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特許7554317光センサ及びホログラフィ光学素子が組み込まれた複合ペイン
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  • 特許-光センサ及びホログラフィ光学素子が組み込まれた複合ペイン 図1A
  • 特許-光センサ及びホログラフィ光学素子が組み込まれた複合ペイン 図1B
  • 特許-光センサ及びホログラフィ光学素子が組み込まれた複合ペイン 図2A
  • 特許-光センサ及びホログラフィ光学素子が組み込まれた複合ペイン 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】光センサ及びホログラフィ光学素子が組み込まれた複合ペイン
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/04 20060101AFI20240911BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20240911BHJP
【FI】
G01J1/04 B
H01L31/02 D
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101949
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021548674の分割
【原出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2023145431
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】19158506.6
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ガーボル バルガ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ツァイス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン エッフェルツ
(72)【発明者】
【氏名】ドアン シェルビー クレイグ
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-524557(JP,A)
【文献】特表2018-537377(JP,A)
【文献】特開平5-323238(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037218(WO,A1)
【文献】実公平7-016491(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00- 1/60
G01J 11/00
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G02B 5/18
G02B 5/32
G01W 1/00- 1/18
B60J 1/00- 1/20
B60J 3/00- 3/06
H01L 31/00-31/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ペイン(100)であって、
-少なくとも1つの熱可塑性中間層(3)を介して互いに接合されている外側ペイン(1)及び内側ペイン(2)、並びに
-前記外側ペイン(1)と前記内側ペイン(2)との間に配置されている、少なくとも1つの光感受性表面(4.1)を備えた少なくとも1つの光センサ(4)
を少なくとも含んでおり、
-前記光感受性表面(4.1)が前記外側ペイン(1)に面しており、
-前記光感受性表面(4.1)と前記外側ペイン(1)との間にホログラフィ光学素子(11)が配置されており、かつ
-前記ホログラフィ光学素子(11)が入射光(L,R)の入射角依存性回折のためのホログラムとして構成されており、
前記入射光は前記複合ペイン(100)の前記外側ペイン(1)上に入射し、
前記複合ペイン(100)が、前記外側ペイン(1)を介して前記複合ペイン(100)に入った前記入射光だけが前記光センサ(4)の前記光感受性表面(4.1)に達することができ、かつ前記光センサ(4)が前記入射光だけと反応するように構成され、
前記複合ペイン(100)が、少なくとも2つの光センサ(4)を含んでおり、
前記複合ペイン(100)が、2つの光センサ(4‘,4‘‘)の第1配列であって、前記第1配列の前記ホログラフィ光学素子(11.1,11.2)が互いに対向する入射角範囲を有する状態で配置されている、第1配列と、2つの光センサ(4‘‘‘,4‘‘‘‘)を有する第2配列であって、前記第2配列の前記ホログラフィ光学素子(11.1,11.2)が互いに対向する入射角範囲を有する状態で配置されている、第2配列と、を含み、かつ前記第1配列が前記第2配列に対して直交方向に配置されている、
複合ペイン(100)。
【請求項2】
前記ホログラフィ光学素子(11)が、第1入射角範囲アルファ内で前記外側ペイン(1)上に入射した光(L,R)を少なくとも部分的に光感受性表面(4.1)上へ指向させ、かつ第2入射角範囲ベータ内で入射した光(L,R)を前記光感受性表面(4.1)の隣に指向させるように、構成されている、請求項1に記載の複合ペイン(100)。
【請求項3】
前記第1入射角範囲アルファが、0°~60°の全ての入射角ファイを含み、かつ/又は前記第2入射角範囲ベータが、-90°~0°の全ての入射角ファイを含む、請求項2に記載の複合ペイン(100)。
【請求項4】
前記ホログラフィ光学素子(11)が直接に、前記光感受性表面(4.1)上に、かつ/又は前記外側ペイン(1)の内部側の表面(II)上に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
【請求項5】
前記ホログラフィ光学素子がフィルム様である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
【請求項6】
前記光センサ(4)が、少なくとも1つのプリント基板(5)上に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の、光センサ(4)が組み込まれた複合ペイン(100)を製造する方法であって、
(a)外側ペイン(1)、内側ペイン(2)、少なくとも1つの熱可塑性フィルム、及びプリント基板(5)上に位置する前記光センサ(4)を、前記フィルム及び前記光センサ(4)が前記外側ペイン(1)と前記内側ペイン(2)との間に配置されるようにスタックとして配置し、
(b)前記少なくとも1つの熱可塑性フィルムから形成された中間層(3)を介して積層することにより、前記外側ペイン(1)を前記内側ペイン(2)に結合する、
複合ペイン(100)を製造する方法。
【請求項8】
工程(a)の前に、サイズ、位置、及び配置関係が前記光センサ(4)に適合された穴又は凹部を前記フィルムに設け、そして前記穴又は凹部内へ、工程(a)中に前記光センサ(4)を挿入する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の、光センサ(4)が組み込まれた複合ペイン(100)を、乗り物用ペインとして使用する、複合ペイン(100)の使用。
【請求項10】
前記光センサ(4)が前記乗り物の評価・制御電子機器に接続されており、前記乗り物照明の切り換え状態、ペイン領域の透過特性、エアコンディショニングシステムの機能、HUDディスプレイの明るさ、及び/又は乗り物内部のディスプレイ素子の強度が、前記光センサ(4)によって測定される周囲光の関数として制御される、請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合ペイン、具体的には光センサが組み込まれた乗り物用複合ペイン、複合ペインを製造する方法、及び複合ペインの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
