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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】血管から閉塞物質を除去するための機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20240911BHJP
   A61F 2/01 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61F2/01
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022513914
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 US2020048056
(87)【国際公開番号】W WO2021055148
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】16/576,694
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(73)【特許権者】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】レオン-イップ,ガルヴィン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533051(JP,A)
【文献】特表2015-503946(JP,A)
【文献】特表2012-513294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 - A61B 17/221
A61B 17/3207
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器であって、
長軸を有するシャフトと、
当該シャフトに結合されたケージとを具え、前記ケージは、血管内に配置されるようなサイズであり、血管内の物質を切削するように構成された複数の細長い切削部材を有し、前記ケージは第1の端部および第2の端部を有し、
前記第1の端部、前記第2の端部、または前記第1の端部と第2の端部の両方は、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を変えるように前記シャフトの長軸に沿って移動可能であり、
前記ケージは、自然に拡張した構成を有し、当該自然に拡張した構成にあるときに前記ケージは第1の断面寸法を有し、
前記ケージは、当該ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離の増加に応答して、折り畳み構成を形成するように折り畳み可能であり、
前記医療機器はさらに、前記ケージが前記第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するように、半径方向の力を加えて前記ケージをその自然に拡張した構成を超えて拡張するように構成された制御部を有し、
複数の前記切削部材のそれぞれが、第1の切削エッジおよび第2の切削エッジを有し、当該第1および第2の切削エッジのそれぞれは、前記ケージ(30)が自然に拡張した構成にある時に、血管の壁に切り込まないように、当該血管の壁に平行な方向であるか、または半径方向内側に角度がつけられており、前記第1の切削エッジは近位側に向いて、前記第2の切削エッジは遠位側に向いていることを特徴とする医療機器。
【請求項2】
請求項1の医療機器において、前記ケージの第1の端部に結合されたフィルタをさらに含むことを特徴とする医療機器。
【請求項3】
請求項2の医療機器において、前記フィルタおよび前記ケージは、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の相対移動に応答して同時に拡張可能および/または折り畳み可能に構成されることを特徴とする医療機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの医療機器において、前記切削部材のうちの第1の切削部材は、螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在することを特徴とする医療機器。
【請求項5】
請求項4の医療機器において、前記切削部材のうちの第2の切削部材は、別の螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在し、ここで前記第1の切削部材の少なくとも一部は、前記第2の切削部材の少なくとも一部と平行であることを特徴とする医療機器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの医療機器において、さらにハンドルを具え、前記ハンドルに制御部が実装されており、この制御部は前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を減少および/または増加させるように構成されていることを特徴とする医療機器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの医療機器において、さらに前記ケージの近位側に結合されたバルーンを具え、当該バルーンは血管を閉塞するために拡張可能であることを特徴とする医療機器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの医療機器において、さらに、ポートを有するチューブを具え、当該チューブは前記ケージを収容するように構成され、前記ケージは前記ポートを介してチューブを出るように前記チューブに対して遠位方向に移動可能であることを特徴とする医療機器。
【請求項9】
請求項8の医療機器において、さらに、前記チューブの少なくとも一部を収容するように構成された管腔を有するバルーンカテーテルを具えることを特徴とする医療機器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかの医療機器において、前記シャフトは、外側伸長部材と、その内側に配置され前記外側伸長部材に対してスライド可能である内側伸長部材とを具えることを特徴とする医療機器。
【請求項11】
請求項10の医療機器において、前記ケージの第1の端部は前記内側伸長部材に結合され、前記ケージの第2の端部は前記外側伸長部材に結合されていることを特徴とする医療機器。
【請求項12】
請求項10の医療機器において、前記内側伸長部材は中実の断面を有することを特徴とする医療機器。
【請求項13】
請求項10の医療機器において、前記ケージが自然に拡張した構成にある時に、前記第1および第2の切削エッジのそれぞれが、血管の壁から離れる方向を向いていることを特徴とする医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願の分野は、血管から物質(例えば、動脈プラーク)を除去するための医療およびその使用方法に関し、より具体的には、血管内のプラークなどの閉塞物質を切削して除去するための医療機器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]血管内のプラークなどの閉塞物質を除去するために医療機器が用いられている。これらの機器のいくつかは、血管壁に沿って物質を切削するように構成された切削要素を有するものがある。この切削要素は、当該切削要素が血管壁に沿って物質を切削するようにする、所定の弛緩した拡張構成を有し得る。ただし、そのような切削要素は、切削操作時に、所定の弛緩した拡張構成を超えてさらに拡張することはできない。
