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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】交流発電機
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/10 20060101AFI20240911BHJP
   H02P 103/20 20150101ALN20240911BHJP
【FI】
H02P9/10 A
H02P103:20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021013876
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117269
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 和哉
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-151651(JP,A)
【文献】特開昭62-007342(JP,A)
【文献】実開昭49-041205(JP,U)
【文献】特開2003-274697(JP,A)
【文献】特開2015-201918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0057030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/10
H02P 103/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性点を中心に電気角で120°の位相差でスター結線された三相巻線からなる発電機電機子巻線と,少なくとも発電機界磁巻線を備えた励磁回路を備え,前記三相巻線のそれぞれに設けられた出力端子より所定電圧の三相交流を出力可能な発電機本体と,前記発電機本体を電源とすると共に,前記発電機本体の前記励磁回路の前記発電機界磁巻線に印加する界磁電流を変化させて前記発電機本体の出力電圧を予め設定された設定電圧に近付ける制御を行う自動電圧調整器を備えた交流発電機において,
前記自動電圧調整器に,前記発電機本体が出力した交流電圧を電源電圧として入力する一対の電源入力部を設け,
一方の前記電源入力部を,前記三相巻線のうちのいずれか1相の巻線に設けた前記出力端子に接続すると共に,
他方の前記電源入力部を,前記三相巻線のうち,残りの巻線のいずれか一方の巻線上に設けた中間タップに接続可能としたことを特徴とする交流発電機。
【請求項2】
前記発電機本体に設けた前記励磁回路が,前記発電機界磁巻線に印加する界磁電流を発生する,励磁機電機子巻線と励磁機界磁巻線を備えた励磁機を備え,
前記自動電圧調整器が,前記励磁機の前記励磁機界磁巻線に印加する界磁電流を制御することにより前記発電機本体の前記発電機界磁巻線に印加する界磁電流を変化させることを特徴とする請求項1記載の交流発電機。
【請求項3】
前記自動電圧調整器に設けた前記他方の電源入力部を,前記中間タップと前記中性点のいずれか一方に選択的に接続可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載の交流発電機。
【請求項4】
前記三相巻線のそれぞれを複数個のエレメントコイルの組合せにより形成し,所定の低圧出力を行う低圧接続と,前記低圧接続時の出力に対して2倍の電圧の高圧出力を行う高圧接続間で前記エレメントコイル間の接続状態を切り替え可能とし,
前記三相巻線のそれぞれに,前記低圧出力を行う低圧出力端子と,前記高圧出力を行う高圧出力端子を設け,
前記低圧接続時,前記中性点と前記各低圧出力端子間に,同一巻数の2巻線が並列に接続されるよう前記エレメントコイルを接続すると共に,
前記高圧接続時,前記中性点と前記各高圧出力端子間が,直列に接続された前記エレメントコイルにより接続されると共に,各三相巻線の巻数が1/2となる位置に前記各低圧出力端子が配置されるように前記エレメントコイルを接続し,
前記自動電圧調整器の前記一方の電源入力部を,前記低圧出力端子のうちのいずれか1つに接続すると共に,
前記低圧出力端子のうち残りの端子のいずれか一方と前記中性点間の巻線上に前記中間タップを設けたことを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の交流発電機。
【請求項5】
前記発電機電機子巻線の前記三相巻線のそれぞれを,複数個のエレメントコイルを接続して形成し,
前記中間タップを,該中間タップを設けた一相の巻線の,前記エレメントコイル間の結線部に設けたことを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の交流発電機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交流発電機に関し,より詳細には,自動電圧調整器(AVR:Automatic Voltage Regulator)を備えた交流発電機の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
