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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20240911BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240911BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240911BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240911BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20240911BHJP
   F21V 29/89 20150101ALI20240911BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20240911BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240911BHJP
   G02B 27/01 20060101ALN20240911BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240911BHJP
【FI】
F21V23/00 130
B60K35/23
F21V19/00 150
F21V29/503
F21V29/70
F21V29/89
F21V15/01 530
F21S2/00 375
F21S2/00 312
G02B27/01
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023015778
(22)【出願日】2023-02-06
(65)【公開番号】P2024111352
(43)【公開日】2024-08-19
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸幸
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/132556(WO,A1)
【文献】特開2021-162774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
B60K 35/23
F21V 19/00
F21V 29/503
F21V 29/70
F21V 29/89
F21V 15/01
F21S 2/00
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両に設けられた表示面に向けて、前記車両の乗員に虚像として視認させる画像を表示光として出射する表示デバイスを備え、
前記表示デバイスは、導電性を有する板状の金属材料によって形成され光源が実装される金属回路基板と、当該光源に対向して配置され前記表示光を出射する表示部と、内部に前記光源及び前記表示部を収容するバックライトケースとを有し、
前記金属回路基板は、前記光源が実装されると共にグランドに接続される本体部と、当該本体部から前記表示部に向かって延設する延設部とを含んで構成され、前記バックライトケースに組み付けられた状態で、前記本体部が当該バックライトケースの外部に向かって露出して配置され、かつ、前記延設部が前記表示部と接触して配置されることで前記表示部を前記延設部及び前記本体部を介してグランドに接続することを特徴とする、
車両用表示装置。
【請求項2】
前記バックライトケースは、当該バックライトケースの内外を連通する開口部を有し、
前記バックライトケースと前記金属回路基板とは、相互に組み付けられた状態で、前記本体部及び前記延設部が前記バックライトケースの前記開口部を塞ぐことで、前記表示デバイスのデバイス筐体を構成する、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記バックライトケースは、樹脂材料によって構成される、
請求項1または2に記載の車両用表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、表示部(ディスプレイ)と、当該表示器を照明する複数の光源と、複数の光源が実装された回路基板とを備える車両用表示装置が開示されている。また、特許文献2には、光源が発する熱を効率よく放熱することができる車両用表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-165624号公報
