(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置、送信方法及び受信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 74/0833 20240101AFI20240911BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20240911BHJP
H04W 72/044 20230101ALI20240911BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20240911BHJP
【FI】
H04W74/0833
H04W64/00 120
H04W72/044 110
H04W84/06
(21)【出願番号】P 2021519425
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2020018853
(87)【国際公開番号】W WO2020230761
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2019090684
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】CATT,PRACH design and UL timing advance,3GPP TSG RAN1 WG #96b R1-1904550,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_96b/Docs/ R1-1904550.zip>,2019年04月08日
【文献】Interdigital Inc.,On Initial Access and RACH Procedures for NTN,3GPP TSG RAN WG1 #96b R1-1904858,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_96b/ Docs/R1-1904858.zip>,2019年04月08日
【文献】Panasonic,Issues on Timing Advance and RACH for NTN,3GPP TSG RAN WG1 #96b R1-1904591,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_96b/Docs/ R1-1904591.zip>,2019年04月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置であって、
ランダムアクセスチャネルの信号を送信する送信回路と、
前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定を、通信相手の位置と前記送信装置の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御する制御回路と、
を具備し、
前記制御回路は、前記位置情報が利用可能でない場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第1のリソース設定を使用し、前記位置情報が利用可能な場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第2のリソース設定を使用する、
送信装置。
【請求項2】
送信装置であって、
ランダムアクセスチャネルの信号を送信する送信回路と、
前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定を、通信相手の位置と前記送信装置の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御する制御回路と、
を具備し、
前記制御回路は、前記位置情報が利用可能でなく、かつ、送信タイミングの調整に関する情報が有効でない場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第1のリソース設定を使用し、前記位置情報が利用可能な場合、及び/又は、前記送信タイミングの調整に関する情報が有効な場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第2のリソース設定を使用する、
送信装置。
【請求項3】
前記第1のリソース設定では、前記ランダムアクセスチャネルの前記信号のサイクリックプレフィックスの長さ、ガードピリオドの長さ、および、プリアンブル系列の長さの少なくとも1つが、前記第2のリソース設定における対応する長さよりも、長い、
請求項
1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記第1のリソース設定における前記プリアンブル系列の長さが、前記第2のリソース設定よりも長い場合、前記第1のリソース設定における前記プリアンブル系列に用いられる符号系列の長さが、前記第2のリソース設定よりも長い、および/または、前記第1のリソース設定における前記プリアンブル系列の前記符号系列の繰り返し数が前記第2のリソース設定よりも多い、
請求項
3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記第1のリソース設定における前記信号の送信機会は、前記第2のリソース設定における前記信号の送信機会と、時間および周波数の少なくとも一方が異なる、
請求項
1又は2に記載の送信装置。
【請求項6】
前記第1のリソース設定における、前記信号の送信機会は、前記第2のリソース設定における前記信号の送信機会よりも少ない、
請求項
1又は2に記載の送信装置。
【請求項7】
前記第1のリソース設定に使用可能な符号系列の数は、前記第2のリソース設定に使用可能な符号系列の数よりも少ない、
請求項
1又は2に記載の送信装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第2のリソース設定において送信した前記信号に対する応答を受信しない場合、前記第1のリソース設定において前記信号の送信を制御する、
請求項
1又は2に記載の送信装置。
【請求項9】
送信装置であって、
ランダムアクセスチャネルの信号を送信する送信回路と、
前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定を、通信相手の位置と前記送信装置の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御する制御回路と、
を具備し、
前記送信装置が前記信号の送信を許可されているか否かを示す許可情報を受信する受信回路を備え、
前記制御回路は、前記位置情報が利用可能でない場合、前記受信回路によって受信された許可情報に基づいて、前記信号の送信を制御する、
送信装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記許可情報が前記信号の送信の許可を示す場合、前記信号を送信し、前記許可情報が前記信号の送信の許可を示さない場合、前記信号を送信しない、
請求項
9に記載の送信装置。
【請求項11】
受信装置であって、
ランダムアクセスチャネルの信号を受信する受信回路と、
通信相手の位置と前記受信装置の位置とを示す位置情報の利用可能性に対応づけられた、前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定に基づいて、前記信号の受信を制御する制御回路と、
を具備
し、
前記制御回路は、前記位置情報が利用可能でない場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第1のリソース設定を使用し、前記位置情報が利用可能な場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第2のリソース設定を使用する、
受信装置。
【請求項12】
送信装置における送信方法であって、
ランダムアクセスチャネルにおける信号の送信に関する設定を、前記送信装置の位置と、前記送信装置の通信相手の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御し、
前記ランダムアクセスチャネルの前記信号を送信
し、
前記位置情報が利用可能でない場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第1のリソース設定を使用し、前記位置情報が利用可能な場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第2のリソース設定を使用する、
送信方法。
【請求項13】
受信装置における受信方法であって、
前記受信装置の位置と、前記受信装置の通信相手の位置とを示す位置情報の利用可能性に対応づけられた、ランダムアクセスチャネルにおける信号の送信に関する設定に基づいて、前記信号の受信を制御し、
前記ランダムアクセスチャネルの前記信号を受信
し、
前記位置情報が利用可能でない場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第1のリソース設定を使用し、前記位置情報が利用可能な場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第2のリソース設定を使用する、
受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信装置、受信装置、送信方法及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5Gの標準化において、新しい無線アクセス技術(NR:New Radio access technology)が3GPPで議論され、NRのRelease 15 (Rel.15)仕様が発行された。
【0003】
NRといった無線通信システムにおいては、端末(UE(User Equipment)とも呼ぶ)と基地局(gNB(gNodeB)とも呼ぶ)との接続に、ランダムアクセスチャネルを用いたランダムアクセス手順が実行される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP, TR38.811, “Study on New Radio (NR) to support non terrestrial networks”
【文献】3GPP, TS38.321, “Medium Access Control (MAC) protocol specification”
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、端末と基地局との間の伝搬遅延に応じた適切なランダムアクセス手順については検討の余地がある。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、端末と基地局との間の伝搬遅延に応じた適切なランダムアクセス手順が実現できる送信装置、受信装置、送信方法及び受信方法の提供に資する。
【0007】
本開示の一実施例に係る送信装置は、ランダムアクセスチャネルの信号を送信する送信回路と、前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定を、通信相手の位置と前記送信装置の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御する制御回路と、を具備する。
【0008】
本開示の一実施例に係る受信装置は、ランダムアクセスチャネルの信号を受信する受信回路と、通信相手の位置と前記受信装置の位置とを示す位置情報の利用可能性に対応づけられた、前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定に基づいて、前記信号の受信を制御する制御回路と、を具備する。
【0009】
本開示の一実施例に係る送信方法は、送信装置における送信方法であって、ランダムアクセスチャネルにおける信号の送信に関する設定を、前記送信装置の位置と、前記送信装置の通信相手の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御し、前記ランダムアクセスチャネルの前記信号を送信する。
【0010】
本開示の一実施例に係る受信方法は、受信装置における受信方法であって、前記受信装置の位置と、前記受信装置の通信相手の位置とを示す位置情報の利用可能性に対応づけられた、ランダムアクセスチャネルにおける信号の送信に関する設定に基づいて、前記信号の受信を制御し、前記ランダムアクセスチャネルの前記信号を受信する。
【0011】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0012】
本開示の一実施例によれば、端末と基地局との間の伝搬遅延に応じた適切なランダムアクセス手順が実現できる。
【0013】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】実施の形態1に係る端末の一部の構成を示すブロック図
【
図3】実施の形態1に係る基地局の一部の構成を示すブロック図
【
図4】実施の形態1に係る端末の構成の一例を示すブロック図
【
図5】実施の形態1に係る端末の構成の一例を示すブロック図
【
図6】実施の形態1に係る基地局の構成の一例を示すブロック図
【
図7】Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとの配置の第1の例を示す図
【
図8】Type1_PRACHのPreamble信号の構成とType2_PRACHのPreamble信号の構成との第1の例を示す図
【
図10】Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとの配置の第2の例を示す図
【
図11】Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成との第2の例を示す図
【
図12】Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成との第3の例を示す図
【
図13】実施の形態3に係る端末の構成の一例を示すブロック図
【
図14】2段階ランダムアクセス手順の一例を示す図
【
図15A】2段階ランダムアクセスにおける信号配置の第1の例を示す図
【
図15B】2段階ランダムアクセスにおける信号配置の第2の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[ランダムアクセス手順]
例えば、ランダムアクセス手順は、4段階ランダムアクセス(4-step RACH(Random Access Channel)又は4-Step CBRA(Contention Based Random Access)とも呼ぶ)によって実施される。
【0017】
図1は、4段階ランダムアクセス手順の一例を示す図である。4段階ランダムアクセスでは、例えば、
