IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

特許7554344導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法
<>
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図1
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図2
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図3
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図4
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図5
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図6
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図7
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図8
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図9
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図10
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図11
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図12
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図13
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図14
  • 特許-導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20240911BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240911BHJP
   H10K 30/86 20230101ALI20240911BHJP
【FI】
H10K30/50
H01L21/88 M
H01L21/28 301R
H10K30/86
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023509421
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2021030338
(87)【国際公開番号】W WO2023021648
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】信田 直美
(72)【発明者】
【氏名】内藤 勝之
(72)【発明者】
【氏名】水口 浩司
(72)【発明者】
【氏名】齊田 穣
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/055663(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0131030(US,A1)
【文献】特開2011-116925(JP,A)
【文献】特開2015-219943(JP,A)
【文献】特開2014-154289(JP,A)
【文献】特開2015-053307(JP,A)
【文献】特開2019-050106(JP,A)
【文献】特開2020-137161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/50
H01L 21/3205
H01L 21/28
H10K 30/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ナノワイヤを含む第1層と、
ポリチオフェン部材を含む第2層と、
グラフェン骨格を含むグラフェン部材を含む第3層であって、前記金属ナノワイヤと前記第3層との間に前記第2層が設けられた前記第3層と、
を含み、
前記ポリチオフェン部材の水溶液の水素イオン指数は5以上7以下である、導電部材。
【請求項2】
前記ポリチオフェン部材は中性である、請求項1に記載の導電部材。
【請求項3】
前記金属ナノワイヤから前記第3層への第1方向に沿う前記第3層の厚さは、1nm以上4nm以下である、請求項1に記載の導電部材。
【請求項4】
前記第1方向に沿う前記第2層の厚さは、10nm以上100nm以下である、請求項に記載の導電部材。
【請求項5】
前記第1方向に沿う前記第1層の厚さは、前記金属ナノワイヤの径の2倍以上4倍以下である、請求項に記載の導電部材。
【請求項6】
前記第1層は、複数の前記金属ナノワイヤを含み、
前記複数の金属ナノワイヤの少なくとも2つは絡み合い、
前記第1層は、凹凸を有し、
前記第2層及び前記第3層は、前記凹凸に沿っている、請求項1に記載の導電部材。
