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特許7554147軸組材支持金物、軸組材の支持方法および木造建物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】軸組材支持金物、軸組材の支持方法および木造建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240911BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
E04B1/58 506L
E04B1/26 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021049643
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148105
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】315007581
【氏名又は名称】BXカネシン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】大井 涼
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-132120(JP,A)
【文献】特開2010-095921(JP,A)
【文献】特開平03-059242(JP,A)
【文献】特開2000-319992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0363287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の軸組材の側面に基部側の端面を接合した他の軸組材を支持する軸組材支持金物であって、
一の軸組材の側面にビスやネジ等の固定具で固定するための固定具通し孔が設けられたプレート部材と、
他の軸組材の下面に前記固定具で固定するための固定具通し孔が設けられた他軸組材固定板部と、前記プレート部材に対向するプレート部材対向板部とを備えたアングル部材とを備え、
前記アングル部材の他軸組材固定板部には、ビスやネジ等の仮固定具を挿入して当該アングル部材を他の軸組材に仮固定する共に、少なくとも他の軸組材の長手方向と平行方向の遊びによって前記仮固定後に前記アングル部材を一の軸組材の方へ引寄せるための仮固定具通しルーズ孔が設けられている一方、
前記プレート部材および前記アングル部材のプレート部材対向板部における対向する箇所には、それぞれ、前記アングル部材を前記プレート部材の方へ引寄せるためビスやネジ等の引寄せ具が挿入される引寄せ具通し孔が設けられていることを特徴とする軸組材支持金物。
【請求項2】
請求項1記載の軸組材支持金物において、
前記プレート部材の上部には、凹部が設けられている一方、
前記アングル部材の他軸組材固定板部には、前記プレート部材の凹部に嵌って当該プレート部材に対する前記アングル部材の引寄せを案内する凸部が設けられていることを特徴とする軸組材支持金物。
【請求項3】
請求項2記載の軸組材支持金物において、
一の軸組材の側面と他の軸組材の基部側端面との接合には、
一の軸組材の側面に固定される背板部と、その背板部の左右両側からその背板に対し直交方向に延び、固定ピンが挿入されるピン挿入孔が形成された一対の側板部を有する梁受け金物と、
他の軸組材の基部側端面に形成された一対のスリットに前記梁受け金物の一対の側板部が挿入された後に当該他の軸組材および一対のスリットのピン挿入孔を貫通する固定ピンとが使用されており、
前記プレート部材の凹部の幅は、前記他の軸組材の一対のスリット間の幅とほぼ同じであることを特徴とする軸組材支持金物。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載の軸組材支持金物を使用した他の軸組材の支持方法であって、
一の軸組材の側面と他の軸組材との接合部近傍における一の軸組材の側面に前記プレート部材を位置させ、その前記固定具通し孔に前記固定具を通して前記プレート部材を一の軸組材に固定する一方、
一の軸組材の側面と他の軸組材との接合部近傍における他の軸組材の下面に前記アングル部材の他軸組材固定板部を位置させ、その前記仮固定具通しルーズ孔に前記仮固定具を通して他の軸組材に前記アングル部材を仮固定し、
他の軸組材に前記アングル部材を仮固定後、前記プレート部材および前記アングル部材のプレート部材対向板部それぞれの前記引寄せ具通し孔に前記引寄せ具を通して前記仮固定具通しルーズ孔の遊びにより前記アングル部材を前記プレート部材の方に引寄せ、
