IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】印刷制御システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240911BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240911BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G06F3/12 334
G06F3/12 367
G06F3/12 310
G06F3/12 359
B41J29/38 401
B41J29/38 201
B41J29/46 Z
B41J29/38 203
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021047334
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146402
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】吉本 和弘
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-058045(JP,A)
【文献】特開2016-062232(JP,A)
【文献】特開2012-088938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
B41J 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムであって、
前記親機は、1または複数の印刷データを記憶する第1記憶部を備え、
前記子機は、
接続可能な親機を特定した接続親機情報を記憶する第2記憶部と、
前記印刷データのジョブ名からなるジョブリストを送信することを要求するジョブリスト要求を前記接続親機情報に記憶された親機に送信するジョブリスト要求部と、
前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得部とを備え、
前記ジョブリスト要求を送信した第1の子機が、前記ジョブリスト要求を送信してから所定の応答確認時間内に、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶し、
前記第1の子機が、次回の前記ジョブリスト要求を送信する場合において、前記接続親機情報に記憶された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信し、
前記応答確認時間は、前記印刷制御システムの運用状況および接続可能な親機の数に応じて変更可能であることを特徴とする印刷制御システム。
【請求項2】
前記第1の子機は、
前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を無応答親機情報に記憶した後、前記ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間を計時するタイマーを起動させ、
前記要求保留時間が経過するまでは、前記接続親機情報に記憶された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信し、
前記要求保留時間が経過した後は、前記接続親機情報に記憶された親機に、前記ジョブリスト要求を送信し、
前記無応答親機情報には、複数の親機からジョブリスト応答の返信がなかった場合にそれぞれの親機の親機名と要求保留時間の残時間とが記憶されることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項3】
前記子機は、前記ジョブリスト応答取得部によって取得されたジョブリスト応答に含まれているジョブリストを表示させるジョブリスト表示部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項4】
前記ジョブリスト応答取得部によって、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答が取得された後に、前記ジョブリスト表示部が、取得された前記ジョブリスト応答に含まれるジョブリストを表示させることを特徴とする請求項3に記載の印刷制御システム。
【請求項5】
前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶し、前記ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間を計時するタイマーを起動させた後に、前記ジョブリスト表示部が、取得された前記ジョブリスト応答に含まれるジョブリストと、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機があることを示す警告を表示させることを特徴とする請求項3に記載の印刷制御システム。
【請求項6】
前記親機に対して、特定のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストを前記第1の子機に送信することを要求する場合、前記第1の子機のジョブリスト要求部が、前記ユーザの識別情報を含めた前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、
前記親機が、前記ジョブリスト要求を取得した場合、前記第1記憶部に記憶されている印刷データのうち、ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データが記憶されている場合に、前記ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストを含むジョブリスト応答を、前記ジョブリスト要求を送信してきた第1の子機に送信することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の印刷制御システム。
【請求項7】
前記親機に対して、特定のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストを前記第1の子機に送信することを要求する場合、前記第1の子機のジョブリスト要求部が、前記ユーザの識別情報を含めた前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、
前記親機が、前記ジョブリスト要求を取得した場合、前記第1記憶部に記憶されている印刷データのうち、ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データが記憶されていない場合に、前記ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストがないことを示したジョブリスト応答を、前記ジョブリスト要求を送信してきた第1の子機に送信することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の印刷制御システム。
【請求項8】
前記第1の子機は、
前記ジョブリスト表示部によって表示されたジョブリストのうち、その子機において印刷すべき印刷データのジョブ名が選択された場合に、選択された印刷データのジョブ名を含み、選択された印刷データを前記第1の子機に送信することを要求する印刷情報要求を、前記ジョブリストを含むジョブリスト応答を送信してきた親機に送信する印刷情報要求部と、
前記印刷情報要求に対する返信である印刷応答情報を取得する印刷情報取得部とをさらに備え、
前記第1の子機から、前記親機に印刷情報要求を送信した後、前記親機から、前記第1の子機に選択された印刷データを含む印刷応答情報が返信された場合に、前記第1の子機において、前記印刷情報取得部が取得した印刷応答情報に含まれる印刷データを印刷することを特徴とする請求項3に記載の印刷制御システム。
【請求項9】
前記第1の子機は、操作部をさらに備え、ユーザが、前記操作部によってジョブリストを送信することを要求する操作をした場合に、前記接続親機情報に記憶された親機にジョブリスト要求を送信することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の印刷制御システム。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれかに記載された印刷制御システムに含まれる親機として設定された画像形成装置。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれかに記載された印刷制御システムに含まれる子機として設定された画像形成装置。
【請求項12】
ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムの印刷制御方法であって、
複数の親機のうち、少なくとも任意の第1の親機に、1または複数の印刷データを保存する保存ステップと、
複数の子機のうち、任意の第1の子機から、前記印刷データのジョブ名からなるジョブリストを前記第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求を、前記第1の子機に予め記憶された接続親機情報に設定されている親機に送信するジョブリスト要求ステップと、
前記第1の子機が、ジョブリスト要求を送信した後に、所定の応答確認時間を計時するタイマーを起動させるステップと、
前記接続親機情報に設定されている親機が、ジョブリスト要求を取得するジョブリスト要求取得ステップと、
前記印刷データを保存している第1の親機が、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、前記保存されている印刷データのジョブ名からなるジョブリストを含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答ステップと、
前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得ステップと、
前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求を送信してから応答確認時間が経過するまでに、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合に、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶する記憶ステップとを備え、
前記第1の子機が、次回に前記ジョブリスト要求を送信するジョブリスト要求ステップを実行する場合において、前記接続親機情報に設定された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信し、
前記応答確認時間は、前記印刷制御システムの運用状況および接続可能な親機の数に応じて変更可能であることを特徴とする印刷制御システムの印刷制御方法。
【請求項13】
前記第1の子機が、前記無応答親機情報に記憶する記憶ステップの後、前記ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間を計時するタイマーを起動させる起動ステップをさらに備え、
前記第1の子機が、次回に前記ジョブリスト要求を送信するジョブリスト要求ステップを実行する場合において、前記要求保留時間が経過するまでは、前記接続親機情報に記憶された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信し、前記要求保留時間が経過した後は、前記接続親機情報に記憶された親機に、前記ジョブリスト要求を送信することを特徴とする請求項12に記載の印刷制御システムの印刷制御方法。
【請求項14】
ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムの印刷制御方法であって、
前記親機が、1または複数の印刷データを記憶し、
前記子機が、接続可能な親機を特定した接続親機情報を記憶し、
前記子機が、前記印刷データのジョブ名からなるジョブリストを送信することを要求するジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、
前記子機が、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答を取得し、
前記ジョブリスト要求を送信した子機が、所定の応答確認時間内に、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶し、
前記子機が、次回の前記ジョブリスト要求を送信する場合において、前記接続親機情報に記憶された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信し、
前記応答確認時間は、前記印刷制御システムの運用状況および接続可能な親機の数に応じて変更可能であることを特徴とする印刷制御システムの印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷制御システムに関し、特に、複数の画像形成装置がネットワークを介して接続され、ユーザが作成した印刷データを記憶した画像形成装置とは異なる画像形成装置で、そのユーザが作成した印刷データを印刷することが可能な印刷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットワークを介して複数の画像形成装置を接続し、ユーザの所有する情報端末から送信された印刷データDATAを、1つの特定の画像形成装置(親機)に保存させ、そのユーザが、特定の画像形成装置とは異なる画像形成装置(子機)において、印刷データDATAを印刷させる操作をした場合に、子機から親機に問合せ、親機から子機に印刷データDATAを送信して、子機でその印刷データDATAを印刷することが可能な印刷システムが利用されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、ユーザ端末から親機として設定された1台の画像形成装置に印刷ジョブを送信して、親機にその印刷ジョブを保存し、複数の画像形成装置のうち子機として設定された画像形成装置に、親機のIPアドレスを記憶しておき、ユーザが、子機が設置された場所に移動して、子機でユーザ情報を入力して親機にログインした場合に、子機が親機からそのユーザの印刷ジョブを取得して、ユーザの印刷指示により印刷ジョブに含まれる印刷データをその子機で印刷する印刷システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-18318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の印刷システムでは、印刷データを保存する親機が、1つの特定の画像形成装置に固定されているので、各子機にその親機の情報を予め記憶しておけば、印刷しようとする子機から、その親機に接続することで、印刷データを容易に取得することができた。
しかし、印刷システムが、複数の親機と複数の子機とから構成される場合、印刷しようとする子機において、印刷データを保存した親機がどの親機であるかが不明な場合がある。
たとえば、子機から5台の親機に接続することが可能な場合、子機から、5台の各親機に対して、それぞれ、印刷データを保存しているか否かを問合せ、各親機からの返信(問合せに対する応答)を待って、印刷データを保存している親機を見つける必要がある。
親機の台数が増えるほど、印刷データを保存している親機を見つけるのに時間がかかる。
【0006】
また、印刷しようとする子機において、上記の問合せデータが子機から各親機に対して送信された後、複数の親機からの返信を待つためのタイマーが設定されるが、複数の親機の中に、故障している親機や、メンテナンス中で通信できない親機がある場合、そのような親機からの返信が来ないので、ユーザは、タイマーに設定された時間が経過するのを待つ必要がある。
