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特許7554118血液システム血液分析システムのための環境保護主義の濃縮試薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】血液システム血液分析システムのための環境保護主義の濃縮試薬
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/49 20060101AFI20240911BHJP
   G01N 33/72 20060101ALI20240911BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
G01N33/49 Z
G01N33/72 A
C12Q1/06
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020564495
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2019032858
(87)【国際公開番号】W WO2019222620
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】62/672,869
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】フィゲロア, イグナシオ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジン
(72)【発明者】
【氏名】オルティズ, ネリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドソン, ウェイン
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-512238(JP,A)
【文献】特表2008-534946(JP,A)
【文献】特表2008-517286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
C12Q 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液分析器における使用のための水性濃縮試薬組成物であって、前記水性濃縮試薬組成物は、
10~100g/L EDTA四ナトリウムを含むキレート化剤、
10~50g/L イミダゾールを含むヘモグロビンリガンド、
20~100g/L 硫酸ナトリウムおよび15~60g/L 硫酸カリウムを含む安定化剤、
60~300g/Lの酒石酸ナトリウムカリウムを含む緩衝剤、および
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox L)、および5-フルオロウラシルからなる群より選択される抗微生物剤、
を含み、ここで前記水性濃縮試薬組成物は、製造日後少なくとも1年間にわたって、2~30℃の範囲内の温度で貯蔵した場合に、作業濃度試薬組成物と比較して、10倍~20倍濃縮係数において安定なままである、水性濃縮試薬組成物。
【請求項2】
前記水性濃縮試薬組成物は、周囲温度で貯蔵した場合に、少なくとも1年間の期間にわたって約2パートパーミリオン(ppm)未満のホルムアルデヒドを含むかまたは生じる、請求項1に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項3】
硫酸ナトリウム対硫酸カリウムの重量比は、0.5:1~3:1である、請求項1または2に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項4】
前記作業濃度試薬組成物は、25~75mmol 全硫酸アニオンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項5】
前記水性濃縮試薬組成物は、アルカリ金属塩化物、血小板安定化剤、および浸透圧安定化剤からなる群のうちの1種またはこれより多くを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項6】
前記アルカリ金属塩化物は、NaClおよびKClからなる群より選択される請求項5に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項7】
前記血小板安定化剤は、プロカインおよびテトラカインからなる群より選択される、請求項5または6に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項8】
前記浸透圧安定化剤は、グリセロールである、請求項5~7のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項9】
前記作業濃度試薬組成物を形成するために、少なくとも10倍~20倍から選択される水性希釈に際して、前記作業濃度試薬組成物は、
i)周囲温度においてpH6.90~7.30の範囲のpH;
ii)周囲温度において19.05~20.00mS/cmの範囲の導電性;および
iii)周囲温度において315~360mOsm/Kgの範囲の重量オスモル濃度
の各々を示す、請求項1~8のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項10】
前記水性濃縮試薬組成物は、
10~65g/L EDTA四ナトリウム;
15~50g/L イミダゾール;
40~100g/L 硫酸ナトリウム;
15~50g/L 硫酸カリウム;および
80~180g/L 酒石酸カリウムナトリウム
を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
【請求項11】
体液を分析するための方法であって、前記方法は、
a)請求項1~10のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物を、10倍~20倍希釈して、作業濃度試薬組成物を形成する工程;および
b)体液と前記作業濃度試薬組成物とを混合して、希釈した体液サンプルを形成する工程、
を包含する方法。
【請求項12】
前記体液は、血球を含む血液サンプルであり、前記希釈した身体サンプルは、希釈した血液サンプルであり、前記キレート化剤および前記ヘモグロビンリガンドは、15℃~32℃の温度範囲にわたって再現可能なヘモグロビンおよび細胞容積測定値を提供するために有効な量にあり;前記方法は、
c)前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の物理的パラメーターを決定する工程
をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記血球は、赤血球を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記希釈した血液サンプルを分析して、少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、分析して、前記赤血球の平均細胞容積を決定することを包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記希釈した血液サンプルを分析する工程の前に、溶解試薬と前記希釈した血液サンプルとを混合して、赤血球を溶解する工程をさらに包含する、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記溶解試薬は、少なくとも1種の四級アンモニウム塩の水性溶液を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記血球は、白血球を含む、請求項12~1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、白血球の少なくとも3種の亜集団を決定するための白血球の自動化鑑別分析を含む、請求項12~1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、白血球の少なくとも5種の亜集団を決定するための前記白血球の自動化鑑別分析を含む、請求項12~1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、分析して、血小板の数を決定することを含む、請求項12~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、分析して、ヘモグロビン含有量を決定することを包含する、請求項12~20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として2019年5月16日に出願されており、2018年5月17日出願の米国仮出願第62/672,869号(その開示全体が、その全体において参考として援用される)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
開示の背景
開示の分野
環境にやさしい水性で環境保護主義の濃縮サンプル試薬組成物は、血球の計数およびサイズ分類、ヘモグロビンパラメーターの決定ならびに単一血球サンプルにおける白血球亜集団の鑑別を含む、血球を分析するための適切な血液分析器における使用のために提供される。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
いくつかの血液分析器に伴う1つの問題は、サンプル希釈容器を頻繁に補充することが必要であることである。例えば、上記サンプル希釈剤が製造されかつ作業濃度で販売される場合、超大規模検査室(ultra-high volume lab)は、大規模病院(high volume hospital)では、1検査日に、数回の変更を行うことが必要であり得る。貯蔵場所および検査設置面積は、多くの臨床検査室では限られており、これは、手元に大量の希釈剤を保持することおよび/またはそれらが検査室から除去され得るまでに使用される容器を貯蔵することを困難にする。別の問題は、ある種の先行技術の血液サンプル希釈剤は、環境上の懸念を引き起こし得る廃棄経路において、150ppmまでのホルムアルデヒドを形成し得ることである。
【0004】
先行技術のサンプル希釈剤のより濃縮された形態を単純に調製しようとする試みは、最大濃縮係数によって妨害されている。例えば、ある種の血液分析器とともに使用するための1つの市販の血液希釈組成物は、構成要素溶解度の制限が原因で、最大6×濃縮係数を有することが見出された。
【0005】
多くの場合、異なる血液分析器のためにデザインされた希釈剤は、異なるハードウェア、化学物質容積、反応時間、およびソフトウェアアルゴリズムに起因して、交換可能に使用されないことがある。
【0006】
米国特許第5,935,857号は、血球分析における使用のための等張性血液希釈剤であって、上記希釈剤が、EDTA、イミダゾール、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属硫酸塩、および抗微生物剤を含むものを開示する。
【0007】
米国特許第6,706,526号は、EDTA二ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、プロカイン、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸、および種々の低ホルムアルデヒド生成抗微生物剤を含む、低ホルムアルデヒドの水性血液希釈剤を開示する。
【0008】
米国特許第5,834,315号は、赤血球を溶解して、血中の全ヘモグロビンを決定するために有効な量において四級アンモニウム塩および/またはピリジニウム塩を含む溶解試薬を開示する。
製造時および廃棄経路廃液において経時的に、の両方において低ホルムアルデヒド形成を示す安定な水性濃縮試薬は、特に、血液分析器機器類におけるサンプル希釈剤としての使用に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5,935,857号明細書
【文献】米国特許第6,706,526号明細書
【文献】米国特許第5,834,315号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
環境にやさしい低ホルムアルデヒドの水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物および方法が開示される。
【0011】
例えば、血液分析器または細胞分析器における使用のための体液サンプル希釈剤として使用され得る水性で環境保護主義の濃縮サンプル試薬組成物が提供され、上記濃縮試薬組成物は、キレート化剤、ヘモグロビンリガンド、安定化剤、緩衝剤、および抗微生物剤を含む。
【0012】