【0003】
[0003]また、血管内の物質を除去するための既存の医療機器には、切削された物質や破片を効果的かつ確実に回収できるフィルタがない場合がある。そのような物質および/または破片が血管内の標的部位から離れると、患者に健康上のリスクをもたらす可能性がある。そのため、血管内から物質を除去するための改良された機器および方法が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]開示された発明の例示的な実施形態において、血管内腔から閉塞物質を除去するための機器は、長軸を有するシャフトと、当該シャフトに結合されたケージとを具え、前記ケージは、血管内に配置されるようなサイズであり、血管内の物質を切削するように構成された複数の細長い切削部材を有し、前記ケージは第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部、前記第2の端部、または前記第1の端部と第2の端部の両方は、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を変えるように前記シャフトの長軸に沿って移動可能であり、前記ケージは、当該ケージに外部応力が加えられていないときに自然に拡張した構成を有し、当該自然に拡張した構成にあるときに前記ケージは第1の断面寸法を有し、前記ケージは、当該ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離の増加に応答して、折り畳み構成を形成するように折り畳み可能(collapsible)であり、前記機器はさらに、前記ケージが前記第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するように、半径方向の力を加えて前記ケージをその自然に拡張した構成を超えて拡張するように構成された制御部を有する。
【0005】
[0005]任意選択で、前記医療機器は、前記ケージの第1の端部に結合されたフィルタをさらに含む。
【0006】
[0006]任意選択で、前記フィルタおよび前記ケージは、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の相対移動に応答して同時に拡張可能および/または折り畳み可能に構成される。
【0007】
[0007]任意選択で、前記切削部材のうちの第1の切削部材は、螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在する。
【0008】
[0008]任意選択で、前記切削部材のうちの第2の切削部材は、別の螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在し、前記第1の切削部材の少なくとも一部は、前記第2の切削部材の少なくとも一部と平行である。
【0009】
[0009]任意選択で、前記切削部材はそれぞれの切削エッジを有し、各切削エッジは、前記ケージが自然に拡張した構成にあるときに、血管の壁に平行であるか、または血管の壁から離れる方向を向いている。
【0010】
[0010]任意選択で、前記切削部材のそれぞれの切削エッジは近位側に向いている。
【0011】
[0011]任意選択で、前記切削部材のそれぞれの切削エッジは遠位側に向いている。
【0012】
[0012]任意選択で、前記医療機器はさらにハンドルを具え、前記ハンドルに制御部が実装されており、この制御部は前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を減少および/または増加させるように構成される。
【0013】
[0013]任意選択で、前記医療機器はさらに、前記ケージの近位側に結合されたバルーンを具え、当該バルーンは血管を閉塞するために拡張可能である。
【0014】
[0014]任意選択で、前記医療機器はさらに、ポートを有するチューブを具え、当該チューブは前記ケージを収容するように構成され、前記ケージは前記ポートを介してチューブを出るように前記チューブに対して遠位方向に移動可能である。
【0015】
[0015]任意選択で、前記医療機器はさらに、前記チューブの少なくとも一部を収容するように構成された管腔を有するバルーンカテーテルを具える。
【0016】
[0016]任意選択で、前記シャフトは、外側伸長部材と、内側に配置され前記外側伸長部材に対してスライド可能である内側伸長部材とを具える。
【0017】
[0017]任意選択で、前記ケージの第1の端部は前記内側伸長部材に結合され、前記ケージの第2の端部は前記外側伸長部材に結合される。
【0018】
[0018]任意選択で、前記内側伸長部材は中実の断面を有する。
【0019】
[0019]医療機器において、長軸を有するシャフトと、当該シャフトに結合されたケージであって、血管内に配置されるようなサイズを有し、血管内の物質を切削するように構成された複数の細長い切削部材を有し、前記ケージは第1の端部および第2の端部を有する、ケージと、当該ケージに結合されたフィルタとを具え、前記第1の端部、前記第2の端部、または前記第1の端部と第2の端部の両方は、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を変えるように前記シャフトの長軸に沿って移動可能であり、前記フィルタと前記ケージは、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の相対移動に応答して同時に拡張可能および/または折り畳み可能に構成される。
【0020】
[0020]任意選択で、前記切削部材のうちの第1の切削部材は、螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在する。
【0021】
[0021]任意選択で、前記切削部材のうちの第2の切削部材は、別の螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在し、前記第1の切削部材の少なくとも一部は前記第2の切削部材の少なくとも一部と平行である。
【0022】
[0022]任意選択で、前記切削部材はそれぞれの切削エッジを有し、各切削エッジは、前記ケージが拡張構成にあるときに血管の壁に平行であるか、または血管の壁から離れる方向を向いている。
【0023】
[0023]任意選択で、前記切削部材のそれぞれの切削エッジは近位側に向いている。
【0024】
[0024]任意選択で、切削部材のそれぞれの切削エッジは遠位側に向いている。
【0025】
[0025]任意選択で、前記医療機器はさらに、制御部を有するハンドルを具え、この制御部は前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を減少および/または増加させるように構成される。
【0026】
