(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】運転制御方法、回路、家電機器及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240911BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20240911BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240911BHJP
【FI】
H02M3/155 P
H02M7/12 P
H02M7/48 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023016656
(22)【出願日】2023-02-07
(62)【分割の表示】P 2021570858の分割
【原出願日】2019-08-26
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】201910473279.8
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910473277.9
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517344192
【氏名又は名称】広東美的制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA AIR-CONDITIONING EQUIPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Lingang Road,Beijiao,Shunde,Foshan,Guangdong,China
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】張杰楠
(72)【発明者】
【氏名】黄招彬
(72)【発明者】
【氏名】曾賢杰
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007326(JP,A)
【文献】特開2009-159727(JP,A)
【文献】特開2017-011778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0013434(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02M 7/12
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動制御回路に適用される運転制御方法であって、
前記駆動制御回路は、グリッドシステムから入力された交流信号及びバス信号を含む給電信号を制御して負荷に給電させるように配置される力率改善モジュールを含み、前記力率改善モジュールにはスイッチングトランジスタが設けられ、
前記運転制御方法は、
前記負荷の運転パラメータを取得し、前記運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較するステップと、
前記運転パラメータと前記運転パラメータ閾値との大小関係に応じて、前記力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御するステップとを含み、
前記第1モードは、所定のデューティサイクルに従ってオン又はオフになるように前記スイッチングトランジスタを制御するように設定され、前記第2モードは、稼動モード及び非稼動モードを含み、前記バス信号に従って前記稼動モードと前記非稼動モードとの間で切り替えるように設定さ
れ、
前記運転パラメータと前記運転パラメータ閾値との大小関係に応じて、前記力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御するステップは、
前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以上であると判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御するステップと、
前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御するステップとを含み、
前記力率改善モジュールはブリッジモジュールを含み、前記ブリッジモジュールの各アームのスイッチングトランジスタを順に第1のスイッチングトランジスタ、第2のスイッチングトランジスタ、第3のスイッチングトランジスタ、第4のスイッチングトランジスタとし、
前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとの共通端は前記交流信号の第1の入力回路に接続され、前記第3のスイッチングトランジスタと前記第4のスイッチングトランジスタとの共通端は前記交流信号の第2の入力回路に接続され、
前記給電信号は、前記ブリッジモジュールによって整流される場合、前記交流信号から前記バス信号に変換され、
前記第1のスイッチングトランジスタと前記第4のスイッチングトランジスタとの共通端は前記バス信号の高圧回路に接続され、前記第2のスイッチングトランジスタと前記第3のスイッチングトランジスタとの共通端は前記バス信号の低圧回路に接続され、
前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御するステップは、
前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定された場合、前記バス信号に従って前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御するステップと、
前記稼動モードにおいて、前記交流信号が正の半周期波形にあるか負の半周期波形にあるかを判断するステップと、
前記交流信号が前記正の半周期波形にある場合、前記第3のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第4のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップと、
前記交流信号が前記負の半周期波形にある場合、前記第4のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第3のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップとをさらに含み、
前記稼動モードでは、前記バス信号に従って、前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタを交互にオンになるように制御し、
前記非稼動モードでは、前記第1のスイッチングトランジスタ、前記第2のスイッチングトランジスタ、前記第3のスイッチングトランジスタ及び前記第4のスイッチングトランジスタはいずれもオフ状態にある、
運転制御方法。
【請求項2】
前記負荷の運転パラメータを取得し、前記運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較するステップは、
所定の時間間隔で、電流、電力、運転圧力、及び周波数のうちの少なくとも1つを含む前記負荷の指定された運転パラメータを検出するステップと、
前記運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較するステップとを含む、
請求項1に記載の運転制御方法。
【請求項3】
前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以上であると判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御するステップは、
