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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ロボットシステム、ロボット、運搬装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
B25J5/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021016657
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119487
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊 芳梨
(72)【発明者】
【氏名】立花 健一
(72)【発明者】
【氏名】原 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-513817(JP,A)
【文献】特開2020-082233(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217417(JP,U)
【文献】特開2017-189862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、
前記ロボットに取り付け又は前記ロボットから取り外し可能であって、前記ロボットを運搬するための運搬装置と、
前記ロボットに配置され、前記ロボットの周囲の検出領域内における物体の有無を監視する監視装置と、
を有し、
前記運搬装置は、
前記ロボットに取り付けられた場合に前記ロボットの側方に立設される立設部を有し、
前記ロボットは、
前記運搬装置が前記ロボットに取り付けられた場合に、前記立設部の少なくとも一部を前記監視装置よりも前記ロボットの内側に収容する収容部を有する
ことを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記立設部は、
前記運搬装置が前記ロボットに取り付けられた場合に、前記収容部に収容される被収容部を有し、
前記ロボットは、
第1の方向に第1の幅寸法を有し、
前記被収容部は、
前記運搬装置が前記ロボットに取り付けられた場合に、前記第1の方向に第2の幅寸法を有し、
前記第2の幅寸法は前記第1の幅寸法よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記立設部は、
前記運搬装置が前記ロボットに取り付けられた場合に、前記収容部に収容される被収容部を有し、
前記ロボットは、
鉛直方向において第1の下端部から第1の高さ位置に前記監視装置を有し、
前記運搬装置は、
前記鉛直方向において第2の下端部から第2の高さ位置に前記被収容部を有し、
前記運搬装置が前記ロボットに取り付けられた場合に、前記第1の高さ位置と前記第2の高さ位置とは略同じ高さである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
複数の前記ロボットと、
少なくとも1台の前記運搬装置と、を有し、
前記ロボットの台数は、前記運搬装置の台数よりも多い
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記監視装置が前記検出領域内に前記物体を検出した場合に、前記ロボットの動作速度を減速または動作を停止するように制御する制御装置をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボットは、
少なくとも2つの前記監視装置を有しており、
前記ロボットは、
鉛直方向から見て4つの隅部を備えており、
前記少なくとも2つの監視装置は、
前記ロボットの前記4つの隅部のうち対角線上にある2つの前記隅部の近傍にそれぞれ配置された2つの前記監視装置を含む
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記ロボットは、
前記鉛直方向から見て4つの側面を備えており、
前記少なくとも2つの監視装置は、
前記検出領域内において隣接する2つの前記側面の間の角度範囲における前記物体の有無を監視する2つの前記監視装置を含む
ことを特徴とする請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記ロボットは、
前記対角線上にある2つの前記隅部の近傍に凹部を有し、
前記少なくとも2つの監視装置は、
前記凹部にそれぞれ収容された2つの前記監視装置を含む
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記ロボットは、
前記鉛直方向から見て、第1の方向に延設された2つの第1の側面と、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延設された2つの第2の側面と、を有しており、
前記2つの第1の側面の各々に、前記凹部に連通して第1の方向に沿って伸びる第1の溝部を有し、
前記2つの第2の側面の各々に、前記凹部に連通して第2の方向に沿って伸びる第2の溝部を有する
ことを特徴とする請求項8に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記運搬装置は、
キャスタを備えたベース部と、
前記ベース部の上部に配置され、前記ロボットが搭載される搭載部と、
前記ベース部の内部に配置され、前記搭載部を昇降させる昇降機構と、
を有し、
前記立設部は、
作業者により操作される操作部と、
前記操作部を支持する支持部と、
を有し、
前記支持部は、
前記ベース部に固定されている
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記ロボットは、
前記搭載部に接触する底部に突起部を有し、
前記運搬装置は、
前記ロボットに対する前記運搬装置の取付け方向に沿って形成された、前記突起部と嵌合可能な第3の溝部を前記搭載部に有する
ことを特徴とする請求項10に記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記第3の溝部は、
一方側の先端部に溝幅が拡大したテーパ部を有する
ことを特徴とする請求項11に記載のロボットシステム。
【請求項13】
運搬装置に取り付け又は取り外し可能なロボットであって、
周囲の検出領域内における物体の有無を監視する監視装置と、
前記運搬装置に取り付けられた場合に、前記運搬装置が備え前記ロボットの側方に立設される立設部の少なくとも一部を前記監視装置よりも内側に収容する収容部と、