[0026]任意選択で、前記医療機器はさらに、前記ケージの近位側に結合されたバルーンを具え、当該バルーンは血管を閉塞するために拡張可能である。
【0027】
[0027]任意選択で、前記医療機器はさらに、ポートを有するチューブを具え、当該チューブは前記ケージを収容するように構成され、前記ケージは前記ポートを介してチューブを出るように前記チューブに対して遠位方向に移動可能である。
【0028】
[0028]任意選択で、前記医療機器はさらに、前記チューブの少なくとも一部を収容するように構成された管腔を有するバルーンカテーテルを具える。
【0029】
[0029]任意選択で、前記シャフトは、外側伸長部材と、内側に配置され前記外側伸長部材に対してスライド可能である内側伸長部材とを具える。
【0030】
[0030]任意選択で、前記ケージの第1の端部は前記内側伸長部材に結合され、前記ケージの第2の端部は前記外側伸長部材に結合される。
【0031】
[0031]任意選択で、前記内側伸長部材は中実の断面を有する。
【0032】
[0032]任意選択で、前記ケージは、当該ケージに外部応力が加えられていないときに自然に拡張した構成を有し、当該自然に拡張した構成にあるときに前記ケージは第1の断面寸法を有し、前記医療機器はさらに、前記ケージが前記第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するように、半径方向の力を加えて前記ケージをその自然に拡張した構成を超えて拡張させるように構成された制御部を有する。
【0033】
[0033]医学的方法において、チューブに結合された拡張バルーンを介して血管を閉塞するステップと、ケージが自然に拡張した構成をとるステップであって、前記ケージは複数の細長い切削部材を具え、前記自然に拡張した構成をとる動作は、前記ケージが血管内にあり、前記ケージが前記チューブの外部にあるときに前記ケージによって実行され、前記ケージが前記自然に拡張した構成にあるときに第1の断面寸法を有する、ステップと、前記ケージが増大した拡張構成をとるステップであって、この増大した拡張構成は前記第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するステップと、前記ケージの細長い切削部材を介して血管内の物質を切削するステップとを含む。
【0034】
[0034]任意選択で、前記ケージは第1の端部および第2の端部を具え、前記ケージが増大した拡張構成をとる動作は、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離の減少に応答して行われる。
【0035】
[0035]任意選択で、この方法はさらに、前記物質が切削された後に前記物質をフィルタによって捕捉するステップを含む。
【0036】
[0036]任意選択で、この方法はさらに、前記フィルタが拡張構成をとるステップを含み、このフィルタが拡張構成をとる動作と、前記ケージが自然に拡張した構成をとる動作は同時に実行される。
【0037】
[0037]任意選択で、前記物質を切削する動作は、前記細長い切削部材のエッジをそれぞれ使用することを含み、ここで前記細長い切削部材のエッジは近位側に向いている。
【0038】
[0038]任意選択で、前記物質を切削する動作は、前記細長い切削部材のエッジをそれぞれ使用することを含み、ここで前記細長い切削部材のエッジは遠位側を向いている。
【0039】
[0039]他のさらなる態様と機能は、以下の詳細な説明を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
[0040]図面は、類似の要素が共通の参照番号によって参照される実施形態の設計および有用性を示している。これらの図面は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。上記および他の利点や目的がどのように得られるかをよりよく理解するために、添付の図面に示されている実施形態のより具体的な説明がなされる。これらの図面は例示的な実施形態のみを示し、したがって、特許請求の範囲を限定すると見なされるべきではない。
図1】[0041]図1は、いくつかの実施形態による、血管内の物質を除去するように構成された医療機器を示し、特に、折り畳まれた構成のケージを有する医療機器を示す。
図2】[0042]図2は、図1の医療機器を示し、特に、自然に拡張した構成のケージを示す。
図3】[0043]図3は、図1の医療機器を示し、特に、増大した拡張構成のケージを示す。
図4】[0044]図4は、図1のケージの一部の断面を示し、特に、ケージの切削部材の切削エッジが血管の壁に平行な方向を向いている状態を示す。
図5】[0045]図5は、図1のケージの一部の断面を示し、特に、ケージの切削部材の切削エッジが血管内の物質に切り込んでいる状態を示す。
図6】[0046]図6は、物質を除去するために血管内で使用される図1の医療機器を示す。
図7】[0047]図7は、別の医療機器を示す。
図8】[0048]図8は、さらにカテーテル/チューブを具える図7の医療機器を示す。
図9】[0049]図9は、さらにバルーンカテーテルを具える図8の医療機器を示す。
図10】[0050]図10は、いくつかの実施形態による、血管内の物質を除去する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[0051]以下に、図面を参照しながら様々な実施形態について説明する。図面は縮尺通りに描かれておらず、同様の構造または機能の要素は、図面全体で同じ参照番号で表されていることに留意されたい。図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図していることにも留意されたい。それらは、本発明の網羅的な説明として、または本発明の範囲の限定として意図されていない。さらに、図示された実施形態は、示されたすべての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、そのように図示されていない場合、またはそのように明示的に説明されていない場合でも、他の任意の実施形態において実施することができる。
【0042】
[0052]図1~3は、開示された発明のいくつかの実施形態による、血管内の物質を除去するように構成された医療機器10を示す。医療機器10は、チューブ20と、当該チューブ20に収容されチューブ20から外に延在可能なケージ30と、ケージ30に結合されたシャフト38と、チューブ20および/またはケージ30を操作するように構成された制御部40とを具える。
【0043】
[0053]チューブ20は、遠位端104と、近位端106と、遠位端104および近位端106との間に延在する本体108とを有する。図示の実施形態では、チューブ20はまた、チューブ20の遠位端104にバルーン110を具える。チューブ20の近位端106は、制御部40にあるハブ200に結合されている。ハブ200は、バルーン110を膨張させるために流体ソース204から流体を受け取るように構成されたポート202を有する。ポート202はまた、バルーン110から流体を回収してバルーン110を収縮させるように構成され得る。代替的に、ハブ200の別のポートが、バルーン110から流体を回収してバルーン110を収縮させるように構成されてもよい。バルーン110は、バルーン110が膨張したときに血管を閉塞するようなサイズである。