前記引寄せ具によって前記アングル部材を前記プレート部材の方に引寄せ後、前記アングル部材の他軸組材固定板部の前記固定具通し孔に前記固定具を通して他の軸組材に前記アングル部材を固定することを特徴とする軸組材支持金物を使用した軸組材の支持方法。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載の軸組材支持金物を使用して一の軸組材である外周梁の室外側の側面に基部側の端面を接合した他の軸組材である片持ち梁の下面を支持すると共に、その外周梁の室内側に接合したさらに他の軸組材である部屋内梁と外周梁と片持ち梁の上面に床板を取り付けたことを特徴とする木造建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周梁等の一の軸組材の側面に基部側の端面を接合した片持ち梁等の他の軸組材を支持する軸組材支持金物、その軸組材支持金物を用いた軸組材の支持方法および木造建物に関する。
【背景技術】
【0002】
軸組材支持金物として、例えば、外周梁の側面に基部側の端面を接合した片持ち梁を支持する片持ち梁支持金物(例えば、特許文献1参照。)がある。この片持ち梁支持金物では、木造建物の外周梁に片持ち梁を接合することでバルコニーやベランダの床梁を構成する際に外周梁の側面に片持ち梁を片持ち状態で固定するため、外周梁の側面に接触するフランジと、片持ち梁である腕木の根元が差し込まれる差込部とを備え、その差込部は、腕木を載置する下板と、その下板に対向する上板と、それら下板と上板を結ぶ側板とからなり、下板に幅方向の全域を切り欠いて腕木の下面を露出させる窓部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5415241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に開示された片持ち梁支持金物では、差込部の断面形状を片持ち梁である腕木の断面形状に合わせる必要があるため、片持ち梁の断面サイズが変更すると、別の断面サイズの差込部を有する片持ち梁支持金物を用意する必要があり、コスト高になる等の問題があった。
【0005】
そのため、外周梁の側面と片持ち梁の下面それぞれL字形状のアングル部材を片持ち梁支持金物として固定して片持ち梁を支持することも考えられるが、通常は片持ち梁を外周梁の側面に固定した後にL字形状のアングル部材を片持ち梁支持金物として外周梁の側面と片持ち梁の下面それぞれに固定するため、片持ち梁支持金物であるアングル部材と外周梁の側面との間に隙間が生じる場合がある。このように外周梁の側面と片持ち梁支持金物との間に隙間が発生した場合に片持ち梁に荷重が加わると、片持ち梁の先端側が下がるようにバルコニーが大きく斜めになったり、さらには片持ち梁の基部の下端部が外周梁にめり込むおそれや生じた隙間により初期剛性も著しく下がるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明はこのような課題に着目してなされたもので、一の軸組材に接合した他の軸組材の断面サイズによらずに使用することができ、かつ、一の軸組材と他の軸組材との間に隙間が生じた場合でもその隙間を後から最小限にすることができる軸組材支持金物、軸組材の支持方法および軸組材支持金物を用いた木造建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る軸組材支持金物は、一の軸組材の側面に基部側の端面を接合した他の軸組材を支持する軸組材支持金物であって、一の軸組材の側面にビスやネジ等の固定具で固定するための固定具通し孔が設けられたプレート部材と、他の軸組材の下面に前記固定具で固定するための固定具通し孔が設けられた他軸組材固定板部と、前記プレート部材に対向するプレート部材対向板部とを備えたアングル部材とを備え、前記アングル部材の他軸組材固定板部には、ビスやネジ等の仮固定具を挿入して当該アングル部材を他の軸組材に仮固定する共に、少なくとも他の軸組材の長手方向と平行方向の遊びによって前記仮固定後に前記アングル部材を一の軸組材の方へ引寄せるための仮固定具通しルーズ孔が設けられている一方、前記プレート部材および前記アングル部材のプレート部材対向板部における対向する箇所には、それぞれ、前記アングル部材を前記プレート部材の方へ引寄せるためビスやネジ等の引寄せ具が挿入される引寄せ具通し孔が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る軸組材支持金物では、前記プレート部材の上部には、凹部が設けられている一方、前記アングル部材の他軸組材固定板部には、前記プレート部材の凹部に嵌って当該プレート部材に対する前記アングル部材の引寄せを案内する凸部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る軸組材支持金物では、一の軸組材の側面と他の軸組材の基部側端面との接合には、一の軸組材の側面に固定される背板部と、その背板部の左右両側からその背板に対し直交方向に延び、固定ピンが挿入されるピン挿入孔が形成された一対の側板部を有する梁受け金物と、