例えば、血液分析器または細胞分析器における使用のための体液サンプル希釈剤として使用され得る水性で環境保護主義の濃縮サンプル試薬組成物が提供され、上記濃縮試薬組成物は、キレート化剤、ヘモグロビンリガンド、安定化剤、緩衝剤、および抗微生物剤を含み、ここで上記濃縮試薬組成物は、製造日から少なくとも1年間にわたって2~30℃の温度で貯蔵した場合に、作業濃度試薬組成物と比較して、10倍~20倍濃縮係数において透明かつ無色のままである。上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、周囲温度で貯蔵した場合に、少なくとも1年間の期間にわたって約2パートパーミリオン(ppm)未満のホルムアルデヒドを含むかまたは生じる。上記水性で環境保護主義の濃縮試薬は、貯蔵要件および輸送コストを低減する、ならびに環境への影響を低減することによって、血液分析器の効率を改善し得る。
【0013】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、キレート化剤、例えば、EDTAナトリウム塩(例えば、EDTA四ナトリウム)を含み得る。
【0014】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、イミダゾール、フェニルイミダゾール、メチルイミダゾール、エチルイミダゾールおよびブチルイミダゾールからなる群より選択されるヘモグロビンリガンドを含み得る。上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、上記ヘモグロビンリガンドとしてイミダゾールを含み得る。
【0015】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、アルカリ金属硫酸塩および/またはアルカリ金属ハライド(例えば、硫酸ナトリウムおよび/または硫酸カリウムのようなアルカリ金属硫酸塩安定化剤)から選択される1種またはこれより多くの安定化剤を含み得、例えば、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムを、0.5:1~3:1;または1:1~3:1の重量比において含む。
【0016】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、作業濃度試薬組成物を提供するために水で希釈され得、上記組成物は、約25~約75mmol 全安定化剤または約30~約60mmol 全安定化剤を含み得る。
【0017】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、25~75mmol 全硫酸イオンの作業濃度試薬組成物を含み得る。
【0018】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、酒石酸ナトリウムカリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、またはそれらの水和物のうちの1種またはこれより多くを含む緩衝剤を含み得る。
【0019】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、5-フルオロウラシル、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox L)、ポリアミノプロピルビグアニド(Cosmocil CQ(登録商標))、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BIT)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、オルト-フタルジアルデヒド(OPA)、および1,2 ジブロモ-2,4 ジシアノブタン(Bromothalonil)からなる群より選択される1種またはこれより多くの抗微生物剤を含み得る。
【0020】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-フルオロウラシル、および5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサンを含む抗微生物剤の組み合わせを含み得る。
【0021】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、アルカリ金属塩化物(例えば、NaCl、KCl)、血小板安定化剤(例えば、プロカイン、テトラカイン)、および浸透圧安定化剤(例えば、グリセロール)のうちの1種またはこれより多くを含み得る。
【0022】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、NaClおよびKClからなる群より選択されるアルカリ金属塩化物を含み得る。
【0023】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、プロカインおよびテトラカインからなる群より選択される血小板安定化剤を含み得る。
【0024】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、浸透圧安定化剤としてグリセロールを含み得る。
【0025】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、作業濃度試薬組成物を形成するために、10倍~20倍の希釈係数によって水で希釈され得、その結果、上記作業濃度試薬組成物は、i)周囲温度においてpH6.90~7.30の範囲のpH;ii)周囲温度において19~20mS/cmの範囲の導電性;およびiii)周囲温度において315~360mOsm/Kgの範囲の重量オスモル濃度、の各々を示す。
【0026】
10~100g/L EDTA四ナトリウム;20~50g/L イミダゾール;30~90g/L 硫酸ナトリウム;20~60g/L 硫酸カリウム;60~300g/L 酒石酸カリウムナトリウム;ならびに5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox L)、および5-フルオロウラシルからなる群より選択される抗微生物剤を含む水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物が、提供される。
【0027】
10~100g/L EDTA四ナトリウム;10~50g/L イミダゾール;20~100g/L 硫酸ナトリウム;15~60g/L 硫酸カリウム;60~300g/L 酒石酸カリウムナトリウム;ならびに5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox L)、および5-フルオロウラシルからなる群より選択される抗微生物剤を含む水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物が提供される。
【0028】
40~60g/L EDTA四ナトリウム;20~45g/L イミダゾール;60~85g/L 硫酸ナトリウム;20~40g/L 硫酸カリウム;80~150g/L 酒石酸カリウムナトリウムを含み、必要に応じて、40~60g/L リン酸ナトリウム一塩基性、20~60g/L 塩化ナトリウム、および5~15g/L 5-フルオロウラシルのうちの1種またはこれより多くをさらに含む水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物が提供される。
【0029】
10~65g/L EDTA四ナトリウム;15~50g/L イミダゾール;40~100g/L 硫酸ナトリウム;15~50g/L 硫酸カリウム;および80~180g/L 酒石酸カリウムナトリウムを含む水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物が提供される。
【0030】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox L)、および5-フルオロウラシルからなる群より選択される1種またはこれより多くの抗微生物剤を含み得る。
【0031】
体液を分析するための方法が提供され、上記方法は、a)本開示に従う水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物を10倍~20倍希釈して、作業濃度試薬組成物を形成する工程;b)体液と上記作業用試薬組成物とを混合して、希釈した体液サンプルを形成する工程を包含する。
【0032】
血球を含む血液サンプルを分析するための方法が提供され、上記方法は、a)本開示に従う水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物を10倍~20倍希釈して、作業濃度試薬組成物を形成する工程;b)血球を含む血液サンプルと上記作業用試薬組成物とを混合して、希釈した血液サンプルを形成する工程であって、ここで上記キレート化剤および上記ヘモグロビンリガンドは、15℃~32℃の温度範囲にわたって再現可能なヘモグロビンおよび細胞容積測定値を提供するために有効な量にある工程;ならびにc)上記希釈した血液サンプルを分析して、上記血球の物理的パラメーターを決定する工程を包含する。
【0033】
血球を含む血液サンプルを分析するための方法が提供され、上記方法は、a)本開示に従う水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物を10倍~20倍希釈して、作業濃度試薬組成物を形成する工程;b)血球を含む血液サンプルと上記作業用試薬組成物とを混合して、希釈した血液サンプルを形成する工程、c)上記希釈した血液サンプルを分析する前に、溶解試薬と上記希釈した血液サンプルとを混合して、赤血球を溶解する工程であって、ここで上記キレート化剤および上記ヘモグロビンリガンドは、15℃~32℃の温度範囲にわたって再現可能なヘモグロビンおよび細胞容積測定値を提供するために有効な量にある工程;ならびにd)溶解試薬が添加されている上記希釈した血液サンプルを分析して、上記血球の物理的パラメーターを決定する工程を包含する。
【0034】
血球を含む血液サンプルを分析するための方法が提供され、a)本開示に従う水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物を10倍~20倍希釈して、作業濃度試薬組成物を形成する工程;b)血球を含む血液サンプルと上記作業用試薬組成物とを混合して、希釈した血液サンプルを形成する工程、c)溶解試薬を添加して、RBCを溶解し、ヘモグロビンを放出させる工程であって、ここで上記キレート化剤および上記ヘモグロビンリガンドは、23℃~32℃の温度範囲にわたって再現可能なヘモグロビンおよび細胞容積測定値を提供するために有効な量にある工程;ならびにd)溶解試薬が添加されている上記希釈した血液サンプルを分析して、自動血液分析器で上記血液WBC細胞の物理的パラメーターおよびヘモグロビン濃度を決定する工程を包含する。
【0035】
上記方法において、上記血球は、赤血球を含み得る。
【0036】
上記方法において、希釈した血液サンプルを分析して、少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、上記赤血球の平均細胞容積を決定するために分析することを包含し得る。
【0037】
上記方法において、上記血球は、白血球を含み得る。
【0038】
上記方法において、希釈した血液サンプルを分析して、血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、白血球の少なくとも3種の亜集団を決定するための白血球の自動化鑑別分析を含み得る。
【0039】
上記方法において、希釈した血液サンプルを分析して、血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、白血球の少なくとも5種の亜集団を決定するための白血球の自動化鑑別分析を含み得る。
【0040】
上記方法において、上記溶解試薬は、少なくとも1種の四級アンモニウム塩の水性溶液を含み得る。
【0041】
上記方法において、上記希釈した血液サンプルを分析して、血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、分析して、血小板の数を決定することを包含し得る。
【0042】
上記方法において、上記希釈した血液サンプルを分析して、血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、分析して、ヘモグロビン含有量を決定することを包含し得る。
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明の詳細な説明
安定な水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、体液サンプル(例えば、血液サンプル)の分析における使用のための作業濃度試薬組成物を調製するために提供される。上記環境保護主義の濃縮試薬組成物は、例えば、血液分析器において赤血球、白血球、ヘモグロビンおよび血小板測定値を決定するための血液希釈剤としての使用のための作業濃度試薬を提供するために希釈に関して、少なくとも10倍~20倍濃縮係数において製造され得る。上記濃縮試薬組成物はまた、シアニド非含有であることを意味しかつ低ホルムアルデヒドレベルを示す、環境にやさしいかまたは「環境保護主義(green)」のものである。本明細書で提供される濃縮サンプル試薬は、先行技術のサンプル試薬と比較して、適宜、上記サンプル希釈溶液を頻繁に交換する必要性を実質的に低減し、および運搬および貯蔵場所を少なくとも10倍~20倍、ならびに関連するコストを低減する。
