(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】靴作製支援装置
(51)【国際特許分類】
A43D 1/02 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
A43D1/02
(21)【出願番号】P 2021025351
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 元貴
(72)【発明者】
【氏名】谷口 憲彦
(72)【発明者】
【氏名】若杉 晋作
(72)【発明者】
【氏名】新 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高島 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】小塚 祐也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 悟
(72)【発明者】
【氏名】阪口 正律
(72)【発明者】
【氏名】高浜 健太
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0018914(US,A1)
【文献】特表2007-500574(JP,A)
【文献】特開2019-155079(JP,A)
【文献】国際公開第2005/006905(WO,A1)
【文献】特開2018-134277(JP,A)
【文献】特開2002-199905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の作製を支援する靴作製支援装置であって、
前記靴は、アッパー、ソール、および当該アッパーと当該ソールとが差し込まれるシェルで構成され、
足型データ
および付加情報を受け付ける入力部と、
前記入力部で受け付けた前記足型データ
および前記付加情報に基づいて、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中から少なくとも1種類のシェルモデルを選択する演算部と、
前記演算部で選択した前記シェルモデルを出力する出力部と、を備え
、
複数種類の前記シェルモデルは、前記シェルの大きさを調整する少なくとも1つの調整部を有する第1モデルと当該調整部を有さない第2モデルとに分類され、
前記演算部は、前記第1モデルに分類されるシェルモデルを選択した場合には、前記入力部で受け付けた前記足型データおよび前記付加情報に基づいて、前記調整部を配置すべき位置と、当該位置に配置される前記調整部の調整量とを含む調整情報を算出し、
前記出力部は、前記演算部で算出した前記調整情報を出力する、靴作製支援装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記入力部で受け付けた前記足型データに基づいて、形状の異なる複数種類のソールモデルの中から少なくとも1種類のソールモデルを選択し、
前記出力部は、前記演算部で選択した前記ソールモデルを出力する、請求項
1に記載の靴作製支援装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記入力部で受け付けた前記足型データおよび前記付加情報に基づいて、形状の異なる複数種類のソールモデルの中から少なくとも1種類のソールモデルを選択する、請求項
1に記載の靴作製支援装置。
【請求項4】
前記付加情報は、事実情報、および、ユーザが選択した選択情報のうち少なくとも1つを含む、請求項
1~請求項
3のいずれか1項に記載の靴作製支援装置。
【請求項5】
前記付加情報は、ユーザの好みに関する情報、靴の使用に関する情報、およびユーザの足に関する情報のうち少なくとも1つを含む、請求項
1~請求項
4のいずれか1項に記載の靴作製支援装置。
【請求項6】
ユーザの好みに関する情報は、フィッティングに関する好みの情報、ユーザが使用している靴の使用感、アッパーの材料に関する好みの情報、履き口の形状に関する好みの情報、およびデザインに関する好みの情報のうち少なくとも1つを含む、請求項
5に記載の靴作製支援装置。
【請求項7】
靴の使用に関する情報は、ランニングデータ、および、靴が使用される競技の情報のうち少なくとも1つを含む、請求項
5または請求項
6に記載の靴作製支援装置。
【請求項8】
ユーザの足に関する情報は、足甲部の圧力の情報、足底の圧力の情報、および足の変形の情報のうち少なくとも1つを含む、請求項5~請求項
7のいずれか1項に記載の靴作製支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、靴作製支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、測定装置で測定された足型データを基に作製されるオーダーメイドのシューズが知られている。特許第6685303号公報は、ユーザの足に合わせたオーダーメイドのシューズの作製方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許第6685303号公報に開示の方法に従えば、オーダーメイドのシューズは、ユーザの足型に基づいて作製された靴型(ラスト)を基にアッパーが作製され、当該アッパーとソール部品とが糊を用いて接着されて作製される。しかし、近年、シューズの構成や作製方法について様々な構成や作製方法が開発されており、シューズを作製する作業者(以下、単に「作業者」と称する)が、例えばユーザの足にフィッティングさせ易い最適な構成等を選択することは手間であった。
【0005】
本開示では、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従う靴作製支援装置は、靴の作製を支援する。靴は、アッパー、ソール、および当該アッパーと当該ソールとが差し込まれるシェルで構成される。靴作製支援装置は、足型データおよび付加情報を受け付ける入力部と、入力部で受け付けた足型データおよび付加情報に基づいて、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中から少なくとも1種類のシェルモデルを選択する演算部と、演算部で選択したシェルモデルを出力する出力部と、を備え、複数種類のシェルモデルは、シェルの大きさを調整する少なくとも1つの調整部を有する第1モデルと当該調整部を有さない第2モデルとに分類され、演算部は、第1モデルに分類されるシェルモデルを選択した場合には、入力部で受け付けた足型データおよび付加情報に基づいて、調整部を配置すべき位置と、当該位置に配置される調整部の調整量とを含む調整情報を算出し、出力部は、演算部で算出した調整情報を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、シェルの中にアッパーとソールとが差し込まれることによりシューズが作製される。また、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中からユーザの足に合ったシェルモデルが選択される。ゆえに、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るシューズの一例を説明するための図である。
【
図2】実施の形態1に係るシェルモデルの一例を説明するための図である。
【
図3】実施の形態1に係る靴作製支援装置の概要を説明するための図である。
【
図4】実施の形態1に係る靴作製支援装置のハードウェア構成例を示す模式図である。
【
図5】実施の形態1に係る靴作製支援装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2に係るシェルモデルの一例を説明するための図である。
【
図7】実施の形態2に係る靴作製支援装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係るシューズ10の一例を説明するための図である。実施の形態1では、アッパーと、ソールとを貼り合わせてシューズを作製するのではなく、
図1に示すように、アッパー1とソール2とを組み合わせ、これらの少なくとも一部をシェル3で覆うことでシューズ10を作製している。シェル3には、調整の範囲、デザイン、フィッティング感など様々な要素に基づき、形状などが異なる複数種類のシェルモデルが用意されている。そこで、実施の形態1では、本発明が適用される場面の一例について説明する。たとえば店舗において、ユーザの足型を測定し、測定したユーザの足型に基づいて形状の異なる複数種類のシェルモデルの中から少なくとも1種類のシェルモデルを選択する靴作製支援装置について説明する。