を有することを特徴とするロボット。
【請求項14】
ロボットに取り付け又は前記ロボットから取り外し可能であって、前記ロボットを運搬するための運搬装置であって、
前記ロボットに取り付けられた場合に、前記ロボットの側方に立設される立設部を有し、
前記立設部の少なくとも一部は、
前記ロボットに取り付けられた場合に、前記ロボットに配置され前記ロボットの周囲の検出領域内における物体の有無を監視する監視装置よりも前記ロボットの内側に収容される
ことを特徴とする運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ロボットシステム、ロボット、及び運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業員と共に、搬送コンベアにより搬送される食品容器に対して食品の盛り付けを行う作業ロボットが記載されている。作業ロボットは、フレームの下部にキャスタを一体に備えており、作業者はフレームの後部に設けられた取っ手を使用して作業ロボットを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-189862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術において、ロボットの配置換えの利便性をより向上することが要望されていた。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ロボットの配置換えの利便性を向上することができるロボットシステム、ロボット、及び運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、ロボットと、前記ロボットに取り付け又は前記ロボットから取り外し可能であって、前記ロボットを運搬するための運搬装置と、前記ロボットに配置され、前記ロボットの周囲の検出領域内における物体の有無を監視する監視装置と、を有し、前記運搬装置は、前記ロボットに取り付けられた場合に前記ロボットの側方に立設される立設部を有し、前記ロボットは、前記運搬装置が前記ロボットに取り付けられた場合に、前記立設部の少なくとも一部を前記監視装置よりも前記ロボットの内側に収容する収容部を有するロボットシステムが適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、運搬装置に取り付け又は取り外し可能なロボットであって、周囲の検出領域内における物体の有無を監視する監視装置と、前記運搬装置に取り付けられた場合に、前記運搬装置が備え前記ロボットの側方に立設される立設部の少なくとも一部を前記監視装置よりも内側に収容する収容部と、を有するロボットが適用される。
【0008】
また、本発明の別の観点によれば、ロボットに取り付け又は前記ロボットから取り外し可能であって、前記ロボットを運搬するための運搬装置であって、前記ロボットに取り付けられた場合に、前記ロボットの側方に立設される立設部を有し、前記立設部の少なくとも一部は、前記ロボットに取り付けられた場合に、前記ロボットに配置され前記ロボットの周囲の検出領域内における物体の有無を監視する監視装置よりも前記ロボットの内側に収容される運搬装置が適用される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロボットシステム等によれば、ロボットの配置換えの利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ロボットシステムの全体構成の一例を表す上面図である。
図2】ロボットのアームの構成の一例を表す上面図である。
図3】ロボットから運搬装置を取り外した状態の一例を表す斜視図である。
図4】ロボットに運搬装置を取り付けた状態の一例を表す斜視図である。
図5】ロボット本体の監視装置の位置と検出領域の一例を表す説明図である。
図6】ロボット本体のうち底部より上の部分を下方向から見た下面図である。
図7】運搬装置を下方向から見た下面図である。
図8】ロボットと運搬装置の固定構造部分を抽出して拡大した図4の部分拡大図である。
図9】教示装置をロボットに取り付ける変形例における、ロボットに運搬装置を取り付けた状態の一例を表す左側面図である。
図10】教示装置をロボットに取り付ける変形例における、ロボットに運搬装置を取り付けた状態の一例を表す後面図である。
図11】教示装置を運搬装置に取り付ける変形例における、ロボットに運搬装置を取り付けた状態の一例を表す左側面図である。
図12】教示装置を運搬装置に取り付ける変形例における、ロボットに運搬装置を取り付けた状態の一例を表す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<1.ロボットシステムの全体構成>
まず、図1を参照しつつ、本実施形態に係るロボットシステム1の全体構成について説明する。図1は、ロボットシステム1の全体構成の一例を表す上面図である。
【0013】
ロボットシステム1では、搬送されるワークWに対して、作業者及びロボットが所定の作業を行う。「ワークW」には、例えば部品、装置、容器、食品、商品、箱等、作業者やロボットがハンドリング可能な多種多様な物体が含まれる。「所定の作業」には、例えばピッキング、部品の組付け、組み立て、加工、溶接、塗装、選別、仕分け、検査、食品や具材のトッピング、梱包等、作業者とロボットが協働又は独立して実行可能な多種多様な作業が含まれる。
【0014】
図1に示すように、ロボットシステム1は、搬送装置3と、複数の作業者Mと、複数のロボット5と、運搬装置7とを有する。図1では、例えば搬送装置3が1台、作業者Mが3人、ロボット5が3台、運搬装置7が1台である場合を図示しているが、これらの数に限定されない。例えば、複数台の搬送装置3が直列又は並列に設置されてもよいし、作業者Mやロボット5の数を3以外としてもよいし、運搬装置7が複数台であってもよい。ロボット5の台数が運搬装置7の台数よりも多ければ、ロボット5と運搬装置7の台数は限定されない。
【0015】
搬送装置3は、例えばコンベア装置であり、複数のワークWを例えば矢印9の方向に順次搬送する。なお、搬送装置3はコンベア装置に限るものではなく、例えば専用設計された搬送機、リニアアクチュエータ、台車、AGV(無人搬送車)、シュータ等としてもよい。また、ロボット5は搬送されるワークWに限らず、停止した状態のワークWに対して作業を行ってもよい。例えば、ロボット5が搬送装置3により搬送されるワークWを簡便な作業台に移動させて、作業台上の停止したワークWに対して作業を行い、作業を完了したワークWを搬送装置3に戻す、等を行ってもよい。