【0044】
上記環境保護主義の作業濃度薬剤は、体液サンプル、例えば、血液サンプルの希釈および分析のために有用である。上記血液サンプルの分析において使用される測定値は、細胞サイズ、形状、含有量および容積を含む。測定値は、光散乱、低周波電流、高周波電流、蛍光およびこれらの組み合わせを使用して作製され得る。上記試薬は、インピーダンス測定を使用して、WBCの決定および3種の亜集団への白血球の鑑別のために使用され得る。
【0045】
環境にやさしい環境保護主義の濃縮試薬、または「GCR」試薬のデザインは、いくつかの困難を提示した。上記試薬は、計数、サイズ分類、希釈、シースのために、例えば、自動血液分析器プラットフォームにおける使用が意図され、生化学的反応ならびに洗浄に関与するので、上記構成要素に対する任意の変化は、基本的に機器が行う測定のいずれにも影響を有し得る。
【0046】
根拠に基づく希釈(predicate diluents)において使用される抗微生物カクテルの交換は、ホルムアルデヒド含有量を低減するために調査され、重要な成分のさらなる交換は、濃縮試薬組成物の最大濃度を増大させるようにデザインされた。
【0047】
種々の塩を、水性の溶解度および周囲温度より低い温度においてすら溶液中に留まることができるかに関して試験した。
【0048】
いくつかの局面において、上記水性濃縮試薬組成物は、上記濃縮試薬組成物を水で希釈して、赤血球、および血小板測定値の決定のために血液サンプルの希釈のための作業濃度試薬を提供する工程を包含する方法において有用である。測定値としては、細胞サイズ、形状、含有量および容積が挙げられる。測定値は、光散乱、低周波電流、高周波電流、蛍光およびこれらの組み合わせを使用して作製され得る。別の局面において、上記濃縮試薬組成物および作業濃度試薬組成物は、WBCおよび3種の亜集団への白血球の鑑別およびヘモグロビン濃度の決定のために有用である。さらなる局面において、上記濃縮試薬組成物および作業濃度試薬組成物は、白血球の5種の亜集団、NRBCおよび網状赤血球(Retic)の決定のために絞り込みフローサイトメトリー(focused flow cytometry)におけるシース流体として有用である。別の局面において、上記濃縮試薬組成物および作業濃度試薬組成物は、蛍光プローブまたは抗体を使用する場合、蛍光フローサイトメトリー分析のために有用である。
【0049】
上記濃縮試薬は、常温保存可能であり、広い範囲の作動温度にわたって使用され得る。さらに、上記作業濃度試薬組成物は、新鮮なまたは古い血液サンプルとともに使用され得る。本明細書で提供される作業濃度試薬組成物を使用することから得られた測定値は、市販の希釈剤を使用することから得られた測定値に匹敵する。
【0050】
定義および頭字語
【0051】
単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「上記、この、その(the)」は、状況が別段明らかに示さなければ、複数形をも含むことが意図される。
【0052】
用語「および/または(and/or)」は、関連付けられ、列挙された項目のうちの1種またはこれより多くの任意のおよび全ての考えられる組み合わせに言及し、包含する。
【0053】
用語「約(about)」とは、化合物の量、用量、時間、温度などのような測定可能な値に言及する場合、その特定された量の10%、5%、1%、0.5%、またはさらには0.1%の変動、およびその値を測定するための試験方法において少なくとも産業上の標準的な変動を包含することが意味される。
【0054】
用語「患者(patient)」、「被験体(subject)」または「被験体(subjects)」は、ヒトを含むが、これに限定されず、その用語はまた、他の哺乳動物、または飼い慣らされた動物もしくはエキゾチックアニマル、例えば、イヌ、ネコ、フェレット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、鳥類、または爬虫類を包含し得る。
【0055】
頭字語「GCR」とは、環境保護主義の濃縮試薬をいう。
【0056】
語句「環境保護主義の試薬(green reagent)」とは、シアニド非含有かつ低ホルムアルデヒド放出試薬をいう。語句「環境保護主義の濃縮試薬(green concentrated reagent)」、「水性で環境保護主義の濃縮試薬(aqueous green concentrated reagent)」または「水性濃縮試薬(aqueous concentrated reagent)」は各々、作業濃度と比較して、少なくとも10×、または10×~20×に濃縮されている水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物をいうために本明細書で使用される。
【0057】
用語「サンプル希釈剤(sample diluent)」とは、患者サンプルとともに使用するために希釈剤としての使用に適した組成物に言及する。上記患者サンプルは、上記患者から得た、例えば、血液、尿、唾液、喀痰、糞便、精液、脳脊髄液、または体液、組織の他のサンプルまたは他の生物学的サンプルから選択される、体液サンプルであり得る。上記患者サンプルは、罹患領域(例えば、咽喉、鼻、膣、子宮頚部、および表在性創傷培養物)にわたって出てくるスワブからの生物学的サンプルであってもよいし、組織または創傷の細針吸引物から得られてもよい。いくつかの局面において、上記患者サンプルは、全血、血清、または血漿から選択される血液サンプルである。いくつかの局面において、上記サンプルは、体液のコントロールサンプル、例えば、安定化ヒト血液である。いくつかの局面において、上記サンプル試薬は、血液希釈物である。
【0058】
語句「使用準備のできた試薬(ready to use reagent)」、「使用準備のできた試薬組成物(ready to use reagent composition)」、「作業濃度試薬(working concentration reagent)」、および「作業濃度試薬組成物(working concentration reagent composition)」とは、例えば、血液分析器または細胞分析器とともに、サンプル希釈剤として使用するために適した約1×作業濃度において生成される水性の試薬組成物をいう。
【0059】
語句「濃縮試薬(concentarated reagent)」、または「濃縮試薬組成物(concentrated reagent composition)」とは、血液分析器において血液サンプル希釈剤として有用な作業濃度試薬組成物を提供するために、水(例えば、脱イオン水)での希釈に関して、例えば、約10倍~20倍濃縮係数で生成される水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物に言及する。上記濃縮試薬組成物は製造され得、上記作業濃度試薬組成物より10倍~20倍、または少なくとも10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、もしくは20倍濃縮された濃度で安定なままであり得る。上記濃縮試薬組成物は、2~40℃、2~30℃、15~37℃の範囲内の温度において、または19~27℃の周囲温度において貯蔵した場合に、製造日から少なくとも3ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、24ヶ月間、30ヶ月間または36ヶ月間にわたって安定である。
【0060】
水性濃縮試薬組成物の安定性は、血液分析器において血液希釈剤としての使用に有効である作業濃度試薬組成物に対する水性希釈によって評価され得、ここで作業濃度試薬組成物は、i)周囲温度においてpH6.90~7.30の範囲のpH;ii)25℃において19~20mS/cmの範囲の導電性;およびiii)周囲温度において315~360mOsm/Kgの範囲の重量オスモル濃度を示す。安定性は、目に見える沈殿がないこと、透明性、無色であること、および/または微生物増殖がないことによってさらに評価され得る。透明性は、例えば、USP<641>の下での溶液試験の完全性によって評価され得る。無色であることは、例えば、Ph Eur 2.2.2の下での溶液の着色または着色試験の程度によって評価され得る。目に見える沈殿がないことは、例えば、USP<790>の下での視覚的粒子試験によって評価され得る。微生物増殖がないことは、例えば、USP<61>による10cfu/100mL以下の全酵母および糸状菌計数(TYMC)によって評価され得る。
【0061】
「n×濃縮試薬(nX concentrated reagent)」、または「n×濃縮試薬組成物(nX concentrated reagent composition)」とは、希釈係数Xによって希釈される場合に、作業濃度試薬組成物を提供する濃縮組成物であって、ここでXは、10~20から選択される数、またはその間の任意の数である濃縮組成物に言及する。例えば、n=15である場合、15×濃縮試薬とは、作業濃度試薬組成物より15倍濃縮された状態(15×)において生じる濃縮試薬組成物に言及する。例えば、15×濃縮試薬組成物は、サンプル希釈剤、例えば、血液分析器における使用のための血液希釈剤または細胞分析器における使用のための体液サンプル希釈剤として使用するために適した1×作業濃度試薬を提供するために希釈され得る。
【0062】
語句「1×試薬(1X-reagent)」とは、例えば、体液サンプル、例えば、血液分析器における使用のための血液サンプルまたは細胞分析器における使用のための体液サンプルを希釈することにおいて使用するのに適した濃度にある作業濃度試薬組成物に言及する。上記濃縮試薬を希釈して、作業濃度にある1×試薬を提供することは、希釈ユニットによって自動化様式で、または手での希釈によって行われ得る。
【0063】
語句「10×濃縮試薬(10X-concentrated reagent)」とは、10倍希釈されて、例えば、血液希釈剤として使用するために適した作業濃度試薬を提供する濃縮組成物に言及する。
【0064】
語句「15×濃縮試薬(15X-concentrated reagent)」とは、15倍希釈されて、例えば、血液希釈剤として使用するために適した作業濃度試薬を提供する濃縮組成物に言及する。
【0065】
語句「18×濃縮試薬(18X-concentrated reagent)」とは、18倍希釈されて、例えば、血液希釈剤として使用するために適した作業濃度試薬を提供する濃縮組成物に言及する。
【0066】
語句「20×濃縮試薬(20X-concentrated reagent)」とは、20倍希釈されて、例えば、血液希釈剤として使用するために適した作業濃度試薬を提供する濃縮組成物に言及する。
【0067】
用語「DxH System」とは、臨床検査室において見出される患者集団をスクリーニングするにあたって使用されるインビトロ診断のための定量的マルチパラメーター自動化血液分析器であるCOULTER(登録商標) DxH 800/600 Systemに言及する。分析されるサンプルとしては、全血サンプル、例えば、EDTA抗凝固剤の中に集められた全血標本が挙げられる。上記DxH systemは、CBC、WBC鑑別、網状赤血球および体液を含む血液パラメーター、例えば、WBC(白血球数)、RBC(赤血球数)、HGB(ヘモグロビン)、MCV(平均赤血球容積)、RDW(赤血球分布幅)、RDW-SD(赤血球分布)、PLT(血小板)、MPV(平均血小板容積)、NE(好中球)、LY(リンパ球)、MO(単球)、EO(好酸球)、BA(好塩基球)、NRBC(有核赤血球)、RET(網状赤血球)、MRV(平均網状赤血球容積)、IRF(未成熟網状赤血球画分)、またはこれらの組み合わせを定量的に評価するために使用される。
【0068】
用語「希釈ユニット(diluter unit)」とは、試薬調製機器に言及する。上記希釈ユニットは、濃縮試薬を1×作業濃度試薬へと、例えば、測定パラメーターとしての導電性を使用することによって希釈する。この状況において、上記作業濃度試薬組成物を提供するために、導電性、または別のパラメーターの限界を確立することは、望ましいことであり得る。
【0069】
用語「溶解試薬」とは、赤血球を溶解し、主にまたは単独で白血球を含むサンプルを調製するために使用される溶血試薬に言及する。上記溶解試薬は、特定の作業濃度試薬とともに使用することに合わせられ得る。
【0070】
略語「fL」とは、フェムトリットル(10-15L)をいう。
【0071】
用語「平均赤血球容積(mean corpuscular volume)」(MCV)は、標本中の赤血球の平均容積である。MCVは、平均赤血球サイズに従って上昇または低下する;すなわち、低MCVは、小球性(平均RBCサイズは小さい)を示し、正常MCVは、正球性(平均RBCサイズは正常)を示し、高MCVは、大球性(平均RBCサイズは大きい)を示す。MCVの参照範囲は、成人において80~96fL/赤血球である。参照範囲は、個々の検査室および患者の年齢に応じて変動し得る。
【0072】