たとえば、そのタイマーに10秒という時間が設定されていた場合に、故障している親機がある場合、その故障している親機からの返信が来ないので、ユーザは、印刷しようとする子機の前で、次の操作をすることができず、タイマーがタイムアウトするまで、10秒間待つ必要があり、ユーザの利便性が悪い。
【0007】
さらに、特許文献1では、ユーザが移動した子機で親機に正常にログインできた場合に、子機において、親機からそのユーザの印刷データを含む印刷ジョブが取得されるが、もし、印刷ジョブの全体または印刷ジョブに含まれる一部のファイルについて、
その後に行われるはずのユーザの印刷指示がなかった場合は、親機から子機に送信された印刷ジョブの通信処理は無駄となる。
【0008】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうち、ユーザが作成した印刷データを保存することが可能な親機が複数ある場合に、故障等の原因で接続することのできない親機が存在する場合においても、ユーザが、印刷データを保存していない画像形成装置を利用して、容易かつ迅速に印刷データを印刷することができ、ユーザの利便性を向上させることのできる印刷制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムであって、前記親機は、1または複数の印刷データを記憶する第1記憶部を備え、前記子機は、接続可能な親機を特定した接続親機情報を記憶した第2記憶部と、前記印刷データのジョブ名からなるジョブリストを送信することを要求するジョブリスト要求を前記接続親機情報に記憶された親機に送信するジョブリスト要求部と、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得部とを備え、前記ジョブリスト要求を送信した第1の子機が、所定の時間内に、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶し、前記第1の子機が、次回の前記ジョブリスト要求を送信する場合において、前記接続親機情報に記憶された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信することを特徴とする印刷制御システムを提供するものである。
【0010】
また、前記第1の子機が、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶した後、前記ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間を計時するタイマーを起動させ、前記要求保留時間が経過するまでは、前記接続親機情報に記憶された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信し、前記要求保留時間が経過した後は、前記接続親機情報に記憶された親機に、前記ジョブリスト要求を送信することを特徴とする。
【0011】
また、前記子機は、前記ジョブリスト応答取得部によって取得されたジョブリスト応答に含まれているジョブリストを表示させるジョブリスト表示部をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、前記ジョブリスト応答取得部によって、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信される前記ジョブリスト応答が取得された後に、前記ジョブリスト表示部が、取得されたジョブリスト応答に含まれるジョブリストを表示させることを特徴とする。
【0013】
また、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を無応答親機情報に記憶し、前記ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間を計時するタイマーを起動させた後に、前記ジョブリスト表示部が、取得された前記ジョブリスト応答に含まれるジョブリストと、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機があることを示す警告を表示させることを特徴とする。
【0014】
また、前記親機に対して、特定のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストを前記第1の子機に送信することを要求する場合、前記第1の子機のジョブリスト要求部が、前記ユーザの識別情報を含めた前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、前記親機が、前記ジョブリスト要求を取得した場合、前記第1記憶部に記憶されている印刷データのうち、ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データが記憶されている場合に、前記ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストを含むジョブリスト応答を、前記ジョブリスト要求を送信してきた第1の子機に送信することを特徴とする。
【0015】
また、前記親機に対して、特定のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストを前記第1の子機に送信することを要求する場合、前記第1の子機のジョブリスト要求部が、前記ユーザの識別情報を含めた前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、前記親機部が、前記ジョブリスト要求を取得した場合、前記第1記憶部に記憶されている印刷データのうち、ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データが記憶されていない場合に、前記ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストがないことを示したジョブリスト応答を、前記ジョブリスト要求を送信してきた第1の子機に送信することを特徴とする。
【0016】
また、前記第1の子機は、前記ジョブリスト表示部によって表示されたジョブリストのうち、その子機において印刷すべき印刷データのジョブ名が選択された場合に、選択された印刷データのジョブ名を含み、選択された印刷データを前記第1の子機に送信することを要求する印刷情報要求を、前記ジョブリストを含むジョブリスト応答を送信してきた親機に送信する印刷情報要求部と、前記印刷情報要求に対する返信である印刷応答情報を取得する印刷情報取得部とをさらに備え、前記第1の子機から、前記親機に印刷情報要求を送信した後、前記親機から、前記第1の子機に選択された印刷データを含む印刷応答情報が返信された場合に、前記第1の子機において、前記印刷情報取得部が取得した印刷応答情報に含まれる印刷データを印刷することを特徴とする。
【0017】
また、前記第1の子機が、操作部をさらに備え、ユーザが、前記操作部によってジョブリストを送信することを要求する操作をした場合に、前記接続親機情報に記憶された親機にジョブリスト要求を送信することを特徴とする。
【0018】
また、この発明は、上記したいずれかの印刷制御システムに含まれる親機として設定された画像形成装置を提供するものである。
また、上記したいずれかの印刷制御システムに含まれる子機として設定された画像形成装置を提供するものである。
【0019】
また、この発明は、ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムの印刷制御方法であって、複数の親機のうち、少なくとも任意の第1の親機に、1または複数の印刷データを保存する保存ステップと、複数の子機のうち、任意の第1の子機から、前記印刷データのジョブ名からなるジョブリストを前記第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求を、前記第1の子機に予め記憶された接続親機情報に設定されている親機に送信するジョブリスト要求ステップと、前記第1の子機が、ジョブリスト要求を送信した後に、所定の応答確認時間を計時するタイマーを起動させるステップと、前記接続親機情報に設定されている親機が、ジョブリスト要求を取得するジョブリスト要求取得ステップと、前記印刷データを保存している第1の親機が、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、前記保存されている印刷データのジョブ名からなるジョブリストを含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答ステップと、前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得ステップと、前記第1の子機が、前記応答確認時間が経過するまでに、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合に、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶する記憶ステップとを備え、前記第1の子機が、次回に前記ジョブリスト要求を送信するジョブリスト要求ステップを実行する場合において、前記接続親機情報に設定された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信することを特徴とする印刷制御システムの印刷制御方法を提供するものである。
【0020】
さらに、この発明は、前記第1の子機が、前記無応答親機情報に記憶する記憶ステップの後、前記ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間を計時するタイマーを起動させる起動ステップをさらに備え、前記第1の子機が、次回に前記ジョブリスト要求を送信するジョブリスト要求ステップを実行する場合において、前記要求保留時間が経過するまでは、前記接続親機情報に記憶された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信し、前記要求保留時間が経過した後は、前記接続親機情報に記憶された親機に、前記ジョブリスト要求を送信することを特徴とする印刷制御システムの印刷制御方法を提供するものである。
【0021】
また、この発明は、ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムの印刷制御方法であって、前記親機が、1または複数の印刷データを記憶し、前記子機が、接続可能な親機を特定した接続親機情報を記憶し、前記子機が、前記印刷データのジョブ名からなるジョブリストを送信することを要求するジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、前記子機が、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信される前記ジョブリスト応答を取得し、前記ジョブリスト要求を送信した子機が、所定の時間内に、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合、前記ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶し、前記子機が、次回の前記ジョブリスト要求を送信する場合において、前記接続親機情報に記憶された親機のうち、前記無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、前記ジョブリスト要求を送信することを特徴とする印刷制御システムの印刷制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、子機が、ジョブリスト要求を接続親機情報に記憶された親機に送信するジョブリスト要求部を備え、親機が、ジョブリスト要求に対する返信として、記憶されている印刷データのジョブ名からなるジョブリストを含むジョブリスト応答を子機に送信する印刷ジョブ応答部を備え、ジョブリスト要求を送信した子機が、所定の応答確認時間内に、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を無応答親機情報に記憶し、子機が、次回のジョブリスト要求を送信する場合において、接続親機情報に記憶された親機のうち、無応答親機情報に記憶されている親機以外の親機に、ジョブリスト要求を送信するので、ユーザが作成した印刷データを記憶することが可能な複数の親機の中に、たとえば故障やメンテナンス等が原因で停止状態にあり、子機に接続することのできない親機が存在する場合においても、ユーザが、印刷データを記憶している親機とは異なる子機を利用して、容易かつ迅速に印刷データを印刷することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の印刷制御システムの一実施例の説明図である。
図2】この発明の画像形成装置のうち、親機の一実施例の構成ブロック図である。
図3】この発明の画像形成装置のうち、子機の一実施例の構成ブロック図である。
図4A】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(自己設定情報)の一実施例の説明図である。
図4B】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(自己設定情報)の一実施例の説明図である。
図5A】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(管理子機情報)の一実施例の説明図である。
図5B】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(接続親機情報)の一実施例の説明図である。
図6】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(印刷情報)の一実施例の説明図である。
図7】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(ジョブリスト要求)の一実施例の説明図である。
図8】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(ジョブリスト応答)の一実施例の説明図である。
図9】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(印刷情報要求)の一実施例の説明図である。
図10】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(印刷応答情報)の一実施例の説明図である。
図11】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(無応答親機情報)の一実施例の説明図である。
図12】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(応答確認時間)の一実施例の説明図である。
図13】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(要求保留時間)の一実施例の説明図である。
図14A】この発明の画像形成装置のうち、子機の表示部に表示されるジョブリスト表示画面の一実施例の説明図である。
図14B】この発明の画像形成装置のうち、子機の表示部に表示されるジョブリスト表示画面の一実施例の説明図である。
図15】この発明の印刷制御システムにおける情報通信シーケンスの一実施例の説明図である。
図16】この発明の印刷制御システムにおいて、停止状態の親機がある場合の情報通信シーケンスの一実施例の説明図である。
図17】この発明の印刷制御システムにおいて、停止状態の親機があり、要求保留時間のタイマーが起動中の場合の情報通信シーケンスの一実施例の説明図である。
