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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
H02K5/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023006418
(22)【出願日】2023-01-19
(65)【公開番号】P2024006919
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】111124978
(32)【優先日】2022-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】523022066
【氏名又は名称】北海建準電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100221752
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 雅与
(72)【発明者】
【氏名】簡 ▲ウェイ▼謙
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0381962(US,A1)
【文献】特表2005-510995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0077727(US,A1)
【文献】特開2005-278333(JP,A)
【文献】特開2021-164217(JP,A)
【文献】特開2003-023738(JP,A)
【文献】特開2022-045603(JP,A)
【文献】特開2008-306842(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094271(WO,A1)
【文献】米国特許第04145626(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、ステータとロータを含み、
前記ハウジングの内環面は複数個の第一組立構造を有し、
それぞれの第一組立構造は凹入溝と直柱を有し、
それぞれの直柱はハウジングの第一ハウジングと第二ハウジングに分布し、
前記ステータはハウジングに設けられ、独立して分離可能な複数個のステータモジュールを有し、
それぞれのステータモジュールは少なくとも一個の第二組立構造を有し、
それぞれの第二組立構造は軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造に結合され、
それぞれの第二組立構造はそれぞれ中空柱を有し、
それぞれの中空柱はそれぞれの直柱と位置合わせし、
前記ロータは回転自在に前記ステータの内周に設けられ、ロータとステータの間にエアギャップが形成されることを特徴とするモータ。
【請求項2】
複数個のステータモジュールはそれぞれ外端面と内端面を有し、それぞれの外端面は前記それぞれの第一組立構造の一面に隣接し、それぞれの内端面はそれぞれの第一組立構造の一面から遠く離れることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
それぞれの第一組立構造は突出柱、及び相対する二個の軸方向端面を有し、それぞれの第一組立構造は前記突出柱において二個の軸方向端面を貫通した二個のガイド溝を有し、それぞれの第二組立構造はそれぞれ突縁を有し、突縁は第一組立構造のガイド溝に嵌設されることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
第一組立構造は前記突出柱において二個の結合孔を有し、二個の結合孔はそれぞれ二個の軸方向端面に位置し、二個の結合孔は二個のガイド溝の間に位置することを特徴とする請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
ハウジングの第一ハウジングは複数個の弧状体が互いに接続してなるもので、複数個の弧状体は共同でステータの複数個のステータモジュールをきつく挟むように形成されることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
それぞれの弧状体は二個の耳部を有し、それぞれの耳部と隣接する弧状体の耳部が位置合わせされて、複数個の固定部材によってそれぞれの耳部と隣接する弧状体の耳部を結合することを特徴とする請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