図1に示すように、端末(UE)は、1段階目の送信(MSG1)において、PRACH(Physical Random Access Channel)のPreamble信号を基地局(gNB)に送信する。端末におけるMSG1送信は、基地局からセル毎に通知される送信タイミング(slotタイミング)において実施される。
【0018】
基地局は、MSG1を受信及び復号し、2段階目の送信(MSG2)において、Preamble信号に対する応答(RA response)及びMSG3の上り送信タイミングを含むスケジューリング情報等を端末に通知する。
【0019】
端末は、MSG2を受信及び復号し、3段階目の送信(MSG3)において、MSG2によって指示されたスケジューリング情報を用いて、端末に関する情報(例えば、端末ID等)等のConnection確立のための情報等を基地局に通知する。MSG3は、例えば、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)において通知される。MSG3によって通知される情報は、RRC(Radio Resource Control)接続要求情報と称されてもよい。
【0020】
基地局は、MSG3を受信及び復号し、4段階目の送信(MSG4)において、Connection確立応答等を通知する。
【0021】
[PRACH]
例えば、NRにおいて用いられるPRACH(例えば、
図1のMSG1)は、CP(cyclic prefix)、Preamble系列(Preamble部分)、及び、GP(guard period)から構成される。Preamble系列は、例えば、相関特性が良好な符号系列(例えば、Cyclic shifted Zadoff-Chu(CS-ZC)系列)等から生成される。また、CPはPreamble系列の一部をコピーした信号である。GPは無送信区間である。なお、Preamble系列に使用される符号系列は、CS-ZC系列に限定されず、相関特性が良好な符号系列であればよい。なお、CP、Preamble系列、及び、GPを含み、PRACHにおいて送信される信号は、「Preamble信号」と記載される場合がある。また、PRACHにおけるPreamble信号等の送信は、「PRACH送信」と記載される場合がある。
【0022】
これらのPRACHに関する情報は、例えば、基地局のセルごとに送信されるシステム情報に含まれ、端末に通知される。例えば、Preamble番号毎に異なるCS-ZC系列が一意に対応付けられる。端末は、ランダムに選択したPreamble番号に対応するCS-ZC系列をPreamble系列に設定する。例えば、複数の端末が同一の時間リソース及び周波数リソースを用いてPRACHを送信する場合でも、複数の端末がそれぞれ異なるPreamble番号を選択していれば、基地局は、CS-ZC系列の相関検出によって、複数のPreamble番号(換言すると、複数の端末のPreamble信号)を同時に検出できる。
【0023】
[地上以外のネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)への拡張]
NRは、衛星および/または高高度疑似衛星(HAPS:High-altitude platform station)を用いた通信等の地上以外のネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)への拡張が検討されている(例えば、非特許文献1)。
【0024】
NTN環境において、地上の端末または航空機の端末に対する衛星のカバーエリア(例えば、1つ以上のセル)は、衛星からのビームによって形成される。また、端末と衛星との間の電波伝搬の往復時間は、衛星の高度(例えば、最大約36000km)および/または端末からみた角度によって決まる。
【0025】
例えば衛星は、数100kmの直径を有するセルを形成する。衛星が形成するセルは、地上の基地局等が形成する直径数kmのセルと比べて大きい。そのため、衛星が形成するセル内に存在する端末の位置に応じて、端末と衛星との間の伝搬遅延の差が大きくなる。
【0026】
例えば、NTNでは、衛星と端末との間の電波伝搬の往復時間(RTT:Round Trip Time)は、最大で544ms程度かかることが非特許文献1に記載されている。また、非特許文献1には、ビーム内(セル内)の端末の場所により、1.6ms程度の最大遅延差が生じることも記載されている。最大遅延差とは、例えば、ビーム内(セル内)において、衛星から最も遠い場所の端末と当該衛星との間の往復時間と、衛星から最も近い場所の端末と当該衛星との間の往復時間との差を示す。
【0027】
直径数kmの地上のセルでは、最大遅延差は、例えば、0.1msよりも小さいため、NTNにおける最大遅延差は、地上のセル内より非常に大きい。そのため、NTNにおいて、衛星が端末から受信したPreambleの遅延差が、大きくなる。
【0028】
例えば、端末がPreambleの送信タイミングを調整することによって、衛星によって受信される異なる端末のPreamble間の遅延差が小さくなる。
【0029】
例えば、NTNでは、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)により位置情報を取得可能な端末と、位置情報を取得可能でない端末と、の双方をサポートすることが検討されている。なお、位置情報の「取得」は、位置情報の「検出」、「受信」、「測定」、「測位」といった用語に相互に読み替えられてもよい。
【0030】
以下では、位置情報を取得可能な構成を有する端末は、GNSS端末と記載される場合がある。また、位置情報を取得可能でない端末は、Non-GNSS端末と記載される場合がある。なお、位置情報を取得可能な構成を有する端末であっても、端末の周辺環境によっては、位置情報を取得できない場合がある。位置情報を取得可能な構成を有するが、位置情報を取得できない端末は、Non-GNSS端末に該当してよい。
【0031】
GNSS端末は、例えば、端末の位置と、NTNにおける通信相手の衛星の位置とに基づいて、端末と衛星との間の距離を算出し、算出した距離から端末と衛星との間の往復の伝搬遅延時間を推定する。例えば、端末の位置は、上述したように、GNSSおよび/またはGPSなどの位置情報から得られてよい。また、通信相手の衛星の位置は、公開されているSatellite ephemeris情報に含まれる衛星軌道等の情報によって算出されてよい。
【0032】
そして、GNSS端末は、衛星において所定のタイミングにて送信信号が受信されるように、伝搬遅延時間に基づいて送信タイミングを調整してよい。GNSS端末が位置情報から得られた伝搬遅延時間に基づいて送信タイミングを調整することによって、衛星によって受信される異なる端末のPreamble間の遅延差は小さくなる。
【0033】
また、ランダムアクセス手順は、初期アクセスに限らず、上りデータ送信要求、SI要求(端末から基地局に対するSystem Information送信の要求)、および、ハンドオーバー時にも実施される。これらの用途においては、端末は、基地局とのタイミング同期している、つまり、有効なTA(Valid Timing Advance)値を有している場合がある。端末が有効なTA値を有する場合には、端末が、TA値によって送信タイミングを調整することによって、衛星によって受信される異なる端末のPreamble間の遅延差は小さくなる。
【0034】
しかしながら、端末が有する情報は、端末毎に異なる場合がある。例えば、位置情報を取得可能な端末(GNSS端末)と位置情報を取得可能でない端末(Non-GNSS端末)とが混在する場合がある。あるいは、有効なTA値を有する端末と、有効なTA値を有さない端末とが混在する場合がある。
【0035】
そこで、本開示では、端末が有する情報に応じて、ランダムアクセスに関する設定を制御することによって、NRにおける適切なランダムアクセス方法を実現する。
【0036】
なお、以下では、有効なTA値を有することは、「TA有り」と記載され、有効なTA値を有さないことは、「TA無し」と記載されることがある。「TA有り」の端末とは、例えば、基地局(衛星)から定期的にTAコマンドを受信しており非特許文献2に記載のTAタイマ(timeAlignmentTimer)が走っている状態の端末に相当する。また、「TA無し」の端末とは、例えば、基地局からのTAコマンドを受信していないまたはTAタイマ(timeAlignmentTimer)が走っていない状態の端末に相当する。
【0037】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本開示の一実施の形態に係る通信システムは、端末100及び基地局200を備える。以下の説明では、一例として、端末100(送信装置に相当)がPRACHの信号(例えば、Preamble信号)を送信し、基地局200(受信装置に相当)がPRACHの信号を受信する。
【0038】
図2は、本開示の実施の形態に係る端末100の一部の構成を示すブロック図である。
図2に示す端末100において、無線送信部104は、ランダムアクセスチャネルの信号を送信する。制御部108は、ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定を、基地局200の位置と端末100の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御する。
【0039】
図3は、本開示の実施の形態に係る基地局200の一部の構成を示すブロック図である。
図3に示す基地局200において、無線受信部202は、ランダムアクセスチャネルの信号を受信する。制御部209は、基地局200の位置と端末100の位置とを示す位置情報の利用可能性に対応づけられた、前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定に基づいて、前記信号の受信を制御する。
【0040】
位置情報が利用可能であることは、端末100が位置情報を取得可能な構成を有することに対応づけられ、位置情報が利用可能では無いことは、端末100が位置情報を取得可能な構成を有さないことに対応づけられてよい。あるいは、位置情報が利用可能であることは、端末100が位置情報を取得可能な構成を有し、位置情報を取得できたことに対応づけられ、位置情報が利用可能では無いことは、端末100が位置情報を取得できない(位置情報を取得可能な構成を有さない)ことに対応づけられてよい。
【0041】
また、基地局200の位置と端末100の位置とを示す位置情報は、基地局200と端末100との間の距離を示す情報に置き換えられてもよい。また、基地局200の位置と端末100の位置とを示す位置情報は、基地局200と端末100との間で送受信される信号の伝搬距離の導出に関する情報に置き換えられてよい。
【0042】
[端末の構成]
次に、端末100の構成例を説明する。端末100は、位置情報を取得可能でない端末100aと、位置情報を取得可能な端末100bとのいずれかであってよい。なお、端末100aは、位置情報を取得可能でないため、位置情報を取得しない。したがって、端末100aは、Non-GNSS端末に該当してよい。一方、位置情報を取得可能な構成を有し、かつ、位置情報を取得できた端末100bは、GNSS端末に該当してよい。位置情報を取得可能な構成を有するが、周辺の無線環境によって位置情報を取得できない、或いは、位置情報の精度が悪い端末100bは、Non-GNSS端末に該当してよい。
【0043】
以下、端末100aと端末100bとについて、それぞれ説明する。
【0044】
図4は、本実施の形態1に係る端末100aの構成の一例を示すブロック図である。端末100aは、PRACH生成部101と、データ生成部102と、タイミング調整部103と、無線送信部104と、アンテナ105と、無線受信部106と、復調・復号部107と、を備える。PRACH生成部101と、データ生成部102と、タイミング調整部103と、復調・復号部107とは、制御部108に含まれてよい。
【0045】
PRACH生成部101は、例えば、基地局200のセル内において利用可能なPRACHの送信リソースの候補から、PRACHの送信リソースを決定する。例えば、PRACH生成部101は、PRACHの送信が可能な時間・周波数リソース、及び、Preamble番号群の情報に基づいて、PRACH送信に用いる時間・周波数リソース及びPreamble番号を設定する。PRACHの送信が可能な時間・周波数リソース及びPreamble番号群の情報は、例えば、基地局200から通知される。
【0046】
例えば、PRACH生成部101は、Preamble番号群の中から1つのPreamble番号を設定する。PRACH生成部101は、設定したPreamble番号に応じたZC系列番号と巡回シフト量とを用いて、CS-ZC系列を生成し、設定した時間・周波数リソースにおいて、送信するPRACHの信号(例えば、Preamble信号)を生成する。
【0047】
なお、端末100が利用可能なPRACH送信リソース候補に関する情報(PRACH送信リソース情報)には、Preamble用の系列番号の候補(Preamble番号群)、CS量、PRACH時間リソース(例えば、周期)、PRACH周波数リソース位置、Preamble format番号等のPRACHに関連する設定情報が含まれる。別言すると、PRACH送信リソース情報には、PRACHのPreamble信号の生成に用いる情報、および、PRACHのPreamble信号の送信に用いる時間・周波数リソースに関する情報が含まれる。また、PRACH送信リソース情報は、接続する基地局200(例えば、サービングセル)から送信される制御情報(RRCメッセージ(例えば、RACH-ConfigCommon、RACH-ConfigDedicatedおよびRACH-ConfigGenericなど)に含まれ、システム情報の中で端末100に通知される。なお、制御情報の一部の情報は、スペックで規定されたシステム共通情報とし、基地局200から端末100に通知されなくてもよい。
【0048】
なお、本実施の形態1では、2種類のPRACH送信リソース情報が設定される。以下では、2種類のリソースは、Type1_PRACHリソースと、Type2_PRACHリソースと記載される。Type1_PRACHリソースは、例えば、Non-GNSS端末が使用するリソースであり、Type2_PRACHリソースは、例えば、GNSS端末が使用するリソースであってよい。
【0049】
例えば、上述したように、端末100aはNon-GNSS端末に該当するため、端末100aのPRACH生成部101は、有効なTA値の有無に関わらず、Type1_PRACHリソースを使用してよい。
【0050】
なお、Type1_PRACHリソース、および、Type2_PRACHリソースについては後述する。
【0051】
データ生成部102は、上り送信データ列を生成し、基地局200から割り当てられるデータ信号送信用の時間・周波数リソース、及び、MCS(Modulation and Coding Scheme)によって送信するデータ信号を生成する。
【0052】
タイミング調整部103は、受信信号の受信タイミング、及び、送信信号の送信タイミングを調整する。例えば、タイミング調整部103は、基地局200から通知されるTAに基づいて、送信タイミングを調整する。
【0053】