【0044】
[0054]ケージ30は、血管内に配置されるようなサイズになっている。図1~2に示すように、ケージ30は、第1の端部(遠位端)302と、第2の端部(近位端)304と、血管内の物質をカットするように構成された複数の切削部材306とを具える。図1に示すように、ケージ30がチューブ20の管腔122内に収容されている場合、ケージ30は折り畳まれた構成にある。図2に示すように、ケージ30がポート109を介してチューブ20の遠位端104から展開された場合、ケージ30は自然に拡張した構成となる。ケージ30が自然に拡張した構成にあるとき、ケージ30に応力は加えられず(すなわち、ケージ30を拡大させるために半径方向外向きの力が外部から加えられない)、その自然に拡張した構成におけるケージ30の形状は、切削部材306の予め形成された形状およびそれらの弾性によるものである。図2に示すように、ケージ30は、自然に拡張した構成にあるとき、第1の断面寸法D1を有する。切削部材306の予め形成された形状およびそれらの弾性により、ケージ30は、当該ケージ30がチューブ20の外に展開されたときに、自然に拡張した構成を形成するように開くばねとして作用する。ケージ30によるそのような作用は、ケージ30の第1の端部302をケージ30の第2の端部304の方へ引っ張り、それによってケージ30の第1の端部302とケージ30の第2の端部304との間の距離が減少する。
【0045】
[0055]図1~2を参照すると、シャフト38は、外側伸長部材310と、当該外側伸長部材310の内側に配置され、外側伸長部材310に対してスライド可能である内側伸長部材320とを具える。外側伸長部材310は、ケージ30の第2の端部304が結合される遠位端312と、制御部40の第1のハンドル部分330に結合される近位端314とを有する。内側伸長部材320は、ケージ30の第1の端部302が結合される遠位端322と、制御部40の第2のハンドル部分340に結合される近位端324とを有する。図示の実施形態では、シャフト38の内側伸長部材310は、その長さに沿って中実の断面を有する。いくつかの場合、内側伸長部材310は、ワイヤを用いて実装され得る。他の実施形態では、シャフト38の内側伸長部材310は、1つまたは複数の管腔を含んでもよい。
【0046】
[0056]図示の実施形態では、ケージ30の第1の端部302、ケージ30の第2の端部304、またはケージ30の第1および第2の端部302、304の両方は、シャフト38の長軸に沿って移動して、ケージ30の第1の端部302と第2の端部304との間の距離を変化させることが可能である。例えば、ケージ30は、ケージ30の第1の端部302と第2の端部304との間の距離の増大に応答して、折り畳まれた構成を形成するように折り畳むことができる。特に、制御部40の第1のハンドル部分330および第2のハンドル部分340をユーザが操作して、ケージ30の第1の端部302と第2の端部304との間の距離を増大させ、それによってケージ30がつぶれて図1に示される折り畳まれた構成とすることができる。ケージ30はまた、ケージ30の第1の端部302と第2の304との間の距離の減少に応答して、その自然に拡張した構成を超えて拡張可能である。特に、制御部40の第1のハンドル部分330および第2のハンドル部分340をユーザが操作して、ケージ30が第1の断面寸法D1よりも大きい第2の断面寸法D2を有するように、半径方向の力を加えてケージ30をその自然に拡張した構成を超えて拡張させることができる(図3)。図3に示すように、第1のハンドル部分330と第2のハンドル部分340との間の距離を増大させると、ケージ30の第1の端部302とケージの第2の端部304との間の距離が減少する。これにより半径方向の力が生じ、ケージ30がその自然に拡張した構成を超えて拡張される。
【0047】
[0057]制御部40は図示の構成に限定されるものではなく、制御部40は、他の実施形態において他の構成を有し得ることに留意されたい。例えば、他の実施形態では、第1および第2のハンドル部分330、340の1つまたは各々は、ハンドルに設けられたシフター、ボタン、ノブなどとして実装されてもよい。また、いくつかの実施形態では、ハブ200はハンドルの一部として実装してもよいし、ハンドルとは別体であってもよい。
【0048】
[0058]図1~3に示すように、医療機器10は、ケージ30の第1の端部302に結合されたフィルタ380をさらに具える。いくつかの態様において、フィルタ380は、1以上の切削部材306に結合された軟質および/または弾性メッシュであり得る。これは、ケージ30の第1の端部302と第2の端部304との間の相対移動に応じてフィルタ380およびケージ30が同時に拡張および/または折り畳み可能となるので有利である。フィルタ380を切削部材306に結合すると、切削部材306が半径方向に拡張するときにフィルタ380もそれに応じて半径方向にも拡張することになるので、これも有利なことである。これにより、ケージ30のサイズの変化に応じて、フィルタ380のサイズを自動的に調整することができる。フィルタ380は、様々な材料から作ることができる。非限定的な例では、フィルタ380は、ポリマーブレード、フラッシュスパンファブリックなどを使用して実装することができる。また、いくつかの実施形態では、フィルタ380は、ノーズコーン構成を有してもよい。
【0049】
[0059]いくつかの実施形態では、切削部材306のうちの第1の切削部材は、螺旋構成で、ケージ30の第1の端部302からケージ30の第2の端部304まで延びている。また、切削部材の第2のうちの切削部材は、別の螺旋構成で、ケージ30の第1の端部302からケージ30の第2の端部304まで延びており、第1の切削部材の少なくとも一部は、第2の切削部材の少なくとも一部と平行である。
【0050】
[0060]いくつかの実施形態では、切削部材306はそれぞれの切削エッジ(cutting edges)を有し、各切削エッジは、ケージ30が拡張構成にあるときに血管の壁に平行、または壁から離れる方向に向いている。例えば、いくつかの実施形態では、ケージ30の切削部材306は、近位側に面するそれぞれの第1の切削エッジを有する。この場合、ケージ30が血管内に展開された後、血管に対してケージ30を近位側に動かすと、近位側に面する切削エッジが血管の内壁に付着した物質に切り込まれる。代替的または追加的に、ケージ30の切削部材306は、遠位側に面するそれぞれの第2の切削エッジを有する。そのような場合、ケージ30を血管に対して遠位側に動かすと、遠位側に面する切削エッジが、血管の内壁に付着した物質に切り込まれる。
【0051】
[0061]上記のように、いくつかの実施形態において、ケージ30が拡張構成にあるとき、切削部材306はそれぞれ、近位または遠位にのみ面する切削エッジ、または近位および遠位の両方に面する切削エッジを有する。これは、切削部材306が血管の壁に切り込まれるのを防ぐことができるという点で有益である。例えば、図4に示すように、切削部材306が近位側にのみ面するそれぞれの切削エッジを有する場合、切削部材306は、それらが血管の壁に接触(engage)しても、血管壁に切り込まれることはない。一方、拡張したケージ30が血管の壁に沿って物質に接触(engage)すると、切削部材306の切削エッジは材料に切り込まれる(図5)。
