(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】注入流体の数量化
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240911BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20240911BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G16H10/00
A61M5/168 500
A61M5/142 530
(21)【出願番号】P 2022533629
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(86)【国際出願番号】 US2019065034
(87)【国際公開番号】W WO2021112880
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】508286762
【氏名又は名称】アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】ブレイズ ディー.ポーター
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038575(WO,A1)
【文献】特表2012-501807(JP,A)
【文献】特表2016-533799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119709(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0073274(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61M 3/00- 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
どれだけの造影剤が電動流体注入器によって患者体内へ注入されるかを数量化する方法であって、
前記電動流体注入器のコントローラにおいて、造影剤の供給を開始するためのコマンドを使用者から受信することと、
前記コントローラによって、前記患者の脈管と流体接続されて位置付けられた圧力センサからの血圧信号が存在するか否かを、測定することと、
前記電動流体注入器によって、前記コマンドに応答して所定量の造影剤を供給することと、
前記コントローラによって、前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在する場合
、前記
コマンドに応答して供給された造影剤の前記所定
量を前記患者体内へ注入された造影剤の注入量
として加算することと、
前記コントローラによって、前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在しない場合
、前記
コマンドに応答して供給された造影剤の前記所定
量を前記患者体内へ注入された造影剤の注入量
として加算するのを控えることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記コントローラによって前記血圧信号が存在するか否かを測定することが、前記コントローラによって、前記電動流体注入器が前記所定量の造影剤の供給を開始する前の予
め設定
された時間内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントローラによって前記血圧信号が存在するか否かを測定することが、更に、前記コントローラによって、前記電動流体注入器が前記所定量の造影剤の供給を完了した時点から予め設定
された時間内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コントローラによって前記血圧信号が存在するか否かを測定することが、前記コントローラによって、前記電動流体注入器が前記所定量の造影剤の供給を完了した時点から予
め設定
された時間内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に、前記注入量が予
め設定
された閾値を上回る場合通知を与えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
更に、前記コントローラによって、
前記圧力センサから受信した前記
血圧信号が有効な血圧信号を構成するか否かを測定するために前記圧力センサから受信した
前記血圧信号を評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
システムであって、
電動流体注入器と、
前記
電動流体注入器に流体接続可能なカテーテルであって
、前記カテーテルが患者の脈管内部に在りかつ前記電動流体注入器に接続されている圧力変換器と流体接続されている場合に限り血圧信号を与えるように構成される観血的血圧センサを含む、カテーテルと、
コントローラであって、
造影剤の供給を開始するためのコマンドを
使用者から受信し、
前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在するか否かを測定し、
前記コマンドに応答して前記電動流体注入器に所定量の造影剤を供給させ、
前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在する場合
、前記
コマンドに応答して供給された造影剤
の前記所定量を
前記患者体内へ注入された造影剤の注入量
として加算し、
前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在しない場合
、前記
コマンドに応答して供給された造影剤
の前記所定量を前記
患者体内へ注入された造影剤の注入量
として加算するのを控える、
ように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【請求項8】
前記コントローラが、前記コントローラが前記電動流体注入器に前記所定量の造影剤の供給を開始させる前の予
め設定
された時間内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することによって前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、更に前記コントローラが前記電動流体注入器に前記所定量の造影剤の供給を停止させる時点の予
め設定
された時間内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することによって、前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、前記コントローラが前記電動流体注入器に前記所定量の造影剤の供給を停止させる時点から予
め設定
された時間内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することによって、前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記カテーテルがガイドカテーテルを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記カテーテルが診断用カテーテルを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラが、更に、前記注入量が閾値を上回る場合前記使用者に通知するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、更に、