なお、タイミング調整部103は、基地局200から通知される共通TA(common TA)の値によって、タイミング調整を行ってもよい。共通TAは、セル又はビーム内において共通である。共通TAの値は、セルの中心付近のRTTに基づいて設定される。例えば、基地局200が静止衛星に含まれる場合、共通TAの値は、270ms程度の値となる。また、地上の基地局200が静止衛星経由で端末100と通信する場合、共通TAの値は、540ms程度の値となる。
【0054】
共通TAを用いて、タイミングが調整される場合、基地局200では、下り信号の基準タイミングに基づいて、上り信号の受信タイミングを設定する。一方で、共通TAを用いない場合、基地局200では、下り信号の基準タイミングから共通TAの値の分遅れたタイミングで上り信号の受信タイミングを設定する。セル内の遅延時間差は端末ごとのTAの値により補正される。端末毎のTAは、以下では、「個別TA(individual TA)」と記載される。
【0055】
ここで、端末100aが有効な個別TAを有する場合には、タイミング調整部103は、有効な個別TAの値に基づくタイミング調整を行い、PRACHを送信してよいし、有効な個別TAの値に基づいたタイミング調整を行わなくてもよい。端末100が、有効な個別TAを有さない場合には、タイミング調整部103は、個別TAの値を用いない。共通TAを用いるシステムの場合には、共通TAによるタイミング調整は行う。なお、個別TAは、所定時間内に基地局200からのTAコマンドを受信しない場合に無効となる。
【0056】
有効な個別TAを有しないケースとは、例えば、初期アクセスを行うケース、または、RRC_INACTIVE状態においてTAコマンドを長らく受信しなかったケース等である。なお、上述した「TA無し」のケースとは、有効な個別TAを有しないケースである。
【0057】
有効な個別TAを有するケースとは、例えば、RRC_ACTIVE状態において上りデータの送信要求を行うケースなどである。なお、上述した「TA有り」のケースとは、有効な個別TAを有するケースである。
【0058】
例えば、本実施の形態1では、端末100aのタイミング調整部103は、有効な個別TAの値に基づいたタイミング調整を行わなくてもよい。
【0059】
無線送信部104は、PRACH生成部101から出力される信号、及び、データ生成部102から出力されるデータ信号に対してD/A変換、アップコンバート等の送信処理を施し、送信処理により得られた無線信号を、アンテナ105から基地局200へ送信する。
【0060】
無線受信部106は、アンテナ105を介して基地局200から受信した受信信号に対して、ダウンコンバートおよびA/D変換等の受信処理を施し、受信処理を施した信号を復調・復号部107へ出力する。
【0061】
復調・復号部107は、無線受信部106から出力される信号の復調及び復号処理を行う。例えば、復調・復号部107は、PRACHの応答データ信号を復調および復号する。例えば、復調・復号部107は、復調および復号した情報に送信タイミング及び受信タイミングに関するタイミング情報(例えば、共通TAおよび/または個別TA)が含まれる場合、タイミング情報をタイミング調整部103へ出力する。
【0062】
図5は、本実施の形態に係る端末100bの構成の一例を示すブロック図である。なお、
図5において、
図4と同様の構成については、同一の符番を付し、説明を省略する場合がある。
【0063】
図5に示す端末100bの構成は、
図4に示した端末100aの構成に対して、位置情報を取得する位置情報取得部109が追加される。また、端末100bの構成における一部の動作が、上述した端末100aの構成における動作に対して、追加又は変更される。
【0064】
位置情報取得部109は、GPSなどのGNSS機能によって、端末100bの位置情報を取得する。端末100bの位置情報は、例えば、緯度、経度及び高度の情報を含んでよい。また、位置情報取得部109は、通信相手の衛星(基地局200)の位置情報を取得する。衛星の位置情報は、例えば、緯度、経度及び高度の情報を含んでよい。通信相手の衛星の位置情報は、公開されているSatellite ephemeris情報に含まれる衛星軌道等の情報によって算出されてよい。また、基地局200が衛星と異なる場合、基地局200の位置情報は、基地局200から通知されてもよい。
【0065】
位置情報取得部109は、端末100bの位置と、通信相手の基地局200の位置とに基づいて、端末100bと基地局200との間の距離を算出し、算出した距離から、端末100bと基地局200との間の伝搬遅延時間を推定する。位置情報取得部109は、推定した伝搬遅延時間をタイミング調整部103へ出力する。
【0066】
端末100bのタイミング調整部103は、位置情報取得部109から出力される伝搬遅延時間に基づいて、送信信号の送信タイミングを調整してよい。例えば、タイミング調整部103は、所定のタイミングから、伝搬遅延時間分早めたタイミングを、送信タイミングに設定してよい。
【0067】
端末100bが有効な個別TAを有する場合には、タイミング調整部103は、有効な個別TAの値に基づくタイミング調整を行い、PRACHを送信してよいし、有効な個別TAの値に基づいたタイミング調整を行わなくてもよい。
【0068】
また、位置情報取得部109が位置情報を取得できた場合、PRACH生成部101は、有効なTA値の有無に関わらず、Type2_PRACHリソースを使用してよい。
【0069】
また、本実施の形態1では、位置情報取得部109が位置情報を取得できなかった場合、PRACH生成部101は、有効なTA値の有無に関わらず、Type1_PRACHリソースを使用してよい。PRACH生成部101がType1_PRACHリソースを使用する場合、タイミング調整部103は、有効な個別TAの値に基づくタイミング調整を行わなくてよい。この場合、タイミング調整部103は、有効な個別TAの値に基づくタイミング調整を行わなくてよい。
【0070】
[基地局の構成]
図6は、本実施の形態に係る基地局200の構成の一例を示すブロック図である。基地局200は、アンテナ201と、無線受信部202と、データ受信処理部203と、PRACH検出部204と、PRACHリソース設定部205と、データ生成部206と、データ送信処理部207と、無線送信部208と、を備える。データ受信処理部203と、PRACH検出部204と、PRACHリソース設定部205と、データ生成部206と、データ送信処理部207とは、制御部209に含まれてよい。
【0071】
無線受信部202は、アンテナ201を介して受信した、端末100からのデータ信号及びPRACH信号に対して、ダウンコンバート及びA/D変換等の受信処理を施し、受信処理を施した信号をデータ受信処理部203及びPRACH検出部204へ出力する。
【0072】
PRACHリソース設定部205は、セル内におけるPRACH送信に利用可能な時間・周波数リソース及びPreamble番号をPRACH検出部204へ設定する。また、PRACHリソース設定部205は、セル内におけるPRACH送信に利用可能な時間・周波数リソース及びPreamble番号を含むシステム情報(例えば、SIB(System Information Block))(例えば、Random Access ConfigurationおよびRACH-Config等)をデータ生成部206へ出力する。ここで、PRACH送信に利用可能な時間・周波数リソースはRACH Occasion(RACH機会)と称される場合がある。
【0073】
本実施の形態1では、上述したように、Type1_PRACHリソース、および、Type2_PRACHリソースという2種類のPRACH送信に利用可能なリソースが設定される。
【0074】
PRACH検出部204は、受信したPRACHのPreamble信号に対して、PRACHリソース設定部205から設定されたPreamble番号に対応する系列番号と巡回シフト量を用いて生成したPreamble信号のレプリカ信号との相関処理を行うことにより、PRACHのPreamble信号の検出、ならびに、送信タイミングおよび受信タイミングの推定を行う。
【0075】
なお、PRACH検出部204における相関処理は、時間領域で行い、遅延プロファイルを算出する処理でもよいし、周波数領域で相関処理(除算処理)を行ってから、IFFTを行うことで遅延プロファイルを算出する処理でもよい。算出した遅延プロファイルは、送信タイミングおよび/または受信タイミングの推定に使用されてよい。
【0076】
データ受信処理部203は、受信データ信号に対して、復調・復号処理を行う。また、データ受信処理部203は、受信データ信号に基づいて、チャネル推定およびタイミング推定を実施してよい。
【0077】
データ生成部206は、ユーザデータ、システム情報、および、個別制御情報等を含む下りデータ信号を生成する。データ生成部206は、生成した下りデータ信号をデータ送信処理部207へ出力する。
【0078】
また、データ生成部206は、PRACH検出部204及びデータ受信処理部203におけるタイミング推定結果に基づいて、TAコマンドを生成する。
【0079】
データ送信処理部207は、データ生成部206から出力される下りデータ信号を符号化及び変調し、変調後の信号を無線送信部208へ出力する。
【0080】
無線送信部208は、データ送信処理部207から出力される信号に対して、D/A変換、アップコンバート、および、増幅等の送信処理を施し、送信処理により得られた無線信号をアンテナ201から送信する。
【0081】
次に、2種類のPRACH送信リソースについて説明する。
【0082】
[PRACH送信リソースの設定例1]
基地局200のPRACHリソース設定部205におけるPRACHリソースの設定の一例を説明する。
【0083】
図7は、Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとの配置の第1の例を示す図である。
図7には、Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとが時間領域において、交互に配置される例が示される。
【0084】
図7に示す時間領域において交互に配置される例では、GNSS端末も、Non-GNSS端末も、PRACH送信のトリガから、送信可能なタイミングまでの時間が同等になるため、位置情報の有無に関わらず、アクセス遅延を同等にできる。
【0085】
なお、配置例は、
図7の例に限られない。例えば、時間領域および/または周波数領域において規定されるRACH Occasion番号が、Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとに別々に設定されてよい。例えば、偶数のRACH Occasion番号が、Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとの一方に設定され、奇数のRACH Occasion番号が、Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとの他方に設定される。このような設定でも、Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとは、同等の頻度に設定されるため、GNSS端末も、Non-GNSS端末も、PRACH送信のトリガから、送信可能なタイミングまでの時間が同等になり、同等のアクセス遅延を実現できる。
【0086】
図8は、Type1_PRACHのPreamble信号の構成とType2_PRACHのPreamble信号の構成との第1の例を示す図である。
図8には、Type1_PRACHのPreamble信号の構成(
図8のType1)とType2_PRACHのPreamble信号の構成(
図8のType2)とが並べて示されている。
【0087】
ここで、Type1_PRACHのPreamble信号は、Type1_PRACHリソースに関する情報に基づいて生成されたPreamble信号であり、Type2_PRACHのPreamble信号は、Type2_PRACHリソースに関する情報に基づいて生成されたPreamble信号である。なお、以下では、Type1_PRACHのPreamble信号の構成は、「Type1_PRACH構成」と記載され、Type2_PRACHのPreamble信号の構成は、「Type2_PRACH構成」と記載される場合がある。
【0088】
図8におけるType1_PRACH構成とType2_PRACH構成では、互いに同一の系列長を有する1つの符号系列(
図8の「Seq.」)が、4回繰り返されている。
【0089】
例えば、Type1_PRACH構成は、Type2_PRACH構成よりもCP長が長い。また、Type1_PRACH構成は、Type2_PRACH構成よりもGP長が長い。また、Type1_PRACH構成は、巡回シフト系列によって多重されない。別言すると、Type1_PRACH構成において、CS数は、1に規定される。また、Type2_PRACH構成は、巡回シフト系列によって多重される。例えば、Type2_PRACH構成において、CS数が、NCS(NCSは、1以上の整数であってよい)に規定される。
【0090】
図8の例では、Type1_PRACH構成では、CS多重が行われない分、Type2_PRACH構成よりも多重可能なPreamble信号の数は、Type2_PRACH構成の1/N
CSになる。ただし、航空機および/または船舶等の移動体に搭載される端末へのPRACHリソース設定を対象とした場合、初期アクセスまたはRRC_INACTIVE状態の端末は少なく、Type1_PRACH構成を用いたPRACH送信の機会は少ない。そのため、Type1_PRACH構成において多重可能なPreamble信号の数が少なくても、端末間でのPreamble信号の衝突確率の増加を避けることができる。
【0091】
なお、
図8では、Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成との違いは、CP長の違い、GP長の違い、および、CSによる多重の違いである例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成との違いは、CP長の違い、GP長の違い、および、CSによる多重の違いの少なくとも1つであってよい。
【0092】
また、Type1_PRACH構成では巡回シフト系列によって多重されない、つまりCS=1である構成としたが、本開示はこれに限定されない。例えば、Type1_PRACH構成において、巡回シフト系列による多重を行ってもよく、この場合、Type1_PRACH構成における多重数(CS)が、Type2_PRACH構成よりも少ない構成としてもよい。
【0093】
また、Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成とは、互いに同じであり、Type1_PRACHリソース設定とType2_PRACHリソース設定とにおけるRACH occasionが、互いに異なるようにしてもよい。例えば、Type1_PRACHリソース設定におけるRACH occasionが、Type2_PRACHリソース設定におけるRACH occasionと、時間および周波数の少なくとも一方で異なるようにしてもよい。
【0094】