前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以上であると判定された場合、前記交流信号が正の半周期波形にあるか負の半周期波形にあるかを判断するステップと、
前記交流信号が前記正の半周期波形にある場合、前記第3のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第4のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップと、
前記交流信号が前記負の半周期波形にある場合、前記第4のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第3のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップとをさらに含み、
前記第1モードでは、所定のデューティサイクルに従って交互にオンになるように前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタを制御する、
請求項
1に記載の運転制御方法。
【請求項4】
前記稼動モードにおいて、前記バス信号が上限電圧閾値以上であるか否かを判断するステップと、
前記バス信号が前記上限電圧閾値以上であると判定された場合、前記稼動モードから前記非稼動モードに切り替えるステップとをさらに含む、
請求項
1に記載の運転制御方法。
【請求項5】
前記非稼動モードにおいて、前記バス信号が下限電圧閾値以下であるか否かを判断するステップと、
前記バス信号が前記下限電圧閾値以下であると判定された場合、前記非稼動モードから前記稼動モードに切り替えるステップとをさらに含む、
請求項
1に記載の運転制御方法。
【請求項6】
前記駆動制御回路は、前記力率改善モジュールと前記負荷との間に接続された容量性素子をさらに含み、前記容量性素子は、1つの電解キャパシタンスを含み、又は、前記容量性素子は、複数の直列及び/又は並列に接続されたキャパシタンス素子を含み、
前記運転制御方法は、
前記容量性素子の耐圧閾値及び前記スイッチングトランジスタの耐圧閾値に基づいて前記上限電圧閾値を決定するステップをさらに含む、
請求項
4に記載の運転制御方法。
【請求項7】
前記下限電圧閾値は、前記交流信号のピーク値より大きい、
請求項
5に記載の運転制御方法。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の運転制御方法のステップを実行するように配置されるコントローラと、
前記コントローラによって制御され、給電信号を制御して負荷に給電させるように配置されるスイッチングトランジスタを含む力率改善モジュールとを含む、
駆動制御回路。
【請求項9】
負荷と、
給電信号を制御して負荷に給電させるように配置される請求項
8に記載の駆動制御回路とを含む、
家電機器。
【請求項10】
前記家電機器はエアコン、冷蔵庫、ファン、レンジフード、掃除機及びコンピュータホストの少なくとも1つを含む、
請求項
9に記載の家電機器。
【請求項11】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムが実行されると、請求項1~
7のいずれか一項に記載の運転制御方法のステップが実現される、
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年05月31日に中国特許庁に提出された、出願番号が2019104732779であり、発明の名称が「運転制御方法、回路、家電機器及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てを援用することにより本願に取り入れる。
また、本願は、2019年05月31日に中国特許庁に提出された、出願番号が2019104732798であり、発明の名称が「運転制御方法、回路、家電機器及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てを援用することにより本願に取り入れる。
【0002】
本願は駆動制御分野に関し、具体的には、運転制御方法、駆動制御回路、家電機器及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
PFC(Power Factor Correction、力率改善)技術は駆動制御回路に広く応用され、その主な役割は電気機器(負荷)の電力使用効率を向上させることである。
【0004】
関連技術において、一般的に、PWM(Pulse-Width Modulation、パルス幅変調信号)を用いてスイッチングトランジスタをオン又はオフになるように駆動し、一般的に使用されるPFCモジュールはBoost型PFCモジュール及びブリッジレストーテムポール型PFCモジュールを含み、2つのPFCモジュールには、負荷を駆動して運転させるときに少なくとも次の技術的な問題がある。
【0005】
(1)Boost型PFCモジュールは、回路構成が簡単であり、即ち、スイッチングトランジスタを介してインダクタの充放電プロセスを制御するが、Boost型PFCモジュールの効率が低く、スイッチング損失が大きい。
【0006】
(2)ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールは、Boost型PFCモジュールより効率が高い。しかし、一般的にはブリッジレストーテムポール型PFCモジュールは高周波で稼動するが、高周波方式は高負荷の場合にのみ好適であり、負荷が小さいとスイッチングトランジスタの導通損失が増加して効率が低下する。これにより、駆動制御回路のハードウェア損失が大きくなり、消費電力が大きくなるだけでなく、負荷のエネルギー効率をさらに向上させることにも役立たない。
【0007】
本明細書全体にわたる背景技術に対するいかなる議論も、必ずしも当該背景技術が当業者に知られている従来技術であることを示すものではなく、本明細書全体にわたる従来技術に対するいかなる議論も、必ずしも当該従来技術が当該技術分野において広く知られていると見なされるか、又は、当該技術分野の通常の知識を構成するものであると見なされることを示すものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は従来技術又は関連技術に存在する技術的問題の1つを少なくとも解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本願の1つの目的は運転制御方法を提供する。
【0010】
本願のもう1つの目的は駆動制御回路を提供する。
【0011】
本願のさらに1つの目的は家電機器を提供する。
【0012】
本願のさらに1つの目的はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0018】
本願の第1の態様の技術的手段にて提供される運転制御方法は、負荷の運転パラメータを取得し、前記運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較するステップと、前記運転パラメータと前記運転パラメータ閾値との大小関係に応じて、力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御するステップとを含み、前記第1モードは、所定のデューティサイクルに従ってオン又はオフになるようにスイッチングトランジスタを制御するように設定され、前記第2モードは、給電信号に従ってスイッチングトランジスタのオン状態を制御するように設定される。
【0019】