【0052】
[0062]図2~3に示すように、ケージ30が拡張構成にあるとき、切削部材306は互いに分離して、ケージ30のための開放多孔質体を作成する。これにより、流体(例えば、吸引液、血液など)がケージ30内から出たり、および/またはケージ30に入ったりすることができる。また、図示のように、切削部材306は、切削部材306が互いに交差しないように、ほぼ平行に延びている。このような構成は、血管内の物質が切削部材306の間に入り易くなり、切削部材306が血管内の物質をより効果的に切削することができるので有利である。他の実施形態では、1つまたは複数の切削部材306が、他の切削部材306と交差してもよい。例えば、他の実施形態では、切削部材306は、グリッド構成を形成することができる。
【0053】
[0063]医療機器100は、上記の実施形態で説明した特徴および構成に限定されるものではなく、医療機器100は、他の実施形態では他の特徴および構成を有し得ることに留意されたい。例えば、他の実施形態では、チューブ20はバルーン110を有さなくてもよく、制御部40はハブ200を有さなくてもよい。さらなる実施形態では、医療機器100はチューブ20を有さなくてもよい。他の実施形態では、医療機器100はフィルタ380を有さなくてもよい。さらなる別の実施形態では、シャフト38の内側伸長部材320が1つまたは複数の管腔を有し、これらをガイドワイヤの収容、物質(例えば、薬剤、生理食塩水、吸引液など)の送達、または患者の体内からの物質の除去に利用してもよい。
【0054】
[0064]さらに、他の実施形態では、医療機器100は、ケージ30を収容するように構成されたシースを任意でさらに含んでもよい。そのような場合、シースはチューブ20の管腔122内に配置され、チューブ20に対してスライド可能であり得る。使用時に、ケージ30を収容したシースを遠位側に前進させて、シースの遠位部分をチューブ20の遠位端104のポート109から出すことができる。シースの遠位部分(折り畳まれた構成のケージ30を含む)がチューブ20から出たら、ケージ30はシースの外に展開され、その結果ケージ30は拡張構成へと拡張することができる。これは、ケージ30に対して近位側にシースを引き戻すことによって、またはシースに対して遠位側にケージ30を前進させることによって達成することができる。
【0055】
[0065]また、他の実施形態では、チューブ20の遠位端104、および/またはシースの遠位端(医療機器10がシースを具える場合)は、血管内の組織および/または物質に刺さるように構成された鋭利な先端を有してもよい。
【0056】
[0066]さらに、他の実施形態では、医療機器10は、チューブ20の遠位端104、またはシースの遠位端(医療機器10がシースを具える場合)を操舵するように構成された操舵機構を具えてもよい。この操舵機構は、張力を加えてチューブ20またはシースの遠位端を曲げるために、チューブ20またはシースの遠位端に結合された1つまたは複数の操舵ワイヤを含むことができる。その場合、制御部40は、ユーザが操舵ワイヤに張力を加えられるようにするためのボタン、ノブ、スライダーなどを含み得る。
【0057】
[0067]さらに、上記実施形態では、ケージ30は自然に拡張した構成を有するものと説明している。他の実施形態では、ケージ30は、自然に拡張した構成を有さなくてもよい。代わりに、ケージ30は、その自然に弛緩した構成として(図1に示されるような)折り畳まれた構成を有してもよい。その場合、ケージ30がチューブ20から展開された後、ケージ30は自動的にバネで開くことはない。代わりに、ケージ30は折り畳まれた構成に留まる。第1のハンドル部分330および/または第2のハンドル部分340は、半径方向の力を加えてケージ30をその折り畳まれた構成から拡張するように操作することができる。使用中、血管壁または血管内の物質の方へケージ30によって加えられる力の量を調整するために、第1のハンドル部分330および/または第2のハンドル部分340を繰り返し操作して、ケージ30のサイズを変えるようにしてもよい。
【0058】
[0068]図1の医療機器10は、物質を除去するために容器内で使用することができる。まず、医療機器10のチューブ20を患者の血管に挿入し、チューブ20の遠位端104が血管内の標的部位に到達するまで前進させる。図6に示すように、チューブ20の遠位端104は、血管402の内側の除去される物質410に対して近位に配置することができる。
【0059】
[0069]チューブ20の遠位端104を挿入し標的部位に配置するために、様々な技術を利用することができる。いくつかの場合、チューブ20が操縦可能である場合、チューブ20の遠位端104を操縦してチューブ20が血管402内で前進して血管402内の標的部位に到達するようにする。あるいは、ガイドワイヤを最初に血管402に挿入してもよく、このガイドワイヤは除去される物質を囲む血管402内の標的部位に進められる。ガイドワイヤが望ましく配置されたら、次にチューブ20をガイドワイヤ上に配置(スライド)し、遠位側に前進させることができる。チューブ20が前進しているとき、ガイドワイヤは、チューブ20の遠位端104を血管402内の標的部位に案内するためのガイド/ステアリング機構として機能する。
【0060】
[0070]図6に示すように、チューブ20の遠位端104が望ましく配置された後、流体源204からの膨張流体がポート202を介して送達され、チューブ20の遠位端104でバルーン110を膨張させる。膨張したバルーン110は、治療される血管を閉塞する。場合によっては、膨張したバルーン110は、血管内で除去すべき病変の近位の血流を停止させる。
【0061】
[0071]チューブ20が容器内にあるとき、ケージ30は、最初はチューブ20内に収容されているので、図1に示すような折り畳まれた構成を有する。次に、チューブ20内のケージ30を遠位方向に前進させて、チューブ20の遠位端104から出す。これは、制御部40において、第2のハンドル部分340を手動で前進させるか、ハブ200に対して第1および第2のハンドル部分330、340の両方を前進させることによって達成することができる。ケージ30がチューブ20の外に出た後、ケージ30は、図2に示すようなケージ30の固有の形状により、その自然に拡張した構成を自動的にとる。いくつかの実施形態では、自然に拡張した構成の断面寸法D1は、血管内腔の直径よりも小さい。いくつかのケースでは、物質410に対してケージ30を遠位に配置するために、ケージ30がチューブ20の外にある状態で、制御部40を操作してケージ30を折り畳むことができる。例えば、第2のハンドル部分340を第1のハンドル部分330に向かって遠位側に進めてもよいし、第1のハンドル部分330を第2のハンドル部分340の方へ近位に引き戻し、ケージ30の第1の端部302とケージの第2の端部304との間の距離を増大させ、それによってケージ30を潰れた状態とすることができる。次に、折り畳まれたケージ30を遠位方向に前進させて、物質410を横切って物質410の遠位位置に到達させる。次に、第1のハンドル部分330および/または第2のハンドル部分340にユーザによって加えられた操作力を解放して、ケージ30が物質410の遠位にある状態で、ケージ30がその自然に拡張した構成をとることができるようにする。
