IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イワフジ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-伐採作業機 図1
  • 特許-伐採作業機 図2
  • 特許-伐採作業機 図3
  • 特許-伐採作業機 図4
  • 特許-伐採作業機 図5
  • 特許-伐採作業機 図6
  • 特許-伐採作業機 図7
  • 特許-伐採作業機 図8
  • 特許-伐採作業機 図9
  • 特許-伐採作業機 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】伐採作業機
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/08 20060101AFI20240911BHJP
   E02F 3/40 20060101ALI20240911BHJP
   A01G 23/081 20060101ALI20240911BHJP
   A01G 23/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A01G23/08 501A
E02F3/40 B
A01G23/081
A01G23/00 512C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022181457
(22)【出願日】2022-11-11
(65)【公開番号】P2024070747
(43)【公開日】2024-05-23
【審査請求日】2024-02-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508150337
【氏名又は名称】イワフジ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 勝
(72)【発明者】
【氏名】太田代 拓哉
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-054734(JP,A)
【文献】特開2003-088258(JP,A)
【文献】特開平11-181817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/00 - 23/14
E02F 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機体に取り付けられ木を切断する伐採作業機であって、
前記移動機体に装着され前記木を掴むグラップルユニットと、前記グラップルユニットに格納可能に設けられ前記木をチェーンソーで切断するチェーンソーユニットとを備え、
前記チェーンソーユニットは、格納するときに前記木の切断位置から格納位置に移動させる格納移動機構を備え、
前記格納移動機構は、前記チェーンソーユニットを前記グラップルユニットの幅方向に移動させることを特徴とする伐採作業機。
【請求項2】
請求項1記載の伐採作業機であって、
前記グラップルユニットは、掘削用のバケットを備えていることを特徴とする伐採作業機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の伐採作業機であって、
前記チェーンソーユニットは、格納時に前記チェーンソーが切断方向に移動することを防止するチェーンソー移動防止機構を備えていることを特徴とする伐採作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山林等の木を切断するために移動機体に取り付けられた伐採作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から山林等の木を伐採(伐倒)し、この伐採した木を材木とするために所定の長さに切断する作業(玉切り)が行われているが、近年では切断作業の効率化を図るため、また林業作業者の高齢化や作業者不足により、木の切断作業の機械化が求められている。
【0003】
機械化の例として、重機や建機と呼ばれる移動機体のアームの先端部に伐採作業機を取り付け、この伐採作業機で伐採した木を掴み、木を掴んだ状態のまま切断するものがある。このような移動機体に取り付けられた伐採作業機として、特許文献1に示す伐採作業機が知られている。
【0004】
特許文献1の技術は、ショベル型掘削機である移動機体のアームの先端部に伐採作業機が取りけられており、伐採作業機は、土などを掘削するバケットと、このバケットの側部に設けられ木を切断する切断装置とを備えている。切断装置は、バケットの側部の外側面に沿って揺動可能に設けられたチェーンソーと、このチェーンソーを揺動させるシリンダとを備え、木を切断する際は、バケットの縁とチェーンソーとで木を挟み、シリンダを前進させてチェーンソーを木に押し付ける方向に移動させて木を切断する。
【0005】