図18】この発明の印刷制御システムにおいて、要求保留時間のタイマーがタイムアウトした後の情報通信シーケンスの一実施例の説明図である。
図19】この発明の画像形成装置のうち、子機における印刷制御処理の一実施例のフローチャートである。
図20】この発明の画像形成装置のうち、子機における印刷制御処理の一実施例のフローチャートである。
図21】この発明の画像形成装置のうち、子機における印刷制御処理の一実施例のフローチャートである。
図22】この発明の画像形成装置のうち、子機の表示部に表示されるジョブリスト表示画面の一実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
この発明の印刷制御システムは、ネットワークに接続された複数の画像形成装置から構成される。
特に、ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムである。
【0025】
画像形成装置(以下、MFP:Multifunction Peripheral、複合機とも呼ぶ)は、画像データを処理する装置であり、たとえば、複写(コピー)機能、印刷機能、原稿読取(スキャン)機能、原稿編集機能、原稿保存機能、原稿送信(ファックス、FAX)機能、通信機能などを備えた電子機器である。
【0026】
複数の画像形成装置は、いずれも同等の画像処理機能を有する装置であるが、初期設定により、親機として機能する画像形成装置と、子機として機能する画像形成装置があるものとする。
親機として機能する画像形成装置(以下、単に、親機と呼ぶ)は、特に、ユーザ所有のパソコンや携帯端末などの情報処理装置から送信された印刷データを一時保存する機能を有するものとする。
【0027】
一方、子機として機能する画像形成装置(以下、単に、子機と呼ぶ)は、印刷データを取得して、その印刷データを印刷用紙等に出力する機能を有するものとする。
また、親機も、子機と同様に、印刷データを印刷用紙等に出力する機能を有するものとする。
また、親機に印刷データを送信する装置として、ユーザ所有のパソコンや携帯端末などの情報処理装置も、印刷制御システムに含まれるものとする。
【0028】
さらに、以下に説明するこの発明の印刷制御システムの通信処理は、ネットワークに接続された複数の情報処理装置から構成され、複数の情報処理装置が複数の親機と複数の子機の対応関係で接続され、互いに印刷データなどの情報を送受信する通信制御システムにも適用可能である。
情報処理装置としては、パソコン、通信装置、表示装置、画像形成装置など種々の装置があり、以下の実施形態は、これらの情報処理装置のいずれにも適用可能である。
【0029】
<この発明の印刷制御システムの構成>
図1に、この発明の印刷制御システムの一実施例の説明図を示す。
図1に示すように、この発明の印刷制御システムは、ネットワーク10を介して接続された親機(MFP-P)1と、子機(MFP-C)2と、情報処理装置(TE)3とから構成される。
親機(MFP-P)1は、上記したように、印刷データを一時保存する機能を有する画像形成装置であり、1または複数の親機(P01、P02、P03)が、印刷制御システムに含まれるものとする。
【0030】
子機(MFP-C)2は、上記したように、印刷データを出力する機能を有する画像形成装置であり、1または複数の子機(C001からC006)が、印刷制御システムに含まれるものとする。
情報処理装置(TE)3は、印刷データを印刷しようとするユーザが所有する装置であり、たとえば、ユーザが作成した文書情報や取得した画像情報等を記憶するものとする。
【0031】
ユーザが、文書情報を印刷しようとする場合、その文書情報を、印刷出力をさせる画像形成装置に直接送信してもよい。
ただし、複数の文書情報等をまとめて、後で一括して印刷しようとする場合、たとえば、情報処理装置(TE)3から、各文書情報を印刷できる形式に変換した印刷データを、所定の親機1に送信し、その親機1に一時保存してもよい。
親機1では、ユーザごとに印刷データを管理し、一時保存されている1または複数の印刷データを、ユーザごとの印刷ジョブと呼ぶ。
【0032】
各親機1と各子機2と情報処理装置3は、ネットワーク10を介して、相互にデータ通信ができるものとする。
ネットワーク10に接続される親機1と、子機2と、情報処理装置3の台数は、図1に示したものに限定するものではなく、他の台数の各装置がネットワーク10に接続されるようにしてもよい。
ネットワーク10としては、インターネットなどの広域通信網や、LANなど、既存のあらゆる通信網を用いることができ、通信形態は、有線通信および無線通信のどちらを用いてもよい。
【0033】
<画像形成装置の親機の構成>
図2に、この発明の画像形成装置のうち、親機の一実施例の構成ブロック図を示す。
画像形成装置の親機(MFP-P)1は、たとえば、複写(コピー)機能、印刷機能、原稿読取(スキャン)機能、原稿編集機能、原稿保存機能、原稿送信(ファックス、FAX)機能、通信機能などを備えた電子機器である。
図2に示すように、LANなどのネットワーク10を介して、親機1は、子機2と、情報処理装置3とに接続してデータ通信ができるものとする。
【0034】
図2において、親機(MFP-P)1は、主として、制御部11、操作部12、表示部13、画像処理部14、通信部15、印刷情報取得部21、ジョブリスト要求取得部22、印刷ジョブ応答部23、印刷情報要求取得部24、印刷情報応答部25、記憶部30を備える。
記憶部30は、上記した1または複数の印刷データを記憶する第1記憶部に相当する。印刷データは、いずれかの親機または子機で印刷されるまで、記憶部30に一時保存され、印刷が終了した後は、記憶部30から削除される。
【0035】
制御部11は、操作部や画像処理部などの各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
CPUは、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各種ハードウェアを有機的に動作させて、この発明の画像処理機能などを実行する。
【0036】
操作部12は、親機の利用者が情報を入力する部分であり、親機を動作させる所定の入力操作をするための入力装置である。たとえば、文字などの情報の入力や、機能の選択入力をする部分であり、キーボード、マウス、タッチパネルなどが用いられる。
ユーザが操作するキーとしては、動作開始キー、機能選択キー、設定キーなどがある。
ユーザは、たとえば、タッチパネルや読み取り動作の開始キーを入力する操作をすることによって、印刷項目設定機能、印刷機能などを実行させる。
【0037】
表示部13は、情報を表示する部分であり、各機能の実行に必要な情報や、機能の実行の結果などを、利用者に知らせるために表示する。たとえば、LCD、有機ELディスプレイなどが用いられ、操作部12としてタッチパネルが用いられる場合は、表示部13とタッチパネルとが重ね合わせて配置される。
表示部13には、たとえば、画像形成装置の印刷等に利用する設定項目の設定や、原稿読取機能等を実行するのに必要な情報や、選択した機能の操作画面、印刷項目設定操作画面などが、文字、記号、図形、画像、アイコン、アニメーション、動画等を用いて、表示される。
【0038】
画像処理部14は、親機である画像形成装置の主要な機能である画像形成機能を実行する部分であり、主に、画像入力部、画像形成部、および、画像出力部からなる。
主として、画像入力部は、所定の画像データを入力する部分であり、画像形成部は、入力された画像データを印刷等することのできる情報に変換する部分であり、画像出力部は、形成された印刷情報等を印刷用紙等に出力する部分である。
【0039】
画像入力部は、画像や文字図形等が記載された原稿の画像データを入力する部分であり、たとえば、原稿台等に載置された原稿を読み取る部分である。
画像入力部としては、情報が記載された原稿を読み取るスキャナ(読取装置)を用いる。
画像形成装置は、原稿を読み取るために、原稿が載置される原稿載置台(原稿台)と、原稿を抑える原稿カバーとを備える。
また、画像形成装置は、複数枚の原稿を載置して、複数の原稿を1枚ずつ自動的に搬送して読み取る自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)を備えてもよい。
この場合、画像等が記載された原稿をスキャナで読み取り、原稿の画像データを、記憶部30に記憶する。
【0040】
また、画像情報を入力する方法には種々の方法がある。
たとえば、ネットワーク10を介して、ユーザの所有するパソコンや携帯端末、サーバなどの情報処理装置TEから送信されてくる画像情報を入力してもよい。
また、USBメモリなどの外部の記憶媒体を接続するインタフェースが、画像入力部に該当する。
入力したい画像情報などの電子データファイルを、USBメモリなどの外部の記憶媒体に記憶しておき、USBメモリ等をUSB端子などの入力インタフェースに接続し、操作部12で所定の入力操作を行うことによって、USBメモリ等に記憶された所望の電子データファイルを読み出して、記憶部30に、入力画像データとして記憶してもよい。
【0041】
画像形成部は、たとえば、入力画像データを記録媒体に印刷する場合、一般的に、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電、及び定着の各工程を連続的に実施して、入力画像データを記録媒体に形成する。
現像工程では、トナーカートリッジからトナーを現像装置に補給し、帯電した感光体ドラムの表面に形成された静電潜像が現像され、静電潜像に対応したトナー像が形成される。感光体ドラムの表面に形成されたトナー像は転写装置によって記録媒体上に転写され、その後、定着装置によって加熱されることにより記録媒体上に定着させられる。
また、画像形成部は、入力画像データを転送や表示できる形態の情報に変換する。
【0042】
画像出力部は、形成された入力画像データを出力する部分であり、たとえば、入力画像データ等の情報を印刷するプリンタに相当し、読み取られた原稿の入力画像データを、所定の印刷用紙(紙媒体)に印刷する。
ただし、入力画像データの出力は、印刷に限るものではなく、スキャンされた原稿の入力画像データの記憶、スキャンされた原稿の入力画像データのFAX送信なども含まれる。
たとえば、読み取られた原稿の入力画像データをUSBメモリなどの外部の記憶媒体へ記憶すること、インターネットなどのネットワークを介して他の情報処理装置やサーバへ入力画像データを送信することも、画像出力に相当する。
【0043】
通信部15は、ネットワークを介して、情報を通信する部分であり、子機として設定された画像形成装置や、ユーザの所有する携帯端末や、他の情報処理装置とデータ通信をする部分である。
たとえば、ユーザの所有するパソコンや携帯端末、サーバなどの情報処理装置TEから転送されてきた電子データファイルを受信する。
また、親機1に入力された入力画像データを、親機1に接続された外部記憶装置(USBメモリなど)に転送したり、ネットワーク10を介して、子機や、原稿を入力したユーザ所有のパソコンやサーバなどの情報処理装置TEに送信したりする。
特に、この発明では、後述するように、親機の通信部15は、ジョブリスト応答や印刷応答情報を子機に送信したり、ジョブリスト要求や印刷情報要求を子機から受信したりする。
【0044】
印刷情報取得部21は、情報処理装置TEから、ユーザが作成等した文書や画像など、印刷したいデータ(印刷データ、印刷ファイル、または印刷ジョブとも呼ぶ)を取得する部分である。
また、たとえば、印刷データを、その印刷データのジョブ名、ユーザ名、作成日時、および印刷設定などと対応づけて、印刷情報として、記憶部30に記憶する。
記憶部30に記憶される印刷情報33は、たとえは、後述する図6に示すような情報である。
【0045】
情報処理装置TEは、たとえば、ユーザ所有の携帯端末であるが、ユーザは、その携帯端末TEで印刷データを作成し、作成した印刷データを一時保存したい場合、所定の親機に印刷データを送信する操作をする。
情報処理装置TEには、接続可能な1または複数の親機の情報(たとえば、IPアドレス)を予め記憶しておく。
情報処理装置TEによって接続可能な親機が複数ある場合は、情報処理装置TEにおいて、印刷データを送信する親機を予め固定的に設定してもよく、送信する優先順位を付けて設定してもよい。
あるいは、印刷データの送信時に、その都度、ユーザが、印刷データを送信する親機として、複数の親機の中から所望の親機を選択してもよい。
【0046】
ジョブリスト要求取得部22は、子機または他の親機から送信されたジョブリスト要求を取得する部分である。
ジョブリスト要求は、親機に一時保存されている印刷データのジョブ名からなるジョブリストを、ジョブリスト要求を送信してきた子機等に送信することを要求する情報であり、後述する図7に示すような情報である。
【0047】
たとえば、ユーザが、複数の子機のうち任意の第1の子機において、印刷機能を選択する操作をした場合、この第1の子機から、一時保存されている印刷データのジョブ名からなるジョブリストを第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求が送信されるので、親機は、第1の子機から送信されたジョブリスト要求を取得する。
ジョブリスト要求を取得した親機では、その親機に一時保存されている印刷データのジョブ名からなるジョブリストを作成する。
【0048】
後述するように、取得したジョブリスト要求にはユーザ名が含まれているので、そのユーザ名のユーザが親機に記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリストを作成する。親機に記憶させた印刷データが複数ある場合は、その複数の印刷データのジョブ名を含むジョブリストが作成される。
ジョブリストには、印刷データの実体であるファイルそのものは含まない。
ただし、ジョブリスト要求を取得した親機に、そのユーザ名のユーザが記憶させた印刷データがない場合は、ジョブリストは作成されない。
【0049】
印刷ジョブ応答部23は、取得したジョブリスト要求に対する返信として、記憶部30に一時保存されている印刷データのジョブ名からなるジョブリストを含むジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機または他の親機に送信する部分である。
取得したジョブリスト要求に基づいて、ジョブリストが作成される。
ジョブリスト応答は、後述する図8に示すような情報である。
親機に、ジョブリスト要求に含まれているユーザ名のユーザが記憶させた印刷データが存在する場合は、ジョブリスト応答には、記憶されている印刷データのジョブ名(保存ジョブ名)からなるジョブリストが含まれる。
【0050】
一方、親機に、ジョブリスト要求に含まれているユーザ名のユーザが記憶させた印刷データが存在しない場合は、ジョブリスト応答には、そのユーザのジョブリストが無いことを示す情報が含まれる。
ジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機等に送信することで、親機にそのユーザが記憶させた印刷データが存在するか否かを、子機等に通知し、印刷データが存在する場合は、そのユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリストが、通知される。
【0051】
印刷情報要求取得部24は、子機または他の親機から送信された印刷情報要求を取得する部分である。
印刷情報要求は、親機に記憶されている印刷データを、印刷情報要求を送信してきた子機または他の親機に送信することを要求するデータであり、後述する図9に示すような情報である。
印刷情報要求には、送信すべき印刷データのジョブ名(要求ジョブ名)が含まれる。
印刷情報要求を取得した親機では、ジョブIDで特定される印刷データを記憶部30から読み出し、印刷情報要求を送信してきた子機等に送信する
【0052】