【0062】
[0072]他の実施形態では、ケージ30が自然に拡張した構成を有さない場合、ケージ30がチューブ20の外に展開された後も、ケージ30は折り畳まれた構成を有し続ける。そのような場合、折り畳まれた構成のケージ30を遠位に前進させて、物質410を横切って物質410の遠位位置に到達させることができる。次に、制御部40を操作して、ケージ30が物質410の遠位にある状態でケージ30を拡張させることができる。
【0063】
[0073]別の場合において、医療機器10がケージ30を収容する追加のシースを有する場合、折り畳まれた構成のケージ30を収容したシースを、チューブ20に対して遠位側に進めてチューブ20から出すことができる。シースの遠位端および中に収容されたケージ30は、シースの遠位端およびケージ30が物質410に対して遠位になるように、遠位側に前進させることができる。次に、シースを引き戻してケージ30をシースから展開させ、その結果、展開されたケージ30が物質410の遠位にあるようにすることができる。
【0064】
[0074]次に、ケージ30を血管に対して近位方向に動かして、血管402の内壁に沿って物質410を切削する(図6)。これは、制御部40において、第1のハンドル部分330、または第1および第2のハンドル部分330、340の両方(図1~3に示す)を、ハブ200に対して近位方向に動かすことによって達成される。
【0065】
[0075]いくつかのケースでは、ケージ30の切削部材306が遠位側に面する切削エッジを有する場合、ケージ30を血管402に対して遠位側に移動させて、血管402の内壁に沿って物質410を切削することができる。これは、制御部40において、第1のハンドル部分330、または第1および第2のハンドル部分330、340の両方を、ハブ200に対して遠位方向に動かすことによって達成することができる。
【0066】
[0076]場合によっては、ケージ30の自然に拡張した構成の断面寸法D1が血管402の内腔直径よりも小さい場合、ケージ30は、ケージ30が断面寸法D1よりも大きい(図3に示されるような)断面寸法D2を有するように、その自然に拡張した構成を超えて拡張されてもよい。特に、第2のハンドル部分340を第1のハンドル部分330に対して近位方向に移動させて、ケージ30の第1の端部302をケージ30の第2の端部304に向かって引っ張ることができる。これにより、外向きの半径方向の力が生じ、ケージ30をその自然に拡張した構成を超えてさらに拡張させる。
【0067】
[0077]また、場合によっては、ケージ30の自然に拡張した構成がすでに血管402の内壁に周方向に接している場合でも、ケージ30から血管402の内壁の方へかかる力を増大させるべく、ケージ30をその自然に拡張した構成を超えて拡張してもよい。そのような技術により、ケージ30を使用して、血管402の内壁により近い物質410を切削することが可能になる。
【0068】
[0078]さらに、医療機器10を使用する1つの技術において、物質410を切削するためにケージ30を使用する際に、血管402の壁に対するケージ30による半径方向の拡張力を選択的に調整することができる。例えば、医療機器10の使用者は、第1のハンドル部分330に対して第2のハンドル部分340を近位側に引くことによって、または第2のハンドル部分340に対して第1のハンドル部分330を遠位に進めることによって、ケージ30が物質410または血管402の壁に与える付勢力を増大させることができる。これは、ケージ30の第1の端部302と第2の端部304を互いに近づけて、ケージ30を半径方向に拡張するように促すように作用する。その結果、より多くの物質410が切削部材306の間に入り、より多くの物質410を血管壁から切り取ることができる。したがって、制御部40を使用して、血管402から切削しようとする物質410の量(例えば、厚さ)を調整することができる。
【0069】
[0079]ケージ30が血管402から物質410を切削すると、切り離された物質410はフィルタ380に捕捉され、当該物質410が血管402内の標的部位から離れて移動するのが防がれる。フィルタ380はケージ30の切削要素306に結合されているので、医療機器10の使用時に形成されるケージ30のサイズに拘わらず、フィルタ380のサイズは、ケージ30のサイズ(例えば断面寸法)に一致するように対応して変化する。
【0070】
[0080]いくつかの実施形態では、チューブの遠位端104のポート109を利用して、切削された物質410、破片、吸引液、および/または血液を回収することができる。あるいは、別の吸引チューブをチューブ20内に設けて、切削された物質410、破片、吸引液、および/または血液を血管内から回収してもよい。
【0071】
[0081]医療機器10は、これまでの実施形態で説明した例示的な特徴および構成に限定されるものではなく、医療機器10は他の特徴および/または構成を有し得ることに留意されたい。例えば、別の実施形態では、医療機器10はチューブ20を具えなくてもよい。代わりに、医療機器10はそれぞれの伸長部材310、320を介してハンドル330、340に結合されたケージ30を有するだけでもよい(図7)。その場合、医療機器10は、使用中に別の装置(例えば、マイクロカテーテル、バルーンカテーテルなどのカテーテル)に挿入されてもよい。いくつかの実施形態では、伸長部材320は、使用中に張力および/または圧縮を提供するのに十分に剛性であり得る。
【0072】
[0082]また、他の実施形態では、図7の医療機器10は、ケージ30および伸長部材310を収容するカテーテル(チューブ)600をさらに含んでもよい(図8)。このカテーテル600は、ユーザによる操作を可能にするためのハンドル610を含み得る。使用中、ハンドル610に対してハンドル330を遠位方向に前進させることによって、ケージ30をカテーテル600の遠位端から展開することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル600は、マイクロカテーテルであり得る。
【0073】
[0083]さらなる実施形態では、図8の医療機器10は、バルーンカテーテル620(図9)をさらに含んでもよい。バルーンカテーテル620は、膨張時に血管を閉塞するように構成された膨張可能なバルーン622と、当該バルーン622を膨張させるための膨張流体を受け入れるためのポート626を有するハンドル624とを具える。バルーンカテーテル620は、図7のカテーテル/チューブ600を収容するように構成され、カテーテル/チューブ600はケージ30を収容している。使用中、ケージ30を収容したカテーテル/チューブ600の遠位セグメントは、ケージ30がカテーテル/チューブ600内部に収容されている間に、ハンドル610をバルーンカテーテル620のハンドル624に対して遠位側に前進させることによって、バルーンカテーテル620から外に展開され得る。次に、カテーテル/チューブ600の遠位端からケージ30を展開することができる。そのようなことは、ケージ30に対してカテーテル/チューブ600を近位側に引き戻すことによって、またはカテーテル/チューブ600に対して遠位にケージ30を前進させることによって達成することができる。図9の医療機器10は、バルーン622が膨張して血管内に固定された後でも、ケージ30の展開位置を調整できるので有利である。他の実施形態では、医療機器10は、カテーテル/チューブ600を含まなくてもよく、バルーンカテーテル620は、カテーテル/チューブ600なしでケージ30および伸長部材310を直接収容するように構成されてもよい。