利用可能な日光の量を割り出し、そしてこれに基づいて、例えば乗り物用ヘッドライトを必要に応じて操作するために、乗り物に光センサを装備することが知られている。従来の光センサは、具体的にはフロントガラスの内部側の表面上に、例えばバックミラー領域内に追加部品として取り付けられる。
【0003】
欧州特許出願公開第2100722号明細書に基づき公知の光センサは、フロントガラス内へ積層され、すなわちフロントガラスの外側ペインと内側ペインとの間に配置されており、ペインは、熱可塑性中間層によって互いに結合されている。このようにすると、フロントガラスに光センサをコンパクトに組み込むことができ、光センサを後から装着せずにすむ。光センサは、プリント基板上にフリップチップフォトダイオードの形態を成して構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、光センサが組み込まれた複合ペインをさらに改善して、できる限りシンプルかつ経済的に製造できるようにし、そして組み込まれた光センサが偏平な構造によって特徴づけられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、本発明に基づいて、請求項1に記載された複合ペインにより達成される。好ましい実施態様が従属請求項から明らかになる。
【0006】
本発明による複合ペイン、具体的には本発明による乗り物用複合ペインは、
-少なくとも1つの熱可塑性中間層を介して互いに接合された外側ペイン及び内側ペインと、
-前記外側ペインと前記内側ペインとの間に配置された、少なくとも1つの光感受性表面を備えた少なくとも1つの光センサと
を少なくとも含み、
-前記光感受性表面が前記外側ペインに面しており、かつ
-前記光感受性表面と前記外側ペインとの間にホログラフィ光学素子が配置されており、かつ
-前記ホログラフィ光学素子が入射光の入射角依存性回折のためのホログラムとして構成されている。
【発明の効果】
【0007】
光センサが組み込まれた本発明による複合ペインは、熱可塑性中間層を介して互いに接合された外側ペイン及び内側ペインを少なくとも含む。言うまでもなく、「外側ペイン」及び「内側ペイン」という用語は自由に選択され、外側ペインを介して複合ペインに衝突する入射光に関する方向を表すにすぎない。乗り物用複合ペインとして、複合ペインは乗り物の内部を外部環境から分離するように設けられる。乗り物用複合ペインはこのように、乗り物ボディの窓開口内に挿入されるか又はそのような目的のために意図された窓ガラスである。本発明による乗り物用ペインは具体的には自動車のフロントガラス、ルーフパネル、又はリアウィンドウである。「内側ペイン」という用語は、取り付け位置において乗り物の内部に面するペインを意味する。「外側ペイン」という用語は、取り付け位置において乗り物の外部環境に面するペインを意味する。熱可塑性中間層は、少なくとも1つの熱可塑性位フィルムから形成されるのが典型的である。
【0008】
取り付け位置において乗り物の外部環境に面するそれぞれのペインの表面は「外部側の表面」と呼ばれる。取り付け位置において乗り物の内部に面するそれぞれのペインの表面は「内部側の表面」と呼ばれる。外側ペインの内部側の表面は、熱可塑性中間層を介して内側ペインの外部側の表面に接合される。通常、外側ペインの外部側の表面を「面I」と呼び、外側ペインの内部側の表面を「面II」と呼び、内側ペインの外部側の表面を「面III」と呼び、そして内側ペインの内部側の表面を「面IV」と呼ぶ。
【0009】
本発明はさらに光センサであって、前記光センサが、
- 少なくとも1つの光感受性表面を備えた光センサを含み、
- 前記光感受性表面に面する前記光センサの側にホログラフィ光学素子が配置されており、かつ
- 前記ホログラフィ光学素子が入射光の入射角依存性回折のためのホログラムとして構成されている。
【0010】
本発明はさらに、光センサを備えた単一ペインであって、前記単一ペインが、
- 外側ペインと、
- 前記外側ペインの内側面IIに配置された少なくとも1つの光感受性表面を備えた少なくとも1つの光センサと
を含み、
- 前記光感受性表面が前記外側ペインに面しており、かつ
- 前記光感受性表面と前記外側ペインとの間にホログラフィ光学素子が配置されており、かつ
- 前記ホログラフィ光学素子が入射光の入射角依存性回折のためのホログラムとして構成されている。
ここでは、外側ペインは単一ペインと同義である。
【0011】
言うまでもなく、下記好ましい模範的実施態様は本発明による光センサ、本発明による単一ペイン、及び本発明による複合ペインに、技術的に可能な範囲で適用される。
【0012】
有利な実施態様では、本発明による光センサは丁度1つの光感受性表面を有している。このことは、個々の光センサの光感受性表面がさらに分割されないこと、かつ光センサによって出力される測定信号が光感受性表面に衝突した光量をまとめることを意味する。このような光センサは電気的な信号の評価の上で特に経済的かつシンプルである。
【0013】
別の有利な実施態様では、本発明による光センサは複数の光感受性表面、又は複数の部分面に分割された1つの光感受性表面を有している。このことは、光感受性表面の種々異なる領域に種々異なる電気的な信号を割り当て得ることを意味する。このような光センサは入射光ビームに関する空間分解データを既に提供し、これらのデータをより良好に区別することができる。
【0014】
言うまでもなく、光感受性表面は数学的領域ではなく、むしろある特定の層厚を有する光感受性層である。この層厚はしかし、横方向の延びよりも通常は著しく小さい。
【0015】
本発明による光センサの光感受性表面は外側ペインに面している。このことは外側ペインを介して複合ペインに入った光だけが光センサの光感受性表面に達することができ、光センサがこの光だけと反応することを意味する。
【0016】
光感受性表面は保護層で完全に覆われている。保護層は、光感受性表面の露出面を、機械的及び化学的な損傷に対して、例えば湿分に対して保護する。
【0017】
保護層は透明であるか、又は光センサの検出波長範囲に対して十分に透明である。このことは有利には、光センサが技術的に設計されている対象となる波長範囲に対する透過率が20%超、好ましくは50%超、特に好ましくは70%超、具体的には90%超であることを意味する。
【0018】
保護層は、光センサの、外側ペインに面する側に、かつ光感受性表面上に直接に配置されている。言うまでもなく、保護層は光感受性表面を少なくとも完全に覆うが、しかし通常そうであるように、光感受性表面を超えて突出することもできる。以下では、保護層は光センサの部分又は光感受性表面の構成部分と考えられる。
【0019】
さらに、光感受性表面と外側ペインとの間にホログラフィ光学素子が配置されている。
【0020】
機能原理がホログラフィに基づいている光学素子をまとめてホログラフィ光学素子(HOE)と呼ぶ。例えばレンズ又は鏡のように光を反射又は透過する物体の幾何学的形状を使用する代わりに、ホログラフィ光学素子が、ホログラム内に記憶された情報を使用して光路内の光を変化させる。ホログラム内に記憶された情報は通常、屈折率の変化として記憶される。使用されるホログラムは通常、実物体の画像としてではなく、種々異なる平面光波又は球面光波の重畳として製造される。これらの光波の干渉縞が所望の光学効果を発生させる。換言すれば、ホログラフィ光学素子は平面回折構造の効果に基づいている。このようなホログラフィ光学素子は、例えばある特定の入射角範囲に関して光を変向又は回折することができるが、しかし異なる入射角範囲に関しては完全に透明であるか又は光を異なる方向に指向させることができる。