他の軸組材の基部側端面に形成された一対のスリットに前記梁受け金物の一対の側板部が挿入された後に当該他の軸組材および一対のスリットのピン挿入孔を貫通する固定ピンとが使用されており、前記プレート部材の凹部の幅は、前記他の軸組材の一対のスリット間の幅とほぼ同じであることも特徴とする。
また、本発明に係る軸組材の支持方法は、上述の軸組材支持金物を使用した軸組材の支持方法であって、一の軸組材の側面と他の軸組材との接合部近傍における一の軸組材の側面に前記プレート部材を位置させ、その前記固定具通し孔に前記固定具を通して前記プレート部材を一の軸組材に固定する一方、一の軸組材の側面と他の軸組材との接合部近傍における他の軸組材の下面に前記アングル部材の他軸組材固定板部を位置させ、その前記仮固定具通しルーズ孔に前記仮固定具を通して他の軸組材に前記アングル部材を仮固定し、他の軸組材に前記アングル部材を仮固定後、前記プレート部材および前記アングル部材のプレート部材対向板部それぞれの前記引寄せ具通し孔に前記引寄せ具を通して前記仮固定具通しルーズ孔の遊びにより前記アングル部材を前記プレート部材の方に引寄せ、前記引寄せ具によって前記アングル部材を前記プレート部材の方に引寄せ後、前記アングル部材の他軸組材固定板部の前記固定具通し孔に前記固定具を通して他の軸組材に前記アングル部材を固定することを特徴とする。
また、本発明に係る木造建物は、上述のいずれかの軸組材支持金物を使用して一の軸組材である外周梁の室外側の側面に基部側の端面を接合した他の軸組材である片持ち梁の下面を支持すると共に、その外周梁の室内側に接合したさらに他の軸組材である部屋内梁と外周梁と片持ち梁の上面に床板を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る軸組材支持金物は、一の軸組材の側面に固定されるプレート部材と、他の軸組材の下面に固定される他軸組材固定板部およびプレート部材に対向するプレート部材対向板部を備えたアングル部材とを備え、アングル部材の他軸組材固定板部には、ビスやネジ等の仮固定具を挿入して当該アングル部材を他の軸組材に仮固定する共に、少なくとも他の軸組材の長手方向と平行方向の遊びによって仮固定後にアングル部材を一の軸組材の方へ引寄せるための仮固定具通しルーズ孔を設ける一方、プレート部材およびアングル部材のプレート部材対向板部における対向する箇所には、それぞれ、アングル部材をプレート部材の方へ引寄せるためビスやネジ等の引寄せ具が挿入される引寄せ具通し孔を設けている。
そのため、本発明では、アングル部材の他軸組材固定板部を他の軸組材の下面に固定して他の軸組材を支持するため、他の軸組材の断面サイズによらずに使用することが可能となり、コスト等を低減することができる。
また、他の軸組材に固定するアングル部材とは別に一の軸組材に固定するプレート部材を設け、プレート部材とアングル部材のプレート部材対向板部との間に隙間が生じた場合には、アングル部材の他軸組材固定板部の仮固定具通しルーズ孔にビスやネジ等の仮固定具を挿入して当該アングル部材を他の軸組材に仮固定した後に、一の軸組材に固定したプレート部材と仮固定したアングル部材のプレート部材対向板部で連通する引寄せ具通し孔にビスやネジ等の引寄せ具を挿入してアングル部材をプレート部材の方へ引寄せることで、その隙間を後から最小限にすることができる。これにより、他の軸組材の先端側が下がるようにバルコニーが大きく斜めになったり、さらには他の軸組材の基部の下端部が一の軸組材にめり込む不具合や隙間によって初期剛性が著しく下がる不具合等を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態の軸組材支持金物の設置例を示す斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するプレート部材とアングル部材とを示す斜視図である。
図3】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するプレート部材の斜視図である。
図4】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するプレート部材の平面図、正面図、底面図、図4(b)におけるA-A線断面図である。
図5】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するアングル部材の斜視図である。
図6】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するアングル部材の平面図、正面図である。
図7】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するアングル部材の底面図、左側面図である。
図8】(a)~(c)それぞれ本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するアングル部材の右側面図、図6(a)におけるB-B線断面図、図7(b)におけるC-C線断面図である。