食塩水の供給を開始するための第2コマンドを前記使用者から受信し、
前記第2コマンドに応答して前記電動流体注入器に所定量の
食塩水を供給させ、
前記所定量の
食塩水が供給される時点付近に前記血圧信号が存在する場合、前記
第2コマンドに応答して供給された食塩水の前記所定量を前記患者体内へ注入された食塩水の注入量として加算し、
前記所定量の
食塩水が供給される時点付近に前記血圧信号が存在しない場合、前記
第2コマンドに応答して供給された食塩水の前記所定量を前記患者体内へ注入された食塩水の注入量として加算することを控える、
ように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラが、前記
観血的血圧センサからの前記血圧信号が有効な血圧信号を構成するか否かを測定するために前記観血的血圧センサからの
前記血圧信号を評価することによって血圧信号が存在するか否かを測定するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記
血圧信号を評価することが、前記
血圧信号の振幅及び/又は周期性を評価することを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
システムであって、
電動流体注入器と、
前記電動流体注入器に流体接続可能なカテーテルであって
、前記カテーテルが患者の脈管内部に在りかつ前記電動流体注入器に接続される圧力変換器と流体接続されているときのみ血圧信号を与えるように構成される観血的血圧センサを含む、カテーテルと、
コントローラであって、
造影剤の供給を開始するためのコマンドを使用者から受信し、
前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在するか否かを測定し、
前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在する場合に限り注入措置を取る、
ように構成された、コントローラと、
を備える、システム。
【請求項18】
前記注入措置が、
前記コマンドに応答して前記電動流体注入器に所定量の造影剤を供給させることと、
前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在する場合、前記
コマンドに応答して供給された造影剤
の前記所定量を
前記患者体内へ注入された造影剤の注入量
として加算することと、
を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、更に、前記電動流体注入器が前記所定量の造影剤を供給した後に前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成され、かつ
前記注入措置が、更に、前記所定量の造影剤が供給される前及び前記所定量の造影剤が供給された後の両方に前記血圧信号が存在する場合に限り前記
コマンドに応答して供給された造影剤
の前記所定量を前記
患者体内へ注入された造影剤の注入量
として加算することを含む、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラが、更に、前記注入量が閾値を上回る場合前記使用者に通知するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記電動流体注入器が、前記カテーテルに接続可能なチューブの中の気泡を検出するように構成された気泡検出器を備え、
前記コントローラが、更に、前記気泡が検出されたと言う前記気泡検出器からの気泡信号を受信するように構成され、
前記注入措置が、前記気泡に基づいて前記電動流体注入器が造影剤を供給することを防止することを含む、
請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記気泡に基づいて前記電動流体注入器が造影剤を供給することを防止した後、前記コントローラは、更に、
造影剤の供給を開始するための第2コマンドを前記使用者から受信し、
再び、前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在するか否かを測定し、
前記観血的血圧センサからの前記血圧信号がもはや存在しない場合に限り、前記第2コマンドに応答して前記気泡をパージするために前記電動流体注入器に所定量の造影剤を供給させる、
ように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラが、更に、前記カテーテルが患者の脈管内部に在りかつ前記圧力変換器と流体接続されているときに前記使用者が前記気泡をパージしようとしていることを前記使用者に通知するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療用注入テクノロジーの分野、特に患者体内へ注入された流体の量を数量化するための機器及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管造影など医療用画像化処置は、患者体内へ造影剤を注入することを伴う。血管造影は、血管の異常又は制限を含む心臓血管症状の診断及び治療に使用される処置である。血管造影中、心臓又は血管構造のX線画像は、カテーテルを通して患者の脈管(例えば、冠動脈)の中へ造影剤を注入することによって得られる。注入された造影剤は、注入が行われる血管と流通する脈管構造まで流れることができる。X線は、造影剤が注入された身体部位を通りぬける。X線は、造影剤によって吸収されて、造影剤が入っている脈管のX線アウトライン又は画像を生じる。造影剤注入は、光干渉性断層撮影(OCT)画像化、血管内超音波(IVUS)画像化、コンピュータ断層撮影(CT)画像化、磁気共鳴画像化(MRI)及び介入性機器処置/留置などの他の医療処置と一緒にも使用できる。
【0003】
電動流体注入器は、このような医療処置中に患者体内へ造影剤を注入するために利用できる。但し、従来の電動流体注入器は、どれだけの造影剤が実際に患者体内へ注入されるかを数量化できない。例えば、造影剤は、多様な理由で(例えば、流体ラインをパージするため、システムコンポーネントのウェットコネクトを実施するため、使用のために電動流体注入器を満たすため)電動流体注入器から供給されて、患者の脈管へ入ることがない。したがって、従来の電動流体注入器を使用する使用者(例えば、医師)には、患者体内へ注入された造影剤の量を概算することが残っている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において開示する実施形態は、電動流体注入器から供給される流体が、他の非注入目的に使用されるのではなく実際に患者体内へどれだけ注入されるかを数量化する。いくつかの実施形態は、供給済み流体が注入されたかされなかったかを、流体が供給された時点付近に観血的血圧センサが血圧信号を検出した(注入)かしなかった(非注入)かに基づいて、測定する。患者体内へ注入されたと測定される供給済み流体の量は、注入量に加算され、一方、患者体内へ注入されなかったと測定される供給済み流体の量は、注入量には加算されない。このような注入量の計算は、供給済み流体のどれだけが他の目的のためではなく患者体内へ注入されたかの客観的計測となる。このような客観的計測は、供給済み流体のどれだけが非注入目的に使用されたかを使用者が推定することより優れている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】電動流体注入器の1つの実施形態の斜視図である。