【請求項7】
前記第1層は、複数の前記金属ナノワイヤを含み、
前記第2層の少なくとも一部、及び、前記第3層の少なくとも一部は、前記複数の金属ナノワイヤの2つの間にある、請求項1に記載の導電部材。
【請求項8】
基体をさらに備え、
前記基体と前記第3層との間に前記第1層がある、請求項1に記載の導電部材。
【請求項9】
前記グラフェン部材の少なくとも一部は、前記グラフェン骨格に含まれる複数の炭素原子の少なくとも1つが窒素原子で置換されている、請求項1に記載の導電部材。
【請求項10】
前記グラフェン部材は、前記グラフェン骨格に含まれる炭素原子と結合されたポリアルキレンイミン基を含む、請求項1に記載の導電部材。
【請求項11】
金属ナノワイヤを含む第1層と、
ポリチオフェン部材を含む第2層と、
グラフェン骨格を含むグラフェン部材を含む第3層であって、前記金属ナノワイヤと前記第3層との間に前記第2層が設けられた前記第3層と、
を含み、
前記グラフェン部材は、前記グラフェン骨格に含まれる炭素原子と結合されたポリアルキレンイミン基を含む、導電部材。
【請求項12】
前記ポリチオフェン部材は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項1に記載の導電部材。
【請求項13】
前記第2層は、ポリ(4-スチレンスルホン酸)を含む、請求項12記載の導電部材。
【請求項14】
金属ナノワイヤを含む第1層と、
ポリチオフェン部材を含む第2層と、
グラフェン骨格を含むグラフェン部材を含む第3層であって、前記金属ナノワイヤと前記第3層との間に前記第2層が設けられた前記第3層と、
を含み、
前記ポリチオフェン部材は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含み、
前記第2層は、ポリ(4-スチレンスルホン酸)を含む、導電部材。
【請求項15】
前記第2層は、第1化合物をさらに含み、
前記第1化合物は、アンモニウム基を含む、請求項1に記載の導電部材。
【請求項16】
前記第1化合物は、グアニン誘導体、グアニジン誘導体、及び、アルギニン誘導体よりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1に記載の導電部材。
【請求項17】
金属ナノワイヤを含む第1層と、
ポリチオフェン部材を含む第2層と、
グラフェン骨格を含むグラフェン部材を含む第3層であって、前記金属ナノワイヤと前記第3層との間に前記第2層が設けられた前記第3層と、
を含み、
前記第2層は、第1化合物をさらに含み、
前記第1化合物は、アンモニウム基を含み、
前記第1化合物は、グアニン誘導体、グアニジン誘導体、及び、アルギニン誘導体よりなる群から選択された少なくとも1つを含む、導電部材。
【請求項18】
第4層をさらに含み、
前記第1層と前記第4層との間に前記第2層があり、
前記第2層と前記第4層との間に前記第3層があり、
前記第4層は、金属酸化物を含む、請求項1に記載の導電部材。
【請求項19】
請求項1に記載の導電部材と、
対向電極と、
前記導電部材と前記対向電極との間に設けられた活性層と、
を備え、
前記第2層は、前記第1層と前記活性層との間に設けられた、電子装置。
【請求項20】
前記活性層は、光電変換層を含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項21】
前記活性層は、アンモニウム塩を含む、請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンを含む導電部材が電極として用いられる。導電部材において安定した特性が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/178974号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、安定な特性を得ることができる導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、導電部材は、金属ナノワイヤを含む第1層と、ポリチオフェン部材を含む第2層と、グラフェン骨格を含むグラフェン部材を含む第3層と、を含む。前記金属ナノワイヤと前記第3層との間に前記第2層が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る導電部材を例示する模式的断面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る導電部材の一部の材料を例示する模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係る導電部材の一部の材料を例示する模式図である。
図5図5は、第1実施形態に係る導電部材の一部の材料を例示する模式図である。
図6図6は、導電部材の特性を例示するグラフである。
図7図7(a)及び図7(b)は、導電部材を例示する模式図である。
図8図8は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