【0021】
このようなホログラフィ光学素子の具体的な利点は、これらの多様な光学機能特性に加えて、これらの薄さ及びフィルム様の性質にある。このことは、素子がシンプルかつ経済的に製造され、複合ペイン内へ積層されるのを可能にする。
【0022】
本発明による複合ペインは、ホログラフィ光学素子の機能特性をうまく活用することにより、複合ペインの外側ペインに対する光入射の方向を割り出すのを可能にする。
【0023】
有利な実施態様では、本発明によるホログラフィ光学素子は、第1入射角範囲アルファ内で外側ペイン上に入射した光を少なくとも部分的に光感受性表面上へ指向させ、そして第2入射角範囲ベータ内で入射した光を少なくとも部分的に、そして好ましくは完全に、光感受性表面の隣に指向させるように、構成されている。
【0024】
本発明によるホログラフィ光学素子の別の有利な実施態様では、第1入射角範囲アルファが0°~60°、好ましくは0°~45°、具体的には10°~30°の全ての入射角ファイを含み、かつ/又は第2入射角範囲ベータが-90°~0°、好ましくは-60°~-5°、具体的には-30~-10°の全ての入射角ファイを含む。
【0025】
本発明による光センサの有利な実施態様では、前記ホログラフィ光学素子が直接に前記光感受性表面上に、かつ/又は前記外側ペインの内部側の表面II上に配置されている。言うまでもなく、ホログラフィ光学素子は同時に光センサ、及びその上方に配置された外側ペインの外部側の表面IIと直接に接触することができる。
【0026】
別の有利な実施態様では、本発明によるホログラフィ光学素子は、光感受性表面の真上に配置されている。すなわちホログラフィ光学素子は外側ペイン上の光感受性表面の正射影領域内に少なくとも完全に配置されている。換言すれば、ホログラフィ光学素子は、外側ペイン上の直交方向光入射に関して少なくとも完全に光感受性表面を覆っている。言うまでもなく、ホログラフィ光学素子は(投影図において)1つの側、複数の側、又は全ての側で光感受性表面を超えて突出することができる。
【0027】
別の有利な実施態様では、本発明によるホログラフィ光学素子はフィルム様である。有利にはホログラフィ光学素子の厚さdは、10μm~10000μm、好ましくは10μm~10000μm、特に好ましくは50μm~500μm、具体的には100μm~500μmである。
【0028】
別の有利な実施態様では、本発明による複合ペインは少なくとも2つ、好ましくは丁度2つ、又は丁度4つの光センサを含んでいる。
【0029】
別の有利な実施態様では、本発明による複合ペインは、異なる方向に配向された4つのホログラフィ光学素子を備えた4つの光センサを含んでいる。言うまでもなく、異なる方向に配向された4つのホログラフィ光学素子は、1つ又は2つのホログラフィ光学素子の4つの異なる機能領域として構成することもできる。
【0030】
この場合、複合ペインが、2つの光センサの第1配列を有し、この第1配列のホログラフィ光学素子が機能的に互いに対向する入射角範囲を有し、かつ複合ペインが、2つの光センサを有する第2配列を有し、第2配列のホログラフィ光学素子が機能的に互いに対向する入射角範囲を有し、かつ第1配列が第2配列に対して直交方向に配置されていることが特に有利である。
【0031】
本発明による複合ペインの別の有利な実施態様では、光センサは少なくとも1つのプリント基板上、好ましくは少なくとも1つのフレキシブルプリント基板上に配置されており、かつこのプリント基板上で導体トラックと接触させられている。このことは、光センサを乗り物の対応する評価電子機器に容易に接続するのを可能にする。
【0032】
測定された周囲光源に応じて、ヘッドライトの切り換え状態を、例えば評価・制御電子機器によって自動的に制御することができる。このようにすると、乗り物の運転手にとって利便性が向上する。運転手はもはやヘッドライトを手動でターンオン・オフすることに注意を払わずにすむ。他の用途は例えば、ペイン全体又はペイン領域の透過特性、乗り物内部のディスプレイ素子の明るさ制御の自動的な電気的切り換えである。
【0033】
複合ペイン内へ積層されるべき本発明による光センサとして使用するには、SMD構成部分がその小さな寸法により、特に適している。当業者に概ね知られているように、SMDは表面実装デバイス(surface-mounted device)という用語の頭字語である。SMD構成部分はワイヤ接続部を有しておらず、その代わりにはんだ付け可能な接続パッドによってプリント基板上へ直接にはんだ付けされる。従来の構成部分は取り付け穴を通してルーティングし、プリント基板の背面にはんだ付けしなければならない。このことはSMD構成部分によって不要になる。したがって、極めて密な実装が可能になり、所要空間が低減される。プロセス技術の見地から有利なことには、プリント基板内の穿孔が不要である。構成部分がより小さく、接続ワイヤが不要であることにより重量が小さくなる。SMD技術はまた自動実装(光センサの自動的なピッキング及びプレーシング、自動的なはんだ付け)に特に適している。自動実装は工業的な大量生産に特に有利である。SMD光センサは典型的には、実チップの周りにハウジング、具体的にはプラスチックハウジングを有している。あるいはいわゆる「フリップチップ光センサ」を使用することもできる。
【0034】
「光検出器(photodetector)」、「光学検出器(optical detector)」、又は「光電子センサ(optoelectronic sensor)」とも呼ばれる「光センサ(light sensor)」は、具体的には光電効果を用いて光を電気的な信号に変換するか、あるいは入射放射線に応じた電気抵抗を呈する電子構成部分を意味する。光電子光学において、かつ本発明の文脈においても、「光」という用語は可視光を意味するだけではなく、不可視の赤外光及び紫外線をも意味する。
【0035】
可視スペクトル範囲における光センサのためには、可視スペクトル範囲内で感受性を有するフォトダイオードが使用されることが好ましい。スペクトル感度分布を人間の目のものと整合させて、測定された光量が乗り物の所有者によって知覚される光量とできる限り合致するようにすると有利である。人間によって重要なものとして知覚されない放射線によって引き起こされる不所望な切り換え作業を回避することができる。フォトダイオードが500nm~600nmのスペクトル範囲全体に感受性を有していると有利な適合がもたらされる。このようなスペクトル範囲は、その感度極大の少なくとも50%、好ましくは60%に相当する。感度極大は450nm~600nmの範囲、具体的には490nm~570nmの範囲にあることが望ましい。感度は検出効率と呼ぶこともでき、フォトダイオードに衝突するそれぞれの波長の光子の総数に対する、検出された光子の比として定量化することができる。所望のスペクトル感度は、フォトダイオードの活性材料のタイプによって影響を与えることが理想的である。しかしながら、これとは別に、光学フィルタ、例えばフォトダイオードの外部に配置されたフィルタフィルムを使用して、所望のスペクトル感度を達成することもできる。言うまでもなく、このフィルムはフォトダイオード又は保護層の一部である。
【0036】
回路基板はカード、プリント回路、又はプリント基板(PCB)と呼ぶこともできる。これは、回路基板上に配置されたフォトダイオードの機械的取り付け及び電気的接続のために役立つ。プリント基板は、電気的絶縁材料、具体的にはプラスチックから成っており、その上に導電接続部(導体トラック)が付着している。導体トラックは、構成部分のためのはんだ付けパッドとして役立つ局所的な拡張部を有することができる。