【0011】
アッパー1は、測定装置で測定されたユーザの足型に基づいて、公知の方法等で作製される。アッパー1の素材は、たとえばニット素材、メッシュ素材、人工皮革、不織布、または熱収縮素材等である。公知の方法等としては、たとえば靴型の周囲に生地を直接編み込む方法、生地を3Dプリンタで積層する方法、熱収縮糸を含む繊維シートを靴型に被せたうえで加熱する方法等がある。当該靴型は、測定装置で測定されたユーザの足型に基づいて作製されてもよいし、予めストックされている複数の靴型の中から測定装置で測定されたユーザの足型に近い靴型が選択されてもよい。
【0012】
ソール2は、シューズのサイズ別に店舗やメーカーにストックされており、ユーザが普段履いているシューズのサイズに対応するソールが選択される。
【0013】
シェル3は、アッパー1とソール2とが差し込まれる入れ物である。シェル3は、ウレタン、アクリル、またはナイロン等でできている。一例として、シェル3は、3Dプリンタで作製される。実施の形態1に係るシューズ10は、シェル3にアッパー1とソール2とが差し込まれることにより作製される。
【0014】
図1に示されるシェル3はアッパー1とソール2との全てを覆うようなモデルであるが、シェル3のモデル(以下、「シェルモデル」とも称する)はこれに限られない。シェル3は、形状の異なる複数種類のモデルを有する。店舗やメーカーには、各モデルのシェル3がサイズ別にストックされており、その中の1つを用いてシューズ10が作製される。
【0015】
アッパー1、ソール2、およびシェル3で構成されるシューズ10の作製方法の一例は以下の通りである。
【0016】
まず、シェル3の中にソール2を入れ、ソール2が入ったシェル3にアッパー1を入れる。次いで、アッパー1の一部を縫製等によりシェル3に固定する。最後に、アッパー1の中に靴型を入れて、ソール2とアッパー1とが差し込まれたシェル3を電子レンジ等で加熱する。加熱後、アッパー1から靴型を抜くことで、アッパー1、ソール2、およびシェル3で構成されるシューズ10が完成する。シェル3内に差し込まれたソール2はアッパー1とシェル3とにより固定されることから、アッパー1とソール2とを糊で接着する必要がない。したがって、シューズを作製する作業者(以下、単に「作業者」と称する)の負担が軽減される。
【0017】
図2を参照して、シェルモデルの一例を説明する。
図2は、実施の形態1に係るシェルモデルの一例を説明するための図である。シェル3は、形状の異なる複数種類のモデルを有する。
【0018】
一例として、シェル3は、フルシェルモデル、部分シェルモデル、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデルを有する。フルシェルモデルおよび部分シェルモデルは「第2モデル」に相当し、後述の調整部4を有さないモデルである。一方、調整部を1つ有するモデルおよび調整部を複数有するモデルは「第1モデル」に相当し、シェル3の大きさを調整する少なくとも1つの調整部4を有するモデルである。
【0019】
フルシェルモデルは、アッパー1とソール2との全体を覆うモデルである。
図2に示されるように、フルシェルモデルを用いて作製されたシューズ10Fは、アッパー1とソール2との全体がシェル3で覆われている。
【0020】
部分シェルモデルは、アッパー1とソールとの一部のみを覆うモデルであり、少なくとも、アッパー1とソールとの境界の一部を覆うように構成されている。
図2に示されるように、部分シェルモデルを用いて作製されたシューズ10Pは、アッパー1とソールとの一部のみがシェル3で覆われている。
【0021】
調整部を有するモデルは、上述の部分シェルモデルのように、アッパー1とソールとの一部のみを覆うモデルであり、アッパー1とソールとの境界の一部を少なくとも覆うように構成されている。調整部を1つ有するモデルは調整部4aを1つ有し、調整部を複数有するモデルは調整部4aと調整部4bとを有する。なお、調整部を複数有するモデルは、調整部4を3つ以上有していてもよい。
【0022】
図2には、調整部を1つ有するモデルを用いて作製されたシューズ10SAと、調整部を複数有するモデルを用いて作製されたシューズ10MAとが示されている。
【0023】
調整部4は、ベルトと、当該ベルトの長さを調整可能な調整機構とを備える。調整機構はベルトの長さを任意に調整可能なもの(たとえば、D環)でもよいし、ベルトの長さを複数段階に分けて調整可能なもの(たとえば、ダイヤル式)でもよい。調整部4の位置は変更可能であり、調整部4はユーザの足に合わせて配置される。調整部を複数有するモデルの場合には、シェル3の大きさを調整可能な量が複数の調整部4のそれぞれで同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0024】
シェル3の大きさの調整度は、フルシェルモデル<部分シェルモデル<調整部を1つ有するモデル<調整部を複数有するモデルであり、調整部を複数有するモデルはこれら4つのモデルの中でシェル3の大きさの調整度が最も大きいモデルである。
【0025】
したがって、ユーザの足の形状が標準的な足の形状から大きくずれている場合には、調整部を有するモデルの方が好ましい。一例として、ユーザの足型データと標準的な足型データとの差異量が8%を超えている部分が存在する場合には、調整部を複数有するモデルが好ましく、ユーザの足型データと標準的な足型データとの差異量が5%を超えている部分が存在する場合には、調整部を1つ有するモデル以上の調整度を有するモデル(すなわち、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデル)が好ましく、ユーザの足型データと標準的な足型データとの差異量が3%を超えている部分が存在する場合には、部分シェルモデル以上の調整度を有するモデル(すなわち、部分シェルモデル、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデル)が好ましい。ユーザの足型データと標準的な足型データとの差異量が3%以下である場合には、フルシェルモデル、部分シェルモデル、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデルのうちいずれのモデルが採用されてもよい。なお、上述の数値は一例であり、これに限るものではない。また、標準的な足型データとの差異量が大きい場合でも、調整機構を設けることでフルシェルモデルを採用することができる。
【0026】
各シェルモデルは、調整度の大きさ以外にも、以下のような特徴を有する。フルシェルモデルは、部分シェルモデルと比べて、足がシェル3で覆われている面積が広いことから、タイトなフィッティングが好まれる場合や、動作時の足のサポートが高く求められる場合(足がしっかりとホールドされていることが好ましい場合)や、シューズ10に耐久性が求められる場合等に適している。
【0027】
一方、部分シェルモデルは、フルシェルモデルと比べて、足がシェル3で覆われていない面積が広いことから、ルーズなフィッティングが好まれる場合や、動作時の足のサポートがそれほど高く求められない場合等に適している。
【0028】
また、調整部を有するモデルは、調整部4でシェル3の大きさを調整できることから、タイトなフィッティングが好まれる場合、ルーズなフィッティングが好まれる場合、動作時の足のサポートが高く求められる場合、および動作時の足のサポートがそれほど高く求められない場合のいずれの場合にも対応することができる。
【0029】
なお、
図2に示される、フルシェルモデル、部分シェルモデル、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデルの形状は一例にすぎず、
図2に示されるものに限られない。また、上述の、フルシェルモデル、部分シェルモデル、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデルの各々の特徴は一例にすぎず、上述のものに限られない。
【0030】