図9図9は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
図10図10は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
図11図11(a)~図11(c)は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
図12図12は、第1実施形態に係る導電部材を例示する模式的断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る電子装置を例示する模式的断面図である。
図14図14は、第2実施形態に係る電子装置を例示する模式である。
図15図15(a)~図15(c)は、第3実施形態に係る導電部材の製造方法を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る導電部材を例示する模式的断面図である。
図1(b)は、図1(a)の一部の拡大図である。図1(a)に示すように、実施形態に係る導電部材10は、第1層11、第2層12及び第3層13を含む。第1層11は、金属ナノワイヤ11Nを含む。金属ナノワイヤ11Nと第3層13との間に第2層12が設けられる。図1(b)に示すように、第2層12は、ポリチオフェン部材12Mを含む。図1(b)に示すように、第3層13は、グラフェン部材13Mを含む。グラフェン部材13Mは、グラフェン骨格を含む。
【0009】
第1層11は、例えば、金属ナノワイヤ層である。第1層11は、金属ナノワイヤ11Nが絡み合った積層構造を有する。第1層11は、開口を含む。第1層11の表面において、凹凸11dpが大きい。第2層12及び第3層13は、例えば、第1層11の凹凸11dpに沿って、第1層11を被覆する。
【0010】
導電部材10は、基体10sの上に設けられて良い。基体10sは、X-Y平面に沿って広がる。X-Y平面に対して垂直な方向をZ軸方向とする。例えば、基体10sの上に第1層11が設けられる。第1層11の上に第2層12が設けられる。第2層12の上に第3層13が設けられる。基体10sと第3層13との間に第1層11がある。基体10sは、例えば光透過性で良い。基体10sは、例えば有機材料を含んで良い。基体10sは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)などを含んでも良い。基体10sは、例えばガラスなどを含んでも良い。
【0011】
導電部材10は、例えば、光透過性である。導電部材10は、例えば、光透過性電極である。導電部材10は、例えば、透明電極でも良い。
【0012】
実施形態において、第1層11は、金属ナノワイヤ11Nを含む。金属ナノワイヤ11Nは、例えば、銀を含む。金属ナノワイヤ11Nは、例えば、銀ナノワイヤで良い。金属ナノワイヤ11Nは、例えば、銀を含む合金を含んでも良い。金属ナノワイヤ11Nは、例えば、銀及び第1金属元素を含んで良い。第1金属元素は、例えば、Pd、Pt、Au、Zn及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0013】
第1層11が金属ナノワイヤ11Nを含むことで、第1層11において、高い光透過率と、高い導電性と、が得られる。第2層12が設けられることで、第1層11の安定性がより向上する。
図1(b)に示すように、金属ナノワイヤ11Nと第3層13との間に第2層12の少なくとも一部が設けられる。
図1(a)に示すように、第1層11は、複数の金属ナノワイヤ11Nを含む。複数の金属ナノワイヤ11Nの少なくとも2つは絡み合う(図2(a)参照)。第1層11は、複数の金属ナノワイヤ11Nによる凹凸11dpを有する。第2層12及び第3層13は、この凹凸11dpに沿っている。第2層12の少なくとも一部、及び、第3層13の少なくとも一部は、複数の金属ナノワイヤ11Nの2つの間にある。
【0014】
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
第1層11に含まれる金属ナノワイヤ11Nを例示している。図2(a)は、金属ナノワイヤ11Nを含む第1層11のAFM(Atomic Force Microscope)像である。
【0015】
図2(a)に示すように、第1層11は、複数の金属ナノワイヤ11Nを含む。金属ナノワイヤ11N、及び、複数の金属ナノワイヤ11Nの間は、第2層12(例えばポリチオフェン層)で実質的に被覆されている。図2(b)は、1つの金属ナノワイヤ11Nを例示している。
【0016】
金属ナノワイヤ11Nの径d1は、例えば、10nm以上150nm以下である。
金属ナノワイヤ11Nの径d1が過度に小さい場合、金属ナノワイヤ11Nの電気抵抗が高くなる。径d1が過度に大きい場合、複数の金属ナノワイヤ11Nの分散状態が不安定になり易い。径d1が過度に大きい場合、複数の金属ナノワイヤ11Nによる光散乱等が増大し、透明性が低下しやすい。金属ナノワイヤ11Nの径d1は、例えば20nm以上120nm以下であることがより好ましい。径d1は、30nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。
【0017】