【
図2A】注入処置の一部として造影剤及び/又は非造影剤を供給するための例示的方法のフローチャートを示す図である。
【
図2B】電動流体注入器によって供給された造影剤のどれだけが患者体内へ注入され、どれだけの造影剤が注入されないかを数量化すための例示的方法のフローチャートを示す図である。
【
図2C】電動流体注入器によって供給された非造影剤のどれだけが患者体内へ供給され、どれだけが供給されないかを数量化するための例示的方法のフローチャートを示す図である。
【
図3】観血的圧力センサからの血圧信号が存在するか否かに基づいて注入措置を取るか否かを測定するための例示的方法のフローチャートを示す図である。
【
図4】電動流体注入器を含むシステムを作動するための例示的方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
下記の詳細な説明は、好ましい性質のものであり、いくつかの実際的な例証及び実施例を示す。当業者は、記載する実施例の多くが多様な適切な対案を持つことが分かるはずである。
【0007】
多様な好ましい流量計測技法を、添付図面に加えて下記の通りに示す説明を使用して、本明細書において開示する。本明細書において開示する技法の各々は、いくつかの実施例において、本明細書において開示する他の技法の1つ又はそれ以上(例えばその全て)から独立して又はこれと組み合わせて採用できる。
【0008】
図1は、電動流体注入器100の好ましい実施形態の斜視図である。作動時に、電動流体注入器100は、患者体内へ、例えばカテーテルを介して患者の血管の中へ、所定量の流体を注入できる。電動流体注入器100によって注入される流体は、例えば、造影剤、非造影剤(例えば食塩水)、又はその組合せとすることができる。所定量の流体を患者体内へ注入することによって、電動流体注入器100は、対象身体領域を表す画像データの集合を含めて、様々な診断及び/又は介入的処置を容易にできる。これらの処置は、例えば、光干渉断層撮影(OCT)画像化、血管内超音波(IVUS)画像化、コンピュータ断層撮影(CT)画像化、磁気共鳴画像化(MRI)、血管造影処置及び介入的機器処置/留置を含むことができる。
【0009】
図示する電動流体注入器100は、ドライブアセンブリハウジング102とスリーブ104とを含む。スリーブ104は、ドライブアセンブリハウジング102に固定できる。例えば、ドライブアセンブリハウジング102は、開口を含み、スリーブ104は、この開口に又はその付近でドライブアセンブリハウジング102を固定できる。スリーブ104は、ドライブアセンブリハウジング102から延びて、リザーバ106を受け入れてこれを保持するように構成できる。リザーバ106は、流体を収容する内部リザーバ容積を持つことができ、内部リザーバ容積内にプランジャ108を含むことができる。ドライブアセンブリの少なくとも一部分は、ドライブアセンブリハウジング102内に収容できる。
【0010】
ドライブアセンブリは、内部リザーバ容積内の流体を与圧するように構成できる。例えば、ドライブアセンブリは、ドライブアセンブリハウジング102の開口などにおいて、プランジャ108に結合でき、内部リザーバ容積内でプランジャ108を駆動できる。プランジャ108がリザーバ106内で徐々に駆動されるとき、内部リザーバ容積内の流体は、流体を脈管の中へ注入するために患者の血管の中へ挿入されるカテーテル126へ通じるチューブ109に沿って、リザーバ106から排出できる。電動流体注入器100の特定の応用において、排出される造影剤などの流体は、1000~1500psi(例えば、1200pai)に与圧できる。
【0011】
図示する電動流体注入器100の実施形態は、作動時に流体を与圧し送達するために有用ないくつかの特徴を含む。電動流体注入器100は、コントローラ110を含むことができる。コントローラ110は、様々な操作上の形態のためにユーザーインターフェイスを含むことができる。例えば、コントローラ110は、所与の注入処置のために使用するための様々なパラメータ及び/又はプロトコルを設定するために、使用者によって利用できる。1つの実施例において、使用者は、コントローラ110と対話して、流量、注入量(例えば、最大量)、注入圧力限界(例えば、上限)、流体注入時間、立上り時間及び/又はその他の注入パラメータなどの流体注入パラメータを入力できる。1つの実施形態において、コントローラ110は、使用者が注入パラメータを見て修正できるようにするタッチスクリーンパネルディスプレイを含む。コントローラ110は、又、電動流体注入器100を初期化するため(例えば、患者の流体注入のための準備をするため)又は特定の作動の特徴又はシーケンスを起動するためにも使用できる。コントローラ110は、又、過去又は現在進行中の注入処置に関する情報を含めてステータス情報並びに適切なアラートを与えることもできる。コントローラ110は、電動流体注入器100の作動を制御するための1つ又は複数のプロセッサを有するイメージングエンジンを含むことができる。この種のプロセッサは、ドライブアセンブリ、蠕動ポンプ112(存在する場合)、及び/又は電動流体注入器100に含まれるセンサ及び検出器などの他のコンポーネントを制御できる。
【0012】
コントローラ110に加えて、図示する電動流体注入器100は、使用者の入力のための手動制御機器113を含む。手動制御機器113は、無線で又は有線接続を介してコントローラ110に結合できる。但し、他の実施形態において、手動制御113は、ドライブアセンブリハウジング102などの、コントローラ110以外の電動流体注入器100のコンポーネントに接続できる。手動制御機器113は、注入処置に関する様々な信号を生成して、コントローラ110又は他の接続されたコンポーネントへ送信できる。使用者は、注入処置を制御するために手動制御機器113において1つ又は複数のインターフェイスコンポーネントを作動できる。例えば、使用者は、電動流体注入器100から排出される流体流量を変更するための可変制御機器として、及び/又は流体注入を開始または停止するための機構として、手動制御機器113を使用できる。
【0013】
