(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】非通気性体液サンプル最適化装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/154 20060101AFI20240911BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61B5/154 200
G01N1/10 V
(21)【出願番号】P 2021558648
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020026276
(87)【国際公開番号】W WO2020206047
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518026730
【氏名又は名称】クリン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ、 ボビー イー.
(72)【発明者】
【氏名】ネイスン、 ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ストループ、 デビッド カール
(72)【発明者】
【氏名】マツウラ、 デビッド ジー.
(72)【発明者】
【氏名】マツウラ、 ベリンコ ケー.
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0271425(US,A1)
【文献】国際公開第2019/055487(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/15-5/157
G01N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体源から流体収集装置によって収集された流体サンプルを最適化するための
装置であって、
前記流体源と接続するように構成される入口と、
前記流体収集装置に接続するように構成される出口と、
前記入口と前記出口との間に接続され
るサンプル経路であって、前記流体サンプルの第1の部分の少なくとも一部が前記サンプル経路に入ることを阻止するように構成される抵抗プラグをさらに有するサンプル経路と、
前記入口と前記出口との間に接続される
チャンバと
、
を備え、
前記
チャンバは、前記出口に近接して空気透過性流体抵抗器を有し、
前記
チャンバは、前記入口と前記出口との間に圧力差が印加されたとき、前記流体源から前記流体サンプルの
前記第1の部分を受け取って、前記空気透過性流体抵抗器及び前記出口を通ってその中の空気を移動させるように配置され、それによって、前記
チャンバ内に、前記流体サンプルの前記第1の部分が受け取られ
ると、前記流体サンプルの後続の部分は、前記入口と前記出口との間に後続の圧力差が印加されたときに、前記サンプル経路によって前記入口から前記出口へと搬送され
ることができ、
前記抵抗プラグは、第1の後続の圧力差によって貫通可能なフィルムを含む、
装置。
【請求項2】
前記入口、前記出口、前記サンプル経路、及び前記
チャンバのうちの1つ以上を収容及び/又は画定するハウジングをさらに備える、請求項1に記載の
装置。
【請求項3】
前記空気透過性流体抵抗器は、前記流体サンプルの前記第1の部分と接触するとシールされる材料を含む、請求項1に記載の
装置。
【請求項4】
前記
チャンバは、蛇行経路を含む、請求項1に記載の
装置。
【請求項5】
流体源から流体収集装置によって収集される流体サンプルを最適化するための
装置であって
、
前記流体源と接続するように構成される入口と、
前記流体収集装置に接続するように構成される出口と、
前記入口と前記出口との間に接続されるサンプル経路であって、前記流体サンプルの
第1の部分の少なくとも一部
が前記サンプル経路に入ることを阻止するように構成される抵抗プラグをさらに有するサンプル経路と、
前記入口と前記出口との間に接続される
チャンバと
、
を備え、
前記
チャンバは、前記出口に近接して空気透過性流体抵抗器をさらに有し、
前記
チャンバは、前記入口と前記出口との間に圧力差が印加されたとき、前記流体源から前記流体サンプルの前記第1の部分を受け取って、前記空気透過性流体抵抗器及び前記出口を通ってその中の空気を移動させるように配置され、それによって、前記
チャンバ内に、前記流体サンプルの前記第1の部分が受け取られ
ると、前記流体サンプルの後続の部分は、前記入口と前記出口との間に後続の圧力差が印加されたときに、前記抵抗プラグを通して押し込まれて、前記サンプル経路によって前記入口から前記出口へと搬送され
ることができ、
前記抵抗プラグは、第1の後続の圧力差によって貫通可能なフィルムを含む、
装置。
【請求項6】
前記入口、前記出口、前記サンプル経路、及び前記
チャンバのうちの1つ以上を収容及び/又は画定するハウジングをさらに備える、請求項
5に記載の
装置。
【請求項7】
前記空気透過性流体抵抗器は、前記流体サンプルの前記第1の部分と接触するとシールされる材料を含む、請求項
5に記載の
装置。
【請求項8】
前記
チャンバは、蛇行経路を含む、請求項
5に記載の
装置。
【請求項9】
前記抵抗プラグは、
前記フィルムを貫通するように構成される貫通部材をさらに含む、請求項
5に記載の
装置。
【請求項10】
前記抵抗プラグは、前記流体サンプルの第1の後続の部分と接触すると溶解する溶解性材料を有するメッシュを含む、請求項
5に記載の
装置。
【請求項11】
流体サンプルを最適化するための
装置であって
、
入口と、
出口と、
前記入口と前記出口との間に接続されるサンプル経路と、
前記入口と前記出口との間に接続される
チャンバと
、
を備え、
前記
チャンバは、前記出口に近接して空気透過性流体抵抗器を有し、
前記
チャンバは、前記入口と前記出口との間に圧力差が印加されたとき、前記流体サンプルの
第1の部分を受け取って、前記空気透過性流体抵抗器及び前記出口を通ってその中の空気を移動させるように配置され、それによって、前記
チャンバ内に、前記流体サンプルの前記第1の部分が受け取られ
ると、前記流体サンプルの後続の部分は、前記入口と前記出口との間に後続の圧力差が印加されたときに、前記サンプル経路によって前記入口から前記出口へと搬送され
ることができ、
前記サンプル経路は、前記チャンバ内に前記流体サンプルの前記第1の部分が受け取られている間に、前記流体サンプルの前記第1の部分の少なくとも一部が前記サンプル経路に入ることを阻止するように構成される抵抗プラグをさらに含み、
前記抵抗プラグは、第1の後続の圧力差によって貫通可能なフィルムを含む、
装置。
【請求項12】
前記入口、前記出口、前記サンプル経路、及び前記
チャンバのうちの1つ以上を収容及び/又は画定するハウジングをさらに備える、請求項
11に記載の
装置。
【請求項13】
前記空気透過性流体抵抗器は、前記流体サンプルの前記第1の部分と接触するとシールされる材料を含む、請求項
11に記載の
装置。
【請求項14】
前記
チャンバは、蛇行経路を含む、請求項
11に記載の
装置。
【請求項15】
前記抵抗プラグは、
前記フィルムを貫通するように構成される貫通部材をさらに含む、請求項
11に記載の
装置。
【請求項16】
流体源から流体収集装置によって収集された流体サンプルを最適化するための装置であって、
前記流体源と接続するように構成される入口と、
前記流体収集装置に接続するように構成される出口と、
前記入口と前記出口との間に接続されるサンプル経路であって、前記流体サンプルの第1の部分の少なくとも一部が前記サンプル経路に入ることを阻止するように構成される抵抗プラグをさらに有するサンプル経路と、
前記入口と前記出口との間に接続されるチャンバと、
を備え、
前記チャンバは、前記出口に近接して空気透過性流体抵抗器を有し、
