置10の実際の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離を基準として、算出部25bにより算出された各推定距離をそれぞれ補正する。
を具備する
【0016】
<<実施形態>>
<情報処理システム1Aの概要>
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理システムの概要について説明する。以下に説明する実施形態において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する照明装置10等を、必要に応じて照明装置10aや照明装置10bなどのように区別して説明する。また、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付して区別することなく説明する。例えば、照明装置10aや照明装置10bなどを特に区別する必要が無い場合には、単に照明装置10と総称する。
【0017】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。図2は、図1に示す複数の照明装置の配置を俯瞰して平面視した図である。図1に示す情報処理システム1Aは、複数の照明装置10と、情報処理装置20とを有する。
【0018】
図1に示す情報処理システム1Aにおいて、複数の照明装置10及び情報処理装置20は、例えば無線LAN(Local Area Network)などの所定のネットワークを介して、通信可能に接続される。所定のネットワークは、情報処理システム1Aの導入先となるオフィスや家庭、スタジオや劇場等の施設で使用される無線LANであってもよいし、インターネットであってもよい。また、情報処理装置20は、複数の照明装置10が配設された照明空間の外部から複数の照明装置10に接続されてもよい。
【0019】
照明装置10は、例えばLED(Light Emitting Diodes)等の半導体発光素子を光源とする照明機器である。例えば、照明装置10は、天井に配設されたり、バトンと称される懸架装置により照明空間の所定の位置に吊り下げられたり、あるいは所定の位置に置かれたりして用いられる。照明装置10が天井に配設される場合は、照明装置10は、例えば、ベースライトやダウンライト、シーリングライトである。また、照明装置10が懸架装置により下げられたり、あるいは所定の位置に置かれたりする場合は、照明装置10は、例えば、スポットライトやボーダーライト、ホリゾントライトである。図2に示すように、照明装置10a~10dは、例えば、平面視で、縦横に2列に並び、各列に2台ずつ配置された総計4台で編成されている。なお、図2に示す照明装置10の構成や配置は一例であり、他の構成や配置であってもよい。また、各照明装置10は、他の照明装置10との間で無線信号を送受信することが可能な無線通信機能を有する。また、各照明装置10は、他の照明装置10から受信した無線信号の受信強度を計測(測定)する機能や、他の照明装置10から受信した無線信号の受信強度を記録する機能を有する。
【0020】
情報処理装置20は、通信機能及び表示機能を有する情報処理装置である。例えば、情報処理装置20は、照明装置10に対応するアイコンをユーザインターフェイス上に表示し、これらのアイコンを、照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置に紐付ける作業を行うオペレータU01により使用される装置である。情報処理装置20は、典型的には、スマートフォンやタブレット、ノート型のPC(Personal Computer)、リモートコントローラなどの可搬性の電子機器である。
【0021】
<情報処理システム1Aにおける情報処理例>
以下、実施形態に係る情報処理システム1Aにおける情報処理例について説明する。情報処理装置20は、各照明装置10に対して、他の照明装置10との間で互いに無線信号を送受信し合うように指示する制御信号を送信する。各照明装置10は、情報処理装置20からの制御信号に従って、他の照明装置10との間で無線信号を送受信する。
【0022】
図3は、実施形態に係る無線信号の送受信結果を概念的に示す模式図である。図3に示す「ID」は、各照明装置10に予め個別に割り振られている識別情報(以下、「装置ID」と称する。)に該当する。装置IDは、照明装置10そのものに個別に割り振られている識別情報ではなく、各照明装置10が備える通信装置(無線機等)に個別に割り振られている識別情報であってもよい。装置IDは、無線信号の送信側を示す送信側識別情報、又は無線信号の受信側を示す受信側識別情報として機能する。図3に示す例では、照明装置10aに対して装置ID<1>が割り振られ、照明装置10bに対して装置ID<2>が割り振られ、照明装置10cに対して装置ID<3>が割り振られ、照明装置10dに対して装置ID<4>が割り振られている。
【0023】
図3に示すように、照明装置10aを送信側とした場合、照明装置10aから周囲にIDを含む無線信号が送信される。そして、照明装置10aの周囲に配設される照明装置10b、10c、10dがその無線信号を受信する。つまり、照明装置10b、10c、10dを受信側として、照明装置10aと照明装置10b、10c、10dとの間で無線信号が送受信される。そして、照明装置10aからの無線信号を受信した照明装置10b、10c、10dでは、受信した無線信号の強度(受信強度)を測定し、その無線信号の強度(受信強度)をIDと関連付けて記録する。例えば、照明装置10bは、照明装置10aから受信した無線信号の受信強度を測定した結果、無線信号の強度として「10」の値が得られ、その無線信号の強度(受信強度)の測定値をID情報(ID<1>)と関連付けて記録する。続いて、送受信の主体の切り替えが行われる。例えば、照明装置10bを送信側、照明装置10a、10c、10dを受信側として、各照明装置の間で無線信号が送受信され、各照明装置a、10c、10dは、受信した無線信号の強度を測定し、その無線信号の強度(受信強度)をIDと関連付けて記録する。このように、全ての照明装置10において互いに無線信号の送受信が行われ、各照明装置10には、無線信号の送信側及び受信側の各々を示す各装置IDと無線信号の受信強度の実測値とを含む受信強度情報が記録される。この各照明装置からの無線信号の送受信は、例えば、情報処理装置20からの指令(指示)をトリガーとして行われる。具体的には、全ての照明装置10は、普段は無線信号を受信可能な状態で待機しており、情報処理装置20から、ある1つの照明装置10に信号送信指令を送信することで無線信号の送信動作が行われる。その信号送信指令を送信する対象の照明装置10を順番に切り替えていくことで実現される。
【0024】
また、情報処理装置20は、各照明装置10から受信強度情報を収集する。この受信強度情報の収集は、情報処理装置20から各照明装置10へ、各照明装置10が記録する受信強度情報とID情報を送信するように指令(指示)を出すことで行われる。図4は、実施形態に係る受信強度情報の概要を示す図である。図4に示すように、情報処理装置20が各照明装置10から収集する受信強度情報には、無線信号の送信側を示す送信側IDと、無線信号の受信側を示す受信側IDとに対応付けて、受信強度の実測値(dbm)を示す情報が記録されている。情報処理装置20は、各照明装置10から収集する受信強度情報を通じて、各照明装置10間で送受信される無線信号の受信強度の実測値とともに、各照明装置10に対して割り振られている装置IDを一括して効率的に収集できる。
【0025】
また、図4に示すように、同じ一対の照明装置10の組合せで送信側と受信側とを入れ替えた場合、受信側となる照明装置10が受信する無線信号の受信強度は理論上ほぼ同一となる。そこで、情報処理装置20は、収集した受信強度情報において受信強度が記録されていない箇所がある場合、無線信号を送受信する組合せ相手の照明装置10が受信側であるときの受信強度を採用してもよい。あるいは、情報処理装置20は、受信強度が記録されていない箇所が外れ値として取り扱われるようなダミー値を採用したり、空白のまま次にステップに進んだりしてもよい。
【0026】
また、情報処理装置20は、受信強度情報に含まれる受信強度の実測値(dbm)から、各照明装置10間の各推定距離(m)をそれぞれ算出する。図5は、実施形態に係る推定距離の算出例を示す図である。図5に示すように、情報処理装置20は、無線信号の受信強度と距離との関係を表す以下の一般式(1)を用いて、受信強度を距離に換算することにより、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ求めることができる。
受信強度R(dbm)×距離D(m)=定数N1・・・(1)
【0027】