例えば、Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成とは、両方ともCS多重を行える構成としてもよい。Type1_PRACH構成は、Non-GNSS端末によって使用され、Type2_PRACH構成は、GNSS端末によって使用される。この場合、Non-GNSS端末の伝搬遅延差がCS量よりも長いため、基地局200は、CS多重されたNon-GNSS端末のPreamble信号を区別できない(つまり実質的にCS多重ができない)。基地局200は、Type1_PRACH構成のCSを無視し、ZC系列を用いてNon-GNSS端末のPreamble信号を区別する。この場合でも、GNSS端末とNon-GNSS端末とで送信機会(RACH Occasion)が異なるため、GNSS端末同士でのCS多重が可能となり、衝突確率の低減またはPRACHリソースの低減が可能である。
【0095】
また、CP長を長くすることは、符号系列の繰り返し数を増やすことと等価である。以下、この点について、
図9を用いて説明する。
【0096】
図9は、PRACH構成の一例を示す図である。
図9には、PRACH構成AとPRACH構成Bの2つの構成が示される。
【0097】
PRACH構成Aでは、1つの符号系列(
図9の1つの「Seq.」)が4回繰り返されている。そして、PRACH構成Aでは、2つの符号系列と1つの符号系列の1/4とを合わせた長さ分のCPが先頭に付されている。
【0098】
PRACH構成Bでは、PRACH構成Aの1つ符号系列と同じ系列長を有する1つの符号系列が6回繰り返されている。そして、PRACH構成Bでは、1つの符号系列の1/4の長さ分のCPが先頭に付されている。
【0099】
PRACH構成AとPRACH構成Bとでは、どちらも1つの符号系列が6回繰り返され、先頭に1つの符号系列の1/4の長さが付されている。
【0100】
このように、CP長を長くするPRACH構成Aは、符号系列の繰り返し数を増やすPRACH構成Bと等価である。
【0101】
[設定例2]
図10は、Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとの配置の第2の例を示す図である。
図10には、Type1_PRACHリソースとType2_PRACHリソースとの配置が示される。
図10では、時間領域において、Type1_PRACHリソースの配置の数が、Type2_PRACHリソースの配置の数よりも少ない。別言すると、Type1_PRACHリソースの頻度が、Type2_PRACHリソースの頻度よりも少ない。
【0102】
図10に示す配置によって、GNSS端末における、PRACH送信のトリガがあってから、PRACH送信可能なタイミングまでの時間が、Non-GNSS端末よりも、短くできる。
【0103】
なお、
図10では、時間領域において、Type1_PRACHリソースの頻度が、Type2_PRACHリソースの頻度よりも少ない例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、時間領域および/または周波数領域において規定されるRACH Occasion番号が、Type1_PRACHリソースよりもType2_PRACHリソースが多くに設定されてもよい。このような設定でも、GNSS端末における、PRACH送信のトリガがあってから、PRACH送信可能なタイミングまでの時間が、Non-GNSS端末よりも、短くできる。
【0104】
NTN環境が、航空機および船舶等の移動体の通信に使われる場合、一般に移動体のアンテナ及び通信モジュールが受信信号を受信した後、移動体の内部(例えば、航空機の機内および船舶内等)のWi-Fi(登録商標)へブリッジし、移動体の内部のユーザが所有する端末へ転送されるケースが多い。そのため、Non-GNSS端末が、PRACH送信を行うのは、移動体の出発時(例えば、航空機の離陸、および、船舶の出港)直後などの限られたケースである。このようなケースでは、PRACH送信の遅延が生じてもそれほど問題ない。一方で、GNSS端末の場合、上りデータの送信要求など送信遅延がユーザ体感(User experience)に影響する。そのため、Type2_PRACHリソースの配置の数を多くし、GNSS端末のPRACH送信の頻度をより多くすることにより、ユーザ体感を改善することができる。
【0105】
また、Type1_PRACHリソースのサイズ(例えば、Type1_PRACHのPreamble信号の長さ)がType2_PRACHリソースよりも大きい場合、Type1_PRACH送信の頻度を下げることにより、オーバヘッドが削減できる。
【0106】
なお、
図10の例では、Type2_PRACHのPreamble信号の送信頻度が増加する。例えば、Type2_PRACHのPreamble信号とType1_PRACHのPreamble信号との間において、例えば、符号系列の長さ、および/または、符号系列の繰り返し数といったPreamble系列の長さが調整されることによって、Type2_PRACHのPreamble信号の送信頻度の増加に伴うリソースの消費が低減されてよい。以下、
図11および
図12を用いて、Type2_PRACHのPreamble信号の送信頻度の増加に伴うリソースの消費を低減させるためのType1_PRACH構成とType2_PRACH構成との例を説明する。
【0107】
図11は、Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成との第2の例を示す図である。
図11には、Type1_PRACH構成(
図11のType1)とType2_PRACH構成(
図11のType2)とが並べて示されている。
【0108】
図11のType1_PRACH構成とType2_PRACH構成とは、どちらも、1つの符号系列が4回繰り返されている。ただし、Type1_PRACH構成に用いられる符号系列の長さは、Type2_PRACH構成よりも長い。例えば、Type1_PRACH構成では、系列長839のZC系列が用いられ、Type2_PRACH構成では、系列長139のZC系列が用いられる。
【0109】
図12は、Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成との第3の例を示す図である。
図12には、Type1_PRACH構成とType2_PRACH構成とが並べて示されている。
【0110】
図12のType1_PRACH構成とType2_PRACH構成とは、どちらも、1つの符号系列の長さが同一である。例えば、1つの符号系列には、系列長839、または、系列長139のZC系列が用いられる。ただし、Type1_PRACH構成では符号系列の繰り返し数が8回に設定され、Type2_PRACH構成では符号系列の繰り返し数が4回に設定される。このように、Type1_PRACH構成では、Type2_PRACH構成よりも符号系列の繰り返し数を多く設定されてよい。
【0111】
NTN環境では、衛星によって形成される指向性の鋭いビームによって通信エリアがカバーされる。また、空を移動する航空機および海上等を移動する船舶の場合、周囲の反射物が、地上のエリアと比較して少ない。そのため、伝搬路の遅延分散がTN環境と比較して小さいケースが多い。例えば、Type2_PRACH構成では、1つの符号系列(例えば、1つのZC系列)あたりに多くのCS数を設定できるため、CS多重を行わないType1_PRACH構成よりも異なる符号系列間の干渉を受けることが少ない。よって、Type2_PRACH構成では、Type1_PRACH構成よりも、短い系列長を使用すること、および/または、系列の繰り返し数を削減することにより、十分なPreamble信号の検出精度を維持し、リソースを削減できる。
【0112】
前述したように、Type1_PRACH構成においてCS多重しない場合、1つのZC系列から生成できるPreambleの数はType2_PRACH構成よりも少ない。
【0113】
LTEおよびNRでは、CS-ZC系列数は、系列長839のZC系列を使用する場合、838×(CS数)と規定され、系列長139のZC系列を使用する場合、138×(CS数)と規定される。また、LTEおよびNRでは、1セル当たりのCS-ZC系列数が、システムによって、例えば、最大で64個に設定される。1セル当たりのCS-ZC系列数が多いほど、セル内のPRACHの衝突確率が低下する。一方で、1セル当たりのCS-ZC系列数が多いほど、同一のCS-ZC系列を用いるセルの間隔が短くなり、他セルとの干渉の影響が大きくなる。また、1セル当たりのCS-ZC系列数が少ないほど、セル内のPRACHの衝突確率は増加する。一方で、1セル当たりのCS-ZC系列数が少ないほど、同一のCS-ZC系列を用いるセルの間隔が長くなり、他セルとの干渉の影響は小さくなる。なお、同一の系列を用いるセルの間隔は、セル・リユース・ファクタと記載されることがある。
【0114】
本実施の形態ではType1_PRACH構成の1セル当たりの系列数を、Type2_PRACH構成よりも少なく設定する。
【0115】
Type1_PRACH構成の取りうる符号系列数は、CS多重を行わない分、Type2_PRACH構成よりも少ない。また、Type1_PRACH構成を使用する機会は、Type2_PRACH構成と比較して、少ないと考えられる。そのため、Type1_PRACH構成の1セル当たりの符号系列数をType2_PRACH構成よりも少なくすることによって、確保されるセル・リユース・ファクタを大きくする。
【0116】
一方、Type2_PRACH構成では1セル当たりの系列数を、Type1_PRACH構成よりも多くすることによって、衝突回避を優先させる。この場合でも、Type2_PRACH構成では、CS多重が可能であり、CS-ZC系列数が多いため、十分なセル・リユース・ファクタの確保も可能である。これにより、Type1とType2とのそれぞれにおいて、衝突確率の低下とセル・リユース・ファクタの確保が可能となる。
【0117】
例えば、NTN環境では、1つの衛星が形成するビームによってセルが構成されるため、他セルとの信号電力差は、電波の距離減衰よりも、ビームの指向性特性によって決まる。このため、TN環境(例えば、地上セルラ)と比べて、他セルとの干渉が顕著となる。上述の例によれば、NTN環境において、セル・リユース・ファクタを確保し他セルとの干渉の影響を軽減できる。
【0118】
なお、NRでは、1セル当たりのCS-ZC系列数は、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCパラメータの1つであるtotalNumberOfRA-Preamble)によって通知される。
【0119】
上記リソース設定例を説明したが、環境に応じて柔軟に切り替えられるように、基地局200からType1_PRACHリソース設定に関する情報(Type1_PRACHリソース設定情報)とType2_PRACHリソース設定に関する情報(Type2_PRACHリソース設定情報)とがそれぞれ独立に通知されてもよい。例えば、Type1_PRACHリソース設定情報とType2_PRACHリソース設定情報は、システム情報に含まれて通知されてよい。この場合、Type1_PRACHリソースおよびType2_PRACHリソースそれぞれの頻度、系列長、セル当たりの系列数、CP長、および、CS数等をType1_PRACH送信およびType2_PRACH送信それぞれに個別に設定でき、セル環境などに応じた柔軟な運用が可能である。
【0120】
以上説明した本実施の形態1では、端末100において、端末100の位置と端末100の通信相手である基地局200の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて、PRACHにおける信号の送信に関する設定を制御する。例えば、端末100において、位置情報が利用可能では無い場合(例えば、端末100がNon-GNSS端末の場合)において、PRACH送信に関するリソース設定にType1_PRACHリソース設定が用いられる。また、端末100において、位置情報が利用可能な場合(例えば、端末100がGNSS端末の場合)において、PRACH送信に関するリソース設定にType2_PRACHリソース設定が用いられる。この設定によって、端末100と基地局200との間の伝搬遅延が端末間で異なる場合でも、ランダムアクセス処理を適切に行うことができる。
【0121】
例えば、GNSS端末は、位置情報に基づくタイミング調整を行うことによって、端末間の伝搬遅延の差(遅延差)を低減するため、短いCP長でCS多重ありのPreamble信号を使用でき、PRACHのための無線リソースの低減とPreamble信号の衝突確率の低減を実現できる。
【0122】
また、例えば、Non-GNSS端末は、端末間の伝搬遅延の差を低減するためのタイミング調整を行わないが、端末間の遅延差に応じたCP長をPreambleに付与することによって、Preamble信号の衝突確率の低減を実現できる。
【0123】
例えば、Preamble信号の符号系列の系列長の半分以上の遅延差が生じる場合、CS多重が困難であり、CS-ZC系列で生成可能なPreamble信号の総数が減少してしまう。本実施の形態では、GNSS端末では、タイミング調整を行うことによって遅延差を低減するため、CS多重を行うことができる分、Preamble信号の数を確保でき、Preamble信号の衝突確率の低減を実現できる。
【0124】
また、例えば、Preamble信号の符号系列の系列長の半分以上の遅延差が生じる場合、従来よりも長い系列長を有する符号系列をPreamble信号に用いることも考えられるが、従来よりも長い系列長を有する符号系列の使用は、端末100および衛星(基地局200)の複雑さが増大する。本実施の形態によれば、GNSS端末では、タイミング調整を行うことによって遅延差を低減するため、長い系列長を有する符号系列の使用を、Non-GNSS端末のケースに制限でき、端末および衛星(基地局200)の複雑さの増大を抑制できる。
【0125】
また、本実施の形態1によれば、GNSS端末とNon-GNSS端末とが、互いに異なるPRACHリソースを使用して、Preamble信号を送信するため、GNSS端末とNon-GNSS端末との間の干渉を抑制できる。例えば、GNSS端末は、Non-GNSS端末と比較してコストがかかる構成を有し、当該構成によって送信タイミングの調整を行っている。そのため、GNSS端末とNon-GNSS端末との間の干渉を抑制することによって、コストがかかっているGNSS端末のサービス品質(例えば、通信品質)の劣化を抑制できる。
【0126】
また、本実施の形態1では、Non-GNSS端末が、有効なTA値の有無に関わらず、TAを用いたタイミング調整を行わない。そのため、Non-GNSS端末が、Rel.15 NRに準拠する端末、又は、地上向け通信の端末と同様の動作になり、処理の簡素化を実現できる。
【0127】
なお、上述した実施の形態1において、Non-GNSS端末が有効なTA値を有し、有効なTA値に基づくタイミング調整を行う場合、有効なTA値を有するNon-GNSS端末は、Type1_PRACHリソース設定ではなく、GNSS端末と同様に、Type2_PRACHリソース設定を用いてよい。
【0128】
