(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】複合動力システム
(51)【国際特許分類】
H02K 5/15 20060101AFI20240911BHJP
H02K 7/18 20060101ALI20240911BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20240911BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20240911BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20240911BHJP
F16N 7/38 20060101ALI20240911BHJP
F16N 31/00 20060101ALI20240911BHJP
F16C 37/00 20060101ALI20240911BHJP
F02C 6/06 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H02K5/15
H02K7/18 Z
H02K7/08 Z
H02K5/173 A
H02K5/20
F16N7/38 D
F16N31/00 D
F16N31/00 B
F16C37/00 B
F02C6/06
(21)【出願番号】P 2021130475
(22)【出願日】2021-08-10
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】矢▲崎▼ 学
(72)【発明者】
【氏名】丁子 達也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直紀
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-131091(JP,A)
【文献】特開昭51-114519(JP,A)
【文献】特開2005-054779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0218936(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/15
H02K 7/18
H02K 7/08
H02K 5/173
H02K 5/20
F16N 7/38
F16N 31/00
F16C 37/00
F02C 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機と、該回転電機の回転シャフトを回転可能に支持した回転電機ハウジングとを有する回転電機システムと、
前記回転シャフトと一体的に回転する出力シャフトを有する内燃機関と、
を備える複合動力システムであって、
前記回転電機ハウジングと前記回転シャフトとの間に介在する第1ベアリング及び第2ベアリングと、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに潤滑油を供給する油供給装置と、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに気体を供給するガス供給装置と、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給された前記潤滑油と前記気体とを回収する回収装置と、
を備え、
前記回転電機ハウジングは、前記回転電機を収納した収納室を有し、
前記回転電機ハウジングに、前記ガス供給装置から供給された前記気体を
前記収納室を経由して前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給する第1供給路と、
前記収納室に連通し、前記第1供給路から前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給された前記気体を前記
収納室から前記回収装置に排出する第1排出路と、前記油供給装置から供給された前記潤滑油を
前記収納室を経由せずに前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給する第2供給路と、
前記第2供給路から前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給された前記潤滑油を
前記収納室を経由せずに前記回収装置に排出する第2排出路とが形成され、
前記回収装置が、前記第1排出路を流通した前記気体と、前記第2排出路を流通した前記潤滑油とを回収する複合動力システム。
【請求項2】
請求項1記載の複合動力システムにおいて、前記第2排出路を流通する前記潤滑油が前記気体の一部を含む気液混合物であり、
前記気液混合物を前記潤滑油と前記気体に分離する気液分離装置と、前記気液混合物から分離された前記潤滑油を前記気液分離装置から前記回転電機ハウジングに戻す循環路とを備える複合動力システム。
【請求項3】
請求項2記載の複合動力システムにおいて、前記回収装置が前記気液分離装置を兼ねる複合動力システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の複合動力システムにおいて、前記気液混合物から分離された前記気体を前記気液分離装置から大気に放出する放出路を備える複合動力システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の複合動力システムにおいて、前記第1供給路が、前記第1ベアリングに向かう第1分岐路と、前記第2ベアリングに向かう第2分岐路とに分岐され、且つ前記第2供給路が、前記第1ベアリングに向かう第3分岐路と、前記第2ベアリングに向かう第4分岐路とに分岐された複合動力システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の複合動力システムにおいて、前記内燃機関が前記ガス供給装置を兼ねる複合動力システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の複合動力システムにおいて、前記回転電機ハウジング内における前記気体の流入箇所は、前記回転電機ハウジングの軸線方向において前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングの間に位置し、
前記回転電機ハウジング内において、前記気体が前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに到達する前に前記気体が分岐するとともに、前記気体から分岐した一部が第1気流を形成し且つ前記回転電機ハウジング内で前記気体から分岐した別の一部が第2気流を形成し、
前記第1気流が前記収納室から前記回転電機ハウジング外に向かう方向に移動して前記第1ベアリングに供給されるとともに、前記第2気流が前記第1気流と反対方向において前記収納室から前記回転電機ハウジング外に向かう方向に移動して前記第2ベアリングに供給される複合動力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機システムと内燃機関とが一体的に組み合わされた複合動力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機システムと内燃機関とが組み合わされた複合動力システムでは、回転電機システムの回転シャフトと、内燃機関の出力シャフトとが同一軸線上に連結される。これにより、回転シャフトと出力シャフトとが一体的に回転することが可能である。なお、回転電機システムは、回転シャフトの回転速度、回転角度又は回転数等の回転パラメータを検出するための回転パラメータ検出器を含む。また、回転電機システムは、ステータの電磁コイルの温度を測定するための温度測定器等を含む。
【0003】
回転シャフトは、回転電機を収納した回転電機ハウジングに対し、ベアリングを介して回転可能に支持される。一般的に、ベアリングには、潤滑及び焼付き防止のための冷却剤が供給される。特許文献1記載の技術では、回転電機システムに送風機が設けられている。該送風機から送られた冷却空気により、空気軸受(ベアリング)が冷却される。このように、特許文献1記載の技術では、送風機から送られた冷却空気が冷却剤となる。また、特許文献2、3記載の技術では、冷却剤として潤滑油を用いている。
【0004】
潤滑油でベアリングを冷却する場合において、潤滑油がベアリングから漏洩すると、回転パラメータ検出器又は温度測定器等が潤滑油で汚れる懸念がある。そこで、特許文献3においては、潤滑油を貯留するオイルタンクに、負圧となることを防止する空室を形成することが提案されている。
【0005】
また、特許文献4においては、該特許文献4の
図1に示されるように、ステータとロータとの間にカバー部材を配置し、且つ該カバー部材にOリングを装着することが提案されている。このOリングは、カバー部材とステータとの間をシールする。このシールにより、カバー部材とステータとの間に潤滑油が浸入することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-120210号公報
【文献】特開2010-71120号公報
【文献】特開昭61-121740号公報
【文献】特開2016-174443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
内燃機関では、圧縮エアが生成される。この圧縮エアを回転電機に導き、ベアリングの周囲にエアカーテンを形成することが考えられる。この場合、エアカーテンがシールとして機能するので、Oリングが不要となると期待される。
【0008】
この場合、ベアリングを潤滑した潤滑油と、ベアリングをシールした圧縮エアとの気液混合物が生じる。気液混合物には潤滑油が含まれているので、該気液混合物を大気等に放出することはできない。また、圧縮エアを含む気液混合物をベアリングに再供給すると、ポンプ等において、いわゆるエア噛みが起こる。このため、気液混合物をベアリングに再供給することは容易ではない。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、回転電機と、該回転電機の回転シャフトを回転可能に支持した回転電機ハウジングとを有する回転電機システムと、
前記回転シャフトと一体的に回転する出力シャフトを有する内燃機関と、
を備える複合動力システムであって、
前記回転電機ハウジングと前記回転シャフトとの間に介在する第1ベアリング及び第2ベアリングと、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに潤滑油を供給する油供給装置と、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに気体を供給するガス供給装置と、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給された前記潤滑油と前記気体とを回収する回収装置と、
を備え、
前記回転電機ハウジングに、前記ガス供給装置から供給された前記気体を前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給する第1供給路と、前記気体を前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングから前記回収装置に排出する第1排出路と、前記油供給装置から供給された前記潤滑油を前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給する第2供給路と、前記潤滑油を前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングから前記回収装置に排出する第2排出路とが形成され、
前記回収装置が、前記第1排出路を流通した前記気体と、前記第2排出路を流通した前記潤滑油とを回収する複合動力システムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、回転電機ハウジングに供給した潤滑油及び気体を、単一個の回収装置に回収する。この場合、潤滑油と気体とを別個の回収装置に回収する場合に比べて、回収装置の個数が低減する。また、回転電機ハウジングから回収装置にわたって設けられる回収系統が簡素となる。従って、複合動力システムの小型化、簡素化及び軽量化を図ることができる。
【0012】
この構成では、ベアリングの周囲に気体でガスカーテンを形成することが可能である。このガスカーテンにより、ベアリングに供給した潤滑油が堰き止められる。従って、潤滑油が所定の領域外に流出(漏洩)することが回避される。このため、回転電機、測定器、回転パラメータ検出器又は端子等が潤滑油で汚れることを防止することができる。
【0013】