前述の式(1)における定数N1は、無線信号が送受信される環境に応じて予め決定される。図5に示す例において、前述の式(1)における定数N1は、照明装置10が設置される照明空間に応じて予め設定される値(例えば「120」)である。これにより、前述の式(1)において受信強度Rと定数N1が既知であるので、前述の式(1)により、照明装置10間の推定距離に該当する距離Dがそれぞれ求められる。なお、以下の式(2)により、受信強度Rを距離に換算してもよい。以下に示す式(2)において、定数N2は、単位距離値あたりの無線強度の減衰量を表す。また、送信強度Sが個々に異なる場合、情報収集時に各照明装置からから送信した無線信号の強度の情報も収集する(距離が0(ゼロ)のときの無線信号の強度)。
受信強度R=送信強度S-N2×距離D・・・(2)
【0028】
また、情報処理装置20は、照明空間(実環境下)における照明装置10の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離を基準として、前述の各推定距離をそれぞれ補正する。図6は、実施形態に係る補正係数の導出例を示す図である。図7は、実施形態に係る推定距離の補正例を示す図である。
【0029】
図6に示すように、情報処理装置20は、各照明装置10間の各推定距離の中央値を求める。ここでの中央値とは、一般的な中央値と捉えて差し支えない。具体的には、得られた推定距離の個数を2×n個(つまり、偶数個)とすると(nは正の整数)、推定距離の値を昇順に並べて最も小さい(0に近い)値からn番目、もしくはn+1番目に大きい数値、または、推定距離の値を降順に並べて最も大きい(0から離れた)値からn番目、もしくはn+1番目に小さい値が中央値である。なお、このときn番目と、n+1番目の値の平均値を中央値としてもよい。また、得られた推定距離の個数を2×n-1個(つまり、奇数個)とした場合は(nは正の整数)、推定距離の値を昇順に並べて最も小さい(0に近い)値からn番目に大きい数値、または、推定距離の値を降順に並べて最も大きい(0から離れた)値からn番目に小さい値が中央値である。また、情報処理装置20は、例えば、照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置(座標)を含む図面情報などに基づいて、照明空間(実環境下)における各照明装置10間の各距離を算出し、算出した各距離の中央値を求める。また、情報処理装置20は、各照明装置10間の各推定距離の中央値と、照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離の中央値とに基づく補正係数により、各照明装置10間の各推定距離を補正する。図6に示す例では、無線信号の受信強度から換算された各推定距離の中央値が、照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置に基づく各照明装置10間の各距離の中央値の4倍となっているので、補正係数として「1/4」が導出される。図7に示すように、情報処理装置20は、この補正係数「1/4」と、各照明装置10間の各推定距離とをそれぞれ掛け合わせることにより、補正後の各推定距離をそれぞれ導出する。なお、情報処理装置20は、前述の中央値の代わりに、各照明装置10間の各推定距離の平均値と、照明空間(実環境下)における各照明装置10間の各距離の平均値とを用いて、前述の補正係数を算出してもよい。このようにして、情報処理装置20は、各照明装置10間で送受信する無線信号の受信強度に基づいて求められる各照明装置10間の各推定距離を実環境における情報を用いて補正するので、無線信号の受信強度に基づいて算出される推定距離の信頼度を高めることができる。なお、補正については、四則演算のいずれで行われてもよく、例えば、足し算や引き算により補正が行われてもよい。
【0030】
図8は、実施形態に係る補正後の各推定距離に基づいて特定される照明装置間の位置関係を説明するための図である。図8に示す円の中の数字は、装置IDを示している。図8に示すように、図7に示す補正後の各推定距離により、例えば、装置ID<1>が割り振られている照明装置10aを中心とする半径「3」の円周上に装置ID<2>が割り振られている照明装置10b及び装置ID<3>が割り振られている照明装置10cが位置し、半径「5」の円周上に装置ID<4>が割り振られている照明装置10dが位置することが特定される。同様に、装置ID<2>が割り振られている照明装置10bを中心とする半径「3」の円周上に装置ID<1>が割り振られている照明装置10a及び装置ID<4>が割り振られている照明装置10dが位置し、半径「5」の円周上に装置ID<3>が割り振られている照明装置10cが位置することが特定される。
【0031】
また、情報処理装置20は、図8に示す照明装置10間の位置関係を用いて、各装置IDに対応する各照明装置の相対座標を導出できる。図9は、実施形態に係る照明装置間の相対的な位置関係を特定する相対座標の一例を示す図である。例えば、図9に示すように、情報処理装置20は、装置ID<1>が割り振られている照明装置10aの座標(X,Y)を(A,B)とした場合、装置ID<2>が割り振られている照明装置10bの相対座標(X,Y)を(A+3,B)とし、装置ID<3>が割り振られている照明装置10cの相対座標(X,Y)を(A,B+3)とし、装置ID<4>が割り振られている照明装置10dの相対座標(X,Y)を(A+3,B+3)として導出できる。
【0032】
上述してきたように、情報処理装置20は、無線信号の受信強度に基づいて算出する各照明装置10間の各推定距離の信頼度を高めることができる。これにより、情報処理装置20は、各照明装置10の各々に対して予め個別に割り当てられている装置IDと、ユーザインターフェイス上に表示されたアイコンOBとの紐付け作業を効率的に行う上で有益な情報(例えば装置ID間の相対座標など)を導出でき、紐付け作業におけるオペレータの作業負担を軽減させる効果も期待できる。
【0033】
<情報処理システム1Aの構成例>
以下、実施形態に係る情報処理システム1Aの構成例について説明する。図10は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。なお、情報処理システム1Aの構成は、図10に示す例には特に限定される必要はなく、図10に示す例よりも多くの照明装置10を有していてもよい。
【0034】
図10に示すように、実施形態に係る情報処理システム1Aは、複数の照明装置10と、情報処理装置20とを有する。複数の照明装置10及び情報処理装置20は、有線又は無線、有線及び無線の組合せによりネットワークNTに接続される。照明装置10及び情報処理装置20は、ネットワークNTを通じて、相互に通信できる。ネットワークNTは、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)等の規格に基づく無線LAN(Local Area Network)、及びインターネット等を含む。
【0035】
照明装置10は、例えばLED(Light Emitting Diodes)等の半導体発光素子を光源とする照明機器である。例えば、照明装置10は、天井に配設されたり、バトンと称される懸架装置により照明空間の所定の位置に吊り下げられたり、あるいは所定の位置に置かれたりして用いられる。照明装置10が天井に配設される場合は、照明装置10は、例えば、ベースライトやダウンライト、シーリングライトである。また、照明装置10が懸架装置により下げられたり、あるいは所定の位置に置かれたりする場合は、照明装置10は、例えば、スポットライトやボーダーライト、ホリゾントライトである。図2に示すように、照明装置10a~10dは、例えば、平面視で、縦横に2列に並び、各列に2台ずつ配置された総計4台で編成されている。なお、図2に示す照明装置10の構成や配置は一例であり、照明装置の他の編成であってもよい。また、各照明装置10は、他の照明装置10との間で無線信号を送受信することが可能な無線通信機能を有する。また、各照明装置10は、他の照明装置10から受信した無線信号の受信強度を計測(測定)する機能や、他の照明装置10から受信した無線信号の受信強度を記録する機能を有する。
【0036】
情報処理装置20は、通信機能及び表示機能を有する情報処理装置である。例えば、情報処理装置20は、照明装置10の各々に対して予め個別に割り振られている装置IDを、ユーザインターフェイス上に配置されたアイコンOBに紐付ける作業などを行うオペレータ(例えば、オペレータU01)により使用される装置である。情報処理装置20は、スマートフォンやタブレット、ノート型のPC(Personal Computer)、リモートコントローラなどの可搬性の電子機器である。
【0037】
<情報処理システム1Aが有する各装置の構成例>
<照明装置10の構成例>
以下、図11を用いて、実施形態に係る照明装置10の構成例について説明する。図11は、実施形態に係る照明装置の構成例を示すブロック図である。なお、図11は、実施形態に係る照明装置10の機能構成の一例を示すものであり、図11に示す例には特に限定される必要はない。
【0038】
図11に示すように、照明装置10は、通信部11と、発光部12と、記憶部13と、制御部14とを有する。
【0039】