それぞれの第一組立構造は二個の凹溝を有し、二個の凹溝の間は位置制限柱を形成し、それぞれの第二組立構造はそれぞれ二個の係止柱を有し、二個の係止柱の間に位置制限溝が形成され、二個の係止柱は二個の凹溝に嵌設され、位置制限柱は位置制限溝に嵌設されることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
第一ハウジングに位置する直柱は凹入溝内に位置することを特徴とする請求項に記載のモータ。
【請求項9】
第一ハウジングに位置する直柱の一端は第一ハウジングと連接し、もう一端は第二ハウジングに向いていて、第二ハウジングに位置する直柱の一端は第二ハウジングと連接し、もう一端は第一ハウジングに向いていることを特徴とする請求項に記載のモータ。
【請求項10】
さらに、複数個の固定ユニットを含み、複数個の固定ユニットは軸方向でハウジングとステータを結合することを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項11】
それぞれの固定ユニットは圧接部材と位置決め部材を有し、それぞれの圧接部材はパッド部と二個の圧接部を有し、二個の圧接部は前記パッド部と連接してそれぞれの第二組立構造の上端面または下端面に圧接し、位置決め部材は前記パッド部を貫通して第一組立構造の結合孔に結合されることを特徴とする請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
それぞれの固定ユニットは圧接部材と位置決め部材を有し、それぞれの圧接部材はパッド板部と押板部を有し、パッド板部と押板部の間は連接板と連接し、それぞれの押板部はそれぞれの第二組立構造の上端面または下端面に圧接し、位置決め部材はパッド板部を貫通してハウジングの組立孔に結合されることを特徴とする請求項10に記載のモータ。
【請求項13】
さらに、複数個の締め具を含み、複数個の締め具はハウジングを貫通してそれぞれ複数個のステータモジュールに圧接することを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項14】
ハウジングは複数個の側貫通孔を有し、複数個の締め具はそれぞれ複数個の側貫通孔を貫通して結合されることを特徴とする請求項13に記載のモータ。
【請求項15】
さらに、複数個のブロックを含み、それぞれのブロックはそれぞれのステータモジュールに位置し、押圧部材はハウジングの貫通孔を貫通してブロックに圧接することを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項16】
それぞれのステータモジュールは複数個の収容溝を有し、複数個の収容溝のそれぞれはステータモジュールそれぞれの上端面及び/または下端面に位置し、それぞれのブロックはそれぞれの収容溝に位置することを特徴とする請求項15に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関するもので、特に、単独でステータモジュールを取り換えることができるモータに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のモータとして、ステータとロータを有し、ステータはモータのハウジングに組み立てられるモータが知られている。当該モータのステータはコイルセットと複数個の鉄心を有し、それぞれの鉄心は押圧方式で一体成形により環状体に形成される。コイルセットは環状体に形成される複数個の鉄心に巻き付けられ、それぞれの鉄心は磁気ヨークと磁極片を有し、隣接する二個の磁気ヨークはそれぞれ互いに連接し、二個の連接する磁極片はいずれも間隔を有する。ロータはそれぞれの磁極片が囲んでなる空間内に回転自在に設けられ、ロータの外周とステータの磁極片の間はエアギャップを形成することにより、ロータはステータに対してスムーズに回動するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】台湾第M309810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のモータは、それぞれの鉄心が押圧方式で一体成形により環状体に形成されるものであって、それぞれの鉄心にコイルセットを巻き付けた後に、コイルセットが巻き付けられたそれぞれの鉄心をハウジングに組み立てるものであるため、モータのサイズが比較的に大きい場合には、一体成形される複数個の鉄心の型のサイズも大きくなってしまうため、鉄心の型のコストも比較的高くなってしまう。また、一体成形される複数個の鉄心に対して巻線を行わなければならないため、製造が難しくなるという問題点があった。また、このような従来のモータを長時間使用した場合に、ステータとハウジングに、モータの長期的な運転による局部的な緩みが生じることがある。この場合には、全体的に環状体に形成されている複数個の鉄心を新たに調整して組み立て直す必要がある。また、ステータの内の一個のコイルセットに損壊が生じた場合にも、全体的に環状体に形成されている複数個の鉄心を取り外し、損壊したコイルセットを複数個の鉄心から取り除く必要がある。このような取り外しや取り付けを伴う交換は大変面倒であるという問題があった。
