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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】レチノールベースの美容液
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20240911BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20240911BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240911BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/81
A61K8/33
A61Q1/00
A61Q19/08
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022537880
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020068389
(87)【国際公開番号】W WO2021121677
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】1915331
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ランベール,サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フェスティンガー,グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】エイロー,ソニア
(72)【発明者】
【氏名】ブロワサール,シャルロット
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-193019(JP,A)
【文献】特開2013-189397(JP,A)
【文献】特開2003-292414(JP,A)
【文献】特開2000-178133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0014166(US,A1)
【文献】特表2016-500113(JP,A)
【文献】Biodegradable chelating agents for industrial, domestic, and agricultural applications--a review,Environmental Science and Pollution Research,Vol.21,2014年,pp.11893-11906
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型乳化ゲルの形態の組成物であって、
レチノール;
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル;
少なくとも1つのエチレンジアミンジコハク酸塩;
なくとも1つのポリオール、該ポリオールは、前記組成物の総重量に対して11重量%~25重量%の含有量で存在する
少なくとも1つの親水性ゲル化剤;
ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C16アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとから生成される少なくとも1つの化合物であって、少なくとも2つのエチレンオキシド基を含む該化合物;
10~40個の炭素原子を含む少なくとも1つの不揮発性エーテル油、該少なくとも1つの不揮発性エーテル油は、前記組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の含有量で存在する;並びに、
少なくとも1つの不揮発性モノエステル油、該少なくとも1つの不揮発性モノエステル油は、前記組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の含有量で存在する、
を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量に対して、0.02重量%~5.0重量%のレチノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%のエチレンジアミンジコハク酸塩を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレンジアミンジコハク酸塩が、カリウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩、並びにエチレンジアミン二コハク酸のアミン塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル/エチレンジアミンジコハク酸塩の質量比が1.5~5である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の総重量に対して、13重量%~20重量%の1以上のポリオールを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記1以上のポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも2つの異なるポリオールを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくともグリセロールと、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリオールとを含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記1以上の親水性ゲル化剤が、架橋された及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、多糖類、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも2つの異なる親水性ゲル化剤を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C16アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとから生成される前記化合物であって、少なくとも2つのエチレンオキシド基を含む該化合物が、ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C14アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとから生成される化合物であって、6~10個のエチレンオキシド基を含む該化合物から選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
10~40個の炭素原子を含む前記不揮発性エーテル油が、ジカプリリルエーテルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記不揮発性モノエステル油が、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル、及び/又はネオペンタノン酸オクチル-2-ドデシルから選択される、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
10~40個の炭素原子を含む不揮発性エーテル油及び不揮発性モノエステル油以外の不揮発性油を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
脂肪相が、前記組成物の総重量に対して、2.0重量%~20重量%の含有量で存在することを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの界面活性剤をまた含むことを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
ケラチン物質をケアする為の化粧品組成物であることを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
ケラチン物質をメークアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法であって、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物を前記ケラチン物質に施与する工程を少なくとも含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質をケアする為の及び/又はメークアップする為の分野に、特には、ケラチン物質、特に皮膚、のアンチエイジングケア(antiaging care)に、関する。
【0002】
本発明の目的の為に、語「ケラチン物質」はとりわけ、皮膚、唇及び/又はまつげ、特に皮膚及び/又は唇、好ましくは体の皮膚及び/又は顔の皮膚、より好ましくは顔の皮膚、を意味する。
【0003】
皮膚老化(Skin aging)は、皮膚に対する内因性要因及び外因性要因の影響から結果として生じる。老化の過程で、皮膚の構造及び機能における有害な変化が現れる。皮膚代謝のこれらの変化による主な臨床的兆候は、しわ及び細い線の出現であり、その原因は組織のたるみ及び弾力性の喪失である。
【0004】
その上、皮膚における変化をもたらす内因性の老化はとりわけ、皮膚細胞の再生の減速をもたらし、それは本質的に、有害な臨床的変化の出現、例えば、皮下脂肪組織の減少及び小さなしわ若しくは細い線の出現、によって、及び組織病理学的変化、例えば、弾性繊維の数及び太さの増加、弾性組織の膜からの垂直繊維の喪失、及びこの弾性組織の細胞における大きな不規則な線維芽細胞の存在、によって、反映される。
【背景技術】
【0005】
老化と戦うことができる活性剤を含む化粧品又は皮膚科学的組成物を使用して皮膚老化のこれらの兆候を処置することは既知の慣行であり、ここで、そのうちのレチノイドは活性剤の既知のファミリーを表す。
【0006】
レチノイドファミリーの化合物の中で、ビタミンAの形態の一つであるレチノールが特に興味深い。具体的には、レチノールは人体の天然の内因性成分である。さらに、レチノイン酸よりもはるかに高いレベルまで皮膚に施与された場合に、それは十分に許容される。
【0007】
しかしながら、レチノールが局所適用の為の化粧品又は皮膚科学的組成物内に導入される場合に、光、酸素、金属イオン、酸化剤、水の影響の故に、又は特に温度の上昇の故に、レチノールの分解は急速である。
【0008】
レチノール分解の兆候の1つは、それが使用されている化粧品組成物のにおいにおける変化である。
【0009】
具体的には、レチノールの分解はまた、ユーザが特に不快且つ不便であると感じるにおいの放出を引き起こし、これは化粧品組成物におけるその使用を制限する可能性がある。
【0010】
レチノールの熱分解はとりわけ、J.Soc.Cosm.Chem.46,191-198(July-August 1995)において発表された研究の主題である。
【0011】
結果として、化粧品組成物に配合されたレチノールは不安定であり、且つこれらの配合物中に含まれるレチノールを安定化することがすでに提案されている。
【0012】
例えば、国際公開WO96/07396号パンフレットは、少なくとも1つの脂溶性抗酸化活性剤及び/又は少なくとも1つの封鎖剤を使用することによって、水中油型エマルジョンの形態における化粧品組成物中のレチノールを安定化することを示唆している。言及されている抗酸化活性剤の例は、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)である。その上、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びおよびその誘導体が封鎖剤として言及されている。