通信部11は、ネットワークNTを介して、情報処理装置20などの各種装置と通信を行う。また、通信部11は、ネットワークNTを介して、他の照明装置10との間で無線信号を送受信する。通信部11は、通信部11は、ネットワークNTを通じて通信を行うための通信モジュール等により実現される。他の照明装置10に対して自身のID情報を含む無線信号を送信し、他の照明装置10から送信された無線信号を受信する。また通信部11は、情報処理装置20に対して、無線信号の受信強度情報を送信する。また、通信部11は、他の照明装置10から受信した無線信号の強度を測定する強度測定部を備えている。
【0040】
発光部12は、照度や色温度を調整可能な光源を有する。発光部12は、例えばSMD(Surface Mount Device)型やCOB(Chip on Board)型の光源である。発光部12は、基板(基台)上に1つまたは複数のLED(Light Emitting Diode)光源を配置することにより構成される。LED光源は、例えば、白色光を照射する白色光源である。またLED光源は、2種類以上の白色光源(例えば、電球色と昼白色)を有していてもよいし、白色光源と、赤色、緑色、青色等の有彩色で発光する有彩色光源と、を有していてもよい。制御部14は、例えば、情報処理装置20から受信する照明の制御内容に従って、これら光源をそれぞれ独立に制御し、それぞれ発光させる割合や強度を変更することで、任意に調光および調色を制御する形態であってもよい。
【0041】
記憶部13は、照明装置10で実行される各処理に必要なプログラム及びデータを記憶する。記憶部13は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶デバイスにより実現される。
【0042】
記憶部13は、識別情報記憶部13aと、受信強度情報記憶部13bとを有する。識別情報記憶部13a及び受信強度情報記憶部13bは、1つの半導体メモリ素子や記憶デバイスに配設されていてもよいし、それぞれ異なる半導体メモリ素子や記憶デバイスに配設されていてもよい。
【0043】
識別情報記憶部13aは、自装置である照明装置10に対して、予め個別に割り振られる識別情報である装置IDを記憶する。
【0044】
受信強度情報記憶部13bは、他の照明装置10との間で送受信される無線信号の受信強度に関する受信強度情報を記憶する。例えば、受信強度情報記憶部13bが記憶する受信強度情報には、無線信号の送信側である他の照明装置10に予め個別に割り振られている装置IDである送信側IDと、無線信号の受信側である自装置に予め個別に割り振られている装置IDである受信側IDと、無線信号の受信強度の実測値とが相互に関連付けられている。
【0045】
制御部14は、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部14は、マイクロコンピュータ等により実装される。マイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ、及びROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶デバイスを搭載する。ROMには、照明装置10の各部を制御するためのプログラムや各種処理を実行するためのアプリケーションが格納されている。CPU等のプロセッサが、ROMに格納されたプログラムやアプリケーションを実行することで、マイクロコンピュータによる照明装置10の制御や各種機能が実現される。RAMには、CPU等のプロセッサによる演算の実行等に必要なメモリ領域として使用される。なお、制御部14は、記憶部13に格納されているプログラム等を読み込んで、読み込んだプログラムを実行することにより、照明装置10の制御や各種機能を実現してもよい。また、制御部14は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0046】
図11に示すように、制御部14は、記憶制御部14aと、送信制御部14bとを有する。なお、図11には図示を省略するが、制御部14は、発光部12を制御する点灯制御部を備えている。記憶制御部14aは、各照明装置10から受信した受信強度情報を受信強度情報記憶部13bに記録する。例えば、記憶制御部14aは、情報処理装置20からの指示に従い、通信部11を介して、他の照明装置10との間で無線信号を送受信する。また、記憶制御部14aは、自装置が無線信号の受信側である場合、他の照明装置10の各々から受信した無線信号の受信強度を計測した実測値と前述の送信側IDとを整理し、無線信号の受信側である受信側ID(自装置の装置ID)に関連付けて、受信強度情報として受信強度情報記憶部13bに記録する。
【0047】
送信制御部14bは、情報処理装置20からの要求に応じて、受信強度情報記憶部13bに記憶されている受信強度情報を、通信部11を介して情報処理装置20に送信する。
【0048】
<情報処理装置20の構成例>
以下、図12を用いて、実施形態に係る情報処理装置20の構成例について説明する。図12は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。なお、図12は、実施形態に係る情報処理装置20の機能構成の一例を示すものであり、図12に示す例には特に限定される必要はない。
【0049】
図12に示すように、情報処理装置20は、情報通信部21と、入力部22と、表示部23と、情報記憶部24と、情報制御部25とを有する。
【0050】
情報通信部21は、ネットワークNTを介して、照明装置10などの各種装置と通信を行う。情報通信部21は、ネットワークNTを通じて通信を行うための通信モジュール等により実現される。情報通信部21は、各照明装置10に対して、他の照明装置10との間で互いに無線信号を送受信し合うように指示する制御信号を送信する。また、情報通信部21は、各照明装置10から受信強度情報を受信する。
【0051】
入力部22は、情報処理装置20を使用するオペレータ(例えば、オペレータU01)の操作入力を受け付ける。入力部22は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置により実現される。入力部22は、例えば、照明装置10の各種設定及び制御等を行うために表示部23に表示されるユーザインターフェイスに対する操作入力を受け付ける。入力部22が受け付ける操作入力には、ユーザインターフェイス上に配置された各照明装置10に対応する複数のアイコン(例えば、アイコンOB)に対して装置IDを紐付けるための操作や、ユーザインターフェイス上のアイコンを通じて行われる照明装置10をグループ化するための操作などがある。
【0052】
表示部23は、情報処理装置20により実行される照明装置10の各種設定及び制御に関する各種情報等を表示する。表示部23は、例えば、液晶モニタや液晶ディスプレイ等の表示装置により実現される。表示部23は、照明装置10の各種設定及び制御等を行うためのユーザインターフェイスなどを表示する。
【0053】
情報記憶部24は、情報制御部25により実現される制御を実現するためのプログラム等を記憶する。情報記憶部24は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0054】
図12に示すように、情報記憶部24は、距離演算アプリケーション記憶部24aと、受信強度情報記憶部24bと、図面情報記憶部24cと、距離情報記憶部24dとを有する。距離演算アプリケーション記憶部24aと、受信強度情報記憶部24bと、図面情報記憶部24cと、距離情報記憶部24dとは、1つの半導体メモリ素子や記憶デバイスに配設されていてもよいし、それぞれ異なる半導体メモリ素子や記憶デバイスに配設されていてもよい。
【0055】
距離演算アプリケーション記憶部24aは、各照明装置10の各々に対して予め個別に割り振られている装置ID間の各推定距離を演算するための機能を提供する距離演算アプリケーション(以下、「距離演算アプリ」を称する。)を記憶する。距離演算アプリは、各照明装置10に対して、他の照明装置10との間で互いに無線信号を送受信し合うように指示する制御信号を送信するための機能を提供する。また、距離演算アプリは、各照明装置10から受信強度情報を収集するための機能を提供する。また、距離演算アプリは、受信強度情報に含まれる受信強度の実測値から、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ算出するための機能を提供する。また、距離演算アプリは、照明空間(実環境下)における照明装置の実際の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離を基準として、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ補正するための機能を提供する。
【0056】
受信強度情報記憶部24bは、各照明装置10から受信した受信強度情報を記憶する。受信強度情報記憶部24bが記憶する受信強度情報は、無線信号の送信側である他の照明装置10に予め個別に割り振られている装置IDである送信側IDと、無線信号の受信側である自装置に予め個別に割り振られている装置IDである受信側IDと、無線信号の受信強度の実測値とが相互に関連付けられている。
