(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】プリンタ間の色合わせ方法およびプリンタ間の色合わせシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20240911BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240911BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20240911BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20240911BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240911BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240911BHJP
【FI】
H04N1/60
B41J2/01 451
B41J2/21
B41J2/525
G06T1/00 310Z
G06T1/00 510
G06T7/00 610
(21)【出願番号】P 2021041135
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 世新
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-019122(JP,A)
【文献】特開2005-269201(JP,A)
【文献】特表2018-507598(JP,A)
【文献】国際公開第2008/139953(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 2/165- 2/20
B41J 2/21 - 2/215
B41J 2/52 - 2/525
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 -21/18
B41J 29/00 -29/70
G03G 13/01
G03G 15/01
G06F 3/09 - 3/12
G06T 1/00 - 1/60
G06T 3/00 - 5/94
H04N 1/40 - 1/409
H04N 1/46 - 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて第1のプリンタによって印刷される第1画像と、前記画像データに基づいて第2のプリンタによって印刷される第2画像との色合わせをする方法であって、
前記第1のプリンタで使用される第1ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとにベース色彩値としての第1ベース色彩値を取得する第1ステップと、
前記第1のプリンタで使用される第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1ベース色彩値を入力し、入力された前記第1ベース色彩値ごとに前記第1のプリンタにおけるベース出力インク値を取得する第2ステップと、
前記ベース出力インク値に基づいて前記第1のプリンタによって前記第1画像を印刷する第3ステップと、
印刷された前記第1画像を測色して、前記第1のプリンタのベース複合色彩値としての第1ベース複合色彩値を取得する第4ステップと、
前記画像データおよび前記第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する第5ステップと、
前記第1ベース色彩値および前記第1ベース複合色彩値に基づいて、前記ベース色彩値を前記ベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する第6ステップと、
前記第1のプリンタで使用される第2ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとに前記ベース色彩値としての第2ベース色彩値を取得する第7ステップと、
前記色変換テーブルに前記第2ベース色彩値を入力することによって、前記ベース複合色彩値としての第2ベース複合色彩値を取得する第8ステップと、
前記画像データおよび前記第2ベース複合色彩値に基づいて、第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する第9ステップと、
前記第2ベースエミュレーションプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに色彩値を取得する第10ステップと、
前記第2のプリンタで使用される第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記色彩値を入力し、入力された前記色彩値ごとに前記第2のプリンタにおける出力インク値を取得する第11ステップと、
前記出力インク値に基づいて前記第2のプリンタによって前記第2画像を印刷する第12ステップと、を含む、プリンタ間の色合わせ方法。
【請求項2】
前記第1のプリンタで使用可能な入力ICCプロファイルが複数あるとき、前記第1ベース入力ICCプロファイルは、ガマットが最も大きい入力ICCプロファイルである、請求項1に記載のプリンタ間の色合わせ方法。
【請求項3】
前記第1ベース入力ICCプロファイルのガマットは、PRMG(Perceptual intent Reference Medium Gamut)に相当する、請求項1または2に記載のプリンタ間の色合わせ方法。
【請求項4】
色合わせ元のプリンタである第1のプリンタと、
色合わせ先のプリンタである第2のプリンタと、
前記第1のプリンタおよび前記第2のプリンタに接続された制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1のプリンタで使用される第1ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとにベース色彩値としての第1ベース色彩値を取得する第1取得部と、
前記第1のプリンタで使用される第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1ベース色彩値を入力し、入力された前記第1ベース色彩値ごとに前記第1のプリンタにおけるベース出力インク値を取得する第2取得部と、
前記ベース出力インク値に基づいて第1画像を印刷するように前記第1のプリンタに指示をする第1指示部と、
印刷された前記第1画像を測色した測色結果に基づいて、前記第1のプリンタのベース複合色彩値としての第1ベース複合色彩値を取得する第3取得部と、