このように、ガスカーテンによって潤滑油をシールすることが可能である。従って、潤滑油が所定の領域外に漏洩することを防止するためのシール部材を設ける必要がない。このため、構成要素(部品点数)が低減する。このことによっても、複合動力システムの小型化、簡素化及び軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る複合動力システムの概略全体斜視図である。
【
図2】
図2は、複合動力システムを構成する回転電機システムの概略全体斜視図である。
【
図3】
図3は、回転電機システムの概略側面断面図である。
【
図6】
図6は、回転電機ハウジングに設けられる電流変換器の模式的構成図である。
【
図7】
図7は、回転電機ハウジングを構成する第2サブハウジングと、エンジンハウジングにおけるインナハウジングの概略斜視図である。
【
図8】
図8は、
図3の位相と異なる位相における回転電機システムの概略側面断面図である。
【
図9】
図9は、回転電機システムにおける潤滑油流路(第2供給路)を模式的に示した概略系統図である。
【
図10】
図10は、複合動力システムを構成するガスタービンエンジンの概略側面断面図である。
【
図12】
図12は、外部に設けた圧縮ポンプを気体供給源とする場合の概略側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下における「左」、「右」、「下」及び「上」のそれぞれは、特に
図3~
図5、
図10、
図11における左方、右方、下方及び上方を指す。しかしながら、これらの方向は、説明を簡素化して理解を容易にするための便宜的な方向付けである。すなわち、明細書に記載した方向が、複合動力システムを実使用するときの方向であるとは限らない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る複合動力システム400の概略全体斜視図である。複合動力システム400は、回転電機システム10と、ガスタービンエンジン200とを備える。回転電機システム10の直径中心を通り長手方向(軸線方向)に沿って延在する軸線と、ガスタービンエンジン200の直径中心を通り長手方向(軸線方向)に沿って延在する軸線とは一致する。換言すれば、回転電機システム10とガスタービンエンジン200とは、同一軸線上に並列配置される。
【0017】
以下、回転電機システム10及びガスタービンエンジン200のそれぞれの軸線方向の左端を、第1端と表記することもある。同様に、回転電機システム10及びガスタービンエンジン200のそれぞれの軸線方向の右端を、第2端と表記することもある。すなわち、回転電機システム10において、ガスタービンエンジン200から離間する左端部は第1端である。回転電機システム10において、ガスタービンエンジン200に近接する右端部は第2端である。また、ガスタービンエンジン200において、回転電機システム10に近接する左端部は第1端である。ガスタービンエンジン200において、回転電機システム10から離間する右端部は第2端である。この定義に従えば、図示例では、ガスタービンエンジン200は、回転電機システム10の第2端に配設されている。回転電機システム10は、ガスタービンエンジン200の第1端に配設されている。
【0018】
複合動力システム400は、例えば、飛翔体、船舶又は自動車等において、推進の動力源として利用される。飛翔体の好適な具体例としては、ドローン又はマルチコプタ等が挙げられる。複合動力システム400は、飛翔体に搭載されたときには、例えば、プロップ、ダクテッドファン等を回転付勢する動力駆動源とされる。複合動力システム400は、船舶に搭載されたときには、スクリューの回転力発生装置とされる。複合動力システム400は、自動車に搭載されたときには、モータを回転付勢する動力駆動源とされる。
【0019】
複合動力システム400は、航空機、船舶又は建物等において、補助電源の動力源として利用することもできる。この他、複合動力システム400をガスタービン発電設備として利用することも可能である。
【0020】
後述するように、ガスタービンエンジン200は内燃機関である。また、ガスタービンエンジン200は、圧縮エア(ガス)を供給するガス供給装置である。
【0021】
先ず、回転電機システム10につき説明する。
図2は、回転電機システム10の概略全体斜視図である。
図3は、回転電機システム10の概略側面断面図である。この回転電機システム10は、回転電機12(例えば、発電機)と、該回転電機12を収納した回転電機ハウジング14とを備える。
【0022】
回転電機ハウジング14は、メインハウジング16と、第1サブハウジング18と、第2サブハウジング20とを有する。メインハウジング16は略円筒形状をなし、第1端及び第2端の双方が開放端である。第1サブハウジング18は、メインハウジング16の第1端(左開放端)に連結される。第2サブハウジング20は、メインハウジング16の第2端(右開放端)に連結される。以上により、メインハウジング16の第1端及び第2端が閉塞される。
【0023】
メインハウジング16は、左右方向に沿って延在する厚肉の側壁を有する。側壁の内部には、収納室22が形成されている。回転電機12の大部分は、収納室22に収容されている。
【0024】
メインハウジング16の側壁の内部には、螺旋状の冷却ジャケット24が形成されている。冷却ジャケット24には、冷却媒体が流通する。冷却媒体の具体例としては、冷却水が挙げられる。この場合、冷却ジャケット24はウォータジャケットである。
【0025】
メインハウジング16の側壁の外面(外側壁)には、第1端の縁部近傍に、第1ケーシング26及び第2ケーシング28が設けられている。第1ケーシング26及び第2ケーシング28は、メインハウジング16の一部位である。すなわち、第1ケーシング26及び第2ケーシング28は、メインハウジング16と一体的に設けられる。後述するように、第1ケーシング26は端子ケーシングである。第2ケーシング28は、測定器ケーシングである。
【0026】
第1サブハウジング18には、回転パラメータ検出器を保持する保持部材が連結される。本実施形態では、回転パラメータ検出器としてレゾルバ132を例示する。従って、以降は、検出器の保持部材を「レゾルバホルダ30」と表記する。後述するように、レゾルバホルダ30には、ネジを介してキャップカバー32が連結される。
【0027】
回転電機12は、ロータ34と、該ロータ34の外周を囲むステータ36とを備える。
【0028】
ロータ34は、回転シャフト40を含む。回転シャフト40は、内シャフト42と、中空筒状の外シャフト44とを有する。外シャフト44の両端は、開放端である。すなわち、外シャフト44は、左開口端441(
図4参照)と、右開口端442(
図5参照)とを有する。内シャフト42は、外シャフト44の内部に挿抜可能に挿入される。
【0029】
内シャフト42は、外シャフト44に比して長尺である。内シャフト42は、円柱部421と、左端部422(
図4参照)と、右端部423(
図5参照)とを有する。左端部422は、円柱部421の左方に連なる。従って、左端部422は、内シャフト42の、ガスタービンエンジン200から離間する端部(第1端)である。右端部423は、円柱部421の右方に連なる。従って、右端部423は、内シャフト42の、ガスタービンエンジン200に近接する端部(第2端)である。円柱部421の直径は、左端部422及び右端部423よりも小さい。また、右端部423の直径は、左端部422よりも小さい。
【0030】
左端部422の一部は、外シャフト44の左開口端441から露出する。左開口端441から露出した部分は、後述する突出先端46である。なお、図示の例では、内シャフト42の右端部423と、外シャフト44の右開口端442とが面一となっている。しかしながら、右端部423が、右開口端442から第2端に向かって若干寄った位置であってもよい。
【0031】
図4に詳細を示すように、内シャフト42の左端部422には、第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52及び第2外ネジ部54が右方に向かってこの順序で設けられている。第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52及び第2外ネジ部54の外径は、この順序で大きくなる。第2外ネジ部54の外径は外シャフト44の内径に比して大きい。このため、第2外ネジ部54の右端は、外シャフト44の左開口端441の縁部に堰き止められる。従って、内シャフト42の、第2外ネジ部54よりも左方の部分が、外シャフト44内に挿入されることはない。
【0032】
鍔部50には、レゾルバロータ56が装着される。また、第1外ネジ部48には小キャップナット58がネジ止めされる。レゾルバロータ56の右端は、ストッパ部52に堰き止められる。レゾルバロータ56の左端は、小キャップナット58で押圧される。以上により、レゾルバロータ56が鍔部50に位置決め固定される。
【0033】
また、第2外ネジ部54には大キャップナット60が螺合される。大キャップナット60の右端は、外シャフト44の左開口端441の外周壁を覆う。これにより、内シャフト42の左端部422が、外シャフト44の左開口端441に拘束される。なお、第1外ネジ部48及び第2外ネジ部54はいずれも、いわゆる逆ネジである。従って、小キャップナット58及び大キャップナット60は、螺合時に反時計回りに回転される。螺合の後、小キャップナット58及び大キャップナット60のネジ山の一部を変形させることが好ましい。これにより、小キャップナット58及び大キャップナット60が弛緩することが防止される。
【0034】
図5に示すように、内シャフト42の第2端である右端部423には、連結孔62が形成される。連結孔62は、第1端である左端部422に向かって延在する。連結孔62の内周壁には、雌ネジ部64が刻設されている。連結孔62には、出力シャフト204の左端が挿入される。出力シャフト204の左端は、雌ネジ部64に螺合されることで内シャフト42に結合される。出力シャフト204は、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224を保持している(
図10参照)。
【0035】
また、外シャフト44の右開口端442の外周壁には、第1内スプライン66が形成されている。第1内スプライン66は、回転電機システム10の軸線方向(左右方向)に沿って延在する。
【0036】
図3に示すように、外シャフト44の外径は、長手方向略中間部で最大である。この大径な中間部には、磁石ホルダ70を介して複数個の永久磁石72が保持されている。隣接する永久磁石72同士では、互いに異なる極性が外方を向いている。永久磁石72は、回転シャフト40が回転することに伴って、回転シャフト40の回転中心を中心として、所定の仮想円の円周上を移動する。
【0037】
回転シャフト40の左端(第1端部)は、第1ベアリング74を介して第1サブハウジング18に回転可能に支持される。
図3に示すように、第1ベアリング74は、外シャフト44と第1サブハウジング18との間に挿入される。具体的には、第1サブハウジング18は、メインハウジング16に向かって突出した円柱状突部76を有する。円柱状突部76には、第1挿入孔78が形成されている。第1挿入孔78には、第1ベアリング74を保持した第1ベアリングホルダ80が挿入される。従って、第1ベアリング74が第1挿入孔78に配置される。
【0038】
第1挿入孔78は、左右方向に沿って延在している。第1挿入孔78の左端は、該第1挿入孔78の右端よりも出力シャフト204から離間する。以下、第1挿入孔78の左端を「第1遠位端781」とも表記する。その一方で、第1挿入孔78の右端は、該第1挿入孔78の左端(第1遠位端781)よりも出力シャフト204に近接する。以下、第1挿入孔78の右端を「第1近位端782」とも表記する。
【0039】
外シャフト44の小径な左端には、第1遠位端781に位置する第1外ストッパ81と、第1近位端782に位置する第1内ストッパ82とが装着される。第1ベアリング74は、第1外ストッパ81と第1内ストッパ82とで挟持されている。この挟持に基づき、第1ベアリング74が位置決め固定されている。第1外ストッパ81と円柱状突部76との間には、クリアランスが形成されている。
【0040】
回転シャフト40の左端部の先端は、第1ベアリング74の内孔に通された後、第1挿入孔78を通過する。回転シャフト40の左端部の先端は、さらに、円柱状突部76の外方(中空凹部118)に露出する。以下、回転シャフト40の、第1ベアリング74の左端から突出した部位を「突出先端46」と表記する。突出先端46には、内シャフト42の左端部422のうち、第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52及び第2外ネジ部54が含まれる(
図4参照)。
【0041】
回転シャフト40の右端(第2端部)は、第2ベアリング84を介して第2サブハウジング20に回転可能に支持される。
図5に示すように、第2ベアリング84は、外シャフト44と、略円板形状をなす第2サブハウジング20との間に挿入される。