図9】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を取付ける前の部屋内梁と外周梁と片持ち梁との接合状態を示す正面図、右側面図である。
図10】本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を取付ける前の部屋内梁と外周梁と片持ち梁との接合状態を示す平面図である。
図11】(a),(b)それぞれ外周梁と片持ち梁との接合部に本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するプレート部材を取付けた状態を示す一部切欠正面図、右側面図である。
図12】(a),(b)それぞれ外周梁と片持ち梁との接合部に本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するプレート部材を取付け後、アングル部材を仮固定した状態を示す一部切欠正面図、要部拡大図である。
図13】(a),(b)それぞれ外周梁と片持ち梁との接合部に本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するプレート部材を取付け後、仮固定具である仮固定用ビスをアングル部材の仮固定具通しルーズ孔に通してアングル部材を片持ち梁に仮固定した状態を示す一部切欠底面図、仮固定具通しルーズ孔における引寄せ具である引寄せ用ビスの位置を示す要部拡大図である。
図14】(a),(b)それぞれ外周梁と片持ち梁との接合部に本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するアングル部材を仮固定した後、プレート部材およびアングル部材のプレート部材対向板部それぞれの引寄せ具通し孔に固定具を挿入してプレート部材に対しアングル部材を引き寄せた状態を示す一部切欠正面図、その要部拡大図である。
図15】(a)~(c)それぞれ外周梁と片持ち梁との接合部に本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するアングル部材を仮固定した後、プレート部材およびアングル部材のプレート部材対向板部それぞれの引寄せ具通し孔に固定具を挿入してプレート部材に対しアングル部材を引き寄せた状態を示す右側面図、一部切欠底面図、仮固定具通しルーズ孔における引寄せ具である引寄せ用ビスの位置を示す要部拡大図である。
図16】(a),(b)それぞれ外周梁と片持ち梁との接合部に本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を構成するプレート部材に対しアングル部材を引き寄せた後、アングル部材の本固定用ビス孔に固定具である金物固定用ビスを通してアングル部材を片持ち梁に本固定した状態を示す一部切欠正面図、一部切欠底面図である。
図17】外周梁と片持ち梁との接合部に本発明に係る実施形態の軸組材支持金物を使用してプレート部材に対しアングル部材を引き寄せてアングル部材を片持ち梁に本固定した後、外周梁、片持ち梁および部屋内梁それぞれの上側面に床合板を床合板固定用ビスで貼り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態の軸組材支持金物、軸組材支持金物による軸組材支持金物の連結方法、軸組材支持金物を使用した木造建物等について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、下記に説明する実施形態は、一の軸組材を外周梁、他の軸組材を片持ち梁とし、本発明に係る軸組材支持金物を片持ち梁金物として使用する場合について説明するが、下記に説明する実施形態は、その形状や寸法等を含めてあくまで本発明の一例であり、本発明は、下記に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<実施形態の軸組材支持金物1の構成>
本発明に係る実施形態の軸組材支持金物1は、図1等に示すように一の軸組材である外周梁2の側面に基部側の端面を接合した他の軸組材である片持ち梁3の下面と外周梁2の側面それぞれに固定して片持ち梁3を支持する金物であって、図2に示すように独立した部材であるプレート部材11およびアングル部材12と、プレート部材11およびアングル部材12をそれぞれ外周梁2や片持ち梁3に固定するための固定具である金物固定用ビス13や、後述する仮固定具である仮固定用ビス14、引寄せ具である引寄せ用ビス15等で構成される。本実施形態では、金物固定用ビス13、仮固定用ビス14および引寄せ用ビス15として同じ長尺ビスを使用するものとするが、異なるビスやネジ等を使用しても勿論良い。尚、図1において、Sは、後述する図9(a)等に示すように外周梁2にさらに他の軸組材である部屋内梁4を固定する梁受け金物41等を挿入するため部屋内梁4に設けたスリットで、図1では図示しないが片持ち梁3にも同様のスリットSを設けている。