【0016】
複数の作業者Mは、搬送装置3の近傍に、ワークWの搬送方向に沿って所定の間隔で配置されている。複数のロボット5は、搬送装置3の近傍に、ワークWの搬送方向に沿って作業者Mと略同じ間隔で配置されている。図1では、複数の作業者Mは、例えば搬送装置3の幅方向(図1中上下方向)における一方側と他方側に互い違いとなるように配置されている。複数のロボット5は、例えば搬送装置3を挟んで作業者Mと略線対称の配置となるように、搬送装置3の幅方向における一方側と他方側に互い違いとなるように配置されている。各作業者Mと各ロボット5は、搬送装置3の幅方向に対向して配置されている。各作業者Mと各ロボット5は、協働して又は独立して、搬送されるワークWに対して所定の作業を実行する。
【0017】
なお、上述した作業者Mやロボット5の数や配置は一例であり、上述の数や配置に限定されない。例えば、搬送装置3の幅方向片側だけに作業者Mやロボット5を配置してもよい。また、作業者Mを配置せずにロボット5だけを配置してもよい。
【0018】
運搬装置7は、ロボット5を運搬するための装置であり、ロボット5に取り付け又はロボット5から取り外すことが可能である。つまり、運搬装置7はロボット5に着脱可能であり、ロボット5に対して固定又は分離することができる。運搬装置7は、複数のロボット5に対して使い回すことが可能である。このため、ロボットシステム1では前述のように運搬装置7の台数はロボット5の台数よりも少ない。図1では、例えば3台のロボット5のうち1台のロボット5にのみ運搬装置7が取り付けられている。運搬装置7が取り付けられたロボット5は、リフトアップして移動させることも可能であるし、取り付けられた状態で床や架台に設置して稼動させることもできる。
【0019】
<2.ロボットアームの構成>
次に、図2を用いて、ロボット5のアームの構成の一例について説明する。図2は、ロボット5のアームの構成の一例を表す上面図である。なお、図2において、ロボット5の構成の説明の便宜上、上下左右前後等の方向を適宜使用するが、ロボット5の各構成の位置関係を限定するものではない。なお、本実施形態において、上下方向は鉛直方向、前後方向は運搬装置7がロボット5に取り付けられる方向(後から前向き)、左右方向は前後方向及び上下方向の両方向に垂直な方向である。
【0020】
図2に示すように、ロボット5は、略直方体形状のロボット本体11と、アーム13とを有する。アーム13は、ロボット本体11の上端部に配置されている。アーム13は、旋回部15と、下腕部17と、肘部19と、上腕部21と、手首部23と、フランジ部25とを有する。
【0021】
旋回部15は、ロボット本体11の上端部の例えば前方寄りに、上下方向に平行な回転軸Ax1周りに旋回可能に支持されている。旋回部15は、ロボット本体11との間の関節部に設けられたアクチュエータAc1の駆動により、ロボット本体11の上端部に対し、回転軸Ax1周りに旋回駆動される。
【0022】
下腕部17は、旋回部15の一方側(例えば右側)の側部に、回転軸Ax1に垂直な回転軸Ax2周りに旋回可能に支持されている。下腕部17は、旋回部15との間の関節部に設けられたアクチュエータAc2の駆動により、旋回部15の一方側の側部に対し、回転軸Ax2周りに旋回駆動される。
【0023】
肘部19は、下腕部17の先端部の他方側(例えば左側)に、回転軸Ax2に平行な回転軸Ax3周りに旋回可能に支持されている。肘部19は、下腕部17との間の関節部に設けられたアクチュエータAc3の駆動により、下腕部17の先端部の他方側に対し、回転軸Ax3周りに旋回駆動される。
【0024】
上腕部21は、肘部19の先端部(例えば前端部)に、回転軸Ax3に垂直な回転軸Ax4周りに回動可能に支持されている。上腕部21は、肘部19との間の関節部に設けられたアクチュエータAc4の駆動により、肘部19の先端部に対し、回転軸Ax4周りに回動駆動される。
【0025】
手首部23は、上腕部21の先端部の他方側(例えば左側)に、回転軸Ax4に垂直な回転軸Ax5周りに旋回可能に支持されている。手首部23は、上腕部21との間の関節部に設けられたアクチュエータAc5の駆動により、上腕部21の先端部の他方側に対し、回転軸Ax5周りに旋回駆動される。
【0026】
フランジ部25は、手首部23の先端部(例えば下端部)に、回転軸Ax5に垂直な回転軸Ax6周りに回動可能に支持されている。フランジ部25は、手首部23との間の関節部に設けられたアクチュエータAc6の駆動により、手首部23の先端部に対し、回転軸Ax6周りに回動駆動される。
【0027】
エンドエフェクタ(図示省略)は、フランジ部25の先端(例えば下端部)に取り付けられており、フランジ部25の回転軸Ax6周りの回動と共に、回転軸Ax6周りに回動する。エンドエフェクタは、例えばロボット5がピッキングを行う場合にはハンドや吸着パッドが取り付けられる等、実行する作業に応じたツールが取り付けられる。
【0028】
以上の構成であるロボット5は、6つのアクチュエータAc1~Ac6を備えた6つの関節部を有する垂直多関節型の6軸ロボットである。各関節部を駆動するアクチュエータAc1~Ac6の各々は、例えばサーボモータ、エンコーダ、及び減速機等により構成されている。
【0029】
ロボット本体11の内部には、アーム13の動作を含むロボット5全体の制御を行うコントローラ27(制御装置の一例。図3参照)が設けられている。コントローラ27は、後述する監視装置47,49(図3図5参照)が検出領域内に人等の物体を検出した場合に、アーム13の動作速度を減速またはアーム13の動作を停止させる。ロボット5は、作業者Mと共に稼働することが可能な人協働ロボットとして構成されている。なお、コントローラ27はロボット5の外部に設置されてもよい。また、ロボット5の各関節部においてトルクを検出し、ロボット5が例えば人や物に衝突したことを検出した場合に、コントローラ27が直ちに動作を停止させたり、外力が作用した方向と逆方向に動作させる等の制御を行ってもよい。
【0030】
なお、上記では、アーム13の長手方向(あるいは延在方向)に沿った回転軸周りの回転を「回動」と呼び、アーム13の長手方向(あるいは延在方向)に垂直な回転軸周りの回転を「旋回」と呼んで区別している。
【0031】
なお、ロボット5を6軸以外(例えば5軸や7軸等)のロボットとしてもよい。また、水平多関節型やパラレルリンクロボット等、ロボット5を垂直多関節型以外のロボットとしてもよい。さらに、汎用ロボット以外にも、例えば、XYZθ方向等に移動可能なアクチュエータを備えた、特定の作業専用に設計された専用作業機等としてもよい。