【文献】特開2011-90976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1、2に記載の車両用表示装置は、光源が発する熱を効率よく放熱する放熱対策に加えて、いわゆるノイズ対策の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正にノイズ対策をすることができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、車両に搭載され、前記車両に設けられた表示面に向けて、前記車両の乗員に虚像として視認させる画像を表示光として出射する表示デバイスを備え、前記表示デバイスは、導電性を有する板状の金属材料によって形成され光源が実装される金属回路基板と、当該光源に対向して配置され前記表示光を出射する表示部と、内部に前記光源及び前記表示部を収容するバックライトケースとを有し、前記金属回路基板は、前記光源が実装されると共にグランドに接続される本体部と、当該本体部から前記表示部に向かって延設する延設部とを含んで構成され、前記バックライトケースに組み付けられた状態で、前記本体部が当該バックライトケースの外部に向かって露出して配置され、かつ、前記延設部が前記表示部と接触して配置されることで前記表示部を前記延設部及び前記本体部を介してグランドに接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用表示装置は、適正にノイズ対策をすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成を表す図である。
図2図2は、実施形態に係る車両用表示装置を構成する表示デバイスの概略構成を表す分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る車両用表示装置を構成する表示デバイスの概略構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
車両用表示装置1は、自動車等の車両400に適用され、当該車両400のダッシュボードに設けられたインストルメントパネル(不図示)内に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置である。
【0011】
図1図2に示すように、車両用表示装置1は、表示器2と、制御部(不図示)とを備え、表示器2は、車両400の前部に設けられた表示面410に向けて表示光L2を出射する表示デバイス10を備えている。表示デバイス10は、光源となるLEDチップ211から表示部100に対して出射光L1が照射されることで、表示部100の表示画面110に画像を表示し、当該画像を表示光L2として出射することができる。また、表示器2は、表示面410に向けて表示デバイス10が出射した表示光L2をアイポイント(目視位置)EP側に向けて反射させることで、表示面410に映る画像をアイポイントEPから視える景色と重なって視える虚像Viとして視認させることができる。なお、車両用表示装置1に対するアイポイントEPは、車両400の乗員である運転者500の視点の位置であり、空間領域として予め想定される。また、表示デバイス10が出射した表示光L2が反射する表示面410は、車両400の前部に設けられたウインドシールドWSによって構成される。ただし、当該表示面410の形態は特に限定されず、例えば、ウインドシールドWSよりも運転者500側に設けられた透明または半透明のパネル(例えば、コンバイナ)であってもよい。また、車両用表示装置1において、電力供給、制御信号、各種情報等の授受のための各構成要素間の接続方式は、特に断りのない限り、電線や光ファイバ等の配索材を介した有線による接続(例えば、光ファイバを介した光通信等も含む)、無線通信、非接触給電等の無線による接続のいずれであってもよい。
【0012】
そして、本実施形態の車両用表示装置1は、LEDチップ211が実装される金属製の回路基板(金属回路基板に相当する)212を、当該LEDチップ211が配置されると共にグランドGNDに接続される本体部212aと、当該本体部212aから延設して表示部100と接触した状態で組み付けられる延設部212bとで構成することで、適正にノイズ対策をすることができる構成を実現したものである。以下、図1図3を参照して車両用表示装置1の各構成について詳細に説明する。
【0013】
なお、図1に示す車両用表示装置1の幅方向は、典型的には、当該車両用表示装置1が適用される車両400の車幅方向(以下、車両車幅方向Yと称する)に相当する。また、車両用表示装置1の奥行方向は、典型的には、当該車両用表示装置1が適用される車両400の前後方向(言い換えれば、車両400の進行方向である。以下、車両前後方向Xと称する)に相当する。また、車両用表示装置1の前面側は、車両400の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者500によって視認される側に相当する。一方、車両用表示装置1の背面側とは、奥行方向において前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側に相当する。また、以下の説明では、車両前後方向Xにおいて、車両400が前進する側を「前方」、車両400が後進する側を「後方」という場合がある。また、車両400の高さ方向(以下、車両高さ方向Zと称する)において、鉛直方向上側を「上側」、鉛直方向下側を「下側」という場合がある。