シェル3を用いたオーダーメイドのシューズの作製においては、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中から最適なシェルモデルを選択することが求められる。しかし、複数種類のシェルモデルの中から条件に合った最適なシェルモデルを選択するには、経験やノウハウが必要であり、作業者にとって負担が大きい。しかしながら、実施の形態1に従えば、後述する靴作製支援装置がユーザの足型データに基づいて少なくとも1種類のシェルモデルを選択して出力するので、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することができる。
【0031】
図3は、実施の形態1に係る靴作製支援装置100の概要を説明するための図である。
図3を参照して、靴作製支援装置100は、店舗内に設置され、靴の作製を支援する装置である。靴作製支援装置100は、測定装置200、スマートフォン等の携帯端末300、および/またはデータサーバ500と通信することができる。
【0032】
測定装置200は、ユーザの足型を測定するために用いられる。測定装置200は、靴作製支援装置100と同一の店舗内に設けられていてもよいし、靴作製支援装置100とは異なる店舗に設けられていてもよい。携帯端末300は、ユーザの自宅や測定装置200を備えていない店舗においてユーザの足型を測定する際に用いられる。データサーバ500は、メーカーに設置され、ユーザの個人情報、ユーザのシューズの購入履歴、および、ユーザのシューズの作製に用いられたシェルのモデル等の情報を記憶している。
【0033】
靴作製支援装置100は、測定装置200または携帯端末300からユーザの足型データを受け付け、受け付けたユーザの足型データに基づいて、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中から少なくとも1種類のシェルモデルを選択し、選択したシェルモデルをディスプレイ150に表示する。なお、靴作製支援装置100は、選択したシェルモデルをプリンタで出力してもよいし、選択したシェルモデルを音声で出力してもよい。
【0034】
これにより、店舗においてユーザに合ったシェルモデルを選択することができる。店舗に、選択したモデルで、かつ、ユーザの足に合うサイズのシェル3と、ユーザに合ったサイズのソール2とがストックされており、かつ、アッパー1を作製する環境がある場合には、店舗でユーザに合ったシューズを作製することができる。なお、店舗ではユーザに合ったシェルモデルの選択だけが行われ、シューズの作製はメーカーで行われてもよい。
【0035】
図4は、実施の形態1に係る靴作製支援装置100のハードウェア構成例を示す模式図である。
図4を参照して、靴作製支援装置100は、プロセッサ102と、メインメモリ104と、入力部106と、出力部108と、ストレージ110と、光学ドライブ112と、通信コントローラ120とを含む。これらのコンポーネントは、プロセッサバス118を介して接続されている。
【0036】
プロセッサ102は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等で構成され、ストレージ110に記憶されたプログラム(一例として、OS(Operating System)1102および処理プログラム1104)を読出して、メインメモリ104に展開して実行することができる。当該処理プログラム1104を実行するプロセッサ102は、靴作製支援装置100の演算部に対応する。
【0037】
メインメモリ104は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性記憶装置等で構成される。ストレージ110は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置等で構成される。
【0038】
ストレージ110には、基本的な機能を実現するためのOS1102に加えて、靴作製支援装置100としての機能を提供するための処理プログラム1104が記憶される。
【0039】
処理プログラム1104は、靴作製支援装置100のプロセッサ102で実行されることにより、シェルモデルが選択され、選択されたシェルモデルが出力されるように組まれている。
【0040】
ストレージ110には、さらに足型データベース1106が記憶されている。足型データベース1106には、標準の足型データがシェル3のサイズ別に対応付けられている。
【0041】
入力部106は、測定装置200または携帯端末300と接続して、測定装置200または携帯端末300からユーザの足型データを受け付けるための入力インターフェースを含む。
【0042】
出力部108は、ディスプレイ、プリンタ、および/またはスピーカー等で構成され、プロセッサ102で選択されたシェルモデルを出力する。また、出力部108は、プロセッサ102で選択されたシェルモデルを、他の店舗やメーカーに設置されている端末へ出力するための出力インターフェースを含んでいてもよい。また、出力部108は、ユーザのシューズの作製に用いられたシェルモデルをデータサーバ500へ出力するための出力インターフェースを含んでいてもよい。
【0043】
通信コントローラ120は、有線通信または無線通信を用いて、他の装置等との間でデータを遣り取りする。靴作製支援装置100は、通信コントローラ120を介して、測定装置200または携帯端末300から足型データを受信する。また、靴作製支援装置100は、通信コントローラ120を介して、プロセッサ102で選択されたシェルモデルを他の店舗やメーカーに設置されている端末へ送信してもよい。また、靴作製支援装置100は、通信コントローラ120を介して、ユーザのシューズの作製に用いられたシェルモデルをデータサーバ500へ送信してもよい。
【0044】
なお、通信コントローラ120とは別にプロセッサバス118に接続されるUSBコントローラを設け、USB接続を介して、他の装置等との間でデータが遣り取りされてもよい。
【0045】
光学ドライブ112は、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に記憶する記録媒体114(たとえば、DVD(Digital Versatile Disc)等の光学記録媒体)から、その中に記憶されたプログラムを読み取って、読み取ったプログラムをストレージ110等にインストールする。
【0046】
靴作製支援装置100で実行される処理プログラム1104等は、コンピュータ読取可能な記録媒体114を介してインストールされてもよいが、ネットワーク上のサーバ装置等からダウンロードする形でインストールするようにしてもよい。また、実施の形態1に係る靴作製支援装置100が提供する機能は、OSが提供するモジュールの一部を利用する形で実現される場合もある。
【0047】
図4には、プロセッサ102がプログラムを実行することで、靴作製支援装置100として必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等)を用いて実装してもよい。また、
図4に示される靴作製支援装置100の構成は一例であり、この構成に限定されるものではない。
【0048】
図5は、実施の形態1に係る靴作製支援装置100の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS505は入力部106で行われる処理であり、ステップS510~ステップS550はプロセッサ102で行われる処理であり、ステップS555は出力部108で行われる処理である。
【0049】
ステップS505において、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データを受け付ける。
【0050】
ステップS510において、靴作製支援装置100は、標準の足型データと、ユーザの足型データとの差異量を算出する。詳細には、まず、靴作製支援装置100は、足型データベース1106を参照して、ステップS505で受け付けたユーザの足型データに近い標準の足型データと、当該標準の足型データに対応付けられているシェル3のサイズとを特定する。次いで、靴作製支援装置100は、特定した標準の足型データと、ステップS505で受け付けたユーザの足型データとの差異量を算出する。
【0051】
ステップS515において、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が3%以下であるか否かを判定する。靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が3%以下である場合には(ステップS515においてYES)、フルシェルモデルを選択し(ステップS520)、処理をステップS555に移行する。一方、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が3%を超えている部分が存在する場合には(ステップS515においてNO)、処理をステップS525に移行する。