【0032】
<3.ロボット本体と運搬装置の構成>
次に、図3図5を用いて、ロボット本体11と運搬装置7の構成の一例について説明する。図3は、ロボット5から運搬装置7を取り外した状態の一例を表す斜視図である。図4は、ロボット5に運搬装置7を取り付けた状態の一例を表す斜視図である。図5は、ロボット本体11の監視装置の位置と検出領域の一例を表す説明図である。なお、図3図5に示す方向は、図2に示した方向に対応している。
【0033】
図3及び図4に示すように、ロボット5のロボット本体11は略直方体形状である。ロボット本体11は、アーム13が配置される上面29の他に、前面31、後面33、左面35、及び右面37からなる4つの側面を有する。前面31と後面33(第1の側面の一例)は、各面方向が左右方向(第1の方向の一例)に平行となるように、つまり各面方向が前後方向に垂直となるように延設されている。左面35と右面37(第2の側面の一例)は、各面方向が前後方向(第1の方向に略垂直な第2の方向の一例)に平行となるように、つまり各面方向が左右方向に垂直となるように延設されている。
【0034】
ロボット本体11は、下部にベース部39を有する。ベース部39は、四隅にアジャスタ41を備えており、ロボット5の高さ調整や水平出しが可能である。ベース部39は、運搬装置7を出し入れするための開口部43を後方に有し、運搬装置7を収容可能な収容スペース45を内部に有する。運搬装置7は、ベース部39の開口部43に後側から前側に向けて挿入されることで、ロボット5に取り付けられる。運搬装置7は、ベース部39の開口部43から後側に向けて引き出されることで、ロボット5から取り外される。
【0035】
ロボット本体11には、ロボット5の周囲の検出領域内における物体の有無を監視する少なくとも2つの監視装置が設けられている。図3図5に示すように、ロボット本体11には例えば2つの監視装置47,49が設けられている。「検出領域」は、ロボット5の周囲に所定距離の範囲で設定されている。「物体」には、作業者等の人や、走行装置や無人搬送車等の機械が含まれる。監視装置47,49は、例えばレーザスキャナである。監視装置47,49は、レーザ光をスキャニングすることで、所定の距離範囲且つ所定の角度範囲内における物体の有無や物体の侵入を検出する。なお、監視装置47,49はレーザスキャナに限るものではなく、例えばカメラ、赤外線センサ、超音波センサ等としてもよい。また、監視装置の数は2つに限らず、1つまたは3以上としてもよい。複数の場合には、検出方式が異なる複数種類の監視装置が設けられてもよい。
【0036】
ロボット本体11は、上下方向から見て4つの隅部を備えた略四角形状に形成されている。監視装置47,49は、ロボット本体11の4つの隅部のうち対角線上にある2つの隅部の近傍にそれぞれ配置されている。例えば、監視装置47は左前方の隅部、監視装置49は右後方の隅部に配置されている。ロボット本体11は、上下方向から見て4つの側面、すなわち上述した前面31、後面33、左面35、及び右面37を備えた略四角形状に形成されている。2つの監視装置47,49の各々は、検出領域内において隣接する2つの側面の間の角度範囲における物体の有無を監視する。例えば、監視装置47は、隣接する前面31と左面35の間の略270度の角度範囲を監視する。監視装置49は、隣接する後面33と右面37の間の略270度の角度範囲を監視する。これにより、2つの監視装置47,49によりロボット5の周囲360度の全範囲を監視することができる。
【0037】
図3図5に示すように、ロボット本体11は、上記対角線上にある2つの隅部の近傍に凹部51,53を有する。2つの監視装置47,49は、凹部51,53にそれぞれ収容されている。例えば、監視装置47は凹部51に、監視装置49は凹部53に収容されている。図5に示すように、ロボット本体11の4つの側面31,33,35,37には、凹部51,53に連通する溝部がそれぞれ形成されている。例えば、前面31には、凹部51に連通して左右方向に沿って伸びる溝部55(第1の溝部の一例)が形成されている。後面33には、凹部53に連通して左右方向に沿って伸びる溝部57(第1の溝部の一例)が形成されている。左面35には、凹部51に連通して前後方向に沿って伸びる溝部59(第2の溝部の一例)が形成されている。右面37には、凹部53に連通して前後方向に沿って伸びる溝部61(第2の溝部の一例)が形成されている。
【0038】
図5に示すように、溝部55,59は、凹部51に収容された監視装置47の検出領域を確保する。監視装置47は、隣接する前面31と左面35の間の略270度の角度範囲θ1を、溝部55,59を介して監視する。溝部57,61は、凹部53に収容された監視装置49の検出領域を確保する。監視装置49は、隣接する後面33と右面37の間の略270度の角度範囲θ2を、溝部57,61を介して監視する。これにより、2つの監視装置47,49をロボット5の外側に突出しないように凹部51,53に収容しつつ、ロボット5の周囲360度の全範囲を監視することができる。
【0039】
図3に示すように、運搬装置7は、ベース部63と、搭載部65と、昇降機構67と、ハンドル部69とを有する。ベース部63は略直方体状であり、四隅の下部に4つのキャスタ71を有する。ベース部63は、前後方向におけるキャスタ71,71の間に、左右方向に延びる略四角筒状の差込部73を有する。差込部73は、例えば左右方向に分離して配置された一対の差込部73が、前後方向に2組配置されることで、計4つ設けられる(図7参照)。図4に示すように、運搬装置7がロボット5に取り付けられた状態で、例えばフォークリフト等の運搬車両によりロボット5を運搬装置7ごと持ち上げて運搬する場合に、差込部73に運搬車両の爪部が挿入される。
【0040】
搭載部65は、略長方形状の板状部材である。搭載部65は、ベース部63の上部に昇降可能に配置されており、その上部にロボット5が搭載される。搭載部65には、ロボット本体11のベース部39の収容スペース45内に配置された底部75(図6参照)が接触する。搭載部65の上面には、ガイド溝部77が形成されている。ガイド溝部77(第3の溝部の一例)は、ロボット5に対する運搬装置7の取付け方向である前後方向に沿って形成されている。ガイド溝部77は、ロボット5の底部75に設けられた突起部111,113(図6参照)と嵌合可能である。ガイド溝部77は、前方側(一方側の一例)の端部に左右方向の溝幅が徐々に拡大するテーパ部79を有する。テーパ部79は、ガイド溝部77の左右方向の幅を例えば直線状に拡大しつつ、搭載部65の前端部に達する。