【0014】
また、以下の説明では、表示デバイス10において、表示部100の表示画面110から出射される光を表示光L2と称する。また、バックライト200のフィールドレンズ230から出射される平行光を出射光L1と称し、当該出射光L1の軸線を光軸L1xと称する。また、光軸L1xの延在方向を光軸方向L1dと称する。
【0015】
また、図2図3に示す表示デバイス10の奥行方向を「デバイス前後方向D1」といい、幅方向を「デバイス幅方向D2」といい、高さ方向を「デバイス高さ方向D3」という。デバイス前後方向D1とデバイス幅方向D2とデバイス高さ方向D3とは、互いに直交する。また、デバイス前後方向D1は、典型的には、光軸方向L1dに沿う方向であり、車両400への設置状態においては、図1に示す車両前後方向Xと斜めに交差する方向である。また、デバイス幅方向D2は、典型的には、図1に示す車両車幅方向Yに沿う方向である。また、以下の説明では、表示デバイス10のデバイス前後方向D1において、表示部100が位置する側を「前方」、バックライト200が位置する側を「後方」という場合がある。
【0016】
また、図2に示す表示デバイス10は、説明の便宜上、表示部100、LED基板210、バックライトケース300のみを示している。
【0017】
また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、車両用表示装置1の各部が組み付けられた状態での方向、または、表示デバイス10の各部が組み付けられた状態での方向として説明する。
【0018】
[表示器]
表示器2は、車両前後方向Xに対してウインドシールドWSとアイポイントEPとの間に位置し、ウインドシールドWSに虚像Viを投影することによって、車両400の状況等、様々の情報を運転者500に認知させることができる部分である。表示器2は、不図示の制御部によって制御され、当該制御部が取得した情報に基づいて生成された画像を表示部100の表示画面110に表示させることで、アイポイントEPから視える景色に虚像Viを重畳表示させることができる。図1に示すように、表示器2は、表示デバイス10と、ミラー20と、メイン筐体30とを備えている。
【0019】
表示デバイス10は、表示光L2をミラー20に向けて出射する部分である。表示デバイス10は、バックライト200から表示部100に対して出射光L1が照射されることによって、表示部100の表示画面110に画像を表示し、表示光L2として出射することができる。なお、表示デバイス10の詳細については後述する。
【0020】
ミラー20は、表示光L2をウインドシールドWSに向けて反射させる部分である。図1に示すように、ミラー20は、凹状の反射面を有しており、画像を拡大することができる。なお、反射面の形状は、例えば、自由曲面であり、画像の歪みや収差を補正することができる形状とすることができる。
【0021】
メイン筐体30は、樹脂材料等によって構成され、箱状に形成されることで、内部(内部空間部30S)に表示デバイス10やミラー20等を収容することができる部分である。図1に示すように、メイン筐体30は、壁部30Kによって形成され、表示デバイス10を組み付けることができる組付開口部30aと、表示光L2を外部に向かって射出することができる開口部30bとを含んで構成されている。
【0022】
組付開口部30aは、メイン筐体30の後方側に位置し、車両前後方向Xに沿って開口することでメイン筐体30の内外を連通する部分である。表示デバイス10は、当該組付開口部30aを介して、バックライトケース300の後方側がメイン筐体30の外部に露出している状態で組み付けられている。そのため、表示デバイス10は、表示部100から出射された表示光L2が前方側に向かって射出されるようにメイン筐体30に組み付けられ、壁部30Kによって表示部100の周囲が覆われることで、当該表示光L2が遮光される。
【0023】
一方で、開口部30bは、メイン筐体30の上側(表示面410が位置する側)に位置する壁部30Kbに設けられ、車両高さ方向Zに沿って開口することでメイン筐体30の内外を連通する部分である。そのため、メイン筐体30は、表示部100から出射された表示光L2がミラー20等を介して開口部30bに向かうと、当該表示光L2を外部に向かって射出することができる。したがって、表示器2は、インストルメントパネル内に搭載された状態で、表示光L2を開口部30bの上側に位置する表示面410に向かって射出することができる。なお、開口部30bは、表示光L2を透過させることができる透明なカバーによって閉塞されていてもよい。