【0052】
ステップS525において、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が5%以下であるか否かを判定する。靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が5%以下である場合には(ステップS525においてYES)、部分シェルモデルを選択し(ステップS530)、処理をステップS555に移行する。一方、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が5%を超えている部分が存在する場合には(ステップS525においてNO)、処理をステップS535に移行する。
【0053】
ステップS535において、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が8%以下であるか否かを判定する。靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が8%以下である場合には(ステップS535においてYES)、調整部を1つ有するモデルを選択し(ステップS540)、処理をステップS550に移行する。一方、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量が8%を超えている部分が存在する場合には(ステップS535においてNO)、調整部を複数有するモデルを選択し(ステップS545)、処理をステップS550に移行する。
【0054】
ステップS550において、靴作製支援装置100は、ステップS505で受け付けたユーザの足型データに基づいて、調整部4の調整情報を算出する。調整情報は、調整部4を配置すべき位置(以下、「調整部の位置」とも称する)と、当該位置に配置される調整部4の調整量とを含む。
【0055】
詳細には、靴作製支援装置100は、調整部を1つ有するモデルを選択した場合には、ステップS510で算出した差異量のうち、差異量が最大のエリアを選択し、選択したエリアを調整部4(
図2に示す例では、調整部4a)の位置として特定する。さらに、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量のうち、調整部4が配置されるエリアの差異量に基づいて調整部4の調整量を算出する。
【0056】
これに対し、靴作製支援装置100は、調整部を複数有するモデルを選択した場合には、ステップS510で算出した差異量のうち差異量が大きいエリアから順に調整部4の数だけエリアを選択し、選択したエリアを調整部4(
図2に示す例では、調整部4aと調整部4b)の位置として特定する。さらに、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量のうち、各々の調整部4が配置されるエリアの差異量に基づいて各々の調整部4の調整量を算出する。
【0057】
一例として、靴作製支援装置100が
図2に示される調整部を2つ有するモデルを選択した場合には、ステップS510で算出した差異量のうち差異量が最大のエリアを調整部4aの位置として特定し、当該エリアにおける差異量に基づいて調整部4aの調整量を算出する。また、靴作製支援装置100は、ステップS510で算出した差異量のうち差異量が2番目に大きいエリアを調整部4bの位置として特定し、当該エリアにおける差異量に基づいて調整部4bの調整量を算出する。
【0058】
なお、調整部4aと調整部4bとで調整可能な量が異なる場合には、靴作製支援装置100は、調整可能な量が多い方の調整部4の位置として差異量が最大のエリアを特定する。
【0059】
ステップS555において、靴作製支援装置100は、ステップS510で特定したシェルのサイズ、および、ステップS520、ステップS530、ステップS540、またはステップS545で選択したシェルモデル等を出力する。詳細には、処理がステップS520またはステップS530から移行されてきた場合には、靴作製支援装置100は、ステップS510で特定したシェルのサイズ、および、ステップS520またはステップS530で選択したシェルモデルを出力する。
【0060】
一方、処理がステップS550から移行されてきた場合には、靴作製支援装置100は、ステップS510で特定したシェルのサイズ、ステップS540、または、ステップS545で選択したシェルモデル、およびステップS550で算出した調整情報を出力する。
【0061】
靴作製支援装置100は、ステップS555の後、
図5に示す一連の処理を終了する。なお、
図5に示す処理では、標準の足型データと、ユーザの足型データとの差異量に基づいて、1つのシェルモデルが選択されたが、靴作製支援装置100は、標準の足型データと、ユーザの足型データとの差異量に対応可能な全てのシェルモデルを選択してもよい。
【0062】
具体的には、靴作製支援装置100は、ステップS520において、フルシェルモデルに加え、部分シェルモデル、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデルを選択してもよい。また、靴作製支援装置100は、ステップS530において、部分シェルモデルに加え、調整部を1つ有するモデル、および、調整部を複数有するモデルを選択してもよい。また、靴作製支援装置100は、ステップS540において、調整部を1つ有するモデルに加え、調整部を複数有するモデルを選択してもよい。
【0063】
靴作製支援装置100によって、複数のシェルモデルが選択された場合には、その中から、ユーザに好みのシェルモデルを選択してもらう。
【0064】
このように、実施の形態1に従えば、ユーザの足型データを受け付ける入力部106と、入力部106で受け付けたユーザの足型データに基づいて、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中から少なくとも1種類のシェルモデルを選択するプロセッサ102と、プロセッサ102で選択したシェルモデルを出力する出力部108と、を備える、靴作製支援装置100が提供される。これにより、シェル3を用いたオーダーメイドのシューズ10の作製において、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中からユーザに合ったシェルモデルが出力されるため、作業者の負担が軽減される。また、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中からユーザに合ったシェルモデルが出力されるため、ユーザに合ったモデルのシェル3を用いてシューズ10を作製することができる。したがって、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することができる。
【0065】
また、プロセッサ102は、調整部を有するモデルを選択した場合には、入力部106で受け付けたユーザの足型データに基づいて、調整部4の調整情報を算出する。調整情報には、調整部4を配置すべき位置と、当該位置に配置される調整部4の調整量とが含まれる。出力部108は、プロセッサ102で算出した調整情報を出力する。これにより、ユーザに合った調整情報が出力されるため、作業者の負担が軽減される。また、ユーザに合った調整情報が出力されるため、ユーザに合ったシューズ10を作製することができる。したがって、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することができる。
【0066】
また、プロセッサ102によって、複数のシェルモデルが選択された場合には、その中から、ユーザに好みのシェルモデルを選択してもらうことから、ユーザに合ったモデルのシェル3を用いてシューズ10を作製することができる。
【0067】
なお、上記では、ソール2は、シューズのサイズ別に店舗やメーカーにストックされており、ユーザが普段履いているシューズのサイズに対応するソールが選択された。しかし、ソール2にも形状の異なる複数種類のソールモデルが存在してもよい。その場合には、プロセッサ102が、入力部106で受け付けたユーザの足型データに基づいて、形状の異なる複数種類のソールモデルの中から少なくとも1種類のソールモデルを選択し、出力部108が、プロセッサ102で選択したソールモデルを出力する。プロセッサ102によって、複数のソールモデルが選択された場合には、その中から、ユーザに好みのソールモデルを選択してもらう。