【0057】
図面情報記憶部24cは、照明空間に設定される照明装置10のレイアウト等に関する図面情報を記憶する。図面情報には、複数の照明装置10が実際に設置されている照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置(座標)を示す位置情報や、複数の照明装置10の配置形態を示す配置形態情報が含まれる。配置形態情報は、平面視で縦横に2列に並び、各列に2台配置されているというような配置の形態を特定するための情報を含んでいる。
【0058】
距離情報記憶部24dは、各照明装置10間の補正後の各推定距離を示す距離情報を記憶する。距離情報記憶部24dに記憶される距離情報は、後述する補正部25cにより導出される。
【0059】
情報制御部25は、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。情報制御部25は、マイクロコンピュータ等により実装される。マイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ、及びROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶デバイスを搭載する。ROMには、情報処理装置20の各部を制御するためのプログラムや各種処理を実行するためのアプリケーションが格納されている。CPU等のプロセッサが、ROMに格納されたプログラムやアプリケーションを実行することで、マイクロコンピュータによる情報処理装置20の制御や各種機能が実現される。RAMには、CPU等のプロセッサによる演算の実行等に必要なメモリ領域として使用される。なお、情報制御部25は、情報記憶部24に格納されているプログラム等を読み込んで、読み込んだプログラムを実行することにより、情報処理装置20の制御や各種機能を実現することもできる。また、情報制御部25は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0060】
図12に示すように、情報制御部25は、収集部25aと、算出部25bと、補正部25cとを有する。
【0061】
収集部25aは、距離演算アプリにより提供される機能に基づいて、各照明装置10に対して、他の照明装置10との間で互いに無線信号を送受信し合うように指示する制御信号を送信する処理を実現できる。例えば、収集部25aは、照明空間(実環境下)に設置されている各照明装置10に対して、自装置に予め割り振られている装置IDを送信するように要求し、各照明装置10の装置IDを収集する。また、収集部25aは、収集した装置IDを用いて、各照明装置10間で無線信号を送受信し合うように指示する制御信号を送信する。また、収集部25aは、各照明装置10に対して受信強度情報を送信するように要求し、各照明装置10から受信強度情報(図4参照)を収集する。
【0062】
なお、収集部25aは、無線信号を送受信する照明装置10(装置ID)の組合せを1組ずつ順に指定して前述の制御信号を送信し、受信強度情報を収集するたびに組合せを変更して、全て組合せに対応する受信強度情報が収集されるまで前述の制御信号を送信する。あるいは、収集部25aは、送信側とする照明装置10のみを順に指定して、送信側に指定された照明装置10と他の照明装置10との間で無線信号を送受信させるための制御信号を各照明装置10に送信することにより、受信側となる各照明装置10から受信強度情報を収集するようにしてもよい。このように、収集部25aは、各照明装置10間の距離を推定するための情報を一括して収集できる。
【0063】
算出部25bは、距離演算アプリにより提供される機能に基づいて、収集部25aにより収集された受信強度情報に含まれる受信強度の実測値から、複数の照明装置10間の推定距離をそれぞれ算出する処理(図5参照)を実現できる。
【0064】
補正部25cは、距離演算アプリにより提供される機能に基づいて、照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離を基準として、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ補正する処理(図6及び図7参照)を実現できる。
【0065】
<情報処理装置20による処理手順>
図13を用いて、実施形態に係る情報処理装置20の処理手順について説明する。図13は、実施形態に係る情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。図13に示す処理手順は、情報処理装置20が有する情報制御部25により実行される。
【0066】
図13に示すように、収集部25aは、各照明装置10から受信強度情報をそれぞれ収集する(ステップS101)。
【0067】
算出部25bは、受信強度情報に含まれる受信強度の実測値から、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ算出する(ステップS102)。
【0068】
補正部25cは、照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離を基準として、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ補正して(ステップS103)、図13に示す処理手順を終了する。
【0069】
<<変形例>>
上述した実施形態において、情報処理装置20は、補正後の各推定距離に基づいて、装置IDが反映された複数の照明装置10間の相対的な位置関係を特定可能である。このとき、補正後の各推定距離の値によっては、複数の照明装置10間の相対的な位置関係が一意に収束しない場合がある。具体的には、上述した図8に示すように、装置ID<1>が割り振られている照明装置10aを中心とした場合の照明装置10a~10dの相対的な位置関係と、装置ID<2>が割り振られている照明装置10bを中心とした場合の照明装置10a~10dの相対的な位置関係と、装置ID<3>が割り振られている照明装置10cを中心とした場合の照明装置10a~10dの相対的な位置関係と、装置ID<4>が割り振られている照明装置10dを中心とした場合の照明装置10a~10dの相対的な位置関係が一意に定まらない場合がある。そこで、補正部25cは、補正後の各推定距離に基づく複数の照明装置10間の相対的な位置関係が一意に収束するように、補正後の各推定距離について重み付けを行ってもよい。重み付けの方法として、例えば、絶対守る距離を決めるなどの方法がある。具体的には、上述した例の図7の時点においては、1辺が3の正方形上に並んだ4つの照明装置10a~10bにおいて、対角線の長さが5で推定されている。単純計算では、1辺が3の正方形では対角線の長さは約4.24となるため、現状の距離の推定では図8のように位置推定を行っても結果が収束しない虞がある。そのため、各数値に重みをつける。例えば、照明装置1aと照明装置1bとの間の距離3は重み1(最順守する値)、照明装置1aと照明装置1cとの間の距離3は重み2(2番目に順守する値)、照明装置1aと照明装置1dとの間の距離5は重み3(3番目に順守する値)、(以下省略)である。このようにして、順守する値を固定しつつ推定を行うことで、本来の位置に近い配置を得ることができる。また、重み付けとしては、距離だけでなく部分的な位置関係を固定してもよい。例えば、照明装置10aの位置だけを固定した状態で位置推定を行ってもよいし、照明装置10aと10bの位置を固定した状態で位置推定を行ってもよい。
【0070】
<<その他>>
また、上記の実施形態又は変形例に係る情報処理装置20の処理機能を実現するための処理プログラム又は距離演算アプリを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよい。このとき、例えば、情報処理装置20は、処理プログラム又は距離演算アプリを記憶媒体からインストールし、上述の各種処理を実行する。
【0071】
また、前述の処理プログラム又は距離演算アプリをインターネット等のネットワーク上に配置されたクラウドストレージに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をクラウドストレージに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0072】