当該技術的手段では、負荷の運転パラメータを取得することにより、運転パラメータは負荷の運転状態及び必要な電力を表すことができる。また、運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係に基づいて、前記力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御する。第1モードは高負荷(例えば、負荷量が全負荷状態の50%に達する)運転の駆動に適しており、第2モードは低負荷(例えば、負荷量が全負荷状態の50%に達しない)運転の駆動に適しており、さらに、低負荷に必要な電力が低いため、第2モードでのスイッチングトランジスタの状態は稼動状態及び非稼動状態を含み、非稼動状態ではスイッチングトランジスタは動作しない。これにより、負荷運転に必要な電力を満たすことができるだけでなく、回路損失及び消費電力をさらに削減することができ、負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させることに役立つ。
【0020】
本願の第2の態様にて提供される駆動制御回路は、上記いずれか一項に記載の運転制御方法のステップを実行するように配置されるコントローラと、前記コントローラによって制御され、給電信号を制御して負荷に給電させるように配置されるスイッチングトランジスタを含む力率改善モジュールとを含む。
【0021】
当該技術的手段では、駆動制御回路にコントローラが設けられ、コントローラは、上記いずれか一項の技術的手段に記載の運転制御方法のステップを実行するように配置されるため、当該駆動制御回路は、上記いずれか1つの技術的手段に記載の運転制御方法の全ての有益な効果を含み、ここでは繰り返さない。
【0022】
選択可能に、コントローラは、MCU(Micro-programmed Control Unit、マイクロプログラムコントローラ)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、DSP(Digital Signal Processor、デジタルシグナルプロセッサ)、及びエンベデッド装置のうちの1つであってもよいが、それらに限定されるものではない。
【0023】
本願の第3の態様にて提供される家電機器は、負荷と、給電信号を制御して負荷に給電させるように配置される上記いずれか1つの技術的手段に記載の駆動制御回路とを含む。
【0024】
当該技術的手段では、家電機器は、上記いずれか1つの技術的手段に記載の駆動制御回路を含むため、当該家電機器は、上記いずれか1つの技術的手段に記載の駆動制御回路の全ての有益な効果を含み、ここでは繰り返さない。
【0025】
上記技術的手段では、選択可能に、前記家電機器はエアコン、冷蔵庫、ファン、レンジフード、掃除機及びコンピュータホストの少なくとも1つを含む。
【0026】
本願の第4の態様は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータプログラムが実行されると、上記いずれか一項の技術的手段に記載の運転制御方法のステップが実現される。
【0027】
本願の追加の態様及び利点は、以下の説明から明らかになり、又は本願の実施を通じて理解されるであろう。
【0028】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は次の図面を参照する実施例の説明から明らかになり理解しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本願の一実施例に係る運転制御方法のフローチャートである。
【
図2】本願の他の実施例に係る運転制御方法のフローチャートである。
【
図3】本願の一実施例に係る駆動制御回路の概略図である。
【
図4】本願の他の実施例に係る駆動制御回路の概略図である。
【
図5】本願の他の実施例に係る運転制御方法のタイミングチャートである。
【
図6】本願の他の実施例に係る運転制御方法のタイミングチャートである。
【
図7】本願の他の実施例に係る運転制御方法のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願の上記の目的、特徴及び利点をよりよく理解するために、次に図面及び具体的な実施形態と結び付けて本願を一層詳細に説明する。なお、矛盾がない限り、本願の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0031】
次の説明で本願の十分な理解のために多くの詳細が記載されているが、本願はここで説明されるものと異なる形態で実施されてもよく、本願の保護範囲は以下に開示される具体的な実施例に限定されない。
【0032】
(実施例1)
図1は本願の一実施例に係る運転制御方法のフローチャートである。
【0033】
図1に示すように、本願の一実施例に係る運転制御方法は、負荷の運転パラメータを取得し、前記運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較するステップS102と、前記運転パラメータと前記運転パラメータ閾値との大小関係に応じて、力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御するステップS104とを含み、前記第1モードは、交流信号に従って前記力率改善モジュールのスイッチングトランジスタのオン状態を制御するように設定され、前記第2モードは、給電信号に従って前記スイッチングトランジスタのオン状態を制御するように設定される。
【0034】
当該技術的手段では、負荷の運転パラメータを取得することにより、運転パラメータは負荷の運転状態及び必要な電力を表すことができる。また、運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係に基づいて、前記力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御し、第1モードは低負荷(例えば、負荷量が全負荷状態の50%に達しない)運転の駆動に適しており、第2モードは高負荷(例えば、負荷量が全負荷状態の50%に達する)運転の駆動に適しており、さらに、第2モードでのスイッチングトランジスタの状態は稼動状態及び非稼動状態を含み、非稼動状態ではスイッチングトランジスタは動作しない。これにより、負荷運転に必要な電力を満たすことができるだけでなく、回路損失及び消費電力をさらに削減することができ、負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させることに役立つ。
【0035】
運転パラメータ閾値は、一般的には、給電信号と駆動制御回路のハードウェア特性を組み合わせて決定され、ハードウェア特性には主に、スイッチングトランジスタの耐電圧値及び容量性素子の耐電圧値が含まれる。
【0036】
選択可能に、前記負荷は単相モータ又は三相モータであり、駆動制御回路は負荷とグリッドシステムとの間に接続され、駆動制御回路は力率改善モジュール、容量性素子及びインバータを順に含み、力率改善モジュールはBoost型PFCモジュール又はブリッジレストーテムポール型PFCモジュールである。Boost型PFCモジュールの入力側には、通常、整流器ブリッジが設けられ、ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールには整流器ブリッジを設ける必要がなく、上記2種類の主流のPFCモジュールが第2モードに使用される場合、回路のエネルギー効率をさらに向上させることができるとともに、回路におけるスパイク信号及びサージ信号をさらに低減させることにも役立つ。
【0037】
選択可能に、第1モードは、同期整流モードに対応し、即ち、整流ダイオードの代わりに非常に低いオン抵抗を有するスイッチングトランジスタが使用される。特に、低電圧、高電流の駆動制御要件(低負荷)の下で、整流ダイオードのオン電圧降下は大きく、一般的に、0.6V~1.2Vであるため、回路損失が大きく、電源効率が低くなる。一方、スイッチングトランジスタがオンになるときの電圧-電流特性は線形特性を示し、スイッチングトランジスタのゲート(又はベース)の駆動電圧は、同期整流を達成するために交流電圧と同期し、軽負荷を駆動して運転させるのにより適しており、電源効率をさらに向上させる。