印刷情報応答部25は、取得した印刷情報要求に対する返信であり、子機で選択された印刷データのジョブIDで特定され、親機の記憶部30に記憶されていた印刷データを含む印刷応答情報を、印刷情報要求を送信してきた子機または他の親機に送信する部分である。
ここでは、取得した印刷情報要求に含まれるジョブIDで特定される印刷データを含む印刷応答情報を作成する。
印刷応答情報は、上記した印刷情報を含む情報でもよく、後述する図10に示すような情報である。
印刷応答情報を受信した子機等は、この印刷応答情報に含まれる印刷情報から、印刷データを取得して、印刷データを、所定の印刷用紙に印刷する。
【0053】
記憶部30は、この発明の親機の各機能を実行するために必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体記憶素子、HDD、SSDなどの記憶装置、その他の記憶媒体が用いられる。
記憶部30には、たとえば、自己設定情報31、管理子機情報32、印刷情報33、受信ジョブリスト要求34、ジョブリスト応答35、受信印刷情報要求36、印刷応答情報37などが記憶される。
【0054】
自己設定情報31は、画像形成装置が親機であることを意味する情報であり、この印刷制御システムの運用を開始する場合や、印刷制御システムに、新たな親機を導入する場合に、印刷制御システムの管理担当者等によって、予め設定記憶される。
図4Aに、親機の記憶部30に記憶される情報(自己設定情報)の一実施例の説明図を示す。
図4Aに示す自己設定情報31では、たとえば、識別情報と、装置区別と、IPアドレスとからなるものを示している。ただし、これらの情報に限定されるものではない。
【0055】
識別情報は、画像形成装置を識別するための情報であり、装置名や、装置の固有番号など、その画像形成装置を印刷制御システムに属する他の画像形成装置と区別するために付けられた情報である。図4Aでは、「P01」という識別情報が設定されている。
装置区別は、画像形成装置が親機であることを設定した情報である。
図4Aに示すように、たとえば、装置区別に「親機」が設定された場合、その画像形成装置は、親機として機能する。
【0056】
IPアドレスは、ネットワーク10に接続された通信機器を識別するために、機器ごとに付与される情報であり、一般的に、グローバルIPアドレス、またはプライベートIPアドレスのどちらかが、画像形成装置ごとに設定される。
図4Aに示す自己設定情報31では、この親機に、「192.168.10.1」というIPアドレスが設定されている。
なお、このIPアドレスを、上記した識別情報として利用してもよい。
【0057】
管理子機情報32は、親機で管理する子機に関する情報であり、親機に接続でき、親機と所定の情報通信をすることが可能な子機を予め設定した情報である。
図5Aに、親機の記憶部30に記憶される情報(管理子機情報)の一実施例の説明図を示す。
図5Aの管理子機情報は、子機識別情報と、IPアドレスからなるものを示している。
子機識別情報は、ネットワークに接続された子機を区別するための情報であり、図5Aでは、子機の装置名を示している。
IPアドレスも、ネットワークに接続された子機を区別するための情報であり、このIPアドレスを、子機識別情報として利用してもよい。
図5Aでは、6つの子機識別情報(C001からC006)を示しており、6台の子機が、この親機と情報通信をすることができることを意味する。
なお、他の親機と情報通信し、他の親機で印刷データの印刷をできるようにするために、管理子機情報32に、他の親機の識別情報を設定記憶してもよい。
【0058】
印刷情報33は、情報処理装置TEから送信された印刷データに関する情報であり、いずれかの子機あるいは親機で印刷データの印刷が完了するまで、一時保存される情報である。
この印刷情報33を利用して、子機等において、印刷処理が実行される。
図6に、親機の記憶部30に記憶される情報(印刷情報)の一実施例の説明図を示す。
図6の印刷情報33では、ユーザ名、ジョブ名、日付、印刷設定からなる情報を示しており、そのジョブ名を持つ印刷データそのものも記憶されている。
【0059】
図6の1つ目の印刷情報33において、たとえば、US1111というユーザ名のユーザが2020年9月11日に記憶した「F101」というジョブ名の印刷データで、印刷設定が「カラー、用紙サイズA4、印刷枚数1枚」に設定された印刷データが、記憶されている。
また、図6の2つ目の印刷情報33では、US2222というユーザ名のユーザが2020年9月12日に記憶した「F202」というジョブ名の印刷データで、印刷設定が「白黒、用紙サイズA4、印刷枚数3枚」に設定された印刷データが、記憶されている。
ただし、印刷設定の内容は、後で実際に印刷するときに変更することが可能なので、印刷情報33に、印刷設定を含めなくてもよい。
【0060】
受信ジョブリスト要求34は、親機で受信される情報であり、子機や他の親機から送信されたジョブリスト要求である。
ジョブリスト要求は、親機に一時保存されている印刷データのジョブ名からなるリスト(ジョブリスト)を、ジョブリスト要求を送信してきた子機等に送信することを要求する情報であり、後述する図7に示すような情報である。
【0061】
ジョブリスト応答35は、ジョブリスト要求に対する返信に含まれる情報である。
上記したように、ジョブリスト応答には、ジョブリスト要求で指定されたユーザのジョブリストが親機にはないことを示す情報や、親機に印刷データが存在する場合は、指定されたユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリストが含まれる。ジョブリスト応答には、印刷データそのものは含まれない。
【0062】
図8に、親機の記憶部30に記憶される情報(ジョブリスト応答)の一実施例の説明図を示す。
図8のジョブリスト応答35では、親機名、宛先子機名、ユーザ名、ジョブリスト有無、保存ジョブ名からなるものを示している。ただし、これらの情報に限定するものではない。
ここで、ジョブリスト有無は、親機に、ユーザ名のユーザが記憶させた印刷データが存在するか否かを示した情報であり、たとえば、印刷データが存在しない場合には、ジョブリストが作成できないので、ジョブリスト無しという情報が、設定される。
【0063】
一方、親機に、ユーザ名のユーザが記憶させた印刷データが存在する場合は、ジョブリストが作成できるので、ジョブリスト有りという情報が、設定される。
また、親機に、ユーザ名のユーザが記憶させた印刷データが存在する場合は、一時保存されている印刷データの保存ジョブ名が取得され、取得された保存ジョブ名を含むジョブリストが作成される。
図8のジョブリスト応答35には、ジョブリストに含まれる保存ジョブ名を示している。
【0064】
たとえば、図8の1つ目のジョブリスト応答35において、親機名が「P02」という親機から、宛先子機名が「C006」という子機に対して送信されるジョブリスト応答35では、ユーザ名が「US1111」のユーザのジョブリストが有り、そのジョブリストに含まれる保存ジョブ名は、F101、F102、F103であることを示している。
すなわち、このジョブリスト応答35において、親機「P02」には、ユーザUS1111が記憶させた3つの印刷データが一時保存されており、その印刷データの保存ジョブ名は、それぞれ、F101、F102、F103であり、子機C006に、このジョブリスト応答35を送信することを示している。
【0065】
また、図8の2つ目のジョブリスト応答35において、親機名が「P03」という親機から、宛先子機名が「C006」という子機に対して送信されるジョブリスト応答35では、ユーザ名が「US1111」のユーザのジョブリストが無く、ジョブリストに含まれる保存ジョブ名もないことを示している。
すなわち、このジョブリスト応答35では、親機「P03」には、ユーザUS1111の印刷データは記憶されていないことを意味する。
【0066】
ジョブリスト応答には、印刷データそのものが含まれないので、ジョブリスト応答にかかる通信トラフィック量を抑制でき、この時点で、後に印刷されないことになる印刷データが子機に送信されることがなく、無駄な通信処理を省くことができる。
【0067】
受信印刷情報要求36は、親機で受信される情報であり、子機や他の親機から送信された印刷情報要求である。
印刷情報要求は、親機に一時保存されている印刷データを指定して、印刷情報要求を送信してきた子機等に送信することを要求する情報であり、後述する図9に示すような情報である。
【0068】
印刷応答情報37は、印刷情報要求に対する返信に含まれる情報である。
図10に、親機の記憶部30に記憶される情報(印刷応答情報)の一実施例の説明図を示す。
図10の印刷応答情報37では、親機名、宛先子機名、ユーザ名、印刷ジョブ名、日付、印刷設定からなるものを示しており、印刷ジョブIDで特定される印刷データそのものも、印刷応答情報37に含まれる。ただし、これらの情報に限定するものではない。
ユーザ名、印刷ジョブ名、日付、印刷設定からなる部分と印刷データは、親機に記憶されている印刷情報33に相当する。
【0069】
図10において、たとえば、親機名が「P02」という親機から、宛先子機名が「C006」という子機に対して送信される印刷応答情報37では、ユーザ名が「US1111」のユーザが記憶させた印刷データで、印刷設定が「カラー、用紙サイズA4、印刷枚数1枚」であって、印刷ジョブ名が「F101」と「F103」という2つの印刷データが、含まれていることを示している。
上記したように、印刷応答情報37は、印刷情報要求を送信してきた子機等に送信され、印刷応答情報37を受信した子機等において、印刷応答情報37に含まれる印刷データが、所定の印刷用紙に印刷される。
【0070】
<画像形成装置の子機の構成>
図3に、この発明の画像形成装置のうち、子機の一実施例の構成ブロック図を示す。
画像形成装置の子機(MFP-C)2は、親機と同様に、たとえば、複写(コピー)機能、印刷機能、原稿読取(スキャン)機能、原稿編集機能、原稿保存機能、原稿送信(ファックス、FAX)機能、通信機能などを備えた電子機器である。
図3に示すように、LANなどのネットワーク10を介して、子機2は、親機1と情情報処理装置3とに接続してデータ通信ができるものとする。
【0071】
図3において、子機(MFP-C)2は、主として、制御部51、操作部52、表示部53、画像処理部54、通信部55、ジョブリスト要求部61、ジョブリスト応答取得部62、ジョブリスト表示部63、印刷情報要求部64、印刷情報取得部65、記憶部70を備える。
記憶部70は、上記した接続可能な親機を特定した接続親機情報を記憶した第2記憶部に相当する。
【0072】
制御部51は、親機の制御部11と同様に、操作部や画像処理部などの各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
また、操作部52、表示部53、画像処理部54、および通信部55についても、親機と同等の機能を有するので、説明を省略する。
画像処理部54は、親機の画像処理部14と同様に、主に、画像入力部、画像形成部、および、画像出力部からなる。
【0073】
ジョブリスト要求部61は、子機から、親機に対して、ジョブリスト要求を送信する部分である。
ジョブリスト要求は、上記したように、所定の親機に一時保存されている印刷データのジョブ名を、子機に送ることを要求するデータであり、原則として、後述する接続親機情報72に記憶された親機に送信される。
【0074】
ジョブリスト要求を接続可能な親機に送信することで、ユーザが記憶させた印刷データが記憶されている親機を見つけ、その親機に記憶されている印刷データのジョブ名を含むジョブリストを取得する。
【0075】
ただし、後述するように、無応答親機情報77に親機名が記憶されている場合で、所定の要求保留時間のタイマーT2が起動中は、無応答親機情報77に記憶されている親機名に対応する親機には、ジョブリスト要求を送信しない。
無応答親機情報77に親機名が記憶されている親機は、前回送信されたジョブリスト要求に対して、返信を送ってこなかった親機であり、たとえば、故障中か、あるいは、メンテナンス等が原因で停止状態にある親機である可能性がある。
そこで、停止状態の可能性のある親機には、ジョブリスト要求を送信しないようにして、ジョブリスト要求に対する応答の返信を待つ時間が経過するまでの待ち時間が発生するのを回避する。
【0076】
一方、無応答親機情報に親機名が1つも記憶されていない場合は、接続親機情報72に記憶された親機に、ジョブリスト要求を送信する。
【0077】
ジョブリスト応答取得部62は、ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答を取得する部分である。
上記したように、ジョブリスト要求を受信した親機は、ジョブリスト要求に対する返信として、ジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機に送信する。
ジョブリスト応答には、ユーザ名、ジョブリスト有無、ジョブリストの保存ジョブ名などが含まれる。
【0078】
たとえば、ジョブリスト応答に、ジョブリストが無いことを意味する情報が含まれている場合は、そのジョブリスト応答を返信してきた親機には、ジョブリスト応答に含まれるユーザ名のユーザが記憶させた印刷データがないことを意味する。
【0079】
一方、ジョブリスト応答に、ジョブリストが有ることを意味する情報と保存ジョブ名が含まれている場合は、そのジョブリスト応答を返信してきた親機には、ジョブリスト応答に含まれるユーザ名のユーザが記憶させた印刷データがあることを意味する。
また、ジョブリストが有る場合、ジョブリストには保存ジョブ名が含まれているので、その保存ジョブ名を、子機の表示部53に表示させることで、ユーザは、印刷させたい印刷データを選択することができる。
【0080】
ジョブリスト表示部63は、ジョブリスト応答取得部62によって取得されたジョブリスト応答に含まれているジョブリストを、子機の表示部53に、表示させる部分である。
ジョブリストには、指定されたユーザの印刷データの保存ジョブ名が含まれるので、この保存ジョブ名を表示させる。
たとえば、後述する図14Aに示すようなジョブリスト表示画面が、表示部53に表示される。
【0081】
ユーザが、子機において、印刷機能を選択する入力をした場合に、その子機から、接続可能な親機にジョブリスト要求が送信され、そのユーザの印刷データが記憶されている親機から、ジョブリストを含むジョブリスト応答が送信される。
ジョブリスト応答が取得された場合に、そのユーザの印刷データを特定する保存ジョブ名を含むジョブリスト表示画面が、子機の表示部53に表示される。
【0082】
たとえば、図14Aに示すようなジョブリスト表示画面では、保存親機名「P02」の親機に記憶されているユーザUS1111の印刷データのジョブリストが表示されている。
このジョブリストには、3つの印刷データのジョブ名が表示されており、3つの印刷データのジョブ名は、日報(F101)、提案書(F102)、報告書(F103)である。
この表示を確認したユーザは、自己の3つの印刷データが親機に記憶されていることを理解し、3つの印刷データのうち、印刷したいファイルを選択することができる。
【0083】
この発明では、ジョブリスト応答取得部62によって、ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答が取得された後に、ジョブリスト表示部63が、取得されたジョブリスト応答に含まれるジョブリストを表示させるようにする。
【0084】
また、ジョブリスト要求を送信した後、所定の応答確認時間内に、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報に記憶し、ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間を計時するタイマーを起動させた後に、ジョブリスト表示部63が、取得されたジョブリスト応答に含まれるジョブリストと、ジョブリスト応答を返信しなかった親機があることを示す警告を表示させるようにしてもよい。
【0085】