前記チャンバは、前記入口と前記出口との間に圧力差が印加されたとき、前記流体源から前記流体サンプルの第1の部分を受け取って、前記空気透過性流体抵抗器及び前記出口を通ってその中の空気を移動させるように配置され、それによって、前記チャンバ内に、前記流体サンプルの前記第1の部分が受け取られると、前記流体サンプルの後続の部分は、前記サンプル経路によって前記入口から前記出口へと搬送されることができ、
前記抵抗プラグは、前記流体サンプルの第1の後続の部分と接触すると溶解する溶解性材料を有するメッシュを含む、装置。
【請求項17】
流体源から流体収集装置によって収集される流体サンプルを最適化するための装置であって、
前記流体源と接続するように構成される入口と、
前記流体収集装置に接続するように構成される出口と、
前記入口と前記出口との間に接続されるサンプル経路であって、前記流体サンプルの第1の部分の少なくとも一部が前記サンプル経路に入ることを阻止するように構成される抵抗プラグをさらに有するサンプル経路と、
前記入口と前記出口との間に接続されるチャンバと、
を備え、
前記チャンバは、前記出口に近接して空気透過性流体抵抗器をさらに有し、
前記チャンバは、前記入口と前記出口との間に圧力差が印加されたとき、前記流体源から前記流体サンプルの前記第1の部分を受け取って、前記空気透過性流体抵抗器及び前記出口を通ってその中の空気を移動させるように配置され、それによって、前記チャンバ内に、前記流体サンプルの前記第1の部分が受け取られると、前記流体サンプルの後続の部分は、前記抵抗プラグを通して押し込まれて、前記サンプル経路によって前記入口から前記出口へと搬送されることができ、
前記抵抗プラグは、前記流体サンプルの第1の後続の部分と接触すると溶解する溶解性材料を有するメッシュを含む、装置。
【請求項18】
流体サンプルを最適化するための装置であって、
入口と、
出口と、
前記入口と前記出口との間に接続されるサンプル経路であって、前記流体サンプルの第1の部分の少なくとも一部が前記サンプル経路に入ることを阻止するように構成される抵抗プラグをさらに有するサンプル経路と、
前記入口と前記出口との間に接続されるチャンバと、
を備え、
前記チャンバは、前記出口に近接して空気透過性流体抵抗器を有し、
前記チャンバは、前記入口と前記出口との間に圧力差が印加されたとき、前記流体サンプルの前記第1の部分を受け取って、前記空気透過性流体抵抗器及び前記出口を通ってその中の空気を移動させるように配置され、それによって、前記チャンバ内に、前記流体サンプルの前記第1の部分が受け取られると、前記流体サンプルの後続の部分は、前記サンプル経路によって前記入口から前記出口へと搬送されることができ、
前記抵抗プラグは、前記流体サンプルの第1の後続の部分と接触すると溶解する溶解性材料を有するメッシュを含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、流体サンプルを最適化するための流体サンプル最適化装置及びシステムに関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年4月1日に出願された米国仮出願第62/827,783号の利益を主張する。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
菌血症とは、血液中に微生物が存在することである。一方、敗血症は、発熱、頻脈、頻呼吸及び低血圧等の臨床症状及び徴候がある場合の菌血症である。菌血症と敗血症は高い死亡率と入院の発生率と期間及び関連費用の増加と関連している。多くの菌血症、敗血症、真菌血症及び他の病原体は、カテーテル及び静脈穿刺がこれらの病原体の潜在的キャリアとして汚染源となることで、病院又は他の医療施設内で実際に発生している。
【0003】
血液培養は、患者の血液中の菌血症及び敗血症に関連する微生物病原体を検出するために用いられる標準的な検査である。血液培養という用語は、血液が1つ以上の血液培養ボトル又は容器に接種される場合の、末梢部位又は中心若しくは動脈経路のいずれかからの単一の静脈穿刺を指す。1つのボトルが血液培養と見なされ、2つ以上はセットと見なされる。複数のセットが複数の静脈穿刺から得られてもよく、患者の異なる部位に関連する。
【0004】
これらの方法は、敗血症の管理に不可欠な構成要素である微生物同定及び感受性試験の実行を可能にするが、迅速な結果が得られず、耐性病原体に対する感受性が低下するため、改良されたシステム及び補助的な分子又はプロテオミクス試験が開発されている。
【0005】
血液培養を行うための血液サンプルの収集は、現代の患者ケアの重要な構成要素であり、正確な診断を提供することによって患者の転帰にプラスの影響を与えるか、又は感染症の偽陽性結果を提供し、不必要な抗菌薬療法を延長し、入院期間を延長し、かつ費用を増加させることによって転帰にマイナスの影響を与える可能性がある。
【0006】
血液培養の収集の結果の1つは汚染である。血液培養汚染は、偽陽性培養結果及び/又は医療関連費用の大幅な増加につながる可能性がある。血液培養による汚染の原因には、不適切な皮膚消毒、不適切な採血チューブ消毒、採血時の最初の血液量の汚染等があり、これらによって結果が歪められ得る。
【0007】
血液培養収集キットは、一般に、BD、Smith、B.Braunのような会社によって提供される「バタフライ」セット、注入セット、又は他のタイプの静脈穿刺装置、及び好気性と嫌気性の血液培養ボトルからなる。また、試験条件に応じて様々なボトルも利用可能である。これらのボトルは、好気性生物と嫌気性生物の両方の復帰を最適化するように特別に設計されている。従来のキットでは、使用されるボトルは、一般に“Vacutainer”として知られており、これは、血液のような所定量の液体の吸引を容易にするためにチューブ内に真空を生成するように排気される閉鎖部を有する無菌ガラス又はプラスチックチューブから形成された血液収集チューブである。
【0008】
偽陽性の血液培養は、典型的には不十分なサンプリング技術の結果である。これは、必要でないときに抗生物質の使用を引き起こし、病院の費用と患者の不安を増大させる。血液培養が針刺しから皮膚に吸い込まれ、Vacutainerを取り付けて血液サンプルを採取する。汚染は、穿刺部位及びその周囲の皮膚領域の不適切又は不完全な消毒によって生じることがある。それはまた、挿入中の針による皮膚のコアリングから生じることもあり、コアリングされた皮膚細胞及び任意の関連する汚染物質がサンプルに引き込まれる。
【0009】
皮下注射針を通る血流は層流であるため、皮下注射針に圧力降下が加えられると、流速勾配がフローチューブを横断して生じ得る。血液を強く吸引し、又は非常に細い皮下注射針を使用すると、赤血球からのカリウムの溶解又は放出が起こることで、血液サンプルに異常が生じる可能性がある。
【0010】
血液培養の汚染率を減少させるために様々な戦略が実施されている。例えば、無菌収集技術に関するスタッフの訓練、汚染率に関するフィードバック、血液培養収集キットの実装等である。皮膚消毒は汚染の量を減らし得るが、皮膚の微生物の20%以上は真皮の奥深くに位置しており、消毒の影響を受けない。ボトル接種前に針を交換することは、汚染率を低下させないが針棒が損傷を被るリスクを増大させるため推奨されない。
【0011】
血液培養汚染を低減するためのいくつかの従来のシステム及び技術は、中心静脈カテーテル、静脈穿刺、及び他の血管アクセスシステムから収集された血液の最初のアリコートを廃棄することを含む。しかしながら、これらのシステムは、ユーザが血管内装置を機械的に操作することを必要とし、又は困難でありかつ一貫して従う機会を減少させる複雑な一連の工程を必要とする。
【発明の概要】
【0012】
この文書は、血液サンプリング又は血液培養収集システムで使用するための非通気性体液サンプル最適化装置及びシステムを記載する。本明細書に記載の実装によれば、装置は、1つの動作モードから別の動作モードへ、又は1つの状態から別の状態へ移動、シフト又は遷移する移動部品、弁、状態遷移スイッチ又はダイバータ、又は他の機構を有さない。