【0068】
形状の異なる複数種類のソールモデルとして、たとえば、横幅が広めのソールモデル、横幅が狭めのソールモデル、および横幅が標準的なソールモデルが、縦方向の長さ別に用意されていてもよいし、これらの各モデルに対し、厚みの異なるソールモデル(たとえば、厚めのソールモデル、薄めのソールモデル、厚みが標準的なソールモデル等)が用意されていてもよい。
【0069】
このように、入力部106で受け付けたユーザの足型データに基づいてソールモデルが選択される場合には、ユーザに合ったモデルのソール2を用いてシューズ10を作製することができる。また、シェル3を用いたオーダーメイドのシューズ10の作製において、形状の異なる複数種類のソールモデルの中からユーザに合ったソールモデルが出力されるため、作業者の負担が軽減される。したがって、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することができる。
【0070】
また、プロセッサ102によって、複数のソールモデルが選択された場合には、その中から、ユーザに好みのソールモデルを選択してもらうことから、ユーザに合ったモデルのソール2を用いてシューズ10を作製することができる。
【0071】
[実施の形態2]
実施の形態1では、シェルモデルはフルシェルモデル、部分シェルモデル、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデルの4モデルだけであった。これに対し、実施の形態2では、シェルモデルはフルシェルモデル、部分シェルモデル、調整部を1つ有するモデル、および調整部を複数有するモデルのそれぞれが、さらに形状の異なる複数種類のシェルモデルを有しており、その中から、ユーザの足型データ、および、付加情報に基づいてシェルモデルが選択される。なお、以下では、実施の形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0072】
図6を参照して、実施の形態2に係るシェルモデルの一例を説明する。
図6は、実施の形態2に係るシェルモデルの一例を説明するための図である。シェルモデルは、フルシェルモデルのグループ、部分シェルモデルのグループ、調整部を1つ有するモデルのグループ、および調整部を複数有するモデルのグループの4つのグループを有する。
【0073】
各グループは、形状の異なる複数種類のシェルモデルを有する。一例として、フルシェルモデルのグループ、および、部分シェルモデルのグループに属するシェルモデルには、つま先エリアの周囲長、中足部エリアの周囲長、履き口の高さ、およびシェルのカラーのうち少なくとも1つが異なるシェルモデルが54種類(F1モデル~F54モデル、P1モデル~P54モデル)あり、調整部を1つ有するモデルのグループ、および、調整部を複数有するモデルのグループには、履き口の高さ、および、シェルのカラーのうち少なくとも1つが異なるシェルモデルが9種類(SA1モデル~SA9モデル、MA1モデル~MA9モデル)ある。
【0074】
この例に示すように、履き口の高さが異なる数種類のシェルモデルと、シェルのカラーが異なる数種類のシェルモデルとは、いずれのグループにも含まれる。一方、つま先エリアの周囲長が異なる数種類のシェルモデルと、中足部エリアの周囲長が異なる数種類のシェルモデルとは、フルシェルモデルのグループ、または、部分シェルモデルのグループにしか含まれない。この理由は、フルシェルモデルのグループ、または、部分シェルモデルのグループに属するシェルモデルは調整部を有さないことから、ゆるめのフィッティングを好むユーザや、きつめのフィッティングを好むユーザ等に対応できるようにするためである。
【0075】
なお、各グループに属するシェルモデルの数は上述のものに限られず、2以上であればよい。また、グループ毎に属するシェルモデルの数が異なっていてもよいし、同数でもよい。また、各グループには、踵エリアのシェルの周囲長が異なる複数種類のシェルモデル等が含まれていてもよい。
【0076】
靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、ユーザによって選択された付加情報をさらに受け付ける。付加情報は、ユーザの好みに関する情報、シューズの使用に関する情報、およびユーザの足に関する情報のうち少なくとも1つを含み、シェルモデルの選択の際に使用される。なお、付加情報の詳細は、
図8を参照して後述する。
【0077】
靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、付加情報を受け付けた場合には、ユーザの足型データ、および、付加情報に基づいて、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中から少なくとも1種類のシェルモデルを選択し、選択したシェルモデルを出力する。
【0078】
さらに、靴作製支援装置100は、選択したシェルモデルが調整部を有するモデルである場合には、ユーザの足型データ、および、付加情報に基づいて、調整部4の調整情報を算出し、算出した調整情報をさらに出力する。調整情報は、調整部4を配置すべき位置(調整部4の位置)と、当該位置に配置される調整部4の調整量とを含む。
【0079】
図7は、実施の形態2に係る靴作製支援装置100の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS705およびステップS710は入力部106で行われる処理であり、ステップS715およびステップS720はプロセッサ102で行われる処理であり、ステップS725は出力部108で行われる処理である。
【0080】
ステップS705において、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データを受け付ける。
【0081】
ステップS710において、靴作製支援装置100は、ユーザによって選択された付加情報を受け付ける。
【0082】
ステップS715において、靴作製支援装置100は、ステップS705で受け付けたユーザの足型データに基づいて、シェルモデルのグループを選択する。詳細には、まず、靴作製支援装置100は、足型データベース1106を参照して、ステップS705で受け付けたユーザの足型データに近い標準の足型データと、当該標準の足型データに対応付けられているシェルの3のサイズとを特定する。次いで、靴作製支援装置100は、特定した標準の足型データと、ステップS705で受け付けたユーザの足型データとの差異量を算出し、当該差異量に基づいてシェルモデルのグループを選択する。
【0083】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データと標準的な足型データとの差異量が3%以下である場合には、フルシェルモデルのグループを選択する。靴作製支援装置100は、ユーザの足型データと標準的な足型データとの差異量が3%を超え、かつ、5%以下である場合には、部分シェルモデルのグループを選択する。靴作製支援装置100は、ユーザの足型データと標準的な足型データとの差異量が5%を超え、かつ、8%以下である場合には、調整部を1つ有するモデルのグループを選択する。靴作製支援装置100は、ユーザの足型データと標準的な足型データとの差異量が8%を超える場合には、調整部を複数有するモデルのグループを選択する。
【0084】
ステップS720において、靴作製支援装置100は、ステップS715で選択したグループの中から、ステップS710で受け付けた付加情報に基づいて少なくとも1種類のシェルモデルを選択する。また、ステップS720において、靴作製支援装置100は、選択したシェルモデルが調整部を有するシェルモデルである場合には、ステップS705で受け付けたユーザの足型データ、および、ステップS710で受け付けた付加情報に基づいて、調整内容を算出する。調整内容とは、調整部4の配置位置、および、当該位置に配置される調整部4の調整量である。
【0085】