【0042】
第2サブハウジング20は、図示しないボルトを介してメインハウジング16に連結される。該第2サブハウジング20の中心は、厚肉の円筒形状部となっている。該円筒形状部には、第2挿入孔86が形成されている。第2挿入孔86は、左右方向に沿って延在している。第2挿入孔86の左端は、該第2挿入孔86の右端よりも出力シャフト204から離間する。以下、第2挿入孔86の左端を「第2遠位端861」とも表記する。その一方で、第2挿入孔86の右端は、該第2挿入孔86の左端(第2遠位端861)よりも出力シャフト204に近接する。以下、第2挿入孔86の右端を「第2近位端862」とも表記する。
【0043】
第2挿入孔86には、第2ベアリング84を保持した第2ベアリングホルダ88が挿入される。従って、第2ベアリング84が第2挿入孔86に配置される。第2ベアリング84は、第2遠位端861に位置する第2内ストッパ90と、第2近位端862に位置する第2外ストッパ92とで挟持される。この挟持に基づいて、第2ベアリング84が位置決め固定される。
【0044】
また、第2遠位端861では、第2内ストッパ90と第2ベアリングホルダ88との間にクリアランスが形成される。このクリアランスは、第3サブ分岐路941である。
【0045】
図2に示すように、第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200を向く端面には、整流部材96が連結される。整流部材96は、裾部98と、縮径部100と、頂部102とを有する。第2サブハウジング20を向く裾部98は、大径且つ薄肉の円筒板形状である。ガスタービンエンジン200を向く頂部102は、小径且つ比較的長尺な円筒板形状である。裾部98と頂部102との間の縮径部100では、直径が漸次的に小さくなる。従って、整流部材96は、山形形状体又は無底カップ形状体である。縮径部100の外表面は、表面粗さが小さい平滑面とされている。
【0046】
裾部98の、第2サブハウジング20を向く端面には、導入口104が形成されている。また、縮径部100は中空である。すなわち、縮径部100の内部には中継室106が形成されている。導入口104は、圧縮エアの中継室106への入力口である。
【0047】
頂部102には、左右方向に沿って挿通孔108が形成されている。挿通孔108の直径(開口径)は、第2外ストッパ92の、回転シャフト40に沿って延在する部位の外径よりも大きい。このため、第2外ストッパ92の、挿通孔108内に進入した部位及び外周壁は、挿通孔108の内壁から離間する。換言すれば、第2外ストッパ92の外周壁と、挿通孔108の内壁との間にはクリアランスが形成されている。このクリアランスは、第4サブ分岐路942である。中継室106は、挿通孔108及び第4サブ分岐路942に接近するに従って幅広となる。
【0048】
また、挿通孔108の直径(開口径)は、コンプレッサホイール222の、比較的小径な左端(小径円筒部242)の外径よりも大きい。このため、挿通孔108内に進入した小径円筒部242も、挿通孔108の内壁から離間する。換言すれば、小径円筒部242の外周壁と、挿通孔108の内壁との間にはクリアランスが形成されている。このクリアランスは、出口路943である。
【0049】
図3に示すように、第1挿入孔78と、第3サブ分岐路941とは、収納室22に連通する。このため、第1ベアリング74及び第2ベアリング84は、収納室22に曝されている。
【0050】
ステータ36は、上記のロータ34とともに回転電機12を構成する。ステータ36は、電磁コイル110と、複数個の絶縁基材112とを有する。電磁コイル110は、U相コイル、V相コイル、W相コイルの3種類を有し、絶縁基材112に巻回される。回転電機12が発電機である場合、該回転電機12はいわゆる三相電源である。複数個の絶縁基材112は、円環形状に配列されている。この配列により、ステータ36に内孔が形成される。
【0051】
ステータ36は、収納室22に収納される。ここで、第2サブハウジング20はステータホルダとしての役割を果たす。すなわち、第2サブハウジング20には、円環状凹部114が形成される。該円環状凹部114に、ステータ36に含まれる絶縁基材112が係合される。この係合により、ステータ36が位置決め固定される。さらに、ステータ36の内孔の左開口には、円柱状突部76が進入する。
【0052】
収納室22の内壁と電磁コイル110とは、互いに若干離間している。この離間により、メインハウジング16と電磁コイル110が電気的に絶縁される。
【0053】
円柱状突部76の外周壁と絶縁基材112との間には、クリアランスが形成されている。永久磁石72の外壁と電磁コイル110の内壁との間にも、クリアランスが形成されている。後述するように、これらのクリアランスには、ガスである圧縮エアが流通する。換言すれば、これらのクリアランスは、圧縮エア流路の一部である。
【0054】
図4に示すように、第1サブハウジング18は、円環形状に突出する円環状凸部116を有する。円環状凸部116の内方は、中空凹部118となっている。内シャフト42の左端部422の一部である突出先端46は、中空凹部118に進入している。
【0055】
円環状凸部116には、レゾルバホルダ30が設けられる。レゾルバホルダ30は、直径方向外方に向かって突出したフランジ状ストッパ120を有する。フランジ状ストッパ120は、円環状凸部116の内径よりも大径である。従って、フランジ状ストッパ120は、円環状凸部116に当接する。この当接により、レゾルバホルダ30が位置決めされる。レゾルバホルダ30は、この状態で、例えば、取付ボルト(図示せず)等を介して第1サブハウジング18に連結される。
【0056】
レゾルバホルダ30の、フランジ状ストッパ120の左方には、小円筒部122が設けられる。また、フランジ状ストッパ120の右方には、大円筒部124が設けられる。大円筒部124は、小円筒部122に比べて大径である。レゾルバホルダ30には、保持孔126が形成されている。保持孔126には、レゾルバステータ130の大部分が嵌合される。この嵌合により、レゾルバステータ130がレゾルバホルダ30に保持されている。
【0057】
大円筒部124が中空凹部118に進入し且つフランジ状ストッパ120が円環状凸部116に当接したとき、レゾルバステータ130の内孔に、レゾルバロータ56が位置する。レゾルバステータ130とレゾルバロータ56とで、レゾルバ132が構成される。レゾルバ132は、回転パラメータ検出器である。本実施形態では、レゾルバ132は、内シャフト42の回転角度を検出する。なお、上記したように、レゾルバロータ56は、内シャフト42の左端部422の鍔部50に保持されている。
【0058】
フランジ状ストッパ120には、係合孔134が形成されている。係合孔134には、送信コネクタ136が係合される。レゾルバステータ130と送信コネクタ136とは、信号線138を介して電気的に接続される。なお、送信コネクタ136には、受信器(図示せず)の受信コネクタが挿入される。送信コネクタ136と受信コネクタとを介して、レゾルバ132と受信器が電気的に接続される。受信器は、レゾルバ132が発した信号を受信する。
【0059】
小円筒部122には、複数個のタブ部140が設けられている(
図1では省略している)。
図3には、1個のタブ部140が示されている。さらに、小円筒部122には、キャップカバー32が被せられる。キャップカバー32は、小円筒部122の左開口を閉塞し、且つ内シャフト42の左端部422を遮蔽する。なお、キャップカバー32は、連結ボルト142を介してタブ部140に連結される。
【0060】
上記したように、メインハウジング16の左端近傍の側壁には、第1ケーシング26及び第2ケーシング28が一体的に設けられる。第1ケーシング26には、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443が収納される。U相端子1441は、電磁コイル110のうちのU相コイルに電気的に接続される。V相端子1442は、電磁コイル110のうちのV相コイルに電気的に接続される。W相端子1443は、電磁コイル110のうちのW相コイルに電気的に接続される。U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443は、外部機器(外部負荷又は外部電源)が電気的に接続される電気端子部である。回転電機12で発生した電力は、外部機器に供給される。外部負荷としては、例えば、図示しないモータが挙げられる。また、外部機器としては、例えば、
図6に示すバッテリ146が挙げられる。
【0061】
第2ケーシング28は、第1ケーシング26に隣接する。第2ケーシング28には、温度測定器であるサーミスタ148が収納されている。特に図示はしていないが、サーミスタ148の測定端子は、第2ケーシング28から引き出された後、電磁コイル110に接続されている。第2ケーシング28からは、サーミスタ148に接続されたハーネス149が外部に引き出される。
【0062】
第2ケーシング28の内部空間と第1ケーシング26の内部空間は、不図示の相互連通孔を介して連通している。また、第1ケーシング26の内部空間は、収納室22に連通している。
【0063】
図1及び
図2に示すように、メインハウジング16の外周壁には電流変換器150が設けられる。電流変換器150は、第1ケーシング26よりもガスタービンエンジン200に寄っている。
図6に示すように、電流変換器150は、変換回路152と、コンデンサ154と、制御回路156とを有する。これら変換回路152、コンデンサ154及び制御回路156は、機器ケース158内に収容される。該機器ケース158は、例えば、メインハウジング16の外周壁の、第1中空管部1601、第2中空管部1602及び第3中空管部1603に干渉しない箇所に配置される(
図1参照)。
【0064】
第1中空管部1601、第2中空管部1602及び第3中空管部1603の中空内部は、圧縮エアが流通する中継連通路である。すなわち、本実施形態では、回転電機ハウジング14に3個の中継連通路が形成されている。
【0065】
変換回路152は、パワーモジュール161を含む。変換回路152は、電磁コイル110に生じた交流電流を直流電流に変換する。このとき、コンデンサ154は、変換回路152によって変換された直流電流を電荷として一時的に蓄電する。変換回路152は、バッテリ146から送られた直流電流を交流電流に変換する機能も併せ持つ。この場合、コンデンサ154は、電磁コイル110に向けてバッテリ146から送られた直流電流を電荷として一時的に蓄電する。
【0066】
制御回路156は、コンデンサ154からバッテリ146に向かう直流電流、又は、その逆方向に向かう直流電流の電流密度等を制御する。なお、バッテリ146からの直流電流は、例えば、交流-直流変換器を介してモータ(いずれも図示せず)に供給される。
【0067】
以上のように構成される回転電機システム10には、圧縮エア流路(第1供給路)と、潤滑油流路(第2供給路)とが設けられる。先ず、圧縮エア流路について説明する。
【0068】
図7に示すように、第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200を向く端面には、環状凹部からなる環状の集合流路162が形成される。後述するように、集合流路162には、ガスタービンエンジン200で生じた圧縮エアの一部が流通する。集合流路162(環状凹部)の底壁には、上流連通孔164が3箇所に形成される。上流連通孔164は、圧縮エアの入力口である。
【0069】
第2サブハウジング20の内部には、エア中継路166が設けられる。エア中継路166は、第2サブハウジング20の直径方向に沿って放射状に延在する。エア中継路166は、直径方向外方において、上流連通孔164を介して集合流路162に連通する。また、第2サブハウジング20の、回転電機12に向く端面には、3個の第1下流連通孔1681~1683が形成される。第1下流連通孔1681~1683は、エア中継路166の第1の出力口である。集合流路162とエア中継路166とにより、分配路が形成される。
【0070】
第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200に向く端面には、3個の第2下流連通孔1701~1703が形成される。第2下流連通孔1701~1703は、エア中継路166の第2の出力口である。第2下流連通孔1701~1703は、第1下流連通孔1681~1683よりも直径方向の内方に位置する。従って、エア中継路166を流通した圧縮エアは、第1下流連通孔1681~1683に進入する圧縮エアと、第2下流連通孔1701~1703に進入する圧縮エアとに分かれる。
【0071】
図2に示すように、メインハウジング16の側壁外面には、第1中空管部1601~第3中空管部1603が設けられている。第1下流連通孔1681~1683は、第1中空管部1601~第3中空管部1603にそれぞれ個別に開口する。このことから分かるように、エア中継路166は、集合流路162と、第1中空管部1601~第3中空管部1603の中空内部とを連通する。