交流発電機を,界磁電流を変化させずに一定として運転する場合,該交流発電機に接続されたモータ機器等の負荷の始動や停止等に伴って負荷電流が変化すると,この負荷電流の変化に伴い交流発電機の出力電圧が変化して安定した出力電圧を得ることができない。
【0003】
そのため,出力電圧を安定させることができるよう,交流発電機には通常,自動電圧調整器(以下,「AVR」と記載する。)が設けられ,出力電圧の安定が図られている(特許文献1参照)。
【0004】
このAVRは,発電機本体の出力電圧を予め設定された設定電圧と比較し,出力電圧が設定電圧に近付くように発電機本体の界磁電流の大きさを変化させることで発電機本体の出力電圧を制御するもので,予め設定された設定電圧に対し発電機本体の出力電圧が低くなると励磁回路212に設けた発電機界磁巻線(図示せず)に印加する界磁電流を増大させ,逆に,設定電圧に対し発電機本体の出力電圧が高くなると印加する界磁電流を減少させる制御を行う。
【0005】
AVRは,通常,制御対象である発電機本体210の発電機電機子巻線211の出力端子に接続され,該発電機本体210で発生した電力によって駆動されるように構成されており,一例として図7に示すようにAVR220によって制御されている発電機本体210の発電機電機子巻線211が,電気角で120°の位相差で三相巻線V,W,Uをスター結線して成る,三相4線200Vを出力する発電機電機子巻線211である場合,中性点Oに設けた中性点端子oと三相巻線V,W,Uのいずれか一相の出力端子間o-v,o-w,又はo-u(図示の例ではo-u間)で得られる単相交流115VをAVR220の電源電圧として使用する。
【0006】
しかし,このように発電機本体210の出力電圧によってAVR220を駆動する場合,大型のモータ機器の投入等によって発電機本体210の負荷電流が急激に増大すると,発電機本体210の出力電圧が大きく降下すると共に,出力電圧が設定電圧に回復するまでに長時間を要し,その結果,モータ機器を円滑に起動することができないという問題が生じる。
【0007】
すなわち,大型の負荷の投入によって発電機本体210の出力電圧が大幅に降下した場合,AVR220はこの降下幅に見合った大きさで界磁電流を増大させることで発電機本体210の出力電圧を設定電圧に復帰させる。
【0008】
しかし,前述のようにAVR220は発電機電機子巻線211の出力電圧を電源電圧としているため,発電機本体210の出力電圧が大幅に降下すれば,AVR220の電源電圧も大幅に降下することになるから,AVR220は,発電機本体210の出力電圧の降下幅に見合った界磁電流の増加を行うことができなくなる。
【0009】
そのため,前述したように大型のモータ機器の投入等が行われて負荷電流が急増すると,発電機本体210の出力電圧の大幅な降下が生じると共に,出力電圧が設定電圧に回復するまでに長時間を要することとなり,モータ機器を円滑に起動させることができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2012-10480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述したように,大型負荷の投入時に大幅な電圧降下や,設定電圧への復帰に遅れが生じるという問題は,発電機本体210の出力電圧の降下が,AVR220の電源電圧を,必要な界磁電流の増加を行い得ない程度となるまで低下させてしまうことに起因して生じるものである。
【0012】
そのため,このような問題を解消する方法としては,三相巻線V,W,Uのいずれか二つの出力端子間(v-w,w-u,又はv-u間)の電圧をAVR220の電源電圧とすることで,AVR220の電源電圧を200Vに底上げすることが考えられる。
【0013】
このように構成することで,大型の負荷の投入によって発電機本体210の出力電圧が降下してAVR220の電源電圧が低下したとしても,出力端子o-v,o-w,又はo-u間の115Vを電源電圧とする場合に比較して,低下後の電源電圧が比較的高い値(例えば115V以上)に維持されることで,発電機本体210の界磁電流を必要な大きさまで増大させるために必要な電源電圧が確保されることで,発電機本体210の電圧降下幅を小さくすることができると共に,早期に設定電圧に復帰させることが可能となる。
【0014】
しかし,このようにAVR220の電源電圧を115Vから200Vに変更するためには,AVR220を200V電源での駆動に耐え得る仕様とする必要がある。
【0015】
そのため,既に115V電源での駆動を前提として設計されているAVRが搭載されている交流発電機200にこの構成を採用しようとすれば,AVR220の電源配線を出力端子o-v,o-w,又はo-uから,出力端子v-w,w-u,又はv-uに単純に繋ぎ代えるだけでは対応できず,AVR220自体を200V対応のものに交換するか,AVR220の部品を交換する等して200Vの電圧の印加に耐え得る構造に改変する必要がある。