【0037】
好ましい実施態様では、プリント基板は、フレックスボードとしても知られるフレキシブルプリント基板である。このようなプリント基板は可撓性の曲げ可能なポリマーフィルム、例えばポリイミドフィルムから形成される。プリント基板の厚さは好ましくは0.38mm未満かつ50μm超であり、特に好ましくは120μm~180μmである。これを用いると一方では、可撓性の点で特に良好な結果が得られ、他方では安定性が得られる。可撓性及び小さな厚さの理由から、フレキシブルプリント基板が、複合ペイン、具体的には曲げ複合ペイン内へ積層されるのに特に適している。
【0038】
光センサがSMD構成部分である場合、SMDプリント基板が使用されると好都合である。
【0039】
プリント基板はペインのうちの一方に直接に、具体的には、光センサから離反する側が内側ペインの外部側の表面に位置する状態で配置することができる。物理的に制限されたプリント基板の存在が、積層体の安定性を著しく低下させることにはならないことが実証されている。しかしながらプリント基板は2つの熱可塑性層間、すなわち熱可塑性中間層の2つのプライ間に配置することもできる。
【0040】
プリント基板は外部の電気的接触のための少なくとも2つの接続パッド(例えばアノード及びカソード)を有している。これらの接続パッドは、接続ケーブルを介して外部の評価・制御電子機器にプリント基板を接続し、これにより、光の入射時に光センサによって生成された電流パルスを評価・制御電子機器へ転送するために役立つ。接続パッドの接触は好ましくは偏平導体(偏平ストリップ導体又はフィルム導体とも呼ばれる)によって行われる。偏平導体は、導電フィルムと任意のポリマーシースとを含む。シースはもちろん接続点に開口を有していなければならない。プリント基板の接続点には偏平導体が、例えばはんだ付け用化合物又は導電性接着剤を介して接続されていることが好ましい。多極偏平導体が、各極が接続パッドに接続された状態で使用されることが好ましい。しかしながら、これとは別に、別々の偏平導体を各接続パッドのために使用することもできる。偏平導体は好ましくは、プリント基板から離反するその端部に、乗り物の電気システムの付加的なケーブルに接続するためのプラグコネクタ(プラグ又はカップリング)を有している。
【0041】
プリント基板は好ましくは複合ペインの内部に完全に配置され、偏平導体によって接触させられる。偏平導体は複合ペインから側縁を超えて延びる。偏平導体によるプリント基板の接触は複合ペインの製造前に行われる。複合ペインの製造中、プリント基板は次いで複合スタック内に配置され、これによりペインの領域内部に完全に配置される。その利点は、偏平導体よりも典型的には損傷されやすいプリント基板の破損のリスクが低減されることにある。
【0042】
あるいは、プリント基板が複合ペインの内部からその側縁を超えて延びることもできる。この場合、光センサは複合ペインの内部に配置され、そして接続ケーブルのための接続パッドは複合ペインの外側に配置される。接続ケーブルによるプリント基板の接触はこの場合、複合ペインの製造後に行うことができる。このようにすると、光センサが組み込まれた複合ペインを、接続ケーブルなしで自動車メーカーに販売することができる。自動車メーカーは次いで複合ペインの取り付け前に接触を行う。言うまでもなく、偏平導体をプリント基板に予め接続し、そして光センサが組み込まれた複合ペインを、接続された偏平導体と一緒に提供することもできる。
【0043】
プリント基板とプラグコネクタを備えた偏平導体とは一つのものとして形成することができ、これにより偏平導体はいわばポリマーシースが共有されたプリント基板の一体的構成部分となる。このようなプリント基板は、複合ペインの製造中にプリント基板の接続パッド上への偏平導体のはんだ付けが省かれるので、プロセス技術の見地から利点を有する。
【0044】
プリント基板又はプリント基板に接続された偏平導体がそれを超えて延びる側縁は、本発明の文脈において、プリント基板又は光センサと連携する側縁と呼ばれる。
【0045】
有利な実施態様では、複数の光センサ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは4つの光センサが1つのプリント基板上に配置されている。検出された光の放射方向のより良好な空間分解能を、複数の光センサによって達成することができる。
【0046】
有利な実施態様では、隣接する光センサ間の距離は最大3cm、好ましくは最大2cm、例えば1cm~2cmである。
【0047】
プリント基板の最大幅は好ましい実施態様では少なくとも15cm、好ましくは少なくとも20cmである。本発明の文脈において、「幅」は光センサと連携する側縁に対してほぼ平行な寸法を意味する。幅が一定でない場合には、最大幅は、プリント基板の全長に沿って生じる最も大きい幅である。換言すれば、プリント基板は好ましくは少なくとも15cm、特に好ましくは少なくとも20cmの幅を有する少なくとも1つの区分を有している。
【0048】
好ましい実施態様では、プリント基板は終端区分と先導区分とを有し、先導区分は終端区分よりも小さな幅を有している。光センサは終端区分内に配置されている。接続ケーブルのための接続パッドは先導区分内に、具体的には先導区分の、終端区分とは離反する端部の近くに配置されている。先導区分は終端区分よりも連携側縁から隔たっておらず、好ましくは複合ペインから、この側縁を超えて張り出している。このようなプリント基板は、例えばT字状に構成されている。横棒(終端区分)は、連携側縁から離れている。先導区分の長さは好ましくは1cm~12cm、特に好ましくは2cm~8cmである。先導区分の幅は好ましくは2cm~15cm、特に好ましくは3cm~10cmである。終端区分の長さは好ましくは0.5cm~3cm、特に好ましくは1cm~2cmである。終端区分の幅は好ましくは15cm~40cm、特に好ましくは20cm~30cmである。このようなプリント基板によって、効率及び空間節約設計の点で特に良好な結果が得られる。
【0049】
しかしながら、これとは別に、プリント基板は長方形であってもよい。理論的には、基板を次いで光センサを備えた終端区分と、電気的な接点を備えた先導区分とに分割することもできる。しかし先導区分と終端区分とは同じ幅を有する。
【0050】
有利な実施態様では、複合ペインは複数の光センサ、すなわちそれぞれ少なくとも1つのフォトダイオードを備えた複数のプリント基板を含む。このことは一方では冗長性という利点をもたらす。すなわち1つの光センサの故障時に、にもかかわらず1つ又は2つ以上の他の光センサによって機能性を保証することができる。他方では、複合ペイン全体にわたって分配された複数の光センサの存在は、局所的な、事実上点状の放射線源、例えば街灯と、周囲光との区別を可能にする。評価・制御電子機器による誤った解釈をこうして回避することができる。例えば、街灯が明るい周囲光と誤って解釈され、乗り物の照明が夜間に結果としてターンオフされるのを回避することができる。また、種々の光センサによって測定された強度の比較を介して、入射放射線の方向依存性を割り出すことも可能である。
【0051】
外側ペインの上方の半空間全体において検出された光の入射方向は、プリント基板上の複数の光センサによって、又は複合ペイン内の複数の光センサ素子の使用によって割り出すことができる。こうして、例えば太陽の現在の位置を割り出すことができる。
【0052】
好ましい実施態様では、各光センサの幅は2mm未満である。ここで「幅」という用語はプリント基板に対して平行な平面内の最大横方向延びを意味する。したがって、光センサを複合ペイン内へ妨げなしに組み込むことができる。光センサをその背後に隠すべきマスキングプリント内のいかなる所要の穴も、小さくかつ妨げにならないように設計することができる。光センサの高さ(プリント基板に対して垂直の延び)は好ましくは0.7mm未満、特に好ましくは0.6mm未満である。光センサは次いで、熱可塑性中間層の標準厚さ0.76mmを用いて、複合ペイン内へ組み込むことができる。