図3に示すように、第1中空管部1601~第3中空管部1603は、メインハウジング16の側壁内部に形成された冷却ジャケット24の直径方向外方に位置する。
【0072】
第1中空管部1601~第3中空管部1603は、メインハウジング16の軸線方向に沿って延在する。第1中空管部1601の中空内部は、第2ケーシング28の内部空間に連通する。第2中空管部1602及び第3中空管部1603の中空内部は、第1ケーシング26の内部空間に連通する。後述するように、第1中空管部1601の中空内部を流通したカーテンエアは、第2ケーシング28の内部空間に流入する。第2中空管部1602及び第3中空管部1603の中空内部を流通したカーテンエアは、第1ケーシング26の内部空間に流入する。このことから理解されるように、第1ケーシング26及び第2ケーシング28は、第1中空管部1601~第3中空管部1603の、冷却ジャケット24の外方に位置する部位よりも下流に配設されている。
【0073】
上記したように、第1ケーシング26の内部空間と、第2ケーシング28の内部空間とは相互連通孔を介して連通している。また、第1ケーシング26の内部空間は収納室22に連通している。従って、第1中空管部1601~第3中空管部1603を流通した圧縮エアは、第1ケーシング26を経由して収納室22に流入する。
【0074】
本実施形態では、第1中空管部1601~第3中空管部1603を設ける場合を例示しているが、中空管部の個数は、圧縮エアから形成されるカーテンエアに必要とされる流量又は流速等に応じて適宜決定される。すなわち、中空管部の個数は3個に限定されない。また、中空管部の断面積も同様に、カーテンエアに必要とされる流量又は流速等に応じて適宜決定される。
【0075】
収納室22に流入した圧縮エアは、その後、第1挿入孔78に向かう圧縮エアと、第2挿入孔86に向かう圧縮エアとに分かれる。具体的には、圧縮エアの一部は、第1サブハウジング18とロータ34との間のクリアランスを流通して第1挿入孔78に向かう。このように、第1サブハウジング18とロータ34との間のクリアランスは、第1分岐路Lである。一方、圧縮エアの残りの一部は、主に、永久磁石72の外壁と電磁コイル110の内壁との間のクリアランスを流通して第2挿入孔86に向かう。このように、永久磁石72の外壁と電磁コイル110の内壁との間のクリアランスは、第2分岐路Mである。
【0076】
第1分岐路Lに到達した圧縮エアは、第1ベアリング74に供給された潤滑油をシールするエアカーテンを形成する。また、第2分岐路Mから第3サブ分岐路941(第2挿入孔86の第2遠位端861)に到達した圧縮エアは、第2ベアリング84に供給された潤滑油をシールするエアカーテンを形成する。このように、収納室22に流入した圧縮エアは、エアカーテンとして機能する。
【0077】
図5に示すように、整流部材96の裾部98には、3個の導入口104が形成されている。
図5には、その中の1個が示されている。1個の導入口104は、第2下流連通孔1701に連なる(不図示)。別の1個の導入口104は、第2下流連通孔1702に連なる(図示)。また別の1個の導入口104は、第2下流連通孔1703に連なる(不図示)。従って、第2下流連通孔1701~1703から出力された圧縮エアは、導入口104を介して整流部材96の縮径部100の中継室106に進入する。
【0078】
中継室106は、頂部102に形成された挿通孔108に連なる。ここで、中継室106は、挿通孔108及び第4サブ分岐路942に接近するにつれて幅広となっている。このため、圧縮エアが中継室106を流通するにつれて該カーテンエアの圧力が低下する。
【0079】
中継室106の出口は、コンプレッサホイール222の小径円筒部242に対面する。従って、中継室106に進入した圧縮エアは、コンプレッサホイール222の小径円筒部242に接触する。圧縮エアは、その後、第4サブ分岐路942に向かう圧縮エアと、出口路943に向かう圧縮エアとに分かれる。その結果、第4サブ分岐路942に沿って第2挿入孔86の第2近位端862に向かう圧縮エアの圧力が低下する。
【0080】
第4サブ分岐路942から第2挿入孔86の第2近位端862に到達した圧縮エアは、第2ベアリング84に供給された潤滑油をシールするエアカーテンを形成する。また、出口路943に流入した圧縮エアは、シュラウドケース220における第1端(開口端)の内方に導出される。この圧縮エアは、コンプレッサホイール222に再吸引される。
【0081】
メインハウジング16には、排気路172(第1排出路)が形成されている。第1分岐路Lに到達した圧縮エアと、第2分岐路Mに到達した圧縮エアとは、排気路172を経てメインハウジング16の外方に排気される。
【0082】
次に、潤滑油流路(第2供給路)について説明する。
図8は、回転電機システム10の概略側面断面図である。なお、
図8には、
図3の位相と異なる位相が示されている。
【0083】
メインハウジング16の側壁には、潤滑油を供給するための入力路174が形成されている。入力路174は、メインハウジング16の軸線方向中間よりも第1端に寄った位置に形成される。入力路174は、メインハウジング16の直径方向に沿って延在し、主油路176に連通する。主油路176は、冷却ジャケット24の外周に形成され、メインハウジング16の軸線方向に沿って延在する。主油路176は、入力路174との連通箇所を境に、第1サブハウジング18に向かう第3分岐路Nと、第2サブハウジング20に向かう第4分岐路Rとに分岐している。
【0084】
第1サブハウジング18の、第3分岐路Nに対面する箇所には、第1流入孔178が形成される。さらに、第1サブハウジング18の内部には、第1サブハウジング18の直径方向内方に向かう第1副油路180が形成されている。第1副油路180は、第1ベアリングホルダ80に到達するまでに2箇所で屈曲している。
【0085】
第1ベアリングホルダ80には、第1副油路180に連通する第1油供給孔182が形成されている。第1油供給孔182の出口は、第1挿入孔78の第1遠位端781に形成されている。従って、主油路176から第1副油路180に流入した潤滑油は、第1油供給孔182から第1挿入孔78の第1遠位端781に流通し、第1ベアリング74に接触する。
【0086】
図3に示すように、第1サブハウジング18には、第1ドレイン路184(第2排出路の1つ)が形成されている。第1ドレイン路184は、第1サブハウジング18の円環状凸部116と、レゾルバホルダ30とで形成される中空凹部118から、潤滑油を排出する。
【0087】
第3分岐路N、第1流入孔178、第1副油路180及び第1油供給孔182は、3個ずつ形成される。第4分岐路Rも同様に、3個形成される。
図8には、第3分岐路N、第1流入孔178、第1副油路180、第1油供給孔182及び第4分岐路Rが1個ずつ示されている。
【0088】
図7に示すように、第2サブハウジング20の、回転電機システム10を向く端面には、3個の油受入孔186が開口する。油受入孔186は、第1下流連通孔1681~1683よりも直径方向外方に寄っている。油受入孔186は、潤滑油の入力口である。
【0089】
第2サブハウジング20の内部には、3個の第2副油路188が油供給路として設けられる。第2副油路188は、第2サブハウジング20の直径方向に沿って放射状に延在する。ただし、第2副油路188は、エア中継路166の位相とは異なる位相に形成される。また、第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200に向く端面には、3個の油流出孔190が形成される。油流出孔190には、油分配器192の中空ピン部193が嵌合される。
【0090】
油分配器192の内部には、第1案内路1941と第2案内路1942とが形成される。第2副油路188を経た潤滑油は、第1案内路1941を流通する潤滑油と、第2案内路1942を流通する潤滑油とに分かれる。第1案内路1941の出口は、第2挿入孔86の第2近位端862に位置する。従って、第1案内路1941から流出した潤滑油は、第2近位端862から第2ベアリング84に接触する。
【0091】
第2案内路1942は、第1案内路1941の途中から分岐する。第2案内路1942の出口には、第2ベアリングホルダ88に形成された第2油供給孔195が連なる。従って、第2案内路1942を経た潤滑油は、第2油供給孔195から流出して第2ベアリング84に接触する。
【0092】
図7に示すように、第2サブハウジング20には、2個のドレイン口197と、2個の第2ドレイン路196(別の第2排出路)が形成されている。
図8に示すように、整流部材96と、第2外ストッパ92とで形成される空間は、ドレイン口197を介して第2ドレイン路196に連通する。従って、前記空間に進入した潤滑油は、ドレイン口197を経て第2ドレイン路196から排出される。
【0093】
図9に示すように、第1ドレイン路184は、第1中継管3001を介して気液分離装置302(回収装置/油供給装置の1つ)に接続される。第2ドレイン路196は、第2中継管3002を介して気液分離装置302に接続される。排気路172は、第3中継管3003を介して気液分離装置302に接続される。すなわち、回転電機ハウジング14の内部に供給された圧縮エア及び潤滑油は、気液分離装置302に回収される。気液分離装置302には、循環供給ライン304(循環路)と、放出ライン306(放出路)とが設けられる。循環供給ライン304には、油供給装置の1つである循環ポンプ308が設けられる。
【0094】
後述するように、第1ドレイン路184及び第2ドレイン路196から流出した潤滑油には、圧縮エアが含まれている。すなわち、気液分離装置302に流入する潤滑油は、気液混合物である。気液分離装置302では、気液混合物が潤滑油とエアとに分離される。潤滑油は、循環ポンプ308によって気液分離装置302から吐出され、循環供給ライン304を経て入力路174に再供給される。一方、エアは、放出ライン306を介して大気に放出される。
【0095】
次に、ガスタービンエンジン200につき説明する。
図10に示すように、ガスタービンエンジン200は、エンジンハウジング202と、エンジンハウジング202内で回転する出力シャフト204とを備える。エンジンハウジング202は、インナハウジング2021と、アウタハウジング2022とを含む。インナハウジング2021は、回転電機システム10の第2サブハウジング20に連結される。アウタハウジング2022は、インナハウジング2021に連結される。アウタハウジング2022は、ハウジング本体である。
【0096】
図1及び
図7に示すように、インナハウジング2021は、第1円環部206と、第2円環部208と、複数個の脚部210とを有する。第1円環部206は、第2サブハウジング20に連結される。第2円環部208の直径は、第1円環部206の直径よりも大きい。脚部210は、第1円環部206と第2円環部208とを連結する。図示例では、脚部210の個数は6個である。しかしながら、脚部210の個数は、ガスタービンエンジン200と回転電機システム10との間で要求される結合強度に応じて決定される。すなわち、脚部210の個数は、図示例の6個に限定されない。
【0097】
第2円環部208の中央開口からは、回転電機システム10に向かって円筒状カバー部212が突出する。脚部210の右端は、円筒状カバー部212に連なっている。脚部210同士の間には、吸気空間214が形成される。
【0098】
図7及び
図10に示すように、6個の脚部210の内部には、抽気通路216が個別に形成されている。抽気通路216の入口は、脚部210の、円筒状カバー部212との連結箇所に個別に形成される。抽気通路216の出口は、第1円環部206の、第2サブハウジング20を向く端面に、個別に形成される。抽気通路216の全ての出口は、仮想円の円周上に位置する。従って、抽気通路216の全ての出口は、円環形状に形成された集合流路162に重なる。すなわち、複数個の抽気通路216は全て、集合流路162に連通している。このように、集合流路162では、複数個の抽気通路216からの圧縮エアが流入して集合する。
【0099】
脚部210には、エア抜孔217が形成される。エア抜孔217は、円筒状カバー部212の内壁から外壁にわたって直線状に延在する。エア抜孔217は、円筒状カバー部212の内壁から脚部210の外壁にわたって延在することも可能である。エア抜孔217は、1個であってもよいし複数個であってもよい。また、エア抜孔217を形成することは必須ではない。
【0100】
図10に示すように、第2円環部208の右端面には、環状の係合凹部218が形成される。係合凹部218により、シュラウドケース220と、ディフューザ226とが位置決め固定される(後述)。
【0101】
図10に示すように、ガスタービンエンジン200は、シュラウドケース220、コンプレッサホイール222、タービンホイール224、ディフューザ226、燃焼器228及びノズル230をさらに備える。
