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特許7554174貨物自動車用油圧装置において用いられる制御装置及びこれを備える貨物自動車
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  • 特許-貨物自動車用油圧装置において用いられる制御装置及びこれを備える貨物自動車 図1
  • 特許-貨物自動車用油圧装置において用いられる制御装置及びこれを備える貨物自動車 図2
  • 特許-貨物自動車用油圧装置において用いられる制御装置及びこれを備える貨物自動車 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】貨物自動車用油圧装置において用いられる制御装置及びこれを備える貨物自動車
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/08 20060101AFI20240911BHJP
   E05F 15/53 20150101ALI20240911BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B60J7/08 P
E05F15/53
B60R16/02 645A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021182315
(22)【出願日】2021-11-09
(65)【公開番号】P2023070259
(43)【公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】398052346
【氏名又は名称】アルモテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】山内 和彦
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-100777(JP,A)
【文献】特開平11-068532(JP,A)
【文献】特開2012-029549(JP,A)
【文献】特開2008-168815(JP,A)
【文献】特開2014-019225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00- 1/64
B60J 7/00- 7/22
B60R 16/00-16/08
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリとモータを備える貨物自動車用油圧装置において用いられる制御装置であって、
前記バッテリと前記モータとの間に介在する半導体スイッチと、
前記半導体スイッチをオンオフ制御するための制御手段と、
操作スイッチと、を備え、
前記操作スイッチがオンされると、前記制御手段は、所定のスイッチング周期で前記半導体スイッチをオンオフ制御してから前記半導体スイッチをオン状態に維持することによって前記モータを通電し、
前記操作スイッチがオフされると、前記制御手段は前記半導体スイッチをオフして前記モータへの通電を停止し、
前記スイッチング周期は100μS~200μSであり、前記半導体スイッチをオンオフ制御する時間長さは0.1秒から0.3秒である制御装置。
する制御装置。
【請求項2】
前記バッテリと前記制御手段との間に介在する他の半導体スイッチと、
前記他の半導体スイッチをオンオフ制御するための他の制御手段と、
キャブ内スイッチと、を更に備え、
前記キャブ内スイッチがオンされると、前記他の制御手段は前記他の半導体スイッチをオンさせ、これにより前記制御手段に電力が供給され、
前記制御手段に電力が供給されている状態において前記操作スイッチがオンされると、前記制御手段は、所定のスイッチング周期で前記半導体スイッチをオンオフ制御してから前記半導体スイッチをオン状態に維持することによって前記モータを通電する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記半導体スイッチ及び前記他の半導体スイッチはMOSFETであって、
前記半導体スイッチ及び前記他の半導体スイッチのドレインは前記バッテリにそれぞれ接続され、
前記半導体スイッチのソースは前記モータに接続され、
前記他の半導体スイッチのソースは前記制御手段に接続され、
前記半導体スイッチのゲートは前記制御手段に接続され、
前記他の半導体スイッチのゲートは前記他の制御手段に接続されている請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
車体と、
前記車体に装着された荷台と、
前記荷台に対して旋回可能に構成されたウイングと、
前記ウイングを動かすための貨物自動車用油圧装置と、を備え、
前記貨物自動車用油圧装置は、前記ウイングを動かすための油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへ作動油を供給するための油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するためのモータと、前記モータを回転駆動させるための制御装置と、前記制御装置に接続されたバッテリと、を備え、