木を切断する際は、チェーンソーだけを木に押し付けたのでは木が逃げてしまい切断することができないため、木を掴む(押さえる)部品が必要になる。この木を掴む部品が、特許文献1の伐採作業機ではバケットになるところ、バケットは木を掴む以外に主に土を掘削する作業にも使用される。
【0006】
しかし、バケットで土を掘削したり、バケットを移動させたりする際に、バケットの側部の外側に切断装置(チェーンソーユニット)が設けられているため、切断装置が土や障害物等に当たるため邪魔になり作業効率が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4836759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、移動機体に取り付けられ木を切断する伐採作業機であって、伐採作業機自体の移動や木の切断作業以外の作業のときにチェーンソーユニットが邪魔にならず、作業性を向上させることができる伐採作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例によれば、移動機体に取り付けられ木を切断する伐採作業機であって、
前記移動機体に装着され前記木を掴むグラップルユニットと、前記グラップルユニットに格納可能に設けられ前記木をチェーンソーで切断するチェーンソーユニットとを備え、
前記チェーンソーユニットは、格納するときに前記木の切断位置から格納位置に移動させる格納移動機構を備え、
前記格納移動機構は、前記チェーンソーユニットを前記グラップルユニットの幅方向に移動させることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、伐採作業機は、移動機体に装着され木を掴むグラップルユニットと、グラップルユニットに格納可能に設けられ木をチェーンソーで切断するチェーンソーユニットとを備えている。グラップルユニットにより木を掴む作業を行い、木を掴んだ状態でチェーンソーユニットにより木を切断することができる。チェーンソーユニットは、格納するときに木の切断位置から格納位置に移動させる格納移動機構を備え、格納移動機構は、チェーンソーユニットを前記グラップルユニットの幅方向に移動させるので、格納移動機構により、木の切断作業のときにチェーンソーユニットを切断位置に移動させ、伐採作業機自体の移動や木の切断作業以外の作業のときにチェーンソーユニットを格納位置に移動させることができる。これにより、移動機体に取り付けられ木を切断する伐採作業機であって、伐採作業機自体の移動や木の切断作業以外の作業のときにチェーンソーユニットが邪魔にならず、作業性を向上させることができる。
【0011】
好ましくは、前記グラップルユニットは、掘削用のバケットを備えている。
【0012】
かかる構成によれば、グラップルユニットは、掘削用のバケットを備えている。木の伐倒を行う場所においては地面の掘削作業を伴うことが多いところ、グラップルユニットに掘削用のバケットが備えられているので、木の切断作業の他に地面の掘削作業を行うこともできる。掘削作業時にチェーンソーユニットを格納することでバケット移動のときにチェーンソーユニットが邪魔にならず、掘削作業の作業性をより向上させることができる。
【0013】
好ましくは、前記チェーンソーユニットは、格納時に前記チェーンソーが切断方向に移動することを防止するチェーンソー移動防止機構を備えている。
【0014】
かかる構成によれば、チェーンソーユニットは、格納時にチェーンソーが切断方向に移動することを防止するチェーンソー移動防止機構を備えているので、仮にチェーンソーユニットの格納時にチェーンソーが切断方向に移動しようとしても移動が防止され、チェーンソーユニット、グラップルユニット及びバケットの破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
移動機体に取り付けられ木を切断する伐採作業機であって、伐採作業機自体の移動や木の切断作業以外の作業のときにチェーンソーユニットが邪魔にならず、作業性を向上させることができる伐採作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例に係る伐採作業機が取り付けられた移動機体の側面図である。
図2】実施例に係る伐採作業機の斜視図である。
図3】実施例に係る伐採作業機の右側面図である。
図4】実施例に係る伐採作業機の背面図である。
図5】実施例に係る伐採作業機の平面図である。
図6】実施例に係る伐採作業機の左側面図である。
図7】実施例に係るチェーンソーユニット及び機械式のチェーンソー移動防止機構の説明図である。
図8】実施例に係るチェーンソーユニット及びセンサ式のチェーンソー移動防止機構の説明図である。
図9】実施例に係るチェーンソーユニットの作用図である。
図10】実施例に係る伐採作業機の作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、作用図は、伐採作業機を概念的(模式的)に示すものとする。
【実施例
【0018】