また、上記の実施形態又は変形例に係る情報処理装置20の処理機能の少なくとも一部が、クラウドサーバ上で実行されるように処理機能が分散されていてもよい。例えば、クラウドサーバが、情報処理装置20が有する情報制御部25の算出部25b及び補正部25cのうちの少なくともいずれかの処理機能を有してもよい。クラウドサーバが算出部25bの処理機能を有する場合、情報処理装置20は、各照明装置10から収集した受信強度情報をクラウドサーバにアップロードし、各照明装置10間の各推定距離の提供を要求する。クラウドサーバは、情報処理装置20からの要求に応じて、情報処理装置20からアップロードされた受信強度情報を用いて、各照明装置10間の各推定距離を算出し、情報処理装置20に提供する。また、クラウドサーバが補正部25cの処理機能を有する場合、情報処理装置20は、各照明装置10間の各推定距離とともに、図面情報記憶部24cに記憶されている図面情報をクラウドサーバにアップロードして、各照明装置10間の補正後の各推定距離の提供を要求する。クラウドサーバは、情報処理装置20からの要求に応じて、情報処理装置20からアップロードされた各照明装置10間の各推定距離と図面情報とを用いて各照明装置10間の各推定距離を補正し、補正後の各推定距離を情報処理装置20に提供する。また、クラウドサーバが算出部25b及び補正部25cの双方の処理機能を有する場合、情報処理装置20は、各照明装置10から収集した受信強度情報及び図面情報をクラウドサーバにアップロードし、各照明装置10間の補正後の各推定距離の提供を要求する。クラウドサーバは、情報処理装置20からの要求に応じて、情報処理装置20からアップロードされた受信強度情報を用いて各照明装置10間の各推定距離を算出する。そして、クラウドサーバは、各照明装置10間の各推定距離と図面情報に基づいて、各照明装置10間の各推定距離を補正し、補正後の各推定距離を情報処理装置20に提供する。
【0073】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、この実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0075】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0076】
<<他の実施形態>>
<はじめに>
上述した情報処理装置20は、各照明装置10間の補正後の各推定距離を用いて、各装置IDに対応する各照明装置10間の相対的な位置関係(例えば、相対座標)を導出できる。また、情報処理装置20は、各照明装置10間の相対的な位置関係の推定結果に基づいて、各照明装置10に対応する複数のアイコンをユーザインターフェイス上に配置する配置推定処理を実行することも可能となる。ここで、配置推定処理とは、ユーザインターフェイス上に配置されたアイコンと、アイコンに対応する各照明装置の識別情報とを紐付ける処理に該当する。しかしながら、配置推定処理により得られる各アイコンの配置位置は、相対的な位置関係としては正しくても、照明空間(実環境下)における各照明装置10の位置関係を正しく反映した配置とならない場合が起こり得る。
【0077】
図14は、配置推定処理の処理結果の一例を示す図である。図14の左図は、照明空間における各照明装置10の位置関係の一例を示し、図14の右図は、表示部23に展開されたユーザインターフェイスに表示される配置推定結果の一例を示している。
【0078】
例えば、情報処理装置20は、各照明装置10間の相対的な位置関係と、照明空間(実環境下)における各照明装置10の配置形態とに基づいて、配置推定処理を実行する。図14に示すように、配置推定処理の結果、ユーザインターフェイスにおける各アイコンOBの配置位置は、照明空間(実環境下)における照明装置10の位置関係を正しく反映した配置とならない場合がある。具体的には、表示部23のユーザインターフェイスにおいて、照明空間における照明装置10aの設置位置に対応する位置には、装置ID<3>が割り振られたアイコンOBcが配置されている。装置ID<3>は、照明装置10cに対応する識別情報であり、照明空間における照明装置10cの実際の設置位置と相違している。また、表示部23のユーザインターフェイスにおいて、照明空間における照明装置10bの設置位置に対応する位置には、装置ID<1>が割り振られたアイコンOBaが配置されている。装置ID<1>は、照明装置10aに対応する識別情報であり、照明空間における照明装置10の実際の設置位置と相違している。詳細は省略するが、装置ID<4>が割り振られたアイコンOBd及び装置ID<2>が割り振られたアイコンOBbについても、照明空間における照明装置10の実際の設置位置と相違している。このように、照明空間(実環境下)における各照明装置10の正しい位置関係を所定の回転軸周りに回転したような誤った位置関係でアイコンOBが配置される場合があり得る。
【0079】
そこで、図14に示すような配置の齟齬を防止するため、上述した配置推定処理を実行する前に、ユーザインターフェイス上に配置された複数のアイコンOBの中から、配置推定処理の基準(以下、「アンカー」と称する。)とするアイコンOBを選択し、ユーザインターフェイス上に予め位置決めしておく方法が考えられる。図15は、アンカーを用いた配置推定処理の処理結果の一例を示す図である。図15の左下図は、照明装置10aに対応するアイコンOBaをアンカーとして設定した状態を示している。図15の右上図には、照明空間(実環境下)における各照明装置10の位置関係の一例を示しており、図15の右下図は、アイコンOBaをアンカーとして設定した場合の配置処理結果の一例を示している。照明装置10aに対応するアイコンOBaをアンカーに設定する場合、オペレータ(例えば、オペレータU01)は、例えば照明空間(実環境下)における照明装置10aの設置位置を目視等で確認する。また、オペレータは、表示部23のユーザインターフェイスにおいて、照明空間における照明装置10aの設置位置に対応する位置に配置されているアイコンOBaに対して装置ID<1>を紐付ける。また、オペレータは、アイコンOBaの配置位置が予め与えられた状態で配置推定処理が実行されるように、アイコンOBaのユーザインターフェイスにおける配置位置を位置決めする。
【0080】
上述したように、図15の右下図に示すように、表示部23のユーザインターフェイスにおける各アイコンOBの配置位置は、照明空間(実環境下)における各照明装置10の位置関係を正しく反映した配置とならない場合が起こり得る。具体的には、ユーザインターフェイスにおいて、照明空間における照明装置10bの設置位置に対応する位置には、装置ID<3>が割り振られたアイコンOBcが配置されている。装置ID<3>は照明装置10cに対応するものであり、照明空間における照明装置10cの実際の設置位置と相違している。また、ユーザインターフェイスにおいて、照明空間における照明装置10cの設置位置に対応する位置には、装置ID<2>が割り振られたアイコンOBbが配置されている。装置ID<2>は照明装置10bに対応するものであり、照明空間における照明装置10bの実際の設置位置と相違している。このように、前述の配置推定処理を実行する前にアンカーを設定した場合であっても、鏡像のような誤った位置関係でアイコンOBが配置される場合があり得る。
【0081】
上述してきたように、各照明装置10間の相対的な位置関係に基づいて、ユーザインターフェイス上に上述したアイコンを配置する場合に、実環境下における各照明装置10の位置関係を正しく反映させた配置を実現することは非常に難しい。また、ユーザインターフェイス上の複数のアイコンの中からアンカーを複数選択してから配置推定処理を実行することにより、照明空間(実環境下)における各照明装置10の位置関係を正しく反映させた配置を実現できる可能性を高められる。しかし、アンカーの選択数が増えるほど、オペレータの作業負担が大きくなってしまい、配置推定処理による作業負担軽減の恩恵を十分に得られない。そこで、以下に説明する他の実施形態では、照明空間(実環境下)における照明装置の位置関係をできるだけ正確に反映した情報を効率的に提供する方法について説明する。なお、以下に説明する他の実施形態では、照明空間に複数設置される照明装置10を例として説明するが、空間に複数配置されることが想定されるカメラやレーダ、各種センサについても、同様に適用できる。
【0082】
<情報処理システム1Bの概要>
以下、図面を参照して、他の実施形態に係る情報処理システムの概要について説明する。以下に説明する他の実施形態において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する照明装置10等を、必要に応じて照明装置10aや照明装置10bなどのように区別して説明する。また、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付して区別することなく説明する。例えば、照明装置10aや照明装置10bなどを特に区別する必要が無い場合には、単に照明装置10と総称する。
【0083】
図16は、他の実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。図17は、図16に示す複数の照明装置の配置を俯瞰して平面視した図である。図16に示す情報処理システム1Bは、複数の照明装置10と、情報処理装置20とを有する。
【0084】
図16に示す情報処理システム1Bにおいて、複数の照明装置10及び情報処理装置20は、例えば無線LAN(Local Area Network)などの所定のネットワークを介して、通信可能に接続される。所定のネットワークは、情報処理システム1Bの導入先となるオオフィスや家庭、スタジオや劇場等の施設で使用される無線LANであってもよいし、インターネットであってもよい。また、情報処理装置20は、複数の照明装置10が配設された照明空間の外部から複数の照明装置10に接続されてもよい。