ステップS725において、靴作製支援装置100は、ステップS715で特定したシェルのサイズ、および、ステップS720で選択したシェルモデル等を出力する。詳細には、ステップS720で選択したシェルモデルが調整部を有さないモデルである場合には、靴作製支援装置100は、ステップS715で特定したシェルのサイズ、および、ステップS720で選択したシェルモデルを出力する。
【0086】
一方、ステップS720で選択したシェルモデルが調整部を有するモデルである場合には、靴作製支援装置100は、ステップS715で特定したシェルのサイズ、および、ステップS720で選択したシェルモデル、およびステップS720で算出した調整情報を出力する。
【0087】
靴作製支援装置100は、ステップS725の後、
図7に示す一連の処理を終了する。なお、靴作製支援装置100によって、複数のシェルモデルが選択された場合には、その中から、ユーザに好みのシェルモデルを選択してもらう。
【0088】
図7に示す処理により、ユーザの足型データ、および、付加情報に基づいたシェルモデルが選択される。また、選択されたシェルモデルが調整部を有するシェルモデルである場合には、ユーザの足型データ、および、付加情報に基づいて、調整情報が算出される。
【0089】
図8を参照して、付加情報と、ステップS720における処理とについて、詳細に説明する。
図8は、付加情報の一例を示す図である。付加情報は、ユーザの好みに関する情報、シューズの使用に関する情報、およびユーザの足に関する情報のうち少なくとも1つを含む。
【0090】
付加情報は、情報の内容から、事実情報と選択情報とに分けることができる。事実情報とは、客観的な情報であり、長さ、圧力、速度等、数値データで表すことができる情報である。一方、選択情報は、ユーザの主観的な情報(たとえば、ゆるめ、きつめ、速い、ゆっくり等)であり、ユーザに対しヒアリングすることにより得られる情報である。選択情報は、ユーザに携帯端末300へ入力してもらうことで得ることができる。
【0091】
ユーザの好みに関する情報は、フィッティングに関する好みの情報、既存シューズの使用感に関する情報、アッパーの材料に関する好みの情報、履き口の形状に関する好みの情報、およびデザインに関する好みの情報のうち少なくとも1つを含む。
【0092】
シューズの使用に関する情報は、ランニングデータ、および、シューズが使用される競技の情報のうち少なくとも1つを含む。
【0093】
ユーザの足に関する情報は、足甲部の圧力の情報、足底の圧力の情報、および足の変形に関する情報(プロネーションデータ等)のうち少なくとも1つを含む。
【0094】
以下、付加情報毎にステップS720における処理について説明する。
【0095】
<フィッティングに関する好みの情報>
フィッティングに関する好みの情報は、選択情報の一例である。フィッティングに関する好みの情報は、たとえば、「ゆるめ」が好みであるとの情報や、「きつめ」が好みであるとの情報等である。フィッティングに関する好みは、シューズ全体についての好みでもよいし、特定のエリア(たとえば、つま先エリア、中足部エリア、踵エリア等)についての好みでもよい。
【0096】
一例として、靴作製支援装置100は、「ゆるめ」が好みであるとの情報を受け付けており、ステップS715で選択したシェルモデルのグループがフルシェルモデルのグループまたは部分シェルモデルのグループである場合には、つま先エリアおよび中足部エリアの周囲長が長めのシェルモデルを少なくとも1種類選択する。
【0097】
また、靴作製支援装置100は、「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けており、ステップS715で選択したシェルモデルのグループがフルシェルモデルのグループまたは部分シェルモデルのグループである場合には、つま先エリアおよび中足部エリアの周囲長が短めのシェルモデルを少なくとも1種類選択する。
【0098】
他の例として、靴作製支援装置100は、特定のエリア(たとえば、つま先エリア、中足部エリア等)について「ゆるめ」が好みであるとの情報を受け付けており、ステップS715で選択したシェルモデルのグループがフルシェルモデルのグループまたは部分シェルモデルのグループである場合には、特定のエリアの周囲長が長めのシェルモデルを少なくとも1種類選択する。
【0099】
また、靴作製支援装置100は、特定のエリア(たとえば、つま先エリア、中足部エリア等)について「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けており、ステップS715で選択したシェルモデルのグループがフルシェルモデルのグループまたは部分シェルモデルのグループである場合には、特定のエリアの周囲長が短めのシェルモデルを少なくとも1種類選択する。
【0100】
他の例として、靴作製支援装置100は、「ゆるめ」が好みであるとの情報を受け付けており、ステップS715で選択したシェルモデルのグループが調整部を有するモデルのグループである場合には、つま先エリアおよび中足部エリアの少なくとも一方を調整部4の位置として特定するとともに、ステップS715で算出した差異量のうち特定したエリアにおける差異量に基づいて調整量を算出し、算出した当該調整量をたとえば、プラス5ミリメートル(調整部4がダイヤル式の場合には、プラス1メモリ等)した補正後の調整量を調整部4の調整量とする。
【0101】
また、靴作製支援装置100は、「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けており、ステップS715で選択したシェルモデルのグループが調整部を有するモデルのグループである場合には、つま先エリアおよび中足部エリアの少なくとも一方を調整部4の位置として特定するとともに、ステップS715で算出した差異量のうち特定したエリアにおける差異量に基づいて調整量を算出し、算出した当該調整量をたとえば、マイナス5ミリメートル(調整部4がダイヤル式の場合には、マイナス1メモリ等)した補正後の調整量を調整部4の調整量とする。
【0102】
他の例として、靴作製支援装置100は、特定のエリア(たとえば、つま先エリア、中足部エリア等)について「ゆるめ」が好みであるとの情報を受け付けており、ステップS715で選択したシェルモデルのグループが調整部を有するモデルのグループである場合には、特定のエリアを調整部4の位置として特定するとともに、ステップS715で算出した差異量のうち特定したエリアにおける差異量に基づいて調整量を算出し、算出した当該調整量をたとえば、プラス5ミリメートル(調整部4がダイヤル式の場合には、プラス1メモリ等)した補正後の調整量を調整部4の調整量とする。
【0103】
また、靴作製支援装置100は、特定のエリア(たとえば、つま先エリア、中足部エリア等)について「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けており、ステップS715で選択したシェルモデルのグループが調整部を有するモデルのグループである場合には、特定のエリアを調整部4の位置として特定するとともに、ステップS715で算出した差異量のうち特定したエリアにおける差異量に基づいて調整量を算出し、算出した当該調整量をたとえば、マイナス5ミリメートル(調整部4がダイヤル式の場合には、マイナス1メモリ等)した補正後の調整量を調整部4の調整量とする。
【0104】
これにより、ユーザのフィッティングに関する好みが考慮されたシェルモデルが選択される。また、選択されたシェルモデルが調整部を有するモデルのグループに属するモデルである場合には、ユーザのフィッティングに関する好みが考慮された調整情報が算出される。
【0105】
<既存シューズの使用感に関する情報>
既存シューズの使用感に関する情報は、選択情報の一例である。既存シューズの使用感に関する情報は、たとえば、既存シューズが「A商品」でサイズが27cmであり、きついと感じているとの情報や、既存シューズが「A商品」でサイズが27cmであり、ゆるいと感じているとの情報等である。
【0106】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加えて、既存シューズの使用感が「きつい」との情報を受け付けた場合には、上述の「ゆるめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。これにより、既存シューズに対し「きつい」と感じているユーザに対し、「ゆるめ」のフィッティング感を得ることができるシェル3を用いたシューズを提供することができる。
【0107】