【0005】
これらの問題を解決すべく、従来のモータのさらなる改善が求められている。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第一の目的は、単一のステータモジュールを取り出して交換やメンテナンスを行うことができると共に取り外しや取り付けも容易であるモータを提供することにある。
【0007】
本発明の第二の目的は、製造コスト低く抑えることができるモータを提供することにある。
【0008】
本発明の第三の目的は、ステータとハウジングを安定して結合させることができるモータを提供することにある。
【0009】
本発明の第四の目的は、ステータモジュールを簡単に取り出すことができるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の明細書全文にわたって述べられる方向を示す用語、例えば、「前」、「後」、「左」、「右」、「上(頂)」、「下(底)」、「内」、「外」、「側」等の用語は、主に添付図面上における方向を示すもので、本発明の各実施例に対する説明と理解を補助するためのもので、本発明を限定するものではない。
【0011】
本発明における部分或いは部品において、「一」或いは「一個」等の助数詞は、ただ便利上、用いるだけのものであり、本発明の特許請求の範囲における通常の意義を提供するものであって、本発明において一個または少なくとも一個を含むものあると解釈すべきであり、且つ、明確に別の意味を指していないかぎり、複数の状況を含むものである。
【0012】
本発明の全文において、「結合」、「組合せ」または「組み立て」等の近似の用語は、主に連接した後でも部材を破壊せずに依然として分離することができる形態、または、連接した後に部材を分離できない等の形態を含むものである。これは、本技術分野で通常の知識を有する者であれば、連接しようとする部材の材質または組み立ての必要性に応じて適宜選択できるものである。
【0013】
本発明のモータは、ハウジング、ステータとロータを含み、ハウジングの内環面は複数個の第一組立構造を有し、ステータはハウジングに設けられ、独立して分離可能な複数個のステータモジュールを有し、それぞれのステータモジュールは少なくとも一個の第二組立構造を有し、それぞれの第二組立構造は軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造に結合され、ロータは回転自在にステータの内周に設けられ、ロータとステータの間にエアギャップが形成される。
【0014】
これにより、前記ステータが複数個のステータモジュールを有することを利用し、さらに前記それぞれの第二組立構造は軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造に結合されるため、仮にステータの内の一個のステータモジュールに損壊が生じた場合であっても、損壊したステータモジュールのみを取り出せば交換やメンテナンスを行うことができ、そしてメンテナンスを終えた後、それぞれの第二組立構造は軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造に結合されることにより、ステータモジュールを簡単に前記ハウジングに組み立て直すことができ、周辺にあるその他のステータモジュールの位置に影響を及ぼすのを避けることができるため、取り外しや取り付けが簡単になる。
【0015】
また、複数個のステータモジュールはそれぞれ外端面と内端面を有し、それぞれの外端面は前記それぞれの第一組立構造の一面に隣接し、それぞれの内端面はそれぞれの第一組立構造の一面から遠く離れる。このように、複数個のステータモジュールの第二組立構造は第一組立構造と簡単に結合することができるため、組立の利便性を有する。
【0016】
それぞれの第一組立構造は突出柱、及び相対する二個の軸方向端面を有し、それぞれの第一組立構造は前記突出柱において二個の軸方向端面を貫通した二個のガイド溝を有し、それぞれの第二組立構造はそれぞれ突縁を有し、突縁は第一組立構造のガイド溝に嵌設される。このように、ステータモジュールは二個の隣接する第一組立構造の間に組立て結合することができるため、組立の利便性を有する。