【0085】
照明装置10は、例えばLED(Light Emitting Diodes)等の半導体発光素子を光源とする照明機器である。例えば、照明装置10は、天井に配設されたり、バトンと称される懸架装置により照明空間の所定の位置に吊り下げられたり、あるいは所定の位置に置かれたりして用いられる。照明装置10が天井に配設される場合は、照明装置10は、例えば、ベースライトやダウンライト、シーリングライトである。また、照明装置10が懸架装置により下げられたり、あるいは所定の位置に置かれたりする場合は、照明装置10は、例えば、スポットライトやボーダーライト、ホリゾントライトである。図17に示すように、照明装置10a~10lは、例えば、平面視で、縦4列そして横3列に並び、縦の列に3台そして横の列に4台配置され、総計12台の照明装置10で編成されている。また、各照明装置10は、他の照明装置10(隣接している/していないは関係なく他のすべての照明装置10)との間で無線信号を送受信することが可能な無線通信機能を有する。また、各照明装置10は、他の照明装置10から受信した無線信号の受信強度を計測(測定)する機能や、他の照明装置10から受信した無線信号の受信強度を記録する機能を有する。
【0086】
情報処理装置20は、通信機能及び表示機能を有する情報処理装置である。例えば、情報処理装置20は、照明装置10の各々に対して予め個別に割り振られている装置IDを、ユーザインターフェイス上に配置されたアイコンOBに紐付ける作業などを行うオペレータ(例えば、オペレータU01)により使用される装置である。情報処理装置20は、情報処理装置20は、典型的には、スマートフォンやタブレット、ノート型のPC(Personal Computer)、リモートコントローラなどの可搬性の電子機器である。
【0087】
<情報処理システム1Bにおける情報処理例>
以下、他の実施形態に係る情報処理システム1Bにおける情報処理例について説明する。上述した実施形態と同様に、情報処理装置20は、各照明装置10に対して、他の照明装置10との間で互いに無線信号を送受信し合うように指示する制御信号を送信する。各照明装置10は、情報処理装置20からの制御信号に従って、他の照明装置10との間で無線信号を送受信する。
【0088】
また、情報処理装置20は、各照明装置10から受信強度情報を収集する(図4参照)。また、情報処理装置20は、受信強度情報に含まれる受信強度の実測値(dbm)から、各照明装置10間の各推定距離(m)をそれぞれ算出する(図5参照)。また、情報処理装置20は、照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置に基づいて算出される各照明装置10間の各距離を基準として、各照明装置10間の各推定距離をそれぞれ補正する(図6及び図7参照)。なお、情報処理装置20は、照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の位置を示す位置情報(座標)に基づいて、各照明装置10間の各距離を算出してもよい。
【0089】
また、情報処理装置20は、複数の照明装置10の各々に対応する複数の仮想的なオブジェクトが予め定められる配置形態に従って配置されたユーザインターフェイスを表示する。図18図22は、他の実施形態に係るユーザインターフェイスの画像表示例を示す図である。
【0090】
図18に示すように、情報処理装置20が有する表示部23に表示されるユーザインターフェイス上には、複数の照明装置10の各々に対応する複数の仮想的なオブジェクトであるアイコンOBa~OBlが配置されている。アイコンOBa~OBlは、照明空間(実環境下)における複数の照明装置10の実際の配置形態を示す配置形態情報に従ってユーザインターフェイス上に配置される。図18に示す例では、例えば図17に示す複数の照明装置10の配置形態に合わせて、縦4列及び横3列に並び、縦の各列に3つ、そして横の各列に4つのアイコンOBで編成された総計12個のアイコンOBa~OBlがユーザインターフェイス上に配置されている。この時点では、配置形態に従ってアイコンOBa~OBlを配置するのみで装置IDの紐付けは行われていない。また、図18に示すように、ユーザインターフェイス上には、照明装置10から収集した装置IDが列挙されたIDリストが表示される。装置IDは、例えば照明装置10から収集した受信強度情報から抽出できる。上述の配置推定処理により、リストに表示された装置IDの各々がアイコンOBa~OBlのいずれかに紐付けられる。
【0091】
また、情報処理装置20は、上述の配置推定処理の実行前に、ユーザインターフェイスに配置された複数のアイコンOBの中から配置推定処理の基準(アンカー)としてユーザインターフェイスにおいて予め位置決めすべきアイコンOBを照明空間(実環境下)における各照明装置10の配置形態に応じて導出し、オペレータ(例えば、オペレータU01)に提案する。
【0092】
具体的には、情報処理装置20は、複数の照明装置10の配置形態を解析し、上述した配置推定処理の基準として適切なアイコンOBを少なくとも1つ導出する。例えば、図17に示すように、情報処理装置20は、複数の照明装置10の配置形態が縦4列そして横3列に並び、縦の列に3台そして横の列に4台配置されている配置形態である場合、配置推定処理の基準(アンカー)として機能させるアイコンOBとして、まず、アイコンOBa及びアイコンOBeを導出する。そして、図18に示すように、情報処理装置20は、アンカーとしてアイコンOBa及びアイコンOBeの位置決めを行うことをオペレータに提案するため、ユーザインターフェイス上に配置されたアイコンOBa及びアイコンOBeの表示態様を他のアイコンOBとは異なる斜線パターンに変更するとともに、ユーザインターフェイス上にメッセージウィンドウ23Wを表示する。例えば、情報処理装置20は、メッセージウィンドウ23Wに、アンカーの設定を促すとともに、斜線パターンのアイコンOBがアンカーとして推奨されることをオペレータに通知するためのメッセージを表示する。このようにして、情報処理装置20は、上述した配置推定処理の実行前に、ユーザインターフェイス上に予め手動で位置決めすべきアイコンをオペレータに容易に認識させることができる。
【0093】
アンカーの設定方法としては、オペレータ(例えば、オペレータU01)はIDリスト上の装置IDのいずれかを選択し、選択した装置IDを宛先として点灯するように指令する制御信号を送信し、照明空間(実環境下)において実際に点灯する照明装置10を目視確認する。そして、オペレータは、点灯している照明装置10の位置と、アンカーとして推奨されたユーザインターフェイス上のアイコンOBの配置位置とが対応している場合、該当のアイコンOBのユーザインターフェイス上の配置位置を位置決めするとともに、IDリスト上で選択した装置IDの紐付けを行う。図19に示す例では、オペレータにより、ユーザインターフェイスにおけるアイコンOBeの配置位置が位置決めされるとともに、アイコンOBeに対して装置ID<1>が紐付けられた状態である。情報処理装置20は、オペレータによりユーザインターフェイス上で位置決めされたアイコンOBeの表示態様を、他のアイコンOBとは異なる表示態様(例えば格子パターン)に変更する。
【0094】
また、情報処理装置20は、位置決めされたアイコンOBの配置位置に応じて、次に位置決めすべきアイコンOBを提案する。例えば、図19に示すように、情報処理装置20は、次に位置決めすべきアイコンOBをオペレータ(例えば、オペレータU01)に提案するため、ユーザインターフェイス上で位置決めされたアイコンOBeの配置位置に応じて、アイコンOBiの表示態様を斜線パターンに変更する。また、情報処理装置20は、アイコンOBeの配置位置の位置決めに伴い、メッセージウィンドウ23Wのメッセージの内容を変更する。例えば、情報処理装置20は、メッセージウィンドウ23Wに、アンカーの設定を促すとともに、斜線パターンのアイコンOBがアンカーとして推奨されることをオペレータに通知するためのメッセージを表示する。これにより、情報処理装置20は、位置決めすべきアイコンOBとして複数の選択肢をオペレータにて提供でき、少なからずオペレータの作業負担を軽減できる。
【0095】
また、情報処理装置20は、前述と同様の手順によって、オペレータ(例えば、オペレータU01)によりアイコンOBeの位置決めが行われると、さらに、次に位置決めすべきアイコンOBを提案する。例えば、図20に示すように、情報処理装置20は、次に位置決めすべきアイコンOBをオペレータに提案するため、ユーザインターフェイス上で位置決めされたアイコンOBe及びアイコンOBiの配置位置に応じて、ユーザインターフェイス上のアイコンOBcと、アイコンOBdと、アイコンOBgと、アイコンOBhの表示態様を他のアイコンOBとは異なる斜線パターンに変更する。また、情報処理装置20は、アイコンOBiの配置位置の位置決めに伴い、メッセージウィンドウ23Wのメッセージの内容を変更する。例えば、情報処理装置20は、アンカーの追加設定を促すとともに、斜線パターンのアイコンOBがアンカーとして推奨されることをオペレータに通知するためのメッセージを表示する。