【0041】
ガイド溝部77は、後方側の端部に左右方向の溝幅が拡大された拡幅部81を有する。拡幅部81には、貫通孔83(第2の貫通孔の一例)が形成されたブッシュ85(第2のブッシュの一例)が設けられている。ロボット5の開口部43には、上記ブッシュ85に対応する位置に、貫通孔87(第1の貫通孔の一例)が形成されたブッシュ89(第1のブッシュの一例)が設けられている。図4に示すように、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、ピン部材91がブッシュ89の貫通孔87とブッシュ85の貫通孔83に挿入され、ロボット5が運搬装置7に固定される。
【0042】
昇降機構67は、ベース部63の内部に配置され、搭載部65をベース部63に対して上下方向に昇降させる。昇降機構67は、例えばパンタグラフ方式の昇降機構である。ベース部63の後端部には回転ハンドル93が設けられている。作業者Mが回転ハンドル93を回転させると、昇降機構67により回転運動が上下方向の直線運動に変換され、回転方向に応じて搭載部65が上下方向に昇降する。なお、昇降機構は回転操作によるパンタグラフ方式に限るものではなく、例えば油圧や電動モータを駆動源として、足踏みペダルやスイッチボタンにより昇降させる機構としてもよい。
【0043】
ハンドル部69(立設部の一例)は、例えばステンレス等の金属材料で構成された丸パイプ状の部材であり、運搬装置7の後端近傍に立設されている。運搬装置7を単体で運搬する場合やロボット5に取り付けて運搬する場合に、ハンドル部69には作業者等により押す力や引く力が加えられる。図4に示すように、ハンドル部69は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合にロボット5の後方(側方の一例)に露出して立設される。ハンドル部69は、操作部95と、支持部96とを有する。操作部95は、作業者等により操作される。操作部95は、左右方向の両端が略U字状に湾曲された部分円環状に形成されており、作業者が両手で把持可能である。
【0044】
支持部96は、操作部95を支持する。支持部96は、一対の第1延設部97と、一対の第2延設部99と、接続部101と、一対の被収容部103とを有する。一対の第1延設部97は、操作部95の後側の端部から後方下側に向けて略平行に延設されている。一対の第2延設部99は、一対の第1延設部97の後側の端部に屈曲して接続され、前方下側に向けて略平行に延設されている。接続部101は、第1延設部97と第2延設部99との屈曲部の近傍において、一対の第2延設部99の間に左右方向に掛け渡されて接続する。一対の被収容部103は、一対の第2延設部99の下側の端部に屈曲して接続され、上下方向下側に向けて略平行に延設されている。一対の被収容部103の下端部は、搭載部65の貫通孔107を貫通してベース部63に固定されている。つまり、ハンドル部69の支持部96はベース部63に固定されている。一対の被収容部103は、下方に略四角筒状のガイド部材105をそれぞれ有する。各ガイド部材105は、搭載部65の貫通孔107に挿通され、搭載部65が上下方向に昇降するように昇降方向をガイドする。
【0045】
ロボット本体11の後面33における開口部43の上部には、収容部109が設けられている。収容部109は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、ハンドル部69の少なくとも一部を監視装置よりもロボット5の内側に収容する。図4及び図5に示すように、例えばハンドル部69の支持部96における一対の被収容部103は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、監視装置49よりもロボット5の内側にそれぞれ配置される。つまり、一対の被収容部103は、監視装置49の検出領域よりも前側にそれぞれ配置される。図5に示すように、ロボット本体11は、幅方向である左右方向(第1の方向の一例)に幅寸法W1(第1の幅寸法の一例)を有する。ハンドル部69の一対の被収容部103は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、左右方向に幅寸法W2(第2の幅寸法の一例)を有する。幅寸法W2は幅寸法W1よりも小さい。
【0046】
図4に示すように、ロボット5は、上下方向においてアジャスタ41の下端部(第1の下端部の一例)から高さ位置H1(第1の高さ位置の一例)に監視装置47,49を有する。高さ位置H1は、監視装置47,49の例えば上端部の位置であり、例えば300mm以下となるように設定される。300mmは、例えば腰をかがめたり四つん這いになった作業者でも検出可能な高さであり、作業者の姿勢を問わずに検出可能となる高さである。運搬装置7は、鉛直方向においてキャスタ71の下端部(第2の下端部の一例)から高さ位置H2(第2の高さ位置の一例)に収容部103を有する。高さ位置H2は、例えば収容部103の上端部の位置である。図4に示すように、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、高さ位置H1と高さ位置H2とは略同じ高さである。言い換えると、監視装置47,49が設置された高さ範囲と、収容部103の上下方向の延設範囲の少なくとも一部が、上下方向において重複する。
【0047】
運搬装置7は、ロボット5を運搬する場合には、昇降機構67により搭載部65を上昇させて、ロボット5のアジャスタ41を宙に浮いた状態とする。運搬装置7は、ロボット5を運搬しない場合にも、運搬装置7の保管場所を不要とするために、ロボット5に取り付けられた状態でロボット5を通常稼動させる場合がある。この場合、図4に示すように、運搬装置7は、昇降機構67により搭載部65を下降させて、ロボット5のアジャスタ41を床や架台等の設置部に設置させる。つまり、監視装置47,49は、運搬装置7が取り付けられた状態でロボット5が設置部に設置された場合に、設置部からの鉛直方向の高さが300mm以下となるように配置される。
【0048】
<4.ロボットと運搬装置のガイド、固定構成>
次に、図6図8を用いて、ロボット5と運搬装置7のガイド構成及び固定構成の一例について説明する。図6は、ロボット本体11のうち底部より上の部分を下方向から見た下面図である。図7は、運搬装置7を下方向から見た下面図である。図8は、ロボット5と運搬装置7の固定構造部分を抽出して拡大した図4の部分拡大図である。なお、図6図8に示す方向は、図2図5に示した方向に対応している。なお、図6には、運搬装置7が取り付けられた状態におけるガイド溝部77、テーパ部79、拡幅部81が二点鎖線で示されている。