電動流体注入器100は、又、注入処置において使用される流体を供給するために有用な1つ又は複数のコンポーネントも含むことができる。コンテナ114は、造影剤などの流体の供給源を含むことができ、電動流体注入器100においてホルダ116に固定できる。コンテナ114からの流体は、注入処置時に使用するためにリザーバ106へ供給できる。例えば、コンテナ114からの流体は、プランジャ108が引っ込められるとき(例えば、ドライブアセンブリハウジング102へ向かう方向に移動されるとき)リザーバ106の中へ引き入れられ、それによって内部リザーバ容量を補充できる。同様に、電動流体注入器100が蠕動ポンプ112を含む場合、第2コンテナ118は、洗浄媒体(例えば、食塩水)などの流体の供給源を含むことができ、電動流体注入器100においてホルダ120に固定できる。蠕動ポンプ112が存在する場合、蠕動ポンプは、第2コンテナ118から流体を受け取って、この流体を患者へ送達できる。しばしば、蠕動ポンプ112は、ドライブアセンブリがリザーバ106から造影剤を送達する圧力より低い圧力で、食塩などの非造影剤を送達するために使用できる。弁システム124は、リザーバ106あるいは蠕動ポンプ112を選択的に患者と流通させるために含めることができる。
【0014】
本明細書の他の場所において説明するように、電動流体注入器100のコントローラ110は、電動流体注入器100の様々な機能を制御でき、この中には、チューブから造影剤を供給することを含む。いくつかの実施形態において、コントローラ110は、ディスプレイ機器のハウジングの中に収容できる。いくつかの実施形態において、コントローラは、注入器ハウジングの中に収容できる。
【0015】
電動流体注入器は、患者の血管(例えば、冠動脈)の中へ挿入されるカテーテル126に流体的及び電気的に接続できる。このように接続されたとき、電動流体注入器は、注入器のチューブ及びカテーテル126を介して患者の脈管の中へ造影剤を注入するか又は非造影剤を供給できる。多くの実施形態において、カテーテル126は、観血的血圧センサを含むことができる。血圧センサは、電動流体注入器がカテーテル126に接続されるときコントローラと電気的に通信できる。血圧センサは、カテーテル126が電動注入器と流体接続されているときコントローラへ血圧信号を与えることができ、カテーテル126が電動流体注入器と流体接続されていないとき血圧信号を与えることができない。
【0016】
図2A~2Cは、注入処置時に電動流体注入器を介して患者体内へ注入された流体(造影剤及び/又は非造影剤)の量を数量化するための方法200を図解する。注入処置は、注入設備を準備する及び患者が充分に準備されていることを確認するなどのステップから開始する210。多くの例において、注入処置は、医療的介入の一部として患者に実施される複数の処置の1つである。患者の血管の中へ挿入されるカテーテルは、患者に対して他の様々な処置を実施するために電動流体注入器以外の設備によってアクセスできる。いくつかの例において(例えば、心臓カテーテルラボにおいて)、医療的介入における他の処置の間に複数の注入処置が介在する場合がある。
【0017】
様々な例において、患者体内へ注入されない造影剤を電動流体注入器から供給できる。例えば、電動流体注入器は、システムから全ての気泡をパージするとき廃棄物入れの中へ又は手術台へ(患者の血管の中ではなく)造影剤を供給できる。このようなパージは、ラインから空気を除去しなければならないとき(例えばキャビテーション、接続不良、初期設定、カテーテル交換(例えば診断用から介入用へ)、介入のための微小カテーテルの追加など)いつでも行われる。いくつかの例において、使用者は、まず食塩水を流し、次に造影剤を流すことができる。別の実施例において、使用者は、注入器チューブから食塩水を押し出すために造影剤を供給できる(例えば、血圧信号を改善するためにチューブに食塩水が充填された場合)。別の実施例において、使用者は、注入システムの2つのコンポーネントの間のウェットコネクト(例えば、注入器チューブから患者の血管に挿入されているカテーテルへ、ストップコックから圧力ラインへ、ストップコックからカテーテルへ、など)を容易にするために、電動流体注入器が少量の造影剤を注入するようにできる。別の実施例において、ユーザーは、造影剤を廃棄物入れの中へ又は手術台へ(患者の血管の中ではなく)供給することによってシステムをテストできる(例えば、漏出について)。同様の目的のために、非造影剤を、電動流体注入器から患者の脈管の中以外に供給できる。
【0018】
コントローラは、注入処置(例えば、医療用画像化処置)のために流体の供給を開始するためのコマンドを、使用者(例えば心臓医)から受信できる212。使用者は、手動コントローラを介して、タッチスクリーンを介して又は別の適切な入力機器を介して、コントローラへコマンドを与えることができる。いくつかの例において、コマンドは、注入器を通じて自動化できる。コントローラは、使用者のコマンドが造影剤の供給を開始するためのものか非造影剤の供給を開始するためのものかを測定できる214。
図2Bは、コマンドが造影剤の供給を開始するためのものであった場合にコントローラができることの1つの実施形態を示す。
図2Cは、コマンドが非造影剤の供給を開始するためのものであった場合にコントローラができることの1つの実施例を示す。
【0019】
コントローラは、供給された流体のどれだけが実際にカテーテルを介して患者の血管の中へ送達されたかを測定できる。コントローラは、供給された流体全体のどれだけが患者の脈管の中へ送達されなかったかについての使用者による推定に依存せずに、患者の脈管の中へ送達された流体の量を計測できる。
【0020】
所定量の流体が患者の脈管の中へ送達されるか否かを測定するために、コントローラは、患者の脈管と流体接続している観血的圧力センサからの血圧信号が存在するか否かを測定できる。上述のように、いくつかの実施形態において、圧力センサは、患者の脈管内に位置付けられるカテーテルと流体接続できる。いくつかの実施形態において、カテーテルは、ガイドカテーテルとすることができる。いくつかの実施形態において、カテーテルは、診断用カテーテルとすることができる。
【0021】
圧力センサは、カテーテルが電動流体注入器のチューブに接続されこれと流体接続されているときのみコントローラへ血圧信号を与えるように構成できる。圧力センサは、コントローラと電気的に通信する。注入処置の予備ステップが完了し、使用者が所定量の流体を患者の脈管の中へ送達する準備が整ったら、患者の脈管内に位置付けられるカテーテルを電動流体注入器のチューブと接続してこれと流体接続することができる。この接続前に、圧力センサは、血圧信号をコントローラへ送信できない。この接続後、圧力センサが患者の脈管と流体接続され、コントローラと電気的に通信して、圧力センサは、患者の血圧を検出して、血圧信号をコントローラへ与えることができる。カテーテルが電動流体注入器から切断されると、圧力センサは、圧力センサがもはやカテーテルと流体接続していないので、血圧信号を送ることができない。
【0022】