【0074】
[0084]図10は、いくつかの実施形態による、血管内の物質を除去する方法700を示す図である。方法700は、チューブに結合された拡張バルーンを介して血管を閉塞するステップを含む(アイテム702)。方法700はまた、ケージが自然に拡張した構成をとるステップを含み、このケージは複数の細長い切削部材を具え、前記自然に拡張した構成をとる動作は、ケージが血管内にありかつケージがチューブの外側にあるときに行われ、前記ケージは自然に膨張した構成にあるときに第1の断面寸法を有する(アイテム704)。方法700はさらに、ケージがさらに拡張した拡張構成をとるステップであって、このさらに拡張した拡張構成は、前記第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するステップと、ケージの細長い切削部材を介して血管内の物質を切削するステップとを含む(アイテム706)。
【0075】
[0085]任意選択で、方法700において、ケージは第1の端部と第2の端部とを具え、ケージがさらに拡張された拡張構成をとる動作は、ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離の減少に応答して実行される。
【0076】
[0086]任意選択で、方法700は、物質が切削された後にフィルタによって物質を捕捉するステップをさらに含む。
【0077】
[0087]任意選択で、方法700は、フィルタが拡張構成をとるステップをさらに含み、ここでフィルタが拡張構成をとる動作と、ケージが自然に拡張した構成をとる動作とは、同時に実行される。
【0078】
[0088]任意選択で、方法700において、物質を切削する動作は、それぞれ細長い切削部材のエッジを使用することを含み、ここで細長い切削部材のエッジは近位側に面している。
【0079】
[0089]任意選択で、方法700において、物質を切削する動作は、それぞれ細長い切削部材のエッジを使用することを含み、ここで細長い切削部材のエッジは遠位側に面している。
【0080】
[0090]以下の項目は、本明細書に記載の実施形態の例示的な構成である。各項目は、それ自体が実施形態であるか、または実施形態の一部であり得る。一実施形態では、以下に記載される1つまたは複数のアイテムを他のアイテムと組み合わせることができる。
【0081】
[0091]項目1:医療機器において、長軸を有するシャフトと、当該シャフトに結合されたケージとを具え、前記ケージは、血管内に配置されるようなサイズであり、血管内の物質を切削するように構成された複数の細長い切削部材を有し、前記ケージは第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部、前記第2の端部、または前記第1の端部と第2の端部の両方は、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を変えるように前記シャフトの長軸に沿って移動可能であり、前記ケージは、当該ケージに外部応力が加えられていないときに自然に拡張した構成を有し、当該自然に拡張した構成にあるときに前記ケージは第1の断面寸法を有し、前記ケージは、当該ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離の増加に応答して、折り畳み構成を形成するように折り畳み可能(collapsible)であり、前記機器はさらに、前記ケージが前記第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するように、半径方向の力を加えて前記ケージをその自然に拡張した構成を超えて拡張するように構成された制御部を有する。
【0082】
[0092]項目2:前記医療機器は、前記ケージの第1の端部に結合されたフィルタをさらに含む。
【0083】
[0093]項目3:前記医療機器において、前記フィルタおよび前記ケージは、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の相対移動に応答して同時に拡張可能および/または折り畳み可能に構成される。
【0084】
[0094]項目4:前記医療機器において、前記切削部材のうちの第1の切削部材は、螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在する。
【0085】
[0095]項目5:前記医療機器において、前記切削部材のうちの第2の切削部材は、別の螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在し、前記第1の切削部材の少なくとも一部は、前記第2の切削部材の少なくとも一部と平行である。
【0086】
[0096]項目6:前記医療機器において、前記切削部材はそれぞれの切削エッジを有し、各切削エッジは、前記ケージが自然に拡張した構成にあるときに、血管の壁に平行であるか、または血管の壁から離れる方向を向いている。
【0087】
[0097]項目7:前記医療機器において、前記切削部材のそれぞれの切削エッジは近位側に向いている。
【0088】
[0098]項目8:前記医療機器において、前記切削部材のそれぞれの切削エッジは遠位側に向いている。
【0089】
[0099]項目9:前記医療機器はさらにハンドルを具え、前記ハンドルに制御部が実装されており、この制御部は前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を減少および/または増加させるように構成される。
【0090】
[00100]項目10:前記医療機器はさらに、前記ケージの近位側に結合されたバルーンを具え、当該バルーンは血管を閉塞するために拡張可能である。
【0091】
[00101]項目11:前記医療機器はさらに、ポートを有するチューブを具え、当該チューブは前記ケージを収容するように構成され、前記ケージは前記ポートを介してチューブを出るように前記チューブに対して遠位方向に移動可能である。
【0092】
[00102]項目12:前記医療機器はさらに、前記チューブの少なくとも一部を収容するように構成された管腔を有するバルーンカテーテルを具える。
【0093】
[00103]項目13:前記医療機器において、前記シャフトは、外側伸長部材と、内側に配置され前記外側伸長部材に対してスライド可能である内側伸長部材とを具える。
【0094】
[00104]項目14:前記ケージの第1の端部は前記内側伸長部材に結合され、前記ケージの第2の端部は前記外側伸長部材に結合される。
【0095】
[00105]項目15:前記医療機器において、前記内側伸長部材は中実の断面を有する。
【0096】