金属ナノワイヤ11Nの長さL1は、例えば、0.1μm以上50μm以下である。金属ナノワイヤ11Nの長さL1が過度に短い場合、十分な導電クラスターが形成されず、電気抵抗が高くな李易い。金属ナノワイヤ11Nの長さL1が過度に長い場合、導電部材10(電極等)を製造する際に、複数の金属ナノワイヤ11Nの溶媒への分散が不安定になり易い。長さL1は、1μm以上40μm以下であることが好ましい。長さL1は、5μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。長さL1は、折れ曲がった金属ナノワイヤ11Nの延びる方向に沿った長さでよい。例えば、折れ曲がった金属ナノワイヤ11Nに含まれる異なる方向に延びる複数の部分のそれぞれの長さの和が、長さL1とされて良い。
【0018】
複数の金属ナノワイヤ11Nの面密度は、例えば、0.05g/m以上50g/m以下である。複数の金属ナノワイヤ11Nの面密度がこの範囲のときに、導電部材10(電極等)において、高い光透過率、高い柔軟性、及び、高い導電率が得易い。面密度は、例えば、0.1g/m以上10g/m以下であることが好ましい。面密度は、例えば、0.15g/m以上10g/m以下であることがさらに好ましい。
【0019】
実施形態においては、例えば、第2層12の上に、グラフェン部材13Mを含む第3層13が設けられる。これにより、導電部材10の特性がより安定することが分かった。
【0020】
以下、本願の発明者が行った実験結果の例について説明する。
図3図5は、第1実施形態に係る導電部材の一部の材料を例示する模式図である。
実験において、以下の試料が作製される。第1試料においては、基体10sの上に、第1層11が形成され、その上に第2層12が形成される。第1試料において、第3層13が形成されない。第2試料においては、基体10sの上に、第1層11が形成され、その上に第3層13が形成され、その上に第2層12が形成される。第3試料においては、基体10sの上に、第1層11が形成され、その上に第2層12が形成され、その上に第3層13が形成される。第2試料と第3試料とにおいて、第2層12及び第3層13の位置が逆である。
【0021】
これらの試料において、基体10sは、PET基板である。第1層11は、Agナノワイヤを含む。第1層11の厚さは、約50nmである。第1層11の厚さは、例えば、金属ナノワイヤ11Nの径d1に依存する。第1層11の厚さは、複数の金属ナノワイヤ11Nが重なった部分の厚さに対応する。第2層12は、PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(図3参照)、PSS(ポリ(4-スチレンスルホン酸))(図4参照)、及び、グアニジン(図5参照)含む。図3は、PEDOTの一部が酸化されてホールがドーピングされている状態を示す。図4は、PSSの一部がイオン化した状態を示す。図5において、グアニジンは中性状態である。第2層12の厚さは、約20nmである。第3層13は、N-グラフェンである。第3層13の厚さは、約2nmである。
【0022】
第1層11は、塗布により形成される。実験において、PETの基板がUV-オゾン処理される。基板の表面が親水性となる。塗布装置は、塗布バー及びステージを含む。塗布バーの断面形状は、円形である。ステージ上に基板が載せられる。塗布バーと基板との距離が500μmになるように設定される。複数の銀ナノワイヤを水分散液(第1液)が作製される。第1液が塗布バーに滴下される。基板と塗布バーとの間に、第1液のメニスカスが形成される。。塗布バー及び基板を相対的に移動させることで、第1液による膜が基板上に形成される。相対的な移動の速度は、5m/minである。基板がホットプレート上で、100℃に加熱される。これにより、基板上に形成された第1液による膜が乾燥される。これにより、第1層11が得られる。
【0023】
第2層12は、塗布により形成される。PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、PSS(ポリ(4-スチレンスルホン酸))及びグアニジンが水に分散されて塗布液(第2液)が得られる。第2液のpHは、約6である。第2液を、塗布バーに滴下して、基板と塗布バーとの間に第2液のメニスカスが形成される。塗布バー及び基板を相対的に移動させることで、第2液による膜が第1層11の上に形成される。相対的な移動の速度は、5m/minである。ホットプレート上で100℃での乾燥により、第2液の膜から第2層12が得られる。
【0024】
第3層13は、塗布により形成される。ポリエチレンイミン鎖が結合したN-グラフェンがエタノールに分散されて、塗布液(第3液)が得られる。第3液を塗布バーに滴下して、基板と塗布バーとの間に第3液によるメニスカスが形成される。塗布バー及び基板を相対的に移動させることで、第3液による膜が第2層12の上に形成される。相対的な移動の速度は、3m/minである。ホットプレート上で80℃での乾燥により、第3液の膜から第3層13が得られる。
【0025】
これらの試料のそれぞれの初期状態におけるシート抵抗は、約10Ω/squareである。これらの試料の表面に、不純物として、MAI(ヨウ化メチルアンモニウム)を接触させた後のシート抵抗が測定される。