いくつかの例において、コントローラは、電動流体注入器が流体の供給を開始する時点付近に血圧信号が存在するか否かを測定できる。例えば、コントローラは、電動流体注入器に所定量の流体の供給を開始させる前に、血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる。このような実施例において、コントローラは、流体の供給を開始するためのコマンドを使用者から受信し、電動流体注入器に所定量の流体の供給を開始させる前に血圧信号が存在するかどうかを測定できる。いくつかの実施例によれば、コントローラは、電動流体注入器に所定量の流体の供給を停止させた後に血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる。このような実施例において、コントローラは、流体の供給を停止するためのコマンドを使用者から受信し、血圧信号が存在するか否かを測定する前に電動流体注入器に所定量の流体の供給を停止させることができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、コントローラは、電動流体注入器が流体の供給を開始する時点の予設定時間量以内に血圧信号が存在するか否かを測定できる。コントローラは、電動流体注入器に所定量の流体を供給させするときから予設定時間量(例えば、20~30ミリ秒)以内に血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる。いくつかの例において、コントローラは、コントローラが電動流体注入器に所定量の流体の供給を開始させる前の予設定時間量以内に血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる。いくつかの例において、コントローラは、電動流体注入器が所定量の流体の供給を完了したときから予設定時間量以内に血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる。
【0024】
いくつかの実施形態において、コントローラは、注入処置中に血圧信号が存在するか否かを複数回測定できる。様々な例において、コントローラは、コントローラが電動流体注入器に所定量の流体の供給を開始させる前の第1予設定時間量以内に及びコントローラが電動流体注入器に所定量の流体の供給を停止させる時点の第2予設定時間量以内に血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる。いくつかの例において、コントローラは、電動流体注入器が所定量の流体の供給を完了する時点の予設定時間量以内に血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる。複数の時点にこれらの測定を行うことは、カテーテルが実際に電動流体注入器に接続されていることを使用者及び/又はコントローラに確認させることができ、注入量を不正確に表化することを抑止できる。この特徴は、特に、流体の供給を複数回必要とする注入処置において役立つ可能性がある。例えば、所定量の流体の供給前及び後に血圧信号が存在する場合、コントローラは、患者体内へ流体が送達されたと結論付けることができる。所定量の流体の供給前には血圧信号が存在するがその後には存在しない場合又は後には存在するが前には存在しない場合、コントローラは、造影剤が患者体内へ送達されたと結論付けることはできない。
【0025】
図2Bを見ると、コントローラは、ユーザーのコマンドに応答して電動流体注入器に所定量の造影剤を供給させることができる216。コントローラは、血圧センサからの血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる218。コントローラは、造影剤の供給に関連する血圧信号が存在するか否かに基づいて患者体内へ実際に注入される造影剤の注入量を測定できる。コントローラは、有効な血圧信号の属性(例えば、固有の振幅、固有の周期性など)と一致する1つ又は複数の属性を持つかどうかを測定するために圧力センサから受信した圧力信号を評価できる。コントローラは、所定量の造影剤が供給される時点付近に血圧信号が存在しない場合、供給済み造影剤の量を注入量に加算することを控えるように構成できる。この例において、血圧信号が存在しない場合、コントローラは、所定量の造影剤が患者体内に注入されなかったと結論付けることができ220、所定量の造影剤を注入量に加算するのを控えることができる222。コントローラは、所定量の流体が供給される時点付近に血圧信号が存在する場合、供給済み造影剤の量を注入量に加算するように構成できる。このような例において血圧信号が存在する場合、コントローラは、所定量の造影剤が患者の体内に注入されたと結論付けて226、所定量の造影剤を注入量に加算して継続できる228。したがって、血圧信号の有無に基づいて供給済み造影剤の量を注入量に加算する又は加算を控えることによって、注入量は、正確に、どれだけの造影剤が実際に患者体内へ注入されたかを反映できる。
【0026】
既述のように、いくつかの実施例において、コントローラは、圧力信号が有効な血圧信号を構成するかどうか測定するために、圧力センサから受信した圧力信号を評価できる。コントローラは、圧力信号の振幅を評価できる(例えば、この振幅を典型的な血圧信号の振幅と比較できる)。コントローラは、圧力信号の周期性を評価できる(例えば、この周期性を典型的な血圧信号の周期性と比較できる)。いくつかの実施例において、コントローラは、圧力信号の振幅及び周期性の両方を評価できる。
【0027】
コントローラは、患者体内へ過剰な造影剤を注入することから保護するために注入量を予設定閾値と比較することを可能にできる。コントローラは、注入量が予設定閾値を上回るか否かを測定できる230。予設定閾値は、注入処置に使用されるタイプの造影剤の有害量と関連付けられる合併症に基づくことができる。このような合併症には、患者への造影剤の過剰注入に関連付けられる造影剤誘発腎症(CIN)が含まれる。いくつかの実施形態において、コントローラは、注入量が予設定閾値を上回る場合使用者に通知するように構成できる(例えば、ユーザーインターフェイスを介して)。注入量が予設定閾値を上回ったとき、コントローラは、通知を与えることができる232。いくつかの例において、通知があるとき、注入処置は、終了できる234。いくつかの例において、注入量が患者に有害となるようなレベルにどれだけ近づいているかに応じて複数の通知があり得る。いくつかの実施形態において、使用者は、注入処置時に患者の脈管の中へ造影剤を徐々に注入でき、好ましくない量の造影剤が患者へ注入される前に通知を受けることができる。
【0028】
注入処置中の様々な時点で、使用者は、注入処置を継続するか否かを決めることができる224。注入処置を継続するためには、使用者は、流体の供給を開始するためのコマンドを再びコントローラに与えることができ(
図2Aの212)、処置は説明通りに継続できる。例えば画像化が完了した後、注入処置を中止するためには、使用者は、注入処置を終了でき234、それ以上の造影剤を患者体内へ注入しない。注入処置が終了したとき234、実際に患者体内へ注入された合計量の造影剤に合致する最終注入量は、患者に提示でき、その後患者の医療記録に提示できる。
【0029】
図2Cを見ると、コントローラは、コマンドに応答して電動流体注入器に所定量の非造影剤を供給させることができる236。コントローラは、血圧センサからの血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる238。コントローラは、非造影剤の供給に関連して血圧信号が存在するか否かに基づいて実際に患者体内へ供給される非造影剤の供給済み量を測定できる。コントローラは、有効な圧力信号の属性(例えば、固有の振幅、固有の周期性など)と合致する1つ又は複数の属性を持つかどうかを測定するために、圧力センサから受信した圧力信号を評価できる。コントローラは、所定量の非造影剤が供給される時点付近に血圧信号が存在しない場合、供給済み非造影剤の量を供給済み量に加算するを控えるように構成できる。このような例において血圧信号が存在しないとき、コントローラは、所定量の非造影剤が患者体内へ供給されなかったと結論付けることができ240、所定量の非造影剤を供給済み量に加算することを控えることができる242。コントローラは、所定量の非造影剤が供給される時点付近に血圧信号が存在する場合、所定量の供給済み非造影剤を供給済み量に加算するように構成できる。このような例において血圧信号が存在するとき、コントローラは、所定量の非造影剤が患者体内へ供給されたと結論付けて246、所定量の非造影剤を供給済み量に加算して継続できる248。したがって、血圧信号の有無に基づいて所定量の供給済み非造影剤の量を供給済み量に加算する又は加算を控えることによって、供給済み量は、実際にどれだけの非造影剤が患者体内へ供給されたかを正確に反映できる。