【0012】
(プレート部材11)
プレート部材11は、図1等に示すように木造建物の外周梁2の側面に固定される板状の部材であって、図3および図4等に示すように、4mm~5mm程度の所定の厚さを有する長方形状の鋼板から構成されており、上部にはアングル部材12の後述する凸部12a1が嵌る凹部11aが設けられて正面視、U字形状に形成されている。
【0013】
ここで、凹部11aの幅W1は、片持ち梁3のスリットSの幅W3(図9(b)参照。)と同一であり、例えば、41mmとしている。尚、凹部11aの幅W1を片持ち梁3のスリットSの幅W3(図9(b)参照。)と同一にした理由は、プレート部材11を外周梁2に固定する際、プレート部材11の凹部11aと片持ち梁3のスリットSとを合わせることにより、プレート部材11を固定する際の位置決めが容易になるからである。
【0014】
プレート部材11の凹部11aの左右両側には、それぞれ、このプレート部材11を外周梁2に固定するための金物固定用ビス13が挿入される固定具通し孔としての丸孔形状の金物固定用ビス通し孔11bが3個ずつの計6個設けられている。ここで、金物固定用ビス13は、後述するように軸径として例えば6.3mmの長尺ビスを使用するため、金物固定用ビス通し孔11bの孔径(内径)も6.3mmとしている。
【0015】
さらに、プレート部材11の凹部11aの左右両側には、外周梁2に固定されたプレート部材11に対しアングル部材12の後述するプレート部材対向板部12bを引寄せながら固定するため引寄せ用ビス15が挿入される引寄せ具通し孔である長孔形状の引寄せ用ビス通し長孔11cが1個ずつの計2個設けられている。
【0016】
ここで、引寄せ用ビス通し長孔11cを長孔形状にした理由は、プレート部材11を外周梁2に固定する際に金物固定用ビス13が挿入される丸孔形状の金物固定用ビス通し孔11bと間違えないようにするため且つ設置する際の多少の上下のズレを吸収するためである。
【0017】
(アングル部材12)
アングル部材12は、図5図8等に示すように、プレート部材11と同様に4mm~5mm程度の厚さの鋼板からなり片持ち梁3の下面に固定される他軸組材固定板部である片持ち梁固定板部12aと、プレート部材11および片持ち梁固定板部12aよりも厚い例えば9mm程度の厚さの鋼板からなりプレート部材11に対向するように片持ち梁固定板部12aの下面に設けられたプレート部材対向板部12bと、プレート部材11および片持ち梁固定板部12aと同様に4mm~5mm程度の厚さの鋼板からなり、片持ち梁固定板部12aとプレート部材対向板部12bとに接合する補強板部12cを備えた部材である。尚、補強板部12cは任意であり省略しても良い。
【0018】
片持ち梁固定板部12aには、プレート部材11の凹部11aに嵌って当該プレート部材11に対するアングル部材12の引寄せを案内する凸部12a1を設けている。そのため、凸部12a1の幅W2は、プレート部材11の凹部11aの幅W1の41mmよりも少し狭い40mm前後としている。
【0019】
また、片持ち梁固定板部12aには、アングル部材12を片持ち梁3の下面に仮固定後、プレート部材11に向かって引寄せ可能にするため少なくとも片持ち梁3の長手方向と平行方向に遊びを有し、仮固定用ビス14が挿入される仮固定用ビス通しルーズ孔12a2を設けている。
【0020】
ここで、仮固定用ビス通しルーズ孔12a2の長手方向の直線部分の長さL1(図6(a)参照。)を例えば10mmとすると共に、仮固定用ビス14として例えば軸径が6.3mmの長尺ビスを使用するため、仮固定用ビス通しルーズ孔12a2の長手方向の直線部分の両端部にそれぞれ半径3.15mmの半円部分を設けることによって、仮固定用ビス通しルーズ孔12a2における仮固定用ビス14の最大引寄せ量である最大スライド量を10mmほど確保している。よって、例えば、このような寸法の仮固定用ビス通しルーズ孔12a2の長手方向中央に仮固定用ビス14を挿入してアングル部材12を片持ち梁3に仮固定した場合、アングル部材12の引寄せ量は5mmとなる。
【0021】
また、片持ち梁固定板部12aには、アングル部材12の引寄せ後にアングル部材12を片持ち梁3の下面に本固定するための金物固定用ビス13が挿入される固定具通し孔としての丸孔形状の金物固定用ビス通し孔12a3を9個設けている。ここで、金物固定用ビス13としても仮固定用ビス14と同じ軸径が例えば6.3mmの長尺ビスを使用するため、金物固定用ビス通し孔12a3の孔径(内径)は、金物固定用ビス通し孔11bの孔径(内径)と同様に6.3mmとなる。
【0022】
一方、プレート部材対向板部12bには、プレート部材11の2箇所の引寄せ用ビス通し長孔11cに対応する箇所にそれぞれ引寄せ用ビス15を通すため引寄せ具通し孔である引寄せ用ビス通し孔12b1を設けている。尚、引寄せ用ビス通し孔12b1の孔径(内径)は、金物固定用ビス通し孔11bの孔径(内径)と同様に6.3mmとなる。