【0013】
いくつかの実装では、流体サンプル最適化装置は、入口ポート、出口ポート、及び入口ポートに結合された近位端及び出口ポートに結合された遠位端を有する汚染物質封じ込めリザーバを含む。流体サンプル最適化装置は、汚染物質封じ込めリザーバ内に配置されかつ固定された空気透過性流体抵抗器をさらに含み、空気透過性流体抵抗器は、汚染物質封じ込めリザーバの近位端に向かう前面と、汚染物質封じ込めリザーバの遠位端に向かう背面とを有する。流体サンプル最適化装置は、汚染物質封じ込めリザーバの近位端に近い入口ポートに接続された近位端と、出口ポートに結合された遠位端とを有するサンプル経路をさらに含む。
【0014】
真空圧力又はシリンジのプランジャーの引き抜きのような、出口ポートに加えられた引き抜き又は引っ張り力は、静脈血液のような第1の量の流体を入口ポートに引き込み、最初に汚染物質封じ込めリザーバに引き込み、そこで空気は空気透過性流体抵抗器を通して引き抜かれる。最終的に、流体は、汚染物質封じ込めリザーバを満たし、最終的に空気透過性流体抵抗器にぶつかり、そこで、少なくとも部分的に、少なくとも既知の期間捕捉される。流体が空気透過性流体抵抗器を通過して出ることができる前に、力(真空等)は、入口ポートと出口ポートとの間に流体的に接続された平行な又は共存するサンプル経路に第2の量の流体を引き込み、第2の量の流体に汚染物質封じ込めリザーバ及びそこに少なくとも一時的に抵抗的に維持された流体をバイパスさせる。第2の量の流体に対する後続の量の流体も、第1の量の流体及び汚染物質封じ込めリザーバをバイパスし、サンプル経路を通って入口ポートに引き込まれ、出口ポートから引き抜かれ得る。
【0015】
いくつかの態様において、流体サンプル最適化装置は、流体源と接続するように構成された入口と、流体収集装置と接続するように構成された出口と、入口と出口との間に接続されたサンプル経路とを含む。流体サンプル最適化装置は、入口と出口との間に接続された汚染物質封じ込めリザーバをさらに含む。流体サンプル最適化装置の入口、出口、汚染物質封じ込めリザーバ及びサンプル経路、及び場合によっては他の構成要素の1つ以上をハウジング内に収容し、及び/又はハウジングによって画定し得る。
【0016】
汚染物質封じ込めリザーバは、好ましくは、出口に近接して、サンプル経路に接続された空気透過性流体抵抗器をさらに含む。汚染物質封じ込めリザーバは、入口と出口との間に圧力差が印加されると、流体源から流体サンプルの第1の部分を受け取り、空気透過性流体抵抗器及び出口を介してその中の空気を移動させるように構成される。空気透過性流体抵抗器は、血液又は他の体液のような非空気流体と接触したときに自己シールし得る。
【0017】
流体サンプルの第1の部分を受け取り、汚染物質を汚染物質封じ込めリザーバ内に封じ込めると、流体サンプルの後続の部分は、後続の圧力差が入口と出口との間に印加されると、サンプル経路によって受け取られ、入口から出口まで搬送され得る。いくつかの実装では、流体サンプル最適化装置は、流体の第1の部分が汚染物質封じ込めリザーバ内に受け取られている間及び受け取られるまで、最初に実質的にサンプル経路を入口から塞ぐ抵抗プラグを含む。
【0018】
他の態様は、流体源から流体収集装置によって収集された流体サンプルを最適化するための流体サンプル最適化装置であり、流体サンプルの第1の部分が汚染物質を潜在的に有し、流体源と接続するように構成された入口と、流体収集装置と接続するように構成された出口とを含む。流体サンプル最適化装置は、入口と出口との間に接続されたサンプル経路をさらに含む。サンプル経路は、流体サンプルの第1の部分の少なくとも一部及び汚染物質がサンプル経路に入ることを阻止するように構成された抵抗プラグを有する。
【0019】
流体サンプル最適化装置は、入口と出口との間に接続された汚染物質封じ込めリザーバをさらに含む。汚染物質封じ込めリザーバは、出口に近接して空気透過性流体抵抗器を有する。汚染物質封じ込めリザーバは、入口と出口との間に圧力差が印加されると、流体源から流体サンプルの第1の部分を受け取り、空気透過性流体抵抗器及び出口を介してその中の空気を移動させるように構成され、それによって、汚染物質封じ込めリザーバ内に、流体サンプルの第1の部分が受け取られ、かつ汚染物質が封じ込められると、流体サンプルの後続の部分は、後続の圧力差が入口と出口との間に印加されたときに、サンプル経路の抵抗性プラグを通って押し込まれ、サンプル経路によって入口から出口へと搬送され得る。
【0020】
1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0021】
次に、以下の図面を参照して、これら及び他の態様を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1A及び1Bは、本明細書に記載される実装による、非通気性流体汚染物質サンプル最適化装置を示す。
【0023】
【
図2】本明細書に記載された実装による、非通気性流体汚染物質サンプル最適化装置を示す。
【0024】
【
図3】本明細書に記載される実装による、流体サンプル最適化装置を使用する流体サンプリングシステムを示す。
【0025】
【
図4】
図4A~4Dは、第1の量の体液を患者から抜き取り、それをバイパスして第2及び/又は後続の量の体液を収集するためのプロセスを示す。
【0026】
【
図5】ハウジングなしの流体サンプル最適化装置を示す。
【0027】
【
図6】
図6A~6Iは、非通気性流体サンプル最適化装置の実装、並びに抵抗器の様々な実装を示す。
【0028】
【
図7】
図7A及び7Bは、溶解性材料を有する抵抗器のさらに他の実装を示す。
【0029】
【
図8】
図8A及び8Bは、溶解性材料及び高粘性の非溶解性材料の両方を有する抵抗器のさらに他の実装を示す。
【0030】
【
図9】
図9A~9Cは、貫通可能な部材を有する抵抗器のさらに他の実装を示す。
【0031】
【
図10】
図10A及び10Bは、細長い空気透過性流体抵抗器を使用してハウジング内に形成された非通気性流体サンプル最適化装置の特定の構成を示す。
【0032】
【
図11】
図11A及び11Bは、ハウジング内に形成された非通気性流体サンプル最適化装置の別の特定の構成を示す。
【0033】
【
図12】
図12A~12Cは、本明細書に記載される実装で使用するための空気透過性流体抵抗器の様々な構成を示す。
【0034】
【
図13】
図13A~13Cは、本明細書に記載される実装で使用するための抵抗プラグの様々な構成を示す。
【0035】
【
図14】
図14A~14Cは、特定の圧力条件で開くように拡張されるアイリス又は開口部を有する抵抗プラグを示す。
【0036】
様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
この文書は、血液培養又は血液検査等のための流体サンプリング又は流体収集システムで使用され、サンプリング又は収集された流体の第1の部分にある可能性がある汚染物質を封じ込めるための流体サンプル最適化装置を記載する。流体サンプル最適化装置は、連続的な流体の流れのために、すなわち、患者から第1の量の体液を受け取り、体液の少なくとも一部を汚染物質封じ込めリザーバ内に維持し、サンプル経路を介して患者から第2の量の体液を受け取り、汚染物質封じ込めリザーバ内に維持される体液を自動的にバイパスするように構成される。いくつかの実装において、体液は血液であり、一例として、第1の量の血液は、静脈穿刺又は他の血管アクセスプロセスによって、第1の量の血液に獲得されて混合され得る汚染物質を含み得る。
【0038】