【0038】
(実施例2)
図2は本願の他の実施例に係る運転制御方法のフローチャートである。
【0039】
図2に示すように、本願の他の実施例に係る運転制御方法は、負荷の運転パラメータを取得し、前記運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較するステップS202と、前記運転パラメータと前記運転パラメータ閾値との大小関係に応じて、力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御するステップS204とを含み、前記第1モードは、所定のデューティサイクルに従ってオン又はオフになるように前記スイッチングトランジスタを制御するように設定され、前記第2モードは、給電信号に従って前記スイッチングトランジスタのオン状態を制御するように設定される。
【0040】
当該技術的手段では、負荷の運転パラメータを取得することにより、運転パラメータは負荷の運転状態及び必要な電力を表すことができる。また、運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係に基づいて、前記力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御する。第1モードは高負荷(例えば、負荷量が全負荷状態の50%に達する)運転の駆動に適しており、第2モードは低負荷(例えば、負荷量が全負荷状態の50%に達しない)運転の駆動に適しており、さらに、低負荷に必要な電力が低いため、第2モードでのスイッチングトランジスタの状態は稼動状態及び非稼動状態を含み、非稼動状態ではスイッチングトランジスタは動作しない。これにより負荷運転に必要な電力を満たすことができるだけでなく、回路損失及び消費電力をさらに削減することができ、負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させることに役立つ。
【0041】
運転パラメータ閾値は、一般的には、給電信号と駆動制御回路のハードウェア特性を組み合わせて決定され、ハードウェア特性には主に、スイッチングトランジスタの耐電圧値及び容量性素子の耐電圧値が含まれる。
【0042】
選択可能に、前記負荷は単相モータ又は三相モータであり、駆動制御回路は負荷とグリッドシステムとの間に接続され、駆動制御回路は力率改善モジュール、容量性素子及びインバータを順に含み、力率改善モジュールはBoost型PFCモジュール又はブリッジレストーテムポール型PFCモジュールである。Boost型PFCモジュールの入力側には一般的に、整流器ブリッジが設けられ、ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールには整流器ブリッジを設ける必要がなく、上記2種類の主流のPFCモジュールが第2モードに適用される場合、回路のエネルギー効率をさらに向上させることができるとともに、回路におけるスパイク信号及びサージ信号をさらに低減させることにも役立つ。
【0043】
また、本願の上記実施例に係る運転制御方法は、次の添付された技術的特徴を有することができる。
【0044】
上記技術的手段では、選択可能に、負荷の運転パラメータを取得し、前記運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較するステップは、具体的には、所定の時間間隔で、前記電流、電力、運転圧力及び周波数のうちの少なくとも1つを含む前記負荷の運転パラメータを検出するステップと、前記運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較するステップとを含む。
【0045】
当該技術的手段では、所定の時間間隔で前記負荷の運転パラメータを検出することにより、運転するように駆動される負荷が軽負荷であるか重負荷であるかを判定することができる。さらに、運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係を比較することにより、スイッチングトランジスタの稼動モードを調整し、スイッチングトランジスタの調整の柔軟性と適時性を向上させ、駆動制御回路の効率をさらに向上させることに役立つ。
【0046】
選択可能に、所定の時間間隔は、一般的に、負荷運転周波数に基づいて決定される。
【0047】
上記いずれかの技術的手段では、選択可能に、前記運転パラメータと前記運転パラメータ閾値との大小関係に応じて、前記力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御するステップは、具体的には、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以下であると判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御するステップと、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以上であると判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御するステップとを含む。
【0048】
当該技術的手段では、一方では、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以下であると判定され、即ち、負荷運転に必要な電力が低い場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御し、例えば、同期整流モードで稼動することで、負荷の運転の信頼性を保証することができる。他方では、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より大きいと判定され、即ち、負荷運転に必要な電力が高い場合、前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御し、第2モードでは、稼動状態又は非稼動状態にあるようにバス信号に従ってスイッチングトランジスタを制御するか否かを判定し、即ち、負荷の運転が確実に保証されるという前提で、負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させる。
【0049】
上記いずれかの技術的手段では、選択可能に、前記運転パラメータと前記運転パラメータ閾値との大小関係に応じて、前記力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御するステップは、具体的には、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以上であると判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御するステップと、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御するステップとを含む。
【0050】
当該技術的手段では、一方では、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以上であると判定され、即ち、負荷運転に必要な電力が高い場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御し、即ち、スイッチングトランジスタが指定されたスイッチング周波数に従って稼動することで、負荷の運転の信頼性を保証することができる。他方では、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定され、即ち、負荷運転に必要な電力が低い場合、前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御し、第2モードでは、稼動状態又は非稼動状態にあるようにバス信号に従ってスイッチングトランジスタを制御するか否かを判定し、即ち、負荷の運転が確実に保証されるという前提で、負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させる。