【0030】
コントローラは、患者体内へ過剰な非造影剤を注入することから保護するために、注入量を予設定閾値と比較可能にできる。コントローラは、供給済み量が予設定閾値を上回るか否かを測定できる250。いくつかの実施形態において、供給済み量が予設定閾値を上回る場合、コントローラは、使用者にこれを通知するように(例えば、ユーザーインターフェイスを介して)構成できる。供給済み量が予設定閾値を上回るとき、コントローラは、通知を与えることができる252。いくつかの例において、通知が与えられたとき、注入処置は終了できる254。いくつかの例において、供給済み量が患者に有害になりかねないレベルにどれだけ近づきつつあるかに応じて、複数の通知を与えることができる。いくつかの実施形態において、使用者は、注入処置時に患者の脈管の中へ非造影剤を徐々に供給でき、好ましくない量の非造影剤を患者体内へ供給する前に通知を受けることができる。
【0031】
既述のように、注入処置の様々な時点に、使用者は、注入処置を継続するか否かを決めることができる244。注入処置を継続するためには、使用者は、流体の供給を開始するためのコマンドを再びコントローラへ与えることができ(
図2Aの212)、処置は、上述のように継続できる。例えば画像化が完了した後に注入処置を中止するためには、使用者は、注入処置を終了でき254、患者体内にそれ以上の非造影剤を供給しない。注入処置が終了したとき234、実際に患者体内へ供給された非造影剤の合計量に合致する最終供給済み量は、使用者に、及びその後患者の医療記録に提示できる。
【0032】
いくつかの実施形態において、コントローラは、流体が電動流体注入器から供給されるときリアルタイムに注入量及び/又は供給済み量を表化できる。いくつかの実施形態において、コントローラは、流体が電動流体注入器から供給されているとき流体が患者の脈管の中へ送達されているか否かを測定できる(例えば、供給の直前又は直後に観血的血圧センサからの血圧信号が存在するか否かに基づいて)。いくつかの実施形態において、コントローラは、リアルタイムに(例えば、ユーザーインターフェイスを介して)注入量及び/又は供給済み量を使用者に表示することができる。使用者は、表示された注入量及び/又は供給済み量に基づいて患者の脈管への流体の送達を継続するか否かを決定できる。いくつかの実施形態において、注入量及び/又は供給済み量並びに予設定閾値は、使用者に表示できる。多くの実施形態において、コントローラは、流体が患者体内へ送達されないときこれを指定する(例えば、ユーザーインターフェイスのパージボタンを押すことによって)ように使用者に要求するのではなく、自動的に、注入量及び/又は供給済み量から患者体内へ送達されない流体を除外できる。いくつかの実施形態において、コントローラは、どれだけの造影剤が実際に患者の脈管の中へ注入されたかを捕捉して注入量を提示し、どれだけの非造影剤が実際に患者脈管の中へ供給されたかを捕捉して供給済み量を提示できる。いくつかのこのような実施形態において、コントローラは、流体が電動流体注入器から供給されているとき注入量及び供給済み量の現在合計量を提示できる。
【0033】
注入量及び/又は供給済み量は、患者のための医療的介入が完了したときリセットできる。単一の医療的介入において複数の注入処置がある状況において、注入量及び/又は供給済み量は、医療的介入時の全ての注入処置において患者の脈管内へ送達された各種の流体全てを(例えば、別個の合計注入量及び供給済み量)を反映できる。いくつかのこのような例において、注入量及び/又は供給済み量は、各種の流体がどれだけが注入処置の各々において送達されたかを反映するために分類できる。
【0034】
本明細書において論じる注入システムのコントローラは、システムに様々な機能を実施させることができる。
図3は、コントローラが注入システムを機能させることができる方法300を示す。いくつかの実施形態において、注入処置は、本明細書において他の場所で論じたのと同様に開始する310。コントローラは、流体(例えば、造影剤又は非造影剤)の供給を開始するためのコマンドをユーザーから受信できる312。コントローラは、観血的血圧センサからの血圧信号が存在するか否かを測定できる314。コントローラは、有効な血圧信号の属性と一致する1つ又は複数の属性(固有の振幅、固有の周期性など)を持つかどうかを測定するために圧力センサから受信した圧力信号を評価できる。コントローラが血圧信号が実際に存在すると測定する場合、コントローラは、注入措置を取ることができる316。多くの実施形態において、コントローラは、観血的圧力センサからの血圧信号が存在する場合に限り注入措置を取ることができる316。コントローラが血圧信号が存在しないと測定する場合、コントローラは、注入措置を取るのを控えることができる318。
【0035】
様々な実施形態において、注入措置は、様々な措置の取り合わせとすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、注入措置は、流体の供給を開始するためのコマンドに応答して電動流体注入器に所定量の流体を注入させることを含むことができる。このような実施形態において、注入措置は、所定量の流体が供給される時点付近に血圧信号が存在する場合、所定量の流体をカウント量に加算することを含むことができる。いくつかの実施形態において、コントローラは、患者の脈管の中へ実際に送達された流体のカウント量を比較して、注入量が閾値を上回る場合使用者に知らせるように構成できる。
【0036】
本明細書の他の場所で記述するように、いくつかの実施形態において、コントローラは、流体の供給の前及び後の両方に、カテーテルが患者の脈管内部に在りかつ電動流体注入器に接続された圧力変換器と流体接続されていることを確認できる。コントローラは、電動流体注入器が所定量の流体を供給した後に観血的血圧センサからの血圧信号が存在するか否かを測定するように構成できる。このような実施形態において、注入措置は、所定量の流体の供給前及び所定量の流体の供給後の両方に血圧信号が存在する場合に限り、供給済み流体の量をカウント量に加算することを含むことができる。
【0037】
いくつかの電動流体注入器は、カテーテルに接続可能なチューブの中の気泡を検出するように構成される気泡検出器を含む。このような気泡を患者に送達すると、重大な悪い結果を生じる可能性がある。このような例において、コントローラは、気泡が検出されたと言う気泡信号を気泡検出器から受信するように構成できる。このような実施形態において、注入措置は、気泡に基づいて電動流体注入器が流体を供給するのを防止することを含むことができる。いくつかの実施形態において、コントローラは、カテーテルが患者の脈管内にあり圧力変換器と流体接続されている状態で気泡をパージしようとしていることを使用者に通知するように構成できる。