図1Aに示すように、流体サンプル最適化装置10は、入口12及び出口14を含む。入口12は、チューブ又はそのインターフェース等の外部装置に接続するための入口ポート、コネクタ又はインターフェースを含み得る。入口12は、静脈穿刺針等を介して、患者又は患者の流体源に接続されてもよく、ここで、流体は圧力P1で供給され、これは患者自身の血圧であってもよい。出口14は、チューブ又はそのインターフェース等の外部装置に接続するための出口ポート、コネクタ又はインターフェースを含み得る。例えば、出口14は、Vacutainer(R)又はシリンジのような真空チューブ等の流体収集装置に接続してもよく、この場合、流体は、圧力P1より低い圧力P2によって流体源から流体収集装置によって吸引される。P1とP2との間の圧力差によって、流体サンプル最適化装置10が大気及び大気圧に対して閉じられることが可能になり、すなわち、流体サンプル最適化装置10は、少なくとも使用時に、外部大気へのいかなる通気口又は経路も含む必要がない。
【0039】
流体サンプル最適化装置10は、入口12及び出口14に接続され、汚染物質封じ込めリザーバ16の遠位端と出口14との間に空気透過性流体抵抗器17を有する汚染物質封じ込めリザーバ16をさらに含む。本明細書にさらに記載されるように、汚染物質封じ込めリザーバ16は、所望の量の流体を保持するようなサイズにしてもよく、汚染物質封じ込めリザーバ16を少なくとも部分的に満たす吸収性材料を含み得る。また、本明細書にさらに記載されるように、汚染物質封じ込めリザーバ16は、蛇行経路、異なる断面及び容積の一連のチャンバとして構成されてもよく、及び/又は、逆流、すなわち入口12に向かう流れを最小化するために、内部表面から延びるライフリング又はバッフルを含み得る。
【0040】
空気透過性血液抵抗器17は、入口12と出口14との間に圧力差が印加されたとき、すなわち出口14における負圧が入口12における圧力を超えたときに、空気を通過させ、入口12及び隔離チャンバ16内の流体の第1の部分又は量によって空気を移動させる。流体が空気透過性流体抵抗器17に接触すると、汚染物質封じ込めリザーバ16への流体の流れが少なくとも部分的に停止され、流体の少なくとも一部が汚染物質封じ込めリザーバ16内に維持される。
【0041】
流体サンプル最適化装置10は、入口12及び出口14に接続されたサンプル経路18をさらに含む。サンプル経路18は、入口12に近接して設けられた抵抗器19を含む。圧力P2が流体の第1の部分又は量を汚染物質封じ込めリザーバ16内に引き込むのと同時に、抵抗器19は、流体の第1の部分又は量が汚染物質封じ込めリザーバ16内に入るまで、サンプル経路18内への流体の流れに抵抗し、阻止し、制限し又は妨げるように構成される。本明細書にさらに記載されるように、抵抗器19は、流体の第1の部分又は量が汚染物質封じ込めリザーバ16に入った後で、依然としてP2とP1との間の圧力差の力の下で、流体の第2の部分及び/又は後続の部分又は量が、入口12からサンプル経路18を通って出口14に流れることを可能にするように構成される。また、本明細書にさらに記載されるように、抵抗器19は、入口12から離れてサンプル経路18内に陥入されてもよく、これにより、真空圧を蓄積することが可能となり、また、パイロット孔又は小さな毛管、開口部、アイリス等を含んでもよく、これにより、溶解性材料が、出口14に向かって引き込まれ続ける流体によって溶解を開始することが可能となる。
【0042】
本明細書にさらに記載するように、抵抗器19は、溶解性材料の少なくとも一部を含む組成物から形成し得る。特定の実装では、溶解性材料は、血液との接触によって溶解可能である。溶解性材料のための適切な材料は、限定されないが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等の任意の数の合成可溶性ポリマーを含んでもよい。ポリビニルピロリドンは、一般には、ポリビドン又はポビドンとも呼ばれ、モノマーのN-ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、及び/又は他の合成可溶性ポリマーから作られる水溶性ポリマーである。また、溶解性材料のための材料は、限定されないが、ヒドロキシプロペルメチルセルロース(HPMC)、セルロース、コーンスターチ又は他のデンプン、塩、及び/又はライスペーパー等の任意の数の天然可溶性ポリマーを含み得る。
【0043】
溶解性材料に使用される材料の鍵は、サンプル又は収集された流体試料の実験室試験に対して不活性又は非反応性でなければならないということであり、これは、しばしば、特定の細菌若しくはウイルス、又はその抗体、又は流体サンプル中に存在する他の病原体について試験するための培養物を提供される。別の言い方をすれば、溶解性材料は、流体サンプルの試験又は決定に重大な影響を及ぼす可能性のある物質又は材料を含むべきではない。さらに、このような溶解性材料は、背圧による注入又は患者の静脈系への曝露の非常に稀な場合に、患者に無害でなければならない。
【0044】
図1Aと一致して、
図1Bは、入口22及び出口24を含む流体サンプル最適化装置20の実装を示す。上述したように、入口22は、静脈穿刺針等を介して、患者又は患者の流体源に接続してもよく、ここで、流体は圧力P1で供給され、これは患者自身の血圧とし得る。出口24は、Vacutainer(R)又はシリンジのような真空チューブ等の流体収集装置に接続してもよく、流体収集装置によって流体が圧力P1より低い圧力P2によって流体源から吸引される。
【0045】
流体サンプル最適化装置20は、入口22および出口24に接続され、汚染物質封じ込めリザーバ26の遠位端と出口24との間に空気透過性流体抵抗器27を有する汚染物質封じ込めリザーバ26をさらに含む。流体サンプル最適化装置20は、入口22及び出口24に接続されたサンプル経路28をさらに含む。サンプル経路28は、入口22に近接して設けられた抵抗器29を含む。
【0046】
いくつかの実装では、
図1Bに示すように、流体サンプル最適化装置20は加速部30を含んでもよく、それを通って移動する流体の流体圧力を減少させ、それによって、例えば、入口22から汚染物質封じ込めリザーバ26への流体の速度を増加させ得る。これは、流体の後続の部分又は量が抵抗器29を貫通して通過し、収集のために出口24を通って出力される前に、入口22から汚染物質封じ込めリザーバ26に流体の第1の部分又は量を優先的に導くのにさらに役立つ。加速部は、例えば、ベンチュリ経路において、より小さい断面積、又は狭窄領域、チョークポイント等を含み得る。加速部30の後には、汚染物質封じ込めリザーバ26のより大きな断面積が続いてもよく、これもまた、所定の容積の流体を保持するように構成し得る。いくつかの実装では、加速部30は、入口22からサンプル経路28への接続点に近接して配置してもよく、それによって汚染物質封じ込めリザーバ26が充填されると、血液の後続の部分又は量は、抵抗器29を克服して、後続の部分又は量がサンプル経路28を通って出口24へ流れることを可能にするために、加速部30内の圧力を上昇させる。
【0047】
図2は、入口ポート102及び出口ポート104を含む流体サンプル最適化装置100を示す。入口ポート102は、患者の針、チューブ、アクセスポート、カテーテルポート等の体液サンプルアクセス装置と流体的に結合し得る。出口ポート104は、Vacutainer(R)セット等の流体収集装置と流体的に結合してもよく、これは、シールを破壊して、流体サンプル最適化装置100を介して入口ポート102から出口ポート104に真空に基づく動力を提供するために、真空シールされた収集チューブをその上に配置し得るシールされたサンプリング針を含み得る。また、出口ポート104は、シリンジ等の他の任意の収集装置に接続されてもよく、これは、プランジャーを使用して、流体サンプル最適化装置100を通して患者から流体を「引っ張る」ための圧力差を生成してもよく又はしなくてもよい。
【0048】