前記画像データおよび前記第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する第1作成部と、
前記第1ベース色彩値および前記第1ベース複合色彩値に基づいて、前記ベース色彩値を前記ベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する色変換テーブル作成部と、
前記第1のプリンタで使用される第2ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとに前記ベース色彩値としての第2ベース色彩値を取得する第4取得部と、
前記色変換テーブルに前記第2ベース色彩値を入力することによって、前記ベース複合色彩値としての第2ベース複合色彩値を取得する第5取得部と、
前記画像データおよび前記第2ベース複合色彩値に基づいて、第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する第2作成部と、
前記第2ベースエミュレーションプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに色彩値を取得する第6取得部と、
前記第2のプリンタで使用される第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記色彩値を入力し、入力された前記色彩値ごとに前記第2のプリンタにおける出力インク値を取得する第7取得部と、
前記出力インク値に基づいて第2画像を印刷するように前記第2のプリンタに指示をする第2指示部と、を備えている、プリンタ間の色合わせシステム。
【請求項5】
前記第1のプリンタで使用可能な入力ICCプロファイルが複数あるとき、前記第1ベース入力ICCプロファイルは、ガマットが最も大きい入力ICCプロファイルである、請求項4に記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項6】
前記第1ベース入力ICCプロファイルのガマットは、PRMG(Perceptual intent Reference Medium Gamut)に相当する、請求項4または5に記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ間の色合わせ方法およびプリンタ間の色合わせシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のプリンタ(例えばインクジェットプリンタ)の間で色合わせをする技術が知られている。同一機種のプリンタであっても、印刷された画像の発色は、使用するICC(International Color Consortium)プロファイルや、プリンタの個体差等によって異なる。プリンタ間の色合わせは、例えば、1つのプリンタ(色合わせ元プリンタ)によって印刷された画像の発色をそのまま他のプリンタ(色合わせ先プリンタ)において再現したい場合などに行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、基準となるプリンタ(色合わせ元プリンタ)の出力ICCプロファイルをエミュレーションプロファイルとして、他のプリンタ(色合わせ先プリンタ)の印刷時に使うことが開示されている。ここで、エミュレーションプロファイルを作成するときには色合わせ元プリンタの色特性をより精度よく反映させるために、色合わせ元プリンタにおいてカラーマネジメントが有効な状態(即ち入力ICCプロファイルと出力ICCプロファイルを使って色変換を行った状態)で印刷を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、色合わせ元プリンタで使用される入力ICCプロファイルが変更された場合には色合わせ元プリンタの色特性が変わるため、色合わせ先プリンタ用に新しいエミュレーションプロファイルを作成する必要がある。新しいエミュレーションプロファイルを作成するには、画像(例えテストチャート)の再印刷および測色が必要となり、インクの消費量が増えると共に時間を要する。また、色合わせ元プリンタに故障が生じたときには(即ち印刷ができない場合には)、新しいエミュレーションプロファイルを作成することができなくなる。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、色合わせ元プリンタで使用する入力ICCプロファイルが変更になったときに、色合わせ先プリンタで用いるエミュレーションプロファイルを容易に作成してプリンタ間の色合わせを実現することができる色合わせ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタ間の色合わせ方法は、画像データに基づいて第1のプリンタによって印刷される第1画像と、前記画像データに基づいて第2のプリンタによって印刷される第2画像との色合わせをする方法である。前記色合わせ方法は、前記第1のプリンタで使用される第1ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとにベース色彩値としての第1ベース色彩値を取得する第1ステップと、前記第1のプリンタで使用される第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1ベース色彩値を入力し、入力された前記第1ベース色彩値ごとに前記第1のプリンタにおけるベース出力インク値を取得する第2ステップと、前記ベース出力インク値に基づいて前記第1のプリンタによって前記第1画像を印刷する第3ステップと、印刷された前記第1画像を測色して、前記第1のプリンタのベース複合色彩値としての第1ベース複合色彩値を取得する第4ステップと、前記画像データおよび前記第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する第5ステップと、前記第1ベース色彩値および前記第1ベース複合色彩値に基づいて、前記ベース色彩値を前記ベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する第6ステップと、前記第1のプリンタで使用される第2ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとに前記ベース色彩値としての第2ベース色彩値を取得する第7ステップと、前記色変換テーブルに前記第2ベース色彩値を入力することによって、前記ベース複合色彩値としての第2ベース複合色彩値を取得する第8ステップと、前記画像データおよび前記第2ベース複合色彩値に基づいて、第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する第9ステップと、前記第2ベースエミュレーションプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに色彩値を取得する第10ステップと、前記第2のプリンタで使用される第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記色彩値を入力し、入力された前記色彩値ごとに前記第2のプリンタにおける出力インク値を取得する第11ステップと、前記出力インク値に基づいて前記第2のプリンタによって前記第2画像を印刷する第12ステップと、を含む。