【0016】
このような200V電圧に耐え得るAVRは,115V電圧対応のAVRに比較して高価となるため,前述したAVR220の交換や構造変更に伴うコスト増は,交流発電機200の価格に反映されることとなり,市場における交流発電機200の価格競争力を低下させることとなる。
【0017】
なお,負荷電流の変化に対する交流発電機の出力電圧の変動を抑制する方法としては,交流発電機のコアを大きくして鉄機械(鉄芯の比率の多い機械)とし,また,交流発電機の電機子巻線に,前述した三相巻線の他に補助巻線を設け,大型の負荷投入時には補助巻線の出力電圧もAVRに印加して,AVRの電源電圧を一時的に上昇させることも考えられる。
【0018】
しかし,これらの方法では,鉄芯の増大や部品点数の増加に伴う重量や価格の増加をもたらすというデメリットがある。
【0019】
しかも,これらの方法では,交流発電機の基本設計自体を見直すことが必要で,既に商品化されている交流発電機等,既存の交流発電機の出力電圧の安定化のための改良としては採用し得ない。
【0020】
そのため,発電機本体に対する大幅な設計変更を行うことなく,かつ,AVR自体の交換や,AVRの部品交換等を行うことなしに,既存の115V対応のAVRをそのまま使用して,大型負荷の投入によっても出力電圧の降下幅を減少させることができると共に,設定電圧に早期に回復させることができる交流発電機の開発が要望される。
【0021】
ここで,上記課題を解決するに当たり,本発明の発明者は,115V対応のAVRであっても,その耐電圧能にはある程度の余裕が持たせてあり,電源電圧を200Vに上昇させた場合に対する耐電圧能までは無いにしても,115Vよりもある程度高い電源電圧での駆動であれば,部品等の交換を行うことなく,かつ,故障等を生じさせることなしに駆動させることができるはずであると考えた。
【0022】
従って,115V対応のAVRを,部品の交換等を行うことなくそのまま使用した場合であっても,AVRに故障等を生じさせない範囲で115Vよりも高い電圧で駆動すれば,115V電圧で駆動する場合に比較して,大型負荷の投入時においても発電機本体の出力電圧の降下幅を小さくすることができ,また,設定電圧に早期に復帰させることができるはずであると考えた。
【0023】
しかし,既存の三相4線200Vの交流発電機からは115V電圧と200V電圧が取り出せるのみであり,AVRの電源電圧として115Vよりも大きい,200V未満の電圧を任意に取り出せるようにはなっていない。
【0024】
本発明は,本発明の発明者の上記着眼点に基づきなされたもので,既存の交流発電機の構成を大幅に変更することなく,比較的簡単な変更を加えるだけで,大型の負荷の投入によっても電圧降下幅を減少させて早期に設定電圧に復帰させることができ,従って,交流発電機に負荷として大型のモータが接続された場合であっても,該モータの始動性を改善することのできる交流発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0026】
上記目的を達成するために,本発明の交流発電機1は,
中性点Oを中心に電気角で120°の位相差でスター結線された三相巻線U,V,Wからなる発電機電機子巻線11と,少なくとも発電機界磁巻線124を備えた励磁回路12を備え,前記発電機電機子巻線11の前記三相巻線U,V,Wのそれぞれに設けられた出力端子u,v,wより所定電圧の三相交流を出力可能な発電機本体10と,前記発電機本体10を電源とすると共に,前記発電機本体10の前記励磁回路12の前記発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を変化させて前記発電機本体10の出力電圧を予め設定された設定電圧に近付ける制御を行う自動電圧調整器(AVR)20を備えた交流発電機1において,
前記自動電圧調整器(AVR)20に,前記発電機本体10が出力した交流電圧を電源電圧として入力する一対の電源入力部21,22を設け,
一方の前記電源入力部21を,前記三相巻線U,V,Wのうちのいずれか1相(図示の例ではU相)の巻線に設けた前記出力端子(図示の例では出力端子u)に接続すると共に,
他方の前記電源入力部22を,前記三相巻線V,W,Uのうち,残りの巻線W,Vのいずれか一方(図示の例ではV相)の巻線上に設けた中間タップvmに接続可能としたことを特徴とする(請求項1;図1参照)。
【0027】
前記励磁回路12は,これを発電機界磁巻線124のみで構成しても良く,自動電圧調整器(AVR)20の出力電流を直接,発電機界磁巻線124に印加して発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を直接,自動電圧調整器(AVR)20で制御するように構成するものとしても良い。
【0028】