【0013】
しかしながら、BHTは人間に有毒である可能性がある為に、物議を醸す化合物である。加えて、EDTA及びBHTは環境に優しくもなく生分解性でもない。その上、このシステムは、組成物のにおいにおける変化の問題を解決しない。
【0014】
その上、国際公開WO93/00085号パンフレットは、レチノールと安定化系とを含む油中水型エマルジョンを記載し、該安定化系は、キレート化剤、例えばEDTA、と抗酸化剤とからなる。上記の文書に従うと、脂溶性抗酸化剤と水溶性抗酸化剤とからなる系で安定化されたレチノールを含む油中水型エマルジョンがまた調製されうる。
【0015】
しかしながら、上記の文書は、EDTAとBHTの組み合わせが、油中水型エマルジョンの形の組成物中のレチノールを安定化できることを教示しているけれども、そのような組み合わせは、該組成物が水中油型エマルジョンの形態で配合されている場合には効果がないように思われる。
【0016】
従って、抗酸化剤及びキレート剤の使用にもかかわらず、レチノールは時間とともに分解し、それは、化粧品組成物の使用者に不快なにおいを結果としてもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、レチノールを含む化粧品組成物についての必要性が依然としてあり、それはとりわけ、ケラチン物質の老化の兆候と戦う為に効率的であり、且つレチノールの分解及び組成物のにおいの経時変化を制御することを可能にする。
【0018】
とりわけ環境に関して、消費者の要求に適合するそのような化粧品組成物の必要性がまたある。
【0019】
その上、該組成物のガレヌス形態に関係なく、化粧品組成物中のレチノールの効率的な安定化の為の必要性、及びこの組成物の経時的なにおいにおける変化の制御の為の必要性が依然としてある。
【0020】
本発明は、これらの必要性を満たすことに特に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
それ故に、本発明の第1の観点に従うと、本発明は、水中油型乳化ゲルの形態の組成物、特にケラチン物質をメークアップする為の及び/又はケアする為の組成物、とりわけ化粧品組成物、であって、
レチノール;
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル;
少なくとも1つのエチレンジアミンジコハク酸塩;
該組成物の総重量に対して、少なくとも11重量%の少なくとも1つのポリオール;
少なくとも1つの親水性ゲル化剤;
ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C16アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとの少なくとも1つの誘導体であって、少なくとも2つのエチレンオキシド基を含む該誘導体;
10~40個の炭素原子を含む少なくとも1つの不揮発性エーテル油;並びに、
少なくとも1つの不揮発性モノエステル油
を含む、上記の組成物に関する。
【0022】
本発明者等は、驚くべきことに、少なくとも1つのペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルと、特定のガレヌス形態で含まれるエチレンジアミンジコハク酸塩との組み合わせが、化粧品組成物中に含まれているレチノールを効率的に安定化し、且つ時間の経過とともにそのにおいにおける変化を制御することを可能にすることを観察した。
【0023】
具体的には、下記の実施例に示されている通り、本発明に従う組成物は安定であり、且つ経時的なそれらのにおいにおける変化の制御が有意に改善されることができる。
【0024】
従って、本発明に従う組成物は安定であると同時に、使用者にとって心地よい官能的特性、特に使用者の期待を満たすにおい及び色、を有することが観察された。加えて、該組成物を使用する場合に、におい及び色の劣化が生じない。
【0025】
有利には、本発明に従う組成物は、低含有量の物議を醸す成分を含み、特には、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はそれらの誘導体を0.2重量%未満しか含まず、好ましくは何らかの物議を醸す成分を含まず、特にブチルヒドロキシトルエン(BHT)若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はそれらの誘導体のいずれも含まない。
【0026】
本発明の観点の他の一つに従うと、本発明はまた、ケラチン物質、特には皮膚及び/又は唇、をメークアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法であって、本発明に従う組成物を上記のケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、上記の方法に関する。
【0027】
ケラチン物質、特に皮膚及び/又は唇をメークアップする為の及び/又はケアする為の、好ましくはケアする為の、上記の化粧方法は、非治療的である。
【0028】
本発明に従う組成物の他の特徴、変形及び利点は、下記の発明の詳細な説明及び実施例を読むことにより、より明確に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0029】
レチノール
前述されている通り、本発明に従う組成物は、ビタミンAとしても知られているレチノールを含む。
【0030】
本発明の目的の為に、語「レチノール」は、レチノールの全ての異性体、とりわけ、全てのトランスレチノール、13-シスレチノール、11-シスレチノール、9-シスレチノール、及び3.4-ジデヒドロレチノール、を意味する。
【0031】
好ましくは、全てのトランスレチノールが使用される。
【0032】
特に、本発明に従う組成物は、有効量のレチノールを含む。
【0033】
本発明の目的の為に、語「有効量」は、その実施を介する所望の効果、とりわけ、ケラチン物質の老化の兆候における減少、を結果として生じる、レチノールの量を意味する。
【0034】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、少なくとも0.02重量%のレチノールを含む。
【0035】
より特には、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.02重量%~5.0重量%、とりわけ0.05重量%~3.0重量%、好ましくは0.08重量%~1.0重量%、より好ましくは0.1重量%~0.5重量%、の量のレチノールを含みうる。
【0036】
レチノールの含有量は、該組成物中に導入されたレチノールの、固形分含有量としてまた知られている活性物質の含有量に対応することが理解される。
【0037】
特定の実施態様の変形に従うと、レチノールは、、該組成物中に、油、例えば植物油、例えば大豆油、中に溶解される形態で、とりわけ、該油中の、5重量%~20重量%、好ましくは約10重量%、の含有量で、導入されうる。
【0038】
大豆油中の活性物質の含有量が10重量%である、BASF社によって販売されているレチノール、とりわけレチノール10SUの名称下で販売されているレチノール、が、使用の為に最も特には好適である。
【0039】
他の特定の実施態様の変形体に従うと、カプセル化された形態のレチノールがまた使用されうる。
【0040】
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル
本発明に従う組成物はまた、ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルを少なくとも含む。
【0041】
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル、又はペンタエリスリチルヒドロキシヒドロケイ皮酸テトラ-ジ-t-ブチルは、桂皮酸及びその誘導体のファミリーに属する化合物であり、そのCAS番号は6683-19-8である。
【0042】
例として、BASF社によってTinogard TT(登録商標)の名称下で販売されているペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル化合物が言及されうる。
【0043】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、より好ましくは0.1重量%~0.3重量%、のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルを含む。
【0044】
エチレンジアミンジコハク酸塩
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つのエチレンジアミンジコハク酸塩を含む。
【0045】
エチレンジアミン二コハク酸は、下記の式の化合物である。
【0046】
【化1】
【0047】
好ましくは、該エチレンジアミンジコハク酸塩は、アルカリ金属塩、例えば、カリウム塩及びナトリウム塩、アンモニウム塩、及びアミン塩、から選択される。エチレンジアミン二コハク酸のアルカリ金属塩が、より特に好ましい。
【0048】
好ましくは、本発明に従って使用される該エチレンジアミンジコハク酸塩は、エチレンジアミン二コハク酸三ナトリウムである。
【0049】
そのような化合物は例えば、Innospec Active Chemicals社によってNatrlquest(登録商標) E30の名称下で販売されている化合物、又はOctel Performance Chemicals社によってOctaquest E30(登録商標)の名称下で販売されている化合物である。
【0050】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、より好ましくは0.07重量%~0.3重量%のエチレンジアミンジコハク酸塩を含む。
【0051】
エチレンジアミンジコハク酸塩の含有量は、該組成物中に導入されたエチレンジアミンジコハク酸塩の、固形分としてまた知られている活性物質の含有量に対応することが理解される。
【0052】
特定の実施態様の変形に従うと、該エチレンジアミンジコハク酸塩は、該組成物中に、水中に溶解する形態で、とりわけ、水中に、25重量%~50重量%、好ましくは35重量%~40重量%、の含有量で導入されうる。
【0053】
そのような化合物は例えば、水中において、37重量%で、Innospec Active Chemicals社によって、Natrlquest(登録商標) E30の名称下で販売されている化合物である。
【0054】
一つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル化合物及び少なくとも1つのエチレンジアミンジコハク酸塩を、1.5~5、好ましくは2.5~4.5、のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル化合物/エチレンジアミンジコハク酸塩の質量比で含む。
【0055】
ポリオール
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、少なくとも11重量%の少なくとも1つのポリオールを含む。
【0056】
該1以上のポリオールは、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、11重量%~25重量%、好ましくは13重量%~20重量%、より好ましくは14重量%~18重量%、の含有量で存在しうる。
【0057】