【0053】
内側ペイン及び外側ペインはガラス、具体的には好ましくはソーダ石灰ガラスから形成されることが好ましい。ソーダ石灰ガラスは窓ガラスに適切であることが判っている。しかしながら、ペインは他のタイプのガラス、例えばホウケイ酸ガラス又はアルミノケイ酸ガラスから形成することもできる。原則的には、ペインはあるいはプラスチック、具体的にはポリカーボネート(PC)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)から成っていてもよい。言うまでもなく、複合ペインは1つのガラスペインと1つのプラスチックペインとを有することもできる。
【0054】
ペインの厚さは極めて多様であってよく、ひいては理想的には個々の事例の要件に合わせることができる。好ましくは内側ペイン及び外側ペインの厚さは0.5mm~10mm、特に好ましくは1mm~5mm、特に最も好ましくは1.2mm~3mmである。
【0055】
外側ペイン、内側ペイン、又は中間層は透明かつ無色であってよいが、しかしティント加工、フロスト加工、又は着色を施されていてもよい。複合ペインの総透過率は、具体的には複合ペインがフロントガラスである場合、好ましい実施態様では70%超である。「総透過率」は、ECE-R 43,Annex 3,§9.1によって指定された自動車ウィンドウの光透過性の試験方法に基づく。外側ペイン及び内側ペインは、非プレストレスト、部分プレストレスト、又はプレストレストガラスから成っていてよい。
【0056】
自動車用ペインに関して通常そうであるように、乗り物用複合ペインは好ましくは1つ又は複数の空間方向において湾曲している。典型的な曲率半径は約10cm~40mである。しかしながら複合ペインは、例えば建物用板ガラスにおける建築用ペインとして、又はバス、列車、又はトラクターのためのペインとして意図される場合、平らであってもよい。
【0057】
中間層は少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、好ましくはエチレンビニルアセテート(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、又はポリウレタン(PU)、又はこれらの混合物又はコポリマー又は誘導体、特に好ましくはPVBを含有する。中間層は少なくとも1種の熱可塑性フィルムから形成される。熱可塑性フィルムの厚さは好ましくは0.2mm~2mm、特に好ましくは0.3mm~1mm、例えば0.38mm又は0.76mmである。中間層はいわゆる「音響フィルム」として構成することもできる。音響フィルムは騒音減衰効果を有する。このようなフィルムは典型的には少なくとも3つの層から成っている。中央の層は、可塑剤含有量が異なる結果として、これを取り囲む外側の層よりも高い可塑性又は弾性を有している。
【0058】
プリント基板は好ましくは複合ガラスペインの非透明領域内に配置されているので、ほとんど又は全く見ることができない。この領域内ではペインの透視が不透明エレメントによって防止される。このために、自動車分野では、一方又は両方のペイン上の不透明なマスキングプリントが習慣的である。しかしながら、これとは別に、例えば中間層の着色熱可塑性フィルム又は不透明な挿入エレメントによってペインの透視を防止することもできる。好ましくは、不透明エレメントは光センサに対して内部側に配置されており、ひいては内部からの距離又は内側ペインの内部側の表面からの距離が光センサよりも小さくなる。この場合、光センサは内側からは見ることができないのに対して、光は光センサに外側から衝突し得るので、光センサはその機能を発揮することができる。不透明エレメントが観察方向においてプリント基板の前及び後ろに、すなわち不透明エレメントがそれぞれ光センサに対して内部側及び外部側に取り付けられることが特に好ましい場合がある。この場合、プリント基板は外側からも内側からも見ることができない。光センサがその機能を発揮できるようにするためには、不透明エレメントはもちろん、光センサの位置に開口を有しなければならない。それというのも、さもなければ光を検出できないからである。光センサに対して内部側に配置された不透明エレメントは好ましくは内側ペイン上のマスキングプリントによって実現される。光センサに対して外部側に配置された不透明エレメントは好ましくは外側ペイン上のマスキングプリントによって実現される。マスキングプリントは、追加部品を隠すために、又は自動車用ペインをボディに結合する接着剤をUV線から保護するために、中心視野領域の外側に設けることが自動車用ペインにとって習慣的である。マスキングプリントは典型的には、スクリーン印刷法で被着され焼き付けられた黒色又は暗色のエナメルから成っている。
【0059】
しかしながら、これとは別に、プリント基板を外側から見ることができるように、プリント基板をマスキングプリントによって隠さないことが望ましい場合もある。具体的には、このことは製造許容差を大きくする。それというのもプリント基板は、黒色プリント内の任意の開口と一致するために正確に位置決めされる必要がないからである。
【0060】
本発明による光センサを他のセンサと組み合わせることもでき、有利には空間節約構造を可能にする。光センサは例えば雨センサ、具体的には容量雨センサと組み合わせることができる。容量雨センサは、少なくとも1つの電極の容量変化によって、ペイン上の湿分の存在を割り出す。電極として役立つ導電性構造は、例えばプリント基板上又は内側ペイン上に配置することができる。雨センサと光センサとは好ましくは互いに空間的に近接して配置されるか又は空間的に重ね合わされ、ひいては空間節約的な組み合わせセンサ素子の実現を可能にする。
【0061】
本発明はさらに、光センサが組み込まれた自動車用複合ペインを製造する方法を含む。ここでは最初に、外側ペインと、内側ペインと、少なくとも1つの熱可塑性フィルムと、プリント基板上に位置する少なくとも1つの光センサとを、フィルム及び光センサが外側ペインと内側ペインとの間に配置されるようにスタックとして配置する。2つのペイン、及びこれらのペイン間に位置決めされるフィルムはもちろん、互いに上下に平らかつほぼ合同に配置される。光センサを備えたプリント基板はこのスタックの領域内へ挿入される。続いて、スタックに通常の複合ペイン製造方法を施す。外側ペインを内側ペインに、熱可塑性中間層を介して積層することにより結合する。熱可塑性中間層はプロセス中に少なくとも1つの熱可塑性フィルムから形成される。このことは、当業者にそれ自体知られている習慣的な方法、例えばオートクレーブ法、真空バッグ法、真空リング法、カレンダー法、真空ラミネータ、又はこれらの組み合わせを用いて行われる。外側ペインと内側ペインとの結合は、熱、真空、及び/又は圧力の作用下で通常のように行われる。
【0062】
プリント基板は偏平導体に予め結合され、その後はスタック内に配置されるだけで済むことが好ましい。プリント基板がペインの領域内部に完全に配置され、偏平導体がその側縁を超えて延びるように、プリント基板は配置されることが好ましい。偏平導体とプリント基板の接続パッドとの接続は、例えばはんだ付けによって、又は導電性接着剤を介して行うことができる。
【0063】
乗り物用複合ペインが、具体的には乗用車において通常そうであるように湾曲を有することになる場合には、積層前に例えば重力曲げ加工、吸引曲げ加工、及び/又はプレス曲げ加工によって曲げプロセスをペインに施す。典型的な曲げ温度は500℃~700℃である。
【0064】