【0102】
シュラウドケース220は中空体であり、整流部材96に比して大型である。シュラウドケース220の小径な左端は、整流部材96を向く。シュラウドケース220の大径な右端は、インナハウジング2021の、円筒状カバー部212内に挿入される。シュラウドケース220は、右端から左端に向かうに従って漸次的に縮径するが、左端先端は、直径方向外方に向かって拡開するように湾曲する。
【0103】
シュラウドケース220の左端は、吸気空間214に露出する。シュラウドケース220の左端の内部には、整流部材96の頂部102が進入している。シュラウドケース220の、湾曲した側周壁には、環状の閉塞フランジ部232が設けられる。閉塞フランジ部232の外縁は、円筒状カバー部212及び脚部210の内壁に当接する。
【0104】
シュラウドケース220の側壁において、閉塞フランジ部232と、第1係合凸部238との間には、抽気口234が形成されている。抽気口234は、シュラウドケース220の側壁の内面から外面にわたって延在する。抽気口234は、圧縮エアがチャンバ236に進入するときの該チャンバ236への入口である。
【0105】
チャンバ236は、抽気口234と抽気通路216との間に介在する。すなわち、チャンバ236は、抽気口234と抽気通路216とを連通させる。また、チャンバ236は、エア抜孔217を介して大気に開放されている。
【0106】
シュラウドケース220の右端からは、第2円環部208に向かって第1係合凸部238が突出する。第1係合凸部238は、第2円環部208の係合凹部218に係合している。この係合と、閉塞フランジ部232の外縁が円筒状カバー部212及び脚部210の内壁に当接することとによって、シュラウドケース220がインナハウジング2021に位置決め固定される。同時に、脚部210、円筒状カバー部212及び第2円環部208と、シュラウドケース220の閉塞フランジ部232、側周壁及び第1係合凸部238とで囲まれるチャンバ236が形成される。チャンバ236は、シュラウドケース220を囲む環状をなす。
【0107】
コンプレッサホイール222及びタービンホイール224は、回転シャフト40及び出力シャフト204と一体的に回転することが可能である。すなわち、
図5に詳細を示すように、コンプレッサホイール222は、左端に小径円筒部242を有する。該小径円筒部242は、整流部材96に形成された挿通孔108に進入する。小径円筒部242の内壁には、第1外スプライン239が形成されている。該第1外スプライン239は、外シャフト44の右開口端442に形成された第1内スプライン66に噛合する。
【0108】
外シャフト44の右開口端442は、小径円筒部242の中空内部に圧入されている。このため、小径円筒部242の左開口の内周壁は、外シャフト44の右開口端442の外周壁を、直径方向内方に向かって押圧している。コンプレッサホイール222は、上記の噛合及び圧入により、外シャフト44(回転シャフト40)に連結される。
【0109】
コンプレッサホイール222の直径中心には、左右方向に沿って延在する貫通孔240が形成されている。この貫通孔240において、左端の内壁には、第2外スプライン246が刻設される。また、貫通孔240の、小径円筒部242の中空内部に連なる箇所の孔径は、他の箇所に比して若干小さい。このため、コンプレッサホイール222の、貫通孔240の小径円筒部242側の開口の近傍に、内フランジ部248が設けられる。内フランジ部248が設けられた部位では、貫通孔240の孔径(直径)は最小である。
【0110】
貫通孔240には、タービンホイール224に設けられた出力シャフト204が挿入される。出力シャフト204の左端先端は、コンプレッサホイール222の小径円筒部242の左端先端と略同位置まで延出する。上記したように、外シャフト44の右開口端442の外周壁は、小径円筒部242の中空内部に挿入されている。このため、出力シャフト204の、貫通孔240から突出した左端は、回転シャフト40の連結孔62に進入する。出力シャフト204の左端には、雄ネジ部252が刻設されている。雄ネジ部252は、連結孔62の内壁に形成された雌ネジ部64に螺合される。この螺合により、回転シャフト40と出力シャフト204とが連結される。
【0111】
出力シャフト204の左端近傍には、第2内スプライン254が形成されている。第2内スプライン254は、貫通孔240の内周壁に形成された第2外スプライン246に噛合する。また、出力シャフト204の左端部は、内フランジ部248に圧入される。
【0112】
図10に示すように、コンプレッサホイール222と、タービンホイール224との間には、リング部材256が介装される。リング部材256は、例えば、ニッケル基合金等の耐熱性金属材からなる。
【0113】
図11に示すように、リング部材256には、コンプレッサホイール222からタービンホイール224に向かう嵌合孔258が形成される。また、リング部材256の外周壁には、複数個(例えば、3個)のラビリンス形成凸部264が形成される。ラビリンス形成凸部264は、リング部材256の直径方向外方に向かって突出し、且つ外周壁の周方向に沿って延在する。後述するように、ラビリンス形成凸部264は、燃焼器228で生成する燃焼済燃料(排気ガス)がコンプレッサホイール222に逆流することを防止する。
【0114】
コンプレッサホイール222の、タービンホイール224を向く右端面からは、環状突部268が突出する。リング部材256の左端面がコンプレッサホイール222の右端面に着座するとき、環状突部268が嵌合孔258に嵌合される。一方、タービンホイール224の、コンプレッサホイール222を向く左端面からは、前記出力シャフト204が延出する。また、該左端面には、出力シャフト204を囲む嵌合凸部270が突出形成される。リング部材256の右端面がタービンホイール224の左端面に着座するとき、嵌合凸部270の頂面が嵌合孔258に嵌合する。以上により、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224の各一部が嵌合孔258に嵌合される。リング部材256は、この状態で、コンプレッサホイール222とタービンホイール224とに挟持される。
【0115】
ラビリンス形成凸部264は、アウタハウジング2022(
図10参照)の中空内部で中間プレート266に囲まれる。ラビリンス形成凸部264は、該中間プレート266に形成された孔部272に挿入される。孔部272の内壁と、この内壁に当接したラビリンス形成凸部264とにより、ラビリンス流路が形成される。コンプレッサホイール222によって生じた圧縮エアは、該コンプレッサホイール222の背面を経由してラビリンス形成凸部264に到達する。その一方で、タービンホイール224から燃焼ガスがラビリンス形成凸部264に到達する。燃焼ガスの圧力に比べて圧縮エアの圧力が高いので、燃焼ガスがラビリンス形成凸部264を通過してコンプレッサホイール222を囲む空間に流入することを抑制できる。
【0116】
図10に示すように、アウタハウジング2022の中空内部では、シュラウドケース220及びコンプレッサホイール222の各一部と、中間プレート266とがディフューザ226に囲繞される。ディフューザ226の左端には、第2係合凸部273が形成されている。第2係合凸部273は、シュラウドケース220の第1係合凸部238と一緒に、係合凹部218に係合される。この係合により、ディフューザ226がインナハウジング2021に位置決め固定される。
【0117】
アウタハウジング2022の中空内部では、タービンホイール224がノズル230に囲まれ、且つノズル230が燃焼器228に囲まれる。燃焼器228とアウタハウジング2022との間には、環状の燃焼エア流通路274が形成される。燃焼エア流通路274は、燃焼エアが流通する通路である。アウタハウジング2022の右端面には、燃料供給ノズル275が位置決め固定される。燃料供給ノズル275は、燃焼器228に燃料を供給する。
【0118】
燃焼器228には、燃焼エア流通路274と燃焼器228の内部とを連通させるための中継孔276が形成されている。後述するように、コンプレッサホイール222によって圧縮された燃焼エアは、ディフューザ226、燃焼エア流通路274及び中継孔276を経由して、燃焼器228の内部に到達する。燃焼器228には、図示しない微細孔も形成されている。微細孔から排出されたエアは、燃焼器228の内部を冷却するエアカーテンを形成する。
【0119】
ノズル230は、タービンホイール224の最も大径な部位を囲む部位を有する。この部位には、燃焼エアと一緒に燃焼した燃料をタービンホイール224に供給するための図示しない送出孔が形成されている。なお、以下では、燃焼した燃料を「燃焼済燃料」とも表記する。「燃焼済燃料」は、「燃焼ガス」又は「燃焼後の排気ガス」と同義である。
【0120】
アウタハウジング2022及びノズル230の右端では、排出口280が開口している。燃焼済燃料は、前記送出孔を通過してノズル230内に進行した後、回転するタービンホイール224によって、排出口280を介してアウタハウジング2022外に吹き出される。なお、特に図示はしていないが、排出口280には、燃焼済燃料を排出する排出管が設けられている。
【0121】
本実施形態に係る複合動力システム400は、基本的には以上のように構成される。次に、複合動力システム400の作用効果について説明する。
【0122】
先ず、バッテリ146から直流電流が供給される。
図2及び
図6に示す電流変換器150の変換回路152は、この直流電流を交流電流に変換する。交流電流は、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443を介して、電磁コイル110(U相コイル、V相コイル及びW相コイル)に供給される。交流電流が電磁コイル110を流れることで、ステータ36に交番磁界が生じる。このため、電磁コイル110と、ロータ34の永久磁石72との間に、吸引力と反発力とが交互に作用する。その結果、回転シャフト40が回転を開始する。代替的に、図示しない公知のスタータによって回転シャフト40を回転させるようにしてもよい。
【0123】
ここで、
図5に示すように、外シャフト44の右開口端442の外周壁に第1内スプライン66が形成され、且つコンプレッサホイール222の小径円筒部242の内壁に第1外スプライン239が形成されている。第1内スプライン66と第1外スプライン239とは、互いに噛合している。また、出力シャフト204に第2内スプライン254が形成され、且つコンプレッサホイール222の貫通孔240の内壁に第2外スプライン246が形成されている。第2内スプライン254と第2外スプライン246とは、互いに噛合している。このため、回転シャフト40の回転トルクが、コンプレッサホイール222を介して出力シャフト204に速やかに伝達される。
【0124】
すなわち、回転シャフト40が回転を開始すると、該回転シャフト40と一体的に出力シャフト204も回転を開始する。これに伴い、出力シャフト204に支持されたコンプレッサホイール222及びタービンホイール224が出力シャフト204と一体的に回転する。以上のように、第1内スプライン66と第1外スプライン239とを噛合させ、且つ第2内スプライン254と第2外スプライン246とを噛合させることにより、回転シャフト40の回転トルクを出力シャフト204に十分に伝達することができる。
【0125】
しかも、回転シャフト40の右端部が、コンプレッサホイール222の小径円筒部242の中空内部に圧入されている。また、出力シャフト204の左端部が、コンプレッサホイール222の内フランジ部248に圧入されている。このため、回転シャフト40の軸線と、出力シャフト204の軸線とが精度よく一致する。これにより、出力シャフト204が偏心しながら又は振動しながら回転することが十分に抑制される。
【0126】
加えて、
図11に示すように、コンプレッサホイール222とタービンホイール224の間にリング部材256が介装されている。リング部材256の嵌合孔258には、コンプレッサホイール222の右端面の環状突部268と、タービンホイール224の左端面の嵌合凸部270とが嵌合している。これらの嵌合も、出力シャフト204の偏心回転(振動)を抑制することに寄与する。従って、振動を抑制するための機構を設ける必要がない。また、出力シャフト204を大径にする必要もない。これにより、複合動力システム400の小型化を図ることができる。
【0127】
さらに、コンプレッサホイール222の右端面と、リング部材256の左端面との間に摩擦力が発生する。リング部材256の右端面と、タービンホイール224の左端面との間にも、摩擦力が発生する。この摩擦力により、コンプレッサホイール222、リング部材256及びタービンホイール224が相互に密着する。従って、両ホイール222、224が回転ズレを起こすことが回避される。
【0128】