図1に示されるように、移動機体10に伐採作業機30が取り付けられており、その一例として、移動機体10は建設機械である。移動機体(建設機械)10は、下部走行体11と、下部走行体11上に旋回軸12を介して旋回可能に設けられた上部旋回体13と、上部旋回体13に設けられた作業装置14とを備えている。上部旋回体13の前部には操作室(キャブ)15が搭載され、上部旋回体13の後部には機械室16に配置されたエンジンやカウンタウエイト17が搭載されている。
【0019】
上部旋回体13には、ブーム21及びこのブーム21を回動するブームシリンダ(アクチュエータ)22が回動可能に軸支されている。ブームシリンダ22の先端部はピンを介してブーム21に回動可能に連結されている。ブーム21の先端には、アーム23がアームシリンダ(アクチュエータ)24により回動されるように軸支されている。作業装置14は、ブーム21と、アーム23とを含んでいる。アーム23には、アタッチメントである伐採作業機30がリンク部25を介してアタッチメントシリンダ(アクチュエータ)27により回動されるように軸支されている。
【0020】
次に伐採作業機30について説明する。
図1図6に示されるように、伐採作業機30は、移動機体10に装着され木を掴むグラップルユニット31と、このグラップルユニット31に設けられ山の傾斜面や平地の地面の土砂等を掘削する掘削用のバケット41と、グラップルユニット31に格納可能に設けられ木をチェーンソー52で切断するチェーンソーユニット51とを備えている。
【0021】
なお、実施例では、グラップルユニット31に掘削用のバケット41を設けたが、これに限定されず、掘削用のバケット41を設けずにグラップルユニット31をトング36や固定部材で構成しても差し支えない。
【0022】
次にグラップルユニット31について説明する。
グラップルユニット31は、アーム23及びリンク部25に設けられたブラケット32と、このブラケット32に旋回ベアリング33を介して旋回可能に設けられたベースフレーム34と、このベースフレーム34に軸35を介して揺動可能に設けられたトング36と、このトング36に設けられたトング用リンク部37と、このトング用リンク部37に接続され進退することでトング36を揺動させるトングシリンダ(アクチュエータ)38と、ベースフレーム34にトング36と対向する位置に設けられたバケット41とを備えている。実線で示すトング36を矢印(1)のように移動させ、想像線で示すトング36とバケット41とで木80を挟んで掴むことができる。
【0023】
ブラケット32及びベースフレーム34内には、ブラケット32に対してベースフレーム34を旋回又は停止させる旋回機構(不図示)が設けられている。トング36は、左右2つの内方に湾曲した側板部36aと、これら2つの側板部36aの先端部分を掛け渡すように連結する連結板36bと、2つの湾曲した側板部36aの基端部を掛け渡すように連結するトング用リンク部37とを備えている。なお、実施例ではトング36の形状を湾曲した形状としたが、これに限定されず、トング36の形状はストレート形状や、山谷が連続した所謂ノコギリ歯形状など、木80を掴むことができれば形状はいずれの形状であってもよい。
【0024】
バケット41は、土砂を掘削して積み上げることができるように容器状に形成されており、2つのバケット側面部42、43と、これら2つのバケット側面部42、43の奥側を接続するするとともにバケット41の底を形成するバケット底面部44と、バケット底面部43の端部に設けられた掘削爪45とを備えている。
【0025】
また、ベースフレーム34は、旋回ベアリング33のスラスト方向の面(軸軌道盤)と対向するように設けられたベース上部34aと、このベース上部34aから垂直に延びるリブ壁34bと、リブ壁34bの途中に設けられバケット底面部43と連続してバケット41の底の一部を形成するベース底部34cとを備えている。
【0026】
リブ壁34bはベース上部34aの略中央部(または、中央より一方側寄り)に設けられており、一方側のバケット側面部42はベース底部34cの一方側の端部に設けられており、他方側のバケット側面部43はベース上部34aの他方側の端部に設けられている。グラップルユニット31の一方側には、ベース上部34a、リブ壁34b及びベース底部34cからなる窪みにより、チェーンソーユニット51が格納される格納スペース50が形成されている。
【0027】
次にチェーンソーユニット51について説明する。
図2図5図7図8に示されるように、チェーンソーユニット51は、木を切断するチェーンソー52と、チェーンソーユニット51を格納スペース50に格納するときに木の切断位置から格納位置に移動させる格納移動機構61と、チェーンソーユニット51の格納時にチェーンソー52が切断方向に移動することを防止するチェーンソー移動防止機構71とを備えている。
【0028】
次に格納移動機構61について説明する。
格納移動機構61は、チェーンソーユニット51を格納スペース50に移動して格納する機構であり、具体的にはチェーンソーユニット51を使用するときに格納位置から木の切断位置に移動させ、チェーンソーユニット51を格納するときに木の切断位置(想像線で示すチェーンソーユニット51)から格納位置(格納スペース50内の実線で示すチェーンソーユニット51)に移動させるものである。