用語「赤血球分布幅(red cell distribution width)」(RDW)とは、赤血球サイズまたは赤血球容積における変動を測定するパラメーターである。RDWは、赤血球サイズにおける変動(赤血球大小不同)に従って上昇する。すなわち、上昇したRDWが、全血球計算に関して報告される場合、顕著な赤血球大小不同(赤血球サイズにおける増大した変動)は、末梢血スメアの検討に際して予測される。
【0073】
頭字語「RBC」は、赤血球をいう。
【0074】
頭字語「CBC」とは、全血球計算をいう。
【0075】
頭字語「RDW-SD」とは、赤血球分布幅標準偏差をいう。
【0076】
頭字語「RDW-CV」とは、赤血球分布幅変動係数をいう。
【0077】
頭字語「IVD」とは、インビトロ診断をいう。
【0078】
調査のための試薬パラメーター
【0079】
新たな濃縮試薬組成物の開発において試験した試薬パラメーターとしては、導電性、pH、重量オスモル濃度、粒子計数、および血液分析器におけるいくつかのCBCパラメーター、例えば、MCV、RDWおよびRDW、WBC3部分ヒストグラムならびに白血球および顆粒球集団の様相(modality)が挙げられる。
【0080】
希釈ユニットは、濃縮試薬を1×作業濃度試薬に、例えば、測定パラメーターとして導電性を使用することによって希釈するために使用され得るので、作業濃度における新たな試薬に関するこのパラメーターの限界を確立することは、望ましいことであり得る。根拠に基づく希釈において、上記導電性は、調節されず、重量オスモル濃度最終調節値の結果であった。
【0081】
語句「周囲温度(ambient temperature)」とは、19~27℃をいう。
【0082】
語句「低ホルムアルデヒド(low formaldehyde)」とは、製造日から少なくとも1年間の期間にわたって、約2パートパーミリオン(ppm)未満のホルムアルデヒドを有するかまたは生じる、試薬組成物またはこれから生じた廃棄溶液中のホルムアルデヒド濃度に言及する。一局面において、少なくとも1年間の期間にわたって約2.0ppm以下、1.5ppm以下、1.0ppm以下、または0.5ppm以下のホルムアルデヒドを有するかまたは生じる低ホルムアルデヒド濃縮試薬が提供される。ホルムアルデヒドは、EPA方法8315Aを使用して測定され得る。この方法は、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンでサンプルを誘導体化して、存在するアルデヒドのカルボニル基をヒドラゾンに変換することを含む。上記サンプル中に存在する各カルボニル化合物は、別個のヒドラゾン誘導体を形成し、これらの個々の誘導体は、有機溶媒を使用して、溶液から抽出される。上記個々のヒドラゾン誘導体は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によて分離および定量される。EPA方法8315Aの詳細は、EPAウェブサイトから得られ得る。
【0083】
語句「ホルムアルデヒド非含有(formaldehyde-free)」とは、製造日から少なくとも1年間の期間にわたって約1パートパーミリオン(ppm)未満、0.5ppm未満、0.1ppm未満のホルムアルデヒドを有するかまたは生じる試薬組成物またはこれから生じた廃棄溶液中のホルムアルデヒド濃度に言及する。
【0084】
語句「シアニド非含有(cyanide-free)」とは、少なくとも1年間の期間にわたって約0.2パートパーミリオン(ppm)未満の全シアニドを有するかまたは生じる、試薬組成物またはこれから生じた廃棄溶液中のシアニド濃度に言及する。全シアニドは、EPA方法335.4を使用して測定され得る。
【0085】
本明細書で言及される全ての特許、特許出願および刊行物は、それら全体において参考として援用される。
【0086】
自動化細胞分析器または血液分析器における使用のためのいくつかの市販の先行技術試薬は、約400パートパーミリオンを超える量のホルムアルデヒドを生じる。ホルムアルデヒドは、WHO国際がん研究機関(IARC)によって公知のヒト発がん物質として分類されており、いくらかの濃度では、毒性およびアレルギー性とも考えられる。ますます、カリフォルニア州およびマサチューセッツ州のような州の規制機関は、産業廃棄物および医療廃棄物において許容されるホルムアルデヒド量を既に制限しつつある。これらの規制によれば、1パートパーミリオンに等しいまたはこれ未満の、廃棄物中のホルムアルデヒド濃度は、ホルムアルデヒド非含有と考えられる。結論として、試薬の貯蔵寿命の過程にわたってまたは製造後少なくとも1年にわたって、1パートパーミリオン(ppm)未満のホルムアルデヒドを生じる、自動化および半自動化された細胞分析器および血液分析器における使用のための試薬は、非常に望ましい。
【0087】
キレート化剤
【0088】
1種またはこれより多くのキレート化剤を含む、水性で環境保護主義の濃縮試薬および環境保護主義の作業濃度試薬が、提供される。キレート化剤は、細胞膜においてイオンをキレート化し、細胞膜を脆弱にし、細胞を殺生物剤に対してより感受性にする化合物である。従って、上記キレート化剤は、細菌および真菌を殺滅するにあたって、上記組成物中に抗微生物化合物を補助する。上記キレート化剤はまた、上記緩衝剤とともに機能して、上記組成物のpHを維持し得る。上記細胞サンプルが血液サンプルである場合に、上記キレート化剤はまた、血小板凝集を低減することによって、血液の抗凝固を維持する一助となり得る。
【0089】
上記キレート化剤は、トリアセテート、テトラアセテートまたはペンタアセテート置換基を含み得る。従って、例えば、上記キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA誘導体(例えば、EDTA塩)、またはこれらの組み合わせであり得る。上記EDTA誘導体としては、EDTAの塩(例えば、EDTAのナトリウム塩および/またはカリウム塩)が挙げられ得る。上記キレート化剤は、EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、EDTA二カリウム、EDTA四カリウム、エチレングリコール-ビス-(3-アミノエチルエーテル) N-N-四酢酸、およびエチレングリコール-ビス-(2-アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)またはこれらの二ナトリウム塩(EGTA二ナトリウム)から選択され得る。EDTA二ナトリウムは、水の中に溶解される場合、pH7未満のpHを示す。EDTA四ナトリウムは、水の中に溶解される場合、pH7より大きいpHを示す。従って、キレート化剤の選択は、pHの影響に起因して、試薬を提供する場合に、さらなる薬剤の選択に影響を及ぼし得る。25℃で水に溶解した5% EDTA二ナトリウムのpHは、約pH4~6以内であり得る。EDTA二ナトリウムは、無水物形態または水和物形態(例えば、EDTA二ナトリウム二水和物)で使用され得る。25℃の水中の1% EDTA四ナトリウムのpHは、約pH10.7~11.7以内であり得る。EDTA四ナトリウムは、無水物形態または水和物形態(例えば、EDTA四ナトリウム二水和物)として利用され得る。
【0090】
いくつかの局面において、EDTAまたはその誘導体以外のさらなるキレート化剤は、本発明の組成物に添加され得る。このようなさらなるキレート化剤としては、当業者に公知の、上記で記載されるとおりのイオンをキレート化する化合物が挙げられる。これらのキレート化剤のいくつかとしては、シクロヘキサンジアミン-四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、および/またはヒドロキシエチルエチレン-ジアミン三酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
上記作業用試薬組成物中の各キレート化剤の濃度は、約0.5~約5.0グラム/リットル(g/L)、約2~約4g/L、または約2.7~約3.3g/Lであり得る。
【0092】
上記濃縮試薬組成物中の各キレート化剤の濃度は、約5~約100グラム/リットル(g/L)、約20~約60g/L、または約27~約50g/Lであり得る。
【0093】
ヘモグロビンリガンド
【0094】
1種またはこれより多くのヘモグロビンリガンドを含む、水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物および環境保護主義の作業濃度試薬が、提供される。上記ヘモグロビンリガンドは、以下から選択され得る: 1,2,4-トリアゾール、アラントイン((2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル)ウレア)、リンゴ酸、マロン酸、エチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタアミン、1.6-ヘキサンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、4-アミノアセトフェノン、ビス-ヘキサメチレントリアミン、ピリダジン、3.6-ジヒドロキシピリダジン、Tiron(硫酸カテコールナトリウム(sodium catechol sulfate);1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸二ナトリウム塩)、8-ヒドロキシキノリン、ビピリジン、1,10-フェナントロリン、サリチル酸、ビスフェノールA、ピラゾール、1-フェニル-3-ピラゾリン、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾリン、イミダゾール、およびイミダゾール誘導体。上記ヘモグロビンリガンドは、イミダゾールまたはイミダゾール誘導体から選択され得、例えば、フェニルイミダゾール、メチルイミダゾール、エチルイミダゾールおよびブチルイミダゾールから選択され得る。作業濃度試薬は、1種またはこれより多くのヘモグロビンリガンドを含み得、上記配位子は、約1~約4g/L、約2~約3.5g/L、または約2.5~約3g/L、または約2.7~2.9g/Lの濃度にあり得る。濃縮試薬組成物は、約10~約80g/L、約20~約60g/Lまたは約40~約45g/Lの濃度にあり得る、1種またはこれより多くのヘモグロビンリガンドを含み得る。
【0095】
安定化剤
【0096】
1種もしくはこれより多くの、または2種もしくはこれより多くの安定化剤を含む、水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物および環境保護主義の作業濃度試薬が、提供される。上記安定化剤は、アルカリ金属硫酸塩および/またはアルカリ金属ハライドから選択され得る。
【0097】
上記安定化剤は、1種もしくはこれより多くのアルカリ金属ハライド安定化剤および/または1種もしくはこれより多くのアルカリ金属硫酸塩安定化剤から選択され得る。上記アルカリ金属硫酸塩安定化剤は、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム(重硫酸ナトリウム)、硫酸カリウム、および硫酸水素カリウム(重硫酸カリウム)のうちの1種もしくはこれより多く、2種もしくはこれより多くまたは3種もしくはこれより多くから選択され得る。濃縮試薬組成物は、硫酸カリウムを含み得る。濃縮試薬組成物は、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムの両方を含み得る。濃縮試薬組成物は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、および/または重硫酸カリウムを含み得る。硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムの組み合わせは、0.5:1~3:1;または1:1~3:1の重量比において使用され得る。作業濃度試薬組成物は、約20~約80mmol、約30~約70mmol、または約40~約60mmol 全アルカリ金属硫酸塩安定化剤を含み得る。さらなる局面において、約300~約900mmol、約400~約850mmol、約600~約800mmol、または約700~約800mmol アルカリ金属硫酸塩安定化剤を含む濃縮試薬が、提供される。
【0098】
必要に応じてアルカリ金属ハライド安定化剤を含む、水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物および環境保護主義の作業濃度試薬組成物が、提供される。上記アルカリ金属ハライド安定化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウムまたはこれらの組み合わせのうちの1種またはこれより多くから選択され得る。上記アルカリ金属ハライドはアルカリ金属塩化物であり得、これは、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムから選択され得る。一局面において、0~約3.5g/L、約1~約3g/L、または約1.5~約2.9g/L アルカリ金属ハライドを含み得る作業濃度試薬が、提供される。別の局面において、0~約70g/L、約20~約60g/L、または約30~約55g/L アルカリ金属ハライドを含み得る作業濃度試薬が、提供される。
【0099】
緩衝剤
【0100】