さらにまた、複合動力システム400を組み上げる際には、上記の嵌合により、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224の出力シャフト204に対する位置合わせ(芯出し)がなされる。このように、両ホイール222、224の間にリング部材256を設け、且つ両ホイール222、224の一部をリング部材256の嵌合孔258に個別に嵌合することが好ましい。これにより、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224の出力シャフト204に対する芯出しが容易となる。
【0129】
上記の回転により、
図10に示すように、インナハウジング2021の脚部210同士の間の吸気空間214を介して、シュラウドケース220内に大気が吸引される。ここで、インナハウジング2021の直径中心には、整流部材96が位置している。上記したように、整流部材96は、シュラウドケース220に向かうに従って縮径するような山形形状をなす。しかも、縮径部100の表面が平滑である。このため、吸引される大気は、整流部材96によってシュラウドケース220に向かうように整流される。整流部材96の右端がシュラウドケース220の左端開口から進入しているので、大気がシュラウドケース220内に効率よく導かれる。このように、整流部材96を上記のような形状とし、且つ頂部102をシュラウドケース220内に進入させたことにより、大気をシュラウドケース220で効率よく捕集することができる。
【0130】
シュラウドケース220内に吸引された大気は、コンプレッサホイール222とシュラウドケース220との間を流通する。シュラウドケース220の左開口に比べ、コンプレッサホイール222とシュラウドケース220との間が十分に狭小であることから、この流通の際に大気が圧縮される。すなわち、圧縮エアが生じる。
【0131】
シュラウドケース220には、抽気口234が形成されている。このため、圧縮エアの一部が抽気口234からカーテンエアとして分流し、チャンバ236に流入する。チャンバ236は環状であり、抽気口234の容積に比べて大きな容積を有する。このため、チャンバ236に流入したカーテンエアは、チャンバ236に一時的に貯留される。
【0132】
抽気通路216が複数個形成されていることから、チャンバ236から各抽気通路216に圧縮エアが分配される。この場合において、分配されたカーテンエア同士で圧力が相違していることがあり得る。しかしながら、本実施形態では、抽気口234を通過した圧縮エア(カーテンエア)が、環状をなす単一個のチャンバ236に流入する。これにより、チャンバ236内のカーテンエアの圧力が揃う。換言すれば、カーテンエアの圧力が均一化される。このように、チャンバ236は、カーテンエアの圧力を略一定に調整する圧力調整室である。
【0133】
抽気口234から流入したカーテンエアは、上記したように圧縮エアの一部であり、高圧である。ここで、チャンバ236の容積が抽気口234の容積よりも大きいので、カーテンエアは、チャンバ236に流入することで拡散する。このため、カーテンエアの圧力が低下する。このことから理解されるように、チャンバ236は、圧縮エアの圧力を低下させるバッファ室を兼ねる。
【0134】
インナハウジング2021には、抽気通路216の他、エア抜孔217が形成されている。過剰の圧縮エアは、エア抜孔217を介してガスタービンエンジン200の外方(大気)に放出される。このため、チャンバ236内のカーテンエアの圧力が過度に上昇することが回避される。すなわち、エア抜孔217により、チャンバ236内の圧力を容易に調節することができる。
【0135】
チャンバ236内では、6個の脚部210の各々に個別に形成された抽気通路216の入口が開口している。このため、チャンバ236内のカーテンエアは、次に、6個の抽気通路216を個別に流通し、これにより第2サブハウジング20に向かって進行する。上記したように、この時点でカーテンエアの圧力は略一定である。
【0136】
図7に示すように、6個の抽気通路216の出口は全て、集合流路162に重なっている。従って、6個の抽気通路216を流通したカーテンエアは、集合流路162に流入して集合し、且つ該集合流路162に沿って円環状に拡散する。この過程で、カーテンエアの圧力がさらに均一化される。
【0137】
カーテンエアは、さらに、集合流路162から3個の上流連通孔164に個別に流入し、3個のエア中継路166に沿って個別に流通する。その後、カーテンエアの一部が、第1下流連通孔1681~1683から排出される。また、カーテンエアの残部が、第2下流連通孔1701~1703から排出される。以下、第1下流連通孔1681~1683から排出されるカーテンエアを「第1分流エア」と表記する。第2下流連通孔1701~1703から排出されるカーテンエアを「第2分流エア」と表記する。
【0138】
第1分流エアの経路について説明する。第1下流連通孔1681は、第1中空管部1601の中空内部に連通している。第1下流連通孔1682は、第2中空管部1602の中空内部に連通している。第1下流連通孔1683は、第3中空管部1603の中空内部に連通している。従って、第1分流エアは、
図1等に示す第1中空管部1601~第3中空管部1603の中空内部を流通し、回転電機ハウジング14の第2端から第1端に向かう。
【0139】
第1中空管部1601~第3中空管部1603は、冷却ジャケット24の外周部に位置する。冷却ジャケット24には、冷却媒体が予め流通されている。従って、第1分流エアが第1中空管部1601~第3中空管部1603に沿って流通する過程で、第1分流エアの熱が冷却媒体に十分に伝導する。これにより、第1分流エアが比較的低温となる。すなわち、本実施形態では、回転電機12及び電流変換器150等を冷却するための冷却ジャケット24により、第1分流エアを降温することができる。このため、ガスタービンエンジン200又は回転電機システム10に、カーテンエアを冷却するための冷却設備を別途に設ける必要がない。従って、複合動力システム400の小型化を図ることができる。
【0140】
第1中空管部1601を流通した第1分流エアは、
図2に示すように第2ケーシング28の内部空間に流入する。これにより、第2ケーシング28内にエアカーテンが形成される。余剰の第1分流エアは、前記相互連通孔を介して第1ケーシング26の中空内部(内部空間)に流入する。その一方で、第2中空管部1602及び第3中空管部1603の各々を流通した第1分流エアは、第1ケーシング26の内部空間に流入する。従って、第1ケーシング26内では、第1中空管部1601~第3中空管部1603を流通した第1分流エアによってエアカーテンが形成される。
【0141】
第1ケーシング26内の余剰の第1分流エアは、
図3に示すように、メインハウジング16に形成された収納室22に流入する。このことから理解されるように、第1ケーシング26及び第2ケーシング28の内部空間は、第1分流エアの流通経路における上流である。メインハウジング16の収納室22は、第1分流エアの流通経路における下流である。
【0142】
第1ケーシング26及び第2ケーシング28は、メインハウジング16の第1端(左端)に配設されている。このため、第1分流エアは、収納室22の左端から流入する。第1分流エアは、その後、円柱状突部76の外周壁と、絶縁基材112との間のクリアランスに進入する。このクリアランスは、ステータ36の内孔である。
【0143】
第1分流エアの一部は、その後、第1分岐路Lを介して、第1挿入孔78に向かって流通する。また、第1分流エアの残部は、第2分岐路Mを介して、永久磁石72の外壁と電磁コイル110の内壁との間のクリアランスに沿って、第2挿入孔86に向かって流通する。このように、第1分流エアは、左端(第1端)の第1挿入孔78に向かう圧縮エアと、右端(第2端)の第2挿入孔86に向かう圧縮エアとに分岐する。
【0144】
第1挿入孔78に向かって流通した第1分流エアの一部は、第1挿入孔78の第1近位端782に到達する。第1分流エアの一部は、この第1近位端782において、第1ベアリング74のエアカーテンとなる。一方、第2挿入孔86に向かって流通した第1分流エアの残部は、第3サブ分岐路941を経て第2挿入孔86の第2遠位端861に到達する。第1分流エアの残部は、この第2遠位端861において、第2ベアリング84のエアカーテンとなる。
【0145】
第2分流エアの経路について説明する。第2下流連通孔1701~1703は、整流部材96の裾部98に形成された3個の導入口104にそれぞれ個別に重なっている。従って、第2分流エアは、導入口104を介して中継室106(整流部材96の中空内部)に流入する。
【0146】
上記したように、中継室106の出口は、コンプレッサホイール222の小径円筒部242に対面する位置で開口している。従って、中継室106に流入した第2分流エアは、小径円筒部242に接触する。第2分流エアの一部は、その後、第4サブ分岐路942に向かって流通する。第2分流エアの残部は、出口路943に向かって流通する。
【0147】
第2分流エアの一部は、第4サブ分岐路942を介して第2挿入孔86の第2近位端862に到達する。第2分流エアの一部は、この第2近位端862において、第2ベアリング84のエアカーテンとなる。このように、第2ベアリング84は、第2近位端862に到達した第2分流エアの残部と、第2遠位端861に到達した第1分流エアの一部とで挟まれる。
【0148】
第2分流エアの残部は、出口路943を経てシュラウドケース220の左端内部に排出される。シュラウドケース220の左端開口では、上記したように吸気が行われている。従って、第2分流エアの残部は、吸引された大気と一緒にコンプレッサホイール222によって圧縮される。
【0149】
余剰の第1分流エアは、収納室22を経て排気路172に到達する。余剰の第2分流エアは、例えば、収納室22の内壁と電磁コイル110との間のクリアランスを介して、メインハウジング16の第2端から第1端に流通する。その後、余剰の第2分流エアは、排気路172に到達する。排気路172に到達した第1分流エア及び第2分流エアは、第3中継管3003を介して気液分離装置302(回収装置)に回収される。
【0150】
上記したように、インナハウジング2021とシュラウドケース220との間に設けられたチャンバ236によって、カーテンエアの圧力が均一化されている。従って、カーテンエアに圧力分布が生じることが回避される。また、カーテンエアにサージングが起こることも回避される。このため、カーテンエアの圧力を略一定に維持しながら、該カーテンエアを第1ベアリング74及び第2ベアリング84の周囲に供給することが可能である。
【0151】
上記したように、中継室106が第4サブ分岐路942に接近するに従って幅広となっている。しかも、中継室106から流出した第2分流エアは、第4サブ分岐路942に向かう一部と、出口路943に向かう残部とに分かれる。従って、第2近位端862に到達した第2分流エアの圧力は、中継室106に流入する前の第2分流エアの圧力よりも小さい。その結果、第2遠位端861に到達した第1分流エアの圧力と、第2近位端862に到達した第2分流エアの圧力とが均衡する。
【0152】
次に、潤滑油の経路について説明する。潤滑油は、潤滑剤として第1ベアリング74及び第2ベアリング84に供給される。
【0153】
図9に示す気液分離装置302(油回収装置)に回収され、カーテンエアと分離された潤滑油は、循環ポンプ308によって押し出される。潤滑油は、循環供給ライン304を経て、メインハウジング16に形成された入力路174に供給される。潤滑油は、入力路174から主油路176に流入する。主油路176は、第1サブハウジング18に向かう第3分岐路Nと、第2サブハウジング20に向かう第4分岐路Rとに分岐している。従って、潤滑油は、第3分岐路Nに沿って流通する潤滑油と、第4分岐路Rに沿って流通する潤滑油とに分かれる。以下、第3分岐路Nに沿って流通する潤滑油を、「第1分流油」と表記する。第4分岐路Rに沿って流通する潤滑油を、「第2分流油」と表記する。
【0154】
第1分流油は、第1サブハウジング18に形成された第1流入孔178を介して、第1副油路180に流入する。第1分流油は、その後、第1ベアリングホルダ80に形成された第1油供給孔182を介して、第1挿入孔78の第1遠位端781に供給される。第1分流油は、さらに、第1ベアリング74の内孔に進入して該第1ベアリング74を潤滑する。
【0155】
第1遠位端781から第1近位端782に流通した第1分流油は、該第1近位端782に到達した第1分流エア(エアカーテン)に堰き止められる。従って、第1分流油が第1分岐路Lに向かって流通することが回避される。このため、第1分流油が回転シャフト40と電磁コイル110との間に浸入することも回避される。これにより、回転電機12が第1分流油で汚れることを回避することができる。
【0156】
余剰の第1分流油は、中空凹部118に流入する。中空凹部118には、第1ドレイン路184が設けられている。従って、中空凹部118内の第1分流油は、第1ドレイン路184を介して、気液分離装置302に回収される。