【0008】
本発明のプリンタ間の色合わせ方法によると、画像データおよび印刷された第1画像を測色することによって取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する。ここで、第1ベースエミュレーションプロファイルは、第1ベース入力ICCプロファイルおよび第1出力ICCプロファイルを用いて色変換を行って作成されているため、第1のプリンタの色特性が反映されている。そして、第1ベース入力ICCプロファイルを用いて取得された第1ベース色彩値および第1ベースエミュレーションプロファイルを用いて取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、ベース色彩値をベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する。作成された色変換テーブルを用いることによって、第1のプリンタで使用される入力ICCプロファイルに変更(ここでは第1ベース入力ICCプロファイルから第2ベース入力ICCプロファイルに変更)があった場合であっても、再度第1画像を印刷しかつ印刷された第1画像を測色することなく、計算により第2ベースエミュレーションプロファイルを作成することができる。第2のプリンタにおいて第2ベースエミュレーションプロファイルを使用することで、入力ICCプロファイルが変更された後の第1のプリンタの色特性を第2のプリンタにおいて反映すること、即ちプリンタ間の色合わせを実現することができる。
【0009】
また、本発明に係るプリンタ間の色合わせシステムは、色合わせ元のプリンタである第1のプリンタと、色合わせ先のプリンタである第2のプリンタと、前記第1のプリンタおよび前記第2のプリンタに接続された制御装置と、を備えている。前記制御装置は、前記第1のプリンタで使用される第1ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとにベース色彩値としての第1ベース色彩値を取得する第1取得部と、前記第1のプリンタで使用される第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1ベース色彩値を入力し、入力された前記第1ベース色彩値ごとに前記第1のプリンタにおけるベース出力インク値を取得する第2取得部と、前記ベース出力インク値に基づいて第1画像を印刷するように前記第1のプリンタに指示をする第1指示部と、印刷された前記第1画像を測色した測色結果に基づいて、前記第1のプリンタのベース複合色彩値としての第1ベース複合色彩値を取得する第3取得部と、前記画像データおよび前記第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する第1作成部と、前記第1ベース色彩値および前記第1ベース複合色彩値に基づいて、前記ベース色彩値を前記ベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する色変換テーブル作成部と、前記第1のプリンタで使用される第2ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとに前記ベース色彩値としての第2ベース色彩値を取得する第4取得部と、前記色変換テーブルに前記第2ベース色彩値を入力することによって、前記ベース複合色彩値としての第2ベース複合色彩値を取得する第5取得部と、前記画像データおよび前記第2ベース複合色彩値に基づいて、第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する第2作成部と、前記第2ベースエミュレーションプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに色彩値を取得する第6取得部と、前記第2のプリンタで使用される第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記色彩値を入力し、入力された前記色彩値ごとに前記第2のプリンタにおける出力インク値を取得する第7取得部と、前記出力インク値に基づいて第2画像を印刷するように前記第2のプリンタに指示をする第2指示部と、を備えている。
【0010】
本発明のプリンタ間の色合わせシステムによると、第1作成部は、画像データおよび印刷された第1画像を測色することによって取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する。ここで、第1ベースエミュレーションプロファイルは、第1ベース入力ICCプロファイルおよび第1出力ICCプロファイルを用いて色変換を行って作成されているため、第1のプリンタの色特性が反映されている。そして、色変換テーブル作成部は、第1ベース入力ICCプロファイルを用いて取得された第1ベース色彩値および第1ベースエミュレーションプロファイルを用いて取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、ベース色彩値をベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する。第2作成部は、作成された色変換テーブルを用いることによって、第1のプリンタで使用される入力ICCプロファイルに変更(ここでは第1ベース入力ICCプロファイルから第2ベース入力ICCプロファイルに変更)があった場合であっても、再度第1画像を印刷しかつ印刷された第1画像を測色することなく、計算により第2ベースエミュレーションプロファイルを作成することができる。第2のプリンタにおいて第2ベースエミュレーションプロファイルを使用することで、入力ICCプロファイルが変更された後の第1のプリンタの色特性を第2のプリンタにおいて反映すること、即ちプリンタ間の色合わせを実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、色合わせ元プリンタで使用する入力ICCプロファイルが変更になったときに、色合わせ先プリンタで用いるエミュレーションプロファイルを容易に作成してプリンタ間の色合わせを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る色合わせシステムの構成例を示す模式図である。