【0017】
第一組立構造は前記突出柱において二個の結合孔を有し、二個の結合孔はそれぞれ二個の軸方向端面に位置し、二個の結合孔は二個のガイド溝の間に位置する。このように、前記構造は簡単で製造がし易くなるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0018】
ハウジングの第一ハウジングは複数個の弧状体が互いに接続してなるもので、複数個の弧状体は共同でステータの複数個のステータモジュールをきつく挟むように形成される。このように、複数個のステータモジュールが緩んで脱落するのをさらに避けることができるため、ステータの複数個のステータモジュールは安定して結合することができる。
【0019】
それぞれの弧状体は二個の耳部を有し、それぞれの耳部と隣接する弧状体の耳部が位置合わせされて、複数個の固定部材によってそれぞれの耳部と隣接する弧状体の耳部を結合する。このように構造を簡略化できるため組立がし易くなる。
【0020】
それぞれの第一組立構造は二個の凹溝を有し、二個の凹溝の間は位置制限柱を形成し、それぞれの第二組立構造はそれぞれ二個の係止柱を有し、二個の係止柱の間に位置制限溝が形成され、二個の係止柱は二個の凹溝に嵌設され、位置制限柱は位置制限溝に嵌設される。このように、それぞれのステータモジュールは二個の第二組立構造によって二個の隣接する第一組立構造に軸方向で着脱自在に結合することができるため、組立の利便性を有する。
【0021】
それぞれの第一組立構造は凹入溝と直柱を有し、それぞれの直柱はハウジングの第一ハウジングと第二ハウジングに分布し、それぞれの第二組立構造はそれぞれ中空柱を有し、それぞれの中空柱はそれぞれの直柱と位置合わせする。このように、組み立てる時、先ず第二組立構造の中空柱を位置合わせした第一ハウジングの直柱に軸方向で結合させ、それから第二ハウジングの直柱を位置合わせした第二組立構造の中空柱に軸方向で結合させ、複数個の直柱はそれぞれ第二組立構造の中空柱に伸入することができるため、ハウジングとステータは安定して結合することができる。
【0022】
第一ハウジングに位置する直柱は凹入溝内に位置する。このように、簡単な構造とできることで製造がし易くなり、製造コストを低く抑えることができる。
【0023】
第一ハウジングに位置する直柱の一端は前記第一ハウジングと連接し、もう一端は第二ハウジングに向いていて、第二ハウジングに位置する直柱の一端は第二ハウジングと連接し、もう一端は第一ハウジングに向いている。このように、構造を簡略化できることにより製造がし易くなり、製造コストを低く抑えることができる。
【0024】
さらに、複数個の固定ユニットを含み、複数個の固定ユニットは軸方向でハウジングとステータを結合する。このように、複数個のステータモジュールを安定してハウジングに結合することができるため、ステータとハウジングを安定して結合することができる。
【0025】
それぞれの固定ユニットは圧接部材と位置決め部材を有し、それぞれの圧接部材はパッド部と二個の圧接部を有し、二個の圧接部はパッド部と連接してそれぞれの第二組立構造の上端面または下端面に圧接し、位置決め部材はパッド部を貫通して第一組立構造の結合孔に結合される。このように、複数個のステータモジュールをハウジングに安定して結合することができるため、複数個のステータモジュールがハウジングに対して移動したり脱落したりするのを有効に防止することができる。
【0026】
それぞれの固定ユニットは圧接部材と位置決め部材を有し、それぞれの圧接部材はパッド板部と押板部を有し、パッド板部と押板部の間は連接板と連接し、それぞれの押板部はそれぞれの第二組立構造の上端面または下端面に圧接し、位置決め部材はパッド板部を貫通してハウジングの組立孔に結合される。このように、複数個のステータモジュールをハウジングに安定して結合することができるため、複数個のステータモジュールがハウジングに対して移動したり脱落したりするのを有効に防止することができる。
【0027】
さらに、複数個の締め具を含み、複数個の締め具はハウジングを貫通してそれぞれ複数個のステータモジュールに圧接する。このように、組み立てられたステータはハウジングに対して回転することがないため、複数個のステータモジュールがハウジングに対して移動したり脱落したりするのを有効に防止することができる。
【0028】
ハウジングは複数個の側貫通孔を有し、複数個の締め具はそれぞれ複数個の側貫通孔を貫通して結合される。このように、構造を簡略化できることで製造がし易くなり、製造コストを低く抑えることができる。
【0029】