また、上述した実施の形態1において、GNSS端末が取得する位置情報は、定期的に(例えば、所定の間隔にて)更新されてよいし、あるいは、PRACH送信が実行される前に、都度、更新されてもよい。
【0129】
また、上述した実施の形態1において、GNSS端末は、伝搬遅延時間の計算において、アクセスリンク(GNSS端末と衛星との間のリンク)の往復時間を計算して補正してもよいし、フィーダリンク(衛星と地上のゲートウェイとの間のリンク)の往復時間を含む値として計算してもよい。
【0130】
なお、上述した実施の形態1では、端末の位置情報が、GNSSおよび/またはGPSなどの位置情報から得られる例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、位置情報の取得手段は、通信の電波を用いる手段であってもよいし、他の手段であってもよい。
【0131】
また、上述した実施の形態1において、GNSS端末は、位置情報を取得可能な端末である例を示した。が、位置情報を取得可能なGNSS端末は、自律的にタイミング調整を行う端末と捉えてもよい。また、実施の形態1において、Non-GNSS端末は、位置情報を取得可能でない端末である例を示した。位置情報を取得可能でないNon-GNSS端末は、自律的にタイミング調整を行わない端末と捉えてもよい。
【0132】
また、上述した実施の形態1において、Satellite ephemeris情報は、システム情報などで端末に報知されてもよいし、あらかじめ端末が保持してもよい。また、GNSS端末が通信可能な場合に、定期的に更新してもよい。
【0133】
また、上述した実施の形態1では、Non-GNSS端末が、Type1_PRACHリソース設定を使用し、GNSS端末が、Type2_PRACHリソース設定を使用する例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、GNSS端末は、Type1_PRACHリソース設定と、Type2_PRACHリソース設定とを、使用してもよい。
【0134】
例えば、GNSS端末は、Type1_PRACHリソース設定と、Type2_PRACHリソース設定とを、処理手順に応じて使い分けてもよい。
【0135】
例えば、GNSS端末が、Type2_PRACHリソース設定を用いてランダムアクセス手順を実施して、MSG1(
図1参照)を送信し、MSG1送信に失敗した場合の次のMSG1送信では、Type1_PRACHリソース設定を用いてランダムアクセス手順を実施してよい。
【0136】
この場合、例えば、GNSS端末のPRACH生成部101が、Type2_PRACHのPreamble信号を生成し、無線送信部104が、Type2_PRACHのPreamble信号を送信する。Type2_PRACHのPreamble信号の送信では、タイミング調整部103によって送信タイミングが調整される。そして、Type2_PRACHのPreamble信号の送信に失敗した場合、PRACH生成部101が、Type1_PRACHのPreamble信号を生成し、無線送信部104が、Type1_PRACHのPreamble信号を送信する。Type1_PRACHのPreamble信号の送信では、タイミング調整部103によって送信タイミングが調整されなくてよい。Type1_PRACHのPreamble信号の送信において、送信タイミングが調整されないことによって、基地局200におけるNon-GNSS端末が送信するPreamble信号を受信するタイミングよりも早いタイミングで、当該Preamble信号が基地局200に到達することを回避できるため、基地局200で受信ウィンドウを広げることなく受信可能となる。
【0137】
ここで、MSG1の送信失敗の判断については、特に限定されない。例えば、GNSS端末は、所定時間が経過するまでに(例えば、MSG2タイマ満了までに)MSG2(
図1参照)を受信しなかった場合に、PRACH送信失敗と判断してもよい。あるいは、GNSS端末は、PRACH送信後に所定時間が経過(例えば、MSG2タイマ満了)するまでにMSG2を受信しなかった場合に、PRACHの再送を行い、所定回数の再送でもMSG2を受信しなかった場合に失敗と判断してもよい。あるいは、GNSS端末は、PRACHの再送ごとに送信電力を所定値だけ上げていき、送信電力が上限になった場合に送信失敗と判定してよい。なお、PRACHの再送ごとに送信電力を上げる処理は、「Ramp Up」と称されてよい。
【0138】
GNSS端末の場合でも、想定外の端末の移動および電波の反射状況の変化等の影響によって、タイミング同期のずれが生じる。このようなタイミング同期のずれによって、PRACH送信が失敗する場合でも、端末は、送信失敗後の再試行において、タイミング同期のずれに対する耐性の高いType1 PRACHを用いることによって、送信失敗の確率を低減できる。
【0139】
(実施の形態2)
実施の形態1では、Non-GNSS端末におけるPRACH送信に関するリソース設定(Type1_PRACHリソース設定)と、GNSS端末におけるPRACH送信に関するリソース設定(Type2_PRACHリソース設定)とが、それぞれ、設定される例を説明した。実施の形態2では、基地局が、複数のPRACHリソースを設定する。そして、端末は、位置情報を取得可能であるか否か(別言すると、端末がGNSS端末か又はNon-GNSS端末か)、および、有効なTA値を有するか否かに基づいて、使用するリソース設定を変更する例を説明する。
【0140】
例えば、基地局は、第1のリソース設定と第2のリソース設定との2つのPRACHリソースを設定する。そして、Non-GNSS端末は、有効なTA値を有さない場合、第1のリソース設定を使用し、有効なTA値を有する場合、第2のリソース設定を使用する。GNSS端末は、有効なTA値を有するか否かに関わらず、第2のリソース設定を使用する。なお、第1のリソース設定は、例えば、実施の形態1において説明したType1_PRACHリソース設定に対応し、第2のリソース設定は、例えば、実施の形態1において説明したType2_PRACHリソース設定に対応する。
【0141】
例えば、端末の種別及び端末の状態と、複数のリソース設定とが対応付けられていてよい。端末の種別とは、例えば、端末がGNSS端末かNon-GNSS端末かを指し、端末の状態とは、有効なTA値を有するか否かという状態を指す。端末の種別及び状態とリソース設定との対応付けは、予め規定され、端末によって保持されてもよいし、あるいは、基地局によって決定され、端末に通知されてもよい。
【0142】
以下では、端末の種別及び状態とリソース設定との対応付けが、基地局によって決定され、端末に通知される例を説明する。
【0143】
なお、本実施の形態2に係る端末の構成は、実施の形態1に係る端末100(端末100a又は端末100b)と同様の構成であるが、一部の動作が異なる。また、本実施の形態2に係る基地局の構成は、実施の形態1に係る基地局200と同様の構成であるが、一部の動作が異なる。各構成の異なる動作に関しては後述するが、本実施の形態2では、実施の形態1と同様の符番を援用して説明する。
【0144】
[基地局の構成]
PRACHリソース設定部205は、複数のPRACHリソースを設定する。また、PRACHリソース設定部205は、複数のPRACHリソースのそれぞれを使用する端末の種別及び状態を決定し、複数のPRACHリソースと端末の種別及び状態とを対応付ける。それぞれのPRACHリソースは、システム情報により端末100へ通知される。また、それぞれのPRACHリソースを使用する端末の情報(端末の種別や状態)は、端末100へ通知される。
【0145】
例えば、PRACHリソース設定部205は、PRACHリソース1にType1 PRACHリソースを設定し、PRACHリソース2にType2 PRACHリソースを設定する。また、PRACHリソース設定部205は、例えば、設定した2つのPRACHリソースについて、有効なTA値を有さないNon-GNSS端末がPRACHリソース1を使用し、GNSS端末及び/又は有効なTA値を有するNon-GNSS端末がPRACHリソース2を使用する、と決定する。Type1 PRACHリソース及びType2 PRACHリソースは、システム情報(例えばRACH-Configメッセージ)により端末100へ通知される。端末の種別及び状態とPRACHリソースとの対応付けの情報(例えば、Type1 PRACHリソース及びType2 PRACHリソースを使用する端末の情報)は、端末100へ通知される。端末の種別及び状態とPRACHリソースとの対応付けの情報は、RACH-Configメッセージに含まれてもよいし、別途通知されてもよい。
【0146】
なお、上述した対応付けは一例であり、本開示はこれに限定されない。例えば、PRACHリソース設定部205は、Non-GNSS端末がPRACHリソース1を使用し、GNSS端末がPRACHリソース2を使用する、と決定してよい。あるいは、PRACHリソース設定部205は、有効なTA値を有さない端末100がPRACHリソース1を使用し、有効なTA値を有する端末100がPRACHリソース2を使用する、と決定してよい。これらの場合も、決定した対応付けの情報は、端末100へ通知されてよい。
【0147】
[端末の構成]
端末100は、基地局200から通知される複数のPRACHリソース情報及び対応付けの情報を受信する。そして、端末100は、端末100種別及び状態に応じたPRACHリソースを用いて、PRACH送信を実行する。
【0148】
例えば、対応付けの情報が、有効なTA値を有さないNon-GNSS端末がPRACHリソース1を使用し、GNSS端末及び/又は有効なTA値を有するNon-GNSS端末がPRACHリソース2を使用することを示す場合について説明する。この場合、端末100が、GNSS端末であれば、PRACH生成部101は、PRACHリソース2を使用する。また、端末100が、Non-GNSS端末であり、かつ、有効なTA値を有する状態であれば、PRACH生成部101は、PRACHリソース2を使用する。また、端末100が、Non-GNSS端末であり、かつ、有効なTA値を有さない状態であれば、PRACH生成部101は、PRACHリソース1を使用する。
【0149】
また、例えば、対応付けの情報が、Non-GNSS端末がPRACHリソース1を使用し、GNSS端末がPRACHリソース2を使用することを示す場合について説明する。この場合、端末100が、Non-GNSS端末であれば、PRACH生成部101は、PRACHリソース1を使用する。また、端末100が、GNSS端末であれば、PRACH生成部101は、PRACHリソース2を使用する。
【0150】
また、例えば、対応付けの情報が、有効なTA値を有さない端末がPRACHリソース1を使用し、有効なTA値を有する端末がPRACHリソース2を使用することを示す場合について説明する。この場合、端末100が、有効なTA値を有する状態であれば、PRACH生成部101は、PRACHリソース2を使用する。また、端末100が、有効なTA値を有さない状態であれば、PRACH生成部101は、PRACHリソース1を使用する。
【0151】
なお、上述では、2つのPRACHリソースが設定される例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、3つ以上のPRACHリソースが設定されてもよい。また、上述では、端末の種別が、GNSS端末かNon-GNSS端末かのいずれかであり、端末の状態が、有効なTA値を有するか否かという状態を示す例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、端末の種別の別の例として、自律的なタイミング調整の精度が、所定の基準に対して、相対的に高い端末(端末X)と、低い端末(端末Y)と、自律的なタイミング調整機能のない端末(端末Z)との3通りの種別が用いられてよい。この場合、3つのPRACHリソースが設定され、端末X、端末Y、及び、端末Zと、3つのPRACHリソース設定とが対応付けられてよい。
【0152】
以上説明した本実施の形態2では、端末100が、位置情報が利用可能でなく、かつ、有効なTA値を有さない場合に、PRACH送信に関するリソース設定にType1_PRACHリソース設定が用いられる。また、端末100が、位置情報が利用可能な場合、及び/又は、有効なTA値を有する場合に、PRACH送信に関するリソース設定にType2_PRACHリソース設定が用いられる。この設定によって、端末100と基地局200との間の伝搬遅延が端末間で異なる場合でも、ランダムアクセス処理を適切に行うことができる。
【0153】
また、本実施の形態2によれば、GNSS端末と有効なTA値を有さないNon-GNSS端末とが、互いに異なるPRACHリソースを使用して、Preamble信号を送信するため、GNSS端末とNon-GNSS端末との間の干渉を抑制できる。
【0154】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、基地局が、端末の種別及び状態に応じて、基地局への接続(初期接続、及び、再接続)を許可するか否かを判定し、判定結果を端末に指示する例を説明する。例えば、基地局が、PRACH送信を許可するか否かを通知することによって、接続を許可するか否かを指示する。例えば、基地局は、端末に対して、PRACH送信を許可するか否かを示すPRACH送信許可情報を、システム情報などによって通知する。端末は、PRACH送信前に、PRACH送信許可情報を受信する。そして、端末は、自身の端末種別及び/又は状態を鑑みて、PRACH送信が許可されているかどうかを判断する。端末は、許可されていれば、PRACH送信を行い、許可されていなければ、PRACH送信を行わない。
【0155】
例えば、基地局は、Non-GNSS端末におけるPRACH送信を許可すると判定し、判定結果を示すPRACH送信許可情報を端末に送信する場合、PRACH送信許可情報を受信したNon-GNSS端末は、PRACH送信が許可されているため、PRACH送信を行う。この場合、Non-GNSS端末は、実施の形態1に示したように、Type1_PRACHリソース設定を用いてPRACH送信を行ってよい。また、例えば、基地局は、Non-GNSS端末におけるPRACH送信を許可しないと判定し、判定結果を示すPRACH送信許可情報を端末に送信する場合、PRACH送信許可情報を受信したNon-GNSS端末は、PRACH送信が許可されていないため、PRACH送信を行わない。
【0156】
なお、PRACH送信許可情報は、Non-GNSS端末とGNSS端末とによって受信されてよい。ただし、GNSS端末は、Non-GNSS端末におけるPRACH送信を許可するか否かを示すPRACH送信許可情報が受信された場合、PRACH送信許可情報を破棄してよい。
【0157】
なお、本実施の形態3に係る端末の構成は、実施の形態1に係る端末100(端末100a又は端末100b)と同様の構成であるが、一部の動作が異なる。また、本実施の形態3に係る基地局の構成は、実施の形態1に係る基地局200と同様の構成であるが、一部の動作が異なる。本実施の形態3では、実施の形態1と同様の符番を援用して説明する。
【0158】
[基地局の構成]