印刷情報要求部64は、子機から、親機に対して、印刷情報要求を送信する部分である。
たとえば、印刷情報要求部64は、ジョブリスト表示部63によって表示されたジョブリストのうち、その子機において印刷すべき印刷データのジョブ名が選択された場合に、選択された印刷データのジョブ名を含み、選択された印刷データを子機に送信することを要求する印刷情報要求を、ジョブリストを含むジョブリスト応答を送信してきた親機に送信する。
【0086】
後述する図9に示すように、印刷情報要求には、宛先親機名と、ユーザ名と、要求ジョブ名とが含まれる。
この印刷情報要求を送信することで、宛先親機名で特定される親機に対して、ユーザ名と要求ジョブIDで特定される印刷データを、子機に送信することを要求する。
宛先親機名で特定される親機は、印刷情報要求を受信すると、要求された印刷データを含む印刷応答情報を、印刷情報要求を送信してきた子機に送信する。
【0087】
印刷情報取得部65は、印刷情報要求に対する返信である印刷応答情報を取得する部分である。
上記した図10に示したように、取得した印刷応答情報37には、ユーザ名や印刷ジョブ名などからなる印刷情報が含まれ、印刷データそのものも含まれる。
子機では、この印刷情報を利用して、画像処理部54によって、印刷データの印刷が実行される。
すなわち、子機から親機に印刷情報要求を送信した後、親機から子機に印刷応答情報が返信された場合に、その子機において、印刷情報取得部65が取得した印刷応答情報に含まれる印刷データを印刷する。
【0088】
記憶部70は、この発明の子機の各機能を実行するために必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体記憶素子、HDD、SSDなどの記憶装置、その他の記憶媒体が用いられる。
記憶部70には、たとえば、自己設定情報71、接続親機情報72、ジョブリスト要求73、受信ジョブリスト応答74、印刷情報要求75、受信印刷情報76、無応答親機情報77、応答確認時間78、要求保留時間79などが記憶される。
【0089】
自己設定情報71は、画像形成装置が子機であることを意味する情報であり、この印刷制御システムの運用を開始する場合や、印刷制御システムに、新たな子機を導入する場合に、印刷制御システムの管理担当者等によって、予め設定記憶される。
図4Bに、子機の記憶部70に記憶される情報(自己設定情報)の一実施例の説明図を示す。
図4Bに示す自己設定情報71では、たとえば、識別情報と、装置区別と、IPアドレスとからなるものを示している。ただし、これらの情報に限定されるものではない。
【0090】
識別情報は、画像形成装置を識別するための情報であり、装置名や、装置の固有番号など、その画像形成装置を印刷制御システムに属する他の画像形成装置と区別するために付けられた情報である。図4Bでは、「C001」という識別情報が設定されている。
装置区別は、画像形成装置が子機であることを設定した情報である。
図4Bに示すように、たとえば、装置区別に「子機」が設定された場合、その画像形成装置は、子機として機能する。
【0091】
IPアドレスは、ネットワーク10に接続された通信機器を識別するために、機器ごとに付与される情報であり、一般的に、グローバルIPアドレス、またはプライベートIPアドレスのどちらかが、画像形成装置ごとに設定される。
図4Bに示す自己設定情報71では、この子機に、「192.168.10.51」というIPアドレスが設定されている。
なお、このIPアドレスを、上記した識別情報として利用してもよい。
【0092】
接続親機情報72は、接続可能な親機の情報である。
接続親機情報72に設定された親機に情報を送信することができ、接続親機情報72に設定された親機から情報を受信できるものとする。
図5Bに、子機の記憶部70に記憶される情報(接続親機情報)の一実施例の説明図を示す。
図5Bに示す接続親機情報72では、たとえば、親機識別情報と、IPアドレスとからなるものを示している。ただし、これらの情報に限定されるものではない。
IPアドレスだけを、接続親機情報72として利用してもよい。
親機識別情報は、上記した自己設定情報31の識別情報(装置名)に相当する。
図5Bでは、3台の親機識別情報(P01、P02、P03)とIPアドレスとが記憶されており、この接続親機情報72が予め記憶されている子機は、この3台の親機と、情報通信が可能である。
【0093】
ジョブリスト要求73は、上記したように、親機に一時保存されている印刷データのジョブ名を、ジョブリスト要求を送信してきた子機等に送ることを要求するデータである。
図7に、子機の記憶部70に記憶される情報(ジョブリスト要求)の一実施例の説明図を示す。
図7のジョブリスト要求73では、要求装置名、宛先親機名、ユーザ名、要求内容からなるものを示している。ただし、これらの情報に限定されるものではない。
【0094】
要求内容は、親機に対して要求される条件を示したものであり、特定のユーザのジョブリストを要求する場合には、たとえば、「ユーザのジョブリスト」が設定される。
要求装置名は、ジョブリスト要求を送信する子機の装置名であり、子機のIPアドレスを利用してもよい。
宛先親機名は、ジョブリストを返信することを要求される親機の装置名であり、親機のIPアドレスを利用してもよい。
ユーザ名は、親機に一時保存されている印刷データの所有者を指定したものである。
ジョブリスト要求73の要求内容が「ユーザのジョブリスト」の場合、指定されたユーザ名のユーザによって記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリストが要求されることを意味する。
【0095】
図7には、2つのジョブリスト要求73の例を示している。
1つ目のジョブリスト要求73は、子機C006から、親機P01に送信されるジョブリスト要求73であり、要求装置名がC006、宛先親機名がP01、ユーザ名がUS1111、要求内容が「ユーザのジョブリスト」である。
このジョブリスト要求73は、親機P01に一時保存されているユーザ名US1111の印刷データのジョブ名を含むジョブリストを、子機C006に送信することを要求するものである。
また、2つ目のジョブリスト要求73は、子機C006から、親機P02に送信されるジョブリスト要求73であり、親機P02に一時保存されているユーザ名US1111の印刷データのジョブ名を含むジョブリストを、子機C006に送信することを要求するものである。
【0096】
ジョブリストを要求する条件として、特定のユーザ以外を設定したい場合は、要求内容に、他の条件を設定してもよい。
たとえば、特定の文書名が付与されたファイルのみのジョブリストを要求する場合は、要求内容に、「特定の文書名のジョブリスト」を設定し、ユーザ名以外に、「文書名」の欄を設け、「報告書」というような文書名を設定してもよい。
なお、ジョブリスト要求73が、特定のユーザのジョブリストを要求するものに限定される場合は、要求内容はなくてもよい。
【0097】
詳細は後述するが、親機に対して、特定のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストを子機に送信することを要求する場合、子機のジョブリスト要求部61が、ユーザの識別情報(たとえば、ユーザ名)を含めたジョブリスト要求を、接続親機情報72に記憶された親機に送信する。
そして、親機のジョブリスト要求取得部22が、ジョブリスト要求を取得した場合、印刷ジョブ応答部23が、親機の記憶部30に記憶されている印刷データのうち、ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データがある場合に、ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストを含むジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機に送信する。
【0098】
一方、親機のジョブリスト要求取得部22が、ジョブリスト要求を取得した場合、
印刷ジョブ応答部23が、親機の記憶部30に記憶されている印刷データのうち、ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データがない場合に、ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリストがないことを示したジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機に送信する。
【0099】
受信ジョブリスト応答74は、親機に送信されたジョブリスト要求73に対して、その親機から返信された応答内容であり、上記したように、図8に示したようなジョブリスト応答35に相当する。
子機では、受信ジョブリスト応答74を確認することにより、子機からジョブリスト要求73を送信した親機が、指定したユーザのジョブリストを有するか否かが分かり、ジョブリストを有する場合は、そのジョブリストに含まれる保存ジョブ名が取得される。
【0100】
印刷情報要求75は、親機に、子機で印刷しようとする印刷データを要求するための情報である。
たとえば、ユーザが、子機において、ジョブリストに含まれる保存ジョブ名のうち、印刷したいジョブ名を選択し印刷開始を意味する入力操作をした場合に、印刷情報要求75が、その子機から親機に送信される。
図9に、子機の記憶部70に記憶される情報(印刷情報要求)の一実施例の説明図を示す。
図9の印刷情報要求75では、子機名、宛先親機名、ユーザ名、要求ジョブ名、要求内容からなるものを示している。
【0101】
要求内容は、印刷情報要求75が、印刷ファイルそのものを送信することを要求するデータであることを示す情報であり、たとえば、「印刷ファイル」という情報が設定される。
子機名は、印刷情報要求75を送信する子機の識別情報であり、宛先親機名は、印刷情報要求75が送信される親機の識別情報である。
ユーザ名は、印刷しようとする印刷データの所有者を指定したものである。
要求ジョブ名は、印刷しようとする印刷データのジョブ名を指定したものである。
ユーザ名と要求ジョブ名とによって、親機から子機に送信してほしい印刷データが特定される。
【0102】
図9には、2つの印刷情報要求75の例を示している。
1つ目の印刷情報要求75は、子機C006から、親機P02に送信される印刷情報要求75であり、子機名がC006、宛先親機名がP02、ユーザ名がUS1111、要求ジョブ名がF101とF103、要求内容が「印刷ファイル」である。
この印刷情報要求75は、親機P02に一時保存されている印刷データのうち、ユーザ名US1111と2つの要求ジョブ名F101、F103で特定される2つの印刷データを、子機C006に送信することを要求するものである。
2つ目の印刷情報要求75は、子機C004から、親機P01に送信される印刷情報要求75であり、この印刷情報要求75は、親機P01に一時保存されている印刷データのうち、ユーザ名US2222と要求ジョブ名F201で特定される印刷データを、子機C004に送信することを要求するものである。
【0103】
受信印刷情報76は、親機から子機に送られてきた印刷応答情報に含まれる印刷情報である。
たとえば、上記した図10の印刷応答情報37に示したように、ユーザ名、印刷ジョブ名、日付、印刷設定と、印刷データそのものを含む情報が、受信印刷情報76に相当する。
子機では、この受信印刷情報76を利用して、印刷データの印刷が実行される。
【0104】
無応答親機情報77は、子機から送信したジョブリスト要求に対して、所定の期間(後述する応答確認時間78)内に、ジョブリスト応答を返信しなかった親機の情報を記憶したものである。
子機から親機に対してジョブリスト要求を送信した場合、通常、数秒以内に、ジョブリスト要求に対する応答が返信されるはずである。
ジョブリスト要求に対する応答が返信されない場合は、ジョブリスト要求を送信した宛先の親機が、何らかの故障が生じている場合や、メンテナンス中で、通信ができない停止状態であることが考えられる。
このように、ジョブリスト要求を送信した親機が、通信ができない停止状態であり、後述する応答確認時間内に、ジョブリスト応答の返信がなかった場合に、その親機を、無応答親機情報77に記憶する。
【0105】
図11に、子機の記憶部70に記憶される情報(無応答親機情報)の一実施例の説明図を示す。
図11の無応答親機情報77では、親機名と、タイマーT2残時間からなるものを示している。
ここで、親機名は、応答確認時間内に、ジョブリスト応答の返信がなかった親機を識別する情報である。
タイマーT2残時間は、後述する要求保留時間79に相当するタイマーT2の残時間を記憶したものである。
図11では、親機名P02の親機が、ジョブリスト応答の返信がなかった親機であり、その親機におけるタイマーT2の残時間が10分であることが記憶されている。
ジョブリスト応答の返信がなかった親機が複数ある場合は、その複数の親機ごとに、親機名とタイマーT2残時間とが対応付けて記憶される。
【0106】
応答確認時間78が経過した後に、要求保留時間79に相当するタイマーT2が起動され、予め設定された要求保留時間(たとえば、10分)が計時される。
この要求保留時間79の経過を確認するために、タイマーT2の残時間が記憶される。
親機からのジョブリスト応答の受信を確認するための応答確認時間78が経過するタイミング、すなわちタイマーT2を起動させるタイミングは、親機によって異なる場合があるので、タイマーT2残時間は、無応答であった親機の親機名と対応付けて記憶する。
ただし、ジョブリスト応答の返信がなかった親機が複数ある場合において、親機ごとにタイマーT2を起動させるタイミングが同一である場合は、タイマーT2残時間は、無応答であった親機の親機名と対応付けずに、記憶してもよい。
【0107】
応答確認時間78は、子機から親機にジョブリスト要求を送信した後、親機から返信されるジョブリスト応答を確認する時間である。
子機から親機にジョブリスト要求を送信したときに、応答確認時間78を計時するために、タイマーT1が起動される。
タイマーT1がタイムアウトするまで、ジョブリスト応答が受信されるのをチェックする。
図12に、子機の記憶部70に記憶される情報(応答確認時間)の一実施例の説明図を示す。
図12では、応答確認時間78として、15秒が設定記憶されている。
ただし、応答確認時間78は、15秒に限定されるものではない。
応答確認時間78は、予め固定的に設定してもよいが、システムの運用状況や接続可能な親機の数等によって、変更できるようにしてもよい。
【0108】
この発明では、特に、ジョブリスト要求を送信した子機が、所定の応答確認時間内に、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報77に記憶し、子機が、次回のジョブリスト要求を送信する場合において、接続親機情報72に記憶された親機のうち、無応答親機情報77に記憶されている親機以外の親機に、ジョブリスト要求を送信することを特徴とする。
【0109】
無応答親機情報77に記憶されている親機は、応答確認時間78が経過しても、ジョブリスト応答を返信しなかったので、子機からこの親機に、次回のジョブリスト要求を送信しても、ジョブリスト応答を返信しない可能性があり、子機で操作をするユーザは、また応答確認時間が経過するのを待たされる可能性がある。
そこで、無応答親機情報77に記憶されている親機には、次回のジョブリスト要求を送信せずに、無応答親機情報77に記憶されている親機以外の親機、すなわち、ジョブリスト応答を返信してきた親機に、ジョブリスト要求を送信する。
【0110】
要求保留時間79は、ジョブリスト要求の送信を制限する時間であり、応答確認時間内にジョブリスト応答の返信がなかった親機、すなわち、無応答親機情報77に記憶されている親機に対して、ジョブリスト要求を送信しない時間を予め設定記憶したものである。
無応答親機情報77に記憶されている親機は、前回のジョブリスト要求に対して応答を返信しなかったので、停止状態が解消されていない場合は、その親機に再度ジョブリスト要求を送信しても、次の応答確認時間内でもジョブリスト応答が返信されない可能性がある。