また,発電機本体10の前記励磁回路12に,前述の発電機界磁巻線124の他に,該発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を発生する,励磁機電機子巻線121と励磁機界磁巻線122を備えた交流発電機である励磁機120を設け,前記自動電圧調整器(AVR)20が,この励磁機120の前記励磁機界磁巻線122に印加する界磁電流を制御することにより前記発電機本体10の前記発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を変化させるように構成するものとしても良い(請求項2,図2参照)。
【0029】
前記自動電圧調整器(AVR)20に設けた前記他方の電源入力部22は,例えば切替スイッチ30の操作により前記中間タップvmと前記中性点O(中性点端子o)のいずれか一方に選択的に接続可能とするものとしても良い(請求項3;図3参照)。
【0030】
更に,前記三相巻線U,V,Wのそれぞれを複数個のエレメントコイル14~17の組合せにより形成し,所定の低圧出力(一例として三相4線200V出力)を行う低圧接続と,前記低圧接続時の出力に対して2倍の電圧の高圧出力(一例として三相4線400V出力)を行う高圧接続間で前記エレメントコイル14~17間の接続状態を切り替え可能とし,
前記三相巻線U,V,Wのそれぞれに,前記低圧出力を行う低圧出力端子u1,v1,w1と,前記高圧出力を行う高圧出力端子u2,v2,w2を設け,
前記低圧接続時,前記中性点Oと前記各低圧出力端子u1,v1,w1間に,同一巻数の2巻線が並列に接続されるよう前記エレメントコイル14~17を接続すると共に,
前記高圧接続時,前記中性点Oと前記各高圧出力端子u2,v2,w2間が,直列に接続された前記エレメントコイル14~17により接続されると共に,各三相巻線U,V,Wの巻数が1/2となる位置に前記各低圧出力端子u1,v1,w1が配置されるように前記エレメントコイル14~17を接続し,
前記自動電圧調整器(AVR)20の前記一方の電源入力部21を,前記低圧出力端子u1,v1,w1のうちのいずれか1つ(図示の例では低圧出力端子u1)に接続すると共に,
前記低圧出力端子(u1,v1,w1)のうち残りの端子(v1,w1)のいずれか一方(図示の例ではv1)と前記中性点O間の巻線上に前記中間タップvmを設けるものとしても良い(請求項4;図4参照)。
【0031】
なお,前記発電機電機子巻線11の前記三相巻線U,V,Wのそれぞれを,複数個のエレメントコイル14~17を接続して形成する場合,
好ましくは,前記中間タップvmを,該中間タップvmを設けた一相(図示の例ではV相)の巻線の,前記エレメントコイル間(図示の例ではエレメントコイル16と17間)の結線部に設ける(請求項5;図4及び図5参照)。
【発明の効果】
【0032】
以上で説明した本発明の構成により,本発明の交流発電機1では,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0033】
AVR20の一方の前記電源入力部21を,前記三相巻線V,W,Uのうちのいずれか1相(図示の例ではU相)の巻線に設けた出力端子(図示の例では出力端子u)に接続すると共に,他方の前記電源入力部22を,前記三相巻線V,W,Uのうち,残りの巻線W,Vのいずれか一方(図示の例ではV相)の巻線上に設けた中間タップvmに接続可能としたことで,u-o端子間電圧(一例として115V)よりも高圧であるu-vm端子間電圧(実施例において147V)でAVR20を駆動することが可能となった。
【0034】
その結果,u-o端子間電圧(一例として115V)をAVR20の電源電圧とする従来の構成に比較して,AVRの電源電圧の底上げが行われるため,大型負荷の投入に伴い発電機本体10の出力電圧が降下してAVR20の電源電圧が降下した場合であっても,低下後の電源電圧を所定の範囲(一例として115V以上)に維持することが可能となる。
【0035】
これにより,発電機本体10の出力電圧の降下によっても,AVR20は,これに対応した大きさの界磁電流を発生させることができ,大型負荷の投入によっても発電機本体10の出力電圧の大幅な降下を抑制して,早期に設定電圧に復帰させることができ,モータ機器の始動を円滑に行わせることが可能となった。
【0036】
なお,発電機本体10が発生する電力が増大すると,発電機本体10の回転抵抗は増大することから,例えば本発明の交流発電機1がエンジン駆動型発電機に搭載されている場合,エンジンの暖機が不十分な状態で大型のモータ負荷を投入するなどして発電機本体10の回転抵抗が急増すると,エンジンをストール(エンスト)させてしまう場合がある。
【0037】
しかし,AVR20に設けた前記他方の電源入力部22を,前記中間タップvmと前記中性点O(中性点端子o)のいずれか一方に選択的に接続可能とした構成では,例えばエンジンの暖機が不十分な状態にある場合などには,AVR20に設けた前記他方の電源入力部22をあえて中性点O(中性点端子o)に接続した状態でモータ負荷の投入を行うようにすることで,発電機本体10の出力電圧を降下させると共に,設定電圧への復帰を遅らせることで,エンジンにかかる回転抵抗が時間をかけて徐々に上昇するようにすることでエンジンのストールを防止する等,発電機本体10を駆動する駆動源の運転状態に合わせてAVR20の電源電圧を変更することが可能となる。