積層前及び任意の曲げ加工前に、外側ペイン及び内側ペインの縁部領域に、不透明マスキングプリントを被着することが好ましい。このために典型的には、積層前、具体的には曲げ加工前又は曲げ加工中に、黒色又は暗色のエナメルをスクリーン印刷により被着し焼き付ける。
【0065】
プリント基板をペインのうちの一方の上に直接に、具体的には光センサから離反する側が内側ペインの外部側の表面に位置する状態で配置することができる。中間層の全てのフィルムを次いでプリント基板の一方の側に配置する。しかしながら、これとは別に、プリント基板を閉じ込めた2つの熱可塑性フィルムの間にプリント基板をサンドイッチ様に挿入することもできる。
【0066】
予めさらなる処理を施していない熱可塑性フィルムを使用することができる。積層中、加熱された流動性熱可塑性材料は、光センサ及びプリント基板の周りの空間内に流入することにより、安定な複合体が保証される。
【0067】
複合ペインの光学品質を改善するために、光センサのための開口を設けることにより熱可塑性フィルム(又は複数のフィルムを使用する場合には少なくとも1つの熱可塑性フィルム)を調製することが有利な場合がある。
【0068】
プリント基板全体を挿入する大きい面積の穴をフィルム内に形成することができる。この場合プリント基板を2つの比較的薄いフィルム区分によってサンドイッチ様に取り囲むことにより、プリント基板とフィルムとの間の高さの差を補償し、そして複合体の付着を保証することが好ましい。
【0069】
あるいは、有利な実施態様では、熱可塑性フィルムに積層前に穴又は凹部を設ける。これらの穴又は凹部はサイズ、位置、及び配置関係が光センサと調和される。このことは、穴又は凹部の横方向寸法は光センサの寸法にほぼ相当するか、あるいはこれよりも僅かに大きく、具体的には光センサの寸法の最大150%、又は最大120%であることを意味する。穴又は凹部の位置は、製造されるべき複合ペイン内の光センサの所期位置に相当する。複数の光センサが使用される場合には、穴又は凹部の相互の配置関係は、光センサの相互の配置関係に相当する。したがって一方では穴及び凹部と、他方では光センサとがいわば互いに鍵-鍵穴の関係にある。積層のためのスタックの配置時に、光センサは穴又は凹部内へ挿入される。このようにすると、光センサは中間層内に効果的に埋め込まれる。さらに、光センサの位置は製造中に規定される。このことは大量生産の見地から有利である。穴又は凹部は積層の直前に形成することができる。しかしながら、穴又は凹部が画定されたフィルムを大量に準備するか、又はフィルム供給業者からこの形態で調達することもできる。
【0070】
フィルムは貫通穴を備えていてよい。フィルムの厚さが光センサの高さよりも大きい場合には、実際に望ましくないキャビティが残る。このことは、任意には例えば熱可塑性フィルムの小さな切り抜きによって埋めることができる。より有利には、プロセス技術的見地からよりシンプルであるため、貫通穴の代わりに、光センサの高さにほぼ相当する深さの凹部をフィルムに設けることができる。望ましくないキャビティはこうして、製造後の作業を必要とすることなしに回避することができる。凹部は例えばパンチによって導入される。
【0071】
本発明はまた、光センサが組み込まれた本発明による複合ペインを、好ましくは水、陸、又は空の乗り物の乗り物用ペインとして、そして具体的には、好ましくは自動車、具体的には乗用車のフロントガラス、リアウィンドウ、又はルーフパネルとして使用することを含む。少なくとも1つの光センサは乗り物の評価・制御電子機器に接続されていることが好ましい。
【0072】
少なくとも1つの光センサによって測定される周囲光の関数として、下記切り換え状態のうちの1つ又は複数を例えば制御することができる。
- 乗り物の照明(具体的にはヘッドライト、テールライト、及び車幅灯)の切り換え状態、すなわち、所定の閾値を下回ると、照明がターンオンされ、所定の閾値を上回ると、照明がターンオフされる。
- 電気的に切り換え可能又は制御可能な機能素子を備えた複合ペイン領域の透過特性。前記ペイン領域は、具体的にはペインの上側三分の一における切り換え可能又は制御可能なグレアシールド(「シェードバンド」としても知られる)である。切り換え状態は周囲光の絶対量の関数として、又は複数のフォトダイオード又は光センサ素子による位置依存性の測定によって導き出された太陽の位置の関数として制御することができる。具体的には、太陽の位置が低い状態で、グレアシールドが必要である。制御可能な機能素子は例えばSPD素子(懸濁粒子デバイス)又はLC素子(液晶)又はエレクトロクロミック素子であってよい。
- 乗り物内部内のディスプレイ素子、例えばLEDディスプレイ素子又はOLEDディスプレイ素子又はHUD技術による投影の強度(明るさ)。ディスプレイ素子は例えば、具体的にはピクトグラム又は英数字インジケータの形態を成す警告灯又は情報ディスプレイである。
【0073】
図面及び模範的実施態様を参照しながら以下に本発明を説明する。図面は概略的に示されており、原寸に比例していない。図面は本発明を決して限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1A図1Aは、本発明による乗り物用複合ペインの実施態様を示す平面図である。
図1B図1Bは、図1Aの乗り物用複合ペインの断面線A-A‘に沿った断面図である。
図2A図2Aは、本発明による4つの光センサを有する模範的実施態様の図1Aの詳細Zを示す簡略化された図である。
図2B図2Bは、本発明による4つの光センサを有する別の模範的実施態様の図1Aの詳細Zを示す簡略化された図である。
図3図3は、本発明による方法の実施態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1A及び1Bはそれぞれ、乗り物用複合ペインの例を用いて、光センサ4が組み込まれた本発明による複合ペイン100の詳細を示している。複合ペイン100は外側ペイン1(外部側の表面I及び内部側の表面IIを有する)と、内側ペイン2(外部側の表面III及び内部側の表面IVを有する)とから形成されている。外側ペイン1と内側ペイン2とは熱可塑性中間層3を介して互いに面状に結合されている。外側ペイン1及び内側ペイン2は、例えばソーダ石灰ガラスから成り、例えば2.1mmの厚さを有している。中間層3はポリビニルブチラール(PVB)から成る0.76mm厚のフィルムから形成されている。複合ペインは、例えば自動車のフロントガラスとして意図されている。言うまでもなく、複合ペインは異なる乗り物用ペイン、例えばルーフパネルであってもよい。
【0076】
この例では、複合ペイン100は2つの光センサ4、例えば2つのフォトダイオード4を備えている。図1Bに示されているように、各フォトダイオード4は一方の側に光感受性表面4.1を、そして反対の側にはんだ付け結合部4.5を有している。はんだ付け結合部を介してフォトダイオード4を電気的に接触させることができる。言うまでもなく、フォトダイオード4はさらなる構成部分(詳細には示されていない)、例えばハウジングを有している。ハウジング内には光感受性半導体チップが配置されている。ハウジングの1つの表面は光感受性表面4.1を形成している。さらに、光感受性表面4.1は通常、透明な保護層によって覆われており、機械的又は化学的損傷に対して、例えば湿分に対して保護される。保護層は例えば二酸化炭素又は窒化ケイ素の薄層から成っている。
【0077】