【0026】
MAIを接触させた後(試験後)のシート抵抗は以下である。第1試料における試験後のシート抵抗は、550Ω/squareである。第2試料における試験後のシート抵抗は、500Ω/squareである。第3試料における試験後のシート抵抗は、100Ω/squareである。
【0027】
このように、第1試料及び第2試料においては、試験後において、シート抵抗が大きく上昇する。一方、第3試料においては、試験後のシート抵抗の上昇が抑制される。
【0028】
第1試料及び第2試料において、不純物のMAIが第2層12に進入し、これにより、導電性が低下すると考えられる。例えば、第2層12に含まれるポリチオフェン部材12M中に、不純物が進入する。この不純物が、ポリチオフェン部材12Mの配列を乱す可能性がある。これにより、導電性が低下すると考えられる。
【0029】
一方、第3試料においては、不純物のMAIが第3層13で効果的にブロックされると考えられる。これにより、不純物のMAIが第2層12に進入することが抑制されると考えられる。
【0030】
第3層13は、グラフェン部材13Mを含む。グラフェン部材13Mのグラフェン骨格は、例えばX-Y平面に実質的に沿って並ぶ(図1参照)。これにより、第3層13において、不純物が第2層12に進入することが良い効果的に抑制されると考えられる。これにより、電気抵抗(シート抵抗)の劣化が抑制される。実施形態において、安定な特性を得ることができる導電部材を提供できる。
【0031】
実施形態において、第2層12がPEDOT及びPSSを含むことで、より高い導電性が安定して得られる。第2層12がPEDOT及びPSSを含む場合に、第2層12に不純物が進入したときに導電性に与える悪影響がより顕在化しやすいと考えられる。第3層13が設けられることによる電気抵抗の変化の抑制がより効果的に発揮される。
【0032】
実施形態において、第2層12がグアニジンを含むことで、例えば、金属ナノワイヤ11Nの劣化がより効果的に抑制できる。第2層12がグアニジンを含む場合に、第2層12に不純物が進入したときに導電性に与える悪影響がより顕在化しやすいと考えられる。第3層13が設けられることによる電気抵抗の変化の抑制がより効果的に発揮される。
【0033】
実施形態において、ポリチオフェン部材12Mは中性(例えば、水素イオン指数pHは5~7))であることが好ましい。例えば、ポリチオフェン部材12Mの水溶液の水素イオン指数(pH)は5以上7以下であることが好ましい。これにより、導電部材10に含まれる金属などの変質(例えば酸化)などが抑制される。例えば、第1層11に含まれる金属ナノワイヤ11Nの変質(例えば酸化)などが効果的に抑制される。より安定した特性が得られる。例えば、導電部材10からポリチオフェン部材12Mから取り出し、取り出したポリチオフェン部材12Mが分散された水溶液のpHは、例えば、5以上7以下である。
【0034】
図1(b)に示すように、金属ナノワイヤ11Nから第3層13への第1方向に沿う第1層11の厚さを厚さt1とする。実施形態において、厚さt1は、例えば、複数の金属ナノワイヤ11Nの径d1の2倍以上4倍以下であることが好ましい。厚さt1が径d1の2倍以上であることで、例えば、第1層11のシート抵抗が低くなる。厚さt1が径d1の4倍以下であることで、例えば、十分な光透過性を得ることができる。
【0035】
図1(b)に示すように、第1方向に沿う第2層12の厚さを厚さt2とする。実施形態においては、厚さt2は、例えば、10nm以上100nm以下であることが好ましい。厚さt2が10nm以上であることで、例えば、均一な膜が得易い。厚さt2が100nm以下であることで、例えば、十分な光透過性が得易い。
【0036】
図1(b)に示すように、第1方向に沿う第3層13の厚さを厚さt3とする。実施形態において、厚さt3は、例えば、1nm以上4nm以下であることが好ましい。厚さt3が1nm以上であることで、例えば、均一な膜が得易い。厚さt3が1nm以上であることで、例えば、第3層による保護作用が得易い。厚さt3が4nm以下であることで、例えば、十分な光透過性が得易い。
【0037】
図6は、導電部材の特性を例示するグラフである。
図6の横軸は、第3層13の厚さt3である。縦軸は、シート抵抗Rs1である。シート抵抗Rs1は、導電部材10の第3層13に不純物を接触させた後のシート抵抗である。図6に示すように、厚さt3が1nm以上であることで、低いシート抵抗Rs1が得られる。
【0038】
図7(a)及び図7(b)は、導電部材を例示する模式的断面図である。
【0039】
図7(a)は、中性ポリチオフェン層(PSSアニオン(PSS-)及びアンモニウムカチオン(N+)を含む)の場合を例示している。図7(a)において、グラフェン層は、MAIのような中性の外部イオン(M+X-)とはあまり相互作用しない。グラフェン層の界面は安定である。グラフェン層において、遮蔽性が高い。例えば、中性ポリチオフェン層は、金属ナノワイヤ11Nを腐食させ難い。例えば、ポリエチレンイミンで置換された窒素置換グラフェンは、中性ポリチオフェン層中のイオン(PSS-及びN+)とはあまり相互作用しない。窒素置換グラフェンにおいて、界面が安定である。窒素置換グラフェンにおいて、イオン遮蔽能が保持される。