【0029】
格納移動機構61は、ベースフレーム34に平行リンク部62を介して移動可能に設けられチェーンソー52を支持する格納移動フレーム63と、平行リンク部62を動かして格納移動フレーム63をグラップルユニット31の幅方向に移動させる格納移動シリンダ(アクチュエータ)64とを備えている。
【0030】
平行リンク部62は、ベースフレーム34のベース底部34cと、このベース底部34cに設けられた軸62aを介して回転するリンク部材62bと、このリンク部材62bに軸62cを介して回転可能に設けられた格納移動フレーム63とを備えている。格納移動シリンダ64は、一端がリンク部材62bに接続され、他端がバケット側面部43に接続されている。格納移動フレーム63は、チェーンソー52の外方(グラップルユニット31の幅方向外側)を覆うように形成されている。
【0031】
また、実施例では平行リンク部62を使用しているところ、これによりリンク部材62bが上死点または上死点を若干越えた位置であってチェーンソー52を使用する切断位置にあるときに、格納移動フレーム63が外力を受けても、機械的な構造体で外力を受け止めて格納移動フレーム63が内側に移動してチェーンソー52が破損することを防止できる。
【0032】
なお、実施例ではバケット41を設けたが、バケット41を設けない場合は、格納移動シリンダ64の他端をベースフレーム34に接続してもよい。また、実施例では平行リンク部62を使用したが、これに限定されず、シリンダ等で直接格納移動フレーム63をチェーンソー52の外方(グラップルユニット31の幅方向外側)に移動させる構成としてもよい。
【0033】
チェーンソー52は、格納移動フレーム63に回転可能に設けられチェーンソー52自体を支持するチェーンソー支持部材53と、このチェーンソー支持部材53に設けられチェーン56を駆動する駆動部54と、この駆動部54に設けられたガイドバー55と、このガイドバー55の外縁に移動可能に設けられ駆動部54により移動して木を切断するチェーン56、チェーンソー支持部材53を回転させてチェーンソー52を切断位置に移動させるチェーンソーシリンダ(アクチュエータ)57とを備えている。
【0034】
次にチェーンソー移動防止機構71について説明する。
チェーンソー移動防止機構71は、機械式でチェーンソー52の移動を防止するものと、センサ式でチェーンソー52の移動を防止するものと、機械式及びセンサ式を併用してチェーンソー52の移動を防止するものがある。
【0035】
図7に示されるように、機械式のチェーンソー移動防止機構71は、チェーンソーユニット51の格納時の状態で、チェーンソー支持部材53の下部にベース底部34cに対向するように突出した突出部72と、ベースフレーム34のベース底部34cとを備えている。
【0036】
機械式のチェーンソー移動防止機構71があることで、チェーンソーユニット51の格納時の状態で、仮にチェーンソーシリンダ57が作動してもチェーンソー52を矢印(2)のように下方に回転移動させようとしても突出部72がベース底部34cに当接してチェーンソー52がベースフレーム34(ベース底部34c)に接触することを防止できる。なお、突出部72がベースフレーム34に当接しない位置(チェーンソーユニット51が格納位置以外にある状態)においてはどこでもチェーンソー52で木を切断できる。
【0037】
図8に示されるように、センサ式のチェーンソー移動防止機構71は、ベースフレーム34のリブ壁34bに設けられたセンサ部73と、軸62aに設けられリンク部材62bの回転と一体に回転する検知片74とを備えている。
【0038】
センサ式のチェーンソー移動防止機構71があることで、図8(A)のチェーンソーユニット51の格納時の状態では検知片74がセンサ部73から離れており検知片74の移動が検知されないためチェーンソーシリンダ57が可動とならず、チェーンソーユニット51を矢印(3)のように移動させ、図8(B)のチェーンソーユニット51が切断位置に移動する状態では検知片74がセンサ部73に近づき検知されるためチェーンソーシリンダ57が可動となり、さらにチェーンソーユニット51を矢印(4)のように移動させ、図8(C)チェーンソーユニット51が展開して切断位置に移動した状態では検知片74がセンサ部73に近づき検知されるためチェーンソーシリンダ57が可動となる。このように図8(B)と図8(C)の範囲において、チェーンソーシリンダ57が可動でき、チェーンソー52で木を切断できる。
【0039】
次に実施例のチェーソーユニット51の作用を説明する。
図9(A)に示されるように、チェーンソーユニット51は格納スペース50に格納され格納位置にあり、格納移動フレーム63がグラップルユニット31の側方へ突出していない。この状態であれば、チェーンソーユニット51が邪魔にならず、グラップルユニット31による木を掴む作業や、バケット41による土の掘削作業を容易に行うことができる。切断作業を行うときは、格納位置からチェーンソーユニット51を矢印(5)のように切断位置に移動させる。