本発明の目的の為に、語「ポリオール」は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味するとして理解されるべきである。
【0058】
好ましくは、本発明に従うポリオールは、室温で、液体の形態で存在する。
【0059】
本発明における使用の為に好適なポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基、特に少なくとも3つの-OH官能基、より特には4つの-OH官能基、を有する、直鎖状、分岐状、又は環状の、飽和又は不飽和のアルキルタイプの化合物でありうる。
【0060】
本発明に従う組成物を配合する為に好適なポリオールは特には、とりわけ2~32個の炭素原子、好ましくは2~16個の炭素原子、を含むポリオールである。
【0061】
該ポリオールは例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、例えばグリセロールオリゴマー、例えばジグリセロール、及びポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0062】
本発明の好ましい実施態様に従うと、該ポリオールは例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0063】
好ましい実施態様に従うと、本発明の組成物は、少なくともグリセロールを含む。
【0064】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも2つの異なるポリオール、好ましくは少なくとも3つの異なるポリオール、を含みうる。
【0065】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくともグリセロールと、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの異なるポリオールとを含む。
【0066】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、3重量%~8重量%のグリセロールと、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール、及びそれらの混合物から選択される8重量%~15重量%の少なくとも1つの異なるポリオールとを含みうる。
【0067】
親水性ゲル化剤
本発明に従う組成物は、水中油型乳化ゲルの形態であり、且つ少なくとも1つの親水性ゲル化剤を含む。
【0068】
本発明の目的の為に、語「親水性ゲル化剤」は、本発明に従う組成物の水性相をゲル化することができる化合物を意味する。
【0069】
該ゲル化剤は、親水性であり、従って、該組成物の水性相中に存在する。
【0070】
該ゲル化剤は、水溶性又は水分散性でありうる。
【0071】
上記された通り、本発明に従う組成物の水性相は、少なくとも1つの親水性ゲル化剤でゲル化される。
【0072】
該親水性ゲル化剤は、合成高分子ゲル化剤、天然又は天然由来の高分子ゲル化剤、混合ケイ酸塩(mixed silicate)及びヒュームドシリカ(fumed silica)、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0073】
好ましくは、該親水性ゲル化剤は、合成高分子ゲル化剤、天然又は天然由来の高分子ゲル化剤、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0074】
より好ましくは、該親水性ゲル化剤は、合成高分子ゲル化剤から選択されうる。
【0075】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも2つの異なる親水性ゲル化剤を含む。
【0076】
好ましくは、該1以上の親水性ゲル化剤は、架橋された及び/又は中和されたポリマー及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のコポリマー、多糖類、及びそれらの混合物から選択される。
【0077】
I.天然又は天然由来である高分子ゲル化剤
本発明での使用に好適な高分子親水性ゲル化剤は、天然のものでも天然由来のものでもよい。
【0078】
本発明の目的の為に、語「天然由来である」は、天然高分子ゲル化剤の修飾によって得られる高分子ゲル化剤を示すことが意図されている。
【0079】
これらのゲル化剤は、粒子状又は非粒子状でありうる。
【0080】
より特には、これらのゲル化剤は、多糖類のカテゴリ内に含まれる。
【0081】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.05重量%~5.0重量%、とりわけ0.1重量%~2.5重量%、好ましくは0.1%~2.0重量%、特には約0.4重量%、の含有量の多糖タイプのゲル化剤を含みうる。
【0082】
より特には、これらのゲル化剤は、多糖類のカテゴリ内に含まれる。
【0083】
一般的に、多糖類は、幾つかのカテゴリに分類される。
【0084】
従って、本発明における使用の為に好適な多糖は、ホモ多糖、例えば、フルクタン、グルカン、ガラクタン及びマンナン、又はヘテロ多糖、例えばヘミセルロース、でありうる。
【0085】
同様に、該多糖は、直鎖状多糖類、例えばプルラン、又は分岐状多糖類、例えばアカシアガム及びアミロペクチン、又は混合多糖類(mixed polysaccharides)、例えばデンプン、でありうる。
【0086】
より特には、本発明における使用の為に好適な多糖類は、それらがでんぷん質であるかどうかによって区別されうる。
【0087】
でんぷん質多糖類の代表として、最も特には、天然でんぷん、加工でんぷん、及び粒子状でんぷんが言及されうる。
【0088】
一つの実施態様の変形に従うと、該親水性ゲル化剤は、非でんぷん質である。
【0089】
一般的に、非デンプン質多糖類は、微生物によって産生される多糖類;藻類から単離される多糖類、及び高等植物多糖類、例えば同種多糖類(homogeneous polysaccharides)、特にはセルロース及びその誘導体又はフルクトサン、不均一多糖類、例えばアカシアガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン及びペクチン、及びそれらの誘導体;並びに、それらの混合物から選択されうる。
【0090】
特に、該多糖類は、フルクタン、ジェラン、グルカン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、プルラン、デキストラン、セルロースおよびそれらの誘導体、特には、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、アルギン酸塩ベースの化合物、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アラビノガラクタン、カラギーナン、寒天、グリコサミノグルカン、アカシアガム、トラガカントガム、ガーティガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、例えばグアーガム、及びその非イオン性誘導体、特にヒドロキシプロピルグアー、及びそれらのイオン性誘導体、微生物起源の生物多糖ガム、特にスクレログルカン又はキサンタンガム、ムコ多糖、及び特にはコンドロイチン硫酸塩、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0091】
これらの多糖類は、とりわけ尿素若しくはウレタン基で、又は加水分解、酸化、エステル化、エーテル化、硫酸化、リン酸塩処理、アミノ化、アミド化又はアルキル化反応によって、又はこれらの変性の幾つかによって化学的に変性されうる。
【0092】
得られる誘導体は、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性でありうる。
【0093】
有利には、該多糖類は、カラギーナン、特には、カッパカラギーナン、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、アルギン酸塩ベースの化合物、特には、アルギン酸ナトリウム、スクレログルカンガム、グアーガム、イヌリン及びプルラン、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0094】
好ましくは、該多糖類はキサンタンガムでありうる。
【0095】
キサンタンは、細菌であるザントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)の好気性発酵によって工業規模で生産されるヘテロ多糖である。その構造は、セルロースと同様に、β(1,4)-結合されたβ-D-グルコースの主鎖から構成されている。2つのグルコースのうちの1つのグルコース分子は、α-D-マンノース、β-D-グルクロン酸、及び末端β-D-マンノースから構成される三糖側鎖を有する。内部マンノース残基は一般的に、炭素数6個でアセチル化される。末端マンノース残基の約30%は、炭素数4と6との間にキレート化された形で結合されたピルビン酸基を有する。帯電したピルビン酸とグルクロン酸はイオン化可能であり、従って、キサンタンの陰イオン性(1に等しいpHまでの負電荷)の原因である。ピルビン酸及び酢酸の残留物の含有量は、細菌株、発酵プロセス、発酵後の条件、及び精製工程に従って変わる。これらの基は、Na+、K+又はCa2+イオンを含む市販製品で中和されうる(Satia company,1986)。中和された形態は、イオン交換によって又は酸性溶液の透析によって酸性形態に変換されうる。
【0096】
キサンタンガムは、1,0060,000~50,000,00の分子量を有し、且つキサンタンガムを1%含む水性組成物は0.6~1.65Pa.sの粘度を有する(60rpmで、LVTタイプのブルックフィールド粘度計(Brookfield viscometer)において25℃で測定)。
【0097】
キサンタンガムは例えば、Rhodia Chimie社からRhodicareという名称下で、Cargill Texturizing Solutions社からSatiaxane(商標)(食品、化粧品、製薬業界向け)という名称下で、ADM社からNovaxan(商標)という名称下で、CP-Kelco社からKelzan(登録商標)及びKeltrol(登録商標)という名称下で販売されている製品が代表される。
【0098】
有利には、本発明に従う組成物は、キサンタンガムを含む。
【0099】
そのようなゲル化剤は、水性相の総重量に対して、個体の0.1重量%~8.0重量%とりわけ0.1重量%~6.0重量%、好ましくは0.5重量%~2.5重量%、の割合で、特には、水性相の総重量に対して、約1.5重量%の割合で、代替的には約1重量%の割合で、使用されうる。
【0100】
本発明に従って使用されうる他の多糖類のうち、キチン(ポリ-N-アセチル-D-グルコサミン、β(1,4)-2-アセトアミド-2-デオキシ-D-グルコース)、キトサン及びその類似体(キトサン-ベータ-グリセロホスフェート、カルボキシメチルキチン等)、例えば、France-Chitineによって、販売されるそれら;グリコサミノグリカン(GAG:glycosaminoglycans)、例えばヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、好ましくはヒアルロン酸;キシラン(又は、アラビノキシラン)及びその誘導体がまた言及されうる。
【0101】
アラビノキシランはキシロースとアラビノースとのポリマーであり、ペントサンという名称下で全てグループ化される。
【0102】
キシランは、β(1,4)結合されたD-キシロースユニットの主鎖で構成され、且つその上に下記の3つの置換基がある(Rouau & Thibault,1987):酸ユニット、α-L-アラビノフラノースユニット、アラビノース、キシロース、ガラクトース及びグルクロン酸を含みうる側鎖。