【0049】
図6に示すように、ロボット5のロボット本体11の内部には、底部75が設けられている。底部75は、収容部109に対応する部分が切り欠かれた略長方形の板状部材である。底部75は、運搬装置7の搭載部65に搭載される。底部75には、下方に突出した複数の突起部111,113,115が設けられている。突起部111,113,115は、例えば円柱状の突起である。突起部111,113(第1の突起部の一例)は、底部75の左右方向略中央位置において、取付け方向である前後方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。突起部111,113の径方向の寸法は、ガイド溝部77の溝幅と略同一又は所定の公差分だけ小さくなっており、ガイド溝部77に嵌合可能である。なお、ガイド溝部77に嵌合する突起部の数は2つに限るものではなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。突起部115(第2の突起部の一例)は、複数の突起部111,113,115の端部、つまり運搬装置7をロボット5に取り付ける向きである後側から前側の向きの先端に配置されている。突起部115は、ガイド溝部77の溝幅よりも径方向の寸法が大きくなっており、テーパ部79に当接してストッパとして機能する。突起部115とテーパ部79の当接により、ロボット5と運搬装置7の左右方向の位置ずれや前後方向前向きの位置ずれを防止できる。底部75の収容部109に対応する部分の左右方向略中央位置には、貫通孔87が形成されたブッシュ89が設けられている。
【0050】
図7に示すように、運搬装置7の搭載部65の上面には、ガイド溝部77、テーパ部79、及び拡幅部81が形成されている。ガイド溝部77は、搭載部65の左右方向略中央位置において、取付け方向である前後方向に沿って形成されている。上述のように、ガイド溝部77には、ロボット5の底部75に設けられた2つの突起部111,113が嵌合する。ガイド溝部77と突起部111,113の嵌合により、ロボット5と運搬装置7の左右方向の位置ずれや回転方向の位置ずれを防止できる。ガイド溝部77の前端部に形成されたテーパ部79には、ロボット5に対する運搬装置7の取り付けが完了した位置、言い換えるとロボット5への運搬装置7の挿入が完了した位置で突起部115が当接する。ガイド溝部77の後端部に形成された拡幅部81には、貫通孔83が形成されたブッシュ85が設けられている。
【0051】
図8に示すように、ロボット本体11の開口部43に運搬装置7が挿入され、ロボット5の突起部115が運搬装置7のテーパ部79に当接すると、ブッシュ89とブッシュ85が上下方向に重なり、貫通孔87と貫通孔83が略一致する。ピン部材91がブッシュ89の貫通孔87とブッシュ85の貫通孔83に挿入されて嵌合することで、ロボット5が運搬装置7に固定される。ピン部材91により、ロボット5と運搬装置7の前後方向及び左右方向の位置ずれを防止でき、運搬装置7をロボット5に安定して取り付けることができる。なお、ピン部材91とブッシュ85,89との固定は、ピンによる嵌合に限るものではなく、例えばねじによる固定等、その他の固定方式としてもよい。
【0052】
<5.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のロボットシステム1は、ロボット5と、ロボット5に取り付け又はロボット5から取り外し可能であって、ロボット5を運搬するための運搬装置7と、ロボット5に配置され、ロボット5の周囲の検出領域内における物体の有無を監視する監視装置47,49と、を有し、運搬装置7は、ロボット5に取り付けられた場合にロボット5の側方に立設されるハンドル部69を有し、ロボット5は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、ハンドル部69の少なくとも一部を監視装置49よりもロボット5の内側に収容する収容部109を有する。これにより、次の効果を奏する。
【0053】
一般にロボットシステムにおいては、ロボットを容易に配置換えしたいという要求がある。仮に、ロボットと運搬装置を一体化した場合、運搬が容易となる反面、設置した後ロボットが動作する際には運搬装置は不要となり、複数台使用する場合には運搬装置の分だけコストアップとなる。また、ロボットには、安全性の向上のために、周囲の作業者等の有無を監視する監視装置が設けられる場合がある。コスト削減のために単純にロボットと運搬装置を分離させた場合には、運搬装置のハンドル部が監視装置の検出領域と干渉し、安全機能によりロボットの動作速度の減速や動作の停止を招く可能性がある。
【0054】
本実施形態では、ロボット5と運搬装置7を分離可能なため、一体型に比べてコストを削減できる。その上で、運搬装置7をロボット5に取り付けた場合に、ロボット5の側方に立設されるハンドル部69の少なくとも一部が監視装置49よりもロボット5の内側に収容されることで、ハンドル部69が監視装置47,49に干渉することを防止できる。このため、運搬装置7を取り付けた状態でもロボット5を通常通り稼動でき、運搬装置7の保管場所が不要となる。したがって、ロボット5の配置換えの利便性を向上することができる。
【0055】
また、本実施形態では特に、ハンドル部69は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、収容部109に収容される被収容部103を有し、ロボット5は、左右方向に幅寸法W1を有し、一対の被収容部103は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、左右方向に幅寸法W2を有し、幅寸法W2は幅寸法W1よりも小さい。
【0056】
これにより、左右方向において一対の被収容部103がロボット5から出っ張ることを防止できるので、ロボット5の周囲を監視する監視装置47,49の検出領域との干渉をより生じにくくすることができる。
【0057】
また、本実施形態では特に、ハンドル部69は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、収容部109に収容される被収容部103を有し、ロボット5は、上下方向においてアジャスタ41の下端部から高さ位置H1に監視装置47,49を有し、運搬装置7は、上下方向においてキャスタ71から高さ位置H2に被収容部103を有し、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、高さ位置H1と高さ位置H2とは略同じ高さである。