【0040】
図9(B)に示されるように、チェーンソーユニット51は格納スペース50から移動し切断位置にあり、格納移動フレーム63がグラップルユニット31の側方へ突出し、さらにチェーンソー52が下方に回転移動している。側方へ突出した状態であれば、グラップルユニット31で木を掴み、チェーンソー52で掴んだ木を切断することができる。
【0041】
次に比較例の伐採作業機100と実施例の伐採作業機30の作用を説明する。
図10(A)は平面視における比較例の伐採作業機100であり、伐採作業機100は、木を掴むグラップルユニット101と、土を掘削するバケット102と、グラップルユニット101の左側方に突出して設けられ木を切断するチェーンソーユニット103とを備えている。
【0042】
比較例の伐採作業機100において、例えばバケット102による土の掘削作業の際、グラップルユニット101及びバケット102を矢印(6)のように移動すると、チェーンソーユニット103が矢印(7)のように移動して障害物105に衝突する。このため、掘削作業の邪魔になり作業効率が低下する。
【0043】
図10(B)は平面視のおける実施例の伐採作業機30であり、伐採作業機30のグラップルユニット31の格納スペース50にチェーンソーユニット51が格納されている。このため、チェーンソーユニット51がグラップルユニット31の左側方に突出していない。
【0044】
実施例の伐採作業機30において、例えばバケット41による土の掘削作業の際、グラップルユニット31及びバケット41を矢印(8)のように移動すると、チェーンソーユニット51が矢印(9)のように移動して障害物105に衝突せずにスムーズにすり抜ける。このため、掘削作業の邪魔にならずに作業効率が向上する。
【0045】
次に以上に述べた実施例の伐採作業機30の作用、効果を説明する。
本発明の実施例は、伐採作業機30は、移動機体10に装着され木80を掴むグラップルユニット31と、グラップルユニット31に格納可能に設けられ木80をチェーンソー52で切断するチェーンソーユニット51とを備えている。グラップルユニット31により木80を掴む作業を行い、木80を掴んだ状態でチェーンソーユニット51により木80を切断することができる。チェーンソーユニット51は、格納するときに木80の切断位置から格納位置に移動させる格納移動機構61を備えているので、格納移動機構61により、木80の切断作業のときにチェーンソーユニット51を切断位置に移動させ、伐採作業機30自体の移動や木80の切断作業以外の作業のときにチェーンソーユニット51を格納位置に移動させることができる。これにより、移動機体10に取り付けられ木80を切断する伐採作業機30であって、伐採作業機30自体の移動や木80の切断作業以外の作業のときにチェーンソーユニット51が邪魔にならず、作業性を向上させることができる。
【0046】
さらに、グラップルユニット31は、掘削用のバケット41を備えている。木80の伐倒を行う場所においては地面の掘削作業を伴うことが多いところ、グラップルユニット31に掘削用のバケット41が備えられているので、木80の切断作業の他に地面の掘削作業を行うこともできる。掘削作業時にチェーンソーユニット51を格納することでバケット41移動のときにチェーンソーユニット51が邪魔にならず、掘削作業の作業性をより向上させることができる。
【0047】
さらに、チェーンソーユニット51は、格納時にチェーンソー52が切断方向に移動することを防止するチェーンソー移動防止機構71を備えているので、仮にチェーンソーユニット51の格納時にチェーンソー52が切断方向に移動しようとしても移動が防止され、チェーンソーユニット51、グラップルユニット31及びバケット41の破損を防止することができる。
【0048】
尚、実施例では、グラップルユニット31にチェーンソーユニット51を設けたが、木80を切断する手段としてチェーンソー52だけでなく、鉈のような刃を採用してもよく、木80を切断できれば切断手段は問わない。
【0049】
また、実施例では、伐採作業機30を移動機体10としての建設機械に装着したが、これに限定されず、トラクターのような車両に装着してもよく、伐採作業機30が装着できれば移動機体10の形式は問わない。
【0050】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の技術は、山林等の木を切断するために移動機体に取り付けられた伐採作業機に好適である。
【符号の説明】
【0052】
10…移動機体(建設機械、車両)、30…伐採作業機、31…グラップルユニット、36…トング、41…バケット、42…格納位置側のバケット側面部、50…格納スペース、51…チェーンソーユニット、52…チェーンソー、61…格納移動機構、71…チェーンソー移動防止機構、80…木。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10