【0038】
更に,前記発電機本体10を,前記三相巻線U,V,Wのそれぞれに,低圧出力(一例として三相200V出力)を行う低圧出力端子(u1,v1,w1)と,前記低圧出力に対して2倍の電圧の高圧出力(一例として三相400V出力)を行う高圧出力端子(u2,v2,w2)を備えた出力電圧切替型の発電機本体10とした構成では,前述した位置にAVR20の前記一方の電源入力部21を接続すると共に,前述の位置に中間タップvmを設けたことで,発電機本体10の出力電圧を低圧出力(三相200V)から高圧出力(三相400V)に切り替えた場合であっても,AVR20の電源電圧を低圧接続時の電源電圧(一例として147V)に維持してAVRの耐電圧能を超えた電圧が印加されることが防止される。
【0039】
なお,前述の中間タップvmを,エレメントコイル14~17間の結線部(図示の例ではエレメントコイル16と17間の連結部)に設けた構成では,例えばエレメントコイル16,17の結線部と中間タップvmに設けた導線を,圧着端子32を使用して同時に結線することで,中間タップvmを取り付けるための作業工程を別途設ける必要がなく,中間タップvmの取り付けをエレメントコイル14~17の結線作業と同時に行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の交流発電機の概略説明図。
図2】発電機本体に設けた励磁回路の一構成例を示す説明図。
図3】本発明の交流発電機の変更例を示した概略説明図。
図4】出力電圧を可変とした交流発電機の三相巻線の説明図であり,(A)は低圧接続,(B)は高圧接続を示す。
図5図4に示した三相巻線(V相巻線)の構成例を示した説明図であり,(A)は低圧接続,(B)は高圧接続を示す。
図6】モータ負荷投入試験における発電機本体の出力電圧の波形図であり,(A)は本発明(AVRの電源電圧147V),(B)は比較例(AVRの電源電圧115V)の波形を示す。
図7】従来の交流発電機の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に,添付図面を参照しながら本発明の交流発電機1の構成例を説明する。
【0042】
〔交流発電機の全体構成〕
図1中の符号1は,本発明の交流発電機であり,この交流発電機1は,所定電圧(本実施形態において200V)の三相4線交流を出力可能な発電機本体10と,この発電機本体10を電源とし,前記発電機本体10の界磁電流を変化させて前記発電機本体10の出力電圧を予め設定された設定電圧(本実施形態において200V)に近付ける制御を行う自動電圧調整器(AVR)20を備えている。
【0043】
〔発電機本体〕
前述の発電機本体10は三相巻線U,V,Wから成る発電機電機子巻線11を備えており,該三相巻線U,V,Wは,それぞれ一端が中性点Oに接続され,該中性点Oを中心に電気角で120°の位相差でスター結線されている。
【0044】
この発電機本体10には,発電機本体10を励磁するための励磁回路12が設けられており,この励磁回路12に設けた発電機界磁巻線124に印加する界磁電流の大きさを,後述するAVR20で制御することで,発電機本体10の出力電圧を所定の設定電圧(本実施形態において200V)に近づけるように制御することができるように構成されている。
【0045】
この励磁回路12は,これを発電機界磁巻線124のみで構成し,AVR20の出力電流を直接,発電機界磁巻線124に印加することで,AVR20が直接,発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を変化させるように構成するものとしても良いが,本実施形態では,この励磁回路12に,前述の発電機界磁巻線124の他に,図2に示すように励磁機電機子巻線121と励磁機界磁巻線122を備えた励磁機(励磁用交流発電機)120と,この励磁機120の励磁機電機子巻線121の交流出力を直流に整流する整流器123を設け,この整流器123で整流して得た直流を発電機界磁巻線124に界磁電流として印加することができるように構成されており,前述の励磁機120に設けた励磁機電機子巻線121に印加する界磁電流の大きさを,出力部23,24を介して行われるAVR20の出力によって制御することで,励磁機電機子巻線121が出力する電流の大きさを変化させることで,発電機界磁巻線124に印加する界磁電流の大きさを変化させることができるように構成されている。
【0046】
〔自動電圧調整器(AVR)〕
交流発電機1には,前述の発電機界磁巻線124に印加する界磁電流の大きさを変化させて発電機本体10の出力電圧を制御する自動電圧調整器(AVR)20が設けられている。
【0047】
このAVR20は,発電機本体10の出力電圧を検出すると共に,この検出された発電機本体10の出力電圧を,予め設定された設定電圧と比較し,検出された発電機本体10の出力電圧と設定電圧に差がある場合,発電機本体10の出力電圧が設定電圧と一致するように,励磁回路12に設けた発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を制御する。