【
図2】一実施形態に係る色合わせシステムのブロック図である。
【
図3】第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。
【
図4】色変換テーブルを作成する手順を示すフローチャートである。
【
図5】第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。
【
図6】第2のプリンタによって第2画像を印刷する手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2のプリンタによってスポットカラーを含む第2画像を印刷する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る印刷システムおよびプリンタの色合わせ方法について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のプリンタ間の色合わせシステム100(以下色合わせシステム100とする。)の構成例を示す模式図である。
図1に示すように、色合わせシステム100は、第1のプリンタ10と、第2のプリンタ20と、コンピュータ40と、測色器90とを備えている。第1のプリンタ10と第2のプリンタ20とは、同じ機種のプリンタである。ただし、第1のプリンタ10と第2のプリンタ20とは、異なる機種のプリンタであってもよい。第1のプリンタ10および第2のプリンタ20は、ここでは、いずれもインクジェットプリンタである。ただし、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20は、例えば、オフセット印刷用プリンタなどであってもよい。第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の種類、構成等は、それぞれ特に限定されない。
【0015】
コンピュータ40には、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20および測色器90が、それぞれ通信可能に接続されている。詳しくは後述するが、ここでは、第2のプリンタ20が調整対象のプリンタ(即ち色合わせ先プリンタ)であり、第1のプリンタ10を基準のプリンタ(即ち色合わせ元プリンタ)として発色が調整される。なお、以下では、複数のプリンタの間で発色が類似するように行われる印刷のことを適宜、色合わせ印刷と呼ぶ。コンピュータ40は、制御装置の一例である。
【0016】
コンピュータ40は、第2のプリンタ20の発色を第1のプリンタ10の発色に近似させるように調整された入力ICCプロファイル(後述する第1ベースエミュレーションプロファイルおよび第2ベースエミュレーションプロファイル)を作成するように構成されている。コンピュータ40には、かかる入力ICCプロファイルを作成するソフトウェアがインストールされている。第2のプリンタ20は、作成された入力ICCプロファイルを使用することで、第1のプリンタ10の発色を再現することができる。なお、第1のプリンタ10には、使用可能な複数の入力ICCプロファイル(例えば第1ベース入力ICCプロファイルおよび第2ベース入力ICCプロファイル)が予め登録されている。後述する色変換テーブルを作成するときには、第1ベース入力ICCプロファイルとしては、ガマットが最も大きい入力ICCプロファイルを用いるとよい。本実施形態では、第1ベース入力ICCプロファイルのガマットは、第2ベース入力ICCプロファイルのガマットより大きい。また、第1ベース入力ICCプロファイルのガマットは、PRMG(Perceptual intent Reference Medium Gamut)に相当するとよい。
【0017】
第1のプリンタ10、第2のプリンタ20およびコンピュータ40は、それぞれ、各部の動作を制御する制御装置を備えている。制御装置の構成は特に限定されない。制御装置は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。第1のプリンタ10、第2のプリンタ20およびコンピュータ40の制御装置は、それぞれ、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20およびコンピュータ40の本体部の内部に設けられている。ただし、上記制御装置は、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20およびコンピュータ40の本体部の内部に設けられていなくてもよい。また、その機能の一部は、例えば、これらに接続された他のコンピュータなどによって実現されてもよい。
【0018】
図2は、本実施形態の色合わせシステム100のブロック図である。
図2に示すように、第1のプリンタ10は、印刷データ受信部12と、印刷部14とを備えている。第2のプリンタ20は、印刷データ受信部22と、印刷部24とを備えている。コンピュータ40は、記憶部42と、第1取得部44と、第2取得部46と、ハーフトーン処理部48と、ラスタライズ処理部50と、第1指示部52と、第3取得部54と、第1作成部56と、色変換テーブル作成部58と、第4取得部60と、第5取得部62と、第2作成部64と、第6取得部66と、第7取得部68と、第2指示部70と、を備えている。第1のプリンタ10および第2のプリンタ20およびコンピュータ40の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、上記各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
【0019】
第1のプリンタ10の印刷データ受信部12は、印刷対象の画像の印刷データ(以下、印刷データとする。)を受信する。印刷データは、コンピュータ40から送信される。印刷部14は、印刷データに基づいて画像(第1のプリンタ10によって印刷される画像を第1画像とする)の印刷を行う。
【0020】
第2のプリンタ20の印刷データ受信部22は、印刷データを受信する。印刷データは、コンピュータ40から送信される。印刷部24は、印刷データに基づいて画像(第2のプリンタ20によって印刷される画像を第2画像とする)の印刷を行う。色合わせ印刷は、色合わせ元プリンタ(ここでは第1のプリンタ10)で印刷した第1画像と色合わせ先プリンタ(ここでは第2のプリンタ20)で印刷した同じ第2画像とが同じ色合いになるように色合わせ先プリンタを調整することを目的とするので、第2のプリンタ20による印刷に用いられる画像データは、第1のプリンタ10による印刷に用いられる画像データと同じものである。