前記制御装置は請求項1~3の何れかに記載の制御装置である貨物自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車用油圧装置において用いられる制御装置及びこれを備える貨物自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物自動車であるトラックには、貨物の積み下ろしの効率性の向上を目的として、開閉自在な荷台屋根(ウイング)やゲートリフタ(荷役用昇降装置)を備えたものが種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。この様な貨物自動車においては、使用者が操作スイッチをオンすると、電磁スイッチや半導体スイッチがオンされてモータが通電され、油圧アクチュエータによるウイングの開閉やゲートリフタの昇降が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】公開2015-136951号公報
【文献】公開2018-159389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の構成では、モータ通電開始時における突入電流が大きく、電磁スイッチの接点が溶着する原因となっていた。そして、接点が溶着するとモータへの電流供給が停止せず、モータが故障するといった問題が頻繁に発生していた。一方、半導体スイッチを用いた場合には接点の溶着といった問題は発生しないものの、突入電流が発生することに変わりはなく、このような突入電流はモータやバッテリの劣化に繋がると共に、バッテリに接続された他の機器が誤作動を起こす原因にもなっていた。例えば、モータ通電開始時に照明が一瞬暗くなるのも突入電流が原因である。
【0005】
本発明は、モータ通電開始時における突入電流の抑制を可能とした制御装置及びこれを備えた貨物自動車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御手段は、バッテリとモータを備える貨物自動車用油圧装置において用いられる制御装置であって、前記バッテリと前記モータとの間に介在する半導体スイッチと、前記半導体スイッチをオンオフ制御するための制御手段と、操作スイッチと、を備え、前記操作スイッチがオンされると、前記制御手段は、所定のスイッチング周期で前記半導体スイッチをオンオフ制御してから前記半導体スイッチをオン状態に維持することによって前記モータを通電し、前記操作スイッチがオフされると、前記制御手段は前記半導体スイッチをオフして前記モータへの通電を停止する。
【0007】
本発明に係る貨物自動車は、車体と、前記車体に装着された荷台と、前記荷台に対して可動自在とされた可動部材と、前記可動部材を動かすための貨物自動車用油圧装置と、を備え、前記貨物自動車用油圧装置は、前記可動部材を動かすための油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへ作動油を供給するための油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するためのモータと、前記モータを回転駆動させるための制御装置と、前記制御装置に接続されたバッテリと、を備え、前記制御装置は上記制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る制御装置及び貨物自動車によれば、操作スイッチがオンされると、制御手段は、所定のスイッチング周期で半導体スイッチをオンオフ制御してから半導体スイッチをオン状態に維持することによってモータを通電するので、モータ通電開始時における突入電流の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る貨物自動車を示す斜視図。
図2図1に示す貨物自動車が備える貨物自動車用油圧装置を示すブロック図。
図3】比較例と実施例におけるモータ通電開始時における電流値を比較して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る貨物自動車について説明する。ここでは、貨物自動車としてウイング車を例に説明する。
【0011】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る貨物自動車(ウイング車)1は、車体21と、車体21に装着された荷台22と、荷台22に対して回動自在とされたウイング(可動部材)23と、ウイング23を動かすための貨物自動車用油圧装置3(以下、「油圧装置」という)と、を備える。
【0012】
油圧装置3は、ウイング23を動かすための油圧アクチュエータ31と、油圧アクチュエータ31へ流路35を介して作動油を供給するための油圧ポンプ32と、油圧ポンプ32を駆動するためのモータ33と、モータ33を回転駆動させるための制御装置4と、制御装置4に接続されたバッテリ34と、を備える。
【0013】
制御装置4は、第1及び第2半導体スイッチ5,6と、第1及び第2制御手段7,8と、使用者により操作されるキャブ内スイッチ9と、使用者により操作される一対の操作スイッチ10と、を備え、一対の操作スイッチ10には開操作スイッチ10aと閉操作スイッチ10bが含まれる。
【0014】
本実施形態においては、第1及び第2半導体スイッチ5,6としてそれぞれMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)を用いる。第1及び第2半導体スイッチ5,6のドレインはバッテリ34に各々接続され、第1及び第2半導体スイッチ5,6のソースはそれぞれ第2制御手段8及びモータ33に接続されている。また、第1及び第2半導体スイッチ5,6のゲートは第1及び第2制御手段7,8にそれぞれ接続されており、第1及び第2制御手段7,8によって第1及び第2半導体スイッチ5,6がそれぞれオンオフ制御されるようになっている。
【0015】
制御手段7,8はそれぞれ、ドライバ71,81と、マイコン72,82と、を備える。マイコン72,82はCPU及びメモリ(何れも図示せず)を備えて構成され、外部からの信号に基づいてドライバ71,81を介して第1及び第2半導体スイッチ5,6をオンオフ制御する。なお、マイコン82のメモリには後述の通電プログラムが格納されている。