【0103】
この変形例に従うと、多糖類は好ましくは、ヒアルロン酸、又はその塩、例えばそのナトリウム塩(ヒアルロン酸ナトリウム)である。
【0104】
II.合成高分子ゲル化剤
本発明の目的の為に、語「合成」は、ポリマーが天然に存在するものでなく、天然由来のポリマーの誘導体でもないことを意味する。
【0105】
本発明に従う、考慮中の合成高分子親水性ゲル化剤は、粒子状であってもよく又は粒子状でなくてもよい。
【0106】
本発明の目的の為に、語「粒子状」は、ポリマーが粒子、好ましくは球状粒子、の形態であることを意味する。
【0107】
下記の本明細書の文書から明らかである通り、高分子親水性ゲル化剤は、下記の架橋されたアクリルホモポリマー又はコポリマーから有利に選択される:会合性ポリマー、特に、ポリウレタンタイプの会合性ポリマー;ポリアクリルアミド、及び架橋された及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー;とりわけ下記に定義される通り、修飾された又は非修飾のカルボキシビニルポリマー、及びそれらの混合物。
【0108】
好ましい実施態様に従うと、該親水性ゲル化剤は、合成ポリマーゲル化剤から、好ましくは会合性ポリマー、ポリアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、並びにカルボキシビニルポリマーから、より優先的には2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマーから選択される。
【0109】
より優先的には、該親水性ゲル化剤は、架橋された又は非架橋のアクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムポリマーから選択される。
【0110】
該粒子状の合成高分子ゲル化剤は好ましくは、架橋されたポリマーから選択される。
【0111】
それらは、とりわけ、架橋されたアクリルホモポリマー又はコポリマーであり得、それらは好ましくは、部分的に架橋されており又は中和されており、及びそれは粒子形態である。
【0112】
一つの実施態様に従うと、本発明に従う該粒子状ゲル化剤は、架橋されたポリアクリル酸ナトリウムから選択される。
【0113】
非粒子状の合成高分子ゲル化剤のファミリーは、下記のサブファミリーとして詳述されうる:会合性ポリマー、ポリアクリルアミド及び架橋された及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、並びに修飾された又は非修飾のカルボキシビニルポリマー。
【0114】
本発明の目的の為に、語「会合性ポリマー」は、その構造中に少なくとも1つの脂肪鎖と少なくとも1つの親水性部分とを含む任意の両親媒性ポリマーを意味する。本発明に従う会合性ポリマーは、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性でありうる。
【0115】
本発明の水性ゲル化剤として適切である使用されるポリマーは、水性アンモニア以外のミネラルベース、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、を用いて部分的に又は完全に中和された形態で、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))モノマーを少なくとも含む架橋された又は非架橋のホモポリマー又はコポリマーでありうる。それらは好ましくは、完全に又はほぼ完全に中和されている、すなわち、少なくとも90%中和されている。
【0116】
本発明に従うこれらのAMPS(登録商標)ポリマーは、架橋されていてもよく、又は非架橋であってもよい。
【0117】
本発明における使用の為に好適な該AMPS(登録商標)ポリマーは、水溶性又は水分散性である。
【0118】
語「水溶性又は水分散性」は、25℃で、水性相内に1%に等しい質量濃度で導入された場合に、巨視的に均質で且つ透明な溶液、すなわち、厚さ1cmのサンプルを通じて500nmに等しい波長での最大光透過率値が少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、である溶液、を得ることができるポリマーを意味する。
【0119】
この場合、それらは、AMPSモノマーのみ及びそれらが架橋されている場合は、1以上の架橋剤、例えば上記で定義された架橋剤、を包含する「ホモポリマー」であるか、又は、AMPS(登録商標)及び1つ以上の親水性若しくは疎水性エチレン性不飽和モノマー並びにそれらが架橋されている場合は、1以上の架橋剤、から得られたコポリマーであるかのいずれかである。該コポリマーが疎水性エチレン性不飽和モノマーを含む場合、これらのモノマーは脂肪鎖を含まず、好ましくは少量で存在する。
【0120】
本発明の該水溶性又は水分散性AMPS(登録商標)ポリマーは好ましくは、50,000g/モル~10,000,000g/モル、好ましくは80,000g/モル~8,000,000g/モル、さらにより好ましくは100,000g/モル~7,000,000g/モル、の範囲のモル質量を有する。
【0121】
本発明における使用の為に好適な水溶性又は水分散性のAMPSホモポリマーとして、例えば、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの架橋された又は非架橋のポリマー、例えば、市販製品であるSimulgel 800(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)、架橋されたアンモニウムアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホネートポリマー(INCI名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)、例えば、欧州特許EP0815928B1号明細書に記載されているもの、及びClariant社から商品名 HostacerinAMPS(登録商標)の名称下で販売されている製品、が言及されうる。
【0122】
本発明に従う水溶性又は水分散性のAMPSコポリマーとして、言及されるうる例は下記を包含する:
- 架橋されたアクリルアミド/アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムコポリマー、例えば、SEPPIC社による、市販製品であるSepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13~C14イソパラフィン/ラウレス-7)において使用されているもの、又は、Simulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート-80)の名称下で販売されている市販商品において使用されているもの;
- AMPS(登録商標)とビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー、例えば、クラリアント社によって、Aristoflex AVC(登録商標)の名称下で販売されている市販製品(CTFA名:アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー)で使用されているもの、但し、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで中和されているもの。
- AMPS(登録商標)とアクリル酸ナトリウムとのコポリマー、例えば、SEPPIC社によってSimulgel EG(登録商標)の名称下で、又は商品名Sepinov EM(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー)の名称下で販売されている市販品において使用されているもの;
- AMPS(登録商標)とヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー、例えば、SEPPIC社によってSimulgel NS(登録商標)(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー(及び)スクアラン(及び)ポリソルベート60)の名称下で販売されている市販製品において使用されているもの、又はアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム/ヒドロキシエチルアクリレートコポリマーの名称下で販売されている製品、例えば、市販製品であるSepinov EMT 10(INCI名:アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー)。
【0123】
本発明に従う好ましい水溶性又は水分散性AMPSコポリマーとして、AMPS(登録商標)とヒドロキシエチルアクリレートとのコポリマーが言及されうる。
【0124】
好ましくは、本発明に従う組成物は、AMPS(登録商標)ホモポリマー、好ましくは、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸アンモニウムの架橋されたポリマー、を含む。
【0125】
特に、そのようなAMPS(登録商標)ホモポリマーは、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.01%~5.0重量%、好ましくは0.1%~3.0重量%、より好ましくは0.2%~2.5重量%、の含有量で存在しうる。
【0126】
有利には、本発明に従う組成物は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマーから選択される合成ポリマー親水性親水性ゲル化剤を含む。
【0127】
好ましい変形例に従うと、該合成ポリマー親水性親水性ゲル化剤は、AMPS(登録商標)ホモポリマーである。
【0128】
III.他の親水性ゲル化剤
他の親水性ゲル化剤として、より特には、混合ケイ酸塩及びヒュームドシリカが言及されうる。
【0129】
本発明における使用の為に好適な混合ケイ酸塩は、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライト及びサポナイト、から選択されうる。本発明の好ましい実施態様に従うと、使用される混合ケイ酸塩は、より特には、ヘクトライト及びベントナイトから選択され、さらによくはラポナイトから選択される。
【0130】
親水性ヒュームドシリカは、水素及び酸素の存在下、1000℃の連続火炎中で四塩化ケイ素(SiCl4)を熱分解することによって得られる。本発明に従って使用されうる親水性性質のヒュームドシリカのうち、とりわけ、商品名Aerosil(登録商標)90、130、150、200、300及び380の下でDegussa又はEvonik Degussa社によって販売されているもの又はCarbosil H5という名称下でCabot社によって販売されているものが言及されうる。
【0131】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、多糖類、特に、微生物によって合成された多糖類、非粒子状の高分子ゲル化剤、特に、架橋された及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの親水性ゲル化剤を含む。
【0132】
本発明に従う好ましい、微生物によって合成される多糖類は、キサンタンガム、スクレロチウム、プルラン、及びそれらの混合物から選択される。それは、Siligel(登録商標)の名称下で販売されている、キサンタンガム(及び)スクレロチウム(及び)レシチン(及び)プルラン)の混合物でありうる。