【0021】
コンピュータ40の記憶部42は、画像データを記憶する。画像データは、例えば、コンピュータ40やその他の外部コンピュータなどによって作成される。記憶部42は、後述する作成された第1ベースエミュレーションプロファイル、色変換テーブルおよび第2ベースエミュレーションプロファイルを記憶する。
【0022】
コンピュータ40の第1取得部44は、第1のプリンタ10で使用される第1ベース入力ICC(International Color Consortium)プロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値(例えばCMYK値)を入力し、入力されたインク値ごとにベース色彩値としての第1ベース色彩値(例えばL*a*b*値)を取得する。第1取得部44は、第1ベース入力ICCプロファイルを使って、デバイス依存の画像データのインク値(ここではCMYK値)をデバイス非依存の色空間の第1ベース色彩値(ここではL*a*b*値)に変換する。デバイス依存の画像データのインク値をデバイス非依存の色空間の第1ベース色彩値に変換するにあたっては、第1ベース入力ICCプロファイルの中にあるA2Bテーブルと呼ばれる変換テーブル(Look Up table : LUP)が使用される。第1ベース入力ICCプロファイルは、第1のプリンタ10で使用されるカラープロファイルであり、第1のプリンタ10に予め記憶されている。第1ベース入力ICCプロファイルは、入力された画像データの色特性を表すカラープロファイルである。即ち、第1ベース入力ICCプロファイルは、入力画像用のICCプロファイルである。
【0023】
コンピュータ40の第2取得部46は、第1のプリンタ10で使用される第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに第1ベース色彩値(例えばL*a*b*値)を入力し、入力された第1ベース色彩値ごとに第1のプリンタ10におけるベース出力インク値(例えばCMYK値)を取得する。第2取得部46は、第1出力ICCプロファイルを使って、デバイス非依存の色空間の第1ベース色彩値(ここではL*a*b*値)をデバイス依存の印刷データのベース出力インク値(ここではCMYK値)に変換する。デバイス非依存の色空間の第1ベース色彩値をデバイス依存の印刷データのベース出力インク値に変換する場合、第1出力ICCプロファイルの中にあるB2Aテーブルと呼ばれる変換テーブル(LUP)が使用される。第1出力ICCプロファイルは、第1のプリンタ10で使用されるカラープロファイルであり、第1のプリンタ10に予め記憶されている。ベース出力インク値は、第1のプリンタ10におけるインク値である。
【0024】
コンピュータ40のハーフトーン処理部48は、ハーフトーン処理を行う。即ち、ハーフトーン処理部48は、第2取得部46によって取得されたベース出力インク値および第7取得部68によって取得された出力インク値をそれぞれインクのドットデータに変換する。
【0025】
コンピュータ40のラスタライズ処理部50は、ハーフトーン処理部48で作成されたドットデータをパス毎の印刷データに変換する。
【0026】
コンピュータ40の第1指示部52は、第2取得部46によって取得されたベース出力インク値に基づいて第1画像を印刷するように第1のプリンタ10に指示をする。第1指示部52は、ラスタライズ処理部50によって変換されたパス毎の印刷データ(即ちベース出力インク値)を第1のプリンタ10に送信する。
【0027】
コンピュータ40の第3取得部54は、第1のプリンタ10によって印刷された第1画像を測色器90によって測色した測色結果に基づいて、第1のプリンタ10のベース複合色彩値としての第1ベース複合色彩値(例えばL*a*b*値)を取得する。第1ベース複合色彩値は、第1ベース入力ICCプロファイルの特性、第1出力ICCプロファイルの特性および第1のプリンタ10の特性が反映されている。即ち、第1ベース複合色彩値は、第1のプリンタ10の現状の色を表す。第1ベース複合色彩値は、記憶部42に記憶される。
【0028】
コンピュータ40の第1作成部56は、記憶部42に記憶された画像データおよび第3取得部54によって取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する。第1ベースエミュレーションプロファイルは、第2のプリンタ20で使用されるカラープロファイルである。第1ベースエミュレーションプロファイルは、第1のプリンタ10において第1ベース入力ICCプロファイルおよび第1出力ICCプロファイルを用いるときの第1のプリンタ10の色特性を表すカラープロファイルである。
【0029】
コンピュータ40の色変換テーブル作成部58は、第1取得部44によって取得された第1ベース色彩値および第3取得部54によって取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、ベース色彩値をベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する。色変換テーブルでは、ベース色彩値とベース複合色彩値とが相互に関連付けられ、一意に対応する。第1ベース色彩値は、例えば、第1ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力することによって取得される。第1ベース複合色彩値は、例えば、第1ベースエミュレーションプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力することによって取得される。
【0030】
コンピュータ40の第4取得部60は、第1のプリンタ10で使用される第2ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値(例えばCMYK値)を入力し、入力されたインク値ごとにベース色彩値としての第2ベース色彩値(例えばL*a*b*値)を取得する。第4取得部60は、第2ベース入力ICCプロファイルを使って、デバイス依存の画像データのインク値(ここではCMYK値)をデバイス非依存の色空間の第2ベース色彩値(ここではL*a*b*値)に変換する。デバイス依存の画像データのインク値をデバイス非依存の色空間の第2ベース色彩値に変換するにあたっては、第2ベース入力ICCプロファイルの中にあるA2Bテーブルと呼ばれる変換テーブル(LUP)が使用される。第2ベース入力ICCプロファイルは、第1のプリンタ10で使用されるカラープロファイルであり、第1のプリンタ10に予め記憶されている。第2ベース入力ICCプロファイルは、入力された画像データの色特性を表すカラープロファイルである。即ち、第2ベース入力ICCプロファイルは、入力画像用のICCプロファイルである。