【0111】
たとえば、子機から複数の親機に対してジョブリスト要求を送信し、ジョブリスト要求を送信した親機からのジョブリスト応答の返信を待って、ジョブリストの表示と印刷ファイルの選択を行う場合、1つの親機からのジョブリスト応答の返信がないために、ユーザは、ジョブリストを確認したくても、常に、応答確認時間78が経過するのを待たされる。
ジョブリスト応答を返信しない停止状態の親機が、ジョブリストを有する親機である場合は、ジョブリストを表示させることはできないので、応答確認時間78が経過するのを待つのは当然である。
【0112】
しかし、ジョブリストを有する親機からジョブリスト応答の返信を受信したとしても、他の1つの親機からのジョブリスト応答の返信がない場合は、応答確認時間78が経過した後に、ジョブリストの表示が行われる。
すなわち、他の1つの親機からのジョブリスト応答の返信がない場合は、ユーザは、常に、応答確認時間78が経過するのを待たされ、応答確認時間78が経過した後でないと、印刷ファイルの選択を行うことができず、ユーザの利便性が悪い。
【0113】
そこで、応答確認時間78が経過した後に、要求保留時間79の計時を開始し、次回のジョブリスト要求を複数の親機に送信しようとする場合、応答確認時間78が経過するのを再度待たされることがないようにするために、要求保留時間79の計時中は、ジョブリスト応答の返信がなかった親機に対して、ジョブリスト要求を送信しないようにする。
【0114】
図13に、子機の記憶部70に記憶される情報(要求保留時間)の一実施例の説明図を示す。
要求保留時間79は、タイマーT2によって計時されるものとし、タイマーT2が起動されるときの初期値が、要求保留時間79として予め設定記憶される。
図13では、要求保留時間79として、10分が設定記憶されているものを示している。
ただし、10分に限定するものではなく、システムの使用状況等などによって、変更できるようにしてもよい。
【0115】
応答確認時間78を計時するタイマーT1がタイムアウトした場合、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を無応答親機情報に記憶した後、ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間79を計時するタイマーT2を起動させる。
要求保留時間79が経過するまで、すなわち、タイマーT2が起動中は、接続親機情報72に記憶された親機のうち、無応答親機情報77に記憶されている親機以外の親機に、ジョブリスト要求を送信し、無応答親機情報77に記憶されている親機に対しては、ジョブリスト要求を送信しないようにする。
【0116】
ただし、無応答親機情報77に記憶されている親機が停止状態でなくなる場合もあるので、タイマーT2がタイムアウトした場合は、前回ジョブリスト要求を送信しなかった親機にもジョブリスト要求を送信するようにすることが好ましい。
すなわち、要求保留時間79が経過した後は、接続親機情報72に記憶された親機に、ジョブリスト要求を送信するようにする。
【0117】
<この発明の印刷制御システムの印刷制御方法の概要>
以下に、この発明の印刷制御システムに属する親機と子機との間で行われる印刷制御方法の一実施例の概要について説明する。
(親機:印刷データの保存ステップ)
複数の親機のうち、少なくとも任意の第1の親機に、1または複数の印刷データ(印刷情報33)を保存する。
【0118】
(子機:ジョブリスト要求ステップ)
複数の子機のうち、任意の第1の子機から、印刷データのジョブ名からなるジョブリストを第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求73を、第1の子機に予め記憶された接続親機情報72に設定されている親機に送信する。
(子機:タイマーT1起動ステップ)
第1の子機が、ジョブリスト要求73を送信した後に、所定の応答確認時間78を計時するタイマーT1を起動させる。
【0119】
(親機:ジョブリスト要求取得ステップ)
接続親機情報72に設定されている親機が、ジョブリスト要求(受信ジョブリスト要求34)を取得する。
(親機:印刷ジョブ応答ステップ)
印刷データを保存している第1の親機が、取得したジョブリスト要求に対する返信として、保存されている印刷データのジョブ名からなるジョブリストを含むジョブリスト応答35を、第1の子機に送信する。
【0120】
(子機:ジョブリスト応答取得ステップ)
第1の子機が、ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答(受信ジョブリスト応答74)を取得する。
(子機:無応答親機情報の記憶ステップ)
第1の子機が、応答確認時間78が経過するまでに、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を検出した場合に、ジョブリスト応答を返信しなかった親機を、無応答親機情報77に記憶する。
【0121】
(子機:次回のジョブリスト要求ステップ)
第1の子機が、次回にジョブリスト要求73を送信する「ジョブリスト要求ステップ」を実行する場合において、接続親機情報に設定された親機のうち、無応答親機情報77に記憶されている親機以外の親機に、ジョブリスト要求73を送信する。
【0122】
また、次のように、ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間79を計時するタイマーT2を起動させて、要求保留時間79が経過するまでにジョブリスト要求を送信する親機と、要求保留時間79が経過した後においてジョブリスト要求を送信する親機とを異ならせてもよい。
(子機:タイマーT2起動ステップ)
第1の子機が、上記した「無応答親機情報の記憶ステップ」の後、ジョブリスト要求の送信を制限する時間である要求保留時間79を計時するタイマーT2を起動させる。
【0123】
(子機:要求保留時間が経過するまでのジョブリスト要求ステップ)
第1の子機が、次回にジョブリスト要求を送信する「ジョブリスト要求ステップ」を実行する場合において、要求保留時間79が経過するまでは、接続親機情報72に記憶された親機のうち、無応答親機情報77に記憶されている親機以外の親機に、ジョブリスト要求73を送信する。
【0124】
(子機:要求保留時間が経過した後のジョブリスト要求ステップ)
第1の子機が、次回にジョブリスト要求を送信する「ジョブリスト要求ステップ」を実行する場合において、要求保留時間79が経過した後は、接続親機情報72に記憶された親機に、ジョブリスト要求73を送信する。
【0125】
<この発明の印刷制御システムの印刷制御処理>
(印刷制御処理の実施例1)
図15に、この発明の印刷制御システムにおける印刷制御処理の情報通信シーケンスの一実施例の説明図を示す。
ここでは、1つの情報処理装置TEと、3つの親機(P01、P02、P03)と、1つの子機C006の間で行われる情報通信シーケンスについて説明する。
また、3つの親機は、いずれも停止状態ではなく、ジョブリスト応答を送信することができる状態である場合の情報通信シーケンスを示す。
子機C006には、接続親機情報72として、図5Bに示すような3つの親機(P01、P02、P03)の識別情報が記憶されているものとする。
【0126】
図15のステップsa1において、情報処理装置TEで、印刷情報の保存要求がされたとする。
印刷情報の保存要求では、たとえば、情報処理装置TEにおいて、ユーザUS1111が、ユーザの作成した印刷データ(ジョブ名F101の印刷データ)を、親機P02に、保存することを要求する入力操作をする。
この場合、図6の1つ目に示すような印刷情報が作成され、ジョブ名F101の印刷データそのものを含めて、親機P02に送信される。
ステップsc1において、親機P02が、情報処理装置TEから送信された印刷情報を受信し、記憶部30に記憶する。
【0127】
次に、図15のステップse1において、ユーザによる印刷機能の選択入力が行われたとする。
ここで、たとえば、上記と同じユーザUS1111が、子機C006のところに移動し、子機C006の操作部を利用して、所望の機能が選択可能な機能選択画面を表示させて、印刷機能を選択する入力をする。
【0128】
ステップse2、se3、およびse4において、子機C006が、印刷すべき情報を取得するために、ジョブリスト要求を、親機に送信する。
たとえば、図7の一つ目に示すようなジョブリスト要求が送信される。
子機C006には、接続親機情報72として、3つの親機(P01、P02、P03)の識別情報が記憶されているので、3つの親機(P01、P02、P03)に、ジョブリスト要求が送信される。
ステップse5において、タイマーT1を起動させる。
【0129】
ステップsb1、sc2、およびsd1において、3つの親機(P01、P02、P03)がそれぞれ、ジョブリスト要求を受信する。
ジョブリスト要求を受信した親機は、ユーザUS1111が記憶させた印刷データが自己の記憶部30に記憶されているか否かをチェックし、ジョブリスト応答を作成する。
親機P02には、ユーザUS1111の記憶させた印刷データ(ジョブ名F101の印刷データ)が存在するので、保存ジョブ名F101と、「ジョブリスト有り」を含むジョブリスト応答が作成される。
一方、親機P01、P03には、ユーザUS1111の記憶させた印刷データが存在しないとすると、「ジョブリスト無し」を含むジョブリスト応答が作成される。
【0130】
ステップsb2、sc3、およびsd2において、各親機(P01、P02、P03)が、作成したジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機C006に送信する。
ステップse6、se7、およびse8において、子機C006が、ジョブリスト応答を受信する。
【0131】
子機C006では、各親機から受信したジョブリスト応答の内容を確認し、「ジョブリスト有り」を含むジョブリスト応答から、ジョブリストを取得し、ジョブリストに含まれる保存ジョブ名を取得する。
たとえば、図8の一つ目のジョブリスト応答を受信した場合、3つの保存ジョブ名(F101、F102、F103)が取得され、親機P02には、保存ジョブ名がF101、F102、F103である3つの印刷データが記憶されていることが検出される。
【0132】
ステップse9において、取得したジョブリストを、子機C006の表示部53に表示する。
たとえば、図14Aに示すようなジョブリスト表示画面が、子機C006の表示部53に表示される。
【0133】
ステップse10において、ユーザUS1111は、子機C006の表示部53に表示されたジョブリスト表示画面を見て、自己が親機に記憶させておいた印刷データを確認し、印刷させたい印刷データの印刷ジョブ名を選択入力する。
たとえば、図14Aのジョブ表示画面では、印刷させたい印刷データの印刷ジョブ名の選択欄にチェックする。
図14Aでは、2つの印刷ジョブ名(F101、F103)に対応する選択欄にチェックが入力されている状態を示している。
その後、ユーザUS1111は、図14Aに表示された印刷開始実行を選択する入力をする。
【0134】
ステップse11において、子機C006が、「ジョブリスト有り」と保存ジョブ名を含むジョブリスト応答を送信してきた親機P02に、印刷情報要求75を送信する。
印刷情報要求75には、図9の一つ目の印刷情報要求のように、要求ジョブIDとして、選択入力された印刷ジョブ名(F101、F103)が含まれる。
【0135】
ステップsc4において、親機P02が、印刷情報要求を受信する。
親機P02では、印刷情報要求に含まれる印刷ジョブ名の印刷データを、記憶部30から読み出し、印刷応答情報37を作成する。
たとえば、印刷応答情報37には、図10の印刷応答情報37のように、印刷要求ジョブIDとして印刷ジョブ名(F101、F103)が含まれ、この印刷ジョブ名の印刷データそのものも含まれる。
【0136】
ステップsc5において、親機P02が、作成された印刷応答情報37を、子機C006に送信する。
また、親機P02では、印刷応答情報37を送信した後、印刷情報要求に含まれる印刷ジョブ名の印刷データを、記憶部30から削除してもよい。
あるいは、子機C006で印刷が行われ、子機C006から印刷完了通知を受信した後に、親機P02で、その印刷された印刷データを、記憶部30から削除してもよい。
【0137】
ステップse12において、子機C006が、送信された印刷応答情報37を受信する。
ステップse13において、子機C006が、受信された印刷応答情報37に含まれる印刷ジョブ名(F101、F103)の印刷データを取得し、印刷出力部が、印刷データを所定の印刷用紙に印刷する。
【0138】
以上により、印刷制御処理の一連の情報通信シーケンスが終了し、ユーザが親機に記憶させていた印刷データが、その親機とは異なる子機から印刷される。
なお、子機C006から、印刷データを印刷させる情報通信シーケンスを示したが、実際に印刷データを印刷させる画像形成装置は、子機以外に、印刷データが記憶されている親機とは異なる親機でもよい。
【0139】
図15に示した情報通信シーケンスでは、接続可能な親機から、ジョブリスト応答を受信しているので、タイマーT1がタイムアウトするのを待つ必要はなく、3つ目の親機からのジョブリスト応答を受信した後に、直ちに、取得したジョブリストが子機C006に表示される。
【0140】
(印刷制御処理の実施例2)
図16に、この発明の印刷制御システムにおいて、停止状態の親機がある場合の情報通信シーケンスの一実施例の説明図を示す。
ここでも、図15と同様に、1つの情報処理装置TEと、3つの親機(P01、P02、P03)と、1つの子機C006の間で行われる情報通信シーケンスについて説明する。
図15と同じ処理をするステップには、同じステップ番号を付与している。
【0141】
また、図15と異なり、3つの親機のうち、親機P03のみが停止状態にあり、他の親機(P01、P02)は、ジョブリスト応答を送信することができる状態である場合の情報通信シーケンスを示す。
子機C006には、接続親機情報72として、図5Bに示すような3つの親機(P01、P02、P03)の識別情報が記憶されているものとする。
親機P03は、停止状態にあるので、子機C006からのジョブリスト要求などの情報を、受信できない状態とする。
【0142】
図16のステップsa1において、図15と同様に、情報処理装置TEで、印刷情報の保存要求がされたとする。
印刷情報の保存要求では、たとえば、情報処理装置TEにおいて、ユーザUS1111が、ユーザの作成した印刷データ(ジョブ名F101の印刷データ)を、親機P02に、保存することを要求する入力操作をする。
この場合、図6の1つ目に示すような印刷情報が作成され、ジョブ名F101の印刷データそのものを含めて、親機P02に送信される。
ステップsc1において、親機P02が、情報処理装置TEから送信された印刷情報を受信し、記憶部30に記憶する。
【0143】
次に、図16のステップse1において、ユーザによる印刷機能の選択入力が行われたとする。
ここで、図15と同様に、上記と同じユーザUS1111が、子機C006のところに移動し、子機C006の操作部を利用して、所望の機能が選択可能な機能選択画面を表示させて、印刷機能を選択する入力をする。
【0144】
ステップse2、se3、およびse4において、子機C006が、印刷すべき情報を取得するために、ジョブリスト要求を、親機に送信する。
たとえば、図7の一つ目に示すようなジョブリスト要求が送信される。
子機C006には、接続親機情報72として、3つの親機(P01、P02、P03)の識別情報が記憶されているので、3つの親機(P01、P02、P03)に、ジョブリスト要求が送信される。
ステップse5において、タイマーT1を起動させる。
【0145】
ステップsb1とsc2において、2つの親機(P01、P02)がそれぞれ、ジョブリスト要求を受信する。