PRACHリソース設定部205は、PRACHリソースの設定を行う。PRACHリソースの設定については、実施の形態1において説明したリソースの設定と同様であるので、説明を省略する。また、PRACHリソース設定部205は、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可するか否かを示すPRACH送信許可情報を生成する。なお、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可するか否かの判定結果(すなわち、PRACH送信許可情報)は、PRACHリソースの設定に含まれてよい。
【0159】
例えば、Non-GNSS端末の接続を許可しないシステム、周波数、或いは、セルの場合、PRACHリソース設定部205では、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可しないことを示すPRACH送信許可情報を生成する。また、Non-GNSS端末の接続を許可するシステム、周波数、或いは、セルの場合、PRACHリソース設定部205では、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可することを示すPRACH送信許可情報を生成する。また、Non-GNSS端末の接続を許可するシステム、周波数、或いは、セルの場合において、基地局200の設置直後、基地局200の再起動直後、或いは、基地局200がカバーするエリアにおいて実施されるスポーツ又は音楽のイベントの終了時など、端末100が一斉に接続を試みる状況では、Non-GNSS端末の接続を許可しない設定にしたPRACH送信許可情報を生成する。PRACH送信許可情報は、無線送信部208から端末100へ送信される。
【0160】
[端末の構成]
図13は、本実施の形態3に係る端末100cの構成の一例を示すブロックズである。なお、
図13において、
図4と同様の構成については、同一の符番を付し、説明を省略する場合がある。
【0161】
図13に示す端末100cの構成は、
図4に示した端末100aの構成に対して、PRACH送信可否判定部110が追加される。また、端末100cの構成における一部の動作が、端末100aの構成における動作に対して追加又は変更される。
【0162】
端末100cは、無線受信部106において基地局200からのPRACH送信許可情報を受信する。
【0163】
復調・復号部107は、PRACH送信許可情報の受信処理を行い、PRACH送信許可情報をPRACH送信可否判定部110へ出力する。
【0164】
PRACH送信可否判定部110は、PRACH送信許可情報に基づいて、PRACH送信可否の判定を行う。
【0165】
例えば、PRACH送信許可情報がNon-GNSS端末におけるPRACH送信を許可しないことを示す場合、端末100cがNon-GNSS端末であれば、PRACH生成部101におけるPRACHの信号の生成を行わず、PRACH送信を行わない。
【0166】
一方、PRACH送信許可情報がNon-GNSS端末におけるPRACH送信を許可することを示す場合、端末100cがNon-GNSS端末であっても、PRACHの信号の生成を行い、PRACH送信を実行する。なお、この場合、PRACH生成部101は、Type1_PRACHリソース設定を用いてPRACH送信の信号を生成する。
【0167】
なお、
図13では、端末100aにPRACH送信可否判定部110が追加された構成を有する端末100cを示した。例えば、PRACH送信可否判定部110は、端末100bに対して追加されてもよい。
【0168】
以上説明した本実施の形態3では、基地局200が、リソース設定において、端末の種別及び状態に応じて、PRACH送信を許可するか否かを判定し、判定結果を示すPRACH送信許可情報を端末100へ通知する。例えば、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可しないことを示すPRACH送信許可情報を通知することにより、Non-GNSS端末がPRACH送信を行わないため、GNSS端末が、タイミング調整を行わないNon-GNSS端末から受ける干渉を抑制できる。例えば、GNSS端末を優先させる運用、あるいは、GNSS端末をサービス対象にし、Non-GNSS端末をサービス対象から除外する運用が、可能となる。
【0169】
また、本実施の形態3によれば、端末が一斉に接続を試みる状況において生じる輻輳を軽減できる。例えば、基地局200が、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可しないことを示すPRACH送信許可情報を通知することによって、タイミング調整を行うGNSS端末が、Non-GNSS端末よりも先に基地局200に接続できる。その後、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可することを示すPRACH送信許可情報を通知することによって、タイミング調整を行わないNon-GNSS端末が基地局200と接続する。このようなPRACH送信許可情報の通知によって、PRACH信号の衝突による輻輳を軽減することができる。
【0170】
なお、Non-GNSS端末は、PRACH送信が許可されていない場合には、許可されるまで待機してもよいし、別の周波数をサーチしてもよい。また、基地局200は、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可しないことを示すPRACH送信許可情報を送信してから所定時間以内に、基地局がNon-GNSS端末の接続を許可する可能性があるか否か、及び/又は、Non-GNSS端末が別の周波数をサーチすべきか否かを示す情報を通知してもよい。例えば、Non-GNSS端末の接続を許可する可能性がある場合とは、すなわち、Non-GNSS端末が、PRACH送信が許可されるまで待機すべき場合である。また、基地局がNon-GNSS端末の接続を許可する可能性がある場合とは、基地局が、将来的に(例えば、所定時間以内に)、Non-GNSS端末においてPRACH送信を許可することを示すPRACH送信許可情報を送信する可能性がある場合であってよい。
【0171】
つまり、Non-GNSS端末が許可されるまで待機すべきなのか、あるいは、別の周波数をサーチすべきかを示す情報が、通知されてもよい。この通知は、例えば、PRACH送信許可情報の通知と同時に行われてもよい。この場合、PRACH送信を許可されていない端末は、許可されていないキャリア周波数において、所定時間以内での接続可能性を判断できる。
【0172】
なお、PRACH送信許可情報は、タイミング調整がされない初期アクセスのPRACH送信を許可するか否かを示す情報を含んでもよい。
【0173】
また、PRACH送信許可情報は、PRACHリソースごとに通知されてもよい。この場合、基地局200は、PRACHリソースごとに、Non-GNSS端末の送信許可を設定できる。
【0174】
なお、上述した実施の形態3では、基地局200が、Non-GNSS端末を対象にPRACH送信を許可するか否かの判定を行う例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、基地局200は、有効なTA値を有さないNon-GNSS端末を対象に、当該Non-GNSS端末におけるPRACH送信を許可するか否かを判定し、判定結果を示すPRACH送信許可情報を端末100に通知してもよい。この場合、有効なTA値を有さないNon-GNSS端末は、PRACH送信許可情報に基づいて、PRACH送信の実行の可否を決定してよい。一方で、有効なTA値を有するNon-GNSS端末は、PRACH送信許可情報を破棄してよい。また、この場合、有効なTA値を有するNon-GNSS端末は、GNSS端末と同様のPRACHリソース(例えば、Type2_PRACHリソース)を使用してもよい。
【0175】
また、上述した実施の形態3では、PRACH送信許可情報がNon-GNSS端末におけるPRACH送信を許可することを示す場合、Non-GNSS端末は、Type1_PRACHリソース設定を用いてPRACH送信を行う例を示したが、本開示はこれに限定されない。PRACH送信許可情報がNon-GNSS端末におけるPRACH送信を許可することを示す場合、Non-GNSS端末は、Type1_PRACHリソース設定と異なるリソース設定(例えば、Type2_PRACHリソース設定)を用いてPRACH送信を行ってよい。別言すると、本実施の形態3では、実施の形態1又は実施の形態2に示したようなリソース設定が適用されなくてよく、例えば、端末の種別に関わらず、同じリソース設定が、Non-GNSS端末におけるPRACH送信に用いられてよい。
【0176】
(実施の形態4)
実施の形態4では、LTEおよびNR Rel.15の4段階ランダムアクセス(4-step RACH)に加えて2段階ランダムアクセス(2-Step RACH)が使われる。実施の形態4では、端末が、状況に応じてPRACH送信に用いるリソースを使い分ける。
【0177】
図14は、2段階ランダムアクセス手順の一例を示す図である。2段階ランダムアクセスでは、端末は、1段階目の送信(MSGA)において、PRACHのPreamble信号(
図1のMSG1に相当)とデータ(
図1のMSG3に相当)とを同時、あるいは、連続した時間、あるいは、所定時間内(例えば1スロット内)で送信する。つまり、端末は、基地局からのPreambleに対する応答を受信する前に、
図1のMSG3に相当するデータを送信する。例えば、データは、PUSCHにおいて送信される。
【0178】
基地局は、MSGA(Preambleとデータ)を受信および復号し、2段階目の送信(MSGB)において、上り送信タイミングおよびConnection確立応答等(
図1のMSG2およびMSG4に相当)を通知する。
【0179】
2段階ランダムアクセスにより、ランダムアクセス手順(Random Access Procedure)にかかる時間が短縮される。一方で、1段階目の送信(
図14のMSGA)において、Preambleに加えてPUSCHの信号(データ)を送信するため、基地局にて両方を正しく検出されないと次の段階(
図14のMSGB)に進むことができない。
【0180】
本実施の形態4では、PUSCH送信失敗の確率が相対的に低い場合には、2段階ランダムアクセスを使用し、PUSCH送信失敗の確率が相対的に高い場合には、2段階ランダムアクセスを使用せず、4段階ランダムアクセスを使用する。
【0181】
PUSCH送信失敗の確率が相対的に低い場合とは、例えば、GNSS端末のように、位置情報に基づいて、送信タイミングの調整を行う場合である。あるいは、PUSCH送信失敗の確率が相対的に低い場合とは、有効なTA値に基づいて、送信タイミングの調整を行う場合である。例えば、上り送信要求時、SI要求時およびハンドオーバー時等のケースでは、有効なTA値を有するため、2段階ランダムアクセスを用いる。
【0182】
PUSCH送信失敗の確率が相対的に高い場合とは、例えば、Non-GNSS端末のように、位置情報に基づいた、送信タイミングの調整を行わない場合である。あるいは、PUSCH送信失敗の確率が相対的に高い場合とは、初期アクセス等の有効なTA値を有さない場合である。
【0183】
言い換えると、端末100は、送信タイミングの調整を行う場合には2段階ランダムアクセスを使用してもよく、送信タイミングの調整を行わない場合には4段階ランダムアクセスを使用する。
【0184】
以下では、2段階ランダムアクセスを使用せずに4段階ランダムアクセスを使用する端末は、第1端末と記載され、2段階ランダムアクセスを使用してもよい端末は、第2端末と記載される。
【0185】
例えば、第1端末と第2端末とは、それぞれ、位置情報を取得可能でない端末(Non-GNSS端末)と位置情報を取得可能な端末(GNSS端末)であってよい。あるいは、第2端末は、GNSS端末と有効なTA値を有するNon-GNSS端末とを含んでよく、この場合、第1端末は、有効なTA値を有さないNon-GNSS端末であってよい。
【0186】
なお、本実施の形態4に係る端末の構成は、実施の形態1に係る端末100(端末100a又は端末100b)と同様の構成であるが、一部の動作が異なる。また、本実施の形態4に係る基地局の構成は、実施の形態1に係る基地局200と同様の構成であるが、一部の動作が異なる。各構成の異なる動作に関しては後述するが、本実施の形態4では、実施の形態1と同様の符番を援用して説明する。
【0187】
図15Aは、2段階ランダムアクセスにおける信号配置の第1の例を示す図である。
図15Bは、2段階ランダムアクセスにおける信号配置の第2の例を示す図である。
図15Aおよび
図15Bの横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。
図15Aおよび
図15Bには、時間領域と周波数領域とにおける、2つの端末(UE#1およびUE#2)のPRACHのPreamble信号と、PUSCHの配置の例が示される。
【0188】
図15Aは、第2端末が2段階ランダムアクセスを実施する場合の信号配置であり、
図15Bは、第2端末が2段階ランダムアクセスを実施する場合の信号配置である。
【0189】
例えば、セル内の遅延差が大きい場合、基地局200でのPUSCHの受信タイミングが端末間で大きく異なる。そのため、第1端末が2段階ランダムアクセスを実施する場合、
図15Aに示すように、他の端末の上り送信データへの干渉回避のため、大きなガードバンド及びガードタイムを設ける。そのため、第1端末が2段階ランダムアクセスを実施する場合、リソース利用効率が低下する。
【0190】
一方で、セル内の遅延差が大きい場合でも、第2端末は、TAによるタイミング調整、及び/又は、位置情報に基づくタイミング調整を実行することによって、端末間の受信タイミングのズレが回避される。そのため、第2端末が2段階ランダムアクセスを実施する場合、
図15Bに示すように、ガードバンド及びガードタイムを設けなくてよい。
【0191】
本実施の形態4では、第1端末の場合には4段階ランダムアクセスを行うことにより大きなガードバンドおよび/またはガードタイムが設けられないため、リソース利用効率が向上する。
【0192】
そして、本実施の形態4では、2段階ランダムアクセスのPRACH送信に用いるリソースに、4段階ランダムアクセスとは異なるリソースが用いられる。
【0193】
なお、第2端末は、2段階ランダムアクセスにおいて、Type1 PRACHリソースにおいて、Type1_PRACH Preambleを送信し、PUSCHの信号(データ)をTA有りで送信してもよい。この場合、Type1_PRACH Preambleは、TA無しで送信されてもよい。
【0194】
基地局は、PreambleとPUSCHの信号との両方を受信できた場合には2段階ランダムアクセスの応答(例えば、MSG2の送信)を行う。これにより、ランダムアクセス手順における遅延を短縮できる。一方で、基地局200は、Preambleを受信し、PUSCHの信号を受信しなかった場合、4段階ランダムアクセスに切り替えてランダムアクセス手順を継続できる。
【0195】
[端末の構成]
本実施の形態4に係る端末100の構成について、