【0031】
コンピュータ40の第5取得部62は、色変換テーブルに第2ベース色彩値(例えばL*a*b*値)を入力することによって、ベース複合色彩値としての第2ベース複合色彩値(例えばL*a*b*値)を取得する。第2ベース複合色彩値は、第2ベース入力ICCプロファイルの特性、第1出力ICCプロファイルの特性および第1のプリンタ10の特性が反映されている。即ち、第2ベース複合色彩値は、第1のプリンタ10で使用される入力ICCプロファイルが変更された後の色を表す。第2ベース複合色彩値は、記憶部42に記憶される。このように、第1のプリンタ10で使用する入力ICCプロファイルが変更になった場合であっても、色変換テーブルを用いることによって、再度第1の画像を印刷しかつ印刷された第1の画像を測色することなく、第2ベース複合色彩値を算出することができる。
【0032】
コンピュータ40の第2作成部64は、記憶部42に記憶された画像データおよび第5取得部62によって取得された第2ベース複合色彩値に基づいて、第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する。第2ベースエミュレーションプロファイルは、第2のプリンタ20で使用されるカラープロファイルである。第2ベースエミュレーションプロファイルは、第1のプリンタ10において入力ICCプロファイルが第1ベース入力ICCプロファイルから第2ベース入力ICCプロファイルに変更され、かつ、第2ベース入力ICCプロファイルおよび第1出力ICCプロファイルを用いるときの第1のプリンタ10の色特性を表すカラープロファイルである。
【0033】
コンピュータ40の第6取得部66は、第2ベースエミュレーションプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値(例えばCMYK値)を入力し、入力されたインク値ごとに色彩値(例えばL*a*b*値)を取得する。第6取得部66は、第2ベースエミュレーションプロファイルを使って、デバイス依存の画像データのインク値(ここではCMYK値)をデバイス非依存の色空間の色彩値(ここではL*a*b*値)に変換する。デバイス依存の画像データのインク値をデバイス非依存の色空間のベース色彩値に変換するにあたっては、第2ベースエミュレーションプロファイルの中にあるA2Bテーブルと呼ばれる変換テーブル(LUP)が使用される。なお、第1のプリンタ10で使用する入力ICCプロファイルに変更がない場合(ここでは第1ベース入力ICCプロファイルが第1のプリンタ10で用いられる場合)には、第6取得部66は、第2ベースエミュレーションプロファイルに代えて、第1ベースエミュレーションプロファイルを用いて色彩値を取得する。
【0034】
コンピュータ40の第7取得部68は、第2のプリンタ20で使用される第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに色彩値(例えばL*a*b*値)を入力し、入力された色彩値ごとに第2のプリンタ20における出力インク値(例えばCMYK値)を取得する。第7取得部68は、第2出力ICCプロファイルを使って、デバイス非依存の色空間の色彩値(ここではL*a*b*値)をデバイス依存の印刷データの出力インク値(ここではCMYK値)に変換する。デバイス非依存の色空間の色彩値をデバイス依存の印刷データの出力インク値に変換する場合、第2出力ICCプロファイルの中にあるB2Aテーブルと呼ばれる変換テーブル(LUP)が使用される。第2出力ICCプロファイルは、第2のプリンタ20で使用されるカラープロファイルであり、第2のプリンタ20に予め記憶されている。出力インク値は、第2のプリンタ20におけるインク値である。
【0035】
コンピュータ40の第2指示部70は、第7取得部68によって取得された出力インク値に基づいて第2画像を印刷するように第2のプリンタ20に指示をする。第2指示部70は、ラスタライズ処理部50によって変換されたパス毎の印刷データ(即ち出力インク値)を第2のプリンタ20に送信する。
【0036】
次に、画像データに基づいて第1のプリンタ10によって印刷される第1画像と、画像データに基づいて第2のプリンタ20によって印刷される第2画像との色合わせをするプリンタ間の色合わせ方法(以下色合わせ方法とする)について説明する。色合わせ方法は、(1)第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する工程と、(2)色変換テーブルを作成する工程と、(3)第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する工程と、(4)第2のプリンタ20によって第2画像を印刷する工程と、を含む。
【0037】
(1)第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する工程
図3は、第1のプリンタ10によって印刷される第1画像に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。第1ベースエミュレーションプロファイルは、色変換テーブルを作成するときに用いられる。第1ベースエミュレーションプロファイルは、第2のプリンタ20によって第2画像を印刷するときに入力ICCプロファイルとしても用いられ得る。
【0038】
まず、ステップS10において、コンピュータ40に画像データが入力される。画像データは、例えば、テストチャートである。
【0039】
ステップS20において、第1取得部44は、第1のプリンタ10で使用される第1ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力されたインク値ごとにベース色彩値としての第1ベース色彩値を取得する。ステップS20は、第1ステップの一例である。
【0040】
ステップS30において、第2取得部46は、第1のプリンタ10で使用される第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに第1ベース色彩値を入力し、入力された第1ベース色彩値ごとに第1のプリンタ10におけるベース出力インク値を取得する。ステップS30は、第2ステップの一例である。
【0041】
ステップS40において、ハーフトーン処理部48は、ハーフトーン処理を行う。即ち、ハーフトーン処理部48は、ベース出力インク値をインクのドットデータに変換する。ラスタライズ処理部50は、ハーフトーン処理部48で作成されたドットデータをパス毎の印刷データに変換する。