【0096】
このように、情報処理装置20は、前述の配置推定処理を実行する前に、照明空間(実環境下)における照明装置10の配置形態に応じた適切なアンカーの設定をオペレータ(例えば、オペレータU01)に提案するので、照明空間における照明装置の位置関係をできるだけ正確に反映した情報を効率的に提供できる。
【0097】
また、図21に示すように、情報処理装置20は、オペレータ(例えば、オペレータU01)に提案する全てのアンカーの設定が完了すると、メッセージウィンドウ23Wに、前述の配置推定処理を実行するか否かの問合せメッセージを表示し、オペレータからの指示を待機する。図21に示す例では、メッセージウィンドウ23Wに、配置推定処理を実行する場合にオペレータが操作するボタン23Bと、アイコンOBの位置決め操作に戻る場合にオペレータが操作するボタンBとが設けられている。オペレータは、情報処理装置20の表示部23がタッチパネルディスプレイで構成される場合、指やスタイラスペンなどを用いてボタンBをタッチ操作できる。また、オペレータは、情報処理装置20の表示部23がポインティングデバイスでの操作を基本とするディスプレイで構成される場合、マウスやキーボード、タッチパッドなどを介して操作可能なカーソル等によりボタンBを操作できる。なお、メッセージウィンドウ23WにボタンBを設ける例には特に限定される必要はなく、メッセージウィンドウ23Wとは別にユーザインターフェイス上に設けられてもよい。また、ボタンBに対応する操作入力が、予め規定される所定のタッチジェスチャにより実現されてもよい。
【0098】
また、情報処理装置20は、配置推定処理の実行指示をオペレータ(例えば、オペレータU01)から受け付けると、照明空間(実環境下)における各照明装置10の配置形態と、各照明装置10間の相対的な位置関係とに基づいて、アイコンOBとアイコンOBに対応する照明装置10の識別情報とを紐付ける配置推定処理を実行する。具体的には、情報処理装置20は、ユーザインターフェイスにおいて予め位置決めされたアイコンOB(アンカー)を配置推定処理の基準として、各照明装置10の相対的な位置関係と、照明空間(実環境下)における複数の照明装置10の配置形態とを最適化アルゴリズム従って処理し、処理結果に従ってアイコンOBと装置IDとを自動的に紐付けする。
【0099】
また、図22に示すように、情報処理装置20は、配置推定結果として、各照明装置10の各々に対応する複数のアイコンOBに対して装置IDを割付配置した画像を表示部23のユーザインターフェイス上に表示する。
【0100】
また、情報処理装置20は、配置推定処理の結果としてユーザインターフェイスに配置された複数のアイコンOBの中から、配置推定処理を改めて実行する際に位置決めすべきアイコンOBを提案する。例えば、図22に示すように、情報処理装置20は、ユーザインターフェイス上のアイコンOBfと、アイコンOBgと、アイコンOBjと、アイコンOBkの表示態様を他のアイコンOBとは異なる縦線パターンに変更する。これにより、推定処理のやり直し回数を少なくすることができ、少なからずオペレータの作業負担を軽減できる。
【0101】
また、情報処理装置20は、図22に示す配置推定処理の結果をユーザインターフェイス上に表示する際、メッセージウィンドウ23Wのメッセージの内容を変更する。例えば、図22に示すように、情報処理装置20は、装置IDの紐付けの誤りが多い場合、縦線パターンのアイコンOBをアンカーに設定して再度推定処理を実行することを提案するメッセージを表示する。これにより、情報処理装置20は、配置位置推定をやり直す場合に、ユーザインターフェイス上に予め手動で位置決めすべきアイコンOBをオペレータに容易に認識させることができる。
【0102】
オペレータ(例えば、オペレータU01)は、ユーザインターフェイス上に表示されたアイコンOBの配置位置と、照明装置10の装置IDとの紐付けが正しいか否かを確認する。例えば、ユーザインターフェイス上に表示されたIDリストから装置IDを選択し、照明空間(実環境下)において点灯する照明装置10の位置と、ユーザインターフェイス上に表示されたアイコンOBの位置とが対応しているか否かを目視確認する。オペレータは、アイコンOBの配置位置と、照明装置10の装置IDとの紐付けに誤りが多い場合、縦線パターンのアイコンOBの中からアンカーとするアイコンOBの位置決めを行い、前述の配置推定処理を改めて実行できる。なお、図22に示すIDリストに列挙される装置IDは、アイコンOBaに対応する装置IDから上から順に表示されるように、配置推定処理を表示する際に自動的に並び替えられてもよい。つまり、図22に示す例では、IDリストの最上段から「1」、「2」、「3」、(以下省略)という具合に装置IDが昇順に並んでいるが、IDリストの最上段から「8」、「12」、「9」、「11」、(以下省略)という具合に、アイコンOBa→アイコンOBc→アイコンOBc→(以下省略)の順に自動的に並び替えて表示してもよい。これにより、オペレータがアイコンと装置IDとの対応関係を目視確認する際の誤りを容易に発見できる。
【0103】
<情報処理システム1Bの構成例>
以下、他の実施形態に係る情報処理システム1Bの構成例について説明する。図23は、他の実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。他の実施形態に係る情報処理システム1Bの構成は、図23に示す例には特に限定される必要はなく、図23に示す例よりも多くの照明装置10を有していてもよい。
【0104】
図23に示すように、他の実施形態に係る情報処理システム1Bは、システムを構成する照明装置10の数が多い以外は、基本的に実施形態に係る情報処理システム1Aと同様の構成を有している。複数の照明装置10及び情報処理装置20は、有線又は無線、有線及び無線の組合せによりネットワークNTに接続される。照明装置10及び情報処理装置20は、ネットワークNTを通じて、相互に通信できる。ネットワークNTは、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)等の規格に基づく無線LAN(Local Area Network)、及びインターネット等を含む。
【0105】
照明装置10は、例えばLED(Light Emitting Diodes)等の半導体発光素子を光源とする照明機器である。例えば、照明装置10は、バトンと称される懸架装置により照明空間における所定の位置に吊り下げられたり、あるいは所定の位置に置かれたりして用いられる。照明装置10は、ネットワークNTを介して、他の照明装置10との間で無線信号を送受信することが可能な無線通信機能を有する。また、照明装置10は、他の照明装置10から受信した無線信号の受信強度を計測して記録する機能を有する。
【0106】
情報処理装置20は、通信機能及び表示機能を有する情報処理装置である。例えば、情報処理装置20は、照明装置10の各々に対して予め個別に割り振られている装置IDを、ユーザインターフェイス上に配置されたアイコンOBに紐付ける作業などを行うオペレータ(例えば、オペレータU01)により使用される装置である。情報処理装置20は、スマートフォンやタブレット、ノード型のPC(Personal Computer)などの可搬性の電子機器である。
【0107】
<情報処理システム1Bが有する各装置の構成例>
<情報処理装置20の構成例>
以下、他の実施形態に係る情報処理装置20の構成例について説明する。なお、他の実施形態に係る照明装置10の構成は、上述した実施形態に係る照明装置10と同様であるので、説明は省略する。
【0108】
図24は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。なお、図24は、他の実施形態に係る情報処理装置20の機能構成の一例を示すものであり、図24に示す例には特に限定される必要はない。
【0109】
図24に示すように、情報処理装置20は、情報通信部21と、入力部22と、表示部23と、情報記憶部24と、情報制御部25とを有する。他の実施形態に係る情報処理装置20は、以下に説明する点が、実施形態に係る情報処理装置20と相違する。
【0110】
表示部23は、複数の照明装置10の各々に対応する複数の仮想的なオブジェクトが予め定められる配置形態に従って配置されたユーザインターフェイスを表示する(図18等参照)。
【0111】
情報記憶部24が有する推定アプリケーション記憶部24eは、推定アプリケーション(以下、「推定アプリ」と称する。)を記憶する。また、推定アプリは、上述した配置推定処理の実行前に、ユーザインターフェイスに配置された複数のアイコンOBの中から、配置推定処理の基準(アンカー)としてユーザインターフェイスにおいて予め位置決めすべきアイコンOBを照明空間(実環境下)における照明装置10の実際の配置形態に応じて導出し、オペレータに提案するための機能を提供する。また、推定アプリは、前述の配置推定処理を実行する機能を提供する。