【0016】
かかる構成において、ウイング23の開閉は次の様に行われる。まず、使用者によりキャブ内スイッチ9がオンされると、バッテリ34から第1制御手段7に電力が供給され、第1制御手段7は第1半導体スイッチ5をオンさせる。これにより第2制御手段8に電力が供給されて第2制御手段8がスタンバイ状態となる。
【0017】
次に、使用者により何れかの操作スイッチ10(ここでは開操作スイッチ10a)がオンされると、第2制御手段8は通電プログラムを実行することにより第2半導体スイッチ6をオンオフ制御してモータ33を通電させる。より具体的に、この通電プログラムでは、第2制御手段8は所定のスイッチング周期で第2半導体スイッチ6をオンオフ制御してから第2半導体スイッチ6をオン状態に維持する。このように第2半導体スイッチ6を所定のスイッチング周期でオンオフ制御することにより突入電流の発生を抑えることができる。なお、上記オンオフ制御におけるスイッチング周期や、オンオフ制御を行う時間長さは、モータ33の種類等に応じて適宜選択すればよいが、概ねスイッチング周期(制御周期)は100μS~200μS程度、オンオフ制御を行う時間長さは0.1秒~0.3秒とするのが好ましい。
【0018】
そして、このようにしてモータ33が通電されると、モータ33により油圧ポンプ32が作動し、作動油が油圧アクチュエータ31に送出され、ウイング23が開方向へ回動する。その後、使用者により操作スイッチ10(開操作スイッチ10a)がオフされると、第2制御手段8は第2半導体スイッチ6をオフしてモータ33への通電を停止する。これにより、ウイング23の開方向への回動が停止する。
【0019】
閉操作スイッチ10bがオンされた場合も同様に、第2制御手段8は上述の通電プログラムを実行してモータ33を通電させる。即ち、第2半導体スイッチ6を所定のスイッチング周期でオンオフ制御を所定時間だけ行ってから第2半導体スイッチ6をオン状態に維持する。その結果、油圧ポンプ32が作動して、作動油が油圧アクチュエータ31に送出され、ウイング23が閉方向へ回動する。その後、閉操作スイッチ10bがオフされると、第2制御手段8は第2半導体スイッチ6をオフしてモータ33への通電を停止する。これにより、ウイング23の閉方向への回動が停止する。
【0020】
なお、ウイング23の回動方向(開方向又は閉方向)は、オンされた操作スイッチ10の種類(開操作スイッチ10a又は閉操作スイッチ10b)に応じて、流路35に設けられた弁(図示せず)が切り替えられることにより制御され、このような構成は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0021】
このように、本実施形態においては、バッテリ34とモータ33との間に第2半導体スイッチ6を設け、操作スイッチ10がオンされると、第2制御手段8は所定のスイッチング周期で第2半導体スイッチ6をオンオフ制御してから第2半導体スイッチ6をオン状態に維持することによってモータ33を通電するので、突入電流の発生を大幅に抑制でき、突入電流を原因とするモータ33やバッテリ34の劣化を防止できると共に、バッテリ34に接続された他の機器(計器等(図示せず))における誤作動の発生を防止できる。
【0022】
ここで、ウイング23の開き始めは荷台22内部が負圧になることから、使用者は開操作スイッチ10aのオンオフを繰り返してウイング23の開方向への回動を段階的に徐々に行うのが常であるところ、従来の構成では開操作スイッチ10aのオンオフを繰り返す毎に突入電流が流れることになり、モータ33へのダメージも大きかったが、本実施形態によればこのような不都合は生じない。
【0023】
[実施例]
図3に、従来の方法でモータ33を通電させた場合(比較例)と本実施形態の方法でモータ33を通電させた場合(実施例)における電流波形を示す。比較例では、半導体スイッチ6に代えて電磁スイッチを用いた点を除き、その他の条件は実施例と同一とした。また、実施例におけるスイッチング周期(制御周期)は100μS(10kHz)とし、オンオフ制御を行う時間長さは0.2秒とした。また、図3に示すT1は操作スイッチ10がオンされたタイミングである。
【0024】
その結果、比較例では約50Aの稼働電流で安定する前に最大約320Aの突入電流が発生しているのに対して、実施例では約50Aの稼働電流で安定する前における最大電流値は約70Aであり、比較例と比較して突入電流値を約1/4.5の値にまで抑制できた。
【0025】
以上、本発明の実施形態に係る貨物自動車について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0026】
例えば、上記実施形態においては可動部材としてウイングを備えたウイング車の場合を例に説明したが、貨物自動車はウイング車に限定されず、例えば荷役用昇降装置を備えたものであっても良い。荷役用昇降装置としては例えばテールゲートリフト装置が挙げられ、この場合における可動部材としては荷台に対して昇降可能とされたテールゲートがある。
【0027】
また、上記実施形態においては第1,第2半導体スイッチ5,6としてMOSFETを用いたが、本発明はこれに限定されず、他の半導体スイッチを用いても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 貨物自動車
3 貨物自動車用油圧装置
4 制御装置
6 第2半導体スイッチ (半導体スイッチ)
8 第2制御手段 (制御手段)
10 操作スイッチ
21 車体
22 荷台
23 ウイング(可動部材)
31 油圧アクチュエータ
32 油圧ポンプ
33 モータ
34 バッテリ





図1
図2
図3