【0133】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも2つの異なる親水性ゲル化剤、又は少なくとも3つの異なる親水性ゲル化剤さえ、も含む。
【0134】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.05%~5.0重量%、好ましくは0.1%~2.5重量%、より好ましくは0.5%~1.5重量%、の1以上の親水性ゲル化剤を含みうる。
【0135】
ポリエチレングリコールと酸のグリセリドとの誘導体
本発明に従う組成物は、ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C16アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとの少なくとも1つの誘導体を含み、該誘導体は、少なくとも2つのエチレンオキシド基を含む。
【0136】
ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C14アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとの少なくとも1つの誘導体は好ましくは、少なくとも2つのエチレンオキシド基、好ましくは6~10個のエチレンオキシド基、を含む。
【0137】
そのような誘導体の例として、カプリル酸及びカプリン酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、6個のエチレンオキシド基(INCI名:PEG-6 カプリル酸グリセリド/カプリン酸グリセリド)を含む誘導体、例えば、Sasol社によってSoftigen 767の名称下で販売されている、が言及されうる。
【0138】
ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C16アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとの1以上の誘導体であって、少なくとも2つのエチレンオキシド基を含む該誘導体は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.2重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~5.0重量%、より好ましくは0.5重量%~2.5重量%、の含量で存在しうる。
【0139】
エーテル油
本発明に従う組成物はまた、10~40個の炭素原子を含む少なくとも1つの不揮発性エーテル油を含む。
【0140】
本発明の目的の為に、語「不揮発性油」は、室温及び大気圧での蒸気圧がゼロでなく、且つ10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。
【0141】
そのような油は炭化水素系油であり、すなわち、該油は、主に水素原子及び炭素原子を含む。
【0142】
好ましくは、本発明における使用の為に好適な不揮発性エーテル油は、10~30子の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子、を含む。
【0143】
10~40個の炭素原子の炭素原子を含むエーテルの例として、ジカプリリルエーテル(CTFA名:ジカプリリルエーテル)が言及されうる。
【0144】
そのような不揮発性エーテル油は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.5重量%~10重量%、好ましくは1.0重量%~5.0重量%、より特には2.0重量%~4.0重量%、の含量で存在しうる。
【0145】
モノエステル油
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの不揮発性モノエステル油を含む。
【0146】
そのようなモノエステル油はとりわけ、18~70個の炭素原子、好ましくは18~40個の炭素原子、を含みうる。
【0147】
特に、本発明に従う揮発性モノエステル油は、式R1COOR2、ここで、R1は、4~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、及びR2は、4~40個の炭素原子を含む炭化水素系の鎖を表し、該鎖はとりわけ分枝状であり、但し、R1+R2が18以上であり、例えば、プルセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C12~C15アルキル安息香酸、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、オクタン酸アルコール又はポリアルコール、デカノエート(decanoates)又はリシノレート(ricinoleates)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、又はコハク酸ジエチルヘキシル、である。
【0148】
好ましくは、該揮発性モノエステル油は、式R1COOR2、ここで、R1は、4~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、且つR2は、4~40個の炭素原子を含む炭化水素系の鎖を表し、該鎖はとりわけ分枝状であり、ただし、R1+R2が18以上である。
【0149】
言及されうる好ましいモノエステルには、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル及び/又は2-オクチルドデシルネオペンタノエート、好ましくはイソノナン酸イソノニルを包含する。
【0150】
該揮発性モノエステル油は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.5重量%~10重量%、好ましくは1.0重量%~5.0重量%、より好ましくは2.0重量%~4.0重量%、の含有量で存在しうる。
【0151】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物、特に、本発明に従う化粧品組成物は、該組成物の総重量に対して
0.05%~1重量%のレチノール;
0.05%~1.5重量%のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル、
0.05%~1.5重量%のエチレンジアミンジコハク酸塩、
11%~25重量%の少なくとも1つのポリオール;
0.1%~1.0重量%の少なくとも1つの親水性ゲル化剤;
0.5%~2.5重量%の少なくとも1つの誘導体であって、ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C16アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとの該誘導体であって、少なくとも2つのエチレンオキシド基を含む該誘導体;
1.0%~5.0重量%の少なくとも1つの不揮発性エーテル油であって、10~40個の炭素原子を含む該不揮発性エーテル油;並びに、
1.0%~5.0重量%の少なくとも1つの不揮発性モノエステル油、
を少なくとも含む。
【0152】
水性相
該水性相は、上記で定義されたポリオール以外の、水及び任意的に、水溶性溶媒を含む。
【0153】
本発明に従って使用される親水性ゲル化剤およびポリオールがまた該水性相中に存在することが理解される。
【0154】
本発明に従うと、語「水溶性溶媒」は、室温で液体であり且つ水混和性(25℃及び大気圧で50重量%超の水と混和性)であるところの化合物を意味する。
【0155】
本発明の組成物において使用されうる水溶性溶媒はまた揮発性でありうる。
【0156】
本発明に従う組成物において使用されうる水溶性溶媒の中で、とりわけ、1~5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、C3及びC4ケトン、並びにC2~C4アルデヒド、が言及されうる。
【0157】
好ましくは、該水性相は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、50重量%~95重量%、好ましくは60重量%~90重量%、の範囲の含有量で存在する。
【0158】
油性相
本発明に従う組成物は、水中油型乳化ゲルの形態であり、従って、油性相を含む。
【0159】
ポリエチレングリコールと、少なくとも1つのC6~C16アルキル鎖を含む酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドとの1以上の誘導体であって、少なくとも2つのエチレンオキシド基を含む該誘導体、10~40個の炭素原子を含む1以上の不揮発性エーテル油、及び1以上の不揮発性モノエステル油が、油性相中に存在することが理解される。
【0160】
該油性相はまた、上述の油以外の油、特に化粧品油、を含みうる。該油性相はまた、他の脂肪物質を含みうる。
【0161】
語「油」は、室温(20℃)で且つ大気圧(760mmHg)で液体である水非混和性の非水性化合物を意味する。
【0162】
本発明に従う組成物、とりわけ化粧品組成物、を調製する為に好適な油性相は、炭化水素系油、シリコーン油、フルオロ油若しくは非フルオロ油、又はそれらの混合物を含みうる。
【0163】
該油は、揮発性又は非揮発性でありうる。
【0164】
該油は、動物、植物、鉱物又は合成起源のものでありうる。
【0165】
本発明の目的の為に、語「シリコーンホワイトベースの総重量に対する重量%」は、少なくとも1つのケイ素原子、とりわけ、少なくとも1つのSi-O基、を含む油を意味する。
【0166】
語「フルオロ油」は、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を意味する。
【0167】
語「炭化水素系油」は、水素原子と炭素原子とを主に含む油を意味する。
【0168】
該油は任意的に、例えばヒドロキシル又は酸ラジカルの形態で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はリン原子を含みうる。
【0169】
本発明の目的の為に、語「揮発性油」は、室温で且つ大気圧下で、1時間未満で皮膚と接触すると蒸発することができる任意の油を意味する。該揮発性油は揮発性化粧用化合物であり、それは室温で液体であり、とりわけ、室温で且つ大気圧下で、非ゼロの蒸気圧を有し、とりわけ、0.13Pa~40,000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特に1.3Pa~13,000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、より特には1.3Pa~1,300Pa(0.01~10mmHg)の範囲、の蒸気圧、を有する。
【0170】
揮発性油
該揮発性油は、炭化水素系油又はシリコーン油でありうる。
【0171】
8~16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素系油の中で、とりわけ、分岐のC8~C16のアルカン、例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしてまた知られている)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及び例えば、Isopar又はPermethylの商品名の下で販売されている油、分岐のC8~C16エステル、例えばイソヘキシルネオペンタノエート、及びそれらの混合物が言及されうる。特に、該揮発性炭化水素系油は、8~16個の炭素原子及びそれらの組み合わせを含む揮発性炭化水素系油から選択される。
【0172】