[00106]項目16:医療機器において、長軸を有するシャフトと、当該シャフトに結合されたケージであって、血管内に配置されるようなサイズを有し、血管内の物質を切削するように構成された複数の細長い切削部材を有し、前記ケージは第1の端部および第2の端部を有する、ケージと、当該ケージに結合されたフィルタとを具え、前記第1の端部、前記第2の端部、または前記第1の端部と第2の端部の両方は、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を変えるように前記シャフトの長軸に沿って移動可能であり、前記フィルタと前記ケージは、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の相対移動に応答して同時に拡張可能および/または折り畳み可能に構成される。
【0097】
[00107]項目17:前記医療機器において、前記切削部材のうちの第1の切削部材は、螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在する。
【0098】
[00108]項目18:前記医療機器において、前記切削部材のうちの第2の切削部材は、別の螺旋構成で前記ケージの第1の端部から前記ケージの第2の端部まで延在し、前記第1の切削部材の少なくとも一部は前記第2の切削部材の少なくとも一部と平行である。
【0099】
[00109]項目19:前記医療機器において、前記切削部材はそれぞれの切削エッジを有し、各切削エッジは、前記ケージが拡張構成にあるときに血管の壁に平行であるか、または血管の壁から離れる方向を向いている。
【0100】
[00110]項目20:前記医療機器において、前記切削部材のそれぞれの切削エッジは近位側に向いている。
【0101】
[00111]項目21:前記医療機器において、切削部材のそれぞれの切削エッジは遠位側に向いている。
【0102】
[00112]項目22:前記医療機器はさらに、制御部を有するハンドルを具え、この制御部は前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離を減少および/または増加させるように構成される。
【0103】
[00113]項目23:前記医療機器はさらに、前記ケージの近位側に結合されたバルーンを具え、当該バルーンは血管を閉塞するために拡張可能である。
【0104】
[00114]項目24:前記医療機器はさらに、ポートを有するチューブを具え、当該チューブは前記ケージを収容するように構成され、前記ケージは前記ポートを介してチューブを出るように前記チューブに対して遠位方向に移動可能である。
【0105】
[00115]項目25:前記医療機器はさらに、前記チューブの少なくとも一部を収容するように構成された管腔を有するバルーンカテーテルを具える。
【0106】
[00116]項目26:前記医療機器において、前記シャフトは、外側伸長部材と、内側に配置され前記外側伸長部材に対してスライド可能である内側伸長部材とを具える。
【0107】
[00117]項目27:前記ケージの第1の端部は前記内側伸長部材に結合され、前記ケージの第2の端部は前記外側伸長部材に結合される。
【0108】
[00118]項目28:前記内側伸長部材は中実の断面を有する。
【0109】
[00119]項目29:前記ケージは、当該ケージに外部応力が加えられていないときに自然に拡張した構成を有し、当該自然に拡張した構成にあるときに前記ケージは第1の断面寸法を有し、前記医療機器はさらに、前記ケージが前記第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するように、半径方向の力を加えて前記ケージをその自然に拡張した構成を超えて拡張させるように構成された制御部を有する。
【0110】
[00120]項目30:医学的方法において、チューブに結合された拡張バルーンを介して血管を閉塞するステップと、ケージが自然に拡張した構成をとるステップであって、前記ケージは複数の細長い切削部材を具え、前記自然に拡張した構成をとる動作は、前記ケージが血管内にあり、前記ケージが前記チューブの外部にあるときに前記ケージによって実行され、前記ケージが前記自然に拡張した構成にあるときに第1の断面寸法を有する、ステップと、前記ケージが増大した拡張構成をとるステップであって、この増大した拡張構成は前記第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するステップと、前記ケージの細長い切削部材を介して血管内の物質を切削するステップとを含む。
【0111】
[00121]項目31:この方法において、前記ケージは第1の端部および第2の端部を具え、前記ケージが増大した拡張構成をとる動作は、前記ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離の減少に応答して行われる。
【0112】
[00122]項目32:この方法はさらに、前記物質が切削された後に前記物質をフィルタによって捕捉するステップを含む。
【0113】
[00123]項目33:この方法はさらに、前記フィルタが拡張構成をとるステップを含み、このフィルタが拡張構成をとる動作と、前記ケージが自然に拡張した構成をとる動作は同時に実行される。
【0114】
[00124]項目34:この方法において、前記物質を切削する動作は、前記細長い切削部材のエッジをそれぞれ使用することを含み、ここで前記細長い切削部材のエッジは近位側に向いている。
【0115】
[00125]項目35:この方法において、前記物質を切削する動作は、前記細長い切削部材のエッジをそれぞれ使用することを含み、ここで前記細長い切削部材のエッジは遠位側を向いている。
【0116】
[00126]このように、本明細書に開示される医療機器の様々な実施形態に加えて、血管内腔内から物質を除去するためにそのような機器を使用する方法がさらに開示されており、限定しないが、チューブに結合された拡張バルーンを介して血管を閉塞するステップと、ケージが自然に拡張した構成をとるステップであって、このケージは複数の細長い切削部材を具え、前記自然に拡張した構成をとる動作は、ケージが容器内にあり、かつケージがチューブの外側にある間にケージによって実行され、ここでケージは自然に拡張した構成にあるとき第1の断面寸法を有するステップと、ケージがさらに拡張した拡張構成をとるステップであって、この拡張構成は第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有するステップと、ケージの細長い切削部材を介して血管内の物質を切削するステップとを含む1つの方法が含まれる。ケージは、第1の端部および第2の端部を具え、ケージがさらに拡張した拡張構成をとる動作は、ケージの第1の端部と第2の端部との間の距離の減少に応答して実行される。この方法はさらに、物質が切削された後、フィルタによって物質を補足するステップを含んでもよい。この方法は、フィルタが拡張構成をとるステップをさらに含むことができ、フィルタが拡張構成をとる操舵と、ケージが自然に拡張した構成をとる動作は同時に実行される。物質を切削する動作は、それぞれ細長い切削部材のエッジを使用することを含み、細長い切削部材のエッジは、近位または遠位に面している。
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