【0040】
図7(b)は、酸性ポリチオフェン層(PSS- H+)の場合を例示している。酸性ポリチオフェン層においては、H+が、塩基性の窒素置換グラフェンと、界面で反応し易い。これにより、シート抵抗が高くなる傾向がある。
【0041】
図8は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
図8に示すように、グラフェン部材13Mの少なくとも一部は、グラフェン骨格に含まれる複数の炭素原子の少なくとも1つが窒素原子で置換されていても良い。グラフェン部材13Mにおいて、グラフェン骨格は、炭素6員環縮合構造を含む。グラフェン部材13Mに含まれるグラフェン骨格は、例えば、5員環及び7員環の少なくともいずれかを含んでも良い。グラフェン部材13Mに含まれるグラフェン骨格に、水酸基、はカルボキシル基及びエポキシ基よりなる群から選択された少なくとも1つの基が結合していてもよい。
【0042】
図9は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
図9に示すように、グラフェン部材13Mは、ポリアルキレンイミン基を含んでも良い。ポリアルキレンイミン基は、グラフェン骨格に含まれる炭素原子と結合される。図9は、ポリアルキレンイミン鎖として、ポリエチレンイミン鎖を例示している。アルキレンイミン単位に含まれる炭素数は、例えば、2以上8以下が好ましい。グラフェン部材13Mは、炭素数が2の単位を含むポリエチレンイミンを含むことが好ましい。グラフェン部材13Mは、例えば、直鎖状ポリアルキレンイミンを含んで良い。グラフェン部材13Mは、例えば、分岐鎖を含むポリアルキレンイミンを含んで良い。グラフェン部材13Mは、例えば、環状構造を有するポリアルキレンイミンを含んで良い。ポリエチレンイミンおけるn(繰り返し単位数)は、例えば、10以上1000以下であることが好ましい。ポリエチレンイミンおけるn(繰り返し単位数)は、例えば、100以上300以下であることが、より好ましい。
【0043】
実施形態において、例えば、ポリチオフェン部材12Mは、PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))を含んで良い(図3参照)。第2層12は、例えば、PSS(ポリ(4-スチレンスルホン酸))を含んで良い(図4参照)。
【0044】
図10は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
第2層12は、図10に例示する第1化合物12cを含んでも良い。第1化合物12cは、アンモニウム基を含む。このアンモニウム基において、立体的である。このアンモニウム基は、かさ高い。このような第1化合物12cを含むことで、例えば、水に分散した時にpHが中性になり易い。このような第1化合物12cを含むことで、例えば、PEDOTが配列し易い。第2層12における第1化合物12cの濃度は、例えば、PSS中のスルホン酸基に対して、0.2モル以上1モル以下である。
【0045】
図11(a)~図11(c)は、第1実施形態に係る導電部材の一部を例示する模式図である。
図11(a)に示すように、第1化合物12cは、例えば、グアニン誘導体を含んでも良い。
【0046】
図11(b)に示すように、第1化合物12cは、例えば、グアニジン誘導体を含んでも良い。
【0047】
図11(c)に示すように、第1化合物12cは、例えば、アルギニン誘導体を含んでも良い。
【0048】
第1化合物12cは、グアニン誘導体、グアニジン誘導体、及び、アルギニン誘導体よりなる群から選択された少なくとも1つを含んで良い。図11(a)~図11(c)は、グアニン、グアニジン、及び、アルギニンのそれぞれの無置換体を例示している。実施形態において、第1化合物12cは、グアニン、グアニジン、及び、アルギニンのそれぞれの無置換体であることが好ましい。実施形態において、第1化合物12cが、グアニン、グアニジン、及び、アルギニンのそれぞれの置換体である場合、それらの置換体は、アルキル置換体であることが好ましい。アルキル置換体において、炭素数は1以上4以下であることが好ましい。
【0049】
図12は、第1実施形態に係る導電部材を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、実施形態に係る導電部材10は、第4層14をさらに含んでも良い。第1層11と第4層14との間に第2層12がある。第2層12と第4層14との間に第3層13がある。第4層14は、金属酸化物を含む。
【0050】
第4層14は、Sn、Ti、W、Mo及びVよりなる群から選択された少なくとも1つの金属元素と、酸素と、を含む。第4層14は、例えば、SnO層である。第4層14が設けられることで、より安定した導電部材10が得られる。シート抵抗の変化がより安定して抑制される。第4層14は、例えばバリア層として機能して良い。第4層14は、例えば電荷注入層として機能して良い。
【0051】