他の例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加えて、既存シューズの使用感が「ゆるめ」との情報を受け付けた場合には、上述の「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。これにより、既存シューズに対し「ゆるい」と感じているユーザに対し、「きつめ」のフィッティング感を得ることができるシェル3を用いたシューズを提供することができる。
【0108】
<アッパーの材料に関する好みの情報>
アッパーの材料に関する好みの情報は、選択情報の一例である。アッパーの材料に関する好みの情報は、ユーザが使用を希望するアッパーの材料を示す情報であり、たとえば、ニット素材、メッシュ素材、人工皮革、不織布、熱収縮素材等である。これらのうち、ニット素材は他の素材と比べて伸びやすいため、ニット素材のアッパーはしっかりとホールドされるタイプのシェルモデルが好ましい。
【0109】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、ニット素材が好みであるとの情報を受け付けた場合には、上述の「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。これにより、アッパーがしっかりとホールドされるシェルモデルが選択されることから、アッパーが型崩れすることを防ぐことができる。
【0110】
<履き口の形状に関する好みの情報>
履き口の形状に関する好みの情報は、選択情報の一例である。履き口の形状に関する好みの情報は、たとえば、履き口の高さは高めが好みであるとの情報や、履き口の高さは低めが好みであるとの情報や、履き口の高さは標準的な高さが好みであるとの情報等である。
【0111】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、履き口の高さに関する好みの情報を受け付けた場合には、ステップS715で選択したシェルモデルのグループに属するシェルモデルの中から、ユーザの好みに合った高さの履き口を有するシェルモデルを少なくとも1種類選択する。さらに、靴作製支援装置100は、選択したシェルモデルが調整部を有するシェルモデルである場合には、ステップS550(
図5参照)と同様の方法で調整情報の算出を行う。
【0112】
<デザインに関する好みの情報>
デザインに関する好みの情報は、選択情報の一例である。デザインに関する好みの情報は、たとえば、シェルの色に関する好みの情報等である。
【0113】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、デザインに関する好みの情報を受け付けた場合には、ステップS715で選択したシェルモデルのグループに属するシェルモデルの中から、ユーザの好みに合った色のシェルモデルを少なくとも1種類選択する。さらに、靴作製支援装置100は、選択したシェルモデルが調整部を有するシェルモデルである場合には、ステップS550(
図5参照)と同様の方法で調整情報の算出を行う。
【0114】
<ランニングデータ>
ランニングデータは、たとえば、ユーザの走りの、ピッチ、ストライド、および/または速度等の情報である。ランニングデータは、スマートフォンやスマートウォッチ等のアプリケーションや、ランニング時に装着したセンシングデバイス等から得られる客観的な数値データ(事実情報)であるが、ユーザに対するヒアリングで収集できる選択情報でもよい。ランニングデータの選択情報とは、たとえば、ストライドが大きいとの情報、ストライドが小さいとの情報、走行速度が速いとの情報、走行速度がゆっくりとの情報等である。
【0115】
ストライドが大きい場合には、ストライドが小さい場合に比べて1歩当たりのステップが長いため、着地時にシューズに加わる荷重が大きく、ランニング中に、足とシューズとのずれが生じやすい。また、走行速度が速い場合にも、足とシューズとのずれが生じやすい。したがって、ストライドが大きい場合、または、走行速度が速い場合には、足がしっかりとホールドされるタイプのシェルモデルが好ましい。
【0116】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、ランニングデータを受け付けた場合には、ランニングデータからユーザの体格を踏まえて平均値に比べてストライドが大きいか小さいかを判断する。靴作製支援装置100は、(ストライドの長さ)/(身長)の割合が所定の割合を上回る場合にストライドが大きいと判断する。
【0117】
靴作製支援装置100は、ストライドが大きい場合には、上述の「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。これにより、足がしっかりとホールドされるタイプのシェルモデルが選択されることから、足とシューズとのずれを防ぐことができる。
【0118】
<シューズが使用される競技の情報>
シューズが使用される競技の情報は、選択情報の一例である。シューズが使用される競技の情報は、たとえば、サッカー、バスケットボール、ウォーキング等の情報である。
【0119】
シューズがサッカーやバスケットボールのように、前後・左右方向への移動が多い競技で使用される場合には、「きつめ」のフィッティング感を得ることができるシェルモデルが好ましい。一方、ウォーキングのように、前後の移動が主で移動の速度が遅い競技で使用される場合には、「ゆるめ」のフィッティング感を得ることができるシェルモデルが好ましい。
【0120】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、シューズが前後・左右方向への移動が多い競技で使用されるとの情報を受け付けた場合には、上述の「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。これにより、「きつめ」のフィッティング感を得ることができる。
【0121】
一方、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、シューズが前後の移動が主で移動の速度が遅い競技で使用されるとの情報を受け付けた場合には、上述の「ゆるめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。これにより、「ゆるめ」のフィッティング感を得ることができる。
【0122】
<足甲部の圧力の情報>
足甲部の圧力の情報は、事実情報の一例である。足甲部の圧力の情報は、たとえば、足甲部に圧力センサを設けたテストシューズでユーザが走ったときに、当該圧力センサで計測された足甲部の圧力データである。
【0123】
足甲部の圧力が所定の圧力を上回る場合には、足甲部へのアッパーの接触を考慮して、つま先エリアおよび中足部エリアのシェルの周囲長が長めのシェルモデルが好ましい。一方、足甲部の圧力が所定の圧力を下回る場合には、つま先エリアおよび中足部エリアのシェルの周囲長が短めのシェルモデルが好ましい。
【0124】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、足甲部の圧力の情報を受け付けた場合には、足甲部の圧力の情報を基に、足甲部の圧力が所定の圧力を上回るか否かを判断する。靴作製支援装置100は、足甲部の圧力が所定の圧力を上回る場合には、上述の「ゆるめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。これにより、足甲部へのアッパーの接触が緩和される。
【0125】
一方、靴作製支援装置100は、足甲部の圧力が所定の圧力を下回る場合には、上述の「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。
【0126】
<足底の圧力の情報>
足底の圧力の情報は、事実情報の一例である。足底の圧力の情報は、たとえば、テストシューズでユーザが走ったときに、圧力センサで計測された足底の圧力データである。
【0127】
中足部エリアの足底の圧力が所定の圧力を上回る場合には、中足部エリアのシェルの周囲長が短めのシェルモデルが好ましい。
【0128】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、足底の圧力の情報を受け付けた場合には、足底の圧力の情報を基に、中足部エリアの足底の圧力が所定の圧力を上回るか否かを判断する。靴作製支援装置100は、中足部エリアの足底の圧力が所定の圧力を上回る場合には、上述の「きつめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。