さらに、流体サンプル最適化装置100は、入口ポート102に結合された近位端107と、出口ポート104に、又は出口ポートに向かって、少なくとも空気等により流体的に結合された遠位端109とを有する汚染物質封じ込めリザーバ106を含む。汚染物質封じ込めリザーバ106は、任意の形状及び/又は断面寸法を有し得る。さらに、入口ポート102から汚染物質封じ込めリザーバ106への移行は、直線又は曲線とし得る。いくつかの実装では、汚染物質封じ込めリザーバ106を横断又はバイパスする流体が血液である場合に、鋭利な縁部又は角部を有しない滑らかな移行が溶血を回避し得るので、汚染物質封じ込めリザーバ106は、円筒形であるか又はそれ以外の円形の断面を有する。
【0049】
流体サンプル最適化装置100は、汚染物質封じ込めリザーバ106内に配置されかつ固定された、本明細書では「プラグ」とも呼ばれる空気透過性流体抵抗器108をさらに含む。空気透過性流体抵抗器108は、流体に供給される時間及び圧力に応じて、その中の流体の通過に対する完全な又は部分的な抵抗器とし得る。いくつかの好ましい実装によれば、空気透過性流体抵抗器108は、汚染物質封じ込めリザーバ106の近位端107に面しているか又は向かっている前面と、汚染物質封じ込めリザーバ106の遠位端109に面しているか又は向いている背面とを有する。空気透過性流体抵抗器108は、真空が出口ポート104に印加され、血液等の体液の第1の量によって押されたときに、空気透過性流体抵抗器108を通って、流体サンプル最適化装置100の出口ポート104に向かって及び外に、汚染物質封じ込めリザーバ106から空気を通過させる。
【0050】
本明細書に記載される実装と同様に、空気透過性流体抵抗器108は、0.05mm未満から5cmまで又はそれ以上の厚さ又は長さを有してもよく、均一又は変化する密度を有し得る。例えば、空気透過性流体抵抗器108は、汚染物質封じ込めリザーバ106の近位端107に面する側では、より密度が低く、より多孔質であり、汚染物質封じ込めリザーバ106の遠位端109に向かってより密度が高く、より多孔質ではなくてもよい。空気透過性流体抵抗器108の直径は、空気透過性流体抵抗器108の外側部分と汚染物質封じ込めリザーバ106の内壁との間を血液が通過するのを防止するように、汚染物質封じ込めリザーバ106の内部寸法と一致する。また、空気透過性流体抵抗器108は、多様な材料から構築された複数の構成要素の形態であってもよい。
【0051】
いくつかの実装では、血液等の流体と接触すると膨張する材料を空気透過性流体抵抗器108に含浸させることができる。
図2には、汚染物質封じ込めリザーバ106の遠位端109に向かって配置されるように示されているが、空気透過性流体抵抗器108は、汚染物質封じ込めリザーバの長さに沿ってどこに配置してもよく、空気透過性流体抵抗器108を形成する材料の吸収性の程度に応じて、近位端107から遠位端109まで延びることができる。空気透過性流体抵抗器108を形成する濾過媒体は、表面改質されてもよく、又は、例えば、タイミング及び/又は流体容積等の特定の性能要件に応じて機能性を高めるために、添加剤が多孔質マトリックスに組み込まれてもよい。
【0052】
いくつかの実装では、空気透過性流体抵抗器108は、空気を通過させるように構成されている材料又は材料の組み合わせで形成されるが、これは第1の量の体液の一部で飽和し得る。空気透過性流体抵抗器108は、少なくとも部分的に、多孔性ポリマー又はプラスチック、及び/又は綿、麻等の天然繊維材料によって形成し得る。いくつかの実装では、空気透過性流体抵抗器108は、二つの部分、すなわち、空気に対して透過性であって、(出口104に向かって)遠位端ではほとんど流体に対して不透過性である第1の部分と、(汚染物質封じ込めリザーバ106に向かって)近位端において血液との接触時にシールする添加剤を含む第2の部分とから形成し得る。この構成は、添加剤がサンプル経路を通って収集ボトル等に流出する流体と混合することを防ぎ得る。空気透過性流体抵抗器108は、流体の第1の部分の少なくとも一部を受容して捕捉してもよく、それによって汚染物質をその中に捕捉し得る。
【0053】
流体サンプル最適化装置100は、汚染物質封じ込めリザーバ106の近位端107の近くの入口ポートに接続された近位端111と、出口ポート104に結合された遠位端113とを有するサンプル経路110をさらに含む。サンプル経路110は、チャネル、チューブ、トラック、通路、部分、空洞、ハウジング、ケーシング等として形成し得る。空気透過性流体抵抗器108は、体液の第2の部分がサンプル経路110を介して汚染物質封じ込めリザーバ106をバイパスするのに十分な時間流体の第1の部分を保持するように構成される。
図2に示すように、サンプル経路110は、汚染物質封じ込めリザーバ106の方向と実質的に平行に流体サンプル最適化装置100を横断し得る。いくつかの実装では、汚染物質封じ込めリザーバ106の断面積は、サンプル経路110の断面積よりも大きくしてもよく、これは、入口102から汚染物質封じ込めリザーバ106内に第1の量の流体を優先的に導くことを支援し得る。
【0054】
入口ポート102、汚染物質封じ込めリザーバ106の近位端、及びサンプル経路110の近位端は共に接合部112を形成する。接合部112は、例えば、サンプル経路の近位端に通じる多数の湾曲した通路を含んでもよく、これは、最初に汚染物質封じ込めリザーバ106への流体の流れを促進し、次いで汚染物質封じ込めリザーバ106をバイパスしてサンプル経路110の中を通過するように構成し得る。重要なことには、種々の従来技術の血液分流又は血液サンプル最適化装置とは異なり、接合部112は受動的流体制御に依存し、流体の流れを分流又は切り換えるための能動スイッチ、弁又は他の機械的可動装置を含まない。
【0055】
流体力学的には、初期経路の流れに対する抵抗(R1)は、サンプル経路の流れに対する抵抗(R2)より小さくなければならない。汚染物質封じ込めリザーバが充填されると、血液が空気透過性抵抗器を通って移動することが防止されるので、抵抗が増加する。空気は簡単に流れるが、血液は異なる。R1がある点で増加すると、スケールが頂点に達し、R1はR2より大きくなる。その時点で、血液はサンプル経路に流れる。R2は、長さ、直径、及びある程度のジオメトリに適用される変化に応じて大きくし得る。R1は、本明細書にさらに詳細に記載するように、同じ手段又は変形によって、及びプラグの通気性を管理することによって低減し得る。
【0056】
いくつかの実装では、流体サンプル最適化装置100は、入口ポート102、出口ポート104、汚染物質封じ込めリザーバ106、及びサンプル経路110のうちの1つ以上を形成しかつ提供するハウジング120を含む。例えば、ハウジング120は、下部部材と嵌合する上部部材から形成されてもよく、上部部材及び下部部材の一方又は両方は、入口ポート102、出口ポート104、汚染物質封じ込めリザーバ106、及びサンプル経路110のうちの1つ以上を画定して提供するように、溝、チャネル、経路、領域、又は他の特徴で形成される。ハウジング120は、プラスチック(ポリカーボネートアクリル、PVC、ABS等)、金属等のような丈夫で弾力性のある材料で作られてもよく、使用前に消毒して、微生物を含まない清潔で消毒された状態で使用し得る。入口ポート102及び/又は出口ポート104は、ルアーコネクタ又はねじ付き接続部等のコネクタをさらに含むか又はコネクタを装着し得る。
【0057】
図3は、患者針203を有する血液サンプリング経路に接続された流体サンプル最適化装置201及びサンプル収集装置205を含む流体サンプリングシステム200を示しており、これは、一部の実装では、1つ以上の真空サンプルボトルを受容するシールされたサンプル収集針を有するアダプタを含む。患者針203は、“Needle Assembly with Needle Safety Shield”と題された米国特許出願第16/045,321号に記載されているような安全型の血管アクセス針であってもよく、その内容は全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