さらに、複数個のブロックを含み、それぞれのブロックはそれぞれのステータモジュールに位置し、押圧部材はハウジングの貫通孔を貫通してブロックに圧接する。このように、ステータモジュールはハウジングに対して軸方向で取り外すことができるため、ステータモジュールを簡単に取り出すことができる。
【0030】
それぞれのステータモジュールは複数個の収容溝を有し、複数個の収容溝のそれぞれはステータモジュールそれぞれの上端面及び/または下端面に位置し、それぞれのブロックはそれぞれの収容溝に位置する。このように、押圧部材は上方または下方からブロックを押圧することができるため、着脱の利便性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施例1に係るモータの分解斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係るモータの局部の分解斜視図である。
図3】本発明の実施例1に係るモータの組み立てられた状態を示す断面図である。
図4図3のA-A線に沿った断面図である。
図5図4のB-B線に沿った断面図である。
図6図4のC-C線に沿った断面図である。
図7図6に示されるステータモジュールの取り外し動作を示す図である。
図8】本発明の実施例2に係るモータの分解斜視図である。
図9】本発明の実施例3に係るモータの分解斜視図である。
図10】本発明の実施例3に係るモータの平面図である。
図11図10のD-D線に沿った断面図である。
図12】本発明の実施例4に係るモータの分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の上記およびその他の特徴と利点をさらに明確にすべく、下記のとおり本発明の実施例について、図面を参照して詳しく説明する。尚、異なる図面において同じ符号を付したものは同じものとみなし、その説明を省く。
【0033】
図1は、本発明の実施例1に係るモータを示すものである。モータは、ハウジング1、ステータ2及びロータ3を含み、ステータ2はハウジング1に設けられ、ロータ3は回転自在にステータ2の内周に設けられる。
【0034】
図1及び2に示したように、ハウジング1は第一ハウジング1aと第二ハウジング1bで構成される。第二ハウジング1bは、第一ハウジング1aと結合させることで、両者でステータ2を被覆することができる。第一ハウジング1aと第二ハウジング1bの結合方式は、係止、緊締または溶接などであっても良く、特に限定されない。ハウジング1は軸穴Hを有することができ、軸穴Hは第二ハウジング1bに設けることができる。ハウジング1の内環面Nは複数個の第一組立構造11を有し、複数個の第一組立構造11は第一ハウジング1aに位置することができる。複数個の第一組立構造11は互いに間隔を空け、かつ、それぞれ軸穴Hの軸方向に沿って延伸する。それぞれの第一組立構造11は突出柱11aを有することができ、突出柱11aはハウジング1の内環面Nから突出することができる。それぞれの第一組立構造11は相対する二個の軸方向端面11bを有することができ、二個の軸方向端面11bはそれぞれ突出柱11aの上面、底面に位置し、第一組立構造11は突出柱11aにおいて二個の軸方向端面11bを貫通した二個のガイド溝11cを有し、さらに、第一組立構造11は突出柱11aにおいて二個の結合孔11dを有することができる。二個の結合孔11dはそれぞれ二個の軸方向端面11bに位置することができる。二個の結合孔11dは互いに連通するようにすることも連通しないようにすることもでき、本発明では限定されない。本実施例において、二個の結合孔11dは二個の軸方向端面11bを貫通することができるため、二個の結合孔11dは互いに連通することができ、そして結合孔11dは二個のガイド溝11cの間に位置することができる。
【0035】
図1、2、6に示したように、ハウジング1は複数個の側貫通孔12を有することができる。複数個の側貫通孔12は第一ハウジング1aに位置し、それぞれの側貫通孔12は二個の隣接する第一組立構造11の間に位置することができる。ハウジング1は複数個の貫通孔13を有することができ、複数個の貫通孔13はそれぞれ第一ハウジング1aと第二ハウジング1bに位置し、本実施例において、それぞれの貫通孔13はねじ孔として説明を行う。
【0036】