【0157】
第4分岐路Rを流通した第2分流油は、第2サブハウジング20に形成された油受入孔186を介して、第2副油路188に流入する。第2副油路188を流通した第2分流油は、油分配器192の内部に形成された第1案内路1941と第2案内路1942とで分流される。第1案内路1941の出口から流出した第2分流油の一部は、第2挿入孔86の第2近位端862に供給される。第2案内路1942を経た第2分流油の残部は、第2ベアリングホルダ88に形成された第2油供給孔195を介して、第2ベアリング84に供給される。第2分流油は、第2ベアリング84の内孔に進入して該第2ベアリング84を潤滑する。
【0158】
第2ベアリング84の内孔に進入した第2分流油は、第2遠位端861に供給された第1分流エアと、第2近位端862に供給された第2分流エアとで囲まれる。上記したように、第2遠位端861に供給された第1分流エアの圧力と、第2近位端862に供給された第2分流エアの圧力とが均衡している。従って、第2分流油が第3サブ分岐路941又は第4サブ分岐路942に向かって流通することが回避される。このため、第2分流油が回転シャフト40と電磁コイル110との間に浸入することが回避される。また、第2分流油が整流部材96の中継室106に浸入することも回避される。これにより、回転電機12及び整流部材96が第2分流油で汚れることを回避することができる。
【0159】
上記したように、カーテンエアの圧力が略一定に調節されている。従って、第1ベアリング74及び第2ベアリング84の周囲に所定圧力のエアカーテンが継続して形成される。このため、第1ベアリング74及び第2ベアリング84から潤滑油が漏洩することが防止される。
【0160】
余剰の第2分流油は、整流部材96と、第2外ストッパ92とで形成される空間に流入する。第2サブハウジング20には、ドレイン口197及び第2ドレイン路196が形成されている。前記空間に流入した第2分流油は、ドレイン口197及び第2ドレイン路196を介して、気液分離装置302に回収される。
【0161】
以上のように、カーテンエア及び潤滑油は、気液分離装置302に回収される。ここで、回転電機ハウジング14内では、エアカーテンで潤滑油を堰き止めることから、排気路172から排気されたカーテンエアには、潤滑油が含まれている。すなわち、排気路172から排気されたカーテンエアは、実質的に気液混合物である。
【0162】
本実施形態では、回収装置は気液分離装置302を兼ねる。従って、気液混合物が、エアと潤滑油とに分離される。エアは、気液分離装置302に設けられた放出ライン306を経て大気に放出される。一方、潤滑油は、循環ポンプ308によって気液分離装置302から押し出される。潤滑油は、さらに、気液分離装置302から循環供給ライン304を経て第1ベアリング74及び第2ベアリング84に再供給される。回転シャフト40が回転する間、第1ベアリング74及び第2ベアリング84が潤滑油によって冷却される。
【0163】
このように、気液分離装置302で気液混合物を潤滑油とエアとに分離したことにより、循環供給ライン304及び循環ポンプ308において、いわゆるエア噛みが起こることが回避される。従って、適切な吐出圧又は流量で潤滑油を第1ベアリング74及び第2ベアリング84に再供給することができる。このため、第1ベアリング74及び第2ベアリング84が十分に潤滑される。その結果、第1ベアリング74及び第2ベアリング84に焼付きが発生することを抑制することができる。
【0164】
しかも、第2分岐路M、第3サブ分岐路941及び第4サブ分岐路942には、エアカーテンが形成されている。このエアカーテンによって、潤滑油が第1ケーシング26及び第2ケーシング28の内部空間に進入することが遮られる。従って、U相端子1441、V相端子1442、W相端子1443及びサーミスタ148等に潤滑油が付着することが抑制される。換言すれば、電気端子部及び測定器(サーミスタ148)等が潤滑油で汚れることを回避することができる。
【0165】
以上のように、カーテンエア(第1分流エア及び第2分流エア)は、第1ベアリング74及び第2ベアリング84から潤滑油が飛散すること等を防止する。カーテンエアは、その後、上記したように回転電機ハウジング14の外部に排出される。このため、第1ベアリング74又は第2ベアリング84から潤滑油が仮に漏洩した場合であっても、漏洩した潤滑油は、カーテンエアに同伴されて回転電機ハウジング14の外部に排出される。従って、漏洩した潤滑油がロータ34に向かって流れることを回避することができる。また、漏洩した潤滑油がロータ34内に残留することも回避することができる。
【0166】
回転電機ハウジング14に継続して供給されるカーテンエアの圧力は、上記したように略一定である。このため、上記した潤滑油の飛散を継続して防止することが可能である。また、潤滑油が漏洩した場合であっても、漏洩した潤滑油を継続して回転電機ハウジング14の外部に排出することができる。
【0167】
抽気口234に進入することなく、シュラウドケース220とコンプレッサホイール222の間を通過した圧縮エアは、燃焼エアとなる。
図10に示すように、燃焼エアは、ディフューザ226内に流入する。燃焼エアは、ディフューザ226の壁部に形成された出口孔から、燃焼器228とアウタハウジング2022との間の燃焼エア流通路274に流出する。燃焼エアは、さらに、燃焼器228に形成された中継孔276、前記微細孔、及び燃焼器228と燃料供給ノズル275との間のクリアランス等を介して、燃焼室(燃焼器228の中空内部)に流入する。
【0168】
燃焼器228は、予め加熱状態とされている。従って、燃焼室も高温となっている。高温の燃焼室に、燃料供給ノズル275から燃料が供給される。燃料は燃焼エアと一緒に燃焼し、高温の燃焼済燃料となる。この燃焼済燃料は、前記送出孔からノズル230内に供給されたとき、ノズル230内で膨張する。これにより、タービンホイール224が高速で回転し始める。
【0169】
出力シャフト204は、タービンホイール224を保持している。また、該出力シャフト204には、コンプレッサホイール222が設けられている。従って、タービンホイール224が高速回転することに伴って、出力シャフト204及びコンプレッサホイール222が一体的に高速回転する。同時に、回転シャフト40も高速回転する。なお、燃焼済燃料は、排出口280に設けられた図示しない排出管を介して、アウタハウジング2022外に排出される。
【0170】
コンプレッサホイール222とタービンホイール224の間に介装されたリング部材256は、両ホイール222、224の間をシールするシール部材としての役割も果たす。しかも、
図11に示すように、リング部材256の外周壁には複数個のラビリンス形成凸部264が形成されている。該ラビリンス形成凸部264が、中間プレート266に形成された孔部272の内壁に当接している。コンプレッサホイール222によって生じた圧縮エアが、該コンプレッサホイール222の背面を経由して、ラビリンス形成凸部264に到達する。また、タービンホイール224から燃焼ガスがラビリンス形成凸部264に到達する。上述の通り、圧縮エアの圧力は、燃焼ガスの圧力に比べて高い。このため、燃焼ガスがラビリンス形成凸部264を通過してコンプレッサホイール222に流入することが抑制される。以上のような理由から、燃焼済燃料が、例えば、両ホイール222、224の間から貫通孔240に侵入することが回避される。
【0171】
図10において、出力シャフト204が高速回転を開始すると、バッテリ146(
図6参照)から電磁コイル110への電流供給が停止される。しかしながら、上記したようにタービンホイール224が既に高速回転しているので、回転シャフト40がタービンホイール224及び出力シャフト204と一体的に高速回転する。このときにも、上記と同様の理由から、出力シャフト204から回転シャフト40に対して十分な回転トルクが伝達される。
【0172】
図3において、出力シャフト204及び回転シャフト40の回転方向は、小キャップナット58、大キャップナット60及び雄ネジ部252の螺合時の回転方向と逆方向であることが好ましい。この場合、回転シャフト40の回転中に小キャップナット58、大キャップナット60及び雄ネジ部252が弛緩することが回避されるからである。なお、小キャップナット58、大キャップナット60又は雄ネジ部252に、弛緩を防止するための機構を設けるようにしてもよい。
【0173】
回転シャフト40が永久磁石72を保持しているので、永久磁石72を囲む電磁コイル110に交流電流が生じる。交流電流は、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443を介して、
図2及び
図6に示す電流変換器150に送られる。電流変換器150の変換回路152は、この交流電流を直流電流に変換する。電流変換器150の制御回路156は、バッテリ146に対して電気的に接続された外部負荷(例えば、モータ)の出力が低下したと判断されたとき、コンデンサ154を介して直流電流をバッテリ146(
図6参照)に供給する。これにより、バッテリ146に充電がなされる。
【0174】
この過程において、電流変換器150のうち、特に変換回路152及びコンデンサ154が熱を帯びる。しかしながら、本実施形態では、機器ケース158内の変換回路152及びコンデンサ154が冷却ジャケット24に近接している。このため、変換回路152及びコンデンサ154の熱が、冷却ジャケット24内の冷却媒体に速やかに伝導する。これにより、変換回路152及びコンデンサ154が過度に高温となることが回避される。
【0175】
電磁コイル110は、電流が流れることに伴って発熱する。ここで、ステータ36の左端には、第1分流エアの一部が接触する。また、ステータ36の外壁及び内壁には、収納室22を経て第2挿入孔86に向かう第1分流エアの残部が接触する。このため、ステータ36は、第1分流エアによって冷却される。また、メインハウジング16に設けられた冷却ジャケット24に、冷却媒体が流通している。回転電機12は、この冷却媒体によって速やかに冷却される。
【0176】
本実施形態では、回転電機12を収納する回転電機ハウジング14(メインハウジング16)と、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443を収納する第1ケーシング26とを個別に設けている。このため、メインハウジング16内のステータ36に発生した熱の影響が、第1ケーシング26内のU相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443に及び難い。なお、通電に伴い、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443も発熱する。しかしながら、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443は、第1ケーシング26に供給された第1分流エアによって速やかに冷却される。
【0177】
このように、第1分流エアは、回転電機システム10における発熱箇所を冷却する役割も兼ねる。電気端子部(U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443)、電磁コイル110及び永久磁石72等が冷却されることから、回転電機システム10の出力制御等に熱の影響が及ぶことが回避される。また、電磁コイル110及び永久磁石72等の励磁が熱によって低下すること等も回避される。その結果として、回転電機システム10の信頼性が向上する。
【0178】
さらに、回転電機12を収納するメインハウジング16と、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443を収納する第1ケーシング26とを個別に設けていることから、回転電機12と電気端子部とが互いに離間する。このため、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443が、ロータ34が回転することに伴って発生する振動の影響を受け難い。換言すれば、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443が振動から保護される。また、上記したように、第1ベアリング74及び第2ベアリング84では、潤滑油によって焼付きの発生が抑制される。従って、回転電機システム10が耐久性に優れる。
【0179】
回転シャフト40が回転する最中、該回転シャフト40の回転角度(回転パラメータ)がレゾルバ132によって検出される。具体的には、回転シャフト40と一体的に、内シャフト42の左端部422に外嵌されたレゾルバロータ56が回転する。これにより、レゾルバステータ130に発生した電気信号が、送信コネクタ136を介して受信器に伝達される。電気信号を読み取った受信器は、該電気信号に基づいて回転シャフト40の回転角度を算出する。受信器は、算出結果を図示しない制御装置等に送る。制御装置等は、この回転角度に基づき、演算によって回転数を求める。