【0048】
励磁回路12として,図2を参照して説明した構成のものを備えた本実施形態の交流発電機1では,AVR20は,前述したように発電機本体10の励磁回路12に設けられた励磁機界磁巻線122に印加する界磁電流を変化させることで,発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を変化させる。
【0049】
このAVR20は,発電機本体10の発電機電機子巻線11で発生した交流を電源電圧として駆動されるもので,AVR20には,発電機本体10と接続される,一対の電源入力部21,22が設けられており,この電源入力部21,22が,発電機本体10の発電機電機子巻線11に設けた三相巻線U,V,Wに接続されている。
【0050】
本発明の交流発電機1では,図1に示すように,AVR20に設けた一方の電源入力部21を,三相巻線U,V,Wのいずれか1つの出力端子u,v,w(図示の例ではU相巻線の出力端子u)に接続すると共に,他方の電源入力部22を,残りの二相の巻線のいずれか一方(図示の例ではV相)の巻線上の任意の位置に設けた中間タップvmに接続し,出力端子uと中間タップvm間の電圧をAVR20の電源電圧としている。
【0051】
この中間タップvmは,出力端子uと中間タップvm間の電圧がAVR20の耐電圧能の範囲内となるものであればV相巻線上のいずれの位置に設けるものとしても良いが,AVR20の耐電圧能の範囲内において可及的に高い電圧が得られる位置に設けることが望ましい。
【0052】
本実施形態では,出力端子uと中間タップvm間の電圧が一例として147Vとなる位置に中間タップvmを設けた。
【0053】
〔作用等〕
以上のように構成された本発明の交流発電機1において,発電機本体10に接続されたモータ機器等の大型の負荷を投入すると,発電機本体10の負荷電流が増大し,この負荷電流の増大に伴って発電機本体10の出力電圧は低下する。
【0054】
この発電機本体10の出力電圧の低下を検出したAVR20は,励磁回路12に設けた励磁機界磁巻線122に印加する界磁電流を増大させることで,励磁機電機子巻線121の出力電流を増大させて,発電機本体10の発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を増大させ,これにより発電機電機子巻線11の出力電圧を設定電圧に復帰させる。
【0055】
ここで,中性点Oと出力端子u間の電圧(一例として115V)をAVR20の電源電圧としていた従来の構造(図7参照)では,発電機本体10の出力電圧が降下すると,AVR20の電源電圧も115V未満に低下してしまう。
【0056】
そのため,AVR20が発電機本体10の出力電圧の降下に見合った分,界磁電流を増大させようとしても,AVR20の電源電圧が降下しているために発電機本体10の界磁電流(励磁機120の励磁機界磁巻線122に印加する界磁電流)を必要量,増大させることができなくなる。
【0057】
その結果,発電機本体10の出力電圧の降下幅が大きくなると共に,発電機本体10の出力電圧を設定電圧に復帰させるまでに比較的長い時間を要するものとなっていた。
【0058】
これに対し,出力端子uと中間タップvm間の電圧(一例として147V)をAVR20の電源電圧とした本発明の構成では,大型の負荷の投入によって発電機本体10の出力電圧が降下した場合であっても,降下後のAVR20の電源電圧は中性点Oと出力端子u間の電圧(一例として115V)を電源電圧とした場合に比較して高い状態に維持(一例として115V以上に維持)することができる。
【0059】
その結果,励磁回路12に設けた励磁機界磁巻線122に印加する界磁電流を直ちに必要な大きさまで増大(従って,励磁機120が整流器123を介して発電機本体10の発電機界磁巻線124に印加する界磁電流を必要な大きさまで増大)させることができ,その結果,発電機本体10の出力電圧の降下幅を減少させることができると共に,発電機本体10の出力電圧を早期に設定電圧まで回復させることが可能となっている。
【0060】
〔変更例1〕
以上,図1を参照して説明した本発明の交流発電機1では,AVR20に設けた他方の電源入力部22を,中間タップvmにのみ接続するものとして説明した。
【0061】
これに対し,AVR20の他方の電源入力部22は,図3に示すように,中間タップvmと中性点O(中性点Oに設けた中性点端子o)のいずれか一方に選択的に接続可能に構成するものとしても良い。
【0062】
図3に示す実施形態では,このような選択的な接続を可能とするために,AVR20の他方の電源入力部22と,中間タップvm及び中性点端子o間の回路中に切替スイッチ30を設け,AVR20の他方の電源入力部22を,中間タップvm,又は中性点端子oのいずれか一方に選択的に接続可能としている。
【0063】
このように構成することで,AVR20の電源電圧を,例えば交流発電機1を駆動する駆動源(例えばエンジン)の駆動状態等に対応して,115V又は147Vのいずれかに選択することが可能となる。