ジョブリスト要求を受信した親機は、ユーザUS1111が記憶させた印刷データが自己の記憶部に記憶されているか否かをチェックし、ジョブリスト応答を作成する。
親機P02には、ユーザUS1111の記憶させた印刷データ(ジョブ名F101の印刷データ)が存在するので、保存ジョブ名F101と、「ジョブリスト有り」を含むジョブリスト応答が作成される。
一方、親機P01には、ユーザUS1111の記憶させた印刷データが存在しないとすると、「ジョブリスト無し」を含むジョブリスト応答が作成される。
また、親機P03にも、ジョブリスト要求が送信されたが、親機P03は停止状態なので、ジョブリスト要求が受信されず、ジョブリスト応答は作成されない。
【0146】
ステップsb2とsc3において、2つの親機(P01、P02)が、作成したジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機C006に送信する。
親機P03は停止状態なので、ジョブリスト応答は送信されない。
【0147】
ステップse7とse8において、子機C006が、2つの親機(P01、P02)からのジョブリスト応答を受信する。
親機P03からのジョブリスト応答は受信されずに、ステップse21において、タイマーT1のタイムアウトが検出される。
【0148】
タイマーT1のタイムアウトが検出されたとき、接続親機情報72に記憶された3つの親機(P01、P02、P03)のうち、親機P03からのジョブリスト応答が受信されていないことがわかる。
そこで、ステップse22において、無応答親機情報77に、親機P03を記憶し、ステップse23において、タイマーT2を起動させる。
【0149】
ステップse21で、タイマーT1のタイムアウトが検出された後、子機C006では、2つの親機から受信したジョブリスト応答の内容を確認し、「ジョブリスト有り」を含むジョブリスト応答から、ジョブリストを取得し、ジョブリストに含まれる保存ジョブ名を取得する。
たとえば、図8の一つ目のジョブリスト応答を受信した場合、3つの保存ジョブ名(F101、F102、F103)が取得され、親機P02には、保存ジョブ名がF101、F102、F103である3つの印刷データが記憶されていることが検出される。
【0150】
ステップse9において、取得したジョブリストを、子機C006の表示部53に表示する。
たとえば、図15のシーケンスと同様に、図14Aに示すようなジョブリスト表示画面が、子機C006の表示部53に表示される。
【0151】
その後、図15に示したステップse10からステップse13までの処理と、ステップsc4とsc5の処理が実行される。
ステップse10において、ユーザUS1111によって、子機C006の表示部53に表示されたジョブリスト表示画面を見て、印刷させたい印刷データの印刷ジョブ名の選択入力と、印刷開始実行の選択入力が行われると、ステップse11において、子機C006から、親機P02に、印刷情報要求75が送信される。
印刷情報要求75には、図9の一つ目の印刷情報要求のように、要求ジョブ名として、選択入力された印刷ジョブ名(F101、F103)が含まれる。
【0152】
ステップsc4において、親機P02が、印刷情報要求を受信すると、親機P02では、印刷情報要求に含まれる印刷ジョブ名の印刷データを、記憶部30から読み出し、印刷応答情報37を作成して、ステップsc5において、子機C006に送信する。
印刷応答情報37には、図10の印刷応答情報37のように、印刷要求ジョブIDとして印刷ジョブ名(F101、F103)が含まれ、この印刷ジョブ名の印刷データそのものも含まれる。
【0153】
ステップse12において、子機C006が、送信された印刷応答情報37を受信すると、ステップse13において、受信された印刷応答情報37に含まれる印刷ジョブ名(F101、F103)の印刷データを取得し、子機C006の印刷出力部が、印刷データを所定の印刷用紙に印刷する。
【0154】
以上により、印刷制御処理の一連の情報通信シーケンスが終了し、ユーザが親機に記憶させていた印刷データが、その親機とは異なる子機から印刷される。
なお、子機C006から、印刷データを印刷させる情報通信シーケンスを示したが、実際に印刷データを印刷させる画像形成装置は、子機以外に、印刷データが記憶されている親機とは異なる親機でもよい。
【0155】
図16に示した情報通信シーケンスでは、接続可能な親機のうち、停止状態にある1つの親機P03から、ジョブリスト応答を受信できないので、タイマーT1がタイムアウトするのを待って、取得したジョブリストが子機C006に表示される。
したがって、ジョブリストが表示されるタイミングが遅く、ユーザは、印刷ジョブ名の選択入力をするのを待たされる。
【0156】
しかし、図16のステップse22において、無応答親機情報77に親機P03を記憶し、ステップse23において、タイマーT2を起動させるので、次回のジョブリスト要求を親機に送信する場合、後述する図17に示すように、タイマーT2の起動中は、無応答親機情報77に記憶された親機P03には、ジョブリスト要求を送信しないようにする。
したがって、子機において、次回の印刷機能の選択入力をする場合、タイマーT1がタイムアウトするのを待たずに、2つの親機(P01、P02)からのジョブリスト応答を受信した後に、直ちに、取得したジョブリストを表示させることが可能となる。
【0157】
(印刷制御処理の実施例3)
図17に、この発明の印刷制御システムにおいて、停止状態の親機があり、要求保留時間のタイマーが起動中の場合の情報通信シーケンスの一実施例の説明図を示す。
ここでも、図15と同様に、1つの情報処理装置TEと、3つの親機(P01、P02、P03)と、1つの子機C006の間で行われる情報通信シーケンスについて説明する。
図15と同じ処理をするステップには、同じステップ番号を付与している。
【0158】
また、図15と異なり、3つの親機のうち、親機P03のみが停止状態にあり、他の親機(P01、P02)は、ジョブリスト応答を送信することができる状態であり、図16と異なり、子機C006がタイマーT2の起動中である場合の情報通信シーケンスを示す。
子機C006には、接続親機情報72として、図5Bに示すような3つの親機(P01、P02、P03)の識別情報が記憶されているものとする。
親機P03は、停止状態にあるので、子機C006からのジョブリスト要求などの情報を、受信できない状態とする。
【0159】
図17のステップsa1において、図15と同様に、情報処理装置TEで、印刷情報の保存要求がされたとする。
印刷情報の保存要求では、たとえば、情報処理装置TEにおいて、ユーザUS1111が、ユーザの作成した印刷データ(ジョブ名F101の印刷データ)を、親機P02に、保存することを要求する入力操作をする。
この場合、図6の1つ目に示すような印刷情報が作成され、ジョブ名F101の印刷データそのものを含めて、親機P02に送信される。
ステップsc1において、親機P02が、情報処理装置TEから送信された印刷情報を受信し、記憶部30に記憶する。
【0160】
次に、図17のステップse1において、ユーザによる印刷機能の選択入力が行われたとする。
ここで、図15と同様に、上記と同じユーザUS1111が、子機C006のところに移動し、子機C006の操作部を利用して、所望の機能が選択可能な機能選択画面を表示させて、印刷機能を選択する入力をする。
【0161】
ステップse3とse4において、子機C006が、印刷すべき情報を取得するために、ジョブリスト要求を、親機に送信する。
たとえば、図7の一つ目に示すようなジョブリスト要求が送信される。
ここで、図15図16と異なり、無応答親機情報77に親機P03が記憶されており、タイマーT2が起動中であるとすると、3つの親機(P01、P02、P03)のうち、無応答親機情報77に記憶されている親機P03には、ジョブリスト要求を送信しないで、他の親機(P01、P02)に、ジョブリスト要求を送信する。
ステップse5において、タイマーT1を起動させる。
【0162】
ステップsb1とsc2において、2つの親機(P01、P02)がそれぞれ、ジョブリスト要求を受信する。
ジョブリスト要求を受信した親機は、ユーザUS1111が記憶させた印刷データが自己の記憶部に記憶されているか否かをチェックし、ジョブリスト応答を作成する。
親機P02には、ユーザUS1111の記憶させた印刷データ(ジョブ名F101の印刷データ)が存在するので、保存ジョブ名F101と、「ジョブリスト有り」を含むジョブリスト応答が作成される。
一方、親機P01には、ユーザUS1111の記憶させた印刷データが存在しないとすると、「ジョブリスト無し」を含むジョブリスト応答が作成される。
なお、親機P03にはジョブリスト要求が送信されないので、親機P03ではジョブリスト応答が作成されることはない。
【0163】
ステップsb2とsc3において、2つの親機(P01、P02)が、作成したジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機C006に送信する。
親機P03からは、ジョブリスト応答は送信されない。
【0164】
ステップse7とse8において、子機C006が、2つの親機(P01、P02)からのジョブリスト応答を受信する。
子機C006では、各親機から受信したジョブリスト応答の内容を確認し、「ジョブリスト有り」を含むジョブリスト応答から、ジョブリストを取得し、ジョブリストに含まれる保存ジョブ名を取得する。
たとえば、図8の一つ目のジョブリスト応答を受信した場合、3つの保存ジョブ名(F101、F102、F103)が取得され、親機P02には、保存ジョブ名がF101、F102、F103である3つの印刷データが記憶されていることが検出される。
【0165】
この場合、ジョブリスト要求を送信した親機(P01、P02)からのジョブリスト応答を受信したので、タイマーT1がタイムアウトするのを待つことなく、次のステップのジョブリストの表示が行われる。
ステップse9において、取得したジョブリストを、子機C006の表示部53に表示する。
たとえば、図15のシーケンスと同様に、図14Aに示すようなジョブリスト表示画面が、子機C006の表示部53に表示される。
【0166】
その後、図15に示したステップse10からステップse13までの処理と、ステップsc4とsc5の処理が実行される。
ステップse10において、ユーザUS1111によって、子機C006の表示部53に表示されたジョブリスト表示画面を見て、印刷させたい印刷データの印刷ジョブ名の選択入力と、印刷開始実行の選択入力が行われると、ステップse11において、子機C006から、親機P02に、印刷情報要求75が送信される。
印刷情報要求75には、図9の一つ目の印刷情報要求のように、要求ジョブIDとして、選択入力された印刷ジョブ名(F101、F103)が含まれる。
【0167】
ステップsc4において、親機P02が、印刷情報要求を受信すると、親機P02では、印刷情報要求に含まれる印刷ジョブIDの印刷データを、記憶部30から読み出し、印刷応答情報37を作成して、ステップsc5において、子機C006に送信する。
印刷応答情報37には、図10の印刷応答情報37のように、印刷要求ジョブIDとして印刷ジョブ名(F101、F103)が含まれ、この印刷ジョブ名の印刷データそのものも含まれる。
【0168】
ステップse12において、子機C006が、送信された印刷応答情報37を受信すると、ステップse13において、受信された印刷応答情報37に含まれる印刷ジョブ名(F101、F103)の印刷データを取得し、子機C006の印刷出力部が、印刷データを所定の印刷用紙に印刷する。
【0169】
以上により、印刷制御処理の一連の情報通信シーケンスが終了し、ユーザが親機に記憶させていた印刷データが、その親機とは異なる子機から印刷される。
なお、子機C006から、印刷データを印刷させる情報通信シーケンスを示したが、実際に印刷データを印刷させる画像形成装置は、子機以外に、印刷データが記憶されている親機とは異なる親機でもよい。
【0170】
図17に示した情報通信シーケンスでは、無応答親機情報77に親機P03を記憶し、タイマーT2が起動している場合は、無応答親機情報77に記憶された親機P03には、ジョブリスト要求を送信しないようにし、前回ジョブリスト応答が返信された親機(P01、P02)にジョブリスト要求を送信している。
したがって、子機において、次回の印刷機能の選択入力をする場合、まだ停止状態にありジョブリスト応答が返信されない可能性のある親機P03にはジョブリスト要求を送信せず、ジョブリスト応答が返信される可能性のある親機(P01、P02)に対してジョブリスト要求を送信するので、タイマーT1がタイムアウトするのを待たずに、2つの親機(P01、P02)からのジョブリスト応答を受信した後に、直ちに、取得したジョブリストを表示させることが可能となる。
【0171】
(印刷制御処理の実施例4)
図18に、この発明の印刷制御システムにおいて、要求保留時間のタイマーT2がタイムアウトした後の情報通信シーケンスの一実施例の説明図を示す。
ここでも、図15と同様に、1つの情報処理装置TEと、3つの親機(P01、P02、P03)と、1つの子機C006の間で行われる情報通信シーケンスについて説明する。
図15と同じ処理をするステップには、同じステップ番号を付与している。
子機C006には、接続親機情報72として、図5Bに示すような3つの親機(P01、P02、P03)の識別情報が記憶されているものとする。
【0172】
また、図17と異なり、子機C006で起動中であった要求保留時間のタイマーT2がタイムアウトした後であり、無応答親機情報77に記憶されていた親機P03の情報が、無応答親機情報77から削除されるものとする。
子機C006では、親機P03が停止状態から復旧し、子機C006からのジョブリスト要求などの情報を受信できる状態になっているか否かは不明であるが、無応答親機情報77に記憶されていた親機の情報が削除されたので、接続可能な親機(P01、P02、P03)に、ジョブリスト要求を送信するものとする。
【0173】
さらに、図18では、停止状態にあった親機P03が復旧し、他の画像形成装置と通信可能な状態になっているものとする。
親機P03が停止状態から復旧したので、親機(P01、P02、P03)は、子機C006からのジョブリスト要求などの情報を、受信できる状態となっている。
【0174】
図18において、情報処理装置TEと、3つの親機(P01、P02、P03)と、子機C006との間で、正常な情報通信が可能な状態であり、ジョブリスト要求の受信や、ジョブリスト応答の受信も通常通り行える状態になっていたとすると、図15と同様の情報通信シーケンスが実行される。
したがって、図18に示した情報通信シーケンスでは、要求保留時間のタイマーT2がタイムアウトした後、接続可能な親機(P01、P02、P03)が、子機C006との通信ができる状態となっている場合、図15に示したステップsa1からステップse13までと同様の処理が行われ、印刷データの印刷が行われる。
すなわち、図18に示した情報通信シーケンスは、図15と同様なので、説明を省略する。
【0175】
一方、もし、要求保留時間のタイマーT2がタイムアウトした後も、親機P03が復旧しておらずまだ停止状態にある場合は、ジョブリスト要求を親機P03に送信しても、ジョブリスト要求が親機P03に受信されないので、図16に示した情報通信シーケンスと同様の処理が実行されることになる。
【0176】
要求保留時間のタイマーT2に設定される時間が短すぎる場合は、親機P03が復旧しておらずまだ停止状態にある可能性が高く、図16に示した情報通信シーケンスと同様の処理が実行され、何度も、タイマーT1がタイムアウトするような状態が発生し、ユーザは、ジョブリストの確認を待たされる場合がある。
ただし、一時的な短時間の通信障害や、一定の短時間で行われるメンテナンスによる停止状態などを考慮して、要求保留時間を適切に設定しておくことによって、何度も、タイマーT1がタイムアウトするような状態が発生することを回避し、ユーザがジョブリストの確認することを待たされる回数を減らすことが可能となる。