8~16個の炭素原子、特には10~15個の炭素原子、より特には11~13個の炭素原子、を含む揮発性直鎖アルカン、例えばParafol 12-97及びParafol 14-97の参照番号の下でSasolによってそれぞれ販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、並びにまた、それらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognisy社からの特許出願である国際公開WO2008/155059号パンフレットの実施例1及び2で得られた、n-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物、並びにそれらの混合物が言及されうる。
【0173】
言及されうる揮発性シリコーン油は、直鎖状揮発性シリコーン油、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、を包含する。
【0174】
言及されうる揮発性環状シリコーン油は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン、特にシクロヘキサシロキサン、を包含する。
【0175】
不揮発性油
該不揮発性油は、とりわけ、不揮発性炭化水素系のフルオロ油及び/又はシリコーン油から選択されうる。
【0176】
とりわけ言及される不揮発性炭化水素系油は、下記を包含する:
- 動物由来の炭化水素系油、
- 植物由来の炭化水素系油、
- ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばジペンタエリスリチルテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレート、
- 室温で液体であり、12~26個の炭素原子を有する分岐及び/又は不飽和の炭素系鎖を有する脂肪アルコール、例えば、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオレイルアルコール、
- C12~C22の高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びそれらの混合物、
- 炭酸塩、例えば炭酸ジカプリリル、
- 非フェニルシリコーン油、例えばカプリリルメチコン、並びに、
- フェニルシリコーン油、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、100cSt以下の粘度を有するジメチコン若しくはフェニルトリメチコン、及びトリメチルペンタフェニルトリシロキサン、並びにそれらの混合物;並びにまた、
これらの種々の油の混合物。
【0177】
特には、本発明に従う組成物は、10~40個の炭素原子を有する不揮発性エーテル油以外の不揮発性油、及び不揮発性モノエステル油を含み得、特に、不揮発性油、例えば炭酸塩、から選択され、好ましくはジカプリリル炭酸塩である。
【0178】
本発明の目的の為に、語「無極性油」は、25℃での溶解度パラメータ,δa,が0(J/cm3)1/2に等しい油を意味する。
【0179】
ハンセンの三次元溶解度空間(Hansen three-dimensional solubility space)における溶解度パラメータの定義及び計算は、C.M.Hansenによる下記の文献に記載されている:“The three dimensional solubility parameters” J.Paint Technol.39,105 (1967)。
【0180】
このハンセン空間に従うと、
- δDは、分子衝撃中に誘発される双極子の形成に由来するロンドン分散力(London dispersion forces)を特徴付ける;
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力(Debye interaction forces)と、誘発された双極子と永久双極子と間のケーソム相互作用力(Keesom interaction forces)を特徴付ける;
- δhは特定の相互作用力(例えば、水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター) を特徴付ける;及び、
- δaは式 δa=(δp2+δh2)1/2によって決定される。
【0181】
パラメータδp、δh、δD及びδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0182】
特には、該不揮発性の無極性炭化水素系油は、酸素原子を有しない。
【0183】
好ましくは、不揮発性の無極性炭化水素系油は、鉱物又は合成起源の直鎖状又は分岐状の炭化水素から選択されうる。特に、不揮発性の該無極性炭化水素系油は、下記から選択されうる:
- 流動パラフィン又はその誘導体、
- 液体ワセリン(liquid petroleum jelly)、
- ナフタレン油、
- ポリブチレン、とりわけ、Amoco社によって販売又は製造されている、Indopol H-100(モル質量、すなわち、MW=965g/モル)、Indopol H-300(MW=1340g/モル)、及びIndopol H-1500(MW=2160g/モル)
- ポリイソブテン及び水素化されたポリイソブテン、とりわけ、日油株式会社(Nippon Oil Fats)社によって販売されるParleam(登録商標)、Amoco社によって販売又は製造されるPanalane H-300 E(MW=1340g/モル)、Synteal社によって販売又は製造されるViseal 20000(MW=6000g/モル)、及びWitco社によって販売又は製造されるRewopal PIB 1000(MW=1000g/モル)、
- デセン/ブテンコポリマー及びポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、とりわけIndopol L-14、
- ポリデセン及び水素化されたポリデセン、とりわけ、Mobil Chemicals社によって販売又は製造される、Puresyn 10(MW=723g/モル)及びPuresyn 150(MW=9200g/モル);並びに
それらの組み合わせ。
【0184】
上記の不揮発性油はまた、ジエステル油又はトリエステル油でありうる。
【0185】
該エステル油は、とりわけ、ヒドロキシル化されうる。
【0186】
該不揮発性エステル油は好ましくは、下記から選択されうる:
- ジエステル、とりわけ、合計で18~60個の炭素原子、特に合計で18~50個の炭素原子を含むジエステル。ジカルボン酸とモノアルコールとのジエステル、好ましくは例えばリンゴ酸ジイソステアリル、又はモノカルボン酸のグリコールジエステル、例えばジヘプタン酸ネオペンチルグリコール又はジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(とりわけ、例えば、Alzo社によるDermol DGDISの取引参照番号下で販売されている化合物)を使用することがとりわけ可能である;
- トリエステル、とりわけ、合計で35~70個の炭素原子を含むトリエステル、特には、例えばトリカルボン酸のトリエステル、例えば、クエン酸トリイソステアリル又はトリメリット酸トリデシル、又はモノカルボン酸のグリコールトリエステル、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2;
- テトラエステル、とりわけ、35~70個の範囲の総炭素数を有するテトラエステル、例えば、モノカルボン酸のペンタエリスリトール又はポリグリセロールテトラエステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル;
- 不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーとジオールとの縮合によって得られるポリエステル、例えば仏国特許出願公開第FR0853634号明細書に記載されているポリエステル、特には、例えば、ジリノール酸と1,4-ブタンジオールとの縮合によって得られるポリエステル。この点に関して、BiosynthisによってViscoplast 14436H(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)の名称下で販売されているポリマー、又はポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー、及びそのエステル、例えばHailuscent ISDA、がとりわけ言及されうる;
- ジオールダイマーと、モノカルボン酸又はジカルボン酸との、エステル及びポリエステル、例えばジオールダイマーと脂肪酸とのエステル、及びジオールダイマーとジカルボン酸ダイマーとのエステル、とりわけC~C34、とりわけC12~C22、特にC16~C20、より特にはC18、の不飽和脂肪酸の二量化から特に得られる、ジカルボン酸ダイマーから得られうるもの、例えばジリノール二酸とジリノールジオールダイマーとのエステル、例えば日本精化株式会社よりLusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)の商品名で販売されているもの;
- ビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、例えば、ISP社からAntaron V-216(Ganex V216としてまた知られている)の名称下で販売されている製品(MW=7300g/モル);
- 炭化水素系の植物油、例えば、脂肪酸トリグリセリド(それは、室温で液体である)、とりわけ、7~40個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又はジョジョバ油;飽和トリグリセリド、例えばカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、グリセリルトリヘプタノエート、グリセリルトリオクタノエート、及びC18~36の酸性トリグリセリド、例えばStearinerie Duboisによる、Dub TGI 24の参照番号下で販売されているもの、及び不飽和のトリグリセリド、例えばキャスターオイル、オリーブオイル、キシメニアオイル、及びプラカキシオイル;並びに、
- それらの組み合わせ。
【0187】
油性相中に存在しうる他の脂肪物質は例えば、8~30個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸;ワックス、例えばラノリン、ミツロウ、カルナウバワックス又はカンデリラワックス、パラフィンワックス、リグナイトワックス又は微結晶ワックス、セレシン又はオゾケライト、及び合成ワックス、例えばポリエチレンワックス及びフィッシャートロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス;シリコーン樹脂、例えば、トリフルオロメチル-C1~C4-アルキルジメチコン及びトリフルオロプロピルジメチコン;並びに、シリコーンエラストマー、例えば、信越化学工業株式会社によってKSGの名称下で販売されている製品、Dow Corning社によってTrefil若しくはBY29の名称下で販売されている製品、又はGrant Industries社によってGransilの名称下で販売されている製品、である。
【0188】
これらの脂肪性物質は、例えば一貫性又はテクスチャーに関して、所望の特性を有する組成物を調製する為に、当業者によって様々な様式で選択されうる。
【0189】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの脂肪物質を含む脂肪相を含む。
【0190】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの不揮発性炭化水素系油、好ましくは少なくとも1つの無極性炭化水素系油、を含む。