【0023】
補強板部12cは、片持ち梁固定板部12a下面とプレート部材対向板部12b側面とに接合する部材であって、2箇所の引寄せ用ビス通し長孔11cに対応する2箇所の引寄せ用ビス通し孔12b1の上方にそれぞれ設けられる。
【0024】
(金物固定用ビス13、仮固定用ビス14および引寄せ用ビス15)
金物固定用ビス13、仮固定用ビス14および引寄せ用ビス15は、上述したように軸径が例えば6.3mmで、軸長が例えば85mmでネジ部分が60mm前後の共通の長尺ビスを使用する。尚、金物固定用ビス13、仮固定用ビス14および引寄せ用ビス15として、異なるビスやネジ等を使用しても勿論良い。
【0025】
<本発明に係る実施形態の軸組材支持金物1の使用例>
次に、本発明に係る実施形態の軸組材支持金物1の使用例として、外周梁2に接合した片持ち梁3を実施形態の軸組材支持金物1によって支持すると共に、その外周梁2、片持ち梁3および部屋内梁4それぞれの上側面に床合板5を床合板固定用ビス16で貼り付けて掃出しタイプのバルコニーを設置する例を、図9図17を参照して説明する。
【0026】
(外周梁2に片持ち梁3を接合した状態)
図9(a),(b)に示すように、建物の外周梁2の室内側には周知の梁受け金物41および固定ピンであるドリフトピン42等を介して部屋内梁4が接合されていると共に、外周梁2のバルコニー側(室外側)には周知の梁受け金物31およびドリフトピン32等を介して片持ち梁3が接合されている。その際、梁受け金物31は、図9図10等に示すようにボルト33およびナット34(図10参照。)等によって予め外周梁2に取り付けられ、梁受け金物41も同様にボルト33およびナット34(図10参照。)等によって予め外周梁2に取り付けられている。尚、図9(a)ではボルト33およびナット34の図示を省略する一方、図9(b)ではドリフトピン32の図示を省略しており、図10以降でもドリフトピン32やボルト33、ナット34等は適宜、図示したり、図示を省略する。
【0027】
(プレート部材11の取付け)
次に実施形態の梁受け支持金物1を構成するプレート部材11を、図11(a),(b)に示すように外周梁2と片持ち梁3との接合部における片持ち梁3の下面に、プレート部材11の6箇所の金物固定用ビス通し孔11b(図4(b)等参照。)それぞれに固定具としての金物固定用ビス13を通して固定する。
【0028】
その際、図11(a),(b)に示すようにプレート部材11の上端部が片持ち梁3の下面に当接し、かつ、プレート部材11の凹部11aの両側が片持ち梁3のスリットSに一致するように位置決めした上でプレート部材11を外周梁2の側面に長尺ビスで固定する。このようにプレート部材11の凹部11aの両側を片持ち梁3のスリットSに一致させてプレート部材11を設置すると、プレート部材11の凹部11aの幅W1(図4(b)参照。)を片持ち梁3のスリットSの幅W3(図9(b)参照。)と同一にしているため、片持ち梁3の短手方向(幅方向)の中心とプレート部材11の長手方向の中心とを確実に一致させてプレート部材11を設置することができる。
【0029】
(アングル部材12の仮取付け)
次に、アングル部材12を、図12および図13に示すようにそのプレート部材対向板部12bがプレート部材11に近接するように対向させながら片持ち梁固定板部12aの仮固定用ビス通しルーズ孔12a2から仮固定用ビス14を通して片持ち梁3の下面に仮固定する。
【0030】
その際、後で引寄せ用ビス15によってアングル部材12を外周梁2に固定されたプレート部材11の方へ引き寄せるため、プレート部材対向板部12bとプレート部材11との間に多少の隙間C(図12(b)参照。)が生じても問題は無い。これにより、アングル部材12を片持ち梁3の下面に容易に仮固定することができる。
【0031】
また、引寄せ用ビス15をアングル部材12とプレート部材11とに通して引き寄せるため、プレート部材11の2箇所の引寄せ用ビス通し長孔11c(図4(b)等参照。)と、外周梁固定プレート部材対向板部12bの2箇所の引寄せ用ビス通し孔12b1(図7(b)等参照。)の位置が対向するように位置合わせを凸部12a1と凹部11aを使って行いながらアングル部材12を片持ち梁3の下面に仮固定する。
【0032】
さらに、プレート部材11の方へのアングル部材12の引き寄せ長を確保するため、仮固定用ビス14は、図13(a),(b)に示すように、仮固定用ビス通しルーズ孔12a2の長手方向の中心近傍に挿入して固定する。
【0033】
(アングル部材12の引寄せ)