【0051】
上記技術的手段では、選択可能に、前記力率改善モジュールはブリッジモジュールを含み、前記ブリッジモジュールの各アームのスイッチングトランジスタを順に第1のスイッチングトランジスタ、第2のスイッチングトランジスタ、第3のスイッチングトランジスタ及び第4のスイッチングトランジスタとし、前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとの共通端は交流信号の第1の入力回路に接続され、前記第3のスイッチングトランジスタと前記第4のスイッチングトランジスタとの共通端は前記交流信号の第2の入力回路に接続され、前記給電信号は、前記ブリッジモジュールによって整流される場合、前記交流信号からバス信号に変換され、前記第1のスイッチングトランジスタと前記第4のスイッチングトランジスタとの共通端は前記バス信号の高圧回路に接続され、前記第2のスイッチングトランジスタと前記第3のスイッチングトランジスタとの共通端は前記バス信号の低圧回路に接続される。
【0052】
当該技術的手段では、力率改善モジュールにはブリッジモジュールが含まれるように設けられ、且つ第1のスイッチングトランジスタ、第2のスイッチングトランジスタ、第3のスイッチングトランジスタ及び第4のスイッチングトランジスタが上述のように接続されることにより、ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールを構成し、整流機能だけでなく回路力率を調整する機能も有する。上記ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御する場合、第1のスイッチングトランジスタのオン時間と第2のスイッチングトランジスタのオン時間との間にデッドタイムがあるように制御するとともに、第3のスイッチングトランジスタのオン時間と第4のスイッチングトランジスタのオン時間との間にデッドタイムがあるように制御することによって、ハーフブリッジ回路の2つのスイッチングトランジスタが直接接続してスパイク信号を生成することを回避し、さらに、負荷運転のエネルギー効率を向上させることに加えて、駆動制御回路の信頼性をさらに向上させる。
【0053】
上記技術的手段では、選択可能に、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以下であると判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御するステップは、具体的には、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以下であると判定された場合、前記交流信号が正の半周期波形にあるか負の半周期波形にあるかを判断するステップと、前記交流信号が前記正の半周期波形にある場合、前記第3のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第4のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップと、前記交流信号が前記負の半周期波形にある場合、前記第4のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第3のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップとを含む。
【0054】
当該技術的手段では、力率改善モジュールの第1モードでの稼動モードは、同期整流モードに属しており、即ち、スイッチングトランジスタの制御端の入力信号は、入力される交流信号と同期し、低負荷の運転シナリオにさらに適しており、回路の消費電力をさらに削減し、さらに負荷運転のエネルギー効率を向上させることができる。
【0055】
上記技術的手段では、選択可能に、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以下であると判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御するステップは、具体的には、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以下であると判定された場合、前記交流信号が正の半周期波形にあるか負の半周期波形にあるかを判断するステップと、前記交流信号が前記正の半周期波形にある場合、前記第2のスイッチングトランジスタをオフになるように制御し、交流電流の絶対値がゼロより大きい期間において、前記第1のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するステップと、前記交流信号が前記負の半周期波形にある場合、前記第1のスイッチングトランジスタをオフになるように制御し、前記交流電流の絶対値がゼロより大きい期間において、前記第2のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するステップとをさらに含む。
【0056】
上記技術的手段では、選択可能に、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以上であると判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第1モードで稼動させるように制御するステップは、具体的には、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値以上であると判定された場合、前記交流信号が正の半周期波形にあるか負の半周期波形にあるかを判断するステップと、前記交流信号が前記正の半周期波形にある場合、前記第3のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第4のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップと、前記交流信号が前記負の半周期波形にある場合、前記第4のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第3のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップとをさらに含み、前記第1モードでは、所定のデューティサイクルに従って交互にオンになるように前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタを制御する。
【0057】