図2に示したように、ステータ2は独立して分離できる複数個のステータモジュール2aを有することができる。モータは多相コイルを有することができ、本実施例では三相モータを例に挙げる。それぞれのステータモジュール2aは全て三相巻線コイル(図示せず)を有することができる。複数個のステータモジュール2aはそれぞれ外端面F1と内端面F2を有し、それぞれの外端面F1はそれぞれの第一組立構造11の一面に隣接し、それぞれの内端面F2はそれぞれの第一組立構造11の一面から遠く離れ、複数個のステータモジュール2aはそれぞれ相対する上端面F3と下端面F4を有する。それぞれのステータモジュール2aは少なくとも一個の第二組立構造21を有し、本実施例においては、それぞれのステータモジュール2aは二個の第二組立構造21を有する。二個の第二組立構造21はそれぞれステータモジュール2aの両側に位置すると共に、外端面F1と内端面F2の間に位置し、かつ、外端面F1寄りであある。二個の第二組立構造21のそれぞれは、隣接する二個の第一組立構造11と位置合わせされ、第二組立構造21のそれぞれは軸方向で着脱自在に、隣接する二個の第一組立構造11に結合される。本実施例において、第二組立構造21にはそれぞれ突縁21aを設けることができ、突縁21aが第一組立構造11のガイド溝11cに嵌設されることにより、ステータモジュール2aを隣接する二個の第一組立構造11の間に組立てられることができる。また、それぞれのステータモジュール2aは複数個の収容溝22を備えることができ、複数個の収容溝22はそれぞれ上端面F3及び/または下端面F4に位置し、同じステータモジュール2aに位置する複数個の収容溝22は二個の第二組立構造21の間に位置することができ、複数個の収容溝22はそれぞれハウジング1の複数個の貫通孔13と位置合わせすることができる。
【0037】
図1、3、4に示すように、ロータ3は回転軸31と磁石部32を有することができ、回転軸31の一端はハウジング1の軸穴Hを通過して第二ハウジング1bから突き出る。磁石部32は回転軸31の外周に設けられ、磁石部32は例えば台座をもって回転軸31と結合し、さらに台座において環状に配列(排列)される複数個の磁石を設けることができ、または他に同じ効果を有する構造であっても良く、本発明では限定されない。ロータ3の磁石部32とステータ2の複数個のステータモジュール2aの内端面との間にエアギャップGを形成することにより、磁石部32は複数個のステータモジュール2aに着磁させて回転軸31をステータ2に対して回転させることができる。
【0038】
図2、5に示すように、本発明のモータはさらに複数個の固定ユニット4を含むことができる。複数個の固定ユニット4はハウジング1およびステータ2と軸方向で結合し、それぞれの固定ユニット4は圧接部材41と位置決め部材42を有することができる。それぞれの圧接部材41はパッド部411と二個の圧接部412を有することができ、それぞれのパッド部411はそれぞれの第一組立構造11の二個の軸方向端面11bの内の一個と結合することができる。本実施例において、パッド部411が第一組立構造11の軸方向端面11bに当接していない状態で説明を行うが、その他の実施例において、パッド部411は第一組立構造11の軸方向端面11bに当接することもできる。二個の圧接部412はパッド部411と連接し、二個の圧接部412は第一組立構造11の二個のガイド溝11cを貫通し、それぞれの第二組立構造21の上端面F3または下端面F4に圧接することができる。位置決め部材42はパッド部411を貫通して第一組立構造11の結合孔11dに結合されることにより、複数個のステータモジュール2aはハウジング1に安定して結合することができるため、複数個のステータモジュール2aがハウジング1に対して移動したり脱落したりするのを有効に防止することができる。
【0039】
図2、3に示すように、本発明のモータはさらに複数個の締め具5を含むことができる。複数個の締め具5はそれぞれハウジング1の複数個の側貫通孔12を貫通して結合され、複数個の締め具5と複数個の側貫通孔12は螺合することができる。そして複数個の締め具5はそれぞれ複数個のステータモジュール2aの外端面F1に圧接することにより、複数個のステータモジュール2aをハウジング1に安定して結合することができ、組み立てられたステータ2はハウジング1に対して回転することがなく、複数個のステータモジュール2aがハウジング1に対して移動したり脱落したりするのを有効に防止することができる。
【0040】
図6、7に示すように、本発明のモータはさらに複数個のブロック6を含むことができるそれぞれのブロック6は金属材質から製造されることができると共に、それぞれのステータモジュール2aの収容溝22に位置することができるため、複数個のブロック6のそれぞれをハウジング1の複数個の貫通孔13と位置合わせすることができる。また、ブロック6は一体成形で収容溝22に結合することができるため、製造上の利便性を有する。このように、押圧部材Tによって貫通孔13を貫通してブロック6を押圧することにより、ステータモジュール2aはハウジング1に対して軸方向で移動することが可能であり、さらにステータモジュール2aを取り出すことができるため、メンテナンスがし易く、ステータモジュール2aを簡単に交換することができる。特筆すべきは、それぞれの押圧部材Tはねじであっても良く、上述のように、押圧部材Tは貫通孔13に螺合することができるため、押圧部材Tによってブロック6を簡単に押圧することができる。