そして仮固定用ビス14による片持ち梁3の下面へのアングル部材12の仮固定が完了すると、次いで図14および図15に示すように、プレート部材対向板部12bの2箇所の引寄せ用ビス通し孔12b1(図7(b)等参照。)からそれぞれ引寄せ用ビス15を挿入し回転させて、アングル部材12を外周梁2に固定されたプレート部材11の方へ、プレート部材11とアングル部材12のプレート部材対向板部12bとの間の隙間C(図12(b)参照。)が極力小さくなるようアングル部材12をプレート部材11の方へ引き寄せる。尚、本実施形態では、プレート部材11を外周梁2に固定している金物固定用ビス13の頭部がプレート部材11から突出しているため、図14(b)等に示すようにプレート部材対向板部12bが金物固定用ビス13の頭部に当接するまでアングル部材12をプレート部材11の方へ引き寄せる。
【0034】
アングル部材12の引き寄せにより、仮固定用ビス通しルーズ孔12a2における仮固定用ビス14の位置は、図13(a),(b)に示すように仮固定用ビス通しルーズ孔12a2の長手方向の中心近傍から図15(b),(c)に示すように仮固定用ビス通しルーズ孔12a2の長手方向の中心より図上、右方向にずれることになる。
【0035】
(アングル部材12の本固定)
引寄せ用ビス15によるプレート部材11の方へのアングル部材12の引き寄せが完了すると、次いで図16(a),(b)に示すようにアングル部材12の9か所の金物固定用ビス通し孔12a3(図6(a),図7(a)等参照。)に金物固定用ビス13を通してアングル部材12を片持ち梁3の下面に固定する。これで、実施形態の軸組材支持金物1の取付けが完了する。
【0036】
(床合板5の取り付け)
そしてアングル部材12の本固定後は、例えば、図17に示すように部屋内梁4、外周梁2および片持ち梁3の上面に床板として床合板5を床合板固定用ビス16等で取り付ける。
【0037】
<本発明に係る実施形態の軸組材支持金物1のまとめ>
以上説明したように本発明に係る実施形態の軸組材支持金物1は、外周梁2の側面に固定されるプレート部材11と、片持ち梁3の下面に固定される片持ち梁固定板部12aおよびプレート部材11に対向するように設けられたプレート部材対向板部12bを備えたアングル部材12とを備え、アングル部材12の片持ち梁固定板部12aには、仮固定用ビス14を挿入してアングル部材12を片持ち梁3に仮固定する共に、少なくとも片持ち梁3の長手方向と平行方向の遊びによって仮固定後にアングル部材12を外周梁2の方へ引寄せるための仮固定用ビス通しルーズ孔12a2を設ける一方、プレート部材11およびアングル部材12のプレート部材対向板部12bにおける対向する箇所にそれぞれアングル部材12をプレート部材の方へ引寄せるため引寄せ用ビス15を挿入する引寄せ用ビス通し長孔11cと引寄せ用ビス通し孔12b1を設けている。
【0038】
そのため、上述した従来の特許文献1の技術とは異なり、軸組材支持金物1をプレート部材11とアングル部材12とに分割して構成し、アングル部材12の片持ち梁固定板部12aを片持ち梁3の下面に固定して片持ち梁3を支持するため、片持ち梁3の断面サイズによらずに使用することが可能となり、コスト等を低減することができる。
【0039】
また、本発明に係る実施形態の軸組材支持金物1では、アングル部材12の片持ち梁固定板部12aの仮固定用ビス通しルーズ孔12a2に仮固定用ビス14を挿入してアングル部材12を片持ち梁3に仮固定した際に、外周梁2に固定したプレート部材11と片持ち梁3に仮固定したアングル部材12のプレート部材対向板部12bとの間に隙間C(図12(b)参照。)が生じた場合でも、外周梁2に固定したプレート部材11と仮固定したアングル部材12のプレート部材対向板部12bで連通する引寄せ用ビス通し長孔11cと引寄せ用ビス通し孔12b1に引寄せ用ビス15を挿入して回転させることによりアングル部材12をプレート部材11の方へ引寄せて、その隙間Cを後から最小限にすることができる。
【0040】
これにより、片持ち梁3に荷重が加わった際に片持ち梁3の先端側が下がるようにバルコニーが大きく斜めになることを抑制したり、さらには片持ち梁3の基部の下端部が外周梁2にめり込む不具合や隙間によって初期剛性が著しく下がる不具合等を確実に防止することができる。
【0041】
また、本発明に係る軸組材支持金物1では、プレート部材11の上部には、凹部11aを設ける一方、アングル部材12の片持ち梁固定板部12aには、プレート部材11の凹部11aに嵌って当該プレート部材11に対するアングル部材12の引寄せを案内する凸部12a1を設けている。
【0042】
そのため、外周梁2に固定したプレート部材11に対しアングル部材12を引寄せる際、プレート部材11の凹部11aにアングル部材12の凸部12a1が案内されるので、より確実かつ安定した状態でプレート部材11に対しアングル部材12を引寄せることが可能となる。
【0043】
また、本発明に係る軸組材支持金物1では、外周梁2の側面と片持ち梁3の基部側端面との接合には、外周梁2の側面に固定される背板部と、その背板部の左右両側からその背板に対し直交方向に延び、固定ピンであるドリフトピン32が挿入されるピン挿入孔が形成された一対の側板部を有する梁受け金物31と、片持ち梁3の基部側端面に形成された一対のスリットSに梁受け金物31の一対の側板部が挿入された後に当該片持ち梁3および一対のスリットSのピン挿入孔を貫通するドリフトピン32を使用して接合しており、プレート部材11の凹部11aの幅W1(図4(b)参照。)は、片持ち梁3の一対のスリットS間の幅W3(図9(b)参照。)とほぼ同じにしている。