図4を援用して説明する。端末100の構成は、実施の形態1と同様の構成であるが、PRACH生成部101、タイミング調整部103およびデータ生成部102の動作が異なる。以下、本実施の形態4に係る端末100が、第2端末である場合と第1端末である場合の処理を説明する。
【0196】
[第2端末の場合]
PRACH生成部101は、2段階ランダムアクセスの時間・周波数リソースにて送信する、Type2_PRACHのPreamble信号を生成する。
【0197】
Type2_PRACHのPreamble信号は、無線送信部104及びアンテナ105を介して送信される。この場合、タイミング調整部103は、TA(個別TA)に基づいて、及び/又は、位置情報に基づいて、Type2_PRACHのPreamble信号の送信タイミングを調整する。
【0198】
データ生成部102は、
図1のMSG3に相当するデータの信号を含むPUSCHの信号を生成する。
【0199】
PUSCHの信号は、Type2_PRACHのPreamble信号の送信の後に、無線送信部104及びアンテナ105を介して送信される。この場合、タイミング調整部103は、Type2_PRACHのPreamble信号と同様に、PUSCHの信号の送信タイミングを調整する。
【0200】
[第1端末の場合]
PRACH生成部101は、4段階ランダムアクセスの時間・周波数リソースにて送信する、Type1_PRACHのPreamble信号を生成する。
【0201】
Type1_PRACHのPreamble信号は、無線送信部104及びアンテナ105を介して送信される。この場合、タイミング調整部103は、TA(個別TA)に基づかずに、(例えば、共通TAに基づいて、)Type1_PRACHのPreamble信号の送信タイミングを調整する。なお、Type1_PRACHのPreamble信号の送信では、タイミング調整部103によって送信タイミングが調整されなくてもよい。
【0202】
データ生成部102は、実施の形態1と同様に、送信したPreamble信号に対する応答であるMSG2(
図1参照)を受信した後に、MSG3(
図1参照)のデータの信号を含むPUSCHの信号を生成する。
【0203】
PUSCHの信号は、無線送信部104及びアンテナ105を介して送信される。この場合、タイミング調整部103は、例えば、MSG2(
図1参照)において受信したタイミング情報に基づいて、PUSCHの信号の送信タイミングを調整してよい。
【0204】
[基地局の構成]
本実施の形態4に係る基地局200の構成について、実施の形態1に係る基地局200の構成を示す
図6を援用して説明する。本実施の形態2に係る基地局200の構成は、実施の形態1と同様の構成であるが、以下に説明する処理が追加される。
【0205】
PRACH検出部204は、4段階ランダムアクセス向けのPRACH(つまりType1_PRACH)と2段階ランダムアクセス向けのPRACH(つまりType2_PRACH)の両方のPreamble信号の検出を行う。
【0206】
データ受信処理部203は、PRACH検出部204において、4段階ランダムアクセス向けのPRACHのPreamble信号を検出した場合には、PRACHの応答(MSG2(
図1参照))が基地局200から送信された後に端末100から送信されるPUSCHの信号(MSG3(
図1参照))を受信し、復調・復号処理を行う。
【0207】
また、データ受信処理部203は、PRACH検出部204において、2段階ランダムアクセス向けのPRACHのPreamble信号を検出した場合には、PRACHのPreamble信号の後に受信するPUSCHの信号(MSG3(
図1参照))の復調・復号処理を行う。なお、この場合、基地局200からPRACHの応答(MSG2(
図1参照))は送信されなくてよい。
【0208】
以上説明した本実施の形態4では、端末が、状況に応じて、リソース設定を使い分ける。例えば、端末において、2段階ランダムアクセスのPRACH送信に用いるリソースに、4段階ランダムアクセスとは異なるリソースが用いられる。例えば、4段階ランダムアクセスでは、Type1_PRACHリソース設定が用いられ、2段階ランダムアクセスでは、Type2_PRACHリソース設定が用いられる。
【0209】
この設定により、端末100と基地局200との間の伝搬遅延が端末間で異なる場合でも、ランダムアクセス処理(2段階ランダムアクセスまたは4段階ランダムアクセス)を適切に行うことができる。また、ランダムアクセス手順の短縮を実現できる。
【0210】
なお、2段階ランダムアクセスと4段階ランダムアクセスとは、組み合わせられてもよい。例えば、第2端末は、個別TA値に基づくタイミング調整、及び/又は、位置情報に基づくタイミング調整を行い、2段階ランダムアクセスのType2_PRACHのPreamble信号及びPUSCHの信号を送信する。そして、2段階ランダムアクセスのType2_PRACHのPreamble信号及び/又はPUSCHの信号の送信に失敗した場合、第2端末は、Type1_PRACHのPreamble信号を1段階目に送信する4段階ランダムアクセスによる再試行を行うようにしてもよい。
【0211】
ここで、端末100は、送信の失敗を、実施の形態1と同様に判断してよい。例えば、端末100は、所定時間が経過するまでに(例えば、MSG2タイマ満了までに)MSG2(
図1参照)を受信しなかった場合に、PRACH送信失敗と判断してもよい。あるいは、端末100は、PRACH送信後に所定時間経過(たとえば、MSG2タイマ満了)までにMSG2を受信しなかった場合に、PRACHの再送を行い、所定回数の再送でもMSG2を受信しなかった場合に失敗と判断してもよい。あるいは、端末100は、PRACHの再送ごとに送信電力を所定値だけ上げていき、送信電力が上限になった場合に送信失敗と判定してよい。なお、PRACHの再送ごとに送信電力を上げる処理は、「Ramp Up」と称されてよい。
【0212】
第2端末の場合でも、想定外の端末の移動および電波の反射状況の変化等の影響によって、タイミング同期のずれが生じる。このようなタイミング同期のずれによって、PRACH送信が失敗する場合でも、第2端末は、送信失敗後に再試行において、タイミング同期のずれに対する耐性の高いType1 PRACHを用いることによって、送信失敗の確率を低減できる。また、4段階ランダムアクセスを用いることによって、基地局200においてPUSCHの受信エラーに起因するPRACH送信の失敗となるケースがなくなるため、よりロバストなPRACH送信が可能となり、さらなる送信失敗の確率を低減できる。
【0213】
また、第2端末は、2段階ランダムアクセスにおいて、再試行時には、Type1_PRACHのPreamble信号と、PUSCHの信号とを送信してもよい。この場合、端末100は、PUSCHの信号送信に対してタイミング調整を行い、Type1_PRACH送信に対してタイミング調整を行わなくてよい。
【0214】
この場合は、基地局200は、タイミング同期のずれによってPUSCHの信号を受信しなくても、Type1_PRACHのPreamble信号を受信できる。Type1_PRACHのPreamble信号が受信されれば、ランダムアクセス手順を、MSG2(PRACHに対する応答)送信の段階から4段階ランダムアクセスに切り替えることによって、ランダムアクセス手順を継続し、完了できる。
【0215】
また、PRACH送信及びPUSCH送信の失敗の要因が、タイミングずれでなかった場合(例えば、受信電力の一時的な低下等)には、再試行時に、PUSCHが正しく受信される場合もあるため、ランダムアクセス手順の遅延短縮が可能である。
【0216】
(実施の形態5)
本実施の形態5は、基地局が状況に応じてPRACH送信に用いるリソースを端末に指示する。例えば、基地局は、端末に対して、タイミング調整を行わずにType1_PRACHリソースを用いたランダムアクセスを行うか、タイミング調整とType2_PRACHリソースとを用いてランダムアクセスを行うかの情報(使用PRACHリソース情報)を端末に通知する。端末は、通知に従って、PRACH送信を行う。基地局から端末への通知には、例えば、RRCシグナリング等の上位レイヤのシグナリングが用いられてもよいし、DCI等の下位レイヤのシグナリングが用いられてもよい。
【0217】
なお、本実施の形態5に係る端末の構成は、実施の形態1に係る端末100と同様の構成であるが、一部の動作が異なる。また、本実施の形態5に係る基地局の構成は、実施の形態1に係る基地局200と同様の構成であるが、一部の動作が異なる。各構成の異なる動作に関しては後述するが、本実施の形態5では、実施の形態1と同様の符番を援用して説明する。
【0218】
以下では、基地局200が、端末100のハンドオーバーの状況に応じて、PRACH送信に用いるリソースを端末100に指示する例を説明する。なお、端末100のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバー先のセルがハンドオーバー元と同一の衛星によって形成されるケースは、「衛星内ハンドオーバー」と記載される。また、端末100のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバー先のセルがハンドオーバー元と異なる衛星によって形成されるケースは、「衛星間ハンドオーバー」と記載される。
【0219】
例えば、端末100がハンドオーバーを行う場合、端末100は、衛星内ハンドオーバーであるか、または、衛星間ハンドオーバーであるか、判断できない。
【0220】
ハンドオーバー元の基地局200は、端末100のハンドオーバーが衛星間ハンドオーバーの場合、タイミング調整を行わずにType1_PRACHリソースを用いたランダムアクセス手順の実施を端末100に指示する。衛星間ハンドオーバーでは、伝搬遅延が衛星の間で異なるが、Type1_PRACHリソースを用いることによって、ハンドオーバー先の衛星において、PRACHのPreamble信号の検出が可能である。
【0221】
一方で、端末100のハンドオーバーが衛星内ハンドオーバーの場合、基地局200は、タイミング調整とType2 PRACHリソースとを用いたランダムアクセス手順の実施を端末100に指示する。異なる衛星間の伝搬遅延の差と比較して、同一衛星内での伝搬遅延の差は小さいため、ハンドオーバー先の衛星(つまり、ハンドオーバー元と同じ衛星)では正しいタイミングにおいてPRACHを受信できる。また、Type2_PRACHを用いることによりPRACH用リソースの使用量を低減できる。
【0222】
また、別の例として、基地局200は、セル内の各端末100からの受信タイミングが揃えるために、端末100毎にTAコマンドを生成し、通知する。基地局200は、端末100の送信タイミングを、PUSCH受信により推定し、TAコマンドを用いて補正できる。しかしながら、所定時間以上のタイミングのずれが生じる場合、および/または、受信電力が低すぎる場合にはタイミングの推定が困難である。基地局200は、送信タイミングの推定が困難な端末100に対して、タイミング調整を行わずにType1_PRACHリソースを用いたランダムアクセス手順の実施を指示する。基地局200は、Type1 PRACHを検出し再びTAコマンドによるタイミング補正を行うことができる。
【0223】
[端末の構成]
本実施の形態5に係る端末100の構成について、実施の形態1に係る端末100の構成を示す
図4を援用して説明する。本実施の形態5に係る端末100の構成は、実施の形態1と同様の構成であるが、以下の処理が追加される。
【0224】
無線受信部106及び復調・復号部107は、基地局から送信される使用PRACHリソース情報を受信し、復調および復号する。
【0225】
PRACH生成部101は、受信した使用PRACHリソース情報に基づいて、Type1_PRACHのPreamble信号またはType2_PRACHのPreamble信号を生成する。
【0226】
使用PRACHリソース情報がType1_PRACHリソース使用の指示である場合、Type1_PRACHのPreamble信号が、無線送信部104及びアンテナ105を介して送信される。この場合、タイミング調整部103は、位置情報及びTA(個別TA)に基づかずに、(例えば、共通TAに基づいて、)Type1_PRACHのPreamble信号の送信タイミングを調整する。なお、Type1_PRACHのPreamble信号の送信では、タイミング調整部103によって送信タイミングが調整されなくてもよい。
【0227】
使用PRACHリソース情報がType2_PRACHリソース使用の指示である場合、Type2_PRACHのPreamble信号が、無線送信部104及びアンテナ105を介して送信される。この場合、タイミング調整部103は、位置情報及び/又はTA(個別TA)に基づいて、Type2_PRACHのPreamble信号の送信タイミングを調整する。
【0228】
[基地局の構成]
本実施の形態5に係る基地局200の構成について、実施の形態1に係る基地局200の構成を示す
図6を援用して説明する。本実施の形態5に係る基地局200の構成は、実施の形態1と同様の構成であるが、以下に説明する処理が追加される。
【0229】
PRACHリソース設定部205は、状況に応じて(例えば、端末のハンドオーバーが衛星内ハンドオーバーか、または、衛星間ハンドオーバーかに応じて)、各端末100に対する使用PRACHリソース情報を生成する。
【0230】
データ生成部206は、使用PRACHリソース情報を含む送信データを生成する。生成した送信データを含むデータ信号は、データ送信処理部207において符号化および変調などの送信処理が施され。無線送信部208およびアンテナ201を介して送信される。なお、使用PRACHリソース情報は、DCIに含まれてもよいし、RRCメッセージまたはMACメッセージに含まれてもよい。
【0231】
なお、使用PRACHリソース情報は、PRACHリソース(Type1またはType2)を指示する情報である例を示したが、本開示はこれに限定されない。使用PRACHリソース情報は、例えば、「タイミング調整有り」または「タイミング調整なし」を指示する情報であってもよい。「タイミング調整有り」とは、有効なTA値に基づくタイミング調整を行うこと、及び/又は、位置情報に基づくタイミング調整を行うことのいずれかであってよい。
【0232】
また、第2端末では、通常(default)動作において、Type2_PRACHリソースを用いることが設定されてよい。そして、第2端末は、基地局200から、Type1_PRACHリソースの使用の指示を受信した場合に、Type1_PRACHリソースを用いてよい。第2端末が多い場合、基地局200は、当該第2端末に、都度、使用PRACHリソースの指示を通知する必要がなくなるため、通知のためのオーバヘッドが低減できる。
【0233】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0234】
なお、上述した各実施の形態において、セルは基地局(衛星)が送信するSSB(Synchronization Signal/PBCH Block)やCSI-RS(Channel State Information-Reference Signal)の受信電力によって定義されるエリアであってもよいし、地理的な位置により定義されるエリアであってもよい。