必要に応じて緩衝化剤を含む、水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物および環境保護主義の作業濃度試薬組成物が、提供される。上記緩衝剤は、上記キレート化剤、またはヘモグロビンリガンドのような他の構成要素、および/または上記組成物のpHを維持するために適した濃度での硫酸塩安定化剤とともに、使用され得る。上記緩衝化剤は、有機酸または無機酸(例えば、リン酸)のアルカリ金属塩、または部分アルカリ金属塩であり得る。
【0101】
上記緩衝剤は、例えば、酒石酸、クエン酸、ギ酸、乳酸、酢酸、およびピルビン酸からなる群のナトリウム塩、カリウム塩、水素ナトリウム塩、および/または水素カリウム塩のうちの1種またはこれより多く、ならびにこれらの組み合わせより選択される、有機酸緩衝剤の部分アルカリ金属塩を含み得る。
【0102】
上記緩衝剤は、リン酸緩衝化剤を含み得、上記リン酸緩衝化剤は、リン酸ナトリウム一塩基性もしくは二塩基性および/またはリン酸カリウム一塩基性もしくは二塩基性、あるいはこれらの組み合わせから選択され得る。
【0103】
上記緩衝剤は、酒石酸、クエン酸および/もしくはリン酸のナトリウムおよび/もしくはカリウムの一塩基性および/もしくは二塩基性の塩、またはこれらの組み合わせを含み得る。例えば、上記緩衝剤は、酒石酸カリウムナトリウム、リン酸ナトリウム一塩基性、酒石酸カリウムナトリウムおよびリン酸ナトリウム一塩基性の緩衝化剤のうちの1種またはこれより多くを含み得る。上記緩衝化剤は、pH6~8、6.5~7.5、または6.9~7.3の作業濃度試薬のpHを維持するために適切な量で使用され得る。一般に、上記緩衝化剤は、0~約35g/L、約5~約30g/L、または約5~約10g/Lの作業濃度試薬において存在し得る。上記緩衝化剤は、0~約500g/L、約50~約300g/L、または約90~約140g/Lにおいて濃縮試薬に存在し得る。
【0104】
水性で環境保護主義の作業濃度試薬は、0~約30g/L、約2~約20g/L、または約5~約8g/Lにおいて酒石酸カリウムナトリウムを含み得る。濃縮試薬は、0~約300g/L、約20~約200g/L、または約80~約150g/Lにおいて酒石酸カリウムナトリウムを含み得る。
【0105】
0~約5g/L、約1~約4.5g/L、または約2.5~約4g/Lにおいてリン酸ナトリウム一塩基性を含む、水性で環境保護主義の作業濃度試薬が、提供され得る。濃縮試薬は、0~約100g/L、約10~約80g/L、または約45~約65g/Lにおいてリン酸ナトリウム一塩基性を含み得る。
【0106】
水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物は、EDTAナトリウム塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、重硫酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、塩化ナトリウム、イミダゾールおよび抗微生物剤を水中で混合する工程を包含するプロセスによって提供され得る。上記EDTAナトリウム塩は、EDTA四ナトリウムであり得る。上記水性濃縮試薬プロセスは、必要に応じて、緩衝剤、血小板安定化剤、浸透圧安定化剤、および/またはpH調節剤を添加する工程をさらに含み得る。
【0107】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬は、上記水性濃縮試薬が安定かつ希釈に適したままであり、2~30℃から選択される温度でシールされた容器中で貯蔵される場合に、製造日後少なくとも1年間の期間にわたって血液分析器における血液サンプル希釈剤としての使用に有効である限りにおいて、少なくとも約10倍~約20倍、12倍~18倍、または10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、もしくは20倍から選択される特定の「濃縮係数(concentration factor)」において、または作業濃度試薬と比較してより濃縮され組成物において製造され得る。
【0108】
用語「希釈係数(dilution factor)」とは、単独で、または分数の分母として使用され得る。例えば、希釈係数10は、1:10希釈、または溶液の合計10部において1部の濃縮物を意味する。従って、上記水性濃縮試薬組成物は、作業濃度試薬を得るために、少なくとも10、または10~20の適切な希釈係数で、水で希釈され得る。
【0109】
アルカリ金属塩化物およびアルカリ金属硫酸塩から選択される安定化剤は、細胞容積に有害に影響しないように、適切な重量オスモル濃度を上記作業濃度試薬において提供するために使用される。一般に、上記作業濃度試薬は、等浸透圧である。より具体的には、上記重量オスモル濃度は、約200~400ミリオスモル(mOsm)/Kg、および好ましくは250~380mOsm/Kg、および最も好ましくは315~360mOsm/Kgであり得る。しかし、上記作業濃度試薬の重量オスモル濃度は、溶解試薬組成物とともに使用される場合に変動し得る。血液サンプルを希釈するために使用される上記作業濃度試薬の容積は、上記血液サンプル混合物の最終重量オスモル濃度が、およそ290~350mOsm、好ましくは310~330mOsmの間であるように、溶解試薬容積に対して調節され得る。さらに、フロー機器において使用される場合、シース流体の重量オスモル濃度および導電性と、コア流体の重量オスモル濃度および導電性との間の関係性は、維持されるべきである。例えば、上記作業濃度試薬は、約15~23mS/cm、好ましくは約19~20mS/cmの導電性を有し得る。
【0110】
抗微生物剤
【0111】
1種またはこれより多くの抗微生物剤を含む、水性で環境保護主義の濃縮試薬および環境保護主義の作業濃度試薬が、提供される。本明細書で提供される組成物は、使用前の長期間にわたって貯蔵され得、しばしば、使用する間に微生物に曝露され得る。従って、本明細書で提供される組成物は、分析前におよび分析中に微生物の増殖を排除するために、1種またはこれより多くの抗微生物剤を含み得る。しかし、当該分野で公知の上記組成物において使用されるある種の抗微生物剤は、2ppmを超えるホルムアルデヒドレベルの生成に寄与する。本発明の組成物における使用のために、抗微生物剤は、少なくとも1年間にわたって少量または不十分量(insubstantial amount)(例えば、好ましくは2ppm未満、または1ppm未満)のホルムアルデヒドを生じるべきである。上記試薬はまた、適切な抗微生物保護を提供するべきであるが、種々の分析手順において上記細胞サンプルの測定値に干渉するべきでない。好ましくは、上記抗微生物剤は、血液分析器の多くの方法において従来から使用される他の試薬と反応しない。
【0112】
グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、酵母、および/または真菌の増殖を防止または排除することにおいて有効であるが、1年間の過程にわたって上記組成物において、2ppm未満、または1ppm未満のホルムアルデヒドを生じる、1種またはこれより多くの抗微生物剤を有する環境保護主義の組成物が、提供される。好ましくは、本発明の組成物において有用な抗微生物剤は、低ホルムアルデヒド放出または非ホルムアルデヒド放出抗微生物剤を含む。いくつかの局面において、上記抗微生物剤は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox L)、ポリアミノプロピルビグアニド(Cosmocil CQ(登録商標))、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BIT)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、オルト-フタルジアルデヒド(OPA)、1,2 ジブロモ-2,4 ジシアノブタン(Bromothalonil)、および5-フルオロウラシルのうちの1種またはこれより多くから選択される。
【0113】
具体的局面において、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)および2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)(PROCLINTM 150)を含む水性で環境保護主義の濃縮試薬および環境保護主義の作業濃度試薬が、提供される。PROCLINTM 150は、約1.46~1.54重量% 全CMIT/MITを含む液体であり、ここでCMITは、約74.5~75.5重量%であり、比重1.2を有する。1つの具体的局面において、抗微生物剤5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、および5-フルオロウラシルを含む、水性濃縮試薬および作業濃度試薬が、提供される。別の具体的局面において、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-フルオロウラシル、および5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサンを含む、水性濃縮試薬および作業濃度試薬が、提供される。これらの抗微生物剤は、市販されている。
【0114】
N-(ヒドロキシメチル)-N-(1,3-ジヒドロキシメチル-2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル)-N’-(ヒドロキシメチル)ウレア(GERMALLTM II、ジアゾリジニルウレア)、イミダゾリジニルウレア(GERMALLTM 115)、または1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン(DMDMヒダントイン, Glydant)を含まない、水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物および環境保護主義の作業濃度試薬組成物が、提供される。これらの抗微生物剤(例えば、ジアゾリジニルウレアのような)は、分解を経て実質的な量のホルムアルデヒドを放出するホルムアルデヒド放出化合物である。
【0115】
上記抗微生物化合物は、非常に低いホルムアルデヒドを伴う乃至全くホルムアルデヒドのない、そしてさらに選択される分析手順によって測定される血液サンプルにも細胞パラメーターにも有害に影響を及ぼすことなく、上記組成物の貯蔵寿命全体を通じて、微生物増殖と戦うために有効な任意の比において、使用され得る。抗微生物剤の量は、上記濃縮試薬組成物および作業濃度試薬組成物の貯蔵寿命を通じて、周囲温度において微生物増殖を防止するために有効な量で使用され得る。
【0116】
組み合わされた抗微生物剤は、0.01~3g/L、0.1~2g/L、または0.5~1.8g/Lにおいて作業濃度試薬に存在し得る。上記組み合わされた抗微生物剤は、0.1~50g/L、1~40g/L、または5~30g/Lにおいて、濃縮試薬に存在し得る。しかし、個々の抗微生物剤の量は、効力に伴って変動し得る。
【0117】
5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox(登録商標))は、単独で、または他の抗微生物剤との組み合わせにおいて、上記作業用試薬組成物で0~1g/L、0.1~0.8g/L、もしくは0.4~0.6g/Lにおいて、または水性濃縮試薬で0~20g/L、1.0~16g/L、もしくは4~12g/Lにおいて、使用され得る。Bronidoxは、非常に少量において、および非常にゆっくりと、ホルムアルデヒドを放出する。Paulus, Microbicides for the protection of materials: a handbook, 1993, Pringer-Science+Business Media, B.V., Part III, Ch. 3, Formaldehyde releasing compounds, pp. 77-78。
【0118】
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)および2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)(PROCLINTM 150として)の組み合わせは、作業濃度試薬組成物で0~1g/L、0.1~0.8g/L、もしくは0.4~0.6g/Lにおいて、または水性濃縮試薬で0~20g/L、1.0~16g/L、もしくは4~12g/Lにおいて、使用され得る。
【0119】
ある種の抗微生物剤は、上記で記載されるより低い濃度で有効である。例えば、いくつかの局面において、ポリアミノプロピルビグアニド(Cosmocil CQ(登録商標))および/またはオルトフタルジアルデヒド(OPA)は各々、作業濃度試薬において、作業用試薬組成物で0~0.05g/L、0.01~0.03g/L、もしくは0.015~0.025g/Lにおいて、または水性濃縮試薬で0~1g/L、0.10~0.60g/L、もしくは0.15~0.5g/Lにおいて、使用され得る。
【0120】