【0112】
情報制御部25が有する提案部25dは、上述した配置推定処理の実行前に、ユーザインターフェイスに配置された複数のアイコンOBの中から、配置推定処理の基準(アンカー)としてユーザインターフェイス上に予め位置決めすべきオブジェクトを照明空間(実環境下)における照明装置10の配置形態に応じて導出し、オペレータに提案する。
【0113】
例えば、提案部25dは、照明空間(実環境下)における各照明装置10の配置形態を示す配置形態情報に従って、各照明装置10の各々に対応する複数のアイコンOBをユーザインターフェイス上に配置して表示部23に表示する。
【0114】
また、提案部25dは、ユーザインターフェイス上に配置された複数のアイコンOBの中から、アンカーとして推奨するアイコンOBの表示態様を他のアイコンOBとは異なる表示態様(例えば斜線パターン)に変更する(図18参照)。また、提案部25dは、ユーザインターフェイスに表示するメッセージウィンドウ23Wを通じて、アンカーの設定を促し、表示態様が異なるアイコンOBをアンカーとして推奨すること等をオペレータに通知するためのメッセージを表示する(図18参照)。提案部25dは、オペレータによりユーザインターフェイス上で位置決めされたアイコンOBの表示態様を、他のアイコンOBとは異なる表示態様(例えば格子パターン)に変更する。
【0115】
また、提案部25dは、位置決めされたアイコンOBの配置位置に応じて、次に位置決めすべきアイコンOBを提案する。例えば、提案部25dは、次に位置決めすべきアイコンOBをオペレータに提案するため、ユーザインターフェイス上で位置決めされたアイコンOBの配置位置に応じて、次に位置決めすべきアイコンOBの表示態様を他のアイコンOBとは異なる表示態様(例えば斜線パターン)に変更する(図19及び図20参照)。また、提案部25dは、ユーザインターフェイスに表示するメッセージウィンドウ23Wを通じて、アンカーの設定を促し、表示態様が異なるアイコンOBをアンカーとして推奨すること等をオペレータに通知するためのメッセージを表示する(図19及び図20参照)。
【0116】
また、提案部25dは、前述の配置推定処理の結果としてユーザインターフェイスに配置された複数のアイコンOBの中から、配置推定処理を改めて実行する際に位置決めすべきアイコンOBを提案する。例えば、提案部25dは、配置推定処理を改めて実行する場合に位置決めすべきアイコンOBの表示態様を他のアイコンOBとは異なる表示態様(例えば縦線パターン)に変更する。また、提案部25dは、ユーザインターフェイスに表示するメッセージウィンドウ23Wを通じて、配置推定処理を改めて実行する場合に、表示態様が異なるアイコンOBをアンカーとして推奨すること等をオペレータに通知するメッセージを表示する(図22参照)。
【0117】
情報制御部25が有する推定部25eは、上述した配置推定処理を実行する。具体的には、推定部25eは、ユーザインターフェイスにおいて、オペレータにより予め位置決めされたアイコンOB(アンカー)を配置推定処理の基準として、各照明装置10の相対的な位置関係と、照明空間(実環境下)における複数の照明装置10の配置形態とを最適化アルゴリズム従って処理し、処理結果に従ってアイコンと装置IDとを自動的に紐付けする(図22参照)。なお、推定部25eは、配置推定処理に用いる各照明装置10の配置形態を、図面情報記憶部24cに記憶されている配置形態情報から取得して用いることができる。また、推定部25eは、配置推定処理に用いる各照明装置10間の相対的な位置関係を推定するための情報として、補正部25cにより補正された各照明装置10間の推定距離を用いることができる。これにより、オペレータが、図面情報から各照明装置の実際の位置を示す位置情報を読み取って、装置間の距離を手動で計算する手間を省くことができる。
【0118】
<情報処理装置20による処理手順>
図25を用いて、他の実施形態に係る情報処理装置20の処理手順について説明する。図25は、他の実施形態に係る情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。図25に示す処理手順は、情報処理装置20が有する情報制御部25により実行される。
【0119】
図25に示すように、提案部25dは、照明空間における各照明装置10の配置形態を取得する(ステップS201)。
【0120】
また、提案部25dは、ユーザインターフェイス上に配置された複数のアイコンの中から、上述した図18図20に例示するように、照明空間におけるアンカーとして位置決めすべきアイコンOBを、各照明装置10の配置形態に応じて導出し、オペレータに提案する(ステップS202)。
【0121】
また、推定部25eは、オペレータにより位置決めされたアンカーを配置推定処理の基準として、上述した配置推定処理を実行して(ステップS203)、図25に示す処理手順を終了する。
【0122】
<<その他>>
上述した他の実施形態において、情報処理装置20は、配置推定処理の基準(アンカー)として、ユーザインターフェイスにおいて予め位置決めすべきアイコンOBをオペレータに提案する例について説明したが、この例には特に限定される必要はない。例えば、情報処理装置20は、アンカーとしてアイコンOB間を結ぶベクトルを提案してもよい。
【0123】
また、上述した他の実施形態に係る情報処理装置20の処理機能を実現するための処理プログラム又は推定アプリを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよい。このとき、例えば、情報処理装置20は、処理プログラム又は推定アプリを記憶媒体からインストールし、上述の各種処理を実行する。
【0124】
また、前述の処理プログラム又は推定アプリをインターネット等のネットワーク上に配置されたクラウドストレージに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をクラウドストレージに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0125】
また、上述した他の実施形態に係る情報処理装置20の処理機能の少なくとも一部が、クラウドサーバ上で実行されるように処理機能が分散されていてもよい。例えば、クラウドサーバが、情報処理装置20が有する情報制御部25の提案部25d及び推定部25eのうちの少なくともいずれかの一方の処理機能を有してもよい。クラウドサーバが提案部25dの処理機能を有する場合、情報処理装置20は、照明空間(実環境下)における各照明装置10の配置形態を示す配置形態情報をクラウドサーバにアップロードし、アンカーとして予め位置決めすべきアイコンOBの情報を要求する。クラウドサーバは、情報処理装置20からの要求に応じて、各照明装置10の配置形態情報に基づいて、アンカーとして位置決めすべきアイコンOBを導出し、導出したアイコンOBの情報を情報処理装置20に提供する。また、クラウドサーバが推定部25eの処理機能を有する場合、情報処理装置20は、照明空間(実環境下)における各照明装置10の配置形態を示す配置形態情報及び各照明装置10間の各推定距離をクラウドサーバにアップロードして、配置推定処理の結果を要求する。クラウドサーバは、情報処理装置20からの要求に応じて、照明空間(実環境下)における各照明装置10の配置形態を示す配置形態情報と各照明装置10間の各推定距離とに基づいて配置推定処理を実行し、配置推定処理の結果を情報処理装置20に提供する。
【0126】
また、上述した他の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0127】
以上、本発明の他の実施形態を説明したが、他の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。他の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。他の実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、この実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0128】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0129】
1A、1B 情報処理システム
10 照明装置
20 情報処理装置
21 情報通信部
22 入力部
23 表示部
24 情報記憶部
24a 距離演算アプリケーション記憶部
24b 受信強度情報記憶部
24c 図面情報記憶部
24d 距離情報記憶部
24e 推定アプリケーション記憶部
25 情報制御部
25a 収集部
25b 算出部
25c 補正部
25d 提案部
25e 推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25