【0041】
図2、3に示すように、ステータ2に電源を入れた時、ステータ2の複数個のステータモジュール2aと磁石部32は反発し合う磁極が生じてロータ3の回動を駆動する。ステータ2は独立して分離できる複数個のステータモジュール2aを有し、それぞれの第二組立構造21は軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造11に結合されるため、本発明のモータを一定の時間に使用した後に、ステータ2の内の一個ステータモジュール2aに損壊が生じた場合であっても、損壊したステータモジュール2aのみを取り出して、そのコイルセット(図示せず)のみを取り除くことで、交換やメンテナンスを行うことができる。さらにメンテナンス後に、ステータモジュール2aをハウジング1に組み立て直し、それぞれの第二組立構造21を軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造11に結合させることにより、周辺にあるその他のステータモジュール2aの位置に影響を及ぼすことなく、簡単に取り外しや取り付けを行うことができる。
【0042】
図8に、本発明の実施例2に係るモータを示す。本発明の実施例2は、上述した実施例1とはほぼ同じであるが、実施例2においては、ハウジング1のうち、第一ハウジング1aは複数個の弧状体14が互いに接続してなるものである。それぞれの弧状体14は二個の耳部141を有することができ、それぞれの耳部141と隣接する弧状体の耳部141とが位置合わせされ、そして複数個の固定部材15によってそれぞれの耳部141と隣接する弧状体の耳部141とを結合させることができる。複数個の弧状体14は共同でステータ2の複数個のステータモジュール2aをきつく挟むことができるため、複数個のステータモジュール2aが緩んで脱落するのを避けることができる。
【0043】
図9、10、11に、本発明の実施例3に係るモータを示す。本発明の実施例3は上述した実施例1とはほぼ同じであるが、実施例3においては、それぞれの第一組立構造11は二個の凹溝11eを有することができ、二個の凹溝11eはハウジング1の内環面Nに凹設することができる。二個の凹溝11eの間に位置制限柱11fを形成することができ、それぞれの位置制限柱11fは概ねT字形に形成されても良い。また、ステータ2のそれぞれの第二組立構造21はそれぞれステータモジュール2aの外端面F1に位置し、それぞれの第二組立構造21はそれぞれ二個の係止柱21bを有することができる。二個の係止柱21bは外端面F1から突き出ることができ、二個の係止柱21bの間に位置制限溝21cを形成することができる。二個の係止柱21bは第一組立構造11の二個の凹溝11eに嵌設することができ、第一組立構造11の位置制限柱11fは前記第二組立構造21の位置制限溝21cに嵌設することができるため、それぞれのステータモジュール2aは二個の第二組立構造21によって軸方向で着脱自在に二個の隣接する第一組立構造11に結合することができる。このように、それぞれの第二組立構造21によって軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造11に結合されるため、仮にステータ2の内の一個のステータモジュール2aに損壊が生じた場合であっても、損壞のステータモジュール2aのみを取り出して交換やメンテナンスを行うことができる。
【0044】
また、それぞれの圧接部材41はパッド板部413と押板部414を有することができる。パッド板部413と前記押板部414の間には連接板415が連接し、本実施例において、圧接部材41はZ字形の態様からなるもので、それぞれのパッド板部413はそれぞれの第一組立構造11の二個の軸方向端面11bの内の一個と結合することができる。本実施例においてパッド板部413は第一組立構造11の軸方向端面11bに当接されるものとして説明を行うが、その他の実施例においてパッド板部413は第一組立構造11の軸方向端面11bに当接していないものであっても良い。それぞれの押板部414はそれぞれの第二組立構造21の上端面F3または下端面F4に圧接することができ、位置決め部材42はパッド板部413を貫通して前記ハウジング1の一個の組立孔16に結合されることにより、複数個のステータモジュール2aはハウジング1に安定して結合することができるため、複数個のステータモジュール2aがハウジング1に対して移動したり脱落したりするのを効果的に防止することができる。