他の抗微生物剤は、本開示の組成物において同様に有用であり得る。このような有用な抗微生物構成要素の選択は、本開示によって包含される。本発明の組成物において特定の抗微生物剤の適切性を決定するための方法は、米国特許第6,706,526 B2号(その全体において本明細書に参考として援用される)に見出される。
【0121】
血小板安定化剤
【0122】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬および環境保護主義の作業濃度試薬組成物は、必要に応じて血小板安定化剤を含み得る。上記血小板安定化剤は、細胞サイズ、形状および血球構成要素の完全性安定化するために、例えば、血小板凝集を防止することによって、使用され得る。使用される上記血小板安定化剤の正確な量は、それらの化学的製剤化によって規定されるとおりに変動し得る。適切な血小板安定化剤としては、4-アミノ安息香酸エステルおよび構造RHN-C-COOR’またはRHN-C-COOCHCHR’を有するその誘導体(ここでRは、水素および低級C1-6アルキルであり、R’は、低級アルキル、ジアルキルアミノアルキルおよびジアルキルアミノであり、ここで低級アルキルは、C-Cアルキルであり、アルキルは、C-Cアルキルである)が挙げられる。このような化合物の例としては、ベンゾカイン、プロカイン、ブタカイン、テトラカインおよびブテタミンがあげられる。これらの化合物は、塩基としてまたはその塩(例えば、塩化物、酪酸塩、硝酸塩またはホウ酸塩)として、有用である。具体的局面において、血小板安定化剤は、2-(ジメチルアミノ)エチル p-(ブチルアミノ)ベンゾエートヒドロクロリド(テトラカインヒドロクロリド)または2-ジエチルアミノエチル 4-アミノベンゾエートヒドロクロリド(プロカインヒドロクロリド)から選択され得る。上記血小板安定化剤は、0~約0.05g/L、約0.005~約0.05g/L、または約0.01~約0.03g/Lにおいて、上記作業濃度試薬組成物に存在し得る。上記血小板安定化剤は、0~約2g/L、約0.05~約0.5g/L、または約0.01~約0.03g/Lにおいて、上記濃縮試薬組成物に存在し得る。
【0123】
浸透圧安定化剤
【0124】
浸透圧安定化剤は、必要に応じて、本開示の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物および環境保護主義の作業濃度試薬において使用され得る。受容可能な浸透圧安定化剤としては、ある種の糖、例えば、モノサッカリド(例えば、グルコース、フルクトース、ソルボース、キシロース、リボース)、およびジサッカリド(例えば、スクロース)、糖アルコール(例えば、マンニトール、イノシトール、キシリトール、およびアドニトール)、グリセロール、ならびにある種のアミノ酸(例えば、グリシンおよびアルギニン)が挙げられる。上記浸透圧安定化剤は、例えば、グリセロールであり得る。上記浸透圧安定化剤は、必要に応じて、上記作業濃度試薬で0~約2g/L、約0.2~約1.5g/L、もしくは約0.5~約1.5g/Lにおいて、または0~約50g/L、約2~約30g/L、もしくは約5~約25g/Lにおいて使用され得る。上記グリセロールは、作業濃度試薬で0~約1.6mL/L、もしくは約0.5~約1.0mL/L;または上記濃縮試薬で0~約32mL/L、もしくは約5~約20mL/Lにおいて、使用され得る。
【0125】
pH調節剤
【0126】
上記環境保護主義の作業濃度試薬の所望のpHは、利用される血液機器および行われる試験に依存する。好ましくは、上記試薬は製造の間に調節され、その結果、上記試薬のpHは、約6~約8、約6.5~約7.5、または約6.9~約7.3である。pH調節剤は、上記濃縮試薬および/または作業濃度試薬において、所望のpHを達成するために十分な濃度で使用され得る。pH調節剤は、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであり得る。一局面において、上記pH調節剤は、50% 水性NaOHである。上記pH調節剤は、塩酸のような無機酸を含み得る。一局面において、上記pH調節剤は、6N HClである。この濃度は、上記試薬溶液の全体の酸性または塩基性に寄与し得る他の溶質の濃度に依存し得る。当業者は、必要とされる塩基または酸の量を容易に決定し得る。
【0127】
いくつかの局面において、10倍~20倍の希釈の際に、表1に従う環境保護主義の作業濃度試薬を提供する水性で環境保護主義の濃縮試薬が、提供される。
【0128】
表1.本発明の作業濃度試薬
【表1】
【0129】
溶解試薬
【0130】
血液サンプル中のヘモグロビン(Hgb)を測定する能力は、診断分析の慣用的部分であり、ヘモグロビンに影響を及ぼし得る疾患に対して指向される治療および他の疾患に対して指向されるが、ヘモグロビンレベルに対して有害な副作用を有し得る治療に対する応答をモニターするためにも重要である。正常被験体の末梢血中の白血球は、5つのタイプ、すなわち、リンパ球、単球、好中球、好酸球および好塩基球からなる。その白血球のうちの後者3タイプは、まとめて顆粒球といわれる。白血球のタイプが異なれば、異なる生物学的機能を有する。血液サンプル中の白血球の異なるタイプを計数および鑑別することは、臨床診断にとっての価値ある情報を提供する。例えば、増大した単球数は、感染性疾患に罹患している患者の回復期の間に起こるか、またはこのような疾患において単球性白血病として起こるかのいずれかである。
【0131】
白血球の分類および計数は、最も一般には、手動による方法ともいわれる鑑別計数法(differential counting method)によって行われている。自動血液分析器はまた、白血球を計数するために一般に使用される。いくつかの自動血液分析器は、溶血試薬を使用して、赤血球を溶解し、主にまたは単独で白血球を含むサンプルを調製する。次いで、上記サンプル混合物を、例えば、インピーダンス法によって分析する。いくつかの機器は、単球、リンパ球および顆粒球を含む異なるタイプの白血球を計数する(鑑別計数)。理想的には、1つの自動化工程において、ヘモグロビン測定値および白血球数の計数または白血球亜集団の鑑別計数のようなマルチ診断分析を達成し得ることが望まれる。
【0132】
ヘモグロビン決定のための多くの周知の方法の中で、シアニドヘモグロビン法が、国際血液標準化委員会によって標準として推奨されている。ICSH. Recommendations for haemoglobinometry in human blood. Br J Haematol. 1967; 13 (suppl:71-6)。Matsubara and Okuzonoによるこの方法の改変は、臨床検査においてその広い使用法をもたらしている。Matsubara T, Okuzono H, Tamazawa S. Proposal for an improved reagent in the hemiglobincyanide method. In: Izak G, and Lewis, SM編, Modem concepts in hematology. New York: Academic Press, 1972:29-42。この方法において、赤血球のヘモグロビンの全ての形態におけるヘム基の鉄原子は、フェリシアン化カリウムによってメトヘモグロビンへと酸化される。次いで、上記メトヘモグロビンは、シアニドアニオン(これは、ヘム基の鉄に対して非常に高い親和性を有する)と錯体化されて、シアンメトヘモグロビン色原体を形成する。この極めて安定な色原体は、540nmにおいて最大吸収を有し、これは、UV分光測定によって手動で測定される。しかし、使用されるシアン化カリウムが原因で、上記試薬廃棄物は、非常に大きな環境上の懸念を引き起こしている。シアン化物を利用しない代替の自動化ヘモグロビン分析法が、開発されている。
【0133】
本明細書で開示される水性で環境保護主義の作業濃度試薬は、当該分野で公知であるように、シアニド非含有水性溶解試薬との使用に適している。当該分野で公知であるとおりのシアニド非含有溶解試薬は、血液分析器において血液希釈剤として使用される場合、作業濃度試薬とともに使用され得る。溶解試薬は、米国特許第5,242,832号、同第5,763,280号、同第5,834,315号、および同第5,882,934号(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0134】
米国特許第5,834,315号は、血液中の全ヘモグロビンを決定するために、赤血球を溶解するために有効な量において四級アンモニウム塩および/またはピリジニウム塩を含むシアニド非含有溶解試薬を開示する。
【0135】
米国特許第5,242,832号は、白血球数を計数し、血液サンプル中でヘモグロビン濃度を測定するためのシアニド非含有溶解試薬を開示する。上記溶解試薬は、シアニドを含まず、カチオン性界面活性剤(例えば、四級アンモニウム塩、両性界面活性剤またはピリジニウム塩)、緩衝剤、およびヘモグロビン安定化剤を含む。
【0136】
米国特許第5,763,280号および同第5,882,934号は、四級アンモニウム塩またはピリジニウム塩から選択される溶血性界面活性剤および有機配位子を含むシアニド非含有溶解試薬組成物を開示する。上記溶解試薬は、適切なサンプル希釈剤で予め希釈された血液サンプルと混合される。種々のヘモグロビンリガンドもまた記載される。
【実施例
【0137】
実施例1.製剤
改善された本発明の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物および環境保護主義の作業濃度試薬組成物を、10×~20×濃縮係数において製造されるという目的をもって、表2~8に従って調製した。さらに、試薬組成物を、製造時に2ppm以下のホルムアルデヒドおよび1年後に2ppm以下のホルムアルデヒドという低ホルムアルデヒドレベルを示すようにデザインした。例示的な濃縮製剤を、この実施例において提供する。
【0138】
表2.本発明の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物A(15×)および1×環境保護主義の作業濃度試薬組成物
【表2】
【0139】
表3.本発明の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物B(10×)および1×環境保護主義の作業濃度試薬組成物
【表3-1】
【表3-2】
【0140】
表4.本発明の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物C(15×)および1×環境保護主義の作業濃度試薬組成物
【表4】
【0141】
表5.本発明の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物D(15×)および1×環境保護主義の作業濃度試薬組成物
【表5-1】
【表5-2】
【0142】
表6.本発明の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物E(20×)および1×環境保護主義の作業濃度試薬組成物
【表6】
【0143】
表7.本発明の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物F(18×)および1×環境保護主義の作業濃度試薬組成物
【表7-1】
【表7-2】
【0144】
表8.本発明の水性で環境保護主義の濃縮試薬G(18×)および1×環境保護主義の作業濃度試薬組成物
【表8】
【0145】
表9.比較希釈剤
【表9-1】
【表9-2】
【0146】
表2~8の水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物A~Gの各々を製造し、示されるとおりの10×~18×濃縮係数において貯蔵したところ、2~30℃から選択される温度で貯蔵した場合に、少なくとも12ヶ月間、または少なくとも18ヶ月間安定であった。上記例示的試薬組成物はまた、製造時および1年後に、低ホルムアルデヒド含有量を示した。例えば、表2の濃縮試薬組成物を、15×濃縮係数において製造および貯蔵でき、製造時に0.1ppm ホルムアルデヒドおよび1年後に0.2ppm ホルムアルデヒドという低ホルムアルデヒドを示した。
【0147】
比較において、表9に従う先行技術の比較希釈剤は、制限された構成要素の溶解度が原因で、最大6×濃縮係数において製造できたのみであり、本発明の試薬と比較して、1年後に廃液中で有意により高いホルムアルデヒドレベルを示した。
【0148】
実施例2. 溶解試薬
【0149】
溶解試薬を、各候補作業濃度試薬での使用のために調製した。血液サンプルを、作業濃度試薬で希釈した。上記溶解試薬を調製し、希釈した血液サンプルと混合して、赤血球を溶解し、その後、白血球を、例えば、白血球の自動化鑑別分析を使用することによって分析して、白血球の少なくとも3種の亜集団を決定した。上記溶解試薬は、例えば、米国特許第5,763,280号、同第5,882,934号、同第5,834,315号、および同第5,935,857号(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)のうちの1またはこれより多くに従う、1種またはこれより多くの四級アンモニウム塩から選択される溶血界面活性剤および有機配位子を含むシアニド非含有溶解試薬組成物であった。上記溶解試薬を、必要な場合には、各候補作業濃度試薬組成物に合わせた。例えば、1種またはこれより多くの四級アンモニウム塩の量を、必要であれば最適化した。