【0024】
[表示デバイス]
次に、表示デバイス10の詳細について説明する。表示デバイス10は、光源となるLEDチップ211から表示部100に対して出射光L1が照射されることで、表示部100の表示画面110に画像を表示し、当該画像を表示光L2として前方側に向かって射出することできる部分である。図2図3に示すように、表示デバイス10は、表示部100と、バックライト200と、バックライトケース300とを備えている。
【0025】
表示部100は、出射光L1を透過させることで、当該光を表示光L2として出射する部分である。表示部100の表示画面110は、光透過型のTFT液晶(Thin Film TransistoL1iquid Crystal Display)等から構成されている。
【0026】
バックライト200は、LED基板210と、集光レンズ220と、フィールドレンズ230とを含んで構成されるユニットである。
【0027】
LED基板210は、複数のLEDチップ211と、LEDチップ211の各々を実装可能な回路基板212とを含んで構成されている。LEDチップ211は、発光ダイオードによって構成される光源であり、車両400の二次電池等の電源(不図示)から電力が供給されることで発光する部材である。また、回路基板212は、導電性を有する板状の金属材料、例えば、アルミニウム板によって構成され、所定の領域(後述する本体部212a)にLEDチップ211を固定することができる部材である。回路基板212は、一枚の板金を、打ち抜き加工、プレス加工、折り曲げ加工等の各種加工によって成形することで、各部が立体的に一体で形成される。LEDチップ211は、回路基板212上において格子状に配置され、回路基板212がバックライトケース300に組み付けられた状態で、表示画面110と向かい合って配置されることで、表示画面110に向けて光を出射することができる。なお、回路基板212の構成については後述する。
【0028】
集光レンズ220は、ガラス又は透明樹脂によって構成されるレンズである。集光レンズ220は、平坦面で構成される入射面と、凸状の湾曲面で構成される出射面とを有し、入射面がLEDチップ211と向かい合って配置される。集光レンズ220は、図3に示すように、LEDチップ211にそれぞれ設けられることで、LEDチップ211から出射される光をそれぞれ集光することができる。
【0029】
フィールドレンズ230は、ガラス又は透明樹脂によって構成されるレンズである。フィールドレンズ230は、入射面と、出射面とを有し、入射面が集光レンズ220と向かい合って配置される。フィールドレンズ230は、図3に示すように、集光レンズ220と表示画面110との間に設けられることで、集光レンズ220からそれぞれ入射した入射光の進行方向を所定の方向に整えることができる。そのため、バックライト200は、表示画面110に向けて平行光を出射することができる。
【0030】
バックライトケース300は、樹脂材料によって構成され、図2に示すLED基板210が組み付けられることで、上述した表示部100、LEDチップ211、集光レンズ220、フィールドレンズ230等を内部に収容することができる部分である。図2図3に示すように、バックライトケース300は、壁部300Kによって形成され、表示部100を組み付けることができる組付壁部300Kaと、一対の側壁部300Kbと、底壁部300Kcとを含んで構成される。
【0031】
組付壁部300Kaは、略矩形状に形成される板状の壁部である。図2に示すように、組付壁部300Kaは、バックライトケース300の前方側に位置している。また、組付壁部300Kaは、デバイス前後方向D1に沿って開口することでバックライトケース300の内外を連通する開口部300aが形成されている。開口部300aは、略矩形形状に形成されている。そのため、組付壁部300Kaは、表示部100が組み付けられると、デバイス前後方向D1から視た際に当該表示部100の縁部分を囲むように位置する。また、表示部100は、図3に示すように、当該表示部100の前面に組付壁部300Kaが接触している状態で組み付けられ、開口部300aを介して、表示画面110に表示される画像を露出させることで、当該画像を表示光L2として出射させることができる。なお、本実施形態の組付壁部300Kaは、図3に示すように、出射光L1の光軸L1xに対して傾斜して位置している。そのため、組付壁部300Kaは、バックライトケース300がメイン筐体30に組み付けられた際に、上側に位置する端部が下側に位置する端部より前方側に突出して配置される。したがって、本実施形態の表示デバイス10は、メイン筐体30に入射した外光を表示部100の表示画面110で反射させる際に、当該光を反射光L3として表示面410と反対側(下側)に向かわせることができる。そして、表示デバイス10は、反射光L3が外光の入射経路をたどることで運転者500の目に戻らない様に当該光の経路を変更させることができる。