例えば、第4試料は、第3試料の構成に加えて、第4層14をさらに含む。第4試料において、導電部材10をMAIと接触させる試験後のシート抵抗は、約40Ω/squareである。より低く安定したシート抵抗が得られる。
【0052】
第4層14の第1方向(例えばZ軸方向)に沿う厚さt4は、5nm以上50nm以下であることが好ましい。厚さt4が5nm以上であることで、例えば、シート抵抗の変化がより安定して抑制できる。厚さt4が50nm以下であることで、例えば、電気抵抗が低くなる。
【0053】
実施形態において、第4層14の表面を硫黄を含む雰囲気に接触させても良い。これにより、より低いシート抵抗が得られる。例えば、第4層14の表面を硫黄を含む雰囲気に接触させた第5試料において、導電部材10をMAIと接触させる試験後のシート抵抗は、約30Ω/squareである。
【0054】
硫黄を含む雰囲気は、硫黄または硫黄化合物を含んで良い。硫黄を含む雰囲気に接触させる方法において、例えば、第1~第4層11~14を含む積層膜が、硫黄または硫黄化合物を含むガスと接触させられる。硫黄を含む雰囲気に接触させる方法において、例えば、積層膜が、硫黄または硫黄化合物を含む液体と接触させられる。例えば、硫黄蒸気ガスとの接触、硫化水素ガスとの接触、硫化水素の水溶液との接触、硫化ナトリウムの水溶液との接触、及び、チオアセトアミドの溶液との接触の少なくともいずれかが適用されて良い。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態は、電子装置に係る。
図13及び図14は、第2実施形態に係る電子装置を例示する模式である。
図13に示すように、実施形態に係る電子装置110は、第1実施形態に係る導電部材10と、対向電極20と、活性層30と、を含む。活性層30は、導電部材10と対向電極20との間に設けられる。第2層12は、第1層11と活性層30との間に設けられる。第3層13は、第2層12と活性層30との間に設けられる。この例では、導電部材10は、第4層14を含む。第4層14は、第3層13と活性層30との間に設けられる。活性層30は、例えば、光電変換層を含む。
【0056】
活性層30は、例えば、図14に例示するアンモニウム塩を含んでも良い。活性層30は、例えばペロブスカイト物質を含む。ペロブスカイト物質は、アンモニウム塩を含む。アンモニウム塩は、例えば、MAIで良い。
【0057】
1つの例において、電子装置110は、例えば、太陽電池である。電子装置110において、導電部材10が、第2層12及び第3層13を含むことで、例えば、活性層30に含まれる物質(例えば、MAIなどのアンモニウム塩など)が第2層12に進入することが抑制できる。シート抵抗の変化が効果的に抑制される。例えば、安定した特性を有する電子デバイスが提供できる。
【0058】
活性層30の第1方向(Z軸方向)に沿う厚さt30は、例えば、100nm以上1000nm以下である。
【0059】
対向電極20の第1方向(Z軸方向)に沿う厚さt20は、例えば、10nm以上200nm以下である。対向電極20は、例えば、Ag、Au、Al及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態は、導電部材の製造方法に係る。
図15(a)~図15(c)は、第3実施形態に係る導電部材の製造方法を例示する模式的断面図である。
図15(a)に示すように、実施形態に係る導電部材10の製造方法において、第1層11が準備される。第1層11は、例えば、基体10sの上に設けられる。第1層11は、金属ナノワイヤ11N(図1参照))を含む。
【0061】
図15(b)に示すように、第1層11の上に、第2層12を形成する。第2層12は、ポリチオフェン部材12M(図1参照)を含む。
【0062】
図15(c)に示すように、第2層12の上に、第3層13を形成する。第3層13は、グラフェン骨格を含むグラフェン部材13M(図1参照)を含む。
【0063】
第1層11は、例えば、複数の金属ナノワイヤ11Nを含む液体を基体10sの上に種々の方法で塗布することで得られる。液体は、例えば、水またはアルコールを含む分散液である。加熱は、ホットプレート、熱風または赤外線等により、80℃以上150℃以下の温度で行われて良い。
【0064】
第2層12は、例えば、第2層12となる物質(例えば、PEDOT、PSS及びグアニジンなど)を含む溶液を第1層11の上に塗布することで、得られる。加熱は、ホットプレート、熱風または赤外線等により、80℃以上150℃以下の温度で行われて良い。
【0065】
第3層13は、例えば、第3層13となる物質(例えば、ポリエチレンイミン基を含むグラフェンなど)を含む溶液を第2層12の上に塗布することで、得られる。溶液は、水またはアルコール等を含む。加熱は、ホットプレート、熱風または赤外線等により、80℃以上150℃以下の温度で行われて良い。
【0066】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
金属ナノワイヤを含む第1層と、
ポリチオフェン部材を含む第2層と、
グラフェン骨格を含むグラフェン部材を含む第3層であって、前記金属ナノワイヤと前記第3層との間に前記第2層が設けられた前記第3層と、
を含む導電部材。
【0067】
(構成2)