上記技術的手段では、選択可能に、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御するステップは、具体的には、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定された場合、バス信号に従って前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御し、前記第2モードは稼動モード及び非稼動モードを含むステップと、前記稼動モードでは、前記交流信号が正の半周期波形にあるか負の半周期波形にあるかを判断するステップと、前記交流信号が前記正の半周期波形にある場合、前記第3のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第4のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップと、前記交流信号が前記負の半周期波形にある場合、前記第4のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第3のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップとをさらに含み、前記稼動モードでは、前記バス信号に従って、前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタを交互にオンになるように制御し、前記非稼動モードでは、前記第1のスイッチングトランジスタ、前記第2のスイッチングトランジスタ、前記第3のスイッチングトランジスタ及び前記第4のスイッチングトランジスタはいずれもオフ状態にある。
【0058】
上記技術的手段では、選択可能に、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定された場合、前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御するステップは、具体的には、前記運転パラメータが前記運転パラメータ閾値より小さいと判定された場合、バス信号に従って前記力率改善モジュールを前記第2モードで稼動させるように制御し、前記第2モードは稼動モード及び非稼動モードを含むステップと、前記稼動モードでは、前記交流信号が正の半周期波形にあるか負の半周期波形にあるかを判断するステップと、前記交流信号が前記正の半周期波形にある場合、前記第3のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第4のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップと、前記交流信号が前記負の半周期波形にある場合、前記第4のスイッチングトランジスタをオンになるように制御するとともに、前記第3のスイッチングトランジスタをオフになるように制御するステップとをさらに含み、前記稼動モードでは、前記バス信号に従って、前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタを交互にオンになるように制御し、前記非稼動モードでは、前記第1のスイッチングトランジスタ、前記第2のスイッチングトランジスタ、前記第3のスイッチングトランジスタ及び前記第4のスイッチングトランジスタはいずれもオフ状態にある。
【0059】
上記いずれかの技術的手段では、選択可能に、前記稼動モードでは、前記バス信号が上限電圧閾値以上であるか否かを判断するステップと、前記バス信号が前記上限電圧閾値以上であると判定された場合、前記稼動モードから前記非稼動モードに切り替えるステップとをさらに含む。
【0060】
当該技術的手段では、稼動モードでは、前記バス信号が上限電圧閾値以上であるか否かを判断することにより、前記稼動モードから前記非稼動モードに切り替わり、非稼動モードでは、バス電圧が低下する。
【0061】
上記いずれかの技術的手段では、選択可能に、前記非稼動モードでは、前記バス信号が前記下限電圧閾値以下であるか否かを判断するステップと、前記バス信号が前記下限電圧閾値以下であると判定された場合、前記非稼動モードから前記稼動モードに切り替えるステップとをさらに含む。
【0062】
当該技術的手段では、非稼動モードでは、前記バス信号が前記下限電圧閾値以下であるか否かを判断することにより、前記非稼動モードから前記稼動モードに切り替え、稼動モードでは、バス電圧が上昇し、バス電圧が低下して負荷運転ができなくなることを回避する。
【0063】
上記技術的手段では、選択可能に、前記駆動制御回路は前記力率改善モジュールと前記負荷との間に接続された容量性素子をさらに含み、前記容量性素子は、複数の直列及び/又は並列に接続された電解キャパシタンスを含み、又は前記容量性素子は、複数の直列及び/又は並列に接続されたキャパシタンス素子を含み、前記運転制御方法は、前記容量性素子の耐圧閾値及び前記スイッチングトランジスタの耐圧閾値に基づいて前記上限電圧閾値を決定するステップをさらに含む。
【0064】
当該技術的手段では、前記容量性素子の耐圧閾値及び前記スイッチングトランジスタの耐圧閾値に基づいて前記上限電圧閾値を決定することにより、一方では、容量性素子及びスイッチングトランジスタが破壊される可能性を低減し、他方では、上限電圧閾値は、スイッチングトランジスタが第1モードと第2モードとの間で切り替わる時刻を決定し、力率改善モジュールの信頼性と負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させる。
【0065】
上記技術的手段では、選択可能に、前記下限電圧閾値は、前記交流信号のピーク値より大きい。
【0066】
図3は本願の一実施例に係る駆動制御回路の概略図である。
【0067】
図3に示すように、本願の一実施例に係る駆動制御回路によれば、グリッドシステムACと負荷の入力端との間に接続される駆動制御回路は、具体的には、ブリッジ整流器モジュール、Boost型力率改善モジュール、容量性素子C(フィルタリング特性付き)及びインバータを含む。ブリッジ整流器モジュールは、交流信号を脈動直流信号に変換するために用いられる。Boost型力率改善モジュールは、誘導素子L、スイッチングトランジスタQ、及び片方向導通デバイスDを含む。容量性素子Cの充電及び放電作用により、容量性素子Cの電圧は鋸歯状のリップルを示し、片方向導通デバイスDの導通特性と組み合わせることによって、AC回路電圧の瞬時値が容量性素子の電圧より高い場合にのみ、片方向導通デバイスDは、順方向バイアスのためにオンになり、即ち、AC回路の入力信号の周期ごとにおいて、ピーク値付近でのみ片方向導通デバイスDがオンになり、入力された交流電圧は正弦波波形を示すが、入力された交流電流には多数のスパイクパルス、即ち回路の低力率を引き起こす高調波成分が多くある。
【0068】
従って、Boost型力率改善モジュールは、交流電圧と交流電流との位相差の問題だけでなく、高調波信号による電磁干渉及び電磁両立の問題を解決することができる。
【0069】
さらに、負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させる目的で、上記アクティブBoost型力率改善モジュールについて、負荷の運転パラメータと組み合わせることによってスイッチングトランジスタQの稼動モードを調整し、特に負荷運転の駆動に必要な電力が低いことを検出した場合、同期整流モードで負荷を駆動して運転させ、負荷運転の駆動に必要な電力が高いことを検出した場合、グリッドシステムACから入力された交流電圧及びバス電圧を含む給電信号に基づいてスイッチングトランジスタQが稼動するか否かを制御する。
【0070】
さらに、スイッチングトランジスタQが第2モードで稼動すると決定された場合、さらに、バス電圧と上限電圧閾値との大小関係、及びバス電圧と下限電圧閾値との大小関係と結び付けて、スイッチングトランジスタQに対するパルス駆動信号の出力又はスイッチングトランジスタQに対するパルス駆動信号の出力の停止を制御する。具体的には、バス電圧が上限電圧閾値を超えた場合、スイッチングトランジスタQに対するパルス駆動信号の出力を停止し、即ちスイッチングトランジスタQが非稼動モードになり、バス電圧が下限電圧閾値より小さい場合、スイッチングトランジスタQにパルス駆動信号を出力し、即ちスイッチングトランジスタQが稼動モードになり、交流電流を正弦波波形に近づける。
【0071】
さらに、非稼動モードと稼動モードとの切り替え時刻は、交流信号のゼロ交差時刻であり、駆動制御回路のスパイク信号をさらに低減する。
【0072】
図4は本願の他の実施例に係る駆動制御回路の概略図である。