【0058】
これにより、同じ高さにある監視装置47,49と被収容部103とをロボット5の奥行方向である前後方向にずらして配置することが可能となるので、被収容部103と監視装置47,49の検出領域との干渉をより生じにくくすることができる。
【0059】
また、本実施形態では特に、ロボットシステム1は、複数のロボット5と、少なくとも1台の運搬装置7と、を有し、ロボット5の台数は運搬装置7の台数よりも多い。
【0060】
ロボット5の台数が運搬装置7の台数よりも多いことで、運搬装置7をロボット5から分離させ、2台以上のロボット5に対して使い回して使用することになる。このようにすることで、運搬装置7の台数を削減でき、コストダウンできる。
【0061】
また、本実施形態では特に、ロボットシステム1は、監視装置47,49が検出領域内に物体を検出した場合に、ロボットの動作速度を減速または動作を停止するように制御するコントローラ27をさらに有する。
【0062】
本実施形態では、コントローラ27によるロボット5の制御により、ロボット5を安全柵が不要で且つ作業者Mと共に協働することが可能な人協働ロボットとして機能させることができる。人協働ロボットを備えたロボットシステム1では、例えば作業者Mとロボット5を交代させたり、作業者Mが不在の場所にロボット5を投入する等、ロボット5を容易に配置換えしたいという要求が特に大きい。したがって、ロボット5の配置換えの利便性を向上することが可能なロボットシステム1の有効性をさらに向上できる。
【0063】
また、本実施形態では特に、ロボット5は、少なくとも2つの監視装置を有しており、ロボット本体11は、上下方向から見て4つの隅部を備えており、少なくとも監視装置は、ロボット本体11の4つの隅部のうち対角線上にある2つの隅部の近傍にそれぞれ配置された2つの監視装置47,49を含む。
【0064】
ロボット本体11が鉛直方向から見て4つの隅部を有する場合に、仮に、監視装置を隅部でない場所に配置した場合、検出領域に死角が生じてしまうか、死角をなくすために監視装置の数が増える可能性がある。本実施形態では、監視装置47,49を対角線上にある2つの隅部の近傍にそれぞれ配置することで、少ない数の監視装置でロボット5の周囲全体を監視することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では特に、ロボット5のロボット本体11は、鉛直方向から見て4つの側面31,33,35,37を備えており、少なくとも2つの監視装置は、検出領域内において隣接する2つの側面31,35及び2つの側面33,37の間の角度範囲における物体の有無を監視する2つの監視装置47,49を含む。
【0066】
これにより、例えば単体で270度の角度範囲を監視可能な監視装置47,49を使用することで、ロボット5の周囲の360度の角度範囲全体を監視することができる。
【0067】
また、本実施形態では特に、ロボット5のロボット本体11は、対角線上にある2つの隅部の近傍に凹部51,53を有し、少なくとも2つの監視装置は、凹部51,53にそれぞれ収容された2つの監視装置47,49を含む。
【0068】
本実施形態では、監視装置47,49を凹部51,53に収容することで、監視装置47,49がロボット本体11から出っ張ることを防止できる。これにより、ロボット5をコンパクト化できると共に、監視装置47,49が外部の物体や作業者Mと接触することによる破損や故障を防止できる。また、安全性も向上できる。
【0069】
また、本実施形態では特に、ロボット5のロボット本体11は、上下方向から見て、左右方向に延設された2つの側面である前面31及び後面33と、左右方向に略垂直な前後方向に延設された2つの側面である左面35及び右面37と、を有しており、2つの前面31及び後面33の各々に、凹部51,53に連通して左右方向に沿って伸びる溝部55,57をそれぞれ有し、2つの左面35及び右面37の各々に、凹部51,53に連通して前後方向に沿って伸びる溝部59,61をそれぞれ有する。
【0070】
これにより、監視装置47,49を凹部51,53に収容した場合でも、凹部51,53に連通した溝部55,57,59,61を介して監視装置47,49による検出領域を確保することができる。
【0071】
また、本実施形態では特に、運搬装置7は、キャスタ71を備えたベース部63と、ベース部63の上部に配置され、ロボット5が搭載される搭載部65と、ベース部63の内部に配置され、搭載部65を昇降させる昇降機構67と、を有し、ハンドル部69は、作業者Mにより操作される操作部95と、操作部95を支持する支持部96と、を有し、支持部96は、ベース部63に固定されている。
【0072】
運搬装置7の操作部95には、ロボット5を運搬する際に作業者M等により押す力や引く力が加えられる。操作部95を支持する支持部96をベース部63に固定することにより、操作部95に加えられた力を支持部96を介してベース部63及びキャスタ71に直接伝達することができ、ロボット5の運搬を安定化することができる。
【0073】
また、本実施形態では特に、ロボット5のロボット本体11は、搭載部65に接触する底部75に突起部111,113,115を有し、運搬装置7は、ロボット5に対する運搬装置7の取付け方向に沿って形成された、突起部111,113と嵌合可能なガイド溝部77を搭載部65に有する。
【0074】
これにより、運搬装置7をロボット5に取り付ける場合に、運搬装置7のロボット5に対する取付位置を位置決めできると共に、取り付け方向及び取り外し方向をガイドすることができる。したがって、ロボット5と運搬装置7の着脱作業を容易化できる。
【0075】
また、本実施形態では特に、ガイド溝部77は、一方側の先端部に溝幅が拡大したテーパ部79を有する。
【0076】
これにより、運搬装置7をロボット5に取り付ける場合に、ロボット5の突起部111,113を運搬装置7のガイド溝部77に嵌合するようにガイドすることができる。したがって、運搬装置7のロボット5への取付作業を容易化できる。
【0077】
また、本実施形態では特に、ロボット5のロボット本体11は、底部75に複数の突起部111,113,115を有し、複数の突起部111,113,115は、取付け方向に間隔を空けて配置され、ガイド溝部77に嵌合可能な2つの突起部111,113を含む。
【0078】
本実施形態では、取付け方向に間隔を空けて配置された2つの突起部111,113がガイド溝部77に嵌合することで、運搬装置7の鉛直軸周りの回転方向の位置ずれを防止でき、運搬装置7をロボット5に安定して取り付けることができる。