前記ポリチオフェン部材は中性である、構成1に記載の導電部材。
【0068】
(構成3
前記ポリチオフェン部材の水溶液の水素イオン指数は5以上7以下である、構成1に記載の導電部材。
【0069】
(構成4)
前記第1層から前記第3層への第1方向に沿う前記第3層の厚さは、1nm以上4nm以下である、構成1~3のいずれか1つに記載の導電部材。
【0070】
(構成5)
前記第1方向に沿う前記第2層の厚さは、10nm以上100nm以下である、構成4に記載の導電部材。
【0071】
(構成6)
前記第1方向に沿う前記第1層の厚さは、前記金属ナノワイヤの径の2倍以上4倍以下である、構成4または5に記載の導電部材。
【0072】
(構成7)
前記第1層は、複数の前記金属ナノワイヤを含み、
前記複数の金属ナノワイヤの少なくとも2つは絡み合い、
前記第1層は、凹凸を有し、
前記第2層及び前記第3層は、前記凹凸に沿っている、構成1~6のいずれか1つに記載の導電部材。
【0073】
(構成8)
前記第1層は、複数の前記金属ナノワイヤを含み、
前記第2層の少なくとも一部、及び、前記第3層の少なくとも一部は、前記複数の金属ナノワイヤの2つの間にある、構成1~6のいずれか1つに記載の導電部材。
【0074】
(構成9)
基体をさらに備え、
前記基体と前記第3層との間に前記第1層がある、構成1~8のいずれか1つに記載の導電部材。
【0075】
(構成10)
前記グラフェン部材の少なくとも一部は、前記グラフェン骨格に含まれる複数の炭素原子の少なくとも1つが窒素原子で置換されている、構成1~9のいずれか1つに記載の導電部材。
【0076】
(構成11)
前記グラフェン部材は、前記グラフェン骨格に含まれる炭素原子と結合されたポリアルキレンイミン基を含む、構成1~9のいずれか1つに記載の導電部材。
【0077】
(構成12)
前記ポリチオフェン部材は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、構成1~11のいずれか1つに記載の導電部材。
【0078】
(構成13)
前記第2層は、ポリ(4-スチレンスルホン酸)を含む、構成12記載の導電部材。
【0079】
(構成14)
前記第2層は、第1化合物をさらに含み、
前記第1化合物は、アンモニウム基を含む、構成1~13のいずれか1つに記載の導電部材。
【0080】
(構成15)
前記第1化合物は、グアニン誘導体、グアニジン誘導体、及び、アルギニン誘導体よりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成14に記載の導電部材。
【0081】
(構成16)
第4層をさらに含み、
前記第1層と前記第4層との間に前記第2層があり、
前記第2層と前記第4層との間に前記第3層があり、
前記第4層は、金属酸化物を含む、構成1~15のいずれか1つに記載の導電部材。
【0082】
(構成17)
構成1~16のいずれか1つに記載の導電部材と、
対向電極と、
前記導電部材と前記対向電極との間に設けられた活性層と、
を備え、
前記第2層は、前記第1層と前記活性層との間に設けられた、電子装置。
【0083】
(構成18)
前記活性層は、光電変換層を含む、構成17に記載の電子装置。
【0084】
(構成19)
前記活性層は、アンモニウム塩を含む、構成17または18に記載の電子装置。
【0085】
(構成20)
金属ナノワイヤを含む第1層の上に、ポリチオフェン部材を含む第2層を形成し、
前記第2層の上に、グラフェン骨格を含むグラフェン部材を含む第3層を形成する、
導電部材の製造方法。
【0086】
実施形態によれば、安定な特性を得ることができる導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法を提供できる。
【0087】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、導電部材または電子装置に含まれる、第1~第3層、及び基体などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0088】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0089】
その他、本発明の実施の形態として上述した導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての導電部材、電子装置及び導電部材の製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0090】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10…導電部材、 10s…基体、 11~14…第1~第4層、 11N…金属ナノワイヤ、 11dp…凹凸、 12M…ポリチオフェン部材、 12c…第1化合物、 13M…グラフェン部材、 20…対向電極、 30…活性層、 110…電子装置、 L1…長さ、 Rs1…シート抵抗、 d1…径、 t1~t4、t20、t30…厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15