【0235】
RRCシグナリングにおいて、基地局が送信するPRACHリソースの設定は、RACH-ConfigCommon、RACH-ConfigDedicatedおよびRACH-ConfigGeneric等のパラメータセットで通知される。
【0236】
本開示におけるType1_PRACHおよびType2_PRACHのリソース設定の通知は、それぞれ異なるパラメータセットとして通知されてもよいし、1つのパラメータセットの中で2種類のリソース設定が通知されてもよい。
【0237】
基地局が送信するType1_PRACHおよびType2_PRACHのリソース設定情報の通知は、システム情報としてセル全体に報知されてもよいし、端末ごとに個別に通知されてもよい。また、Type2_PRACHのリソース設定情報を含まず、Type1_PRACHのリソース設定情報を含むシステム情報がセル全体に報知されてよい。この場合、端末はその情報に基づくType1_PRACH送信によって初期アクセスを行い、その後、Type2_PRACHのリソース設定情報を端末個別に通知されてよい。端末は、Type2_PRACHのリソース設定情報を通知された後のランダムアクセスでType2_PRACH送信を用いてもよい。
【0238】
Type1_PRACHおよびType2_PRACHのリソース設定情報を含むシステム情報が、セル全体に報知される場合には周期的に送信されるため、オーバヘッドが大きくなる。一方で、Type2_PRACHのリソース設定情報を含まず、Type1_PRACHのリソース設定情報を含むシステム情報の通知が、セル全体に報知されることによって、情報量を削減できるためオーバヘッドの低減が可能である。
【0239】
また、上記の各実施の形態では、Type1_PRACH構成のCP長および/またはGP長がType2_PRACH構成より長い例を説明した。衛星通信により好適ではあるが、Type1_PRACH構成のCP長および/またはGP長がType2_PRACH構成より長いことは必ずしも必要ではない。Type1_PRACHは、TA無しで送信するPRACHリソース、Type2_PRACHはTA有りで送信するPRACHリソースと定義づけられてよい。「TA無しで送信する」とは、TAに基づくタイミング調整を行わずに送信することに相当してよい。「TA有りで送信する」とは、TAに基づくタイミング調整を行って送信することに相当してよい。
【0240】
TAがない端末は、Type1_PRACHのリソース設定を使用し、Type2_PRACHのリソース設定を使用しなくてよい。TAがある端末は、Type1_PRACHのリソース設定と、Type2_PRACHのリソース設定のどちらかを選んで使用するようにしてもよい。Type1_PRACHのリソース設定を選択した場合、端末はTA無しで送信してよい。
【0241】
また、GNSS端末は位置情報に基づくタイミング調整の他に例えばフィーダリンク補正のための基地局から報知されるセル共通のTAを用いたタイミング調整を行ってもよい。
【0242】
GNSS端末はGPSやGNSS等による自身の位置情報や衛星の軌道情報(satellite ephemeris)や位置情報を用いてTA値を算出する。ここで、衛星の軌道情報や位置情報は時間の経過と共に更新が必要である場合がある。このような場合には、有効な衛星の軌道情報や位置情報を保持している端末は、GNSS端末として、実施の形態1~5に示したGNSS端末と同様の動作を行ってもよい。また、GNSS機能を有する端末だが、有効期限が切れる等により有効な衛星の軌道情報や位置情報を保持していない端末は、Non-GNSS端末として、実施の形態1~5に示したNon-GNSS端末と同様の動作を行ってもよい。
【0243】
衛星の位置に関する情報であるSatellite ephemeris情報は、システム情報などで報知されてもよいし、あらかじめ、端末(又は基地局)が保持してもよい。また、端末(又は基地局)は、通信が可能な場合にSatellite ephemeris情報を更新してもよい。また、端末(又は基地局)は、そのほかの情報を用いて、衛星の位置を特定してもよい。
【0244】
位置情報の取得機能を有するGNSS端末と位置情報の取得機能を有しないNon-GNSS端末に対してそれぞれ異なる動作を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、同一端末でGNSS機能を有効化している状態をGNSS端末とし、GNSS機能を有効にしていない状態をNon-GNSS端末としてもよい。あるいは、有効な衛星位置情報(Satellite ephemeris)を取得できている状態をGNSS端末とし、有効な衛星位置情報を取得できていない状態をNon-GNSS端末としてもよい。これらの場合におけるGNSS端末は、実施の形態1~5に示したGNSS端末と同様の動作を行ってもよい。また、これらの場合におけるNon-GNSS端末は、実施の形態1~5に示したNon-GNSS端末と同様の動作を行ってもよい。あるいは、GNSS機能を有効化している端末をGNSS端末とし、それとは異なるGNSS機能を有効にしていない端末をNon-GNSS端末として、それぞれ、実施の形態1~5に示したGNSS端末とNon-GNSS端末と同様の動作をしてもよい。後者の場合、端末の種別によって用いるPRACHリソースを変えてもよい。端末の種別はTS38.300V15.8.0記載のSPID(Subscriber Profile ID)で通知されることがある。
【0245】
また、上記実施の形態において、GNSS端末としてGPSなどのGNSS(つまり衛星信号を利用した位置検出)を利用する例を記載したが、地上セルラ基地局による位置検出、WiFi信号及び/又はBluetooth(登録商標)信号を用いた位置検出、加速度センサーなどを利用した位置検出、または、それらの組み合わせによる位置検出を行ってもよい。また、位置情報には緯度経度の他、高度の情報も含まれても良い。また、別途定義された座標系の値としてもよい。高度の情報は気圧センサーなどから取得してもよい。
【0246】
Type1_PRACHリソースのその他の例として、CPの無いPRACHフォーマット、NTN向けに定義されたPRACHフォーマット、または、サブキャリア間隔の広いPRACHフォーマットを用いるようにしてもよい。Type2_PRACHリソースのその他の例として、CPのあるPRACHフォーマット、Rel.15 NRで使用されるPRACHフォーマット、サブキャリア間隔の狭いPRACHフォーマットを用いるようにしてもよい。
【0247】
基地局から指示されたリソースの範囲内で端末がランダムにPRACHリソースを選択するCBRA(Contention Based Random Access)の場合にはタイミング同期がされていない可能性が高いため、Non-GNSS端末は、Type1 PRACHリソースを用いてよい。また、基地局から使用するリソースが指定されるCFRA(Contention Free Random Access)の場合にはタイミング同期が維持されている可能性が高いため、Non-GNSS端末であっても、Type2 PRACHリソースを用いるようにしてもよい。
【0248】
また、上記の各実施の形態において、PRACHリソースに関する情報には、PRACH送信に用いる時間・周波数リソース情報であるRACH Occasion、CS多重数、CP長、GP長、ZC系列長、繰り返し数などが含まれてよい。CP長、GP長、系列長、繰り返し数は、PRACH Formatにより定義されてよい。
【0249】
なお、上述した各実施の形態では、NTN環境(例えば、衛星通信環境)を例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示は、他の通信環境(例えば、LTEおよび/またはNRの地上セルラ環境)に適用されてもよい。
【0250】
また、上述した各実施の形態における、「端末」という用語は、「UE」という用語に置き換えられてよい。また、「基地局」という用語は、「gNodeB」又は「gNB」という用語に置き換えられてよい。
【0251】
また、上述した各実施の形態における、TAが有効な端末とは、セル・ビーム内の共通TAに加えて、端末個別のTA、例えば、基地局から通知されるTAコマンドに基づくTA制御が行われている端末としてもよい。
【0252】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0253】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0254】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0255】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0256】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0257】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0258】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0259】
本開示の一実施例に係る送信装置は、ランダムアクセスチャネルの信号を送信する送信回路と、前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定を、通信相手の位置と前記送信装置の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御する制御回路と、を具備する。
【0260】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記制御回路は、前記位置情報が利用可能でない場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第1のリソース設定を使用し、前記位置情報が利用可能な場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第2のリソース設定を使用する。
【0261】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記制御回路は、前記位置情報が利用可能でなく、かつ、送信タイミングの調整に関する情報が有効でない場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第1のリソース設定を使用し、前記位置情報が利用可能な場合、及び/又は、前記送信タイミングの調整に関する情報が有効な場合に、前記ランダムアクセスチャネルにおける第2のリソース設定を使用する。
【0262】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記第1のリソース設定では、前記ランダムアクセスチャネルの前記信号のサイクリックプレフィックスの長さ、ガードピリオドの長さ、および、プリアンブル系列の長さの少なくとも1つが、前記第2のリソース設定における対応する長さよりも、長い。
【0263】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記第1のリソース設定における前記プリアンブル系列の長さが、前記第2のリソース設定よりも長い場合、前記第1のリソース設定における前記プリアンブル系列に用いられる符号系列の長さが、前記第2のリソース設定よりも長い、および/または、前記第1のリソース設定における前記プリアンブル系列の前記符号系列の繰り返し数が前記第2のリソース設定よりも多い。
【0264】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記第1のリソース設定における前記信号の送信機会は、前記第2のリソース設定における前記信号の送信機会と、時間および周波数の少なくとも一方が異なる。
【0265】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記第1のリソース設定における、前記信号の送信機会は、前記第2のリソース設定における前記信号の送信機会よりも少ない。
【0266】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記第1のリソース設定に使用可能な符号系列の数は、前記第2のリソース設定に使用可能な符号系列の数よりも少ない。
【0267】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記制御回路は、前記第2のリソース設定において送信した前記信号に対する応答を受信しない場合、前記第1のリソース設定において前記信号の送信を制御する。
【0268】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記送信装置が前記信号の送信を許可されているか否かを示す許可情報を受信する受信回路を備え、前記制御回路は、前記位置情報が利用可能でない場合、前記受信回路によって受信された許可情報に基づいて、前記信号の送信を制御する。
【0269】
本開示の一実施例に係る送信装置において、前記制御回路は、前記許可情報が前記信号の送信の許可を示す場合、前記信号を送信し、前記許可情報が前記信号の送信の許可を示さない場合、前記信号を送信しない。
【0270】
本開示の一実施例に係る受信装置は、ランダムアクセスチャネルの信号を受信する受信回路と、通信相手の位置と前記受信装置の位置とを示す位置情報の利用可能性に対応づけられた、前記ランダムアクセスチャネルにおける前記信号の送信に関する設定に基づいて、前記信号の受信を制御する制御回路と、を具備する。
【0271】
本開示の一実施例に係る送信方法は、送信装置における送信方法であって、ランダムアクセスチャネルにおける信号の送信に関する設定を、前記送信装置の位置と、前記送信装置の通信相手の位置とを示す位置情報の利用可能性に基づいて制御し、前記ランダムアクセスチャネルの前記信号を送信する。
【0272】
本開示の一実施例に係る受信方法は、受信装置における受信方法であって、前記受信装置の位置と、前記受信装置の通信相手の位置とを示す位置情報の利用可能性に対応づけられた、ランダムアクセスチャネルにおける信号の送信に関する設定に基づいて、前記信号の受信を制御し、前記ランダムアクセスチャネルの前記信号を受信する。
【0273】
2019年5月13日出願の特願2019-090684の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0274】
本開示の一実施例は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0275】
100、100a、100b、100c 端末
101 PRACH生成部
102,206 データ生成部
103 タイミング調整部
104,208 無線送信部
105,201 アンテナ
106,202 無線受信部
107 復調・復号部
108,209 制御部
109 位置情報取得部
110 PRACH送信可否判定部
200 基地局
203 データ受信処理部
204 PRACH検出部
205 PRACHリソース設定部
207 データ送信処理部