【0045】
図12に、本発明の実施例4に係るモータを示す。本発明の実施例4は上述した実施例3とはほぼ同じであるが、実施例4においては、それぞれの第一組立構造11は凹入溝11gと直柱11hを有することができる。それぞれの凹入溝11gはハウジング1の内環面Nに凹設することができ、それぞれの直柱11hは前記第一ハウジング1aと第二ハウジング1bに分布することができ、第一ハウジング1aに位置する直柱11hの一端は第一ハウジング1aと連接し、もう一端は第二ハウジング1bに向いていて、第一ハウジング1a、に位置する直柱11hは凹入溝11g内に位置する。また、第二ハウジング1aに位置する直柱11hの一端は第二ハウジング1bと連接し、もう一端は第一ハウジング1aに向いていて、そして第一ハウジング1aに位置する直柱11hと第二ハウジング1bに位置する直柱11hとは互いに位置がずれている。ステータ2のそれぞれの第二組立構造21はそれぞれステータモジュール2aの外端面F1に位置し、それぞれの第二組立構造21はそれぞれ中空柱21dを有することができ、それぞれの中空柱21dはそれぞれの直柱11hと位置合わせすることができる。組み立てる時、先ず第二組立構造21の中空柱21dを位置合わせした第一ハウジング1aの直柱11hに軸方向で結合させ、それから第二ハウジング1bの直柱11hを位置合わせした第二組立構造21の中空柱21dに軸方向で結合させ、複数個の直柱11hはそれぞれ第二組立構造21の中空柱21dに伸入することができる。このように、それぞれの第二組立構造21によって軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造11に結合されるため、仮にステータ2の内の一個のステータモジュール2aに損壊が生じた場合であっても、損壞したステータモジュール2aのみを取り出して交換やメンテナンスを行うことができる。
【0046】
以上のように、本発明のモータによれば、ステータ内の独立して分離できる複数個のステータモジュールを利用し、そしてそれぞれの第二組立構造は軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造に結合されるため、仮にステータのその内の一個のステータモジュールに損壊が生じた場合であっても、損壊したステータモジュールのみを取り出して交換やメンテナンスを行うことができる。そしてメンテナンス終了後に、それぞれの第二組立構造は軸方向で着脱自在にそれぞれの第一組立構造に結合されることにより、ステータモジュールを簡単にハウジングに組み立て直すことができるため、周辺にあるその他のステータモジュールの位置に影響を及ぼすことなく、取り外しや取り付けが簡単に行うことができる。
【0047】
本発明について、いくつかの実施例を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、この技術を熟知した者が本発明の精神と範囲を離脱しない限り、上述した実施例に対応して各種の変更や修正を行っても依然として本発明によって保護される技術範疇に属するものであるため、本発明の保護範囲は当然として添付の特許の請求範囲に記載される意義と均等範囲内における変更を含むべきものである。また、上述の複数個の実施例の組み合わせが可能であれば、本発明は任意な組み合わせによる実施態様をも含むものである。
【符号の説明】
【0048】
1 ハウジング
1a 第一ハウジング
1b 第二ハウジング
11 第一組立構造
11a 突出柱
11b 軸方向端面
11c ガイド溝
11d 結合孔
11e 凹溝
11f 位置制限柱
11g 凹入溝
11h 直柱
12 側貫通孔
13 貫通孔
14 弧状体
141 耳部
15 固定部材
16 組立孔
2 ステータ
2a ステータモジュール
21 第二組立構造
21a 突縁
21b 係止柱
21c 位置制限溝
21d 中空柱
22 収容溝
3 ロータ
31 回転軸
32 磁石部
4 固定ユニット
41 圧接部材
411 パッド部
412 圧接部
413 パッド板部
414 押板部
415 連接板
42 位置決め部材
5 締め具
6 ブロック
F1 外端面
F2 内端面
F3 上端面
F4 下端面
G エアギャップ
H 軸穴
N 内環面
T 押圧部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12