フォトダイオード4は1つの共通のフレキシブルプリント基板5上に配置されている。フレキシブルプリント基板は例えば、複合ペイン100の中央に、かつ上縁Oの領域内に配置されている。言うまでもなく、1つ又は2つ以上の光センサ4はそれぞれ、複合ペイン100上の種々異なる位置に、例えば複合ペイン100の角隅領域内に、かつ/又は側縁又は下縁Uに配置することもできる。プリント基板5は完全に複合ペイン内部に配置されている。プリント基板は内側ペイン2の外部側の表面III上に直接に位置決めされ、中間層3を介して外側ペイン1に結合されている。プリント基板は2つの電気的な接続パッド(図示せず)を有している。接続パッドはそれぞれ接続ケーブル6として形成された二極偏平導体の一方の極にはんだ付けされている。接続ケーブル6は複合体から上縁Oを超えて延びている。接続ケーブル6はプリント基板5を、付加的なコネクタケーブル(典型的には丸形ケーブル)を介して、乗り物に搭載された電子機器の一部として形成された評価・制御電子機器に電気的に接続するのに役立つ。評価・制御電子機器はフォトダイオード4の信号を分析し、ひいては例えば、評価・制御電子機器はフォトダイオード4によって割り出された周囲光量の関数として、乗り物の照明をオンオフ切り換えし、減光装置(ここには示していない)を調整し、又はエアコンディショニングシステムを制御することができる。
【0078】
光センサ4が複数存在する結果として、システムは、全ての光センサ4によって測定された、強度がほぼ等しい周囲光と、分配された光センサ4によって測定された、強度が大きく異なる局所的な光源、例えば街灯又は日光とを区別することができる。ホログラフィ光学素子11を有する本発明による光センサ4の本発明による付加的な角度分解の結果、光源の正確な入射方向に関する結論を引き出すことができる。
【0079】
光センサ4として適しているのは、例えばAvago Technologies社のAPDS-9005タイプのSMDフォトダイオードである。これらは寸法が小さく(高さ0.55mm、幅1.6mm、奥行き1.5mm)、スペクトル感度分布が人の目のものに極めて類似しているので有利である。感度極大はほぼ500nmであり、500nm~600nmの全範囲で、感度は500nmにおける最大値の60%を上回る。このことは光センサによって測定される光量が、人によって重要とみなされた光の量と合致することを保証する。
【0080】
言うまでもなく、ここでは、そして以下では、可視光又は不可視の赤外光又は紫外光を検出するのに適した他のセンサを光センサ4として使用することもできる。
【0081】
プリント基板5は、ほぼ150μm厚のポリイミドフィルムと、ポリイミドフィルム上に印刷された導体トラックとを含むフレキシブルプリント基板である。ここでは、例えばプリント基板の全てのフォトダイオード4は終端区分内に配置されているのに対して、先導区分は接続ケーブル6との接続のために役立つ。導体トラックのシステムの2つの極に相応し、それぞれ二極接続ケーブル6の一方の極にハンダ付けされた2つの接続パッド(図示せず)が、先導区分の端部に配置されている。
【0082】
複合ペイン100はフロントガラスに関して通常そうであるように、フレーム様の不透明マスキングプリント7を有している。マスキングプリント7は例えば外側ペイン1の内部側の表面II上に印刷され焼き付けられた黒色エナメルとして構成されている。プリント基板5は、外側からも内側からも見ることができないように、マスキングプリント7の領域内に配置されている。外側ペイン1上の外側のマスキングプリント7は、フォトダイオード4又はホログラフィ光学素子11の場所に穴を有しているので、光はフォトダイオード4上に当たることができ、そして光センサ4はそれらの機能を発揮することができる。
【0083】
詳細に述べるならば、複合ペイン100はフォトダイオード4‘によって例示された左側の光センサ4‘と、フォトダイオード4‘‘によって例示された右側の光センサ4‘‘とを有している。
【0084】
左側の光センサ4‘と連携するホログラフィ光学素子11.1は、右指向ホログラフィ光学素子11.1である。右指向ホログラフィ光学素子11.1は、右側からホログラフィ光学素子11.1(又は外側ペイン1)に衝突する光Rを回折し、これによりこの光が変向されて光センサ4‘の光感受性表面4.1の傍らを通り過ぎるように構成されている。このことは例えば、-90°~0°の入射角範囲ベータのあらゆる入射角ファイからの光に対して生じる。入射角ファイは、ホログラフィ光学素子11.1の直交面(ほぼ平行な層から成る複合ペイン100の層状構造に基づき、複合ペイン100の外側ペイン1の直交面にも相当する)に対して割り出される。すなわち、-90°~0°の入射角ファイを有するあらゆる光は光センサ4‘の光感受性表面4.1によって検出されない。
【0085】
角度システムは、ここではホログラフィ光学素子の「方向」に関連する。換言すれば、右指向ホログラフィ光学素子11.1の場合に右からの入射方向の光Rを表す入射角ファイは、直交面から出発して正にカウントされ、第1入射角範囲アルファを表す。右指向ホログラフィ光学素子11.1の場合に左からの入射方向の光Lを表す入射角ファイは、直交面から出発して負にカウントされ、第2入射角範囲ベータを表す。
【0086】
こうして、ホログラフィ光学素子11.1(又は外側ペイン1)に左から衝突した光Lは回折されることにより、光センサ4‘の光感受性表面4.1に部分的又は完全に衝突する。例えば、ホログラフィ光学素子11.1の直交面に対して入射角範囲アルファ0°~45°のあらゆる入射角ファイの光を、光センサ4‘の光感受性表面4.1に少なくとも部分的に指向することができる。ホログラフィ光学素子11.1の適宜の設計によって、光感受性表面4.1上の照射部分のサイズは入射角ファイに依存する。結果として、光感受性表面4.1の感度を第1入射角範囲アルファに向けることができ、しかも第1入射角範囲内の角度分解能を著しく高めることができる。
【0087】
第2の右側の光センサ4‘‘は、左側の光センサ4‘の機能を反映している。換言すれば、入射角ファイの方向、ひいては入射角範囲アルファ及びベータは反転される。右側の光センサ4‘‘が連携するホログラフィ光学素子11.2は左指向ホログラフィ光学素子11.2である。左指向ホログラフィ光学素子11.2は、左側からホログラフィ光学素子11.2(又は外側ペイン1)に衝突する光Lを回折し、これによりこの光が変向されて光センサ4‘‘の光感受性表面4.1の傍らを通り過ぎるように構成されている。
【0088】
このことは例えば、ホログラフィ光学素子11.2の直交面に対して-90°~0°の入射角範囲ベータのあらゆる入射角ファイからの光に対して行われる。換言すれば、-90°~0°の入射角ファイを有するあらゆる光は光センサ4‘の光感受性表面4.1によって検出されない。
【0089】
対照的に、ホログラフィ光学素子11.2(又は外側ペイン1)に右から衝突した光Rは回折されることにより、光センサ4‘の光感受性表面4.1に多かれ少なかれ中心で衝突する。例えば、ホログラフィ光学素子11.2の直交面に対して入射角範囲アルファ0°~45°のあらゆる入射角ファイの光を、光センサ4‘‘の光感受性表面4.1上に少なくとも部分的に指向し、そこで検出することができる。ホログラフィ光学素子11.2の適宜の構成によって、光感受性表面4.1上の照射部分のサイズは入射角ファイに依存する。このことは第1入射角範囲アルファの角度分解能を著しく高める。
【0090】
図2Aは、図1Aの領域Zに基づく、4つのフォトダイオード4‘,4‘‘,4‘‘‘,4‘‘‘‘の例を用いた4つの光センサの使用例を示す図である。フォトダイオード4‘,4‘‘,4‘‘‘,4‘‘‘‘はプリント基板5上に対称的に配置されている。フォトダイオード4‘,4‘‘,4‘‘‘,4‘‘‘‘は2つの配列(2つのフォトダイオードから成る対)を形成している。これらの配列は図1Bの配列に相当する。第1配列はフォトダイオード対4‘及び4‘‘から成り、そして第2配列はフォトダイオード対4‘‘‘及び4‘‘‘‘から成る。図1Bに関する説明から判るように、フォトダイオード4‘及び4‘‘は、光屈折に関連するこれらの特徴において鏡像対称的に構成されている。同じことが第2配列のフォトダイオード4‘‘‘及び4‘‘‘‘にも当てはまる。さらに、2つの配列は光回折の特徴に関連して直交方向に配置されている。電気的な信号を適宜に評価することによって、このような形態は、外側ペイン1の周りの半球状空間エレメント内部の光照射位置の正確な特定を可能にする。