流体サンプル最適化装置201は、患者針203に接続された入口ポート202と、サンプル収集装置205に接続された出口ポート204と、空気透過性流体抵抗器208を有する汚染物質封じ込めリザーバ206と、入口ポート202に流体的に結合された近位端及び出口ポート204に流体的に接続された遠位端を有するサンプル経路210とを含む。流体サンプル最適化装置201は、入口ポート202、出口ポート204、汚染物質封じ込めリザーバ206、及びサンプル経路210のうちの1つ以上を収容しかつ画定するハウジング220をさらに含み得る。ハウジング220は、滅菌されやすいか、又は抗菌特性を有する可能性があるが、入口ポート202、出口ポート204、汚染物質封じ込めリザーバ206及びサンプル経路210、並びにその中の任意の構成要素を外部汚染物質から遮蔽することもできる任意の剛性材料で形成し得る。
【0059】
汚染物質封じ込めリザーバ206及びサンプル経路210の各々は、接合部212を介して入口202に接続してもよく、これは、血液のような流体の第1の部分が汚染物質封じ込めリザーバ206内に吸引され、引っ張られ、又はその他のやり方で流れることを可能にして、空気透過性流体抵抗器208を介してその中の空気を移動させ、少なくとも一部が、少なくとも一時的に、汚染物質封じ込めリザーバ206内に維持され、及び血液の第2の部分が汚染物質封じ込めリザーバ206をバイパスして、出口ポート204及びサンプル収集装置205に向かってサンプル経路210に流れることを可能にするようにサイズ決め及び構成される。
【0060】
サンプル収集装置205は、Vacutainer(R)型装置であってもよく、収集アダプタは、真空シールされた収集ボトルによって貫通され得るエラストマーシールによってシールされた収集針を有し、収集ニードルを露出させかつ収集ボトルの隔膜への収集針の挿入を可能にする。収集ボトル内の真空は、流体サンプル最適化装置201を介して患者から体液を引き出すことを支援する力であり得る。
【0061】
図4A~4Dは、流体サンプル最適化装置100/201の動作を示し、特に血液サンプリングの文脈で説明されるが、他の種類の体液を収集又はサンプリングすることもできる。
図3を参照すると、
図4Aに示されるように、流体収集装置が流体サンプル最適化装置の出口で低圧を生成する場合、例えば、収集ボトル又はチューブが収集アダプタに挿入される場合に、患者の静脈穿刺(より詳細には、患者の血管血圧)等によって、出口と入口との間の圧力差は、空気を流体サンプル最適化装置から強制的に押し出して収集ボトルに押し込み、血液がその後方で満たされる。
【0062】
図示された実装では、空気は、2つの平行な経路を通って、すなわち、汚染物質封じ込めリザーバ内のプラグを通って及びサンプル経路を通って流れることができる。各経路を通る流量は、各経路内の抵抗に比例し得る。したがって、流体サンプル最適化装置の最適な構成は、汚染物質封じ込めリザーバの容積、入口を汚染物質封じ込めリザーバ及びサンプル経路と接続する接合部の配置、入口、汚染物質封じ込めリザーバ及びサンプル経路の相対的断面寸法、プラグの抵抗率、プラグの位置及びサイズ、入口、汚染物質封じ込めリザーバ及びサンプル経路等の間の様々な遷移又はインターフェースの曲率等を考慮することを含む。
【0063】
図4Bは、汚染物質封じ込めリザーバを満たす血液を示す。空気がプラグを十分迅速に通過しない場合、すなわち、プラグを通る抵抗がサンプル経路を通る抵抗よりも低くない場合、汚染物質封じ込めリザーバ内に圧力が蓄積し、汚染物質封じ込めリザーバが流体で充填される前に、流体をサンプル経路に押し出す。
図4Cは、充填された汚染物質封じ込めリザーバを示す。一旦全ての空気が汚染物質封じ込めリザーバから(プラグ及びサンプル経路を通って)押し出されると、流体はプラグに当たり、プラグを通るその進行は遅くなり、場合によっては停止する。これにより、流体がサンプル経路を流れるように押し出すことができ、血液の最初の容積が汚染物質封じ込めリザーバに捕捉される。この時点では、プラグを流れる流体がない可能性がある。
図6は、空気が装置、特に汚染物質封じ込めリザーバから流された後の流体の流れを示す。後続の血液量は、サンプル経路の遠位端に向かって、及び出口ポートに向かって外に、最も抵抗の少ない経路(より低い圧力勾配)に従って、サンプル経路に流入して通過する。
【0064】
流体の流れは、完全に停止させられるか、又はゆっくりとプラグに流入することを可能にし得る。ただし、使用中に反対側に達してサンプル経路と混合することは起こらない。
【0065】
プラグを通る空気の流れの抵抗をサンプル経路を通るよりも低くすることは、以下の(1)及び(2)によって達成し得る。(1)断面積-プラグの面積がサンプル経路の面積よりもはるかに大きい場合、抵抗はより低くなる。(2)サンプル経路を長くすると抵抗が大きくなるが、空気の流れの方が流体の流れよりも効果が低くなる。
【0066】
第1の量の流体は、最初にジオメトリに基づいて汚染物質封じ込めリザーバを満たすことができる。
図4A~4Dに示すように、流体の慣性は、角部をサンプル経路に向けるのではなく、流体が汚染物質封じ込めリザーバ内に直線的に移動し続けるように流体を促す。いくつかの実装では、汚染物質封じ込めリザーバ及びサンプル経路、又はそれらの任意の入口及び出口を、流体の流れに対する抵抗を増減させるために、異なるやり方でコーティングし得る。例えば、汚染物質封じ込めリザーバの壁を親水性コーティングでコーティングし、サンプル経路の壁(又は少なくとも入口)を疎水性コーティングでコーティングすることは、汚染物質封じ込めリザーバを最初に充填するのに役立つ。親水性コーティングは、ポリウレタン(PU)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、及び/又はポリエチレンオキシド(PEO)の1つ以上を含み得る。疎水性コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み得る。サンプリング経路内の抵抗は、血液又は流体との接触時に溶解する溶解性生体適合性材料を経路内に挿入することによっても増大させることができ、汚染物質封じ込めリザーバが流体で満たされると、サンプル経路を通る流れに対する抵抗が低減する。
【0067】
別の実装では、無害な不活性又は非反応性の生体適合性材料、すなわち、血液検査結果に影響を及ぼさない材料を、サンプリング経路を遮断するために、この装置に、又は少なくとも汚染物質封じ込めリザーバへの接合部に配置し得る。この材料は、血液又は流体が接触したときに溶解するように構成し得る。このような材料は、汚染物質封じ込めリザーバが略瞬時に充填されるので、数分の1秒の間、血流を阻害するようなサイズ及び構成とし得る。
【0068】
図5は、チューブ又は他のタイプの流体搬送機構から形成され、装置の両端にあるYサイトコネクタ306A及び306Bを介して平行又は同様の方向の経路を形成する汚染物質封じ込めリザーバ302及びサンプル経路304を有する、流体サンプル最適化装置300のハウジングレスの実装を示す。Yサイトコネクタ306A及び306Bは、任意の方向又は整列で設けることができ、既知の断面直径及び長さを有するチューブとして実装される場合、汚染物質封じ込めリザーバ302を所定の容積で提供するのに十分な間隔で配置され得る。汚染物質封じ込めリザーバ302は、流体の流れに対して抵抗性であるが空気の通過を可能にする空気透過性流体抵抗器308を含み、それにより、流体の第1の量又はアリコートが汚染物質封じ込めリザーバ302を満たした後で、後続の量の流体が汚染物質封じ込めリザーバ302をバイパスし、流体収集装置による最終的な収集のためにサンプル経路304を流れる。
【0069】