【0177】
<この発明の子機における印刷制御処理の実施例>
図19図20および図21に、画像形成装置の子機における印刷制御処理の一実施例のフローチャートを示す。
図15から図18に、印刷制御システムの各装置間で行われる情報通信シーケンスを示した。ここでは、これらの情報通信シーケンスで実行される子機における一連の印刷制御処理のフローチャートを説明する。
前提として、図15等の情報通信シーケンスに示したように、ユーザが、情報処理装置TEにおいて、所定の親機に自己の印刷データを記憶させる入力操作(印刷情報保存要求操作)をして、その親機に印刷情報が送信されてユーザの印刷情報が一時保存されているものとする。
【0178】
図19のステップS1において、印刷機能の選択入力がされたか否かをチェックする。
情報処理装置TEで上記の印刷情報保存要求操作をしたユーザが、所望の子機のところに移動し、所定の親機に記憶させた自己の印刷データを印刷するために、印刷機能を実行させるために、印刷機能を選択する入力操作をする。このとき、入力操作をしたユーザのユーザ名、あるいは、ユーザの識別情報を記憶する。
なお、ユーザが、子機を使用する権限を有する者であるか否かを確認するために、上記の入力操作をする前に、ユーザの認証処理をしてもよい。
ステップS2において、ユーザによって印刷機能が選択入力された場合は、ステップS3に進み、そうでない場合は、ステップS1に戻る。
【0179】
ステップS3において、子機の記憶部70に記憶されている接続親機情報72を読み出す。
ステップS4において、無応答親機情報77を読み出し、無応答の親機が記憶されているか否かをチェックする。
ステップS5において、無応答親機情報77に、無応答の親機が記憶されていない場合は、ステップS10に進み、そうでない場合は、ステップS6に進む。
【0180】
ステップS6において、無応答の親機のタイマーT2がタイムアウトしているか否かをチェックする。
図11に示すように、無応答親機情報77に、無応答の親機の親機名と対応付けて、タイマーT2の残時間が記憶されている場合は、このタイマーT2の残時間がゼロになっているか否かを確認すればよい。
ステップS7において、タイマーT2がタイムアウトしている場合は、ステップS9に進み、そうでない場合は、ステップS8に進む。
【0181】
ステップS8において、要求保留時間を計時するタイマーT2がまだ起動中であるので、無応答親機情報77に記憶されている無応答の親機以外の親機に、ジョブリスト要求を送信する。
ジョブリスト要求を送信する親機は、読み出した接続親機情報72に記憶されている親機のうち、無応答親機を除いた親機である。
ジョブリスト要求は、たとえば、図7に示したような情報であり、印刷機能の選択入力をしたユーザのユーザ名が含まれる。
【0182】
タイマーT2が起動中は、無応答の親機はまだ停止状態にある可能性が高いと考えて、ジョブリスト要求を送信しない。
タイマーT2が起動中において、無応答の親機にジョブリスト要求を送信しないことにより、応答確認時間を計時するタイマーT1がタイムアウトするまで、ジョブリスト応答が受信されるのを待つことを少なくすることができる。
一方、無応答の親機以外の親機は、停止状態にある可能性が低く、ジョブリスト応答を返信すると考えて、ジョブリスト要求を送信する。
【0183】
ジョブリスト要求を受信した親機は、ジョブリスト要求に含まれるユーザ名を確認し、ジョブリスト応答を作成し、ジョブリスト要求を送信してきた親機に、ジョブリスト応答を送信する。
親機が、ユーザが記憶させた印刷データを記憶している場合は、その印刷データの保存ジョブ名を含めたジョブリスト応答を送信する。
親機が、ユーザが記憶させた印刷データを記憶していない場合は、「ジョブリスト有無」に「無し」を設定したジョブリスト応答を送信する。
【0184】
ステップS9において、要求保留時間を計時するタイマーT2がタイムアウトしたので、無応答親機情報77に記憶されている無応答の親機を削除する。
タイマーT2がタイムアウトした場合は、停止状態にあった無応答の親機が、復旧している場合もあり、ジョブリスト要求等の情報を受信できる状態になっている可能性があると考えて、無応答親機情報77から、無応答親機の情報を削除する。
【0185】
ステップS10において、読み出した接続親機情報72に記憶されている接続可能な親機に、ジョブリスト要求を送信する。
ステップS11において、ジョブリスト要求を送信した後、応答確認時間を計時するタイマーT1を起動させ、図20のステップS21に進む。
【0186】
図20のステップS21において、親機からの返信であるジョブリスト応答が受信されるのをチェックする。
ステップS22において、ジョブリスト応答が受信された場合、ステップS23に進み、そうでない場合は、ステップS21に戻る。
ジョブリスト応答は、たとえば、図8に示すような情報である。
【0187】
ステップS23において、受信したジョブリスト応答の内容を確認し、ジョブリスト応答を送信した親機名を記憶する。ここで、ジョブリスト応答に含まれるユーザ名が、ジョブリスト要求に含まれるユーザ名と同一であることも確認し、ジョブリスト応答がジョブリスト要求に対する返信である場合に、親機名を記憶する。
【0188】
ステップS24において、受信したジョブリスト応答の内容を確認し、ジョブリスト応答の「ジョブリスト有無」が、「有り」になっている場合は、ステップS25に進み、そうでない場合は、ステップS26に進む。
ステップS25において、受信したジョブリスト応答に含まれる「保存ジョブ名」を記憶し、ステップS26に進む。
【0189】
ステップS26において、ステップS23で記憶されたジョブリスト応答を送信した親機名を確認して、ジョブリスト要求を送信した親機(送信対象全親機)から、ジョブリスト応答を受信したか否かをチェックする。
ステップS27において、送信対象全親機から、ジョブリスト応答を受信した場合、ステップS28に進み、そうでない場合は、ステップS29に進む。
【0190】
ステップS28において、ジョブリストを表示する。
すなわち、受信したジョブリスト応答に含まれていた「保存ジョブ名」を、表示部53に表示する。
たとえば、図14Aに示すようなジョブリスト表示画面を表示させる。
ユーザは、印刷処理をするために、ジョブリスト表示画面を見て、表示された「保存ジョブ名」のうち、印刷しようとするファイルを選択し、印刷開始入力をすればよい。
その後、図21のステップS41に進む。
【0191】
ステップS29において、応答確認時間を計時するタイマーT1がタイムアウトしているか否かをチェックし、タイムアウトしている場合は、ステップS30に進み、そうでない場合は、ステップS21に戻る。
応答確認時間を計時するタイマーT1がタイムアウトしている場合、応答確認時間を経過しても、ジョブリスト応答を返信してこなかった親機があることを意味する。
【0192】
ステップS30において、ジョブリスト応答を返信してこなかった親機を、無応答親機情報77に記憶する。
さらに、要求保留時間を計時するタイマーT2を起動させる。
【0193】
ステップS31において、ジョブリストを表示する。
ここでは、受信したジョブリスト応答に含まれていた「保存ジョブ名」を、表示部53に表示するが、ジョブリスト応答を返信してこなかった親機があるので、停止状態の親機があることを示す警告も表示してもよい。
たとえば、図14Bに示すようなジョブリスト表示画面を表示させ、「親機P03が停止しています」という警告も表示させる。
これにより、ユーザは、現在、親機P03が使用できないことがわかり、しばらくは、印刷データを一時保存する親機として、親機P03を使用しないように注意することができる。
その後、図21のステップS41に進む。
【0194】
図21のステップS41において、ユーザによって、ジョブリスト表示画面に表示された「保存ジョブ名」のうち、印刷しようとする印刷ジョブ(ジョブ名)の選択入力と、印刷開始入力がされたか否かをチェックする。
ステップS42において、選択入力と印刷開始入力がされた場合は、ステップS43に進み、そうでない場合は、ステップS41に戻る。
【0195】
ステップS43において、ジョブリストを送信してきた親機に、印刷情報要求を送信する。
ここで、「ジョブリスト有無」が「有り」で保存ジョブ名が含まれるジョブリスト応答を送信してきた親機に、ユーザ名と、印刷データのジョブ名を示した「要求ジョブ名」を含む印刷情報要求を送信する。
たとえば、図9に示すような印刷情報要求を送信する。
【0196】
印刷情報要求を受信した親機は、印刷情報要求に含まれるユーザ名と、要求ジョブ名によって特定される印刷データを読み出し、読み出した印刷データそのものを含む印刷応答情報を作成して、印刷情報要求を送信してきた子機に送信する。
たとえば、図10に示すような印刷応答情報を送信する。
【0197】
ステップS44において、印刷応答情報が受信されるか否かをチェックし、印刷応答情報が受信された場合は、ステップS45に進み、そうでない場合は、ステップS44を繰り返すか、または、一定時間経過しても印刷応答情報が受信されない場合は、ステップS43に戻り、印刷情報要求を再送してもよい。
【0198】
ステップS45において、印刷応答情報の内容を確認し、受信印刷情報を取得する。
ステップS46において、取得した受信印刷情報を利用して、これに含まれる印刷ジョブ名の印刷データを、所定の用紙に印刷する。
【0199】
以上の処理により、子機での印刷制御処理が終了し、ユーザが親機に記憶させていた印刷データが、その親機とは異なる子機から印刷される。
なお、親機で印刷データの印刷をすることも可能であり、ユーザが、所望の親機で印刷をする場合は、その親機において、上記した子機での印刷制御処理と同様の処理が実行される。
【0200】
<この発明の印刷制御処理の他の実施形態>
上記した実施形態では、接続可能な複数の親機のうち、最初のジョブリスト要求に対する返信がなかった親機が存在した場合において、その返信がなかった親機を、故障等が原因で停止状態にある親機とみなし、次回にジョブリスト要求を接続可能な複数の親機に送信する場合に、上記の停止状態にある親機に対しては、ジョブリスト要求を送信しないようにして、ユーザの応答待ち時間が発生するのを回避して、ユーザの利便性を向上させる印刷制御システムを示した。
以下には、この実施形態とは異なる機能を有する実施形態について説明する。
【0201】
(他の実施形態1)
画像形成装置の親機において、定期的なメンテナンスが行われる場合や、メンテナンス担当者によって一時的な修理やメンテナンスが行われる場合、親機を、通信ができない停止状態にする必要がある場合がある。
このような場合、メンテナンス担当者によって、意図的に親機を停止状態にさせる前に、たとえば、メンテナンス担当者が所定の停止準備操作を行って、親機から、管理子機情報32に記憶されている子機に、その親機が停止状態になること(停止通知)を、送信してもよい。
また、親機が停止状態になる日時や時間帯が予めわかっている場合は、その日時や時間帯も、停止通知に含めて送信してもよい。
【0202】
停止通知を受信した子機は、通知された日時や時間帯において、停止通知を送信してきた親機に、ジョブリスト要求を送信しないようにする。
これにより、最初のジョブリスト要求を送信する場合から、停止状態にあることがわかっている親機に対してジョブリスト要求を送信しないので、ユーザは、ジョブリスト要求に対する返信を待つ時間が発生するのを回避することができ、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0203】
(他の実施形態2)
画像形成装置の親機において、定期的なメンテナンスが行われた場合や、メンテナンス担当者によって一時的な修理やメンテナンスが行われた場合において、親機のメンテナンス等が終了した後、停止状態から正常状態に復旧した場合に、親機から、管理子機情報32に記憶されている子機に、その親機が復旧したこと(復旧通知)を、送信してもよい。
【0204】
復旧通知を受信した子機は、その後にジョブリスト要求を送信する機会が生じた場合に、復旧通知を送信してきた親機に対して、ジョブリスト要求の送信を再開するようにすればよい。
これにより、復旧した親機から各子機に復旧通知が送信されるので、復旧通知を受信した直後から、子機から復旧通知を送信してきた親機に対してジョブリスト要求を送信することができ、復旧した親機を、印刷データを一時保存する画像形成装置として利用することができるようになり、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0205】
(他の実施形態3)
ジョブリスト要求を送信する機会の有無にかかわらず、子機から、接続可能な親機に対して、定期的に、親機が通信可能状態にあることを確認するための通信確認要求を送信するようにしてもよい。
たとえば、一定時間ごとに、あるいは、1日のうち予め設定した時刻に、通信確認要求を送信すればよい。
通信確認要求を受信した親機は、現在、通信が可能であることを示す通信正常応答を、通信確認要求を送信してきた子機に返信する。
【0206】
子機が通信正常応答を受信した場合、通信正常応答を送信してきた親機に対しては、通常どおり、ジョブリスト要求を送信すればよい。
一方、通信確認要求を送信した後の所定時間内に、通信正常応答を受信しなかった親機P03がある場合、子機は、その親機P03に対するタイマーT2を起動させて、図17に示した情報通信シーケンスと同様に、タイマーT2の起動中は、親機P03には、ジョブリスト要求を送信しないようにする。
これにより、定期的な通信確認をすることによって、停止状態にある親機を検出することができ、最初のジョブリスト要求を送信する場合から、停止状態にある可能性のある親機に対してジョブリスト要求を送信しないので、ユーザは、ジョブリスト要求に対する返信を待つ時間が発生するのを回避することができ、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0207】
(他の実施形態4)
また、ユーザが手動でジョブリスト要求を実施してもよい。
たとえば、子機の操作部52にジョブリスト要求キーを備えるか、または、図22に示すように、子機の表示部53にジョブリスト要求キーを表示し、ジョブリスト要求キーが押された場合に、親機にジョブリスト要求を送信する。親機からジョブリストを受信した場合、ジョブリストを更新する。
この場合、ジョブリスト応答のない親機があったとしても、その親機に対してジョブリスト要求を実施する。これにより、無応答親機情報に記憶された親機だったとしても、既に応答可能な状態であればジョブリスト応答を受信できるため、ユーザはすぐに印刷をすることができる。
【符号の説明】
【0208】
1 画像形成装置(親機)、
2 画像形成装置(子機)、
3 情報処理装置、
10 ネットワーク、
11 制御部、
12 操作部、
13 表示部、
14 画像処理部、
15 通信部、
21 印刷情報取得部、
22 ジョブリスト要求取得部、
23 印刷ジョブ応答部、
24 印刷情報要求取得部、
25 印刷情報応答部、
30 記憶部、
31 自己設定情報、
32 管理子機情報、
33 印刷情報、
34 受信ジョブリスト要求、
35 ジョブリスト応答、
36 受信印刷情報要求、
37 印刷応答情報、
51 制御部、
52 操作部、
53 表示部、
54 画像処理部、
55 通信部、
61 ジョブリスト要求部、
62 ジョブリスト応答取得部、
63 ジョブリスト表示部、
64 印刷情報要求部、
65 印刷情報取得部、
70 記憶部、
71 自己設定情報、
72 接続親機情報、
73 ジョブリスト要求、
74 受信ジョブリスト応答、
75 印刷情報要求、
76 受信印刷情報、
77 無応答親機情報、
78 応答確認時間、
79 要求保留時間
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22