【0091】
図2B図2Aの模範的実施態様の変更形を示している。フォトダイオード4‘,4‘‘,4‘‘‘,4‘‘‘‘はプリント基板5上に自由に配置されている。これは、プリント基板5上にさらに多くのセンサ又はアクチュエータ(ここでは図示せず)を配置しなければならない場合、あるいはプリント基板5が技術的な条件に起因して特に不規則な形状を有する場合に、特に有利である。
【0092】
この形態は図2Aの形態に相応する。第1配列において、フォトダイオード4‘及び4‘‘は一直線上に配列されておらず、互いにオフセットされている。同じことがフォトダイオード4‘‘‘及び4‘‘‘‘に当てはまる。光照射の光源がフォトダイオード4‘,4‘‘,4‘‘‘,4‘‘‘‘から著しく離れており、フォトダイオード4‘,4‘‘,4‘‘‘,4‘‘‘‘が光源からの距離と比較して、互いに著しく近接して配置されているので、このような形態を用いても、外側ペイン1の周りの半球状空間エレメント内部の光照射位置を正確に特定することができる。
【0093】
図3は、下記模範的な工程を含む、光センサ4が組み込まれた複合ペイン100を製造するための本発明による方法の模範的実施態様を示すフローチャートである。
S1:光センサ4を有するプリント基板5を製造する工程、
S2:プリント基板5を接続ケーブル6に接続する工程、
S3:サイズ、位置、及び配置関係が光センサ4に適合された凹部を熱可塑性フィルム内に形成する工程、
S4:光センサ4をフィルムの凹部内へ挿入する工程、
S5:内側ペイン2を用意する工程、
S6:プリント基板5を有する熱可塑性フィルムを内側ペイン2上に配置する工程、
S7:熱可塑性フィルム上に外側ペイン1を配置する工程、
S8:外側ペイン1と内側ペイン2とを積層することにより、複合ガラスを形成し、熱可塑性フィルムから中間層3が形成される工程。
本開示は、更に以下の態様を含んでいる:
《態様1》
複合ペイン(100)、具体的には乗り物用複合ペインであって、
-少なくとも1つの熱可塑性中間層(3)を介して互いに接合されている外側ペイン(1)及び内側ペイン(2)、並びに
-前記外側ペイン(1)と前記内側ペイン(2)との間に配置されている、少なくとも1つの光感受性表面(4.1)を備えた少なくとも1つの光センサ(4)
を少なくとも含んでおり、
-前記光感受性表面(4.1)が前記外側ペイン(1)に面しており、
-前記光感受性表面(4.1)と前記外側ペイン(1)との間にホログラフィ光学素子(11)が配置されており、かつ
-前記ホログラフィ光学素子(11)が入射光(L,R)の入射角依存性回折のためのホログラムとして構成されている、
複合ペイン(100)。
《態様2》
前記ホログラフィ光学素子(11)が、第1入射角範囲アルファ内で前記外側ペイン(1)上に入射した光(L,R)を少なくとも部分的に光感受性表面(4.1)上へ指向させ、かつ第2入射角範囲ベータ内で入射した光(L,R)を前記光感受性表面(4.1)の隣に指向させるように、構成されている、態様1に記載の複合ペイン(100)。
《態様3》
前記第1入射角範囲アルファが、0°~60°、好ましくは0°~45°、具体的には10°~30°の全ての入射角ファイを含み、かつ/又は前記第2入射角範囲ベータが、-90°~0°、好ましくは-60°~-5°、具体的には-30~-10°の全ての入射角ファイを含む、態様1又は2に記載の複合ペイン(100)。
《態様4》
前記ホログラフィ光学素子(11)が直接に、前記光感受性表面(4.1)上に、かつ/又は前記外側ペイン(1)の内部側の表面(II)上に配置されている、態様1~3のいずれか一つに記載の複合ペイン(100)。
《態様5》
前記ホログラフィ光学素子がフィルム様であり、好ましくは10μm~10000μm、特に好ましくは10μm~1000μm、さらにより好ましくは50μm~500μm、そして具体的には100μm~500μmの厚さdを有している、態様1~4のいずれか一つに記載の複合ペイン(100)。
《態様6》
前記光センサ(4)が、少なくとも1つのプリント基板(5)上、好ましくは少なくとも1つのフレキシブルプリント基板上に配置されている、態様1~5のいずれか一つに記載の複合ペイン(100)。
《態様7》
前記複合ペイン(100)が、少なくとも2つの光センサ(4)、好ましくは丁度2つ、又は丁度4つの光センサ(4)を含んでいる、態様1~6のいずれか一つに記載の複合ペイン(100)。
《態様8》
前記複合ペイン(100)が、2つの光センサ(4‘,4‘‘)の第1配列であって、前記第1配列の前記ホログラフィ光学素子(11.1,11.2)が互いに対向する入射角範囲を有する状態で配置されている、第1配列と、2つの光センサ(4‘‘‘,4‘‘‘‘)を有する第2配列であって、前記第2配列の前記ホログラフィ光学素子(11.1,11.2)が互いに対向する入射角範囲を有する状態で配置されている、第2配列と、を含み、かつ前記第1配列が前記第2配列に対して直交方向に配置されている、態様7に記載の複合ペイン(100)。
《態様9》
態様1~8のいずれか一つに記載の、光センサ(4)が組み込まれた複合ペイン(100)を製造する方法であって、
(a)外側ペイン(1)、内側ペイン(2)、少なくとも1つの熱可塑性フィルム、及びプリント基板(5)上に位置する前記光センサ(4)を、前記フィルム及び前記光センサ(4)が前記外側ペイン(1)と前記内側ペイン(2)との間に配置されるようにスタックとして配置し、
(b)前記少なくとも1つの熱可塑性フィルムから形成された中間層(3)を介して積層することにより、前記外側ペイン(1)を前記内側ペイン(2)に結合する、
複合ペイン(100)を製造する方法。
《態様10》
工程(a)の前に、サイズ、位置、及び配置関係が前記光センサ(4)に適合された穴又は凹部を前記フィルムに設け、そして前記穴又は凹部内へ、工程(a)中に前記光センサ(4)を挿入する、態様9に記載の方法。
《態様11》
態様1~8のいずれか一つに記載の、光センサ(4)が組み込まれた複合ペイン(100)を、乗り物用ペインとして、好ましくは水、陸、又は空の乗り物の乗り物用ペインとして、特に好ましくは自動車のフロントガラス、リアウィンドウ、又はルーフパネルとして使用する、複合ペイン(100)の使用。
《態様12》
前記光センサ(4)が前記乗り物の評価・制御電子機器に接続されており、前記乗り物照明の切り換え状態、ペイン領域の透過特性、エアコンディショニングシステムの機能、HUDディスプレイの明るさ、及び/又は乗り物内部のディスプレイ素子の強度が、前記光センサ(4)によって測定される周囲光の関数として制御される、態様11に記載の使用。
【符号の説明】
【0094】
1 外側ペイン
2 内側ペイン
3 熱可塑性中間層
4,4‘,4‘‘,4‘‘‘,4‘‘‘‘ 光センサ、フォトダイオード
4.1 放射線感受性表面、光感受性表面
4.5 はんだ付け結合部
5 プリント基板(PCB)
6 接続ケーブル/偏平導体
7 不透明マスキングプリント
11 ホログラフィ層
11.1,11.3 右指向ホログラフィ光学素子
11.2,11.4 左指向ホログラフィ光学素子
100 複合ペイン、乗り物用複合ベイン
O 複合ペインの上縁
U 複合ペインの下縁
I 外側ペイン1の外部側の表面
II 外側ペイン1の内部側の表面
III 内側ペイン2の外部側の表面
IV 内側ペイン2の内部側の表面
A-A‘ 断面線
アルファ、ベータ 入射角範囲
phi 入射角
R 右側からの光の入射
L 左側からの光の入射
Z 拡大された詳細
図1A
図1B
図2A
図2B
図3