【0032】
また、側壁部300Kbは、略台形形状に形成され、デバイス幅方向D2が板厚方向となる板状の壁部である。図2に示すように、一対の側壁部300Kbは、デバイス幅方向D2に沿って間隔をあけて対向して位置している。また、一対の側壁部300Kbは、デバイス幅方向D2から視た大きさがほぼ同等となるように形成され、各側壁部300Kbは、組付壁部300Kaのデバイス幅方向D2の両端部にそれぞれ接続されている。
【0033】
また、底壁部300Kcは、略矩形状に形成され、デバイス高さ方向D3が板厚方向となる板状の壁部である。図2に示すように、底壁部300Kcは、デバイス幅方向D2の両端部が各側壁部300Kbのデバイス高さ方向D3において下側に位置する端部に接続されている。
【0034】
そのため、本実施形態のバックライトケース300は、組付壁部300Kaと、一対の側壁部300Kbと、底壁部300Kcとが一体となって形成されており、当該壁部によって形成される内部空間部300Sと、デバイス前後方向D1に開口する開口部300bと、デバイス高さ方向D3に開口する開口部300cとを含んで構成されている。
【0035】
内部空間部300Sは、図2に示す組付壁部300Kaと、一対の側壁部300Kbと、底壁部300Kcとによって区画、形成される部分である(図3を参照)。なお、ここでいう内部空間部300Sとは、組付壁部300Ka、側壁部300Kb、底壁部300Kcのいずれかによって、表示部100や、LEDチップ211が実装された回路基板212等を保持することができる部分を意味する。そのため、内部空間部300Sは、複数の壁部によって囲まれる空間、対向して位置する壁部によって区画される空間、一の壁部の壁面に沿って位置する空間などを含む。
【0036】
また、開口部300bは、バックライトケース300の内外を連通する部分であり、一対の側壁部300Kbによって区画、形成される部分である。図2に示すように、開口部300bは、デバイス前後方向D1において後方側に位置し、各側壁部300Kbの後端部によって挟まれることで区画、形成される。そのため、開口部300bは、図3に示すように、組付壁部300Kaと間隔をあけて配置され、当該組付壁部300Kaと対向して位置している。
【0037】
また、開口部300cは、バックライトケース300の内外を連通する部分であり、一対の側壁部300Kbによって区画、形成される部分である。図2に示すように、開口部300cは、デバイス高さ方向D3において上側に位置し、各側壁部300Kbの上端部によって挟まれることで区画、形成される。そのため、開口部300cは、図3に示すように、底壁部300Kcと間隔をあけて配置され、当該底壁部300Kcと対向して位置している。
【0038】
[回路基板]
次に、回路基板212の構成について、より具体的に説明する。図2図3に示すように、回路基板212は、LEDチップ211が実装される本体部212aと、当該本体部212aから突出して形成される延設部212bとを含んで構成される。
【0039】
本体部212aは、図2に示すように、略矩形状に形成され、デバイス前後方向D1が板厚方向となる部分である。本体部212aは、一方の面にLEDチップ211が実装される光源部212aaと、コネクタCN1、CN2が接続される接続部212abとを含んで構成されている。そして、本体部212aは、コネクタCN1を介して表示部100に接続され、コネクタCN2を介してグランドGNDに接続されている。
【0040】
本体部212aの光源部212aaは、デバイス高さ方向D3において上側に設けられている部分である。当該光源部212aaは、バックライトケース300に組み付けられると、バックライトケース300の一対の側壁部300Kbの間に位置し、底壁部300Kcに向かってデバイス高さ方向D3に沿って配置されることで開口部300bを塞ぐ位置に配置される。そのため、本体部212aに実装されているLEDチップ211は、図3に示すように、バックライトケース300の組付壁部300Kaに組み付けられている表示部100と間隔をあけて配置され、当該表示部100と対向して配置される。そして、本体部212aは、バックライトケース300の内部空間部300SにLEDチップ211が収容されている状態で組み付けられる。また、本体部212aは、LEDチップ211が実装されている内面の反対側に位置する外面が、バックライトケース300の外部に向かって露出して配置され、バックライトケース300の側壁部300Kbや底壁部300Kcと隣り合っている状態で組み付けられる。そのため、本体部212aは、バックライトケース300に組み付けられると、当該バックライトケース300と共に表示デバイス10のデバイス筐体10Hを構成することができる。