【0191】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも2つの不揮発性炭化水素系油及び1つの不揮発性エステル油を含む。
【0192】
特に好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの不揮発性脂肪酸トリグリセリド、1つの不揮発性カルボナート油及び1つの不揮発性エステル油を含む。
【0193】
特に好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、炭酸ジカプリリル及びセバシン酸ジイソプロピルを少なくとも含む。
【0194】
好ましい様式において、該油性相又は脂肪相は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、2.0重量%~20重量%、好ましくは3.0重量%~15重量%、より好ましくは4.0重量%~12重量%、又はなお5.0重量%~10重量%、より好ましくはなお6.0重量%~8.0重量%、の含有量で存在しうる。
【0195】
アジュバント
【0196】
界面活性剤
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの界面活性剤を含みうる。
【0197】
該界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性の界面活性剤、並びにそれらの混合物から選択されうる。界面活性剤の乳化特性及び機能の定義については、Kirk-OthmerのEncyclopedia of Chemical Technology,Volume 22,pages 333-432,3rd Edition,1979,Wiley、特に、アニオン性、両性及び非イオン性の界面活性剤については、この文献の347~377頁が参照されうる。
【0198】
非イオン性界面活性剤
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0199】
該非イオン性界面活性剤は、とりわけ、ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)のアルキル及びポリアルキルエステル、オキシアルキレン化されたアルコール、ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)のアルキル及びポリアルキルエーテル、ソルビタンの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエステル、ソルビタンの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエーテル、アルキル及びポリアルキルグリコシド又はポリグリコシド、特にアルキル及びポリアルキルグルコシド又はポリグルコシド、スクロースのアルキル及びポリアルキルエステル、グリセロールの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエステル、グリセロールの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエーテル、ジェミニ界面活性剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0200】
好ましくは使用されるオキシアルキレン化された、特にオキシエチレン化された及び/又はオキシプロピレン化された、アルコールは、1~150個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位、特に20~100個のオキシエチレン単位、特に、とりわけC24、好ましくはC12~C18、のエトキシ化された脂肪族アルコール、を含みうる上記のアルコール;これらは、エトキシル化されていてもよく又はエトキシ化されていなくてもよく、例えば20個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:Steareth-20)、例えばUniqema社より販売されているBrij(登録商標) 78、30個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたセテアリルアルコール(CTFA名:Ceteareth-30)、及び7個のオキシエチレン単位を含むC12~C15脂肪アルコールの混合物(CTFA名:C12~15 Pareth-7)、例えばShell ChemicalsよりNeodol 25-7(登録商標)の名称下で販売されている製品;又は特には、1~15個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むオキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)されたアルコール、特にエトキシル化されたC8~C24、好ましくはC12~C18、の脂肪アルコール、例えば2個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:Steareth-2)、例えばUniqema社より販売されているBrij(登録商標) 72、である。
【0201】
任意的にポリオキシエチレン化されていてもよい、好ましくは用いられる、ソルビタンのアルキル及びポリアルキルエステルは、0~100個の範囲の幾つかのエチレンオキシド(EO)単位を有するものを包含する。言及されうる例は、ラウリン酸ソルビタン4又は20 EO、特にポリソルベート20(又はポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン)、例えばUniqema社より販売されている製品Tween(登録商標) 20、又はポリソルベート60、パルミチン酸ソルビタン20 EO、イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン20 EO、オレイン酸ソルビタン20 EO、又はBASFからのCremophor(登録商標)製品(RH 40、RH 60等)を包含する。CrodaからArlacel(登録商標) 2121U-FLの名称下で販売されている、ステアリン酸ソルビタンとヤシ脂肪酸スクロース(sucrose cocoate)との混合物がまた言及されうる。
【0202】
好ましくは使用される、アルキル及びポリアルキルグルコシド又はポリグルコシドは、6~30個の炭素原子、好ましくは6~18個、又は更に8~16個、の炭素原子を含むアルキル基を含み、好ましくは1~5、とりわけ1、2又は3、のグルコシド単位を含むグルコシド基を含むものを包含する。アルキルポリグルコシドは、例えばデシルグルコシド(アルキル-C9/C11-ポリグルコシド(1.4))、例えばKao Chemicals社よりMydol 10(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はHenkel社よりPlantacare 2000 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品、及びSEPPIC社よりOramix NS 10(登録商標)の名称下で販売されている製品;カプリリル/カプリルグルコシド、例えばCognis社よりPlantacare KE 3711(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はSEPPIC社よりOramix CG 110(登録商標)の名称下で販売されている製品;ラウリルグルコシド、例えばHenkel社よりPlantacare 1200 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はHenkel社よりPlantaren 1200 N(登録商標)の名称下で販売されている製品;ココイルグルコシド、例えばHenkel社よりPlantacare 818 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品;カプリリルグルコシド、例えばCognis社よりPlantacare 810 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品;アラキジルグルコシドとベヘニルアルコールとアラキジルアルコールとの混合物(そのINCI名はアラキジルアルコール(及び)ベヘニルアルコール(及び)アラキジルグルコシドであり、SEPPIC社よりMontanov(登録商標) 202の名称下で販売されている);並びに、それらの混合物から選択されうる。
【0203】
グリセロールのアルキルエステル及びポリアルキルエステルとして、C8~C24、特に、グリセロールのC12~C22脂肪酸エステル、例えば、イソオクタデカン酸のグリセロールエステル(CTFA名:イソステアリン酸グリセリル)、が言及されうる。
【0204】
ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)のアルキルエーテル及びポリアルキルエーテルとして、下記の化合物 PPG-6-デシルテトラデセス-30、PPG-6-デシルテトラデセス-12、PPG-13-デシルテトラデセス-24、PPG-6-デシルテトラデセス-20、PPG-4セテス-1、PPG-8セテス-1、PPG-4セテス-10、PPG-4セテス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20、及びPPG-23ステアレス-34、が言及されうる。
【0205】
アニオン性界面活性剤
該アニオン性界面活性剤は、アルキルエーテル硫酸塩、カルボン酸塩、アミノ酸誘導体、スルホン酸塩、イセチオン酸塩、タウリン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、リン酸塩及びアルキルリン酸塩、ポリペプチド、C10~C30、特にC16~C25、の脂肪酸の金属塩、特に金属ステアリン酸塩及びベヘン酸塩、並びにその混合物から選択されうる。
【0206】
カチオン性界面活性剤
該カチオン性界面活性剤は、アルキルイミドリジニウム、例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトスルフェート、アンモニウム塩、例えば(C12~30-アルキル)-トリ(C1~4-アルキル)アンモニウムハライド、例えばN,N,N-トリメチル-1-ドコサナミニウムクロリド(又はベヘントリモニウムクロリド)、から選択されうる。
【0207】
両性界面活性剤
本発明に従う組成物はまた、1以上の両性界面活性剤、例えばN-アシルアミノ酸、例えばN-アルキルアミノ酢酸塩及びココアンホジ酢酸二ナトリウム、並びにアミンオキシド、例えばステアリンオキシド、又は代替的には、シリコーン界面活性剤、例えばジメチコンコポリオールホスフェート、例えばPhoenix Chemical社よりPecosil PS 100(登録商標)の名称下で販売されている製品、を含みうる。
【0208】
シリコーン界面活性剤
該組成物はまた、少なくとも1つのシリコーン界面活性剤を含みうる。例として、単独又は混合物として使用される、25℃で8以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤として、ジメチコンコポリオール又はジメチコンコポリオールベンゾエートが言及され得、及び、単独又は混合物として使用される、25℃で8未満のHLBを有する非イオン性界面活性剤として、シクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物が言及されうる。
【0209】
1以上の該界面活性剤は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.01重量%~5重量%、好ましくは0.5重量%~2.5重量%、の範囲の割合で存在しうる。