【0079】
また、本実施形態では特に、複数の突起部111,113,115は、端部に配置され、ガイド溝部77の溝幅よりも径方向の寸法が大きい突起部115を含む。
【0080】
これにより、突起部115がストッパとなり、運搬装置7のロボット5に対する取り付けの完了位置を位置決めすることができる。
【0081】
また、本実施形態では特に、ロボット5のロボット本体11は、貫通孔87が形成されたブッシュ89を有し、運搬装置7は、貫通孔83が形成されたブッシュ85を有し、ロボットシステム1は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、貫通孔87と貫通孔83に挿入されるピン部材91をさらに有する。
【0082】
これにより、ピン部材91でロボット5と運搬装置7を固定することができる。したがって、運搬装置7でロボット5を運搬する際の安定感が増し、操作者が安心して運搬することができる。
【0083】
また、本実施形態では特に、監視装置47,49は、運搬装置7が取り付けられた状態でロボット5が設置部に設置された場合に、設置部からの鉛直方向の高さが300mm以下となるように配置されている。
【0084】
これにより、例えば腰をかがめた作業者Mや四つん這いの作業者Mのように、例えば床面近くで検出領域内に侵入する人等も検出することが可能となり、安全性をより高めることができる。
【0085】
<6.変形例>
なお、開示の実施形態は、以上説明した内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0086】
(6-1.教示装置をロボットに取り付ける場合)
本変形例のロボットシステム1は、ロボット5のアーム13の動作を教示するための教示装置117を有する。図9に示すように、教示装置117は、固定具119を介してロボット5に取り付けられている。例えば、教示装置117は、ロボット5のロボット本体11の後側の側方に後方下側に向けて延設されている。つまり、教示装置117は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、ハンドル部69側の側方に取り付けられている。教示装置117は、運搬装置7のハンドル部69に干渉しないように配置されている。教示装置117は、表示部121と操作部123を有する。表示部121は例えば液晶パネルやタッチパネル等である。操作部123は例えば各種のスイッチ、ボタン、キー等(図示省略)である。上述の「干渉しないように配置」とは、図9に示すように教示装置117がハンドル部69に接触せず、且つ、図10に示すように、教示装置117の表示部121や操作部123が、後方向から見てハンドル部69に重複せずに配置されることをいう。例えば、表示部121がハンドル部69の円環状の操作部95の内側に配置され、操作部123が一対の第1延設部97と接続部101の内側に配置されている。これにより、ロボット5に運搬装置7が取り付けられた状態でも、作業者は教示装置117を使用してロボット5に対して教示作業を行うことができる。
【0087】
(6-2.教示装置を運搬装置に取り付ける場合)
本変形例のロボットシステム1も、上記同様、ロボット5のアーム13の動作を教示するための教示装置117を有する。図11に示すように、教示装置117は、固定具119を介してハンドル部69の後側に取り付けられている。図12に示すように、教示装置117は、運搬装置7がロボット5に取り付けられた場合に、運搬装置7のハンドル部69に干渉しないように配置されている。ここでいう「干渉しないように配置」とは、図12に示すように教示装置117がハンドル部69の後方に露出しており、教示装置117の表示部121や操作部123が後側から自由に操作可能に配置されることをいう。本変形例においても、ロボット5に運搬装置7が取り付けられた状態でも、作業者は教示装置117を使用してロボット5に対して教示作業を行うことができる。
【0088】
(6-3.その他)
以上では、ロボットシステム1において、ロボット5の台数が運搬装置7の台数よりも多い場合について説明したが、これに限らず、例えばロボット5と運搬装置7を同じ台数としてもよい。この場合、コストダウン効果は低減するが、運搬装置7を取り付けた状態でもロボット5を通常通り稼動できるので、運搬装置7の保管場所が不要となり、ロボット5の配置換えの利便性を向上できる効果は得ることができる。
【0089】
また以上では、ロボット5が監視装置47,49を有する場合について説明したが、監視装置の数は2台に限らず、1台又は3台以上としてもよい。1台の場合には、例えばロボット5の上部に下方を向けて設置し、ロボット5の周囲を検出可能としてもよい。また、3台以上の場合には、例えば監視装置47,49に加えて、当該監視装置47,49の検出領域のさらに上方を検出領域とする監視装置を追加して設置してもよい。
【0090】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0091】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0092】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0093】
1 ロボットシステム
5 ロボット
7 運搬装置
27 コントローラ(制御装置)
31 前面(側面、第1の側面)
33 後面(側面、第1の側面)
35 左面(側面、第2の側面)
37 右面(側面、第2の側面)
41 アジャスタ(第1の下端部)
47 監視装置
49 監視装置
51 凹部
53 凹部
55 溝部(第1の溝部)
57 溝部(第1の溝部)
59 溝部(第2の溝部)
61 溝部(第2の溝部)
63 ベース部
65 搭載部
67 昇降機構
69 ハンドル部(立設部)
71 キャスタ(第2の下端部)
75 底部
77 ガイド溝部(第3の溝部)
79 テーパ部
83 貫通孔(第2の貫通孔)
85 ブッシュ(第2のブッシュ)
87 貫通孔(第1の貫通孔)
89 ブッシュ(第1のブッシュ)
91 ピン部材
95 操作部
96 支持部
103 被収容部
109 収容部
111 突起部(第1の突起部)
113 突起部(第1の突起部)
115 突起部(第2の突起部)
H1 高さ位置(第1の高さ位置)
H2 高さ位置(第2の高さ位置)
M 作業者
W1 幅寸法(第1の幅寸法)
W2 幅寸法(第2の幅寸法)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12