流体サンプル最適化装置300を使用するシステムは、Yサイトコネクタ306Aに接続された患者針301と、Yサイトコネクタ306Bに接続されたシールされたサンプリング針を有するサンプル収集装置303とを含み得る。流体サンプル最適化装置300のチューブは、可撓性又は剛性であり得る。チューブの少なくとも一部は、臨床医がその中の血液の流れを見ることができるように、半透明の材料で作ることができる。流体サンプル最適化装置300は、少なくとも部分的に空気透過性血液抵抗材料から形成され得るフィルタ308を含み得る。フィルタ308は、汚染物質封じ込めリザーバ内の空気を、真空力、又はサンプル収集装置303と汚染物質封じ込めリザーバ302との間に負の圧力差を生じさせる他の機構に基づいて、フィルタ308を通ってそこから移動させることを可能にする。
【0070】
いくつかの実装において、流体サンプル最適化装置300は、フラッシュチャンバとして機能してもよく、患者の静脈穿刺時に、流体サンプル最適化装置300の出口接合部における少なくとも部分的に真空力に基づいて、血液が汚染物質封じ込めリザーバ302の少なくとも一部に「フラッシュ」又は突然存在し得る。真空圧は、汚染された血液を抵抗器を越えて(汚染された血液を捕捉せずに)汚染物質チャンバに優先的に引き込む。
【0071】
図6Aは、入口402及び出口404を含む流体サンプル最適化装置400を示す。入口402は、チューブ又はそのインターフェース等の外部装置に接続するための入口ポート、コネクタ又はインターフェースを含み得る。入口402は、静脈穿刺針等を介して、患者又は患者の流体源に接続されてもよく、ここで、流体は圧力P1で供給され、これは患者自身の血圧であってもよい。出口404は、チューブ又はそのインターフェース等の外部装置に接続するための出口ポート、コネクタ又はインターフェースを含み得る。上述のように、例えば、出口404は、Vacutainer(R)又はシリンジのような真空チューブ等の流体収集装置に接続してもよく、流体収集装置によって流体が圧力P1より低い圧力P2によって流体源から吸引される。圧力差によって、流体サンプル最適化装置400を大気及び大気圧に対して閉じることができ、すなわち、流体サンプル最適化装置400は、少なくとも使用時に、外部大気へのいかなる通気口又は経路も含む必要がない。
【0072】
流体サンプル最適化装置400は、入口402および出口404に接続され、汚染物質封じ込めリザーバ406の遠位端と出口404との間に空気透過性流体抵抗器407を有する汚染物質封じ込めリザーバ406をさらに含む。本明細書にさらに記載されるように、汚染物質封じ込めリザーバ406は、所望の量の流体を保持するようなサイズにしてもよく、汚染物質封じ込めリザーバ406を少なくとも部分的に満たす吸収性材料を含み得る。また、本明細書にさらに記載されるように、汚染物質封じ込めリザーバ406は、蛇行経路、異なる断面及び容積の一連のチャンバとして構成されてもよく、及び/又は、逆流、すなわち入口402に向かう流れを最小化するために、内部表面から延びるライフリング又はバッフルを含み得る。例えば、汚染物質封じ込めリザーバ406は、1つ以上のチャネル406A及び1つ以上のチャンバ406Bを含んでもよく、それらの全ては、その中に任意の汚染物質を封じ込めるだけでなく、所定の容積の流体を受容、搬送又は封じ込めるように相互接続し得る。
【0073】
空気透過性血液抵抗器407は、汚染物質封じ込めリザーバ406への流体の流れが少なくとも部分的に停止される空気透過性流体抵抗器407に流体が接触するまで、入口402と出口404との間に印加される圧力差によって流体源から引き出される流体の第1の部分又は量を入口402に流入させて、汚染物質封じ込めリザーバ406に流入させることが可能であり、その中で空気を移動させる。
【0074】
流体サンプル最適化装置400は、入口402及び出口404に接続されたサンプル経路408をさらに含む。サンプル経路408は、入口402に近接して設けられた抵抗プラグ409を含む。入口402と出口404との間の圧力差は、流体の第1の部分又は量を汚染物質封じ込めリザーバ406に引き込むことができるのと同時に、抵抗プラグ409は、流体の第1の部分又は量が汚染物質封じ込めリザーバ406に入るまで、サンプル経路408への流体の流れに抵抗し、阻止し、制限し又は妨げるように構成される。
【0075】
流体サンプル最適化装置400は、入口402、出口404、汚染物質封じ込めリザーバ406、サンプル経路408、又は場合によっては空気透過性流体抵抗器407及び抵抗プラグ409のような他の構成要素のうちの1つ以上を画定し得るハウジング401をさらに含み得る。ハウジング401は、1つ以上の部分に形成し得る。例えば、
図6Aの例に示すように、ハウジング401は、下部ハウジング部分424と嵌合する上部ハウジング部分422を含んでもよく、これらは音波溶接、熱接合、接着等によって互いに嵌合及びシールし得る。
【0076】
本明細書に記載されるように、抵抗プラグ409は、流体の第1の部分又は量が汚染物質封じ込めリザーバ406に入った後で、流体の第2の部分及び/又は後続の部分又は量が、依然として入口402と出口404との間の圧力差の力の下で、入口402からサンプル経路408を通って出口404へ流れることを可能にするように構成される。抵抗プラグ409は、真空圧の蓄積を可能にするために入口402から離れたサンプル経路408内に陥入されてもよく、また、溶解性材料が、出口404に向かって引き込まれ続ける流体によって溶解を開始することを可能にするためにパイロット孔又は小さな毛管、開口部、アイリス等を含んでもよい。したがって、サンプル経路408の一部分、入口402、及び/又は汚染物質封じ込めリザーバ406は、抵抗プラグ409に近接し、かつサンプル経路408の主要部分に対向する接合部411を形成してもよく、これにより、汚染物質封じ込めリザーバ406が充填された後に、抵抗プラグ409を介してより良好な流体アクセスのために真空圧が蓄積されることを可能にする。
【0077】
流体が汚染物質封じ込めリザーバ406を満たすと、流体と抵抗プラグ409との間の接合部411に一定量の空気を捕捉することができる。空気を逃がすやり方がなければ、流体は、サンプル経路406を流れることができるように、抵抗プラグ409の少なくとも一部を形成する溶解性材料に到達することができないであろう。したがって、
図6Bから
図6Iに示すように、流体が汚染物質封じ込めリザーバ406を満たし、かつ空気透過性流体抵抗器407を塞ぐときに、収集装置の完全な真空圧力に曝された後にのみ空気が流れることを可能にする抵抗プラグ409を通る又はその周囲の空気経路を設けることができ、それによって、汚染物質封じ込めリザーバ406が完全に充填され、かつ/又は汚染物質がそこに収容されるまで、流体が抵抗プラグ409内の溶解性材料と接触しない。
【0078】
図6Bは、薄膜材料として形成し得る薄膜431としての抵抗プラグ409の変形例を示す。いくつかの実装では、フィルム431は、少なくとも部分的に、溶解可能な又は容易に引き裂かれる材料によって形成し得る。フィルム431は、溶解又は引き裂きプロセスを開始する機構として小さなオリフィス432又はパイロット孔を有する。
図6Cは、静止した定常状態で閉じられているが、抵抗器の一方又は両方の反対側又は表面に圧力が加えられたときに開いて流体が流れることを許容し得るスリット433を有するフィルム431を示す。一部の実装では、
図6Dに示すように、スリット433は、「X」又は線形スリット、湾曲スリット、星形スリット等の他の構成として形成し得る。
図6Eに示すように、フィルム431は、血液のような体液ではなく、空気を通過させることが可能な多孔質膜として形成し得る。
図6Fに示すように、フィルム431は、所定の圧力が加えられたときにフィルム431の周りに空気が「漏れる」ように、サンプル経路408の入口で上部ハウジング部分422と下部ハウジング部分424との間に配置し得る。
【0079】
図6G~6Iは、円筒形プラグ部材435としての抵抗プラグ409を示すが、抵抗プラグ409は、それ以外の形状、例えば、正方形、長方形、又は他の形状に形成することもできる。円筒状プラグ部材435は、