【0041】
本体部212aの接続部212abは、デバイス高さ方向D3において下側に設けられている部分である。当該接続部212abは、バックライトケース300に組み付けられると、バックライトケース300の外部に配置される。そのため、本体部212aに接続されているコネクタCN1、CN2は、図3に示すように、バックライトケース300の外部に配置され、本体部212aは、コネクタCN2からグランドGNDに向かって電気を流すことで、電位差によってノイズが発生することを抑制することができる。
【0042】
また、延設部212bは、図2図3に示すように、本体部212aの延在方向と交差する方向に折り曲げられている部分である。延設部212bは、本体部212aから表示部100に向かって延設されている支持部212baと、当該支持部212baの端部から延設されている接触部212bbとを含んで構成され、当該接触部212bbを介して表示部100に接続されている。
【0043】
延設部212bの支持部212baは、本体部212aの光源部212aaと連続して形成される部分であり、略矩形状に形成され、本体部212aの延在方向と交差するデバイス前後方向D1に沿って折り曲げられることで、デバイス高さ方向D3が板厚方向となる部分である。当該支持部212baは、バックライトケース300に組み付けられると、バックライトケース300の一対の側壁部300Kbの間に位置し、本体部212aから表示部100に向かってデバイス前後方向D1に沿って配置されることで開口部300cを塞ぐ位置に配置される。そして、図3に示すように、延設部212bは、外面が、バックライトケース300の外部に向かって露出して配置され、バックライトケース300の側壁部300Kbや組付壁部300Kaと隣り合っている状態で組み付けられる。そのため、延設部212bは、バックライトケース300に組み付けられると、当該バックライトケース300と共に表示デバイス10のデバイス筐体10Hを構成することができる。
【0044】
延設部212bの接触部212bbは、支持部212baのデバイス前後方向D1において前方側に位置する端部から突出して形成される部分であり、当該支持部212baの延在方向と交差する方向に沿って折り曲げられている部分である。本実施形態の接触部212bbは、図2に示すように、略矩形状に形成され、デバイス幅方向D2に沿って帯状に形成されている。また、図3に示すように、表示部100は、当該表示部100の背面に延設部212bの接触部212bbが接触している状態で組み付けられ、延設部212bの接触部212bbと組付壁部300Kaで挟まれることで固定される。そのため、回路基板212は、延設部212bの接触部212bbを介して表示部100から電気を受け取り、当該電気を延設部212b、本体部212aの順に流すことで、当該電気を本体部212aに接続されているコネクタCN2からグランドGNDに向かって流すことができる。
【0045】
以上で説明した車両用表示装置1は、車両400に搭載され、車両400に設けられた表示面410に向けて、車両400の乗員500に虚像Viとして視認させる画像を表示光L2として出射する表示デバイス10を備える。また、表示デバイス10は、導電性を有する板状の金属材料によって形成され、光源としてのLEDチップ211が実装される回路基板(金属回路基板)212と、当該LEDチップ211に対向して配置され表示光L2を出射する表示部100と、内部にLEDチップ211及び表示部100を収容するバックライトケース300とを有する。また、回路基板212は、LEDチップ211が実装されると共にグランドGNDに接続される本体部212aと、当該本体部212aから表示部100に向かって延設する延設部212bとを含んで構成され、バックライトケース300に組み付けられた状態で、本体部212aが当該バックライトケース300の外部に向かって露出して配置される。そして、回路基板212は、延設部212bが表示部100と接触して配置されることで、表示部100を延設部212b及び本体部212aを介してグランドGNDに接続する。
【0046】