【0073】
図4に示すように、本願の他の実施例に係る駆動制御回路によれば、グリッドシステムACと負荷の入力端との間に接続される駆動制御回路は、具体的には、ブリッジレストーテムポール型PFCモジュール、容量性素子C(フィルタリング特性付き)及びインバータを含む。ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールは、誘導素子L、スイッチングトランジスタ、及び片方向導通デバイスDを含む。容量性素子Cの充電及び放電作用により、容量性素子Cの電圧は鋸歯状のリップルを示し、片方向導通デバイスDの導通特性と組み合わせることによって、AC回路電圧の瞬時値が容量性素子の電圧より高い場合にのみ、片方向導通デバイスDが順方向バイアスのためにオンになり、即ち、AC回路の入力信号の周期ごとにおいて、ピーク値付近でのみ片方向導通デバイスDがオンになり、入力された交流電圧は正弦波波形を示す。しかし、入力された交流電流には多数のスパイクパルス、即ち回路の低力率を引き起こす高調波成分が多くある。
【0074】
従って、ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールは、交流電圧と交流電流との位相差の問題だけでなく、高調波信号による電磁干渉及び電磁両立の問題を解決することができる。本実施例では、スイッチングトランジスタは、第1のスイッチングトランジスタQ1、第2のスイッチングトランジスタQ2、第3のスイッチングトランジスタQ3及び第4のスイッチングトランジスタQ4を含む。第1のスイッチングトランジスタQ1及び第2のスイッチングトランジスタQ2は高周波スイッチングトランジスタであり、第3のスイッチングトランジスタQ3及び第4のスイッチングトランジスタQ4は低周波スイッチングトランジスタである。
【0075】
さらに、負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させる目的で、上記アクティブブリッジレストーテムポール型PFCモジュールについて、負荷の運転パラメータと結び付けることによってスイッチングトランジスタの稼動モードを調整し、特に負荷運転の駆動に必要な電力が低いことを検出した場合、同期整流モードで負荷を駆動して運転させ、負荷運転の駆動に必要な電力が高いことを検出した場合、グリッドシステムACから入力された交流電圧及びバス電圧を含む給電信号に基づいてスイッチングトランジスタQが稼動しているか否かを制御する。
【0076】
さらに、スイッチングトランジスタQが第2モードで稼動すると決定された場合、さらに、バス電圧と上限電圧閾値との大小関係、及びバス電圧と下限電圧閾値との大小関係と結び付けて、スイッチングトランジスタQに対するパルス駆動信号の出力又はスイッチングトランジスタQに対するパルス駆動信号の出力の停止を制御する。具体的には、バス電圧が上限電圧閾値を超えた場合、スイッチングトランジスタQに対するパルス駆動信号の出力を停止し、即ちスイッチングトランジスタQが非稼動モードになり、バス電圧が下限電圧閾値より小さい場合、スイッチングトランジスタQにパルス駆動信号を出力し、即ちスイッチングトランジスタQが稼動モードになり、交流電流を正弦波波形に近づける。
【0077】
さらに、非稼動モードと稼動モードとの切り替え時刻は、交流信号のゼロ交差時刻であり、駆動制御回路のスパイク信号をさらに低減する。
【0078】
以下、
図5~
図7に示すタイミングチャートと組み合わせて、ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールのスイッチングトランジスタが第1モード又は第2モードで稼動する実施例について具体的に説明する。
【0079】
図5は本願の他の実施例に係る運転制御方法のタイミングチャートである。
【0080】
図5に示すように、駆動制御回路が第1モードで稼動するステップは、以下を含む。
【0081】
(1)グリッドシステムACから負荷に交流電圧USを入力するプロセスにおいて、T0~T3期間では、交流電圧USの正の半周期波形とし、第3のスイッチングトランジスタQ3がオンになるとともに第4のスイッチングトランジスタQ4がオフになり、さらに交流電流ISが正の半周期波形であることを検出した場合、T1~T2期間では、第1のスイッチングトランジスタQ1がオンになるように制御するとともに第2のスイッチングトランジスタQ2がオフになるように制御する。
【0082】
(2)グリッドシステムACから負荷に交流電圧USを入力するプロセスにおいて、T3~T6期間では、交流電圧USの負の半周期波形とし、第3のスイッチングトランジスタQ3がオフになるとともに第4のスイッチングトランジスタQ4がオンになり、さらに交流電流ISが負の半周期波形であることを検出した場合、T4~T5期間では、第1のスイッチングトランジスタQ1がオフになるように制御するとともに第2のスイッチングトランジスタQ2がオンになるように制御する。
【0083】
図6は本願の他の実施例に係る運転制御方法のタイミングチャートである。
【0084】
図6に示すように、駆動制御回路が第1モードで稼動するステップは、以下を含む。
【0085】
(1)グリッドシステムACから負荷に交流電圧USを入力するプロセスにおいて、T0~T3期間では、交流電圧USの正の半周期波形とし、コントローラは第1のスイッチングトランジスタQ1及び第2のスイッチングトランジスタQ2にパルス駆動信号を出力し、第1のスイッチングトランジスタQ1のデューティサイクルは、可変値(小さいものから大きいものへ、又は大きいものから小さいものへ)又はプリセット定数値であり、第1のスイッチングトランジスタQ1のオン時間は、第2のスイッチングトランジスタQ2のオン時間と相補的であり、第3のスイッチングトランジスタQ3がオンになり、第4のスイッチングトランジスタQ4がオフになる。
【0086】
(2)期間T3~T6期間において、交流電圧USの負の半周期波形とし、コントローラは第1のスイッチングトランジスタQ1及び第2のスイッチングトランジスタQ2にパルス駆動信号を出力し、第1のスイッチングトランジスタQ1のデューティサイクルは、可変値(小さいものから大きいものへ、又は大きいものから小さいものへ)又はプリセット定数値であり、第1のスイッチングトランジスタQ1のオン時間は、第2のスイッチングトランジスタQ2のオン時間と相補的であり、第3のスイッチングトランジスタQ3がオフになるとともに第4のスイッチングトランジスタQ4がオンになる。
【0087】
負荷の運転パラメータにより、スイッチングトランジスタが第2モードでの稼動モードで稼動すると決定された場合、
図6に示されるタイミングチャートに従ってスイッチングトランジスタにパルス駆動信号を出力することで、負荷が確実に運転することを保証しながら、負荷運転の力率を向上させることに役立つ。
【0088】
図7に示すように、バス電圧と結び付けて、スイッチングトランジスタが第2モードで稼動する実施例について以下のように具体的に説明する。
【0089】
(1)上限電圧閾値としてVdc_maxを、下限電圧閾値としてVdc_minを設定し、Vdc_minは入力された交流電圧のピーク値以上である。
【0090】
(2)バス電圧V
dcがV
dc_minより小さいことを検出した場合、
図5又は
図6のタイミングチャートに従ってスイッチングトランジスタにパルス駆動信号を出力し、バス電圧が上昇し始まり、即ち
図7に示されるT
0~T
3の期間、T
3~T
6の期間、T
6~T
9の期間、T
9~T
12の期間、T
12~T
15の期間、T
15~T
18の期間、即ち3つの交流電圧U
Sの入力周期となる。
【0091】
(3)バス電圧V
dcがV
dc_max以上であることを検出した場合、スイッチングトランジスタへのパルス駆動信号の出力を停止し、容量性素子が負荷運転に必要な電力を供給し、バス電圧が低下し始まり、即ち、