【0064】
例えば,本発明の交流発電機1の駆動源がエンジンである場合,エンジンの暖機が不十分な状態で大型負荷を投入する場合には,自動電圧調整器(AVR)に設けた前記他方の電源入力部22を中性点O(中性点端子o)に接続した状態(AVR20の電源電圧を115Vとした状態)でモータ負荷の投入を行うようにする。
【0065】
発電機本体10は,発電量が増えると回転抵抗が増大するが,このようにAVR20の電源電圧をあえて115Vに低下させた状態で負荷の投入を行うことで,負荷投入時の発電機本体10の出力電圧を意図的に降下させると共に,設定電圧への復帰を遅らせることで,エンジンに加わる回転抵抗を,負荷の投入から比較的長い時間をかけて徐々に増加させることができ,これによりエンジンのストールを防止することができる。
【0066】
一方,エンジンの暖機が十分に行われている状態,すなわち,発電機本体10の回転抵抗の増大によってもエンジンがストールするおそれがない状態では,AVR20の他方の電源入力部22を中間タップvmに接続した状態(AVR20の電源電圧を147Vとした状態)で負荷を投入することで,発電機本体10の出力電圧の降下幅を減少させると共に,設定電圧への復帰を早期に行わせることで,モータ負荷の始動を円滑に行わせるようにすることができる。
【0067】
〔変更例2〕
以上,図1及び図3を参照した説明では,本発明の構成を,所定電圧(一例として200V)の三相4線出力の交流のみを出力可能な発電機本体10に対して適用する場合を例に取り説明した。
【0068】
この構成に代え,本発明の構成は,各三相巻線U,V,Wを複数個のエレメントコイル14~17の組合せによって形成し,エレメントコイル14~17の接続状態を切り替えることにより,所定の低圧出力(一例として三相4線200V出力)を行う低圧接続と,前記低圧接続時の出力に対して2倍の電圧の高圧出力(一例として三相4線400V出力)を行う高圧接続間で前記エレメントコイル14~17間の接続状態を切り替え可能とした,出力電圧可変型の交流発電機に対し適用するものとしても良い。
【0069】
この場合,低圧接続から高圧接続への切り替えによって発電機本体10の出力電圧が2倍に増大しても,AVR20の電源電圧が低圧接続時の電源電圧(一例として147V)のまま維持されるように構成する必要がある。
【0070】
このような電源電圧を取り出し可能とするため,本実施形態では,図4に示すように,三相巻線U,V,Wのそれぞれを4つのエレメントコイル14~17の組合せにより形成した。
【0071】
この各相の巻線U,V,Wを構成するエレメントコイル14~17は,図4に示すように,2つの4段エレメントコイル14,16と,2つの5段エレメントコイル15,17から成り,三相巻線U,V,Wのそれぞれに低圧出力端子u1,v1,w1と高圧出力端子u2,v2,w2を設けると共に,中性点Oと低圧出力端子u1,v1,w1間,又は,中性点Oと高圧出力端子u2,v2,w2間で,図4(A)又は図4(B)に示すいずれかの接続状態に切り替えることで,三相4線200V出力を行う低圧接続〔図4(A),図5(A)参照〕と,三相4線400V出力を行う高圧接続〔図4(B),図5(B)参照〕間で発電機本体10の出力を切り替えることができるように構成されている。
【0072】
低圧出力を行う場合には,図4(A)に示すように,一方の4段のエレメントコイル14と一方の5段のエレメントコイル15を直列に接続したエレメントコイルの組(14-15)と,他方の4段のエレメントコイル16と他方の5段エレメントコイル17を直列に接続したエレメントコイルの組(16-17)を,中性点Oと各低圧出力端子u1,v1,w1の間に並列に接続することで,中性点Oに接続された中性点端子oと各低圧出力端子u1,v1,w1より3相4線200Vの出力が得られるように構成されている。
【0073】
一方,高圧出力を行う場合には,図4(B)に示すように,他方の4段のエレメントコイル16と他方の5段のエレメントコイル17を直列に接続したエレメントコイルの組(16-17)と,一方の4段のエレメントコイル14と一方の5段のエレメントコイル15を直列に接続したエレメントコイルの組(14-15)を,中性点Oと各高圧出力端子u2,v2,w2の間に直列に接続することで,中性点Oに接続された中性点端子oと各高圧出力端子u2,v2,w2より三相4線400Vの出力が得られるように構成されていると共に,一方のエレメントコイルの組(14-15)と,他方のエレメントコイルの組(16-17)間,すなわち,各三相巻線U,V,Wの巻数が1/2となる位置に前記各低圧出力端子u1,v1,w1が配置されるように構成することで,中性点Oに接続された中性点端子と各低圧出力端子間(o-u1,o-v1,o-w1間)で115Vの電圧が得られるように構成されている。
【0074】
このように,出力電圧を可変とした交流発電機10に本発明の構成を適用する場合,AVR20の前記一方の電源入力部21を,低圧出力端子u1,v1,w1のうちのいずれか1つの(図示の例では低圧出力端子u1)に接続する。