【0210】
充填剤
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの充填剤を含みうる。
【0211】
該充填剤は、顔料、酸化チタン、赤色鉄酸化物、黄色鉄酸化物、黒色鉄酸化物、窒化ホウ素、ナクレ、合成又は天然マイカ、マイカ及び酸化チタンを含むナクレ、シリカ粉末、タルク、ポリアミド粒子、及び、とりわけ、Atochem社によるOrgasol(登録商標)の名称下で販売されているそれら、ポリエチレン粉末、アクリルコポリマーをベースにしたミクロスフェア、例えば、Polytrap(登録商標)の名称下でDow Corning社より販売されているエチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、膨張粉末(expanded powders)、例えば中空ミクロスフェア(hollow microspheres)、とりわけ、Kemanord Plast社によりExpancel(登録商標)の名称下で販売されているミクロスフェア又はToshiba Silicone社によりTospearl(登録商標)の名称下で販売されているミクロスフェア、並びにそれらの混合物から選択される。
【0212】
好ましくは、本発明に従う組成物は、窒化ホウ素を含む。
【0213】
これらの充填剤は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~5.0重量%、好ましくは1.0重量%~3.0重量%、の範囲の含有量で存在しうる。
【0214】
活性剤
本発明に従う組成物は、追加の活性剤、特に、本発明に従って使用されるレチノール以外の抗老化活性剤、を含みうる。
【0215】
抗老化活性剤の例として、n-オクタノイル-5-サリチル酸、アデノシン、c-ベータ-d-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン、及び3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンチル酢酸のナトリウム塩が言及されうる。
【0216】
そのような活性剤は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、範囲の含有量で存在しうる。
【0217】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は好ましくは、ヒト及び/又は環境に有害でありうる化合物を含まない、すなわち、該組成物は、0.2重量%未満、特に0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、しか含まず、又は、人及び/又は環境に有害でありうる化合物、特にブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)若しくはその塩を完全に含まない。
【0218】
従って、本発明に従う組成物は特に、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩を含まず、好ましくは、エチレンジアミン四酢酸又はその塩を完全に含まない。
【0219】
本発明に従う組成物はまた、化粧品分野において慣用的に使用されているアジュバント、例えば、保存剤、香料、染料、極性添加剤、フィルム形成ポリマー、pH調整剤(酸又は塩基)、化粧品活性剤、例えば、保湿剤、瘢痕形成剤、脂性皮膚と闘う為の剤、皮膚及び/又は抗汚染剤、並びにそれらの混合物、から選択される少なくとも1つの添加剤を含みうる。
【0220】
言うまでもなく、本発明に従う組成物の有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない又は実質的に影響を受けないように当業者は、この又はこれらの任意の追加の1以上の化合物、及び/又はそれらの量を選択するように注意を払うであろう。
【0221】
組成物
前に述べた通り、本発明に従う組成物は、化粧用及び/又は皮膚科学的であり得、好ましくは化粧用である。
【0222】
本発明に従う組成物は一般的に、皮膚への局所適用に好適であり、従って、一般的に、生理学的に許容される媒体、すなわち、皮膚と適合性のある媒体、を含む。
【0223】
本発明に従う組成物は好ましくは、化粧用上許容される媒体、すなわち、心地よい色、匂い及び感触を有し、何らの許容できない不快感、すなわち、刺痛、緊張又は発赤を生じず、消費者がこの組成物を施与することを思いとどまらせる傾向がある媒体でない。
【0224】
本発明に従う組成物は、水中油型乳化ゲルの形態である。
【0225】
特に、本発明に従う組成物、3~8の範囲のpHを有する。好ましくは、該組成物のpHは、4~7、より好ましくは5~7、の範囲である。
【0226】
本発明に従う組成物は、当業者に周知である技術に従って調製されうる。
することができる。
【0227】
組成物の意図された使用
本発明に従う組成物は、ケラチン物質、特には身体の又は顔のケラチン物質、好ましくは顔のケラチン物質、をケア及び/又はメークアップする為の化粧品組成物の形態でありうる。
【0228】
これらの組成物は、顔、手又は身体の為のクレンジングクリーム、保護クリーム、処置クリーム又はケアクリーム、例えば、デイクリーム、ナイトクリーム、メイクアップクリーム、ファンデーションクリーム、日焼け防止クリーム(antisun creams)、流動性ファンデーション、保護ボディミルク又はケアボディミルク、日焼け防止ミルク(antisun milks)、スキンケアジェル又はスキンケアフォーム、例えば、浴用組成物、殺菌剤を含むデオドラント組成物、アフターシェーブジェル、又は除毛クリーム若しくはブリスター処置製品(blister treatment products)を構成し得る。
【0229】
従って、本発明に従う化粧品組成物は、液体から半液体例えば、ミルク、多かれ少なかれ滑らかなクリーム、ジェルクリーム又はペースト、の粘稠度、を有する、顔及び/又は身体の為のケア製及び/又は日焼け防止製品(antisun product)として使用されうる。
【0230】
好ましくは、本発明に従う組成物は、ケラチン物質、特には、身体の又は顔の皮膚、好ましくは顔の皮膚、をケアする為の化粧品組成物の形態である。
【0231】
特に、本発明の組成物は、身体又は顔、特に顔、の皮膚の為のアンチエイジングケア組成物の形態でありうる。
【0232】
他の実施態様において、本発明の組成物は、ケラチン物質、特に身体又は顔、好ましくは顔、のケラチン物質、をメークアップする為の組成物の形態でありうる。
【0233】
従って、この実施形態のサブモードに従うと、本発明の組成物は、メークアップする為のメークアップベース組成物の形態でありうる。本発明の組成物は特に、ファンデーションの形態でありうる。
【0234】
この実施形態のさらに他のサブモードに従うと、本発明の組成物は、リップ製品、とりわけ口紅、の形態でありうる。
【0235】
この実施形態のさらに他のサブモードに従うと、本発明の組成物は、眉毛用の製品、特にアイブローペンシル(eyebrow pencil)、の形態であり得る。
【0236】
そのような組成物は、とりわけ、当業者の一般的な知識に従って調製される。
【0237】
従って、本発明はまた、ケラチン物質をケアする為の及び/又はメークアップする為の、好ましくは、ケラチン物質、特には身体及び/又は顔の皮膚、をケアする為の、本発明に従う組成物の使用に関する。
【0238】
本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚及び/又は唇、をメークアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法であって、以前に定義された組成物を該ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、上記の化粧方法に関する。
【0239】
好ましくは、本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚及び/又は唇、をケアする為の化粧方法であって、上記で定義された組成物を該ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、上記の化粧方法に関する。
【0240】
ケラチン物質、特に皮膚及び/又は唇、をメークアップする為の及び/又はケアする為の上記の化粧方法は、非治療的である。
【0241】
特に、本発明に従う組成物は、皮膚の老化の兆候と闘う為に使用されうる。
【0242】
従って、本出願はまた、皮膚の老化の兆候と闘う為の本発明に従う組成物の使用に関する。
【0243】
該組成物は、手によって又はアプリケータを使用して皮膚に施与されうる。
【0244】
特許請求の範囲を含む本明細書を通じて、表現「を含む(including a)」は、特に指定されない限り、「少なくとも1つを含む(including at least one)」と同義であると理解されるべきである。
【0245】
語「~の(between...and...)」、「~を含む(comprises from...to...)」、「~から形成される(formed from...to...)」、及び「~の範囲の(ranging from...to...)」は、特に指定されない限り、限界を含むものとして理解されるべきである。
【0246】
本発明は、以下に示す実施例により、より詳細に説明される。特に指定されない限り、示された量は、質量パーセンテージとして表される。
【0247】
実施例
【0248】
実施例1
本発明外のアンチエイジングケア組成物1、及び本発明に従うアンチエイジングケア組成物2は、下記の表1に詳述されている通りの重量比を使用して調製される。該値は、該組成物の総重量に対して、重量パーセントで表される。
【0249】
【表1】
【0250】
組成物を調製する為のプロトコル
組成物は、下記のプロセスに従って、ローター/ステーター(Rotor/Stator)を使用して調製される:
成分が完全に溶解するまで、水性相Aがビーカー内に導入される。ゲル化剤が、ポリアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウムから始めて、該ゲルが完全に水和されるまで添加され、次に、他のゲル化剤、すなわち、キサンタンガム及びヒアルロン酸ナトリウム、がグリセロールの一部において水和され、完全に溶解され且つ水和されるまで添加される。
【0251】
並行して、PPG-6-デシルテトラデセス-30が、残りのグリセロール中に高温(65~70℃)で溶解され、そして、次に、ビーカー内に導かれた。同様に、ペンタエリスリチル テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメートが炭酸ジカプリリル中に熱溶解される。次に、混合物全体が油相Eで乳化される。pHが水酸化ナトリウムの添加によって調整され、そして、次に、エタノールが添加される。
【0252】
本発明外の組成物1と対照的に、本発明に従う組成物2は、心地よい匂いを有する。本発明外の組成物1は、脂肪性で且つ酸敗したにおいを有する。同じ現象が、2つの製剤を毎日1か月使用した後、及びまた、室温と45℃で2か月保管した後に、観察される。
【0253】
実施例2
本発明に従うアンチエイジングケア組成物3~5が、実施例1に示されている通り、下記の表2に詳述されている重量比を使用して調製される。該値は、該組成物の総重量に対して、重量パーセントで表される。
【0254】
【表2】
【0255】
本発明に従う組成物3~5は、心地よい匂いを有する。特に、本発明に従う組成物は、心地よい匂いを有する。同じ現象が、2つの製剤を毎日1か月使用した後、及びまた、室温と45℃で2か月保管した後に、観察される。