図7に示されるT
18~T
21の期間、T
21~T
24の期間、T
24~T
27の期間、T
27~T
30の期間、即ち2つの交流電圧U
Sの入力周期となる。
【0092】
ステップ(2)とステップ(3)は、サイクル条件を判断するプロセスである。
【0093】
本願の実施例は、上記いずれか一項に記載の運転制御方法のステップを実行するように配置されるコントローラと、前記コントローラによって制御され、給電信号を制御して負荷に給電させるように配置されるスイッチングトランジスタを含む力率改善モジュールとを含む駆動制御回路をさらに提供する。
【0094】
当該実施例では、給電信号を制御して負荷に給電させるようにスイッチングトランジスタを設定することにより、バス電圧が正常変動範囲内にある限り、負荷の正常運転を保証することができる。負荷が正常に運転することが保証されることを前提として、バス電圧の変化に対して対応するburst(間欠発振)モードの制御戦略、即ち間欠出力制御戦略を設定することができる。それにより、間欠出力制御戦略により、高周波動作信号が間欠出力状態になるように制御し、即ち、高周波動作信号が持続的に出力状態にある必要がなく、即ち、スイッチングトランジスタが持続的に高周波動作スイッチ状態にある必要がない。それにより、駆動制御回路の力率改善モジュールの導通消費電力を低減し、当該駆動制御回路を用いた電気機器(エアコンなど)のエネルギー効率を向上させることができる。
【0095】
選択可能に、コントローラは、MCU(Micro-programmed Control Unit、マイクロプログラムコントローラ)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、DSP(Digital Signal Processor、デジタルシグナルプロセッサ)、及びエンベデッド装置のうちの1つであってもよいが、それらに限定されるものではない。
【0096】
本願の実施例にてさらに提供される家電機器は、負荷と、給電信号を制御して負荷に給電させるように配置される上述した駆動制御回路とを含む。
【0097】
上記技術的手段では、選択可能に、前記家電機器はエアコン、冷蔵庫、ファン、レンジフード、掃除機及びコンピュータホストの少なくとも1つを含む。
【0098】
本願の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータプログラムが実行されると、上記いずれか一項に記載の運転制御方法のステップが実現される。
【0099】
本願の技術的手段によれば、負荷の運転パラメータを取得することにより、運転パラメータは負荷の運転状態及び必要な電力を表すことができる。また、運転パラメータと運転パラメータ閾値との大小関係に基づいて、前記力率改善モジュールを第1モード又は第2モードで稼動させるように制御し、さらに、第2モードでのスイッチングトランジスタの状態は稼動状態及び非稼動状態を含み、非稼動状態ではスイッチングトランジスタは動作しない。これにより、負荷運転に必要な電力を満たすことができるだけでなく、回路損失及び消費電力をさらに削減することができ、負荷運転のエネルギー効率をさらに向上させることに役立つ。
【0100】
当業者であれば分かるように、本願の実施例は、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。従って、本願は、全体的にハードウェアの実施例、全体的にソフトウェアの実施例、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施例の形態を用いることができる。また、本願は、コンピュータで使用可能なプログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータで使用可能な記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むが、これらに限定されない)に実施されたコンピュータプログラム製品の形態を用いることができる。
【0101】
本願は、本願の実施例に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート及び/又はブロック図における各フロー及び/又はブロック、並びにフローチャート及び/又はブロック図におけるフロー及び/又はブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実現されてもよいと理解すべきである。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよく、それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャートの1つ又は複数のフロー、及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定される機能を実現するための装置を生成する。
【0102】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の方法で稼動するように指示することができるコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶されてもよく、その結果、当該コンピュータ読み取り可能なメモリに記憶された命令が、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する命令装置を含む製品を生成する。
【0103】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることもでき、それにより、一連の操作ステップがコンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行されて、コンピュータで実現される処理を生成し、それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行される命令が、フローチャートの1つ又は複数のフロー、及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内で指定される機能を実現するためのステップを提供する。
【0104】
なお、特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、請求項を限定するものとして構成されてはならない。「含む」という単語は、特許請求の範囲に列挙されていないコンポーネント又はステップの存在を除外しない。コンポーネントの前に位置する「一」又は「1つ」という単語は、そのようなコンポーネントが複数存在することを排除するものではない。本願は、いくつかの異なるコンポーネントを含むハードウェア、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実現されてもよい。幾つかの装置を列挙する特許請求の範囲において、これらの装置の幾つかは、同一のハードウェア項目によって具現化されてもよい。単語第1、第2、第3などの使用は、如何なる順序も示さない。これらの単語は、名称として解釈されてもよい。
【0105】
本願の好ましい実施例を説明してきたが、当業者は、基本的な創造的概念を知った時点で、これらの実施例に対してさらなる変更及び修正を行うことができる。従って、添付された特許請求の範囲は、好ましい実施例、並びに本願の範囲内に入る全ての変更及び修正を含むものとして解釈されることを目的とする。
【0106】
上記は、本願の好ましい実施例にすぎず、本願を限定するためのものではない。当業者にとって、本願は、様々な修正及び変更を行うことができる。本願の精神と原則内で行われる任意の修正、同等の置換、及び改善などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。