図6Gに示すように小さなパイロット孔を備えてもよく、
図6Hに示すように空気に対して多孔性であってもよい。抵抗プラグ409は、円筒形プラグ部材435として又は他の形状として実装されるかに関わらず、所定の圧力が加えられたときに円筒形プラグ部材435の周りに空気が「漏れる」ように、サンプル経路408の入口で上部ハウジング部分422と下部ハウジング部分424との間に配置し得る。
【0080】
本明細書にさらに記載され、
図7に示されるように、サンプル経路への開口のための抵抗プラグ500は、溶解性材料504が含浸されたメッシュ502の少なくとも一部を含む組成物から形成し得る。ある特定の実装では、抵抗プラグ500は、溶解性材料502を支持するメッシュ材料を含み得る。メッシュ材料は、例えば、50~100μmのナイロン又はプラスチック糸のメッシュのようなプラスチック又はナイロンのメッシュとし得る。溶解性材料504は、硬質のプラグ又はフィルムとして形成できない場合があり、メッシュ502又は他の多孔質材料に含浸させることができる。溶解性材料504は、血液等の流体との接触によって溶解可能である。溶解性材料504は、サンプル又は収集された流体試料の実験室試験に対して不活性又は非反応性であるように作成され、これらは、しばしば、特定の細菌若しくはウイルス、又はそれらの抗体、又は流体サンプル中に存在する他の病原体について試験するための培養物を提供される。
【0081】
図8に示すように、抵抗プラグ600は、上述のようにメッシュ602から形成することもできるが、シリコーングリースのような非溶解性粘性材料604と重ねられるか又は一体化される。粘性材料604は、メッシュ602又は他の多孔質材料上に広げることができる。抵抗プラグ600を横切る圧力差が十分に高くなると、
図8Bに示すように、流体サンプルが流れるための開口部が形成されるように、粘性材料604がメッシュ602の開口を通って引っ張られる。最大でも、微量の粘性材料604のみが出口から出ることになるので、流体サンプルのいかなる試験又は培養に干渉することもない。
【0082】
図9A~9Cに示すように、抵抗プラグ700は、初期状態において、貫通部材704上に伸張されるか、又は貫通部材上に配置され、貫通部材から離間された膜702から形成し得る。貫通部材704は、スパイク、ピン、ブレード、シャード等を含んでもよく、
図9Bに示すような保持機構によって、
図9Aに示すように、サンプリング経路への開口部の略中央に保持し得る。膜702は、ゴム又は他の弾性材料のような材料の弾性シートであってもよい。
図9Cに示すように、汚染物質封じ込めリザーバが流体で満たされると、一定量の圧力が膜702に加えられ、膜をさらに伸長して貫通部材704に接触させる。膜702と穿刺部材704とが接触すると、膜702は、穿刺部材704によって穿刺されるか、又はその他のやり方で破壊されて、流体の後続の量又は部分がサンプル経路に流れるようにより大きな領域を開放する。
【0083】
図10A~11Bは、流体源から流体収集装置によって収集された流体サンプルを最適化するための流体サンプル最適化装置800及び900の様々な図を示し、流体サンプルの第1の部分は汚染物質を有する可能性がある。
図10A及び
図10Bに示すように、流体サンプル最適化装置800は、流体源と接続するように構成された入口802と、流体収集装置と接続するように構成された出口804と、入口802と出口804との間に接続されたサンプル経路808とを含む。流体サンプル最適化装置800は、入口802と出口804との間に接続された汚染物質封じ込めリザーバ806をさらに含む。入口802、出口804、汚染物質封じ込めリザーバ806及びサンプル経路808、及び場合によっては流体サンプル最適化装置800の他の構成要素のうちの1つ以上を、ハウジング内に収容し、及び/又はハウジング820によって画定し得る。
【0084】
汚染物質封じ込めリザーバ806は、好ましくは出口804の近くで、サンプル経路808に接続された空気透過性流体抵抗器812をさらに含む。汚染物質封じ込めリザーバ806は、入口802と出口804との間に圧力差が印加されると、流体源からの流体サンプルの第1の部分を受け入れ、空気透過性流体抵抗器812及び出口804を介して内部の空気を移動させるように配置される。空気透過性流体抵抗器812は、
図12Aに示すように、特定の空気の流れの範囲に対して細長くされかつ構成されてもよく、血液又は他の体液のような非空気流体と接触すると自己シールし得る。
【0085】
流体サンプルの最初の部分を受け取り、汚染物質を汚染物質封じ込めリザーバ806内に封じ込めると、流体サンプルの後続の部分は、後続の圧力差が入口802と出口804との間に印加されるときに、サンプル経路808によって受け取られて入口802から出口804まで搬送され得る。いくつかの実装では、流体サンプル最適化装置800は、流体の最初の部分が汚染物質封じ込めリザーバ806内に受容されている間及びそれまで、最初に実質的にサンプル経路808を入口802から塞ぐ抵抗プラグ810を含む。
【0086】
図11A及び
図11Bに示すように、流体サンプル最適化装置900は、流体源と接続するように構成された入口902と、流体収集装置と接続するように構成された出口904と、入口902と出口904との間に接続されたサンプル経路908とを含む。流体サンプル最適化装置900は、入口902と出口904との間に接続された汚染物質封じ込めリザーバ906をさらに含む。入口902、出口904、汚染物質封じ込めリザーバ906及びサンプル経路908、及び場合によっては流体サンプル最適化装置900の他の構成要素のうちの1つ以上を、ハウジング内に収容し、及び/又はハウジング920によって画定し得る。
【0087】
汚染物質封じ込めリザーバ906は、好ましくは、出口904の近くで、サンプル経路908に接続された空気透過性流体抵抗器912をさらに含む。汚染物質封じ込めリザーバ906は、入口902と出口904との間に圧力差が印加されると、流体源からの流体サンプルの第1の部分を受け入れ、空気透過性流体抵抗器912及び出口904を介して内部の空気を移動させるように配置される。空気透過性流体抵抗器912は、円筒形であって、特定の空気の流れの範囲のために構成してもよく、それぞれ
図12B及び
図12Cに示すように、血液又は他の体液のような非空気流体と接触するとシールする自己シール層を含むように多層にし得る。
【0088】
流体サンプルの最初の部分を受け取り、汚染物質を汚染物質封じ込めリザーバ906内に封じ込めると、流体サンプルの後続の部分は、後続の圧力差が入口902と出口904との間に印加されるときに、サンプル経路908によって受け取られて入口902から出口904まで搬送され得る。いくつかの実装では、流体サンプル最適化装置900は、流体の最初の部分が汚染物質封じ込めリザーバ906内に受容されている間及びそれまで、最初に実質的にサンプル経路908を入口902から塞ぐ抵抗プラグ910を含む。
【0089】
【0090】
図14A~14Cは、開口部1000又はアイリスを有する抵抗プラグを示しており、これは、抵抗プラグに作用する異なる圧力に基づいて、異なる時間に流れることを許容又は防止するために、手動又は自動で選択的に作動/破壊される。いくつかの実装では、抵抗プラグは、実質的に中央に小さな開口部1000を有する弾性膜である。抵抗プラグを形成する膜の片側に圧力差が印加されると、それは偏向し、開口部1000のサイズを増大させ、流体が出力部に流れることを可能にする。代替的に、抵抗プラグは、開口部1000を覆い、開口部1000が作動すると邪魔にならなくなる剛性又は半剛性プラグ部材1002を含み得る。
【0091】
いくつかの実施形態を上記で詳細に説明したが、他の修正も可能である。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内であってもよい。
【図 】