【0129】
<足の変形に関する情報>
足の変形に関する情報は、たとえば、プロネーションデータである。プロネーションデータは、事実情報の一例である。プロネーションとは、走行時に脚が外側から着地し、内側へ踵が倒れこむような動きをいう。プロネーションデータは、たとえば、着地の際の脚に対する踵の角度(プロネーション角度)等である。
【0130】
プロネーション角度が所定の角度(たとえば、10度)を下回る場合には、つま先エリア、および、中足部エリアのシェルの周囲長が長めのシェルモデルが好ましい。
【0131】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加えプロネーションデータを受け付けた場合には、プロネーション角度が所定の角度を下回るか否かを判断する。靴作製支援装置100は、プロネーション角度が所定の角度を下回る場合には、上述の「ゆるめ」が好みであるとの情報を受け付けた場合と同様の方法でシェルモデルの選択と調整情報の算出とを行う。
【0132】
なお、足の変形に関する情報には、他に、おもりを持った時の足型の情報や、踵を上げた時の足型の情報等でもよい。
【0133】
このように、実施の形態2に従えば、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、ユーザによって選択された付加情報をさらに受け付け、ユーザの足型データ、および、付加情報に基づいて、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中から少なくとも1種類のシェルモデルを選択し、選択したシェルモデルを出力する。これにより、シェル3を用いたオーダーメイドのシューズ10の作製において、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中からユーザに合ったシェルモデルが出力されるため、作業者の負担が軽減される。また、形状の異なる複数種類のシェルモデルの中からユーザに合ったシェルモデルが出力されるため、ユーザに合ったモデルのシェル3を用いてシューズ10を作製することができる。したがって、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することができる。
【0134】
また、実施の形態2に従えば、靴作製支援装置100は、調整部を有するモデルを選択した場合には、ユーザの足型データ、および、付加情報に基づいて調整情報を算出し、算出した調整情報を出力する。これにより、ユーザに合った調整情報が出力されるため、作業者の負担が軽減される。また、ユーザに合った調整情報が出力されるため、ユーザに合ったシューズ10を作製することができる。したがって、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することができる。
【0135】
また、靴作製支援装置100によって、複数のシェルモデルが選択された場合には、その中から、ユーザに好みのシェルモデルを選択してもらうことから、ユーザに合ったモデルのシェル3を用いてシューズ10を作製することができる。
【0136】
なお、実施の形態1と同様に、ソール2は、シューズのサイズ別に店舗やメーカーにストックされており、ユーザが普段履いているシューズのサイズに対応するソールが選択される。他の例として、ソール2にも形状の異なる複数種類のソールモデルが存在してもよい。その場合には、プロセッサ102が、入力部106で受け付けたユーザの足型データ、および、付加情報に基づいて、形状の異なる複数種類のソールモデルの中から少なくとも1種類のソールモデルを選択し、出力部108が、プロセッサ102で選択したソールモデルを出力する。プロセッサ102によって、複数のソールモデルが選択された場合には、その中から、ユーザに好みのソールモデルを選択してもらう。
【0137】
形状の異なる複数種類のソールモデルとして、実施の形態1で述べたようなモデルがある。ソールモデルの選択時には、ソールに関する好みの情報、足底の圧力の情報、およびプロネーションデータのうち少なくとも1つが付加情報となる。
【0138】
<ソールに関する好みの情報>
ソールに関する好みの情報は、上述のユーザの好みに関する情報に分類され、たとえば、クッションの効いた厚めのソールが好みであるとの情報や、安定性のある薄めのソールが好みであるとの情報等である。ソールに関する好みの情報は、選択情報の一例である。
【0139】
靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、ソールに関する好みの情報を受け付けた場合には、ユーザの足型データと、ソールに関する好みの情報とに基づいて、ユーザの足の形状に近く、かつ、ユーザの好みに合ったソールモデルを選択する。
【0140】
<足底の圧力の情報>
中足部エリアの足底の圧力が所定の圧力を上回る場合には、安定性のあるソールモデルが好ましい。
【0141】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加え、足底の圧力の情報を受け付けた場合には、足底の圧力の情報を基に、中足部エリアの足底の圧力が所定の圧力を上回るか否かを判断する。靴作製支援装置100は、中足部エリアの足底の圧力が所定の圧力を上回る場合には、ユーザの足の形状に近く、かつ、安定性のある薄めのソールモデルを選択する。
【0142】
<プロネーション角度の情報>
プロネーション角度が所定の角度(たとえば、10度)を下回る場合には、クッションの効いたソールモデルが好ましい。
【0143】
一例として、靴作製支援装置100は、ユーザの足型データに加えプロネーションデータを受け付けた場合には、プロネーション角度が所定の角度を下回るか否かを判断する。靴作製支援装置100は、プロネーション角度が所定の角度を下回る場合には、ユーザの足の形状に近く、かつ、クッションの効いた厚めのソールモデルを選択する。
【0144】
このように、入力部106で受け付けたユーザの足型データ、および、付加情報に基づいてソールモデルが選択される場合には、ユーザに合ったモデルのソール2を用いてシューズ10を作製することができる。また、シェル3を用いたオーダーメイドのシューズ10の作製において、形状の異なる複数種類のソールモデルの中からユーザに合ったソールモデルが出力されるため、作業者の負担が軽減される。したがって、ユーザの足にフィットしやすいシューズを容易に提供することができる。
【0145】
また、プロセッサ102によって、複数のソールモデルが選択された場合には、その中から、ユーザに好みのソールモデルを選択してもらうことから、ユーザに合ったモデルのソール2を用いてシューズ10を作製することができる。
【0146】
以上、各実施の形態について説明した。なお、各実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0147】
また、実施の形態2において、シェルモデルの選択、および、調整情報の算出は、ユーザの足型データ、および、1つの付加情報に基づいて行われてもよいし、ユーザの足型データ、および、複数の付加情報に基づいて行われてもよい。また、実施の形態2において、ユーザの足型データ、および、付加情報に基づいてソールモデルの選択が行われる場合には、ソールモデルの選択は、ユーザの足型データ、および、1つの付加情報に基づいて行われてもよいし、ユーザの足型データ、および、複数の付加情報に基づいて行われてもよい。
【0148】
また、実施の形態1および実施の形態2で説明したシェルモデルの選択、および、調整情報の算出は一例にすぎず、これに限られない。また、実施の形態2で説明した付加情報は一例にすぎず、これに限られない。
【0149】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0150】
1 アッパー、2 ソール、3 シェル、4,4a,4b 調整部、10,10F,10MA,10P,10SA シューズ、100 靴作製支援装置、102 プロセッサ、104 メインメモリ、106 入力部、108 出力部、110 ストレージ、112 光学ドライブ、114 記録媒体、118 プロセッサバス、120 通信コントローラ、150 ディスプレイ、200 測定装置、300 携帯端末、500 データサーバ、1104 処理プログラム、1106 足型データベース。