【0042】
ステップS50において、第1指示部52は、第2取得部46によって取得されたベース出力インク値に基づいて第1画像を印刷するように第1のプリンタ10に指示をする。即ち、第1指示部52は、ラスタライズ処理部50によって変換されたパス毎の印刷データ(即ちベース出力インク値)を第1のプリンタ10に送信する。第1のプリンタ10の印刷部14は、印刷データに基づいて第1画像を印刷する。ステップS50は、第3ステップの一例である。
【0043】
ステップS60において、第3取得部54は、印刷された第1画像を測色器90によって測色した測色結果に基づいて、第1のプリンタ10の第1ベース複合色彩値を取得する。ステップS60は、第4ステップの一例である。
【0044】
ステップS70において、第1作成部56は、記憶部42に記憶された画像データおよび第3取得部54によって取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する。ステップS70は、第5ステップの一例である。
【0045】
(2)色変換テーブルを作成する工程
図4は、第1のプリンタ10によって印刷される第1画像、第1ベース入力ICCプロファイルおよび第1ベースエミュレーションプロファイルに基づいて、色変換テーブルを作成する手順を示すフローチャートである。色変換テーブルは、第1のプリンタ10で使用される入力ICCプロファイルが第1ベース入力ICCプロファイルから第2ベース入力ICCプロファイルに変更されて、第2のプリンタ20で使用される第2ベースエミュレーションプロファイルを作成するときに用いられる。
【0046】
まず、ステップS110において、コンピュータ40に画像データが入力される。画像データは、例えば、ステップS10で使用した画像データである。なお、画像データは、ステップS10で使用した画像データと異なっていてもよい。
【0047】
ステップS120において、第1取得部44は、第1のプリンタ10で使用される第1ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力されたインク値ごとに第1ベース色彩値を取得する。
【0048】
ステップS130において、第3取得部54は、第1ベースエミュレーションプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力されたインク値ごとに第1ベース複合色彩値を取得する。なお、ステップS120とステップS130との順番は逆であってもよい。
【0049】
ステップS140において、色変換テーブル作成部58は、第1取得部44によって取得された第1ベース色彩値および第3取得部54によって取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、ベース色彩値をベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する。ステップS140は、第6ステップの一例である。
【0050】
(3)第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する工程
図5は、第1のプリンタ10によって印刷される第1画像、第2ベース入力ICCプロファイルおよび色変換テーブルに基づいて、第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。第2ベースエミュレーションプロファイルは、第2のプリンタ20によって第2画像を印刷するときに入力ICCプロファイルとして用いられる。第2ベースエミュレーションプロファイルは、第1のプリンタ10で使用される入力ICCプロファイルに変更(ここでは第1ベース入力ICCプロファイルから第2ベース入力ICCプロファイルに変更)があったときに作成される。
【0051】
まず、ステップS210において、コンピュータ40に画像データが入力される。画像データは、例えば、ステップS10で使用した画像データである。なお、画像データは、ステップS10で使用した画像データと異なっていてもよい。
【0052】
ステップS220において、第4取得部60は、第1のプリンタ10で使用される第2ベース入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力されたインク値ごとにベース色彩値としての第2ベース色彩値を取得する。ステップS220は、第7ステップの一例である。
【0053】
ステップS230において、第5取得部62は、色変換テーブルに第2ベース色彩値を入力することによって、第2ベース複合色彩値を取得する。ステップS230は、第8ステップの一例である。
【0054】
ステップS240において、第2作成部64は、記憶部42に記憶された画像データおよび第5取得部62によって取得された第2ベース複合色彩値に基づいて、第2ベースエミュレーションプロファイルを作成する。ステップS240は、第9ステップの一例である。
【0055】
(4)第2のプリンタ20によって第2画像を印刷する工程
図6は、第2のプリンタ20によって第2画像を印刷する手順を示すフローチャートである。
図6に示す例では、第2エミュレーションプロファイルを使用しているが、第1のプリンタ10で使用される入力ICCプロファイルが第1ベース入力ICCプロファイルから変更がない場合には、第2のプリンタ20では第1エミュレーションプロファイルが用いられる。
【0056】
まず、ステップS310において、コンピュータ40に画像データが入力される。画像データは、第1のプリンタ10で用いられる画像データと同じである。
【0057】
ステップS320において、第6取得部66は、第2ベースエミュレーションプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力されたインク値ごとに色彩値を取得する。ステップS320は、第10ステップの一例である。
【0058】
ステップS330において、第7取得部68は、第2のプリンタ20で使用される第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに色彩値を入力し、入力された色彩値ごとに第2のプリンタ20における出力インク値を取得する。ステップS330は、第11ステップの一例である。
【0059】
ステップS340において、ハーフトーン処理部48は、ハーフトーン処理を行う。即ち、ハーフトーン処理部48は、出力インク値をインクのドットデータに変換する。ラスタライズ処理部50は、ハーフトーン処理部48で作成されたドットデータをパス毎の印刷データに変換する。