【0180】
レゾルバ132は、回転シャフト40の、回転電機ハウジング14から露出した突出先端46に配設されている。従って、レゾルバ132には、回転電機ハウジング14内のステータ36の電磁コイル110に発生した熱の影響が及び難い。また、レゾルバ132には、ロータ34の回転に伴って発生した振動の影響も及び難い。加えて、回転シャフト40を支持する第1ベアリング74及び第2ベアリング84は、回転電機ハウジング14内に設けられている。従って、回転電機ハウジング14によって、第1ベアリング74及び第2ベアリング84が振動することが抑制される。このことも、振動の影響がレゾルバ132に及ぶことを困難にする。
【0181】
以上のように、本実施形態では、レゾルバ132に熱及び振動等が伝達されることが抑制される。これにより、レゾルバ132による回転角度の検出結果が正確となる。また、レゾルバ132の寿命も長期化する。
【0182】
レゾルバ132を、内径及び外径が一層大きな別のレゾルバに取り替える場合があり得る。1本の中実回転シャフトを回転シャフトとして用いた場合、内径及び外径が大きなレゾルバに取り替えるときに、大径な中実回転シャフトに交換する必要がある。このとき、大径な中実回転シャフトを第1ベアリング74及び第2ベアリング84に通すことは容易ではない。
【0183】
本実施形態では、外シャフト44と内シャフト42とで回転シャフト40を構成している。また、第1ベアリング74及び第2ベアリング84に外シャフト44を通し、且つ内シャフト42の、外シャフト44から露出した部位にレゾルバロータ56を設けている。このため、レゾルバ132を内径及び外径が一層大きな別のレゾルバに取り替えるときには、内シャフト42を、左端部422の直径が一層大きな内シャフトに交換することで対応可能である。このことから分かるように、本実施形態によれば、内シャフト42を交換することで、内径及び外径が様々なレゾルバに対応することが可能となる。
【0184】
以上のように、本実施形態は、回転電機(12)と、該回転電機の回転シャフト(40)を回転可能に支持した回転電機ハウジング(14)とを有する回転電機システム(10)と、
前記回転シャフトと一体的に回転する出力シャフト(204)を有する内燃機関(200)と、
を備える複合動力システム(400)であって、
前記回転電機ハウジングと前記回転シャフトとの間に介在する第1ベアリング(74)及び第2ベアリング(84)と、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに潤滑油を供給する油供給装置(308)と、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに気体を供給するガス供給装置と、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給された前記潤滑油と前記気体とを回収する回収装置(302)と、
を備え、
前記回転電機ハウジングに、前記ガス供給装置から供給された前記気体を前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給する第1供給路と、前記気体を前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングから前記回収装置に排出する第1排出路(172)と、前記油供給装置から供給された前記潤滑油を前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングに供給する第2供給路と、前記潤滑油を前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングから前記回収装置に排出する第2排出路(184、196)とが形成され、
前記回収装置が、前記第1排出路を流通した前記気体と、前記第2排出路を流通した前記潤滑油とを回収する複合動力システムを開示する。
【0185】
本実施形態では、回転電機ハウジングに供給した潤滑油及び気体を、単一個の回収装置に回収する。この場合、潤滑油と気体とを別個の回収装置に回収する場合に比べて、回収装置の個数が低減する。また、回転電機ハウジングから回収装置にわたって設けられる回収系統が簡素となる。従って、複合動力システムの小型化及び簡素化を図ることができる。
【0186】
しかも、気体は、ベアリングの周囲でガスカーテンを形成する。このガスカーテンにより、ベアリングに供給した潤滑油が堰き止められる。従って、潤滑油が所定の領域外に流出(漏洩)することが回避される。このため、回転電機、測定器、回転パラメータ検出器又は端子等が潤滑油で汚れることを防止することができる。
【0187】
上記から理解されるように、ガスカーテンによって潤滑油をシールすることが可能である。このため、シール部材を設けることが不要となる。従って、構成要素(部品点数)が低減する。このことによっても、複合動力システムの小型化及び簡素化を図ることができる。
【0188】
本実施形態は、前記第2排出路を流通する前記潤滑油が前記気体の一部を含む気液混合物であり、
前記気液混合物を前記潤滑油と前記気体に分離する気液分離装置(302)と、前記気液混合物から分離された前記潤滑油を前記気液分離装置から前記回転電機ハウジングに戻す循環路(304)とを備える複合動力システムを開示する。
【0189】
潤滑油をシールしたガスカーテンには、潤滑油が含まれる。すなわち、潤滑油は、気液混合物として回転電機ハウジングから排出される。この気液混合物を循環ポンプ等で回転電機ハウジングに循環供給することを試みた場合、循環ポンプ等において、いわゆるガス噛みが起こる。その結果、適切な吐出圧又は流量で潤滑油を回転電機ハウジングに供給することが容易でなくなる。
【0190】
これに対し、本実施形態では気液分離装置を用いる。気液分離装置で潤滑油と気体とが分離されるので、気体が分離された潤滑油を循環ポンプ等に送ることができる。従って、循環ポンプ等においてガス噛みが起こることが回避される。これにより、適切な吐出圧又は流量で潤滑油を回転電機ハウジングに供給することができる。
【0191】
本実施形態は、前記回収装置が前記気液分離装置を兼ねる複合動力システムを開示する。
【0192】
この場合、回収装置で潤滑油と気体とを分離することができるので、循環供給系統が簡素となる。従って、複合動力システムの小型化及び簡素化を図ることができる。
【0193】
本実施形態は、前記気液混合物から分離された前記気体を前記気液分離装置から大気に放出する放出路を備える複合動力システムを開示する。
【0194】
これにより、潤滑油から分離された気体を簡便に処理することができる。
【0195】
本実施形態は、前記第1供給路が、前記第1ベアリングに向かう第1分岐路(L)と、前記第2ベアリングに向かう第2分岐路(M)とに分岐され、且つ前記第2供給路が、前記第1ベアリングに向かう第3分岐路(N)と、前記第2ベアリングに向かう第4分岐路(R)とに分岐された複合動力システムを開示する。
【0196】
このような構成により、潤滑油及び気体を第1ベアリングと第2ベアリングとに分配して供給することが容易となる。
【0197】
本実施形態は、前記内燃機関が前記ガス供給装置を兼ねる複合動力システムを開示する。
【0198】
この場合、内燃機関で発生した気体が回転電機ハウジングに供給される。このため、送風機等が不要となる。すなわち、構成要素が低減する。従って、複合動力システムの一層の小型化及び簡素化を図ることができる。
【0199】
また、構成要素が低減して小型化及び簡素化された複合動力システムは、軽量となる。
【0200】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0201】
例えば、この実施形態では、第3サブ分岐路941と第4サブ分岐路942とを設けている。これに代替し、第1分岐路Lを第1サブ分岐路と第2サブ分岐路とに分岐してもよい。この場合、第1サブ分岐路から第1遠位端781に第1分流エアの一部を供給し、且つ第2サブ分岐路から第1近位端782に第1分流エアの一部を供給する。代替的に、第1分岐路Lを第1サブ分岐路と第2サブ分岐路とに分岐し、且つ第3サブ分岐路941と第4サブ分岐路942とを設けてもよい。
【0202】
ガスタービンエンジン200では、コンプレッサホイール222とタービンホイール224を、
図10とは逆の配置とすることも可能である。この場合、タービンホイール224に貫通孔240を形成し、且つコンプレッサホイール222に出力シャフト204を設ければよい。この他、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224の形式を遠心式又は軸流式にしてもよい。コンプレッサホイール222とタービンホイール224とを同一軸線上に配置しているのであれば、遠心式と軸流式とを組み合わせた多段コンプレッサホイール及び多段タービンホイールの組み合わせであってもよい。
【0203】
図3において、回転電機システム10を構成する回転電機12は、電磁コイル110に通電がなされることによって回転シャフト40が回転するモータであってもよい。この場合、U相端子1441、V相端子1442、W相端子1443は、バッテリ146から電力を受領する電気端子部となる。
【0204】
上記した実施形態では、ガスタービンエンジン200で生じた圧縮エアの一部を回転電機ハウジング14に供給する態様を例示している。これに代替し、
図12に示すように、外部に設けた圧縮ポンプ320等を気体供給源とすることも可能である。
【0205】
この場合、例えば、第1ケーシング26に流通孔322を形成する。この流通孔322に、圧縮ポンプ320から送気された圧縮エアが流入する。また、第2サブハウジング20に、上流連通孔164に連なる連絡孔324を形成する。連絡孔324は、プラグ326で閉塞される。この状態で、該圧縮ポンプ320が大気等を圧縮することによって圧縮エアが得られる。この圧縮エアは、第1中空管部1601~第3中空管部1603に供給される。
【0206】
この場合、圧縮エアの全量を燃焼エアとすることができる。
【符号の説明】
【0207】
10…回転電機システム 12…回転電機
14…回転電機ハウジング 16…メインハウジング
18…第1サブハウジング 20…第2サブハウジング
22…収納室 24…冷却ジャケット
26…第1ケーシング 28…第2ケーシング
30…レゾルバホルダ 34…ロータ
36…ステータ 40…回転シャフト
42…内シャフト 44…外シャフト
46…突出先端 56…レゾルバロータ
62…連結孔 72…永久磁石
74…第1ベアリング 78…第1挿入孔
84…第2ベアリング 86…第2挿入孔
96…整流部材 98…裾部
100…縮径部 102…頂部
104…導入口 106…中継室
108…挿通孔 110…電磁コイル
118…中空凹部 130…レゾルバステータ
132…レゾルバ 146…バッテリ
148…サーミスタ 149…ハーネス
162…集合流路 164…上流連通孔
166…エア中継路 172…排気路
174…入力路 176…主油路
178…第1流入孔 180…第1副油路
182…第1油供給孔 184…第1ドレイン路
186…油受入孔 188…第2副油路
190…油流出孔 192…油分配器
193…中空ピン部 195…第2油供給孔
196…第2ドレイン路 200…ガスタービンエンジン
202…エンジンハウジング 204…出力シャフト
206…第1円環部 208…第2円環部
210…脚部 212…円筒状カバー部
214…吸気空間 216…抽気通路
217…エア抜孔 218…係合凹部
220…シュラウドケース 222…コンプレッサホイール
224…タービンホイール 226…ディフューザ
228…燃焼器 230…ノズル
232…閉塞フランジ部 234…抽気口
236…チャンバ 240…貫通孔
256…リング部材 274…燃焼エア流通路
275…燃料供給ノズル 276…中継孔
280…排出口 302…気液分離装置
304…循環供給ライン 306…放出ライン
308…循環ポンプ 320…圧縮ポンプ
322…流通孔 324…連絡孔
326…プラグ 400…複合動力システム
422…内シャフトの第1端 423…内シャフトの第2端
441…外シャフトの第1開口端 442…外シャフトの第2開口端
781…第1挿入孔の遠位端 782…第1挿入孔の近位端
861…第2挿入孔の遠位端 862…第2挿入孔の近位端
941…第3サブ分岐路 942…第4サブ分岐路
943…出口路 1441…U相端子
1442…V相端子 1443…W相端子
1601~1603…第1~第3中空管部
1681~1683…第1下流連通孔 1701~1703…第2下流連通孔
2021…インナハウジング 2022…アウタハウジング
3001~3003…第1~第3中継管 L…第1分岐路
M…第2分岐路 N…第3分岐路
R…第4分岐路