【0038】
いくつかの例において、コントローラは、気泡に基づいて電動流体注入器が流体を供給するのを防止した後に付加的措置を実施できる。例えば、使用者は、患者のカテーテルを電動流体注入器から切断して、電動流体注入器チューブから気泡をパージするための第2コマンドを入力できる。コントローラは、流体の供給を開始するための使用者からの第2コマンドを受信できる。コントローラは、その後、観血的血圧センサからの血圧信号が存在するか否かを再び測定できる。コントローラは、観血的血圧センサからの血圧信号がもはや存在しない場合に限り、第2コマンドに応答して気泡をパージするために電動流体注入器に所定量の流体を供給させることができる。
【0039】
本明細書において論じる他の方法と同様、
図4の方法は、注入処置を開始することから始まる410。電動注入システムのコントローラは、流体(例えば、造影剤又は非造影剤)の供給を開始するためのコマンドを受信できる412。電動流体システムが流体を供給する前に、コントローラは、観血的圧力センサからの血圧信号が存在するか否かを測定できる414。コントローラは、有効な血圧信号の属性(例えば、固有の振幅、固有の周期性など)と一致する1つ又は複数の属性を持つかどうかを測定するために圧力センサから受信した圧力信号を評価できる。血圧信号がなければ、コントローラは、患者のカテーテルが電動流体注入器の患者チューブに接続されておらず、電動流体注入器によって供給された流体が患者の脈管の中へ送達されないと、推論できる。このような例において、コントローラは、電動流体注入器に要請された流体の供給を続行させることができる416が、コントローラは、患者の脈管の中へ送達されるものとしてカウントされる量(例えば、患者の脈管の中へ注入された造影剤の注入済み量又は患者の脈管の中へ供給された非造影剤の供給済み量)に流体の供給済み量を加算することを控えることができる418。
【0040】
コントローラが、流体の供給を開始するためのコマンドを受信し412、観血的圧力センサからの血圧信号が実際に存在すると測定する場合414、コントローラは、コマンドに応答して電動流体注入器に流体を供給させる前に1つ又は複数の付加的測定を行うことができる。例えば、コントローラは、気泡検出器からの気泡信号が存在するか否かを測定できる420。いくつかの例において、使用者は、患者のカテーテルが電動流体注入器から切断されていると誤解して、電動流体注入器のどこかから1つ又は複数の気泡をパージするための措置を取る可能性がある。流体の供給を開始するための使用者のコマンド412が気泡をパージすることが目的である場合、コントローラは、この間違いを自動的に検出して、使用者のコマンドにもかかわらず、電動流体注入器が流体を供給するのを防止できる422。このような例において、コントローラは、患者のカテーテルが電動流体注入器のチューブと流体接続されているのに使用者が気泡をパージしようとしていること、したがって電動流体注入器は流体を供給することが許容されないことを使用者に通知できる424。コントローラが、気泡検出器からの気泡信号がないと測定する場合420、コントローラは、使用者からのコマンドに応答して、電動流体注入器による所定量の流体の供給を続行できる426。
【0041】
いくつかの実施形態において、コントローラは、もう一度、電動流体注入器が流体の供給を停止した後に観血的圧力センサからの血圧信号が存在するか否かを測定できる428。コントローラは、有効な血圧信号の属性(例えば、固有の振幅、固有の周期性)と一致する1つ又は複数の属性を持つかどうかを測定するために圧力センサから受信した圧力信号を評価できる。血圧信号がもはや存在しない場合、コントローラは、供給済み流体の量をカウント量に加算するのを控える418。一方、血圧信号がまだ存在する場合、コントローラは、供給済み流体の量をカウント量に加算できる430。いくつかの実施形態において、本明細書の他の場所で論じたように、コントローラは、カウント量を予設定閾値と比較して、カウント量が閾値を上回る場合にはこれを使用者に通知するように構成できる432。
【0042】
非一時的コンピュータ可読記憶製品の実施形態も、本明細書において論じる方法のいずれにも使用できる(例えば、電動流体注入器によってどれだけの流体が患者体内へ送達されるかを数量化する)。このような非一時的コンピュータ可読記憶製品の様々な実施形態において、図面のいずれかを参照して上に示す詳細の1つ又はそれ以上を、非一時的イコンピュータ可読記憶製品に記憶されたコンピュータ実行可能命令において実現できる。本明細書において使用する場合、「非一時的」は、データ記憶の持続性に関する限定ではなく媒体自体の限定(例えば、信号ではなく有形のもの)であると解釈すべきである(例えば、RAM対ROM)。
【0043】
様々な実施例について、開示する特定の実施形態を参照して説明した。実施形態は、限定のためではなく例証のために紹介する。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更、改造及び修正を加えることができることが分かるだろう。本発明の態様の一部を以下記載する。
[態様1]
どれだけの造影剤が電動流体注入器によって患者体内へ注入されるかを数量化する方法であって、
前記電動流体注入器のコントローラにおいて、造影剤の供給を開始するためのコマンドを使用者から受信することと、
前記コントローラによって、前記患者の脈管と流体接続されて位置付けられた圧力センサからの血圧信号が存在するか否かを、測定することと、
前記電動流体注入器によって、前記コマンドに応答して所定量の造影剤を供給することと、
前記コントローラによって、前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在する場合前記所定量の造影剤を注入量に加算することと、
前記コントローラによって、前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在しない場合前記所定量の造影剤を前記注入量に加算するのを控えることと、
を含む、方法。
[態様2]
前記コントローラによって前記血圧信号が存在するか否かを測定することが、前記コントローラによって、前記電動流体注入器が前記所定量の造影剤の供給を開始する前の予設定時間量以内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することを含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記コントローラによって前記血圧信号が存在するか否かを測定することが、更に、前記コントローラによって、前記電動流体注入器が前記所定量の造影剤の供給を完了した時点から予設定時間量以内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することを含む、態様2に記載の方法。
[態様4]
前記コントローラによって前記血圧信号が存在するか否かを測定することが、前記コントローラによって、前記電動流体注入器が前記所定量の造影剤の供給を完了した時点から予設定時間量以内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することを含む、態様1に記載の方法。