【0060】
ステップS350において、第2指示部70は、第7取得部68によって取得された出力インク値に基づいて第2画像を印刷するように第2のプリンタ20に指示をする。即ち、第2指示部70は、ラスタライズ処理部50によって変換されたパス毎の印刷データ(即ち出力インク値)を第2のプリンタ20に送信する。第2のプリンタ20の印刷部24は、印刷データに基づいて第2画像を印刷する。ステップS350は、第12ステップの一例である。
【0061】
以上のように、本実施形態のプリンタ間の色合わせシステム100によると、第1作成部56は、画像データおよび印刷された第1画像を測色することによって取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、第1ベースエミュレーションプロファイルを作成する。ここで、第1ベースエミュレーションプロファイルは、第1ベース入力ICCプロファイルおよび第1出力ICCプロファイルを用いて色変換を行って作成されているため、第1のプリンタ10の色特性が反映されている。そして、色変換テーブル作成部58は、第1ベース入力ICCプロファイルを用いて取得された第1ベース色彩値および第1ベースエミュレーションプロファイルを用いて取得された第1ベース複合色彩値に基づいて、ベース色彩値をベース複合色彩値に変換する色変換テーブルを作成する。第2作成部64は、作成された色変換テーブルを用いることによって、第1のプリンタ10で使用される入力ICCプロファイルに変更(ここでは第1ベース入力ICCプロファイルから第2ベース入力ICCプロファイルに変更)があった場合であっても、再度第1画像を印刷しかつ印刷された第1画像を測色することなく、計算により第2ベースエミュレーションプロファイルを作成することができる。第2のプリンタ20において第2ベースエミュレーションプロファイルを使用することで、入力ICCプロファイルが変更された後の第1のプリンタ10の色特性を第2のプリンタ20において反映すること、即ちプリンタ間の色合わせを実現することができる。
【0062】
本実施形態のプリンタ間の色合わせシステム100によると、第1のプリンタ10で使用可能な入力ICCプロファイルが複数あるとき、第1ベース入力ICCプロファイルは、ガマットが最も大きい入力ICCプロファイルである。これにより、色変換テーブルを用いて精度よく第2ベース複合色彩値に変換することができる。このため、作成された第2ベースエミュレーションプロファイルを第2のプリンタ20において使用することで、入力ICCプロファイルが変更された後の第1のプリンタ10の色特性を第2のプリンタ20においてより精度よく反映(表現)することができる。
【0063】
本実施形態のプリンタ間の色合わせシステム100によると、第1ベース入力ICCプロファイルのガマットは、PRMG(Perceptual intent Reference Medium Gamut)に相当する。これにより、色変換テーブルを用いて精度よく第2ベース複合色彩値に変換することができる。
【0064】
<第2実施形態>
色合わせ元プリンタである第1のプリンタ10と色合わせ先プリンタである第2のプリンタ20とにおいてプリンタ間の色合わせを行うとき、印刷する画像データにはスポットカラー(例えば、Pantone(登録商標)カラー)のデータが含まれる場合がある。スポットカラーは、一般的にL*a*b*値で決まることが多く、プリンタ間でスポットカラーの色合わせを行うには複雑な工程を経る必要があった。下記に示す技術では、プリンタ間でスポットカラーの色合わせを容易かつ精度よく行うことができる。
【0065】
図7は、第2のプリンタ20によってCMYK画像(CMYK値で表された画像)およびスポットカラーを含む第2画像を印刷する手順を示すフローチャートである。
図7に示す例では、第2のプリンタ20で用いる入力ICCプロファイルとして、第1実施形態の第1ベース入力ICCプロファイルおよび第1ベースエミュレーションプロファイルが用いられ、第2のプリンタ20で用いる出力ICCプロファイルとして、第1実施形態の第2出力ICCプロファイルが用いられる。
【0066】
まず、ステップS410において、コンピュータ40に画像データが入力される。画像データは、CMYK値で表されたCMYK画像データと、L*a*b*値で表されたスポットカラーのデータとを含む。
【0067】
ステップS420において、第1ベース入力ICCプロファイルのB2AテーブルにスポットカラーのL*a*b*値を入力し、入力されたL*a*b*値ごとにスポットカラーインク値(例えばCMYK値)を取得する。
【0068】
ステップS430において、第1ベースエミュレーションプロファイルのA2BテーブルにCMYK画像データのインク値(CMYK値)およびスポットカラーインク値を入力し、入力されたインク値ごとに色彩値を取得する。
【0069】
ステップS440において、第2のプリンタ20で使用される第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに色彩値を入力し、入力された色彩値ごとに第2のプリンタ20における出力インク値を取得する。
【0070】
ステップS450において、ハーフトーン処理を行う。即ち、出力インク値をインクのドットデータに変換する。そして、作成されたドットデータをパス毎の印刷データに変換する。
【0071】
ステップS460において、出力インク値に基づいて第2画像を印刷するように第2のプリンタ20に指示をする。即ち、変換されたパス毎の印刷データ(即ち出力インク値)を第2のプリンタ20に送信する。第2のプリンタ20の印刷部24は、印刷データに基づいて第2画像を印刷する。以上より、スポットカラーを含む画像の印刷において、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20が同じ色彩値を再現することができる。上述のフローチャートでは、既存の第1ベース入力ICCプロファイルおよび第1ベースエミュレーションプロファイルを用いており、別途新たにエミュレーションプロファイルを作成する必要がなく、作業者の負担が軽減される。
【0072】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 第1のプリンタ
20 第2のプリンタ
40 コンピュータ
44 第1取得部
46 第2取得部
52 第1指示部
54 第3取得部
56 第1作成部
58 色変換テーブル作成部
60 第4取得部
62 第5取得部
64 第2作成部
66 第6取得部
68 第7取得部
70 第2指示部
90 測色器
100 色合わせシステム