【0150】
実施例3.特徴付け試験および材料
【0151】
上記水性で環境保護主義の濃縮試薬の物理的パラメーターであるpH、導電性、重量オスモル濃度および粒子計数の限界を、使用準備のできた(作業濃度)形態および濃縮形態の両方において確立した。上記製剤の製造性の評価および原材料の特徴付けも行った。さらに、サイクルタイム試験および溶解試薬特徴付けも行った。ソフトウェアバージョン3.0.2以降を伴う6台のDxH 血液分析器システムを使用して、データを集め、周囲温度(19~27℃)において使用した。正常な全血標本を、EDTAのカリウム塩中に集めた。
【0152】
先行技術の市販の試薬、キャリブレーターおよびコントロールは、適合性および比較のために使用され、COULTER(登録商標) DxHTM Diluent、COULTER(登録商標) DxHTM Cleaner、COULTER(登録商標) DxHTM CBC Lyse、COULTER(登録商標) DxHTM Diff Pack、COULTER(登録商標) DxHTM Retic Pack、COULTER(登録商標) 6C control、COULTER(登録商標) Retic Control、COULTER(登録商標) Body Fluid、COULTER(登録商標) Latron、およびCOULTER(登録商標) SCalを含んだ。本発明の1×作業濃度試薬および濃縮試薬も調査した。
【0153】
機能試験を行って、新たな試薬製剤の物理的限界を確立し、予め確立されている旧来の比較希釈剤精度仕様を、使用した。表2に従う製剤を、異なる作業濃度において調製した。精度を、実行直前に、上記試験作業濃度試薬と、旧来の比較希釈剤とを1×において比較することによって決定した。最小限で10の正常血液標本を集めた。機器の参照ブランク読み取りを確立し、各サンプルブランクと参照結果とを比較する。ブランクが許容可能を超える量で参照とは異なっている場合、その結果を、検証Rフラグ(review R flag)でフラグを立てる。Rフラグを有した任意の標本を反復し、その反復を分析のために使用した。受容基準限界は、旧来の比較希釈剤精度限界に関して予め確立されたものである。
【0154】
具体的には、表2の環境保護主義の作業濃度試薬組成物を、1×よりわずかに高濃度から一連の1×よりわずかに低い希釈、または1×と比較して±約5%において調製した。4台の機器を同時に使用し、3台を、表9の1×比較希釈剤で最初に実行し、次いで、割り当てた試験作業濃度試薬に切り替えた。4台目の機器を、上記試験機器が試験試薬を実行していると同時に、比較希釈剤を実行するコンパレーターとして使用した。上記実験機器が試験試薬を実行した時点で、上記コンパレーターは、旧来の比較希釈剤を実行した。この実験を行って、任意の測定可能な差異を引き起こし得る血液老化プロセスに伴う考えられる問題を特定した。この実験を行って、血液サンプルの特徴は、経時的に変化し得ることから、上記サンプルの古さに起因して生じ得る任意の測定値差異を説明した。
【0155】
作業濃度試薬の受容可能な希釈の導電性の変動は、18.87~20.2mS/cmであり;重量オスモル濃度は、335~363mOsm/Kgであり、これらのパラメーターは、濃度に対して線形的であることが見出された(データは示さず)。pHは、7.15~7.16であった。この線形性がいったん決定された後、血液検査機器システム機能試験を行った。上記測定値を、試験される濃度の数および機器の利用可能性に起因して、3回異なる時に行った。精度およびサンプル安定性を評価した(データは示さず)。MCV、RDWおよびRDW-SDパラメーターを、古い血液に対して評価し、種々の希釈の作業濃度の試験作業濃度試薬を、これらのパラメーターに関して新鮮な血液サンプルまたは古い血液サンプルを使用して、旧来の1×比較希釈剤と比較した(データは示さず)。
【0156】
作業濃度試薬の試験希釈に関する、選択したパラメーター(MCV、RDWおよびRDW-SD)の結果は、新鮮な正常血液および24時間の血液に関して、比較希釈剤に等しいことが見出された。1×をわずかに上回る濃度を有する環境保護主義の作業濃度試験試薬に関しては、試験の環境保護主義の作業濃度試薬の結果は、比較希釈剤より良好であった。
【0157】
実施例4.試験試薬のpH範囲
【0158】
表2に従う濃縮試薬組成物および作業濃度試薬組成物のpH範囲の特徴付けを行った。作業濃度試薬組成物の最終pH範囲を、最初に、目標pH6.9~7.3に設定した。
【0159】
高pH(ロットAM)および低pH(ロットAN)にある、表2に従う水性で環境保護主義の濃縮試薬組成物の2つのロットを、15×濃度において製造した。1×希釈物は、環境保護主義の作業濃度試薬組成物のpH範囲をもたらした。2つのプールを、異なる濃度のリン酸ナトリウム一塩基性で調製して、pH6.9~7.3の目標特徴付けpH範囲の両極端を達成した。結果を表10に示す。
【0160】
表10. pH調節
【表10】
【0161】
ロットAM試験試薬を水で調節して、導電性および重量オスモル濃度仕様を満たし、その後、血液およびコントロールで、高pHおよび低pH両方の製剤のCOULTER(登録商標) DxH 800 Hematology Instrumentsでの性能評価を行った。低pHロットAN試験試薬は、導電性および重量オスモル濃度に関して調節を必要としなかった。高pHおよび低pHの濃縮試薬組成物、ロットAMおよびANを、6N HCl(塩基性調節)および50% 水酸化ナトリウム(酸性調節)を使用してpHを調節した。各プールを、目標pH(7.10)に調節した。上記濃縮調節を計算し、調節し、pHの補正に関して再試験した。
【0162】
高pHおよび低pHの試験試薬の機器類の性能評価を、6.9~7.3のpH範囲の両極端において行った。pH、重量オスモル濃度および導電性性能評価に関する最終プール結果を、表11に示す。
【0163】
表11. 最終調節
【表11】
【0164】
性能評価は、以下のとおり、DxH 800 血液分析器においてS-Calキャリブレーター、コントロールならびに新鮮なおよび24時間室温の全血10サンプルでの各作業濃度試薬構成の試験からなった。表2に従う試験試薬組成物を、pH6.9~7.30範囲の高pHおよび低pHの両極端に調節し、表9の比較希釈剤に対して性能を比較した。
【0165】
正常な新鮮全血を使用する、pH6.89でのロットAN低pH試験試薬組成物の性能試験を行い、結果を、表9に従う旧来の比較希釈剤の性能に対して比較した。低pH6.89試験製剤は、平均WBC、RBC、HGB、RDW、RDW-SD、PLT、MPV、NE、LY、MO、EO、BA、RET、MRV、およびIRFの試験値に関する性能評価に合格し、これは、表9の比較希釈剤に匹敵した。
【0166】
正常の古い24時間全血を使用する、pH6.89でのロットAN低pH試験試薬組成物の性能試験を行い、結果は、表9に従う旧来の比較希釈剤の性能に匹敵した。上記低pH6.89試験製剤は、性能評価に合格し、表9の比較希釈剤に匹敵する、平均WBC、RBC、HGB、MCV、RDW、RDW-SD、PLT、MPV、NE、LY、MO、EO、BA、RET、MRV、およびIRFの試験値を示した。
【0167】
正常な新鮮全血を使用する、ロットAM高pH試験試薬組成物pH7.29の性能試験を行い、結果を、表9に従う旧来の比較希釈剤の性能と比較した。上記高pH7.29試験製剤は、性能評価に合格し、表9に従う比較希釈剤に匹敵する、平均WBC、RBC、HGB、MCV、RDW、RDW-SD、PLT、MPV、NE、LY、MO、EO、BA、RET、MRV、およびIRFの試験値を示した。
【0168】
正常な古い24時間全血を使用する、ロットAM高pH試験試薬pH7.29の性能試験を行い、結果を、表9に従う比較希釈剤の性能と比較した。上記高pH7.29試験製剤は性能評価に合格し、表9の比較希釈剤製剤に匹敵する、平均WBC、RBC、HGB、MCV、RDW、RDW-SD、PLT、MPV、NE、LY、MO、EO、BA、RET、MRV、およびIRFの試験値を示した。しかし、上記高pH試験試薬は、古い血液のMCV、RDW-SD差分値に関して旧来の比較希釈剤と比較した場合に不合格であり、低pHでは、MCVに対して不合格であった。しかし、pH7.02~7.20の試験試薬pH値は、各パラメーターにおいて受容可能であることが見出された。
【0169】
次に、導電性調節剤を、プール形成プロセスのために確立した。上記調節した試薬の性能は、試験試薬に関して予め確立した精度限界に合うことを示すことが必要であった。上記導電性が高い場合、上記調節は、上記プールを脱イオン水で希釈することからなった。この場合を、行った低濃度および高濃度試験において示した。
【0170】
調節剤であるNaClおよびNaSOを、表12に示されるとおりの低導電性を有する、わずかに希釈した表2に従う作業濃度試薬(1×の96%)に添加した。この試験を使用して、調節剤のみならず、上記プール形成プロセスの調節可能な限界も確立した。結果を以下で考察する。
【0171】
低濃度NaClおよび低濃度NaSO調節プールを、表9の比較希釈剤と比較した。全ての調節した試薬組成物は、最も制御が困難なもののうちの1つである古いサンプルのMCVを含む全ての精度仕様に合格した(データは示さず)。上記NaCl調節したプールは、硫酸塩調節プールよりわずかに良好な機器性能を示した。
【0172】
表12は、各場合に使用される物理的パラメーターおよび調節剤の量を示す。上記塩化ナトリウム調節プールは、目標製剤に近い導電性/重量オスモル濃度比を維持し、さらに、必要とされた上記調節剤の量はより少なかった。
【0173】
表12. 導電性調節剤の量
【表12】
【0174】
濃縮溶液形態および作業用溶液形態にある、表2に従う試験の水性で環境保護主義の試薬のpH範囲調節を、6N HC1(塩基性調節)および50% 水酸化ナトリウム(酸性調節)で、塩基性および酸性状態に関して調節し得る。
【0175】
試験した全てのコントロールは、受容可能な範囲内で回復した。S-Calキャリブレーターおよび6CコントロールのMCV値は、5g/L リン酸ナトリウム一塩基性でpH6.9において低かった。新鮮なおよび24時間の血液の全ての他のパラメーターは、市販のDxH比較希釈剤の予め確立した仕様を満たした。
【0176】
上記pH範囲の特徴付けは、pH6.9~7.30の調節可能な範囲およびpH7.00~7.20の仕様範囲を示した。
【0177】
実施例5. 試験試薬の重量オスモル濃度および導電性調節剤
【0178】
試薬試験プールのpH、重量オスモル濃度および導電性の変化を目標とする調節に対する、表2に従う試験試薬の応答を特徴づけるためにアッセイを行った。
【0179】
試験プールの各々を、異なる化合物、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、重硫酸カリウム、イミダゾールおよびリン酸ナトリウム一塩基性で、重量オスモル濃度および導電性に関して調節した。重量オスモル濃度または導電性パラメーターに関する調節は、pH、導電性および重量オスモル濃度の全3種のパラメーターに影響を及ぼす。
【0180】
pH、導電性および重量オスモル濃度の変動は、試験試薬プールに対して漸増量の各調節剤を添加することによって観察した。目標中間点を達成する各調節剤の量を確立した。目標pH、重量オスモル濃度および導電性は、pH7.02~7.20、目標重量オスモル濃度 315~360mOsm/Kg、および目標導電性 19.05~20.00mS/cmであった。
【0181】
作業濃度試薬に対する各調節剤の影響は、表13および表14に示されるとおりである。
【0182】
表13.実施例の重量オスモル濃度および導電性調節剤
【表13】
【0183】
表14. 実施例のpH調節剤
【表14-1】
【表14-2】
【0184】
温度に対する導電性応答
【0185】
温度の変化に伴う導電性応答の変動の効果は、試験試薬における線形関数に従った。それによって、上記線形関数の傾きを決定したので、温度補償計数を調節できた。希釈ユニットの受容される限界内の異なる導電性(従って、異なる濃度)の3種の溶液を調製して、それらの各々の応答を評価した。
【0186】
温度に伴う最終製剤の導電性の変化の変動を、3種の異なる濃度を使用して特徴づけた。25℃において19.60mS/cm、19.70mS/cmおよび19.80mS/cmを有する溶液を使用した。温度変動に対する導電性応答を、それぞれ、6.9~33.9℃、10.7~37.7℃、および10~38℃の温度において、2種の異なるタイプの導電性メーターを使用して各溶液に関して測定した。上記温度の変動に伴う導電性の応答は、全3種の溶液に関して線形であった。一次回帰式は、非常に類似であり、R値は、3つ全ての場合について0.99より良好であった。
【0187】
全てのpH、導電性および重量オスモル濃度調節剤は、沈殿なしに、予測されるとおりに機能した。pH、導電性および重量オスモル濃度という各物理的パラメーターの目標値を、使用した全調節剤で達成した。
【0188】
塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムを選択して、試験濃縮試薬または試験作業濃度試薬の重量オスモル濃度および導電性を調節した。両方の調節剤(NaClおよびNaSO)は、受容可能であることを示したが、塩化ナトリウムは、より良好な導電性/重量オスモル濃度比を維持し、24時間血液のMCVをより良好に制御するにあたって、より有効であることが判明した。従って、塩化ナトリウムは、低導電性および低重量オスモル濃度プールにとって好ましい調節剤である。100±4%プール濃度に対して確立した調節可能な範囲は、導電性に関しては19.70mS/cm±0.8mS/cmであり、重量オスモル濃度に関しては350±13mOsm/Kgである。
【0189】
6.9~7.1の酸性値からのpH調節は、50% 水酸化ナトリウムを使用して、7.15という目標値を達成した。7.3~7.2の塩基性値からのpH調節は、6N HClを使用して、7.15という目標値を達成した。
【0190】
実施例6. ヘモグロビン安定性
【0191】
試験を行って、ヘモグロビン錯体の安定性に関して、表9に従う比較希釈剤から表2に従う試験環境保護主義の作業濃度試薬への希釈剤変更の影響を特徴づけた。血液サンプル中のヘモグロビン錯体を不安定にする希釈剤は、誤って低いヘモグロビン測定値を生じる可能性があった。イミダゾールおよびヘモグロビンによって形成される錯体は、温度の変動にともなって安定である。コントロールサンプルを使用して、上記方法の妥当性を証明し、2種の新鮮な正常全血サンプルを使用して、機器の温度要求の極端値において上記錯体の安定性を比較した。具体的には、6Cコントロールレベル3および2種の正常な新鮮サンプルを、23℃および32℃において細胞溶解物を用いて、比較希釈剤および試験試薬で試験した。結果を表15に示す。
【0192】
表15. 分光光度計での温度変動に伴うヘモグロビン安定性
【表15-1】
【表15-2】
【0193】
表15に示されるように、上記温度極端値の間の差異は、2%未満であり、試験試薬と比較希釈剤との間の差異は、温度条件間で0.4%未満であった。これは、ヘモグロビン錯体が、温度の変動に伴って安定であることを示す。上記ヘモグロビン安定性を確認した。上記試験試薬は、精度受容可能基準内である0.4%より小さい差異で比較希釈剤に等しいことが判明した。
【0194】
実施例7. 魚類毒性試験
【0195】
上記試験の目的は、魚類に対する正確な毒性効果を決定することであった。作業濃度試験サンプル試薬および濃縮試薬のサンプルを、水産試験研究室に送って、水生生物毒性を評価した。濃縮および作業濃度試験試薬の両方が、魚類毒性試験に合格した。両方の場合に、上記試薬のLC50は、受容可能基準を超えて、750mg/Lを上回った。廃棄物は、96時間 LC50が、カリフォルニア州の水質有害規制に従えば500mg/リットル未満である場合、急性水生毒性によって有害である。両方の試薬は、魚類に対して低急性毒性を示し、カリフォルニア州の水質有害規制によって要求される魚類毒性試験を合格できた。
【0196】
実施例8. シアニド試験
【0197】
表2に従う濃縮試験試薬組成物を、微量分析(trace analysis)に供した。全シアニドレベルは、EPA方法335.4に従って試験した場合に0.005ppmであった。従って、上記濃縮試薬組成物を、シアニド非含有であると考えた。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
血液分析器における使用のための水性濃縮試薬組成物であって、前記濃縮試薬組成物は、
ヘモグロビンリガンド、
安定化剤、
緩衝剤、および
抗微生物剤、
を含み、ここで前記濃縮試薬組成物は、製造日後少なくとも1年間にわたって、2~30℃の範囲内の温度で貯蔵した場合に、作業濃度試薬組成物と比較して、10倍~20倍濃縮係数において安定なままである、水性濃縮試薬組成物。
(項目2)
前記組成物は、周囲温度で貯蔵した場合に、少なくとも1年間の期間にわたって約2パートパーミリオン(ppm)未満のホルムアルデヒドを含むかまたは生じる、項目1に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目3)
キレート化剤をさらに含む、項目1または項目2に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目4)
前記キレート化剤は、EDTAナトリウム塩を含む、項目3に記載の水性濃縮試薬。
(項目5)
前記ヘモグロビンリガンドは、イミダゾール、フェニルイミダゾール、メチルイミダゾール、エチルイミダゾールおよびブチルイミダゾールからなる群より選択される、項目1~4のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目6)
前記ヘモグロビンリガンドは、イミダゾールである、項目5に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目7)
前記安定化剤は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、および硫酸水素ナトリウムからなる群より選択される硫酸塩安定化剤である、項目1~6のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目8)
前記安定化剤は、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムを含む、項目1~7のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目9)
硫酸ナトリウム対硫酸カリウムの重量比は、0.5:1~3:1である、項目8に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目10)
前記作業濃度試薬組成物は、25~75mmol 全硫酸アニオンを含む、項目6~9のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目11)
前記緩衝剤は、酒石酸ナトリウムカリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、またはそれらの水和物のうちの1種またはこれより多くから選択される、項目1~10のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目12)
前記組成物は、5-フルオロウラシル、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox L)、ポリアミノプロピルビグアニド(Cosmocil CQ(登録商標))、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BIT)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、オルト-フタルジアルデヒド(OPA)、および1,2 ジブロモ-2,4 ジシアノブタン(Bromothalonil)からなる群より選択される1種またはこれより多くの抗微生物剤を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目13)
前記組成物は、抗微生物剤5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-フルオロウラシル、および5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサンを含む、項目1~12のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目14)
前記組成物は、アルカリ金属塩化物、血小板安定化剤、および浸透圧安定化剤からなる群のうちの1種またはこれより多くを含む、項目1~13のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目15)
前記キレート化剤は、EDTA四ナトリウムである、項目3~14のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目16)
前記アルカリ金属塩化物は、NaClおよびKClからなる群より選択される項目14または15に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目17)
前記血小板安定化剤は、プロカインおよびテトラカインからなる群より選択される、項目14~16のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目18)
前記浸透圧安定化剤は、グリセロールである、項目14~17のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目19)
前記作業濃度試薬組成物を形成するために、少なくとも10倍~20倍から選択される水性希釈に際して、前記作業濃度試薬組成物は、
i)周囲温度においてpH6.90~7.30の範囲のpH;
ii)周囲温度において19.05~20.00mS/cmの範囲の導電性;および
iii)周囲温度において315~360mOsm/Kgの範囲の重量オスモル濃度
の各々を示す、項目1~18のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目20)
前記組成物は、
10~100g/L EDTA四ナトリウム;
10~50g/L イミダゾール;
20~100g/L 硫酸ナトリウム;
15~60g/L 硫酸カリウム;
60~300g/L 酒石酸カリウムナトリウム;ならびに
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox L)、および5-フルオロウラシルからなる群より選択される抗微生物剤、
を含む、項目1~19のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目21)
前記組成物は、
10~65g/L EDTA四ナトリウム;
15~50g/L イミダゾール;
40~100g/L 硫酸ナトリウム;
15~50g/L 硫酸カリウム;および
80~180g/L 酒石酸カリウムナトリウム
を含む、項目1~20のいずれか1項に記載の水性濃縮試薬組成物。
(項目22)
体液を分析するための方法であって、前記方法は、
a)項目1~21のいずれか1項に記載の濃縮試薬組成物を、10倍~20倍希釈して、作業濃度試薬組成物を形成する工程;および
b)体液と前記作業濃度試薬組成物とを混合して、希釈した体液サンプルを形成する工程、
を包含する方法。
(項目23)
前記体液は、血球を含む血液サンプルであり、前記希釈した身体サンプルは、希釈した血液サンプルであり、前記キレート化剤および前記ヘモグロビンリガンドは、15℃~32℃の温度範囲にわたって再現可能なヘモグロビンおよび細胞容積測定値を提供するために有効な量にあり;前記方法は、
c)前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の物理的パラメーターを決定する工程
をさらに包含する、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記血球は、赤血球を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記希釈した血液サンプルを分析して、少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、分析して、前記赤血球の平均細胞容積を決定することを包含する、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記希釈した血液サンプルを分析する工程の前に、溶解試薬と前記希釈した血液サンプルとを混合して、赤血球を溶解する工程をさらに包含する、項目23~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記血球は、白血球を含む、項目23~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、白血球の少なくとも3種の亜集団を決定するための白血球の自動化鑑別分析を含む、項目23~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、白血球の少なくとも5種の亜集団を決定するための前記白血球の自動化鑑別分析を含む、項目23~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記溶解試薬は、少なくとも1種の四級アンモニウム塩の水性溶液を含む、項目26~29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、分析して、血小板の数を決定することを含む、項目23~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記希釈した血液サンプルを分析して、前記血球の少なくとも1つの物理的パラメーターを決定する工程は、分析して、ヘモグロビン含有量を決定することを包含する、項目23~31のいずれか1項に記載の方法。