このような構成によれば、回路基板212の本体部212aは、LEDチップ121aが発光する際に生じる熱を吸熱し、LEDチップ211が実装されている面の反対側がバックライトケース300から露出して配置されることで当該熱を外部に向かって効率よく放熱させることができる。そのため、回路基板212を放熱板(ヒートシンク)の代替として用いることができ、放熱板が不要となったことで表示デバイス10を小型化することができる。また、回路基板212の延設部212bは、表示部100と接触して配置されることで、表示部100に帯電した電荷を当該表示部100から本体部212aに向かって移動させることで電気を流すことができ、本体部212aからグランドGNDに向かって電気を流すことができる。そのため、回路基板212は、各部の電位差によってノイズが発生することを抑制したり、表示部100から静電気が放電することでノイズが発生することを防止したりすることができる。また、回路基板212は、表示部100が収容される内部空間(内部空間部300S)を部分的に覆っている状態で配置されるため、種々の部品から発生するノイズを遮断するシールドとして機能することもできる。そのため、回路基板212は、LEDチップ211が実装される回路基板としての役割の他に、放熱対策としての役割と、ノイズ対策としての役割を一括で担うことができる。したがって、車両用表示装置1は、適正にノイズ対策をすることができる。
【0047】
また、さらに言えば、車両用表示装置1は、放熱対策用の部品と、ノイズ対策用の部品を、回路基板212とは別の部品で構成する必要がないため、部品点数を減らすことができる。そのため、車両用表示装置1は、各部品の組み付けをしやすくすることができる。
【0048】
さらに、以上で説明した車両用表示装置1のバックライトケース300は、当該バックライトケース300の内外を連通する開口部300b、300cを有する。また、バックライトケース300と回路基板212とは、相互に組み付けられた状態で、本体部212a及び延設部212bがバックライトケース300の開口部300b、300cを塞ぐことで、表示デバイス10のデバイス筐体10Hを構成する。このような構成によれば、バックライトケース300と回路基板212は、相互に組み付けられることで、箱状となり、1つの筐体を構成することができる。そのため、車両用表示装置1は、ノイズ対策として延設部212bが設けられた回路基板212が、バックライトケース300に組み付けられることで、表示デバイス10の大型化を抑制することができる。
【0049】
さらに、以上で説明した車両用表示装置1のバックライトケース300は、樹脂材料によって構成される。このような構成によれば、バックライトケース300は、金属材料などの材料によって構成する場合と比べて、重量を軽量化することができる。また、バックライトケース300を加工性に優れた樹脂材料で構成することで、所望の形状に成形しやすくすることができる。
【0050】
なお、上述した本発明の車両用表示装置1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、回路基板212の本体部212a及び延設部212bは、バックライトケース300の壁部300Kと重なっている状態で組み付けられていてもよい。
【0052】
また、表示デバイス10のデバイス筐体10Hの形態は特に限定されない。本実施形態における表示デバイス10のデバイス筐体10Hは、図2に示すLED基板210がバックライトケース300に組み付けられることで、回路基板212の2つの壁部(本体部212a及び延設部212b)と、バックライトケース300の4つの壁部(組付壁部300Ka、一対の側壁部300Kb、及び底壁部300Kc)とによって構成されている。ただし、表示デバイス10のデバイス筐体10Hを構成する壁部の組み合わせは、回路基板212が本体部212a及び延設部212bを含んで構成されている限り、特に限定されない。例えば、回路基板は、本体部212a及び延設部212bの他に、デバイス幅方向D2に沿って間隔をあけて対向して位置している一対の側壁部を含んで構成され、バックライトケース300は組付壁部300Ka、底壁部300Kcのみによって構成されていてもよく、表示デバイス10のデバイス筐体10Hは、回路基板212の4つの壁部とバックライトケース300の2つの壁部によって構成されていてもよい。
【0053】
また、バックライトケース300の構成材料は、軽量化や加工性の観点から樹脂材料によって構成されることが好ましいが、特に限定されない。
【0054】
また、本実施形態に係る車両用表示装置1は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用表示装置
10 表示デバイス
10H デバイス筐体
100 表示部
200 バックライト
210 LED基板
211 LEDチップ(光源)
212 回路基板(金属回路基板)
212a 本体部
212b 延設部
300 バックライトケース
300a、300b、300c 開口部
400 車両
410 表示面
500 運転者(乗員)
GND グランド
L1 出射光
L1x 光軸
L1d 光軸方向
L2 表示光
L3 反射光
Vi 虚像
X 車両前後方向
Y 車両車幅方向
Z 車両高さ方向
D1 デバイス前後方向
D2 デバイス幅方向
D3 デバイス高さ方向

図1
図2
図3