【0044】
そのため、プレート部材11を外周梁2に固定する際、プレート部材11の凹部11aと片持ち梁3のスリットSとを合わせることにより、プレート部材11を固定する際の目安となって位置決めが行えるので、プレート部材11を外周梁2の最適な位置に容易に固定することができ、作業性を向上させることができる。
【0045】
また、本発明に係る軸組材支持金物1を用いた片持ち梁3の支持方法は、外周梁2の側面と片持ち梁3との接合部近傍における外周梁2の側面にプレート部材11を金物固定用ビス13で固定し、外周梁2の側面と片持ち梁3との接合部近傍における片持ち梁3の下面にアングル部材12の片持ち梁固定板部12aをその仮固定用ビス通しルーズ孔12a2に仮固定用ビス14で仮固定し、その後、プレート部材11およびアングル部材12のプレート部材対向板部12bそれぞれの固定具通し孔11c,12b1に引寄せ用ビス15を通してアングル部材12のプレート部材対向板部12bがプレート部材11またはプレート部材11を外周梁2の側面に固定している金物固定用ビス13の頭部に当接するまで引寄せ用ビス15を締付けて仮固定用ビス通しルーズ孔12a2の遊びによりアングル部材12をプレート部材11に引寄せ、その引寄せ後、アングル部材12の片持ち梁固定板部12aの金物固定用ビス通し孔12a3に金物固定用ビス13を通して片持ち梁3にアングル部材12を固定する。
【0046】
そのため、外周梁2に固定したプレート部材11と片持ち梁3に仮固定したアングル部材12のプレート部材対向板部12bとの間に隙間C(図12(b)参照。)が生じた場合でも、アングル部材12の片持ち梁固定板部12aの仮固定用ビス通しルーズ孔12a2に仮固定用ビス14を挿入してアングル部材12を片持ち梁3に仮固定した後に、外周梁2に固定したプレート部材11と仮固定したアングル部材12のプレート部材対向板部12bで連通する引寄せ用ビス通し長孔11cと引寄せ用ビス通し孔12b1に引寄せ用ビス15を挿入してアングル部材12をプレート部材11の方へ引寄せて、その隙間Cを後から最小限にすることができるので、片持ち梁3に荷重が加わった際に片持ち梁3の先端側が下がるようにバルコニーが大きく斜めになることを抑制したり、さらには片持ち梁3の基部の下端部が外周梁2にめり込む不具合や隙間によって初期剛性が著しく下がる不具合等を確実に防止することができる。また、仮固定用ビス通しルーズ孔12a2により引き寄せる際にアングル部材12等の金物が動く機構になっているため、片持ち梁3への負担が少なく、木材の割裂が起こり難くすることができる。
【0047】
また、本発明に係る実施形態の木造建物では、プレート部材11とアングル部材12等で構成した上述の軸組材支持金物1を使用して外周梁2の室外側(バルコニー側)の側面に基部側の端面を接合した片持ち梁3の下面を支持すると共に、その外周梁2の室内側に接合した部屋内梁4と外周梁2と片持ち梁3の上面に、図17に示すように床合板5を床合板固定用ビス16によって取り付けている。
【0048】
そのため、片持ち梁3にかかる荷重を軸組材支持金物1だけでなく床合板5も負担することが可能となるので、片持ち梁3の傾きやめり込み等もさらに防止することが可能となる。
【0049】
尚、以上説明した実施形態では、一の軸組材を外周梁2、他の軸組材を片持ち梁3として、本発明に係る軸組材支持金物1を外周梁2に接合した片持ち梁3を支持する片持ち梁支持金物として説明したが、本発明ではこれに限定されるものではなく、門型フレームの接合部や柱頭柱脚の接合部等において一の軸組材に他の軸組材を支持する軸組材支持金物にも使用しても勿論良い。
【符号の説明】
【0050】
1 軸組材支持金物
11 プレート部材
11a 凹部
11b 金物固定用ビス通し孔(固定具通し孔)
11c 引寄せ用ビス通し長孔(引寄せ具通し孔)
12 アングル部材
12a 片持ち梁固定板部(他軸組材固定板部)
12a1 凸部
12a2 仮固定用ビス通しルーズ孔(仮固定具通しルーズ孔)
12a3 金物固定用ビス通し孔(固定具通し孔)
12b プレート部材対向板部
12b1 引寄せ用ビス通し孔(引寄せ具通し孔)
12c 補強板部
13 金物固定用ビス(固定具)
14 仮固定用ビス(仮固定具)
15 引寄せ用ビス(引寄せ具)
16 床合板固定用ビス
2 外周梁(一の軸組材)
3 片持ち梁(他の軸組材)
31 梁受け金物
32 ドリフトピン(固定ピン)
33 ボルト
34 ナット
4 部屋内梁(さらに他の軸組材)
5 床合板(床板)
S スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17