【0075】
そして,前記低圧出力端子(u1,v1,w1)のうち残りの端子(v1,w1)のいずれか一方(図示の例ではv1)と前記中性点O間,図示の例では,他方の4段エレメントコイル16と他方の5段エレメントコイル17との結線部に中間タップvmを設け,この中間タップvmにAVR20に設けた他方の電源入力部22を接続可能とした。
【0076】
上記の位置にAVR20の電源入力部21,22を接続することで,発電機本体10が図4(A)に示す低圧接続,図4(B)に示す高圧接続のいずれの状態にあるときであっても,AVR20の電源電圧を共通(本実施形態ではいずれも147Vで共通)とすることができ,高圧接続に切り替えて発電機本体10の出力電圧が2倍となった場合であっても,AVR20の耐電圧能を超えた電圧が印加されることが防止される。
【0077】
なお,前述したように中間タップvmをエレメントコイル16,17間の結線部に取り付ける構成では,図5に示すように結線部を,圧着端子32等を使用して結線する際に,圧着端子32内にエレメントコイル16,17の結線部のみならず中間タップvmに設けた導線も挿入して共に圧着することで,中間タップvmを,エレメントコイル16,17間の結線と同時に取り付けることができ,中間タップvmを取り付けるための工程を別途設ける必要がない。
【実施例
【0078】
次に,本発明の効果確認試験を行った結果を,実施例として以下に示す。
【0079】
〔試験の目的〕
交流発電機に本発明の構成を採用することで,大型負荷の投入時における発電機本体の出力電圧の降下幅を小さくすることができると共に,電圧降下後,設定電圧に復帰するまでの時間を短縮することができることを確認する。
【0080】
〔試験方法〕
図4及び図5を参照して説明した交流発電機(定格出力80kVA)を,周波数50Hz,定格電圧200V〔図4(A),図5(A)の低圧接続〕で運転し,負荷の投入前後における出力電圧の変化を観察した。
【0081】
実施例として,図4(A)に示した低圧接続における低圧出力端子u1と中間タップvm間の電圧(147V)をAVRの電源電圧とした交流発電機を使用した。
【0082】
比較例として,図4(A)に示した低圧接続における低圧出力端子u1と中性点O(中性点端子o)間の電圧(115V)をAVRの電源電圧とした交流発電機を使用した。
【0083】
負荷として,定格負荷を投入した際の出力電圧の変化を測定する「定格負荷投入試験」と,モータ負荷を投入した際の出力電圧の変化を測定する「モータ負荷投入試験」をそれぞれ行った。
【0084】
出力電圧の降下幅は,負荷の投入後,発電機本体の出力電圧が最も低くなった時点の出力電圧を「最低電圧」とし,次式により求めた「電圧降下率(%)」によって評価した。
電圧降下率=(定格電圧-最低電圧)/定格電圧×100(%)
【0085】
なお,「モータ負荷投入試験」で使用したモータは,実施例及び比較例共に,東芝産業機器システム株式会社製「TKKH3-FBK21E」(出力37kW)である。
【0086】
〔試験結果〕
定格負荷投入試験の結果を表1に,モータ負荷投入試験の結果を表2にそれぞれ示す。
【0087】
また,モータ負荷投入前後における,実施例の交流発電機における出力電圧波形の変化を図6(A)に,比較例の交流発電機における出力電圧波形の変化を図6(B)にそれぞれ示す。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
〔考察〕
上記試験結果より,定格負荷投入試験,及びモータ負荷投入試験のいずれの結果からも,実施例の交流発電機では電圧降下率が小さくなっており,負荷の投入時における出力電圧の降下幅が減少していることが確認でき,本発明の構成の採用が発電機本体の出力電圧の安定化に寄与するものであることが確認された。
【0091】
また,図6(A),(B)に示した出力電圧波形より,本発明の交流発電機(実施例)の方が,負荷投入後,より短時間で定格電圧(200V)に復帰していることが判り,モータを円滑に始動させることができていることが確認された。
【符号の説明】
【0092】
1 交流発電機
10 発電機本体
11 発電機電機子巻線
12 励磁回路
120 励磁機
121 励磁機電機子巻線
122 励磁機界磁巻線
123 整流器
124 発電機界磁巻線
14 エレメントコイル(4段/一方)
15 エレメントコイル(5段/一方)
16 エレメントコイル(4段/他方)
17 エレメントコイル(5段/他方)
20 自動電圧調整器(AVR)
21 電源入力部(一方)
22 電源入力部(他方)
23,24 出力部
30 切替スイッチ
32 圧着端子
200 交流発電機
210 発電機本体
211 発電機電機子巻線
212 励磁回路
220 自動電圧調整器(AVR)
U,V,W 三相巻線
u,v,w 出力端子
u1,v1,w1 低圧出力端子
u2,v2,w2 高圧出力端子
O 中性点
o 中性点端子
vm 中間タップ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7