[態様5]
更に、前記注入量が予設定閾値を上回る場合通知を与えることを含む、態様1に記載の方法。
[態様6]
更に、前記コントローラによって、前記圧力信号が有効な血圧信号を構成するか否かを測定するために前記圧力センサから受信した圧力信号を評価することを含む、態様1に記載の方法。
[態様7]
システムであって、
電動流体注入器と、
前記流体注入器に流体接続可能なカテーテルであって、前記カテーテルが、前記カテーテルが患者の脈管内部に在りかつ前記電動流体注入器に接続されている圧力変換器と流体接続されている場合に限り血圧信号を与えるように構成される観血的血圧センサを含む、カテーテルと、
コントローラであって、
造影剤の供給を開始するためのコマンドをユーザーから受信し、
前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在するか否かを測定し、
前記コマンドに応答して前記電動流体注入器に所定量の造影剤を供給させ、
前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在する場合前記所定量の造影剤を注入量に加算し、
前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在しない場合前記所定量の造影剤を前記注入量に加算するのを控える、
ように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
[態様8]
前記コントローラが、前記コントローラが前記電動流体注入器に前記所定量の造影剤の供給を開始させる前の予設定時間量以内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することによって前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成される、態様7に記載のシステム。
[態様9]
前記コントローラが、更に前記コントローラが前記電動流体注入器に前記所定量の造影剤の供給を停止させる時点の予設定時間量以内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することによって、前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成される、態様8に記載のシステム。
[態様10]
前記コントローラが、前記コントローラが前記電動流体注入器に前記所定量の造影剤の供給を停止させる時点から予設定時間量以内に前記血圧信号が存在するか否かを測定することによって、前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成される、態様7に記載のシステム。
[態様11]
前記カテーテルがガイドカテーテルを備える、態様7に記載のシステム。
[態様12]
前記カテーテルが診断用カテーテルを備える、態様7に記載のシステム。
[態様13]
前記コントローラが、更に、前記注入量が閾値を上回る場合前記使用者に通知するように構成される、態様7に記載のシステム。
[態様14]
前記コントローラが、更に、
非造影剤の供給を開始するための第2コマンドを前記使用者から受信し、
前記第2コマンドに応答して前記電動流体注入器に所定量の非造影剤を供給させ、
前記所定量の非造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在する場合、前記所定量の非造影剤を供給済み量に加算し、
前記所定量の非造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在しない場合、前記所定量の非造影剤を前記供給済み量に加算することを控える、
ように構成される、態様7に記載のシステム。
[態様15]
前記コントローラが、前記圧力信号が有効な血圧信号を構成するか否かを測定するために前記観血的血圧センサからの圧力信号を評価することによって前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成される、態様7に記載のシステム。
[態様16]
前記圧力信号を評価することが、前記圧力信号の振幅及び/又は周期性を評価することを含む、態様15に記載のシステム。
[態様17]
システムであって、
電動流体注入器と、
前記電動流体注入器に流体接続可能なカテーテルであって、前記カテーテルが、前記カテーテルが患者の脈管内部に在りかつ前記電動流体注入器に接続される圧力変換器と流体接続されているときのみ血圧信号を与えるように構成される観血的血圧センサを含む、カテーテルと、
コントローラであって、
造影剤の供給を開始するためのコマンドを使用者から受信し、
前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在するか否かを測定し、
前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在する場合に限り注入措置を取る、
ように構成された、コントローラと、
を備える、システム。
[態様18]
前記注入措置が、
前記コマンドに応答して前記電動流体注入器に所定量の造影剤を供給させることと、
前記所定量の造影剤が供給される時点付近に前記血圧信号が存在する場合、前記所定量の造影剤を注入量に加算することと、
を含む、態様17に記載のシステム。
[態様19]
前記コントローラが、更に、前記電動流体注入器が前記所定量の造影剤を供給した後に前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在するか否かを測定するように構成され、かつ
前記注入措置が、更に、前記所定量の造影剤が供給される前及び前記所定量の造影剤が供給された後の両方に前記血圧信号が存在する場合に限り前記所定量の造影剤を前記注入量に加算することを含む、
態様18に記載のシステム。
[態様20]
前記コントローラが、更に、前記注入量が閾値を上回る場合前記使用者に通知するように構成される、態様18に記載のシステム。
[態様21]
前記電動流体注入器が、前記カテーテルに接続可能なチューブの中の気泡を検出するように構成された気泡検出器を備え、
前記コントローラが、更に、前記気泡が検出されたと言う前記気泡検出器からの気泡信号を受信するように構成され、
前記注入措置が、前記気泡に基づいて前記電動流体注入器が造影剤を供給することを防止することを含む、
態様17に記載のシステム。
[態様22]
前記気泡に基づいて前記電動流体注入器が造影剤を供給することを防止した後、前記コントローラは、更に、
造影剤の供給を開始するための第2コマンドを前記使用者から受信し、
再び、前記観血的血圧センサからの前記血圧信号が存在するか否かを測定し、
前記観血的血圧センサからの前記血圧信号がもはや存在しない場合に限り、前記第2コマンドに応答して前記気泡をパージするために前記電動流体注入器に所定量の造影剤を供給させる、
ように構成される、態様21に記載のシステム。
[態様23]
前記コントローラが、更に、前記カテーテルが患者の脈管内部に在りかつ前記圧力変換器と流体接続されているときに前記使用者が前記気泡をパージしようとしていることを前記使用者に通知するように構成される、態様21に記載のシステム。